旅行記サイト「Compathy」はアプリでフォートラベルに挑む


iPhone 6が出てコンデジを捨てた人がいるように、旅行写真もスマホで事足りている人は多そうだ(僕もその1人)。こうした需要を背景に、実名制ベースの旅行記サイト「Compathy(コンパシー)」が26日にiOSアプリを公開した。

アプリは、iPhoneで撮った写真の日時や位置情報を利用し、旅のルートや時間軸を1つの「ログブック」(旅行記)に自動でまとめてくれる。各ログブックは地図上に表示され、これまでの旅を振り返ることができる。

口コミを眺めるだけという人は、アジアやオセアニア、ヨーロッパといった地域や国から探せる。「女子旅」「一人旅」「貧乏旅行」「ロケ地巡り」といったカテゴリーもあり、自分のイメージにあった旅行記が探せそう。

投稿された写真には撮影地が紐付いているので、気に入った口コミをブックマークすれば、「行ってみたいリスト」として、リスト・地図形式でまとめられる。自分だけのガイドブックを作れる感じだ。

実際に旅行記を作ってみた

実際に旅行記を作ってみると、投稿した写真はFoursquareの情報をもとに、自動的にスポット情報が入力されるのが便利。

例えば、朝ドラ「あまちゃん」の舞台で撮影した写真をアップロードすると、「アキが飛び込んだ灯台」とか「ヒロシの監視小屋」なんてスポットが入力されたりする。

その反面、写真は直近に撮影したものからスクロールして探すので、昔撮った写真を投稿するには、何度もスクロールしないと辿りつけないのが少し不便。なので、旅行中もしくは旅行直後に旅行記を作成するのがよさそうだ。

「スマホ旅行記」でフォートラベルに勝負挑む

旅行記サイトで最大のライバルになるのは、カカクコム傘下の「フォートラベル」だろう。フォートラベルの2014年12月時点の月間利用者数687万人、月間ページビュー数は4388万PV。単体の業績は公表していないが、カカクコムのホテル予約サイト「yoyaQ.com」などを含む旅行・不動産事業は2014年第3四半期の売上高は2億3300万円に上る。

Compathyを運営するワンダーラストの堀江健太郎社長に勝算を聞くと、「フォートラベルのアプリで旅行記を作るには、撮影地や旅行期間を自分で登録しなければいけないのが面倒だったりする」とスマホ対応で差別化を図るようだ。

「スマホカメラの性能は日進月歩で向上しているので、旅行写真をスマホで撮影する人は確実に増える。一眼カメラ派も、Wi-Fi対応SDカードの登場で、スマホやクラウドストレージに同期するスタイルが一般的になり、撮影デバイスに関係なく、旅行写真が全てスマホにある状態になる。」

Compathyには現在、累計1万5000件以上のログブックが投稿されている。これらはすべて、PC経由で投稿されたものだが、気軽にスマホで旅行記が作れるようになったことで、さらに口コミが充実していきそうだ。

今後は、行ってみたいリストに登録したスポットをもとに、国や都市、旅の目的、移動距離といった条件を踏まえて、自動的に旅行プランを作成できる機能を実装するという。


アプリ調査の「App Ape」を提供するFULLER、2.3億円の資金調達で世界進出へ

FULLERは2月27日、既存株主のM8 CAPITAL FUNDに加え、Global Catalyst Partners Japan、朝日新聞社、インフォテリア、オプト、コロプラ、日本交通およびnanapi代表取締役の古川健介氏ら個人投資家複数名を引受先とする総額2億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

FULLERは、筑波大学の卒業生(さらに言うと、高専出身者が多い)を中心にして2011年11月に設立。現在は千葉県・柏の葉にあるオープンイノベーションラボ「KOIL」に拠点を置く。不要なアプリを停止したり、アンインストールしてスマートフォンのバッテリー管理をすると同時に「おじさん」のキャラクターを育成する「ぼく、スマホ」や、Androidアプリ視聴率調査サービス「App Ape」を提供してきた。

2014年11月に公開したAndroidアプリの市場・競合調査サービス 「App Ape Analytics」が好調で、開始2カ月で無料会員数2000件を突破。通信キャリアやアプリ開発者、広告代理店などを中心に有料会員も拡大しており、「現在20〜30社程度が有料会員。間もなく単月での黒字化も達成する」(FULLER代表取締役社長の渋谷修太氏)という。

FULLERでは今回の増資をもとに人員体制を強化。App Apeの機能拡充やカスタマーサポートの強化、さらにはサービスの世界展開を進める。またこれと並行して新サービスも開発するという。今回、ベンチャーキャピタルに加えて事業会社や個人投資家からも資金を調達しているが、これについて渋谷氏は「ITという共通点はあるが、BtoBや交通といったさまざまな分野の知識を持っている人たち出資してもらっている。また30代前半で比較的年齢の近い株主から50代のキャピタリストまでいる」と、その多様性をアピールする。ちなみにFULLERでは、2013年に日本交通とコラボアプリ「タクシーおじさん料金検索!」も提供している。そういった交流が今回の調達に結びついているようだ。

新事業に関しては、世界で利用されるスマートフォンアプリのほか、「IoT関連を検討している」とのこと。冒頭でふれたとおり、FULLERには高専出身者も多く、これまでにもハードウェア関連のプロダクトを試験的に制作している。3年前には「Kinectで動くミニ四駆」なんかを制作してイベントで展示するといったこともしていた。


日本のスマホ経済市場は8200億円、56.5万人の雇用を生み出している

2013年度におけるスマートフォン向けアプリ経済の市場規模が約8200億円に上ることが、Googleと野村総合研究所の試算でわかった。2014年時点では、56万5000人の雇用を生み出しているのだという。

