メルカリがマルイと連携、リアル店舗「メルカリステーション」を新宿マルイ本館にオープン

メルカリは2月20日、事業戦略などを説明する同社初の事業戦略発表会「Mercari Conference 2020」を開催した。当初は虎ノ門ヒルズフォーラムで報道関係者を招待して開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響もありライブ配信のみでの開催となった。なお2月18日、メルカリは同社社員に在宅勤務を実施することを発表済みだ。

最初に同社代表取締役CEO兼社長の山田進太郎氏が登壇。不要品の価値は7.4兆円あると推計されており、メルカリは個人ユーザーをエンパワーメントする存在として事業を進めていくと語った。また同社はこれからも、日本のメルカリ事業、メルペイ事業、米国のメルカリ事業が3本柱としていくことを力説した。

続いて登壇した、同社取締役メルカリジャパンCEOの田面木宏尚氏は、リアル店舗「メルカリステーション」を開設することを発表。メルカリ教室、撮影ブース、梱包資材の販売、発送までを担う店舗として、都内で試験店舗をオープンし、来年夏までに全国主要都市に展開。

ここで提携するのはマルイで、新宿マルイ本館にフラッグシップ店舗をオープンする。

詳細は追記する。

事前に収入を予測できる“データドリブン農業”構築へ、食べチョクが農業IoTとの連携を開始

生産者から直接食材を買うことができるオンラインマルシェ「食べチョク」を運営するビビッドガーデンは2月20日、データを活用して生産者を支援するデータマーケティングの取り組み第一弾として、農業向けIoTキット「Agri Palette(アグリパレット)」との連携をスタートした。

現在750軒以上の生産者が登録する食べチョクには各生産者/食材ごとに顧客からの評価(口コミ)が蓄積されている。ビビッドガーデン代表取締役CEOの秋元里奈氏は昨年10月の資金調達時に「農家を中心とした生産者データの活用」を今後のポイントに挙げていたが、この顧客評価データを軸にさまざまな企業と連携しながら生産者の支援を進めていくという。

今回連携した農業向けのIoTキット「Agri Palette」は、手軽にIoTを導入できるプラットフォーム「Palette IoT」を手がけるMomoが開発したセンサーシステム。畑から取得した土壌や空気、日照量のデータを受信機を経由してウェブに記録し、アプリ上にて見える化する。

食べチョクでは自社で保有する顧客評価データと、Agri Paletteを通じて取得する作物データを照らし合わせることで「どの条件で育てたものが顧客から高評価なのか」をノウハウとして蓄積していく計画だ。この取り組みが定着すれば生産者は品質・収量・収穫時期もコントロールしやすくもなるため、食べチョク側でも収穫スケジュールを事前に把握できるようになる。

その上で販売時の商品ページの画像を時期ごとに自動で切り替わる機能などを実装する予定。他サービスとの連携も通じて新規就農・新規作付けのリスクを減らしつつ、ゆくゆくはデータを参照することで予め収入を予測できる「データドリブン農業」の構築を目指すという。

タッグを組む「Agri Palette」はMakuakeで予約販売を実施中

Agri Paletteとの取り組みについては、まずは実証実験のような形で一部の農家から限定的に導入を進める方針。本格的なサービスの開始時期は2021年の予定だ。

Google Cloudがソウルリージョンをオープン、韓国ゲーム企業などのアクセスが低遅延に

Google Cloudは米国時間2月19日、韓国初となるソウルリージョンをオープンさせ、サービスを開始したと発表した。昨年4月に初めて発表されたこのリージョンには3つのアベイラビリティゾーンがあり、Compute EngineからBigQuery、Bigtable、Cloud Spannerにいたるまで、Google Cloudの標準サービスのほぼすべてをサポートする。

これによりGoogle Cloudは16か国、21のリージョンと64のゾーンでサービスを提供することになる。ソウル地域は、Asia-Northeast3という覚えやすい名前で、日本を含む同地域の他のリージョンや香港、台湾を補完するものになる。ここで重要なのは、韓国企業にGoogleのクラウドサービスへの低遅延アクセスが提供されることだ。

「韓国最大のゲーム企業として、我々はゲーム開発、インフラ管理、そしてビジネスインテリジェンスを業務に取り入れるためにGoogle Cloudと提携している」と、NetmarbleのCTOであるChang-Whan Sul(チャンファン・スル)氏は語る。「ソウルにあるGoogle Cloudのリージョンはこの地域へのコミットメントを強化し、このイニシアチブが我々のビジネスにもたらす機会を歓迎する」。

Google Cloudはまた、年内にラスベガスのソルトレークシティとインドネシアのジャカルタで、より多くのゾーンやリージョンを開設する計画だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

チームの目標達成や事業成長を支えるOKRサービス「Resily」が5億円調達

Resilyのメンバーと投資家陣。左から3人目が代表取締役の堀江真弘氏

SaaS型のクラウドOKRサービス「Resily」を展開するResilyは2月20日、DNX Venturesとセールスフォース・ドットコムを引受先とする第三者割当増資により総額約5億円を調達したことを明らかにした。

同社では2019年2月にDNX Venturesより5000万円を調達済みで今回はそれ以来の資金調達となる。今後はプロダクトの機能拡充や顧客拡大に向け、エンジニアやカスタマーサクセスを中心に人材採用を強化していくという。

OKRを軸にチーム状態を可視化し、目標達成をサポート

Resilyは2017年8月にSansan出身の堀江真弘氏(代表取締役)らが創業したスタートアップだ。

創業から半年ほどはOKRのコンサルティングなどを通じて、いろいろなチームが目標管理や目標達成において課題に感じていることを探ってきた。そこで行き着いたのが、組織としてボトルネックにもテコにもなりえるミドルマネジメント層が抱える「チームの状態がわからない」という課題だ。

「既存のツールだけでは『チームの状態がなぜ良いのか、なぜ悪いのか』の原因が正確に把握することは難しい。チーム全体で何が起こっていて、どこにズレが生じているのか。これをシンプルに可視化して、必要な情報を流通させる仕組みが必要だと感じた」(堀江氏)

その解決策として2018年8月にローンチしたResilyは、チーム内でのOKR管理とそれにまつわるコミュニケーションをスムーズにすることで、チームの目標達成や事業成長を後押しする。

OKRマップ

マップ型のUIでチームと個人それぞれの目標(Objectives)および成果指標(Key Results)を階層に分けて可視化。会社と各部署、各メンバーの目標がそれぞれきちんと結びついているか、個人個人がどんなどんな目標を掲げていて現在どのような進捗状況なのかが一目でわかる。成果指標は問題のある箇所や達成の自信がない箇所が“信号”のように色分けされていくため、早い段階で課題を特定し対策を打ちやすい。

全体を把握した上で1つ1つのOKRについて掘り下げたい場合には「ミーティングボード」を用いる。これは各OKRごとに用意された掲示板のようなもので、目標に対するアクションやそこから得られた考えなどを蓄積していくことができる。OKRを上手く運用していくためには定期的な振り返りとアップデートが不可欠であり、それを支えるための役割とも言えるだろう。

その他マネージャー向けの機能として、各メンバーのOKRや進捗率、成果指標の変更履歴などを確認するためのダッシュボード(以前はタイムラインと呼んでいたもの)も備える。

ミーティングボード機能

ダッシュボード

事業成長を支援する「経営管理ツール」へ

Resilyではこれらの機能を月額3万円からのSaaSとして、IT系の企業を中心に累計約100社へ提供してきた。堀江氏の話では、特に上場を控えたフェーズのスタートアップや上場後のベンチャー企業をメインターゲットになるそう。導入企業の約8割はOKR未経験であり、導入や運用の伴走支援にも力を入れている。

ORKに関連するプロダクト自体は日本国内でもいくつか存在するが、人事評価の文脈でOKRを取り入れているものが多い。たとえば過去に紹介した「HRBrain」や「カオナビ」といったサービスは目標管理手法の1つとしてOKRに対応している。

一方でResilyが狙っているのは事業成長を支援する「経営管理ツール」としてのポジションだ。先月米国ではWorkBoardというスタートアップが事業を大きく成長させ、3000万ドルの資金調達に成功した。同社が手がけるプロダクトはOKR管理を軸とした経営管理ツールであり、Resilyでもこの方向性にプロダクトをアップデートさせていく方針だという。

「(WorkBoardのようなプロダクトは)経営陣や事業責任者が経営のヘルスチェックに使うツールだと捉えている。事業KPIの予実ギャップを埋めるアクションをどの部門がどのように進めているかを確認したり、注力ポイントにきちんとリソースを注げているかをチェックしたり。これはHRというよりは経営管理側のプロダクトに近く、自分たちもResilyをその方向に尖らせていきたい」(堀江氏)

