Hemingwriteは、Eインクとクラウドストレージのある現代版タイプライター


気の散らない入力用ソフトウェアはなくなりそうにない。実際には90%のユーザーが一度使ってそれっきりであることに私は賭けるが。デトロイト発の新しいハードウェアスタートアップは、ユーザーが書くことに専念するには物理的ソリューションが役立つだろうと考えた。電子書籍リーダーが、ウェブのあちこちに気を取られることなく読書に没頭させてくれるように。

今日(米国時間12/10)KickstarterでデビューするHemingwriteは、機械式キーボードとEインク画面を組み合わせた携帯執筆器だ。ノートPCやiPad+キーボードのコンビ等、他の方法の複雑さを避け、Twitterの虚無なおしゃべりや、Facebookの無価値な暗雑音をはじめとするソーシャルメディアの絶え間ない説教を遮断する。

ハードウェアは魅力的で、タイプライターを彷彿させながらも、単なる模倣ではないレトロデザインだ。フォルダーに保存した文書を探すため、あるいはWiFiのオンオフやネットワークをスキャンするための機械式ボタンもある。文字数やどれだけ作業を続けているかを示すタイマーなどの状態表示もある。

6インチEインクディスプレイと簡易な機能の組み合わせによって、バッテリーは通常の使用で4週間以上持続する。折り畳みハンドルも内蔵しているので、この4ポンド(1.8 kg)のガジェットをどこにでも持って行ける。Eインクということは、明るい昼間でもタイプできることを意味しており、暗い場所で使うための前面ライトも付いている。クラウドと同期することによって、プラットフォーム上の他のアプリで書き始めた文書の続きを書くことかできる他、Dropbox、Evernote、iCloude、OneDrive、SpiderOak、およびGoogle Docsで、直接書き始めることもできる。

設立チームのAdam LeebとPatrick Paulは、ソフトウェアと機械工学製品の経験を持ち、本格的な製造会社と提携して製品化を行う。

出荷は2015年9月の予定で、小売価格は499ドルだが支援者は349ドルで予約できる。言ってしまえば簡易ワープロアプリしか走らないパソコンに払うには大きな額であり、例えばChromebookの方が安く買える。しかし、もし本当に集中して文章を書きたいなら、メッセージ過剰の世界における、最良の選択かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


猫の健康状態をウォッチする電脳猫トイレTailio…複数飼養でも個体を識別

猫を飼ってる人はみんな知ってるが、猫の生活の中には一定の習慣がある。たとえば排泄は、砂などのある一定の場所、“猫トイレ”でする。そして、一定の習慣があるため、コンピュータのアルゴリズムでモニタするのにも適している。ここでご紹介するTailioは、ありふれた猫トイレボックスを、猫の健康をモニタする電脳器具に変える。それは、センサがキャッチした信号とその変化を、スマホなどの通知機能へ伝えるのだ。

Tailioは既存の猫トイレをその上に置くスタンドで(下図)、猫がトイレに来たときに、体重や排泄物の重量、トイレにいた時間、その時刻、トイレ使用の間隔などを記録する。そしてアルゴリズムがこれらのデータをすべて使って、まず猫の個体を識別し、それから健康状態をチェックする。複数の猫を飼っているお家(うち)でも、十分に使える。

メイドインUSAの最新電脳機器Tailioを使うと、一体何が分かるのだろう? 同社によると、健康状態の変化が早めに分かる、という。たとえば体重の減少。また、おしっこの間隔が変われば、腎臓疾患の疑いがある。

猫は好奇心旺盛な動物だけど、自分の健康に関しては比較的無口だ。気分がすぐれないときは、隅っこでじっとしてるだけだろう。だから、深刻な病気なのか、昼寝をしているだけなのか、区別できないことが多い。それだけ慎み深い動物だから、コンピュータのアルゴリズムによる健康チェックは妥当なアイデアだ。ただしそれは信号を時系列で伝えるだけだから、その意味を判断するのはあくまでも人間の仕事だ。

スマホ(iOS、Android)に搭載するTailioアプリは、データの変化を警報として伝えるので、重大な疾患で早めに獣医さんに診ていただくことも可能だ。アプリには、症状をチェックする機能もある。

今はまだTailioはプロトタイプで、Kickstarterで資金募集中だ。目標額は30000ドルで、早めに99ドル以上出資した人には来年4月に完成品が届く。99ドルが一定数に達したら、それ以降は149ドル以上となる。

Tailioによると、プロトタイプといってもほぼ完成品で、今はアプリの磨き上げが主な作業だ。アルゴリズムの分析機能の改良が中心だが、それは、個々の猫個体の習慣パターンを学習するのに最初、3日かかるそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スマートなピルボックスを目指すMemo BoxがKickstarterキャンペーン中

ケンブリッジ大学の学生が、スマート・ピルボックスのクラウドファンディングキャンペーンを展開している。キャペーンを行なっているのはKickstarter上で、目標額は£30,000($48,000)だ。プロダクトの名前を「Memo Box」といい、Bluetoothによる接続機能をもったピルボックスとなっている。2年間をかけて開発してきたものを、いよいよ市場に出そうとしているそうだ。

このピルボックスはスマートフォンと接続する。ピルボックスを忘れて外出しようとしたときなど、AndroidないしiPhoneアプリケーションを通じて通知してくれるようになる。また蓋の開けられた時間などを記憶して、予定時刻になっても蓋が開かないような場合、飲み忘れているのではないかとオーナーに警告を送ってくれたりもする。

共同ファウンダーのMeichen Lu曰く、アラームもインテリジェントになるべきだと話している。たとえばいつもピルボックスを開くのと近い時間に開いたのなら、おそらくは薬を飲んだのだろうと考えられる。それであれば、設定時刻になったからといってもアラームを鳴らさないようにすべきだと言うわけだ。

もちろん蓋を開けたから薬を飲んだのだろうというのは仮定に過ぎない。薬を箱から出したけれど飲むのを忘れてしまったというような事態には対処できない。命に関わるような薬について、このピルボックスのアラートを完全に信頼するのは危険なことなのかもしれない。しかし、日常的なダイエットサプリメントなどの場合については、十分なインテリジェンスを持つものだと言って良いように思う。

