メタップスとLOCUSが業務提携、ゲーム向けの動画制作から分析までをワンストップにした「LOOP」を提供

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アプリ収益化プラットフォームの「metaps」や手数料無料の決済サービス「SPIKE」などを提供するメタップスが、動画制作・マーケティング支援を行うLOCUSと業務提携を行うと発表した。4月26日より、企画や制作から解析、その後の評価までワンストップで提供する動画コンサルティングサービス「LOOP(ループ)」を共同で展開する。

メタップスではこれまで、アプリをはじめとしたウェブマーケティングを展開してきた。動画広告に関しても、広告配信から効果の分析までを行う「メタップスアナリティクス(ローンチ当時はMetaps Video Analytics)」を提供するなどしている。一方LOCUSでは、これまで採用動画やアプリ紹介動画などの制作、動画広告の制作、運用などで豊富な実績を持つという。

今回スタートしたLOOPは、そんな両者の強みを生かしたサービス。LOCUS側で動画の制作を行い、メタップスが解析ツールを提供。施策の評価やコンサルティングを行うという。料金は動画のタイプによるが1本25万円から。

LOOPではまず、「LOOP for GAME」としてゲームアプリに特化した施策を展開する。また今後は市場のニーズに合わせてゲーム以外の業界に向けて特化型のサービス提供・商品の拡充を進める予定だ。

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動画広告とテレビCMの効果を統合的に分析、メタップスが新サービス

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8月28日に上場したメタップスが、上場後初となる新サービス「Metaps Video Analytics」を発表した。

Metaps Video Analyticsは動画広告のアナリティクスサービスだ。最大の特徴は動画広告の効果測定と、テレビCMの効果測定を統合して分析できる点。メタップスでは広告代理店からテレビ視聴率データの提供を受けており、これとスマートフォン向け動画広告の効果分析を統合的に分析することで、例えばスマホ向けの動画広告とテレビCMの効果を比較したり、その相乗効果を調べたりということが可能になるという。

Metaps Video Analyticsではこの動画広告とテレビCMの統合分析の機能のほか、主要動画メディアへの広告配信データの管理、主要動画メディアでの人気動画の統計データの閲覧、動画広告配信後のソーシャルメディア上でのクチコミデータの可視化といった機能を備える。料金は利用条件により異なるため応相談となっている。

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先日、元DeNA執行役員で同社のテレビCM制作にも携わっていた彌野泰弘氏による「『ハイパフォーマンスなテレビCM』がスタートアップの成長を加速させる」という寄稿を掲載したとおりで、スマートフォンアプリやウェブサービスのグロースにおいてテレビCMは無視できない存在になっている。だが莫大な費用のかかるテレビCMの効果を正確に、かつ1つのツールでウェブにおける広告効果と比較するようなことは難しい。メタップスはこういった課題を解決すべくこのサービスを開発したという。

「ツール上でアプリ、広告、動画広告、テレビCMが一元管理できるようになるので、効果測定がシャープになり、投資対効果が測れるようになるので、『次の一手』が打ちやすくなる。大きなタイトル持ってるアプリデベロッパーや海外アプリデベロッパーにも求められるツール」(メタップス)

 

アプリ分析サービスや決済サービスを手がけるメタップス、8月28日にマザーズ上場

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アプリ分析サービスを中心に事業を展開するメタップスが7月24日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場申請を実施し承認された。上場日は8月28日、証券コードは6172。

同社は上場にともない115万2000株を公募し、157万8000株を売出す。オーバーアロットメントによる売出しは27万3000株。主幹事証券会社はSMBC日興証券。価格の仮条件決定日は8月12日。ブックビルディング期間は8月13日〜8月19日まで。公開価格決定日は8月20日。

メタップスはアプリ分析・収益化サービス「metaps」を中心に、決済サービス「SPIKE」、ロボット開発者マネタイズ支援の「Metaps Robotics」などを提供する。

