セグウェイ、自走可能な “Segway Robot”を発表

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またひとつ、自立型2輪ロボットの登場だ。2輪乗用機メーカーのSegwayは、Segway Robotなるものを発表した。この小さなロボッティックヘッドは、標準的Segwayとつながり、IntelのRealSense RGB-Dカメラ、音声認識、および自動運転の機能をすべて内蔵コンピューターによって付加する。SDKも提供予定なので、ロボットをプログラムして人と対話したり、アームを使って物を持ち上げることもできる。

ロボットは、昨年4月にNinebotが同社を買収した際に発表された新機種Ninebot Segwayベースに装着される。このベースは従来のSegwayと同じく自立性で、小さなロボットは危険を顧みずこれを乗り回すことができる。

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このロボットは、IntelとNenebotの協同事業として作られた。デベロッパー版は2016年中に提供され、商品版はその後になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Disney Researchが壁をよじ登り天井を這うロボットを開発

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Disney Researchとチューリッヒ工科大学の研究グループが、走行し、飛行し、ジャンプし、そして壁をよじ登る車を作った。車輪で走行し、プロペラを回転して障害物を飛び越え、壁にぶつかると垂直方向に動く。

vertical(垂直)をもじってVertiGoと名付けられたこのロボットは、実は車輪を駆動する動力がない。動きはすべてプロペラに由来し、それが、地上では車を走行させ、壁に当たれば車体を壁に押し付ける。

ホワイトペーパーより:

VertiGoロボットの設計における中心的な研究課題は、推力出力と車両重量の比を最大化することだった。中央の底板にカーボンファイバーを使うことによって重量を最小化し、車輪のサスペンションや車輪本体のような複雑な三次元構造には、3Dプリントした部品とカーボンロッドを併用した。底板には、二つのスラスターモジュールと車輪のサスペンションをマウントした。電子部品や配線も底板に載せた。スラスターは二輪のカルダン懸架装置を使ってマウントした。サーボモーターの内蔵により、外輪と内輪は互いに独立して動く。以上により、床の上と壁の上を走行するために必要十分な力が生成されたが、理論的には天井を走行することもできただろう。

 

このようなものは、その必要性をすぐには思いつかないが、たとえば壁や天井、あるいは人間の手の及ばない場所における修理作業のためには、優れたソリューションと言えるだろう。ダフィー・ダックに装着したら、あのおなじみの鴨くんが、ついに飛べるかもしれない。

出典: Spectrum

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

この立方体ロボットは、バネ仕掛けの「舌」を使って坂を登る

自分が弱々しい立方体になったところを想像してほしい。そして坂を登らなくてはならなくなったら。どうするか? もちろん、舌を使う。

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)の研究者たちは、金属製の舌を使って地面を這い回って進むことのできる小さな立方体ロボットを作った。舌は軸に沿って回転して短時間突き出し、瞬間的にロボットを宇宙空間へ飛ばして障害物を乗り越える。彼らはこれを“A Soft Cube Capable of Controllable Continuous Jumping”[制御可能な連続跳躍能力を有する柔軟立方体]と呼んでいるが、私はむしろ“Little Tongue Softy”[ベロ出しやわらか小憎]と呼びたい。

立方体にはカメラやセンサー等の興味深い装備が可能で、部屋に入ってひとっ走りしてからさほど苦労もなく戻ってこられる。楽しい小さなシステムで、円筒形や球体でなく立方体というのが実にユニークだ。

via Spectrum

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この球状の四足ロボットが地球を支配するとしたら、ぼくなら大歓迎だ

 

ロボットが地球を支配したとき、では、その体腔の中には一体何があったんだろう?と、あなたは悔しげに思うかもしれない。その答のヒントになるのが、日本のChiba Institute of Technology(千葉工業大学)のTakeshi AokiとSatoshi ItoとYosuke Seiが作ったQRoSSだ。このロボットは球形の転がるケージと、その中に隠された4本の足から成る。ボールを部屋に投げ込むと、ころころ転がっていくが、自分の意思で動く必要があるときには4つの足を出して立ったり歩いたりする。

ひっくり返ると足で態勢を直すし、転がって障害を避(よ)けることもできる。一言で言うなら、銃と力の場のないDroidekaの、単純化バージョンだ。

チームはこのロボットを、ドイツで行われたIROS 2015で展示し、論文、“Development of Quadruped Walking Robot with Spherical Shell – Mechanical Design for Rotational Locomotion”(球状外殻を持つ四足歩行ロボットの開発–回転移動のための機構の設計)も公開されている。相当面倒な問題への巧妙なソリューションであり、しかも、とってもクールだ。

〔原文の筆者Biggsは、一年あまり前から、“ロボットが地球と人類を支配する”というジョークテーマで数々のロボット記事を書き続けている。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

日本発の米国スタートアップ「ADAWARP」はOculusでテレプレゼンスを実現する

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先月米国サンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt SF 2015」。イベントの概要は以前にお伝えしたし、そのセッションについてはいくつもの翻訳記事が出ているが、展示ブースの様子についても紹介したい。

今回のDisruptの展示ブースは「Startup Alley」と呼ぶECからエンタメ、不動産にヘルスケア、IoTまで、さまざまな領域のスタートアップが日替わりで出展するブースのほか、日本や台湾、アルゼンチンにブラジルといった国・地域ごとのプロダクトを紹介する「Pavilion Alley」などがあった。例えばJETROが主導した「Japan Pavilion」では、グラッドキューブのサイト解析・A/Bテストツール「Sitest」や、やオフショア開発ネットワークの「セカイラボ」など、約20社の日本発スタートアップの展示を見ることができた。

Disruptにはさまざまなプロダクトが出展していたのだけれども、ひときわ目を引いたのが、イベント会場の一番奥にあったパビリオン「Virtual Reality Pavilion」だ。