そのためにはさらなる進化が必要だ。昨年の調達以降Resilyではいくつか新機能などを試したものの、なかなか仮説通りにはいかない部分もあったそう。現在もリニューアルに向けて開発に取り組んでいる。

今検証を進めているのは、データを軸にチームの課題をプロダクト側で提示する機能。今までは各メンバーが入力したKRの状況を色を使って分類していたが、今後は入力されたデータの標準偏差や平均値を用いて「今のチーム状況を踏まえると、ここに課題がありそうです」というレベルまでResilyが教えてくれる状態を目指している。

「まずは経営者がデータを基にチームの状況や課題を正しく理解した上で、ミドルマネジメントを中心に素早くメンテナンスできるような基盤を作る。その1つのアプローチとして、プロダクト側から優先的にやるべきことを教えてあげることで、スムーズに対策が進められるような仕組みを用意していきたい」(堀江氏)

いよいよTwitterがストーリー機能を搭載? テンプレートメーカーChroma Labsを買収

Twitterにストーリー機能が搭載される日が近いのだろうか? それとも、ちょっときれいなツイートを送信するためのツールを入手するだけなのだろうか? Chroma Labsを買収したばかりのTwitterには、いまやどちらに向かう力も備わっている。Instagram Boomerangの発明者であるJohn Barnett(ジョン・バーネット)氏が共同創業したChroma LabsのChroma Storiesアプリを使うと、Instagram StoriesやSnapchatなどに投稿するための、スタイリッシュなレイアウトテンプレートやフレームを使ったコラージュを作ることができる。

TwitterはChroma Storiesをそのまま維持するのではなく、Chroma Labsのチームを製品、デザイン、エンジニアリングのチームへと吸収する。iPhoneのChroma Storiesアプリ はなくなるわけではないが、これ以上更新されることはなく、iOSの次の非互換アップデートまでの動作が期待されるだけだ。

「2018年にChroma Labsを設立したときに、創造性を刺激し、ユーザーが視覚的なストーリーを伝えることを手助けする企業を作り上げようとしました。おかげさまで過去1年間で、世界中のクリエイターたちや企業にChroma Storiesアプリを使って、たくさんのストーリーを作成していただけました」とChroma Labsチームはそのサイトに書いている。「私たちはこの成果を誇りに思っています、そして世界で最も重要なサービスの1つの中で、より大きな規模で私たちのミッションを継続できることを楽しみにしています」

TechCrunchは取引の詳細と買収金額について、Twitterに問い合わせた。Twitterはこれは単なる開発チームの獲得(acquihire)ではなく、(Chroma Storiesは終了するものの)企業そのものの買収であるということを認めた。買収条件の開示は拒否したが、Chroma Labsの7人の従業員全員が移籍すると語っている。チームはTwitterの Conversations部門で作業する予定だ。この取引は公開ディスカッションに役立つ才能、リーダーシップ、専門知識を高めることも目的としているのだ。Twitterの広報担当者は、Chromaが事業を停止しアプリの次のバージョンが制作されないことも認めた。

2018年後半に設立されたChroma Labsは、2019年初頭にシードラウンドを行い、Sweet Capital、Index Ventures、Combine VCを投資家として迎えた。バーネット氏の共同創業者には、Facebook PhotosおよびInstagram StoriesのエンジニアリングマネージャーだったCTOのAlex Li(アレックス・リー)氏や、Oculus RiftとFacebookの拡張現実フィルターのプロダクトデザインマネージャーだったJoshua Harris(ジョシュア・ハリス)氏らが名を連ねている。

Chroma Storiesを使用することで、レトロフィルター、休日をテーマにしたフレーム、おしゃれなコラージュテンプレートから選択を行い、毎日投稿される膨大なストーリーの中で、自分の投稿を特別なものに見せることができる。Sensor Towerは、Chroma Storiesのこれまでのダウンロード数を3万7000回と推定している。高い品質を持つアプリにもかかわらず、それほど熱心に市場に受け入れられていなかったことも、今回のチームのTwitter入りを説明してくれるのかもしれない。

Twitterは、ビジュアルストーリーテリングの最も優れた才能を取り込むことで、テキスト中心のアプリにスパイスを加えることができる。今やTwitterは、ストーリー機能を持たない数少ないソーシャルアプリの1つであり、そのクリエイティブツールは非常に限られている。ツイートに写真をレイアウトするより良い方法の提供は、Twitterをより美しくし取捨選択を楽にしてくれる。これによってTwitterは10代の若者にとってより魅力的なものになり、Snapchatに遅れをとっているユーザー数の増加にも役立つことだろう。

Twitterは、世界の公的発言記録の場となっている。Chroma Labsがもたらす才能によって、Twitterはアートやデザインのリアルタイムギャラリーにもなるかもしれない。

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(翻訳:sako)

WalmartのQ4決算はeコマースが35%成長も売上高は予想を下回る

Walmart(ウォルマート)のホリデー商戦の業績は予想に届かなかった。2019年第4四半期決算の売上高は1416億7000万ドル(約15兆6000億円)で、予想の1425億5000万ドル(約15兆7000億円)を下回った。1株あたりの調整後利益は1.38ドル(約152円)で、これに対し予想は1.44ドル(約158円)だった。同社は要因をいくつか挙げ、そこには米国店舗におけるホリデー商戦が予想よりも「軟調」だったことも含まれる。12月は特に玩具、メディア、ゲーム、アパレルの売上が芳しくなかった。

消費者がこれまでになくオンラインで買い物する傾向があり、全体的に決算はWalmartに向かい風が吹いていることを示している。その一方でWalmartはオンラインにかなり投資しているものの、いまだにそのオンラインではなく実在店舗でかなり売り上げている。第4四半期にはいくつかの問題が重なった。玩具産業が抱える問題(これはTargetもまた直撃した)、ゲームの新味のなさ、短いホリデーショッピング期間が足を引っ張り、さらには暖冬でアパレルの売上が多くの店舗で落ち込んだ。

Walmartのように店舗が大きくても、棚のスペースと面積がものをいう。棚卸表がすばやく回転しなければ、売上は苦戦する。第4四半期の米国の既存店売上高は1.9%増で、予想の2.3%を下回った。

それとは対照的に、Amazon(アマゾン)のホリデー商戦は予想を上回った。過去最多の売上高となり、有料のプライム会員数は1億5000万人に増加。翌日配達と同日配達の件数は前年同期の4倍になった。

Targetなどと同様、これまでのところWalmartはハイブリッドなアプローチをとることにおいて概ね成功している。これは実在店舗事業とオンライン事業が区別されていないことを意味し、むしろオンラインで購入したものをピックアップするために客を店舗に誘導するように働いている。マーケットシェアを取り込み、Walmartの全体的なeコマース売上高を成長させるのに役立っている。

第4四半期でもそうで、eコマース売上高は35%増えた。これにはオンライングローサリーが大きく寄与した。グローサリーの売上高は「過去10年で最高」だった。Walmartはオンライングローサリーに対応する店舗の数を急速に増やしていて、年末時点でオンライン購入のピックアップに対応する店舗は3200店、そして1600店が配達も行っていた。

eコマースは同四半期中のホリデー商戦を牽引したが、成長幅は前年同期の方が41%増と2019年第4四半期の35%よりも大きかったことは指摘するに値するだろう。

Walmartが今後数カ月ですばやく拡大する必要がある分野はDelivery Unlimitedサービスだ。2019年に始まったこのサービスはInstacartやその他の企業と競合するグローサリー配達の会員プログラムだ。月会費または年会費を払うことで顧客は配達ごとにかかる費用を払わなくてもいい。同社は年末までに米国の50%でこのサービスを展開することを計画していたが、このプログラムが現在どこで利用できるのか、最新の情報は出さなかった。

一方のTargetは、グローサリー以外のものも含む同日グローサリー配達サービスのShiptを拡大していて、自前のアプリTarget.comにもShiptを取り込んだ。そしてもちろん、AmazonのPrime会員はWhole Foodsのおかげでグローサリーを購入でき、日々の買い物でこれまでで最も速い配達を利用できる。

加えて、いまだにもうかっていないWalmartのeコマース事業は2019年は別の問題にも直面した。アパレル部門での買収のいくつかは期待したほどの結果が出なかった。2019年WalmartはModclothを売却しBonobosはスタッフを解雇、そして創業者のAndy Dunn(アンディ・ダン)氏は社を去った。Walmartはまた都市部でのグローサリー事業Jet.comをやめ、実験的な買い物サービスJet blackも終わりにしたばかりだ。

これとは別にWalmartは、第4四半期中のチリにおける政情不安がらみの問題も指摘した。Walmartの多くの店舗が影響を受けた。しかしSam’s Club、Walmex、中国事業、Flipkartの業績は良かった。

