激しい抗議活動の中でニューヨークの無料Wi-Fiキオスクが死者を追悼

2015年の終わりごろから、ニューヨークの歩道ではLinkNYCのキオスク(未訳記事)が目立つようになった。誰も使わない滅びゆく公衆電話に代わり登場したこの高さ3m足らずのタワーは、公共のWi-FiとUSB充電と救急など緊急サービスへのアクセスを提供している。

でもその最も目立つ部分は側面の大型ディスプレイで、それは広告と「NYC Fun Facts」(ニューヨーク市の楽しい事実)を交互に表示する。後者は、この眠らない都市のちょっとした情報を提供する。しかし、先週の全国的かつグローバルな抗議活動の間には、画面をまったく別のミッションが占拠した。ニューヨーク市の住民なら気がついたと思うが、画面には人の名前が次々と表示された。黒の背景に白い文字が。

その名前は米国人なら誰もが知っている。Trayvon Martin、Eric Garner、Michael Brown、Tamir Rice、Freddie Gray、Philando Castile、Sandra Bland、Ahmaud Arbery、Breonna Taylor、そしてGeorge Floyd。これらは、警察に勾留中や銃の暴力で死んだ黒人の名前だ。最後のFloydは、彼の死が今回の集団抗議活動の契機となったミネアポリスの男性だ。1つの名前が、一度に15秒ずつ順繰りに表示される。

画像クレジット: Danny Crichton

LinkNYCの運用を請け負うIntersectionのCMOであるDafna Sarnoff(ダフナ・サーノフ)氏は、TechCrunch宛てに「LinkNYCは、奉仕するコミュニティと近隣社会の良きメンバーになるべく努力している。そのため、アートとアクセスと情報によって地元の声を広めている。そして今回は変化を呼びかけている。私たちは、黒人の米国人のために正義を求め、構造的な抑圧と人種差別に反対している何百万人ものニューヨーカーたちとともに立ち、そしてまた、ポジティブな反応をいただいたことに励まされている」というメッセージを送ってきた。

同社は名前の表示を6月2日に開始し、1780基のキオスクのすべてで週末まで続ける。最初の日は、抗議活動Blackout Tuesdayに敬意を表してほかの情報抜きで名前だけが表示された。その後は、新型コロナウイルスの情報などLinkNYCの普通のコンテンツとともに名前も表示されるが、スポンサーは存在しない。いつもは人畜無害な路上の構造物が、抗議活動が猛威を揮い続ける少なくとも向こう数日間は厳しい背景になる。

画像クレジット: Danny Crichton

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

a16zが十分な支援を受けていない創業者に投資する2.4億円のファンド創設へ

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ=a16z)は米国6月3日のブログ投稿で、過小評価され、十分な支援を受けていない創業者らに投資するファンドを立ち上げると発表した。

a16zが6カ月にわたり準備してきたTalent x Opportunity(TxO)ファンドは、同社のパートナーらからの220万ドル(約2億4000万円)の寄付でスタートする。TxOは初年度にシードステージのスタートアップ数社に投資し、将来的には規模を拡大する予定だ。

「当社は、人生でファストトラックにアクセスできなかったが大きな可能性を秘めている起業家を探している。プロダクトは非技術的なものでも技術的なものでも構わない。起業家は十分な支援を受けていないコミュニティ出身である必要がある(あらゆる出自を歓迎する)。理想的には、ニッチな市場を対象とする事業で、興味深いモデルを持っており、見込みと可能性を示す力が多少あることが望ましい」と同社は投稿した

a16zはTxOの目標について「まだ見出されていない人を対象としたアクセラレータのようなもので、目指す成果はVCの資金を獲得すること」だと述べ、起業家にネットワークとトレーニングプログラムを提供するという。同社はスタートアップの後続ラウンドに投資するかどうかについてはコメントしなかった。

a16zは全ファンドで120億ドル(約1兆3000億円)の運用資産を有しているため、220万ドル(約2億4000万円)のファンドは金額面では画期的ではない。ただし、TxOの投資方針は注目に値するものだ。

同社は寄付をベースとしたファンドから企業へ出資する。収益は将来の起業家に資金を提供するためファンドに残す。

TxOの立ち上げは、ミネアポリスの警察によるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害と、それに続く先週の全国的な抗議活動に対する警察の暴力に続く形となる。

抗議から数日経ち、ベンチャーキャピタルコミュニティからBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)運動への支援の動きが相次いだ(未訳記事)。ソフトバンクは、ポートフォリオ企業で最近人種差別に関わる論争(未訳記事)を抱えていたが、今週、有色人種の創業者に投資する1億ドル(約110億円)の「オポチュニティー・グロース・ファンド(未訳記事)を立ち上げた。

さまざまな起業家に日々投資している黒人の起業家や投資家は、他人からの反応の洪水に疑念を抱いている。ベンチャーキャピタル業界は不平等に直面しても変化が遅いからだ。

無数の黒人男性や女性が死んで始めてテクノロジー業界が多様性ある起業家への投資方法を変えるのでは遅いと多くの人が言う。新たな動きが増えているが、善意というよりは日和見的に見える。

ベンチャーキャピタル業界全体が、基本的に2つのことを行う必要がある。人を雇うこと、投資を通じて資金を供給することだ。

「難しいことではない。黒人の創業者に投資してほしい。すべての黒人創業者に投資する必要はない。自分の仮説や『基準』を維持したまま投資対象の黒人創業者を探すことは可能だ」。Backstage Capital(バックステージキャピタル)のArlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏は米国6月2日、TechCrunchに対しそう書いた。「必要なら、私には130のポートフォリオ企業があるし、雇うべき黒人投資家の厳選リストをお見せできる」。

黒人の創業者が率いる企業をターゲットとするプレシード投資ファンドについてブレーンストーミングしている企業もある。計画段階のため早すぎるとして匿名を希望したある企業は、同社のファンドは歴史的黒人大学(HBCU)出身経営者の企業に注力すると述べた。

a16z自身は対象企業をどう探すのか明らかにしなかったが、ブログ記事で「過去6カ月間を、シリコンバレーでは見られないような隠れた天才創業者の探索に費やした」と語った。

ソーシング戦略は、多様性のある起業家に投資するというファンドの目標を達成するために不可欠だ。ベンチャーキャピタルのネットワークは主に男性と白人で構成されているため、特別なパイプラインが必要だ。HBCUからソーシングするのか。才能を見出すために黒人のためのテックカンファレンスに参加するのか。Cleo Capital、Backstage Capital、Precursor Ventures、Harlem Capitalなどの黒人が主導するファンドと共同投資するのか。

これらの質問への答えは、a16zが小切手に限らず創業者をどのようにサポートできるかを理解する上で不可欠だ。

TxOファンドは、a16zに5年間在籍したNaithan Jones(ネイサン・ジョーンズ)氏が主導する。ジョーンズ氏は、シードステージのスタートアップであるAgLocal(アグローカル)を経営していた。同氏は、同社に投資していたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロヴィッツ)のパートナーであるBen Horowitz(ベン・ホロヴィッツ)氏に引き抜かれた。2017年のブログ投稿(Midium記事)でジョーンズ氏は会話の様子を詳しく語っている。

「ベンは、私がa16zポートフォリオ企業の1つで働くか、それともa16z自体で働くことに興味があるかを知りたがっていた。驚いた。彼らが電話で採用の打診をしてくるなんて思いもよらなかった。 私の会社が倒産に向かっている頃に、彼らは私のことを見聞きするようになった。a16zやそのネットワークで私のスキルと才能が役に立つと思ったようだ。彼らは私の本質を調べた。『黒人で、大学の学位がなく、アウトサイダー』であることには関心がなかった。彼らが見ていたのはネイサン・ジョーンズという私自身だった」。

a16zは以前、黒人起業家に資金を提供すべく金銭面で献身的な努力をしてきた。同社は2018年、Cultural Leadership Fund(CLF)を設立した。規模未公開のこのファンドは、WillとJada Smith、Chance the Rapper、Kevin Durant、Nasir Jones、Shellye Archambeauなどの限られた人数の著名なパートナーによって創設された。CLFは、アフリカ系アメリカ人のテック分野への進出支援を行う非営利団体に、年間のマネジメントフィーをすべて寄付している。

TxOファンドはCLFとは異なりLPにリターンを分配しない。リターンはすべてファンドに戻され再投資される。

画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

レゴが「警察セット」のマーケティングを一時中止、人種差別に対する抗議活動に配慮

今週、玩具メーカーのLego(レゴ)はアフィリエイターにレターを送り(ToyBook記事)、一部キットの販売と宣伝を中止するよう要求した。対象となったキットには、警察官のミニフィギュア(Donut Shop Opening、ドーナツショップ開店を含む)やホワイトハウスも入っている。

レゴの行動を巡っては曖昧な情報が出回っているが、同社は上記のキットは製造中止になるわけではないと明言した。いずれも同社のウェブサイトでは入手可能であり、世界的パンデミックの中で営業中のレゴストアでも販売している。

広報担当者は、ジョージ・フロイド氏の殺害を受けて米国や他の海外都市で人種差別や警察の暴力に対する抗議運動が起きていることから、当該セットの広告とSNSでのシェアを一時中止していることを付け加えた。

