スマートテレビをもっとスマートにする高校生のアイデアで生まれたDisruptelが1.2億円調達

セントルイスの音声アシスタント企業であるDisruptelが、110万ドル(約1億2000万円)のシード資金を調達した。

投資家たちの顔ぶれはなかなか印象的で、全員、すなわちそれは、視聴者の目の前のテレビに映るものに関する詳しい情報を、音声アシスタントで提供するという同スタートアップの狙いに共感しているようだ。投資ラウンドをリードしたのはPJCとProgress Venturesで、他にDataXuの共同創業者で元CEOのMike Baker(マイク・ベイカー)氏、Siriの共同創業者Adam Cheyer(アダム・チェイヤー)氏、Skyの役員であるAndrew Olson(アンドリュー・オルソン)氏、そしてDataXuの共同創業者Bill Simmons(ビル・シモンズ)氏らが参加した。

DisruptelのCEOであるAlex Quinn(アレックス・クイン)氏によると、彼がこのアイデアを閃いたのは高校生のときだという。最初はテレビのジェスチャーコントロールだったが、やがてスマートテレビの方が今後の市場が大きいと考えるようになった。「見ている画面に何が映っているのかをわからないなんてスマートじゃない」と彼は思ったという。

そこでクイン氏は「何が映っていても、画面上で起きているあらゆることの文脈を理解している技術」を作った。たとえば「茶色のシャツを着ている人は誰?」と尋ねると答えてくれる。

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クイン氏の説明を聞くと、AmazonのX-Rayを思い出す。それはAmazonプライムで映画やテレビを見ているときに、画面上の俳優やその他の情報を教えてくれる。しかし彼によると、AmazonやGoogleのソリューションは静的データで、事前にビデオに登録されているという。一方、Disruptelは「すべてがリアルタイムで、理論的に対象はどのようなコンテンツでもよい」とのことだ。

Disruptelの現主力製品はContextと呼ばれ、スマートテレビとそのリモコンで使える。クイン氏によると今後、スマートテレビのメーカーやストリーミングサービスと提携して、2021年後半にはそれらのユーザーでも使えるようにしたいという。

また、同社がGoogle Chromeの拡張機能として作ったSmart Screenは、すでに利用できる。私も「The Flash(フラッシュ)」のいくつかのシーンで試してみたが、画面上の俳優の名前を知ることができる。クイン氏によると、同社はこの拡張機能を使ってプロダクトをテストし、ユーザーがどのような使い方をしているのか、データを収集したいという。

アドテック企業のDataXuを2019年にRokuに売ったMike Baker(マイク・ベイカー)氏によると、彼はこのプロダクトのデモを見て即座に投資を決めた。「強力なプロダクトであり、ユーザー体験はとてもスムーズだ」と彼はいう。

クイン氏は、Disruptelはスマートテレビの広告を改善できると提案する。彼によると、現在の広告はほとんど使い物にならないが、Huluなら「押しつけがましくない、すき間広告が可能」だという。

高校生がこれだけの技術をどのように開発したのか?現在、クイン氏は21歳だが「いっぱい勉強したし、今のチームは機械学習にフォーカスしており、その技術者たちも次から次と研究論文を読破している。現状は、リサーチによって到達したベストのソリューションだと思っている」という。

Disruptelも大企業がやってることを真似て、コンテンツの事前加工にフォーカスしていたら「こんな研究開発には絶対手を出さなかっただろう」とクイン氏は語る。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Disruptel資金調達スマートテレビ音声アシスタント

画像クレジット:Disruptel/Disney

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「バーチャル本社」プラットフォームのGatherがSequoiaなどから約28億円調達

Gather(ギャザー)は人々が結婚式やマジック大会、あるいは通常の業務など、さまざまな理由でバーチャル空間に集うのをサポートしている。リモートで働く人々が互いにやり取りするのにより便利な方法を模索するのにともない、過去数カ月Gatherは静かにユーザー400万人超を獲得した。そして米国時間3月12日、ZoomやSlackに投資してきたシリコンバレーのエリート企業から資金を調達した。

GatherのCEOであるPhillip Wang(フィリップ・ワン)氏は、Sequoia CapitalがリードしたシリーズAで2600万ドル(約28億円)を調達したとTechCrunchに話した。他の投資家にはIndexやYC Continuity 、そしてDylan Field(ディラン・フィールド)氏、Jeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏、Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏といったエンジェルも含まれる。

ワン氏と友人たちがカーネギーメロン大学やMITを卒業した後に設立したGatherの目標はシンプルだ。最も一貫したユーザーへのサービス提供に注力し、バーチャル空間をくつろげるところにするためにカスタマイゼーションの要素を持ち込み、多くのエンジニアを雇うことだ。

「当社はあらゆることに使われる幅広いコミュニケーションプラットフォームです。しかしバーチャル本社(のユースケース)に大きく傾いています」とワン氏は話した。総勢37人のチームは、同僚にチャットを促すための「ショルダータップス」や従業員が集まってバーチャルでビリヤードを楽しめるスペースのような、自発性を促すための機能を盛り込んだ。

画像クレジット:Gather

同社のプラットフォームは空間オーディオ技術も使用している。これはビデオゲームで人気のテクノロジーで、ユーザーは互いに出会ったことを感じられる。基本的には近くにいる誰かの声は大きく聞こえ、人物から離れると声は小さくなる。他のソリューションは空間オーディオとうまく連動しなかったため、同社はゼロからビデオ会議システムを構築したとワン氏は話す。

同氏は社内の課題については示さなかったが、その代わりどのスタートアップも対応しなければならないバグを抱えていると語った。まだ(バーチャルの)火事はない。

Gatherはユーザーが実生活のオフィススペースやアパートを再現しやすくするためにプラットフォームにさらにカスタマイズできるよう取り組んでいる。オフィスツアーでは机の上のコーギー犬やジャック・オー・ランタンを目にし、筆者は床植物までセットアップに追加した。

Gatherが最近注力しているのは職場だが、40万ドル(約4360万円)ほどで安定している最近の月間売上高のほとんどは1回限りのイベントからのものだ。最終目標は、Gatherのオフィスを出てGatherのバーに入ることができる世界だ、とワン氏は話す。もし企業がプラットフォームに加わるリモートチームを首尾よく配置できれば、その企業はそうしたリモートチームがオフサイトやチーム形成アクティビティ、ネットワーキングイベントをプラットフォーム下で持つことをサポートできる。

コミュニティプラットフォームを構築する上での難題の1つは、価値を損なわずに収益化を図ることだ。これこそが、筆者が2020年11月に初めてワン氏と話した時、同氏がベンチャーキャピタルの資金を常に回避したかった理由の1つだ(インセンティブによって同プラットフォームがユーザーフレンドリーではないビジネスモデルの追求を急ぐことになるかもしれないからだ)。

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数カ月たってワン氏は、Sequoia CapitalのShaun Maguire(ショウン・マグワイア)氏に会い、ベンチャーの資金でメタバース(多人数参加型の三次元空間)を拡大する機会を目にした時に心変わりしたと話した。

「特にSequoiaはゲームエンジン企業Unityがビジネスモデルを見つけるのをサポートし、(そのビジネスモデルは)型破りです。私は常に、もしそうしたことを自分たちもやれたらすばらしいと考えながら彼らを見ていました」と述べた。

Gatherが単にパンデミック現象かどうかについて、 マグワイア氏は自身とSequoiaのチームは「どこからでも勤務、が浸透している」と確信している、と話す。

「フィリップと彼のチームのGatherを作るというモチベーションはパンデミック以前からのものです。彼らは、物理的な世界における特定の制約が、あなたが自身の近しいコミュニティの外の人々とつながっていられる能力を妨げていることに気づきました。こうした状況はパンデミック中で一段と強まりました」とマグワイア氏は述べた。

確かにその通りだ。Gatherは18カ月以上、ワン氏とその友人たちが大学を卒業したときからスピンアウトプロジェクトに取り組んできた。チームは最初、会話に入り込めるよう誰が話せる状態かを示すカスタムウェアラブルを作ろうと試みた。それがうまくいかなかったとき、チームはアプリ、VR、フルボディロボティクスへと軸を変えた。新たな資金と数百万人のユーザーを獲得し「企業向けのSim」が同社の進むべき道かもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Gather資金調達リモートワークセコイア・キャピタル

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

株のようにスポーツトレカに投資できるAltが代替資産市場の勢いに乗って33.8億円調達

代替資産市場はパンデミック前に有望だったが、既存の資産クラス(株式や債券など)との間で幅広いラリーが展開され、この分野で価値を追求して増やしている投資家の数は爆発的に増えた。それは特異なコミュニティにバイヤーを引き込むプラットフォームを構築するスタートアップにVCからかなりの資金が流入する事態を引き起こした。

Altを紹介しよう。この若いスタートアップは、実物のスポーツトレーディングカードで専門性を確立したかなりホットな分野に興味をそそられたトップの投資家から3100万ドル(約33億8000万円)超を獲得した。同社はカード、取引認証、何千ドル(数十万円)もつぎこむカードが偽物でないという安心感をバイヤーに与えるためのGOATのようなマーケットプレイスを提供している。NBAのTop Shotのようなサービスがブロックチェーン時代のデジタルトレーディングカードで新世代のバイヤーを呼び集めているが、その成功は従来の収集品マーケットが最近集めている興奮によってもたらされたものだ。

スポーツトレーディングカードを何年も集めたAltのCEOであるLeore Avidar(レオレ・アビダー)氏は、自身が執着するものについて多くの人が語れるようにでき満足している。スポーツカードコミュニティの多くの人と同様、アビダー氏はカード収集やオンラインフォーラムの参加に何年も費やしたが、スポーツトレードカードの収集は少々マイナーであるため、友達や家族とずっと共有できなかった趣味だった。今日ではそんなことはない、とアビダー氏は話す。かつてのカードコレクターが年季の入ったコレクションのほこりを払ってマーケットに再参入し、うなぎのぼりの価格にそそられた新規のコレクター、そしてオンラインでつかながっているコミュニティも拡大している。

「私はコミュニティの多くの人と話をしました。私が好きなことの1つはトレカ収集が世代にまたがっている点です。多くの子どもや親が一緒に収集しているのを目にしています」とアビダー氏はTechCrunchに語った。