メタップスの創業は2007年9月(当時の社名はイーファクター)。当初はSEOや共同購入クーポンなどの事業を中心にしていたが、2011年からは前述のmetapsの事業を開始。社名もメタップスに変更。2011年以降はシンガポールやアジア圏、米国サンフランシスコにも進出している。2015年2月にはFenox Venture CapitalおよびFidelity Growth Partners Japanなどを引受先とした総額43億円の資金調達を実施。あわせて元金融担当・経済財政政策担当大臣の竹中平蔵氏をアドバイザーに迎えた。5月には、スクウェア・エニックス元社長の和田洋一氏を社外取締役に迎えている。

メタップスの連結業績は2013年8月期が売上高が13億167万円、経常利益は205万円の赤字、純利益は1226万円。2014年8月期は売上高22億6507万円、経常利益は5億1013万円の赤字、純利益は5億1081万円の赤字となっている。単体での業績は2013年8月期が売上高10億3617万円、経常利益は1979万円、純利益は3410万円。2014年8月期が売上高9億9679万円、経常利益は4億939万円の赤字、純利益は4億969万円の赤字となっている。

今回の上場承認を受けてか、メタップス代表取締役の佐藤航陽氏は自身のTwitterで「時間だ、始めよう。」というツイートを残している。

 

カード決済だけやるのではなく、金融システムを作りたい—メタップスが電子マネーを提供する理由

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2月に43億円の資金調達を実施し、人工知能によるデータ解析を元にしたアプリの分析・広告配信事業を展開しているメタップス。今では広告のほかに宇宙やロボット、オンライン決済などの事業を展開している。

そのオンライン決済プラットフォームである「SPIKE(スパイク)」に関するアップデートがあった。メタップスは6月2日、SPIKE上でプリペイド型電子マネー「SPIKEコイン」の提供を開始したことを発表した。

SPIKEは、ウェブサイトにリンクを設置するだけで利用できるオンライン決済サービス。月額100万円までの決済であれば無料で利用することができる。2014年3月にクローズドベータを開始。同年4月から一般公開をしている。

SPIKEコインはそのSPIKEユーザー向けの電子マネーとなる。大きな特徴は、毎年保有額の1%の電子マネーをユーザーに付与すること。また、SPIKEで決済した金額の最大5%の電子マネーが付与されるという。

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カード決済をしたいのではなく金融のシステムを作りたい

さてここまでが昨日発表されたリリースの内容。それではなぜメタップスが電子マネーを提供するのか? 代表取締役の佐藤航陽氏に聞いたところ、「そもそもSPIKE自体、決済だけをやりたかったのではない。金融のシステムを作りたかった」という答えが返ってきた。

SPIKEを立ち上げた際にも、「現在の『お金』が作り出した世界全体の矛盾を解消するのが目的」「通貨や経済システムも競争にさらされたほうが切磋琢磨してより健全になると考えていた」と語っていた佐藤氏。決済サービスは、そんな世界を実現するための第一歩だったのだという。「ポイント・電子マネーは加盟店が大事。まずはカード決済でその面を取れないか考えた。加盟店も増え、そろそろ(SPIKEコインの提供に向けて)いい時期になった」(佐藤氏)

メタップスがSPIKEで考えている金融のシステムだが、楽天の掲げる「楽天経済圏」のようなモノを作ることが当面の目標のようだ。加盟店の決済をおさえ、ポイントで顧客を囲い込みをする。顧客は共通のIDで、さまざまなサービスを利用していくというものだ。

とはいえ、SPIKEコインを提供する理由はそんな構想をぶち上げるためだけではない。SPIKEコインの流通によって、決済手数料が削減できるというメリットがあるという。通常カード決済を行うのであれば、トランザクションごとにカード会社の手数料がかかる。しかしそれがポイントに置き換われば同社のサーバ上での処理で済むため手数料がかからなくなる。

またメタップスでは、SPIKEコインで商品を購入したり、商品購入時にSPIKEコインが付与される「SIPKEマーケット」も立ち上げている。現状では商品数が20点もなくて寂しい状況なのだが、今後は希望があればSPIKE加盟店の商品も販売していく予定だ。「集客に困っている店舗もいる。店舗が希望すればその支援もしていきたい」(佐藤氏)