「当社はいかなる製品の販売もマーケティングも中止していない。6月9日に当社はソーシャルメディアのチャンネルでのコンテンツ配信を一時中止した。アフィリエイトプログラムのメンバーにもこのことを説明し、同様の対応をお願いしている」。

この行動が起きた6月2日は、音楽やテクノロジーコミュニティーの間で「ブラックアウト・チューズデー」と呼ばれている。広報担当者はTechCrunchに、上記製品のマーケティング活動は「数日以内に」再開されると語った。

当社が一部のレゴセットを販売中止したという誤った報道が散見されている。これは事実と異なっており、そのような記事は誤報である。米国で起きている事象を受け、デジタル広告を一時的に中止するというのが当社の意向だ。これで誤解が解けることを願っている。

6月3日、デンマークの玩具メーカーであるレゴは、Twitter上で人種差別反対の結束を呼びかけ、「黒人の子供たちの支援と、子供たちすべてに人種の平等について教育するために」、不特定の非営利団体に400万ドル(約1億3200万円)を寄付する意向を示した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米大統領選を控えてフェイスブックが国家管理メディアに対するラベル導入へ

近くFacebook(フェイスブック)は政府が所有または管理するメデイアであること表示するラベルを導入する。コンテンツの真偽は別として、サイトのそのような成り立ちはユーザーの考慮に値するという考えだ。このラベルが付されれたサイトはこの夏以降、広告の掲出が禁止される。

数か月前に同社は米国の大統領選挙における不正防止の努力の一環として、ページの所有者を確認すること、国家が関与するメディアに対してラベルづけし選挙干渉広告を禁止することなどを考えていると述べていた。

来週、全ユーザー向けに公開される予定のフェイスブックの新機能によれば、「政府の影響下にあることが疑われる」ニュース組織のプロフィールや投稿には、サイズは大きくはないが明瞭に認識できるラベルが付加される。下の画像がこのラベルだ。下方に「このページについて」と「詳細説明」に表示される例を挙げた。

ラベルの警告は上記のとおり。「この投稿者は全体として、あるいは部分的に国家による編集の管理を受けています。 これは資金、組織、ジャーナリズムがあるべき基準を含むさまざまな要素を考慮して決定されています」とある

こうした組織は本拠とする国の外で膨大な投稿を拡散している。OCP(オックスフォード・コンピュータ・プロパガンダ)プロジェクトはこのような動きを詳細にモニターして国家による情報拡散の詳細とその戦略(The Computational Propaganda Project記事)を多数のレポートにまとめている(The Computational Propaganda Project記事)。

上の警告にもあるとおり、国家が関与するメディアを特定するプロセスは簡単ではない。チャイナデイリーやスプートニクなどの国営報道機関は多数の国に存在する。しかし政府の関与は公然たるものとは限らない、資金を供給する(あるいは資金調達を妨げる)ことで編集に影響を与えることができる。また、なんらかの方法で国家の関与を隠して組織そのものを運営することもある。

Facebookは専門家グループに依頼して投稿する報道機関の分析と分類を実行した。 専門家は着目すべき要素が多岐にわたることを明確にしたようだ。その結果、Facebookは分類にあたって公式発表、所有権の構造、利害関係者、編集にあたる幹部、方針、運営、またこれも重要な点だが、当該国における言論の自由の状況などに基づいて、「国家によるコントロール」の有無を認定することとなった。報道機関側では認定が不当だと考えた場合、Facebookに再検討の申し入れを行うことができる。

当然ながらこのラベルは、そのようなラベルを付与された記事を引用しただけの記事や組織には適用されない。またこのラベル付き組織が投稿した記事そのものに自動的に特別な調査やファクトチェックが行われるわけではない。

しかし同社のサイバーセキュリティの責任者であるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グライシャー)氏は「そのような限界はあっても、11月の米国大統領選挙に対する外国政府の各種の干渉の防止を確実なものとするために、この夏の後半以降、こうした組織からの米国における広告のブロックを開始する」とブログに書いている。

米国以外の国ではこうした広告はブロックされないが、「国家によるコントロール」のラベルは表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

テック企業が人種差別に抗議する「ブラックアウト・チューズデー」を実行

週末に音楽業界のエグゼクティブとして知られるJamila Thomas(ジャミラ・トーマス)氏とBrianna Agyemang(ブリアナ・アギェマン)氏は、オペレーションを中断して警察による黒人への暴行に抗議しようと呼び掛けた。2人がサイトとハッシュタグ「#theshowmustbepaused」を作ったところ、ハッシュダグはソーシャルメディアであっという間に拡散し、人々はそれを全米そして国際的な抗議との連帯を示す手段としてとらえた。

呼びかけは、警察の手によるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏や他の米国の黒人の殺害に対する意思表示の方法を探していた個人や企業の間で大きな動きになった。

「6月2日火曜日、意図的に業務を中断する計画だ」とサイトにはある。「黒人コミュニティをサポートするために我々が団結して取るべき行動について正直で、思慮深く、そして生産的な対話を行うために思いを馳せる日にする。音楽業界は数十億ドル規模の産業だ。主に黒人のアートから利益を上げてきた産業でもある。我々のミッションは、黒人の人々の努力や苦しみ、成功の恩恵を受けてきた大企業やそのパートナー含めた産業にすることだ」。

おそらくこの運動の最も明快なしるしは、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)、その他のソーシャルメディアサイトで表示されるようになった黒い四角だ。注意を喚起するものである一方、批判も向けられている。特に、一部の人は#BlackLivesMatterハッシュタグとともに表示する黒い四角を問題視している。

「Instagramで#BlackLivesMatterのもとに黒い四角を投稿するのはやめろ」とAnthony James Williams(アンソニー・ジェームズ・ウィリアムズ)氏はTwitter(ツイッター)に投稿した。「意図的に、あるいは無意識に我々が現場やオンライン上で使っている重要な情報を見えなくしている」。

主な懸念は、黒い四角の海が、多くの人にとってライフラインであり、抗議の記録を刻むものになるソーシャルメディアの多くをかき消していることについてだ。大半は意図的ではないハイジャックのようだ。

音楽に関係するテック企業が、フロイド氏の死やその後の抗議についてオープンレターを出した後にこの動きに同調している。Spotify(スポティファイ)は米国6月1日にコンテンツなどに24時間変更を加えると明らかにした。変更点には、Today’s Top HitsやRapCaviarを含む12ほどのプレイリストやポッドキャストに表示される黒色のロゴやヘッダーがある。一部のポッドキャストやプレイリストには、フロイド氏が息を止められた時間と同じ8分46秒のサイレントトラックが含まれる。

Apple MusicはTwitterで抗議への参加を表明した。Beat 1ラジオの予定をキャンセルし、代わりにブラックミュージックを特集した。YouTube MusicとTidal(タイダル)もソーシャルメディアに連帯のメッセージを投稿した。Tidalは次のように書いている。

我々はジョージ・フロイド氏やその他の多くの死に心を痛め、そして怒っている。痛みや怒りを表している黒人コミュニティを全面的にサポートする。直近の事件は、絶え間ない人種差別や根強い偏見に対し声高にノーと言う我々の決意をさらに強くした。

Amazon Musicもまたブラックアウト・チューズデーに敬意を表してソーシャルに何も掲載しないと表明した。ただ、Amazonは先の連帯のメッセージで批判を受けた。ACLU(米国自由人権協会)はAmazonが顔認識技術を警察当局に提供していることを問題視している。企業が連帯を示しつつ社会の動向のひどい利用を試みているという論点は確かに記すに値する。

米国6月1日に、Comedy Central、MTV、そしてCMTを含むViacom(バイアコム)の10のメディアは、苦しんでいる様子の音を流しながら「I Can’t Breathe」(息ができない)という言葉を8分46秒間スクリーンに映した。

画像クレジット: Yasin Ozturk/Anadolu Agency / Getty Images

関連記事:拡大するジョージ・フロイド氏殺害事件への抗議活動と組織的差別に対するハイテク業界の対応

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(翻訳:Mizoguchi

米国の警察無線傍受アプリが記録的ダウンロード数を達成、抗議デモが影響か

先週末、警察無線傍受などのアプリが米国で記録的ダウンロード数を達成した。警察がジョージ・フロイド氏を死亡させたことに対する全国的抗議行動(New York Times記事)の最中のことだ。アプリ調査情報会社のApptopia(アップトピア)の最新データによると、米国警察の無線傍受アプリは5月29日の金曜日とその後の週末合わせて21万3000回ダウンロードされ、前の週末の記録を125%上回った。

ダウンロード数ランキングの上位には、類似でどちらかというと一般的な「Scanner Radio-Fire and Police Scanner」「Police Scanner」「5-0 Radio Police Scanner」「Police Scanner Radio & Fiire」「Police Scanner+」などのアプリが並んだ。

Police Scannerのダウンロード数がこの中で最も多く、5月29日に1万9000回以上、5月30日に2万4000回近く、5月31日には3万7500回以上ダウンロードされた。しかし、1日のアクティブユーザー数ではScanner Radioのほうが週末を通して数が多く、この期間1日当り4万3000〜4万5000回近くがアプリを使っていた。Police Scannerがこれに続き、3万8000~4万人以上のユーザーが利用したとApptopiaは報告している。