マーケットがこれまでよりも主流になるにつれ、Altのようなプラットフォームも投資家の関心をこれまでに以上に目の当たりにしてきた。数カ月間を置いてAltはマーケットで役割を獲得することに飢えている投資家から2つの資金調達を完了させた。First Roundがリードしたシードラウンド、そしてRedditの共同創業者Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏の新会社Seven Seven SixがリードしたシリーズAラウンドだ。他のAltの投資家は、John and Patrick Collison(ジョン&パトリック・コリソン)氏、Kevin Durant(ケビン・デュラント)氏、SV Angel、BoxGroup、Sue Wagner(スー・ワグナー)氏、Jeff Morris(ジェフ・モリス)氏のChapter Oneなどだ。

画像クレジット:Alt

Altのプラットフォームが代替資産業界で透明性と流動性を増やし、株式の売買ができるようにしたRobinhoodのプラットフォームのように資産の購入を簡単にすることをアビダー氏は願っている。このマーケットをつかんでAltのプラットフォームに持ってくるための同氏の戦略は、他のサイトよりも手数料体系を大幅に下げるというもので、Altは手数料込みのトータル販売価格の1.5%を徴収している。

扱うカードの認証に加えて、Altはトレーディングカードマーケット特有のインフラを構築しなければならなかった。物理的カードを持っていることにそれほど関心がなく、むしろカードを失くしたりそのうちダメージを受けたりすることを心配するユーザーは、カードの物理的劣化によりカードが価値を損なうことがないよう、所有するカードを温度と光が管理されたAltの金庫に預けることができる(有料)。そしてコレクターの人気を集めるであろうとアビダー氏が予想しているAltの主な特徴の1つが、ZestimateのようなAlt Value ratingだ。カードの買い手と売り手は、過去の取引とトレンドの成長指標に基づいて、カードの市場価値がどの程度なのかを詳しく知ることができる。

チームはスポーツトレーディングカードでAltマーケットを立ち上げたが、マーケットプレイスが成熟するにつれて、アビダー氏は成長が見込める分野として時計、スニーカー、アートといった他の代替資産にも拡大する計画だという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:代替資産Alt資金調達

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

CureApp(キュア・アップ)は3月12日、第三者割当増資および融資による約21億円の資金調達を発表した。引受先は、ジャパン・コインベスト3号投資事業有限責任組合や既存株主をはじめとする10社。借入先は商工組合中央金庫。累計調達額は約64億円となった。

調達した資金により、2020年より販売を開始したニコチン依存症治療アプリの社会浸透をさらに促進する。また、現在治験中の高血圧治療アプリ、臨床試験中のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ、アルコール依存症治療アプリとがん患者支援治療アプリの研究開発や薬事手続、その他新規領域におけるパイプライン拡大を加速させる。

健康保険組合や企業、自治体を主な顧客とする民間向けヘルスケア事業に関しても、引き続き拡大を目指すとしている。

CureApp「治療アプリ」の現在の状況

  • ニコチン依存症治療アプリ:慶應義塾大学医学部呼吸器内科との共同開発。2019年5月、日本初となる治療用アプリの大規模RCT(ランダム化比較試験)を終了。2020年8月に薬事承認を取得、同年12月に保険適用を受け禁煙外来での処方開始
  • 高血圧治療アプリ:自治医科大学循環器内科学部門との共同開発。2019年12月より治験を開始。2021年中の薬事申請を予定
  • NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ:東京大学医学部附属病院との共同研究。2016年10月より臨床研究、2018年4月より多施設での臨床試験を開始
  • アルコール依存症治療アプリ:国立病院機構 久里浜医療センターと2020年6月より臨床研究を開始
  • がん患者支援治療アプリ:第一三共と2020年11月より共同開発を開始

2014年7月設立のCureAppは、アプリそのものが病気を治療する治療法(デジタル療法)として「治療アプリ」の研究開発・販売を行っているスタートアップ。2020年8月には国内初の治療用アプリ「CureApp SC」の薬事承認、2020年12月に保険適用を受けた。すでに、医療機関において治療アプリを用いたデジタル療法が開始されているという。

また現在、4疾患を対象に治療アプリの研究開発を進め、これら医療機関向け「治療アプリ」の開発で蓄積した知見を活用した民間法人向けモバイルヘルスプログラム「ascure卒煙プログラム」も提供している。「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開予定という。

ascure卒煙プログラムでは、医師開発アプリと医療資格を有する禁煙指導員のオンラインカウンセリングを組み合わせ、6カ月に渡って禁煙支援を提供。2017年4月の提供開始以来200超の法人で導入が進んでいるほか、特定保健指導に対応したプログラムも提供している。

治療用アプリは、海外ではDTx(Digital Therapeutics。デジタルセラピューティクス)と呼ばれ、従来の治療法では治療が難しかった疾患を治す可能性を秘めた最新治療として、国内外で研究開発を進められているという。

DTxは、医薬品と比べても遜色のない治療効果を有し、開発コストの低さ、スマートフォンを持っていれば誰でも平等に受けられるという特徴がある。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)医療(用語)CureApp(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

電動自転車やカーシェアリング車両などの交通データで都市のデジタル変革を支援するPopulusが約5.5億円調達

数年前に都市部を席巻したレンタル電動スクーターの普及は、Populus AI(ポピュラスAI)の設立を後押しした。現在では、宅配需要の急増とそれにともなう縁石スペースの圧迫が、この交通データを扱うスタートアップ企業の新たな資本獲得と、より多くの都市へ向けた拡大に貢献している。

2017年にサンフランシスコで設立されたスタートアップのPopulusは、既存の支援者であるPrecursor(プリカーサー)、Relay Ventures(リレー・ベンチャーズ)、Ulu Ventures(ウル・ベンチャーズ)に加え、新たな投資家であるStorm Ventures(ストーム・ベンチャーズ)と、委託製造・部品供給会社のMagna(マグナ)から、500万ドル(約5億4500万円)を調達した。これまでに同社が調達した資金は900万ドル(約9億8000万円)近くになる。

Populusはこの資金を使ってより多くの都市に進出し、道路や縁石の管理に対する需要に支えられた同社の発展をさらに拡大していく予定だ。Populusは現在、オークランド、サンディエゴ、テルアビブなど、80以上の都市と契約を結んでおり、25以上のマイクロモビリティ事業者と提携している。同社共同創業者でCEOを務めるRegina Clewlow(レジーナ・クルーロー)氏によれば、今後18カ月間で契約都市数を3倍に増やすことを目指しているという。

Populusのプラットフォームは、双方向に機能するSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)製品だ。同社は電動自転車、スクーター、モペッド、カーシェアリングの車両からデータを収集し、その情報を都市に提供することで、都市計画部や規制当局が道路や縁石の使用状況を理解し、管理する仕事を支援する。都市はPopulusのAPIを利用して、自動車の通行制限、スクーターが利用可能な駐輪場、自転車レーンの情報など、道路の規則を地図プラットフォームなどのサードパーティと共有することができる。

Storm Venturesのパートナーであり、BLCK VCの創設者であるFrederik Groce(フレデリック・グロース)氏は、声明で次のように述べている。「近年、特に交通機関の接続と自動化が進む中で、都市にソフトウェアを提供するベンチャー企業が大きく成長しています。Populusは、都市のデジタル変革をサポートするマーケットリーダーとして、独自の地位を確立しています」。

2020年、Populusはそのプラットフォームにストリートマネージャーを追加し、自転車や歩行者を優先するスローストリートやシェアードストリート、屋外での食事に指定されたエリア、工事による通行止めなど、都市が新たな施策を伝達できるようにした。

同じく2020年追加された縁石管理機能が、2021年の成長の主な原動力になるだろうと、クルーロー氏は述べている。都市はそのデータを利用して、例えば縁石のスペースに動的な値づけが可能になる。

「多くの都市が当社のデジタル技術を本当に利用したいと考えているのは、配送を含む商用フリートの管理です」とクルーロー氏は述べている。縁石のスペースは、定期的に運行する車両と一時的に通行する車両の両方に利用されており、これらのエリアは今日発生している大量の配送に対応できるようには設計されていないと彼女はいう。

「都市では配送ブームが続いていますが、これは新型コロナウイルス感染流行以前からの傾向であり、ウイルス感染流行期間中に明らかに加速しました」と、同氏は述べている。「商業配送車が使用するスペースの管理は、都市にとって切実な問題となっています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Populus電動自転車資金調達

画像クレジット:Populus

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電動自転車やカーシェアリング車両などの交通データで都市のデジタル変革を支援するPopulusが約5.5億円調達

数年前に都市部を席巻したレンタル電動スクーターの普及は、Populus AI(ポピュラスAI)の設立を後押しした。現在では、宅配需要の急増とそれにともなう縁石スペースの圧迫が、この交通データを扱うスタートアップ企業の新たな資本獲得と、より多くの都市へ向けた拡大に貢献している。

2017年にサンフランシスコで設立されたスタートアップのPopulusは、既存の支援者であるPrecursor(プリカーサー)、Relay Ventures(リレー・ベンチャーズ)、Ulu Ventures(ウル・ベンチャーズ)に加え、新たな投資家であるStorm Ventures(ストーム・ベンチャーズ)と、委託製造・部品供給会社のMagna(マグナ)から、500万ドル(約5億4500万円)を調達した。これまでに同社が調達した資金は900万ドル(約9億8000万円)近くになる。

Populusはこの資金を使ってより多くの都市に進出し、道路や縁石の管理に対する需要に支えられた同社の発展をさらに拡大していく予定だ。Populusは現在、オークランド、サンディエゴ、テルアビブなど、80以上の都市と契約を結んでおり、25以上のマイクロモビリティ事業者と提携している。同社共同創業者でCEOを務めるRegina Clewlow(レジーナ・クルーロー)氏によれば、今後18カ月間で契約都市数を3倍に増やすことを目指しているという。

Populusのプラットフォームは、双方向に機能するSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)製品だ。同社は電動自転車、スクーター、モペッド、カーシェアリングの車両からデータを収集し、その情報を都市に提供することで、都市計画部や規制当局が道路や縁石の使用状況を理解し、管理する仕事を支援する。都市はPopulusのAPIを利用して、自動車の通行制限、スクーターが利用可能な駐輪場、自転車レーンの情報など、道路の規則を地図プラットフォームなどのサードパーティと共有することができる。

Storm Venturesのパートナーであり、BLCK VCの創設者であるFrederik Groce(フレデリック・グロース)氏は、声明で次のように述べている。「近年、特に交通機関の接続と自動化が進む中で、都市にソフトウェアを提供するベンチャー企業が大きく成長しています。Populusは、都市のデジタル変革をサポートするマーケットリーダーとして、独自の地位を確立しています」。

