Netflix配信の韓国ドラマ「イカゲーム」、全世界で1億4200万世帯が視聴

ブルームバーグによると、Netflix(ネットフリックス)が事前収録した株主への第3四半期決算発表で「Squid Game(イカゲーム)」の大ヒットが改めて明らかになった。全世界で約1億4200万世帯がこの韓国語のドラマを視聴している。このドラマは、借金まみれの人々が数千万ドルの賞金を獲得するために命がけのゲームに挑むという内容だ。Netflix史上最も視聴された新ドラマだという。

「イカゲーム」は「文化的時流」を捉え、米国を含む94カ国のNetflixランキングで1位に輝いたとNetflixは明らかにした。また、同社はイカゲーム関連商品に対する膨大な需要があることから、同ドラマをモチーフにした消費財を販売することも発表した。

ブルームバーグは数日前「インパクトバリュー」と「効率性」に関するNetflixのスコア詳細を示す文書を入手した。Netflixは、作品が成功したかどうかを判断する指標をかなり内密にしてきたが、文書ではドラマや映画の成功をどのように測定しているかが示された。「イカゲーム」は、予算2140万ドル(約24億円)の約41.7倍に相当する8億9110万ドル(約1017億円)のインパクトバリューを生み出した傑出作品だった。

イカゲームが大ヒットしたおかげで、第3四半期の加入者数は2021年最高になったとNetflixは述べた。最高財務責任者のSpencer Neumann(スペンサー・ニューマン)氏は決算会見で「第4四半期に入り、成長が加速しています」と述べた。第3四半期には主にアジアやヨーロッパから438万人の加入者を獲得し、2021年第4四半期には850万人の加入者を見込んでいる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Netflix

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

ザッカーバーグ氏がフェイスブックのCambridge Analyticaスキャンダルの被告人に

ワシントンD.C.のKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに関連した消費者のプライバシー侵害をめぐり、Facebook(フェイスブック)を相手取った訴訟の被告にMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏を加えた。

ザッカーバーグ氏を訴訟の被告とした理由について、ラシーン氏は「継続中の我々の調査により、Cambridge AnalyticaとFacebookのユーザーデータ保護の失敗に関連する決定にザッカーバーグ氏が個人的に関与していたことが明らかになりました」と述べた。

ラシーン氏は、2018年の提訴以来、同氏のオフィスが「数十万」の文書を再調査し、元従業員から多数の証言録取を行ったと指摘した。

ワシントンD.C.の司法長官は、Facebookが英国の政治コンサルティング会社であるCambridge Analyticaに、Facebookユーザー5000万人超のプロフィールデータを本人の同意なしに収集することを許可していたことが明らかになったことを受け、2018年に提訴した。

ザッカーバーグ氏を被告とする決定は、米国の政府機関が起こした訴訟で初めて、Facebook創業者が個人的な責任を問われる可能性があるという点で注目すべきものだ。

「この訴訟は、ワシントンD.C.の全住民の半数と全米の数千万人のデータを守るためのものです」とラシン氏は話した。「我々は、不正行為を調査する義務を非常に真剣に受け止めており、Facebookも同様にユーザーを保護する責任を真剣にとらえるべきです」。

関連記事:ワシントンDC司法長官がFacebookのCambridge Analyticaスキャンダルを巡り訴訟

画像クレジット:Zach Gibson / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトは10月20日、シードラウンドおいて、第三者割当増資による約7000万円の資金調達を発表した。引受先はインキュベイトファンド。

調達した資金により、同プラットフォームの開発を進める。2022年4月開始予定のクローズドテストの希望者を2021年中に募り、2022年秋から冬ごろの正式提供開始を目指す。

ランデフトの研究開発データ管理プラットフォームは、材料科学分野の研究開発におけるワークフロー(合成、測定、解析、報告)で生じる情報を管理の対象とするものという。各段階で生じる情報をすべての源である試料に紐付けて本来保たれるべき情報間のつながりを保持し、材料科学分野特有の多様なメタ情報も適切に管理することで、データ駆動科学と呼ばれる新しい研究パラダイムに組織として対応できる体制を提供する。

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

また、代表的な測定手法に対応するデータ解析機能やグラフ・報告書の作成、各種テンプレート機能も盛り込むことで、研究開発サイクルにおけるデータに関わる日常業務をワンストップで効率的に遂行できる環境も提供する。

同プラットフォームにより「日常の煩雑なデータハンドリングタスクにかかる作業時間の短縮」「見落とし・手戻りの減少」​を実現し、研究者は、より多くの時間を価値創造的な仕事に使えるようになる。即効性のあるコスト削減を目的とするこれらの顧客価値に加え、価値創造を目的とする大量データの一括解析機能や機械学習を用いた解析手法の導入も計画している。

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

昨今の研究の現場では、研究開発の本質的な困難さとは関係のない様々な非効率さや理想的とはいえないやり方が存在しており、スプレッドシートに頼り切った研究開発データの取り扱いはその1つという。

ランデフトによると、研究開発の過程では、複数のグループ・部門において様々な種類の情報が多様なフォーマットで大量に生じるという。ところが、これらの情報はスプレッドシートによる管理に依存していることで本来保たれるべき関係性が断たれ、その存在を知っている人が組織に残っているかさえわからないまま放置されている場合が大半だという。

同社は、実験科学・理論科学・計算科学に続き、データ駆動科学の重要性が増す中で(JST研究開発戦略センター調査報告書「デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容」)、日々生成される情報を適切に蓄積・活用するために、研究開発部門の業務フローもDXの進む他職種部門同様にスプレッドシートの1歩先へ進む必要があると考えているとした。

また、素材業界と呼ばれる企業群が関わる材料科学分野では、情報の形態が多様であり、それらをまとめて管理する困難さから、活用を見越した研究開発データの適切な管理がほとんどなされていないという。

日本の素材産業のグローバルな競争力の源泉である研究開発力を保つためには、マテリアルズインフォマティクスを含めたデータ駆動科学への適応が避けられない状況にあり、その根幹となる研究開発データの適切な蓄積・活用基盤の構築は素材業界全体の喫緊の課題となっている(JST研究開発戦略センター戦略プロポーザル「材料創製技術を革新するプロセス科学基盤 ~プロセス・インフォマティクス~」)。

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

ランデフトは、情報技術の面でのサポート体制に恵まれてこなかった素材業界の研究開発を縁の下で支えるべく、この課題に正面から取り組むとしている。

化学業界向けマーケットプレイスのアジアなどグローバル展開のためBluePalletが5.7億円調達

メーカーと化学業界をつなぐオンラインマーケットプレイスBluePallet(ブルーパレット)が、石油化学製品販売会社Vinmar International(ビンマー・インターナショナル)の子会社であるVinmar Ventures(ビンマー・ベンチャース)が主導する資金調達ラウンドで、500万ドル(約5億7000万円)を調達したことを発表した。

また同社は米国時間10月19日に、Alibaba.com上で「正式に」運営される初のインダストリアルコマースプラットフォームとなったことを発表した。これにより、BluePalletの化学品メーカーや流通業者のネットワークが、eコマースサイトで調達を行う世界中の何百万人ものビジネスバイヤーの目に触れることになる。

