eコマースEtsyが英Depopに続き「ブラジルのEtsy」ことElo7を約240億円で買収

若いユーザーをターゲットにしたソーシャル販売に足を踏み入れ、そして欧州での事業を本格的に拡大するためのDepop買収という巨額の取引に続き、Etsy(エッツィー)はまたもリーチを拡大する大きな取引を明らかにした。今回の対象は南米だ。EtsyはElo7を2億1700万ドル(約240億円)で買収すると発表した。Elo7はクラフトクリエイターに人気のマーケットプレイスで「ブラジルのEtsy」と言われている。

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Etsyはすでにブラジルで事業を展開しているが、ブラジルで最も大きな10のeコマースサイトの1つであるElo7はアクティブバイヤー190万人、アクティブセラー5万6000人、そして販売アイテム800万点を擁し、Etsyはブラジルでプレゼンスを大幅に高めることになる。

Depop(Etsyに16億ドル[約1770億円]で買収された)とReverb(Etsyが2016年に買収した楽器マーケット)と同様、Elo7は独立ブランドを維持し、現在の経営陣がブラジル・サンパウロの本社で指揮を取る。

今回のElo7買収はEtsyのCEOであるJosh Silverman(ジョッシュ・シルバーマン)氏が描く統合のシナリオを強調するものだ。シルバーマン氏はeコマース業界に長く身を置き、買収全盛期だった頃のeBayにも在籍した。

「Elo7は『ブラジルのEtsy』であり、目的やビジネスモデルは当社のものと似ています」とシルバーマン氏は声明文で述べた。「最近のDepop買収合意に続き、ユニークなマーケットプレイスをまた1つEtsyファミリーに持ってくることに胸躍らせています。この取引は当社にとって南米における足掛かりとなります。現在Etsyは南米でそれほど大きな顧客ベースを持っておらず、浸透が不十分なeコマース地域です。Elo7の優秀な経営陣と従業員をEtsyファミリーに迎え入れることを楽しみにしています」。

よりアグレッシブな成長モードに向かっているEtsyにとって興味深い動きだ。eコマース業界ではこれまで、企業はオーガニックではない形、特に同じ業界の企業あるいは新しく参入したい分野の企業の買収を通じて事業を拡大してきた。この手法はeBay、Amazon、Groupon、その他多くの企業がとってきたものだ。

おそらくeコマースが成熟してきたためかもしれないが、Amazonは巨大になりすぎて参入障壁が高くなっている。そしてそうしたモデルの「クローン」と呼べる企業に貼られた負のレッテルのようなものを世界のあちこちで目にするようになっている。

そのため、Etsyがこのケースにまさしく当てはまる買収を行うというのは興味深い。発表では、2社の事業モデルのシナジーによって囲い込みが簡単なものになると指摘した。これはElo7によって強調されるものでもある。Elo7はこれまでにAccel、Monashes、Insight Partnersといった投資家から1800万ドル(約20億円)を調達した。

「Etsyは我々にとって常にインスピレーションであり、参考にするものでもありました。EtsyのミッションやカルチャーはElo7のものとかなり近く、Etsyの一部として成長に向けた旅を続けることに興奮しています」とElo7で長らくCEOを務めてきたCarlos Curioni(カルロス・クリオニ)氏は述べた。「Elo7のマーケットプレイス、コミュニティ、チームがブラジルにおける我々の最大限の可能性を十分に引き出すために、Etsyのプロダクトやマーケティングの専門性を活用することを楽しみにしています」。

ブラジルはオーガニックでない買収戦略を展開するのに真に主要なマーケットだ。同国は人口、購買力、デジタルデバイス浸透度合い(特にスマートフォン)において世界で最も大きなeコマースマーケットの1つだ。多くの成熟したマーケットではeコマース成長は停滞に直面していて(パンデミックによる2020年の44%成長を除く)、米国のeコマース成長は15%程度とパンデミック前に比べて緩やかだが、ブラジルのeコマースは活況を呈している。浸透率はまだ低く、成長要因はそろっている。Etsyは2024年までにブラジルのeコマースが26%成長すると予想する数字を引用している。

「最近のDepop買収取引に続き、Elo7の買収を発表できることをうれしく思います。いずれもEtsyの資本活用のための高いハードルをクリアするエキサイティングな会社です」と同社のCFO、Rachel Glaser(レイチェル・グレイザー)氏は声明文で述べた。「当社の基幹事業Etsy.comマーケットプレイスの成長を引き続き促進するのに加え、DepopとElo7をEtsyファミリーに統合することに注力しています。Reverb、Depop、そしてElo7は今後も才能ある権限を委ねられた経営陣によって運営され、価値創出を加速させる方法でブランドにまたがる主要な機能をつなげ、個々の合計より全体の価値を高めます」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Etsy買収ネットショッピングブラジル

画像クレジット:Philippe Perreaux / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本の商品を安く海外に届ける共同購入型越境ECサービス「DOUZO」のdouzoが総額1億円を調達

共同購入型越境ECサービス「DOUZO」(Android版iOS版)を提供するdouzoは6月23日、J-KISS型新株予約権による資金調達および金融機関の融資により総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、エニグモ、Branding Engineer、ライフタイムベンチャーズ、East Ventures、複数の個人投資家。調達した資金は、サービス拡大に向けた人材採用と、東南アジアでの販路拡大のためのマーケティングにあてる予定。

DOUZOは、日本の商品を安く海外に届けるという共同購入型越境ECサービス。共同購入型ECは、「買いたい」と思ったユーザーが多ければ多いほど安く商品を購入できる、規模の経済性を活用した新しい購買体験を指す。また越境ECは、海外の商品を購入できるECサイトのこと。これら共同購入型ECと越境ECを組み合わせることで、商品価格を安くするだけでなく、通常の越境ECで課題となる国際輸送コストを大幅に削減できるとしている。

DOUZOは、タイを皮切りに東南アジア、そして世界へ順次事業を拡大予定としている。douzoは、企業でも個人でもない「グループでの貿易」は、国境を超えたモノの移動を活性化し、世界の消費者が気軽に欲しいモノに手が届く時代を築く、「新しい貿易の形」となると考えているという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:EC(用語)越境EC / CBT(用語)douzo(企業)ネットショッピング / eコマース(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

アマゾンの中国販売者にVCやロールアップ戦略の企業は熱視線を送っている

Amazon(アマゾン)で販売している中国の販売業者は、今まさにチャンスが訪れている。郊外の工場地帯を歩き回り、常に資金繰りに追われることに慣れている無骨な輸出業者は、突然、次のSHEINAnkerを探すために多額の小切手を持ってきている中国のトップベンチャーキャピタルやインターネット大手の投資担当者とコーヒーを飲んでいる。ベンチャーキャピタルは、彼らが迅速にスケールするための資金提供はできるが、多くのVCには戦略的な面で支援するための専門知識がない。

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そこでブランドアグリゲーターという人たちが現れ、小売に関する有効なノウハウを提供する。また彼らはロールアップと呼ばれる手段で、将来性がありそうなeコマースブランドを経営の相乗効果を狙って買収していく。ロールアップ戦略は当初、米国とヨーロッパで始まり、最近は東南アジア、今ではひっそりとと中国に上陸している。中国では、従来のホワイトレーベルのメーカーがバリューチェーンを拡大し、独自のブランドを確立しようとしている。