「ダイエットサプリメントなどの飲み忘れを防ぐのに使って貰えればと思います。このMemo Boxは利便性と正確性のバランスをとったところでの機能を提供しているものなのです。薬を飲んだかどうかの判断にはベイズ推定モデルを使っていて、ピルボックスを開いたならば薬を飲んだのであろうと判断するようになっています」とLiuは言っている。「たとえば、いつもの時間よりも1時間はやくピルボックスを開けた場合にも、おそらくはちょっとした時間のぶれであるだろうと判断するようになっているのです。もちろん、正確を期すために、利用者に確認をとる場合(利用者側の操作はワンクリックのみ)もあります」とのことだ。

薬の(無用な)再摂取を防ぐ目的でも利用できる。近い時間にピルボックスを開けている場合(システム的には薬を一度摂取したと解される)、その旨を利用者に通知することができるのだ。また、インターネットに繋がっているので、薬を飲んでいないことを他の人に通知するといったこともできる。すなわち、家族がきちんと薬を飲んでいるのかどうかを確認するようなこともできるわけだ。

このMemo Boxを作ったふたりは「less is more」をコンセプトにプロダクトを生み出したようだ。薬を飲んだのかどうかについて、蓋然性に基づく判断をするための仕組みをつくりあげている。正確性を求めて高価なセンサーを用いるデバイスの対極をいくものとなっているわけだ。

「正確性を多少増すために、バランスを無視して高価なセンサーを搭載するようなことは正しいアプローチではないと思うのです」とLuは言っている。「この2年間の開発期間を経て、他プロダクトとは異なるアプローチもあるのだということを学びました。性能が高くても使い勝手の悪いものを作るよりも、自分でも実際に利用するようなプロダクトを作ってみようと考えたのです」とのこと。

Memo Boxにはボタンもついている。ボタンを押すと、アプリケーション上で次に薬を飲む時間を通知するようになっている。

さらに、さまざまなタイプの薬を入れられるようにも工夫されている。クラウドファンディングによる資金調達がうまくいけば、より大きなものも作るつもりであるとのこと。35万ポンド以上が集まれば、希望者に対してはより大きなものを提供するようにしたいとのこと。

価格は早期割引で£25となっている。出荷開始時期は来年の5月を予定している。本稿執筆時点では43日を残して58人から£1,687ポンドを集めている状況だ。

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(翻訳:Maeda, H


モバイルデバイス充電用の「自動巻き発電機」AmpyがKickstarterで出資募集中

外出先での電源の必要性がこれだけ感じられるようになれば、着用者の運動を利用して発電し、バッテリーを充電する装置が現れるのは時間の問題だった。それが現在Kickstarterで出資募集中のウァラブル・バッテリー充電器のAmpyだ。これを体に装着すると、歩いたり走ったりする動作によって内蔵バッテリーが充電され、USB経由で各種デバイスに充電できる。

理論的には理にかなったアイディアだが消費者が喜んで身に付けるようなデザインと効率性を備えたデバイスを開発することは難しい。

Ampyは現在はまだプロトタイプの段階だが、シカゴに本拠を置くスタートアップは量産に向けて10万ドルを目標にクラウドファンディングを行っている。募集期間はあと10日残っているが、すでに24万5000ドルのプレッジ(出資応募)があったので製造開始は可能になった。ただし出荷予定時期はだいぶ先で、2015年の6月だ。

Ampyのバッテリー容量は1000mAhだが、これはたいていのスマートフォンのバッテリーの容量より少ない。空になったバッテリーを完全充電するのは無理で、あくまで補助的なものになる。

共同ファウンダーのTejas ShastryはAmpyの仕組みを「ユーザーの動作が内部の誘導子の磁石を回転させ電流が生まれる。これがリチウム電池を充電する。Ampyの出力は数百ミリワットに上る。1万歩でスマートフォン 3時間分の発電量となる」と説明する。

Kickstarterのキャンペーン・ページにはまだAmpyが装着者の運動で充電されているところが紹介されていないが、出資者へのフォローアップのメールでは手やランニングによって発電している様子が報告されている。

Ampyではハードウェアに加えて専用アプリも開発しており、これには発電量の他に運動によって消費されたカロリーも表示される。

Ampyの説明に信用が置けると考えるならまだKickstarterで85ドル投じれば予約できる(バッテリーのみで装着用のストラップはつかない)。

いずれにせよモバイル化が進展するにつれてバッテリーの電源がますます重要になってくることは非常に明白だ。われわれは常にデバイスに内蔵されているバッテリーの容量以上の電力を求める。現時点ではAmpyが成功するかどうか保証の限りではないが、このようなバッテリー充電補助デバイスへのニーズは大きい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


デスクの上にエレガントに収まる小型CNC工作機Carvey、まるで3Dプリンタのように

CNC旋盤やCNCフライス盤などの加工機械ロボットは、電動モーターの回転力で金属や木やプラスチックなどを切ったり削ったりするマシンだが、クールだけれども醜い。多くは冷蔵庫みたいに大きくて、数分で素材を切削してくれるが、われわれのデスクの上で静かに沈着にエレガントに仕事をしてくれるものはない。そこが、3Dプリンタとの大きな違いだ。でも、 Carveyは醜くない。

デスク上で使える高性能な3DプリンタといえばForm 1だが、CarveyはCNCのForm 1だ。デザイナーやメーカーのための、デザインの良いシームレスなツールとして設計された同機は、刃先の動きをユーザがプログラミングする…この点、3Dプリンタ的でもある…。そうやって切削ヘッドの動きを指定してやり、ボタンを押すと、素材をそのとおりの形に削りだす。また、素材の種類もあらかじめ指定する。

ただしこれは3Dプリンタ的使い方よりも、工具的な使い方が向いている。組み立て式家具の各パーツや、もっと大きなプロジェクトのフラットな各部を作る、など。たとえばメガネのすべての部品を、このシステムで切削して作り、あとで組み立てることができるだろう。ガラスを切削してレンズを作ることもできる。

作者はこう言っている:

Carveyは、アーチストや教師やアーキテクトやエンジニアなど、あらゆるタイプのメーカーやデザイナーのために設計した。Carveyは、オフィスやワークショップや作業台などの環境に、邪魔にならずに馴染むと信じている。使い方もとても簡単なので、誰もが自分の仕事に利用できるだろう。

価格は、初期の投資者には1999ドル、それ以外は2399ドルだ。クラウドファンディングの目標額にはすでに達しており、発売は来年の9月を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Belugaカミソリで、古代人のようにひげを剃ろう