全体では、ダウンロード数はこの分野のアプリ全体にかなり分散している。これは、アプリストアで検索して見つけたアプリをダウンロードした人が多く、口コミや宣伝などで特定のアプリが広まったのではないことを示している。

警察無線傍受アプリの記録的ダウンロードに加えて、ほかにも抗議活動のためにダウンロードが大幅に増えたアプリが2つある。暗号化メッセージアプリのSignalと、リアルタイム警報とライブビデオのためのコミュニティー安全アプリのCitizenだ。

この週末にSignalは3万7000回近く、Citizenは4万8000回以上ダウンロードされた。5月31日にはどちらのアプリも米国内での1日当りダウンロード数の新記録を達成し、Citizenが2万4000回、Signalが1万5000回だった。

無線傍受やコミュニケーションアプリは、週末の抗議活動の追跡に使われたツールの一部にすぎない。ユーザーは、Facebook、Twitter、Snapchatなどのソーシャルメディアでも投稿やビデオの共有で連絡をとっている。ソーシャルメディアのほうがニュース記事よりも正しく状況を伝える(GritDaily記事)という人たちもいる。マスメディアはコンテンツが編集されていたり、偏向していたり、注目されにくい重要なニュースを逃している(Wallstreet Journal記事)ことがあるからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook社員がバーチャルストを敢行、トランプ米大統領の投稿に対する会社の態度に抗議

米国時間6月1日、一部のFacebook(フェイスブック)社員がバーチャルストライキを開始した。ジョージ・フロイド氏惨殺に対する抗議に関わるドナルド・トランプ大統領の投稿に対して同社が行動を起こさないことへの抗議だ。ストライキに参加している社員らは、休暇を要求し、メールの自動返信機能を使って自分たちが抗議行動をしていることを送信者に伝えている(The New York Times記事)。その後Facebookはストライキを承認し、参加した社員は有給休暇を使う必要がないと語った。

先週、武器を持たない黒人、フロイド氏を警官が死亡させたことに抗議するデモがミネアポリスで行われている中、トランプ大統領はTwitter(ツイッター)とFacebookの両方に、「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と投稿した。

The Washington Postが書いているように、このフレーズには人種差別の歴史的背景がある。1960年代、マイアミの黒人街で市民暴動が起きた時、白人警察署長が同じフレーズを用いた。

Twitterの対応は、トランプ氏のツイートに、暴力賛美に関わるTwitterの規則に違反した旨の警告を表示することだった。

しかしFacebookは異なるアプローチをとった。同社の対応はなにもしないことだった。

米国時間5月29日、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は同社のポリシーを説明(未訳記事)し、「国の実力行使を巡る議論は認めている、ただし現在の状況はその議論の潜在的限界がどうあるべきかいう重要な課題を呈した」と語った。さらにザッカーバーグ氏は、「市民は政府が武力行使を計画していることを知るべきだとわれわれは考える」と語った。

関連記事:Twitterが「暴力を称える内容」とトランプ大統領のミネアポリスに関するツイートに再び警告

先週、Twitterが大統領のツイートの事実確認を行う決定を下したことを受け、ソーシャルメディア各社を罰する大統領命令(未訳記事)を発令する意志を発表した後、同氏はTwitterのポリシー適用と自社の対応の対照的な違いをFox Newsのインタビューで示した。トランプ氏の大統領命令が、ソーシャルメディアによるコンテンツ管理を制限すると威嚇した同じ日に放映されたそのインタビューで、ザッカーバーグ氏は人々がオンラインで語ったことに対して、テックプラットフォームが「真実の裁定者」になろうとしていることを批判した。

この日のストライキに加えて、Facebook社員らは会社がもっと役職を多様化するよう求める嘆願書を回覧し、もしザッカーバーグ氏が今の立場を変えなければ会社を辞めると宣言する人たちもいた。何人かの社員は会社対してTwitterで発言した。FacebookのPortal(ポータル)設計責任者であるAndrew Crow(アンドリュー・クロウ)氏もそのひとりで、「暴力を賛美し誤った情報を拡散するためにプラットフォームを提供することは、誰であれニュース価値があったとしても認められない」と語った。「私はマークの立場に反対し、変化を起こすために行動する」。

Facebook内部の騒動が外部に漏れるのは比較的まれな出来事だ。ここ数年、ほかのテック大手が政治や思想の相違に関する公然の抗議活動に直面してきたのに対して、Facebook社員は概して団結し、怒りを会社の塀の中に留めてきた。

5月31日夜、プロダクト管理ディレクターのJason Toff(ジェイソン・トフ)氏はツイートで「会社のとっている行動には誇りが持てない」と語った。「話をした同僚の大半が同じ考えだ。我々は声を届けようとしている」と付け加えた。Instagram(インスタグラム)社員のKatie Zhu(ケイティ・チュー)氏は、6月1日に人種間の平等の大義のための募金を行い、「会社がたった今世界に向けて見せていることに失望し、恥ずかしく思っている」とツイートした

Zuckerberg氏は、社内の不満と過激化する抗議者と警察の衝突を受け、米国で人種間の平等のために戦う団体に 100万ドルを寄付した。同社の時価総額は6500億ドルを超える。

「多くの仲間たち、中でも黒人コミュニテーが感じている痛みを理解している」とFacebook広報担当者が声明で語った。「社員たちには経営陣への不満を率直に語ることを推奨する。コンテンツに関してさらに困難な決断を迫られる中、会社はこれからも正直なフィードバックを求めていく」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

90億円の新規投資でCommonwealth Fusionの2025年核融合実証炉稼働に道筋

Commonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ、CFS)は、2週間前に8400万ドル(約90億円)という投資を獲得した。米国は今も厳しいロックダウンの状況にあるが、投資を獲得できたこと、とくに数十年間誇大宣伝が続いてきたこの新技術に数百万ドル規模で調達できたことは、CFSの最高責任者Bob Mumgaard(ボブ・マンガード)氏の言葉を借りれば「面白いこと」だった。

CFSが克服しようとしている技術的難関と最初の試験技術に向けた同社の長期的な展望は、確かにある時点で、障害どころか利益だったとマンガード氏は言う。「私たちは、いかなる回復モデルも根底にあるニーズに影響を与えない、世界がまだ深刻な気候問題を抱えている遠い未来という、ユニークな立ち位置にあります」と彼は話す。

CFSは、その問題に対応するひとつのソリューションになることを目的としている。同社は、マサチューセッツ工科大学で開発された技術を利用し、現在開発が進んでいる他の現世代型核融合炉(実際に今、いくつかの核融合炉の開発が進められている)をひと足飛びに追い越し、廃棄物の出ないエネルギー源を10年以内に産業界の顧客に届けようと考えている。

CFSの中核をなすイノベーションは、理論的には核融合反応を持続させるために必要な状態を生み出せる高出力の超伝導磁石を開発したことだ。この核融合炉は、核融合を持続させ、発生したエネルギーを閉じ込める超電導磁石で生み出される超高圧下に保存される水素同位元素を使用する。核融合炉は、エネルギー源となる水素を数千万度にまで加熱できなければならない。

CFSが追求する設計は、もう何十年間も研究が進められ、現在フランスで建設が完了した巨大な国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクトのものに近い。ITERは1980年代にレーガン米大統領の政権下で、米国、ソ連、ヨーロッパの数カ国、日本の共同で始まったプロジェクトだ。現在までに、インド、韓国、中国などの国々も加わった。

ITERプロジェクトも2025年の稼働を目指しているが、費用は桁違いに大きい。トータルで140億ドル(約1兆5000万円)を優に超える。建造は2013年に始まった。CFSのスケジュールと比較すると、長大な計画だ。

2013年1月17日、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスで撮影された未来の国際熱核融合実験炉(ITER)。サン・ポール・レ・デュランスにあるフランスの原子力代替エネルギー庁(CEA)カダラッシュ原子力研究センターを拠点として、EU主導でITER機構は発足した。費用の45パーセントを負担しているEUの他、中国、インド、韓国、日本、ロシア、そして米国が、枯渇しつつある化石燃料に代わるこのクリーンで無限のエネルギーの研究に参加している(AFP PHOTO / GERARD JULIEN、画像クレジット:GERARD JULIEN/AFP via Getty Images)

「私たちは、これまで長い間、大きな目標としてきたで建造に着手しました。実際の大きさの実証用磁石です。その建造に取りかかっています。来年には稼働します」とマンガード氏。「

完成すれば、CFSの磁石は10トンもの重量となり、MRI20基分に相当する磁力を生み出すとマンガード氏は言う。「磁石が稼働すれば、次に稼働に必要なエネルギーを上回るエネルギーを発生するマシンの建造に入ります。そのとき、私たちはそれを(核融合の)キティーホークの瞬間と考えています」と彼は話していた。

2025年に技術を市場に投入しよう競っているスタートアップは他にもある。カナダのGeneral Fusion(ジェネラル・フュージョン)と英国のTokamak Energy(トカマク・エナジー)だ。今後6カ月から8カ月の間に、CFSは最初の核融合実証炉の建設場所を決めたいと考えている。

