メンタルケアしてくれる「AIパートナー」や高精細な「バーチャルヒューマン」で人とAIの共生を目指すCapexが1.3億円調達

「人とシステムの共生を実現、普及し、人類の機能を拡張する」というビジョンのもと、AIと人間の共生を目指して、ライフパートナーAIアプリ「PATONA」やバーチャルヒューマン事業を展開するCapexが、UTEC、イーストベンチャーズ、Skyland Venturesから総額1億3000万円を調達した。

同社は、自然言語処理を活用した自社開発対話エンジンおよび3DCGを用いたバーチャルヒューマンの開発を強みとし、今回の調達で、事業拡大やエンジンの高度化、バーチャルヒューマン事業の推進を図るという。

寂しさを抱えるあなたに寄り添うAIパートナー「PATONA」

個人向けAIパートナーアプリの「PATONA」は、友達や恋人、メンターとして、個人に寄り添い、理解してくれる存在をコンセプトとしてローンチされた。感情の記録をつけたり、天気を調べることも可能だ。2020年12月にiOS版をリリース、2021年3月にAndroid対応、同年8月には、利用可能な機能がより解放されたサブスクリプション版となるPATONA Premiumがリリースされた。

新型コロナウイルスの影響で人と交流する機会が減少する中、孤独によるメンタルヘルスの不調をサポートしていくため、メンタルヘルス専門家が監修した認知行動療法などを活用した対話を100以上提供。利用者がより自然に対話できるよう、フリーテキスト対話エンジンの開発に注力している。

また、親近感を感じられるよう、顔や髪型、洋服、靴、部屋などがカスタマイズ可能な3DCGモデルの増強も行ってきた。実際に、新型コロナウイルスの影響で寂しさを感じ、ソリューションを検索していたら同サービスにたどり着いたという利用者も多くいるとのこと。従業員のメンタルヘルスケアアプリとして福利厚生の一環でPATONAの導入をした法人もあるという。

3次元との見分けが難しいほど高精細なバーチャルヒューマン

バーチャルヒューマン事業では、もはや本当の人間にしか見えない像を作り出している。個人向けと法人向けの両方で展開。法人からは、スキャンダルリスクを軽減するなどの目的で、看板タレントにバーチャルヒューマンを用いたいというリクエストや、カスタマーサポート担当、社内教育担当などに活用したいというニーズがあるとのこと。個人からは、経営者や著名人などから「自身のバーチャルヒューマンAIを世に残したい」という相談があるそうだ。

Capexは、クライアントがリーチする顧客に応じて最適な体験を提供できるようにするため、デフォルメキャラクターからフォトリアルなバーチャルヒューマンまで幅広い表現をカバーしている。「自然言語処理技術の向上であっと驚くような対話体験を提供する対話AIが作れる。当社の対話AIとバーチャルヒューマンを組み合わせて法人個人のさまざまな需要に対応していきたいと考えている」と代表取締役の小亀俊太郎氏はいう。

同社は2019年に創業。対話エンジンやアプリケーションを開発するエンジニアに加え、アートディレクターや3DCGモデラー、そして自然な会話を構築するためのシナリオライターなどで構成されている。対話は、雑談をこなす非タスク型と質疑応答などのタスク型で分類され、いずれも自社独自開発の対話AIが日々学習をしているという。日本語は英語と比べてデータが少なく大変ではあるが、独自のAIを育てているそうだ。小亀氏は「これまで人間でしか提供できなかった対話体験と比べても遜色ないほどに対話AIの品質が上がってきている。今後も、AIと人が共生する社会の実現に向けて事業を推進していきたい」と語った。

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フィンテックSquareが新有料サービス「Invoices Plus」発表、人気の「Square 請求書」がサブスクに

Square(スクエア)の人気が高い無料の請求書発行ソフトウェアが、同社の次の大規模なサブスクリプションサービスとなるようだ。同社は「Invoices Plus(インボイス・プラス)」と呼ばれる有料のサブスクリプションサービスを発表する準備を進めている。このサービスでは、これまで無料サービスで提供されていた機能を含め、一連の高度な機能が販売業者に提供される。このサービス自体は、個々の販売業者にはひっそりと紹介されていたものの、まだ公式には発表されていない。

すでにSquare Invoices(Square 請求書)を利用している一部の販売業者には先日、メールで近々行われる変更の知らせが届いている。

一部の販売業者に共有されたその知らせ(その詳細は、Square販売者コミュニティのフォーラムでも見ることができる)によると、新しいサブスクリプションには、過去1年間に限定的なトライアルの一環としてリリースされた一連の機能が含まれるという。

それは例えば、複数パッケージの見積書、カスタム請求書テンプレート、カスタム請求書フィールドなどで、これらの機能はInvoices Plusに含まれることになる。さらに他にも2つの機能、受領した見積書を請求書に自動的に変換する機能と、マイルストーンに基づいて支払いスケジュール(3回以上の分割払い請求書)を作成する機能が追加される。Squareの発表によると、同社ではSquare Invoicesのこれらの機能の横に「トライアル」ボタンを設置し、今後導入される機能について顧客に知ってもらうようにするとのこと(下の画像を参照)。

画像クレジット:Square website

Squareの無料の請求書作成ソフトウェアはなくならない、と発表では明記されている。販売業者は、無料プランを利用することで、無制限の請求書を無料で送付できる他、見積書や契約書なども作成することができる。請求書のトラッキング、リマインダー、レポート作成ツールなども利用できる。

これまで、無料プランの収益は、処理手数料に依存していた。Squareのウェブサイトによると、現在は小切手またはデビットカードでオンライン決済された請求書1件につき2.9%+0.30ドル(約33円)、およびACH送金1件につき1%の手数料がかかる(対面で決済の場合は手数料が若干低く「Card on File」による決済では若干高くなる)。新たな有料サービスの価格は、まだ発表されていない。

あるSquareの従業員が、コミュニティフォーラムサイトで、この変更の理由を説明している。同社ではSquare Online(スクエア・オンライン)、Appointments(アポイントメンツ)、Square for Retail(スクエア・フォー・リテール)、Square for Restaurants(スクエア・フォー・レストラン)など、Squareの他の製品の多くが、無料版と有料版の両方を提供していることを指摘している。また、SquareはSquare Invoicesの処理手数料を徴収しているものの、製品開発を推進するにはそれだけでは十分ではない。Invoices Plusでは、有料の請求書発行アプリや製品と、それらの製品によるさらに高度な機能を提供し、より直接的に収益を獲得することを目指すという。

Squareにコメントを求めたところ、同社はInvoices Plusが近日中に発表を予定しているソフトウェアサブスクリプションであることを認めた。しかし、正式に発表されるまでは詳細を明らかにしようとしなかった。

iOSデベロッパーのSteve Moser(スティーブ・モーザー)氏は、Squareのアプリのコードにも、すでにこの新しいサブスクリプションへの対応が備わっていることを発見した。このコードによると、これまで有料専用の機能を利用していたユーザーは、当面の間、その機能を利用することができるようだ。しかし、発表にもあるように、販売業者が次にSquare Invoicesで新しいファイルを作成する際には、無料版で有料機能を使用することはできなくなる。