このパビリオンに出展するのは、米国のベンチャーキャピタル・Rothenberg Venturesが手がけるVR・AR特化のインキュベーションプログラム「RIVER」の採択企業。そのため、各ブースにはOculus RiftをはじめとしたHMDなんかが並んでいた。Riverは2015年1月からスタートしたプログラムで、日本発のスタートアップもこれまで2社が採択されている。以前TechCrunchでも紹介したFOVEと、今回紹介するADAWARPだ。

ADAWARPが開発するのは、Oculus Riftとゲームコントローラーを使ったロボットによるテレプレゼンス(臨場感のある遠隔地とのコミュニケーション、ざっくり言うと今までよりリアルなビデオ会議システム)装置。専用のソフトを立ち上げたPCと接続されたOculus Riftで見る世界は、ロボットの視野そのもの。首をかしげればロボットも首をかしげるという。さすがにOculusだけでは手足を動かせないため、操作にはゲーム用のコントローラーを使用する。

動画には首や手を自由に動かすクマのぬいぐるみが登場するが、これこそが彼らのプロダクトだ。とはいっても、ADAWARPは別にクマのぬいぐるみを作っているワケではない。Oculusやコントローラーを入力デバイスに使うクラウドサービス、そしてクラウドと連携するロボットのモジュールを開発している。プロダクトはまだ開発中だが、将来的にはOculus以外のハードウェアにも対応していく予定で、すでに複数の国内ハードウェア企業との連携を開始している。

ロボット単体の販売価格は200ドル以下、2016年のクリスマスシーズンにも販売を目指す。テレプレゼンスと聞くとビジネス向けのイメージがあるのだけれど、「遠隔地にいる親子のコミュニケーションをはじめとして、いろいろな利用シーンがあると思う」(ADAWARPの安谷屋樹氏)とのこと。ちなみに安谷屋氏は文部科学省の留学支援制度でシリコンバレーに渡米している最中に起業したのだそうだ。

プロダクトのイメージ

プロダクトのイメージ

DisruptにはADAWARPのように、新しい発想やテクノロジーをもとにしたさまざまなプロダクトが並んでいた。僕たちも日本でそんな新しいプロダクトのお披露目の場を提供したいと考えている。11月17日〜18日に東京・渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2015」では、スタートアップ・デモ・ブースの出店者を募集中だ。

TechCrunch Tokyo 2015についてはこれまでも何度か紹介したが、昨年実績でのべ1700人以上が参加した日本最大級のスタートアップの祭典だ。スタートアップブースは創業3年未満のスタートアップに限定して提供するブースだ。起業家や投資家のほか、TechCrunch読者や大手企業の新規事業開発担当者など、スタートアップを取り巻くさまざまな関係者に出会うことができるはずだ。ブースは30社限定。興味のあるスタートアップは是非とも出展を検討してもらいたい。

スタートアップ・デモ・ブース申し込みページはこちら
イベント名:TechCrunch Tokyo 2015(ハッシュタグ #tctokyo)
イベント開催日:11月17日(火)、18日(水)
会場:渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区渋谷2−21−1)
出展料:5万8320円(税込み。2名分の参加チケットが含まれます)
販売数:30ブース
条件:創業3年以内の企業
主催:AOLオンライン・ジャパン株式会社
問い合わせ先:event@tc-tokyo.jp

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この折り紙ロボットは、歩くだけでなくジャンプもできる

現時点で、地球上にはバッタよりも折り紙ジャンプロボットの方がたくさんいると私は思う。その最新版、Tribotは形状記憶合金を使用して尺取り虫のように這いまわり、バッタのように飛び跳ねる。

このロボットは「身長の7倍ジャンプ」し、ジャンプとジャンプの間に休む必要がない、とスイス連邦工科大学ローザンヌ校再構成可能ロボット工学研究所のJame Paik研究員は言う。

なぜこの小さなロボットが重要なのか? それは事実上使い捨て可能でありながら様々なすごいことができるからだ。初代折り紙ロボットと同じように、この小さな奴は自然界に放り出されてデータや標本を集めて帰ってくることができる ― あるいはそのまま死んでしまうことも。

「このロボットには数多くのアクチュエーター(作動装置)が付いていて、それぞれが互いに独立している。アクチュエーターを起動することによってロボットが這い始める。ジャンピングモードでは、これも形状記憶合金で作られたバネを使用している」と共同制作者のZhenishbek Zhakypovは言った。

via Phys.org

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型機Roomba 980は家中をマッピングして‘ぶつかり認識’を減らす

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今あなたが寝ていることが分かるし、起きてることが分かるし、子どもがシリアルをカウチの横にこぼして、それを犬で隠したことも分かる。Roombaの最新モデルRoomba 980は、円形のロボット掃除機に新しい仕掛けを加えている。前のモデルは物にぶつかったり、階段の端に来ると方向を変えたが、新型機の980には低解像度のビデオカメラがあって、ユーザの家の“地図”を作り、何がどこにあるかを覚え、仕事をしながら部屋のレイアウトを確認している。

新型Roombaは“仮想同時位置認識および地図作成(visual simultaneous localization and mapping, vSLAM)”と呼ばれる技術を使って“自分の位置を認識し、すべての面を清掃する”。つまりこのRoombaはまだやってないところを自覚し、2時間ぶっ続けで労働し、充電し、終わるまでまた仕事を続ける。同社のプレスリリースは、“Roomba 980は広いスペースでは平行線を描きながら効率的に清掃し、また必要な場合には一連のセンサを利用して複雑な形状にも適応し、家具の下や散らかした物のまわりをなめらかに走行する”、と書かれている。

Roombaがぼくたちのベッドルームをスパイする、と心配する前に理解しよう。そのカメラはきわめて低解像度で、走行した距離の計算に利用されるだけだ。家の中の個々の物…椅子、テーブル、猫、などなど…を認識する能力は、少なくとも今度のバージョンにはない。しかし電子回路は消費電力も小さいから、この機はvSLAMを使って位置認識を行うが、悪辣非道な盗撮カメラの能力はない(何ごとにも‘初め’はあるものだが)。