調査はスマホの台頭によって生まれたビジネス領域を「アプリ経済」と定義し、日本経済への貢献について分析したもの。市場規模には、スマホ向け広告や有料アプリ売上、ソーシャルゲームの課金やECなどのアプリ内売上が含まれている。

調査ではこのほか、インターネット産業単体のGDPも算出。2011年度に19兆2000億円だったネットGDPは年間7%の成長率で伸びていて、2013年度は約23兆円に上った。この数字は日本のGDPの4.3%に相当し、日本の代表産業である輸送用機械器具製造業(自動車製造業)を上回る規模となっている。

ネット産業では無料を含む低価格なクラウドサービスも台頭し、企業での利用拡大が進んでいると、調査は指摘する。実際にクラウドを導入する企業は、していない企業と比べて、売上高に占める販売管理費の比率が平均1.4%程度低く、クラウドが企業の業務効率化やコスト削減に一役買っているようだ。

詳細な情報はPDFで公開されている。


ミクシィが年度末の大掃除、スナップチャット風「muuk」など12サービス終了


スマホ向けゲーム「モンスターストライク」(モンスト)が好調で、2015年3月期の最終損益を320億円の黒字(前期は2億円の赤字)に上方修正したミクシィだが、事業の大掃除でさらに成長分野に注力する。SNS離れの若年層を狙って昨年3月にリリースしたスナップチャット風アプリ「muuk」や、SNS「mixi」のユーザー同士で売買できるフリマアプリ「mixiマイ取引」など12サービスを終了する。

終了するサービスと、提供終了時期は以下の通り。

  • きゅんトレ好いとぉ! (iOS) 2015年3月31日
  • 筋トレ彼女 妹・六花編 (iOS) 2015年3月31日
  • 筋トレ彼女 幼なじみ・すず音編 (iOS) 2015年3月31日
  • 筋トレ彼女 先輩・澪編 (iOS) 2015年3月31日
  • 激闘!日記ランキング by mixi (iOS) 2015年3月31日
  • ビリー吉田の筋トレキャンプ (iOS) 2015年3月31日
  • ビリー吉田のダイエットキャンプ (iOS) 2015年3月31日
  • mixiアンケート (WEB/iOS/Android) 2015年3月31日
  • mixiギフト (WEB) 2015年3月31日(ギフト券最終利用期限は2015年8月31日)
  • mixiマイ取引 (WEB/iOS)2015年6月30日(出品の終了は2015年3月31日)
  • mixi日記アプリ by mixi (iOS) 2015年3月31日
  • muuk (iOS/Android) 2015年3月23日

 
いずれのサービスもユーザー数は非公表。muukを除くアプリについては、すでにダウンロードしていれば継続利用できるが、サービス終了後のアップデートやサポートは打ち切りとなる。

少し前の話になるけど、2013年5月に朝倉祐介氏がミクシィ社長に就任した際、スマホアプリを当時の2本から50本に増やすテコ入れ策が発表された。その50本のうちの1本がモンストなのだけれど、そのほかのアプリは今回の大掃除でかなりなくなってしまった。今後は成長分野に注力するだけでなく、新規事業にもチャレンジするそうだ。


非ネットの口コミで伸びる「ネイルブック」が1億円調達、店舗送客で収益化へ


2011年4月に開始したネイル写真投稿サービス「ネイルブック」が、ノンプロモーションながら伸びている。ネイルブックはウェブ版とスマホアプリがあり、投稿されたネイル写真は累計70万枚、アプリは100万ダウンロードを突破した。興味深いのは、その伸び方だ。ネットだけではなく、リアルな店舗の口コミで広がっているのだという。

ネイルブックを運営するスピカの國府田勲社長によれば、こういうことらしい。「ユーザーがネイルブックの写真をネイルサロンで見せるんです。そうするとネイリストが『このアプリなんですか?』ということになり、そこからネイルブックを知っていただいてダウンロードにつながっています」。

月間アクティブユーザー数は、前年比倍増となる60万人(ウェブとアプリ含む)。このうち、ネイリストの割合は数%程度。その一方、毎日1300枚以上投稿されるというネイル写真の6割以上は、ネイリストが投稿したものだ。プロによる高いクオリティの写真が多く集まり、それを見に来る一般女性が増える好循環が生まれていると、國府田氏は説明する。

ネイブルック上では、気に入ったネイル写真に「かわいい」ボタンを押せるようになっていて、「かわいい」獲得数順で人気のネイルをランキング化。ネイリストの写真には店舗情報が紐付いていて、特に個人が経営するプライベートサロンの集客手段として活用されているという。また、現在は「ネイル」でGoogle検索すると、ネイルブックが最上位に表示されることから、検索経由での送客も一定数あるのだとか。ネイルブックに店舗情報を登録する「公式サロン」は1300店舗に上り、そのうちの9割は個人が経営するプライベートサロンだ。

2月26日には、B Dash Venturesとグリーベンチャーズが運営するファンドを引受先として、総額1億円の資金調達を実施。今後は、ネイルブック上から直接ネイルサロンを予約するシステムを構築するなど、O2Oの実現に向けた体制強化を図る。現時点でのマネタイズはアドネットワークのバナーを貼っている程度だが、将来的には送客による店舗課金もにらんでいる。

ネイルブックはもともと、ゲーミフィケーションプラットフォームなどを手がける「ゆめみ」の新規事業として2011年4月にスタート。スピカは、ネイルブックの事業を担当するチームが、ゆめみをスピンアウトするかたちで設立した。2014年5月には、インキュベイトファンド、ソラシード・スタートアップスを引受先として、総額5000万円の資金調達を実施していて、今回が2度目の資金調達となる。