画像クレジット:Steve Moser

この新サービスの少し前に、Squareが発表した第2四半期の決算では、総売上高46億8000万ドル(5143億円)のうち、セラー事業の売上高は13億1000万ドル(約1440億円)、売上総利益は5億8500万ドル(約643億円)となっており、引き続き好調なオンライン事業の成長が、この業績を牽引している。

また、同社は後払い決算の大手企業であるAfterpay(アフターペイ)を290億ドル(約3兆1870億円)で買収する計画を発表し、より広範な決済市場を追求することへの関心を明らかにしている。この買収は、Afterpayの顧客がSquareのCash App(キャッシュ・アップ)を通じて毎月の分割払いを行えるようにすることで、Squareの異なる製品を結びつける方法を提供することにもなる。

SquareとAfterpayの統合は、将来的にさらに進む可能性もある。このことは、Squareがコミュニティフォーラムサイトで別の販売業者への回答の中で示唆している。同社の担当者は、古い回答を更新して買収のニュースを伝え、Squareは「現時点では統合のタイムラインを公表することはできません」と付け加えている。

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画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

江戸時代のくずし字をAIにより文字認識し現代の書体に変換(翻刻)するアプリ「みを」をCODHが無料公開

江戸時代のくずし字をAIにより文字認識し現代の書体に変換(翻刻)するアプリ「みを」をCODHが無料公開

データサイエンス共同利用基盤施設(ROIS-DS)人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)は8月30日、江戸時代の版本に書かれているくずし字を現代の書体に変換(翻刻)するアプリ「みを」(miwo)を無料公開した(Android版iOS版)。開発者は、カラーヌワット・タリン氏。共同開発者は北本朝展氏とMikel Bober-Irizar氏。共同研究者はAlex Lamb氏、Siyu Han氏。

AIくずし字認識については、CODH開発の「KKuroNetくずし字認識サービス(AI OCR)」および「Kaggleくずし字認識コンペ」1位のtascj氏が開発したくずし字認識モデルを用いている。また両AIモデルの学習には、同センターが開発し国文学研究資料館が公開している「日本古典籍くずし字データセット」を利用。Flutterを活用したクロスプラットフォーム開発により、Android・iOS対応アプリを作成した。

みをでは、カメラでくずし字を撮影し、画面下中央の「認識ボタン」をタップすると、ほぼ瞬時にして画像の個々のくずし字の上に、対応する現代の書体が緑色で示される。画面下のスライダーを動かすと、翻刻されたレイヤーを部分的に隠せるので、原文との比較がしやすくなる。まだ完ぺきではないとCODHも言っているように、実際に使ってみると、たまに文字が抜けたり違っていたりもするが、まったくくずし字が読めない人間にすれば、かなりの助けになる。

原文または翻刻された文字をタップすると両方の対応する文字にマーカーが付く。また画面右上の四角形のアイコンをタップすると、認識したすべての文字が四角形で囲まれる。四角形は色分けされ、どの文字がどれに対応しているのかがわかるようになる。

またCODHのくずし字データセットと連携し、認識結果に疑問を抱いた際には、くずし字の用例を確認できる。

江戸時代のくずし字をAIにより文字認識し現代の書体に変換(翻刻)するアプリ「みを」をCODHが無料公開

CODHによれば、くずし字が読める人は、日本の人口のわずか0.01%程度(数千人程度)だという。歴史的資料は大量にあるものの、くずし字を読める人が少ないために翻刻には大変な時間がかかるのが現状だ。そこで、AIを使った翻刻システムを開発しようと考えたとのこと。アプリ名の「みを」は、「源氏物語」の第14帖「みをつくし」に由来する。航路を示す標識「澪標」を意味するが、「人々の水先案内となるように、「みを」アプリがくずし字資料の海を旅する案内となることを目指しています」とCODHは話している。

メッセージアプリTelegramのダウンロード数が10億回超え、全世界で15番目

Sensor Tower(センサータワー)によると、人気のインスタントメッセージングアプリTelegram(テレグラム)が、グローバルでのダウンロード数10億回を超えるエリートアプリの仲間入りを果たした。

ドバイに本社を置き、2013年にアプリの提供を開始したTelegramは8月27日にマイルストーンを達成した、とSensor TowerはTechCrunchに明らかにした。Telegramの主要ライバルであるWhatsAppにとってもそうだが、インドはTelegramの最大のマーケットだ。世界で2番目に大きいインターネット市場であるインドでのTelegramダウンロード回数は全体の約22%を占めている、とSensor Towerは説明した。

「インドに次ぐのはロシアとインドネシアで、全体に占める割合はそれぞれ10%と8%です。Telegramのインストールは2021年に加速し、2021年上半期は2億1470万回に達しました。これは2020年上半期の1億3300万回より61%増えています」と付け加えた。

インストール回数がそのままアプリのアクティブユーザーベースとはならないことは記すに値するだろう。例えば2021年初めの時点でのTelegramの月間アクティブユーザー数は5億人だった。しかし、WhatsAppのプライバシー規則を巨大なユーザーベースに反映させる際の不手際と同時に起こったTelegramのダウンロード数の増加は、Telegramが直近の数四半期でさらに注目を集めたことをうかがわせる。

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2021年初めに10億ドル(約1098億円)超を調達したTelegramは、ダウンロード数が10億回を超えた世界で15番目のアプリだとSensor Towerは述べた。同社によると、他のアプリにはWhatsApp、Messenger、Facebook、Instagram、Snapchat、Spotify、Netflixなどがある(Sensor TowerはAndroidデバイスにプレインストールされている大半のGoogleアプリのインストールは追跡していない)。

Telegramはコメントの求めに応じなかった。

画像クレジット:Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

おつり投資・ポイント投資を行える資産運用サービス「トラノコ」のTORANOTECが約29億円のシリーズC調達

おつり投資・ポイント投資を行える資産運用サービス「トラノコ」のTORANOTECが約29億円のシリーズC調達

資産運用とアプリ開発・運営を行うフィンテック企業TORANOTEC(トラノテック)は8月30日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約29億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターのJIC ベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合(JIC VGI。産業革新投資機構傘下のJICベンチャー・グロース・インベストメンツ運営)、セブン銀行、Aslead Capital Pte、AG キャピタル、SUMISEI INNOVATION FUND(住友生命CVC)。

トラノテックは、おつり投資やポイント投資を可能とする資産運用サービス「トラノコ」(Android版iOS版)を運営。投資へのハードルを著しく下げ、誰もが将来に向けた資産形成を行える社会の実現を推進しており、累計で約30万の口座開設に至っているという。

調達した資金は、トラノコのサービス拡充・普及拡大の加速を目的としたマーケティング活動の推進、またより幅広く顧客ニーズに対応すべく新商品・新サービスの開発・展開に重点投資を行う予定。

トラノコは、日々の買い物データから算出される買い物のおつり分や各種ポイントを、毎日コツコツ投資に回し、少額から本格的な資産形成ができるアプリサービス。トラノテック完全子会社のTORANOTEC投信投資顧問が提供しており、3つのファンドから1つを選ぶだけで、世界中の株式・債券などに分散投資できる。