今回の資金調達により、BluePalletの総調達額は1000万ドル(約11億4000万円)となる。また化学業界のベテランであるTerry Hill(テリー・ヒル)氏(Barentz[バレンツ]北米CEO)、Mathew Brainerd(マシュー・ブレイナード)氏(Brainerd Chemical Co.[ブレイナード・ケミカル]CEO)、Bruce Schechinger(ブルース・シェチンガー)氏(National Association of Chemical Distributors[NACD、全米化学流通協会]前会長)も投資に参加している。

BluePalletは、2020年に当時設立3年目の化学品マーケットプレイスEchoSystem(エコーシステム)とフィンテック企業Velloci(ベローチ)が合併して誕生した。BluePalletの目標は、その「マーケットネットワークモデル」を適用して、これまで技術的な意味で遅れをとってきた巨大産業の取引を近代化することだ(私は1990年代後半に石油化学業界を取材していたのでよくわかる)。

化学産業はおもしろみがないと思われがちだが、身近な消費財の製造や医薬品、農業など、私たちが依存している多くの分野を支えている。

BluePalletは、自身の電子商取引モデルが、産業界の買い手と売り手に対して幅広い市場へのアクセスを提供すると同時に、規制遵守と責任ある流通の要件を「厳密に厳守」しているという。その上で買い手と売り手がサプライチェーンをよりコントロールできるのだと主張している。

BluePalletのサイトでは、3つの製品が提供されている。TradeHub(トレードハブ)は、ユーザーがネットワークツールを使って商品を探したり、掲載したりすることができる許可制のマーケットプレイス。TradePass(トレードパス)は、膨大な運営上、商業上、財務上のリスクデータポイントを「継続的に」確認することで「ネットワークの完全性」を確保することを目的とした「独自の」ビジネス検証技術。そしてTradeCart(トレードカート)は、決済処理、認証、物流を統合した独自のチェックアウトシステムだ。

また、今回の資金調達に合わせて、BluePalletは本社をシカゴからテキサス州オースティンに移転することを発表している。その理由は、化学産業が盛んなヒューストンに近いことと、オースティンの「活気ある技術と起業家精神の溢れる環境」を利用できることにある。

(かつてEchoSystemsを設立した)BluePalletのCEOであるScott Barrows(スコット・バロウズ)氏は、今回の資金調達は、同社の提供するサービスが認められたことを意味すると述べている(バロウズ氏は、現在LiveNation[ライブネーション]とTicketMaster[チケットマスター]に採用されているチケッティング・プラットフォームのEpic Seats[エピック・シート]とZeroHero[ゼロヒーロー]を、共同創業した経験も持つ)。バロウズ氏はAustin Britts(オースティン・ブリッツ)氏、Kevin Fuller(ケビン・フューラー)氏、Brian Perrott(ブライアン・べロット)氏と共同でBluePalletを設立した。

バロウズ氏はさらに「成長を続ける中で、東洋に目を向け、アジア地域でのプレゼンスを迅速に確立することを目指しています」と付け加えた。

スコット・バロウズCEO(画像クレジット:BluePallet)

世界の化学品市場では、アジア太平洋地域が最大の地域であり、2020年には3兆3400億ドル(約382兆4000億円)規模の市場の49%を占めている。なお北米は2番目に大きい地域で、市場の17%を占めている。BluePalletはNACDと提携しており、NACDの会員企業250社とその顧客75万人にアクセスできるため、バロウズ氏はこのスタートアップに大きな成長の余地があると考えている。

バロウズ氏は「このようなB2B取引で何ができるのか、その限界に大いに挑戦しています」とTechCrunchに語っている。

同社はマーケティングネットワークプラットフォームの構築を進める中で、既存のフィンテック企業との提携を試みてきた。

バローズ氏はTechCrunchに対し「最大手の企業でも1回の取引の上限は10万ドル(約1145万円)に設定していたり、もしくは化学業界との取引はしたくないと考えていることがわかりました。これは馬鹿げた話です」と語る。「なので、5兆ドル(約572兆5000億円)の化学産業のために、この問題を解決して、自分たちでこの技術を開発しようと決めたのです」。

バロウズ氏が強力な差別化要因と考えているのは、BluePalletが最大10億ドル(約1145億円)の取引に対応できることだ。

「このようにお金を動かすことができるようになった今、私たちはますます多くの国際市場に進出していきます」と彼はいう。「私たちは、これこそが鍵であり、多くのスタートアップ企業が新たに提供するものの中に欠けているものだと考えています」。

またバロウズ氏は、BluePalletが単なる「マッチメイカー」ではないことも強調している。

「他のほとんどのサイトは、文字どおりマッチングをするだけでおしまいです。彼らには実際の取引を完了させる能力がなく、代わりに当事者同士がオフラインで取引を完了させる仕組になっています。なので、私たちは業界の人々の商取引のやり方を真に変え、改善していくのです」。

画像クレジット:seksan Mongkhonkhamsao/Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:sako)

移動するだけでお得なポイントゲット、環境に優しい方法ならさらに倍々なアプリ「Miles」が日本上陸

米国シリコンバレー発のアプリ「Miles(マイルズ)」が本日、日本でもローンチされた。2019年に米国でサービスが正式にスタート、現在、140万人以上がアプリに登録したという「Miles」は、1マイル(1.609km)の移動に対して1マイルのポイントを貯めるサービスだ。

「Miles」の特徴として、移動手段で貯まり方に違いがあるという点がある。徒歩やランニングは10倍、自転車は5倍、バス・電車・スキーは3倍と、環境に優しい方法ほどよりより多くポイントが貯まる(ちなみにクルマの相乗りは2倍、クルマは1倍、飛行機は0.1倍)。ユーザーの移動手段はスマホのデータに基づきAIが自動で判定する。

貯まったマイルはギフトカードや割引クーポン(ファミリーマートやJALグループのアンカーやGarminでのプレゼントや割引。Amazonギフトカードへの交換など)や各種サービスの抽選(DAZNの6カ月ギフトコードなど)、そして寄付(森林保護や日本赤十字社などへ)として使うことができる。本稿執筆時で108も用意されている。

また、今後、一定期間内に「徒歩」「ランニング」「自転車」のいずれかで移動を一定距離移動した人を対象に特典を提供するイベントなども予定しているとのこと。さらに自治体と連携、渋谷区の清掃活動参加者にボーナスを付与する取り組みなども行うとのことだ。

新型コロナの流行による緊急事態宣言も解除され、十分な注意は必要であるものの外出しやすくなってきた。リモートワークになり、通勤の機会は少なくなったものの健康のためウォーキングをする人も増えている。「Miles」はその都度アプリで設定しなくても、インストール、登録さえしていれば、スマホを持って移動するだけでマイルを貯めることができるのはうれしい(バックグラウンドでの更新をオンにしている場合)。知らず知らずのうちに貯まることになる。

また、「Miles」はいつ、どこに、どのように行ったのか、トラッカーとしても使うことができる。

アプリはiOSAndroidともに配信中。誰でも無料で利用できる。

フェイスブックの名称が変わる?メタバースにフォーカスした名称への変更を計画中との報道

The Vergeによると、Facebookは、メタバースの構築に注力するために、新しい名称でリブランディングすることを計画しているという。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日に開催される年次カンファレンス「Connect」でその新名称を発表する予定だというが、報道によるとそれ以前に新名称を発表する可能性もある。

ソーシャルメディア以外でも広く知られたいと目論むFacebookは、米国時間10月17日、同社が将来において重要な要素だと考えるメタバースの構築を支援するために、今後5年間ヨーロッパで1万人の雇用を募集する計画を発表している。