中国に進出した最新のロールアップ戦略の企業がBerlin Brands Group(BBG)で、創業者でCEOのPeter Chaljawski(ピーター・チャルジャウスキー)氏によると、同社は今後数年間で数十件のブランドを買う予定だという。現在、このドイツ企業のポートフォリオの中身は、自社ブランドが14、買収したブランドが20だが、中国進出で大きく膨らむだろう。

中国進出に備えてBBGは2億4000万ドル(約265億8000万円)を借入金で調達し、企業買収に3億ドル(約332億3000万円)をつぎ込むと発表した。同社が負債を選んだ理由の1つは、すでに創業時から利益を上げているためだ。しかし創業者によると、最近の資金調達が最後ではなく、将来的には他の金融手段を利用することもあるという。

チャルジャウスキー氏は、VCや企業投資家をブランド探しの直接のライバルとは考えていない。「中国には、Amazonで大きな収益を上げている販売者は何万もいます。VCの資金が適用されるのは一部の企業だけであり、ロールアップモデルはさらにそのうちの一部にしか適用されません。しかしその『一部』はとてもとても大きな数字なのです」とチャルジャウスキー氏はいう。

BBGにとって中国は初めてではない。15年前に創業した同社はこれまで、中国のメーカーに依存して同社のキッチンウェアやガーデニングツール、スポーツ用品、家電製品などを作ってきたし、今でも同社製品の90%はこの国で作られている。ブランド買収という新しいビジネスでも、深圳に数十名のスタッフを雇っており、チャルジャウスキー氏によると、グローバルな輸出と製造、最近はデザインにおいても重要な役割を果たしていることからて、深圳は「Amazonのシリコンバレー」だという。

Amazonに代わるブランド

BBGは、中国の消費者製品に、Amazon上の無名のブランドであることを超えて、ヨーロッパと米国で成長する新しい道を提供したいと期待している。販売業者は米国の巨大な怪物から自由になって、自分で消費者データをコントロールしたい。しかし彼らが自力でD2Cブランドを構築するのは、難しすぎる。

チャルジャウスキー氏によると、Amazonのサードパーティービジネスとして好調な販売業者も、その多くは、自前のロジスティクスなどでAmazonを超えるだけのインフラを持たない。ヨーロッパでは、BBGが計12万平方メートルのフルフィルメントセンターを管理しており、Amazonへの依存を解消できる。

ヨーロッパにおいて、中国のブランドはAmazonではないブランドで勝負したいと考えているかもしれないとチャルジャウスキー氏はいう。ヨーロッパでは、eコマースの状況も米国よりずっと細分化されているからだ。

チャルジャウスキー氏は「米国はAmazonが支配している。しかしヨーロッパでは、Amazonが握っているオンラインリテールのシェアはわずか10%です。つまり、90%はAmazon以外なのです。オランダにはBolというブランドがあり、ポーランドにはAllegroがある。そしてフランスには複数の上位プレイヤーがいる」という。

ヨーロッパを狙っている国際的なブランドが抱えているギャップを埋めるためにBBGは、20近いD2Cブランドを、Amazonで販売するだけでなく、それらのウェブ専門店をヨーロッパの主な国でオープンしている。また同社の売上は、米国でも伸びている。現在、同社の売上の60%以上がAmazon以外の流通経路からによるものだ。

BBGはすでに中国の一部のブランドとの交渉を進めているが、現時点ではその名前は明かされていない。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Berlin Brands GroupAmazon中国eコマース

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックがネットショッピングに関連する4つの新機能を発表

Facebook(フェイスブック)は、高校時代の同級生が飼っていた犬の写真を見て商品を購入するようなことが、さらに簡単にできるように、ショッピング関連の新機能をいくつか導入する。もちろん、Instagram Shops(インスタグラム ショップ)や「Facebook Marketplace(フェイスブック マーケットプレイス)」は、すでにアプリの下部ナビゲーションタブに大きく表示されている。しかし今回、その他のアップデートとともに、WhatsApp(ワッツアップ)でもショッピングができるようになった。

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Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは米国時間6月22日、Facebookの音声チャット「Live Audio Room(ライブオーディオルーム)」で、同社のプラットフォームに新たに導入されるeコマース機能を発表した。「Shops on WhatsApp(ショップ・オン・ワッツアップ)」「Shops on Marketplace(ショップ・オン・マーケットプレイス)」「Shops Ads(ショップ・アド)」そして「Instagram Visual Search(インスタグラム・ビジュアル・サーチ)」の4つだ。

ザッカーバーグ氏はFacebookの投稿で「毎月10億人以上の人がMarketplaceを利用しています。そこで私たちは、企業が自分たちのShops(Facebookショップ)をもっと多くの人に利用してもらえるように、Marketplaceに導入できるようにします」と書いている。また、企業はWhatsAppでもFacebookショップを表示させることが可能になり、ユーザーは商品を購入する前にその企業とチャットできるようになる。

画像クレジット:WhatsApp

2021年6月初めに開催された「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」の基調講演で、FacebookはWhatsApp Business(ワッツアップ・ビジネス)のアップデートを発表した。それまで、ビジネスアカウントの開設には数週間を要していたが、今ではわずか数分で登録できるようになった。WhatsAppには全世界で20億人以上のユーザーがいるが、カスタマーサポートなどのためにWhatsApp Businessアカウントで毎日メッセージを送っている人は約1億7500万人ほどしかいない。FacebookはInstagramなどのプラットフォームでeコマース向け機能の強化を推進しているため、この取り組みをWhatsAppにも拡大しようとするのは理に適っている。

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Shops on WhatsAppは間もなく導入が開始される予定で、Shops on Marketplaceはすでに米国ではオンサイトチェックアウトが可能になっている。

3つ目の機能であるShops Adsは、人々のそれぞれの買い物の傾向に基づき、より個人に合わせたショッピング体験を提供することを目的としている。「人々の買い物の行動に基づいて、企業が買い物客を最も購入する可能性の高い場所に送り込むことができる機能の提供を開始します」と、ザッカーバーグ氏は述べている。米国ではAR Dynamic Ads(ARダイナミック広告)の導入が始まっており、Huda Beauty(フーダ ビューティー)やLaura Mercier(ローラ メルシエ)などの企業は、この広告を利用して、顧客が購入する前にARで口紅の色合いを試せるようにしている。このようなAR試着体験は、Modiface(モディフェイス)やPerfect Corp(パーフェクト、玩美移動)とのAPI統合によって提供されるものだ。2021年初めには、Pinterest(ピンタレスト)がModiFaceと協力して、アイシャドウのAR試着を始めている。

画像クレジット:Facebook

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そして4つ目として、Instagramでは今後数カ月以内に、AIを活用したVisual Search機能のテスト導入を開始する。

「ショッピングディスカバリーは、多くの場合、ビジュアルディスカバリーから始まりますよね。良いなと思うものを見かけたら、同じような商品を他にも見たいと思ったり、その商品を手に入れる方法を知りたいと思ったりするでしょう」と、ザッカーバーグ氏は説明する。「そんな問題の解決を、AIが助けてくれるのです」。