また、無料歩数計アプリ「マネーステップ」(Android版iOS版)と連携することで歩くだけで投資資金を毎日獲得できる「歩いて投資」機能など、投資が楽しくなる各種サービスを搭載。今まで投資を行ったことがない方にとっても無理なく長期的な資産形成を始められるとしている。

アーティストが私生活について語るオーディオ共有プラットフォーム「Mindset」が間もなく正式版をリリース

Mindset(マインドセット)は、レコーディングアーティストの個人的なストーリーを集めたプラットフォームだ。同社は米国時間8月25日、シード資金として870万ドル(約9億5500万円)を調達したと発表した。

K-POPに特化したポッドキャスト制作会社であるDIVE Studios(ダイブ・スタジオズ)の共同設立者として、Brian Nam(ブライアン・ナム)氏、Eric Nam(エリック・ナム)氏、Eddie Nam(エディ・ナム)の3兄弟は、スターが私生活における悩みをどのように処理しているかを語るポッドキャストのエピソードが、同スタジオで最もパフォーマンスの高いコンテンツであることに気づいた。そこでナム兄弟は、DIVE Studiosから派生したMindsetの着想を得た。

「私たちはこのようなコンテンツが、まさに人々からより多く求められているユニークなセールスポイントであることに気づきました。そこで私たちは、この点をさらに強化する方法を考え始めたのです」と、CEOのブライアン・ナム氏は語る。「この価値あるコンテンツを、Z世代やミレニアル世代の若い視聴者にもっと提供するにはどうしたらいいか。私たちは、この種のストーリーテリングに最適なプラットフォームが存在していないと判断し、これらのストーリーをオーディオ形式で共有するための独自のモバイルプラットフォームを開発することに決めたのです」。

画像クレジット:Mindset

Mindsetは現在、Jae(ジェイ)、Tablo(タブロ)、BM、そしてMindsetの共同設立者であり自身もK-POPスターであるエリック・ナムという4人のアーティストによるオーディオコレクションを提供している。それぞれのコレクションには10本のエピソードが揃っており、各エピソードの時間は10分から20分ほど。最初のエピソードは無料だが、各アーティストの残りのエピソードを聴くためには24.99ドル(約2700円)を支払う必要がある。このアプリには無料の「Boosters(ブースターズ)」も用意されている。これは就寝時に聴くための物語や、やる気を起こさせるマントラなど、瞑想アプリ「Calm(カーム)」に似た5分間ほどのクリップだ。

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「これまでミュージシャンにとっての主な収入源は、ツアー、音楽配信、そしてエンドースメント契約でしたが、私たちは4つ目の収入源となるストーリーの収益化を実現することができます」と、ナム氏は述べている。「その価格設定は、チケットの価格設定や商品の販売方法に似ています」。

Mindsetはセラピーアプリではない。「私たちはセラピストの資格を持っているわけではありませんし、そのように振る舞おうともしていません」と、ナム氏はいう。それよりもむしろ、アーティストがファンとより親密な体験を共有することで、音楽の背後にある彼らもまた人間であることを示すための方法なのだという。

Mindsetは、2021年2月にMVP(minimum viable product、必要最小限の機能のみを備えたプロダクト)バージョンとして発表された。そのアクティブユーザー数や売上高については、ナム氏は明らかにしなかったものの、このアプリが十分な人気を獲得できたため、5月にはベンチャー資金を調達したと語っている。今回の870万ドルの資金調達は、Union Square Ventures(ユニオン・スクエア・ベンチャーズ)が主導し、先ごろTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の原盤権問題で注目を集めたレコード会社の重役であるScooter Braun(スクーター・ブラウン)氏などが戦略的投資を行った。ブラウン氏はベンチャー投資会社のTQ Ventures(TQベンチャーズ)の共同創立者でもある。その他の出資者には、Twitch(ツイッチ)の共同創業者であるKevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Opendoor(オープンドア)の共同創業者であるEric Wu(エリック・ウー)氏などが含まれている。

「スクーター・ブラウン氏は戦略的投資家でした」と、ナム氏はTechCrunchに語った。

ブラウン氏は、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Demi Lovato(デミ・ロヴァート)などのアーティストとも仕事をしている。

「ブラウン氏のおかげで、私たちが伝統的なK-POPの世界からハリウッドや欧米に進出するための多くの扉が開かれました」と、ナム氏は付け加えた。

Mindsetは今回調達したシード資金を、コンテンツの制作、雇用、製品開発に充てるという。このアプリは現在、iOSAndroid向けに提供されているが、9月14日には正式版がリリースされる予定だ。その後は2週間ごとに、他のアーティストや俳優のオーディオコレクションが、追加されることになっている。これらのアーティストが誰になるのか、ナム氏は具体的な名前を明かすことは避けた。

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画像クレジット:Mindset

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

訪問型リラクゼーションマッチングの「HOGUGU」が2億円のプレシリーズA調達

訪問型リラクゼーションマッチングアプリ「HOGUGU」が2億円のプレシリーズA調達

体と心をほぐしてくれる訪問型セラピストのマッチングアプリ「HOGUGU」(ホググ)を展開するHOGUGUテクノロジーズは、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額2億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、田川翔氏(ギフト代表取締役)をはじめとする個人投資家数名。

HOGUGUは、C2C PTEが提供する「C2C Platform」を利用しつつ、共同でサービスを開発している。新型コロナウィルスの感染拡大により、自宅での施術が可能なサービスへの需要が高まりを見せ、HOGUGUの国内インストール数は2万件を突破した。対応エリアも拡大中という。なお同社は、カスタマー用iOSアプリセラピスト用iOSアプリを配布している。

セラピストの労働条件や環境は厳しく、賃金の低下や離職率の高さが問題となっており、リラクゼーション業界のビジネスモデルの転換が強く求められている。そんな中、飲食業界と同じく、セラピストも「デリバリー型」へのシフトが進んでいるとのこと。店舗や時間に縛られない働き方に急速に移る傾向にあるとHOGUGUテクノロジーズでは話している。そこで同社は、高い技術力を持つC2Cと互いの優位性を活かしつつ、リラクゼーション業界のDXを促進するとのこと。

今回調達した資金で、HOGUGUテクノロジテクノロジーは、認知度を高めるマーケティングの強化、サービスエリアの拡大、Android版アプリとウェブ予約のリリースを行い、事業の成長スピードを高める体制強化と人材採用を進めるとしている。

 

Clubhouseが空間オーディオを導入、他の人たちの声が同じ部屋のさまざまな場所から聞こえてくる

Clubhouse(クラブハウス)にとって、この夏は忙しい日々だった。この大ヒットした音声ソーシャルアプリは、ここ数カ月の間に新しいメッセージング機能Android版アプリをリリースしている。そして今度は、中核となるオーディオ体験の向上に目を向けてきた。同社は米国時間8月29日に、アプリのリスナーがグループの他の人たちと一緒にライブで会話を楽しんでいるような、より豊かな感覚が得られるように、そのRoom(ルーム)に空間オーディオを導入すると発表した。

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TechCrunchは、ClubhouseのJustin Uberti(ジャスティン・ウベルティ)氏に、空間オーディオを導入する決定について話を聞いた。空間オーディオを使うと、音声が1カ所からすべて聞こえるのではなく、異なる発言者が物理的に別々の場所で話しているように聞こえる効果が得られる。