「ホリデー期間中の取引は増え、同期中の費用レバレッジは強固だったことがはっきりした。しかし売上高の伸び悩みやカレンダーの日並びによるプレッシャーなどのため、予想したほどに良くはなかった」とWalmartのCFO、Brett Biggs(ブレット・ビッグズ)氏は声明文で述べた。「決算に影響を及ぼした要因を我々は理解していて、これらを解決すべく計画を練っているところだ。ビジネス戦略、そして全世界で提供しているオムニチャンネルの統合を通じて顧客に価値と利便性を届ける能力にには引き続き自信を持っている」と付け加えた。

Walmartは下方修正した2021年ガイダンスも明らかにした。1株利益見通しは5〜5.15ドル(約550〜566円)とし、これはアナリストの予想5.22ドル(約574円)を下回っている。ここには新型コロナウイルス感染拡大の影響は考慮されておらず、同社は状況を引き続き注視している。

画像クレジット: Scott Olson

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(翻訳:Mizoguchi

Kickstarterの正社員たちが労働組合を結成

Kickstarterが米国時間2月18日、同社のスタッフが労働組合を結成すると発表した。このところテクノロジー企業には、労働者の代表権を求める動きが広がっている。同社も、増え続けているそんな企業の仲間入りをするが、これらの企業ではスタッフや契約社員たちが、組合結成は公共の利益だと主張している。最近の例としてはSpinやInstacart、ピッツバーグのGoogleの技術系労働者、それにBuzzFeedやVoxのようなメディア企業が挙げられる。

組合の結成は46票対37票で決まったが、その前には経営者からの反対があった。Viceが2019年に報じていたように、CEOのAziz Hassan(アジズ・ハッサン)氏は書簡で社員たちの組合結成を。「本質的に敵対的」と呼び、こう続けた。

その動きは、企業としての我々と、我々の対話の仕方、意思決定の仕方、そして我々の方向性を反映していない。多くの点でそれは我々を退歩させるであろうし、また、我々対彼らという二分法がすでに退歩を生じさせている。

しかし2月18日の朝に本誌が受け取った声明によると、CEOは考えを変えたようだ。

「我々はこの決定を支持し尊重する。我々をここまで導いた公正で民主的な過程を誇りに思う。これまでの10年間におよぶ努力を通じて、我々は従来とは異なる種類の企業を作ってきた。それは、ミッションの達成度で成功が測られ、クリエイティブなプロジェクトの実現を助ける企業だ。我々のミッションは全員共通の基盤であり、それは今後も引き続き我々を、次の段階に導くだろう」

全米労働関係委員会の票決により、Kickstarter United(Kickstarter労働組合)は会社公認の労働組合になる。大手テクノロジー企業のホワイトカラーである正社員がこのような形で組合を結成するのは、これが初めてだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国の食材宅配最大手「Blue Apron」が身売りを検討中

株式上場の不調、従業員による訴訟レイオフといった理由に関わらず、米国の食材宅配最大手であるBlue Apron(ブルーエプロン)は長年苦悩を続けている。そのため、この会社が身売りして株主にとっての価値を最大化することを考えているとしても驚くには当たらない。

売却の可能性に加えて、Blue Apronは合併、公開ないし民間市場での資金調達、資産の売却あるいはそのいずれかの組み合わせも考えている。

「私たちは成長回復のための正しい戦略をとっていると今も信じており、新機能の追加や新製品のテストに取り組んでいる」とBlue Apron CEOのLinda Findley Kozlowski(リンダ・フィンドリー・コズロウスキ)氏はプレスリリースで語っている。「私たちの代替戦略案はコスト最適化とともに、将来のために会社を最適な状態に保つことを目的としており、成長戦略もそのひとつだ。こうした努力は取締役会、経営陣、および私自身に対する決意を反映したものであり、会社、株主その他の利害関係者全員の利益を求めるものだ」

2019年Q4、Blue Apronは純売上を前年同期比33%減の9430万ドル(約104億円)へと落とした。会計2019年度全体における売上は、2018年度の6億6760万ドル(約735億円)から32%減の4億5490万ドル(約501億円)だった。Blue Apronはこの理由を顧客の減少のためと説明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

格安ホテルOyoの2019年3月期決算は売上高約230億円増加も損失も6倍以上に拡大

格安ホテル運営スタートアップのOyo(オヨ)は、2019年3月31日に終了する事業年度の世界全体の売上高9億5100万ドル(約1050億円)に対し損失は3億3500万ドル(約370億円)になったと発表した。インドに本社を置く同社は積極的な拡大に慎重になっており、今後の支出削減を約束した。

創業6年目を迎える同社の2019年度の売上高は2018年3月31日に終了した事業年度(2018年度)から2億1100万ドル(約230億円)増加した。OYO Hotels&HomesのグローバルCFOであるAbhishek Gupta(アビシェク・グプタ)氏は声明で「当社の売上高の成長と、今年は利益計上へ向かうという明確な目標は方向性が一致している」と述べた。

だが損失も拡大した。2019年度の連結純損失は3億3500万ドル(約370億円)で、2018年度の5200万ドル(約57億円)から6倍以上拡大した。インドでは、2019年度に6億400万ドル(約660億円)の売上高を計上し(2018年度から2.9倍に増加)、純損失を2019年度の売上高の14%(前年度は24%)の8300万ドル(約91億円)に減らすことができた。

インドの法律は、すべてのスタートアップや国際的な企業に財務情報を毎年開示することを義務付けている。ほとんどの会社は10月上旬に財務報告を提出する

Oyoは現在、80カ国800都市に4万3000を超えるホテルで100万室以上を運営している。中国を含む海外市場での事業拡大が損失の要因だと同社は説明した。同社は2018年、世界で最も人口の多い中国に進出し、同国はすでに同社にとって2番目に大きい市場になったという。

「海外市場は世界全体の売上高の36.5%を占める。すでに粗利率の上昇が見られるインドのような成熟市場で収益性が一貫して改善している一方で、来年度(2020年度)は当社にとっての新市場でも同じ財政規律を達成することを決意した」と同社は声明で述べた。

かつて同社の最高経営責任者を務め、現在取締役会のメンバーであるAditya Ghosh(アディティア・ゴーシュ)氏は記者らとの電話で「Oyoは昨年多くの市場に参入して成長ステージに突入し、投資を必要としている」語った。特に中国について同氏は「他の多くの企業と同様、一部のホテル閉鎖に至った新型コロナウイルスの発生を注視している」と語った。

同氏はまた「Oyoが複数の市場から撤退し、インドでも約200の都市から撤退した」と述べた。「当社は現在新しい市場への拡大を検討していない」と同氏は付け加えた。

現在は粗利率の改善に取り組んでいる。インドの粗利率は、2018年度の10.6%から14.7%に上昇した。

Oyoの海外市場における成長

Oyoはここ数カ月間精査されている。一部のアナリストは同社の積極的な拡大は持続可能ではないと主張している。同社は独立した格安ホテルを改装してOyoブランドに変えているが、2020年初めにNew York Times(ニューヨークタイムズ)が報じたように、ホテルを新たに登録したように見せるうわべだけの方法にも関与した。何人かのホテル経営者は、Oyoが契約を順守せず、支払いも残っていると主張する。

2019年、Airbnb(エアビーアンドビー)も投資しているOyoは、欧州や米国などの市場に進出した。欧州のバケーションレンタル市場を狙って、Axel SpringerからLeisure Groupを4億1500万ドル(約460億円)で買収した後、このビジネスにさらに3億3500万ドル(約370億円)を投資する計画を発表した。同月、同社として米国で最初の不動産購入となる、約1億3500万ドル(約150億円)でのHooters Casino Hotel Las Vegas買収を発表した。

また、ソフトバンクと提携し日本にも進出した。Bloomberg(ブルームバーグ)は2月16日、Oyoが現在、日本国内に約1万2000の部屋を持っていると報じた。しかし100万という野心的な目標には遠く及ばない。

Oyoの幹部はこの数カ月、同社の成長があまりに急激なため、多くの「創業初期に特有の問題」に直面していることを認めた。同社は過去3カ月間、主にインドで少なくとも3000人の従業員を解雇した。ゴーシュ氏によると、同社はまだ新しいポジションの採用を続けているが、データサイエンスなどの重要な分野でのみ採用しているという。

「コーポレートガバナンスに注力するとともに、高いパフォーマンスを生み出し従業員を優先する企業文化を構築して、当社の持続可能な成長を次の段階でも推し進める」とグプタ氏は述べた。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Googleがインドの駅や僻地で提供してきた無料Wi-Fiプログラムを終了させる

Google(グーグル)は米国時間2月17日に、多くのパートナーたちと協力してインド国内の400以上の駅や多数の僻地の公共の場所に、無料Wi-Fiを提供してきたGoogle Stationプログラムを、この先縮小すると発表した。

