激しい抗議活動の中でニューヨークの無料Wi-Fiキオスクが死者を追悼

2015年の終わりごろから、ニューヨークの歩道ではLinkNYCのキオスク(未訳記事)が目立つようになった。誰も使わない滅びゆく公衆電話に代わり登場したこの高さ3m足らずのタワーは、公共のWi-FiとUSB充電と救急など緊急サービスへのアクセスを提供している。

でもその最も目立つ部分は側面の大型ディスプレイで、それは広告と「NYC Fun Facts」(ニューヨーク市の楽しい事実)を交互に表示する。後者は、この眠らない都市のちょっとした情報を提供する。しかし、先週の全国的かつグローバルな抗議活動の間には、画面をまったく別のミッションが占拠した。ニューヨーク市の住民なら気がついたと思うが、画面には人の名前が次々と表示された。黒の背景に白い文字が。

その名前は米国人なら誰もが知っている。Trayvon Martin、Eric Garner、Michael Brown、Tamir Rice、Freddie Gray、Philando Castile、Sandra Bland、Ahmaud Arbery、Breonna Taylor、そしてGeorge Floyd。これらは、警察に勾留中や銃の暴力で死んだ黒人の名前だ。最後のFloydは、彼の死が今回の集団抗議活動の契機となったミネアポリスの男性だ。1つの名前が、一度に15秒ずつ順繰りに表示される。

画像クレジット: Danny Crichton

LinkNYCの運用を請け負うIntersectionのCMOであるDafna Sarnoff(ダフナ・サーノフ)氏は、TechCrunch宛てに「LinkNYCは、奉仕するコミュニティと近隣社会の良きメンバーになるべく努力している。そのため、アートとアクセスと情報によって地元の声を広めている。そして今回は変化を呼びかけている。私たちは、黒人の米国人のために正義を求め、構造的な抑圧と人種差別に反対している何百万人ものニューヨーカーたちとともに立ち、そしてまた、ポジティブな反応をいただいたことに励まされている」というメッセージを送ってきた。

同社は名前の表示を6月2日に開始し、1780基のキオスクのすべてで週末まで続ける。最初の日は、抗議活動Blackout Tuesdayに敬意を表してほかの情報抜きで名前だけが表示された。その後は、新型コロナウイルスの情報などLinkNYCの普通のコンテンツとともに名前も表示されるが、スポンサーは存在しない。いつもは人畜無害な路上の構造物が、抗議活動が猛威を揮い続ける少なくとも向こう数日間は厳しい背景になる。

画像クレジット: Danny Crichton

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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