ウベルティ氏は、Google(グーグル)で10年以上にわたり、Google Duo(グーグル・デュオ)の開発やHangouts(ハングアウト)チームでリーダーを務めてきた。最近ではGoogleのクラウドゲーミングプラットフォーム「Stadia(ステイディア)」を担当した後、2021年5月にストリーミング技術の責任者としてClubhouseに入社した。同氏はClubhouseのベースとなった技術であるWebRTC規格を策定した人物でもある。

「グループオーディオの設定で認識させられることの1つは、物理的な空間にいるのと同じような経験が得られないということです」と、ウベルティ氏は語る。

Clubhouseをはじめとする音声チャットアプリでは、人々がバーチャルなソーシャル空間に集まるが、その音声は比較的フラットで、すべてが同じく中央の1カ所から発せられているように聞こえる。しかし、Clubhouseが想定しているライブな集会は、ステージの左右や、発言者が質問をする客席のさまざまな場所など、会場のあらゆる場所から音声が聞こえてくるというものだ。

このような新しいオーディオの仕組みを実現するために、Clubhouseは、Second Life(セカンドライフ)の製作者であるPhilip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏が起ち上げた空間オーディオ会社、High Fidelity(ハイ・フィデリティ)のAPIを統合し、同社自身のカスタムオーディオ処理と融合させ、Clubhouseのアプリ用にチューニングした。

High FidelityのHRTF技術は、Head Related Transfer Function(頭部関連伝達関数)の略で、ステレオチャンネル間に微妙なタイムディレイ(遅延)を加え、音の発生源によって異なる高音域と低音域の聞こえ方を再現することで、音声を異なる仮想空間にマッピングすることができる。

その結果、ソーシャルVRでは以前から使用されてきたように、バーチャルなソーシャル体験に物理的な存在感を与えることが可能になる。これは昔から優れたレコードでも感じられた。例えばPink Floyd(ピンク・フロイド)の「Dark Side of the Moon(狂気)」を良いヘッドフォンでステレオ再生すると、頭の周囲で楽器や効果音が鳴っているように聞こえる。Clubhouseの場合は、仮想空間の中で一緒にいる人達の声が、あちこちから聞こえてくるように感じられるというわけだ。

ウベルティ氏によると、Clubhouseへの実装は控えめだがすぐに気づくものになるという。その音声処理では、ほとんどの発言者が、聞いている人の前に来るように「そっと会話を操舵する」というが、Clubhouseのユーザーは、人々が異なる物理的な場所から話しているという新しい感覚を得ることができるはずだ。

この新しいオーディオ機能は、すでに大多数のiOSユーザーに提供されおり、数週間以内に残りのiOSユーザーおよびAndroidユーザーにも提供される予定だ。この機能はすべてのClubhouseユーザーが利用できるようになるが、ユーザーは空間オーディオをオフにすることもできる。

Clubhouseは、同じバーチャルサウンドステージの技術を使って、大きな部屋では大きな音を感じさせ、親しい少人数が集まる部屋では実際に小さな物理的空間で発せられているような音に聞こえるように調整する。Clubhouseの参加者はほとんどの人がヘッドフォンを使っているため、このアプリユーザーのほとんどが、2チャンネルのステレオサウンドによる効果を享受できる。

「人はある空間とか、ある部屋の中にいるという概念を持っています。私たちは、円の中で人々が立ち話をしているような感覚を再現しようとしています」と、ウベルティ氏は述べている。

ウベルティ氏によれば、空間オーディオは通常のClubhouseユーザーに、あまり目立たないメリットを与える可能性もあるという。ソーシャルアプリの標準的な、つまり空間化されていない音声が、新型コロナウイルス時代の現象である「Zoom(ズーム)疲れ」を助長している可能性がある。人間の脳は、電話やグループオーディオルームのようなバーチャルな音声を処理する際に、人と自然に対面している場合とは異なる方法で発話者を区別する。

「脳は誰が話しているかを判断しようとします。空間的な手がかりがなければ、声の音色で区別しなければなりません。それには、より多くの認知的努力が必要なのです」と、ウベルティ氏はいう。「空間オーディオの導入は、これによって没入感が増すだけでなく、より楽しめる体験となります」。

Clubhouseの多くのサブコミュニティが、この空間オーディオ効果をどのように受け止めるかはまだわからないが、このアプリで発信されるコメディー、音楽、さらにはASMRのような体験が、大きく向上する可能性はある。

「誰かがジョークを言っても、それがとても退屈に感じられることがよくあります」と、ウベルティ氏はいう。「しかし、Clubhouseでは、自分の周囲から笑い声が聞こえてくるのが感じられるため、コメディクラブにいるような体験ができるのです」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

ArtMarie via Getty Images

Googleとアップルが共同開発した新型コロナ接触通知APIは世界各国のアプリに採用され、日本ではAndroid版の「COCOA」が数か月にわたって事実上機能していなかった一件もありつつも、英国では6000人もの命を救ったと推計されています。

しかしGoogleとアップルの本国である米国では、このAPIを使ったアプリはほとんど失敗に終わったとの調査結果が発表されています。

米Business Insiderの調べによると、米国の多くの州ではアプリ開発さえ行われず、作られても利用率も低く、わざわざアプリに感染記録を残しているユーザーもほとんどおらず、まるで役に立ってないと判明したとのことです。

この報告では、連邦政府から個人に至るまで様々な失敗例が紹介されています。まず最初の問題は、ホワイトハウス(米行政府)が米国で共通の接触通知アプリを作らず、各州に委ねていたことです。

FTC(米連邦取引委員会)の元チーフテクノロジストは、個々の州にアプリ開発を任せたことが全国的な認知度を高め、ユーザーに検査結果を入力してもらう努力を妨げたのではないかと推測。さらに「もし連邦政府がシステムを支援し、このアプリや同種のアプリを全米に広く展開していたら、この数字(使用率)はおそらく大きく変わっていたでしょう」と述べています。

第2に、米国の約半数の州がそもそもアプリを開発しない道を選んだことです。サービスを利用できた28州および準州の人口は約1億8680万人。つまり、残り1億4150万人(全人口の43.1%)もの米国人が一切カバーされなかったわけです。

第3にアプリを展開した州でも、プロモーションや教育が不十分であったため、利用率が極めて低かったことです。一部の州では住民にサービスを検討してもらうことさえ困難であり、たとえばアリゾナ州では人口の1.3%しかアプリを導入しないまま、2021年7月にはプログラムを終了したとのことです。ほかミシガン州では住民の6.3%、ワイオミング州では0.69%(約4000人)しかアプリを入れなかったという低調ぶりです。

最後に、新型コロナの陽性反応が出た人々のうち、実際にアプリに記録した人はわずか2%でした。接触通知アプリは、陽性診断を受けた本人がアプリを通じて報告し、その人と濃厚接触した可能性のある人々に警告することが目的のため、98%もの陽性ユーザーが記録を付けなければまったく意味を成さないことになります。