グーグルのPayments and Next Billion Users(支払いならびに次の10億ユーザー)担当副社長のCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は、2015年に開始されたこのプログラムは、何百万人ものユーザーがインターネットサーフィンするために役立ち、多くの人が消費するデータ量を気にしなくても良いようにした初めてのものだと語る。しかし、インドを含む多くの市場でモバイルデータ通信の価格が安くなったため、Google Stationはもはや必要ではなくなったのだと彼は言う。同社は2020年中にプログラムを中止する予定だ。

さらに、グーグルはプログラムを拡張するための持続可能なビジネスモデルを見つけることが困難になっていると述べている。最近ではStationプログラムはインドネシア、メキシコ、タイ、ナイジェリア、フィリピン、ブラジル、ベトナムへと拡大していた。同社が南アフリカで同プログラムを開始したのはわずか3カ月前だ。

長年にわたり、グーグルはGoogle Stationプログラムを収益化する方法も模索していた。たとえば同社は、ユーザーがインターネットサービスに接続するためにサインインする際の、広告表示を開始していた。

2019年初めのインタビューで、インドにおいてグーグルの接続性への取り組みを率いているGulzar Azad(ガルザー・アザド)氏は、同社はStationをより多くの市場に拡大する方法を考えていると語っていたが、インドの鉄道駅への展開に関しては、(400の鉄道駅にサービスを提供する)という目標を達成したと語っていた。

グーグルがインドで無料のWi-Fiを提供する取り組みを発表した1年後、同国で最も裕福な男性Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が、通信ネットワークReliance Jioを立ち上げた。Jioは、長期間にわたって無料で大量の4Gデータ通信を顧客に提供し、他の通信事業者たちが、請求額を下げざるをえないようにした。

この動きによって、膨大な数のインド人がインターネットにアクセスし始めた。多くの人にとって当初のアクセス料金が高すぎたからだ。別のインタビューで、私はアザド氏に対して、Reliance Jioの参入によってGoogle Stationの意義がいくらかでも低下したかと尋ねている。その時の彼の答えは、多くの人が今でもJioのプログラムにサインアップを続けている段階であり、さらに大量データを消費したいという大きな意欲も見せ続けているというものだった。

グーグルは多くの企業と協力して、公共の場所でユーザーたちが無料のWi-Fiを使えるようにしている。たとえばインドでは、グーグルがソフトウェアスタックを構築し、国有の通信インフラプロバイダーであるRailTel(レイルテル)が無料のインターネット回線を提供している。

RailTelは5600以上の鉄道駅でWi-Fiを提供し、長年にわたって独自のソフトウェアスタックを提供する能力を開発してきた。「私たちはパートナーと協力して既存のサイトへ移行し、コミュニティにとって有用なリソースを維持できるようにします」とセングプタ氏は述る。

TechCrunchはRailTelの広報担当者に連絡をとり、グーグルと連携してきた400余りの鉄道駅で、Wi-Fiを提供し続ける予定かどうかを確認した。RailTelからの回答によれば、すべての鉄道駅で無料Wi-Fiサービスは継続されるとのことだ。「この年月にグーグルから受けたサポートを心から評価しています」と、広報担当者は付け加えた。

「各国のパートナー間における、異なる技術的要件とインフラストラクチャは、パートナーたちにとってStationプログラムを拡大し持続可能にしておくことを困難にしました。そして、将来本当に影響を与えられるのはどこかを評価したとき、次なる10億人のユーザー市場に向けて、より役立つように調整された製品や機能を構築することに、さらに大きなニーズと大きな機会があると考えたのです」とセングプタ氏は語る。

開発途上市場のユーザーたちに、無料のインターネットを提供するために取り組んできた技術大手はグーグルだけではない。Facebookの後継組織Internet.org2017年に同国内で始められている(だが同プログラムはインド国内でのネット中立性規則に違反したために禁止されている)。

トップ画像クレジット: PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

無料で使える請求管理サービス「INVOY」が正式公開、運営はクラウドファクタリングのOLTA

つい先日、新生銀行と10億円規模の出資会社を共同で設立して新たな座組みでクラウドファクタリングサービスの提供を始めたOLTA。昨年以降25億円の調達や金融機関・スタートアップ企業との連携などを次々と発表し、急ピッチで事業を拡大してきた同社から今度は別の切り口のニュースだ。

OLTAは2月18日、これまで2年間に渡ってベータ版として提供してきたクラウド請求管理サービス「INVOY(インボイ)」を正式ローンチした。

INVOYはOLTAの子会社であるFINUXが2018年2月にスタートしたプロダクトだ。もともとOLTAでは中小事業者の資金繰りの課題を改善するべく、2017年10月にクラウドファクタリングサービスを開始。その中で多くのユーザーが請求書作業に対して「非効率」「分かりにくい」「有料」などの課題感を抱えていることを知り、解決策として子会社を立ち上げINVOYの提供を始めた。

同サービスは2年間で約4万ユーザーを獲得し、請求書の累計発行枚数は約16.2万枚、累計発行金額は約480億円に及ぶ。

請求書に加えて見積書/納品書/領収書を作成する機能のほか、INVOY上から取引先にメールで請求書を送信する機能やワンクリック郵送機能、取引先管理機能などを搭載。特に請求書の作成に関しては、画面に沿って上から順に項目を埋めていくだけで簡単に請求書が完成する仕組みなど、慣れていないユーザーでも使いやすい設計になっている。

とはいえ、機能面自体はかなりシンプルなものだ。この領域では「Misoca」や「board」、「MakeLeaps」を始めすでに複数のプロダクトが存在するほか、マネーフォワードやfreeeが展開するクラウド会計ソフトにも請求書の発行・管理サービスが備わっている。

細かい違いはあれど、少し触ってみた限りでは他のプロダクトにはないクリティカルな機能がINVOYに搭載されているわけではないように思えた。

むしろユーザーにとっては価格面の違いが大きい。クラウド請求管理サービスの多くはそもそも有料でないと使えないか、無料だと機能や作成できる請求書の数が限定される。たとえば僕は数年前からMisocaユーザーだけれど、無料プランだと1ヶ月間に作成できる請求書は5通まで。6通以上作成したい場合やチームで使いたい場合は月額数百円からの有料プラン(15通作成できるプランが月契約で800円 / 年契約で8000円)に加入する必要がある。

一方でINVOYの場合はほとんどのユーザーが基本機能を全て無料で使える。厳密には1ヶ月間の発行額が10億円を超えたり、発行枚数が5000枚を超える場合はエンタープライズプランとなるので例外だが、フリーランスや少人数のチームでこれに該当するケースは稀だろう。

実際のところ無料で利用できる点に魅力を感じてINVOYを使い始めたユーザーも多いそう。これが実現できるのはOLTAがクラウドファクタリングという別のマネタイズポイントを持っているからだ。

「請求管理サービスにおいての1番の対抗馬はExcelだ。特に日本の場合、ExcelがプリインストールされているPCも多いため(Excelを)お金を払って使っているという感覚が少ない。だからこそExcelで請求書を作るのも無料であり、請求管理サービスに対してお金を払うことに抵抗がある人もいる」

「INVOYはOLTAにおいて“入り口”のような位置付けでもあり、GoogleにおけるGmailなどにも近いかもしれない。(請求書の管理を通じて)経営の実態を把握できるツールとして使ってもらう中で、運転資金を調達するニーズが出てくればファクタリングの仕組みを提供することもできる。INVOYの基本的な機能単体でマネタイズすることは考えていない」(OLTA取締役CSOの武田修一氏)

これまでOLTAでは事業の軸となる「クラウドファクタリングの社会実装」を重要テーマに掲げてきた。そのために積極的に他社と連携してきたわけだけれど、他社に依存しすぎるのではなく自分たちでも関連するプロダクト群を作りたいという考えは当初からあったという。

INVOYはその第一弾と捉えることもできるだろう。当面は「請求書発行ツールとしていかに便利に使ってもらうか」を重視し、収支管理ダッシュボードや品質管理マスタ、口座連携などの仕組みを取り入れていく計画。ゆくゆくはOLTAのクラウドファクタリングとの連携も視野に入っている。

OLTAとしてはINVOYに続くようなプロダクトを今後自社で開発していく可能性もありえるとしつつ、引き続き他社サービスとの連携も積極的に実施していくとのこと。それはINVOY以外の請求書管理ツールとの連携においても同様のスタンスだ。

ちなみにあえて子会社経由で運営している理由については、INVOYの立ち上げ時はOLTA自体もまだステルスでひっそりとサービス提供していたため、“得体の知れない金融事業者”と見られる可能性があったことが大きく影響しているそう。当初から子会社として切り分け、着々とプロダクトを磨いてきた。

なお同サービスはフリーランスユーザーの利用も見込んでいたこともあり、業務委託のフリーランスメンバーが中心となって開発。「フリーランスがフリーランスのために作ってきた」側面もあるとのことだった。