「LINE TAXI」エリア大幅拡大、地方普及のボトルネックは手数料か


1月6日に東京先行でスタートした「LINE TAXI」がいよいよ全国展開する。2月25日に北海道や神奈川県、大阪府、福岡県など22都道府県に拡大し、順次対象エリアを増やす。都内は簡単に流しのタクシーを捕まえられるだけに、地方でどれだけ利用できるかが注目される。ただ、本格的に全国普及するには「手数料の壁」を乗り越える必要がありそうだ。

クレジットカードよりも「それなりに高い」手数料

LINE TAXIは、全国タクシー配車アプリを展開する日本交通と提携し、同社が保有する一部のタクシーをLINEで呼び出せるサービス。先行で開始した東京では、2回以上サービスを利用したユーザーは全体の34%、3回以上は15%超と、まずまずのリピート率だったそうだ。ユーザー数は非公表だが、日本交通の川鍋一朗社長は「我々の配車アプリではリーチできない若年層に届いている」と手応えを感じているようだ。

全国タクシー配車アプリは129社・約2万3000台のタクシーを配車しているが、全国展開を開始したLINE TAXIでは、これらがいきなり配車対象となるわけではない。理由は、タクシー会社がLINEに支払う「手数料」だ。

LINE TAXI経由でタクシーを呼び出した場合、タクシー会社がLINE Payの決済手数料を負担することになる。つまり、LINE TAXIで配車可能な台数を増やすには、全国のタクシー会社に手数料の条件をのんでもらう必要があるわけだ。手数料は非公表だが、川鍋氏は「クレジットカード手数料と比べると、それなりに高い金額」といい、「地方のタクシー会社が導入する一番のボトルネックになる」と続ける。

タクシー会社からすると、一番実入りがあるのは現金払い。地方都市でクレジットカード決済に対応していないタクシーが多いのは、「利益が減る」という企業論理のためだが、川鍋氏は「コスト削減でもなんでもなく、お客様の利便性を下げているだけ」と指摘。全国タクシー配車アプリを導入するタクシー会社には、「多少お金がかかっても本業で取り返せと啓蒙していく」と語る。LINEの出澤剛COOも「全国で開かれるタクシー会社の会合に出席して、LINE TAXIの導入を呼びかける」と意気込んでいる。

悲願のクーポンで利用に弾み

一筋縄ではいかなそうなLINE TAXIの全国展開だが、ユーザー獲得手段としては「飛び道具」を用意しているようだ。LINEの公式ブログでは、LINE TAXI用のクーポンを配信することをほのめかしている

タクシー会社にとって、タクシー料金の割引クーポンを発行するのは禁じ手とされている。タクシー会社が従う道路運送法10条(運賃又は料金の割戻しの禁止)の違反行為に該当するためだ。

一方、頻繁に数千円オフのクーポンを発行しているUberは、タクシーを自前で保有せず、「旅行業者」としてタクシー会社とユーザーをマッチングしている。このため、国土交通省によれば道路運送法には抵触しないのだという。

日本交通単体では認可されなかった“悲願”の割引クーポン発行だが、国土交通省はLINEが主体となるサービスであれば問題がないとの見解を示している。LINEはクーポン配布を計画中とのことだが、実現すれば、タクシー会社単体で運営する配車アプリとの差別化につながるし、いまだに東京限定のUberよりも存在感を示せそうだ。

LINEの出澤剛氏(左)と日本交通の川鍋一朗氏


動画制作のPurpleCowが1億円を調達、社名をCrevoに変更

動画制作プラットフォーム「Crevo(クレボ)」を運営するPurpleCowは2月25日、サイバーエージェント・ベンチャーズとB Dash Venturesを割当先とする総額約1億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。社名についても2月25日付けで「Crevo株式会社」に変更する。

今後は動画制作に集中

PurpleCowは2012年6月の設立。当初はデザイン特化のクラウドソーシングサービス「designclue」を展開していたが、その後2014年3月にクラウドソーシングで動画を制作するCrevoをスタート。今回の資金調達と社名変更を契機に、動画制作事業に注力する。

Crevoはこれまで250社が利用し、累計依頼総額は1億円を突破する見込み。「これまでは『まず1本動画を作ってみよう』という感覚で使ってもらっていたが、3〜4カ月前からはリピート利用も増えてきた。多いところでは1社で15本程度制作しているケースもある」(PurpleCow代表取締役の柴田憲佑氏)

Crevoで制作できる動画は、ロケをして人物の撮影をして…といったものではなく、アニメーションを中心とした「非撮影動画」と呼ばれるジャンル。「日本は実写が好まれる傾向にある。だが動画を使ったマーケティングを自社で調べたところ、8対2くらいの割合で非撮影動画だったりする。作り方も違うし、無理して撮影動画を作るよりまずは非撮影に絞ってやっていきたい」(柴田氏)。動画制作プラットフォームをうたうスタートアップといえば、グロービス・キャピタル・パートナーズなどが出資するViiberもあるが、同社は撮影も含めた動画制作を行っている。

利用用途としては、サービス・製品の紹介動画が中心だが、デジタルサイネージをはじめとしてリアル店舗で利用されるケースも増えてきた。社内でディレクションを行い、クラウドソーシングでクリエーターが仕事をするため、18万円からの制作が可能(平均単価は40万円程度)で、「動画制作を200万〜300万円から5分の1程度に下げたいというニーズにマッチしている。もともとはウェブサービス事業者がユーザーの中心だったが、最近では大企業からの引き合いも増えている」(柴田氏)のだそう。

クリエーターは800人体制に拡大、今後は営業を強化

同社では、今回の調達を動画制作支援システムの開発強化を進めるほか、営業を中心とした人材強化、広告宣伝などを進めるという。現状は企業側からの問い合わせで制作を進めているが、柴田氏の話を聞く限り、今後は営業力がキモになると見ているようだ。今後増えるであろう発注に対応するべく、同社ではこの1年で制作体制を強化。800人のクリエーターをネットワーク化しているという。

また年内にも海外へ進出する見込み。「まずは国内の顧客満足度を上げることが優先なので詳細は未定。だが動画の制作単価が高い米国、もしくはアジアを検討している。すでにクリエーターの7割は外国人で、制作フローとしては地域や言語を問わない状況ににっている」(柴田氏)


初来日のVINEチームにQ&A 日本ユーザーは3カ月で3倍、Twitter動画との住み分け、マネタイズは?