このAIを使えば、人々は自分で写真をアップロードして(Instagramに投稿していない写真でもOK)、似たようなアイテムを見つけることができるようになる。この技術を採用したのはFacebookが初めてというわけではない。例えば、CadeeraDonde SearchStye.aiなどではすでに活用されている。しかし、Instagramのようなメジャーなプラットフォームにこの技術が導入されたら、我々の買い物の仕方が変わるかもしれない。それこそが、Facebookの現在の目標であるようだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookショッピングeコマースSNSWhatsAppInstagramAR人工知能ソーシャルコマース

画像クレジット:Instagram

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案

インドは現地時間6月21日に提案したeコマースプラットフォーム上のフラッシュセールに対する禁止令により、そのアフィリエイトをセラー(売り手)として掲げることができなくなる。これにより、この南アジア(インド)の市場はルールがより厳しくなり、AmazonやWalmartのFlipkartの、世界で2番目に大きい市場における今後の見通しが危うくなった。

インドの消費者問題・食料・公共配給省が公開したその提案が登場した「今」というタイミングは、実店舗で営業しているインドの小売業者が不平の声を高め、AmazonとFlipkartのこの国における拡張策にともなう操業が公正でない、とする懸念を表明した時期と一致する。

同省は提案の中で、eコマース企業がインドでフラッシュセールを開催することを認めるべきではないとしている。このフラッシュセールは、米国のブラックフライデーやサイバーマンデーのようなもので、インドの祝祭日シーズンに非常に人気がある。フラッシュセールの期間中は、ブランドが商品を大幅に値引きするため、eコマース企業は伝統的に顧客の注文が最も急増する。

「一部のeコマース事業者は、『バック・トゥ・バック』や『フラッシュ』販売に手を染め、消費者の選択を制限している。これは、プラットフォーム上で販売するある販売者が在庫や注文の履行能力を持たず、プラットフォームが管理する別の販売者に『フラッシュまたはバック・トゥー・バック』注文を出すだけのものだ。このような行為は、公平な競争を妨げ、最終的には消費者の選択を制限し、価格を上昇させることになる」と同省は声明で述べている。

またインド政府は最近のITに関するルールで、コンプライアンス最高責任者(CCO)の任命と、1日24時間1週7日の警察との連絡担当を置くことを提案している。もちろんその下にはコンプライアンス担当の社員たちがいて注文のコンプライアンスを確保し、また苦情受付担当部門が、eコマースプラットフォームに対する消費者の苦情に対処しなければならない。

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「これにより、法律および規則の規定の効果的な遵守が確保され、電子商取引事業者の苦情処理メカニズムが強化される」とした上で、新たな提案では、すべてのeコマース事業者に対して「身元確認のため、または施行中の法律に基づく犯罪の防止、発見、調査、起訴のため、あるいはサイバーセキュリティインシデントのため」に、72時間以内に政府機関に情報を提供するよう求めていると同省は述べている。

新たな提案では、AmazonやFlipkartといったeコマース企業が自社 / プライベートブランドを運営することも禁止にする可能性がある。新提案では、eコマース企業に対し、顧客に直接販売する販売業者として、自社のプラットフォーム上に関連当事者や関連当事者を一切掲載しないようにすることを求めている。「eコマースの主体が自ら行うことができないようなことが、関連当事者や関連企業によって行われないようにする」と提案書には書かれている。

インドでは、eコマース企業が在庫を持ったり、商品を直接消費者に販売したりすることは認められていない。これを回避するために、eコマース企業は在庫を保有する現地企業との合弁事業を行っている。

インドの事業に65億ドル(約7200億円)以上を投資しているAmazonは、提案されているポリシーを検討していると述べたが、Walmartが160億ドル(約1兆7700億円)で手に入れたFlipkartからはコメントがない。

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現地時間6月21日の法廷審問において、Flipkartの弁護士は、販売者が製品価格を下げた場合、プラットフォーム上で販売者が商品価格を下げれば料金を下げると提案することには何の問題もないと述べた。

消費者問題・食料・公共配給省は「電子商取引のエコシステムにおいて、不正行為や不公正な取引方法が蔓延しているとの苦情が複数寄せられている」ことを受けて、今回の提案を行い、今後15日間にわたって業界からのフィードバックを求める予定であると述べている。

さらに新たな提案では、eコマース企業に対して、プラットフォーム上の商品を原産国に基づいて識別する仕組みを導入し、「国産品への公平な機会を確保する」ための代替案を出すよう求めている。

この発表とほぼ同時期にFlipkartは、30億ドル(約3300億円)という巨額な調達と上場の検討を進めている。AmazonとFlipkartの両社はまた、インドにおける反トラストの調査の対象になっている。

これはインド政府が近年行った2度目の大規模な修正提案だ。2018年にもインド政府はeコマース企業に対するより厳しいルールを提案し、それが2019年に施行されたときには、AmazonとFlipkartは大急ぎで数十万の商品を彼らの店頭から外し、アフィリエイト企業への投資をさらに間接的にした。

本日の提案の数カ月前には、ロイター通信が企業の文書を引用して、Amazonはインドで少数のセラーを特に優遇し、それらのセラーとの結びつきを不正に表現し、彼らを使ってこの国の外国投資の規則を迂回していると報じた

この時点で、インドの数千万にもおよぶ実店舗の業界団体であるThe Confederation of All India Tradersがインド政府に、インドにおけるAmazonの全面的禁止を陳情した。これとほぼ同時期に、インド商業省はこの問題を検討中だと発表している。

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タグ:インドeコマースフラッシュセールAmazonFlipkartWalmart

画像クレジット:NOAH SEELAM/AFP Photo/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

IoT重量計で在庫重量を自動計測し管理・棚卸・発注を自動化するSaaSを手がけるスマートショッピングが3億円調達

IoT重量計で在庫重量を自動計測し管理・棚卸・発注を自動化するSaaSを手がけるスマートショッピングが3億円調達

「日々のモノの流れを超スマートに」をミッションに、在庫管理やショッピングを「ラク」にする事業を展開するスマートショッピングは6月22日、日本政策金融公庫からの融資による総額3億円の資金調達実施を発表した。日本政策金融公庫による、スタートアップなどの成長を支援する枠組みを活用した融資という。

スマートショッピングは、IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理と発注の自動化ソリューションを開発。これを基にB2Bでは在庫管理・棚卸・発注を自動化するSaaS「スマートマットクラウド」を、また消費者向けには日用品の買い物を自動化する「スマートマットライト」を提供している。どちらも基本的には、スマートマットに品物を置いて管理しておくだけで、重量の変化から残量を計算する仕組みを使っている。

IoT重量計で在庫重量を自動計測し管理・棚卸・発注を自動化するSaaSを手がけるスマートショッピングが3億円調達

スマートマットクラウドは、2018年秋からサービスを開始し、クリニック・病院・製造業・サービス業など、800件を超える顧客を擁している。またスマートマットライトは現在、飲料・洗剤・おむつ・お米など、Amazonで販売されている1000を超える商品に対応している。これにより、使い切らない商品が余ってしまう定期購買の短所が解消される。

今回の資金調達でスマートショッピングは、この2つの事業の利用者拡大のための事業基盤を強化するとのこと。

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カテゴリー:IoT
タグ:IoT(用語)在庫管理(用語)スマートショッピング(企業)ネットショッピング / eコマース(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