口笛でベニー・グッドマンを吹きながら、シェービングフォームとポマードを塗ったあなたは、どんなカミソリを使うのだろうか?オレンジ色のプラスチックに埋め込まれた3回しか使えない7枚刃の化け物? ノー。4人の将軍と一般人ジョーを同じように剃れる美しい1枚刃。それは、Belugaだ。

少なくともオハイオ州シンシナティのZac Wertzはそう願っている。Wertzが立上げたBeluga Shaving Inc.は、超シンプルな両刃カメソリを使う手作りひげそりを作る会社だ。割れたビール瓶でも喜んでヒゲを剃る君のおじいさんが使っていたやつだ。しかし、他の1枚刃カミソリと異なり、このモデルは、回転ヘッドと特殊なガードによって、剃り残しなく、しかし血まみれにならずに剃れることを約束する。

彼はこう言っている。

《前略》ハンドルの材料には、精選されたリネンマイカルタを使用している。リネンマイカルタは、多くの高級ナイフに使われている高級プラスチックで、耐久性があり、水に濡れることによって滑りにくくなる。「プラスチックのキャデラック」と呼ばれている。手触りは暖かく自然で、時間と共に色が深みを増して使い込んだ時間を感じさせてくれる。《後略》

念のために言っておくが、これには何のハイテクも使われていない。どちらかというとこれはデザイプロジェクトだ。しかし、いろいろなひげそりソリーション、例えばDollar Shave Clubの使い捨てや、他の超簡単カミソリを試した人にとって、これは目的に適った道具だと思う。古いやり方がベストだと信じ、少しでも森林を保護したいと思っているわれわれにとって、資源の節約は大切であり、10枚刃のモンスターもスムーズかもしれないが、やはり一番スムーズなひげそりは、カミソリの刃、ハンドル、そして一杯のウィスキーと少々の睡眠薬で落ち着かせた手によって成されるものだと私は思う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ついにRingが一般販売開始、269ドルの「魔法の指輪」で何ができる?

2013年11月に開催したTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルで優勝した指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」が9日、ついに一般販売を開始した。価格は269.99ドル、日本国内での送料は一律15ドルとなっている。購入者の手元に届くまでには約1カ月がかかるという。RingはKickstarterで88万ドル(約9000万円)を集めて「魔法の指輪」と話題を呼んだが、出荷予定が当初の7月から8月末に延び、さらに9月末に延期。Kickstarterの支援者の中に返金を求める人も出ていて、製品化を不安視する向きもあった。

Ringは人差し指につけて空中に絵文字やアルファベット、数字などを描くことで、事前に登録したアクションを実行してくれる。Kickstarterの説明文によると、Bluetoothでスマートデバイスと接続したり、「Ring Hub」と呼ぶ中継器を使って赤外線による家電操作が行える。デモ動画には、人差し指の動作ひとつで電気やテレビをつけたり、音楽を再生したり次の曲に飛ばしたり、Ringを付けている人同士で連絡先を交換したり、果ては「$12」と指で描くと目の前にいる人に送金する利用シーンが紹介されている。

気になるのは、「実際にRingで何ができるの?」ということではないか。そう思って販売ページを見てみると、機能の紹介が見当たらない。そこでRingを開発するログバー創業者の吉田卓郎に聞いてみたところ、現時点で使える機能がいくつかわかった。彼によれば、デモ動画にあった連絡先の交換や音楽の再生・曲送りに加えて、スマホ経由で操作できるLED照明「Philips hue」や「Belkin WeMo」のオン・オフ、iPhoneのカメラ撮影、TwitterやFacebook、Evernoteへの位置情報と写真の送信などが可能なのだとか。

そのほかに彼がオススメする機能としては、Google Glassのカード型UIである「タイムライン」に情報を送信できることだという。Google Glassに命令する文をあらかじめRingに登録しておき、それをジェスチャーで送信するわけだ。例えば、指で太陽のマークを描けば、言葉で命令しなくてもGoogle Glassが天気予報を教えてくれるのだろう。これらすべての機能は、ジェスチャーをした後にRingのアプリを仲介して命令が送信される仕組みとなっている。

現時点で「魔法の指輪」と呼べるほどのプロダクトであるかはわからないけれど、なぜRingは販売ページで機能を紹介しないのか? この点について吉田に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「現状でこれができます!って言うよりも、まずはRingという全く新しい世界観を味わってほしいと考えています。普通にガジェットとして見ると機能だけにフォーカスしてしまいますが、僕たちはあくまでもライフスタイルをもっとシンプルにしたいんです。ジェスチャー入力デバイスというと、Leap MotionやKinectなどを想像しますが、あくまでもこれらは機能ベース。僕らはワンジェスチャーという本当にシンプルなライフスタイルを世界中の人たちに提案したいです。」

販売ページによれば、リチウムポリマーバッテリー(3.7V / 22mA)を内蔵し、連続稼働時間は約1〜3日、連続待受時間は約18日、充電時間は約3時間。自分が描いたジェスチャーがちゃんと届いたかを確認するためのバイブレーションも搭載する。サイズはS(内径19mm)、M(同20.6mm)、L(同22.2mm)、XL(同23.8mm)の4種類がある。

大事なことをお伝えしていなかったが、吉田卓郎は11月18日、19日に東京・渋谷で開催する我々のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」に登場してくれる予定だ。その頃には購入者の手元にRingが届いていそうだが、ユーザーの反応を踏まえつつ、今後の展望を聞ければと思っている。

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Division Furtive、極秘ハイテク腕時計を発売へ

国際的謎の男の一人として、しばしば私は危険な場所に落下傘で着地する。持ち物は機転とiPhoneとiPad miniとプロテインバーと服でいっぱいのスーツケース、特製旅行用靴下、ヘアージェル、ハミガキ、何冊かの雑誌、そして私を守ってくれるイブプロフェン系鎮痛解熱剤だけだ。そして今私は、Division Furtive Type 50ウォッチが欲しくなった。

2012年に初めて発表されたこの奇妙な腕時計には、ローテクとハイテクが混在している。デザインには1970年代のジェット戦闘機の魂が込められ、文字盤を照らす明るいLEDが3つのタイムゾーンの時刻を知らせてくれる。LEDは懐中電灯も兼ねており、夜中ミニバーからこっそりチョコレートを取ってくる時に役立つ。

