Foxconnが2022年にEV工場を米国とタイに建設へ、23年から生産開始

Foxconn(フォックスコン)は電気自動車(EV)という野望に真剣になりつつある。同社は決算会見で投資家に、EVを生産する工場を2022年に米国とタイに建設し、翌2023年に大量生産を開始する計画だと語った。同社会長のLiu Young-way(リュー・ヤンウェイ)氏は、同社が欧州の工場候補地についても協議していると述べた。

米国の工場では、FoxconnはFisker(フィスカー)を含むEVクライアントのための車両を生産する。FoxconnとFiskerは5月に契約を交わしFoxconnは2023年末までにFiskerのEVの生産を開始する。両社はProject Pear車両に共同投資し、そこから得られる売上高も分かち合う。

Nikkei Asiaによると、FoxconnはEV工場についてウィスコンシン州を含む3州と協議中だ。同社は今年初め、ウィスコンシン州にある既存の工場の計画を大幅に縮小した。リュー氏はまた、Foxconnが議論を巻き起こした工場でEVを生産するかもしれないとほのめかしていた。

計画されているタイの工場は、石油・ガスのコングロマリットPTTとの合弁企業の一部となる。2社はEVと部品生産のためのプラットフォームに取り組んでいる。Foxconnは毎年最大20万台のEVを生産する計画だ、とリュー氏は述べた。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット: SAM YEH/AFP / Getty Images

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(文:Kris Holt、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラが旧来のリン酸鉄リチウムバッテリーに賭けていることは、メーカーにとって何を意味するのか

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、鉄ベースのバッテリーに関してこれまでで最も強気の発言をした。Tesla(テスラ)は、エネルギー貯蔵製品と一部のエントリーレベルのEVにおいて、旧来の安価なリン酸鉄リチウム(LFP)セルへの「長期的なシフト」を行っていると強調した。

テスラのCEOは、同社のバッテリーは最終的に製品全体で鉄ベースが3分の2、ニッケルベースが3分の1になるだろうと思慮深く語り「これは実際に好ましいことです。世界には十分な量の鉄が存在していますから」と付け加えた。

マスク氏のコメントは、主に中国の自動車業界ですでに進行中の変化を反映するものだ。中国以外の地域でのバッテリー化学組成は大部分がニッケルベースで、具体的にはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)とニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)である。これらの比較的新しい化学組成は、エネルギー密度が高いことから自動車メーカーにとって魅力的なものとなっており、OEM(完成車メーカー)におけるバッテリーの航続距離の改良に貢献している。

マスク氏の強気の姿勢がEV業界全体に真の変化をもたらしつつあるとすれば、中国以外のバッテリーメーカーが追随できるかどうかが問われるところだ。

LFP方式への回帰を示唆しているのはマスク氏だけではない。Ford(フォード)のCEOであるJim Farley(ジム・ファーリー)氏は2021年、一部の商用車にLFPバッテリーを採用すると発表した。一方、Volkswagen(フォルクスワーゲン、VW)のCEO、Herbert Diess(ヘルベルト・ディース)氏は、同社のバッテリーデーのプレゼンテーションで、VWのエントリーレベルEVの一部にLFPが使用されることを明らかにした。

エネルギー貯蔵の面では、マスク氏がコメントで言及した、Powerwall(パワーウォール)とMegapack(メガパック)でのLFPベースの化学組成の採用は、鉄ベースの処方を推進する他の定置型エネルギー貯蔵企業の潮流に沿うものとなっている。「定置型貯蔵業界は、より安価なLFPへの移行を志向しています」と、バッテリー調査会社Cairn Energy Research Advisorsを率いるSam Jaffe(サム・ジャッフェ)氏はTechCrunchに語った。

LFPバッテリーセルが魅力的な理由はいくつかある。まず、コバルトやニッケルのような極めて希少で価格が変動しやすい原料に依存していない(主にコンゴ民主共和国から調達されているコバルトは、非人道的な採掘条件のためにさらなる精査の対象となっている)。また、ニッケルベースの化学組成に比べてエネルギー密度は低いものの、LFPバッテリーははるかに安価に製造できる。電気自動車への移行を促進したいと考えている向きにとって、これは朗報となる。EVの普及には、1台あたりのコストを下げることが重要な鍵となる可能性が高いからだ。

マスク氏は明らかに、テスラにおける鉄ベースの化学組成に大きな未来を見出しており、同氏のコメントは、LFPが再びスポットライトを浴びるのに効果的な役割を果たした。ただし、それがショーのスターであり続けている場所は1つ、中国である。

中国によるLFPの独占

「LFPは中国でしか生産されていないといっても過言ではありません」と、調査会社Benchmark Mineral Intelligenceで価格・データ評価の責任者を務めるCaspar Rawles(キャスパー・ローレス)氏は、最近のTechCrunchとのインタビューで説明している。

LFPバッテリー生産における中国の優位性の一部は、大学や研究機関のコンソーシアムによって管理されている一連の主要なLFP特許に関連している。このコンソーシアムは10年前、中国のバッテリーメーカーとの間で、LFPバッテリーが中国市場でのみ使用されることを条件に、ライセンス料を徴収しないことで合意した。

こうして、LFP市場は中国が独占する形となった。

中国のバッテリーメーカーは、LFPへの構造的シフトのポテンシャルから最大の恩恵を受ける可能性がある。具体的にはBYD(比亜迪)とCATL(寧徳時代新能源科技)で、後者はすでに、中国で生産・販売されているテスラ車専用のLFPバッテリーを製造している。(一方、フォルクスワーゲンは中国のLFPメーカーGotion High-Tech[国軒高科]にかなりの出資をしている。)こうしたバッテリーメーカーの勢いはとどまる気配を見せていない。1月にCATLとShenzhen Dynanonic(深圳市徳方納米科技)は、中国の地方省の1つと、LFPカソード工場を2億8000万ドル(約307億円)の費用で3年をかけて建設する契約を結んだ。

業界アナリスト企業のRoskillによると、LFPの特許の存続期間の満了は2022年で、中国以外のバッテリーメーカーが生産の一部を鉄ベースの製品に移行し始める機は熟していることが予想されるという。しかし、LG Chem(LG化学)やSK Innovation(SKイノベーション)など、韓国の大手企業との合弁事業が多い欧州や北米のバッテリー工場はいずれも、依然としてニッケルベースの化学組成にフォーカスしている。

「米国がLFPの強みを生かすには、北米の製造業が必要となるでしょう」とジャッフェ氏は説明する。「今日、米国でギガファクトリーを建設する人々は皆、高ニッケル化学製品の製造を計画しています。現地で製造されるLFPバッテリーに対するアンメットニーズが非常に高くなっています」。

ローレス氏は、特に特許の有効期限が失効した後、数年のうちに北米と欧州である程度のLFPキャパシティが確保されると予想している。ドイツではCATLも、他のバッテリーメーカーSVOLT(蜂巣能源科技)も動きを見せているが、どちらも中国企業であり、その他のアジア企業や欧米企業がLFP市場で競争できるかについては疑問が残る、と同氏は指摘した(Stellantis[ステランティス]は2025年以降のバッテリーサプライヤーの1つとしてSVOLTを選定している)。

エネルギー貯蔵に関して、ジャッフェ氏は「定置型貯蔵システムのほとんどが最終的にはLFP系になることは避けられない」と考えているという。

しかし、米国の国内製造業にとってすべてが失われるとは限らない。「地元でLFP製造を確立するための好材料として、サプライチェーンがシンプルであることが挙げられます。リチウム以外にも、鉄とリン酸という2つの安価な材料が(米国で)大量に生産されています」とジャッフェ氏は付け加えた。