Shopify特化型グロースプラットフォームを手がける「StoreHero」が5000万円を調達

Shopify特化型グロースプラットフォームを展開するStoreHeroは6月21日、5000万円の資金調達を2021年5月に完了したと発表した。引受先はインキュベイトファンド。また、インキュベイトファンド共同代表のポール・マクナーニ(以下マクナーニ)氏がStoreHeroの取締役に就任した。調達した資金は、グロースデータアーキテクト、サーバサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、グロースコンサルタント、データアナリストなど、グロースプラットフォーム開発を担う人材の採用に活用する。

オンラインコマース市場では、Amazonや楽天などが市場シェアを占める一方で、「商品ページのカスタマイズが可能な範囲が限られるためブランディングが難しい」「獲得できる顧客データの質・量が限定されている」など、自社ブランディングや顧客とのコミュニケーションを行いたい出店者も散見される。コマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は、こういったニーズに応えるものとしてグローバルで利用が増加している。

しかしStoreHeroによると、日本国内では、グロース人材や実装できるエンジニアの不足から、順調に成長できていないコマース事業者も存在しているそうだ。

2019年11月設立の同社は、「Grow the Friendships」のビジョンの下、コマース事業者向けに独自のグロースプラットフォームをベースとしたグロース支援サービスを提供しているという。具体的には、Amazonなどメガプラットフォーマーが持つ高度なデータ分析基盤やレコメンデーションの仕組みなどを、Shopifyを活用するコマース事業者が使えるようにしているとした。直近の1年間ではANNA SUIやPAUL&JOE、LADUREE、益子オンライン陶器市などを利用企業として挙げている。

今回取締役に就任するマクナーニ氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーに18年間在籍し、シニアパートナーとしてアジア太平洋地域のマーケティング・アンド・セールスグループや小売・消費財グループの責任者を歴任。アジア全体の消費財・小売のトップ企業のデジタルとアナリティクスを活用した成長戦略に携わってきた人物だ。StoreHeroにマクナーニの経験を融合することで、グロースソリューションの進化とグローバル展開を加速するとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:EC(用語)Shopify(企業)StoreHero(企業)ネットショッピング / eコマース(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

デジタルギフトカードや航空券、ゲームなどのオンライン取引での詐欺を防ぐイスラエルのnSure AI

詐欺防止プラットフォームを手がけるスタートアップ企業のnSure AI(エヌシュアAI)は、DisruptiveAI(ディスラプティブAI)、Phoenix Insurance(フェニックス・インシュアランス)、AXA(アクサ)が支援するベンチャービルダーのKamet(カメット)、Moneta Seeds(モネタ・シーズ)、および複数の個人投資家から、シード資金として680万ドル(約7億5000万円)を調達した。

今回の投資ラウンドで得た資金は、nSure AIによる「世界初」の詐欺防止プラットフォームを支える予測型AIと機械学習アルゴリズムを強化するために使われる予定だ。このラウンドに先立ち、同社は2019年3月にKametからプレシード資金として55万ドル(約6000万円)を調達している。

テルアビブに本社を置くこのスタートアップは、現在16名の従業員を擁し、デジタルギフトカード、航空券、ソフトウェア、ゲームなど、リスクの高いデジタル商品を販売する小売業者に不正検知機能を提供している。ほとんどの不正検知ツールは、それぞれのオンライン取引ごとに分析を行い、どの購入を承認してどの購入を拒否するかを決定しようとするが、nSure AIのリスクエンジンは、深層学習技術を活用し、不正取引を正確に特定する。

保険会社のAXAが支援するnSure AIは、購入時の平均承認率が98%と、業界平均の80%に比べてかなり高いため、小売業者はこれまで正当な顧客を減少させることで失われていた年間1000億ドル(約11兆円)近い収益を取り戻すことができると述べている。同社は自社の技術に自信を持っており、そのプラットフォームで承認されてしまった不正取引については、すべて責任を負うとしている。

nSure AIの創業者であるAlex Zeltcer(アレックス・ゼルサー)氏とZiv Isaiah(ジブ・アイザイア)氏は、デジタル資産の小売業者が直面する独特の問題を経験した後、同社を起ち上げた。彼らのオンラインギフトカード事業は、最初の週に売上の40%が不正取引で、チャージバックが発生することが判明した。しかし、他の不正検知サービスではニーズを満たすものがなかったため、創業者たちはリスクの高いデジタル商品の販売をサポートする独自のプラットフォームの開発に着手した。

同社の共同創業者で最高経営責任者を務めるゼルサー氏は、今回の資金調達によって「詐欺を事業に不可避​なものとして受け入れることなく、よりリスクの高いデジタル商品を安心して販売できる数千の新規加盟店を登録することができる」と述べている。

現在、毎月数百万件の取引を監視・管理しているnSure AIは、2019年に稼働して以来、総額10億ドル(約1100億円)近い取引を承認してきた。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:nSure AI詐欺人工知能機械学習深層学習資金調達eコマースイスラエル

画像クレジット:Jason Alden / Bloomberg / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

STORES 予約を活用した「ワクチン接種予約システム」をANA、損保ジャパン、近畿大学などが採用

STORES 予約を活用した「ワクチン接種予約システム」をANA、損保ジャパン、近畿大学などが採用

オンランストア開設、オンライン決済、オンライン予約システムなど「お商売のデジタル化」を支援する「STORES」(ストアーズ)プラットフォームを展開するHey(ヘイ)は6月14日、「STORE 予約」を活用した「ワクチン接種予約システム」が、全日本空輸(ANA)、森トラスト、損害保険ジャパン、近畿大学、森ビルの職種接種に採用されたと発表した。

ワクチン接種予約システムは、最短5営業日で導入できるというもので、全国の自治体、病院、教育機関などに対して無料提供を行っており、すでに一部では予約サービスが始まっているという。

また6月11日からは、大規模施設での予約集中を予測し、新たに「オンライン順番待ち機能」の無償提供を開始した。アクセス集中時のサーバーダウンのリスクを最小化するためサイト訪問者に待ち時間を表示し、順番に予約フォームへと誘導する。また、セキュリティも強化され悪意あるトラフィックやBotをブロックする。

同機能は、自治体、病院、事務局、企業、大学など、新型コロナウイルスワクチンの職域接種が行われる機関や施設を対象とした特別プラン。予約数無制限でSOTRES 予約の全機能が使える「プラチナプラン」(通常は月額6万円相当)を2022年3月まで、新型コロナウイルスのワクチン接種に限り無料で提供するというものだ。申し込みを行うと、担当スタッフがニーズに合わせて提案やサポートをしてくれる。

「新型コロナワクチン接種予約システム – STORES 予約」の特徴は以下のとおり。

  • 予約状況、在庫状況を一括管理可能
  • 最短5営業日で導入利用開始
  • 予約状況やワクチンの在庫管理も一括で管理
  • コールセンター(協力会社)も提供可能(接種希望者からの電話で予約代行ができる)
  • 高度なセキュリティ

申し込み、問い合わせは ワクチン接種予約システム 特設サイトから行う。申し込み状況により早期に締め切られることもある。

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カテゴリー:ネットサービス
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ショッピング体験の視覚化を進めるShopifyがARスタートアップPrimerを買収

Shopify(ショッピファイ)が米国時間6月11日に発表した買収のニュースの中で、同社は拡張現実(AR)のスタートアップPrimer(プライマー)のチームを獲得したことを明らかにした。Primerはユーザーがタイルや壁紙、ペンキで自分の家の中の壁がどのように変わるかを視覚化できるアプリを手がけている。

