日本のテラドローンがシリーズBで80億円調達、グローバル展開を加速

ドローン、電動垂直離着陸機、無人航空機などの航空機の利用が本格化する中、日本のスタートアップTerra Drone(テラドローン)は、空のトラフィックが見落とされないようにしたいと考えている。

テラドローンのCEOで創業者、そして電気自動車を開発するTerra Motors(テラモーターズ)のCEOも兼務している徳重徹氏は「空域はこれまで以上に混雑していきますが、今日のほとんどの企業はハードウェアの開発だけに注力しています。安全かつ効率的なドローンやアーバンエアモビリティ(UAM)の運用を可能にするグローバルな航空交通管理ソリューションに対する差し迫ったニーズがあり、テラドローンは空のデジタルインフラを構築する主要プレイヤーになることを目指しています」と述べた。

2016年に設立されたテラドローンは、ドローンのソフトウェア、ハードウェア、無人航空機システムのトラフィック管理ソリューションを手がけている。同社は3月23日に三井物産が主導した80億円のシリーズBラウンドを完了したと発表した。2021年2月にシリーズAで1440万ドル(約17億円)を調達してから約1年、今回のラウンドで調達総額は8300万ドル(約100億円)となった。

SBIインベストメント、東急不動産HD、九州電力送配電、西華産業、JOIN(海外交通・都市開発事業支援機構)、既存投資家のベンチャーラボインベストメントが今回のラウンドに参加した。

テラドローンのCOO、関鉄平氏はTechCrunchとのインタビューで、シリーズB資金を人員増強と欧州、米国、東南アジアへのグローバル展開に使うと述べた。また、これらの地域での企業買収にも使われるという。同社の評価額については明らかにしなかった。

テラドローンは2018年にオランダのドローン会社Terra Inspectioneeringを買収し、2016年にはベルギーのドローン会社Uniflyに投資している。

さらにテラドローンは調達した資金を、無人航空機システムの交通管理ソリューションを通じて、ドローンやエアタクシー運航のための目視外自律飛行技術の支援や、自社のUAMサービスの開発強化に充てるという。

シリーズB後の次の計画について尋ねられた関氏は、テラドローンは株式公開を検討しているという。また、IPOの前にさらに資金調達する可能性もあると付け加えた。

テラドローンはShell(シェル)、Chevron(シェブロン)、BP、ExxonMobil(エクソンモービル)、ConocoPhillips(コノコフィリップス)、Vopak(ボパック)、日本のインペックスといった石油・ガス会社、そしてBASFや関西電力といった化学会社を含む約500の顧客を抱える。テラドローンはまた、食品会社Bunge(バンジ)に検査サービスを、建設会社に調査サービスを提供していると関氏は語った。

注目すべきは、2022年2月に発表されたFortune Business Insightsのレポートによると、安全性と性能向上のために主にリグ点検に注力している石油・ガス業界は、陸上・海上パイプラインの監視に年間で約507億6000万ドル(約6兆1280億円)を投じていることだ。テラドローンは、構造物の腐食、コーティングの不具合、その他あらゆる構造物の損傷などの欠陥を特定することができると関氏は話す。世界のドローン監視市場は、2021年の1億4200万ドル(約171億円)から2028年には4億7650万ドル(約575億円)に成長すると予想されている。テラのIR資料によると、世界のUAM市場は2040年までに1兆5000億ドル(約181兆円)まで拡大すると予測されている。

テラドローンは、東京電力ホールディングス、日本航空、大手通信会社KDDI、INPEX、国土交通省など、多くの日本企業や政府とのプロジェクトに取り組んでいる。また、有人・無人の航空機の飛行管理調整で宇宙航空研究開発機構(JAXA)とも連携している。

テラドローンの無人交通管理

関氏は、テラドローンの重要な特化・差別化ポイントは、足場がなくてもドローンが超音波探傷器(あるいは超音波厚み測定器)を表面に押し当て、壁の厚みを測定できる特許技術だと明かした。