結局のところ、これはバッテリーの化学的性質の問題ではない。より有望な点は、テスラを含む自動車メーカーの動向からすでに明らかになっている。鉄ベースのバッテリーは主にエントリーレベルの低価格車に使用され、ニッケルベースのセルはハイエンドの高性能車に使用される。多くの消費者は、300マイル(約483km)から350マイル(約563km)の走行距離を持つ車よりも、数千ドル(約数十万円)安い200マイル(約322km)から250マイル(約402km)の走行距離の車の方に満足するだろう。

自動車メーカーは、垂直製造や既存のバッテリー会社との合弁事業を通じて、バッテリー供給をコントロールする方向に動き始めている。このことは、北米と欧州におけるLFPキャパシティの拡大は可能性が高いだけでなく、必然的であることを意味している。

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タグ:Elon MuskTeslaバッテリー電気自動車FordVolkswagenPowerwallMegapack中国エネルギー貯蔵リチウムイオン電池

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

FiskerとフォックスコンのEVパートナーシップは「予想よりも速く進んでいる」とFiskerのCEOが表明

米国の電気自動車メーカーであるFisker(フィスカー)は、2021年の運営費用が4億9000万ドル(約538億1000万円)から5億3000万ドル(約582億2000万円)に達すると予想しているが、これは、Ocean(オーシャン)SUVのプロトタイプの研究開発費、先端技術のテストと検証、雇用、Foxconn(フォックスコン)とのパートナーシップの「加速」によって当初の見通しよりもやや増えている。

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米国時間8月5日の市場閉場後に第2四半期の業績報告を行った同社は、通年の主要な非GAAP運営費用と設備投資の予想を、当初の4億5000万ドル(約494億2000万円)から5億1000万ドル(約560億1000万円)という数字から引き上げた。業績報告の中で挙げられていたのは、2021年のプロトタイプ活動への研究開発費だが、その主要部分は先進運転支援システムのテストと検証、パワートレイン、およびユーザーインターフェイスによって構成されている。同社はまた、仮想検証ソフトウェアツールや、最近厳しくなったEuro NCAPおよびIIHSの安全規制に対応するための、人材採用、仮想および物理テストなどの社内コストへの支出が増加していることも指摘している。

CFOでCOOの共同創業者Geeta Gupta Fisker(ギータ・グプタ・フィスカー)氏は、業績報告会の中で、サードパーティだけに頼るのではなく、テストと検証を行うための内部体制を整える戦略的決定を下したことを付け加えた。

共同創業者でCEOのHenrik Fisker(ヘンリック・フィスカー)氏は米国時間8月5日のインタビューで「予想よりも速く進んでいる」Foxconnとのパートナーシップも支出の増加に寄与していると語った。

そのインタビューの中で、ヘンリック・フィスカー氏は「私たちの方向性は本当に一致しています」と語っている。「両社がこのプログラムに投資しているという意味で、これは非常にユニークなビジネス取引であるということができます。私たちが単にFoxconnを雇って車を作るわけではありません」。

Fiskerは現在、2つの車両プログラムを実施中だ。その最初の電気自動車であるFisker Ocean SUVは、ヨーロッパの自動車委託製造業者Magna Steyr(マグナ・シュタイヤー )によって組み立てられる。生産開始は2022年11月の予定で今の所順調に進んでいる、と同社は8月5日の発表で繰り返した。納車は2022年の終わりに欧米で開始され、2023年には月産5000台以上の生産能力を達成する計画だ。中国の顧客への納車も2023年には開始される予定である。

この5月にFiskerは、iPhoneを組み立てている台湾企業であるFoxconnと、新しい電気自動車を共同開発および製造する契約を締結した。ヘンリック・フィスカー氏によれば、両社は「極めて速やかに」設計を進めており、現在、トランクを開く新しい方法の特許やその他の技術革新に取り組むなど、エンジニアリングと技術の詳細に取り組んでいる。

「私たちは急激に加速しています、おそらく2021年の終わりまでにはいくつかの初期のプロトタイプが手に入ることでしょう」と彼はいう。

両社はまた、この新しいEVのデザインが都会のライフスタイル向けになることも決定した。

「万人向けの車を作ることはできません」と彼はいう。「農民向けであり、かつ都会のアパートに住む人のためでもある車を作ることはできません。これらは2つの異なる種類の車なのです。ということで、今回のEVには都会的なライフスタイルを選択しました」。

このプロジェクトPEAR(Personal Electric Automotive Revolutionの略)で生産される車両は、Fiskerのブランド名の下で北米、ヨーロッパ、中国、インドで販売される。Fiskerの8月5日の発表によれば、プリプロダクションは2023年末までに米国で開始され、翌年には増産される予定だということだ。

ヘンリック・フィスカー氏は、米国における製造拠点を明らかにしなかった。彼は最近ウィスコンシン州にあるFoxconnの製造施設を訪れ、この地域のサプライチェーンと同様に「印象的な」施設であると発言している。そして最終決定はFoxconnのものであるとFiskerは述べている。しかしFiskerは、自動車メーカーが顧客に直接販売できる州で電気自動車を生産したいと考えている。ウィスコンシン州では現在この行為は禁止されている。

「それは、私たちが店舗に出ていって電気自動車を販売するために変更しなければならない主要な事の1つになるでしょう」と彼は述べた。

業績報告

同社の第2四半期業績報告の概要は以下の通りだ。2つの重要な要素を心にとめておいて欲しい。Fiskerは2020年のこの時点では上場されていなかった。そのため前年との比較は利用することができない。この会社は基本的に収益開始前だが、グッズ販売から2万7000ドル(約296万5000円)を得ている。

Fiskerの報告によれば、前四半期から22%増加し、2万7000ドル(約296万5000円)の収益が生み出されたとされている。またFiskerは、前四半期の1億7680万ドル(約194億1000万円)の純損失と比較して、今四半期の純損失は4620万ドル(約50億7000万円)、つまり1株あたり0.16ドル(約17.6円)の純損失を報告している。第1四半期のこの大きな純損失だが、SECによる現金以外の項目を処理する方法の変更によって、第1四半期に1億3800万ドル(約151億4400万円)のワラント保証が要求されたことに起因する。公開ワラントは現在廃止されており、同社は将来の収益にこれらの影響を受けることはもうないと述べている。

第1四半期の営業損失は3300万ドル(約36億2000万円)だったが、第2四半期の営業損失は5310万ドル(約58億3000万円)となった。重要なのは、同社が「アセットライト」アプローチと呼んでいる方法を使用して現金を保持していることだ。つまり、工場を建設するのではなく、パートナーに依存するということを意味する。6月30日に終了した四半期の現金および現金同等物は9億6200万ドル(約1056億1000万円)で、第1四半期の9億8510万ドル(約1081億3000万円)をわずかに下回った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:FiskerFoxconn電気自動車決算発表

画像クレジット:Fisker

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(文: Kirsten Korosec、翻訳:sako)

トヨタ、BMW、ブリヂストンの迷い、環境に配慮したモビリティは必要だがそのコストは誰が払う?

