スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

キャッシュレス決済連動の栄養管理アプリ「SIRU+」(シルタス。Android版iOS版)を運営するシルタスは2月18日、第三者割当増資による約5億円の資金調達を発表した。

引受先は、ギフティ、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(合同会社テックアクセルベンチャーズ)、シティクリエイションホールディングス、インテージの計4社。

調達した資金により、SIRU+のサービス拡大、小売業へのDX支援サービス拡大にあて、以下の取り組みを推進する。

  • 連携スーパーの拡大:買い物客はひとつの店舗で買い物をするわけではないので、SIRU+が使えるスーパーやコンビニエンスストアを増やす必要がある。アプリ導入済みスーパーとの実証実験で得た知見をもとに、連携スーパーを拡大する
  • SIRU+ならびにSIRU+Bizの改善:SIRU+データを活用して、小売業や食品メーカー向けに買い物客の健康ニーズを分析するツール「SIRU+ Biz」を2020年11月にリリース。SIRU+ならびにSIRU+Bizの機能を改善し、利用者ならびに利用企業の増加を狙う
  • 外部サービスへの拡張:ECやサイネージ、スマートカートなどと連携することで、決済前に自分の栄養状態を見ながら買い物ができる環境を構築

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

SIRU+はキャッシュレス決済と連動して買い物データを自動で栄養分析し、栄養バランスが整う食材やレシピを提案するスマホアプリ。日常生活の一部である買い物から健康的な食生活を目指す「頑張らないヘルスケアアプリ」という。

SIRU+を繰り返し利用すると、ユーザーの食の好みを機械学習し、個人の食生活に合わせて最適な買い物を提案するようになる。2020年4月に食材入力機能を追加しており、対象スーパー以外で購入した食品なども登録できるようになった。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)機械学習 / ML(用語)資金調達(用語)シルタス(企業)SIRU+(製品・サービス)ヘルスケア日本(国・地域)

アップルを介さずにモバイルゲームを配布しようとするArtieが10.6億円調達

モバイルゲームの提供形式を再考しようとしているArtieが米国時間2月17日、1000万ドル(約10億6000万円)の資金を調達したことを発表した。

今回の投資にはZyngaの創業者Mark Pincus(マーク・ピンクス)氏、Thirty Five VenturesのKevin Durant(ケビン・デュラント)氏とRich Kleiman(リッチクレイマン)氏、Raised In SpaceのScooter Braun(スクーター・ブラウン)氏、Shutterstockの創業者Jon Oringer(ジョン・オリンジャー)氏、Tyler Winklevoss(タイラー・ウィンクルボス)氏とCameron Winklevoss(キャメロン・ウィンクルボス)氏、Susquehanna International GroupのHarris Blitzer(ハリス・ブリッツァー)氏のSports & EntertainmentとThe Sixers Lab、GoogleのManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏、そしてYouTubeの共同創業者Chad Hurley(チャド・ハーリー)氏といった大物が参加している。

今回の投資は、Artieの拡張現実でアバターを作るという元のビジョンからの転換を表している。CEOのRyan Horrigan(ライアン・ホリガン)氏によると、共同創業者でCTOのArmando Kirwin(アルマンド・カーウィン)が行き着いたのは、一緒に「もっと大きな問題を解決する」ためのゲームの配布技術を作ることだという。

問題の1つは、ゲーム開発者が「AppleのApp Storeの規則や制限を超える方法を探している(Fortniteを開発したEpic Gamesは今この問題で戦っている)というものだ。そこでArtieのプラットフォームでは、モバイルゲームをアプリをインストールせずに、ブラウザーやネット上の共有リンクからプレイすることができる

画像クレジット:Artie

アプリのないモバイルゲームというアイデアは、Artie独自のものではないが、ホリガン氏によると、他社がJavaScriptとHTML5だけなのに対して、ArtieはUnityをサポートしているため、カジュアルゲームハイパーカジュアルゲームというよりも)を開発できるだけでなく、最終的にはゲームをさらに深化させることができるという。

「クラウドゲームと同じように、Unityのゲームを私たちのクラウドで動かしていますが、グラフィックのレンダリングをクラウドで行い描画をプレイヤーにプッシュしていません。高度に最適化された組み込みのウェブブラウザーを介してリアルタイムでレンダリングされたアセットとアニメーションをストリーミングしています」とホリガン氏はいう。

これはつまり、App Store外で軋轢を生まない配布を行うのと同時に、クラウドゲームが直面している膨大なインフラコストやラグタイム(遅延)という問題を避けるが目的だ。

Artieは独自のゲームを開発してリリースしている。2020年後半には「Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)」のゲーム、ビアポンゲームなどを予定しており、2022年にはMMOゲームを計画している。さらに同社は、他の開発者が同社のプラットフォームを通じて配布できるようにするSDKもリリースする予定だ。

ホリガン氏によると、Artieの最初のゲームは無料で、ゲーム内課金が収益源だという。ゲーム上のプレイ状況はCookieを利用して記憶するが、ログインを作成することもできる。

同社は、ゲームに大物ミュージシャンや、スーパーヒーローのIPオーナーを起用しており、今後ゲーム開発のノーコード、ローコード化とArtieの配布プラットフォームを組み合わせることで、これらが大きなトレンドになると期待している。

「次世代のインフルエンサーたちと協力して、ローコードやノーコードのゲーム作りを普及させ、YouTube上で直接、彼らのオーディエンスに公開したい。ゲームが、ゲーム会社からではなく、好きなヒップホップスターから送られてきているという感覚は喜ばれるだろう。それを実現するプラットフォームがArtieなのです」とホリガン氏はいう。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Artie資金調達

画像クレジット:Artie

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

リアルタイム空中ビデオARで状況認識をアシストするEdgybeesがシリーズAで10億円を調達

企業、初期対応者、軍事ユーザーがリアルタイムで正確にジオタグを付け、空中ビデオストリームを拡張するのを支援するスタートアップ、Edgybeesは米国時間2月17日、950万ドル(約10億円)のシリーズAラウンドを調達したと発表した。このニュースは、同社が550万ドル(約5億8000万円)のシードラウンドを発表してからほぼ2年後のことだ。今回の新規ラウンドは、スペーステック投資を専門とするSeraphim Capitalが主導した。新規投資家のRefinery VenturesLG Technology VenturesKodem Growthのほか、既存投資家のOurCrowd、8VC、Verizon Ventures、そしてMotorola Solutions Venture Capitalも参加している。

「当社の使命は、人命救助活動中にポジティブな結果を確保することです」と、Edgybeesの共同設立者兼CEOのAdam Kaplan(アダム・カプラン)氏は述べている。「当社の新しいパートナーは、我々のミッションを推進し続けるための鍵となってくれるでしょう。彼らのユニークな業界の専門知識とともに、当社は世界的なフットプリントを拡大し、業界内のイノベーションを推進する態勢を整えています。我々は、防衛、公共安全、および必須インフラストラクチャ市場の重要な需要を満たすことで、次の成長段階に進むことを期待しています」。

同社のVisual Intelligence Platformを使用することで、ユーザーは例えばドローンが撮影した映像に含まれるアセットを簡単に登録して追跡することができる。ここでの標準的なユースケースは、救急隊員が現場のライブ画像に加えて、すべてのアセットや人員をリアルタイムで追跡できる機能により、進化する緊急事態を正確に把握できるようにすることだろう。しかし、Edgybeesは他にも、ゴルフゲームのトラッキングや可視化から保険や防衛まで、さまざまなユースケースを示している。

イスラエルからスタートして現在はサンディエゴに拠点を置くEdgybeesは、約1年前にArgusプラットフォームを立ち上げ、ユーザーが同サービスのジオレジストレーション(GR)エンジンに自分のドローンや他のライブ映像プラットフォームを持ち込むことを容易にした。

画像クレジット: Edgybees

「Edgybeesは、空間コンピューティングにおける大きな問題を解決します。素早く動く空中やその他のビデオフィードを通して、自分が何を見ているのか、どうやったら本当にわかるのでしょうか?Edgybeesは現実世界とバーチャル世界を融合させ、初期対応者が人命を救い、産業用ドローンのユーザーがコストを節約し、防衛チームが任務を遂行するのに役立ちます」とOurCrowdのCEOであるJon Medved(ジョン・メドベド)氏は説明する。