しかし、最もクールなのは設定機構だ。この時計は光センサーを通じて携帯電話とつながり、専用アプリと同期させると光の点滅によって自動的に時刻が合う。これは文字盤の横にあるあの小さなボタンを押す必要がないことを意味する。

Gabriel Menardが作ったこの時計は、ニキシー管が普通で、敵の子分たちが鉄格子の間から噛みついてくる、あのそう遠くない昔のボンド好きに敬意を表している。

Menardは5万ドルの資金調達を目標としており、現在1万3000ドルが集まっている。

ウォッチは295ドルで単4電池1本で動作する、ということはこれが相当にデカいことを意味する。しかし、巨大な腕時計を持つことは、ホテルのバーで無料のピーナツを食べ、マルガリータを山ほど飲みに行く時、邪悪な子分たちに撃たれた弾丸を跳ね返すためには、十分価値がある。つまるところ国際的謎の男でいることは、喉が乾く。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


引きこもり睡眠に便利なオストリッチピロー、セキュリティ対応のミニ版も登場

世の中にYoCuddlrなどといった奇妙なモノが登場する以前、それでもやはりへんてこなものは存在した。ご記憶の方も多いことだろう。オストリッチピローなるものがKickstarterに登場したのだった。2013年のことだ。TechCrunchで見かける変わったものの中でも、異彩を放つほどビミョーなものでもあった。

頭からすっぽりとかぶる形のオストリッチピローを装着すれば、目は見えなくなり、そして耳も隠されてしまい、外界から隔絶されることとなる。呼吸のための穴を除き頭を覆い尽くし、そして手までもその中に突っ込んで机の上で昼寝するという用途のために用いるものだった。

たとえば空港で長時間待っているとき、荷物を盗まれる心配がなければ、なかなか便利な休憩道具だと言えるかもしれない。あるいは図書館で調べ物につかれた時、荷物を盗まれる心配がないのであれば、効果的に休息をとることができるだろう。あるいは公演で仕事をさぼっているときなどでも、荷物を盗まれる心配がないのであれば、快適に休憩を楽しむこともできるだろう。

「荷物を盗まれる心配がないのであれば」安心して利用できるオストリッチピローの欠点は、やはり「セキュリティ」だった。外界と完全に隔絶されるため、自分の周りで何が起こっているのかわからなくなるのだ。そこでセキュリティ対策を施した、新版のオストリッチピローが登場してくることとなったのだ。名前は(当然)オストリッチピロー・ミニ。目や耳を覆い隠してしまうことなく、それでも快適な休憩を楽しもうとするためのプロダクトだ。

オストリッチピローと比較すれば、持ち運びも容易になった。オリジナルは飛行機に持ち込んだり、あるいは職場に持ち込んだりするには少々大きめだったのだ。今回リリースされたミニの方は、飛行機に持ち込むネックピローと同程度の大きさだ。

現在、Kickstarterにてキャンペーン展開中だ。コンパクトなサイズであるのに、いろいろな使い方があるようだ。詳細はキャンペーンページをご覧頂きたい。

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(翻訳:Maeda, H


耳の聞こえない人でも電話できるようになる「RogerVoice」

RogerVoiceを紹介したい。まさに「技術」のもつ可能性を示してくれる例だと思う。何かを便利にするのではなく、不可能だったことを可能にしてくれるのだ。このRogerVoiceは、世界中いるたくさんの聴覚障害の人たちが電話を利用できるようにするプロダクトだ。このプロダクトなしでは電話を使うことなど思いもよらない人にも手段を提供するのだ。会話の音声をリアルタイムで文字化することで、聴覚に問題のある人でも相手の言ったことを「読める」ようにする。

このプロダクトを産んだフランスのスタートアップは、RogerVoiceに用いた技術につき、1年間ほどの開発を行なってきた。そしていよいよAndroidアプリケーション(そしてiOSアプリケーション)を世に出すためにKickstarterキャンペーンを開始した。簡単に説明すると、このRogerVoiceはある種のVoIPアプリケーションで、流れる音声を文字化するためにインターセプトする。そしてサードパーティーのリアルタイムサービスを通じて文字化処理を行なっているのだ。既に十数カ国語に対応しているようだ。

ちなみに会話のもう一方の方には音声が伝わるので、普通の電話と同様に使うことができる。こうしたサービスの場合、特別なサービスが必要ない側は従来と同様の使い方ができるというのはとても大事なところだろう。もちろんアプリケーションのインストールも必要なく、会話が外部に漏れる心配もない。ただ、必要な人に必要なサービスを提供する存在なのだ。

実のところ今年の4月に、CEOのOlivier JeannelがRogerVoiceのプロトタイプを見せてくれた。彼自身も耳が不自由で、普段の会話の大部分を読唇に頼っているそうだ。しかしそんな彼が騒音に満ちた部屋で電話による会話をしてみせてくれた。その時点ではアプリケーションの完成度はとても低いものであるように見えたが、しかしともかく、相手の会話が聞こえなくても電話をすることができるという事実には大いに驚いた。

たとえば、テキストメッセージやメールなどを使いこなせないのおじいさんやおばあさんと話がしたくなることがあるだろう。あるいは、耳が不自由な中、銀行や医者とコンタクトをとる必要が出るということもあるかもしれない。聴覚異常のない人でも、いろいろと適用事例を考えることができるに違いない。

ちなみに、今のところは文字を音声化する備わっていない。すなわち、発話障害がある人に電話利用の機会を提供するものとはなっていない。また、電話をかけるときにこのRogerVoiceを利用することができるが、今のところは受話側では対応できない。

閑話休題。テクノロジーは空を飛ぶ車などの夢を人類に提供してきた。しかし実際のところは、テクノロジーははるかに実現容易なことばかりをターゲットとしているように見える。現代社会に生きていれば、決して不可能ではないことを、ちょっと便利にするためにばかり、テクノロジーが用いられているようにも思えるのだ。

スタートアップのファウンダーたちは、しばしば「世界を変える」ということを口にする。確かに、本気でそう考えているスタートアップもあるのだろう。数多くの人の生活をちょっと便利にするというのも、確かに素晴らしいことであるとは思う。私もそれは認めたいと思う。ただ、テックには、もっと大きな可能性があるのだ。