Roombaの勤務時間はインターネットとアプリを使ってスケジューリングできる。ぼくはvSLAM技術の初期のデモを見る機会があったが、前のようにあちこちぶつかりながら部屋を掃除する方式に比べると、ずっとおもしろい。vSLAMもぶつかり方式も、元々は地雷原などを走査するための軍用ロボットの技術だ。でもvSLAMによってRoombaのお仕事はずっと効率的になったし、子ども部屋などは昔から地雷原だから、家庭の兵器庫にぜひ一台備えておきたいね。

この新型掃除機は899ドルで今日発売だ。ぼく的には、vSLAM装備のロボット真空掃除機に地球と人類が支配されることを、歓迎したいね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

このTeslaの生産ラインを見よ、イーロン・マスクがロボットを恐れるなんておかしい

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Elon Muskは、ロボットがAIの力を借りて人間を支配すると警告した。彼は、そうならないために寄付までした。しかし、Teslaがロボットにかなり依存していることは紛れもない ― たとえ会社をスカイネットに変えようとしてはいなくても。

Muskは今年、AIは「悪魔を召換する」と評した。 しかし彼は、今もそれは不可欠であるとも言った。

[われわれがデジタル超知能体の単なる生物的ブートローダーにならないことを願う。残念ながらその可能性は日々高まっている]

Muskが投稿した新しいTeslaの生産ラインの写真には、人間がひとりもいない。もちろん、裏にはロボットがマシンガンか何かを作らないよう見張っている人がいることは間違いない。彼の説明文によると、そこにはロボットが542体いて同時に15体が動いている。Teslaがこうした生産ラインを数多く稼動するようになれば、車を送り出すことはずっと簡単で早くなるに違いない。

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大そうな数のロボットだ。ただし、善のため。Muskの言う邪悪な「ロボカリプス」ではもちろんない。もし彼らがハックされ世界に放たれるようなことがあれば、恐ろしい大惨事を起こすかもしれないもちろん心配することは何もない。

数週間前、ヘビのようなロボット的物体が一部の人々をおののかせたが、心配はいらない…彼らが玄関ドアをノックしてTeslaを売りつけに来ることはない。

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今のところ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電通ベンチャーズが始動、MIT発のロボットベンチャー「Jibo」に3.6億円の出資

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4月に発表された電通とフィールドマネジメント・キャピタルによるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「電通ベンチャーズ」。50億円のファンドで海外にも投資をするとしていたが同ファンドがいよいよ動き出した。電通ベンチャーズは8月6日、ベンチャー投資ファンド「電通ベンチャーズ1号グローバルファンド」を通して、米国のロボットベンチャーJiboに約3億6000万円の出資をしたことをあきらかにした。

Jiboはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授のシンシア・ブリジール博士が立ち上げた、ソーシャルロボット「Jibo」を開発するスタートアップだ。ソーシャルロボットと言ってもピンとこないかも知れないが、音声や感情認識、自然言語処理、機械学習といった技術を組み合わせ、さらにディスプレイや動作で感情表現もするロボットなのだそう。以下の動画を見てもらうのが分かりやすいだろう。まるでピクサーのアニメーションにも出てきそうなロボットだが、この動きはすべて2つの軸(つまり体のパーツはたった3つの部位で構成されている)で実現している。

ロボット自体は現在開発中で2015年内にもプレオーダー(JiboはクラウドファンディングのINDIEGOGOで371万ドルをも集めているが、その出荷分だ)に対応。2016年にも正式に販売する予定だそう。日本での販売は2017年の予定だ。

電通ベンチャーズでは、ビッグデータやデータ分析、AI、IoT、ニューメディアやニューデバイス、リテール・コマース、Fintech、デジタルヘルス、Edtech、宇宙など、幅広い領域に対して、ワールドワイドで投資をしていくとしている。ちょっと気になったのが広告領域の投資については明言していないことだが、5〜10年先を見て、変革する領域に出資するというのがテーマだとしている。金額的には シード期で2500万〜1億円程度、 レイターで5億円程度までの出資を予定する。なお今回、電通ベンチャーズのほか、KDDIなどJiboに出資を実施しており、同社が日本進出を意識していることが伺える。

ロボットタクシーの実現に向けて—DeNAとZMPが合弁会社設立へ

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遺伝子解析からアイドル、キュレーションメディアまで新規事業を続々と発表しているディー・エヌ・エーだが、今度はZMPと組んで、ロボットタクシーの実現に向けて動き出した。両者は5月29日をめどに、合弁会社を設立。自動運転技術を活用した旅客運送事業の実現に向けた研究・開発を進めると発表した。

合弁会社の社名は「ロボットタクシー」(仮称)。資本金は7億円で、出資比率はDeNAが66.6%、ZMPが33.4%となっている。ZMP代表取締役社長の谷口恒氏が取締役会長に、DeNA執行役員 新規事業推進室長の中島宏氏が代表取締役社長にそれぞれ就任する。

ZMPは2001年の創業。当初はコンシューマ向けのロボットの開発・販売を手がけていた。30代以上の人であれば、同社のロボット「PINO」をアーティスト、宇多田ヒカルの「Can You Keep A Secret ? 」(2001年のヒット曲だ)のプロモーションビデオなんかで見たことがあるかもしれない。

そんな同社は現在、ロボットの技術を応用した自動運転技術開発用プラットフォーム「RoboCar」シリーズやセンサシステムの開発・販売を主力事業としている。IPOが間もなくと噂されたり、直近ではビジネスメディアへの露出も多いロボット関連の注目企業だ。

発表によると、合弁会社では DeNAのネットサービス運営ノウハウとZMPの自動運転に関する技術を連携させることで、ロボットタクシーやロボットバスなどの旅客運送事業の実現を目指すという。まずは自動運転技術の向上やサービスモデルの仮説検証などの実証実験を重ねていく計画だという。

DeNAはプレスリリースで次のように説明している。

過疎化や高齢化の進む地域のお年寄りや子ども、障がいのある方など不便な生活を送られている方々のサポートの役割なども担う新たな交通手段を実現させることでもあると考えており、ロボットタクシー事業の実現を通じて、将来的には日本の地方創生・地域再生の一助にもなれればと考えています。