同様に、Seraphimのマネージングパートナー兼CEOであるMark Boggett(マーク・ボゲット)氏は、Edgybeesを「Google Mapsとライブビデオを融合させたようなもの」と考えていると語った。「彼らのジオリファレンス機能は、宇宙やドローン、ボディカメラからのビデオストリームに新たなレベルの洞察力と使いやすさをもたらす画期的な技術です。Edgybeesは、公共の安全や防衛に革新をもたらすだけでなく、幅広い産業で活用できるという点で、非常に期待しています」と同氏は述べている。

画像クレジット: Edgybees

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:資金調達

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Robinhoodのライバル、株取引アプリPublicが予想通りユニコーン評価で約233億円を調達

Robinhood (ロビンフッド)米議会下院に詰問される前日、国内のライバルPublic.com(パブリック)は米国時間2月17日朝、12億ドル(約1270億7000万円)の評価額で2億2000万ドル(約233億円)の資金調達ラウンドを完了したと発表した。このラウンドのニュースはTechCrunchが最初に報じていた。さらなる報道で、投資規模と評価額の範囲が明らかになった

Publicは今回の資金調達のニュースを確認するとともに、新たに会員数100万人に到達したという指標を追加した。サービス開始からわずか18ヶ月の間にそれを達成したと、同社はすかさず指摘している。

つまり、Publicの投資家(最新のラウンドは、Greycroft、Accel、Tiger Global、Inspired Capital、その他を含む先行投資家によってまとめられた)は、現在の「メンバー」1人あたり約1200ドル(約12万7000円)で同社を評価していることになる。それを高価と感じるかどうかは、読者の方々の判断にお任せする。

しかし、貯蓄と投資の分野への関心が高まっており、Robinhoodの収益は2020年第4四半期に8億ドル(約847億円)以上のランレートに成長し、2021年初めにはさらに良くなると見られている中、投資家がなぜPublicを支援しているのか理解するのは難しいことではない。RobinhoodブランドがGameStop(ゲームストップ)騒動による苦境から重大なダメージを受けたと信じるならば、なおさらだ。

両社は、貯蓄や投資商品を提供する他の多くのフィンテックサービスとともに、物理的な世界(対面ショッピング、銀行の支店、プラスチックカード)からデジタル(ネオバンク、eコマース、バーチャルカード)への銀行業務の長期的なシフトに後押しされてきた。Robinhoodは、ゼロコスト投資で取引の世界を揺るがし、構築が進んでいるモバイルおよびバーチャルバンキングの未来によくフィットしている。そして一方のPublicは、注文フローの支払い(PFOF、Payment For Order Flow)を廃止することによって、そのモデルをさらに一歩踏み出した。PFOFは、Robinhoodのような企業がユーザー取引を特定のマーケットメーカーに発注する際に小額の報酬を得ることにより収益を生み出す方法だ。

TechCrunchでは最近、この予想されていたPublicのラウンドを踏まえて、「株式取引スタートアップのための資金は無限にある」ようだとジョークを飛ばしていた。次の高額小切手は誰が手にするのか、見どころだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:投資 資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

所得や雇用の検査データをAPIで提供するCitadel IDが3.5億円調達

米国時間2月16日、Citadel IDは所得と雇用を検査するサービスに、合計350万ドル(約3億7000万円)調達したことを発表した。同スタートアップは顧客企業にAPIを提供し、顧客企業が消費者雇用の詳細を迅速に確認できるようにする。

資本はベンチャー企業とエンジェルたちから出ている。企業としてはAbstractSoma VC、そしてChapterOneが参加した。同社によると、Brianne Kimmel(ブリアンヌ・キンメル)氏も出資している。また、同社と仕事をしたことのあるZyngaのMark Pincus(マーク・ピンクス)氏)やStripeのLachy Groom(レイシー・グルーム)氏、CartaのHenry Ward(ヘンリーワード)氏などもこの投資に参加した。また同社は、Fathom Capitalもこのラウンドでかなりの額を出資したと述べている。

Citadelは2020年6月に創業した。当時はまだ資本調達はなく、同年に最初の顧客を獲得し、プロダクトを発売した。

Citadel IDのアイデアは、共同創業者のKirill Klokov(キリル・クロコフ)氏が私有株式の取引のための取引所を設立したCartaで働いていたときに生まれた。クロコフ氏は、同社の技術部門で働いていたときに、雇用や収入、身元といった特定のデータを検証するのがいかに難しいかを発見した。

Cartaはお金や株、コレクション、そしてその両方の収集と分配を扱っているため、誰がどこで、いつから会社にとって重要な仕事をしているのかを簡単に確認できる方法を持つことが、会社にとって重要であることが想像できた。クロコフ氏は、多くの給与管理者を手作業で統合し、さまざまな分類法で大量のデータを処理する必要があるため、Cartaが必要とする適切なソリューションが存在しないことに気づいた。EquifaxのThe Work Numberのようなプロダクトを利用してもよいが、それは高価でカバーしている範囲が十分ではない。

このような市場の空白を埋めるためにクロコフ氏はCitadel IDの設立を支援し、コード用のフックがある給与管理システムへの統合を迅速に構築し、必要に応じて古いログインシステムにも対応した。Citadel IDのサービスは、一般の人々が自分の雇用データにアクセスできるようにし、彼らの収入や雇用をすばやく確認できるようにする。

同社によれば、このような検証に対するニーズは米国だけでも何億件も発生しているという。Citadelの市場と成長の余地はとても大きい。現在、同社の顧客は20社だが、料金は個々の検査検証の単価がベースとなっている。

Citadelは、データの提供をAPI経由だけでなくウェブサイト経由でも行っているが、同社はどちらかと言えば、最近どんどん増えている脱SaaSの業態に属し、プロダクトをデベロッパーのフック経由で提供している。こうしたやり方は、「ヘッドレス」とも呼ばれる。APIで提供されるスタートアップは、新しいものではなくTWilioのように何年も前に上場した企業もある。彼らのような製品提供モデルは現在も勢いがあり、今やマネージドソフトウェアよりも人気がある。

Citadel IDがシリーズAまでにどれぐらい早くスケールするか、見守っていきたい。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Citadel ID資金調達

画像クレジット:Scott Graham/Unsplash(画像は一部加工された)

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

母国の信用履歴利用を可能にする銀行取引プラットフォームZolveが15.8億円調達

毎年、何万人もの学生や専門家が高等教育や仕事のためにインドを離れる。新しい国では、何カ月も過ごした後であっても、その国の銀行からクレジットカードを取得するのに苦労したり、他のさまざまな金融サービスにアクセスするために割高な料金を支払うことになることもある。

米国やその他ほとんどの国の銀行は、申請者の信用を判断するために銀行所在国のクレジットスコアを使う。たとえばある個人がインドで優れたクレジットスコアを持っていたとしても、外国の銀行にとっては意味をなさない。

それは、配車サービス会社TaxiForSure(インド大手のOlaに売却された)の創業者であるRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏が、旅行からインドに戻ったときに学んだことだった。何カ月にもわたる調査とチーム編成を経て、ラグナンダン氏は解決策を得たと考えている。

同氏は米国2月17日、インドから米国に(またはその逆に)移動する個人のための新しい銀行取引プラットフォームであるZolve(ゾルブ)を発表した。

Zolveは米国とインドの銀行と協力して、消費者がプレミアムを支払ったり保証金をせき立てたられたりすることがないよう、金融商品へのシームレスなアクセスをサポートする。

ラグナンダン氏はTechCrunchとのインタビューで、同社がリスクを引き受けていると述べた。これにより、海外の銀行はZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。「消費者は当社のサポートで口座を開設することができ、母国の銀行と取引を行うようにすべての銀行サービスにアクセスできます」と同氏は語った。

発表の一環としてラグナンダン氏は、創業2カ月のZolveがAccelとLightspeedがリードしたシードラウンドで1500万ドル(約15億8000万円)を調達したと述べた。Blume Venturesの他、著名なエンジェル投資家が参加した。エンジェル投資家にはCredの創設者Kunal Shah(クナル・シャー)氏、Helionの元MDであるAshish Gupta(アシッシュ・グプタ)氏、TwitterとRippleへの投資で知られるGreg Kidd(グレッグ・キッド)氏、DST GlobalのマネージングパートナーRahul Mehta(ラフル・メータ)氏、Coatue CapitalのシニアマネージングディレクターRahul Kishore(ラフル・キショア)氏が含まれる。Founder Collective(AirtableとUberに投資している)も、同社への投資がインドのスタートアップへの初めての投資となった。