ピアボーナスを用いた新たな“従業員寄付体験”でSDGs推進企業を後押し、UniposとREADYFORがタッグ

ピアボーナスサービスを展開するUniposとクラウドファンディング事業を運営するREADYFORは2月18日、従業員が「Unipos」上で獲得したピアボーナスをSDGs活動を行う団体へ寄付できる「SDGsプラン」の提供をスタートした。

知っている人も多いかもしれないがUniposについて簡単に説明しておくと、同サービスでは業務中の良い行動に対して従業員間で感謝のメッセージとともに「ポイント」を送り合う。もらったポイントはピアボーナスとして給与などの報酬に変換できるのが特徴だ。

たとえば資料作りを手伝ってもらったり、企画の相談に乗ってもらったり。そんな時にタイムライン上で“ありがとう”というメッセージと合わせて、ポイントを送る。もしくはタイムラインに流れてきた別のメンバーの投稿に対して“拍手(いいね!のような仕組み)”をすることでポイントを送ることも可能だ。

メッセージとポイントの送付はタイムラインを介して行われるため、メンバーの影での貢献が可視化されやすくなり、メンバー間・部門間の連携強化やバリューの浸透にも繋がる。そんな効果を見込んで、スタートアップから大手企業まで340社以上がUniposを活用している。

さて、ここからが今回スタートしたSDGsプランの話だ。今までのUniposではもらったポイントは報酬に変換する仕組みだったが、SDGsプランを活用するとそのポイントを自分が選んだ寄付先へ寄付することができるようになる。

Uniposを導入する企業は最初にポイントの配当方法をインセンティブプラン(従来のプラン)とSDGsプランから選ぶ。SDGsプランの場合はあらかじめ自社に最適な寄付先をいくつかピックアップしておき、各メンバーはその候補の中から自分の共感した団体へ寄付をする仕組みだ。寄付先の団体からは活動レポートが送られてくるため、自分が届けたピアボーナスのインパクトもわかる。

企業ごとの寄付先の選定については、これまで1万件以上のクラウドファンディングプロジェクトを支援してきたREADYFORが同社のデータベースやノウハウを活用してサポート。これによって企業は自社の事業や理念にマッチした寄付先をスムーズに見つけられるだけでなく、Uniposを使って従業員を巻き込みながらSDGs活動を推進できる。

寄付先についてはジャパンハートやカタリバ、フローレンス、Learning for Allなどの特定非営利活動法人をはじめ、さまざまな領域の団体から選べるとのことだ。

ピアボーナスを用いた新しい従業員寄付体験の創出へ

Unipos代表取締役社長の斉藤知明氏(写真左)とREADYFOR代表取締役CEOの米良はるか氏(写真右)

2016年1月に持続可能な開発目標(SDGs)が発表されてから4年、日本国内でもSDGsへの取り組みに関する話をよく耳にするようになった。

SDGsに対する考え方や取り組み方は企業ごとにも異なるが、UniposとしてはSDGsを「単に社会にとって善い行いをする」ことではなく、それが「組織の成長」にも繋がる状態、最終的に社会と組織と個人全ての成長を促進するような取り組みだと捉えているそうだ。

「今までUniposでは自分の頑張りがチームや会社への貢献に繋がっていくことが実感できることで、互いの信頼関係が向上する仕組みを提供してきた。今回はそこに社会が加わり、『個人の貢献がチームへの貢献、会社への貢献だけでなく社会への貢献にも繋がる』仕組みを作っていきたいと考えている」(Unipos代表取締役社長の斉藤知明氏)

Uniposでは昨年11月からドイツで先行してSDGsプランの試験導入を進めてきた。たとえばドイツのコンクリート会社では、従業員がピアボーナスを使って植林団体へ寄付をした事例がある。この会社の事業は成長していて社会の役にも立っている反面、CO2の排出量が多くサステナビリティの点を気にするメンバーもいたそう。Uniposがメンバーの日頃の行動が企業・社会それぞれへの貢献に結びつくことを示した一例と言えるだろう。

この仕組みを広げていく上で重要になるのが「従業員が支援したいと思えて、なおかつ会社の成長にも繋がるような団体が寄付先として選定されていること」(斉藤氏)であり、今回UniposがREADYFORとタッグを組んだ理由もまさにそこだ。

日本には膨大な数のNPO団体が存在するため、各団体の活動や実績を見極めた上で、企業ごとに適切な団体をピックアップすることは簡単ではない。クラウドファンディングの支援を通じて様々な団体と付き合ってきたREADYFORが“企業と団体の橋渡し役”を担うことで、企業の負担を増やすことなく、ピアボーナスを軸とした新しい従業員寄付体験を実現することができるという。

そのREADYFORは昨年7月に始めた「READYFOR SDGs」によって、企業とSDGs活動のマッチングを進めてきた。同社代表取締役CEOの米良はるか氏の話では、企業の担当者とやりとりをしている過程で「従業員の中でのSDGsの認知が低い」という課題を聞く機会が何度もあったようだ。

特に大企業では社内の理解を得ることが物事を上手く進めていく上でも不可欠なため、「SDGsや社会課題を知るための取り組みに社員全体を巻き込みたい」という要望が強いという。

「(Uniposのピアボーナスの仕組みによって)チームへの貢献やメンバーへの感謝が寄付に繋がるといったように、個人の負担が少ない形の寄付体験を作ることで、従業員に社会課題や社会貢献を身近に感じてもらうきっかけになる。企業にとっても、入りやすいSDGsの取り組みになると考えている」(米良氏)

両社によると欧米諸国では従業員寄付の仕組みを導入する企業が増えているそう。従業員が自分で興味のある団体を選び、主体的に寄付できるサービスも「Yourcause」、「Catalyzer」、「Smartsimple」、「Salesforce Philanthropy Cloud」を始め続々と台頭しているという。

日本ではまだこれといったサービスがないだけに、UniposのピアボーナスとREADYFORのネットワークをミックスさせた新しい寄付体験がどのように広まっていくのか、今後に注目だ。

OLがたったひとりで下着D2Cブランドを起業、2つのマーケティング戦略

商品入荷後、1日で完売したD2Cランジェリーブランドがある。IT企業でエンジニアとして働いていたOLの「仕事中のブラジャーの締め付けがストレスだった」という悩みをきっかけに作ったノンワイヤーブラ専門のランジェリーブランド「BELLE MACARON(ベルマカロン)」だ。

ノンワイヤーブラとは、ワイヤーによる締めつけがなく、着心地よく着られるブラジャーのこと。BELLE MACARONは着け心地だけでなく見た目もこだわり、レースを基調とした女性らしいデザインなのも特徴だ。

経営もアパレル業界も未経験だったOLがどのように人気ブランドを作り上げたのだろうか。BELLE MACARONを販売するashlynの代表、小島未紅(こじまみく)氏に話を聞いた。

給湯室で商社や工場に電話をかける日々がはじまる

小島未紅氏:1991年生まれ。立教大学法学部卒業後に新卒で大手IT企業に入社。入社3年目に自身のブラジャーの悩みと市場のブラジャーに疑問を感じて2016年にashlynを創業する。ブラジャーの開発に奔走し、2017年にランジェリーブランドBELLE MACARONをローンチした。

小島さんが「起業しよう」と思い行動に出たのは2016年2月。まだOLとしてIT企業で働いているときだった。

「まずは仕事終わりや休みの日に、インターネットで下着の製造や企業に関する情報を集めました。調べていくうちにブラジャーを製造する工場を見つけることが必要だとわかったので、お昼休みに給湯室でひたすらテレアポをしていました」

並行して資金調達にも動き出す。資金調達先は銀行やVCではなく、クラウドファンディングだった。

「CAMPFIREで製作費30万円を集めるクラウドファンディングをしました。クラウドファンディングは資金集めだけでなく商品についても知ってもらえる機会になるから、toCサービスとの相性がいいと思ったんです」(小島氏)

とはいえ、クラウドファンディング自体も初めてだったという小島さん。まずは成功しているプロジェクトを独学で分析し、自分のプロジェクトに落とし込んだという。また、CAMPFIREではプロジェクトを成功させるため、一つのプロジェクトに対し一人の担当者がアサインされる。それをフル活用し、担当者とはプロジェクトのタイトルやサムネ画像、ページ全体のラフ案など細かな調整まで密に相談した。これがクラウドファンディングを成功させた大きな理由の一つだと語る。

「クラウドファンディングを成功させた実績により、500万円の創業融資を受けることができたのも事業を進める追い風になりました」(小島氏)

クオリティを底上げしたのはテレアポで出会ったランジェリーデザイナー

事業構想から半年後、資金調達で経営の目処が立ったため、働いていた会社を正式に退社。しかし、予算とクオリティの見合う工場探しに苦戦する。

「価格を抑えるためにアジア圏にあるいくつかの工場に試作を依頼したのですが、自分が着たいと思える物にはならずで……。最終的に国内の工場で職人さんに作ってもらうことにしました。トライアンドエラーを繰り返したため時間はかかりましたが、『国内産の高品質』という売り出し方をすることができたので、結果的にはよかったと思います」(小島氏)