2周年を迎えた「VINE」のチームが初来日し、日本ユーザーが過去3カ月で3倍に増えていることを明かした。世界でのVINEの1日のループ数は15億回、月間アクティブユーザー数は1億人(アプリとウェブ含む)に上るという。TwitterでVINEを率いるJason Toffらが報道陣からの質問に答える形で、VINEの現状を語った。

――日本のユーザーが3カ月で3倍になった要因は?

正直なところわからないが、理解を深めるために来日した。考えられる要因としては、日本のスマホ浸透率の高さと、通信速度の速さ。特に通信は地下鉄を含めて高速にネット接続できるのが大きい。

――Twitterの「30秒動画」との住み分けは?

TwitterとVINEは目的が違う。Twitterについては「今この瞬間」のリアルタイム性が重視。一方、VINEは物語性がある。フォーマットも違う。世界は広いので両者が共存できるスペースはある。

――Instagramにユーザーを奪われない?

心配していない。VINEはエンタメを提供している。Instagramは、個人的な出来事を友達と共有するために使っている。VINEもそういった要素はあるが、少人数が大勢にエンタメ作品を発信している部分がある。

ご飯を食べるときに、1つのレストランだけで事足りる人はいない。動画関連プロダクトは増えているが、それと同じことが言える。VINEチームにもInstagramを使っている人がいる。

――日本ではVINEでの著作権違反はどう対応してる?

コンテンツオーナーから、違法アップロードされていると報告があった場合、確認し次第削除している。米国ではメディアが、VINEにコンテンツを提供する例もある。

――広告展開やマネタイズはどう考えている?

模索はしているが、現時点で発表の予定はない。今はクリエイターの満足度を高めることに注力しているし、Twitterも寛大でそれを認めてくれている。

――VINE発のスターをサポートしているというが、具体的には何をしている?

まだ始めたばかりで、特定のVINEスターにリーチしはじめたところ。試みとしては、VINE発のスターたちとイベントを共催している。そうすることで彼や彼女らも、VINEに後押しされる感覚を持ってもらえる。VINEには5人からなるキュレーターチームがいて、VINEのスターの卵を発掘して、「オススメ動画」としてプッシュしている。


ピーター・ティールいわく「ベンチャーはディスラプトなんて無視しろ!」


「バズワードとして常に疑っているのは『ディスラプション』(破壊)という言葉。やたらポジティブに使われているけど、ベンチャー企業が持つべきマインドセットじゃない」。

著書「ゼロ・トゥ・ワン」のPRキャンペーンで来日中のピーター・ティールが2月23日、楽天主催の「楽天金融カンファレンス2015」に登壇してこう語った。

ゼロから1を生み出せば市場を独占できる

シリコンバレーでバズワードとなっている「ディスラプト」に否定的な見方を示したティールは、音楽業界を「破壊」したNapsterを引き合いに出して、次のように続ける。

「Napsterは音楽業界を大きく壊したけど、ビジネスとして成功したわけじゃない。既存企業を壊すことよりも、まだ注目されていない問題に着手するほうがよっぽど健全だよ」。

さらにティールは、著書のテーマでもある「ゼロから1を生み出すこと」が、市場の独占につながるメリットがあると強調する。

「1からnへ向かうことは、コピーにほかならない。一方、ゼロから1を生み出すのは、何もないことからイノベーションを起こすこと。これを正しく行えば、独占企業になれる。2002年以来、Googleが検索で競合がないのが良い例。ひと言で言うなら、競争するのではなく、誰もやってないことをやれということだ。」

三木谷氏「日本の起業家にとってバイアウトは賢い選択」

ティールとともに登壇した楽天の三木谷浩史会長は、日本の起業家が「バイアウト」を目指すようになってきたと、持論を展開した。

シリコンバレーでもそうだが、eBayやYahoo!がアクティビスト(モノ言う株主)に苦戦しているのは事実。だからこそ、多くの起業家がIPOではなく事業売却を目指しているのだと、実際にいくつかのベンチャーを買収してきた三木谷氏は語る。

「バイアウトは賢い選択。とはいえ、日本の起業家はまだまだ、売却したがらない。小さな時価総額でもIPOしようしていて、少し頑固なんじゃないか」。


Wantedlyがインターン探しに特化した新アプリ、スタートアップ案件多数

Facebookのつながりを活用したソーシャルリクルーティングサイト「Wantedly」は、主に転職ユーザーを対象としたサービスだ。でも実は、全体の求人案件の約3割は学生インターンの募集で、その数は昨年度比400%と加速度的に増えているそうだ。こうした需要を背景にWantedlyが2月23日、新卒学生のインターン探しに特化したiPhoneアプリ「Wantedlyインターン」をリリースした。

新卒向けアプリでは、スタートアップを中心に1500件の求人を掲載。学生はプロフィールを入力することで、インターン募集先からスカウトが届いたり、先輩の会社を見つけられるのが特徴。自分の趣向に合わせてインターンを探せるようになっているので、スタートアップで経験を積みたい学生にはよさそう。PCサイトもある。