国連が採択したSDGsや、ESG投資に注目が集まる中、自動車業界にも環境への配慮が求められるようになってきた。フロスト&サリバン主催「インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション」においても、今後のモビリティを考える上で「循環型経済」がテーマとして挙げられている。同サミットでは、トヨタ・ダイハツ・エンジニアリング&マニュファクチャリング上級副社長兼一般財団法人トヨタ・モビリティ基金アジア・パシフィック地区担当プログラムディレクターのPras Ganesh(プラス・ガネシュ)氏、BMW Groupサーキュラーイニシアチブ担当役員のIrene Feige(アイリーン・フェージュ)氏、ブリヂストンGサステナビリティ推進部門長の稲継明宏氏、フロスト&サリバンヴァイスプレジデントのVijayendra Rao(ヴィジャンドラ・ラオ)氏が対談。フロスト&サリバンでアジア太平洋地区モビリティ部門担当アソシエイト・パートナーを務めるVivek Vaidya(ヴィヴェック・ヴァイジャ)氏をモデレーターとなり、循環型経済の重要性や実現可能性について語った。

本記事はフロスト&サリバン主催「インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション」中のセッションの一部講演を編集、再構成したものとなる

循環型経済は何から手をつけるべきか

対談はヴァイジャ氏の「循環型経済にはどんな意味があるか?」という問いから始まった。

ガネシュ氏は「循環型経済は、トヨタで30年以上テーマとなっています。二酸化炭素の削減には部分的なアプローチではなく、より大きな視点での全体的なアプローチが必要です」という。さらに同氏は、トヨタが持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジ「トヨタ環境チャレンジ2050」を2015年に発表したことに触れ「循環型経済はトヨタにとっては新しいものではありません」と強調した。

では、循環型経済を実現するにあたり、何から着手すべきなのか。

稲継氏は「循環型経済はブリヂストンにとって、ビジネス機会だと捉えています。そこで重要になるのが資源の効率化です。当社のパートナーと協力し、必要なエコシステムを構築する必要があります」と話す。

一方、ガネシュ氏は車両寿命とリサイクルに注目すべきだと考える。車両寿命は地域ごとに差があり、アジアの車両寿命は10〜20年だという。同氏は「現状、使わなくなったクルマをリサイクルに出すよりも、売り払った方が所有者にとって得なことが多い。それでは循環が進まないので、政府のサポートを得ながら、リサイクルを促進したり、リサイクルしやすいように車体を分解しやすいデザインにしていくことが重要です」という。

フェージュ氏は、使用する材料を減少させるためのエコシステムの見直しの必要性を重要視している。同氏は「着手しやすいのは、金属の再利用です。もちろん、再利用品であれ、新品であれ、質が高くなければいけないのは大前提ですが、今後のクルマの生産では金属を再利用し、新品の金属を使用する際には、それを正当化するような仕組みが必要です」と語る。

リサイクルの壁

ヴァイジャ氏の次の質問は「循環型経済を考えた時、EV(電気自動車)はどういう意味を持つのか?」だった。

フェージュ氏は「持続可能性はEVによってもたらされます」と断言。車体やバッテリーの分解・再利用を視野に入れ、サプライチェーン全体を見直さなければいけないと見ている。

ガネシュ氏もリサイクルの重要性を認め「バッテリーのリサイクルモデルができ上がれば、クルマの価格を下げることに繋がります」と話す。しかし、同氏はリサイクルには壁もあると考える。例えば、アジアではほこりや湿度の関係で、バッテリーの再利用に限界がある。さらに、リサイクルに関わるテクノロジーはまだ発展途上で、変化が多い。生産からリサイクルまでのプロセスを最初から考えなければいけないという。

稲継氏は「ブリヂストンにとっては、クルマに関わるリサイクルというと、タイヤのリサイルを意味します。そしてタイヤリサイクルはビジネスだと捉えています。リサイクルとは、資源の循環ですので、やはりパートナーとの協力関係の構築と、エコシステムの見直しが鍵ですね」という。

循環型経済へのマイルストーン

ここまでで循環型経済に向けた課題が見えてきた。しかし、実現までのマイルストーンはどう設定していけば良いのか。

ガネシュ氏は先述の「トヨタ環境チャレンジ2050」を挙げ、トヨタは循環型経済の実現目標を2050年に定めていることに言及した。同時に、実現のために考えなければいけないことは多いとも語る。

同氏は「実現には戦略が不可欠です。例えば、カーボンニュートラルはどれくらいの規模でやるのか?トヨタだけでやるのか?政府と組むのか?何か他の組織と協力するのか?など考えなければいけません。トヨタには26カ国 / 地域に50の海外製造事業体があります。それぞれの国にはそれぞれの状況があります。つまり、カーボンニュートラルは一度やっておしまいではなく、それぞれの国でそれぞれの段階で進めなければいけません」と話す。

一方フェージュ氏は「カーボンニュートラルはBMWのゴールです」という。マイルストーンとしては、使用する金属の見直しや、市場の金属供給の精査がまず必要だという。

では、日本のモビリティにおけるカーボンニュートラルのマイルストーンはどうなのだろうか。

ガネシュ氏は、日本政府のサポートが強いことを指摘する。天然資源にそれほど恵まれていない日本では、循環型経済は喫緊の課題であるため、政府の支援も受けやすいという。

稲継氏は「日本の政府とコラボレーションするということは、規制のあり方を考えることでもあり、重要なことです」とガネシュ氏を補足した。

誰がコストを払うべきか

循環経済を実現するには、リサイクル技術の開発や、これまでと異なるプロセスを組み込むことでコストが発生する。ヴァイジャ氏は「こうしたコストや、コストによる自動車価格への影響はどうするべきなのでしょうか」と他の参加者に質問した。

稲継氏は「エコシステム全体でコストを分かち合う必要があると思います」と回答。

フェージュ氏は「素材の再利用で全体プロセスにかかるコストは下げられると思います。新品の素材でも再利用の素材でも、同じ質を担保することが課題となります」と答えた。

ガネシュ氏は「循環型経済のために自動車の価格が変動したら、その変動分を調整しないといけません。では誰が調整するのか?政府でしょうか?顧客でしょうか?自動車メーカーでしょうか?」と問題を提起。さらに、循環型経済は素材の再利用でコストが下がる可能性もあると指摘し「循環型経済で増加したコスト」と「循環型経済で下げられたコスト」のバランスがしばらく変化し続けるだろうと予測する。

さらに、同氏は発展途上国での循環型経済実現はより難しいであろうとも考える。そういった地域では、ロジスティクス用の車両を農業用に作り替えるなどして、1台のクルマに対し1回目の使い方、2回目の使い方、といったふうに複数回の用途を考えることが着手しやすいと指摘した。

「ただし、顧客がこういった車の使い方を望んでいるのか?お金を払いたいのか?というのも考えないといけません」とガネシュ氏は最後に付け加えた。

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タグ:トヨタBMWブリヂストン循環型経済二酸化炭素リサイクル電気自動車

GMが排ガスを出さない商用車ラインナップにカーゴバンと中型トラックを追加すると発表

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、配送業の「始点から終点まで」電動化するために設立した事業部門「BrightDrop(ブライトドロップ)」の商用車ラインナップに、新たに2台のゼロエミッション(無排出ガス)車を追加すると発表した。

1台目はChevrolet(シボレー)ブランドのバッテリー駆動カーゴバンで、人気の高いChevy Express Van(シボレー・エクスプレス・バン)に似たモデルになる予定だ。そして2台目は、Mary Barra(メアリー・バーラ)CEOが「EV用バッテリーのUltium(アルティウム)と水素燃料電池のHydrotec(ハイドロテック)の両方に対応する」と語る中型トラックだ。

GMが乗用車の電動化に多額の投資を行っていることはよく知られているが、それだけでなく、同社は商用車にゼロエミッション技術を導入することにも力を入れている。GMが注力している技術は、バッテリー式電気自動車と、大型車や長距離輸送向けとなる水素燃料電池の両方だ。

GMは2021年1月、トラックメーカーのNavistar(ナビスター)に水素燃料電池ユニット「Hydrotec Fuel Cell Power Cubes」(ハイドロテック・フューエルセル・パワーキューブ)を供給し、2024年に最初の水素燃料電池トラックの販売を開始すると発表した。また、米国の大手鉄道車両メーカーのWabtec(ワブテック)とは、機関車用の水素燃料電池とバッテリーを共同開発する契約を結んでいる。

