テック企業が人種差別に抗議する「ブラックアウト・チューズデー」を実行

週末に音楽業界のエグゼクティブとして知られるJamila Thomas(ジャミラ・トーマス)氏とBrianna Agyemang(ブリアナ・アギェマン)氏は、オペレーションを中断して警察による黒人への暴行に抗議しようと呼び掛けた。2人がサイトとハッシュタグ「#theshowmustbepaused」を作ったところ、ハッシュダグはソーシャルメディアであっという間に拡散し、人々はそれを全米そして国際的な抗議との連帯を示す手段としてとらえた。

呼びかけは、警察の手によるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏や他の米国の黒人の殺害に対する意思表示の方法を探していた個人や企業の間で大きな動きになった。

「6月2日火曜日、意図的に業務を中断する計画だ」とサイトにはある。「黒人コミュニティをサポートするために我々が団結して取るべき行動について正直で、思慮深く、そして生産的な対話を行うために思いを馳せる日にする。音楽業界は数十億ドル規模の産業だ。主に黒人のアートから利益を上げてきた産業でもある。我々のミッションは、黒人の人々の努力や苦しみ、成功の恩恵を受けてきた大企業やそのパートナー含めた産業にすることだ」。

おそらくこの運動の最も明快なしるしは、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)、その他のソーシャルメディアサイトで表示されるようになった黒い四角だ。注意を喚起するものである一方、批判も向けられている。特に、一部の人は#BlackLivesMatterハッシュタグとともに表示する黒い四角を問題視している。

「Instagramで#BlackLivesMatterのもとに黒い四角を投稿するのはやめろ」とAnthony James Williams(アンソニー・ジェームズ・ウィリアムズ)氏はTwitter(ツイッター)に投稿した。「意図的に、あるいは無意識に我々が現場やオンライン上で使っている重要な情報を見えなくしている」。

主な懸念は、黒い四角の海が、多くの人にとってライフラインであり、抗議の記録を刻むものになるソーシャルメディアの多くをかき消していることについてだ。大半は意図的ではないハイジャックのようだ。

音楽に関係するテック企業が、フロイド氏の死やその後の抗議についてオープンレターを出した後にこの動きに同調している。Spotify(スポティファイ)は米国6月1日にコンテンツなどに24時間変更を加えると明らかにした。変更点には、Today’s Top HitsやRapCaviarを含む12ほどのプレイリストやポッドキャストに表示される黒色のロゴやヘッダーがある。一部のポッドキャストやプレイリストには、フロイド氏が息を止められた時間と同じ8分46秒のサイレントトラックが含まれる。

Apple MusicはTwitterで抗議への参加を表明した。Beat 1ラジオの予定をキャンセルし、代わりにブラックミュージックを特集した。YouTube MusicとTidal(タイダル)もソーシャルメディアに連帯のメッセージを投稿した。Tidalは次のように書いている。

我々はジョージ・フロイド氏やその他の多くの死に心を痛め、そして怒っている。痛みや怒りを表している黒人コミュニティを全面的にサポートする。直近の事件は、絶え間ない人種差別や根強い偏見に対し声高にノーと言う我々の決意をさらに強くした。

Amazon Musicもまたブラックアウト・チューズデーに敬意を表してソーシャルに何も掲載しないと表明した。ただ、Amazonは先の連帯のメッセージで批判を受けた。ACLU(米国自由人権協会)はAmazonが顔認識技術を警察当局に提供していることを問題視している。企業が連帯を示しつつ社会の動向のひどい利用を試みているという論点は確かに記すに値する。

米国6月1日に、Comedy Central、MTV、そしてCMTを含むViacom(バイアコム)の10のメディアは、苦しんでいる様子の音を流しながら「I Can’t Breathe」(息ができない)という言葉を8分46秒間スクリーンに映した。

画像クレジット: Yasin Ozturk/Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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