技術的に見れば、RogerVoiceに特別なところはない。VoIPの仕組みを活用したプロダクトであるに過ぎない。しかし、技術的に優れていることがすなわち革新的であるということにもならないのだ。現実に存在する問題に如何に対処するのかというのがプロダクトの真価であると言えるだろう。

テクノロジーは、これまでにもコミュニケーションの在り方、情報共有の仕方、あるいは学習スタイルといった面で変革をもたらしてきた。人、モノ、サービスの新たな関係を世の中に実現してきた。写真についてみても、以前は誰もが同じアプリケーションを通じて、写真をシェアして楽しむなどというやり方は存在しなかった。そうした「革新」のメリットは認めるものの、ただし、「便利さ」ということばかりに注目してしまい、見逃してきたものもあるのではないかと振り返ってみたい。

そうした観点から、このRogerVoiceのことを見つめてみたいのだ。数億を稼ぎだす技術が用いられているというわけでもない。世界中の誰もが使い始めるというわけでもない。しかし、多くの人の生活スタイルを変える可能性をもつものだ。世界をまきこむ大流行を巻き起こすわけでもない。しかし、こんなテックが数多く生まれてくればと願う人も多いように思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H


Raspberry Piで動くラップトップコンピュータを3Dプリントしたイギリスの技術者たち

3Dプリンタと呼ばれる、プラスチックを押出成形して剛体を作るロボットシステムに、作れないものは何一つないのではないか? 今日ご紹介するPi-TopはRaspberry Piを使ったラップトップで、完全に3Dプリントで作られ、一回の充電で数時間使える。このキットは近くKickstarterに登場する予定で、画面は13.3インチ、入力装置として小さなキーボードとトラックパッドがつく。すごい! ついにコンピュータ本体までオープンソースになってしまったのだ。

これを作ったのはイギリスのデザイナーたち。PLAのフィラメントで作られているが、プリントするのに160時間以上かかった。誰もが3Dモデルをダウンロードしてプリントできるようにしたいが、キットの主な対象は学生やホビイストたちで、これを組み立てたら、その上でRasbian(ラズパイ用Linuxディストリビューション、Debian系)を動かしてみるような人たちだ。

計画では、Kickstarterの支援者には射出成形バージョンを作って送るが、その後はホビイストなどにすべてを自分で作ってもらう。いちばん難しいのは、ラップトップコンピュータが日常的に受ける圧力や衝撃に耐える、適正な支持構造を作ることだ。

出典: 3DPrint

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Kickstarterが利用規約を改定、失敗したプロジェクトの法的位置づけを明確化

人気のクラウドファンディングサービスKickstarterが今日(米国時間9/19)利用規約を改定して、プロジェクトが破綻した場合の条項をより明確にした。この改定はFTCの新しい規則に沿ったもので、オンラインの小売サービスは、製品を30日以内に発送できず、顧客がそれ以上の遅れに同意しなかった場合は返金すべし、と定めている。Kickstarter自身はもちろんオンライン小売サービスではないが、しかし製品を売るためのプラットホームを提供している。

[Update: KickstarterはFTCとの関係を否定し、次のように述べた: “利用規約の改定は何か月も前から進めており、しかもそれは、直截で明快な操業を目指してきた長年の努力の成果である”。つまり同社は、利用規約の改定はFTCの新しい規則への対応努力ではない、と言っている。]

Kickstarterの改定規約第4項は、顧客はプロジェクトを支援することによって、彼らとプロジェクトの作者とのあいだの法的合意を形成しているのであり、Kickstarterはそれに関与しない、と言っている。

Kickstarterの免責条項としては、これだけで十分だろう。プロジェクトが破綻して製品が発送されず、返金もされなかったときでも、Kickstarterは法的に無関係となる。

ただしこの改定規約でKickstarterは、プロジェクトが失敗したときのプロジェクトの作者の支援者に対する誠実な説明義務と、資金の使途(または今後の方針変更のための予定使途)に関する情報開示義務を定めている。方針変更の場合は、あらたな期限も示さなければならない。

またKickstarterはプロジェクトの作者に対して、支援者とのコミュニケーションにおいて重大な虚偽のない公明正大さを求めている。詐欺行為は許さない、ということ。

さらに今回の改定利用規約は、約束を果たせなかった作者は、支援者による法的行為の対象になることもありえる、と明記している。訴訟などの可能性は前からあったが、これまでの利用規約はそれについてまったく触れていない。

この新しい利用規約は2014年10月19日以降にローンチされるすべてのプロジェクトに適用される。

同社はまた、改定規約は文章を簡明に読みやすくし、以前あった“法律的ジャーゴン”の多くを削除した、と言っている。

改定利用規約の全文を、ここで読める。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


迷子になったドローンが悲鳴をあげて自分の居場所を教えてくれるScreamy

木や灌木ばかりが生えている広いところで自由にドローンを飛ばせる幸運なあなたも、ドローンがどこかに落ちてしまって見つからなくなることがありえる。そんなときはScreamyを使おう。その小さなボックスをドローンのコントロールモジュールにつけておき、行方不明になったら手元のリモコンからドローンに信号を送る。すると、落ちた場所から、するどい「ピー」音が聞こえてくる。まるでMedicAlertのブレスレットのクヮドコプター用だ。今Kickstarterに出てるが、たぶん目標額を達成するだろう。

アイダホ州RexburgのKelly Millerが作ったScreamyは、ドローンをカンサス州の波打つ麦畑とか、メイン洲の鬱蒼とした森で遠くまで飛ばす人たちをねらっている。ドローンの、いちばん多く使われているコントロールモジュールのリードにつけておき、リモコンのスイッチを入れると起動する。消費者向けの人気ドローンでは使えないが、ホビイストのDIYのドローンで正しく構成(コンフィギュレーション)すれば、十分役に立つ。ピー音は一定の時間しか鳴らないから、ユーザが音を止めることを気にしなくてよい。ドローンだけでなく、模型のロケットにも使えるだろう。

初期の支援者には30ドルだが、ローンチ後の価格は75ドルだ。目標額は1万ドルで、すでに1000ドルに達している。発売は来年の2月を予定している。

さらにクールなのは、25ドルで買えるTシャツに”It’s dangerous to go alone”(一人で行くのは危ない)というメッセージと、岩山で道に迷った老人が(もちろん)Screamyを持っている絵が刷られていることだ。Linkのブーメランにも、これをつけるとよいだろう。

https://www.kickstarter.com/projects/1626733924/screamy-a-durable-lost-uav-alarm/widget/video.html