また今回の発表にあわせて、DeNAでは「DeNA AUTOMOTIVE」のサイトをローンチしている。

メタップスが今度はロボット領域に進出、ユカイ工学と組んで開発者のマネタイズ支援

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決済、人工知能と新しい領域に次々と進出しているメタップスだが、今度はロボット開発者向けのマネタイズ支援プラットフォーム「Metaps Robotics」を提供するという。これに先駆けて4月7日、ユカイ工学との業務提携を発表した。

国内でもハードウェアやIoT関連のスタートアップが徐々に立ち上がっているが、メタップスでは開発者のマネタイズには課題があると説明。そのマネタイズを支援する開発社向けのプラットフォームを今夏以降提供していくという。

提携するユカイ工学は、ソーシャルロボットの「ココナッチ」、家庭向けコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」などの自社プロダクトとして展開。BOCCOは現在Kickstarterにて2万ドル以上を集めて、プロジェクトを達成させている。また同時に、IoT関連の受託開発も幅広く手がけている。最近では電通ブルーが発表したスマートロック「246(ニーヨンロック)」なんかも同社が手がけている。

今後は両者の知見とノウハウを融合させて、クラウド、センサー、ハード、アプリを連動させた新しいビジネスモデルの確立とロボット産業の発展に寄与する——としているのだけれども、正直それだけでは何をするのか分からない。そもそもこのタイミングでなぜメタップスがロボット開発者支援をするだろうか。

メタップス代表取締役の佐藤航陽氏にその詳細を聞いたところ、「現在のスマートフォン向けのアプリ収益化プラットフォームを、時計やテレビや車などあらゆるスマートデバイスに広げていきたいと考えている。自社でAIに関しても投資をしてきたので、今後はIoTとAIの融合によるロボット市場の拡大も期待した上で、これまでのノウハウを有効活用できると考えている」という回答を得た。

さらに実際のマネタイズについては「ECと広告を予定している。SPIKEの決済でEC支援を手がけてきたのでこれを活用していく。広告に関しては、メタップスで提供してきた広告エンジンを横展開。より適切なマッチングを行って開発者に収益を分配したい」としている。なお、ロボットの製造支援といった部分にはタッチせず、あくまで開発者のマネタイズ支援を手がけるとのこと。

これまでスマホアプリやウェブサイトで手がけてきたマネタイズをロボットやIoT領域にも生かすということのようだが、その詳細は現時点ではまだはっきりとは分からない。実際サービスが始まるタイミングで改めて聞いてみたい。

ウィンクル、2000万円調達でコミュニケーションロボット製作に着手

スマートフォン向けアクセサリ「AYATORI」を開発するウィンクルは、プライマルキャピタルを割当先とした2000万円の第三者割当増資を実施した。今回の資金をもとに、コミュニケーションロボットの製作に着手するという。ちなみにプライマルキャピタルはインキュベイトファンドが出資をする「ファンド・オブ・ファンズ」の1つ。インキュベイトファンドのアソシエイトである佐々木浩史氏が代表パートナーを務める。

ウィンクルは2014年2月の設立。代表取締役の武地実氏は、大阪大学工学部で原子力について学びつつ、専門学校でグラフィックデザインを習得。その後はTokyo Otaku Modeなどスタートアップ数社にインターンとして参加し、とあるハッカソンにてAYATORIの原型となるプロダクトを企画した。クラウドファンディングの「CAMPFIRE」で資金を集めてプロトタイプを作成し、さらにインキュベイトファンドが実施するインキュベーションプログラム「Incubate Camp」などに参加して製品をブラッシュアップしていった。

2014年8月にはクラウドファンディングの「Indiegogo」で資金を集め(プロジェクト達成金額には満たなかったが、Indiegogoでは集まった金額だけを得ることができる。ただし手数料はプロジェクト達成時より高くなる)、同年12月に製品を発売した。

プログラミング教材にもなった「AYATORI」

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AYATORIはスマートフォンのイヤフォンジャックに挿入して利用するアクセサリだ。あらかじめ自分の趣味をアプリに登録しておくと、同じ趣味のAYATORIユーザーが近くにいるときに、互いのAYATORI内に内蔵されたLEDが点滅する。Bluetooth Low Energy(BLE)で通信する。すでに街コンなどのリアルイベントで利用実績があるほか、神奈川県のある中学校では、プログラミング学習のために200個が導入されているという。

武地氏いわく学校導入はイヤフォンジャック接続というのがポイントだったそうだ。その学校はセキュリティの関係でUSB接続のデバイスが持ち込めなかったのだが、AYATORIはイヤフォンジャック接続で、かつAPIを公開していたため、中学生向けのプログラミング用教材として評価されたという。AYATORIはこれまでに初回ロットの約1000台がほぼ完売という状況で、増産を予定している。

新プロダクトはコミュニケーションロボット

同社は今回の調達をもとに、新たなプロダクトとなるコミュニケーションロボットの設計やプロトタイプ制作を進める。ただしロボットと言ってもモーターで駆動を制御するようなモノではないそうだ。

武地氏は初音ミクのライブ(特殊なスクリーンに初音ミクの映像を映し、同時に音楽を再生することで、あたかもCGが実際にライブを行っているように見せている)を例に挙げつつ、「スクリーンに映ったCGと対話することでコミュニケーションをとったり、接続された家電を制御するようなデスクトップサイズのプロダクトを作る」と話す。例えばユーザーの趣味趣向を聞いて最適なニュースを配信する、天気予報をに回答する、気温が暑いか寒いかを尋ね、その回答にあわせてエアコンの温度を調節するといった具合だそうだ。

ただし、資金調達を発表した時点では、具体的なテクノロジーやプロダクトのイメージ図などは一切公開されていない。

AYATORIの開発実績があるとはいえ、新しいプロダクトについてはまだ何も情報がなくてちょっと不安なのは正直なところだ。武地氏もそれは認めるところで、まずはオープンソースのAIや音声認識などを組み合わせたプロトタイプを年内にも公開するとしている。