ブログへの投稿の中で、Primerの共同創業者のAdam Debreczeni(アダム・デブレチェニ)氏とRuss Maschmeyer(ラス・マッシュマイヤー)氏は、買収取引の一環としてPrimerのアプリとサービスが7月に終了すると明らかにした。買収後、Primerの8人のチームはShopifyに移る。

Primerは、ユーザーが iPhoneやiPadとAppleのARプラットフォームのARKitを使いながらデザインがどんなものになるのかを直接視覚化できるようにするために、何十ものタイルテキスタイルデザインブランドと提携した。PrimerのアプリはAppleに何回か取り上げられ、App Storeの編集チームが素敵な感じに紹介したりしている。

買収取引条件は明らかにされなかった。Primerの出資者はSlow Ventures、Abstract Ventures、Foundation Capital、Expaなどだ。

ARがいかにオンラインショッピングに影響を与えるかについての話はたくさん交わされてきた。しかしホームデザインでの統合はさておき、実際に消費者が活用する方法はそれほど多くなかった。Shopifyは自社でAR統合に取り組み、ユーザーが現実空間に商品を取り込めるよう、売り手による店舗への3Dモデルの統合を可能にしたが、開拓する余地がまだ多く残されているのは明らかだ。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

EC基幹システム「ecforce」やD2C運営支援を手がけるSUPER STUDIOが18億円調達、事業・人材採用を強化

EC/D2C運営を支援するSUPER STUDIOが第三者割当による18億円の資金調達を実施

ECプラットフォーム「ecforce」(イーシーフォース)のほか、独自ノウハウ・ビッグデータ・AIを活用したD2Cコンサルティングを行うSUPER STUDIO(スーパースタジオ)は6月9日、第三者割当増資による総額18億円の資金調達を発表した。引受先は、ALL STAR SAAS FUND、Pavilion Capital、SMBCベンチャーキャピタル、アカツキ「Heart Driven Fund」、みずほキャピタルの5社。

新型コロナ禍の中、ECやD2Cの需要が高まり、これまでオフラインがメインだった領域にもEC活用が進んでいるという。しかしD2Cでは、ブランディング、マーケティング全般、製造、物流、梱包材の調達などを含むサプライチェーンの構築、コールセンターでの顧客対応など「あらゆる領域のマネージメント」が求められる。「従来のメーカー運営ではあまり重要視されてこなかった要素が事業成功の鍵となることもあり、これらを実現するためには非常に多くの知見と人的資源が必要となります」とSUPER STUDIOは話す。

同社は、これらの要素をワンストップで支援するecforce、さらに「マーケティングからサプライチェーンの構築を運用代行形式で支援」するオペレーティングおよびコンサルティング・サービス「ecforce teams」(イーシーフォース・ティームズ)の提供を行っている。そこでは、D2Cコンサルティングを通して学んだD2Cメーカー運営の経験が活かされている。

今回調達した資金は、「エンジニア / セールスを始めとした全職種で人材採用を強化」「より幅広い顧客へサービス提供するためのシステム基盤の開発」「タクシーサイネージ広告をはじめとしたマーケティング施策」「営業活動やサービス認知拡大施策の実施」を進めるとのこと。

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eコマースEtsyが中古品も扱う英国のZ世代向けマーケットプレイスDepopを約1780億円で買収

eコマース業界におけるかなり大きなニュースが6月2日、欧州から届いた。手芸クリエイターやスタイルに関心のある人がさまざまなアイテムを発見したり購入したりできる、ニューヨーク拠点のマーケットプレイスEtsy(エッツイ)が、ソーシャルショッピングという新たなアプローチでミレニアル世代とZ世代の消費者をターゲットにしているロンドン拠点のマーケットプレイスDepop(デポップ)を買収すると発表した。買収額は16億2500万ドル(約1780億円)で、Etsyは大半をキャッシュで支払う取引だとしている

わずかな差で、今回の取引はEtsyにとってこれまでで最大の買収ではない。同社はこの他に7件の買収を行ったが、ほとんどが10億ドル(約1095億円)以下だった。とはいえ、欧州のeコマースにとっては大きな買収で、ビジネスモデルの中でも特に若い、そして、あるいはよりクリエイティブなユーザーをターゲットとしているコマースモデルを構築している企業にとってはかなり心強いものだ。

Depopのユーザーの90%ほどが26歳以下で、EtsyはDepopのそうした若い人々やそのコミュニティにアクセスする大きな機会を手にするが、Depopはより多くのコンテンツや若い買い物客をEtsyに持ってくる橋渡しのように機能しそうだ。Etsyは若い人に目を向け始めたが、かなりの数の若くないユーザーも抱えている。同社は上場企業であり、直近の時価総額は200億ドル(約2兆2000億円)を超えている

Depopが最後に資金調達したのは2019年のようで(6200万ドル、約68億円のラウンド)、ユーザー1300万人を抱えて米国で急成長中と当時は絶好調だった。それから約2年、同社のユーザー数は2100万人を超え、その多くはスタイリストやデザイナー、アーティスト、コレクター、ビンテージ販売者などで、米国(Etsy最大のマーケットだ)とホームマーケットである英国(こちらもEtsyの大きなマーケットだ)でかなりのユーザーを抱えている。

Etsyにとってこれはボリュームゲームだが、必ずしも最初から利益をともなうわけではない。2020年のDepopの流通総額は6億5000万ドル(約712億円)だったが、売上高はわずか7000万ドル(約77億円)で、いずれも前年は100%増だった。

ただし、Etsyが自社の成長についてのとらえ方、特に衣服、家庭用品、そして消費財の買い物という分野における反Amazonという点で、Depopの精神は有望だ。Depopはまた現代の風潮にもぴったり合っている。2020年はeコマースが急成長したばかりでなく、人々が地元で買い物したり個人をサポートしたりし、またこれまでよりも中古品を買うようになった結果、零細事業や家内工業が繁盛した。Depopが強みを持っている分野だ。

「Z世代にとっての再販のホームだと我々が信じているDepopがEtsyファミリーに加わることに胸躍らせています。Depopは活気がある二面性のあるマーケットプレイスで、情熱的なコミュニティ、高度に差別化されたユニークなアイテムの提供をともなっています。そして我々はさらなる展開の大きな可能性を確信しています」とEtsyのCEOであるJosh Silverman(ジョッシュ・シルバーマン)氏は声明文で述べた。「Depopのワールドクラスの経営陣と従業員はこのコミュニティを育て、EtsyのDNAそしてKeeping Commerce Humanというミッションとよく一致している方法でオーガニックで正真正銘の成長を推進するというすばらしい仕事を成し遂げました。我々は専門性を共有するすばらしい機会、それぞれに異なる巨大な「ハウス・オブ・ブランド」ポートフォリオ、そしてかなり特別なeコマースブランドになる成長シナジーを目にしています」。