メタップスが今度はロボット領域に進出、ユカイ工学と組んで開発者のマネタイズ支援

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決済、人工知能と新しい領域に次々と進出しているメタップスだが、今度はロボット開発者向けのマネタイズ支援プラットフォーム「Metaps Robotics」を提供するという。これに先駆けて4月7日、ユカイ工学との業務提携を発表した。

国内でもハードウェアやIoT関連のスタートアップが徐々に立ち上がっているが、メタップスでは開発者のマネタイズには課題があると説明。そのマネタイズを支援する開発社向けのプラットフォームを今夏以降提供していくという。

提携するユカイ工学は、ソーシャルロボットの「ココナッチ」、家庭向けコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」などの自社プロダクトとして展開。BOCCOは現在Kickstarterにて2万ドル以上を集めて、プロジェクトを達成させている。また同時に、IoT関連の受託開発も幅広く手がけている。最近では電通ブルーが発表したスマートロック「246(ニーヨンロック)」なんかも同社が手がけている。

今後は両者の知見とノウハウを融合させて、クラウド、センサー、ハード、アプリを連動させた新しいビジネスモデルの確立とロボット産業の発展に寄与する——としているのだけれども、正直それだけでは何をするのか分からない。そもそもこのタイミングでなぜメタップスがロボット開発者支援をするだろうか。

メタップス代表取締役の佐藤航陽氏にその詳細を聞いたところ、「現在のスマートフォン向けのアプリ収益化プラットフォームを、時計やテレビや車などあらゆるスマートデバイスに広げていきたいと考えている。自社でAIに関しても投資をしてきたので、今後はIoTとAIの融合によるロボット市場の拡大も期待した上で、これまでのノウハウを有効活用できると考えている」という回答を得た。

さらに実際のマネタイズについては「ECと広告を予定している。SPIKEの決済でEC支援を手がけてきたのでこれを活用していく。広告に関しては、メタップスで提供してきた広告エンジンを横展開。より適切なマッチングを行って開発者に収益を分配したい」としている。なお、ロボットの製造支援といった部分にはタッチせず、あくまで開発者のマネタイズ支援を手がけるとのこと。

これまでスマホアプリやウェブサイトで手がけてきたマネタイズをロボットやIoT領域にも生かすということのようだが、その詳細は現時点ではまだはっきりとは分からない。実際サービスが始まるタイミングで改めて聞いてみたい。

手数料無料の決済サービス「SPIKE」、いよいよオープンベータ版を公開

2013年にメタップスが発表した手数料無料の決済サービス「SPIKE」が本格始動する。4月14日より日本でオープンベータ版の利用が可能になる。

SPIKEはクレジットカード決済機能のついたリンクを作成することで、手軽に決済を実現できるサービス。同様のサービスには米国では「Stripe」、国内では「WebPay」やヤフーの「Yahoo!ウォレットFastPay」などがある。

無料と有料の2つのプランを用意する。個人事業主や小規模事業者向けの「フリープラン」は、初期費用、月額費用、決済手数料が無料。月間100万円までの決済が利用できる。今後は月間の決済上限額を引き上げていき、最終的に完全無料での提供を目指すという。

中規模事業者向けの「ビジネスプレミアム」は月額3000円。月間1000万円までの決済については手数料が無料となっており、月間1000万円を超える部分に関しては2.5%の決済手数料と30円のトランザクションフィーで利用できるという。また今後は、開発者向けにAPIの提供も予定する。

なお現在はオープンベータ版につき、「フリープラン」のみの提供になるほか、決済に対応するのは日本円とUSドルのみとのこと。今後は対応する通貨も拡大する。2016年に年間2兆円の決済額を目指す。