インターンというと、一部では「やりがい搾取」的に低賃金で働かせるようなケースもあるようだが、Wantedlyでは、求人の応募数やPV数、企業を「応援する」ボタンが押された回数が多い企業が上位に表示されるため、評判の良い企業がひと目で分かるようになっている。

Wantedlyの月間ユーザー数は約40万人。うち、学生ユーザーは約5万人を占める。新卒向けアプリでは、東京を中心とする上位校で就活中の学生5万人を取り込みたい考え。学生時代に新卒向けアプリを通してWantedlyのコンセプトを理解してもらい、就職後もWantedlyを使い続けてもらう狙いもあるようだ。


ミクシィ、女性向けファッションEC「MUSE&Co.」を17.6億円で買収 スマホコマース注力へ

ミクシィは2月19日、女性向けファッションコマースサービス「MUSE&Co.」を運営するミューズコーを17億6200万円で買収したことを明かした。ミューズコーの営業力やマーケティング、オペレーションのノウハウを生かし、スマートフォンコマースをゲームやSNSに続く事業の柱にするのが狙い。MUSE&Co.はサービスを継続する。



MUSE&Co.はファッションやコスメ、雑貨などの1500ブランドと提携し、1週間限定で最大90%オフの特別価格で販売する会員制フラッシュセールサービス。2月時点でユーザー数は60万人。うち8割以上がスマホからアクセスしているのが特徴だ。2014年3月期の売上高は7億9600万円。

スマホコマースに注力するというミクシィだが、過去にはコマース分野で辛酸をなめてきた。

2012年3月にディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で開始した「mixiモール」は2年後の2014年3月に終了。2012年9月に開始した女性向けサブスクリプション型EC「プティデュテ」は、わずか半年で閉鎖している。

現時点でミクシィの既存事業と連携するサービスは予定していないというが、ミューズコーの知見を生かしてどんなスマホコマースを展開するのか注目である。

ミクシィのM&Aという点では、結婚支援事業のDiverseを10億9000万円で買収した2013年10月以来の出来事となる。


「TalentBase」はソーシャルデータと人工知能でイケてる人材を発掘する

採用担当者があくせくと人材探しをする時代は終わりを告げるかもしれない。

「ちくしょう!転職だ!」のキャッチコピーでおなじみの人材会社、アトラエが2月19日、ソーシャルデータと人工知能を使ってイケてる人材を探せるサービス「TalentBase(タレントベース)」の事前登録を開始した。

自社で活躍する社員や興味のある人材を検索して登録するだけで、人工知能が自社に合った人材を推薦。レコメンドされた人材を取捨選択するごとに、企業に合った人材像を学習するのだという。

活用するソーシャルデータはFacebook、Twitter、LinkedIn、GitHub、Qiitaの5サービス。これらの利用状況をもとに、「ソーシャル」「ビジネス」「技術」の3項目でスコアを算出する。



ソーシャルスコアはFacebookでいいね!された回数と、その人にいいね!した人の重要度を掛けあわせたもので、Googleのページランクに近い仕組みと言えそうだ。ビジネススコアはFacebookの被いいね!数とフォロー数の掛けあわせ、技術スコアはGitHubとQiitaの被フォロー数から算出している。

ソーシャルデータの取得対象となるのは、アトラエのソーシャルリクルーティングサービス「JobShare」を利用していて、友だちのデータ取得を許可しているユーザー。イケてる人材を見つけた企業は「タレントプール」と呼ぶデータベースにその人材を登録し、スカウトメールを送ったり、Facebookメッセンジャーでやりとりできる。

JobShareは今後、TalentBaseに統合されることになる。

人材の抽出精度は?

ところで気になるのは、人材の抽出精度だよね。

この点についてアトラエに聞いてみたところ、「TalentBaseだけで採用するという判断ができるレベルにはならない」との答え。その一方で、「今までリーチできなかったけど、会って話してみたいという潜在的な人材を発掘するのが、格段に効率的になる」とアピールしている。

抽出精度を高める工夫としては、各ユーザーのソーシャルデータから職種や志向性を推測し、ユーザー間の類似度を算出する仕組みにも機械学習を導入している。これによって、ユーザーのデータが増えれば増えるほど、どんどん精度が高まっていくらしい。機械学習を行う人工知能は、データ分析を手がけるブレインパッドが開発している。

正式リリースは3月上旬を予定していて、法人向けに月額10万円程度で提供する。

個人として登録する場合は、Facebookアカウントでログインするだけで、自分や友だちのスコアを閲覧できるので、いま転職活動をしていない人でも、自分の市場価値を把握するのに役立ちそうだ。


バンダイがバック・トゥ・ザ・フューチャーiPhoneケース予約受付中―クレージーだが欲しいかも

ついに2015年になった。空飛ぶホバーボードや自動的に結ばれる靴紐が実現すると『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が予言した年だ。

今のところどちらも発明された形跡がない*。しかしわれわれはドク・ブラウンのデローリアン型の圧倒的にクールなiPhoneケースを近く入手できるらしい。

(* もっともNikeは「今年中に自動的に結ばれるパワー靴紐をリリースすると言い続けている。)

しかしこのiPhoneケース、不必要なほど精巧にできているが…やっぱりクレージーだ。それでなくても大きいiPhone 6がさらにかさばるようになる。カメラを使うのにスライド式の蓋を開かねばならないし、ボリュームボタンを押すには車のドアを開く必要がある。まずは考えられるかぎりもっとも不便なiPhoneケースと言っていいだろう。

しかしこの製品の場合、はじめから利便性を目指してはいない。

つまり、だって、かっこいいだろう! 着信するとライトが点灯する。ヘッドライトが着メロに合せて点滅するのだ。でかいおもちゃの車を耳に当てて会話しているように見える!