また、同社は1カ月前に、ARとVRの責任者であるAndre Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が最高技術責任者に昇格することを発表している。Facebookにはすでに1万人以上の従業員がおり、ザッカーバーグ氏がスマートフォンと同じくらいユビキタスになると考えているARグラスといった消費者向けハードウェアを開発、製造している。

2021年7月、ザッカーバーグ氏は、Facebookの未来はユーザーがその中で生活、仕事、遊べるバーチャルメタバースにあると述べた。

今回のブランド変更は、米上院商業科学運輸委員会で証言した内部告発者Frances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏が流出させた一連の内部文書など、さまざまなスキャンダルでFacebookが批判にさらされている時期に行われることになる。Facebookは、現在も米国政府による独占禁止法の調査を受けている

Facebookの広報担当者は「ウワサや憶測にはコメントしない」と述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を手がけるascendが1.4億円調達、開発体制強化とマーケティングに投資

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を手がけるascendが1.4億円調達、開発体制強化とマーケティングに投資

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」の開発・運用を手がけるascend(アセンド)は10月20日、プレシリーズAラウンドにおいて総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は既存投資家のサムライインキュベート、またALL STAR SAAS FUND、物流不動産会社1社。また、金融機関を対象としたエクステンションラウンドも予定している。

調達した資金は、アセンド・ロジの開発体制のさらなる強化とマーケティングへの投資にあてる。

アセンド・ロジは、運送事業者が手作業やアナログで行なっている運行管理業務をデジタル化することで一元集約し、運送業者の売り上げに直結する物流データ(荷物、車両、運転手、ルートなど)を可視化するという。また、受注側による物流データの可視化には、発注側である荷主のポートフォリオを運送事業者側が把握・分析できるという面もあり、双方が対等な交渉力を持つことにもつながると考えているとした。

現在、国内の物流を支える中小トラック運送業者の経営環境は、深刻な人手不足や業界全体の高齢化により、基幹業務のデジタル化やクラウドの活用といった技術による効率化が進まず、担当者は過大な業務量に忙殺されてしまっているという。

また、BtoBの現場では発注側である荷主サイドの交渉力が強く、運送事業者側の中小企業は運賃交渉力(価格交渉力)が弱いため、業務改善への必要な投資を行うことが難しいという悪循環に陥っている。

こうした状況に対しascendは、運送事業者の現場業務を効率化するアセンド・ロジ、経営改善につなげるコンサルティングサービスを提供し、その解決を目指すとしている。

ウェブサイトに個人識別情報を利用しないレコメンデーション技術を企業に提供するCrossing Minds

Crossing Mindsの創業者。左から、セバスチアン・スラン氏、アレクサンドル・ロビケット氏、エミール・コンタル氏(画像クレジット:Crossing Minds)

私たちが見るメディアやショッピングの世界ではたいてい下の方に小さな枠があり、そこには似ている、あるいは他の人が利用したコンテンツや商品が表示される。

消費者はウェブサイトがもっとパーソナライズされることを期待している。ということは、ウェブサイトはあなたが見たいものを見せるために、あなたを知る必要がある。

Crossing Mindsは、CEOのAlexandre Robicquet(アレクサンドル・ロビケット)氏がEmile Contal(エミール・コンタル)氏およびGoogle Xの創業者でスタンフォード大教授のSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏とともに始めた会社で、2018年にTechCrunchが開催したDisrupt Battlefieldでコンシューマ向けアプリのHaiを発表した。このアプリはユーザーに本、音楽、番組、ビデオゲーム、レストランなどのエンターテインメントを提案するものだった。

2年間でアクティブユーザーは数千人、そしていくつかの大企業を顧客として獲得したが、提案に課題があったため中断してB2Bにピボットした。

ロビケット氏はTechCrunchに対し「パーソナライズはあらゆるところにあり、今後進化する検索もフィルタリングされるようになるでしょう。1つの企業向けのレコメンデーションエンジンやAPIを作るのではなく、多くの企業にスケールして提供できるものを作ることが重要です」と語った。

同氏は、消費者の最大60%がサイトの新規ユーザーであるため、ゼロからの出発である「コールドスタート」が問題になることがあるという。さらに同氏は、サードパーティのcookieの価値が下がり、プライバシー関連の法律が厳しくなり、リアルタイムで現在と過去のウェブセッションをリンクするのが難しいといった障壁もあり、サイトの訪問者を知る方法はほとんどないと補足した。

Crossing Mindsはこうした課題に取り組み、オンサイトのアクションをもとに提案をする方法を開発した。これにより個人を識別する情報を使わずに、顧客は企業を簡単に見つけて関わりを持つことができる。

Crossing Mindsは同社のデータベースと関連づけ、KPIに基づいておよそ2週間でモデルを構築できる。このSaaSモデルはレコメンデーションごとに課金される。

米国時間10月18日にCrossing MindsはシリーズAで1000万ドル(約11億4500万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはRadical Venturesで、これまで投資していたIndex Ventures、Partech、Lerer Hippeauも参加した。ロビケット氏は今回の資金をエンジニアリングチーム、製品開発、カスタマーベースに投入し、リーダーシップチームを充実させる考えだ。

Crossing MindsはPenguin Random House、Danone、Inkboxなどにサービスを提供している。ロビケット氏は、利用企業は売上が平均で93%、クリックスルー率は120%増加したと推計している。

Radical Ventures共同創業者のTomi Poutanen(トミ・ポータネン)氏は、Inkboxなどの企業は「Crossing Mindsと連携したときにルビコン川を渡る」ことができたという。同氏は、コンバージョン、リピート販売、チャーンの指標によって経済的な手法が成長すると述べた。

例えばInkboxは2月にCrossing Mindsを利用し始め、Crossing Mindsによればメールのクリックスルー率が250%増、カート追加が250%増、新規ユーザーのオンサイトのコンバージョンが68.6%増の結果がすでに見られるという。

ポータネン氏は「アレクサンドル、エミール、セバスチアンはユニークなものを持っています。数学とディープテックに関する経歴や学位の基盤は、他にはなかなかありません。彼らはプロダクトの価値とその使い方を深く理解しています」と述べた。

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

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シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

企業向け動画配信クラウド・動画SNSの市場データ分析を手がけるエビリーが7億円調達、開発・人材採用・販促活動を強化

企業向け動画配信クラウドのエビリーが総額7億円を調達、開発・人材採用・販売促進活動を強化

企業向けクラウド型動画配信システム「millvi」(ミルビィ)と動画SNSの市場データ分析サービス「kamui tracker」(カムイ トラッカー)を運営するエビリーは10月20日、第三者割当増資と金融機関からの融資による総額7億円の資金調達の実施を発表した。引受先は、大和企業投資、地域創生ソリューション、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタル。調達した資金は、動画プロダクトの開発強化、マーケティング強化、開発・幹部をはじめとする全部門での人材採用の強化にあてる。

累計700社以上の利用実績を持つmillviは、企業内でのコミュニケーションや教育において動画の活用が進んだことで新規契約数が前年比の約380%増。動画によるプロモーション活動をサポートするkamui trackerは、YouTuber、広告主、広告代理店など利用者数は2万人以上。YouTubeのチャンネル運用や市場トレンドの分析、YouTuberのキャスティングやタイアップなどに活かされている。