GMは1月にBrightDropを起ち上げ、FedEx(フェデックス)との契約を皮切りに、電気自動車とコネクテッド技術を含むエコシステムを法人顧客に提供している。

BrightDropは、航続距離250マイル(約400キロメートル)の「EV600」と呼ばれる電動バンと「EP1」と名づけられたポッド型電動パレットという、2つの主要製品からスタートした。当時、BrightDropの幹部は、複数台のEP1電動パレットを輸送する中距離車両や、緊急配送用車両のコンセプトなど、他の製品にも取り組んでいることを示唆していた。

「これらの新型トラックから、BrightDrop、シボレーとGMCのEVピックアップ、そしてWabtecとの機関車や、Navistarとのセミトラックまで含めると、私たちは想像し得るほぼすべての牽引・運搬作業に対応する電動ソリューションを提供することができるようになります」と、バーラ氏は述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GMトラック電気自動車水素燃料電池

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:充電(用語)大日本印刷 / DNP(企業)電気自動車 / EV(用語)ハイブリッドカー / HV(用語)無人搬送車 / AGV(用語)ワイヤレス充電 / 無接点充電(用語)日本(国・地域)

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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Nikolaが電動セミトラックの納車見通しを下方修正、バラ色とはいえない予測は収益面でも続く

SPAC(特別買収目的会社)との合併により上場を果たした電動トラックのスタートアップ企業であるNikola(ニコラ)は、サプライチェーンの制約から多くの遅延が発生している影響で、年内に納車できる車両の台数が半減する見通しであると、米国時間8月3日に警告した。

未だ量産開始前の段階にある同社は、第2四半期の決算発表の中で、年内に50〜100台の生産を計画していた電動セミトラックの生産台数を、25〜50台に引き下げると発表した。バラ色とは言えない予測は、収益面でも続いた。

同社は2021年度の売上高予想を、0ドル〜750万ドル(約8億2000万円)へと引き下げた。これまでは1500万ドル(約16億4000万円)〜3000万ドル(約32億7000万円)と予想していた。

Nikolaの報告によると、第2四半期の純損失は1億4300万ドル(約155億9000万円)と、前年同期の1億1570万ドル(約171億2000万円)の損失から増加したとのこと。調整後1株当たりの純損失は20セント(約22円)で、実際にはアナリストの予想よりも良い結果となった。同社の当四半期末の現金残高は6億3260万ドル(689億8000万円)となっている。

今回の決算発表では、量産前試作車のテストやアリゾナ州に建設している工場の0.5期工事の完了など、電動トラックの量産に向けた進捗状況に焦点が当てられたが、市場の関心は、見通しの下方修正や、創業者のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が証券詐欺で起訴されたことによる影響の方に向けられた。他に同社の最新情報としては、14台の量産前試作車と、5台のアルファ版および9台のベータ版のプロトタイプを製作したことが発表された。

Nikolaの株価は、日中の取引で7.47%下落した。

2020年NikolaののCEO兼会長を辞任したミルトン氏は、米国時間7月29日、連邦大陪審により2件の証券詐欺および1件の通信詐欺の罪で起訴された。検察は訴状の中で、ミルトン氏がソーシャルメディアを利用したり、テレビに頻繁に出演したりして、同社が製品を製造する前に「Nikolaに関する虚偽の誤解を招くような情報」を市場に氾濫させる広報活動を行ったと詳述している。

2020年3月、Nikolaは特別目的買収会社であるVectoIQ Acquisition Corp.(ベクトIQ・アクイジション)との合併により株式公開することを発表した。ミルトン氏は、その年の夏に会社が上場した後、Twitterに頻繁に投稿し、個人投資家に向けて直接的にメッセージを発信していた。そして9月、GMが20億ドル(約2181億円)の出資を発表した数日後に、著名な空売り専門投資会社のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)が、Nikolaに詐欺の疑いがあると告発。米国証券取引委員会はこの件について調査を開始し、2週間後にミルトン氏は会長を辞任した。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電動トラックメーカーNikolaの創業者ミルトン氏、詐欺容疑で起訴

電動トラックスタートアップNikola(ニコラ)の創業者で前CEO兼会長である、早口の演出巧みなTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が3件の詐欺容疑で起訴された。

マンハッタンの米連邦地検が米国時間7月29日に開示した起訴状によると、ミルトン容疑者は個人的な利益のために「個人投資家を欺くために詐欺計画に携わった」とのことだ。ミルトン容疑者は2件の証券詐欺、1件の通信詐欺で大陪審に起訴された。

地検は訴状の中で、ミルトン容疑者が、車両を生産する前から「Nikolaについて誤ったミスリードする情報をマーケットに広めた」PRにおいて、どのようにソーシャルメディアを活用し、また頻繁にテレビに登場したかについて詳しく述べた。

起訴内容はNikolaと、同社を2015年に創業したミルトン容疑者の大急ぎの滅裂な事業を反映している。ミルトン容疑者は最初のプロトタイプを発表してかなりの注目を集め、Nikolaが「トラック運送のiPhone」を生産すると豪語した。その後、​​Badgerという電動ピックアップトラックを含む他のプロダクトに関する約束、アリゾナ州に工場を建設するという計画が続いた。

2020年3月に同社は特別買収目的会社VectoIQ Acquisition Corpとの合併を通じて上場すると発表した。同年夏に上場後、ミルトン容疑者は頻繁にTwitterに投稿し、個人投資家にメッセージを送っていた。そして同年9月、GMが同社への20億ドル(約2190億円)の投資を発表してから数日後に、空売りで有名なHindenburg ResearchがNikolaを詐欺だと糾弾した。米証券取引委員会が調査を開始し、2週間してミルトン容疑者は会長職を辞任した

Nikolaは7月29日、いまだに大株主であるミルトン容疑者と距離をとっているとの声明を出した。

トレバー・ミルトン氏は2020年9月20日にNikolaを辞め、以来、Nikolaの運営に関与しておらず、連絡も取っておりません。本日の当局の動きはミルトン氏個人に対するものであり、Nikolaに対するものではありません。Nikolaは調査を通じて当局に協力してきました。以前発表した目標とタイムラインに全力を注いでおり、2021年後半に製造施設からNikola Treバッテリー式電動トラックを出荷することにフォーカスしています。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードの電動ピックアップトラックF-150 Lightningの予約が12万件超え

Ford(フォード)と同社のベストセラー車両であるF-150ピックアップトラックは一貫してピックアップトラック所有者のブランド忠誠心を鼓舞してきた。J.D. Power 2020 U.S. Automotive Brand Loyalty Studyによると、Fordの顧客ロイヤリティ率は54.3%だ。そしていま、車両の電動化に動く中で、同社は新たな購入者を引き込んでいるようだ。

Fordは米国時間7月28日、2021年第2四半期の決算を発表した。現在も続く半導体不足にもかかわらず驚くべき収益をあげたことに加え、F-150 Lightning電動ピックアップトラックのプレオーダー件数が5月の発表以来、12万件に達したことを明らかにした。同社の2021年第2四半期の売上高は268億ドル(約2兆9360億円)と予想をわずかに下回り、純利益は5億6100万ドル(約615億円)だった。

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明確にしておくと、プレオーダーは注文ではなく、同社が今後販売する台数を正確に反映しているわけではない。顧客は払い戻し可能な100ドル(約1万1000円)のデポジットを払ってEVを予約できる。

しかしプレオーダーからは需要についての知見が得られる。

重要なことは、決算発表によるとこれらの新規オーダーの4分の3がこれまで同社車両に乗っていない客からのものであるということだ。決算発表時にCEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、Lightningのプレオーダー5件のうち2件がICE(内燃エンジン)ピックアップとの交換になるとも述べた。