このびっくり製品は日本市場を対象にバンダイが開発したもので、現在予約受け付け中だ 。値段は5940円―現在の為替レートで約50ドル。残念ながらバンダイのサイトでは日本国外への発送を受け付けていないようだ。アメリカ市場に登場したときには輸入業者のマージンが上乗せされていることだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


「Syn.」に食べログ参加、いきなり2倍以上の1億ユーザーにリーチ

ネット上の反応はイマイチ芳しくないKDDIのスマホポータル構想「Syn.」だけど、着々と進化を遂げているようだ。2月18日、月間ユーザー数6000万人(PCとスマホを含む)を超えるグルメサイトの食べログが「Syn.alliance」に参加することとなった。

Syn.は、連携するスマートフォンアプリやウェブサービスに、「Syn.menu」と呼ぶ共通サイドメニューを提供し、連携する各アプリ・サービス間でユーザーを相互に送客するポータル構想。これまで、連携アプリ・サービスの合計月間ユーザー数は約4100万人だったが、食べログなどが仲間入りしたことで、一気に合計ユーザー数が延べ数ではあるが1億人を突破した。

食べログを運営するカカクコムが手がける旅行口コミサイト「フォートラベル」、レシピサイト「レシぽん」、映画情報サイト「映画.com」の3サービスにもSyn.menuを設置。2月25日には、はてなのブログサービス「はてなダイアリー」もSyn.に加わり、合計20アプリ・サービスと連携することとなる。

ターゲットは非・テック層

スタート時には「使わないサービスをワンパッケージにされても・・・」「メリットが何一つ理解できない」といった微妙な反応が見られたSyn.だが、KDDIで同構想を主導する森岡康一氏は昨年11月に開催した弊誌イベントで「テックエリート」は相手にしていないと発言。むしろ、ITに疎い人たちに向けてのサービスであるとアピールしていた。

Syn.連携アプリ・サービス間での相互送客数は明かされていないが、森岡氏の言葉通り、非・テック層では、ある程度の相互送客が行われているようだ。ファッションアプリ「iQON」を手がける金山裕樹氏は以前の取材で、「アプリを自分で探さないようなマス層にリーチできるのが大きい」と手応えを語っている。今回、食べログが参加したことで、こうした相互送客がさらに増えるのかもしれない。

「Syn.alliance」サービス一覧


ゲーム開発会社のオリフラム、コロプラから資金調達–スクエニ・カプコン出身クリエーターが起業

スマートフォン向けゲームを開発するオリフラムは2月17日、コロプラからの資金調達を実施したことを明らかにした。

調達額は非公開だが、オリフラム代表取締役の池田隆児氏は、「ゲーム開発は価格が高騰している。ネイティブアプリでは大手開発会社の場合1.5億〜3億円程度になる。我々は3つの開発ラインを持つ予定で、その程度の資金は調達している」と語っており、少なくとも数億円の資金を調達していると見られる。またコロプラでは、今回の資金調達にあわせて同社に社外役員1人を派遣する。

コンシューマーゲームのクリエーターらが起業

オリフラムは2014年2月の設立。池田氏をはじめとした主要メンバーは、ディー・エヌ・エー(DeNA)が海外向けに提供している人気ソーシャルゲーム「Blood Brothers」シリーズを手がけてきたが、それぞれルーツをたどるとコンシューマゲームを開発してきた人物ばかりだそうだ。池田氏はスクウェア・エニックスで「キングダムハーツ」「ディシディア ファイナルファンタジー」の両シリーズに、取締役の岩尾賢一氏はカプコンで「バイオハザード」、スクウェア・エニックスで「ファイナルファンタジーXI」にそれぞれ携わってきた。両氏のほか、百度やDeNAでエンジニアを務めた水野貴明氏、ゲームやアニメのイラストなどを手がける吉川達哉氏の4人が主要メンバーで、現在合計8人で開発を進めている。同社は2014年2月末にサイバーエージェント・ベンチャーズから5000万円の資金を調達した。

オリフラムは現在、iOS向けのシミュレーションゲーム「カオスセンチュリオン」を開発中だ。エンジンから自社開発したという同ゲームのデモ動画は以下のとおり。短いがその迫力が伝わると思う。

当初は2014年末にもリリースする予定だったが、2015年春から夏にずれ込むという。池田氏は「これまでのゲームを開発していたときは、『クオリティアップのため発売を延期する』といった言葉が常套句だった」と振り返るが、いざ自ら起業し、資金を調達してと動いたところ、「ゲーム開発、バックオフィス、資金調達、チームビルディングの4つをほぼ25%ずつ行っており、想像以上に開発の時間を取れなかった」(池田氏)のだそう。今回の調達をもとに、開発スピードを加速する。

カオスセンチュリオンがターゲットとするのは英語圏の市場だ。「Blood Brothersシリーズをはじめ、メンバーも海外で成功を収めた経験が多いため、カルチャライズ、ローカライズには慣れていると思っている。マーケティングの観点から行くと『なぜ日本に出さないのか』とも言われるが、まずはどの市場でやりたいかを考えている。投資先にもそれを尊重してもらっている」(池田氏)。


「LINEバイト」は集客力でスマホアルバイト市場の勢力図を変える



若年層ユーザーの高いアクティブ率を武器に、LINEがアルバイト求人サービスに参入する。LINEとインテリジェンスが設立した合弁会社「株式会社AUBE(オーブ)」が2月16日、アルバイト求人情報サービス「LINEバイト」を公開した。専用のアプリをインストールせずにLINEアプリ内からアルバイト情報を探せるのが特徴だ。