エビリーは「動画の活用で企業のDX推進を支援する」をミッションにかかげ、今後はデータに基づいた動画制作から配信までをワンストップで提供することを目指す。顧客の動画マーケティング領域、インナーコミュニケーション領域の課題解決を支援するためのソリューションをより強化したいという。

Amazon Music Unlimited会員はヘッドフォンを問わず空間オーディオをストリーミングできるように

Amazon(アマゾン)は、米国時間10月19日からAmazon Music Unlimited会員はAndroidおよびiOSアプリで、現在使用しているヘッドフォンを使って空間オーディオをストリーミングできると発表した。同社は現在、2種類の空間オーディオをサポートしている。ソニーの「Reality Audio」と「Dolby Atmos」だ。

Amazonは2019年に初めて空間オーディオを導入したが、少数のデバイスに限定されていた。今回の拡張により、ユーザーが所有するあらゆるヘッドホンで空間オーディオを楽しめるようになる。

「我々は常に、可能な限り最高品質のオーディオが音楽ストリーミングの標準であるべきだと考えてきました。だからこそ今日、特別な機器を必要とせず、またアップグレードの必要もない空間オーディオを顧客に提供します」と、Amazon Music副社長のSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明の中で述べた。

ユーザーは、Echo Studioを含む一部のデバイスで、Alexa Castを使って空間オーディオをストリーミングすることもできる。また、Alexa Castによる360 Reality Audioに対応した機器としては、ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」や「SRS-RA3000」、ホームシアターシステム「HT-A9」「HT-A7000」「HT-A5000」などが追加された。

加えて「Amazon Music Unlimited」の個人プラン、ファミリープラン、学生プランに加入しているユーザーは、追加料金なしで自動的にHDおよびUltra HDの音楽にアクセスできるようになる。

Amazon Music Unlimited個人プランの料金は、プライム会員が月額7.99ドル(日本では月額税込780円)、Amazonカスタマーが月額9.99ドル(月額税込980円)となっている。ファミリープランでは、月額14.99ドル(月額税込1480円)で最大6台のデバイスにAmazon Music Unlimitedをストリーミングできる。

Apple Musicが6月にiOS向け、7月にAndroid向けに空間オーディオを開始したように、空間オーディオを活用している音楽ストリーミングサービスはAmazon Musicだけではない。Apple MusicやAmazon Musicに対抗するため、Spotify(スポティファイ)は2021年初め、ロスレスオーディオを可能にするハイエンドのサブスクリプションサービス「Spotify HiFi」を展開すると発表した。

空間オーディオを活用しようとしているプラットフォームは、音楽ストリーミングサービスだけではないことも注目に値する。Clubhouse(クラブハウス)は9月、Android向けに空間オーディオを導入した。そしてNetflix(ネットフリックス)はこのほど、iPhoneとiPadのアプリで空間オーディオを提供すると発表した。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

WhatsAppがグループチャットに通話の途中参加機能を直接統合することを発表

WhatsApp(ワッツアップ)は米国時間10月18日に、通話参加機能をグループチャットに拡大することを発表した。2021年7月に初めて紹介されたこの通話参加機能は、ユーザーが進行中のグループ通話に途中参加できるという機能だ。今回の拡張により、ユーザーはWhatsAppグループに電話ができ、グループチャットのウィンドウから直接通話に参加できるようになった。

また、通話通知には、参加者の名前ではなくグループ名が表示されるようになったとのことだ。進行中の通話はチャットリストに表示されるため、ユーザーはアプリを開くとすぐにどのグループがライブ通話をしているかを確認することができる。

「我々はユーザーがグループメンバーと自発的につながれることをより簡単にしています。グループとの進行中の通話には、いつでも簡単に、ワンクリックでチャットビューから直接参加することが可能です。グループ通話の人気が高まっている中、通話参加機能を統合することで、WhatsAppユーザーは家族や友人のグループと自発的につながる新しい方法を得ることができます」とWhatsAppは声明で述べている。

さらに、WhatsAppによると、さりげなくも独特の着信音がつき「メッセージを送受信するのと同じくらい軽い感覚で通話ができる 」とのことだ。

Facebook(フェイスブック)傘下のWhatsAppは、新規ユーザーの維持と獲得のために、ここ数カ月の間にいくつかの新機能を展開してきた。直近では、WhatsAppは、iCloudやGoogle Driveにバックアップしたチャット履歴を暗号化できる新機能の展開を開始すると発表していた。WhatsAppは、ユーザー間の暗号化されたチャットをプラットフォーム上で提供しているが、これまでユーザーはクラウド上に保存されたチャットのバックアップを保護する手段を持っていなかった。

関連記事:WhatsAppはチャットのバックアップをクラウド上で暗号化する新機能をついに展開

暗号化されたチャットのバックアップを追加することで、政府がユーザー間の私的な会話を入手するために利用してきた大きな抜け道に対応することができる。WhatsAppは、この新機能を、アプリが稼働しているすべての市場のユーザーに提供するとしている。

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フェイスブックはフィードの投稿をInstagramにクロスポストするテストを開始

Facebookはすでに、InstagramのストーリーズリールをFacebookにクロスポストできるようにしていた。今度はストーリーズとリール以外の新機能をテスト中だ。Facebookは最近、写真やビデオを含むFacebookの投稿をInstagramにクロスポストするオプションを公開した。両方のプラットフォームをアクティブに使っているユーザーは、この機能を使うとアプリごとに1回ずつ同じメディアをアップロードする時間を節約できる。SnapchatやTikTokなどの競合が成長する中で、Facebookは若年層が使うソーシャルメディアプラットフォームとしてのInstagramの人気を維持するために投資しており、クロスポストによってInstagramに多くのコンテンツを簡単に提供できることになる。

Facebookによれば、この機能はまだ正式に発表していないが、10月前半から公開を開始したという。現在、FacebookのプロフィールにInstagramの個人やクリエイター、ビジネスアカウントをリンクしている少数のユーザーに対してグローバルでテストをしていると同社は述べた。

この機能を利用できる場合は、Facebookで投稿を作成するボックスに表示される。投稿を公開する対象を選んだり新規アルバムを作ったりするボタンの横に、新しいオン/オフボタンが現れる。

iOS版Facebookアプリのスクリーンショット

このボタンをタップすると新しい画面が開き、Facebookのこの投稿をリンクしているInstagramアカウントに共有するかどうかを選択できる。画面には、共有のオプションがこの投稿にだけ適用されると書かれている。ここではデフォルトの設定は変わらない。

デフォルトの設定を変更したい場合は、リンクから「アカウントセンター」に移動し、Facebookの投稿をすべてInstagramに自動で共有するかどうかを選択できる。さらに、FacebookのストーリーズをInstagramのストーリーズに自動で共有することもできる(ストーリーズの方は以前から可能だった)。

画像クレジット:iOS版Facebookアプリのスクリーンショット

FacebookはTechCrunchに対し、Instagramの1枚の写真、1本のビデオ、最大10枚の写真のアルバムにクロスポストできると述べた。10枚というのはInstagramのカルーセルが対応している最大枚数だ。GIF、投票、11枚以上の写真のアルバム、フィードの再シェア、テキストのみの投稿、Instagramのフィードには大きすぎるメディアは、現時点ではクロスポストの対象ではない。