2020年、Populusはそのプラットフォームにストリートマネージャーを追加し、自転車や歩行者を優先するスローストリートやシェアードストリート、屋外での食事に指定されたエリア、工事による通行止めなど、都市が新たな施策を伝達できるようにした。

同じく2020年追加された縁石管理機能が、2021年の成長の主な原動力になるだろうと、クルーロー氏は述べている。都市はそのデータを利用して、例えば縁石のスペースに動的な値づけが可能になる。

「多くの都市が当社のデジタル技術を本当に利用したいと考えているのは、配送を含む商用フリートの管理です」とクルーロー氏は述べている。縁石のスペースは、定期的に運行する車両と一時的に通行する車両の両方に利用されており、これらのエリアは今日発生している大量の配送に対応できるようには設計されていないと彼女はいう。

「都市では配送ブームが続いていますが、これは新型コロナウイルス感染流行以前からの傾向であり、ウイルス感染流行期間中に明らかに加速しました」と、同氏は述べている。「商業配送車が使用するスペースの管理は、都市にとって切実な問題となっています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Populus電動自転車資金調達

画像クレジット:Populus

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

現金があるのにローンを組めない人向けサービスを提供するTomoCreditが約7.4億円調達

クレジット履歴がないと、クレジットカードを作るのは難しい。

この問題を解決しようとしているのが、スタートアップのTomoCreditだ。共同創業者兼CEOのKristy Kim(クリスティー・キム)氏が同社のコンセプトを考えついたのは、まだ20代の初め頃、立て続けに自動車ローンの審査に落ちたことがきっかけだった。

幼い頃、家族とともに韓国から米国へ移民したキム氏は、仕事に就いていて、しかも「キャッシュフローは黒字」だったにも関わらず、クレジット履歴がないことがこれほど大きな障害になると知り、落胆したのだ。

そこで、ロシア移民のDmitry Kashlev(ドミトリ・カシュレフ)氏と組んで2019年1月に、同じようにローンを組めない外国生まれの個人と若者向けのソリューションを立ち上げた。同年の秋、このスタートアップ(名前は「Tommorow’s Credit(明日のクレジット)」に由来する)は、Techstarsが支援するBarclays Acceleratorに選出された。

サンフランシスコを拠点とするこのフィンテックは、初めて借り入れをする人がFICOやクレジットレポートの評価ではなく、キャッシュフローに基づいてクレジット履歴を作りやすくなるよう、クレジットカードを提供している。

米国時間2月10日、TomoCreditは700万ドル(約7億3700万円)のシード資金調達ラウンドを行ったと発表した。これには韓国の消費者銀行Kookmin Bankの子会社であるKB Investment Inc.(KBIC)に加え、Barclays、Knollwood Investment Advisory、BAM Ventures、Passport Capital、Ulu Ventures、Strong Venturesが参加している。

エンジェル投資家と個人投資家たちもこのラウンドで資金提供をしている。Backstage Capitalの創業者Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏、Venmoの元COOである Michael Vaughan(マイケル・ボウハン)氏、Tinderの前財務責任者James Kim(ジェームス・キム)氏などである。

消費者金融保護局(CFPB)によれば、3000万人もの「キャッシュリッチ」な若者が、限られたクレジット履歴しか持たないために、デビットカードしか使えないという。

TomoCreditはデビットカードモデルで運用しているクレジットカードで、発行元はFDICに加盟しているCommunity Federal Savings Bankだ。利用者は7日後に自動支払いを行うスケジュールならば手数料無料で、それを過ぎるとAPR(金利)が適用される条件で返済を行う。与信限度額は平均3000ドル(約31万5700円)だが、最高で1万ドル(約105万2500円)まで増額できる。借り手がクレジットカードに自分の投資口座を紐づけることで、与信限度額を増額できる仕組みだ。

「当社は、ただインクルーシブなだけでなく、既存のクレジットカードが提供するサービスとは根本的に違うものを創り出そうとスタートしました」とキム氏は語る。

このカードは移民だけではなく、誰であれ、クレジット履歴に関して「履歴がないか、わずかしかない」と判断される人を対象にしているのだと、同氏ははっきり述べている。

自動車ローンの審査に落ちたことで、キム氏は米国という国で「クレジットスコアなしでは何もかもが難しい」ことを実感した。

「収入、貯金の有無は無関係なのです」と同氏は言い、こう続ける。「クレジット履歴の代わりに別のデータソース、特にキャッシュフローデータを活用できたらいいのにと思っていました。今、私たちが生きているのは2021年で、オープンバンキングが普及しており、オープンバンキングのデータには簡単にアクセスできるのです。当社はみなさんのキャッシュフローデータを利用して支払い保証を行います」。

TomoCreditのモデルが持つもう1つのユニークな側面は、カードを使う消費者からではなく、加盟店手数料から収益を得ている点だ。

「現在クレジットカードを発行しているカード会社とは違って、当社は借り手の支払いが遅れた時の遅延賠償金を収益源としていません。カード保有者の支払額に応じて収益を得ています。お客様のご利用が増えると当社も成長する、ということです」とキム氏は付け加えた。

TomoCreditは2020年の夏の終わりころにカードの発行を開始した。

「正直、あまり期待していませんでした。当社にとって初のローンチで、マーケティングも何もしませんでしたから」と同氏は当時を振り返る。「ところが、30万人以上の申し込みがあり、そのうち半分は当社で事前承認できました。それ以来、積極的にカードを発行し続けています。」

同社が発行するカードの需要が急増したのは、2020年YouTubeとRedditで「バズった」からだとキム氏はいう。

「ローンチの直後、大量のアクセスがありました。大勢のYouTuberがTomoCreditについてコメントしたりレビューをしたりしていて、クレジットスコアを速く効率よく作るために当社のソリューションを求めている人たちのコメントもありました。」

現在、TomoCreditのアクティブユーザー数は1万人を超え、同社は2021年の夏までに残りの事前承認済みの申込者のカードを発行する計画だ。

筆者は、TomoCreditが負うリスクを懸念する投資家を説得するのに苦労したかに興味があった。

クレジット履歴を持たない人々にカードを発行するリスクという「感情的、心理的ハードル」を乗り越えられるよう、投資家たちを説得する必要があったとキム氏は感じている。

「環境が変化していることを理解してもらえるよう、説明する必要がありました」と同氏は語る。「新しい世代の消費者、特にZ世代やミレニアルを見れば、そうした人たちのほとんどがわずかな履歴しかないか、まったく履歴がないことがわかります。これは彼らのせいではありません。人々の個人的なお金に関する行動様式が、過去とは違っているのです。そのために、従来型の貸し手が彼らを査定することが難しくなっているのです。」

Backstage Capitalの創設者アーラン・ハミルトン氏は、TomoCreditが獲得した投資家の1人だ。

同氏からのメールによれば「最近、自分が子供だったころに家族やその他大勢の人たちが理不尽な思いをした不都合なやり方を正してくれる製品に投資したり世に出したりすることに、自分の時間をたっぷり使っています」とのことだ。「こうしたテーマの1つに、良好なクレジットスコアを確立し、法外な金利のローンを借りずに済む手段を持つことが挙げられます。Tomo Creditはこの課題に対し、非常にスケーラブルで、メインストリーム的なやり方で取り組んでいると感じます。」

Barclaysのグループ最高イノベーション責任者のMariquit Corcoran(マリキット・コルコラン)氏は「ローンへのアクセスと財務プロファイルの形成において伝統的に困難を抱えてきた多くの人々が、実際の生活で直面しているある1つの問題」を解決するのだというキム氏の最初のプレゼンテーションを聞いて、その「粘り強さとパッション」に非常に強い印象を持ったという。

「彼らの成長と、個人のローン適格性を判定する方法が変化することのインパクトを見届けるのを楽しみにしています」と、同氏はメールで述べた。

今後について、TomoCreditは新たに調達した資金を使って、現在15名の人員を3倍に増やすことを計画している。そのほとんどはフルスタックエンジニアとデータエンジニアの採用が目的だ。最近同社は、LendingClubの元役員であるChaomei Chen(チャオオメイ・チェン)氏を最高リスク責任者代行に迎えている。また、同社は今回の資金の一部を使用して、インタラクティブ機能のいっそうの充実など、製品開発も行う計画だ

TomoCreditが代替クレジットモデルを備える唯一のフィンテックというわけではない。X1 Cardクレジットスコアの代わりに現在と将来の収入に基づいて限度額を設定している。また、Grow Creditは2019年に創業したスタートアップで、SpotifyやNetflixなどのオンラインサブスクリプションを対象とした与信限度枠を提供することで、顧客がクレジットスコアを構築できるようにしている。

関連記事:クレジットスコアではなく収入に応じて限度額を決めるクレカX1 Card

カテゴリー:フィンテック
タグ:TomoCreditクレジットカード資金調達

画像クレジット:TomoCredit

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

アプリケーションセキュリティのSnykが評価額5100億円で約326億円を調達、トップ人事を増強しIPO間近か

アプリケーションセキュリティ技術を開発するSnykは、新たな資金調達とセカンダリーセールで総額3億ドル(約326億円)を獲得し、評価額は47億ドル(約5100億円)となった。

AccelとTiger Globalが主導し、 Addition、Boldstart Ventures、Canaan Partners、Coadue、GV、Salesforce Ventures(セールスフォースベンチャーズ)、そしてBlackrockが運用するファンドを含む既存投資家が参加した今回の新規投資を入れると、同社の資金調達総額は4億7000万ドル(約510億円)にのぼる。

AccelとTigerに加え、Alkeon、Atlassian Ventures、Franklin Templeton、Geodesic Capital、Sands Capital Ventures、Temasekなどの新規投資家が参加した。

今回のシリーズEは、Snyk社にとって株式公開前の最後のラウンドになると思われる。最近のエンタープライズソフトウェア企業市場は白熱しており、Snyk社に対する評価はポジティブなものになるはずだ。

Snykのバリューと非常に高い評価額は、同社がアプリケーションセキュリティプラットフォームを提供する能力からくる。同社によると、アプリケーションセキュリティプラットフォームは、現代のアプリケーションのあらゆるコンポーネント(コード、オープンソースライブラリ、コンテナインフラ、IaCなど)に対して、セキュリティの可視化と修復を提供するよう設計されているという。