バイト探しのハードルを下げる

インテリジェンスのアルバイト求人情報サイト「an」に掲載する10万件以上の求人を探せるほか、今後は独自の求人情報も掲載する。LINEならではの機能としては、求人情報をLINEの友人と共有したり、LINEバイト内の検索履歴に応じて、オススメの求人情報をプッシュ通知で受け取ることができる。

今後は、求職者と求人店舗・企業が「LINE@」で直接コミュニケーションを取れるようにして、メールや電話でのやりとりよりも、より気軽にバイトを探せるようにする。モバイル決済サービス「LINE Pay」を通じて、採用決定者に「お祝い金」を支払ったり、給与を振り込むことも視野に入れている。

求職者が登録する情報に基づき、求人店舗・企業がスカウトする機能も投入する。アルバイトでスカウトとはあまり想像できないが、「どんな情報をもとにスカウトするかは今後詰めていく」(AUBE代表取締役社長の上土達哉氏)。スカウト機能というと転職サービスが想像されるが、現時点で「LINE転職」をリリースする予定はないという。

LINEの集客力でスマホバイト市場のシェア拡大へ

「LIFE」をテーマに掲げ、生活に密着したサービスを提供するLINEにとって、インテリジェンスのアルバイト情報はコンテンツ拡大につながる。LINE執行役員の舛田淳氏は「若年層にとってアルバイト探しはライフイベント。ユーザーに寄り添うサービスを提供できる」と、求人市場参入の狙いを語る。

一方、スマホのアルバイト求人市場のシェア拡大を目指すインテリジェンスにとっても、LINEは「渡りに船」。anの調査によれば、アルバイト応募者のうち70%がスマホ経由。国内5800万人のユーザー基盤を持ち、特に10~20代の若年層ユーザーのアクティブ率が90%を超える(an調べ)集客力を生かすことで、アルバイト求人市場で先行するリクルートを追撃する構えだ。

具体的な集客方法としては、公式アカウントでLINEバイトを宣伝したり、スタンプや着せ替えの購入に利用できる「LINEフリーコイン」を付与することで、LINEバイトへの誘導を図るという。

AUBEの企画を担当するLINEの大野渉氏は、「紙やPCからアプリへの移行に苦労しているアルバイト求人サービスは多い。その中でうまくやっているのは、SEOに強い(ディップの)バイトル。営業部隊はリクルートが強い」と言うが、LINEバイトでスマホバイト市場の地図を塗り替えるチャンスと見ている。


名刺管理アプリEight、プレミアム機能でデータのエクスポートが可能に

Sansanは2月16日、同社の提供する名刺管理アプリ「Eight(エイト)」で月額課金のプレミアム機能「Eightプレミアム」の提供を開始した。価格は月額400円、年額で支払う場合は4000円となっている。

Eightは2012年2月にリリースされた名刺管理アプリ。アプリを起動し、スマートフォンのカメラで名刺を撮影し、クラウド上に保存。それを同社にてデータ化することで、スマートフォンアプリやPCからいつでも名刺にアクセスし、名刺の画像を閲覧したり、ワンタップで電話をかけたり、メールを送信したりできる。FacebookやGmailとも連携していて、友人の名刺を閲覧可能。さらに名刺内の情報をアップデートした際には、名刺を交換をした相手に通知が届いて常に最新の情報を閲覧できる。

今回提供するEight プレミアムでは、登録した名刺データをCSV形式で一括ダウンロード可能になる。また、データ入力が一般ユーザーより優先される。具体的な時間は明示していないが、これまでの1/3程度になるという。また、混み具合によっては会社名、⽒名、電話番号、メールアドレスのみがデータ化されるが、部署・役職、郵便便番号、住所など、すべての項目がデータ化されるという。

これまで無料でのサービス提供を貫いてきたEightがいよいよ本格的にマネタイズをするのかとも思ったのだけれど、同社いわくそうではないらしい。Sansan EightエヴァンジェリストでMarketing& PR Managerの日比谷尚武氏は「Eightはこれまで、名刺をデータ化する『ためる』、名刺を持ち歩くという『使う』、異動情報や(白ヤギコーポレーションと連携して提供する)企業のニュースを提供する『応用』ということを進めてきた。今回のサービスもその応用の1つ。たださすがに無料で提供できないので一部費用を頂く」と説明。今後は「ビジネスインフラとして成長させたい」とのことで、そこで本格的なマネタイズを行うとしている。

なおSansanでは、プレミアム機能提供にあわせてキャンペーンを実施する。2月末までに同機能を申し込んだユーザー限定で、過去に登録した名刺データに関しても、全項目のデータ化を行うとしている。


週3勤務や在宅も可、新しい働き方にフォーカスした転職サイト「パラフト」が開始

リモートワークに副業、週3勤務も可――。時間や場所にとらわれず、多様なワークスタイルを許容するIT企業の求人情報だけを扱う転職メディア「Paraft(パラフト)」が2月16日、ベータサービスを開始した。まずは都内のIT企業20社の求人を掲載する。

職種はエンジニアやマーケター、デザイナーが中心で、いずれも正社員のみの募集。ECサイト構築「STORES.jp」のブラケットや家計簿アプリ「Dr.Wallet」のBearTail、物流アウトソーシングのオープンロジなど、TechCrunchでもお馴染みのスタートアップが募集している。

求人案件の一例を挙げると、こんな感じだ。

・地方に住みながら、東京のITベンチャーの正社員になれるフルリモート
・週3日のみの稼働がOKなパートタイム正社員
・早朝7時出社で17時には帰れるスーパーフレックス正社員

日本はまだ「週5日8時間勤務」が主流。ただ、育児や介護、地方在住といった理由でフルタイム勤務が難しい人は少なくない。優秀な人材の中にも、働く時間と場所を譲歩してもらえれば転職できる人も多いかもしれない。