「複数の地域で金融のアイデンティティを持つ個人は、シームレスなグローバル金融ソリューションを必要としています。Zolveのチームが問題をしっかりと認識し、魅力的で革新的な金融体験を提供できると信じています」とLightspeed India PartnersのBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は声明で述べた。

ラグナンダン氏はZolveを始める前に配車サービス会社であるTaxiForSureを創業し、後にOlaに2億ドル(約210億円)で売却した(画像クレジット:Zolve)

ラグナンダン氏は、他の複数のスタートアップもこの課題を解決しようとしていると認めたが、他の企業は出身国の消費者の信用履歴を利用していないと述べた。「この問題をまったく別の観点から見ているのは私たちだけです。私たちは、消費者が課題に直面している外国で問題を解決しようとはしていません。消費者がすでに評判と信用履歴を持つ母国で解決策を見つけようとしています」と同氏は説明した。

顧客が新しい国でクレジットカードやその他の金融サービスにアクセスできるようになると、母国での信用履歴をすばやく拡張することができる。通常はそれに何年もかかると同氏はいう。

「地球市民のコミュニティは、金融サービスへのアクセスに関してほとんどサービスが提供されておらず、Zolveには大きな市場機会があると信じています。ラグナンダン氏には創業者としての確かな実績があり、彼の最新のベンチャーで再び彼と提携できることをうれしく思います。チームの情熱とコミットメントは称賛に値するものであり、Zolveがこのコミュニティーに多大な価値をもたらすと確信しています」とAccelのパートナーであるAnand Daniel(アナンド・ダニエル)氏は声明で述べた。

サンフランシスコとバンガロールに本社を置くZolveは、外国を訪れる予定がない人にも、さまざまな魅力的な機能を提供している。たとえば顧客はインドにいるときは、Zolveを利用して米国の証券取引所に上場している企業の株式を購入できる。ラグナンダン氏によると、Bitcoinやその他の仮想通貨を米国または欧州の証券取引所から購入することもできる。

すでに5000人以上の顧客を集めたこのスタートアップは、銀行パートナーと収益分配の取り決めを結んだ。ラグナンダン氏によると、Zolveは現在インドの顧客を受け入れており、米国の銀行パートナーから多額の収益を生み出しているため、すでに収益性の高いモデルで運営されている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zolveインド資金調達信用スコア

画像クレジット:Getty Images

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( 文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

フレキシブルな倉庫自動化ソリューションのLocus Roboticsが欧州、アジア進出に向け約159億円調達

マサチューセッツ拠点のLocus Robotics(ローカス・ロボティクス)は米国時間2月17日、1億5000万ドル(約159億円)のシリーズEを発表した。Tiger Global ManagementとBondがリードした本ラウンドによってLocus Roboticsの累計調達額は2億5000万ドル(約265億円)、バリュエーションは10億ドル(約1059億円)となった。Locusは競合他社(Berkshire Greyなど)よりもフレキシブルな、倉庫自動化のためのモジュラー式ソリューションを提供することで知られている。Locusは主にロジスティック自動化のためのロボティック車両リースしている。

関連記事:激化する小売業向けロボティクス競争の中、Berkshire Greyが289億円調達

「当社は飛行機が飛んでいる間に翼を交換できます」とCEOのRick Faulk(リック・フォーク)氏は話す。基本的には他社にはそんなことはできない。企業はフレキシブルな自動化を欲している。もしあなたがサードパーティのロジスティック企業経営者なら、2年、3年あるいは4年の契約を結んでいる場合、最も避けたいのは大がかりなソリューションを購入するために2500万〜5000万ドル(約26〜52億円)を投資、設置し、その前払い費用で首が回らなくなることだ。

Locusは現在80カ所の施設にロボット4000基を展開している。そのおおよそ80%が米国内で、残り20%が欧州だ。今回調達した巨額資金の一部は海外での展開に充てられる。ここには欧州でのさらなる拡大、そして同社がほとんど手をつけていないAPAC(アジア太平洋)地域への進出が含まれる。

LocusはまたR&D、営業、マーケティングにも投資し、従業員数も来年には現在の165人から75人増やす。

パンデミックは明らかに、現在「自動化」に向けられている関心の原動力であり、多くの企業がロボティクス活用を模索している。

「間違いなく新型コロナウイルスはオンライン注文の成長を後押しし、おそらくこれは4〜5年分の飛躍となります」とフォーク氏は話す。「eコマースのトレンドに目をやると、堅調な増加傾向が見られます。2020年は11%の成長でしたが、新型コロナのため16〜17%に押し上げられました。この傾向はしばらくこのまま続くでしょう」。

今回の資金調達はまた、Kiva SystemsがAmazon Roboticsに取り込まれたような、大手による買収をLocusが望んでいないことを示している。

「当社は買収されることに興味はありません」とフォーク氏は話す。「当社は独立して操業することで最大の価値を生み出すことができると確信しています。Amazonと競合するとされていない企業をサポートするために投資したいという投資家はいます」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Locus Robotics資金調達倉庫物流

画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ローコードに注力するOutSystemsが1兆円の評価額で158.8億円を調達

米国時間2月17日、ローコードアプリ開発サービスのOutSystems(アウトシステムズ)が1億5000万ドル(約158億8000万円)の新規資金を調達したと発表した。このラウンドは、Abdiel CapitalとTiger Globalが主導した。注目すべきは、このポルトガルと米国を拠点とするソフトウェア企業にとって、今回のものが最大の資金調達イベントではないことだ。TechCrunchは、OutSystemsが2018年に行った3億6000万ドル(約381億1000万円)のラウンドを取材している。

関連記事:ポルトガルの超高速開発ツールOutSystemsが、KKRならびにゴールドマンサックスから3億6000万ドルを調達

OutSystemsは2001年に設立され、TechCrunchが取り上げているほとんどの会社よりも古い企業だが、今でも非公開企業のままだ。そして同社も、多くのスタートアップ企業と同様に、企業の規模を問わず加速するデジタルトランスフォーメーションの追い風を受けているように見える。

今回OutSystemsは、95億ドル(約1兆円)の評価額の下に、1億5000万ドル(約158億8000万円)相当の自社株をで売却することで、約1.6%の自社株を手放した。もし投資家たちが、同社の将来の業績に確信を抱いていないのならば、こんなわずかな株式をこんな値段で買おうとは思わないだろう。

新たな資金はOutSystemsをIPOに向かう軌道に乗せたと思われるが、同社は上場に関する計画を私たちと話すことを拒んだ。それは思ったよりも早く行われるかもしれない。今回のラウンドはPre-IPO投資の匂いがするし、OutSystemsはその新しい資金調達についての説明の中で、TechCrunchに対してそのモデルを「効率的」だと主張した。最悪でも現金消費は適度に行われていることを示唆している。

TechCrunchは同社に対して、新しい資本を、どのように市場展開(Go-to-market、GTM)と製品開発(R&D)に振り分けるつもりなのかと質問した。OutSystemsのCEOであるPaulo Rosado(パウロ・ロサド)氏は、今回の発表の前の時点ですでに、TechCrunchに対するメールの中で、OutSystemsが「R&DとGTMの両方を着実に増強している」、つまり「成長のための投資をしている」と語っていた。同社は引き続き「効率的な方法で拡大することに注力している」とCEOはつけ加えた。

OutSystemsはローコードアプリ開発に取り組んでいる。これはノーコードプロジェクトに焦点を当てたスタートアップやより成熟した非公開企業たちのやり方とは対照的だ。ノーコードツールにはコードは含まれないが、ローコードサービスには、ビジュアルプログラミングインターフェースとともにある程度のコーディング作業がともなう。

2020年後半に行われたロサド氏へのインタビューでは、彼はTechCrunchに対してノーコードとローコードの違いを、複雑さ(過酷な社内ワークフローに取り組む能力)と拡張性(適応できる能力)の違いとして説明した。

OutSystemsの見解では、ローコードの方が、重要な企業アプリを作成するのには単純に適しているのだ。CEOの説明はこのようなものだ。

ローコードの方がノーコードよりも劣っているわけではありません。ほとんどのノーコードツールがそうなのですが、ノーコードがカバーできる範囲がとても狭い場合には、ビジュアルで行えることを超えた変更要求が出た瞬間に、そこでおしまいになってしまいます。そのときお客様へは「私たちにはできません」とお答えするしかありません。

それがローコードでは解決可能になるのです。もちろん、それはコードで実現しなければなりません。先に進んでコードを追加し、そのコードがノーコードで作られた部分に組み込まれるのです。つまり、ローコードとは、コードに飛び込むこともできるノーコードの能力を意味しているのです。