PepperとRingの共演に見る近未来のUI

「Ring」との共演も見せた「Pepper」

TechCrunch Tokyo 2014の1日目、2014年11月18日に開催されたセッション「ロボットのいる生活と近未来のUI」では、ソフトバンクロボティクスでPepper事業を手がける吉田健一氏、ユカイ工学の青木俊介氏、指輪型デバイス「Ring」を作るログバーの吉田卓郎氏がロボットとともに登壇した。

壇上には、ソフトバンクが2014年6月に発表したロボット「Pepper」が登壇者とともに立っている。そしてユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO」がテーブルの上にスタンバイしている。これらロボットと人間が、どのようなUIでコミュニケーションを取っていくのか。それはソフトウェア開発者にとっても、ベンチャー起業家にとっても、新たなフロンティアとなる領域だ。

Pepperが「マホウノツエ」で家電を制御、「Ring」で人とコミュニケート

ソフトバンクが2014年6月に発表したPepperは、プラットフォームとして開発されたロボットだ。PepperをめぐるテクニカルカンファレンスであるPepper Tech Festival 2014の場で、ユカイ工学はPepperに対応するソリューションとして「マホウノツエ」を公開した。赤外線通信機能を備えたマホウノツエをPepperが手に持ち、Pepperがテレビやエアコンを魔法でコントロールしているかのような光景を作り出した。

「魔法」をイメージしたというデバイス、ログバーのRingもPepperのためのUIとして活用可能だ。会場で見せたビデオでは、Ringのを付けた指の動き、つまりジェスチャーによりPepperを呼ぶ様子や、今日の予定をPepperに聞く様子が描かれていた。ログバーの吉田氏によれば、RingでPepperに指示を出すデモは、「3日ほどでつなぎ込みができた」そうだ。

ログバーの吉田卓郎氏

家庭を結ぶタイムライン、コミュニケーションロボット「BOCCO」

壇上に置かれていたもう1つのロボットBOCCOは、家庭のためのコミュニケーションロボットだ。公開したビデオでは、両親が共働きで帰りが遅い家庭をイメージしたユースケースを紹介した。子どもが帰宅した際、ドアに付けたセンサーを通じて職場の父親に通知がなされる。それを受けて親が子どもにメッセージを送ると、BOCCOは送られたテキストを読み上げてくれるのだ。

もちろんスマートフォンでテキストメッセージを送ることは容易なのだが、「小さな子どもにスマートフォンを持たせたくない親は多いはず」と青木氏は言う。自由度が大きなスマートフォンを小さな子どもに与えると、YouTubeで時間を使いすぎたり、怪しいサイトを開いてしまったりすることはいかにもありそうだ。BOCCOはロボットとしての個性、つまり人とコミュニケートするための性質を備えたデバイスとして作られているのだ。

Pepperを教育に、人にインプットするのではなくエンゲージする

ソフトバンクロボティクスの吉田健一氏

 

ソフトバンクロボティクス吉田氏は、Pepperにはパソコンやスマホにはない「人との関係」、エンゲージメントがあると強調する。「Pepperに入っているデバイスの技術は、実はそれほど革新的というわけではない。何が(今までのデバイスとの)違いかというと、生き物に見えるかどうか。社長(ソフトバンクロボティクス代表取締役社長の冨澤文秀氏)の2歳の子どもは、Pepperに一所懸命パンを食べさせようとする。子どもが見て生き物だと思うという関係性はパソコンやタブレットではありえない」。

ユカイ工学の青木氏もBOCCOの見た目が「ロボットっぽい」ことは重要だと考えている。自動販売機も自動改札機も、例えばユーザーの年齢を判別して挙動を変える高度な動作をする点ではロボットと呼べるかもしれないが、ユーザーは人とコミュニケートする機械とは認識しない。このセッションの文脈での「ロボットらしさ」とは、人とコミュニケートするデバイスとしての個性のことだ。

ユカイ工学の青木俊介氏

ソフトバンクロボティクスの吉田氏は、人間との関係の例として、 教育へのPepperの応用について話した。Pepperが子どもに教えるというやり方では、タブレットによる学習となんら変わらない。だが子どもと一緒に学習するスタイルだと関係が変化する。例えばPepperがわざと間違えて、子どもがそれを指摘する方が、子どもの学習スピードは上がるという。「インプットじゃなくエンゲージする、一緒に間違える」――そのようなコミュニケーションがロボットには可能なのだと吉田氏は言う。

セッションの最後で語られたのは、セキュリティ問題だ。Pepperは人と濃密なコミュニケーションをする目的のロボットだが、それは裏を返せばソーシャルハッキングの道具として使われる可能性があることを示している。「Pepperが子どもに『好きな人はいる?』などと聞くと、思わず答えてしまうかもしれない」(ソフトバンクロボティクス吉田氏)。Pepperのアプリストアでは、手作業でセキュリティチェックを実施する方針という。


頭脳を得たロボット、もたらすのは「産業の革新」か「脅威」か

編集部注:この原稿は経営共創基盤(IGPI) パートナー・マネージングディレクターでIGPIシンガポールCEOの塩野誠氏による寄稿だ。塩野氏はこれまで、ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニー、ライブドア、自身での起業を通じて、国内外の事業開発やM&Aアドバイザリー、資金調達、ベンチャー企業投資に従事。テクノロジーセクターを中心に企業への戦略アドバイスを実施してきた。そんな塩野氏に、遺伝子人工知能、ロボットをテーマにした近未来予測をしてもらった。第2回目の本稿では、国内でも様々な分野で話題の人工知能について解説してもらう。なお塩野氏は東京大学の松尾豊准教授と共著で「東大准教授に教わる『人工知能って、そんなことまでできるんですか?』」を出版している。

街路樹も色づき木の葉を落とす季節になってきた。人間なら落ち葉に何かを感じるかも知れないが、ロボットはそれをどう感じているのだろう?