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Seatylockは自転車ロックに変身するサドルだ

自転車を大切に思っている人へ。Seatylockが協力してくれる。ブルックリン拠点のこのKickstarterは、サイクリストの2大問題を解決しようとしている。頑丈かつポータブルな自転車ロックがない、そして他人のサドルをいたずらしたり盗んだりする連中がいること。

このロックは、折り畳むと特別にデザインされたサドルに変わり、サドルを外すと飛び出してくるので、近くの柱に金属チェーン(とサドル)巻きつければロック完了だ。

チェーンの長さは90 cmで鋼鉄製。考案者のOren Livneと製造担当のMichael Shenkermanによると、この鋼鉄バーはあらゆる手荒な扱いにも耐えるという。

価格は75ドルから。スタイルはコンフォートとトレッキングの2種類ありサドルの幅も選べる。カラーバリエーションも用意されており、カスタマイズが可能だ。

チームの目標は4万ドルで、プロジェクトはスタートしたばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Havenは、ドアと床に取付ける新しいスマート錠

ドアに鍵をかける賢い方法が登場した。それはHavenという名で、床とドア枠に取り付ける。ドアを開く時は、床の留め具を外して普通に開ける。ピッキングすべき錠も、壊すべきデッドボルトもない、なぜなら、ドアを閉じておくためにそれを使う必要がないからだ。

陸軍兵士からビジネス開発エキスパートに転じたテネシー州のAlex Bertelliと、連続起業家のClay Banksが作ったこの製品は、携帯電話または特殊なキーを使って、ドアを自由に開閉できる。

「私たちがこれを作った理由は、家族を守るためにもっとうまくテクノロジーを使う方法があるはずだと知っていたし、空巣の被害者にはなりたくなかったから」とBanksは話す。

Havenは米国で製造される予定で、頑強なガラス繊維強化ナイロンポリマー、鋼鉄、およびアルミニウムから作られる。部品の組み立ちはテネシー州で行う計画で、今月中にKickstarterで募集を開始する。

「ライバルたちは従来型のデッドボルトをスマートロックに変えようとしているが、強行侵入が多発する今、それでは安全を高められない。われわれは、より強力でスマートな解で差別化をはかっている。錠をドアの下に置き、土台の強固さを利用することによって、外部からの侵入を防ぎ、遅らせる」とBanksは語った。

同社拠点はテネシー州ナッシュビル。

Havenlock.comでサインアップすれば、デザインが進むにつれて詳細情報を得られる。今見る限り、これは侵入者やゾンビ、ドラゴン、さらには魔法使いをも締め出す確実に方法のようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


不使用時はバックパックに収まる電動スケートボードのMovpak


 
長距離通勤をしている人の中には、電車や地下鉄などを降りて、そこからオフィスまで歩くのが面倒なのだと感じている人も多い。そのような人を意識して開発されたのがMovpakだ。電動スケートボードで、未使用時は通常サイズのバックパックと一体化して運べるようになっている。カーシェアリングサービスなどでお金を使うことなく、通勤の面倒を少しでも和らげようというものだ。

但し、Kickstarterのページを見てもらえばわかるが、このMovpakも決して安いものではない。早期割引でも999ドルとなっていて、これが完売すれば1190ドルとなる。最初の生産分を売り上げれば、次からは価格は1299ドルになる予定なのだとのこと。そしてさらに来年早々からは通常流通にも乗せたいと考えていて、その際は1999ドルの価格にする予定であるとのことだ。以前にKickstarterキャンペーンを行った電動スケートボードと同様の価格設定となっている。

TechCrunchではサンフランシスコにある我々のオフィス周辺で試乗してみた。概ね快適で面白い乗り物だと感じた。最高速度は時速15マイルで、稼働距離は9マイルとなっている。9マイルの距離を進むことができれば、たいていのニーズには合致することだろう。あるいは自転車で通勤している人などの場合、完全に自転車と置き換えも可能かもしれない。但し乗った後は2時間の充電が必要なので、電源の手配は必要となる。

スケートボードの後ろに乗っかっているバックパックが邪魔だと思う人もいるだろう。しかし実際に乗っていると、少なくとも最初のうちはむしろ「スタビライザー」的な役割も果たして便利な面もあるようだ。Movpackにはワイヤレスのコントローラーもついていて、進むのに地面をキックする必要はない。ボードの上に乗って、後ろ側の足をバックパックに沿わせるようにして乗るとスムーズなライドを楽しむことができる。

ところで、乗っているうちはかなり楽しいものだが、バックパック(中にバッテリーも入っている)とボードをあわせると17ポンド(8kg弱)になることには気をつけた方が良いだろう。バックパックとスケートボードが一体化しているので、2つを分けて運ぶよりはましかもしれない。しかしこれを担いで長い時間を歩くのはなかなかの大仕事だ。もちろんそれだけの重さになるバッテリーは、他のデバイス(スマートフォンなど)を充電するのにも利用することができるので、便利な使い方もあるかもしれない。バックパックにハンドルをつけて、スケートボードのタイヤを使って引き回せるようにすれば良いかもしれないが、そのアイデアはおそらく、美的な観点から却下されたのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


DrinkMateは、Android端末に差し込むアルコール濃度測定装置

スマートフォンにつないで内蔵センサーの機能を拡張するデバイスは続々と現れ、その多くがクラウドファンディングに支えられている。また一つ、Android端末の能力を高める新たな挑戦者が現れた。DrinkMateと名付けられた小さな呼気分析装置は、Kickstarterで4万ドルを目標に出資を募っている。12月の出荷を目指している。

長さ1.8インチ(4.5 cm)のデバイスをMicro USBポートに挿入して専用アプリを立ち上げると、半導体センサーに吹きかけた呼気を分析して血中アルコール濃度(BAC)を表示する。DrinkMateはマウスピースを必要としない。利用者は吸気口に息を吹き込むだけでよいので、コンパクトな設計が可能になり衛生も保てる。

スマートフォン用アルコール検知器は他にもあり、例えばiPhone用のAlcohootは昨年本誌で取り上げた。しかしDrinkMateは、ムーアの法則のおかげで、ずっと小さくずっと安価だ。