当初は「昨年夏以降に公開予定」としていた同サービスだが、特許やリスクマネジメントへの対応・仕組みの構築と、各国でのサービス提供のためのレギュレーションや法律上の調整などにかなり時間がかかったという。メタップス代表取締役の佐藤航陽氏によると、「世界中で使われるサービスの提供をしたいと考えていた」とのことで、米国、欧州、日本など主要先進国でリリースに向けた事前の準備に相当時間をかけていたそうだ。

フリーミアムモデルでスモールビジネスの無料化を実現

サービスの発表当初から言われていた「完全無料」のサービスは、現在発表されている限りはいわゆるフリーミアムモデルとなる。メタップスではSPIKEによって「カード決済を導入できなかったスモールビジネスを支援する」としているが、継続可能なビジネスとして、どうやって無料化を実現するのだろうか。

佐藤氏は「決済のトランザクションは、上位1割が全体の9割のボリュームを稼ぎ、その他9割が1割のボリュームを稼ぐ非対称性を持つケースが多い」と説明する。SPIKEでは、今後開始する予定のビジネスプレミアムでその“上位1割”からフィーを得るほか、そこから派生する付加価値の提供によって無料サービスを進めていくという。「そこから派生する付加価値」については詳細が明らかにされなかったが、国内ではベリトランスやカンムなどが決済データを利用したマーケティングサービスを展開しているが(詳細はこちらの記事を参考頂きたい)、そういったサービスも予定されているのかもしれない。

メタップスはアプリのリワード広告事業を手がけるスタートアップ。スタートアップとは言っても2007年創業で当初はコミュニティサービスを運営していた。その経緯についてはこちらの記事に詳しい。最近ではLINEのリワード広告「LINEフリーコイン」の販売パートナーとなっている。

実はこのサービス、メタップスのシンガポール法人からのリリースとなる。アジアでは、国によってはカード決済がまだ主流となっていないケースも少なくない。メタップスでは今後、カード決済以外のモバイル決済の展開も視野に入れているとのことで、サービスの拠点にシンガポールを選んだという。実はメタップスのアプリ広告事業も、もともとシンガポールからアジア全土に展開していったそうで、そのノウハウも生かしたいとしている。

アジアの決済領域というと、たとえばGMOベンチャーパートナーズなどもアジア特化のファンド「GMO Global Payment Fund」を設立して、モバイル決済サービスを展開するアジア企業に出資していたりする。余談にはなるが、先日その理由について現在シンガポールに拠点を置くGMO-VPの取締役 Founding Partnerの村松竜氏に尋ねたところ、「日本人であればカード決済が主流になっていなければ『どうカード決済を拡大させるか』と考える。だが現地で生活してみれば、モバイル決済でも、ATM決済でも、『利用されている決済サービスをどう拡大するか』と考えるようになる」と語っていたのが印象的だった。このあたりはまた別の機会に紹介したい。

現在の「お金」の矛盾を解消したい

話をメタップスに戻すが、僕は佐藤氏が1月に書いたブログエントリー「グローバル化とインターネットのその先にある世界:あらゆる境界線が見直される10年間」を読んで、これまで自分で取材してきた企業、サービスがどのように世界を変えていく可能性があるのか、ということを考える際のヒントをもらった気がしていた。

ブログ内で「テクノロジーが境界線を引き直す」「『営利と非営利』ではなく『価値』がとらえられる社会になる」といった持論を展開していた佐藤氏が、そもそもなぜ手数料無料の決済サービスを開始したのか。「会社の代表者としては、現在の経営資源を活用して大きく成長できそうな分野だと感じたから」とした上で、佐藤氏は次のように答えてくれた。

「創業者のエゴとして言えば、現在の『お金』が作り出した世界全体の矛盾を解消するのが人生の目的。私は、通貨や経済システムも競争にさらされたほうが切磋琢磨してより健全になると考えていた。独占が起こると進化が止まってしまうので、経済の根底の仕組みそのものをテクノロジーで民主化できる方法を探していて、SPIKEはその仮設が正しいかを実世界で実証するための試み。現実世界の経済と仮想世界の経済の接合点である「決済」は最初におさえておきたかった」(佐藤氏)。以前のブログでも、その詳細が語られている。