投資家たちは同社の主張を信じているようで、それは最近チームに加わったメンバーも同様だ。Elasticの元幹部である最高マーケティング・カスタマーエクスペリエンス・オフィサーのJeff Yoshimura(ジェフ・ヨシムラ)氏、Groupon(グルーポン)で働いていたCIOのErica Geil(エリカ・ガイル)氏、EMCで働いていたアジア太平洋・日本(Asia Pacific Japan、APJ)販売担当副社長のShaun McLagan(ショーン・マクレガン)氏など、主要な社員が次々と採用されている。

この資金調達後には、エンタープライズソフトウェアの寵児であり、昨年の超大型上場企業であるSnowflakeのCFOであるMichael Scarpelli(マイケル・スカルペリ)氏と、長年エンタープライズソフトウェアに投資してきたAccelのパートナーであるPing Li(ピン・リー)氏が同社の取締役となる。

「私たちが初めて会ったのはSnykチームがスタートしたばかりの頃、初期投資家としてでした」とリー氏は声明の中で述べた。「パートナーシップを通じて、Snykの開発者やセキュリティチームに対する揺るぎない献身と、彼らの当初のビジョンが現実のものとなるのを目の当たりにしてきました。2021年以降も、Snykの成功をサポートできることを楽しみにしています」。

アプリケーションの脆弱性がハッカーの攻撃手段としてますます注目されている中、Snykの今回の資金調達は行われた。同社によると、データ漏洩の約43%がアプリケーションの欠陥に起因しているという。

一方で、セキュリティに特化した開発者が少ないことから、オートメーションが担う仕事がより重要になってきている。Snykは、自動化された修復機能と、開発者のワークフローに直接セキュリティ機能を統合することで、それを実現しているという。また同社は、コーダーのセキュリティに関する質問にリアルタイムで回答するサービスも提供している。

これまでにこの一連のサービスにより、世界中で2700万人以上の開発者がSnykのツールを使用しており、また、セキュリティコーダーがSnykのプラットフォーム上で自分のツールを売り込むためのマーケットプレイスも提供している。

Atlassianのコーポレート・デベロップメント部門の責任者であるChris Hecht(クリス・ヘクト)氏は次のように述べた。「Snykのデベロッパ第一主義のセキュリティアプローチは、今日の開発者や組織にとって素晴らしいツールになると信じています。Snykはすでに当社のツールとの素晴らしい統合を披露してくれていますが、今回、Atlassian Venturesへの投資を通じて彼らとのパートナーシップを拡大することができ、とても嬉しく思っています」。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:資金調達

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

海底マッピングロボティクスのBedrockが8.7億円調達、洋上風力発電に注力

「誰も海洋のためのSpaceXのような企業を設立していなかったというのはかなり奇妙に思えます」とAnthony DiMare(アンソニー・ディマレ)氏はTechCrunchに語った。「この分野に取り組む大手の現代テクノロジー企業はまだありません」。

ディマレ氏は2020年Bedrock Ocean Exploration(ベッドロック・オーシャン・エクスプロレーション)をCharles Chiau(チャールズ・チャウ)氏と共同で創業した。チャウ氏はこの分野に専門のロボティクスを持ち込み、一方でディマレ氏は海洋分野での経験を持っている。船隊のロジスティック計画を専門とする同氏の前の会社Nautilus Labは2019年にシリーズAで1100万ドル(約11億9000万円)を調達している。

同スタートアップを退職した後、サンフランシスコでの夕食でチャウ氏と出会った、とディマレ氏は話す。2人は海底マッピングにおける課題と機会について話し合った。そして米国時間3月11日、BedrockはEniac Ventures、Primary Venture Partners、Quiet Capital、R7がリードするシードラウンドで800万ドル(約8億7000万円)を調達したと発表した。

海洋の80%超がまだマップ化されていない、とBedrockは指摘する。そしてマップ化されたものは往々にしてかなり低解像度だ。資金調達に関するプレスリリースの中で、CEOは「月や火星の表面の方が、海底よりもマップ化され、研究されている」と述べた。

調達した資金は提携の締結、それから同社のロボティクスとクラウドプラットフォームの構築に充てられる。現在のBedrockのチームには、ShellがスポンサーとなっているX prize海底コンペティションからの参加者も含まれているが、資金でチームも増強する予定だ。

Bedrockのテクノロジーの活用法の1つが、海底ケーブルの設置だ。「今のところ、海底ケーブル設置は基本的に1回限りです」とディマレ氏は話す。「もし米国と中国の間にケーブルを敷設する必要があるなら、最も効率的なルートを推測で見積もり、そのエリアを調査し、ケーブル敷設に必要な情報が得られることを祈ります。しかし何かあれば、経路変更する必要があります」。

洋上風力発電もBedrockにとって潜在的な主要成長分野だ。「現在、石油企業とは働いていません。石油業界の方に向かう必要があるかどうかわかっていませんでした。ありがたいことに、洋上風力発電がまさに爆発的に拡大しています。文字どおり当社がフォーカスできるこの洋上風力分野でなすべき多くのことがあります」とディマレ氏は話した。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Bedrock Ocean Exploration資金調達

画像クレジット:Bedrock

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

「ニューヨークのイチゴはまずい」植物工場で作った日本品質のイチゴを世界に届けるOishii Farmが総額55億円を調達

Oishii farm

とちおとめ、あまおう、スカイベリー。旬の冬から春にかけて、スーパーの店頭にはさまざまな品種のイチゴがずらりと並び、おいしいイチゴが手頃な値段で手に入る。日本では当たり前のことだが、海外では少し事情が違うようだ。

Oishii Farmはニューヨーク発の植物工場スタートアップで、彼らの植物工場ではイチゴを生産している。3月12日、Oishii FarmはSparx、Sony、PKSHA、米国のVCであるSocial Starts、個人投資家の川田尚吾氏や福武英明氏などから総額約55億円を調達したことを発表した。

Oishii Farmの代表取締役を務めるのは古賀大貴氏。コンサルティングファームを経て、MBAを取得するために渡米し、UCバークレー在学中の2016年12月にOishii Farmを設立した。

サステナブルな農業のあり方

そもそも植物工場は何かと説明しておくと、施設内の環境(光、温度、湿度、水分など)のモニタリングと制御を行うことで、野菜や果物などの作物を通年で計画生産する施設のことだ。日本ではさほど目新しいものではなく、しばらく前から研究が進んでいる。

植物工場との出会いはコンサルティングファーム時代に遡ると古賀氏は話す。当時、日本のメーカーが開発した植物工場が世に出始めた頃で、古賀氏はその植物工場の案件をいくつか担当していた。ただ、植物工場には農地ではないところで作物が作れたり、狭い土地でも多段式にすることで効率的に作物が作れるなどのメリットがあるものの、日本でビジネスとして成立させるには課題も多くあったと古賀氏は説明する。

「日本の植物工場は中なかなか儲からなかったのです。建てるのが高いにもかかわらず、作れるのはレタスだけという状態でした。それに加え日本には、長野で作られたレタスが、次の日には北海道や沖縄にまで届く完璧な物流システムがあります。なので、わざわざ植物工場で作る必要がありませんでした」。

だが、近年米国では、サステナビリティの観点から植物工場に注目が集まっていると古賀氏は話す。

「カリフォルニアに来た頃、大干ばつが起きて、水不足になりました。洗車するのに水使ってはダメといった規制ができるくらいに。山火事も毎年のように起きていて、気候変動が激しくなってきています。農業は、地球上で人間が消費する水の7割ほど使うと言われています。なので、農業の水問題が米国で議論され始めるようになったのです。植物工場の場合、水をリサイクルできるので、使う水の量を9割以上削減できます。農業が全体の7割を消費していることを考えると、これはすごく効率が良い。

また、植物工場は農地ではない場所でも建てられるので、作物を地産地消でき、物流を簡素化できます。さらに植物工場では基本的に無農薬で作物が作れます。こうした理由から地球に優しい農業ということで、注目が集まっているのです」。

Oishii Farmの植物工場

ニューヨークのイチゴがまずい理由

Oishii Farmが数ある作物の中で、最初にイチゴを作ることにしたのは、立ち上げ当初から利益が見込めることと、強力なブランドが作りやすいことが理由なのだそう。「今あるものに対して圧倒的な差があれば、付加価値があるので、価格プレミアムを乗せやすくなります。例えば、レタスの場合、メキシコで作って陸路で運んだものでも、植物工場で作ったものでも、多少の鮮度差はありますが、大きくは変わりません。ですが、イチゴは味にすごく差が出ます」と古賀氏は説明する。

日本でも贈答用のイチゴはスーパーで売っているものに比べて高額だが、ニューヨーク市ではそもそもスーパーでおいしいイチゴがまったく手に入らないので、価格プレミアムを乗せやすい環境であるのだそう。

「米国のイチゴの9割はカリフォルニア周辺で生産されています。約4000キロメートル、トラックでニューヨークや東海岸に運ぶので、収穫から大体1週間かかります。日本のスーパーですら、ちょっと傷んでいるイチゴがありますよね。それが、アメリカでは1週間かけて悪路で運ばれて店頭に並んでいるのです。値段は日本とあまり変わらないくらいですが、圧倒的にまずい」。

Oishii Farm販売のOmakase Berry

そう言われると気になるのがOishii Farmで作っているイチゴの味だが、Oishii Farmの植物工場では、日本のデパートが扱うような贈答用の高級イチゴの品質のものができるようになっていると古賀氏は説明する。新型コロナウイルスの影響で、ニューヨーク市がロックダウンするまでは現地のミシュランレストランからの引き合いも多くあったという。現在は主にECサイトでの販売を行っているが、今後の生産分に関してはマンハッタンの高級スーパーでの取り扱いが決まっているそうだ。

Oishii Farmは開発した技術や植物工場を生産者に提供するのではなく、自分たちが生産者として作物を販売するビジネスモデルを採用している。古賀氏はこの理由について、「これまでの経験上、箱として売ろうとした取り組みはすべて失敗していて、自分たちで物を作って売っていかないと、プロダクトを突き詰めることができないため」と話す。

今回調達した資金は工場の拡張、ニューヨーク以外で地域の展開とさらなる研究開発に投じると予定だ。今後の同社の展望について聞いたところ、古賀氏はこう話していた。

「我々のイチゴが、普通のスーパーに売っている値段で作れるようになるのは時間の問題だと思います。そうなると既存の作り方よりも、植物工場の方が一年中安定供給でき、環境にも優しく、味も良いので、こっちの方が断然良いということになると思います。高級イチゴをニューヨークで売るというのではなく、農業のあり方を変える、それを達成するのが我々にとってひとつのマイルストーンであると考えています」。