事業を進めていくうちに、「アパレルを製造するには商社と取引する必要がある」ということを知った。

「アパレルを流通させるには商社と取引することが必要だ、というのけっこうあとから知りました(笑)。商品の製造と並行して片っ端からテレアポを開始。ガチャ切りをされることはザラだったのですが、ある企業から『ランジェリーを作りたいなら会わせたい人がいる』と、ランジェリーデザイナーの方を紹介していただきました」(小島氏)

紹介されたランジェリーデザイナーは、なんと日本を代表するアパレルブランドの元デザイナーだった。小島さんのビジョンに共感し、破格の価格でアドバイザーに就任することに。デザイン面だけでなく流通や品質管理のアドバイスを担当してくれたため、納得のいく商品を完成させることができた。

マーケティング戦略(1)Twitterでターゲットに合う情報を発信

2018年11月、ついにノンワイヤーのランジェリーブランドBELLE MACARONの商品が発売される。その際に立ちはだかったのが販促・マーケティングの壁だった。

「すでにクラウドファンディングで注目をされており、かつ日本初のノンワイヤーブラ専門のブランドということもあいまって、最初の売り上げは好調でした。ですが、ブランドとしては継続的な売り上げを立てなくてはなりません。ネットショップのモールに出店したり、ウェブ広告を出したりしたのですが、商品の魅力を届けられず、ほかの商品に埋もれてしまうことが課題になりました」(小島氏)

そこで力を入れたのがSNSマーケティング。最初はInstagramを主戦場にしていた。しかし、商品が1種類しかないため写真のバリエーションを見せることができず、コーディネート数がコンテンツになるInstagramではリーチに時間がかかってしまう。そこで次に試したのがTwitterだ。

「BELLE MACARONは、着心地・デザイン・品質が特徴のブランド。それらをデザインとテキストで紹介するようにしました。また、女性が下着で悩んでいることを取り上げ、その解決策を提案する投稿もしました。つまり、自分自身がメディアとなり、消費者に刺さるコンテンツを発信するようにしたんですその結果、新色を発売したり再入荷するたびに完売するブランドに成長しました」(小島氏)

マーケティング戦略(2)リピート率を上げた手書きのクリスマスカード

カスタマーサクセスを強化し、リピート率アップさせたのも、売り上げを伸ばした要因のひとつ。通常、ランジェリーブランドのリピート率は10〜15%と言われているが、BELLE MACARONのリピート率は25%以上だ。

「SNSで商品を発信してくれた人にはDMでお礼を送ったり、コーポレートサイトの問い合わせに連絡をくれた人には100%返信したりするなど、細かなサポートは私がすべて対応しています。自信のある商品を売り、自分が消費者目線だったら嬉しいと思うことをするようにしたら、リピート率だけでなく、購入単価も上がってきました」(小島氏)

また、マーケティング施策において効果が高いメルマガにも「消費者目線」を取り入れた。

「メルマガは顧客に自社ブランドを定期的に思い出してもらうために必要な施策です。しかし、メルマガを好きではない人も多いですよね。私も自分が求めていない情報を一方的に送られてきたら、いやだなと思ってしまいます。そこで考えたのが『手書きのクリスマスカード』です」(小島氏)

リピーター100人に手書きでお礼を書いたクリスマスカードを送付。すると、SNS上で「手紙が届いてうれしい」と口コミをしてくれたり、「自分のクリスマスプレゼント用に購入した」という声が届いたりするなどのリアクションが届き、手応えを感じたという。

2016年の着想から4年経ち2度目のクラウドファンディングも成功させ、新色も発売するなど順調に成長しているBELLE MACARON。最後に、今後の展開を聞いた。

「今は勢いがあるのは、SNSでのバズが後押ししているからだと考えます。今後はサイズやデザインのバリエーションを増やして、よりニーズに合う商品を作り、短期的ではなく長く愛されるものを作りたいです。また、ここにくるまで色々な方に協力していただきましたが、基本的はずっとひとりでやってきました。これからは組織を作り、メンバーも増やしていきたいと思います」(小島氏)

旅先の体験もAIが提案、「AVA Travel」が楽天グループの「Voyagin」と連携

AI旅行提案サービス「AVA Travel(アバトラベル)」を運営するAVA Intelligence(アバインテリジェンス)は2月18日、楽天グループのVoyagin(ボヤジン)が運営する現地アクティビティの予約サービス「Voyagin」との連携を開始した。

AVA Travelは2019年8月にベータ版としてリリースされた、AIを活用した旅行サービスだ。ユーザーへの質問をもとに、性格や旅行に求めることを判断し、おすすめの旅行先を提案する。2019年12月には、ホテル・航空券の予約サービス「エクスペディア」と連携。AVA Travel内で航空券やホテルの検索・閲覧が可能となったほか、AIがユーザーに合わせて、ホテルをおすすめ順で表示する機能も搭載した。

一方のVoyaginは、アジアを中心に、世界200都市以上のツアー、チケット、レストランなどの旅行体験を予約することができるサービスだ。2012年末にスタートしたこのサービスは、2015年7月、買収により楽天グループに参入している。今回の連携により、AVA Travelでは、旅行の行き先やホテルだけでなく、現地でユーザーが楽しめそうなアクティビティについても、AIが提案できるようになった。

旅行先でのアクティビティをホテル・航空券の情報とあわせて提供し、予約できるサービスとしては、老舗の「TripAdvisor」などもある。AVA Travelの場合は、自分が旅行で重視するポイントが買い物なのか、食事なのか、はたまた歴史的建造物の見学なのか、といったところを勘案して、行き先候補も含めてプランが提案され、予約できる点が面白いところだろう。

ズボラ旅 by こころから」なども、旅行先での体験を重視し、行先の提案から宿泊先、交通手段まで案内してくれるところは、AVA Travelと似ている。ズボラ旅では、チャットを通じた相談で旅行にまつわる面倒さを解決しようとしているが、AVA Travelでは最初のステップはAIが担い、行き先候補や体験すべきアクティビティをある程度絞り込んだ上で、後半はユーザーが選ぶ形を採っている。

現在、AVA Travelが対応している旅行先は海外のみだが、AVA Intelligence代表取締役の宮崎祐一氏は、今春にも国内旅行の提案サービスを展開していく予定だと述べている。また国内のアクティビティ予約サービスとの連携についても検討を進めているということだった。地域の歴史ガイドや、文化を体験するツアーなど、同じ国内でも普段なかなか知ることのできない日本を、改めて知る機会になるなら楽しみだ。

ジェフ・ベゾス氏が1.1兆円の気候変動対策基金を発表

世界で最も富裕な人間の1人であるAmazonのファウンダーJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、気候変動問題に取り組むために100億ドル(約1兆1000億円)の基金創設を、世界最大のソーシャルメディアプラットフォームの1つInstagramで発表した。

米国時間2月17日朝の投稿でベゾス氏は、Bezos Earth Fund(ベゾス・アース基金)が「科学者や活動家、NGOなどの自然を守り、保護するための真剣な取り組み」に資金を提供すると明らかにした。

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Today, I’m thrilled to announce I am launching the Bezos Earth Fund.⁣⁣⁣ ⁣⁣⁣ Climate change is the biggest threat to our planet. I want to work alongside others both to amplify known ways and to explore new ways of fighting the devastating impact of climate change on this planet we all share. This global initiative will fund scientists, activists, NGOs — any effort that offers a real possibility to help preserve and protect the natural world. We can save Earth. It’s going to take collective action from big companies, small companies, nation states, global organizations, and individuals. ⁣⁣⁣ ⁣⁣⁣ I’m committing $10 billion to start and will begin issuing grants this summer. Earth is the one thing we all have in common — let’s protect it, together.⁣⁣⁣ ⁣⁣⁣ – Jeff

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ベゾス氏はすでにBreakthrough Energy Venturesに出資している。これは、気候変動を抑制し、化石燃料の使用やエネルギー生産、食糧生産、製造などの産業分野での二酸化炭素排出量を減らすテクノロジーの開発に資金を提供することをミッションとしているファンドだ。

新しい基金がAmazonと関係するのかについては触れられていない。同社の広報によると、資金はベゾス氏の個人資産から出されており、ベゾス氏がすでに設立している基金とは別のものとなる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

チームの生産性を高めるツール開発のRangeが6.6億円調達

ご存知だろうか。このところベンチャー投資家は職場を支えるソフトウェアに熱を上げている。中でもチームの協調を強める生産性ツールに投資先としての人気が沸騰しているようだ。General Catalyst、First Round Capital、Bloomberg Beta、Biz Stone、Ellen Paoといった一流投資会社とエンジェルのグループも、新しい生産性スタートアップであるRange(レンジ)の支援に自信を抱いている。

このツールは、小さなチームの協調を支援し、親密感を高め、互いの仕事を確認し合えるようにする。まさに、これを売りにするスタートアップは非常に多いが、Rangeの強みは、元Mediumのエンジニアリング責任者のDan Pupius(ダン・パピウス)氏、Mediumでピープルオペレーションを担当していたJennifer Dennard(ジェニファー・デナード)氏、GVのデザインパートナーだったBraden Kowitz(ブラデン・コウィッツ)氏という創設者チームにあるようだ。同社は彼らの人脈から、最初に顧客ネットワークを構築した。そこには、Twitter、Carta、Mozillaのチームや、彼らの取り組みに資金援助をしているベンチャー投資家たちが含まれている。

サンフランシスコを拠点とする彼らは、顧客ベース拡大のための、General Catalyst主導のシードラウンド600万ドル(約6億6000万円)を獲得したと私に話してくれた。私はZoomで、このじつに好意的な共同創設者チームの話を聞き、その製品を彼らが内部でどのように使っていたかを知ることができた。

「私はGoogleを辞めて(エヴァン・ウィリアムズ、ビズ・ストーンとともに)Mediumに移りました。そこで、さまざまな組織的慣行を検証し、なぜ企業は規模が大きくなると業績が悪くなるのか、その問題を防ぐためにMediumで新しい管理手法を実践できないか、その答を必死に探りました」とパピウス氏はTechCrunchに話した。「その過程で、私たちは社内用のツールを開発し始めました。そのときこのソフトウェアは、組織の数多くのプロセスや価値の解読を専門に行うツールになり得ると、薄々感じたのです。そして、Mediumでの私の在職期間が近づくのに合わせて、ブラデンとジェニファーに再び連絡をとり、一緒にこの問題に取り組むことを決めました」。

この製品の核となるのは、スタンドアップ・ミーティングに少しだけ置き換わるものだ。各ユーザーに毎朝何をしているかを記入させる。それを現在の大きなプロジェクトにタグ付けすることで、すべてが互いに関連付けされ、設定されたRangeチームのメンバー間で閲覧が可能になる。こうした製品が求められる裏で、Slackの大きな欠点が浮かびあがる。Slackでは、スレッドを使ったとしても、コミュニケーションを要約した形で整理するのがとても難しい。Slackを更新するごとに、重要な内容はどんどん上に押しやられ、履歴の中に埋もれてしまう。とくにリモートワークを行う人間にとっては致命的だ。

登録を行えば、Rangeはチームの目的やミーティング、さらにチームの構成まで管理してくれる。この製品は、Google Docs、Google Calendar、Slack、Asana、Jira、GitHub、Trello、Quip、Figmaなどさまざまなツールと統合でき、この混合システムの中に新しい生産性ソフトウェアを追加しても、情報がひとつのソフトウェアの中で孤立してしまわないようにできる。 価格はスタートアップに優しい設定になっていて、10人以下のチームなら無料で利用でき、月14ドルで1人追加できる。大きな組織になれば料金設定はさらに柔軟になる。

組織の観点からするとRangeはNotionと比較されやすいだろう。しかし、自由度に制限があるぶん、ずっとスムーズに使える感じがする。Rangeのユニークな特徴のひとつに、ホーム画面の上部にOKRや分析結果が表示される代わりに、毎日チームの結束を強めるための質問が現れ、今の気分を絵文字で示すよう求められるというものがある。くだらないことのように見えるが、Rangeではちょっとした自己観察によって、雰囲気的にチームがより親密になることを期待している。これは、通常の協調ソフトウェアにはできないことだ。

「人々は本当にすごい仕事をしていながら、互いにそれを語り合っていないことに、私たちは気付きました」と、デナード氏はTechCrunchに話した。「そのため、人々のコミュニティー作りに実際に貢献できることが、私たちの企業としての強みなのです」。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

クラウドロボティクスプラットフォーム開発のRapyuta Roboticsは“物流ロボのサブスク化”を目指す

Rapyuta開発の倉庫用の“協働型”ピッキングロボット

クラウドロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」を提供するRapyuta Robotics(ラピュタ・ロボティクス、以下Rapyuta)は2月17日、物流倉庫大手の日本GLPのグループ会社で配車支援サービス「配車プラス」提供のモノフル、ならびに産業用ロボットなどの製造を行う安川電機と資本業務提携を締結したことを発表した。リードインベスターはモノフル。また、Rapyuta Roboticsは同日、物流施設の自動化に向けた「RaaS(Robot as a Service)」提供のプラスオートメーションとのパートナーシップ構築についても併せて発表している。

Rapyutaはチューリッヒ工科大学からスピンオフした大学発ベンチャー。2014年7月設立の同社はEU出資の研究プロジェクト「RoboEarth」出身チームにより日本で創業された。

もともとはドローンのプラットフォームを開発していたが、市場が未成熟だったため、ピボット。現在の主軸は物流だ。Rapyutaの代表取締COO、クリシナムルティ・アルドチェルワン氏は、EC市場が急成長、物流の仕組みが複雑化、そして慢性的な人手不足から、「ロボットによるオートメーションのニーズが非常に高まってきている」と話す。「だが、現場のニーズにオートメーションの技術が追いついていないというのが現状」(アルドチェルワン氏)

同氏いわく、既存のソリューションは、「スケーラビリティ」と「柔軟性」が欠けている。そのような課題の解決のためにRapyutaが開発しているのが、rapyuta.ioだ。

rapyuta.ioを使えば、自律移動ロボットや自動フォークリフト、ロボットアームなど、多種多様、かつ複数のロボットを、クラウドから一括管理し、協調制御や、ロボットナビゲーションなどを行うことができる。その他、ロボットソリューションの効果計測シミュレーションや、ソフトウェア・アップデートを含めたリモートメンテナンス機能もある。

rapyuta.ioの最大の利点は、インフラ構築の手間が省けることにより、すぐにロボティクスソリューションの開発を始められること。そして、サービスやデバイスのカタログが用意されていることにより、オープンエコシステムによるソリューション開発が可能で、「ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中出来る」ことも強みだ。その件に関して、アルドチェルワン氏は「今後はエコシステム構築に注力していきたい」と言う。

「ロボットは、様々なハードウェアやソフトウェアの組み合わせでできる塊。1社で全て作ることは難しい。だから、色々な人が参加して、交換できるようなエコシステムは大事。ハードウェアの開発者やソフトウェアの開発者が、自分のハードウェアやアプリを入れる。それをエンドユーザーが使えるようにしていきたい」(アルドチェルワン氏)

Rapyutaでは倉庫用の“協働型”ピッキングロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)の開発も行い、商用化を進めている。同社いわく、既存倉庫に何も手を加えなくても導入できる点が特徴だ。

本日発表されたモノフルとの提携、そしてプラスオートメーションとのパートナーシップ構築の狙いは、大きな初期投資が必要とするため大企業しか利用することが出来なかったロボティクスによるオートメーションを、サブスク化し、提供すること。「将来的にはAMRのみならず、フォークリフト、アーム、AGV(無人搬送車:Automated Guided Vehicle)などの幅広いタイプのロボットを扱うレンタルサービスを提供することを視野に入れています」(Rapyuta)

また、安川電機の提携では、プラットフォームに接続されるロボットの種類を増やし、「複数ロボットの連携ソリューションなどの新たな付加価値を生み出すこと」を目指す。加えて「両社の提携により、柔軟性が高く優れたソリューションを人的資源及び財務的な余力が限られている中小企業も含めた幅広いお客様に利用されることを期待しています」(Rapyuta)

Rapyutaは2015年1月にCYBERDYNE、フジクリエイティブコーポレーション、ブイキューブ、そしてSBIインベストメントを引受先とするシードラウンドで3.51億円、2016年9月にSBIインベストメントと社名非公表の事業会社1社を引受先とするシリーズAラウンドで10億円を調達したことを明かしている。

猫様専用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版が待望のリリース

RABOは2月14日、同社が開発・販売してる首輪型の猫用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版をリリースした。1月27日に公表したリリーススケジュールどおりとなった。

Catlogは、猫の行動を24時間記録でき、歩行や走行はもちろん、睡眠や飲食などの状況をスマートフォンで遠隔チェックできるIoTデバイス。首輪型のPendantデバイスと、Pendantデバイスの充電とスマートフォンとの連携などに使うベースステーションであるCatlog Home、スマートフォン用アプリを利用することで、留守時などの猫の行動をある程度把握できる。税別価格は1万4800円。

Catlogは、ローンチ後約4カ月で約1000UC(Unique Cat)に到達。アプリアクセス率(登録したユーザーのうち再度アプリにアクセスしたユーザーの割合)も7日間で90%、30日で78%と高い数値を維持している。同社によると、ノンマーケティングのオーガニックのみで、約4カ月の計画出荷数を1.5週間で達成したという。Android版のリリースで、さらに多くのユーザーを獲得することを期待したい。

全ては猫様のために。

AzureとiRobotで実現するJR渋谷駅構内の無人ラーメン店、利用者の行動をカメラで追跡・分析

エースコックは2月14日、マイクロソフトのMicrosoft Azureを基盤にした無人店舗システムのSmart StoreやiRobotの床拭き掃除ロボットの「ブラーバジェットm6」を活用した、駅ナカ無人ラーメン店「モッチッチ ステーション」をJR渋谷駅の外回りホーム上にオープンした。2月28日までの期間限定オープンとなる。

モッチッチ ステーションで食べられるのは、その名のとおりモチモチした食感が特徴のインスタント食品「モッチッチ」シリーズの焼きそばとラーメン(ワンタン麺)。店内には立食用のテーブルが5席用意されており、5人が入店して満員になると自動ドアが開かなくなる仕組みだ。店内の客が誰か一人退店しないと、6人目の客は店内に入れない。

モッチッチの貯蔵庫は計量器メーカーであるイシダの計測器を内蔵しており、客が商品を手に取って貯蔵庫の扉を閉めると、全体の重量から減少したぶんを計算して、客が手に取ったモッチッチの個数を算出する。

価格はいずれも212円で、交通系ICカードもしくはクレジットカードで決済する。内蔵の液晶パネルに決済金額が表示されたら決済方法を選んで、決済端末にICカードをかざせばいい。クレジットカードの場合は残念ながらタッチ決済(コンタクトレス決済)には対応しておらず、決済端末の下部に備わっているカードリーダーにクレジットカードを差し込んで暗証番号を入力する必要がある。ちなみに、決済端末はCoiny(コイニー)製。Coinyは決済サービスを提供するスタートアップで、現在は事業持株会社であるヘイの傘下企業だ。

決済終了後は、モッチッチ貯蔵庫の左側のテーブルに設置されている、電気ポットもしくはウォーターサーバーからモッチッチのカップにセルフサービスでお湯を入れる。割り箸などもこちらに用意されている。このテーブルを注意深く見ると、それぞれの置き場がテーブルとは独立していることがわかる。

実はここにもイシダの計量器が仕込まれており、モッチッチの調理に必要なお湯の量である320mlを計測している。具体的には、お湯が減ったぶんの総重量の変化を認識する。計測器が320mlのお湯が注がれたと判断すると、自動的にモッチッチの標準調理時間である5分のタイマーがスタートする仕組みだ。なお割り箸置き場の計測器は、補充の目安を判断するためのもの。

あとは、お湯を投入したモッチッチを持って5席ある立食スペースのいずれかに移動すると、各スペースに設置されている液晶パネルに先ほどの5分のカウントダウンタイマーが表示される。

出来上がったらモッチッチを味わい、食べ終わったら返却口にカップを返すとともに、液晶パネルに表示される掃除ボタンをタップすることで、立ち食いスペース奥に設置されているiRobotの床拭き掃除ロボットのブラーバジェットm6が自動起動し、テーブルをまんべんなく拭いてくれる。

入店から退店までは以上のような流れになる。この店舗でAzureのSmart Storeがなにをやってるかというと、来店直後に客がモッチッチ貯蔵庫の前に立つと、設置されているカメラで性別や年齢を判別。

上部に設置されている超指向性スピーカーからモッチッチ貯蔵庫の前に立っている客だけに聞こえる音声で店内システムを解説してくれる。

店内に入って天井をを見上げると、モッチッチ貯蔵庫以外にもさまざまな場所にカメラが取り付けられていることがわかる。これらは来店者の移動経路を追跡・分析しており、お湯を入れて客がどの立食テーブルに移動するかをSmart Storeが判別し、その客が選んだテーブルの液晶パネルにモッチッチにお湯を入れてからの正確な時間を表示する仕組みだ。前述のように320mlのお湯を入れた直後からカウントダウンは始まっているので、席に着いたタイミングで表示される残り時間は数秒経過した4分55秒や4分50秒などになっている。

もちろんAzureのSmart Storeは、専用端末を使った決済処理も担っている。さらには冒頭で紹介した自動ドア制御による入店人数の制限もSmart Storeの役回りだ。

今回は試験店舗なので、モッチッチ貯蔵庫に異物が入ったり、モッチッチがスペースに正しく並べられていないと正確な計算処理ができない、自動ドア制御による入店制限を周知するために人員が必要など、完全な無人化とは言えない。しかし、飲食業界の人手不足を解消するソリューションとして進化する期待感は高い。

実際のレストランで電子レンジや電気ポッドを使って調理するのは、味的にも見映え的にも顧客満足度が低いと思われるが、客が退店したあとのテーブル掃除はコミュニケーション不要なのでロボットでの自動化余地が大いにあると感じた。

なお、下膳についてはすでにグーグル出身のエンジニアが創業したスマイルロボティクスが開発を進めているほか、職人顔負けの技術でたこ焼きを作るコネクテッドロボティクスのアームロボ「オクトシェフ」もある。さらには、弁当工場などで活躍する協働ロボットとしてはアールティの「Foodly」も実際に導入されている。人手不足が深刻化している飲食業界にとって、人と一緒に働く協働ロボットは今後さらに重要な存在になっていくだろう。

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高速ロード機能で発展途上市場でのカジュアルなオンラインゲームの普及を目指すグーグルのGameSnacksプロジェクト

GameSnacks(ゲームスナック)と呼ばれる新しいプロジェクトが、米国時間2月13日よりGoogleの社内インキュベーターであるArea 120から提供が開始される。これは、開発途上市場のユーザーに高速ロード可能で、カジュアルなオンラインゲームを提供することを目的としている。何十億 もの人々が、モバイルデバイスを介してオンラインアクセスを行っている。しかし、それらは多くの場合、メモリの少ないデバイスに高価なデータプランが組み合わさったもので、ネットワーク接続の信頼性低さに苦労させられている。ゲームはこうした制約に対して最適化されてはいないため、ゲームにアクセスすることが多くの人にとって難しくなっている。

現在、モバイルウェブサイトの訪問者の 半数以上が、読み込みに3秒以上かかるとページを離れてしまうというのに、メモリの少ないデバイスや2Gまたは3Gネットワークでは、通常のウェブゲームの読み込みはさらに遅い。3倍4倍どころかさらに長くかかる可能性もある。

GameSnacksのアイデアは、最初にロードされるHTMLページのサイズを縮小し、スクリプト、画像、音楽などの追加のアセットを圧縮し、それらが必要になるまでロード遅らせることで、ウェブゲームのロード時間とパフォーマンスを高速化することだ。

GameSnacksによれば、こうすることで、500 Kbps程度の遅いネットワーク接続でもゲームを数秒でロードできるようになるという。

例えば、TowerというGameSnacksタイトルは、3G接続を介した内蔵メモリー1GBのデバイス上で、わずか数秒でプレイできるようになる。これまでは同じデバイス上での、典型的なウェブゲームの場合には、12秒程度かかっていたと同社は主張している。

さらに、GameSnacksのゲームは、プレイ時間数分程度のシンプルでカジュアルなゲームだ。例えば、行列に並んでいるとき、バス停で待っているとき、病院の待合室で待っているときなどの、ちょっとした手持ち無沙汰の時間を埋めることを目的としているということだ。また、各ゲームは自明なルールを持つようにデザインされているため、説明なしで遊ぶことができる。

モバイルが主要なプラットフォームではあるものの、GameSnacksのゲームは、キーボードとマウスを備えたデスクトップコンピューターを含む、あらゆるウェブ対応デバイスからアクセスできる。モバイル版では、iOSとAndroidの両方がサポートされている。

開始にあたりGameSnacksは、GoGamesサービスを通じてエコシステムに新しいゲームをもたらしている東南アジアの主要テクノロジープラットフォームであるGojekと提携している。当初、このパートナーシップは、東南アジアの他の場所に拡大する前に、インドネシアのユーザーにゲームを配信することに焦点を合わせていた。

現在、GameSnacksはFamobi、Inlogic Games、Black Moon Design、Geek Games、そしてEnclave Gamesなどの開発企業と協力している。自社のタイトルが、GameSnacksカタログに掲載される意味があると考えるHTML5ゲーム開発者には、手を伸ばしてみることをお勧めしたい。

GameSnacksのビジネスモデルには最終的に、他の開発者がGameSnacksのゲームを自分のアプリに埋め込むことを可能にする、別のパートナーシップが含まれている。

Ani Mohan(アニ・モーハン)氏とNeel Rao(ニール・ラオ)氏によって始められたGameSnacksは、GoogleのArea 120の中で働く6人のチームだ。なおArena 120とは、ソーシャルネットワーキング動画広告教育移動ビジネスその他を含む、Google社内のさまざまな実験的アイデアの拠点だ。

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(翻訳:sako)