「Terra LiDAR(光検出・測距)やTerra LiDAR Cloudなどの測量グレードのハードウェアソフトウェアの販売による経常収益の拡大、(子会社の)Terra Inspectioneeringによるドローンを使った超音波厚み(UT)測定や非破壊検査(NDT)などの専門サービスの提供、そして海外事業の戦略的整理によって、成功のための態勢が整いました」と徳重氏は述べた。「我々は事業とイノベーションをより速く拡大することができます」。

テラドローンは英国のSky-Futures、CyberHawk、マレーシアのAerodyneなど、世界のドローン会社と競合している。AirMapや、ドローン用のUAVライダーシステムを開発するフランスのYellowScanも競合相手だと関氏は言及した。

テラドローンの従業員は60人で、子会社の従業員は全世界で約500人だ。

画像クレジット:Terra Drone

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のEVメーカーXpengが支援する都市型エアモビリティHT Aeroが約570億円を調達

中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)の関連会社である都市型エアモビリティ(UAM)企業のHT Aero(HTエアロ)は、5億ドル(約571億円)のシリーズA調達を発表した。同社の創業者兼社長であるDeli Zhao(デリ・ジャオ)氏は、この資金を、トップクラスの人材の獲得、研究開発の推進、次世代の車両に向けた「耐空性の規定と認証の取得の継続」に使用すると述べている。

ジャオ氏は声明の中で「当社の次世代モデルは、低空飛行と道路走行の両方に対応した、飛行機と自動車が完全に統合されたものになるでしょう。我々は、2024年に正式に展開することを計画しています」と述べている。

HT Aeroは先日、第5世代の飛行車である「Xpeng X2」を公開した。この飛行車は、特定の都市シナリオを想定した自律飛行による離着陸、バックエンドのスケジューリング、充電、飛行制御を行うことができる。同社は、企業ではなく個人の消費者向けにUAMソリューションを提供したいと述べているが、これは確かにXpengの目標に沿っているといえるだろう。

Xpengは、IDG Capital(IDGキャピタル)および5Y Capital(5Yキャピタル)とともに、今回の資金調達を主導した。HT Aeroによると、この資金調達は、アジアの低空飛行車分野における最大のシングル・トランシェ資金調達とのことだ。このラウンドには、Sequoia China(セコイア・チャイナ)、Eastern Bell Capital(イースタン・ベル・キャピタル)、GGV Capital(GGVキャピタル)、GL Ventures(GLベンチャーズ)、Yunfeng Capital(ユンフェン・キャピタル)などの投資家組織も参加している。Xpengは、純粋な金融投資家グループの中で唯一の戦略的投資家であり、本気でモビリティの未来を掴もうとしていることを示唆している。

Xpengは、HT Aeroへの投資の一環として、同社の強みである自律走行技術に関する知識の共有や、物流・サプライチェーンマネジメントの支援を行うことができる。また、HT AeroはXpengの製造能力を活用することができると、同社のスポークスマンはTechCrunchに語っている。

HT AeroのUAM車両は、運転と飛行の統合を目指すXpengのモビリティ・エコシステムにおいても役割を果たすことになる。XpengのCEOであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、10月24日に開催される同社のイベント「Tech Day」で自律走行技術、飛行車、スーパーチャージング技術、ユニコーンロボットなどの最新情報とともに、このエコシステムについてさらに詳しく説明する予定だ。

本田技研工業(HMC)も最近、さまざまな形態のモビリティを1つのエコシステムに統合する計画を発表した。HMCのコーポレートコミュニケーションマネージャーであるMarcos Frommer(マルコス・フロマー)氏は、未来の消費者がアプリを使って、ロボタクシーからeVTOL(電動垂直離着陸機)まであらゆるものを予約できるようになる、さまざまなシナリオを明らかにした。