これは同じAPIを使っている英国民保険サービス(NHS)のアプリでは、実に感染ユーザーの40%以上が報告していたこととは対照的ではあります。

米9to5Macは、多くの米国人が接触通知アプリを「自分の居場所や会った人を追跡している」と勘違いしていたと指摘。その原因のひとつは偽情報ではあるのですが、もう一つは政治家らが接触通知アプリを使っても安心だと説得するどころか、アプリの使用に積極的に反対していたためだと推測しています。

新型コロナワクチンについてもYouTubeで誤情報を拡散する動画がはびこっているほか、ロシアが自国製ワクチン売込みのために偽情報を広めているとの報道もありました

人類と新型コロナとの戦いは、一方で人流を減らしたりワクチン接種を進めるといった物理的な対策をしつつ、他方では反ワクチン主義者の出会い系アプリなど誤情報を抑止することも必須のため、いっそう困難となっているといえそうです。

(Source:Business Insider。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

TikTokが「牛乳ケースチャレンジ」の動画を禁止、危険性からユーザーを守るため

TikTok(ティックトック)は、ユーザーの間で流行している「milk crate challenge(ミルククレート・チャレンジ)」を、このトレンドに参加した人が重症を負う恐れがあるとして、そのプラットフォーム上で禁止することにした。ミルククレート・チャレンジは、牛乳ボトル用のプラスティック製ケースをピラミッド状に積み上げ、その不安定な構造の上を歩いて乗り越えようとするものだ。

同社の広報担当者は、TechCrunchに宛てたメールで次のように述べている。「TikTokでは、危険な行為を助長したり賛美したりするコンテンツを禁止しており、そのようなコンテンツを抑止するために、動画を削除し、検索するとコミュニティガイドラインにリダイレクトするようにしています。私たちは、オンラインでもオフラインでも、みなさまが慎重な行動を取るように促していきます」。

この流行に沿ったほとんどの動画では、TikTokユーザーが、その場しのぎで積み上げられた牛乳ケースの片側から上り、もう片側から降りることを目指しながらも、途中で地面に転がり落ちる様子が見られる。複数の医療従事者が、この流行と参加者の危険性について、ソーシャルメディアで懸念を表明したことから、今回の禁止措置に至った。

現在はTikTokのアプリで「milkcratechallenge」と検索すると「検索結果はありません」という表示が出て「このフレーズはコミュニティガイドラインに違反する言動またはコンテンツと関連している可能性があります。TikTokは楽しく、オープンで健全な環境づくりに努めています」と表示される。しかし、ユーザーが「milk craate」や「milk cratee」のように、ミルククレート・チャレンジに関連するキーワードを誤った綴りで検索すると、このトレンドに沿った一部の動画がまだアプリで表示されてしまうこともある。これらの動画の再生回数はそれほど多くはないものの、禁止措置の隙間をすり抜けてアプリ上に残っていることには注意が必要だ。

TikTokの人気上昇にともない、ここ数年の間に数多くの危険なチャレンジが同プラットフォーム上で流行してきた。2019年に流行した「throw it in the air(空中に投げる)」は、TikTokユーザーが何人かで円陣を組み、誰も動いてはいけないとして、自分たちの上に空中にアイテムを放り投げ、落ちてくるその物が誰に当たるかを、床に置いたスマートフォンで撮影するというものだった。2020年、このアプリで流行した「skull-breaker(頭蓋骨破壊)」は、3人が並んで立ち、一緒にジャンプするように持ちかけながら、(騙された)中央の1人がジャンプすると両側の2人が足払いして中央の人を後ろ向きに転倒させるというものだ。このチャレンジでは10代の若者が入院したため、刑事責任を問われることになった。

最近のミルククレート・チャレンジを含むこれらの危険なトレンドから、TikTokはユーザーに危害が及ぶ状況を防ぐため、行動を起こさざるを得なくなっている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

関連記事:Facebook Messengerが絵文字機能を強化、サウンド付きも

画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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ザッカーバーグ氏は110兆円規模のフェイスブックを「メタバース」企業にすると投資家に語る
フェイスブックがVRコラボ・ミーティングツール「Horizon Workrooms」オープンベータ開始

「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

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画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラのiPhone用アプリが久々の大規模アップデート、機能やデザイン面に多くの改良

Tesla(テスラ)が、iOS向けスマートフォン用アプリのメジャーアップデートを配信開始した。これによって新たな操作が可能になった他、管理機能の改善や、クールなビジュアル面の更新などが行われている。また、このバージョン4.0では、iPhoneのホーム画面に表示するウィジェットのサイズを2種類から選択できるようになった。「Tesla Software Updates(テスラ・ソフトウェア・アップデート)」の説明によると、どちらを選んでも、車名、バッテリー残量、位置情報(または充電施設情報)、ロック状態、車両の画像、情報の最終更新時刻という同じ情報が表示されるようだ。テスラは以前「Today」という機能拡張をiOS向けに提供していたが、今回新たに導入されたウィジェットほど総合的な機能はなかった。

操作面では、車両の起動を待たずに、アプリを開いたらすぐにコマンドを送信できるようになった。また、スマートフォンがクルマのキーになる「Phone Key(フォンキー)」の機能も拡張され、基本的に複数のテスラ車のロック解除に対応した。

ビジュアル面の更新ですぐに気づくのは、車両の3Dレンダリングが新しくなったことだ。充電時の状態を示す画面や、車両各部のコントロールパネル、空調設定の表示にも、新しいアニメーションが追加されている。デザイン的な改善としては「充電」セクションが廃止され、車両が充電プラグにつながれている時に、その情報を表示するようになった。また、アプリ内でスーパーチャージャーの充電履歴を確認できるようにもなっている。速度制限、車両を駐車場の係員に預ける際に制限を加える「バレーモード」、周辺の不審な行為を監視する「セントリーモード」などの設定は、新たに設けられた「セキュリティ」というカテゴリーに移されており、そこではBluetooth、フォンキー、位置情報サービスの使い方のヒントも見ることができる。

要するに今回のアップデートは、テスラのiOSアプリでは久しぶりに大がかりなものとなっている。最近のテスラは、7月にVirtual Power Plant(バーチャルパワープラント)を導入した以外では、主にバグフィックスや改善に注力してきた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Saqib Shahは、Engadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Tesla

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(文:Saqib Shah、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflixが会員向けにモバイルゲームのテストを開始、まずはポーランドで

Netflix(ネットフリックス)は米国時間8月26日、ポーランドの会員向けにAndroid版アプリでモバイルゲームのテストを開始すると発表した。Netflixに定額料金を支払っているメンバーであれば、サービス開始時には「Stranger Things.1984(ストレンジャー・シングス:1984)」と「Stranger Things 3(ストレンジャー・シングス3)」という2つのゲームを、追加料金なしで試すことができる。これらのゲームは、過去にApple(アップル)のApp Store(アップ・ストア)やGoogle Play(グーグル・プレイ)ストア、そして新作はPC家庭用ゲーム機を含むその他のプラットフォームで提供されているタイトルだ。今回の2つのゲームはNetflixモバイルアプリのセンタータブ内で加入者に提供されているが、ユーザーは自分のデバイスにゲームをインストールするために、Google Playストアに誘導されることになる。