特に大手に比べて知名度が低いスタートアップは勤務条件を緩くする分、優秀な人材を獲得できる可能性が増えるし、パラフトを通じて、柔軟な働き方ができることをアピールすれば、採用市場でも存在感を高められそうだ。

「近い将来、サラリーマンは1社だけに帰属するのではなく、2社以上と仕事をするようになる」なんて調査が少し話題になったけど、パラフトがきっかけとなって、こうした働き方をする人も増えてくるかもしれない。


スマホゲーム動画録画のKamcordがニコニコ動画と連携、今夏をめどにローカライズも

スマートフォンゲームの動画録画ソリューションを手がけるKamcord。2014年10月に日本に拠点を設置し、ディー・エヌ・エー(DeNA)やガンホー、KLabなどから資金を調達して本格的な日本展開を開始していた。そんな同社が2月12日にはドワンゴとの提携を実施した。今後Kamcordで録画した動画をニコニコ動画に共有することが可能になる。

Kamcordは、iOSおよびAndroidアプリゲーム向けの動画録画ソリューション。SDKを導入したゲームアプリでは、ユーザーは自身のゲームプレイ動画を録画して共有できる。これまで米国を中心にして480タイトルにSDKを導入。シェアされた動画は3300万件以上になるという。

米TechCrunchの記事にもあるが、Unityに併合されたApplifierをはじめ、Kamcordの競合にもなるゲーム動画の共有ソリューションは多い。日本ではカヤックのLobiなどがその競合にあたる。実際に、ミクシィのゲーム「モンスターストライク」などは、英語版ではKamcordを採用するが、日本語版ではLobiを導入している。

Kamcordでもこの点は意識しているそうで、今夏をめどにプロダクトのローカライズを進めており、今後は日本のデベロッパーとの連携をより強化していくとしている。


「リアルを超えるオンライン学習」で司法試験合格へ、資格スクエアが新サービス

既存のeラーニングは「リアルの劣化コピー」にすぎない――。こう豪語するのは、開成高校から現役で東大法学部に進学、旧司法試験に一発合格という、数々の難関試験を突破してきた鬼頭政人氏。その後、弁護士から投資ファンドを経て、2013年4月にサイトビジットを創業した鬼頭氏は、自身が手がけるオンライン資格試験予備校「資格スクエア」を通じて「リアルを超えるオンライン学習」を実現しようとしている。

資格取得学校をリプレイス

資格スクエアは司法書士や行政書士、弁理士といった資格試験のオンライン予備校。わかりやすく言えば、TACやLECといった資格取得学校のリプレイスを図るサービスだ。教室にかかる固定費を抑えることで、大手資格学校の60〜80%の金額でオンライン講義を提供する。講師は有名予備校出身者を中心とした約30人。講義の動画は約3500本に上り、毎月100本ペースで増え続けている。

鬼頭氏いわく、これまでのeラーニングは「リアルの講義をオンライン化しているだけ」。レジュメ(テキスト)もせいぜいPDF化されている程度だと、問題点を指摘する。「時間や金銭的にリアルの予備校に行くのが難しい人が、やむなくeラーニングを選んでいる部分もある」(鬼頭氏)。

これに対して、2月12日に開始した新サービス「資格スクエアクラウド」は、資格試験の勉強に必要な要素をすべてオンライン化。あわせて、受講者同士の知恵を共有することで、「リアルを超えるオンライン学習」を実現するという。

合格のカギは「講義」ではなく「独学」

新サービスはまず、国家試験の最難関と言われる司法試験の予備試験コース(学費は19万8000円)で開始する。

オンライン上では動画の右側に、編集可能なレジュメを表示。太字や下線、付箋といった機能が利用できる。重要な論証をドラッグして「マイ単語帳」に追加し、オリジナルの論証集を作れるなど、今まで問題集やノートに書き込んでいたことがオンライン上で完結する仕組みだ。

司法試験に欠かせない条文や判例については、それらを参照するページヘのリンクを用意。レジュメの分からない部分をドラッグして「?」マークをクリックすると、講師に送る質問が自動入力されるなど、オンラインならではの機能が充実している。

「資格試験の勉強でありがちなのは、いろんな問題集の良い所どりをしようとする『切手集め』的手法。王道は良いと思う問題集を選び、付箋を貼ったりノートに書き込み、それを何度も読み返すこと。でも、今まではオンラインでそれを実現するツールがなかった。」

鬼頭氏によれば、司法試験合格に必要な勉強時間は約8000時間。そのうち講義が占めるのは、わずか約800時間にとどまる。こうしたことから鬼頭氏は、「勉強時間の9割を占める独学を効率化することがオンライン学習の役割」と強調する。

独学を効率化する「クラウドスタディ」

鬼頭氏が「さらに独学を効率化する」と言うのが、過去の質問や各受講者の単語帳を共有する「クラウドスタディ機能」だ。

例えば、各受講者が作った単語帳は誰でも閲覧できるようになっていて、自分の参考になりそうな論証は「マイ単語帳」に追加できる。各受講者の単語帳は「マイ単語帳」に追加された件数が表示されるため、“使える”単語帳がひと目で分かる。「周りの受験生の知恵をいかに借りるかが、リアルを超えるオンライン学習」(鬼頭氏)。

今後は、マルバツ問題で単にマルかバツの選択肢を出すのではなく、「もちろんマル」「たぶんマル」「たぶんバツ」「もちろんバツ」という4択を提示。マルバツ問題に「自信の有無の要素」を加えることで、従来は間違った問題しか復習しなかったのが、自信がなくて正解した問題も復習するようになるという。