2018年に正式に設立された同社に最新の投資を行ったのは、新旧の投資家陣だ。彼らは総額で2億ドル(約215億円)以上を出資している。今回のラウンドは、Temasek(テマセク)が主導し、多国籍エネルギー企業のEquinor,(エクイノール)が新規に参加している。また、Fidelity Investments(フィデリティー・インベストメンツ)の親会社FMR LLC系列のDevonshire Investors(デボンシャー・インベスターズ)も加わった。

現在の投資企業には、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が支援するBreakthrough Energy Ventures(ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ)、MIT傘下の投資ファンドThe Engine(ジ・エンジン)、イタリアのエネルギー企業ENI Next LLC(エニ・ネクスト)、さらに、Future Ventures(フューチャー・ベンチャーズ)、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Moore Strategic Ventures(ムーア・ストラテジック・ベンチャーズ)、Safar Partners LLC(サファーー・パートナーズ)、Schooner Capital(スクーナー・キャピタル)、Starlight Ventures(スターライト・ベンチャーズ)といったベンチャー投資企業も参加している。

「私たちが核融合とCFSに投資する理由は、その技術と会社を信頼しているからです。私たちは今も、そして低炭素な未来においても、世界にエネルギーを供給する責務を果たし続けます」とEquinorの最高技術責任者であり、研究およびテクノロジー上級副社長のSophie Hildebrand(ソフィー・ヒルデブランド)氏は声明の中で述べた。

CFSは、この新しい資金で核融合発電所、核融合エンジニアリング・サービス、高温超伝導磁石の供給の基礎となる技術の開発を継続する。さらにこの資金は、同社独自の高温超伝導磁石の他の応用のための事業開発活動にも使われる。高温超伝導磁石は、同社のSPARC核融合炉の要となる技術であり、さまざまな商用展開が考えられると同社は話している。

その努力を支援するための、また数々の核融合開発企業のタイムラインを加速させることが期待される、米連邦政府の取り組みがある。新施設の建設を資金援助するというものだ。米エネルギー省は、先日、米国内で核融合炉を共同開発した場合の費用を調査するための情報依頼書(RFI)を発行した。

SpaceX(スペースエックス)やBlue Origin(ブルー・オリジン)、その他の米国の民間宇宙企業に道を開いた商用軌道輸送サービス(COTS)計画に続いて企画された、核融合炉を資金分担して共同開発するというこの計画には、低価格で汚染物質を出さない核融合炉の開発と米全土での設置を加速させる可能性がある。「COTS計画は、政府の独断で指示される宇宙部門を、活気溢れる民間打ち上げ産業に移行させました」とマンガード氏。

商業的イノベーションを刺激する官民パートナーシップの価値を見続けてきた投資家に、Future Venturesの創設者でありCFSの支援者でもあるSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベットソン)氏がいる。ジャーベットソン氏は、エネルギー産業の未来のためには核融合への投資は不可欠だと理解している。

「核融合エネルギーは、私たちの未来への投資です。それは、気候変動と戦うための重要な道筋を示してくれます。CFSへの継続的な投資は、世界のエネルギー問題に対処できる長期的ソリューションを探し求める私たちのミッションに、しっかりと合致しています」と、Future Venturesの創設者でありマネージングディレクターであるジャーベットソン氏は話していた。

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(翻訳:金井哲夫)

カナダ裁判所はファーウェイCFOの米国への引き渡し審理の継続を決定

5月27日、カナダのブリティッシュコロンビア州最高裁判所は世界的に注目を集めていた事案に関して決定を下した。中国最大の電子機器メーカー、Huawei Technologies(ファーウェイ・テクノロジーズ)のCFO(最高財務責任者)である孟晩舟(モウ・バンシュウ)氏に対する米国の身柄引渡し要請に対し、「米国、カナダ両国で罪に相当する容疑」と認定した。これにより裁判所は引き渡しの可否をめぐる実体審理に入る。米国はこれまでにも繰り返しファーウェイに対して厳しい措置を取っている。

この決定(ブリティッシュコロンビア州最高裁判所へのリンク)裁判所は「双罰性」を認定し、引渡しに関する審理は続行されることとなった。ファーウェイ側は引き渡し要請自体が不適法なものとし審理を打ち切らせ、孟氏を中国に取り戻そうと努力してきたため、この決定は大きな打撃だ。

ファーウェイと孟氏を巡って長く続いてきたドラマにおいてこれは決定的な意味を持つ。孟氏はは米捜査当局の要請により、2018年12月1日にバンクーバー国際空港で逮捕された(CBC記事)。引き渡し要請の根拠はファーウェイ自体の詐欺容疑(米司法省のプレスリリース)だった。

米司法省はファーウェイに対する捜査(ロイター記事)の結果、同社が香港拠点のSkycom Tech(スカイコム・テック)をはじめとする多数の企業を支配下においていたことが発見されたとしている。Skycomは米国のテクノロジーを利用した通信機器をイランに販売(ロイター記事)し、経済制裁に違反したという。これに対しファーウェイが制裁違反企業を支配していたことを否定したことが詐欺を構成すると米捜査当局は考えている。

カナダの裁判所が審理を続ける間、孟氏は保釈され、ほぼ1年半にわたってバンクーバーで居宅に拘禁されている。この事件は米国と中国の貿易戦争の激化の象徴となっていた。

カナダの司法体系では国外への身柄引き渡しには「双罰性」を必要とする。つまりカナダと引き渡しを求める国の双方で可罰的行為でなければならない。裁判所は通常の事件では引き渡しの可否を一括審理するが、ブリティッシュ・コロンビア州最高裁副長官のヘザー・ホームズ判事は審理を分割することを決定した。1月の審問は「双罰性」を満たすものであるかに限って行われた。もし双罰性が認められなければ、米国の身柄引き渡し要請は直ちに退けられることになっただろう。

1月20日 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー:裁判所を出て昼食に向かう.孟晩舟ファーウェイCFO(撮影 Jeff Vinnick/Getty Images)

孟氏はファーウェイの創業でCEO(最高経営責任者)の任正飛(ジン・セイヒ)氏の娘だが、今回の決定はファーウェイがここ数カ月で直面しているさまざまな問題の1つに過ぎない。

西欧でのビジネスにも新たな打撃があった。英国は熱心な支持者ではないまでも、次世代の5Gネットワーク構築でファーウェイの機器を使用することを以前から決めていた。ところが先週、英国はこの決定を取り消すことを発表した。また現在使用中のファーウェイのネットワーク機器も数年かけて除々に退役させるという。

一方、米国では、トランプ政権が中国との貿易関係における力関係を逆転させるため、ファーウェイをテコとして利用しようと考えている。2週間前にトランプ政権はファーウェイに対する技術輸出規制を延長した。これにより同社のICチップやスマートフォンの生産能力が脅かされている。世界最大の半導体受託製造工場である台湾拠点のTSMCはこの規制措置にともないファーウェイから新規の受注を停止したと述べた。同時にTSMCは米政府の支援を受けて120億ドル(1.3兆円)を投じてアリゾナに巨大な半導体製造工場を建設する計画を発表している。

トランプ政権はファーウェイとの経済的な戦いを政策の優先事項としているが、その戦略は政府全体には支持されておらず、国防総省などの省庁は、輸出ライセンスの制限が最終的に米国の産業競争力に悪影響を及ぼすことを懸念している。

実際に、ファーウェイが米国との関係が続いていることを考えると、米国の輸出規制を回避し、その制約から抜け出して、完全に中国国内の部品を使用して機器を製造することが、同社自身の最も重要な使命の1つだろう。これを支援しているのが中国政府であり、中国政府は国内のチップ製造能力を強化するために数十億ドルの資金を新たに投入している。

これは複雑な状況で、欧米の政策立案者が統一的なアプローチを採るのに苦労している。数週間前にTechCrunchライターのScott Bade(スコット・ベイド)が指摘(未訳記事)したように、オーストラリア、英国、米国などは、ファーウェイと中国の技術進出全般について合意に達するのに苦労している。各国が独自の視点と中国本土との関わり方のレベルの違いからこの問題に取り組んでいるのだ。

孟事件は、現在進行中の中国の戦いにおける最新の一撃に過ぎないが、今後はさらなる小競り合いが予想される。

画像:Bloomberg /Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleマップのエンジニアが作った公共スペースを安全に再開するためのアプリ

新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威は続くが、その中にあって経済活動を円滑に再開しようと提案、あるいは開発されているテクノロジーは多数ある。そうした取り組みのひとつが、Keyholeの共同創業者だったBrian McClendon(ブライアン・マクレンドン)氏から米国時間5月22日に発表された。Keyholeは2004年にGoogleに買収され、Google EarthとGoogleマップのベースになった企業だ。マクレンドン氏が新たに始めたCVKey Projectは認可を受けた非営利団体で、症状を自己診断して一時的なQRコードを生成するアプリをリリースする。そのQRコードは、例えば図書館など、このプロジェクトに参加する各地の施設に入るための健康状態の「パス」として今後機能する。

CVKey Projectは、最終的には公共のスペースを安全に再開するのに役立つ一連のアプリをリリースしたい意向だ。先日、AppleとGoogleがリリースした濃厚接触通知APIを利用して、CVKeyのアプリにも通知機能が組み込まれるかもしれない。CVKeyは、現在の政府のガイドライン下でオープンしている施設と、その施設の新型コロナウイルス感染拡大防止ポリシーに関する情報を提供することも計画している。