ノーコードファンはおそらく、使っているツールのコード回避能力が向上すれば、ロサド氏が語るような開発におけるコード必須部分は減少すると主張するだろう。とはいえ、最近の資金調達を見る限り、OutSystemsの市場へのアプローチはうまくいっているように見える。

ラウンドの話に戻って、TechCrunchは、競争力と完全性の両方の意味でのOutSystemsの市場での位置をよりよく理解するために、顧客からのプライシング要求における相対的な強みについてCEOに質問を行った。これに対して彼は、OutSystemsの価格モデルは通常見られるSaaSの価格体系とは異なり「プラットフォームの利用率に基づいています」と答えた。私たちはそれに文句をつけることもできるだろう、何しろ同システムの低価格で行える範囲は狭いのだ、だがOutSystemsが従来のSaaSよりも利用率に重点を置いている点は、Salesforceが開拓したものよりもオンデマンドソフトウェアをより強く思い出させる。最近のSaaS市場で見られる変化を考えると、これは心にとどめておく価値のある違いだと思う。

最後に、OutSystems社が新たな資金を得て挑戦しているローコード市場は、どれほど魅力があるのだろうか?同社CEOによれば、彼らの主な競争相手は、他のスタートアップではなく、「経済が停滞すること」だと語る。これはNetflixがHBOではなく「睡眠」と競合しているのと少し似ている。

TechCrunchは、ノーコードとローコードを長期にわたってカバーしてきた。たとえばOutSystemsの2016年に行われた、5500万ドル(約58億2000万円)のラウンドも取り上げている。最近では、それがノーコードであろうとローコードであろうと、企業向けアプリの需要が加速しているように見える。ここ4~6四半期で、低コード市場のスタートアップたちへの一貫して高い需要がTechCrunchの耳には聞こえている

今のこの状況が、OutSystemsの公開に十分なものかを注視して行きたい。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OutSystemsノーコードローコード資金調達

画像クレジット:skynesher / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

SpaceXが最新ラウンドで約900億円調達との報道、評価額は約7兆8360億円に

SpaceX(スペースエックス)は新たなラウンドで8億5000万ドル(約900億円)を調達した。この件に「詳しい」情報筋の話としてCNBCが報じた。SpaceXは非公開企業ながらも、報道によると今回の調達によりバリュエーションは約740億ドル(約7兆8360億円)になる。

どこから見ても巨額の調達ラウンドであるが、SpaceXの基準においてはそうではない。2002年創業の同社は今回のラウンド、そして2020年8月の20億ドル(約2120億円)のベンチャーラウンドを含め、これまでに60億ドル(約6350億円)超を調達した。2020年8月のラウンド時のバリュエーションは460億ドル(約4兆8700億円)で、つまり同社のバリュエーションは少なくともプライベート投資家の視点からすれはこの6カ月で大きく飛躍したことになる。

SpaceXは衛星ブロードバンドコンステレーションStarlinkの衛星1000基以上を軌道に乗せ、NASAのクルーを宇宙船Dragonに乗せて国際宇宙ステーションに運び、宇宙船Starshipの高度フライトテストを2回行っておおむね良好な結果を得るなど、これまでに多くを成し遂げた。また、打ち上げを依頼する多くの潜在顧客の需要を示している初のライドシェアミッションも実施した。

SpaceXは既存資本のおかげで多くのことを達成した一方で、最近の成功はさらに資本を投入すべきことがあり、また資本を獲得する必要があることを明らかに示していた。宇宙に耐えられることを証明するためのStarshipの開発継続、Starlinkを真に地球規模のネットワークにするという多額の資金注入を要する取り組みなど、まだすべきことを多く抱えていることから、同社はさらに資金を調達することが見込まれる。

関連記事:スペースXがStarlink衛星を新たに60機打ち上げ

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX資金調達

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポッドキャスト制作のZencastrがビデオ機能のベータ版を全ユーザーに公開、約4.8億円の調達も発表

ポッドキャスト制作サービスのZencastrは2014年後半に創業したスタートアップで、ソルトレイクシティを拠点としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大にともなって以前は対面だったポッドキャスト制作がオンラインになり、Zencastrは多くのポッドキャスト制作者にとってある種のライフラインになっている。Zencastrの名前はあまり知られていないが、同社によれば世界で80万〜120万の番組がアクティブであると推計されることから、全ポッドキャストのおよそ6%でZencastrが使われているという。

筆者が個人的にポッドキャスト制作者に話を聞いた範囲では、そのほとんど全員がZoomやSkypeなどのビデオチャットプログラムよりも専門的なソリューションを提供するZencastrを試用した経験がある。ZoomやSkypeを自分のニーズに合わせて何とか使いこなす制作者もいるが、Zencastrのソリューションは高品質のオーディオをローカルとクラウドの両方に保存できる点が特に優れている。

2020年6月の時点でZencastrはビデオ機能をテストしていた。ビデオは登場が長く待たれている機能だ。筆者はコロナ禍で自分の番組をオンラインで録画するようになり、Zoomに乗り換えた。感染拡大から1年あまり経って多くの人が言っているように、ビデオチャットは対面でのやり取りの代わりにはならないがピンチのときには役に立つ。少なくとも声だけのやりとりでは不可能な次元で対話ができる。

これまでビデオ機能はクローズドベータとして提供されてきた。米国時間2月16日にベータが全ユーザーに公開され、すでに提供されている高品質サウンドとともにHDビデオを収録できるようになった。筆者は自分のポッドキャストでこの機能をいろいろと試した結果、Zoomなどのサービスほどわかりやすくはないが柔軟にカスタマイズできることがわかった。HDビデオのファイルがあるので、編集して短い番組にしたり単純に画面を分割したりすることができる。ライブチャット、フットノート、サウンドボードもあり、基本的にはリアルタイムで番組を編集することを目指しているようだ。

Zencastrはビデオ機能を広く提供することと同時に、シードラウンドで460万ドル(約4億8000万円)を調達したことも発表した。これは同社のサービス開始以来初の大きな資金調達だ。

創業者でCEOのJosh Nielsen(ジョシュ・ニールセン)氏はTechCrunchに対し、Zencastrはこれまで「自己資金で独自にやってきた、ポッドキャスティング界では草の根のような企業でした。現在は多くの人がポッドキャスティングに興味を持つようになり、我々のような企業がクリエイターの考えを代弁し続けていくことが重要だと感じています。これが我々のノーススターです」と述べた。

ポッドキャスティングへの関心が高まり、それにともなってZencastrの利用は増えている。同社によれば、新型コロナウイルス感染拡大以降、ポッドキャスティングの時間はおよそ147%増加しているという。同社のシードラウンドを主導したのはユタ州を拠点とするKickstartで、他にFlipagramの幹部だったBrian Dilley(ブライアン・ディリー)氏とFarhad Mohit(ファハド・モヒト)氏や、SkullcandyのCEOだったJeremy Andrus(ジェレミー・アンドラス)氏などが参加した。

ニールセン氏は「我が社は小規模にスタートし、リソースも多くはありませんでした。しかし我々は常に利益を上げ、成長し続けてきました。それは現在も続いていますが、資金を調達してこの成長をさらに加速します。これはリブランドでもあり、プラットフォームの信頼性と安定性の面でも前進します」と述べた。

安定性は、筆者がこれまでに話をしたZencastrユーザーの多くが指摘していた問題だった。このニュースに先立ってZencastrをしばらく使ってみたところ、SkypeやZoomなどポッドキャスト専用以外のサービスでは経験したことのないオーディオ遅延などの問題が確かに発生した。この世の終わりというほどではないが、インタビューではリズムを崩してしまいかねない問題だ。ビデオプレゼンテーションもあまり洗練されていないが、クローズドベータではやむを得ない。

同社は調達した資金でこうした問題を解決し、人材も雇用する予定だ。

共同創業者でCPOのAdrian Lopez(アドリアン・ロペス)氏はTechCrunchに対し「この資金調達ラウンドを実施した主な理由の1つが従業員の数です。我々はコロナ禍以前から分散して働いていました。世界中の11カ国に従業員がいます。これは極めて意図的な判断でした。分散した形態にすることで、その人がどこにいるかに関係なく最高の人材に働いてもらえると考えています」と説明した。

Zencastrのプロデュースで同社のこれまでのストーリーをたどるポッドキャストシリーズの「デジタルノマド」も発表された。ただし同社はオリジナルコンテンツのプロデュースにこれから力を入れていくわけではないと述べている。