Facebookはここ数カ月、同社の複数アプリの連携に取り組んできた。それは複数のアプリを使うユーザー向けのクロスポストだけではない。

同社は2020年にMessengerとInstagram間のコミュニケーション機能を導入してInstagramユーザーがFacebookユーザーとチャットができるようにし、2021年9月にはその逆もできるようになった。Facebookで増えつつあるリアルタイムのエクスペリエンスで活用する「結合組織」の役割をMessengerにもっと持たせようとしているし、FacebookユーザーがMessengerアプリに切り替えずに音声通話とビデオ通話をFacebook上で直接できるようにするテストもしていた。9月には広告プロダクトに関して、単にユーザーに広告を見せるだけでなく、同社のチャットプラットフォームでユーザーが企業にメッセージを送るツールを追加した。例えばユーザーはInstagramの広告をタップしてWhatsAppで企業とチャットをすることができる。

こうしたことにより、コンテンツがどこにあり、誰がどのアプリを使っているかを見分けづらくなるとしたら、それはおそらく意図的なことだ。連携が緊密になるほどFacebookから完全に抜け出すのは難しくなるだろう。コンテンツとコミュニケーションがFacebookの一連のアプリの間を流れるからだ。さらに、将来のどこかの時点で独占的であると判断され、規制によってFacebookを複数の企業に分割することになったとしても、複雑で分けづらい。

Facebookは、グローバルでのテストの期間や機能を広く公開する時期について明らかにしていない。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

安価なApple Music VoiceプランはSiriの改良を進める作戦である可能性が高い

Apple(アップル)は、先に開催したイベントで数多くの興味深い発表を行った。その中で私が特に注目した、かつあまり注目されていないように思えたのが、Apple Musicの新しい料金プランだった。新しい「Voice」プランでは、Apple Musicの全ライブラリを月額5ドル(日本では税込月額480円)という低価格で利用できる。ただし、Siriを使ってアクセスしなければならず、Apple Musicの標準的なビジュアルと入力しやすいアプリ内のユーザーインターフェイスは使用できない。

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Appleは、このプランを開始する理由を明らかにしていないが、iPhoneメーカーとしては、音声アシスタントの学習と改良のために音声データをより多く収集したいため、価格の障壁を低くして、より多くの人にSiriを使ってもらおうとしているのではないかと推測するのが妥当だと思う。

AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、このイベントで「より多くの人が、声だけでApple Musicを楽しめるようになることをうれしく思います」と述べていた。

このApple Music Voiceプランが存在する理由として、他に説得力のあるものが考えられない。特に、Apple Music上の曲目全体を提供するために、Appleはレーベルとのライセンス契約を変えていないため、標準プランよりもはるかに低いマージンでこの新サービスを提供していると思われる。

繰り返しになるが、これは単なる推測だ。ただ、AppleとSpotify(スポティファイ)間の厳しい競争を考えると、スウェーデンの会社がApple Musicを価格で打ち負かすために自社のストリーミングサービスを月額7~8ドル(月額税込980円)で提供できるのであれば、そうするのではないだろうか。そしてAppleは、どうしても膨大なデータを集めたいがために、新しいサブスクリプションプランであえて多少の損失を出しているのではないだろうか。私がこの説をツイートしたとき、同僚のAlex(アレックス)は、ではなぜAppleはサブスクリプションを無料にしないのかと疑問を抱いていた。2兆5000億ドル(約285兆円)規模の企業であるAppleは、技術的にはバランスシート上でそれだけの打撃を飲み込むことができると思うが、Spotifyのような独立した音楽ストリーミング企業からの批判をこれ以上集めたくはないのだろう。同社はすでに、さまざまな分野で反競争的な行為を行っているという批判を受けている。

テクノロジー企業は、AIモデルに膨大な量のデータを与え、サービスの機能を向上させている。Siriが長年にわたってかなり改良されてきたとしても、テック業界で働く多くの人々や大衆の間では、Amazon(アマゾン)のAlexaやGoogle Assistantの方がはるかに優れているというのが一般的な意見だ。

Appleはすでにこのような音声データを、Apple Musicの既存ユーザーから取得していると思われるが、ある友人が言ったように「要は、この機能はもともとあった。ただ、高い有料の壁を設置していただけだ。今回、彼らはその壁を低くしたということ」。新プランでMusicを音声操作のみにしたことで、参入障壁が下がっただけでなく、ユーザーはSiriを使わなくてはいけなくなった。SiriはApple Musicの標準加入者向けの機能だが、ほとんどのユーザーは基本的に、もしくは意図的にアプリのUIを使ってコンテンツにアクセスする可能性が高いと思われる。

音声アシスタントに「音声優先」や「音声のみ」のサービスを求めるとどうなるかわかる例として、AmazonのAlexaを見てみよう。Alexaは、最初から音声でアクセスしなければならなかった。これにより、AmazonはAlexaのアルゴリズムのために大量の学習データを収集することができただけでなく、Alexaを最大限に活用する方法についてユーザーをトレーニングすることもできた。

私の理論が正しいと思うもう1つの理由は、Appleがこの新しいサブスクリプションを最初に提供する予定の国についてだ。オーストラリア、オーストリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、アイルランド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、スペイン、台湾、英国、米国だ。

インド、スペイン、アイルランド、フランスが第一陣に名を連ねているのは、Appleが世界中のさまざまな言葉を集めようとしていることを意味している。ところで、インドなどの発展途上国や、中国や日本など、テキスト入力が音声に比べて不必要に複雑になることがある市場では、音声検索が非常に人気がある(世界第2位のスマートフォン市場であり、約98%のパイをAndroidが占めているインドで、音声検索が驚くほど大量に採用されたことで、Googleアシスタントの改良や、音声分野での革新に向けたより積極的なアプローチが可能になったと、Googleの幹部が話してくれたことがある)。

Siriは、他の音声アシスタントと比較して、その能力の点でやや遅れをとっていると言われているが、Appleのサービスにおける新しい動きは、顧客に音楽ストリーミングサービスに参加するための割安な方法を提供するためのものでもある一方で、この認識されているギャップを埋めるための試みでもあると捉えられるだろう。

画像クレジット:Heng Qi / Visual China Group / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アルファベットCEOピチャイ氏がテック業界の規制とサイバーセキュリティへの投資を米国に要求

WSJ Tech Liveカンファレンスで行われたリモートワークの未来からAIの革新、従業員の政治活動、さらにはYouTubeにおける誤情報にいたるまで幅広い話題に及んだインタビューで、Alphabet(アルファベット)CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、米国における技術革新の現状と新たな規制の必要性について自身の考えを述べた。特にピチャイ氏が強調したのは、米国の連邦レベルのプライバシー基準の創設で、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)に類似するものだ。さらに同氏は、中国の技術エコシステムが欧米市場からさらに切り離されていく中、米国がAI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどの分野で有意を保つことがより一層重要であると提起した。

ここ数カ月、中国はテック企業の締め付けを行っており、テック企業による独占の阻止、顧客データ収集の制限、およびデータセキュリティを巡る新たなルール制定など、新たな規制がいくつも施行されている。Google(グーグル)を含め多くの米国テック企業は中国で中核サービスを提供していないが、提供中のいくつかの企業は撤退を始めている。たとえばMicrosoft(マイクロソフト)は2021年10月、LinkedIn(リンクトイン)を中国市場から引き上げた

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ピチャイ氏は、こうした欧米テック企業の中国との分離は今後増えていく可能性があると語った。