シルバーマン氏はeBayで何年もShopping.comを率いた経歴を持ち、これはEtsyの成長を今後どのようにとらえるか考えるときに考慮するに値するものだ。

DepopのCEOであるMaria Raga(マリア・ラガ)氏は次のように述べた。「我々はDepopを次世代がユニークなファッションを見つけるために訪れ、買い物方法を変えるコミュニティの一部になる場所にするというすばらしい旅をしています。当社のコミュニティは新たなトレンドを確立し、古いものから新しいものをつくることで新しいファッションシステムを創造する人によって構成されています。彼らは衣服のためにDepopにやって来ますが、カルチャーのためにとどまります。当社はいま、Etsyファミリーの一員としてジョッシュと彼のチームの専門性、Depopのものと一致する価値観を持つ大企業のリソースの恩恵を受けながら、エキサイティングな躍進を遂げようとしています」。

米国と英国の当局の承認やクロージング条件次第ではあるが、買収は2021年第3四半期に完了する見込みで、取引完了後はEtsy、そして2019年に買収された楽器マーケットプレイスReverbとともにDepopは別のブランドとして運営されるとEtsyは話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Etsy買収Z世代ミレニアルイギリスマーケットプレイスファッションeコマース

画像クレジット:Paul Zimmerman / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾン「プライムデー」は例年より早く6月21日・22日開催、米では独禁法調査の中で中小企業との提携アピール

Amazon(アマゾン)は、年に1度の有料会員(プライム会員)向けセールイベント「プライムデー」を6月21日(月)と22日(火)に開催すると発表した。Bloombergは以前、リークされた記録を元に同じ日程を報じていた。毎年恒例のこの大規模なセールは通常、ショッピングシーズンが一服する7月に開催されていた。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年のプライムデーは米国を含むほとんどの市場で10月まで延期された。

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そうした変更にもかかわらず、アマゾンによると、中小企業(SMB)は2020年のプライムデーイベント中に35億ドル(約3836億円)以上の売上を記録し、前年比60%増となった。ただし同社は、プライムデー全体の売上量は明らかにしていない。

2021年、アマゾンは、中小企業の支援を目的とした新しいプロモーションを実施し、プライムデーをいち早くスタートさせるとのこと。6月7日からプライムデーが始まるまでの間、プライム会員は、参加している中小規模の販売事業者が販売する商品を10ドル(約1095円)以上購入すると、プライムデーのイベント期間中に利用可能な10ドルのクーポンを受け取ることができる(日本では1000円以上の買い物で1000円分のクーポン)。

このキャンペーンは、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、日本を含む一部の市場で実施され、同社によればアマゾン史上最大のスモールビジネス支援プロモーションとなる。キャンペーンには30万以上の販売パートナーが参加するという。

プライムデーはもともとアマゾンの買い物客たちに、多様なカテゴリーにわたる大幅な割引を提供することで、アマゾンプライム会員(有料会員)への移行を促すことを目的としていた。その中にはスマートスピーカー「Echo」や「Fire TV」など、アマゾン独自のコンシューマー向けハードウェアデバイスも含まれており、これらは例年ベストセラーとなっている。

今回も同様に、家庭用品、電子機器、美容、ファッション、アマゾンデバイスを対象としたセール・割引価格を同社は約束している。さらに前回に続き、Prime Video、Amazon Music、Prime Gamingなど、アマゾンの他の事業分野にもセールを拡大する。

そうしたセールの中の1つは現在すでに開始されており、プライム会員は、最大7000万曲を提供するオンデマンド音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」の4カ月無料トライアルに登録することができる(Amazon Music Unlimitedに新規登録の場合のみ)。同社は最近、Apple(アップル)が自社のMusicサービス加入者向けに同様のサービスを開始したのに続き、無料アップグレードとしてロスレスストリーミングに対応するようになった。

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プライムデー自体は2015年から開催されているが、アマゾンは最近、同社のビジネス慣行に対する規制当局の監視や反トラスト法に基づく調査が強化されていることを受けて、中小企業をどのように支援しているかに強くスポットを当てるために、このイベントを利用し始めている。

アマゾンの創業者で(まもなく「前」になる)CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が証言を求められた米国議会の公聴会に加えて、ワシントンD.C.司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は2021年5月、アマゾンがサードパーティ販売業者に支配力を行使することで競争を阻害しているとして、同社を反トラスト法違反で提訴した。この訴訟は、アマゾンが自社のオンライン小売プラットフォーム上で価格を固定し、販売業者が他の場所で商品をより安く販売することを妨害することで、オンライン小売市場全体で人為的に高い価格設定を作り出していると主張している。

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さらにアマゾンは、マーケットプレイスを利用するサードパーティ販売業者の非公開データを利用して売れ筋商品をコピーしたり、同時に販売パートナーよりも低価格で売ることで中小規模の販売事業者に損害を与えているとして、EUを含む海外でも反トラスト調査を受けている。

アマゾンは「The Good Place(グッド・プレイス)」の主演女優で「アナ雪」の声としても知られるKristen Bell(クリステン・ベル)の好感度を利用した明るいムードの記者会見で、中小企業がアマゾンでいかにうまくやっているかをアピールした。このイベントでクリステンは、ドッグフードの「Pawstruck」やセルフケア製品の「Live by Being」など、お気に入りの販売業者に「インタビュー」を行ったが、彼らはもちろん、アマゾンとの提携についてすばらしいコメントしかしなかった。

クリステンは「Queer Eye(クィア・アイ)」のKaramo Brown(カラモ・ブラウン)や女優・コメディエンヌのMindy Kaling(ミンディ・カリング)とともに、 アマゾンのビデオショッピングサービス「Amazon Live」でも、お気に入りの販売者を紹介する予定だ。

またアマゾンは、中小規模の販売事業者や関連する取り組みについても広く紹介した。同社は2020年、250以上の新しいツールやサービスを提供し、販売パートナーが全世界で3億人の顧客にリーチするのを支援してきたと指摘した。

アマゾンのSmall Business Empowerment部門を率いるKeri Cusick(ケリ・キューシック)氏は、プレスブリーフィングの中でこう述べた。「米国内だけでも2020年1年間で、当社の中小規模の販売パートナーが毎分7200個以上、合わせて37億以上の製品を販売したことを考えると、感慨深いものがあります。全体では、約15万ドル(約1640万円)から増加し、売上平均は20万ドル(約2190万円)となり、米国では2万7000以上の販売者が50万ドル(約5480万円)以上の売上を達成しました」。

アマゾンは、もうすぐやって来るプライムデーのお得なセール情報については具体的に言及しなかったが、Le Creuset(ル・クルーゼ)、Tommy Hilfiger(トミー・ヒルフィガー)、Lego(レゴ)、Mattel(マテル)、Black & Decker(ブラック&デッカー)などの企業と提携し、プライムデーまで待っている間にも、同サイトで数十万製品のセールを開催すると述べている。

また、Alexa(アレクサ)デバイスを持っている米国ユーザーは「アレクサ、プライムデーについて教えて(Alexa, what are my deals?)」と尋ねることで、6月18日(金)から早期に買い物をすることができる(訳註:早期アクセスは地域により異なる)。

プライムデーは、Amazon.comまたは各地域のウェブサイト(日本ではamazon.co.jp/primeday)、スペイン語話者向けのAmazon.com/espanol、そしてアマゾンの実店舗でも利用できる。

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タグ:Amazonプライムデーeコマース独占禁止法

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Shopifyが世界で共通するeコマース人材の育成プログラムを青山大学で提供