ロペス氏は「ポッドキャスティングは、人々をつなぐメディアであると強く確信しています。我々はそのために会社を設立しました。完全に分散している会社なので従業員はどこにいてもよく、このメディアを通じてつながることができます。その物語をこれから伝えていきたいと思います」と語った。

このカテゴリーではSquadCastRiverside.fmなどとの競争が厳しくなっている。Zencastrはここ1年で堅調に成長してきたが、新型コロナウイルスのワクチンが十分に供給され、安心して対面で番組を収録できるようになれば、成長にかげりが見えてくるかもしれない。

ロペス氏は「物事や人々が元に戻れば若干の縮小はあると見ています。しかしポッドキャスティングに対する関心の高まりはそれをはるかに上回っているので、縮小は帳消しになると思います。コロナ禍より前に始まった関心の高まりはコロナ禍収束後にも続くでしょう」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Zencastrポッドキャストビデオポッドキャスト資金調達

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

ITチャネルパートナーに販売促進プラットフォームを提供するZomentumが事業拡大に向け13.8億円調達

経済のバックボーンを形成する中小企業の多くは、ITニーズに対応できるだけのリソースがない。たとえばレストランの経営者は、おそらく経費を削減するためにITの専門家と契約し、この手の仕事を外注しているだろう。

POSレジや新しいコンピューター、プリンターなどを購入したり、従業員にビジネス用メールアドレスを割り当てたりする必要がある度に、彼らは信頼できるITアドバイザーに連絡を取り、契約している業者を通じて、ビジネスに必要な製品やサービスを確保する。

「中小企業は、顧客の応対に集中しているため、ビジネスニーズに合った適切なテクノロジーを選択するための時間が取れなくなってしまうことがよくあります。そのため中小企業のテクノロジーニーズについて信頼できるアドバイザーの役割を担うITチャネルパートナーが増えています」と、Zomentum(ゾメンタム)の共同創設者であり最高経営責任者であるShruti Ghatge(シュルティ・ガットゲ)氏は語っている。

ITアドバイザーは、企業の売上を支える上で非常に重要な役割を果たしている。Microsoft(マイクロソフト)のような大手企業でさえ、売上の多くを牽引しているのは再販業者のパートナーたちだ。しかしこれらの専門家は、未だにレガシーツールを使用している。

3年前に設立されたZomentumは、ハイパーローカルIT市場を促進するための効果的な販売チャネルとして機能する強力なITパートナーネットワークの構築を目指している。同社は米国時間2月16日、シリーズAラウンドで、既存の投資家であるElevation Capital(エレベーション・キャピタル)、Accel(アクセル)、Greenoaks Capital(グリーンオークス・キャピタル)から、1300万ドル(約13億8000万円)を調達したと発表した。Eight Roads Ventures(エイト・ローズ・ベンチャーズ)も参加したこのラウンドによって、Zomentumのこれまでの調達額は1710万ドル(約18億1000万円)となった。

社内調査によると、Zomentumのプラットフォームを利用しているITパートナーは、平均でドキュメントの作成が70%速くなり、取引の数が2倍近くに増え、取引額が600%増加し、コンバージョンは2倍に増加していると同社は述べている。

「AIとデータサイエンスを活用することで、これらのチャネルパートナーにビジネスインサイトを与えることができると、私たちは考えています。私たちのパートナーとその顧客が、AIで可能になるビジネスインテリジェンスを活用し、実用的な洞察を得て、スマートな意思決定を行うことができるようになってもらいたいのです。こういうことは、これまで大企業しかできませんでした」と、Zomentumの共同創設者であり最高技術責任者であるRahil Shah(ラヒル・シャー)氏は声明の中で述べている。

現在、Zomentumの顧客は80%以上が米国にいるという。ガットゲ氏は、このスタートアップ企業が新たな資本を投入して、市場でのプレゼンスを拡大し、vCIO、QBR、アセスメントなどの機能を備えた製品の提供を拡大していくと語っている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zomentum資金調達

画像クレジット:Zomentum

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

民間商業宇宙ステーションの実現を目指すAxiom Spaceが約138億円を調達

近い将来の目標を最も高く掲げている新しい宇宙スタートアップ企業の1つが、その野望に向けた自信をシリーズBラウンドで投資家に示し、1億3000万ドル(約138億円)を調達した。

NASAが民間開発の宇宙ステーションモジュールを国際宇宙ステーションに取りつけるために選んだAxiom Space(アクシオン・スペース)は、C5 Capital(C5キャピタル)が主導した新たな資金調達について発表した。

Axiom Spaceは、国際宇宙ステーションで専門的な仕事に携わった実績を持つ宇宙の専門家を含むチームによって2016年に設立された。以来、大きな注目を集める発表を次々と行っている。今回の資金調達はその最新のものだ。同社は、既存の宇宙ステーションに初の民間による商業モジュールを取りつけることで、将来的には完全に民間所有の軌道上プラットフォームを独自に作り上げ、研究や宇宙旅行などに活用することを目指している。

Axiomは2021年1月、2022年1月にSpaceX(スペースX)のDragon宇宙船とFalcon 9ロケットを使って国際宇宙ステーション(ISS)に飛び立つことが予定されている人類初の民間宇宙飛行士について発表した

Axiomはこのミッションのサービスプロバイダーであり、民間宇宙飛行士の契約を仲介し、訓練とミッションのプロファイルを設定する。民間の個人で構成されたクルー(つまり、各国の政府によって選ばれ、訓練を受け、雇用された宇宙飛行士ではない)が宇宙ステーションに飛び立つのは、これが人類史上初めてのことになる。

同社はまた、Tom Cruise(トム・クルーズ)氏と、ISSに乗り込む映画の一部を宇宙で撮影することについて話し合っている。さらに、宇宙ステーションへの旅を掛けて競い合うリアリティ番組も制作会社と企画中だ。

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Axiomは、民間の有人宇宙飛行と既存のインフラストラクチャや産業を結ぶ主要企業として注目を浴びており、NASAのような公共機関のパートナーと、急成長しつつある民間宇宙産業の「レール」、つまりSpaceXや同種の企業の両方をカバーしている。同社は他の民間企業のどこよりも長い間、この独自のチャンスに力を入れてきた。それを実現するために必要なすべての関係と社内の専門家を備えている。

今回の新たな多額の資本注入は、同社の雇用を支援するだけでなく、今後の民間宇宙ステーションモジュールや、最終的には宇宙ステーションそのものを建造する力を高めることにもつながる。ヒューストンを拠点とする同社は、2024年までにその宇宙ステーションモジュールをISSに接続することを目指しており、これまでに1億5000万ドル(約159億円)を調達している。

カテゴリー:宇宙
タグ:Axiom Space資金調達民間宇宙飛行ISSNASA

画像クレジット:Axiom Space

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

リモート環境にも適した福利厚生サービス「miive」(ミーブ)を手がけるmiiveは2月17日、総額5000万円の資金調達を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、ジェネシア・ベンチャーズ。

調達した資金は、同社ビジョン「世界で最も優しいプロダクトを創る」の実現に向け、開発・人材採用に投資する。事業をより一層加速させ、福利厚生市場をリードしていくテクノロジー企業として、邁進していくとしている。

なおmiiveは、4月下旬に正式版リリース予定。サービス開始に先立ち、現在事前登録を受け付けている。

福利厚生に力を入れる企業が増加する中、利用するための仕組みやコンテンツが20年前と変わっていない

代表取締役の栗田廉氏がmiiveに取り組むことになった背景には、健康経営シフトや働き方改革の効果が広がっている影響があるという。特に、経済産業省による健康経営優良法人制度の認定数(中小規模法人)が2016年度は300社程度だったものが、2018年度3000社と大幅に増加したことを挙げた。福利厚生に力を入れている企業が増えており、従業員の健康に対する投資が当たり前になり、贅沢品から必需品に変わりつつあると指摘した。

また福利厚生は、投資効果が高い点を紹介。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、グループ世界250社約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算した際、健康経営に対する投資1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあるとの調査結果が得られたという。

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

健康経営の推進について」(令和2年9月 経済産業省 ヘルスケア産業課)より

日本においても健康経営の効果に関する調査結果が出揃いつつあり、9割以上の企業が生産性向上、企業イメージの向上、離職率の低下などの効果を上げているとした。

栗田氏は、その一方で、コンテンツの部分が20年前と変わっておらず、改善の余地があるという。「2025年には、ミレニアル世代が労働者の8割以上が占めるようになる。この層にはすでに刺さらなくなってきている」とした。