CVKeyのアプローチの中心となるポイントは、アプリユーザーが共有スペースに入っても「安全な」人であると確認するために、アプリが生成するQRコードを利用することだ。マクレンドン氏によれば、利用者のプライバシーには配慮してシステムを設計しているという。個人を特定する情報や健康に関するデータが保管されるのはユーザーのデバイスのみで、ユーザーの同意なしにデータがクラウドサーバーにアップロードされたり共有されたりすることはない。共有した結果どうなるかという情報も提供される。ユーザーは自発的に自分の健康に関する情報を提供し、アプリが位置情報を求めることは一切ない。インターネットに接続していなくてもほとんどの機能が動作するとマクレンドン氏は説明している。

自分のQRコードを生成してこのシステムに参加している施設でスキャンすると、施設のポリシーに基づいて、ユーザーが中に入ってもいいかどうかがシンプルなバイナリで示される。施設側には、利用者の健康に関する情報は提供されない。コードが伝えるのは症状に関する項目(症状やその時期など)だけだ。その症状が公共スペースのポリシーに反していないかどうかが判定され、それによってアプリが入場の可否を判断する。

マクレンドン氏は、Google EarthやGoogleマップ、Uberで一緒に仕事をしていたManik Gupta(マニク・グプタ)氏とWaleed Kadous(ワリード・カドゥス)氏、そして公衆衛生の専門家で公共機関や民間組織で長くリーダーを務めてきたMarci Nielsen(マルシ・ニールセン)博士とともにCVKey Projectを立ち上げた。

CVKey Projectのアプリはまもなくリリースされる予定で、同プロジェクトではこのプログラムに参加するパートナーを募集している。新型コロナウイルス対策として作られているものはいずれも単純な解決策ではなく、それはこのプロジェクトも同様だが、感染拡大に対応するための大規模な戦略の一部となる可能性はある。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナ禍の悪化し続ける世界に生きて働くこととは?

そう遠くない昔、私たちはよくなっていく世界に生きていた。もちろん悲劇や惨事はあり、深刻な不平等もあったが、それでも世界規模で、長い年月で見れば、ごく最近のベルリンの壁崩壊前と比べて、ほとんどの人々にとってものごとは良くなっていた。

「ごく最近」がいつか、について、道理をわきまえた人は異論があるかもしれない。個人的には、2015年あたりが転換点たと思っている。あれ以来、難民の数は膨れ上がり、「プレカリアート」(生活不安定層)の話題が高まり、ネオファシズムと区別のつかない外国人嫌悪が世界中にはびこり、地球温暖化の脅威が避けられなくなった。

ほかの、もっと楽観的な人たちは世界は今年になるまでよくなっていたと言う。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを前にいま私たちが後戻りしていることに異論を唱える人はほとんどいないと思う。直接的な死亡率だけではない。疾病率も、急増する失業率によって、期待するほど早い復旧は望むことができず、改善しなければ死亡率が何倍にもなることは明らかであり、世界恐慌にもつながる。最悪、世界で極貧が激増することが予測されている。

私たちは悪化する世界に住んでいる、少なくとも今年、おそらく来年、さらにその後も。それは、ものごとはよくなっているという理にかなった信念になじんだ人たちにとって、慣れるのが恐ろしく困難なことだ。長い間、おそらく1970年代中頃から1980年代初めにかけて以来、人類がこのような脅威にさらされたことはない。

悪化する世界で変わるのは何か?例えば、物事の帰結について今以上に慎重になる必要がある。高度経済成長期には、企業の成功(あるいは失敗)の不快な副作用をなかったことにする、という不幸な傾向かあった。それはすぐに解決する一時的な摩擦であり、上げ潮がすべてを押し上げ、影響を受けた人々は(少なくとも理論上)簡単に新しい職を見つけられるとされた。実際、好況時にはそれを論証することもできた。しかし、引き潮で鋭い岩が下にある時の事情はまったく異なり、人々は自分を合わせていかなくてはならない。

もうひとつ、さらに興味深くて直感に反する教訓が、1970代年中期から1980年代初期から学び取れる。それはパンクロックやヒップホップが生まれた時代であり、どちらも当時の美的基準からはかけ離れていた。当時はハリウッドの黄金時代であり、それはまさに「誰も何も知らなかった」からだ。Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)が設立された時でもあり、パーソナルコンピューターが、その存在すら曖昧で奇妙な珍品だった。

おそらくここでの教訓は、今は何か奇妙なことを追い求める時だということだろう。後追いでも、順応型の別バージョンでもない、正真正銘の奇妙さだ。今は奇妙なスタートアップを見つける時かもしれない。いやもしかしたら、スタートアップは変化を後押しする主要な原動力であり、真に奇妙なのは、スタートアップとは全く異なる何かを作り出すことなのかもしれない。あるいは、単にアートを作る、ただし自分だけの形式のアートを発明することかもしれない。これが悪化する世界の中で楽観的な考えであることはわかっているが、パンデミックでさえ、楽観主義者を必要としているのだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonの倉庫作業員8人が新型コロナで死亡

Amazonの従業員8人が新型コロナウイルス(COVID-19)で亡くなった。同社は倉庫作業員の感染拡大の状況を透明化せず調査を受けているが、その最中にこの知らせは届いた。

広報担当者はこの報道内容を認め、TechCrunchに対して「オハイオ州ランダルの施設で働いていた1人の仲間を失い、私たちは悲しみに暮れています。彼女の家族と愛する人たちのことを私たちは心に留め、彼女の同僚たちのサポートを行っています」という。

検査結果が陽性だったAmazon従業員の全体数は、不明のままだ。同社は、そうした情報は公表しないという立場をとり続けている。「その数字がきわめて重要だとは考えていません」とAmazonは、以前、TechCrunchに送った声明で述べている。また、次のようにも語っていた。

感染者の割合は、私たちが操業している地域社会の割合と同じか、それ以下です。隔離者の割合も同じです。隔離者の割合は、職場の状況を知る上で非常に重要な手がかりとなりますが、それが、社会的距離の確保に向けた私たちの賢明の努力が効果を表していることを示しています。HIPPA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)に触れない部分を隠そうとする業者とは異なり、私たちは現場のすべての従業員に対し、陽性の診断が出た場合には必ず警告を発しています。この警告は、従業員に直接メッセージで送られ、陽性と診断された人物が最後に施設のどこにいたかを知らせています。

透明性の欠如は、Amazonの新型コロナウイルス感染症対策にまつわる数多くの批判の中のひとつだ。

出荷センターの従業員を保護するために、できることはすべて行っているが、従業員が倉庫内でウイルスに曝露する危険性を排除するのは、適切な個人防護具を使用したとしても困難であると同社は繰り返し主張してきた。2020年5月の初め、13の州の検事総長はAmazonに対して、ウイルスに感染した従業員の数を明らかにするよう要請する書簡を送った。

「要求はしましたが、新型コロナウイルスに感染した従業員、そしてそれが元で亡くなられた方の人数について、情報は得られていません」と書簡には書かれている。「この件に関して、貴各社の州ごとの内訳を提出するよう求めます」。

今週の初め、ニューヨーク・タイムズは、ペンシルベニア州北東部に特に深刻な倉庫があると伝えた。そこでは明らかに100人以上の従業員がウイルス検査を受け陽性と診断されたという。Amazonが公表していないため、正確な数字はわからない。米国時間5月21日、ウィスコンシン州の地元紙ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルは、ケノーシャ近くの倉庫で少なくとも30人の従業員に陽性の検査結果が出たと伝えた。

自宅待機をする米国人のAmazonの配達への依存度が高まるにつれて、多くの州が定めている「必要な仕事」の担い手として作業員たちへの依存も増している。5月中旬、Amazonは1時間2ドル(約215円)の「危険手当」の支給を5月末まで延長すると発表したが、6月には通常の給与に戻るとし、次のように話した。

従業員のみなさんへの感謝と、増大する需要の対応のために、私たちは、新型コロナ禍が始まって以来、就業初日から給与の全額支払いを続けるとともに、従業員とパートナーに8億ドル(約860億円)近くを追加で支給してきました。需要の安定を受け、来月からは業界トップクラスの基本時給15ドル(約1615円)に戻す所存です。

Amazonは、新型コロナ禍の最中に社会的懸念を招いた数名の従業員を解雇したことから、追加的な調査の対象になっている。同社はその解雇は報復ではないと否定しているが、それが新たな書簡の発行につながる十分な理由となった。今回の書簡には、Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏も名を連ねている。

画像クレジット:PHILIPPE LOPEZ / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

アップルとグーグルが新型コロナ濃厚接触通知APIをリリース、各国公衆衛生機関はアプリ開発へ

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染者と接触した可能性があることを通知するアプリのAPIを一般公開した。TechCrunchでも先月下旬、コロナウイルス接触者追跡APIとして報じている。両社はその後、名称をウイルスに対するExposure Notification System(曝露通知システム)に変更したが、この方が機能を正確に表現しているようだ。

このアプリのユーザーが新型コロナウイルス感染にしたと確定診断された場合、その情報は公衆衛生機関にもたらされる。公衆衛生機関はアプリを利用している他のユーザーで感染者と接触があった人々に対し感染リスクがあることを警告する。個人を識別できる情報や位置情報などのプライバシーは十分に保護される。