Shopifyが世界で共通するeコマース人材の育成プログラムを青山大学で提供

世界175カ国170万件以上のショップに導入されているeコマース(EC)プラットフォームShopify(ショッピファイ)の日本法人Shopify Japanは5月31日、青山学院大学総合文化政策学部において、2021年度開講の「情報環境論(1)」履修者に対して「新しいeコマース人材の育成強化のためのエデュケーションプログラム」を提供すると発表した。

同学の大島正嗣総合文化政策学部教授、宮田和樹非常勤講師が担当するこの講座で学べるのは、ウェブを中心とした情報環境の基礎となるコーディングやユーザビリティの知識、近年のサイト環境におけるノーコードのトレンド、WebVR/ARといった新たな体験となっている。授業は全15回。3カ月間、受講者にはShopifyの教育用アカウントが与えられ、オンラインサポートが無料で受けられる。そのうち2回は、Shopify認定教育トレーナーの塩澤耕平氏、Shopify Japanの塩田浩平氏、岡村純一氏が講師を務め、「コマース分野の最新動向やストア構築における実践的なノウハウ」について話が聞けることになっている。

Shopifyではこれまでも、EC人材の育成に取り組んできた。2021年4月には、法政大学で同様のプログラムを実施している。2020年からはクラウドソーシングのLancers(ランサーズ)との連携を開始した。これらを通して、Shopifyエコシステムの強化、オフライン事業社のオンライン化支援、世界で活躍できる起業家育成に力を入れるてゆくという。

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動画をタップして後で検索、インタラクティブ動画「TIG」が描く映像の未来

若い世代の間では動画から情報を得るのがもはや常識だ。テレビはもちろんYouTubeなどのネットサービスでの動画視聴が一般的となり、さらにコロナ禍でのおうち時間で増えた自由時間を動画視聴に充てる人も多い

ところで、僕の周りにいる人たちが動画を視聴しているところを観察してみると、ある行動パターンが存在した。大学生の僕の妹は、スマホでYouTubeを見ながら頻繁にアプリを切り替えてブラウザで何かを検索している。30歳の僕の妻は、テレビでバラエティ番組などを見ながら、手元にあるスマホで番組に出ている芸能人や紹介されたアイテムの価格などをAmazonで調べている。TechCrunch Japan読者のみなさんもよく目にする光景ではないだろうか。

動画を見ながらの検索に対して、「それって無駄だよね、もっとシームレスにしたいよね」という想いでビジネスを展開するのが日本のスタートアップのパロニムだ。同社はインタラクティブ動画と呼ばれる「触れる動画技術プラットフォーム」の「TIG(ティグ)」を展開している。同サービスにより作成されたインタラクティブ動画では、動画内に出てくる商品、観光スポット、登場人物などをタップすることで、その対象が後で検索するためのストックリストにたまっていく。タップするごとに動画再生が止まるということはなく、視聴者が動画そのものを楽しめるような設計になっている。動画視聴中または視聴後にストックされた情報をタップすることで商品情報のページなどにすぐにアクセス可能だ。

パロニムによれば、できるだけ動画の画を汚さない設計によって動画視聴完了率は全体で52%ほどと高く、ユニークユーザー1人あたりの遷移率も47%となっている。また、ある大手ECプラットフォームが通常動画とTIG動画でのCVR(コンバージョンレート)を比較したところ、TIG動画のCVRは通常動画のそれに比べて約3倍ほど高かったという。

TIGを使ってこのようなインタラクティブ動画を作成するのは簡単だ。動画の作成者はTIGのプラットフォーム上に動画をアップロードし、タップさせたい商品などを範囲指定するだけだ(同社はこの行為を「ティグづけ」と呼ぶ)。あとはTIGがその対象物を自動で追従してくれるから、コマ送りで細かくタップ箇所を指定する必要はない。このように、TIGでは既存の動画にも簡単にインタラクティブ性を持たせられることが特徴で、視聴者がどこをタップしているか(注目しているか)などの追加的なデータも取ることができる。

パロニムはこの技術を応用し、動画ECプラットフォームである「TIG Commerce」をはじめ、ライブストリーミングに対応した「TIG LIVE」、サイネージ対応の「TIG Signage」、eラーニング対応の「TIG Learning」など様々なサービスを展開中だ。また同社は今後、作成したTIG動画をLINE(ライン)のタイムライン上で配信でき、視聴者はストックされた情報にLINEからいつでもアクセスできる「TIG for LINE」や、eコマース動画に内蔵されたカートボタンをタップすると商品の購入画面に直接遷移できる「TIG for Shopify」などの新サービスを提供していく予定だ。

よく考えてみれば、スマホで動画がいつでも見られる世の中になったことは便利だけれど、動画のタップでできることといえば再生停止くらいなものだ。それではあまりにもったいない。動画のタップ操作でできることが増えれば、動画がもつ可能性も比例して広がっていくのだろう。

インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達

インド最大の独立系eコマース物流企業であるDelhivery(デリバリー)は、年内のIPO申請に向けた最終となる見込みの資金調達ラウンドで、2億7700万ドル(約304億円)を調達した。

グルガオンに本社を置くこのスタートアップ企業は、規制当局への提出書類の中で、ボストンに本社を置く投資会社のFidelity(フェデリティ)が主導するラウンドで、2億7700万ドルを調達したことを明らかにした。この名称が特定されていないラウンドには、シンガポール政府投資公社(GIC)、アブダビの投資会社であるChimera(キメラ)、英国のBaillie Gifford(ベイリーギフォード)も参加している(最初にこの申請を報じたインドのニュースサイトEntrackrは、シリーズHラウンドであることを示唆している。しかし、Tracxnによると、DelhiveryにはシリーズGラウンドの記録はない。米国時間5月30日の時点で、このスタートアップはコメントを出していない)。

この新ラウンドで、創業10年目のDelhiveryの評価額は約30億ドル(約3290億円)となった。同社には、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、Times Internet(タイムズ・インターネット)、The Carlyle Group(カーライル・グループ)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)なども投資しており、これまでに約12億3000万ドル(約1350億円)を調達している。

Delhiveryは当初フードデリバリーの会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。

同社は、貨物交換プラットフォームを通じて、物流市場の需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

調査・画像クレジット:Bernstein

そのプラットフォームは、荷主と取扱業者、そして道路輸送ソリューションを提供するトラック事業者をつなぐものだ。Delhiveryは、このプラットフォームによってブローカーの役割が軽減し、(同社にとって最も一般的な輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用でき、24時間体制のオペレーションを保証すると述べている。

このようなデジタル化は、国の経済を長年にわたって停滞させてきたインドの物流業界の非効率性に対処するために非常に重要だ。インドでは、需要と供給の計画や予測が不十分であることが、輸送コスト、盗難、損害、遅延を増加させていると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、インドの物流市場について2021年4月に発表した報告書の中で指摘している。

Delhiveryのウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しており、その顧客の数は1万を超えるという。配送の最後の区間を受け持つ同社の配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられているので、時間を節約しながら1日に何度も配送を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは述べている。

このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約43億9000万円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Instagramが新商品をバズらせる新しい販売用セクション「ドロップ」を米国で公開

米国時間5月26日、Instagramはオンラインで買い物をする人々と商品の新発売を結びつける新しい機能をアプリに追加すると発表し、まず米国で公開した。これはeコマースの新しいトレンドである「Drops(ドロップ)」で、販売者が数日、あるいは数週間後に登場する商品をバズらせる効果がある。多くの場合、数量や期間を限定して販売する商品の需要を高めるために利用される。