カテゴリー:フードテック
タグ:Oishii Farm資金調達

画像クレジット:Oishii Farm

チャットボットスタートアップのHeydayが約5.6億円を調達

米国時間3月10日、カナダのモントリオールを拠点とするHeydayは追加のシードラウンドで650万カナダドル(約5億6000万円)を調達したと発表した。

共同創業者でCEOのSteve Desjarlais(スティーブ・デジャレ)氏は筆者に対し、小売業者が顧客とのオンラインでのやりとりを自動化しパーソナライズできるようにすることを目指していると述べた。共同創業者でCMOのEtienne Merineau(エティエンヌ・メリノー)氏は同社を「オールインワンの統合カスタマーメッセージングプラットフォーム」と表現した。

顧客がFacebookのMessengerやWhatsApp、GoogleのBusiness Messagesからメッセージを送信した場合も、通常のメールを送信した場合も、Heydayではすべて1つのダッシュボードに集約される。その後、カスタマーサービスの案件かセールス関連かをAIが見分けて、可能な場合は自動で基本的な返信をする。

Heydayのチャットボットで注文の最新情報やおすすめ商品を伝え(HeydayはSalesforce、Shopify、Magento、Lightspeed、PrestaShopと統合されている)、その後必要に応じて人間のスタッフに転送することもできる。

カスタマーサービスとセールスを組み合わせたプラットフォームは他にもあるが、メリノー氏はこの2つのカテゴリーは扱いを分けて良いサービス体験が売上につながると考えることが重要だという。

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画像クレジット:Heyday

メリノー氏は「サポートは新規販売だと考えています」と述べた。

デジャレ氏はこう補足する。「我々はチケットIDシステムには強く反対しています。お客様はチケットではありません。私は、一人ひとりのお客様がブランドとの結びつきであり、その結びつきは時間をかけて育て、時間をかけてブランドに価値をもたらすものだと本気で信じています」。

Heydayは2017年に創業し、直近の2四半期で経常収益が2倍になったという。同社の顧客にはフランスのスポーツ用品会社のDecathlon、デンマークのアパレル会社のBestseller、食品ブランドのDannonなどがある。メリノー氏は、同社のプラットフォームは「すぐにバイリンガルで使えて」国際的に大きく成長していると述べた。

同氏は「小売業者が新型コロナ(による変化)は一時的なものだと考えるのは誤りです。前進するブランドの新たなスローガンは『適応か死か』です。ブランドは優れたサービスを提供したいと考えていますが損益も気にします。我々はブランドが一石二鳥の成果をあげられるようサポートします」と説明する

Crunchbaseによると、Heydayは以前に200万カナダドル(約1億7200万円)を調達していた。今回の新しいラウンドでは既存の投資家であるInnovobotとDesjardins Capitalから資金を調達した。メリノー氏は、今回の資金は「米国での事業規模を倍増させて成長する」ために使われると述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:HeydayAI資金調達チャットボット

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

トラック輸送の円滑化を目指すSmartHopがシリーズAで約12.7億円調達

もしあなたがパンデミック直前の2020年2月に起業してスタートアップを立ち上げたのなら、ビジネス上の究極の悪夢を経験していると感じたかもしれない。しかし、もし自分の会社がサプライチェーンビジネスを安定させる役割を果たすものであれば、適切なタイミングで軌道に乗ったかもしれない。マイアミを拠点とするスタートアップSmartHop(スマートホップ)のストーリーも同様だ。同社は複数の州にわたって荷物を運ぶ長距離トラック運転手のルートをより効率的で実入りの良いものにし、運転手の管理の煩わしさを取り除くAIアプリを手がけている。

SmartHopは米国時間2月10日、シリーズAラウンドで1200万ドル(約12億7000万円)を調達し、これまでの資金調達総額が1650万ドル(約17億4000万円)となることを発表した。ラウンドをリードしたのはUnion Square Ventures(ユニオンスマートベンチャーズ)で、これまでにStripe(ストライプ)、Twitter(ツイッター)、Coinbase(コインベース)、Etsy(エッツィー)、MeetUp(ミートアップ)、SkillShare(スキルシェア)、Duolingo(デュオリンゴ)などに投資している。

SmartHopは予測できない部分が多い複雑な問題を解決し、シンプルなソリューションを提供する。市場のギャップを理解するには、長距離トラック運転手が直面する障害を把握する必要がある。Guillermo Garcia(ギレルモ・ガルシア)氏自身も元トラック運転手であり(大学在学中に母国ベネズエラでペットフード配達の運転手をしており、自身のビジネスを500人規模の運送会社に拡大した)、運送業界の抱える課題や複雑さについて熟知している。

SmartHopのCEO兼共同設立者であるギレルモ・ガルシア氏は最初のトラック運送会社を始めた時の経験を「私はカラカスの実家に住んでいて、両親にガレージを空にするよう依頼しました。それが私の最初の配送センターでした」と語った。また、同氏は「トラック市場は株式市場のように動きます」と述べ、それは絶えず変化しており予測不可能だと説明した。

米国トラック協会が2019年に行った調査によると、トラック運送業界は7917億ドル(約841兆円)規模の産業で、米国の貨物運送費の80.4%を占めている。また、トラック運送事業者の91%は中小企業であり、保有台数は6台足らずである。その多くは個人トラック運送業者だ。従来、荷物を受け取るためには、トラック運転手は約1万5000の異なるブローカーのアプリやウェブサイトを探し回らなければならなかった。それは、まったく調整されておらず、非効率的で、自由放任主義的なアプローチであったため、ドライバーは月々の収入を予測することができない他、数々の問題を抱えていた。

SmartHopはこうしたドライバーを支援する。例えばアトランタに住んでいるボブが1台のトラックを所有しているとしよう。個人トラック運送業者である。彼にはシアトルまで運ぶ荷物があり、そこに着くまでは数日かかる。財政的に見て、ボブが途中で他にどのような貨物を引き受けることができるか、または、シアトルを折り返し地点にすべきかを把握せずに出発するのはあまり理に適っていない。もしかしたら、最近はシアトル発の貨物が少なく、シカゴ発の貨物が多くなっているかもしれない。ボブはこうしたことを知る術がない。

SmartHopが登場する前は、ボブはブローカーに電話をかけて取引をする必要があった。こうした仕事のほとんどは移動中に行われるもので、ボブは次の2週間の仕事、ひいては人生の見通しがわからない状態だった。

SmartHopを使うと、ボブは自分のトラックの容量、自分が運転したくない都市などの情報を入力することができ、彼の利益と移動時間を最適化するための荷物を推薦してくれる。自動車の運転中にWazeを使用していると、スターバックスの近くを通りかかった際に立ち寄るかどうかたずねてくれる。承認すれば、あとはWazeが対応してくれる。SmartHopはそのトラック版だ。

SmartHopのテクノロジーがドライバーに3つの積み荷予約オプションを提供している。交渉と予約はプラットフォームが行う(画像クレジット:SmartHop)

「通行料金や橋、交通量が多いため、ニューヨーク市を運転したくないというトラック運転手もいます。そうした運転手は売上にかかわらず、荷物をピックアップしません」とガルシア氏はいう。

しかし、完全に自動化させたければ、SmartHopは自動的に荷物の引き受けを予約します。ですから、運転とトラックの管理だけをしていればいいのです、とガルシア氏は語る。

トラック運転手がSmartHopを使うたびに、運転手の好みを学習し、より良い提案や予約をするようになる。

SmartHopは総売上の3%の手数料を請求する。「私たちのインセンティブは極めて整合性がとれており、ユーザーが収益を上げれば当社も収益を得ますが、ユーザーが休暇を取る日には何も請求しません」とガルシア氏はいう。

Union Square Venturesでマネージングパートナーを務めるRebecca Kaden(レベッカ・ケイデン)氏は「当社はネットワークの構築やアクセスの拡大に技術を活用する事業に注力しています。私たちはギレルモ氏とSmartHopチームと出会えたことを非常にうれしく思っています。同社の事業はまさに私たちがフォーカスしているものだからです。ソフトウェアを活用して、個人トラック運送業者がビジネスを最適化し、圧倒的な数のプレイヤーに対して競合力を持つことを可能にしています」と述べている。

マイアミに拠点を置くロジスティクス企業のRyder(ライダー)も、新しいベンチャー部門RyderVentures(ライダーベンチャーズ)を通じてこのラウンドに参加した。SmartHopは最初の投資先となる。SmartHopのシードラウンドから参加しているEqual Ventures(イコールベンチャーズ)とGreycroft(グレイクロフト)も出資している。

Ryderのバイスプレジデントであり、CMOおよび新製品イノベーションの責任者を務めるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏は「多くのスタートアップは、優れたテクノロジーを備えていますが、テストする人がいません。実際にソフトウェアを使用しているユーザーがいない場合、そのソフトウェアは十分な効果を発揮できません」と語る。RyderVenturesの投資に先立ち、RyderはSmartHopと提携し、27万5000台の自社トラックで製品をテストしている。

2019年のNew York City Techstarsコホートの一員であった同社では、現在50人のフルタイム従業員と100台のトラックでこの製品を使用している。トラック1台あたり平均月1万ドル(約106万円)から1万5000ドル(約157万円)の収益を上げている。

最新のラウンドで調達した資金は、組み込み金融製品だけでなく製品開発にも向けられる。大企業と異なり、小さなトラック運送会社は燃料や保険の料金を交渉する力を持っていないが、SmartHopの運転者数でそれを変えることができる。さらに、売掛金の収納代行を提供するため、運転者は支払い期限が発行日から45日以内の請求書を発行し、24時間以内にSmartHopから支払いを受けることができる。「私たちは大量のデータを持っているため、よりスマートに、運転手への料金の支払いを代行できるのです」とガルシア氏は語っている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SmartHop物流資金調達

画像クレジット:SmartHop

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Dragonfly)

簡単にアクセシビリティの問題を解決する「アクセシビリティオーバレイ」のaccessiBeが約29.6億円調達

今すぐウェブサイトのアクセシビリティに対応したくても、大がかりな改修をするだけのリソースがないならば、当面は「アクセシビリティオーバレイ」を使うことでプレッシャーを取り除けるかもしれない。こうしたツールは恒久的な対策にはならないと評する人もいるが、accessiBe(アクセシビー)は自社のアプローチがウェブ全体を誰にでも利用できるものにするための重要な要素だと考えており、2800万ドル(約29億6000万円)の資金調達を行うことでそれを証明した。