80年代のロボット映画「ショートサーキット」では、ロボットがスープをこぼしたシミを見て、最初は「水、塩、グルタミン酸ナトリウム」とその成分について言うが、そのうちにシミが「植物のカエデの形に見える」と言いだした。ロボットが人間のように「気づき」を獲得したシーンだ。前回、人工知能は人間の「気づき」を模倣出来るかと書いたが、今回は「人工知能が物理的な出力を持った状態」ともいえるロボットについての話をしたい。

そもそロボットとは何か? ロボットの定義は難しく、人型から猫型、クモ型まで幅広いが、ここでは「人間の代替として自律的に動作を行う機械」と定義してみよう。最近ではソフトバンクのPepperが「会いに行けるロボット」として登場したことも記憶に新しい。

Pepperは人型ロボットだが、ロボットの形はヒューマノイド(人型)と決まっているわけではない、東京工業大学広瀬・福島研究室の開発した四足歩行ロボット「TITAN」は「ザトウグモ」を模して作られているし、米国で内視鏡手術の為につくられた「Da Vinci(ダ・ヴィンチ)」はまさに人間の手の代わりとなるロボットアームである。ダ・ヴィンチは動作倍率を縮小することが可能であり、操作する人間側は患部を拡大して確認しながら、ロボットアーム側では動作を縮小して作業を行うことが出来る。YouTubeではダ・ヴィンチを使って折り紙の鶴を折る様子を見ることができる。

ロボットアームは人間の手の延長だが、自律的な動作をするロボットの仕組みは、簡単に言えばセンサーで周辺環境を認識し、コンピュータでセンサーの情報を処理し、制御によって目的となる動作を出力するということになる。このコンピュータの部分は人間が動作を予め設計しておくプログラムと、人工知能によってアルゴリズムが自律的にフィードバックを行い、学習していく2つがある。Pepperには人工知能が搭載されているし、前回の記事でもあったように人工知能はディープラーニングの進展等によって新しい段階を迎えている。つまりロボットの頭脳に革新が起こっているのだ。

ロボットの頭脳の開発を進めている企業、つまりソフトウェア陣営からロボットにアプローチをしているのがシリコンバレーのいつもの顔、Googleだ。Googleは東大発のベンチャーでヒューマノイドロボットを開発したSCHAFTを買収し、MITとも関係の深い米国のロボット企業Redwood Robotics、DARPA(米国国防高等研究計画局)との協力による「BigDog」という4足歩行ロボットで有名なBoston Dynamics、ドローン(無人飛行機)開発のTitan Aerospaceも買収している。Titanは過去にFacebookが買収交渉しているとも報じられた企業だ。グーグルが約3200億円で買収したNest Labはサーモスタット(室内温度調節器)の会社だが、センサーで情報を集め、アルゴリズムで処理し、空調を制御しているという意味ではロボットと言えるだろう。

家庭に入ってくるロボットは人型とは限らない。マーケットでは高値買いの声も聞かれるが、約6兆円の現金を持つグーグルであればこの領域にベットしておくことは高くはないのかも知れない。

グーグルは人工知能の研究開発を行っているDeepMind Technologiesを買収
しているが、こうした動きに関わらず、人工知能とロボットの融合は進むだろう。人工知能の行く末は「人間らしさの追求」というよりは、「人間には理由が理解できないが、その人工知能が下す予測がいつも正しい」といった姿だ。

一方、人間と同じ形をしていなくても旧来からのFA(ファクトリーオートメーション)の現場で溶接や塗装などをしていた産業用ロボットが活躍している。こうしたロボットはプログラムされた単純作業だけでなく、複数の作業に対応したものへと進化している。この分野では日本は非常に進んでおり、ソフトウェアやアルゴリズムで完結する世界から、熱と摩擦の発生する物理的なロボットの世界になれば日本に一日の長がある。日本は産業用ロボットの稼働率において世界一であり、自動車・電機といった産業向け開発で磨かれてきた技術はセンサーやサーボモータといった周辺技術の充実もあり、未だに競争力のある分野である。人工知能の研究者達がシリコンバレー企業にAcqui-hiring(人材獲得のための買収)されているが、人工知能とロボットの融合の過程で日本の産業界にも事業機会が起こり得るだろう。

日本の産業界の動きを期待する一方で、前出のベンチャー企業SHAFTはDARPAと共同開発を行い資金支援も受けていた。そして日系企業から資金提供の無いままグーグルに買収された。DARPAは米国国防総省の機関であり、最先端技術の軍事転用の為の研究開発に積極的に投資を行っている。ロボット開発に対し短期的な収益目的ではなく、長期的な研究開発環境を提供するのは企業にとって株主への説明責任等のハードルもあり、なかなか経営判断も難しい。

また、日本のハイテク企業の経営者達が人工知能搭載のロボットに積極的でない理由に、政府も数百億円規模で支援した1980年代の人工知能ブームの後に産業化しなかったという記憶があるためだ。そして事業計画上、人工知能ロボット開発が短期的に収益化するという説明も難しい。グーグルであれば、人工知能開発への積極投資は「広告の最適化」で説明可能なのだ。日系企業が手をこまねいている間に人工知能、ロボットの技術が米国に買われていく、そうであれば日本は公的な資金提供者が産業政策に鑑みて投資機会を精査していくべきだ。ゲノム、ソフトウェア、金融テクノロジーで日本が経験した競争環境のデジャブが現在のロボットビジネスだ。

またロボット開発においては国際的なルール作りを巡る議論が活発化するだろう。Amazonがドローン(無人飛行機)での配送サービスを計画して話題となっていたが、軍用ドローンではすでに自動的に標的を選ぶという機能が搭載されている。軍用、特に戦闘用ドローンの実戦配備は今後も進んでいくと考えられるが、現在はハーグ陸戦条約におけるマルテンス条項(編集部注:ざっくりした説明になるが、ハーグ陸戦条約では、おもに戦争や戦闘の定義やその規制を定めている。その中でも人道や公共の良心といった観点で新兵器の使用を制限しているのがマルテンス条項だ)に自律型ロボット兵器は抵触しているとされながら、ロボット兵器の国家間での具体的な規制が未整備だ。日本政府もロボットに関するルールメイカーとしての主導的なポジショニングを視野に入れるべきだ。