UX、使い勝手でも課題がある。例えば従業員がスキー場のリフト券の割引を使うという場合、利用する従業員人数分の領収書を発行してもらい総務に申請。その後総務が福利厚生のアウトソーシング企業に郵送するなどの手間が発生する。

1年に1回以上福利厚生を利用する者は2~4割程度で、1年に1回も利用しない者は7~8割に上るそうだ。

栗田氏は、これらを受け、福利厚生サービスに関する予算枠があるのなら、その枠内で企業と従業員の両方に有効な利用法を提供できないかと考えたという。

またリモートワークの定着をはじめとする働き方改革の中、従来の社食やオフィスの自動販売機といった規模の大きなものではなく、従業員の働き方や働く場所に合わせて必要になるとして、プリペイドカード型福利厚生として、miiveに取り組み始めたと明かした。

場所・時間を問わず、リモートワークでも利用しやすいコンテンツ

栗田氏によると、「miiveが従来の福利厚生サービスと異なる点は、コンテンツの柔軟さと場所・時間を選ばない点」にあるという。

miiveでは、企業からプリペイドカードを従業員に発行し、これを経由する形でポイントとして福利厚生を従業員に支給。従業員は、このポイントを使って各種コンテンツを利用できる。ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズし、福利厚生として精算できるようになっている。

ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズできる

ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズできる

また福利厚生として計上するには、国が定めた要件に従う必要があり、例えばコンビニはじめ何らかのサービスでポイントを食事用途で利用する場合、従業員自身が利用額の半分を負担しなければならないという。

これに応えるため、miiveのプリペイドカードは従業員自身のクレジットカードからもチャージできるようにしている。1枚のカードに、企業のポイントと従業員自身のチャージ分の2種類のマネーを内包しており、先の食事用途の例であれば、福利厚生として計上されるようこれら2種類が利用金額の50%ずつ引き落とされるという。

コンテンツについては、Visa加盟店の中から企業がカスタマイズし自由に設定でき、管理画面からいつでも追加・変更可能だ。食事・ファッション・ジム・エステなどを用意しており、身だしなみをキチンとしてほしいなど導入企業の意図を反映できるようになっている。ちなみにmiive自身の場合は、従業員に健康的な食事をとってほしいと考えて、食事用途を「厚く」しているそうだ。

柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する

miiveでの1カ月あたりの支給ポイントは、様々なニーズに柔軟に対応できるよう5000~1万ポイントを想定しているそうだ。従業員による自発的な福利厚生の利用は、給与アップに比べ満足度の向上や離職率の低下に対して高い投資対効果が見込めるためという。

またmiiveの場合、例えば部活手当はじめ、自社コンテンツを従業員が利用した場合ポイント還元を優遇したり、ベビーシッター手当を用意したりなど、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる点を挙げた。

柔軟な働き方に関する課題として、同僚間のコミュニケーションの低下や、従業員が企業に大切にされていないと感じる傾向が挙げられるようになっている。この状況に対して、栗田氏は「柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する」と考えているという。早期から柔軟な働き方を採用している企業の場合、社内コミュニケーションの活性化など独自の福利厚生にも取り組み、従業員の満足度を高めているからだ。

部活手当など、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる

部活手当など、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる

企業独自の福利厚生の場合、立て替え申請や領収書のとりまとめ、経理の振込といった手間や時間を要するといった課題があるが、従業員による申請などはアプリによって行えるため、企業側の負担もmiiveにより一切なくなるそうだ。

従業員は、アプリ上で申請を行うだけでよく、もし承認されなかった場合はその理由が即座に表示される

従業員は、アプリ上で申請を行うだけでよく、もし承認されなかった場合はその理由が即座に表示される

従業員間の承認もアプリ上で即座に実施。立て替えなどのとりまとめが行いやすい

従業員間の承認もアプリ上で即座に実施可能。立て替えなどのとりまとめが行いやすい

また福利厚生は税務メリットも大きいものの、従業員にとっては申請などが面倒といった点が利用機会の低減につながっていたため、これもmiiveによって解決できるとした。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:HRテック(用語)資金調達(用語)福利厚生miive日本(国・地域)

有名人から零細事業者まで利用するライブビデオショッピングTalkshopliveが約3億円調達

Talkshoplive(トークショップライブ)は、ショッピング専門のライブビデオをホストするのにPaul McCartney(ポール・マッカートニー)氏、Garth Brooks(ガース・ブルックス)氏のようなスターや零細事業者と協業しているスタートアップだ。同社は米国時間2月16日、シードラウンドでSpero Venturesから300万ドル(約3億2000万円)を調達したと発表した。

CEOのBryan Moore(ブライアン・ムーア)氏は同社を姉妹のTina Moore(ティナ・ムーア)氏と2018年に設立した。ブライアン氏は以前、Twentieth Television(前Twentieth Century Fox)とCBS Televisionでソーシャルメディアの事業を率い、中国でのライブストリームを使った買い物体験の興隆に感化されてTalkshopliveを立ち上げたと語った。

関連記事:WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

と同時に、ブライアン氏は中国でうまくいっていることをコピーするだけでは十分でなかったとも述べた。「ここでは零細企業は異なり、人材も異なり、そしてニーズも異なります」。同氏の見方では、クリエイターや事業者がすでに顧客がいるところで自身の顧客に会えるようにすることがカギの1つだという。この点が競合サービスと異なると同氏は述べた。

一例を挙げると、Talkshopliveでは消費者はビデオを視聴するために追加のアプリをダウンロードする必要はない。その代わりTalkshopliveや同社のパートナーのウェブサイト、ビデオが埋め込めるその他のところで使えるビデオプレイヤーを作った。再生されるビデオには、ワンクリックで購入できるボタンが含まれている。

ブライアン氏はTalkshopliveがMatthew McConaughey(マシュー・マコノヒー)氏、Alicia Keys(アリシア・キーズ)氏、Dolly Parton(ドリー・パートン)氏、そして前述のブルックス氏やマッカートニー氏といった有名人と協業して書籍と音楽にフォーカスして事業を開始したと話した。たとえばブルックス氏は2019年に自身の「Legacy Collection」ボックスセット100万点超を前売りするためにTalkshopliveを使った。

書籍では、Harper Collins、Penguin Random House、Simon & Schuster 、Macmillanなどの出版社と協業してきた。ブライアン氏は、著者が他のeコマースサイトで目にするものの3〜9倍の売上をTalkshopliveはもたらす、と主張した。

と同時に、同氏はTalkshopliveが3500超の零細事業者と協業していることを強調した。そして、零細事業のオーナーがTalkshopliveで放送するとき、「あなたはストーリーを語れることで自前のマイクロファンダムを作っています。零細事業であっても自身をブランドストーリーにしているのです」。

そして「人々が番組で2万5000ドル(約265万円)を動かすのをサポートすることができるとき、それは零細事業者にとって巨大なディールです」。

そうした意味で、ブライアン氏はTalkshopliveを以前のソーシャルメディアでの仕事の続きだととらえていると述べた。すべては「デジタルの時代に、あなたはいかに人間のつながりを作っているか」という質問でつながる。「最終目標」はプラットフォームをあらゆる場所の事業所にとって「デジタルメーンストリート」にすることだと同氏はつけ加えた。

直近では、Talkshopliveは食品や美容といったカテゴリーにも手を広げ、同氏はSperoの創業パートナーであるShripriya Mahesh(シュリプリヤ・マヘシュ)氏と「継続的にプロダクトを発展させ、急速展開するのに役立つツールを作り出し、これらの恩恵を事業者へ還元」に対してともに取り組むことに興奮している、と述べた。

「Talkshopliveのチームと出会った瞬間から、我々は中小企業が新しくてクリエイティブ、そしてイノベイティブな方法で事業を構築できるようにすることにチームが注力していることに感銘を受けました」とマヘシュ氏は声明で述べた。「Talkshopliveはまた、バイヤーがセラーに真に関わり、知り合い、まったく新しい方法でショッピングを体験する方法でマーケットプレイスモデルを刷新しています。我々はTalkshopliveで形成されつつあるコミュニティに信じられないほど興奮しており、コミュニティやマーケットプレイスが成長する中でブライアンやティナ、チームとともに働くのを楽しみにしています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Talkshoplive資金調達eコマース