ゲームをプレイするには、Netflixの認証情報を確認する必要がある。

その後は、Netflixアプリ内のゲームページで「プレイ」をクリックするか、モバイル機器から直接起動することで、会員はいつでもゲームを楽しむことができる。

Netflixの広報担当者は、今回のサービス開始について「まだ、まったく初期の段階でありますが、今後数カ月の間に、広告なし、アプリ内課金なしで、可能な限り最高の体験をお届けできるよう努力していきます」と述べている。

Netflixとゲームの話をしましょう。

本日より、ポーランドの会員は、AndroidでNetflixのモバイルゲームを試すことができます。「Stranger Things:1984」と「Stranger Things 3」という2つのゲームです。まだごくごく初期の段階であり、これから数カ月の間にやるべきことがたくさんありますが、これはその第一歩です。

Netflixは何年も前からゲームへの投資を拡大しており、同社の最も人気が高い番組と結びついた、より広範なエンターテインメントの世界に可能性を見出している。2019年にはゲーム見本市「E3」で、Netflixは「Roblox(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」などの人気プラットフォームとのゲーム統合や「Stranger Things」の新しいゲームを市場に投入する計画について詳しく説明していた。

モバイルゲームに関しては、Netflixはテキサス州アレンを拠点とするゲームスタジオのBonusXP(ボーナスXP)と協力している。Netflixとの提携で制作された最初のゲーム「Stranger Things:The Game」は、他のタイトルと区別するため、現在では「Stranger Things:1984」と改名されている。

このゲームは「Stranger Things」のタイムライン上では、シーズン1の後、シーズン2の前が舞台となっているが、続くタイトル「Stranger Things 3」は、Netflixで配信されているシーズン3をプレイできるようになっている(だからネタバレに注意!)。

Netflixは、これらのゲームがアプリストアで公開されている間、ユーザー数やインストール数がどの程度だったかを公表しなかった。

ポーランドで開始されるテストでは、Netflixによれば、これらのゲームは会員専用となっているため、ユーザーがタイトルをダウンロードするには、Netflixの会員になる必要があるという。しかし、過去にGoogle Playストアからゲームをダウンロードしたことがある既存のユーザーには影響がない。これまで通りゲームをプレイすることができるし、ゲームをインストールしていたユーザーであれば、アカウントのライブラリから再ダウンロードすることもできる。しかし今後は、新規ユーザーはNetflixのアプリからのみ、ゲームを入手することができるようになる。

同社によれば、今回のテストは、Netflix会員がモバイルゲームにどのような反応を示すかを理解し、Netflixが全体的な機能をどのように改善する必要があるかを判断することが目的だという。最初のテスト市場としてポーランドが選ばれた理由は、同国には活発なモバイルゲームの利用者がいるため、初期フィードバックを得るのに適していると考えられたからだ。

Netflixは、このテストを他の国に拡大する時期については「数カ月後」という以上のことは言えないとしている。

Netflixは2021年の第2四半期の決算発表時に、モバイルゲームの提供を開始することを明らかにした。同社はその発表の中で、ゲームはオリジナル映画、アニメーション、リアリティ番組への進出と同じく、Netflixのビジネスにとって「新たなコンテンツカテゴリー」だと考えていると強調していた。

今回のニュースの背景には、新型コロナウイルスの影響でストリーミング配信が活発化した後、Netflixの新規顧客数が急激に減少しているということがある。北米におけるNetflixの第2四半期の加入者数は43万人と、過去10年間で3番目に少なかった。同社では、次の四半期に向けたガイダンスでも弱気な数字を掲げており、アナリストが予想する590万人という加入者数に対し、同社では350万人と予測している。だが、Netflixでは、成長の鈍化の原因として、競合他社の脅威を軽視しており、それよりも新型コロナウイルスの影響などによる制作遅延から、コンテンツが不足したせいであるとしていた。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アプリ開発者は今後、アップルに手数料を支払わなくてすむ直接購入をユーザーへ提案可能に

米国時間8月26日、Apple(アップル)は、米国の開発者から同社に提起されていた訴訟について、和解案に合意したことを明らかにした。この和解案にはいくつかの変更点が含まれており、その中でも最大の変更点は、開発者がiOSアプリやApp Store以外で購入した支払い方法に関する情報を共有できるようになることだ。これにより、開発者は、Appleの手数料の対象にならない支払い方法についてユーザーに伝えることができる。また、この和解案には、価格帯の拡大や、アプリの審査プロセスに関する新たな透明性レポートが含まれている。

この集団訴訟は2019年4月に、アプリの開発者であるDonald Cameron(ドナルド・キャメロン)氏とイリノイ州のPure Sweat Basketballにより起こされたもので、AppleがiPhoneアプリのダウンロードをApp Storeに限定する反競争的な行為を行っているとしている。

本日の発表でAppleは「開発者が電子メールなどのコミュニケーション手段を利用して、iOSアプリ以外の支払い方法に関する情報を共有できることを明確にしています。開発者のみなさんは、常に自分たちのアプリやApp Store以外で行われたいかなる購入に対しても、Appleに対して手数料を支払うことはありません」と述べている。

これにより、開発者は電子メールや「その他の通信サービス」を利用して顧客とコミュニケーションをとることができるようになる。これまでAppleは、App Storeの規則で開発者に対してアプリ内で取得した連絡先情報を使い、アプリ外でユーザーに連絡することを禁じていた。今回の和解案では、この規則がすべてのアプリカテゴリーで解除されるため、開発者は同意したユーザーに対して、Appleの手数料を回避する支払い方法を伝えることが可能になる。

価格帯については、Appleは開発者が利用できる価格帯の数を100以下から500以上に拡大するとしている。また、アプリの審査プロセスに関する情報を共有するために、新たな年次透明性レポートを発行することに合意している。このレポートには、何本のアプリが却下されたか、無効化されたユーザーおよび開発者アカウントの数、「検索クエリと結果に関する客観的なデータ」、App Storeから削除されたアプリの数などが含まれる。

また、米国のApp Storeを通じて100万ドル(約1億1000万円)以下の収入を得た米国内の資格ある開発者を対象に、新たなファンドを創設するとしており、これには米国内の開発者の99%が含まれる。訴訟で原告を代理する法律事務所の1つであるHagens Bermanは、このファンドの規模は1億ドル(約110億円)で、250ドル(約2万7600円)から3万ドル(約330万円)の範囲で支払いが行われるという。

Cameron et al v. Apple Inc. proposed settlement by TechCrunch on Scribd

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

YouTubeが米国の全iOSユーザーにピクチャー・イン・ピクチャー表示を展開、Premium加入者から

YouTubeは2018年からAndroid端末でピクチャー・イン・ピクチャーの視聴をサポートしているが、米国時間8月26日、TechCrunchに対して、米国のすべてのiOSユーザーにiPhoneとiPadの両方でこの機能を提供開始する予定であることを明らかにした。現在のところ、YouTubeはプレミアム加入者を対象に、他のアプリを閲覧しながらミニプレイヤーでピクチャー・イン・ピクチャーの動画を視聴できるこの機能のテストを募集している。プレミアムユーザー向けのテスト期間は10月31日までとなっているが、米国のすべてのiOSユーザーがこの機能を利用できるようになる時期は、明らかにされていない。