これまでに取り上げたバイオインフォマティクス、人工知能、そして今回のロボットに関する先端技術はインパクトの大きい領域であるだけに、それらがネガティブな利用をされた時のインパクトも計り知れない。そしてこれらの技術は相互に関係する。人工知能搭載の自律型ロボット兵器やバイオインフォマティクスでつくられた新しいウイルスに人類が脅かされるべきではない。今は人間の理性と倫理観が試されている。読者の皆様がそんなことを少しでも考えていただければ幸いである。

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pasukaru76


このロボットは、ワイン評論家より確かなテイスティングをする

ロボットが、ワイン評論家のすてきな仕事を奪うかもしれない。デンマークの研究者グループは、高価なワインが安物より本当においしいかどうかを確かめるために、人工の舌を作った。

最初にACS Nanoで発表されたこの研究は、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく光学ナノセンサーを使って、ワインの辛さによる感覚を人がどう体験しているかを認識できると主張している。そして、このナノセンサーは、タンニンが味覚を刺激する程度を、最高のワイン評論家以上に判定できると言う。
ひとすすりする価値があるかどうかを決めるのは人間であってロボットではない、と異議を唱える向きもあろう。しかし、アーハウス大学の研究者らは、ナノセンサーには人間評論家のような個人的先入感がないと指摘する。それは当たっているかもしれない。ワインテイスティングの方法には様々な要素がある。ブドウの種類から、土壌のミネラル、ブドウがどんな太陽光を受けたかに至るまで、あらゆるものが、シーズン毎のワインの味と香りに化学的影響を与える ― 同じブドウでさえも。

MarketWatchによると、毎年750 mlボトル314億本分のワインが世界で流通している。ワインには、ある種の標準評価がつけられているものもあり、ワインパーソナリティーやそのお薦めの熱烈なファンもいるが、誰もがそれぞれ異なるテイストを持っている。このため、近所の食料品店でワインを選ぶことは非常に難しい。

PhDの学生、Joana Guerreiroもセンサーの開発に参加した。ナノサイエンスを使用して、ワインの辛さを人間がどう体験するかを測定できるという。写真:Lars Kruse, Aarhus University.

このワインは皮表紙の本とマホガニーの香りがする、と言う代わりに、ナノセンサーは、そのワインにどれほど収斂性があるかだけを教えてくれる。そのために、口の中の分子を測定する。

「その感覚は、ワインの有機物と口内のタンパク質の小さな分子間の相互作用によって生まれる。この相互作用によってタンパク質の構造が変わり凝集が起きる。これまでは、プロセスのかなり遅い時期に起きる凝集に焦点が当てられていた。

このセンサーを使って、われわれはタンパク質が結合と構造の変化、即ちプロセスの初期段階を模倣する方式を開発した。これはより感度の高い方法であり、収斂効果をより正確に再現できる」とJoana Guerreiroは言う。

研究者らは、この技法自体は新しいものではなく、これを使って分子の数だけでなく、効果を測定できるセンサーを開発した点が新しいのだと指摘する。そして、この技法を適用できるのはワインだけではない。

アーハウス大学は公式ウェブサイトで、この機器を支えている科学は、標的薬を開発するために分子レベルで適用することもできると書いている。「このセンサーは診断目的にも利用できる。病気の発見、さらには予防にも役立つ可能性がある」と同研究の主任研究員、Duncan Sutherlandは語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ダイソンが掃除ロボット市場に参入、「ダイソン 360 Eye」を日本で発表

今日の夕方、東京タワーのふもとにある東京タワースタジオというところで、家電メーカーのダイソンが派手なメディア発表会を行い、創業者のジェームズ・ダイソン氏自ら新ジャンルへの参入となる製品「ダイソン 360 Eyeロボット掃除機」を多数の報道陣の前で披露した。ダイソンといえば、サイクロン掃除機や羽根のないファンなどで知られるが、2015年春に発売予定という新製品は、2002年にiRobotのルンバが切り拓いたロボット掃除機市場だった。価格は未定だそうだ。

ルンバには類似した製品が多く登場している。ダイソンは今回の新製品を「最も吸引力の高いロボット掃除機」とうたう。吸引力をのぞくと、既存のロボット掃除機とダイソン360 Eyeの違いは、大きく3つある。1つはサイズがふた回りほど小さいこと(その分、ちょっと高さがある)、そして360度の全方位をパノラマ30fpsで撮影(認識)する独自のカメラを搭載していること。最後の1つは駆動系に車輪ではなく、キャタピラのようなベルト駆動方式を採用していることだろう。

360度カメラと赤外線センサーで常に全周を認識することで、部屋の中に定点観測するポイントを探し出し、そうした観測ポイントを基準に部屋をマップを作成し、効率よく巡回できるのが特徴だという。常に360度ぜんぶが見えてるので、一方向にしか見えないカメラと異なり、「一部の視界がさえぎられても問題がないし、後ろを見るために回転する必要もない」(ダイソン氏)という。

ルンバは壁にぶつかっては角度を変えて動き出し、というランダムウォークを繰り返すことで部屋を掃除する。これに対して、ダイソン360 Eyeは蚊取り線香を真四角にしたような軌跡で部屋を、重複なく掃除するのだという。ルンバとは名指ししなかったが、ダイソン氏は「ランダムな動きはパーフェクトとは言えない。なぜならバッテリーを無駄遣いするからだ」と繰り返しながら説明とデモを行った。ダイソン360 Eyeは未掃除部分を常に認識しているそうだ。