これはスモールビジネスがよく直面する問題だ。サイトが最新のアクセシビリティ標準に従って構築されておらず、プロに修正してもらうには大規模な改修が必要になるばかりか、最新の状態を維持し、エラーを修正する作業を継続していく必要がある。こうした作業は非常にコストがかかるため、中小企業はこの投資に必要な資金を用意できないかもしれない。しかし、これは障害のあるサイト訪問者に不快な体験をさせてしまうだけでなく、会社に訴訟のリスクを負わせることにもなる。

エンタープライズレベルでは、アクセシビリティは以前にも増して開発プロセスの一部になりつつあり、Fable(フェーブル)やEvinced(エヴィンスト)などのスタートアップがこうした動向を促進している。しかし、開発予算と家賃や食費を天秤にかけざるを得ない人たち向けに、別のアプローチが必要だろう。

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accessiBeは、アクセシビリティオーバレイと呼ばれる新しく数少ないサービスの1つだ。たった1行のJavaScriptコードを入れるだけでADAに完全に準拠でき、その他の機能も利用できるようになるという。ずいぶんとうまい話に聞こえるが、確かにうまい話であり、同時にそううまい話ではないともいえる。

オーバレイコードは、ウェブサイトのユーザー表示部分のコード全体から、よくあるアクセシビリティの問題を取り除いてくれる。こうした問題には、ラベルのないボタン、キーボード操作で移動できないフィールド、代替テキストが設定されていない画像などがある。accessiBeのシステムには機械学習が含まれており、ターゲットサイトの特徴をトレーニングデータベースと照合している。そのため、うまくコーディングされていない場合でも、コンテキストや明確な意図があれば認識できるのだ。

同社のオーバーレイは、いくつかのウェブサイトのURLに「#showacsb」を追加すると試すことができる。Everlast(エバーラスト)、Tupperware(タッパーウェア)、Playmobil(プレイモビール)などのウェブサイトで実際に運用されている(他にも多数ある)。

オーバーレイを適用して表示されるウェブサイトは、まるでアクセシビリティを考慮して設計されたかのように機能し、障害がある訪問者がサイトの利用を諦めてしまうような、たくさんの基本的な問題が修正されている。その上、コントラストの改善やアニメーションの停止、フォントの変更など、生活の質を向上させる追加機能が豊富に提供されている。このオーバーレイは自動的に有効にすることも、ユーザーが手動で有効にすることもできる。後者の場合はスクリーンリーダーテキストで操作方法を教えてくれる。

accessiBeのエージェントは定期的にサイトをスキャンし、ユーザーの目に入る部分を更新する。ウェブサイトの所有者は月額費用(サイトの規模に応じて約4240円から数万円)を支払ってこのツールを利用する。デモ動画は、このツールが修正する問題をよく表している。

これがなぜアクセシビリティにとって良いものではないと考えられているか疑問に思うかもしれない。しかし、オーバーレイが果たす役割については、ウェブをどのようにアクセシブルにすべきかというテーマで真剣に議論されている。そもそもの基本だが、こうしたツールが意味するところは、1行のコードだけであらゆるウェブサイトをアクセシブルにできるという点だ。これはいくつかの問題につながっている。

まず、accessiBe(そしてやAudioEyeなどの開発者向けのツール)のような自動化プロセスが実際にすべてのアクセシビリティの問題を検出し修正できるのかは疑問の余地がある。最高品位の分析さえ通過してしまったり、自動修正されずに残ってしまったりする問題が数多くある(同社は無料の評価用ツールを提供しているため自分のウェブサイトでどういう問題が検出され、どういう問題が残ってしまうのか知りたい場合に利用できる)。

accessiBeのCEOであるShir Ekerling(シャー・エカーリング)氏によれば、こうした懸念は近年テクノロジーが向上したことで改善されつつあるという。

「accessiBeはすべてのウェブサイトを毎日スキャンして分析しています。サイトの中のどれがインタラクティブな要素か、どこをクリックしてどこにマウスを置くのか、一番長く留まる場所はどこなのか、自動で正確に知ることができます。これを当社が実行する確率論アルゴリズム(サイトのすべての要素を、尋常でない量の人工的なデータを含む10万件以上のウェブサイトの要素と照合する)と組み合わせることで、すべての要素の正確な位置を1つずつ把握し、WCAG 2.1 level AAに準拠したアクセシビリティを備えるように調整できるのです」と同氏は語っている(WCAGのガイドラインはここで閲覧できる)。

また、オーバーレイがユーザーサイドの既存のアクセシビリティ手法と競合してしまうことも懸念されてきた。画像に自動でキャプションを入れたり、何らかの手段でテキストを読み上げたりするブラウザーやアドインを使っている場合などである。しかし、エカーリング氏によれば、そうした場合accessiBeはユーザーサイドのツールを優先しているという。また、これまでオーバーレイの多くとは異なり、モバイル端末のブラウザーでも機能する。

さらに、もっと哲学的な問いがある。アクセシビリティ機能のオンオフを元から切り替えられるようにしていることで、サイトの所有者はある意味、自分のサイトへの「区別されてはいるが平等なアクセス」を維持しているのではないかということだ。これはアクセシビリティの分野では絶対にやってはいけないことだ。レストランが入り口のドアにスロープを設置する代わりに、車椅子の人のために別のダイニングルームを用意するようなものだ。もちろん、accessiBeは別のサイトを作ったりソースコードに恒久的な修正を加えたりしてはいないので、そうした指摘は当然あてはまらない。しかし、元のサイトがアクセシブルに作られておらず、アクセシビリティのレイヤーを重ねているだけだというもの明らかだ。

同社の立場は、オーバーレイがADAへの準拠とWCAGのベストプラクティスに必要なあらゆることを提供しているため、ウェブサイトをアクセシブルにするための完全なソリューションを構成しているというものだ。しかし、それに同意せず、1行のコードで実装できるサードパーティーのサービスがあるからという理由で開発者がアクセシビリティを無視しても構わないと考えるべきではない、と主張する人たちもいる。

また、accessiBeはウィジェットを含むウェブサイトに依存しない、ユーザー向けバージョンにも取り組んでいる。ウィジェットは多くの人にとって非常に便利かもしれないが、必ずしも基本的なレベルでウェブをよりアクセシブルにしているとはいえない。それには多くの当事者と企業による努力が必要となる。最近入社した「最高ビジョナリー責任者」のMichael Hingson(マイケル・ヒングソン)氏は、うまく機能するオーバーレイの利便性を肯定しながらも、この問題を認識している。

同社は2020年、K1 Investment Managementから2800万ドル(約29億6000万円)の資金調達を行った。K1は当初、2020年5月に1200万ドル(約12億6000万円)を投資したが、2020年に大量に顧客が流入した結果accessiBeのARRが3倍に上昇したため、コミットメントを倍以上に増やした。この資金の多くは今後の研究開発に使われる他、障害のある当事者からのコンサルティング費用や、テスト、フィードバック、開発の分野で障害者の雇用を増やすことに使われる。

すべてのウェブサイトはアクセシブルであるべきだという意見には、あらゆる人が同意するだろう。だが、そこに到達するには、長い期間と複雑で費用のかかる道のりが待っている。accessiBeのようなツールは恒久的な対策ではないかもしれないが、明日にでもウェブサイトをもっとアクセシブルにできる。根本的な改修に数カ月、数年かかるような場合でも、ADAのルールに適合していないことを理由として起こる訴訟への潜在的な脆弱性を低減できるのだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:accessiBeアクセシビリティ資金調達

画像クレジット:accessiBe

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」の開発・運営を手がけるascend(アセンド)は3月10日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からの融資による5500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サムライインキュベート。

調達した資金は、アセンド・ロジの製品版ローンチおよびセールス拡大にあてる。アセンド・ロジは、昨今叫ばれている「物流クライシス」の構造要因となっている、デジタル化の遅れに伴う生産性の低さ、サービスのコモディティ化に伴う荷主交渉力の低下といった問題をDXにより解決するものとしている。

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

アセンド・ロジは、業務改善とデータ分析の2領域でDXを推進し、業務の効率・品質を改善およびデータ分析によって物流業界の経営改善に貢献するという。「案件・請求管理」「ダッシュボード」「経営分析レポートの発行」機能による業務のデジタル化を通じて物流データを形成し、経営の高度化を支援するとしている。従来のソリューションが業務改善領域にフォーカスをあてるのに対して、アセンド・ロジはデータを軸に物流DXを推進する。

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

また、データが欠如している物流現場の実態に即して、専門性の高いコンサルタントが現場に入り込むことで、各社の実態に合わせたDXを推進する。最終的には、ヒアリングによる定性情報も含め、実際の収益改善まで踏み込んだ分析を提供するという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ascend(企業)資金調達(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)物流 / ロジスティクス(用語)日本(国・地域)

Istioのオープンソースアプリネットワーキングプロジェクトから生まれたTetrateが43.4億調達

複数のアプリケーション間で容易にデータの共有ができるようにするオープンソースのネットワーキングプロジェクトを商用化するTetrateが、4000万ドル(約43億4000万円)の資金を調達した。

Sapphire Venturesが主導した今回のラウンドは、Istioプロジェクトの重要性と、クロスプラットフォームのデータ共有を促進する重要なサービスがいかになっているかを強調している。

新たな投資家としてScale Venture PartnersNTTVCが、既存投資家としてDell Technologies CapitalIntel Capital 8VCSamsung NEXTなども参加している。

Tetrateによると、今回の資金は、同社のハイブリッドクラウドアプリケーションのネットワーキングを支えるプラットフォーム開発の継続と、アプリケーションのサービスメッシュをより使いやすくするIstioをベースとする新しいプロダクトのサポートに充てるという。また、ラテンアメリカとヨーロッパ、アジアへの業務拡大も、資用途の1つとして計画しているとのことだ(個人的には、そのお金をすべて紙幣にして、スクルージ・マクダックのように泳いでみたい)。いっそ全額を1ドル紙幣にして、その中でスクルージ・マクダックのように泳ぐのはどうだろう。

Tetrateの取締役会に加わる大型VCであるSapphireのパートナーで社長のJai Das(ジャイダス)氏は、次のように述べている。「マイクロサービス革命が進展する中で重要なのは、マイクロサービスで構築されコンテナでデプロイされるアプリケーションをIstioを使って管理することだ。Tetrateはプロダクトと創業チームの経歴が一流であるため、Istioをエンタープライズのメインストリームに育てていくことができると確信している。プロダクトとチームの両方で、マルチクラウドでハイブリッドなクラウド環境における管理とデプロイが極めて容易になる。我々が日常使用するアプリケーションは、バックグラウンドの仕事量が膨大だが、TetrateはIstioベースのサービスメッシュ技術でそれらを支え、マイクロサービス間のトラフィックを管理し、可視性を加え、セキュリティを強化する」。