さらに精度面でも期待に答え ― プロトタイプなので引き続き試験が必要 ― BAC 0.02%水準で +/- 0.01% BACの精度を保つと同社は言っている。DrinkMateのセンサーの測定限界は0.20% BACだが、そこまで酔っているとこのガジェットを使えるほど〈正気〉である可能性は低く、車のキーを見つけるのも困難だろう。

精度の問題に加え、果たしてDrinkMateの性能が、現実の厳しい使用環境で発揮されるのかもまだわからない。利用者が正しい方法で検査するとは限らない。専用アプリは、最後の一杯を飲んでから十分時間を置いて測定し、口内に残ったアルコールによって不正確な測定値が出ないようにする等、ユーザーによる誤用を防ぐ必要がある。

ワシントンDCにあるDrinkMateの開発元によると、このデバイスを開発したきっかけは、BACを視覚化し共有することによって、飲み仲間同志でプレッシャーをかけ合い、互いの安全を守るためだった。実に崇高な目標だが、もちろん正反対の行動を促す危険もある ― だからこそ、アプリの見せ方は重要だ。現在のアプリのデザインはごく基本的なものだが、週毎に機能を追加していくとメーカーは言っている。

位置情報や移動、健康管理用センサー等、誰もがもっとずっと高い関心を持つ装置がスマホ本体に組み込まれつつあるが、DrinkMateのBAC測定のように専門的で目的を絞ったセンサーは、スマートフォンを補完するものとして意味があるだろう。

結論:この種のセンサーは、誰もが欲しがる、あるいはスマホに内蔵させるべきものではないが、様々な装置をキーホルダーにぶら下げておき、差し込んでスマホの機能を拡張したい人たちは、価値を見出すかもしれない(あるいは、センサーを利用者が身に付け、Bluetooth経由で端末とつなぐかもしれない)。

DrinkMateの価格は、Kickstarterで支援額25ドルから。

同機は以下のAndroid端末との互換性が保証(テスト)されている。

  • Samsung Galaxy S3、S4、およびS5
  • Samsung Galaxy Note 3
  • HTC One
  • Motorola Moto X
  • Asus Transformer Prime、Infinity

メーカーによると、iPhone版も計画しているが、まずAndroid版のKickstarterキャンペーンが成功してからとのこと。

8/31時点で、キャンペーンは目標4万ドル中3万ドルを越え、あと25日を残している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


AirEnergyは、3Dプリンターで作るオープンソースの風力タービンだ

人里を離れ、必要なエネルギーを作れる自給自足生活に憧れたことはないだろうか。そのために自分の排泄物を乾燥させて燃やす必要ない。AirEnergy 3Dがあるのだから。

このポーランドでクラウドファンディングされたプロジェクトは、ポータブルでアップグレード可能な、翼とベースステーションからなる風力タービンだ。3DプリンターメーカーのOmni3Dのチームが作った。彼らはこれをカスタム化可能なプラットフォームとして設計し、オープンソース化した。標準的3Dプリンターで、追加のタービン翼をプリントして追加することさえ可能だ。

「始めたばかりの時から、3Dプリンターメーカーとしてわれわれにとって一番大切なことは、この驚くべきテクノロジーの可能性を人々に伝えることだった。Omni3D内部で常に特別プロジェクトを進めているのはそのためだ。われわれはケンカでくちばしを失くしたペンギンのために人工くちばしをプリントしたり、老若男女にこのテクノロジーを紹介するための無料でオープンなミーティングも開いている。今回のアイデアは、プリンターそのもの以上に価値のある何かをプリントすることだった。完全にオープンソースの再生可能エネルギーのソリューションを作ることも、理由の一つだった」と、Omini3Dの共同ファウンダー、Konrad Sierzputowskiは語った。

組み立てキットの価格は、Kickstarterで約350ドルだが、設計図はオープンソース化されるので、誰でも自分のタービンを作ることができる。さらに素晴らしいことに、彼らは2500ボンド出資されるたびに、完成品1台を必要としている町に寄贈する予定だ。

このタービンは、理想的条件下で300Wの発電能力がある。つまり、携帯電話やノートPCを充電したり、コンセントに差し込んで電力網に電気を戻すことができる。自宅の庭にタービンを置こうという人は少ないだろうが、なかなかいいポータブルオフライン発電システムだと思う。

彼らはこれを量産するつもりがあるのだろうか? Sierzputowskiにもまだわからない。彼はただ、何かクールなものを3Dプリンティングコミュニティーに返そうとしているだけだ。「このKickstarterキャンペーンは、プロジェクトに必要な資金を集め、コミュニティーに恩返しするためにやっているだけ」と彼は言った。「唯一必要なもの、それは・・・風」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


データで振り返るKickstarterの「ポテトサラダ」プロジェクト(調達額は$55,492)

本サイトの読者の方なら、Kickstarterで展開されたポテトサラダ・キャンペーンのことをご存知だろう。キャンペーンは10ドルの目標額に対し、6911名から5万5492ドルを集めて成功裏に終了した。そして、この超有名プロジェクトを振り返るため、Kickstarterは「Potato Salad: By the Numbers」(数字で見るポテトサラダ・プロジェクト)というブログ記事を投稿している。出資した人の多くはカリフォルニアないしオハイオ州コロンバスに居住する人であるらしい(双方ともに全体の17%以上を占めている)。

また、ブログ記事によれば、今回の出資者はいわゆる「Kickstarterベテラン」の人が多かったのだそうだ。なんとこれまでに15ものプロジェクトに出資してきた人が多く参加したプロジェクトになったのだとのこと。

The Atlanticもなかなかおもしろい分析を行なっている。この分析によると555名のポテトサラダ狂が、キャンペーン成功に大きな役割を果たしたのだとのこと。この555名は35ドルから49ドルを出資している。すなわちこの層が、集まった額の40%を担ったことになるのだ。また、キャンペーン初日に出資を決意した18人が、全調達額の61%を担っているという結果も出ている。これによりキャンペーンに大きな注目が集まり、そして大成功に繋がったことは間違い無いだろう。

またRedditのOffbeatセクションに投稿されたリンクは、キャンペーン開始後3日ほどで4,250件ものupvotes(いいね)を獲得してもいる。キャンペーンページのユニークビューも7月7日あたりから急増しており、まさに世界中のポテトサラダ・フリークの心に火をつけることとなったわけだ。