シャオペン氏は声明の中で「私たちの使命は、スマートEVにとどまらず効率的で安全かつカーボンニュートラルなモビリティソリューションを探求することです。私たちが見ているのは、スマートモビリティの3つの原動力である、破壊的技術、新しいエネルギー源、大量生産の統合です。私たちはこのチャンスを逃しません。それは、現代の交通機関の歴史上、前例のないことです」と述べている。

関連記事
中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV
子供が乗れるロボユニコーンは中国のEVスタートアップXpeng製
本田技研工業がeVTOL、アバターロボット、宇宙技術に向けた計画を発表

画像クレジット:HT Aero

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

2024年までにLAでの都市型エアタクシー導入を目指すArcher Aviation

特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となることを最近発表した電動航空機スタートアップのArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)は、2024年までにロサンゼルスで都市航空タクシーのネットワーク立ち上げを計画している。

今回の発表は、ロサンゼルス市長であるEric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏のオフィス、ロサンゼルス市交通局、そしてUrban Movement Labの3者が、都市型航空機を既存の交通網や土地利用政策に統合する方法についての計画を策定するための1年計画である「Urban Air Mobility Partnership」の結成から2カ月後に行われたものだ。2019年11月に立ち上げられたUrban Movement Labsは交通テクノロジーの開発・テスト・展開を目的とする地元政府と企業による官民連携の組織だ。Urban Movement Labsとロサンゼルス市は、人々が「Urban Air Mobility(UAM、アーバン・エア・モビリティ)」航空機に搭乗できる「垂直離着陸飛行場」の設計とアクセスに取り組んでいる。UAMとは、都市や郊外で乗客や貨物を低高度で運ぶことができる高度にかなり自動化された航空機を指す。

Archer Aviationは2週間前に、特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となるという発表の中でUnited Airlines(ユナイテッド航空)が顧客、そして投資家となったことを明らかにした。Archer Aviationは2021年2月初めに特別買収目的会社のAtlas Crest Investment Corp.と合併することで合意に達した。この手法はスタートアップが従来のIPOプロセスを回避することを可能にしている最近頻繁に取られているものだ。ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「ACHR」で上場する合併会社の評価額は、38億ドル(約4008億円)となる。

関連企業:eVTOL開発のArcherがユナイテッド航空から受注、SPAC経由で上場も

ロサンゼルスに主要ハブを置くユナイテッド航空はこの取引の主要投資家の1社だ。合意条件に基づき、同航空は10億ドル(約1055億円)相当の航空機を発注した。5億ドル(約527億円)分の航空機を追加購入するオプションも持っている。

「初のeVTOL(電動垂直離着陸機)をユナイテッド航空のハブの1つで立ち上げるというArcherの約束は、当社の顧客が旅行のあらゆるステージで、座席に座る前から二酸化炭素排出を抑制することに1歩近づいたことを意味します」とユナイテッド航空の経営企画・投資関係担当副社長のMichael Leskinen(マイケル・レスキネン)氏は声明で述べた。「Archerにとってロサンゼルスは始まりにすぎないと確信していて、我々のハブ全体へと拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Archerが乗客をシャトル輸送するようになるまで、道のりは長い。同社はフル充電すれば時速150マイル(約241km)で60マイル(約96km)飛行するようデザインされているeVTOLをまだ大量生産していない。同社は以前、フルスケールのeVTOLを2021年後半に披露し、2023年の大量生産開始を目指している、と述べた。

垂直離着陸飛行場ハブのデザインと構築は、今後3年間で終えなければならない数多くのタスクの1つだ。同社の共同創業者で共同CEOのBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドステイン)氏は、短期的にはヘリパッドや駐車場のような既存インフラを使うのに前向きだ。同社によると、「Maker」という名のeVTOLは既存インフラに収まるサイズとなる。Urban Air Mobility Partnershipが仮にその戦略に同意するとして、そうしたフレキシビリティはArcherが2024年という目標を達成するのに貢献するかもしれない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Archer AviationeVTOLUAM

画像クレジット:Archer Aviation

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi