グーグルがモバイルアプリで検索結果の連続スクロール機能を導入、まずは米国で

米国時間10月14日、Google(グーグル)はモバイルデバイスでの検索の動作をまず米国で変更することを発表した。現在はスマートフォンで検索結果の最後までスクロールすると、タップして次のページを表示する必要がある。今後は検索結果の続きが自動で読み込まれ、下へスクロールしていけば他の情報を続けて見られるようになる。

この変更は当面、米国で英語で検索した際にモバイルのウェブで動作し、iOSとAndroidのGoogleアプリにも対応する。徐々に導入されるため、はじめのうちは検索結果が連続スクロールすることもあれば、しないこともあるようだ。

Googleによれば、多くの人は先頭のいくつかの検索結果から目的の情報を見つけるが、さらに情報を求める人は検索結果を4ページブラウズする傾向がある。そこで同社は変更を加えることにしたとTechCrunchに語った。多くの情報を求める人はページ下部の「もっと見る」をタップする必要がなくなり、これまでよりもシームレスにベージを行き来できる。

Googleは、単に答えを見つけるのではなく特定のトピックに関してアイデアやヒントを求めて検索する人にとって特に役に立つだろうと述べている。

この設計には、Googleが言及していない利点が他にもある。

まず、連続してスクロールするなら、検索のどこかの時点でストップしてからリンクをタップして移動する必要がなくなる。この動作はデスクトップ時代のウェブ検索の名残りだ。この「クリックして詳しく」というタイプの設計は、例えばFacebookのニュースフィードのようにアプリ内のフィードが延々スクロールして新しい情報が表示される世界では時代遅れだと感じる。また、連続スクロールによって、ユーザーはこれまでよりも長い時間アプリを見ることになり、広告が多く目に入るかもしれない。

連続スクロールにすれば、Googleは広告をこれまでより柔軟に配置できる可能性がある。検索結果ページの上部に限られていた広告を、下ヘスクロールするにつれて検索結果の途中に挿入することができるだろう。SNSのフィードの途中に広告が表示されるのと同様だ。

Googleは今回の変更にともなう広告の計画を詳しくは明らかにしなかったが、同社はTechCrunchに対し、米国(英語)のモバイルの検索結果でページの上部と下部の間に表示されるテキスト広告の数を再配置する予定だと語った。テキスト広告は2ページ目以降の上部に表示され、各ページの下部に表示されるテキスト広告は減る。しかし現時点では、ショッピングと近隣の広告の表示には変更はないものと思われる。

また、Google検索は情報のボックス、検索の提案、ショッピング「ビデオ」など他の分類へ移動するボタンなどでごちゃごちゃしてきたため、検索結果の中から適切な項目をタップして進むのが難しい。ユーザーの目を引いてタップさせようとするためにボタン類の色が暗くなるので、さらに難しくなっていた。

今回の変更は、2021年1月にモバイルの検索結果ページをモダンなデザインに変更すると発表したことに続くものだ。1月の変更の主眼は検索結果を見やすくすることで、そのために余白を増やして一部には色を付け、フォント(実はGoogle独自のフォント)を大きく太くし、丸くて影が付けられていたボックスをシンプルな直線にするなどの変更が加えられていた。

ただ、その時の変更は主に検索結果の表示に関することで、動作の変更ではなかった。

Googleによれば、連続スクロールは米国で公開が開始されている。

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画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

アップルが中国で人気のイスラム教コーランアプリをApp Storeから削除

BBCの報道によるとApple(アップル)は、中国政府の要請に応じて、イスラム教の聖典やその他の祈りに関連する情報を読むための人気アプリ「Quran Majeed」を中国のApp Storeから削除した。この動きは、外国のコンテンツを取り締まる、あるいは単にグレートファイアウォール内にそれらのコンテンツが存在することを困難にするという、中国における大きな規制変化の一環として行われている。ちょうど昨日(10月14日)、LinkedIn(リンクトイン)は、国家によるコンプライアンス要件の高まりを受けて、年内に中国版サイトを終了すると発表した。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

中国で最も人気のある宗教アプリの1つであるQuran Majeedは、全世界で利用可能で、約3500万人のユーザーがいる。

Quran Majeedアプリは、他の国のApp StoreやGoogle Playでは引き続き提供されているが、Google Playも厳密には中国では利用できない(ただし、VPNを介してアクセスすることは可能だ)。

Quran Majeedが最近削除されたことに最初に気づいたのは、AppleのApp Store上のアプリをモニタリングしているApple Censorship(アップル検閲)というサイトだった。

中国は公式にはイスラム教を宗教として認めているが、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒が多数を占めるウイグル人の人口に対する人権侵害や虐殺などで批判を浴びている。

この件に関してTechCrunchは、Appleにコメントを求めている。さらに詳しい情報が得られた場合、記事を更新する。

Appleはこれまで、現地のルールをどのように遵守するかについて、多くの論争に直面してきた。批評家たちは、特定の国におけるコンテンツに焦点を当てた規制の多くは検閲に相当し、Appleはそれに簡単に従いすぎると考えている。Appleは、規制に同意するかどうかにかかわらず、事業を展開する国の法律を尊重することが最優先事項であると主張している。

Appleの人権方針にはこうある。「当社は現地の法律を遵守する必要がありますが、時には政府と意見が合わない複雑な問題もあります」。

Appleが行うことには一貫性があるようだ。5月にニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、同社は中国において、天安門広場、中国の精神運動である法輪功、ダライ・ラマ、チベットや台湾の独立など、禁止されている話題を扱っているアプリを削除する予定だという。

Appleのビジネスにはさらに複雑な要素があり、それは同社が国家の規則に従い続けることを意味している。中国はAppleにとって最大の市場の1つであり、また、同社ハードウェアのサプライチェーンを維持するために、この国に大きく依存している。

Quran Majeedは、中国のApple App Storeから削除された唯一のアプリではない。Olive TreeのBible(聖書)アプリも今週、中国で削除された。Olive Treeは、Appleが積極的に削除したと主張している。

画像クレジット:Quran Majeed App

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

Clubhouseに高音質のオーディオモードが登場

Clubhouse(クラブハウス)は10月11日の週に、ソーシャルオーディオを中心に据える方針を強化するものとして、新しい「ミュージックモード」を追加した。このミュージックモードにより、Clubhouse上でライブ演奏をするミュージシャンが音質を最適化するツールを使えるようになる。このモードはAndroidよりも先にiOSで提供される。

Clubhouseが今回の発表でオーディオマニアの世界に近づいていったわけではないが、この新機能によってユーザーは豊かなリスニング体験に必要な「高音質の優れたステレオサウンドでのブロードキャスト」をすることができると同社は述べている。同社によれば、ミュージックモードではミキシングボードやマイクなどプロレベルのオーディオ機材もClubhouseで利用できるという。

画像クレジット:Clubhouse

Clubhouseは2021年8月の終わりに空間オーディオにも対応していた。これはグループオーディオルームにいる複数の話者がそれぞれの場所から話しているように聞こえる機能だ。これにより、実際の場で会話をしているかのように感じられる。

話者がミュージックモードをオンにするには、右上にある3点のアイコンをタップし「Audio Quality」をタップして「Music」を選択する。リプレイ可能なクリップの録音も高品質オーディオに対応する。ミュージックモード以外の変更としては、検索バーがフィードの上部へ移動し、iOSで検索するとつながっている人と手を振って挨拶を交わせるようになった。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Kaori Koyama)

DXを推進する日清食品がアプリを内製、ノーコード・ローコードで営業担当が25時間で完成

日本マイクロソフトが10月11日から14日にかけて開催中の「Microsoft Japan Digital Days 2021」では、生産性や想像力を高め、組織の競争力に貢献するソリューションや、その導入事例について学べるプログラムが提供されている。

Day 2の10月13日13時5分に行われたセッション「外注から内製化へ。製造業が取るべき次なる一手!日清食品グループが実現した『低コスト』『高スピード』のアプリケーション開発の世界」では、IT企業ではない日清食品がDX推進の一環として行ったアプリ内製化について語られた。その様子をレポートする。

登壇者は日清食品ホールディングスのCIO成田敏博氏と情報企画部係長武田弘晃氏だ。

老舗食品製造企業がアプリ内製化に取り組むようになった背景

日清食品ホールディングスCIO成田敏博氏

日清食品は1948年に設立された70年を超える老舗の食品製造企業だ。売上収益は約5000億円、営業利益が約550円という企業規模である。

2030年に向けた成長戦略テーマ「既存事業のキャッシュ創出力強化」「EARTH FOOD CHALLENGING 2030」「新規事業の推進」を達成するのに欠かせないのが「フードテックイノベーション」であるとしており、デジタルのみならずビジネスの変革も含むためNBX(日清ビジネストランスフォーメーション)としてDXに取り組んでいる。

取り組みを大きく2つの柱に分けており、その柱の1つ「効率化による労働生産性の向上」内に「ツールの最大活用」がある。

同社では、従業員にSurface Proを支給しており、ほとんどの業務がSurface Pro、つまりノートPCで行われているが、工場内作業中、取引先への移動中などではモバイル端末のほうが操作しやすい。腰を落ち着けて作業できる環境であっても、スキマ時間にノートPCを取り出し、起動し、テザリングをし、検索するといった動作は時間や手間がかかる。

そのため、ツール開発に「モバイルファースト」を掲げ、できるだけモバイルで業務を行えるようにすることを目指した。

しかし、製造業のためエンジニアを多数抱えることは現実的ではない。かといって外注では社内のニーズに迅速に対応できない。

そこで、2021年に入ってから内製化のため「ノーコード・ローコード」でのアプリ開発を検討。Power Appsを活用したアプリ開発に取り組むことになったのだ。

25時間で開発した営業活動を助ける商品検索アプリ

日清食品ホールディングス情報企画部係長武田弘晃氏

どの企業でもそうだが、日清食品グループでも営業担当者は商談など外回りが多い。移動中やスキマ時間に、得意先から質問されるであろう商品について調べるには、ノートPCよりモバイル端末に優位性がある。

とはいえ、商品データベースにアクセスするには、支給されているノートPCからしか行えず、開くのが難しい場合は社内の営業事務担当者に当該製品の検索を依頼していたという。場合によっては、検索してもらったものが正しいかを確認後、取引先へメールしてもらうということも行っていた。

これでは、営業事務担当者は、その都度、行っていたかもしれない作業の手を止めて、依頼に応えなければならないし、外回りをしている営業担当者にもストレスがかかってしまう。

そこで、すでにMicrosoft Listsに格納している商品データベースをスマホで検索できるような商品検索アプをMicrosoft Power Appsで開発することにした。

アプリの開発に要した時間は、開発のためのトレーニング、フィードバックを受けての修正の時間も含めてわずか25時間。内訳は、ハンズオントレーニングが2時間、大枠の作成に10時間、日清らしいデザインや使い勝手の追加に7時間、営業戦略部門へβ版の説明を行うのに1時間、そしてフィードバックを受けて行った機能の追加開発に5時間だ。

同アプリの特徴としては、商品検索時に品目コードでも略号でも商品名でも検索できること、入力文字列も全角半角、大文字小文字、ひらがな・カタカナを問わず直感的に利用できること、フィルターやソートはコンボボックスではなくワンタップで検索できるボタン形式を採用していること、ヘルプのキャラクターに同社のキャラクター「ひよこちゃん」を使っていることなどがある。

また、閲覧履歴を設けて移動中に調べた商品情報にすばやくアクセス可能にした他、手元にある商品のバーコードをスマホカメラで読み取って、当該商品の情報もクイックに得られるようにした。

フィードバックによって追加された機能は、商品情報を得意先へメール送信するというもの。おかげで、社内にいる営業事務担当者へ都度連絡する必要がなくなったという。

Power Appsを選んだ理由として武田氏が挙げた理由は3つ。1つ目はすでに同社内で使ってたMicrosoft 365製品群との相性が良いこと、2つ目はその契約範囲内で使えたため追加コストがかからなかったこと、最後は短期間でユーザーが望む機能拡張が行われていることだ。

これまでは、Microsoftパートナー企業に開発を依頼していたという武田氏。しかし「それでは社内ナレッジが蓄積できず、いつまでたっても自社開発が行えない」と考えた。それでは、社内のニーズに迅速に応えるというNBX取り組みの趣旨に反してしまう。

そこで、MicrosoftパートナーであるAvanade(アバナード)に、アプリ開発のハンズオントレーニングや開発に必要な情報のQ&Aといったサポートを依頼。その甲斐あって、25時間という短時間でのアプリ開発に成功した。

アプリβ版を営業戦略部門へ公開した際の反応は「早く使いたい」「いつから使えるの?」といったポジティブなもの。「ユーザーが、使ってハッピーになれるUI / UXであると確信した」という。

完成版のリリースには、事前告知として全国の営業担当者向けにデモを行い、ついでリリース時にイントラネットとオンライン社内報などを使って告知を行った。その結果、使い勝手の良さもあいまってリリースから短期間で浸透し、多くの人が利用するようになった。

成功の要因は開発環境にPower Appsを選んだこととユーザーファーストの思想

Microsoft 365とのシームレス連携を考えてPower Appsを選んだ日清食品グループだが、メリットが多かったという。それはUIの作成が容易だったこと、標準機能が充実していること、ローコードであることだ。

Power Appsを選んだこと以外に、プロジェクトの成功要因として、武田氏は3つのものを挙げた。

1つ目はユーザーファーストに基づいた開発を行ったこと、2つ目ははUI / UXにこだわったこと、最後はAvanadeのサポート力の高さだ。

「ソリューションファーストだったら、ユーザーがハッピーになるソリューションを開発できなかったはず。また、日清らしい親しみやすさや直感的な操作感へのこだわりをもって開発したため、ユーザーが使いたいと思うようなものを作ることができた。そしてこれらは、アプリ開発において不慣れだった自分たちの質問や相談にクイックに応じてくれたAvanadeの高い技術力なしにはなし得なかった」(武田氏)

外部にツール開発の依頼を出していれば得られなかったナレッジは、部内で共有した。それにより、Power Appsができることを把握し、アプリのメンテナンスも行えるようになり、ユーザーのニーズにアプリ開発で応えられるかもしれないという選択肢を持つことができ、同社のモバイルファーストをさらに推進することが期待される。

日清食品グループでは「ハッピー」「クリエイティブ」「ユニーク」「グローバル」という4つの思考をバリューとして捉えている。

アプリ開発の内製化は、ユーザーが抱く課題を解決するものになるため、またノートPCでは作業しづらい環境でもモバイルで業務ができるため、さらに使いたくなるUIであるため、ユーザーにハッピーをもたらすものとなる。

「製造、販売、倉庫といったそれぞれの現場で業務をしやすくするため、またBCP対策としても有効なモバイルファーストを今後も推進していくことで、日清食品グループのDX化をさらに推進していきたい」と武田氏は述べて、セッションを終了した。

非同期コミュニケーションに特化したSlack対抗アプリ「Twist」をDoistが全面改訂

Todoist(トゥードゥーイスト)とTwist(ツイスト)を販売するDoist(ドゥイスト)は、社内コミュニケーションツールのTwistを改訂した。筆者が初めてTwistを取り上げた時、それは気を散らされないSlack(スラック)のようだった。そして米国時間10月12日の改訂で、同社はそのアイデアをさらに強化した。その結果、組織内の会話のための、集中を高めチームの軌道を正しく保つ頑固なツールになった。

DoistがTwistに取り組み始めたのは新型コロナのパンデミックよりずっと前のことだが、今はTwistがこれまでになく重要に感じられる。この数年、多くの人々が初めてリモートワークを始めた。Microsoft 365のサブスクリプションがある会社はMicrosoft Teamsを使い始め、他の会社は「多くの」時間をZoom会議で過ごしている。

Doistの創業者であるAmir Salihefendic(アミール・サリへフェンディック)氏は、今あるツールではうまくいかないと思った。彼は非同期コミュニケーションを何年も前から推奨してきた。SlackやMicrosoft Teamsは、通知やチャットメッセージで頻繁に割り込んでくる。ついていくのは大変で、他のメンバーと違う時間帯で働いている場合は特にそうだ。同じチャンネルで同じ時間に2つの会話をすることもできない。

TwistのSlackに対する最大の差別化要因は今もそこにある。Twistではあらゆる会話がスレッドだ。会話を始めたい人は、#design、#ios、#support などのチャンネルをクリックして、タイトルと何か本文を書いてスレッドを開始する。新しいスレッドを投稿したあとは、他のユーザーがコメントしたり絵文字で反応することができて、人をタグ付けすることもできる。

画像クレジット:Twist

すぐにフィードバックを返したり、特定の相手に質問したり、プライベートな会話をしたい時は、ダイレクトメッセージを送ることもできる。ただし、これはテキストメッセージを送るのと同じなので、重要な仕事の会話をするためではない。

インターフェースは全面的に刷新された。見た目がすっきりして、現在、見ていることに集中しやすい。3つのカラムのレイアウトで左にチャンネル、何中にスレッドのリスト、右に今開いているスレッドを見せる代わりに、Doistは2カラムのレイアウトを採用して現在のスレッドに集中させる。

スレッドを開くと、ほぼ画面いっぱいに広がるので会話をフォローしやすくなる。他のスレッドのリストは見えないので、別スレッドのコメントに邪魔されることがない。

画像クレジット:Twist

Inboxビューはデザイン変更され、Twistを見なかったために見逃したものを見つけやすくなった。このビューから、自分がフォローしているスレッドの新しいコンテンツを見ることができる。それらのスレッドは読んだり、コメントを付けたりできる。1つのスレッドでやり取りが終わったと思ったら、完了マークをつけることができる。TwistはそのスレッドをInboxから「Done」ビューへと移動する。

本日、リリースされた他の新機能には、スレッドからスレッドへ移動するための新しいショートカットキーやよくなった検索機能がある。アプリの使用料金は年間契約を結んだ場合1人1カ月当たり5ドル(約570円)。無料で試してみることもできるが、コメントとメッセージは1カ月分しか見ることができない。

画像クレジット:Twist

画像クレジット:Jason Leung / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」が離乳食時期メニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」を追加

カラダノートは10月11日、離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」において、離乳食時期に合わせたメニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」機能を公開した。iOS版での先行公開としており、2021年内にAndroid版でもリリース予定。

ステップ離乳食は、月齢によって食べていい食材や食べられる状態を確認できるアプリ。乳児を育てるために離乳食を進める保護者をサポートするという。

離乳食スケジュールとは、離乳食が始まる生後5~8カ月頃に何からあげ始めたらいいのかわからない方向けに役立つ情報をまとめたもの。

アプリ内では、離乳食時期をゴックン期 前期/後期・モグモグ期の3つにわけており、各時期ごとに28日分の離乳食スケジュールを掲載。それを参考に、見てマネる形で離乳食を進めることで、迷う時期を短縮できるとしている。

カラダノートは、家族向け、事業会社向け、その両者の大きく3つの領域で事業を展開。家族向けの事業としては、記録や共有を中心とした子育て・ヘルスケアアプリを提供しており、ユーザーの生活環境の効率化を支援している。マッチング領域では、データベースを用いて集めたユーザーに対し、適切なタイミングでレコメンド・サービス提案を行い、企業やサービスとのマッチング支援を行ってる。事業会社向け領域では、家族生活周辺産業においてサービスを展開する事業会社に向け、DX支援を提供。

ディズニーが新しいアトラクション予約サービス「Disney Genie」開始、まずは10月19日よりフロリダのWalt Disney Worldで

Disney(ディズニー)の新しいデジタルサービス「Disney Genie(ディズニー・ジーニー)」が、米国時間10月19日より、Walt Disney World Resort(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)で始まる。8月に初めて発表されたこのサービスは、従来のディズニー・パークの行列予約ツールをアップデートしたもので、ゲストは旅程を計画・更新したり、最も人気のあるアトラクションの時間帯を予約したり、さらにオプションとして、人気アトラクションではアラカルトまたはアドオンの「Genie+(ジーニー・プラス)」を通して、並ぶ時間を短縮できる「Lightning Lane(ライトニング・レーン)」入場口の有料アクセスを購入することができる。

ディズニーによれば、このDisney Genieは、旧来のFASTPASS(ファストパス)、FastPass+(ファストパス・プラス)、Disney MaxPass(ディズニー・マックスパス)に代わるサービスとして、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートとカリフォルニアのディズニーランド・リゾートで導入されるという。

Disney Genieの中核となるのは、ゲストがパーク内で必ず体験したいと思っている乗り物やアトラクション、食事やエンターテインメントに基づいて、パーソナライズされた旅程を作成するスマートな旅行計画機能だ。つまりDisney Genieのユーザーは、人気アトラクションだけでなく、ディズニープリンセスとのミート&グリートを予定に組み込んだり、パーク内のバーで最高のカクテルを楽しみたいといった自分の興味に基づいて、1日の旅程をカスタマイズすることができる。

画像クレジット:Disney (choosing your interests in the app)

Disney Genieの導入以前は、パークに行く前に「FastPass+」と呼ばれる予約システムでアトラクションを3回まで予約でき、3回目以降はアプリ「My Disney Experience(マイ・ディズニー・エクスペリエンス)」を使って予約を継続することができた。しかし、この無料システムでは、60日前から予約できるディズニー直営ホテル宿泊者が有利で、それ以外の人は30日前にしか予約できないため、人気のある乗り物の予約が取りにくいという問題があった。また最初の予約時には、すべての人気アトラクション(いわゆるTier1アトラクション)を3つ予約できるわけではなかった。

Disney Genieは、これらの問題を解決するためのものだが、しかし有料となる。そのため、ディズニー・ファンからは「ディズニー旅行にはすでに十分お金を払っているのに、さらに追加料金を払いたいとは思わない」という反発の声が上がっている。実際、Disney Genieの発表動画には、本稿執筆時点で、1万2000件もの「低評価」が付けられているのに対し「高評価」は948件に過ぎない。しかし、テーマパークの主要アトラクションに有料で優先的に並べるサービスは、ディズニーに競合するテーマパークでは一般的なものであり、タイトなスケジュールで確実にすべてのアトラクションを体験したい人にとっては役に立つ。

10月19日に発売されるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのDisney Genieでは、ゲストは2つの有料オプションから選択できるようになる。最大2つのライトニング・レーンを個別に利用するか、あるいはGenie+のより幅広いセレクションを利用するかだ。

ディズニーによると、アラカルト・オプションで利用できるアトラクションは以下の通り。Magic Kingdom(マジックキングダム)の「Seven Dwarfs Mine Train(七人のこびとのマイントレイン)」と「Space Mountain(スペース・マウンテン)」、Epcot(エプコット)の「Remy’s Ratatouille Adventure(レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー)」と「Frozen Ever After(フローズン・エバー・アフター)」、Disney Hollywood Studios(ディズニー・ハリウッドスタジオ)の「Star Wars:Rise of the Resistance(スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス)」と「Mickey & Minnie’s Runaway Railway(ミッキー&ミニーの暴走鉄道)」、Disney’s Animal Kingdom(ディズニー・アニマル・キングダム)の「Avatar Flight of Passage(アバター・フライト・オブ・パッセージ)」と「Expedition Everest(エクスペディション・エベレスト)」。

これらの中から、2つのアトラクションを選ぶことができ、待ち時間を短縮できる可能性はあるものの、あなたがどうしても乗りたいアトラクションは含まれていないかもしれない。

一方、Disney Genie+では、4つのパークにある合計40以上のアトラクションでライトニング・レーンを開放し、しかもその中には、多くのTier1ライドが含まれる。販売開始時の価格は、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは1日1枚15ドル(約1700円)、ディズニーランド・リゾートでは1日1枚20ドル(約2300円)になる予定だ。

画像クレジット:Disney

アラカルトの価格は、日付、アトラクション、パークによって異なるとディズニーは述べている。ディズニーは各ライドの具体的な価格を発表していないが、いくつかの例を提示している。例えば「レミーのラタトゥイユ・アドベンチャー」のライトニング・レーン入場は、10月19日には1人9ドル(約1020円)だが、10月23日には1人11ドル(約1250円)になるとのこと。しかし、同じ日に「エクスペディション・エベレスト – 禁断の山の伝説」は1人7ドル(約790円)「スター・ウォーズ:レジスタンスの台頭」は1人15ドル(約1700円)となっている。

ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで10月19日より開始するというニュースに併せて、ディズニーはこの機能がMy Disney Experienceアプリにどのように統合されるかについても詳しく説明している。これは、チケット、パークマップ、ショータイム、オンラインフードオーダーなどにアクセスするためのアプリだ。

画像クレジット:Disney

現在は多くのパーク来場者が、TouringPlans.comをはじめとするインディーデベロッパーによるサードパーティ製アプリや、ディズニー・ファンのブログなどを利用して、主要なアトラクションやイベントをすべて見て回るルート計画のヒントを得ている。しかし、Disney Genieは、同社が把握している待ち時間やパークの変化(一時的に閉鎖されている乗り物やその他の遅延など)などの情報も組み入れながら、自社の「My Disney Experience」アプリで直接、ユーザーが旅の優先順位を決めるための手助けをすると約束している。この自社開発のオプションは、パーク・プランニングのニーズに対応するために作られたサードパーティ・ビジネスの収益源に影響を与える可能性がある。

しかも、固定されたプランとは異なり、Genieによる体験は、ユーザーの要望や予期せぬ計画変更にも対応する。例えば、小さな子どもを昼寝させるためにホテルへ戻る必要が生じたり、予定外の軽食で休憩を取ったり、気に入ったアトラクションにもう一度乗りたいと思ったりすることがあるだろう。そんなふうに予定を変更すると、Genieはあなたの旅程をアップデートしてくれる。このサービスは、ライトニング・レーンの入場料を払っていなくても、無料で利用できる。

ディズニーは、カリフォルニアのディズニーランド・リゾートではDisney Genieがいつから導入されるかを発表していないが、以前「2021年の秋」と言っていたので、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートからそれほど遅れることはないだろう。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルが「大勝利」と呼んだ対Epicの判決に不服申し立て、App Store変更の延期を要求

米連邦判事は9月、カリフォルニア州のEpic Games(エピックゲームズ)対Apple(アップル)の訴訟について裁判所の決定を出す際に、Appleは独占企業ではないと判断した。しかし、Appleが地歩を失ったのは、自社のApp Storeでどのようなルールを作れるかという点だった。この点については、判事はEpic Gamesを支持し、Appleはもはや開発者がApple独自の決済システム以外の決済手段へリンクするのを禁止することはできないとした。現在、Appleはこの判決を不服とし、裁判官が下した差し止め命令の延期を求めている。この動きにより、控訴審の判決後に最終決定が下されるまで、App Storeのルールに何らかの変更を加えることが遅れる可能性がある。

関連記事:アップルのApp Store外での決済方法への誘導ブロックが禁止に、Epic Gamesとの裁判で

Appleは、App Storeのポリシーを更新し、開発者がアプリ内に外部リンクやその他のコールトゥアクション(CTA)を含め、顧客をアプリ内課金(IAP)以外の購入方法に誘導することを禁止することをやめるよう命じられていた。また、開発者がアプリの登録を通じて顧客から自主的に入手した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることも、Appleは止めることができないと差し止め命令は述べている。

これは、日本の規制当局が「リーダーアプリ」に対する方針を変更したのを受け、アプリ内にウェブサイトへのリンクを追加できるようにしたことなど、Appleが最近行った米国内外での和解と軌を一にするものだ。韓国でも、AppleとGoogle(グーグル)が開発者に自社のアプリ内課金システムの使用を強制することを防ぐ法案が可決された。また、米国で行われた開発者との集団訴訟の和解において、Appleは、開発者がEメールなどの通信手段を利用して、iOSの顧客に代替決済手段に関する情報を共有できることを明確にした。

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しかし、Epic Gamesの判決では、Appleは2021年9月10日の裁判所の判決から90日以内に新しいルールを導入することが求められた。市場の一部では、この変化に対応するための動きがすでに始まっていた。例えば、サブスクリプションビジネス向けのソリューションプロバイダーであるPaddleは、差し止め命令の発効と同時に、Apple独自のIAPに取って代わるものとして、iOS開発者を対象とした新しい代替アプリ内課金システムを提供開始すると、やや早まった形で発表した。

もしAppleが停止を勝ち取った場合、差し止め命令に従うべき12月初旬の期限は、控訴審が法廷で争われている間に破棄されることになる。つまり、App Storeの開発者にとっては今後何カ月も変化がない可能性があるということだ。

AppleはEpic Gamesとの戦いにおいて「アンチステアリング」ルールに関するこの1つの些細な点を除いて、ほぼすべてのポイントで勝利した。しかし、Epicの控訴により、Appleはいずれにしても法廷に戻ることを余儀なくされる予定だった。

Epic Gamesは、代替決済システムへのリンクを追加する権利を獲得したものの、Appleの成功は「違法ではない」とした裁判所の最初の判決には満足していなかった。Epic側も、Appleが独占的な行為を行っていると控訴裁判所に納得させることを目指し、9月中旬に控訴していた。

この2つのテック巨人の戦いは、法廷外でも続けられている。先週、Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、Twitter(ツイッター)への投稿を通じ、Appleが自社のプラットフォームを利用して、iPhoneの設定画面内で自社アプリをユーザーに売り込んでいると指摘した。これは、サードパーティの競合他社がアクセスできない、事実上の広告枠であると同氏は述べた。ただし、この点を後の裁判で提起するかどうかについては、明言を避けた。

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画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがスマホのスパイアプリを宣伝した「ストーカーウェア」広告を停止

Google(グーグル)は、ユーザーに配偶者の携帯電話をスパイすることを勧めるアプリを宣伝することで、ポリシーに違反した複数の「ストーカーウェア」広告を停止した。

このような消費者向けのスパイウェアアプリは、子どもの通話、メッセージ、アプリ、写真、位置情報などを監視したいと考えている親を対象に、犯罪者から身を守るという名目で販売されていることが多い。しかし、これらのアプリは、端末の所有者の同意を得ずに密かにインストールされるように設計されていることが多く、加害者が配偶者の携帯電話を盗み見るために再利用されている。

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いわゆる「ストーカーウェア」(または「配偶者ウェア」)の使用が増加していることから、近年、業界全体で電話監視アプリの普及に向けた対応が進められている。ウイルス対策メーカーはストーカーウェアの検出を強化し、連邦政府当局は、被害者をさらにセキュリティ上の脅威にさらすスパイウェアメーカーに対して対策を講じている。2020年8月、Googleはユーザーの検索結果に「他人やその活動を許可なく追跡・監視することを明確な目的として 」設計されたアプリを宣伝する広告を掲載することを禁止した。

しかしTechCrunchは、5つのアプリメーカーが先週の時点でもストーカーウェアアプリの広告を出していることを発見した。

「我々は、パートナーを監視するためのスパイウェアを宣伝する広告を許可しません。このポリシーに違反した広告はすぐに削除し、今後も新たな行動を追跡して、悪質な行為者が我々の検知システムを回避しようとするのを防いでいきます」とGoogleのスポークスマンはTechCrunchに語った。

Googleによると、スパイウェアのプロモーションを取り締まる不正な行為を可能にするというポリシーにより、親密なパートナーの監視を宣伝する広告は禁止されているが、そのポリシーが子どもの行動の追跡や、従業員の端末の監視の広告には適用されないことを広報担当者が確認した。このポリシーでは、プライベートな調査サービスも除外しているが、Googleは、アプリが何の目的で使用されているかをどのように判断しているかについては言及していない。

Googleのストーカーウェアに対する取り組みを支持する人々は、このポリシーの施行について懸念を示している。拡大するストーカーウェアの脅威に立ち向かうための企業グループCoalition Against Stalkerware(ストーカーウェア反対連合)の創設メンバーであるMalwarebytes(マルウェアバイツ)社は、2020年、このポリシーは「不完全」であり、ストーカーウェアメーカーが「内部の核となっている技術を変えずに、販売しているものの外観を変えることでルールを回避する」ことを可能にしていると指摘していた。

Googleの広報担当者は、Googleの施行方法の具体的な説明を避けたが、広告がポリシーに違反しているかどうかを判断するために、広告のテキストや画像、製品の宣伝方法、広告をクリックしたときのランディングページなど、さまざまな要素を組み合わせて検討しているという。

TechCrunchは、いくつかのストーカーウェアアプリは、さまざまなテクニックを使って、パートナー監視用の広告アプリとしてGoogleに禁止されるのをうまく回避し、Google広告として承認されていたことを発見した。

あるケースでは、2018年に大きなセキュリティ上の不備があったスパイウェアアプリmSpyが、mSpyのウェブサイトとはまったく別のドメインにあるインタースティシャルのウェブページにリンクするGoogle広告を掲載し、このアプリが「あなたの子ども、夫や妻、おばあちゃんやおじいちゃん」をスパイするためにも販売されていることを、Googleが検出できないようにしていた。

また、2020年に何千人もの被害者の電話データを流出させたストーカーウェアメーカーClevGuard(クレブガード)は、Google広告を出しており、そこからこのアプリを「関係におけるあらゆる疑いを払拭する」ために配偶者に使うこともできると書かれたページにリンクしていました。このページは、検索エンジンに検索結果に表示すべきものとそうでないものを指示する「robot」ファイルを使って、Googleの検索インデックスから隠されていた。TechCrunchは、同じ手法を使って広告を掲載しているストーカーウェア・アプリを他に2つ発見したが、Googleはこれらもポリシーに違反していると述べている。

他の違反広告はもっとあからさまなものだった。ニューヨーク州ロングアイランドに拠点を置くスパイウェアメーカーのPhoneSpector(フォンスペクター)は、アプリを「浮気者を捕まえる」方法として宣伝する広告を掲載した。

Googleは9月の時点で、配偶者を狙うスパイウェアを宣伝した場合など、広告ポリシーに繰り返し違反した広告主のアカウントを3カ月間停止するとしている。

ストーカーウェア企業はいずれもコメントの要請に応じなかった。

画像クレジット:Jake Olimb / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Yuta Kaminishi)

ヤプリがノーコードの顧客管理システムYappli CRM公開、ポイント・電子マネー発行やマーケ施策をワンストップで提供

ヤプリがノーコードの顧客管理システム「Yappli CRM」を提供開始、ポイント・電子マネーの発行やマーケ施策をワンストップで

アプリの開発・運用・分析をノーコードで提供するアプリプラットフォーム「Yappli」(ヤプリ)を提供するヤプリは10月11日、顧客管理、ポイント・電子マネーの発行、アプリマーケティング施策をワンストップで実現する「Yappli CRM」(ヤプリ シーアールエム)のリリースを発表した。

同社によると、Yappliは現在550社以上の企業に導入されているという。CRMについては、従来導入企業側で用意してもらっていたが、Yappli導入が広がる中、CRMを利用していないケースや、開発済みのCRMがいわゆる「レガシーシステム」(過去の技術や仕組みで構築されているシステム)となっており、拡張性や保守性に課題を感じているケースが増えていたそうだ。

この課題を解決するために生まれたサービスが、ノーコードでCRMを開始できる「Yappli CRM」としている。ヤプリでは、これまで顧客側の基幹システムとの連携を実現しおり、その知見をベースにモバイル時代に最適化されたCRMの開発に取り組んだという。

  • ノーコードの顧客管理システム:CRMに必要な、顧客の会員登録、認証、情報管理などをすべて搭載。アプリを軸に顧客管理システムを開始できる
  • ポイント・電子マネーの発行:ポイントカードと電子マネーを外部サービス連携なしで発行・管理可能。会員ランク別のポイント発行にも対応
  • 1to1の顧客体験を実現:顧客のタイミングに合わせた多彩なシナリオ設計によるプッシュ通知やクーポン・ポイント付与などの機能を提供
  • シームレスなサービス連携でアプリデータを活用:アプリの場合、顧客の購入データだけでなく購買後の行動データも多く取得できまる。それらデータを外部メールサービス、MA、CDPなどと連携させ、データドリブンなマーケティングに活用できる

カップホルダーを車上荒らし防止デバイスに変えるKeep Technologiesのプロダクト

David Moeller(デビッド・メラー)氏は次の会社を起業するつもりはなかった。ウェブサイトバックアップスタートアップのCodeGuard(コードガード)とハードウェア企業Claw Hanging Systems(クローハンギングシステムズ)を起業したことで連続起業家としての称号をすでに勝ち得ていたからだ。

ところが、車上荒らしが相次ぐ中、メラー氏は自分のクルマを盗難から守る製品を急いで探していた。それでわかったのは、市場の車上荒らし対策製品は需要に応えていない部分があり、それを埋める製品を出せばビジネスチャンスになるということだった。

メラー氏は数年に渡ってプロトタイプと研究開発を行い、ビジネスプランを立て、Keep Technologiesという会社を創業する。このアトランタ本拠のスタートアップは、TechCrunch Startup Battlefieldで事実上のデビューを果たし、2020年秋に正式に創業した。

「最初は起業しない理由を本当に探していました」とメラー氏はいい、市場調査、特許調査、消費者調査に数カ月を費やしたあと、プロトタイプを制作したと説明する。「ちょうど会社を売却したところでしたし、起業を検討していたときは、ゴルフも本格的にやりたかったし、下の娘も生まれたばかりだったので、何か危険信号はないか、起業すべきでない理由が欲しかったのです」。

しかし、起業しない理由は見つからなかった。それどころか、車両の安全性とセキュリティを実現するスマートデバイススイート、および付随するクラウドサービスとモバイルアプリも開発してしまった。フラグシップ製品のKnightは、車両への侵入と車周辺の動きの検出器で、車内のカップホルダーに取り付けて使う。もちろん、カップホルダーもそのまま使用できる。

すでに5つのユーティリティ特許を取得し、他にも16の特許を申請中のKeep Technologyは、多くの投資家の目を惹きつけている。メラー氏は最初、自己資金でKeepを立ち上げた。以降、数多くの投資家たちから4億ドルの資金を調達している。Cloudflareの共同創業者兼CEOのMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏、アーリーステージのテクノロジー投資企業TechOperators(テックオペレーター)の共同創業者Tom Noonan(トム・ノーナン)氏、Ellis Capital(エリスキャピタル)のBert Ellis(バート・エリス)氏、 Kenzie Lane Innovation(ケンジーレーンイノベーション)のCEO Tripp Rackley(トリップ・ラックレー)氏、Intercontinental Exchange(インターコンチネンタルエクスチェンジ)の最高情報セキュリティ責任者Jerry Perullo(ジェリー・ペルロー)氏などがKeepに投資している。

動作原理

Keep TechnologyのKnightデバイスは、車両のOBDポートに接続して使う。コードは床板の下を通って車両の中央コンソールに接続される。そこには通常、カップホルダーがある。Knightはカップホルダーに固定して使う。デバイスを回してしっかり固定するとアクティブ化される。

Knightデバイスは所有者以外の誰も取り外すことができない、とメラー氏は説明し、取り付けおよび取り外し作業中のアラーム機能に関する特許もいくつか取得していると付け加えた。Knightにはカメラが内蔵されており、180度の視界を確保できる。携帯電話にも接続可能で、パッシブ赤外線方式(PIR)およびマイクロ波センサーによって車内外の動きを検出できる。

画像クレジット:Keep Technologies

つまり、Knightは車上荒らしの犯人の動画を記録し、そのデータをクラウドに送信し、ユーザーのモバイル端末にも送ることができる。また、クルマの所有者の代わりに動画を確認して、警察に通報するという行動を取ることができるモニタリングサービスも提供している。

目的はもちろん、クルマへのいたずらやパーツの盗難を記録するだけでなく、車上荒らしを防ぐことだ。Keep製のデバイスはBluetooth経由で付属のフォブまたはユーザーのモバイルアプリと通信する。いずれにしても、所有者がドアをロックしてクルマを離れると、デバイスが自動的にアクティブ化される。

何者かがクルマに近づき車内を覗き込んだら、デバイスは抑止モードになり、LED光が点滅し甲高い警告音が鳴る。これは今日市場に出ている大音量の屋外用アラームとは異なる。光の点滅と甲高い警告音は誰かがクルマの周辺をうろついているときだけ発動され、その人が去ると止む。その人がクルマのドアを開けようとすると、最大120dbの警告音を発するブザー(メラー氏によると100人の赤ん坊が泣き叫んでいるような音)が鳴り、魚眼レンズがビデオを録画し転送する。

メラー氏によると、Knightデバイスの価格は299ドル(約3万3000円)、サブスクリプションの場合は年50ドル(約5500円)にする予定だという。本格的な監視サービスを望むユーザーには、月30ドル(約3300円)の価格設定を考えている。製品のリリースは2022年の中頃の予定だ。

Keep創業までの経緯

ジョージア工科大学で機械工学の学位を取得したメラー氏は、GEに就職し、ごく普通にプロとして仕事を始めた。GEでは中東、中国、ダラスの各支社に配属され、4年間在籍した。その後、投資銀行に転職するため仕事を辞め、ハーバードビジネススクールに入学した。起業家精神が芽生えたのはその頃だった。

メラー氏と友人はAmerican Inventorというリアリティーテレビ番組(2007年にABCで放送されたShark Tankの先行番組)に出演する。2人はThe Clawという自転車用ラックを発明し、ファイナリスト6組に残った。最終的には、The ClawをWhirlpool(ワールプール)にライセンス供与し、Lowe’s(ロウズ)、Home Depot(ホームデポ)、Amazon(アマゾン)で100万台以上を売り上げた。

メラー氏は、その夏の前半にAmerican Inventorの撮影を行い、後半は某投資銀行でインターンとして経験を積んだ。

「その夏の終わりまでには、その自転車用ラックが売れなくても、起業家になると決心しました」とメラー氏はいう。「あの経験で、大きなリスクを取ること、そしてその結果起こり得ることに対する私の考え方は大きく変わりました」。

Claw Hanging Systemsを立ち上げたメラー氏は、続いてCodeGuardを起業する。Clawの創業者は製品が番組で紹介されたときに先行予約を受けられるようにウェブサイトを立ち上げていた。ワールプールや他の会社に、この製品の需要があることを示すことが目的だった。が、このウェブサイトは、American Inventorが放映される前にクラッシュしてしまった。

数年後、メラー氏は、ウェブサイトバックアップスタートアップCodeGuardをジョージア工科大学の教授と共同で創業する。CodeGuardはTechCrunch Disrupt 2011に参加し、コンペでファイナリストに残った。その後すぐ、CodeGuardはCloudflareと提携し、2018年、Sectigoに買収された。

メラー氏はその後2年間、Sectigoに在籍していた。当時、同氏は、夜間も週末も費やして神経科学向けのハードウェアの開発を始めた。この取り組みはジョージア工科大学とMITからのスピンアウト組で構成されるNeuromatic Devicesとして会社化され、メラー氏は開発したハードウェアをこの会社から販売するようになる。

CodeGuardをSectigoに売却した頃から、メラー氏は立て続けに車上荒らしの被害に遭う。アトランタで近隣に引っ越した直後に被害に遭ったのを期に、同氏は、車上荒らしの被害を防ぐためのセキュリティデバイスまたは製品について考えるようになった。

今後の展望

画像クレジット:Keep Technologies

KeepはKnight以外にもいくつか製品を出している(製品名はチェスの駒の名前から取っているものが多い)。具体的には、カメラは内蔵していないが、クルマの周辺の動きや車内への侵入は検知できる廉価版のPawn、フロントガラスに貼り付けて使う360度の視界を提供するRookなどがある。

メラー氏によると、Knight、Pawn、Rookの3機種はKeepの初期製品に過ぎないという。同社はメラー氏を含めて11人の会社だが、例えば盗難の被害に遭うことが多いガス浄化装置(自動車の排出ガス中の有害成分を、触媒を使って低減する装置)の盗難防止デバイスなど、上記以外のセキュリティデバイスやセンサーの開発にも取り組んでいる。今後登場するアドオン製品としては、座席モニタリングセンサー、ドア / トランク / 給油口監視装置、カップ式無線充電装置、GPS追跡強化タグなどがある。

またKeepは、Lookoutと呼ばれる製品も設計している。これは、フロントガラスに取り付けて、警察官による職務質問を録画する小型パック型デバイスだ。といっても、メラー氏はこのデバイスでドライブレコーダー業界に参入しようとしているわけではない。むしろ、大手のドライブレコーダーメーカーと提携して、Lookoutを組み込んでもらうほうが可能性があると考えているようだ。

画像クレジット:Keep Technologies

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

Epic GamesのCEOがアップルはiPhoneの「設定」で自社サービスを宣伝していると非難

Apple(アップル)を相手取った反トラスト訴訟(現在控訴中)で大きな注目を集めているEpic Games(エピック・ゲームズ)CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は米国時間10月7日、iPhoneメーカーは他社が利用できない広告枠を自身に与えていると非難した。その場所はiPhoneの設定画面だ。一部のiOS 15ユーザーが、Appleが設定画面のトップ、Apple IDのすぐ下で自社サービスを広告していることを報告している。提示されるサービスは、端末オーナー向けにカスタマイズされていて、すでにサブスクライブしているサービスに基づいていると見られる。

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

例えばApple Musicをサブスクライブしていないユーザーには、6カ月の無料トライアルをすすめる広告が表示される。一方現在のApple Musicサブスクライバーには、AppleCareなどのまだ利用していないサービスの追加が促される。

スウィーニー氏は、この種のファーストパーティー広告はAppleによる反競争的行為の可能性があることを指摘している。推奨されているサービスの中にはApp Store(アップストア)で提供されているサードパーティー・アプリと直接競合するものがあるためから。しかしそれらのサードパーティー製アプリは、もちろんiPhoneの設定画面に近づくことができない。できるのはApp Store上の広告スロットに入札することだけだ。

「Fortnite(フォートナイト)を締め出した連中の新しいやり口。自社の音楽サービスのための設定画面広告は実際の設定画面より早く現れ、他の広告主、Spotify(スポティファイ)やSound Cloud(サウンド・クラウド)は利用できません」とスウィーニー氏はいう。

スウィーニー氏は、Mobile Dev Memo(モバイル・デブ・メモ)のアナリストであるEric Seufert(エリック・スーファート)氏の別の投稿をリツイートしており、スーファート氏はGlassfy(グラスファイ)の共同ファウンダーFrancesco Zucchetta(フランセスコ・ズチェッタ)氏の作成した画像をシェアしている。

ズチェッタ氏はTechCrunchに、その広告は自身が所有するiOS 15が動くiPhone 8で見つけたと語った。しかしもっと新しいデバイスで広告を見た人もいる。中には、Appleの宣伝をプッシュ通知でも受け取ったと指摘するコメントもあった。

この問題が微妙なのは、こうした広告は、Appleが自身の利益のために他社を不利な立場においているとは必ずしも言えないことだ。

例えば私たちのiOS 15.1が動作しているiPhone 13 Pro Maxでは、その掲示がAppleCare+(アップルケア・プラス)の保証を追加できる期限までまだ一定の日数があることを知らせるために使用されていた(我々はすでにAppleの他のサブスクリプションをほとんど利用している)。この場合、SpotifyがApple Musicと直接競合するのと同じようなAppleCareと直接競合するサードパーティーアプリは存在しない。Asurion(アシュリオン)などの保証会社はAT&T(エー・ティー・アンド・ティー)やVerizon(ベライゾン)などの 携帯キャリアと提携して、iPhoneの保険プランを販売し、App Storeを通じた消費者への直接販売は行っていない。

保証追加の喚起は有益な情報であり、望まない侵入ではないと指摘する向きさえある。

スウィーニー氏のツイートは、設定アプリ内のファーストパーティー広告の認知度を高めたが、実際これは新しいことではない。

AppleはこれまでにもiPhoneの設定画面を使ってユーザーに自社サービスを売り込むことがよくあり、今回と概ね同じやり方だった。

たとえば2020年、AppleはApple ArcadeAppleCare、およびApple TV+のプロモーションを設定アプリ内で展開しているところを見つけられた。設定画面以外にも、Appleは別の変わった方法で自社サービスを宣伝しており、プッシュ通知を使ったものもあった。さらに同社は、何年も前から自社アプリの中で別のアプリのクロスプロモーションを行っている。例えばApple Musicのサブスクリプションのおすすめが、iTunesを使っている時に表示されるといったものだ。

しかし現在規制当局は、プラットフォームが自らのマーケティングパワーを利用あるいは濫用する様子を綿密に監視している。現在Google(グーグル)は、端末製造メーカーが自社のスマートフォンを販売する際に一連のGoogleアプリをプリインストールすることを必須としていることに対するEUの記録的な罰金命令を控訴している。一方Samsung(サムスン)は、Galaxy(ギャラクシー)端末上で自社アプリの広告を掲載することを中止すると発表した(これまで同社は、他の企業が自社製品を宣伝する広告を時々掲載していた)。

Epic Gamesのスウィーニー氏のツイートについて補足コメントを出しておらず、同社がこのちょっとした最新情報を次の控訴審で使用するかどうかも明らかにしていない。Appleにはコメントを要求しているがまだ応答はない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがApp Storeの「問題を報告」リンク復活、不正行為対策への協力を呼びかけ

Apple(アップル)がApp Storeに変更を加える。iOS 15、iPadOS 15、およびmacOS MontereyデバイスのApp Store製品ページに「問題を報告」リンクを復活させる。ユーザーがアプリに関する問題を簡単に報告する方法を提供する。アプリに不快なコンテンツや違法なコンテンツが含まれていないか、あるいは消費者からお金を騙し取ろうとしていないかなどを報告することができる。Appleは数年前、App Storeからユーザーフレンドリーな「問題を報告」ボタンを削除したが、それはあだとなったのかもしれない。新たな報告によると、上位アプリの多くが詐欺であり、消費者に数百万ドル(数億円)の損害を与えている。Appleはこの状況について議会から質問を受けたこともある。

このボタンの復活は今週初めに発見の報告があったものの、Appleは米国時間10月6日まで正式に発表していなかった。

関連記事:アップルがユーザーによる悪質なアプリや詐欺行為の報告を簡単に

Appleによると、この新機能は現在、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで提供されており、時間をかけて他の市場でも提供していくとのことだ(ただし、厳密にはこの機能は新しいものではなく、このようなボタンはApp Storeの初期の頃には重要な機能だった)。

「Report a Problem(問題を報告)」ボタンのある古いApp Storeの例(画像クレジット:Dummies.com)

このボタンは、ユーザーがインストールしたアプリにのみ表示される。

ボタンをクリックすると、ユーザーはreportaproblem.apple.comで「詐欺または不正行為を報告」や「有害な、乱用的な、または違法なコンテンツを報告」などのオプションを選択することができる。また、アプリ内課金を含まない無料アプリの問題も報告できるようになる。

App Storeのスクリーンショット、2021年10月

Appleによると、AppleのApp Review、Discovery Fraud and Live Moderation、Financial Fraudの各チームは、報告された問題について、不正、人為的操作、乱用、その他のApp Store Review Guidelines違反の兆候がないか調査する。そして、発見した問題を解決するために開発者に連絡を取る。ただし、消費者に対する直接的な金銭的救済措置については言及していない。消費者はこれまで通り、このページから別の手続きで返金を要求しなければならない。

Appleが数年前にサブスクリプションモデルに移行して以来、App Storeでの詐欺行為は明白で悪質なものとなり、多くの場合、収益性が高い。悪質な業者らは同モデルに移行してすぐに、ビルトインされたツールを利用して消費者を騙し、サブスクリプション購入に誘導しようとした。Appleは、定額制アプリに「ダークパターン」やその他の不正な手段を使おうとする開発者を捕まえることを目的とした新しいガイドラインを発表した

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ある開発者、特定して言えば、詐欺師によって失われた収益をめぐってAppleを提訴したKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeにおける最悪の詐欺行為に焦点を当てることを自らの使命としている。

同氏自身のビジネスに影響を与えたその詐欺では、Apple Watchアプリの偽物が消費者から数百万ドル(数億円)を騙し取ったと言われている。同氏はまた、エンドユーザーにとっていかに大胆で悲惨な行為であるかという理由で見出しを飾った詐欺も発見した。その中には、ユーザーの生活費(約60万ドル=約6600万円)をビットコインで騙し取った暗号資産ウォレットアプリや、実はオンラインカジノが隠れている子ども向けゲーム、年間500万ドル(約5億5000万円)を騙し取っていたVPNアプリなどがある。

エレフテリオ氏は現在、App Storeの詐欺事件をもう1件調査しており、近日中に公開する予定だと話している。この事件では、数百万件ダウンロードされたアプリの開発者が、数千万ドル(数十億円)の収益を上げていた。

同氏の仕事は、AppleがApp Storeの不正行為対策にどれだけ投資しているかについて疑問を投げかけた。結局のところ、1人の開発者が空いた時間に次から次へと詐欺を暴くことができるなら、世界で最も価値のある企業にもできるのではないだろうか。

実際、同氏は、より簡単に詐欺を発見するためのシステムさえ開発した。「Bunco Squad」というこのツールは、アプリの評価、レビュー、ダウンロード数、収益などの指標をダッシュボードに表示し、アプリに信頼度のスコアを付与する。詐欺師の多くは偽の評価を購入しているため、アプリの総合的な星評価とレビューの記載があるもののみから算出した評価を比較し、詐欺の可能性を見つけるというのは非常に簡明だ。

同氏は「Bunco Squad」をApp Storeで公開しようとしたが、当然のことながら却下された。Appleからは、アプリが提供する情報の一部が不正確である可能性があると言われたそうだ。

App Storeの不正に関する問題は、2021年になって議会にまで持ち込まれた。

Appleは、4月に行われた上院の反トラスト法に関する公聴会で、App Storeの詐欺師を止める能力がないように見えることについて質問を受けた。同社は、安全で信頼できるアプリ市場を維持するため、開発者に代わって詐欺行為に対処していることから、開発者に課す手数料を正当化していた。上院議員たちは、このようなApp Storeの詐欺行為を発見するために、なぜジャーナリストやその他の「オープンソースの報告」(エレフテリオ氏のような公の取り組みを指していると思われる)に頼らなければならないのかについて情報を求めた。

関連記事:米上院は独禁法公聴会でアップルのApp Storeにおける不正防止の怠慢を非難

そのときのAppleの回答は、セキュリティや不正行為との戦いは「いたちごっこ」であり、改善に努めているというものだった。

Appleは、10月6日の発表で、不正行為への効果的な対策には一般の人々からの協力が必要であることを認めたようだ。

同社は、App Storeの変更に関するお知らせという形ではあるが、一種の声明を発表した。その中で、同社が詐欺対策に十分な努力をしていないのは、おそらく詐欺アプリの収益がApp Storeの利益に貢献しているからだ、という噂を打ち消そうとしたようだ。

「問題のあるアプリは、ユーザーと開発者のApp Store体験を低下させます。私たちは、削除すべき問題のあるコンテンツの種類を特定する技術を常に拡げています。問題のあるアプリは削除され、その開発者はApple Developer Programのメンバーシップを失う可能性があります」と述べている。

「Appleは、App Storeがすべての開発者にすばらしい機会を提供し続けるために、問題のあるアプリからユーザーを保護することに深くコミットしています」と付け加えている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

スマホからノーコードでウェブサイトを作るUniverseがテーマやブロックの新機能を公開

モバイルでウェブサイトを構築できるプラットフォームのUniverseがアップデートを公開し、同社のグリッドベースのウェブビルダーに高度な制作用コントロール、便利なテーマ、ブロック機能などが追加された。Universeを使うとスマートフォンから直接、コーディングをすることなくシンプルなグリッドシステムでオリジナルのサイトを作ったりeコマースのストアを開設したりすることができる。新たなアップデートであるGRID System IIは、これまでの複雑なコーディングのプロセスを直感的なジェスチャーにして、ウェブサイトをもっと簡単に作れるようにすることを目指している。

Universeの創業者でCEOのJoseph Cohen(ジョセフ・コーエン)氏はTechCrunchのインタビューで「Universeの特徴はグリッドシステムで、今回はそのグリッドシステムの大幅なアップデートを発表しました。これにより、専門知識がなくてもこれまで以上に多くのことができるようになります」と語った。

コンテンツをドロップできる広いグリッドが用意されたプラットフォームで、シンプルなブロックをベースにしてウェブサイトを作っていく。今回のアップデートでは制作用のコントロールが再設計されてグラフィカルインターフェイスが改善し、グリッド内のブロックのパディングやテキストの細かな間隔をコントロールできるようになった。コーエン氏は、グリッドを詰めて最大7列にすることができるようになったと述べた。新しいインターフェイスではカラー選択ツールも強化されている。

さらに、30種類の新しいテーマから好みのものを選んだり、オリジナルのテーマを作ったりすることもできるようになった。テーマが登場する前は、ブロックの1つ1つにその都度スタイルを設定していた。今回のアップデートでテーマが導入され、フォントやページの背景、ボタンの色といったデザイン要素に一貫性を持たせることができる。テーマを使うと、テキスト、背景、見出し、カラーなどがサイト全体の外観に適用される。

コーエン氏は「我々はサイト全体に適用できる、30種類の魅力的なテーマを作りました。ユーザーがオリジナルのテーマをゼロから作ってもかまいません。我々が提供するテーマの中のいずれかを適用したりカスタマイズしたりすることができます。変更を加えると、サイト全体に反映します。テーマは基本的に、サイト全体にわたってすべてのスタイルを美しく、使いやすく変更する手段です」と説明した。

新しいテキストスタイルを利用して、テキストをタイトル、サブタイトル、キャプションなどに分類することもできる。タイトルのインジケータを使うとサイトのSEOが向上し、アクセシビリティも拡張されるとUniverseは説明している。

新しいレイヤー機能も追加され、ブロックの上にブロックを重ねられるようになった。これまでは画像のブロックとテキストのブロックというように2つのブロックを重ねることはできなかった。今回の新しいレイヤー機能を使うと、ウェブサイトのデザインに関する制作の自由度がずっと高くなる。

さらにUniverseは、1つのサブグリッド内で複数のブロックを組み合わせて集合体を作る、新しいグリッドブロック機能も公開した。サイトにブロックを追加するとそのブロック内に別のグリッドが作られるもので、フォトギャラリーなどを追加するのに使える。グリッドブロックでブロックをグリッド上に正確に配置した後、サブグリッドをページ上の任意の場所にドラッグできる。

UniverseはShopifyやWixといった人気ウェブサイト構築ツールの競合だと思う人もいるかもしれないが、コーエン氏はまったく違うものだという。

画像クレジット:Universe

同氏はこう説明する。「我々はグリッドと呼ばれる新しいインターフェイスを開発しました。これは基本的には、テック系でない人、あるいはプロのデザイナーではない人が完全にオリジナルのウェブサイトを構築できるようにするものです。Squarespace、Shopify、Weebly、 Wixなどのシステムがありますが、これらはデスクトップベースでテンプレートベースのウェブサイトビルダーです。Universeで利用できるテンプレートはありますが、テンプレートベースではありません。テンプレートで制限されないため、グリッドそのものが制作のためのインターフェイスです」。

利用状況についてコーエン氏は、コロナ禍で多くの人がビジネスや副業を始めてウェブサイトを作ろうとしたことからUniverseのユーザーが増えたと語る。同社はコロナ禍の初期に、サイトで製品を販売し出荷できるようにした。そのためユーザーは、Shopifyなど他社のeコマースツールに登録する必要がなかった。

同氏は「コロナ禍が始まってからの1年半、当社は急速に成長しました。全体としては、作成されたアクティブなサイトの数が10倍ほどになりました」と述べた。

またコーエン氏は「リンクインバイオ」サイトを求めるインフルエンサーのユーザーが増えていると語る。「リンクインバイオ」サイトとは、Instagramのプロフィールの最後に書いておいてInstagram外のウェブサイトに誘導するURLのことだ。誘導先のサイトは、製品を販売したり、他のソーシャルメディアアカウントにリンクしたり、ポートフォリオを紹介したりするのに使われることが多い。同氏によれば、Universeで作られるサイトの40%が「リンクインバイオ」で、このようなサイトがコマースと並んでUniverseで最も大きく成長している領域だという。

Universeには現在数十万のアクティブなサイトがあり、同社は今後もプラットフォームの成長に合わせてコンシューマにとって使いやすいアップデートをリリースしていく予定だという。

コーエン氏は「今回のアップデートで我々は飛躍を遂げましたが、今後もこのグリッドシステムの改良を長く続け、いずれはインターネット上で可能なことはすべて我々のグリッドシステムで実現できるようになるでしょう。中心となっている制作の機能だけでなく、ビジネス構築に関わるコマースの機能も充実させていきます」と語った。

画像クレジット:Universe

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

ネットフリックスが視聴する作品選びをサポートする「ランダム再生」を全世界Androidユーザーに提供開始

Netflix(ネットフリックス)は米国時間10月4日、Androidユーザー向けの新機能を正式に発表した。この機能により、何を観たいか決められないときに、視聴する作品を見つけやすくなる。「Play Something(ランダム再生)」と呼ばれるこの機能は、シャッフルモードのオプションで、ユーザーの興味や過去の視聴行動に基づいて、好みに合いそうな別の映画や番組をNetflixが再生する。

これらのセレクションには、ユーザーがすでに視聴しているが全部観終えていない映画や番組、ウォッチリストにある映画や番組、あるいはNetflixのパーソナライゼーションアルゴリズムが提案する全く新しいシリーズや映画などが含まれる。

この機能は、一般公開される前から開発が進められていた。例えば2020年には、Netflixは「Shuffle Play(シャッフル再生)」としてテストを行っていた。また、同社は2020年第4四半期の決算で、シャッフルモードを2021年前半に全世界のユーザーに展開するとし、そのユーザーのためだけに特に選ばれた「タイトルを瞬時に視聴できる」と説明していた。

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画像クレジット:Netflix

そのスケジュールは一部実現した。

「ランダム再生」とリブランドされたこの機能は、4月にNetflixのテレビアプリで世界中のユーザーに正式に提供開始された。このオプションは、プロフィール選択画面のプロフィール名の下、画面左のナビゲーションメニュー、Netflixホームページの10列目など、いくつかの場所に表示されている。これらは、ユーザーがブラウジングに挫折してアプリを終了してしまうようなタイミングで表示されるように設計された場所だ。また、スクリーンリーダーを使っているユーザーは、TTS(音声読み上げ)を使って「ランダム再生」を利用することもできる。

Netflixは当時、この機能のテストをAndroidをはじめとするモバイル端末で間もなく開始すると述べていた。その後、5月下旬にテストを開始した。

つまり、この「公式」デビューのずっと前から、あなたのAndroid端末にはこの機能が搭載されていたかもしれないが、グローバル市場ですべてのNetflixユーザーは、まだこの機能を試すことができていなかった。

しかし、Netflixは本日より、世界中のすべてのAndroidモバイル端末に「ランダム再生」を正式に導入する。同社は「今後数ヶ月のうちに」iOSでもこの機能をテストする予定だと述べている。

モバイル端末では「ランダム再生」ボタンは、スクロールすると携帯電話の画面下部にあるコンテンツの上に表示され、アプリ内には専用のタブもある。

画像クレジット:Netflix

Netflixによると、この機能に対するユーザーの反応は今のところ良好で、この機能を賞賛するツイートもいくつか見受けられるという。

だが、Netflixにとってこのシャッフルモード機能は、ユーザーに別のより簡単な視聴方法を提供するだけではなく、ユーザーが他のエンターテインメントの選択肢に移る前にアプリ内に留めておくための手段でもある。それがライバルアプリのストリーマーであれ、TikTok(ティックトック)のような動画ソーシャルメディアアプリであれ、だ。

実際、短編動画の脅威は深刻で、Netflixは最近、モバイルアプリ用に「Fast Laughs」というTikTok(ティックトック)のような機能を独自に開発した。この機能では、ユーザーをコンテンツに誘導するためにコメディ動画のフィードを表示する。TikTokは先週開催されたイベントで、独自の調査データを引用して、ユーザーの35%がTikTokの影響でテレビを見る機会が減っていると述べ、この潜在的な脅威をより具体的な数字で表している。

「ランダム再生」は「Downloads for You(オススメダウンロード)」と呼ばれるスマートダウンロード機能や、ダウンロード中の動画再生機能のサポート、2020年に追加されたトップ10リストなどの、同アプリの他の新しい機能に加わることになる。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

モバイルゲーム会社Voodooがテーブルトップゲームやカードゲーム専門のBeach Bumを買収

フランスのスマートフォン向けゲーム会社であるVoodoo(ヴードゥー)が、カジュアルなモバイルゲーム市場における重要な買収を行った。同社は、イスラエルに拠点を置くゲームスタジオで、テーブルトップゲームやカードゲームを専門とするBeach Bum(ビーチ・バム)を買収すると発表した。

この買収では、Voodooは現金と株式の両方を提供し、リテンションボーナスも支払われるため、取引額について明確な数字を得ることは難しい。ある関係者によると、Voodooは総額で数億ドル(数百億円)を支払う可能性があるとのこと。Beach Bumが過去12カ月に7000万ドル(約77億7000万円)の収益を上げていることを考えれば、この取引の規模を察することはできるだろう。

Voodooは「Helix Jump」「Crowd City」「Hole.io」「Paper.io 2」などの、いわゆるハイパーカジュアルゲームでよく知られている。同社はゲーム開発会社であると同時に、パブリッシャーでもあり、他のゲームスタジオと提携して、配信やユーザー1人当たりの平均収益などを最適化する技術スタックを構築している。

これまでにVoodooは、Tencent(テンセント)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)から資金を調達している。最近では、Groupe Bruxelles Lambert(グループ・ブリュッセル・ランバート)が2億6600万ユーロ(約343億円)をVoodooに出資した。これにより同社の評価額は17億ユーロ(約2200億円)となっている。

Voodooは時間を無駄にすることなく、新たな資本を調達した直後から、外部成長の機会として買収対象を検討し始めていた。現時点における同社の従業員数は350名。Beach Bumで働く150名がそれに加わることになる。

米国時間9月30日に発表されたこの買収により、Voodooはそのハイパーカジュアルゲームのカタログに、いくつかのカジュアルゲームを加え、新たなセグメントに拡大することになる。Beach Bumは現在、App Storeで「Backgammon – Lord of the Board」「Spades Royale」「Gin Rummy Stars」という3つのゲームを配信している。

両社では、ビジネスモデルも少々異なる。歴史的に見て、Voodooはゲームの収益化をほとんど広告に頼ってきた。その一方で、Beach Bumは代わりにアプリ内課金に重点を置いている。このように、今回の買収は、Voodooの収益源を多様化させることになる。

「(Beach Bumは)今、さらに2つのゲームを開発中です。Voodooの意向は、Beach Bumをアプリ内課金への入り口にすることです。だからBeach Bumには、できるだけ多くのゲームを出してもらいたいと、彼らは考えているはずです」と、Beach Bum共同設立者の1人であるGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・ワイス)氏は筆者に語った。

レヴィ・ワイス氏は、VC会社であるNFXのゼネラルパートナーで、2015年にBeach Bumを共同設立した。同氏は現在、Beach Bumで運営上の役職には就いていないものの、取締役会の会長を務めている。

「イスラエルのゲーム業界は、ここ数年で大きく成長を遂げ、現在までに400社を数えるまでになりました。主に欧州やアジアのバイヤーによって、いくつかのイグジットが起きています。数カ月前には、イスラエルのゲーム会社であるPlaytika(プレイティカ)が110億ドル(約1兆2200億円)の評価額でNASDAQ(NASDAQ)にIPOしました」と、テルアビブを拠点とするシニア投資銀行家のAvihai Michaeli(アヴィハイ・マイケリ)氏は、筆者に話してくれた。

画像クレジット:James Yarema / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがユーザーによる悪質なアプリや詐欺行為の報告を簡単に

The Vergeによると、App Storeのトップアプリのかなりの割合が詐欺であることが明らかになった報道を受けて、Apple(アップル)はユーザーがそのような行為を報告できるようにしているという。iOS 15の一環として、最新のApp Storeアップデートでは、無料、アプリ内課金(IAP)、有料のいずれのアプリについても、問題のアプリをインストールしていれば「詐欺や不正行為を報告」できるようになっている。

Kosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリウ)氏とRichard Mazkewich(リチャード・マズケウィッチ)氏のTwitterでの詳細によると、この機能は、従来の「問題を報告」機能よりもさらに踏み込んだものとなっている。これまでのように「疑わしい活動を報告する」「品質問題を報告する」「返金を要求する」「自分のコンテンツを探す」だけではなく、詐欺や不正行為を知らせることができるようになった。以前は、詐欺や不正行為を強調する前に、アプリ内での購入も必要だったが、それも必要なくなっている。

The Vergeが指摘したように「問題を報告」機能自体は数年ぶりに個々のアプリのリストに戻ってきた。以前は「アプリ」や「ゲーム」タブの下部にあり、報告する際には別のウェブサイトに送られていた。

Appleは、2021年6月に新しいApp Store Reviewガイドラインを発表した際に、この変更を実質的に予見していた。いくつかのセクションでは、Appleが不正行為や詐欺、開発者の不正行為に対してより厳しい姿勢で臨むという変更が含まれていたと当時TechCrunchは指摘していた。

関連記事:アップルが詐欺撲滅を目指してApp Storeガイドラインを改訂

2021年初めにWashington Postが明らかにしたところによると、App Storeで発見された悪質なアプリには、顧客を騙して不要なソフトウェアを購入させるVPN、悪質な出会い系アプリ、QRリーダー、主要ブランドを詐称したアプリなどが含まれていた。同紙の推定によると、これらのアプリは、ユーザーから推定4800万ドル(約53億円)を詐取した可能性があるという。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

普及が遅れる仕事の最前線、現場やサービス業向けチャット&コミュニケーションアプリでYoobicが約55億円調達

ナレッジワーカーが職場のコラボレーションアプリに求めているものの基準を、さまざまな意味で打ち立ててきたのがSlack(スラック)だが、現場の作業員に関してはこれまであらゆるものが見過ごされてきた。このような最前線で働く人々が会話に参加できるような人気アプリを開発したソフトウェア企業の1つが今日、より多くの機能を提供するための資金調達ラウンドを発表した。

最前線で働く人やサービス業に従事する人たちがタスクを管理したり、お互いや経営陣とコミュニケーションをとったり、さらにはトレーニングや育成などのeラーニングを行うためのアプリを提供するYoobic(ユービック)が5000万ドル(約55億円)を調達した。

Highland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)がリードした、シリーズCとなる同ラウンドには、以前からの投資家であるFelix Capital(フェリックス・キャピタル)、Insight Partners(インサイト・パートナー)や、BNF Capital Limited(BNFキャピタル・リミテッド)がアドバイザーを務めるファミリーオフィスも参加(FelixはYoobicのシリーズAを主導し、Insight Partnersは2019年のシリーズBを主導した)。Yoobicは評価額について公開していないものの、信頼できる情報源から聞いたところによると、現在は3億ドル(約330億円)から4億ドル(約441億円)の間だそうだ。