またピチャイ氏は、米国と中国が競合する分野で先行することが重要だと語り、AI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティなどを挙げて、Googleによるこれらの分野への投資が、政府による「基礎研究開発財政支援」がやや後退したタイミングで行われたことを指摘した。

「政府のリソースは限られているので焦点を絞る必要があります」とピチャイ氏は話した。「しかし私たちが恩恵を受けているのは20~30年前の基礎的投資からです。現代テクノロジーの多くがこれに基づいており、少々慣れきっているところもあります」と彼は語った。「だから私は、半導体サプライチェーンと量子コンピューティングでリードするために、政府は重要な役割を果たすことができると考えています。それは政策面だけでなく、私たちが世界中から優れた人材を集めたり、大学と協力して長期的な研究分野を作り出すことを可能にすることです」とピチャイ氏は付け加えた。それらの分野は民間企業が最初から焦点を当てられるものではないかもしれないが、10年20年かけて実行できると彼は言った。

国境を超えるサイバー攻撃が増加する中、ピチャイ氏は、サイバーワールドのための「ジュネーブ協定」のようなものが必要な時が来たと語り、政府はセキュリティと規制の優先順位を上げるべきだと付け加えた。

同氏は米国における新たな連邦プライバシー規制に賛成する意見を明確に表明した。これはGoogleは過去何度にもわたって強く要求してきたもので、ヨーロッパのGDPRのようなものを想定している。

「GDPRはすばらしい基盤となっていると私は思います」とピチャイ氏は言った。「私は米国に連邦レベルのプライバシー基準ができることを強く望んでおり、州ごとにバラバラな現在の規制を懸念しています。そのために複雑さが増しています」と彼は続けた。「大企業はさまざまな規制に対応して自らを守ることができますが、小さな会社を始めるためには大きな障壁です」。

これは、Facebook(フェイスブック)CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が規制を求めた際にも再三指摘された問題だ。米国テック業界の規制が強化されることは、FacebookやGoogleのように規制のハードルを超えるためのリソースをもつ大企業に有利に働く。しかし、国が単一の基準を定めることによって、巨大テック企業はただ1つの規則と戦い、米国各州に点在する多くの規則に対応する必要がなくなる。

ピチャイ氏は消費者のプライバシーをセキュリティに結びつけ「プライバシーの最大のリスクはデータが不正アクセスされること」であるとも指摘した。Google最大のライバル、Amazon(アマゾン)のゲーム・ストリーミングサイトであるTwitch(トゥイッチ)がわずか数日前にハックされた後だけに興味深い発言だ。

テック業界の規制でどこに線を引くのかについてピチャイ氏は、法律はオープンインターネットを侵害すべきではないと語った。

「インターネットがうまくいっているのは、相互運用可能で、オープンで、国境を越えた利用が可能で、国境を越えた取引を推進しているからだと私は思っています。だから私たちがインターネットを進化、規制していく上で、こうした特性を維持していくことは重要だと考えています」と同氏は話した。

CEOは他にも、パンデミックが企業カルチャーに与える影響、従業員の政治活動、YouTube上の誤情報などAlphabetとGoogleが直面しているさまざまな問題に関する質問に答えた。

YouTubeの問題についてピチャイ氏は、体験の自由に対する誓約を表明しつつも、最終的には、会社がコンテンツクリエイターとユーザーと広告主のバランスを取ろうとしていることに言及した。同氏は、多くのブランド広告主が自分たちの広告がある種のコンテンツと並んで表示されることを望んでいないと語った。本質的に、YouTubeの広告を基盤とする経済には、誤情報問題の解決に役立つ可能性があることを同氏は示唆した。

「自由市場ベースで考えれば、自分の広告がブランドを損なうと思うコンテンツと並ぶことを広告主は望まない、ということができます。ある意味で、エコシステムのインセンティブが時間とともに正しい判断を後押しすることが実際にあるのです」。

しかしピチャイ氏は、YouTubeは自らがコンテンツの判断を下すことで、パブリッシャーのように振る舞っているのではないか、というインタビュアーの質問はかわした。

ピチャイ氏はパンデミック下におけるAlphabetの企業カルチャーとオフィスへの復帰についても語り、3-2モデル(3日対面と2日リモート)がよいバランスをもたらすと言った。対面勤務日によって共同作業とコミュニティが可能になり、リモート勤務日によって社員は長時間通勤など対面勤務につきものの問題をうまくやりくりできる。しかし、インタビューの別の部分では、ピチャイ氏は少なくなった自身の通勤時間を懐かしんだ。そこは「深く考える」ための空間だったと彼は言った。

従業員の積極活動について。近年多数かつ多様化した従業員が幹部の下した決定と対立する意見を共有することが頻繁に起こり、多くの積極的活動が見られている。ピチャイ氏はこれをビジネスにおける「新常態」だという。しかし、これはGoogleにとってまったく新しいことではないとも指摘した(たとえば数年前、Google従業員は会社が中国市場向けに検閲機能付き検索エンジンを開発していることに抗議した)。

「最近慣れてきたともいえます」とピチャイ氏は語り、会社としてできる最善のことは、決定したことを説明しようとすることだと語った。

「私はこれを会社の強みと考えています、高いレベルで。会社のやっていることをそこまで深く気にかけるほど熱心な従業員がいるのですから」と彼は言った。

画像クレジット:Kenzo Tribouillard / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

年利0.1%でポイントが増える「楽天ポイント利息」がスタート

年利0.1%でポイントが増える「楽天ポイント利息」がスタート楽天が「楽天ポイント利息」の本格提供を10月18日から開始しました。

「楽天ポイント利息」は、「楽天PointClub」から専用ページへアクセスし、預けるポイント数を設定するだけで、預入期間とポイント数により所定の利率に応じてポイントを増やせるサービスです。

利率は年0.108%(月0.009%)で、預入は100ポイント以上から1ポイント単位で追加可能。また1ポイント単位で通常ポイントとして即時に引き出せます。

同社はこれまでに「楽天ポイント」を利用して投資の疑似体験ができる「ポイント運用 by 楽天PointClub」や、ビットコインの取引体験ができるサービスを提供していました。本サービスの提供によって「楽天ポイント」活用の選択肢をさらに拡大した格好です。

(Source:楽天ポイント利息Engadget日本版より転載)

アップルがSiriでのみ利用できる安価なApple Music Voiceプランを発表、月額480円

Amazon(アマゾン)は2019年に、同社のEchoスピーカーでストリーミングする広告つき無料音楽サービスの提供を開始し、家庭でAmazon Musicをストリーミングするより手頃な方法を導入した。そしてApple(アップル)は米国10月18日「Voiceプラン」というApple Musicサブスクリプションの新しい低価格バージョンをデビューさせてAmazonを追撃する。Amazonのサービスと違って、Voiceプランは無料ではない。従来のものよりも安い月額4.99ドル(日本では月額480円)の広告なしのサブスクで、Siriの音声コマンドでのみApple Musicにアクセスできるようになっている。

本日開催されたイベントで同社が説明したところによると、新しいVoiceプランでは、今秋のサービス開始時にはまず17カ国でSiriを使ってApple Music内の曲やプレイリスト、すべてのステーションを再生できるようになる。気分や活動に応じた一連の新しいプレイリストや、パーソナライズされたミックス、ジャンル別のステーションにもアクセスできる。つまり、例えば、ディナーパーティーのための音楽や、1日の終わりに気持ちを落ち着かせるための音楽をSiriに流してもらえるようになる。何百もの新しいプレイリストが利用できるようになる、とAppleは話した。