話題も広がり、プロジェクトを立ち上げたZack “Danger” Brownへのインタビュー要請も増えていった。地元であるオハイオ州コロンバスで流れたABCテレビの放送も、まさにお祭り騒ぎといった状況だった。

「話がここまで大きくなるとは思っていませんでした」と本人は語っている。しかしKickstarterのブログ記事によれば、この時点での出資者は依然として200名ほどだったのだそうだ。

出資者の国籍はオーストラリアやオランダなどにも広がっている。成功にあやかろうとするクローンプロジェクトなども登場してきているし、Brownは植物素材のマヨネーズを製造するHampton Creekから、マーケティング関連の職をオファーされたりもしたそうだ。Hampton CreekのスポークスパーソンであるMorgan Olivieraは、Brownにサンフランシスコおよびオハイオにおけるポテトサラダイベントについてコンタクトをとったと述べていた。但し、そちらの話の方はまだ素材段階で、皆に提供できる料理には仕上がっていないのだそうだ。

プロジェクト成功にはいろいろな要因があったのだろうが、Brown自身のユーモアセンスが大きくプラスに働いたのは間違いない。1ドル以上出資してくれれば、ポテトサラダを作るときに名前を呼んで感謝の気持ちを表明するとも言っていた。またコロンバスではLabor Day(労働者の日)にPotatoStock 2014という、ポテトサラダとピザで楽しむイベントを開催する予定にもしている。コロンバスのAAA野球チームであるColumbus Clippersも、スタジアムの提供を申し出ているのだそうだ。

「イベントはとても楽しみです」と、Good Morning Americaに登場した際に言っていた。「楽しさやユーモアを世界中の人と分かち合いたいという思いを、みなと共有することができるのです」。

プロジェクト成功を受けてのビデオもぜひチェックしておこう。

口いっぱいのポテトサラダを咀嚼しながら、彼は「わたしたちはともにムーブメントを生み出そうとしているのです」と言っている。背景では神の声のようなものも聞こえる。曰く「それで世界は変わるのか?」。場面はオフィスのような場所に入れ替わり、そして彼は答える。「おそらく」、と。彼の目には何か「未来」が見えているのかもしれない。

Brownはこのプロジェクトからの利益は最大60ドルに抑えたいとも言っている。集まった5万5492ドルの多くはチャリティに回されるのだとのこと。

「キャンペーンが終わってから(先週の土曜日に終了した)、Columbus Foundationに設けたファンドに利益の大半を移しました。このファンドは、セントラル・オハイオにおける飢餓およびホームレス対策の非営利活動のために使われることになります」と、CNBCの番組の中で述べていた。但し、これはKickstarterのルールには反するものだ。Kickstarterでは、チャリティのためのプロジェクトを明示的に禁止している。但し、今回のポテトサラダ・プロジェクトは、目的がチャリティにあったわけではないと判断されているのだろう。

このポテトサラダ・プロジェクトはKickstarter史上で4番目に多くの注目を集めたものとなった。ページビューは400万にも及んだ。これを上回るのはOUYAゲームコンソールスマートウォッチのPebbleそして「Veronica Mars」の映画制作プロジェクトだけなのだ。

但し、アクセス数は膨大であったものの、ビュー数が上位10位に入る他のプロジェクトに比べると、集めた額は少ないものであった。たとえばビュー数でポテトサラダ・プロジェクトに劣るOculus Riftは240万ドルを集めたし、Reading Rainbowも最高額となる540万ドルを集めている。

「ポテトサラダ・プロジェクトは、Oculu Riftよりも多くの注目を集めた。インターネットというのは、こういう不思議なことが起こる世界だということなのだろう」と、Kickstarterブログには記されている。

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(翻訳:Maeda, H


LEGOにRFコントロールを追加するSBrick

Lego(LEGOと書かないと気持ちが悪いという人もいるかもしれない)は面白い。マインドストーム(Mindstorms)がさらに新しい楽しみ方をもたらしてくれている。ところでさらにその先はあるのだろうか。まさに「その先」を狙うのがSmartBrick(SBrick)だ。これまでのLegoブロックと組み合わせて使えば、モーターやライトを細かく制御することができるようになる。Mindstormsと同様の部分もあるが、サイズが非常にコンパクトにまとめられていて、見えない場所に配置することもできる。Bluetooth LTEに対応しており、スマートフォンからの制御も可能だ。

さらにこのSBrickはRFコントロールにも対応している。いってみればRF版マインドストーム互換ブロックといった感じだ。プログラムで制御できる機能も増えており、マインドストーム利用者なら誰でも触ってみたくなることだろう。


製作したのはハンガリーのデザイナーおよびプログラマ集団だ。現在はkickstarterにて6万ポンドのキャンペーンを展開中だ。二週間弱のキャンペーン期間を残し、現在のところは4万2000ポンドを集めている。

「もっとLEGOを楽しみたいと思ったのです。私達はリモート制御技術に強みを持っているのですが、これをLEGOと組み合わせれば、非常に面白いプロダクトができあがると考えたのです」と、共同ファウンダーのLénárd Pásztorは述べている。「LEGOにリモートコントロール機能を備えるというのは非常に面白いことだと思うのです。LEGO社すら赤外線通信しか実装していないのが不思議ですが、それならば作ってしまおうと考えたのです」。

本プロダクトはLego社とはなんの関係もなく提供されているものだ。すなわち最悪の場合、訴訟沙汰に巻き込まれる可能性もある。しかしそうした心配はとりあえず脇におき、SBrickとしては各種アプリケーションを開発してシェアしていきたいとも考えているそうだ。スマートフォンをハンドル風にもジョイスティック風にも使ってコントロールすることができ、たとえば自動車と戦車を全く違った風に操縦することもできる。

「LEGOコミュニティからも大いに関心をもってもらっているようです。LEGOが大好きだという人は多く、LEGOをより面白くするツールとして、私達のプロダクトにも興味を持ってもらっているようです。多くの方から賞賛のお手紙を頂いたりもしています」とLénárdは述べている。Lego社が何かしらの対応をとるつもりかどうかは今のところわからない。いずれにせよミサイルを発射できたりするRF戦車が作れるのは楽しそうだ。我が物顔に部屋でくつろぐ猫と対戦することもできるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H