ベルト駆動方式を採用している点も、既存製品を利用したことがある人なら、なるほどと思うかもしれない。車輪方式ではフローリングとカーペットの境目で片輪だけが滑り、進行方向が変わってしまうようなことがある。また、少しぐらいの段差やモノであれば、乗り越えることができるそうだ。朝オフィスに来たら、電源タップとイーサーネットケーブルの塊に「座礁」しているルンバもカワイイと思わなくもないが、救助活動なしに完全自走式で掃除してくれると楽かもしれない。

iPhoneやAndroid向けに「Dyson Linkアプリ」を用意していて、外出先や海外出張先からでもダイソン360 Eyeの掃除の様子を確かめたり操作できる。曜日ごとの掃除スケジュールなんかもあるそうだ。


StarwoodホテルチェーンがクパチーノのAloftホテルに「ロボット執事」を導入

ロボット最近ではどこにでもいるが、今度はホテルの中を歩きまわるようになった。Starwoodは世界最大のホテルチェーンの一つだが、A.L.Oと名付けられたバトラーならぬ“ボットラー”をクパチーノのAloft Hotelに導入した。

このSavioke製のロボット執事はホテル中を歩きまわり、エレベーターに乗ることもできる。接客係としても裏方としてもでもさまざまな業務をこなせるが、当面の主な役目は客室にアメニティーを届けることにあるようだ。ホテル側はボットラーは「単純な業務を肩代わりすることによって人間の従業員がさらに創造性を要する仕事に携わる時間を増やすことができる」としている。

宿泊客が余分な歯ブラシやタオルが必要になるとホテルの従業員がロボットの荷物コンパートメントに要求されたアイテムを入れる。部屋番号を入力するとロボットは自分で道を探して配達に出かける。

WiFi/4G接続機能を備えたロボットはホテルのエレベーターソフトウェアと接続してエレベーターに乗り込み、センサーでゆくてを感知して人や物との衝突を避ける。

ホテルによれば、Botlrロボットからアイテムを受け取った客は、サービスに満足したときはチップの代わりに#MeetBotlrというハッシュタグでツイートして欲しいそうだ。ロボット執事は現在「研修中」で、実際に接客を始めるのは10月20日の予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


この紙は、自らを折り畳んでロボットになる

想像してほしい。平らなシートの束が宇宙に送られ、自らを折り畳んで衛星になったり、崩壊したビルに送り込まれた平面ロボットが、自分自身を組み立てて作業する場面を。そんな未来が十分可能になった。人の手を借りることなく自らを折り畳んで動くロボットが、昨日世界で初めて公開された。

ハーバード大学の大学院生、Sam Feltonは、ハーバード大学SEASおよびMITの仲間と共に、自己折り畳みロボットを作った。複雑な3D形状を作り上げる折り紙からアイデアを得たもので、Science誌で公開されている。

Feltonによると、このロボットは、複合紙および折り畳み可能回路基板で作られ、おもちゃのShrinky Dinks[プラ板]― 加熱されると、縮んで小さく固くなる ― を利用している。これらの材料を使うと、安価なロボットを早く作ることができるが、Felton曰く、将来もっと良い材料を使えば、手の届かない場所で物体を組み立てるのに役立つだろうと言う。

下のビデオでは、平らな1枚の複合紙が、立ち上がってロボットの形になり、ちょこちょこと走っていく姿を見ることができる。このプロジェクトは、未来の挑戦に無限を可能性を与える、興味深いスタートだ。[訳注:1:00付近からロボットが動く]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Googleが買収したBoston DynamicsのBigDogロボットを海兵隊がリムパックでテスト

この1分間のYouTubeビデオにはGoogle傘下Boston DynamicsBigDogロボットを海兵隊がハワイの演習場でテストする様子が撮影されている。このテストは大規模な多国籍海軍演習、リムパックの一環として行われている。

DARPAと海兵隊はL3S(Legged Squad Support System)〔脚移動式分隊支援システム〕実用化に取り組んでいる。この“pack mule”(荷ラバ)ロボットの目的は複雑な地形で兵士と共に行動して重量物を運搬することだ。ビデオにはまさにその様子が写っている。

Brandon Dieckmann上等兵は、実験の初日に、「このロボットは他の輸送手段では通行が不可能が深い藪の中を抜けてわれわれのチームと行動を共にしました」と語っている。

「最初は皆このロボットがこんなに踏破力があるとは思いませんでした。私の感触では、このロボットはわれわれが歩ける場所の70%から80%を歩けるようです」とDieckmann上等兵は言う。

ちなみに、この恐ろしげな様子のロボットが運んでいたのは水を入れた水筒などの補給物資だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


投げられたラケットなどもキャッチできるスーパー・ロボットアーム登場

ロボットと人類が戦う時代になっても、ロボットに向けて何かを投げつけるようなことはやめた方が良いかもしれない。

ロボットに何かを投げつけるのは、攻撃として機能しないのだ。少なくとも今後、そうした攻撃でダメージを与えることはできなくなる。

それというのも、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究者が、超高速で動作するロボットアームを開発しているからだ。物体の形や軌道を1秒間に何百回も計算し、自ら蓄えたナレッジベースと連携して動作する。この仕組みを利用して、投げられた物体をキャッチすることができる。

ボール状のものはもちろん、ハンマーのような非対称な形のものでも対応できる。

キャッチする物体について学習して、形状や軌道の計算が行えるようになっている。たとえば空のペットボトルと、少し水を入れたペットボトルの軌道の違いなどにも、学習によって対応するわけだ。テニスラケットのように、特定の部分を掴まないとうまくキャッチできないものについても、やはり学習で対応するようになっている。

野球をプレイできるようになるのはまだまだ先の話だ。しかし、小さいながらも大きな進化の道をたどり始めたということができるだろう。

こうした技術の応用可能性にはどんなことが考えられるだろうか。もちろん、水の入ったボトルをキャッチできるというのは、家事にも役立つことがあるだろう。しかし研究者たちは、たとえば人工衛星や宇宙ステーションでの利用も視野に入れているのだとのこと。つまり宇宙空間を漂うデブリ(宇宙ゴミ)を回収したり、あるいは遠くに押しやったりするのに利用できる可能性があるとのことだ(「ゼロ・グラビティ2」を考えていた人にとっては不幸な話かもしれない)。

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(翻訳:Maeda, H