SpotifyやAmazon Music、PandoraなどApple Musicのライバルは、すでにこうした機能を何年も前から提供している。なのでこれは、Appleがムードやアクティビティに合わせて選べるさらに豊富になったプレイリストでもってこの分野でのライバルに追いつこうとしていることになる。現在のところ、Apple編集のプレイリストは「Favorites Mix」「Chill Mix」「New Music Mix」「Get Up Mix」などのパーソナライズされたプレイリストを含む「Made for You」のラインナップに限られている。

新しいVoiceプランは「すべてのAppleデバイス」でApple Musicにアクセスするのに使えるとしているが、AmazonがEcho向けに提供している無料の音楽ストリーミングと同様、HomePodを念頭に置いて設計されたことは明らかだ。スマホやタブレット、パソコンなど、画面のあるデバイスを使っている場合、Siriに話しかけて音楽を再生するのは必ずしも理に適うものではない。しかし、主にAirPodsでApple Musicを聴いていて、すべてのコマンドを話すことに抵抗がない人にとっては、このサービスは興味深いものかもしれない。

Appleによると、このサービスはiPhoneをはじめiPad、Mac、Apple TV、Apple Watchなどのデバイスに加え、CarPlayでも利用できるという。

Apple Music加入者は、自分の音楽の好みに基づいた提案や、Siriを通じて最近再生した音楽のキューを表示する、カスタマイズされたアプリインターフェイスを目にする。また「Just Ask Siri」というセクションもあり、そこではSiriをApple Musicに最適化する方法を紹介している。

Apple Musicの他のサブスクには「個人プラン」と「ファミリープラン」があり、それぞれ月額9.99ドル(日本では月額980円)、月額14.99ドル(月額1480円)となっている。新Voiceプランも個人プランと同様に、1つの契約で利用できるのは1人に限定されている。このプランでは、9000万曲を超えるApple Musicの全カタログにアクセスすることができる。

画像クレジット:Apple

Voiceプランはオーストラリア、オーストリア、カナダ、中国本土、フランス、ドイツ、香港、インド、アイルランド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、スペイン、台湾、英国、米国で提供される。

Siriを使って音楽をリクエストしている非加入者にもこのサービスを販促するとAppleはいう。非加入者はVoiceプランを7日間無料で試すことができ、自動更新はない。

新サービスの開始に合わせて、Appleは第3世代の新しいAirPodsと、カラフルなHomePod miniスマートスピーカーのラインナップも発表した。

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画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイティブ業界の環境改善を目指すプラットフォームContact、女優メイジー・ウィリアムズやZ世代起業家が支援

生活のあらゆる面をデジタル化したパンデミックの影響で、かつてないほどの盛り上がりを見せているクリエイターエコノミーは、今や1000億ドル(約11兆円)以上の市場になっているという試算もある。しかし、モデル、俳優、作家、デザイナーのプロとして生きていくためには、電子メール、手作業の契約手続き、膨大なPDFファイルなど、さまざまなものを処理する必要がある。トップレベルのタレントエージェンシー全体の評価額が200億ドル(約2兆2000億円)に達しているにもかかわらず、クリエイターたちは支払いの遅延や不透明な業界慣習に苦悩している。しかし、モデルとして活躍するタレントが、20~40%ものコミッション料を請求されることがある一方、ソーシャルメディアは、タレントの参入障壁を下げ、タレントにコンタクトしやすくすることで、従来のエージェンシーを徐々に排除してきた。それでもやはり、いうまでもなく、誰もがソーシャルメディアで自分のキャリアを高められるわけではない。

2020年末に登場したContact(コンタクト)は、当初、モデルの契約の代行や、仕事の一部を管理するといったサービスを提供していた。現在は、クリエイティブ業界のキーパーソンたちを巻き込んで新たな資金調達を行い、前述の広範な問題に対処しようとしている。

「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」で名を馳せたMaisie Williams(メイジー・ウィリアムズ)氏は、クリエイティブ業界の環境改善を熱心に訴えるとともに、このスタートアップのクリエイティブストラテジスト兼アドバイザーに就いている。

コンタクトは今回、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)が主導するシードラウンドで190万ドル(約2億1000万円)の資金を調達した。また、LAUNCH(ローンチ、投資家のJason Calacanis[ジェイソン・カラカニス]氏が率いるファンド)、Sweet Capital(スウィート・キャピタル、Pippa Lamb[ピッパ・ラム]氏主導)、Rogue VC(ローグVC、Alice Lloyd George[アリス・ロイド・ジョージ]氏主導)、エンジェル投資家のSimon Beckerman(サイモン・ベッカーマン氏、Depop[デポップ]の共同創業者)、Eric Wahlforss(エリック・ウォールフォース氏、SoundCloud[サウンドクラウド]の共同創業者で、現在はDance[ダンス]の創業者兼CEO)、Abe Burns(アイブ・バーンズ)氏、Joe White(ジョー・ホワイト)氏も参加している。

コンタクトの原型は、モデルの世界を対象としているが、その視線ははるかに大きなものを見据えている。コンタクトの共同設立者兼CEOのReuben Selby(ルーベン・セルビー)氏は、ファッションデザイナーであり、ウィリアムズ氏がキャリアをスタートさせた会社の設立チームに所属していたことや、Nike(ナイキ)、Thom Browne(トム・ブラウン)、JW Anderson(JWアンダーソン)などと仕事をしてきたこともある。同氏によると、このプラットフォームは、1042億ドル(約11兆4000億円)規模のクリエイターエコノミー全体のスケーラブルなバックエンドソリューションとなり、世界トップクラスのクリエイティブな才能へのアクセスを「民主化」することを目指しているという。

ルーベン・セルビー氏(画像クレジット:Reuben Selby)

近頃、自閉症の創業者であることを語ったセルビー氏は、自身のレーベルReuben Selby(ルーベン・セルビー)の創業者兼クリエイティブディレクターでもあり、クリエイティブエージェンシー兼コミュニティCortex(コルテックス)の共同創業者でもある。セルビーには、Deliveroo(デリバルー)、Daisie(デイジー)、Government Digital Service(ガバメント・デジタル・サービス)などを手がけたJosh McMillan(ジョシュ・マクミラン)氏がCTOとして加わっている。

大まかに言えば競合他社には、Patreon(パトレオン)Creatively(クリエイティブリー)The Dots(ザ・ドッツ)などが挙げられるが、これらのプラットフォームのさまざまな側面を1つの屋根の下に集めようとするコンタクトのビジョンは、意欲的であると同時に、魅力的であると言えるだろう。

エージェンシーに牛耳られているこの業界で、個人や企業がエージェンシーを介さずに直接クリエイターやクリエイティブなサービスを見つけ出し、契約できるというのは挑戦的な試みだ。

コンタクトはまず、2020年10月にファッションモデルの発掘や契約機能を備えたプラットフォームを立ち上げたが、資金調達後はフォトグラファー、スタイリスト、ビデオグラファーなど、他のクリエイティブ分野でのサービスも展開する予定だ。

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セルビー氏は、自身がモデル、フォトグラファー、クリエイティブディレクターとしてクリエイティブ業界に参入しようとした経験から、コンタクトのアイデアを思いついたという。同氏は、報酬を得るための安全で確実な方法がほとんどないこと、委託会社には基本的な技術的ツールが欠けていることを知り、さらに「中間業者」と「エージェンシー」がピンハネによって利益をむさぼる黒幕であり、多くの場合サービスのクオリティーも低いことに気づいた。