これはFordの販売に影響を及ぼす可能性があるばかりでなく、同社の最近のバッテリー製造進出の妥当性をも立証している。世界中の自動車メーカーがセル会社や化学会社とのバッテリー合弁事業に関わっていて、Fordも例に漏れない。同社は米国でのバッテリーセル製造でSK Innovationと提携していて、電動化のための300億ドル(約3兆2865億円)の投資の一環としてミシガン州にR&Dセンターを建設中だ。

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販売増はまた、Fordがかなりの投資を約束している、埋め込まれた電動アーキテクチャのアップグレードを支える。ファーリー氏によると、これによりFordはずっと簡単に今後発売するEVをアップデートでき、新たなコネクテッド機能を使えるようにすることができる。

「ですので、我々が電気自動車のアップグレードについて語るとき、電気自動車のツーリングとエンジニアリング、部品、推進力への投資以上の基礎的なものなのです」とファーリー氏は決算会見で話した。「また、埋め込まれたソフトウェアとハードウェアのシステムへの完全に新しいアプローチも含まれています」。

F-150 Lightningは、基本価格4万ドル(約440万円)超を喜んで払う新規顧客に魅力的に映る多くのアップグレードをともなう。ガソリンで走るモデルと同じトルクとパワーを備え、加えてハンズフリーのADAS BlueCruiseシステム、包括的なインフォテイメントユニット、停電時に家に給電できるだけの容量を持つバッテリーも持つ。

ファーリー氏は決算会見で、価格が2万ドル(約220万円)〜のコンパクトなハイブリッドピックアップである新Ford Maverickの注文がすでに8万件近く入っていることも明らかにした。このモデルは、必ずしもピックアップトラックを求めているわけではないものの、実用性にひかれている人向けのものだ。

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「当社の初の大量生産EVに対する需要は明らかに当社の楽観的な予測を上回りました」とファーリー氏は述べた。「当社はいま、制限をなくしてこれら最新のバッテリーで動くEVの生産能力を増やすために懸命に取り組んでいます」。

決算によると、米国顧客の電動Mustang Mach-Eの注文と他のFord車両の販売の合算は、2020年同時期の7倍超だった。需要の高まりを受け、半導体の供給が安定したとき事業は「バネ仕掛け」でリバウンドする、とファーリー氏は述べた。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラがセミトラックの発売を2022年に延期、Cybertruckの遅延も示唆

電気自動車メーカーのTesla(テスラ)は、サプライチェーンの問題とバッテリーセルの入手可能性が限られていることから、電動セミトラックの発売を2022年に延期すると、米国時間7月26日に行われた第2四半期の決算発表の中で述べた。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、以前からバッテリーの供給が限られていることについて警告しており、2017年11月にプロトタイプが初公開された電動セミトラック「Tesla Semi(テスラ・セミ)」にもその影響が及ぶ可能性があるとしていた。2021年1月、マスク氏はTesla Semiのエンジニアリング作業が完了し、2021年中に納車が開始できる見込みであると述べながらも、ただしバッテリーセルの入手状況によって生産能力が制限される可能性があるという警告を付け足した。

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この警告は、明らかに根拠のあるものだった。株式市場が閉まった後に掲載された株主への書簡には以下のように書かれている。

2021年にベルリンとオースティンで始まるModel Y(モデルY)の生産は計画通り順調に進んでいると、我々は考えています。しかし、それぞれの工場における生産量は、多くの新しい部品や製造技術の導入が成功するかどうか、サプライチェーン関連の問題が継続するかどうか、そして地域の許可を得られるかどうかによって左右されます。

これらの工場に集中するため、また、バッテリーセルの入手量が限られていることやグローバルなサプライチェーンの問題を考慮して、Semiトラックのプログラム開始時期を2022年に変更することにしました。なお、Model Yに続いてオースティンでの生産を予定しているCybertruck(サイバートラック)の製品化も進展しています。

業績発表や決算報告書の中では言及されていないものの、今回の延期は、同社の重要な幹部でTesla Semiの開発および最終的な量産に携わっていたJerome Guillen(ジェローム・ギレン)氏の退社にともなうものだ。ギレン氏が6月に退社したのは、同氏がSemiを含む自動車部門全体の社長職から、より責任の軽い大型トラック部門の責任者という職務に移されてからわずか3カ月後のことだった。ギレン氏は、2018年9月から2021年3月まで、テスラの自動車事業全体を率いていた。

一方、2021年後半に生産開始が予定されているCybertruckも、2022年にずれ込む可能性があるようだ。マスク氏は質問に答えなかったが、決算説明会ではマスク氏のコメントだけでなく、テスラのエンジニアリング担当VPであるLars Moravy(ラース・モラヴィ)氏のコメントからも、2022年にシフトする可能性が示唆されている。

電動ピックアップトラックであるCybertruckは、今のところ試作のアルファ段階にあり、車両の基本的なエンジニアリングとアーキテクチャが完成している。現時点ではModel Yが優先されるものの、2021年後半にはCybertruckをベータ段階に移行させる予定だと、モラヴィ氏は述べている。

「モデルYの生産が軌道に乗ったら、Cybertruckをテキサスで生産する準備に入ります」と、モラヴィ氏は付け加えた。

マスク氏は、おそらくCybertruckが2021年に発売されるという期待を緩和させるためか、Cybertruckを生産することの難易度について言及した。

「Cybertruckを完成させることは、新しいアーキテクチャーであるがゆえに困難が予想されます」と、マスク氏は語った。「すばらしい製品になるはずですし、もしかしたら当社のこれまでで最高の製品になるかもしれません。しかし、そこには根本的に新しい設計思想が多く含まれているのです」。

そして同氏は、これまでテスラの他の自動車が試作から量産に移る際に主張したことを繰り返した。すなわち「生産は難しい」ということだ。

「これまでの繰り返しになりますが、試作や少量生産は実際に簡単でも、大量生産されるものは、これは本当に重要なことなのですが、1万点にも及ぶそれぞれ異なる部品やプロセスの中で最も時間がかかることに合わせた速度で進みます」。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

高級電気自動車メーカーのPolestarが2021年内に販売店舗数の倍増を計画

Polestar(ポールスター)は、年内に9つの新たな市場で販売を開始する予定であり、世界的な存在感を倍増させて電気自動車セダンの販売拡大を目指す。

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)傘下の高級電気自動車ブランドであるポールスターは、年末までに販売店の数を100店舗に倍増させ、サービスセンターも増設する予定だと述べている。販売店の中には、期間限定のポップアップストアも含まれる。このスウェーデンの自動車メーカーは現在、販売を展開している市場で650以上の「サービスポイント」と呼ばれるメンテナンス拠点を設けているが、これを2021年末までに780以上に増やしたいと考えている。

ポールスターは2020年に米国、中国、カナダ、ベルギー、ドイツ、イギリス、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、スイスで販売を開始した。2021年内にはさらに、オーストリア、デンマーク、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランド、香港、韓国、シンガポールへの展開を計画している。

米国内では、オースティン、ベルビュー、ワシントン、ボストン、デトロイト、デンバー、ロサンゼルス、ミネアポリス、ニューヨーク、プリンストン、ニュージャージー、サンフランシスコ、サンノゼ、アリゾナのスコッツデールにサービスセンターと販売店がある。今後は、カリフォルニア州オレンジ郡、ニュージャージー州中部、ノースカロライナ州シャーロット、テキサス州グレープバインにも店舗を開設する予定だ。

この拡大の勢いは今後も衰えることはないようだ。ポールスターのThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)CEOは声明の中で、同社が2022年に新たな市場でも同様のペースで拡大することを目指していると述べている。「この継続的なペースは、新しい販売店コンセプトと相まって、オーナーの期待を超えるという当社の目標を支えることになるでしょう」と、同氏は付け加えた。