画像クレジット:Talkshoplive

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

元Uber社員がブルーカラー向け物流職マーケットプレイスで5.5億円調達

ネバダ州のUber(ウーバー)でゼネラルマネージャーを務めていたJason Radisson(ジェイソン・ラディソン)氏は、いわゆるブルーカラー労働者を、彼らを求めている雇用主と結びつける手段が必要だと気づいた。

そこで2018年にShift One(シフトワン)のアイデアが生まれた。労働者と雇用主を繋ぐマーケットプレイスだ。対象とする職種は、物流・配達のラストマイル、eコマースの発送業務、大規模イベント管理などとなる。

2019年に正式スタートして以来、Shift Oneのプラットフォームに登録された労働者の数は2万5000人に増えた。その多くが雇用される時点で失業していたという。そして現在、米国とコロンビアにAmazon(アマゾン)、NASCAR、Weee!、Mensajeros Urbanos、Consumer Electronics Show(CES)など約50社のクライアント企業がいる。

このサービスは雇用主と労働者を結ぶだけでなく、勤務時間、税金、出退勤、生産性、作業命令の管理なども支援する。

事業の成長とリーチ拡大を目指して、Shift Oneは最近シードラウンドで520万ドル(約5億5000万円)の資金を調達した。ラウンドをリードしたのはCity Light Capitalおよび、Tinder(ティンダー)共同ファウンダーのJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏率いるJAM Fundで、ほかにK50 Ventures、Ventura Investments、Human Ventures、エンジェル投資家のFelipe Villamarin(フェリペ・ビジャマリン)氏が参加した。

人員を見ると、Shift Oneの創業チームは全員がUberまたはLyftで働いた経験を持つとCEOのラディソン氏は言う。初期の技術チームはすべて元Uber社員だった。

会社を始めた主な動機は「Gig 1.0に内在する問題のいくつかを解決」するためだった、とラディソン氏は語った。

「もっと労働者にとって公正な環境にして、人々がと多くの物流職を転々として賃金が低いという負の連鎖を断ち切りたかったのです」と同氏はTechCrunchに語った。「彼らに安定を与えたいのです」。

それと同時に、物流業社が良い労働者の確保に苦労していることも彼は知っていた。Shift Oneは、入社間もない社員から管理者、倉庫マネジャーまでさまざまなスキルレベルの人たちの協力を得て作業した。

物流労働者の多くが、かつて福祉手当のない契約社員として働いていたことを知っているShift Oneは、同プラットフォーム上の全労働者に対して雇用された初日から「低い積立金」で福祉手当を完全支給する。さらに当座預金口座とデビットカードも支給する。

「登録されている労働者の多くは銀行口座を持たず、給与小切手を受け取ることさえできませんでした」とラディソン氏は言った。

同社はさらに、労働者ができる限り「密なスケジュール」でチームの一員として働けることを目標にしている。

「私たちのチームに団結力があり、高い機能を発揮することは私たちの価値提案の一部です」と彼はつけ加えた。

これまでサンフランシスコ拠点のShift Oneは自己資金のみで賄われていた。収益は「わずか」に黒字で、その利益を事業拡大のために再投資してきた。2020年の売上は「元が少ない」と言いながらも10倍に伸びた。同社のオフィスは、ネバダ州ラスベガス市、ミネソタ州ミネアポリス市、コロンビアのボゴタ市およびルーマニアのブカレスト市にある。

将来に向けて、新たな資金は新市場への拡大(現在米国の12州で運営している)、20名の従業員の増員、テクノロジーロードマップの加速に使用する計画だ。

新型コロナウイルス感染症が続く「過去4~5カ月、当社はラストマイルに大きく注力しました」とラディソン氏は言った。「大学に行かず、長年低い給与に甘んじている何百万という人たちにチャンスを与えたい。彼らに成功のチャンスをもたらしたいのです」。

JAM Fundの責任者でTinderの共同ファウンダーでもあるマティーン氏は、Shift Oneが労働の「逆淘汰」問題を一新すると信じている。

「ギグワークは季節性と供給力で決められている。どちらも労働者にとってあまり良いことではありません」と彼は言った。

フロリダ州マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレズ)氏も、ブルーカラー労働者は新型コロナの影響を最も強く受けていると指摘する。

Shift Oneによって「労働者は公正な報酬を受けられる職と、成長し進歩する機会を与えられます」と同市長が書面の声明で語った。「企業は、質の高い労働者の安定した予測可能な供給源を利用できるようになります。そしてマイアミ市は、高い雇用率と強い地元企業による好循環の恩恵を受けます」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Shift One資金調達物流ギグワーカー

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AI契約書レビュー支援や契約書管理クラウド提供のLegalForceが30億円を調達

AI契約書レビュー支援や契約書管理クラウド提供のLegalForceが30億円を調達

AI契約書レビュー支援ソフトウェア「LegalForce」、クラウド契約書管理システム「Marshall」 を提供するLegalForceは2月17日、シリーズCラウンドにおける第三者割当増資約27億円と銀行融資約3億円を合わせて、約30億円の資金調達を発表した。増資と融資をあわせたシードラウンド以来の累計調達額は約45億円となった。

引受先は、米WiL, LLC.(WiL)、ジャフコ グループ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DIMENSIONなどのそれぞれが運営するファンド。借入先は、日本政策金融公庫より三菱UFJ銀行との協調融資体制によるもの。

LegalForceは、2017年に大手法律事務所出身の弁護士2名が創業。独自のAI技術と弁護士の法務知見を組み合わせ、企業法務の課題を解決するソフトウェアの開発・提供している。京都大学との共同研究など学術領域にも貢献しているという。

また、2019年4月にLegalForce正式版のサービスを提供開始、2021年1月よりMarshall正式版を提供している。

AI契約書レビュー支援や契約書管理クラウド提供のLegalForceが30億円を調達

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カテゴリー:リーガルテック
タグ:資金調達(用語)LegalForce日本(国・地域)

コンピュータービジョンで駐車場をアップグレードするMetropolisが43.5億円調達

Metropolis(メトロポリス)は、自動化された駐車場管理の業界でシェアを獲得すべく、BMW傘下のParkMobile(パークモバイル)と競合しようとしているロサンゼルス拠点の新しいスタートアップだ。

出入りするクルマを認識するコンピュータービジョンベースのシステムで駐車場をアップグレードする、というのが創業者でCEOのAlex Israel(アレックス・イスラエル)氏が2017年に事業を開始したときからのMetropolisのミッションだ。

連続起業家のイスラエル氏は数十年も駐車場について考えてきた。同氏の直近の会社ParkMeは2015年にInrixに売却された。売却で得た収入と経験を元に、同氏は新しい種の駐車場料金決済と管理サービスを開発するために一から取り組んだ。

そして現在、Metropolisは事業立ち上げだけでなく、4100万ドル(約43億5000万円)の調達を発表しクローズアップされる準備ができている。投資家には不動産管理のStarwood、RXR Realty、Dick Costolo氏とAdam Bain(アダム・ベイン)氏の01 Advisors、Dragoneer、元Facebook従業員のSam Lessin(サム・レッシン)氏とKevin Colleran(ケビン・コレラン)氏のSlow Ventures、AlphabetのSidewalk Labs最高責任者Dan Doctoroff(ダン・ドクトロフ)氏、NBAのスターでアーリーステージ投資家のBaron Davis(バロン・デイビス)氏が含まれる。グローバルグロースエクイティファーム3Lがラウンドをリードした。

イスラエル氏によると、多岐にわたる都市モビリティサービスのハブとして駐車場の再構築を望んでいる大企業にとって駐車料金決済アプリケーションは基礎となる。

Metropolisの最終目標は、フロリダ拠点のスタートアップREEFと同じだ。REEFは既存のインフラや都市駐車場業界が作り出したものをどうすべきか、独自の考えを持っている。そしてREEFの2020年の7億ドル(約743億2000万円)の資金調達は駐車場につぎ込む金がたくさんあることを示している。

関連記事:駐車場を有効活用するREEF Technologyがソフトバンクなどから7億ドルを調達

イスラエル氏によると、REEFと違ってMetropolisはモビリティ分野に注力し続ける。「モビリティがシフトするにつれ、今後20年で駐車場はどう変わるでしょうか」と同氏は疑問を呈した。同氏はMetropolisが答えを提供することを望んでいる。

同社は調達したばかりの資金で、2022年にかけてサービス展開を600カ所に拡大したいと考えている。2017年の創業以来、同社はこれまでに累計6000万ドル(約63億7000万円)を調達した。