今回の正式公開によりすべての公衆衛生機関がアプリのAPIを使用できるようになった。これまで両社は開発に必要な情報を得るためにベータ版のみを公開していた。正確にいえば、APIを利用するのは公衆衛生機関の依頼を受けてアプリを開発するデベロッパーだ。 つまり両社自らがリスクの通知やモニターアプリを作っているわけではない。

両社によると、米国の州多数と5大陸の22カ国が、感染警告アプリの開発のために感染データを処理できるツールの提供を要請していたという。公衆衛生機関は今回のリリースでAPIを利用できるようになったが、さらに機能の拡充を望んでいる。これまでに両社は、当局者、疫学専門家、アプリのデベロッパーのために説明会や講習会を24回以上開催してきたという。

感染リスクを通知するAPI はユーザーを識別する必要があるため、デバイス内でランダムに生成される鍵を利用する分散型識別システムとなっている。識別鍵はユーザーが使用するデバイス自身の識別情報などにはリンクせず、短時間で破棄されて別の鍵で置き換えられる。このAPIを利用する場合、公衆衛生機関は、感染リスクのあるユーザーとの接触持続時間や距離で独自に設定することが可能だ。

さらに両社は、感染リスクがあると通知されたユーザーが公衆衛生当局に対して自発的に健康状態を提供できるようにする。この場合、当局がユーザーに直接連絡して適切な対応を指示できるようにしていくという。

APIの開発にあたり、両社はプライバシーに最大限に配慮したという。組み込まれたプライバシー保護機能には、例えばBluetoothメタデータ(信号強度や送信電力など)の暗号化も含まれる。このようなデータは、可能性は低いもののデバイスを特定し、ひいてはユーザー自身を特定することに利用される可能性があるためだ。

またユーザーから位置情報の利用許可を得る必要があるアプリにこのAPIの使用することは明示的に禁じられている。公衆衛生当局が開発している感染追跡用のアプリには位置情報データを利用しているものがあるが、そうしたアプリはこのAPIにアクセスできない。このためアプリの開発方針の変更(未訳記事)も行われている。

両社はAPIの公開に関して以下のような共同声明を発表した。

アウトブレイクの発生時に公衆衛生当局が使用してきた最も効果的な手法の1つに、接触追跡と呼ばれるものがあります。このアプローチを通じて公衆衛生当局者は、感染者に濃厚接触した可能性のある人々に接触し、検査し、治療し、助言する。コンタクト・トレーシングの新しい要素の1つが、濃厚接触通知です。プライバシー保護のためのデジタル技術を使用して、ウイルス感染者に濃厚接触した可能性のある人に通知します。Exposure Notificationには、迅速な通知という具体的な目標がありますが、これは無症状で感染する可能性のある新型コロナウイルスで感染の拡大を遅らせるために特に重要です。

この取り組みを支援するために、アップルとグーグルは協力して、Exposure Notifications技術を構築しました。これにより、公衆衛生機関が作成したアプリがAndroid端末とiPhoneの両方でより正確に、より確実に、より効果的に動作するようになります。ここ数週間、両社は協力して、世界中の公衆衛生当局者、科学者、プライバシー保護団体、政府指導者に働きかけ、彼らの意見や指導を取りまとめてきました。

本日より、当社の濃厚接触者通知技術は、iOSとAndroidの両方で公衆衛生機関に提供されています。私たちが開発したものはアプリではありません。各国の公衆衛生機関が、ユーザーがインストールする独自のアプリにAPIを組み込むことになります。私たちの技術は、これらのアプリがよりよく機能するように設計されています。システムはデバイスから位置情報を収集したり使用したりすることはありません。ユーザーの採用が成功の鍵であり、これらのアプリの使用を促進するためには、これらの強力なプライバシー保護が最善の方法であると私たちは考えています。

本日、この技術は世界中の公衆衛生機関の手の中にあり、彼らが先頭に立ち、私たちは彼らの努力を支援し続けていきます。

両社は感染警告機能をモバイルOSそのものに組み込むことを計画しており、今年後半のiOSおよびAndroidのアップデートで実施されると述べていた。ただしこの「第2段階」の内容はさらに修正される可能性がある。両社によれば「新型コロナウイルス感染抑制対策としてどのような機能がシステムレベルに搭載されるのが望ましいか公衆衛生当局と協議を続けている」とのことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナウイルス 関連アップデート

ビデオを引用する人たちはなぜいつも間違っているのか?

みなさんにも経験があるに違いない。なにかの論争であれ単なる好意的な意見交換でも、何らかの議論がネット上で持ち上がると、人は自分の知っていること、あるいは知っていると思っていることをしゃべりまくる。中には、リンクや情報源を示す立派な心がけの人もいる。そういう人は、概して正しい可能性が高い・・・

・・・ただし、リンク先のビデオが数分以上の長いものである場合を除く。そういうときは、ほぼ間違いなく、完全な誤りであり、多くの場合、何も引用しない人よりもはるかにひどく間違っている。

このことに本質的理由はない。ビデオはなんらかの考えを裏付けるうえで優れたメディアといえる。長いビデオは概して優れた裏付けをもたらすはずだ。だったらなぜ、ネットでの引用は常に、例外なく常に、ひどく壊れやすい粘土細工でできているのだろうか?

なお、私が言っているのは、何かしらの客観的真実に関わる議論のことだ。”De gustibus non est disputandum” [好みの問題に論争はありえない]ということばがあるが、ビデオは主観的意見を裏付けるのに最適な手段であることが多い(”Honest Trailers“(オネスト・トレーラーズ)は私の一番お気に入りのYouTube番組のひとつ)。そして客観的観点を説明する「60秒」のビデオクリップは、1000の言葉よりも価値がある。

しかし、もしリンク先が10分かそれ以上長いビデオで、「全部を見るべし」などの推薦文がついていればなおさら、あなたはすでに非論理的で不条理の世界に入りかけている。

なぜならビデオは「ホット」なメディアであり、大脳の辺縁系に直接働きかけるため、半分の真実やうわべだけの議論を覆い隠すのに異常なほど適しているからだ。人は本能的に、情熱のこもったあるいは確信をもった人や意見をとりあえず信じる傾向がある、 文字で書かれたものよりも。

それともこれは、相関関係であって因果関係ではないのか?長いビデオを最後まで見ようとする人というのは、そもそもすでにその意見を内在化していて、批判的に考えようとしないのではないか? あるいは、長いビデオから情報を得ることを好む人は、文章リテラシーが低く、批判的思考が停止しているからなのではないか?

あるいは、長いビデオにリンクする人は、全編を通して見る時間も興味も誰にもないことを知っているのだろうか? 彼らは「引用」を、熱心で真剣な研究家であることを偽装する煙幕に使っているだけのか? 多くの場合私にはそれが一番しっくりくる。「この30分のビデオを見よ」系人々の多くは、誠実な動機で行動しているように見える、見当違いというだけだ。

30分ビデオを引用する人が実際には説得力ある意見を持っていない、というのは宇宙に内在する法則ではない。しかし、インターネットの法則ではあるように思える。それで万事うまくいくのかもしれない。というのは、ディープフェイク(偽の画像や映像)が大挙してやってきた時、われわれは、少なくとも批判的思考を持つ人たちは、すぐに疑いを持つようになるから。それまでの間に、ビデオに対する自動的な懐疑的態度が広まることを願いたい。

画像クレジット:Pikrepo under a license.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国12州の州司法長官がアマゾンとホール・フーズに新型コロナ禍の労働環境について公開書簡

Amazon(アマゾン)のCEOを務めるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏とWhole Foods(ホール・フーズ)のCEOを務めるJohn MackeyIn(ジョン・マッケイ)氏に宛てた連名の公開書簡で、米国の12州の州司法長官が、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの脅威の下で働いている労働者の保護を強化するよう求めている。書簡はマサチューセッツ州司法長官であるMaura Healey(マウラ・ヒーリー)氏が執筆し、コネチカット、デラウエア、イリノイ、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、ペンシルベニア、およびD.C.の各州司法長官が署名している。このメンバーは3月にも同様の書簡を送っている。

書簡に付随するプレスリリースでヒーリー氏は「アマゾンとホール・フーズには、新型コロナウイルスパンデミックの間に従業員と顧客を護るための、あらゆる可能な手段を講ずる責任と義務がある。我々は再び両社に呼びかけることによって、彼らが州の法律と国の指導方針を遵守して、危機の間に企業の基盤である労働者の安全を確実に維持するように働きかけたい」。

書簡で強調されているのは、病欠と安全措置、従業員に何かを通告する場合の方法、そして最近相次ぐ世間の注目を浴びるような解雇の問題だ。特に最後の問題は、9名の民主党上院議員による同様の趣旨の書簡を裏打ちするものだ。上院議員たちは「従業員の解雇が危険な労働条件に関して内部告発をしたことへの報復ではないか」と問うていた。

州司法長官たちは 「そのような行為は、もし証明されれば、職業安全健康法11条c項および、一部の州の報復を禁じている法律に違反している可能性がある。この公衆衛生の緊急事態においては、報復と感じられただけでも、健康と安全に関する合理的な懸念を表明しようとする従業員を黙らせる効果があり、これらの社員やその同僚、顧客、および公衆を深刻な危険にさらすものである」と述べている。