これはモバイル向けの機能だが、プレミアムに加入しているユーザーは、デスクトップのYouTube experimentsサイトでテストできるようにする必要がある。2020年、YouTubeはプレミアム会員の特典として「実験」を始めた。

実験サイトを下にスクロールすると「iOSでのピクチャー・イン・ピクチャー」が表示され、試すためのオプションが表示される。その後、YouTubeアプリで動画を見ると、アプリからナビゲートしたときに動画のピクチャー・イン・ピクチャー表示が表示されるはずだ。

TechCrunchがとったスクリーンショット

ピクチャー・イン・ピクチャーで動画を表示すると、動画の表示位置や大きさを調整することができる。動画をタップすると、YouTubeアプリに戻る。端末をロックすると、ビデオは一時停止する。

一部のユーザーからは、YouTubeアプリを削除して再インストールしないと動作しない場合があるとの報告がある。

この機能は、YouTubeのiOSアプリに搭載されている既存のピクチャー・イン・ピクチャー機能とは異なり、スマホで移動している間でも動画の視聴を続けることができる。同様の機能は、Netflixなどのストリーミングアプリにもすでに搭載されている。

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画像クレジット:YouTube

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルの天気アプリに空気質指数を提供するBreezoMeterが「山火事トラッカー」発表

BreezoMeter(ブリゾメーター)は、環境汚染による健康ハザードをできるだけ多くの人に知ってもらうことを使命としている。イスラエルを拠点とする同社は、空気質指数(Air Quality Index、AQI)の計算を通じて、今では数十カ国で数メートル単位の大気質を識別できるようになった。また、Apple(アップル)との提携により、同社のデータをiOSの「天気」アプリや自社の人気アプリに組み込み、さらに他企業が独自の目的でデータセットを利用できるAPI製品を通じ、数億人のユーザーにこれらの指標を提供している。

数週間前に3000万ドル(約33億円)のシリーズCラウンドを調達したのに続いて、同社は新製品「Wildfire Tracker(森林火災トラッカー)」を発表し、大気の質から山火事の周辺地域のリアルタイム検知へと製品を放射状に拡大した。

関連記事:iPhoneの「天気」アプリで大気の質を表示するBreezoMeterが約33.2億円を調達

この新製品は、同社のセンサーデータ、衛星画像、現地の目撃情報を融合して、山火事の範囲をリアルタイムに把握することができる。共同設立者兼CEOのRan Korber(ラン・コーバー)氏はこう語った。「人々は、正確な天気や湿度のデータを期待するのと同じように、正確な山火事情報を求めています。彼らの生活に、直接影響する情報だからです」。同氏はさらに、BreezoMeterは「気候テックと人の健康をつなぐ橋渡し役になっていきたい」と付け加えた。

火災危険区域はポリゴンの境界線で赤く表示され、従来通り、これらの区域とその周辺地域の大気質データを見ることができる。

BreezoMeterの大気質マップは、山火事の汚染の広がりを簡単に示すことができる(画像クレジット:BreezoMeter)

コーバー氏は、そうした境界線を数十カ国にわたって正確に把握するのは、簡単なことではないと強調した。特に山火事が発生するような森林では、センサーの数が少ないこともある。また、熱画像を中心とした衛星データは惑わされることがあり得る。同氏は「私たちは異常を探しているわけですが、多くの場合、誤検出が起こります」という。例えば、大規模なソーラーパネルアレイは、熱センサーでは非常に熱く見えるが、明らかに火災ではない。

このようにして特定された火災の周辺地域は、BreezoMeterの大気質マップウェブサイトで消費者に無料で提供され、まもなく同社のアプリにも導入される予定だ。また、2021年後半には、これらの境界線を同社のAPIから商業顧客向けに提供する予定だという。コーバー氏は、APIエンドポイントを利用することで自動車メーカーなどの企業が、ドライバーに火事が近づいていることを警告できるようになると期待している。

今回の新機能は、BreezoMeterが長年にわたって行ってきた製品の拡張の延長線上にあるものだ。「設立当初は、大気質のみ……それもイスラエル国内の大気汚染を予測するだけのものでした」とコーバー氏はいう。「それ以来、ほぼ毎年、新しい環境ハザードに製品ポートフォリオを拡大してきました」。2018年には花粉情報が追加され、アプリのグローバル化が進んでいることを同氏は指摘した。

山火事の検知は、VC投資家にとって最近ホットな分野だ(失礼)。例えば、Corneaは消防士が火災を検知して軽減することに焦点を当てたスタートアップであり、Perimeterは山火事の境界範囲を識別して、地図付きの明確な避難指示を出すことを目指している。シリコンバレーのあるカリフォルニア州をはじめ、世界中の多くの地域で森林火災が多発するようになってきている中、この分野への投資や製品の投入が増えることが予想される。

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画像クレジット:David Odisho/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルとアップルのアプリ内決済ルール強制を禁じる韓国の法案の最終採決が延期に

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)が、それぞれのアプリストアで配信するサードパーティ製アプリ内のサービスへの課金方法について定めたルールを巡ってますます厳しい目を向けられている中、韓国ではそれに関し大きな進展が起こっている。

韓国国会の司法委員会は現地時間8月25日、GoogleとAppleがアプリ内課金でソフトウェア開発者に手数料を請求する慣行を防ぐための、世界初となる画期的な法案を可決した。同日の本会議で予定されていた、同案を可決・有効化するために必要な全議員による最終採決は、当面の間延期となった。

メディアによると、本会議は暫定的に8月30日に延期されたとのこと。

法案が成立した場合、韓国は、このようなグローバルテック巨人らが特定のアプリ内決済システムを強要することを禁止する最初の国となる。

「反グーグル法」と名付けられたこの法案は、国会の立法・司法委員会で承認された電気通信事業法改正案で、GoogleとAppleがアプリ開発者に自社の決済システムの使用を強制することを禁じようとするものだ。

Googleは2020年9月、すべてのアプリ開発者に自社の決済システムを課し、すべてのアプリ内課金に対して最大30%の手数料を徴収すると発表した。

現地メディアの報道によると、2021年7月、Googleはアプリ開発者の要求に応じて新しい課金制度を2022年3月末に延期することを決定し、プレイストアの手数料を15%に引き下げると発表した。

Appleは声明で次のように述べた。「提案されている電気通信事業法は、他のソースからデジタル商品を購入するユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシー保護を弱め、購入を管理することを困難にし、(子供向けの)『Ask to Buy』やペアレンタルコントロールなどの機能の効果が失われるでしょう。この法案の結果、App Storeでの購入に対するユーザーの信頼が低下し、これまでにAppleから8兆5500億ウォン(約8079億円)以上の収益を得ている、韓国の48万2000人以上の登録デベロッパーの事業機会の縮小につながると考えています」。

AppleとGoogleはもちろん、自社のアプリ内決済システムを義務付けることで、より良い安全なユーザーエクスペリエンスを実現するという大きな問題があると主張している。そして、この点がここでも論拠となっている。