コンピュータービジョンと機械学習のテクノロジーは、同社が今後提供する駐車場、クリーニング、充電、ストレージ、ロジスティックといったものへの取っかかりとなる。「当社はインテグレーターになり、一部のケースでは直接的なサービスプロバイダーになります」とイスラエル氏は話した。

Metropolisはすでに大手の不動産所有者のために1万超の駐車スポットを管理しており、より多くの不動産管理者が同社のサービスを利用するようになると同氏は予想している。

「(大手の不動産管理者は)施設へのシームレスなアクセスを可能にするインフラ要件について考えていません」と同氏は話した。同氏のテクノロジーにより、ビルは価格変動制や歩留まりの最適化のようなサービスを通じて価値を有するようになる。

「Metropolisはスクーター充電、スクーターストレージ、車両ストレージ、車両のロジスティックや分類などで最も有効な使用を見出しています」と同氏は話した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Metropolisコンピュータービジョン駐車場

画像クレジット:Marvin E. Newman / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンラインでの著作権とその支払いを管理するプラットフォームPexがTencentなどから約60億円調達

自身のコンテンツがどのように使用されているか、あるいはオンラインで再使用されているかに関するコントロールを著作権所有者に与えようと、スタートアップPex(ペックス)が新規ラウンドで5700万ドル(約60億円)を調達した。

既存投資家のSusa Ventures、Illuminate Ventures、Tencent、Tencent Music Entertainment、CueBall Group、NexGen Ventures Partners、Amaranthineなどが本ラウンドに参加した。

2014年創業のPexはこれ以前に700万ドル(約7億4000万円)を調達していた。そして2020年、音楽著作権のスタートアップDubsetを買収している。創業者でCEOのRasty Turek(ラスティ・トゥレック)氏は、同氏が言うところの「著作権所有者が、著作権侵害を発見するためのGoogleのような検索エンジン」から生まれたプロダクトが広範なプラットフォームになったが、著作権とオンライン支払いを管理するより良いシステムを構築するというビジョンは変わらないと筆者に語った。

Pexは、コンテンツの著作権を有する個人や企業、コンテンツのライセンス供与やリミックスをしたいクリエイター、コンテンツがシェアされている大手デジタルプラットフォーム、これらを監督したい法執行機関を集合させた自社のAttribution Engineを「インターネットのためのライセンスインフラ」と表現する。

プロダクトには6つのモジュールがある。資産レジストリ、資産が新しいコンテンツで使用されたときに資産を特定するシステム、ライセンス供与、論争解決システム、支払いシステム、自分のコンテンツがどのように使われているかを確かめるデータと報告だ。

トゥレック氏はPexが「世界で最も大きな著作権保有者の大半」によって使用されており、コンテンツすべてをオンラインで取り締まるためのリソースを持たない「ロサンゼルスの路上にいる苦しんでいるミュージシャン」がアクセスできるよう構築さしたと話した。

PexのCEOであるラスティ・トゥレック氏

トゥレック氏はまた、より広範な規制環境がPexのようなソリューションを求めているとも述べた。たとえばEUは2021年発効が予定されている新しい著作権指令を採択し、米国でも新たな著作権法が検討されている。EUの法案は大手プラットフォームが先制的に幅広いコンテンツをブロックすることにつながるかもしれないと批判されたが、トゥレック氏は「オーバーブロッキングの反対となる、オーディエンスを求めている多くのコンテンツがある」と主張した。

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Pexは全体として規制監督当局に頼っているわけではない。同氏は、Pexがプラットフォームを使用している異なるグループの需要のバランスを取るようになっていると述べた。そしてPexはライセンス供与のディールから売上を上げるために、そのバランスを取るためのインセンティブも持っており、同社は「真にスイスのような中立国、真に中立派になる」ことにフォーカスしている。

「もし当社がシステムを悪用しようとしたら、私たちも失うという考えに基づいて事業をデザインしました。誰かがシステムを悪用したときは私たちは収益を上げず、すべてがうまく機能したときのみ利益を得ます」と同氏は述べた。

トゥレック氏はまた、パブリックドメインとCreative Commonsライセンスが同プラットフォームで「第一級市民」であり、Attribution Engineを使用している著作権所有者の多くが必ずしも金銭的補償を求めているわけではない、と主張した。「多くの人が認知のために著作権を守りたいのです。我々は社会性の動物です」(加えて認知は金儲けの機会につながり得る)。

Pexは新たに調達した資金で、引き続きAttribution Engineを拡大できると話す。

「投資は妥当性の確認だとは考えていません。義務に近いものだとと思っています。投資はあなたが正しい方向に向かっていることを証明しています」。

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タグ:Pex著作権資金調達

画像クレジット:Pex

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIによるSAR衛星データ解析システムを開発するスペースシフトが5億円調達、開発体制を大幅強化

AIによるSAR衛星データ解析システムを開発をするスペースシフトが5億円調達、開発体制を大幅強化

衛星データ解析システムの開発を手がけるスペースシフトは2月16日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による5億円の資金調達を発表した。引受先は、宇宙特化型の宇宙フロンティアファンド(スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー)、EEI4号イノベーション&インパクト投資事業有限責任組合(環境エネルギー投資)ほか1社の合計3社。

今回の調達は、同社初の大型資金調達という。調達した資金により、開発体制の大幅に強化し、SAR(合成開口レーダー)衛星データ解析に特化したAIの開発を推進する。

近年、AIやビッグデータ処理、クラウドの普及を背景に、地球観測データの活用が様々な分野で進んでいる。ただ、従来自動解析に活用されていた衛星データは、主に光学衛星による可視光を用いた衛星写真だったという。

これに対してSAR衛星は、太陽の光を必要としないため、雲で被われていても地表の様子を見ることができ、夜でも観測可能であるなど利点も多く、今後の衛星データ利用の拡大においては重要な存在という。

ただ、SAR衛星は光学衛星と異なり、衛星から発するマイクロ波の反射により地表を見るため、独特なノイズがある画像になり、地表の様子を判読には特殊な知識を必要とする場面が多くある。

この課題解決のためスペースシフトが開発した新方式では、専門家でも判読が難しいとされるSAR衛星の画像をAIによって自動解析可能としたという。

スペースシフトは、今後もSAR衛星データの解析のためのソフトウェア開発に経営資源を集中させることで、世界中のあらゆるSAR衛星事業者、衛星データ利用者が必要とする高度な衛星データ解析技術を提供。地球全体のあらゆる変化を検知可能にすることで、社会活動の最適化、持続可能な社会の実現に寄与するとしている。

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農機具と生産者のマッチングや修理・買取を支援する農機具流通サービス「ノウキナビ」が1.9億円調達

農機具と生産者のマッチングや修理・買取を支援する農機具流通サービス「ノウキナビ」が1.9億円調達

農機具流通プラットフォーム「ノウキナビ」を運営する唐沢農機サービスは2月16日、第三者割当増資、融資契約を含む1億9000万円の資金調達を2月9日付で実施したと発表した。引受先および借入先は、八十二銀行、八十二キャピタル、群馬銀行、SMBCグループを始めとする複数の金融機関。また同社の5カ年計画と成長戦略を明らかにした。

調達した資金は、主に人件費、広告宣伝費に集中投下し、今後3年をめどにスタッフ拡充を図る。広告宣伝費について、デジタルマーケティングを実践しながら複数媒体に投入していく予定。また、現在の成長ステージをアーリーステージと位置づけ、今後の資本政策を考慮して資金調達を数回実施予定としている。

2007年に設立し、現在第14期を迎える唐沢農機サービスでは、18期(2025年8月期)売上高目標で14期比700%増を計画。株式上場(IPO)を目指した継続的な成長戦略を展開していく。また、M&A戦略にも積極的に力を入れていく方針としている。

ノウキナビは、全国の農機流通を支援するプラットフォーム。全国の農機販売業者の取引支援、高品質な農機具を探す農機ユーザーとのマッチング、修理・買取・部品調達・運送など、農機具に関する様々なサポートを行っている。

2014年9月運用を開始し、2021年2月1日現在、年間のアクセス数は300万PV超、参画している農機販売店は300軒超、農家や農機ユーザーは2000件以上の登録があるという。累計販売実績額は12億4000万円を突破したそうだ。

唐沢農機サービスは、農機具修理業を事業化し1992年創業。農機具の販売・修理・再生を主要事業とする一方、ウェブサイト制作、マーケティング、コンサルティングなどの事業も運営。また、ノウキナビとして農業×ITによる農業関連ビジネスを展開している。

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