この書簡はこれまでより一歩進んで、アマゾンが所有するホール・フーズの行為を別個に取り上げている。具体的には「州司法長官事務所や一般公衆が、これらの深刻な展開をホール・フーズから直接ではなく、メディアの記事から間接的に知っていることは問題である。したがって我々はホール・フーズ自身が、そのポリシーやプロセスの説明を提供するよう求める。特に重要なのは、同社店舗における新型コロナウイルスの状況を消費者や一般公衆、そして公衆衛生当局に通知するために、どのようなポリシーやプロセスが用いられているかである」という内容だ。

アマゾンは、内部告発者を解雇したという説をもちろん否定し「パンデミックの間も従業員が仕事を続けられるための措置を取っている」と主張している。書簡では「アマゾンとホールフーズはともに大きな売上増を経験しているだけでなく消費者が家にいて食料品を買うことが増え、オンラインショッピングにますます頼るようになっている」と結んでいる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ偽情報の動画「Plandemic」にYouTubeやTwitter、Facebookなどが緊急対応

パンデミックの中で拡散する偽情報に対し、各プラットフォームが強硬な姿勢を見せているにもかかわらず、有名なワクチン陰謀論者を特集した新型コロナウイルス(COVID-19)に関する動画が5月4日の週、ソーシャルメディアで山火事のように広がった。

プロが制作した動画の中で、Mikki Willis(ミッキ・ウィリス)氏というインタビュアーが反ワクチン活動で近年最もよく知られている人物であるJudy Mikovits(ジュディ・ミコビッツ)氏にインタビューしている。この動画は、オンラインの陰謀論者が好む多くのトピックに触れている。ほぼ全編にわたり、ワクチンが医療被害を引き起こす金儲けの道具だという見方に基づいている。

この動画は5月4日にVimeoとYouTubeに最初に投稿され、週半ばに広がり始めた。Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)にも飛び火し、より広範囲に配信され、何百万もの再生回数を記録した。現在、この動画はどのソーシャルプラットフォームでも非常に簡単に検索できる。広範に再投稿されており、AIモデレーションによる検出を避けるためタイトルが削除・変更されていることもある。

Twitterによると、ミコビッツ氏によるツイートはTwitterが定める新型コロナ偽情報に関するルールに違反していないようだが、Twitterはその動画のURLを「安全でない」とし、関連するハッシュタグ「#PlagueOfCorruption and #Plandemicmovie」をブロックした。Twitterは、同氏のアカウントが仕組まれたキャンペーンの一部として拡散されているという証拠は発見していない。

アップデート:TwitterはTechCrunchに対し5月8日、その動画から個人が作成したクリップがTwitterのルールに違反しているか調査中だと明らかにした。同社はまた、動画のフルバージョンへのリンクに警告ラベルをつける予定だ。ただしTwitterはリンクの削除は行わない方向だ。ユーザーが動画に異議を唱える際もツイートにリンクを入れるからだ。

この動画は新型コロナや健康に関する偽情報を取り締まるFacebookのルールにも反しているが、Facebook上ではいまだに動画を非常に簡単に見つけることができる。筆者はフルバージョンの動画のコピーを数秒で見つけた。執筆時点では、Instagramの#plandemicハッシュタグや#coronahoaxのようなハッシュタグに動画からの長いクリップが多数関連付けられていた。 Facebookはすでに動画の拡散食い止めに動いているが、すでに短時間で数百万回のビューを獲得している。

YouTubeで「Plandemic」と検索すると、動画が主張する多くの誤った主張をただすコンテンツも多数表示されるが、依然として検索結果上位には動画からのクリップが表示される。

動画自体はオンラインで拡散している誤った新型コロナ陰謀論の寄せ集めであり、科学的根拠のない反ワクチン論と迫害の主張だ。

動画でミコビッツ氏はワクチンに反対したわけではないと述べているが、後になってワクチンが何百万もの人々を殺したとの主張を繰り返した。「これは、インフルエンザワクチンが新型コロナに感染する確率を高めると知っていながら、誰もが感染しワクチンを接種するまで治療法を確立しないというゲームだ」と同氏は陰謀論的に述べている。同氏はまた、医師と医療施設がメディケアの支払いで新型コロナの症例を過大に報告するよう奨励されていると示唆している。これは新型コロナの症例数が依然として実態より有意に少ないという専門家のコンセンサスと矛盾する。

ミコビッツ氏は動画で、ホワイトハウスの新型コロナ対策本部のメンバーであるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士がヒドロキシクロロキンのような治療を抑制していると非難している。ヒドロキシクロロキンはトランプ大統領が誤って後押しした。ミコビッツ氏の主張は機会に乗じる動きとしては完璧だったようだが、ファウチ氏に売った喧嘩は過去から長く続いている。Buzzfeed(バズフィード)が報じたように、ミコビッツ氏は6年前に書いた本の中で、ファウチ博士が同氏のNIH(米国立衛生研究所)の施設への立ち入りを禁止したと非難した。ファウチ氏は覚えがないという。

ミコビッツ氏はまた、パンデミックを利用してワクチンから利益を得る動きにBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が何らかのかたちで関与しているという考えに固執する陰謀論に触れ、「このウイルスが実験室で操作および研究されたことは非常に明白だ」という根拠のない主張を展開している。

ミコビッツ氏は別のインタビューで、フェイスマスクは着用者のウイルスを「活性化」させる可能性があり危険にさらすと示唆した。同氏はまた「Plandemic」動画で、「治癒効果のある海水中の微生物」と新型コロナから保護する効果のある砂の「シーケンス」を考えれば、ビーチは閉鎖されるべきではなかったという科学的ではない主張もしている。

知識のない視聴者にはミコビッツ氏が科学的に適切に答えているように見えるかもしれないが、同氏の科学面の実績は非常に疑わしい。同氏は2009年、慢性疲労症候群に関する研究を発表したが、Science誌が2年後に発表を取り消した。同誌の監査により「不十分な品質管理の証拠」が発見され、研究結果を後続の研究で再現できなかったという。この出来事とその後同氏が研究所から解雇されたことが、反ワクチン十字軍、陰謀論者、作家としての同氏の方向性のスタートになったようだ。

Plandemic」のおかげで、ミコビッツ氏はパンデミックを巡る情報の空白をついて首尾よく自分自身のポジションを確保したようだ。同氏の書籍売り上げはAmazonで急上昇した。クリップの終わり近くで、インタビュアーはソーシャルメディアプラットフォームからの取り締まりを確実に招くような挙動に出た。この動画に含まれるような健康に関する有害な陰謀説を取り締まる動きをばかにして見せたのだ。

「市民を封鎖した輩がおり、大きなテクノロジープラットフォームがそれに続き、すべてを封鎖した」ウィリス氏は断固として懸念を示す。「この自由な国では、もはや反対意見は認められていない」

TechCrunchが以前報じたように、新型コロナ危機は陰謀説と偽情報にとって肥沃な土壌だ。「Plandemic」動画が主流を巻き込んで成功したことが証明している。広範囲にわたる不確実性と恐怖は強力だ。偽りの思想に新しい命を吹き込むことができる。新型コロナがなければ、陰謀論者の吹き溜まりでほこりを集め続けるにすぎなかったはずだ。

画像クレジット:Photo by JEFF KOWALSKY/AFP via Getty Images / Getty Images

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

Twitterが誤解を招く新型コロナ関連投稿に警告やラベルを表示へ

Twitter(ツイッター)は5月11日、議論や誤解を招くような新型コロナウイルス(COVID-19)に関するツイートに警告メッセージやラベルを付けると発表した。ラベルでは、そうしたツイートを読んだユーザーをTwitterのポリシーのページや、ツイートの主張に関する追加情報を提供する外部リソースへと誘導する。一方、警告メッセージはツイートそのものを覆い、コンテンツを閲覧するにはさらにクリックしなければならない。

Twitterが公開したスクリーンショットを見ると、有害でミスリードしそうな情報を含むツイートには「Get the facts about COVID-19(COVID-19に関する事実をチェックする)」とあるリンク付きのラベルが表示される。このリンクにはユーザーの注意を引きつけるためにエクスクラメーション記号(!)が表示される。

ツイートの「有害の程度」と誤解を招く情報のタイプによっては、ラベルではなく警告メッセージが表示されるツイートもある、とTwitterは説明する。たとえば、公衆衛生専門家のガイダンスに反するアドバイスをツイートする人は、自身のツイートに情報リンクだけでなく警告が表示されることになる。

こうしたケースでは、ツイートそのものが「このツイートで共有されたコンテンツの一部あるいはすべてが、新型コロナウイルスに関する公衆衛生専門家のガイダンスと矛盾しています。さらに情報を見る」と書かれた警告で覆われる。

ただし、警告の隣にある「View」(閲覧する)ボタンをクリックすることでユーザーはそうしたツイートを読むことができる。

ツイートにラベルを貼るシステムは、Twitterが「ディープフェイク」ビデオのような偽の操作されたメディアを含むツイートにラベルを貼るためにすでに開発されていたものだ。一方で同社は3月、健康情報を発出しているグローバル・ローカル当局のガイダンスに直接反するコンテンツを有害なものに分類すべく、有害の定義を拡大していた。