現在、ポールスターの主要製品は、完全な電気自動車である「Polestar 2(ポールスター2)」の1車種のみだ。しかし、今後数年間でさらに車種を増やしていく計画がある。2021年6月には、同社初となるオール電動SUVを米国で生産すると発表した。「Polestar 3(ポールスター3)」と名付けられたこのSUVは、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共有工場で組み立てられる。

ポールスター3は、電気自動車セダンのポールスター2と、ハイブリッド・グランドツアラーの「Polestar 1(ポールスター1)」に続くモデルとして、2022年に世界の複数の地域で生産が始まる予定だ。

ポールスターは規模の拡大に合わせて、顧客を獲得するための新しい方法を模索している。その主な戦略は、販売店を増やし、既存の市場で拡大を続けるとともに、新しい市場に進出することだ。同社は7月26日の発表で「Polestar Destinations(ポールスター・デスティネーションズ)」という新しいコンセプトの販売店も試みていくことを明らかにした。既存の「Polestar Spaces(ポールスター・スペーセズ)」と呼ばれる販売店が、基本的に都市中心部に置かれているのに対し、この新コンセプトの店舗はより規模が大きく、アクセスしやすい都市郊外の場所に設置される。これらのデスティネーションストアは、オンラインで注文・決済された車両を顧客が受け取る納車センターとしても機能する。

同社では2021年末までに60カ所の試乗できる場所も増設し、ポールスター2の実車により触れることができる機会を用意する。

このような事業拡大を支えているのは、ポールスターが4月に行った5億5000万ドル(約606億円)もの外部資金調達だ。この投資ラウンドはChongqing Chengxing Equity Investment Fund Partnership(重慶承興株式投資基金パートナーシップ)、Zibo Financial Holding(淄博ファイナンシャル・ホールディング)、Zibo Hightech Industrial Investment(淄博ハイテク産業投資)が主導し、韓国のグローバルコングロマリットであるSK Inc.をはじめとするさまざまな投資家が参加した。

このラウンドはポールスターにとって初めての外部資金調達ラウンドだったが、同社は当時、これが最後にはなるわけではないことを示唆していた。

関連記事:市場成長を受け電気自動車メーカーPolestarが初の外部資金調達ラウンドで約597億円調達

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画像クレジット:Geely holdings/Polestar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Lucid MotorsはEV工場拡張計画で市場デビュー

Lucid Group(ルーシッド・グループ)、旧Lucid Motors(ルーシッド・モータース)のCEOであるPete Rawlinson(ピート・ローリンソン)氏が、米国時間7月26日にアリゾナ州カサグランデにある工場を270万平方フィート拡張すると発表した。これは、同社が45億ドル(約4956億円)の資本注入を受けて正式に株式公開した数時間後のことだった。

また同社は、フラッグシップモデルの高級電気自動車セダンLucid Air(ルーシッド・エア)の有料予約が1万1000件に達したと語った。

Lucidの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、この拡張された部分の一部は、Project Gravity(プロジェクト・グラビティ)いう謎の呼称で呼ばれている、自動車メーカーが近々発表する予定の高級電気SUVに利用される予定だという。Gravityについては、2023年の発売予定であることと、Airと同じバッテリープラットフォームを採用すること以外、現時点ではあまり知られていない。欧州連合知的財産局に提出された特許図面は、ルーシッドフォーラムのメンバーたちが初めて目にしたものだが、ルーシッドのウェブサイトに掲載されているレンダリング画像以上のものではない。

また、主要部品であるボディパネルなどを含む、より多くの部品生産を内製化することを計画していると、広報担当者は付け加えた。これらの部品は、これまで外部のサプライヤーが扱っていたものだ。

カサグランデ市議会は、2021年3月に約100万平方フィート(約9万2900平方メートル)のスペースを拡張する計画を承認した。約7億ドル(約771億円)をかけて建設された工場の第1期工事は、着工から12カ月という記録的な速さで完成した。Lucidによると、生産能力を年間約3万台から最大40万台まで拡大したいと考えているという。

Lucidの公開までの道のりは長く、時には困難も経験した。同社は当初、電気自動車のセダンを早ければ2018年に生産することを目標としていたが、すぐに資金難に陥り、このスケジュールはどんどん後ろにずれていった。Lucidは、2018年にサウジアラビアの政府系ファンドから10億ドル(約1100億円)の投資を受けて大規模な資金調達を行った。同ファンドはLucidがSPAC(特別買収目的会社)のChurchill Capital IV Corpと合併するまでの間、筆頭株主を続けていた。

この合併には、先週ちょっとした問題が発生した。これは重要な提案に対して十分な数の票を集めることができなかったからだが、これは、一般投資家の増加とスパムフィルターの誤作動が原因ではないかと、経営陣は投資家向け電話会議で説明している。

今後、「Lucid Group」という名称で事業を展開するLucidは、ティッカーシンボルLCIDで上場されている。

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

米インディアナ州とパデュー大学が走行中の電気自動車にワイヤレス充電可能なコンクリートの試験実施を発表

米インディアナ州とパデュー大学が走行中の電気自動車にワイヤレス充電可能なコンクリートの試験実施を発表

Kalocsai Tamás / EyeEm via Getty Images

米インディアナ州交通局(INDOT)とパデュー大学が、これまでにない新しいコンクリートの試験を実施すると発表しました。このコンクリートは全米科学財団(NSF)の資金提供により、パデュー大学およびドイツのMagment社が共同で研究開発する、電気自動車を走行中に充電するコンクリートです。

この試験で使われる材料が普通のコンクリートと異なるのは、磁化されたセメントを練りこんで作られるコンクリートだということ。具体的なメカニズムは説明されていませんが、Magment社の説明には、この磁性を持つ粒子を充填したコンクリート媒体は「最大95%の記録的な無線伝送効率」「標準的な道路建設コスト」「全天候型」「高い熱伝導率」「高い耐破壊性」をもつなど、夢のような表現が並びます。

試験はいくつかの段階で行われる予定で、最初のいくつかの段階は実験室内で行われます。そして、これらの段階で有望な結果が出たならば、INDOTは非公開の場所にこのコンクリートで舗装したテストコースを作り、モーター容量200kW以上の大型トラックによる実装テストを行います。これが成功すれば、次は州内の公道にこのコンクリートを使った区間を作ります。

走行中のEVを充電できる道路は今回のプロジェクトの他にも、少なくとも20年程前からいろんな国や企業、機関で研究されてきました。米国内ならカリフォルニア州やスタンフォード大、コーネル大、欧州や中東ならドイツ、スウェーデンやイスラエルでもやはり走行しながら電気自動車を充電するためのプロジェクトがあります。

いずれのプロジェクトも、もし実用化に成功すれば、長距離走行時のバッテリー残量管理のストレスからドライバーは解放されることでしょう。ただ、国のすべてのハイウェイを舗装し直し充電ハイウェイに変えるには、かなりの予算と時間がかかりそうです。

ただ、むしろ物理的な体積はそのままにバッテリーの大容量化を実現する技術を開発する方が、将来的にEVだけでなく家庭用蓄電設備や宇宙探査など、いまより大容量のバッテリーを求める分野への応用も効きそうな気はします。

(Source:Indiana Department of Transportation。Via AutoblogEngadget日本版より転載)

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トラブル続きのEVメーカーLordstown Motorsが株式売却で約442億円の命綱を獲得

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)が、同社の全電動ピックアップトラックを市場に投入するには十分な資金がないかもしれないという警告を発してから5週間後、投資会社Yorkville Advisorsが運用するヘッジファンドが、3年間で4億ドル(約442億円)相当の株式を購入することに合意したと、米国時間7月26日に発表された規制当局の報告書により明らかになった