今回の資金調達は、同社が飛躍的な成長を遂げる最中に実現した。

世界80か国の大手ブランド約300社と取引のあるYoobic。小売業、接客業、流通業、製造業などの分野で33万5000もの拠点をカバーしている。顧客には薬局チェーンBoots(ブーツ)、スーパーマーケットのCarrefour(カルフール)の他、Lancôme(ランコム)、Lacoste(ラコステ)、Logitech(ロジテック)、Peloton(ペロトン)、Puma(プーマ)、Vans(ヴァンズ )、VF Corp(VFコーポレーション)、Sanofi(サノフィ)、Untuckit(アンタックイット)、Roots(ルーツ)、Canada Goose(カナダグース)、Longchamp(ロンシャン)、Lidl(リドル)、Zadig & Voltaire(ザディグ・エ・ヴォルテール)、Athletico(アスレチコ)などが名を連ねている。

しかしこれは氷山の一角にすぎない。世界には27億人の「デスクレス」(現場およびサービス)ワーカーがいると言われており、世界の労働力の80%以上を占めている。しかし驚くべきことに、IT予算のうちデスクレスワーカーのために使われているのは、わずか1%にすぎないというのだ。これはスタートアップにとって、この分野に進出する大きなチャンスがあることを意味している。ただし、スタートアップ(またはデスクレスワーカー自身)が、財布の紐を握っている人々にその投資価値を納得させることができればの話である。

そのため今回の資金調達は、人材の採用、地理的な拡大(同社はロンドンで設立され、現在はニューヨークに本社を置く)、製品の拡大に充てられる予定だ。具体的にはより高い予測分析機能を構築して応答性を向上させ、企業の使用状況についてより多くの情報を提供し、また製造業、物流、輸送など、最前線での仕事の世界における特定の分野に対応するツールをさらに構築しようと計画していると、YoobicのCEOで共同創業者のFabrice Haiat(ファブリス・ハイアット)氏はTechCrunchのインタビューで話している。

Yoobicは数年前、小売業に特化する事業として開始した。この分野は前回の2019年のラウンドの時点でも集中的に取り組んでおり、マーチャンダイジングや店舗間の在庫に関するコミュニケーションなどを支援するツールを提供していた。今でも小売業は同社のビジネスの大部分を占めているが、小売業と同じようなニーズを持つ、フロントラインやサービス関連の従業員を抱えるより幅広い業種に進出するきっかけを同社は見出したのだ。

これはパンデミック渦にはなんとも幸運な方向転換となった。

「新型コロナウイルス(COVID-19)は我々に多大な影響を与えました」と、兄弟のAviとGillesと共同で会社を設立したハイアット氏は振り返る。「最初の2カ月間はパニック状態でした。しかし、現場の従業員が業務の成功に不可欠であることに企業が気づいたのです」。

新型コロナウイルスが到来して以来、プラットフォーム上のアクティビティは200%増加し、2021年初めにはプラットフォーム上での月間アクティビティ数が100万を超えたという。「狂ったように成長している」とはハイアット氏の言葉である。

フロントラインワーカーのためのソフトウェア開発が重要である理由はいくらでもある。最前線で働く人々は固定デスクを持たずに動き回り、スクリーンを睨んだり会議に出る代わりに顧客と長時間接し、また全般的に優先事項や慣習が異なるため、デスクワーカー向けに作られたソフトウェアが必ずしも彼らにフィットしないというのは当然のことである。

実際、この隙間を埋めるためのサービスを構築しようと試みる企業は何年も前から存在する。そして現場の人々のための優れたツールを開発している企業の中には、市場を統合しようとする興味深い動きが複数ある。Crew(クルー)最近Square(スクエア)に買収されServiceMax(サービスマックス)はZinc(ジンク)を買収。また、Facebook(フェイスブック)のWorkplace(ワークプレイス)は現場で働く人々のための強力なコミュニケーションプラットフォームとして、世界の大企業を顧客として獲得しようと性を出している

これらはいずれもすばらしい動きではあるものの、現場が本当に必要としているツールの全容を理解しているとは言えないとハイアット氏は主張する。そのツールとは、実用的な機能(在庫管理など)から、従業員に簡単に提供することができるなら欲しいと企業が思うような機能(専門的な育成やトレーニングなど)までさまざまだ。そういった意味では、現在のフロントラインワーカー向けアプリが提供する基本的なコミュニケーションツールは、ほんの駆け出しのようなものである。

市場のギャップとそれを解決するために何が必要かをよく理解することができたため、同社は投資家の関心を集め、大きな成長へとつなげることができたのだろう。

Highland EuropeのパートナーであるJean Tardy-Joubert(ジャン・タルディ=ジュベール)氏は次のように話している。「Fabrice、Avi、Gillesが率いるすばらしいチームのおかげで、Yoobicはデジタルワークプレイス分野のリーダーとしての地位を確立し、市場けん引力を発揮して目覚ましい成長を遂げています。そのため彼らと提携できることを非常にうれしく思っています。企業はこれまで、デスクワークをする従業員のためのデジタル投資に注力してきましたが、世界は今、分散化、非集中化にシフトしつつあります。私たちは巨大なリソース、テクノロジー、資本が現場チームに向けてシフトするような、劇的な変化が起こると予測しています」。タルディ=ジュベール氏は今回のラウンドでYoobicの取締役に就任する予定である。

画像クレジット:Thomas Barwick

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

Spotifyがポッドキャストに投票およびQ&A機能を追加

Spotify(スポティファイ)は2021年2月に、リスナーの投票やQ&Aを利用してポッドキャストをよりインタラクティブにする新機能のベータテストを開始していた。そして現地時間9月30日、Spotifyはこれらの機能を、同社が提供する音声コンテンツ制作・配信ツール「Anchor(アンカー)」を通じて、すべてのクリエイターが利用できるようになると発表した。

これらの新機能を活用すれば、Anchorを使ってポッドキャストを制作・配信しているクリエイターは、エピソードと一緒に質問や投票を投稿できるようになる。現時点では1つのエピソードに、1つの投票と1つのQ&Aのみを追加することができ、複数の投票やQ&Aは付けられない。

そのポッドキャストがSpotifyで公開されると、Spotifyモバイルアプリでは、ポッドキャストのエピソードページの下部に投票やQ&Aが表示される(iOSとAndroidのどちらも対応。ただしブラウザやデスクトップアプリでは表示されない)。リスナーは、アプリ内のプロンプトに従って、Q&A機能にはテキストで、投票機能ではクリエイターが設定した選択肢の中から該当するものを選んで、質問に回答することができる。

画像クレジット:Spotify

リスナーは投票に参加すると、すぐに他のポッドキャスト視聴者の投票結果を見ることができ、自分と同じ回答がどのくらい支持されているかを確認できる。しかし、Q&Aの回答は、ポッドキャスターのみに非公開で届けられる。ポッドキャスト制作者は、リスナーより届いた回答の中から、質問の下に表示させたい特定の投稿を選び、エピソードに固定表示することもできる。ただし、これらの回答には、リスナーのSpotifyユーザー名が表示されるので、この機能はその点を考慮して使用する必要がある。言い換えれば、この機能はポッドキャストで、ラジオのコールイン(聴取者が電話で参加する)のようなことを可能にするものだ。もっとも、リスナーの生の声や録音された音声ではなく、文字によるものという違いはあるが。

これらの機能は、今回の一般展開に先立ち、1年間にわたって数百人のクリエイターによるテストが行われてきた。その間にクリエイターは、Q&Aを利用して今後のゲストの提案を求めたり、番組に対する感想や意見を得たり、さらにはリスナーの反応を見たホストの発言を聞くためにリスナーの再訪を促すといったゲーミフィケーションの要素を番組に加えたりしてきたと、Spotifyは述べている。

画像クレジット:Spotify

この新機能は、日本を含む世界160の市場で、すべてのAnchorクリエイターとSpotifyユーザーが利用可能になっている。公式ウェブサイトによると、現在Spotifyは世界178の市場で展開されているとのことなので、全世界の市場というわけではない。しかし、大部分を占めている。

リスナーとの相互コミュニケーションは、Spotifyが従来のポッドキャスト体験を刷新するために取り組んできた方法の1つに過ぎない。同社は最近、有料のポッドキャスト配信や、音楽とトークを1つのコンテンツの中で一緒に楽しめる「Music + Talk」フォーマットの導入、そして「ライブ」ショーを開催するための「Spotify Greenroom(スポティファイ・グリーンルーム)」と呼ばれるアプリの展開なども開始している。

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Automagiがスマホで荷物サイズを自動計測できる「ロジメジャー」を法人向けに提供開始

Automagiがスマホで荷物サイズを自動計測できる「ロジメジャー」を法人向けに提供開始

社会や企業にAIソリューションを提供するAutomagi(オートマギ)は9月29日、バーコードで荷物情報を読み込みスマートフォンで撮影するだけで、荷物のサイズがわかり記録管理ができる、物流業界向けの荷物情報収集AIアプリ「Logi measure」(ロジメジャー。iOS版)の提供を開始した。利用料金は月額15万円(税込)から。スマートフォンは、iPhone 12 Proを推奨している。

物流業界では、ダンボール箱に入った荷物のサイズを測るために、1つあたり平均1分ほどの時間を割いているという。どの業者も毎日膨大な量を扱うため、累積すると相当な時間になる。また、荷物サイズの計測と管理の効率化が遅れていることからトラックに積み込める量が制限されてしまい、現在は平均積載量は40%を切るともいわれているそうだ。

Automagiは、創業から4年間、120社以上の企業のDX化を支援してきた知見を活かし、荷物情報収集技術の開発を進めてきたが、今回そのサービスの本格提供に至った。

Logi measureは、スマートフォンで荷物に貼られたバーコードで荷物情報を読み取り、箱を撮影すると自動的にサイズが計測される。対応する箱の大きさは1辺が10~70cm。計測の精度は、3辺合計の実物対比で95%以上。計測時間は最短で3秒で、通常1分かかるところが20分の1に短縮できるとのことだ。

企業が使用しているデータ管理システムとの連携も行えるため、トラックにどれだけ積み込めるかを事前に予測することが可能になるという。「倉庫管理の効率化やトラックの積載率向上につながるほか、配送料金の算出や適正な梱包による梱包コストの削減など、荷物データを基盤にしたDXの推進を支援します」とAutomagiは話している。今後は計測対象範囲を拡大してゆくとのこと。