この定義拡大により、人々の健康や福祉にリスクを与えると考えられるコンテンツの削除が可能になり、新型コロナウイルスガイドラインに違反する可能性のある世界的リーダーによるツイートに「Public Interest Notice(公的関心の通知)を添付できるようになった。

ただ、Twitterの新型コロナウイルス誤情報に関するラベルと警告の使用は、新型コロナウイルスに関する新たな陰謀ビデオの拡散を受け、急いで展開されてきた。陰謀ビデオは、信用されていない科学者で、研究職を解かれ執筆に向かっているよく知られたワクチン陰謀論者によるものだ。声高な主張でいとも簡単に正当さを人々に確信させ、ソーシャルメディア上であっという間に拡散する事態となった。

Twitterは5月8日、そうしたビデオがルールに違反していないかどうかを判断するために、各ビデオクリップを調査すると述べた。ビデオ閲覧に向かわせるリンクを含むツイートに警告を表示する、とも話した。同社はまた、多くの人がツイッターでこのコンテンツを論じているために、リンクを含むツイートを検証していないことも明らかにした。

警告やラベルを表示するという今回のニュースは、Twitterがバイラル動画に新型コロナウイルス誤情報を含めようとしていることを示している。

どのようにツイートをキャッチしてラベル表示を決定するか、Twitterは詳細を明らかにしていない。しかし、どの程度のツイートがラベルや警告を表示されたり、あるいは何もアクションが起こされないのかを示すチャートを公開した。

「我々のチームは新型コロナウイルスに関するコンテンツを積極的にモニターする内部システムを向上させながら活用している」と同社は声明文で説明した。「このシステムは、警告あるいはラベルを伴うツイートを拡大させないようにし、多くの人が目にしているコンテンツを素早く感知するのに役立っている。加えて、オフラインの危害につながりそうなコンテンツを特定するために信頼できるパートナーに今後も協力してもらう。変動的な状況のため、ウイルスとの接触や感染につながり得るコンテンツのレビューとラベリングを引き続き優先する」とTwitterは述べた。

「このシステムでは今後、新たなラベルが追加されるかもしれない」とも付け加えた。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

ふるさと納税を利用した「ふるさと神戸ダブル応援基金」が誕生、寄付金の2倍がコロナ禍で苦しむ事業者支援に

神戸市は5月8日、「ふるさと神戸ダブル応援基金」の創設を発表した。ふるさと納税制度を利用し、新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んでいる事業者を個人と神戸市が共同支援する取り組みだ。ふるさとチョイスのプラットフォームを利用し、寄付(ふるさと納税)を募る。

一般的なふるさと納税は、住民登録している自治体以外に寄付というかたちで納税することで、当該自治体から返礼品を受け取れるうえ、実際の住民税が減額されるというメリットがある。一方のふるさと神戸ダブル応援基金によるふるさと納税では、寄付金額と同額を神戸市が一般財源から支出して、事業者を支援するための基金とする。つまり個人や企業が10万円をふるさと納税すると、その倍の20万円が基金として蓄積されるわけだ。

蓄積された基金については、上図の8項目から使い道を指定できる。返礼品の受け取りも可能で、神戸市の全返礼品約170点の中から選べる。加えて神戸市は本日より、新型コロナウイルスの影響で売上が減少した事業者を対象に新規返礼品の公募も開始する。なお市外企業の場合、税の軽減効果が最大約9割となる、企業版ふるさと納税を使ってふるさと神戸ダブル応援基金へ参加することも可能だ。

神戸市では、神戸市立医療センター中央市民病院や介護施設などでクラスター感染が発生し、一時深刻な状態に陥っていたが、新型コロナウイルスの感染者数は4月25日から減少傾向が続いており、5月以降の感染者についてはすべて感染経路を追えているという。

また、4月26日に医療関係者の支援のために創設された「こうべ医療者応援ファンド」については、5月8日12時現在で1億9739万5528円が集まっていることも明らかになった。5月12日には、その使い道を決める第1回ファンド分配委員会を開催し、医療機関への分配が始まる予定だ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

ヤフーとふるさとチョイスが新型コロナの給付金を寄付できるプラットフォームを共同設立

ヤフーとふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク公益財団法人パブリックリソース財団、コロナ給付金寄付実行委員会は5月8日、政府が「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として、住民基本台帳に記録がある外国人を含む全国民を対象に一律で給付される10万円を個人や企業の支援のために寄付できるプラットフォームの設立を発表した。

具体的には、医療、福祉・教育・子ども、文化・芸術・スポーツ、経営困難に追い込まれた中小企業などのテーマを選んで100円からの寄付が可能になる。寄付サイトは、ヤフーとトラストバンクがそれぞれ開設し、パブリックリソース財団の協力の下で運営される。ヤフーのサイトではTポイントでの寄付も可能だ。

プロジェクトの概要は以下のとおり。

対象テーマは以下のとおり。

  1. 医療分野: 新型コロナウイルス感染症患者の治療に取り組む医療機関に対するマスク・ガウンなどの防御用品、人工呼吸器などの医療器具、治療に取り組む人件費など
  2. 福祉・教育・子ども分野: 介護施設、障害者施設、学校、保育所、学童保育、学習支援団体、DV防止団体、生活困窮者支援団体などに対するコロナウイルス感染症予防対策、または、感染症の予防策の影響により困難に直面する人を助ける事業、または、将来の事業再開に向けて進める準備活動など
  3. 文化・芸術・スポーツ分野: 感染症拡大防止のために中止・閉鎖に追い込まれた芸術、文化、スポーツ活動の担い手、施設、事業者(ライブハウスや演芸場、スポーツジムを含む)に対するオンラインでのパフォーマンスの実施などの現在の代替的活動の支援、将来の事業再開に向けて進める準備活動など
  4. 経営困難に追い込まれた中小企業分野: 感染症拡大防止のために営業自粛・休業に追い込まれた、飲食店、宿泊施設などの中小企業に対する当該中小企業における、女性、若者、障がい者の雇用継続、将来の事業再開に向けて進める雇用継続の準備活動など。

ちなみに、Zホールディングスやヤフーが属するソフトバンクグループ傘下でSBプレイヤーズの子会社であるさとふるも、ふるさと納税サイトを運営しているが、今回の寄付プラットフォームの設立ではグループの垣根を越えて、ふるさとチョイス(トラストバンク)と連携する。発起人は以下のとおりだ。

  • 佐藤大吾氏(発起人代表、NPO法人ドットジェイピー理事長)
  • 岸本幸子氏(公益財団法人パブリックリソース財団代表理事・専務理事)
  • 川邊 健太郎(Zホールディングス代表取締役社長CEO、ヤフー代表取締役社長CEO)
  • 西田修一氏(ヤフー執行役員)
  • 須永珠代氏(トラストバンク会長兼創業者)
  • 乙武洋匡氏(作家)
  • 小室淑恵氏(ワーク・ライフバランス代表取締役)
  • 為末大氏(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事)
  • 古田敦也氏(スポーツコメンテーター、元東京ヤクルトスワローズ監督)

アップルが新型コロナ検査検体回収キットを開発する企業に約10億円提供

Apple(アップル)は同社の高度製造支援基金であるAdvanced Manufacturing FundからCOPAN Diagnostics(コパン・ダイアグノスティック)に1000万ドル(約10億円)を提供した。同社は、米国の病院向けに新型コロナウイルス(COVID-19 )診断のための検体回収キットを製造している。今回の資金は、米国拠点の製造業の開発と成長をサポートするためにアップルが設けた基金から拠出される。これは注目に値する。というのも、同基金はこれまでアップルのサプライチェーンに直接つながっている企業の支援に使われてきたからだ。

今回の支援ではアップルは、COPAN Diagnosticsの設備や材料の確保も手伝っている。例えば、新たな高度設備のデザインをアップルがサポートした。支援金は、COPANがキットの供給をもっと増やせるよう、南カリフォルニアにある生産施設を拡大するのにも使われる。アップルによると、同施設の現在のランレートは週7000キットほどだが、7月までに週100万キット超に増やす。こうした取り組みにより米国内で新たに50人ほどを雇用することにもなるとアップルは述べている。

COPANは診断業界ではパイオニアで、2003年にはフロックドスワブ(DNAサンプル採取に特化して設計された綿棒)を開発した。現在は、世界で広く使われているウイルスを含む臨床検体の輸送媒体を生産している。アップルからの投資は、COPANの専門を生かしつつ主に生産拡大に使われる。米国における広範な新型コロナウイルス診断のボトルネックになるのを防ぐべく急増する診断キット需要に対応しようと、アップルが達成し得る驚異的な生産量に近づけられるような生産体制にする。

アップルはグローバルの新型コロナ危機との戦いに多くのリソースを向けている。ここには寄付、保護具の提供、症状チェックアプリとGoogle(グーグル)との提携のもとに今後リリースされる濃厚接触の通知ソフトウェアのためのソフトウェア開発リソースが含まれる。今回の高度製造支援基金からの資金提供は、Appleがさまざまな方法でパンデミックに取り組めるということを示す新たな例となる。

画像クレジット: Apple

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(翻訳:Mizoguchi