Lordstown Motors社内の騒動はCEOとCTOの辞任につながっただけでなく、同社を破綻の危機に陥れている。今回の新たな契約によりLordstownは、同社初の電気自動車を生産するために必要な資金を確保し、事業を継続できる可能性が出てくる。株主総会で承認されれば、ヘッジファンドのYA II PNは、発行済み株式の約19.9%に相当する3510万株を購入することができる。

この資本は、ここ数カ月苦戦していたLordstownに命綱を与えるものだ。また、1株7.48ドル(約826円)で同社の株式を購入できるヘッジファンド側は、株価が上昇すれば経済的な利益を得られる。

Lordstown Motorsは、前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)が経営するWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から派生した会社だ。 Workhorse Groupはバッテリー駆動の輸送技術を持つ会社で、上場企業でもある。WorkhorseはLordstown Motorsの株式を10%保有している。

オハイオ州の自動車メーカーであるLordstown Motorsは、2019年に設立され、1年以内に特別買収目的会社(SPAC)であるDiamondPeak Holdings Corp.との合併契約に至り、時価総額は16億ドル(約1766億円)に達した。同社は2021年後半から、オハイオ州ローズタウンの旧GM組立工場でピックアップトラック「Endurance」の生産を開始する計画を立てていた。

その計画は頓挫し、一連の不手際や不正疑惑が同社の問題をさらに大きくした。

2021年3月、以前Nikola Motor(ニコラ・モーター)に関して発表したレポートが証券取引委員会の調査と創業者辞任につながった空売り筋のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)は、Lordstown Motorsのショートポジションを取ったと発表した。Hindenburgは当時、ショートポジションの根拠について「収益も販売可能な製品もない会社であり、その需要と生産能力の両方について投資家を欺いていると考えられる」と述べていた。

Hindenburgは、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという主張に異議を唱えたが、これは2021年1月にLordstown Motorsが共有した数字だ。ショートセラーである前者は「広範な調査の結果、同社の注文は大部分が架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と述べた。

その2カ月後、Lordstownは第1四半期の決算で、資金不足のためEnduranceの生産台数が約2200台からわずか1000台に半減する可能性が高いと報告した。

CEOとCTOが辞任した翌日、Lordstownの幹部らは、2022年5月までの電動ピックアップトラックの限定生産に必要な資金を提供するだけの拘束力のある予約注文を受けている、と述べて投資家を落ち着かせようとし、ますます深みにはまった。同社はこの発言を数日以内に撤回した

米国司法省(DOJ)と米国証券取引委員会(SEC)は、別々に同社を調査している

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

GMの電気自動車Bolt EVが2度目のリコール、LG化学製バッテリーに発火のおそれ

GMは、電気自動車「Bolt EV(ボルトEV)」の2017年から2019年モデルに、発火の可能性がある問題が見つかったとして、2回目のリコールを行っている。同社によれば、欠陥のあるバッテリーを交換する計画だというが、それを行うまでの間、充電を90%までに制限するとともに、バッテリー残量が航続可能距離70マイル(約113キロメートル)を下回らないようにするようにと顧客に注意を促している。また、屋内に駐車したり、夜間に充電状態のまま放置することは避けるようにと、先週から繰り返し呼びかけている。今回のリコールは、2020年11月にGMが行った6万8000台以上のBoltのリコールに続くものだ。

GMはまた、Boltの顧客に、最寄りのシボレーEV販売店で、近い将来に起こるバッテリー問題を事前に警告する高度診断ソフトウェアを利用することも提案している。GMと同じくLG Chem(LG化学)からバッテリーを調達しているHyundai(現代自動車)は、Kona EV(コナEV)に搭載していた7万5000個以上のバッテリーを交換することになった。

このリコールは、2017年から2019年モデルのBoltで、これまで5件の火災が起きていることがきっかけとなって届け出されたものだ。これは憂慮すべき問題のように聞こえるかもしれないが、FEMA(アメリカ米国連邦緊急事態管理庁)の報告書によると、ガソリン車では1日に平均約150件の火災が発生していることも記しておく価値があるだろう。それでもEVメーカーは、より多くの人を傷つけることになる前に(そして電気自動車に対する否定的な感情が増える前に)、潜在的な問題に責任をもって対処できることを証明する必要がある。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したDevindra Hardawarは、Engadgetのシニア・エディター。

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Rivianが事業拡大を見据えAmazonのファンドなどから新たに約2760億円調達

Rivian(リビアン)は米国時間7月23日、AmazonのClimate Pledge Fund、D1 Capital Partners、Ford Motor、T. Rowe Price Associates Incがアドバイスしたファンドや個人がリードした25億ドル(約2760億円)の私募増資ラウンドをクローズしたと発表した。

Rivianによると、Third Point、Fidelity Management and Research Company、Dragoneer Investment Group、Coatueも本ラウンドに参加した。

「車両生産開始が近づき、次の成長段階を見据えて進み続けることが重要です」とRivianのCEOであるRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏は声明で述べた。「信頼できるパートナーからの今回の資金注入により、Rivianは新車両プログラムを拡大して米国内の施設を拡張し、そして海外へのプロダクト展開の資金をまかなうことができます」。

D1 Capital Partnersの創業者、Dan Sundheim(ダン・サンドヘイム)氏は「顧客にとって優れたプロダクトとなると我々が確信しているものの商業化と納車においてRivianが変曲点に達している中で、同社への投資を増やすこと」に興奮している、と述べた。

Rivianはこれまでに約105億ドル(約1兆1610億円)を調達した。同社はポストマネーの評価額は公開しなかった。

現在7000人を雇用し、9月のR1Tピックアップトラック納車開始を準備しているRivianは、直近では2021年1月に資金を調達した。そのラウンドでは既存投資家のT. Rowe Price Associates Inc.、Fidelity Management、Research Company、AmazonのClimate Pledge Fund、Coatue、D1 Capital Partnersから26億5000万ドル(約2930億円)を調達した。新規投資家も参加し、情報筋が当時TechCrunchに語ったところによると、同ラウンドによりRivianの評価額は276億ドル(約3兆510億円)になった

今回の資金調達のわずか数日前に、Rivianは米国に2つめの工場の建設を計画していることを明らかにした。また、同社は「パンデミックの波状の影響」、特に現在も続いている世界的な半導体チップ不足で生産が遅れているために、R1TトラックとR1S SUVの納車を今夏から9月へと延期することも決めている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Lucid MotorsのSPAC合併は経営陣が議決権行使を促した後に株主が承認

電気自動車(EV)のスタートアップであるLucid Motors(ルーシッドモーターズ)が、特別買収目的会社(SPAC)であるChurchill Capital IVと合併することが、米国時間7月23日の株主総会で承認された。ただし、個人投資家の投票数が少なかったため、両社は合併の期限を1日延長していた。

このような問題が起こるのは珍しいが、伝統的なIPO(新規株式公開)を経ずにSPACと合併する企業が増えれば、より一般的になる可能性がある。

この問題が発生したのは米国時間7月22日で、株主は合併の一環として提案された議案のうち、1つを除くすべての議案を承認した。第2号議案は、会社の定款を改定し、重要な資金調達を行うためのもので、他の議案よりも高い定足数を必要とした。合併を実行するためにその議案の承認も必要だったため、定足数に達しなかったことで、結局すべてのプロセスが停止してしまった。

株主が足りなかった原因は、個人投資家がSPACのプロセスに慣れていなかったことと、信じられないことに、スパムフィルターがうまく機能しなかったことにある。

ChurchillのMichael Klein(マイケル・クライン)会長は、株主に送られた電子メールの一部が誤ってスパムフォルダに送られた可能性を指摘した。Gmailのスパムフィルターのようなローテクなものが、数十億ドル(数千億円)規模の企業合併を妨げるとは信じられないかもしれないが、今回のケースではそれが起こった可能性があるようだ。