Googleはコメントの要請に直ちに返答していない。

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

人間が行うアプリのテスト手順を自動スクリプト化するtestRigor

人間のQAテスターが開発中のアプリをテストする際に行う一連のアクションを平易な言葉で入力すると、自動テストスクリプトができ上がる。Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のコホートメンバーであるtestRigor(テストリガー)という会社が実現したのは、まさにそういうことだ。このアーリーステージのスタートアップは米国時間8月24日、410万ドル(約4億5000万円)のシード資金調達ラウンドを実施したと発表した。

今回のラウンドに参加した投資家には、FlashPoint VC(フラッシュポイントVC)、Y Combinator、PTV、Phystech Ventures(フィズテック・ベンチャーズ)、および複数の個人が含まれる。同社はこれまでに、30万ドル(約3300万円)のエンジェル資金調達と70万ドル(約7700万円)のプレシード資金調達を行っているので、現時点までに調達した資金の総額は510万ドル(約5億6000万円)となっている。

testRigorの優れているところは「スタートボタンをクリック」「ストップボタンをクリック」といった一連の手順を入力すると、testRigorがそれをコード化し、自動的にスクリプトを実行して、アプリケーションの合否を報せてくれることだ。

「(testRigorは)指示した手順を実行し、簡潔に合否を判定します。もし不合格になった場合は、何が問題だったのかを教えてくれるので、JIRA(ジラ)のチケットを作成してその場で修正したり、問題を再現するための手順を示すことができます。(中略)そしてこれが実際に、私たちの最も価値を提供するところなのです」と、共同設立者でCEOのArtem Golubev(アルテム・ゴルベフ)氏は説明する。

このプロセスをさらにシンプルにするために、同社はテストの手順を記録するためのChromeの拡張機能を作成した。また、人々がどのようにアプリを使用しているかを判断する分析結果に基づいて、自動的にテストを作成し、最も人気のある機能をテストすることもできる。

後者の機能は「行動テスト」と呼ばれている。「私たちは言葉通り、分析スクリプトを導入しており、エンドユーザーが実際の環境でどのようにアプリケーションを使用しているかに基づいて、システムが自動的に(テストを)作成します」と、ゴルベフ氏は述べている。

testRigorは現在、Netflix(ネットフリックス)をはじめ、フォーチュン500社を含む約100社の顧客を抱えており、22人の従業員が働いている。そのうち12人は2021年採用された。ゴルベフ氏は年内に30人にまで増やしたいと考えている。同氏によれば、雇用には苦心しており、Y Combinatorに参加した理由の1つは、その分野で支援を得るためだったという。

「雇用という問題を解決するために私は走り回っているのですが、YCがこの分野で役立つということを知りました。当社の最大の問題は、すぐに採用できないことです」と、ゴルベフ氏はいう。その点では、YCに参加したことが確かに役に立つと、同氏は考えている。

採用難に直面しているにもかかわらず、ゴルベフ氏は「多様な人材を採用する必要がある」と考えており、22人の従業員のうち約40%が女性であるとのこと。多くの企業が偏見のために良い人材を逃していると、同氏は考えているという。「私が見てきたのは、人々が非常に大きな偏見を持っているために、自分の思い描くプロフィールに一致しない非常に優秀な人材を見逃しているということです」と、ゴルベフ氏は語る。

ゴルベフ氏は、新型コロナウイルス流行前にtestRigorをリモート会社として起ち上げ、今回のような資金調達ができたらオフィスを開設しようと考えていたが、今は100%リモート会社になることを決意しており、完全リモート企業であるGitLab(ギットラブ)を、会社を成長させる上でのモデルとして見ているという。

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画像クレジット:Artis777 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ワクチン接種証明が必要なレストランのためにデジタルワクチンカードを米OpenTableが作成

ニューヨーク、サンフランシスコ、ニューオーリンズなどの都市では、屋内で食事する人に新型コロナウイルスのワクチン接種義務を制定する動きがある。そこで、オンラインレストラン予約サービスのOpenTable(オープンテーブル)は、レストランがワクチン接種のチェックを効率化できる機能の展開を開始する。同社は米国時間8月23日、生体認証セキュリティ企業であるCLEAR(クリア)との提携を発表し、ユーザーがデジタルワクチン接種証明カードを作成できるようにした。

CLEARは、ユーザーが目と顔をスキャンして本人確認を行うことで、空港のセキュリティを迅速化するサブスクリプションサービスで会社を築いてきた。しかし、新型コロナウイルスの感染流行が始まって以来、同社はユーザーにワクチン接種の証明を提供する無料サービス「Health Pass」を開始した。OpenTableは9月から、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードとの連携を、iOSおよびAndroid向けアプリで展開する。

OpenTableのアプリで、ワクチン接種が必要なレストランを予約すると、確認画面の上部にCLEARのバナーが表示される。このバナーをクリックすると、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードを作成できる。そして食事の際には、予約確認ページの「CLEAR」ボタンをクリックして、デジタルワクチン接種証明カードを呼び出すことができる。OpenTableによれば、同社が個人の健康情報やワクチン接種証明カードのデータを保存することはないとのこと。

CLEARは、ユーザーのワクチン接種情報を照合できる、ワクチンプロバイダーや薬局のネットワークを持っている。あるいはユーザーが、ニューヨークやカリフォルニア、またはWalmart(ウォルマート)でワクチンを接種した人に提供されるSmart-QRコードをスキャンしてもよい。これら2つの方法ではデジタルで検証される一方で、CLEARはユーザーが米国疾病予防管理センター(CDC)の物理的なワクチン接種記録カードから情報をアップロードすることも受け付けているが、この方法では検証レイヤーが追加されていないため、確実性は高くない。

「CLEARは、画像認識を用いてCDCのワクチン接種記録カードの写真であることを認識し、不正行為に対するセキュリティレイヤーを設けています。このプロセスを通すことで、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードはユーザーの認証済みIDと直接結びつくことになり、不正行為の抑止に役立ちます」と、CLEARの担当者は、TechCrunchの取材に語った。このアプリを利用するには、政府が発行した身分証明書をアップロードし、自撮りした写真を送信して本人確認を行う必要がある。

これらのデジタル認証は、偽のワクチン証明カードや他人のカードの写真を使おうとする人たちの不正を防ぐ効果があるだろう。特に、レストランの中には、ワクチンカードと身分証を照合しない店もあるからだ。ニューヨークでは「Excelsior Pass(エクセルシオール・パス)」というアプリを使って、健康記録をもとにワクチン接種の有無を確認しているが、他に同様の技術を導入している州はハワイだけだ。このようにワクチン接種証明の提示を強制することは、多くの州で禁止されている。

今月初め、OpenTableはレストランのプロフィールページに、安全対策として「ワクチン接種の証明」を追加できる機能を導入した。そして個々の食堂は、客が各レストランやレストラングループの入店条件を満たしていることを「認証」することができる。つまり、お気に入りのタコス屋でワクチン接種の証明をしておけば、次回からワクチン接種証明カードを提示する必要がなくなる。これは個人の客にのみ適用されるもので、団体客には適用されない。なお、OpenTableには最近、ダイレクトメッセージ機能が追加され、食事制限の変更をレストランに伝えることもできるようになった。

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画像クレジット:OpenTable

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)