2018に創業したTetrateは、2019年に公式ローンチし、その際の1250万ドル(約13億6000万円)のラウンドが同社のプロフィールを高め、オープンソースのIstioとEnvoy Proxyによるサービスの商用化とプロフェッショナル化の道を拓いた。

米国防総省をはじめ、多くの大物顧客がTetrateのサービスを現在利用している。Tetrateは軍向けにDevSecOpsのプラットフォームPlatform Oneで使われている。

米空軍のソフトウェア最高責任者であるNicolas Chaillan(ニコラス・チャイラン)氏が声明で次のように述べている。「Platform Oneの運用をIstioで安全かつ円滑にするためにTetrateと提携した。Platform Oneは国防総省全体の重要性の極めて高いシステムで使われている。Tetrateのチームは、ワールドクラスの専門技術を提供し、我々のチームの要員を訓練し、プラットフォームのアーキテクチャと構成を精査してデバッグとアップグレードをサポートした。我々は優れたプロダクションサポートを得てプラットフォームを円滑に運用し、また、我々のスタックの重要なレイヤーに関して彼らとそのプラットフォームを頼りにしている」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Tetrate資金調達

画像クレジット:Yuichiro Chino/Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

炭素排出量・ESG管理のB2BプラットフォームのドイツPlan Aが約3.3億円調達

ベルリンを拠点とするB2BのSaaSスタートアップ企業のPlan A(プランA)が、300万ドル(約3億2600万円)の資金調達を行った。同社は企業が環境フットプリントを測定、監視、削減、報告してESG評価を向上させるプラットフォームを提供している。フランスのVCであるDemeter(デメーター)がドイツのVCであるCoparion(コパリオン)とともに主導したこのラウンドには、ソフトバンクが戦略的投資家として参加した。今回の資金は、Plan Aの欧州における企業顧客向け炭素排出量・ESG管理ソフトウェアの強化と、国際的な事業拡大のために使用される。

炭素排出量管理ソリューションの市場規模は、今後5年間で100億ドル(約1兆900億円)から260億ドル(約2兆800億円)になるとの試算もある。米国のグリーンディールと新たに制定された「EUタクソノミー(持続可能な経済活動に関するEU統一の分類)」は、企業に炭素排出量を管理するように圧力をかけ、Plan Aのようなプラットフォームに対する評価を引き上げることにつながった。英国の Emitwise(エミットワイズ)は340万ドル(約3億7000万円)を調達しており、Watershed(ウォーターシェド)のような企業もある。しかし、Plan Aによれば、同社のプラットフォームは、企業の炭素排出量を継続的に自動化して監視するため、競合他社よりも包括的だという。

2017年に設立されたPlan Aは、Société Générale(ソシエテ・ジェネラル)、GANNI(ガニー)、AlbionVC(アルビオンVC)、BMW Foundation(BMWファウンデーション)、BCG Digital Ventures(BCGデジタル・ベンチャーズ)、サッカークラブのWerder Bremen(ヴェルダー・ブレーメン)などの顧客を獲得することに成功した。

Plan Aの共同設立者でCEOを務めるLubomila Jordanova(ルボミラ・ジョーダノヴァ)氏は次のように述べている。「Plan Aのテクノロジーは企業を変革し、持続可能性を競争上の優位性に変えることを可能にしました。私たちは、クラス最高の技術の開発に何年も取り組んできましたが、今回の投資により、世界中の企業のニーズに合わせた炭素・ESG管理プラットフォームをさらに仕立てることが可能になります」。

DemeterのパートナーであるOlivier Bordelanne(オリビエ・ボルドランヌ)氏は次のように述べている。「企業の持続可能性指標や気候リスク度に関して、データを基にした洞察を提供するB2Bモニタリングサービスやプラットフォームに対する需要は高い。私たちが最近調査したカーボンフットプリント測定を提供する多くの企業の中で、Plan Aとそのチームは、企業がカーボンフットプリントを計算し、監視し、最小化やオフセット行動を通じて削減するのを支援するワンストップショップとして自らを位置づけることで、際立っていました」。

CoparionのパートナーであるAlexander Lüttge(アレクサンダー・リュットゲ)氏は次のように述べている。「Plan Aは、カーボンフットプリントの透明性を高め、最小化やオフセットするための、統合が容易で使いやすいSaaSソリューションを企業に提供しています。我々の見解では、彼らのソリューションは、排出量データ収集を自動化する最も汎用性の高い製品であるだけでなく、排出量とコスト構造の透明性を創出し、事業プロセスを自動的に最適化させ、企業にとって大きな付加価値をもたらします」。

ジョーダノヴァ氏によると、競合他社はカーボンフットプリントを単発で計算し、オフセットを支援した後、それ以上の作業を支援することなくオフセットのための証明書を発行する傾向があるという。「私たちはこれらのサービスをすべて提供していますが、企業が継続的にカーボンフットプリントを削減し、サステナビリティを実施する方法を学ぶこともできるようにしています」と、彼女は筆者に話してくれた。

Plan Aは、新たな環境規制から恩恵を受けられる立場にある。米国の新政権とEUは指針を大きく転換し、排出量の報告についてより多くの透明性を求めている。オランダでは90以上の銀行が、二酸化炭素排出量の透明性を高めるための協定に署名した。一方で、化石燃料から得られる資金は、ESG投資に転用されている。しかし、当然のことながら、その資金を得ようとする企業は、排出量を証明する必要がある。そこでPlan Aの出番となるわけだ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Plan A資金調達ESGカーボンフットプリント

画像クレジット:Plan A

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

デジタル人材派遣のJobandtalentが米国進出に向けソフトバンクから129億円調達

スペインのデジタル人材派遣スタートアップJobandtalent(ジョブアンドタレント)がシリーズDの資金調達でソフトバンクのビジョンファンド2から1億ユーロ(約129億円)を獲得した。Jobandtalentはeコマースや倉庫業、ロジスティック、製造などの分野で臨時労働者を必要とする雇用者と人材をマッチングするツーサイドプラットフォームを運営している。

同社の既存投資家にはAtomico、Seek、DN Capital、InfraVia、Quadrille、Kibo、FJ Labsなどがいる。

今回の資金調達は、TechCrunchが1月に報じた1億800万ドル(約117億円)のシリーズCラウンドにすぐさま続くものだ。2009年の創業以来、同社がこれまでに調達した額は3億1000万ユーロ(約400億円)になった。

Jobandtalentはまた、BlackRockからの最大1億ドル(約108億円)のデットによる調達も発表した。

現時点ではデットとエクイティの組み合わせの方が、資本が少ない場合よりも速くマーケットプレイスの成長を加速させることができ、より多くのリソースをプロダクトやテック開発に注ぐことができるとJobandtalentは話す。

テック面についていうと、同社のプラットフォームは人材と仕事をマッチングするのに学習アルゴリズムを使って雇用プロセスをスピードアップしている。また雇用者向けに、労働者のパフォーマンスをリアルタイム追跡して分析するのに使えるCRM(顧客関係管理)も提供している。このCRMは労働者の満足度をモニターし、労働者の自然減を抑制し、欠勤や遅刻のようなメトリックスを追跡するのを手伝うとJobandtalentは話す。

人材向けには、着実にそして簡単にシフトワークを獲得できると約束している。Jobandtalentは求職申し込み管理と給与支払いを1カ所に統合しているために、マーケットプレイス / ワークフォース・アズ・ア・サービスのモデルが人材に継続雇用(例えば連続した一時的な業務を通じて)を提供することができると示唆する。

マーケティングでも、こうした労働者に通常フルタイムの雇用にともなう雇用保障と、年金や有給傷病休暇、健康保険(一部のマーケットでのみ)、訓練コースといった福利厚生を提供するとしている。

共同CEOで共同創業者のJuan Urdiales(ホアン・ウルディアレス)氏によると、新たに調達した資金でJobandtalentは「来年」米国マーケットに参入し、現在展開している8つのマーケット(スペイン、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、メキシコ、コロンビア、ポルトガル)の外に事業を拡大する。

ウルディアレス氏は欧州でさらに2つのマーケット、イタリアとオランダに目を付けていることも認めた。

「米国ではまだ、当社が専門とする分野(eコマース、ロジスティックなど)で大規模に複数の州で事業展開する競合相手を目にしていません。これが、当社が米国で大きなチャンスを手にしていると確信している理由の1つです」と同氏はTechCrunchに語った。

「米国は開拓するのにかなり難しいマーケットになるかもしれません。しかし、多くの欧州企業が米国に事業を拡大し、成功する例が増えています(SpotifyやKlarna、Adyenなど)」と付け加えた。

「当社にもそれが当てはまると信じています。かなりの労働者の権利と複雑な規制環境をともなう欧州で当社のモデルを展開し、当社は米国でプラットフォームを立ち上げて労働者や雇用者に価値の大きな提案を提供する絶好の位置にいます」。

ウルディアレス氏によると、Jobandtalentのプラットフォームは米国でも他国と同様の特典や福利厚生を労働者に提供する。

「当社のマーケットプレイスで提供されている特典や福利厚生はどこの国の原則も満たし、それらはすべて労働者に正規従業員と同じ種の福利厚生や特典を提供することを目的としています。これを実行するにはどの国でもいくらか調整が必要で、米国でも同様でしょう」と述べた。

2020年は労働者8万人超が臨時の仕事を探すのにJobandtalentを活用した、と同社は話す。そしてXPO、Ceva Logistics、eBay、Ocado、Sainsbury’s、Bayer、Santanderなどを含む企業850社超が臨時労働者を確保するのにJobandtalentを使った。

Jobandtalentの売上高ランレートは2016年の500万ユーロ(約6億5000万円)から2020年には5億ユーロ(約646億5000万円)に成長した。これはEBITDAでの黒字につながった、と同社は話す。同社はまた、前年比で100%を超える成長率もうたっている。

声明でのコメントで、ソフトバンクのマネージングパートナーYanni Pipilis(ヤニー・ピピリス)氏は次のように述べた。「Jobandtalentは、フレキシビリティと高品質、信頼できる就業機会のバランスをどうとるかという、現代の労働力に関する重要な問題を解決しています。同社は、労働者のために安定収入と福利厚生を確保しつつ、補充すべき臨時労働職を抱える事業者への高達成と低欠損の人材派遣を提供する追跡記録を持つ、データに基づくプラットフォームを開発しました。同社の成長の次段階でホアンとフェリッペ、そしてチームと提携することにかなり興奮しています」。

シリーズDでソフトバンクからの投資を受けるという決断について、それはソフトバンクが提供できる規模によるものなのか、それともJobandtalentがソフトバンクの他のポートフォリオ企業との潜在的な相乗効果を期待しているのか尋ねると、ウルディアレス氏は次のように語った。「ビジョンファンドは当社と同じような規模の企業と多くの経験を持っており、ビジョンファンドのチームが今回の新たな投資ラウンドで当社に多くの価値を追加してくれると確信しています。当社はビジョンファンドが過去数年に出資した企業やマネジメントチームから多くのことを学ぶことができます。ビジョンファンドは起業家的なマインドセットとテクノロジーやAIがどのように多くの産業をディスラプとするのかについて明らかなビジョンを持っていて、当社のカテゴリーに関して同じビジョンを共有しています」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Jobandtalent資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Jobandtalent

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

オーディエンスエンゲージメント分析でマーケターを支援するTrufanがシード2.5億円調達

マーケターがSNSフォロワーを分析し、オーディエンスデータを収集するのを支援するツールを提供しているスタートアップのTrufanは、米国時間3月9日、230万ドル(約2億5000万円)のシード・ラウンドを調達したと発表した。

これまでの資金調達総額は比較的少額(410万ドル、約4億4000万円)であるにもかかわらず、Trufanはすでに2つの注目すべき買収を行っている。まず同社は2019年にSocialRankの製品と事業を買収し、ブランドに最も価値のあるSNSフォロワーを示す機能を提供できるようになった。そして昨年には、消費者がメールアドレスなどの情報を提供して応募する懸賞を主催し、マーケターがコンタクト情報を得るPlayr.ggを買収した

Trufanによると、同社の製品全体では1万人以上の無料ユーザーがおり、Netflix(ネットフリックス)、NBA、NFL、Sony Music、United Talent Agencyなどを含める600社以上の有料顧客がいるという。

同社は次は、2つの主要製品を統合し、プライバシー要件に準拠した顧客データ・オーディエンスエンゲージメントの総合プラットフォームを立ち上げ、新しいブランディングと価格設定を行うことを計画している。共同創業者兼CEOのSwish Goswami(スウィッシュ・ゴスワミ)氏は、規制当局が新たなプライバシー規制を導入したり、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)がサードパーティのデータに基づく広告ターゲティングに新たな制限を加えたり、消費者が自分のデータがどのように使われているか敏感になったりする中で、このプラットフォームは特に魅力的なものになるはずだと話してくれた。

Trufan創業者のAanikh Kler氏とSwish Goswami氏。画像クレジット:Trufan

「人々は匿名で追跡されることを望んでいません」とゴスワミ氏はいう。「人々は自分のデータを(無断で)取り上げられることは望んでいませんが、そうした人々の多くは、データを共有することと引き換えに何かを得ることができれば、そのアイデアに惹かれます」。

ゴスワミ氏は、ソーシャルネットワークの限界を考えると、ブランドがファーストパーティの顧客データを構築することは特に重要だと付け加えた。「5000万人のフォロワーを持っていても、投稿するたびに5000万人に届くわけではありません。一方、5000万人のメールや電話番号を持っている場合、実際にそのほとんどの受信箱や電話に届くかもしれません」。

今回の新たな資金調達はMoneta Venturesが主導し、MonetaのパートナーであるSabya Das(サバイア・ダス)氏がTrufanの取締役会に加わる。GP Ventures、Protocol Ventures、Athlete Technology Group のほか、Innovative Fitnessの創設者Curtis Christophersen(カーティス・クリストファーセン)氏、NBAチームUtah Jazz(ユタ・ジャズ)のフォワードであるDerrick Favors(デリック・フェイバーズ)氏、同リーグChicago Bulls(シカゴ・ブルズ)のフォワードであるThaddeus Young(サデウス・ヤング)氏などのエンジェル投資家も参加している。

ダス氏は声明の中でこう述べた。「Trufan は、顧客データ領域における障害を認識し、その障害を取り除くという点で、他のはるか先を行っています。彼らは本当に素晴らしいチームを擁するオールスター創業者であり、ファーストパーティ・データの問題を解決する彼らの信念と能力を信じているため、当社は彼らを支援できることに興奮しています」。

関連記事:「マイクロインフルエンサー」マーケティングプラットフォームを日本でも展開する台湾のInfluenxioが2.2億円調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:マーケティング 資金調達

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

AI利用の雇用市場分析でイスラエルのRetrain.aiが約14億円調達

イスラエルを拠点とするretrain.aiは、AI(人工知能)とマシンラーニングを利用して求人掲示を大量に調査し雇用市場の動向を分析しているが、今回はSquare Peg率いるシリーズAでは900万ドル(約9億8000万円)を調達した。2020年の400万ドル(約4億3000万円)のシードラウンドは未発表(Hetz Venturesが主導し、TechAvivと.406 Venturesが参加)だったため、retrain.aiは合計1300万ドル(約14億円)を調達したことになる。ライバルには5660万ドル(約61億円)を調達したPymetricsや、1億7680万ドル(約190億円)を調達したEightfold.aiなどがある。

今回の資金調達に加えて、retrain.aiはイスラエル労働省との間で最初の契約を結び、パンデミックにより変化する同国の雇用市場の変化について調査を行う契約を結んだ。

テクノロジーが従来の労働市場を侵食する中、retrain.aiのプラットフォームはどのような仕事が広告されているか、あるいはどのような仕事の人気が下がっているかを調べ、新しい仕事がどこから現れるのかを早期に警告できるという。これは、大規模な組織や政府の政策形成に役立つ。

retrain.aiのCEOはShay David(シェイ・デイビッド)博士で、同氏はビデオエンタープライズのリーダーであるKalturaを共同設立したことで知られており、2007年にはTehcCrunch初のカンファレンスにも登壇した。COO(最高執行責任者)にはIsabelle Bichler-Eliasaf(イザベル・ビヒラー・エリアサフ)氏、CTO(最高技術責任者)にはAvi Simon(アヴィ・サイモン)氏が就任している。

デイビッド博士は「かつては労働力の定期的な変化が大きな流れに発展し、特に新型コロナウイルスがその労働市場への大きな影響を顕著に示し、警鐘となりました。失業と不完全雇用は、今後数十年のうちに世界中で10億人もの人々に影響を及ぼすでしょう。私たちのビジョンは、2025年までに1000万人の従業員が適切な職に就けるよう支援し、組織が変化の波の中を効率的に進むのを支援することです」と述べた。

retrain.aiは、Square Pegによる4億5000万ドル(約490億円)規模の新ファンドによる最初の投資となる。同VCはこれまでにCanvaやStripe、Fiverr、Airwallexに投資していた。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:retrain.ai機械学習資金調達

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

デモ構築プラットフォームのDemostackが18.8億円の調達を発表

企業がソフトウェアのデモを簡単に作れるようにすることを目指す、アーリーステージスタートアップのDemostack(デモスタック)が、米国時間3月9日、1730万ドル(約18億8000万円)の資金調達を発表した。同時にステルス状態からの脱却も発表された。

実際にはこの調達の内容は、Bessemer Venture Partnersが主導しGTM Fundと複数の個人投資家が参加した1330万ドル(約14億5000万円)のシリーズAラウンドと、Amiti Venturesが主導しOperator Collective、Cerca Partners、その他多くの個人投資家が参加して昨年12月に行われた400万ドル(約4億3000万円)のシードラウンドによる2つのラウンドだ。Demostackによれば、シードラウンドに参加した全投資家がAラウンドにも参加したという。

現在あらゆるタイプのソフトウェア企業が、実際の顧客情報を使うことなく、合理的かつリアルな方法で、すべての機能を示すことのできる、高品質なデモを作成する課題に直面している。前職でこの問題を経験した共同創業者でCEOのJonathan Friedman(ジョナサン・フリードマン)氏は、それを何とかしたいと考えていた。

「私たちが開発しているのは、パーフェクトなデモ環境です。つまり、営業やマーケティング担当者が自由にできるものという意味です[…]エンジニアが介入する必要がなく、デフォルトで見込み客ごとにカスタマイズされるようなものです」とフリードマン氏は説明する。

彼は、デモが上手く行かないのではないかとか、想定外のデータをうっかり見せてしまうのではないかといった不安を、この製品が取り除くのだという。「デモに対して感じる不安は深刻です。PII(個人を特定できる情報)を気にしなければならないので、本番環境の中にログインして入ってもらい、そこで何かを作るという手段は受け入れることができませんでした」と彼はいう。

フリードマン氏はその状況を変えるためにDemostackを創業した。彼らは、環境の録画から始まる完全なデモ構築ツールを提供しているので、それはまるで実際の製品のようにみえる。また特定の見込み客向けにデモを作成する際に、顧客名のような変数を使ってCRMツールから情報を引き出し、自動的にカスタマイズを行うことができる。

このソリューションが、リード投資家Bessemer Venture PartnersのパートナーであるAdam Fisher(アダム・フィッシャー)氏の目に留まった。彼は声明の中で「Demostackは、あらゆるソフトウェアビジネスに強力な競争上の優位性を与え、昔ながらの気まぐれなデモを排除して、見込み客のエンゲージメントを向上させます」と語っている。

Demostackは、すでに20人の従業員を抱えており、今年中にはその数を3倍にする予定だ。フィッシャー氏は、同社の初期従業員はすでに多様な構成となっていて、それが重要な要素だと捉えているという。

フリードマン氏はいう「私たちが早い段階からそのことに注意を払っている主な理由は、多様性のある企業というのはおまけとして目指すものではないからです、『ああ、そうしておくと世間で評判がいいからやっておこう』という感じではありません。色々な立場のひとが、どのように現実を見ているのかを理解することはできません。ひとは皆、現実の違う断片を見ているのです。それを押さえておくことができなければ、成功する会社を作ることはできません」。

同社は昨年9月にローンチし、この2月にはその早期版をリリースした。本日(米国時間3月9日)Demostack社は会社の内容を公開したが、完全な製品の配布が始まるのは今年の中頃の予定だ。

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画像クレジット:gilaxia / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:sako)