クライン氏は22日に行われた投資家向け電話会議で「我々は単により多くの票を必要としているだけです」と述べた。Lucid MotorsのCEOであるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏も「第2号議案に投票していただきたい」と直言した。

「多くの方にとって、この投票プロセスが初めてであったり、標準的でないことを認識しています」とクライン氏は続けた。同氏はその後、多くの個人株主に感謝の意を表しつつ「新しいプラットフォームや新しいアプリから参加している」株主に議決権行使を促した。「それらのツールは必ずしも議決の場へはっきりと導いてくれるわけではないのかもしれません」。

パンデミックが始まって以来、アマチュアトレーダー、いわゆる「リテールトレーダー」の数が爆発的に増加した。大きく寄与したのはRobinhood(ロビンフッド)のようなアプリだ。ゲーミフィケーション戦略を活用して、ユーザーがどこからでも株式を売買できるようにしたのだ。この現象の極めつけは、GameStopやAMC entertainmentのような破綻企業の株式の爆発的な価格上昇として歴史に刻まれることになるだろう。価格上昇は、「r/wallstreetbets」というサブレディット上のリテールトレーダー軍団によって引き起こされたのだ。モルガン・スタンレーのレポートによると、米国の株式取引量に占める個人投資家の割合は約10%で、2020年9月の最高15%から減少している。

しかし、ミーム株の価格上昇が何かを示しているとすれば、それは個人投資家が強力な力を持っているということだ。モルガン・スタンレーのレポートによると「個人投資家は一般消費財、通信サービス、テクノロジーなど、消費者が親しみやすいセクターの企業を好む傾向がある」という。これが、Churchill SPACが多くの個人投資家の目に留まった理由かもしれない。

サブレディット「r/SPACs」に投稿された高評価の記事の中で、あるReddit(レディット)ユーザーは、新規の個人株主に議決権行使を促した。「これは普通じゃない。SPACが株主に自らの利益のために行動するよう懇願する必要が生じたことなどなかった。必ず議決権を行使して欲しい。行使しなければならない。不投票はイエスとはみなされない。不投票はただの不投票だ」。

Lucidの合併延期は、ミーム株取引とはまったく異なるシナリオだが、個人投資家が引き続き市場を形成しているという新たなリマインダーだ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

商用電気自動車のArrivalが米国アナハイムで走る電動バスを製造

商用電気自動車メーカーで、従来の自動車製造ラインをAIを活用したマイクロファクトリーへと刷新しているArrivalが、カリフォルニア州アナハイムの電動バス製造業者に選ばれた。

アナハイムは2019年に連邦公共交通局から200万ドル(約2億2000万円)の支援を受けている。米国時間7月22日に同市の交通ネットワークは、2025年までにカリフォルニア州では初めてバスをすべて電動にするというゴールを達成するためにArrivalと連携する計画を発表した。

英国を拠点とするArrivalは、ディズニーランドなどの人気施設を行き来する交通サービスがあるアナハイムについて、同市が軽量バッテリーバスの最初の顧客になる予定だと述べた。Arrivalはまず40台のバスを納品する予定だが、運用開始や台数追加の時期に関する詳しい情報提供の求めには応じなかった。

アナハイムで走るバスは、サウスカロライナ州ロックヒルにある米国初のArrivalのマイクロファクトリーで製造される。Arrivalのマイクロファクトリーはノースカロライナ州シャーロットにもあるが、同社は2024年末までに全米に31のマイクロファクトリーを設置したい意向だ。

Arrivalの発表によると、同社とAnaheim Transportation Networkとの連携には人材開発プログラムも含まれる。電気系と機械系のエンジニアリングに関する課程のある地元コミュニティカレッジの学生は、インターンとしてゼロエミッション交通に携わる経験を得ることができる。

Arrival AutomotiveのCEOであるMike Ableson(マイク・アベルソン)氏は「Arrival Busが公道に導入されれば公共交通機関の様相が変わるでしょう。米国公共交通機関からの初の受注はほんの始まりにすぎません」と述べた。

SPACとの合併によって最近上場したArrivalは、注目のパートナーシップをすでに多数獲得している。2020年には、UPSに電動の配達用車両を2024年までに1万台展開する契約を交わした。2021年5月にはライドシェア用EV製造に関してUberと提携した。そしてつい先日の2021年7月15日には、オランダの「Car-as-a-Service」企業であるLeasePlanから最初の3000台のEVを受注したと発表した。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

メルセデス・ベンツが2030年までにEV専門メーカーに、8つのバッテリー工場を建設

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は現地時間7月22日、2030年までに電気自動車(EV)だけを生産する自動車メーカーになるための400億ユーロ(約5兆2000億円)の計画を明らかにした。この計画で同社は垂直統合し、従業員を訓練し、そしてプロダクトを動かすのに必要なバッテリーを確保する。

同社はすでに行動を起こしている。英国拠点の電動モーター会社YASAを買収し、200ギガワットアワー超の年間生産能力が必要と結論づけたことを発表した。そうした需要をまかなうためにメルセデスは電池セル生産でパートナーと8つのバッテリー工場を建設する計画だ。

米国に立地するものも含め、新しいプラントはすでに計画されているバッテリーシステム構築のための9つの工場で構成されるネットワークに追加される。未来のセルとモジュールを開発し、効率的に生産するために欧州の新規パートナーとチームを組む、とメルセデスは述べた。その「欧州のパートナー」の目的は戦略的なもので、欧州が車産業の中心であり続けることを確保するためのものだ。

メルセデスは、次世代バッテリーの改良をサポートするためにシリコンバレーのバッテリー材料スタートアップSila Nanoと提携したと述べた。Sila Nanoは2021年初めに5億9000万ドル(約650億円)を調達した。具体的には、Sila Nanoはアノードにシリコンとカーボンの複合物を使うことでメルセデスがエネルギー密度を高めるのをサポートする。エネルギー密度の向上は航続距離を伸ばし、充電時間の短縮に貢献する。

メルセデスはまた、全固体電池テクノロジーにも注目していて、さらにエネルギー密度が高く安全なバッテリーを開発するためにパートナーと協議中だと述べた。

7月22日に発表された計画は、これまでよりも多くのEVを生産して販売するという以前の目標に則ったものだ。同社は2017年に全ラインナップを2022年までに電動化すると述べた。これはガソリンハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリー式EVを意味する。そして同社は、2022年までに展開しているすべての部門でバッテリー式EVを提供すると述べた。

EVのみを生産する計画はそこから加速する。2025年までにEV専用の車両アーキテクチャ3種類を新たに導入する。同社は全電動とハイブリッドの車両の全販売に占める割合が以前のガイダンスの25%よりもアップし、50%となると予想する。顧客は同社が生産するあらゆるモデルで全電動のオプションを選ぶことができるようになる。

Daimler AGとMercedes-Benz AGのCEOであるOla Källenius(オラ・ケレニウス)氏は同社の目標が「完全な資本の再配分」となる、と述べた。多額の投資と内燃機関エンジンからのシフトにもかかわらず、ケレニウス氏は同社の収益性の目標が守られ、そして達成されると強調した。

目標を達成するために、メルセデスはすべての新車両の基礎を形成するEV専用のアーキテクチャ3種を立ち上げる。MB.EAと呼ばれるプラットフォームは中型〜大型の乗用車に使用され、AMG.EAはMercedes-AMG車両を支える。そしてVAN.EAは電動乗用ミニバンと小型商用車向けの​​アーキテクチャだ。同社はすでにMMAとして知られる「電動ファースト」のコンパクトカーのアーキテクチャが2024年までに車両に使われると発表している。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi