a16zが十分な支援を受けていない創業者に投資する2.4億円のファンド創設へ

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ=a16z)は米国6月3日のブログ投稿で、過小評価され、十分な支援を受けていない創業者らに投資するファンドを立ち上げると発表した。

a16zが6カ月にわたり準備してきたTalent x Opportunity(TxO)ファンドは、同社のパートナーらからの220万ドル(約2億4000万円)の寄付でスタートする。TxOは初年度にシードステージのスタートアップ数社に投資し、将来的には規模を拡大する予定だ。

「当社は、人生でファストトラックにアクセスできなかったが大きな可能性を秘めている起業家を探している。プロダクトは非技術的なものでも技術的なものでも構わない。起業家は十分な支援を受けていないコミュニティ出身である必要がある(あらゆる出自を歓迎する)。理想的には、ニッチな市場を対象とする事業で、興味深いモデルを持っており、見込みと可能性を示す力が多少あることが望ましい」と同社は投稿した

a16zはTxOの目標について「まだ見出されていない人を対象としたアクセラレータのようなもので、目指す成果はVCの資金を獲得すること」だと述べ、起業家にネットワークとトレーニングプログラムを提供するという。同社はスタートアップの後続ラウンドに投資するかどうかについてはコメントしなかった。

a16zは全ファンドで120億ドル(約1兆3000億円)の運用資産を有しているため、220万ドル(約2億4000万円)のファンドは金額面では画期的ではない。ただし、TxOの投資方針は注目に値するものだ。

同社は寄付をベースとしたファンドから企業へ出資する。収益は将来の起業家に資金を提供するためファンドに残す。

TxOの立ち上げは、ミネアポリスの警察によるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害と、それに続く先週の全国的な抗議活動に対する警察の暴力に続く形となる。

抗議から数日経ち、ベンチャーキャピタルコミュニティからBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)運動への支援の動きが相次いだ(未訳記事)。ソフトバンクは、ポートフォリオ企業で最近人種差別に関わる論争(未訳記事)を抱えていたが、今週、有色人種の創業者に投資する1億ドル(約110億円)の「オポチュニティー・グロース・ファンド(未訳記事)を立ち上げた。

さまざまな起業家に日々投資している黒人の起業家や投資家は、他人からの反応の洪水に疑念を抱いている。ベンチャーキャピタル業界は不平等に直面しても変化が遅いからだ。

無数の黒人男性や女性が死んで始めてテクノロジー業界が多様性ある起業家への投資方法を変えるのでは遅いと多くの人が言う。新たな動きが増えているが、善意というよりは日和見的に見える。

ベンチャーキャピタル業界全体が、基本的に2つのことを行う必要がある。人を雇うこと、投資を通じて資金を供給することだ。

「難しいことではない。黒人の創業者に投資してほしい。すべての黒人創業者に投資する必要はない。自分の仮説や『基準』を維持したまま投資対象の黒人創業者を探すことは可能だ」。Backstage Capital(バックステージキャピタル)のArlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏は米国6月2日、TechCrunchに対しそう書いた。「必要なら、私には130のポートフォリオ企業があるし、雇うべき黒人投資家の厳選リストをお見せできる」。

黒人の創業者が率いる企業をターゲットとするプレシード投資ファンドについてブレーンストーミングしている企業もある。計画段階のため早すぎるとして匿名を希望したある企業は、同社のファンドは歴史的黒人大学(HBCU)出身経営者の企業に注力すると述べた。

a16z自身は対象企業をどう探すのか明らかにしなかったが、ブログ記事で「過去6カ月間を、シリコンバレーでは見られないような隠れた天才創業者の探索に費やした」と語った。

ソーシング戦略は、多様性のある起業家に投資するというファンドの目標を達成するために不可欠だ。ベンチャーキャピタルのネットワークは主に男性と白人で構成されているため、特別なパイプラインが必要だ。HBCUからソーシングするのか。才能を見出すために黒人のためのテックカンファレンスに参加するのか。Cleo Capital、Backstage Capital、Precursor Ventures、Harlem Capitalなどの黒人が主導するファンドと共同投資するのか。

これらの質問への答えは、a16zが小切手に限らず創業者をどのようにサポートできるかを理解する上で不可欠だ。

TxOファンドは、a16zに5年間在籍したNaithan Jones(ネイサン・ジョーンズ)氏が主導する。ジョーンズ氏は、シードステージのスタートアップであるAgLocal(アグローカル)を経営していた。同氏は、同社に投資していたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロヴィッツ)のパートナーであるBen Horowitz(ベン・ホロヴィッツ)氏に引き抜かれた。2017年のブログ投稿(Midium記事)でジョーンズ氏は会話の様子を詳しく語っている。

「ベンは、私がa16zポートフォリオ企業の1つで働くか、それともa16z自体で働くことに興味があるかを知りたがっていた。驚いた。彼らが電話で採用の打診をしてくるなんて思いもよらなかった。 私の会社が倒産に向かっている頃に、彼らは私のことを見聞きするようになった。a16zやそのネットワークで私のスキルと才能が役に立つと思ったようだ。彼らは私の本質を調べた。『黒人で、大学の学位がなく、アウトサイダー』であることには関心がなかった。彼らが見ていたのはネイサン・ジョーンズという私自身だった」。

a16zは以前、黒人起業家に資金を提供すべく金銭面で献身的な努力をしてきた。同社は2018年、Cultural Leadership Fund(CLF)を設立した。規模未公開のこのファンドは、WillとJada Smith、Chance the Rapper、Kevin Durant、Nasir Jones、Shellye Archambeauなどの限られた人数の著名なパートナーによって創設された。CLFは、アフリカ系アメリカ人のテック分野への進出支援を行う非営利団体に、年間のマネジメントフィーをすべて寄付している。

TxOファンドはCLFとは異なりLPにリターンを分配しない。リターンはすべてファンドに戻され再投資される。

画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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