では、コンタクトはどのような仕組みになっているのだろうか。

クリエイターが登録すると、さまざまなクリエイティブサービスに渡って自身のポートフォリオを公開し、直接オファーを受けられるようになる。

企業は、フィルターを使って人材を閲覧して見つけ出し、クリエイティブな人材を絞り込み、仕事の詳細を伝え、クリエイターと直接契約することができる。クリエイターは、ウェブ上のプラットフォームや、間もなく公開予定のスマートフォンアプリを使って、仕事の受諾や拒否を行うことができる。仕事が終われば、クリエイターにはコンタクトを通じて報酬が支払われる。

モデル業界での限定公開以来、コンタクトは約600人のクリエーターと、デポップ、Farfetch(ファーフェッチ)、Nike(ナイキ)、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)、Vogue(ヴォーグ)など1400以上のクライアントを獲得したという。そして、このプラットフォームのユーザー数は、前年同期比で100%増加したとのことだ。

セルビー氏によると、コンタクトはバックグラウンドに徹し、タレントがさまざまな分野で独立してブランディングできるようにするつもりだという。重要なのは、コンタクトがクリエイターからは料金を取らず、委託会社からのみ取引に対して20%の手数料を徴収することだ。

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ファウンダーズ・ファンドのパートナーであるTrae Stephens(トレエ・スティーブンス)氏は「特定の会社を作るために生まれてきたような創業者を見つけると、いつも興奮する。ルーベン氏は、まさにそのような創業者の1人だろう。コンタクトが規模を拡大し、新たなクリエイティブ分野に進出していくのを見ることが楽しみだ」とコメントしている。

また、スウィート・キャピタルのパートナーであるピッパ・ラム氏は「コンタクトのチームは『クリエイターエコノミー』という言葉がバズワードになるずっと前から、クリエイターエコノミーのフロンティアを開拓してきた。コンタクトは、世界レベルの技術的才能と、今最も創造的な精神から生まれる真の革新性を併せ持つ稀有な存在だ。この次の展開に期待している」と述べている。

「ゲーム・オブ・スローンズ」のArya Stark(アーヤ・スターク)役で知られるウィリアムズ氏にとって、スタートアップで働くことは初めてではない。同氏は以前、デイジーのプラットフォームに貢献したことがある。そのプラットフォームは、クリエイター同士を結びつけてお互いのプロジェクトに取り組むことや、クリエイターが自分の作品のための協力者を見つけることを支援している。

しかし「中間業者」に支配されているクリエイティブ業界の構図を破壊したいという同氏の思いは、その経験ではまったく満たされなかった。

ウィリアムズ氏とセルビー氏は、筆者の独占インタビューに答えて、自分たちのビジョンを説明してくれた。

セルビー氏は、現在のモデル市場はほんの始まりに過ぎないとし「ビジョンは、常にクリエーターを中心に据え、クリエーターが自分の仕事に対して報酬を得られるようにすることだ。基本的に、モデル業界という1つの分野からスタートした。そして今、フォトグラファー、メイクアップアーティスト、スタイリストなど、新たな分野に展開しているところだ。しかし、それは全体的なビジョンの中では非常に小さな部分だ」と語る。

また同氏は現在「作品の配信、視聴者との関係構築、収益化の方法」に焦点を当てているという。そして「つまり、物理的な制約の解放だけでなく、創造性を収益化するためのツールキットを提供することであり、今はそれを模索しているところだ。マーケットプレイスはあるが、それはごく一部であって、もっと大きなものを考えている」と述べる。

マーケットプレイスモデルは、企業とクリエイターを直接結びつけることができるが、企業が大きな力を持っていることに変わりはないと、同氏はいう。そして「クリエイターたちは、誰かが何かを与えてくれるのをただ座って待っているだけだ。そのため、クリエイターが自分の作品を配信し、自分のやり方で収益化できる方法を模索している。バックエンドではすべてのロジスティックスが機能し、運用面では当社が構築したサービスを使って、支払いやライセンス、保険を処理している」と述べる。

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ハリウッドの大スターであるにもかかわらず、ウィリアムズ氏は、同氏がよく知るクリエイティブ業界やエンターテインメント業界は、テクノロジー業界が構築し使い慣れているプラットフォームではなく、電子メールやハイパーリンクといった旧態依然とした世界に留まっていると話してくれた。「タレント事務所に所属していたため、オンラインでのやり取りはすべてメールだ。デジタル化されている資産もなく、台本を保管する『オンライン金庫』も、オーディションテープをアップロードする場所もない。いつもメールの中にリンクがあるだけだ。業界標準というものがない。エージェンシーについていえば、彼らが行う仕事はどれもあまり効率的ではなく、方向性も定まっていない」と同氏は語る。

同氏は、それを変える必要があるとし「キャスティングのプロセスがあるが、今はまだ、キャスティングディレクターと俳優、脚本家などの間では、非常に時代遅れな方法が取られている。そのため、もっと効率的なプロセスを構築したいと考えている」と述べる。

コンタクトを支援するために集めた投資家について、セルビー氏は、チームがファウンダーズ・ファンドをリードインベスターとして選んだ理由は、同社のアプローチにあるという。「彼らが創業者と一緒に仕事をする方法は、個人に対して非常に裁量を持たせてくれるものだ。[彼らは]創造的に考えるために、多くの自由とスペースを与えてくれる。そのため、明快な連携を取ることができる」と述べる。

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今回のラウンドに参加した他のエンジェル投資家について、同氏は「エリック・ウォールフォース氏やサイモン・ベッカーマン氏のような人たちは、ファッションや音楽文化全体に渡って大きなコネクションを持っている」という。

一方でウィリアムズ氏は、エンターテインメント業界がコンタクトにどのような反応を示すかについて「俳優は、俳優業以外にもさまざまなことをしている。そのようなことすべてを収益化できるプラットフォームを持てるということは、特に俳優は仕事がない時間も長いため、とても重要なことだ」と述べる。しかし、現在のシステムは「エージェントが受けさせてくれるオーディションからしかチャンスが得られない」仕組みになっていると同氏はいう。そして「これでは意欲が湧かずやりがいもない。だから多くの俳優は、ストリーミングプラットフォームで自分の番組を配信したり、自身のドキュメンタリーを作ったり、他の方法で作品を売ったりしている」と続ける。

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同氏は、コンタクトがプラットフォームを通じてそういった場を作り、クリエーターがより自立できるようにしたいと述べ「映画業界や音楽業界には、さまざまな分野でマルチな才能を発揮する、信じられないほど優秀な人たちが溢れている。しかし、彼らはいまだに、強大な権力をもつエージェンシー、レコード会社、マネージャーらに支配され『萎縮』している。才能を発揮するために、他の多くの手段を提供することは、本当に重要なことだと思う」と語る。

セルビー氏、共同設立者、そしてウィリアムズ氏のビジョンが非常に大きなものであることは明らかだ。問題は、同氏らがそれを成し遂げられるかどうかということだ。

しかし、ハリウッドスターを含めたZ世代の影響力を持つ情熱的なチーム、本格的なテクノロジープラットフォーム、米国の有力な投資家、クリエイティブ業界から集められたエンジェル投資家らの組み合わせは、確かに成功の可能性を示しているといえるだろう。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)