Instagramアプリの「ショップ」タブの上部に、この機能専用の「ドロップ」が追加される。ここから消費者は新発売の商品を見つけ、ブラウズし、購入する他、近々発売される商品も見られる。興味を持った商品のリマインダーを受け取れるように登録したり、Instagramで公開された他のドロップから商品やコレクションを見る機能もある。

画像クレジット:Instagramの「ドロップ」のスクリーンショット

これまでのInstagramでのオンラインショッピングと同様に、消費者は他社のウェブサイトを使用することなく、Instagramのチェックアウト機能で直接支払いをしてドロップの商品を購入できる。このモデルでは、ゆくゆくはInstagramが販売手数料を徴収する。AppleがiOSアプリのプライバシー対応を厳しくしてFacebookの広告収入に影響を与えるようになっていることから、手数料の徴収はFacebookとInstagramのビジネスモデル全体の中で重要な部分になる。

ただしInstagramは、2020年に発生したコロナ禍から復活しようとしている企業を支援するために販売手数料を一時的に免除している。この動きは、TikTokなどの新しい競合に対抗してオンラインショッピングの人気を獲得する上でも有効だろう。

Instagramを利用しているブランドは、今回の発表の前からすでにドロップを運用している。Instagramは2019年に商品のリマインダー機能を公開し、消費者は興味を持った商品が販売開始になると通知を受けられるようになっていた。これまでに、Hill House HomeDragun Beauty、アディダスといったファッション、ビューティー、ストリートウェアなどのブランドがこの機能を活用している。

「ドロップ」専用のセクションを新たに設けることで、新商品の発売が1カ所にまとまって見やすく、購入しやすくなる。InstagramはTechCrunchに対し、お勧めのドロップを選んでこのセクションに掲載すると述べた。念のため書いておくと、ブランドはInstagramのチェックアウトを利用している企業向けの商品発売機能を使う必要がある。

ドロップ公開時点ではDrake x NOCTAの「Cardinal Stock」コレクションや、これから発売されるWren + Gloryのハンドペイントサマーコレクション、Charlotte Tilburyの限定Pillow Talkリップ&Dreams Lashesキットなどが掲載される。今週は5つのドロップを利用できる。InstagramはTechCrunchに対し、新機能をテストしているため掲載数は週によって変わると説明した。

画像クレジット:Instagramの「ドロップ」のスクリーンショット

ドロップ内のそれぞれのブランドのページには商品の発売日、価格などの詳しい情報が表示される。アイテムをブックマークしてウィッシュリストに追加したり、Instagramのダイレクトメッセージでドロップを友人と共有したりする機能もある。そしてドロップページの上部からいつでもカートやウィッシュリストに移動して購入できる。もちろん、限定数がまだあればということだが。

さらに、商品の発売に合わせてブランドのライブショッピングを計画できる。ライブ配信中、販売が開始されるときには画面にカウントダウンと紙吹雪のアニメーションが表示される。

ドロップは今のところ、米国のInstagramアプリにのみ表示される。モバイルデバイス(iOSとAndroid)が対象で、ウェブでは利用できない。

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タグ:Instagrameコマース

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ワシントンD.C.の司法長官がアマゾンを「オンライン小売市場の競争を阻害している」と提訴

ワシントンD.C.のKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は米国時間5月25日、Amazon(アマゾン)が反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとする新たな訴訟を発表した。この訴訟では、アマゾンがサードパーティ販売業者に支配力を行使することで競争を阻害していると非難している。

ワシントンD.C.の高等裁判所に提出されたこの訴訟は、アマゾンがその巨大なオンライン小売プラットフォーム上で価格を決定づけ、サードパーティの販売業者が他の場所で商品をより安く販売することを妨害していると主張。販売者は契約によりアマゾンの高額な手数料を価格に組み込まなければならず、そのことがオンライン小売市場全体で「人為的に高い」価格設定を作り出しているとラシーン司法長官は主張している。

このような慣行はコロンビア特別区の反トラスト法に抵触する可能性がある。司法長官事務所は、これによってアマゾンがオンライン小売市場で独占的な力を発揮していると主張する。

「アマゾンは、何が何でも勝利するために、オンライン小売市場における支配的な地位を利用してきました。サードパーティの販売業者や消費者を犠牲にして自社の利益を最大化する一方で、競争を阻害し、革新を抑えつけ、違法に市場を自らに有利な状況に偏向させています」と、ラシーン司法長官は述べている。

「私たちは、アマゾンがオンライン小売市場全体の価格を違法にコントロールしている状況に終止符を打つために、この反トラスト法に基づく訴訟を起こしました。地区住民の選択肢を広げ、競争、革新、選択を促進する公正なオンライン市場を、私たちは必要としています」。

今回のワシントンD.C.の司法長官による訴訟は、テクノロジー分野で最も強力な企業を一段階引き下げようとする州レベルの取り組みで最新のものだ。Facebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)は、反競争的な行為を行ったとして複数の州で訴訟を起こされており、連邦議員も反トラスト法の大幅な改正に向けて動き出している

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Aytug Can Sencar/Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加

Snap(スナップ)のパートナーサミットでは、数々の開発者向けツールやARクリエーター向けソフトウェア「Lens Studio(レンズ・スタジオ)」のアップデートが発表された。その中には、同社の「Snapchat(スナップチャット)」を使ったショッピング体験をより深める機能も含まれている。

中でも最もクールなアップデートの1つが、ユーザーのカメラを通して見たコンテンツを分析して、関連情報をすばやく表示するコンピュータビジョン「Scan」の新機能だ。月に約1億7千万人のユーザーに利用されているというScanは、アプリのカメラセクション内のより目立つ場所に配置されるようになり「Screenshop(スクリーンショップ)」と呼ばれる機能が統合されたことにより、ショッピング用途の性能がさらに高まった。

例えばユーザーが「Snap Camera」を使って友人が着ている服をスキャンすると、何百ものブランドからオススメのショッピング情報がすぐに表示される。また、これと同じ技術を使って、キッチンにある食材の写真を撮影すると、その食材を使った料理のレシピが、Allrecipes(オールレシピ)のサイトから表示される機能の導入も予定されている。

これらの機能は、ユーザーが現在カメラで撮影しているものを解析し、それに基づくインテリジェントな提案を行うという広範な取り組みの一部だ。

画像クレジット:Snap

企業はSnapchat内で公開プロフィールを作成することができ、ユーザーは各企業が「Shop」機能を通じて提供する販売アイテムをはじめ、Lenses(レンズ)、Highlights(ハイライト)、 Stories(ストーリーズ)などを見ることができる。

拡張現実の面では、レンズをよりスマートに統合するAPIを提供し、企業向けソリューションを引き続き重視していく。小売業者は、Business Manager(ビジネス・マネージャー)と呼ばれる機能を使って製品カタログを統合し、ユーザーが現在在庫のある製品の試着レンズにのみアクセスできるようにすることが可能になる。

ラグジュアリーファッションの販売プラットフォームであるFarfetch(ファーフェッチ)やPrada(プラダ)とのパートナーシップにより、ARプラットフォームはさらなるアップデートが施され、3Dメッシュの先進技術を使ったバーチャルな服の試着は一層リアルになる。ユーザーは、音声コマンドやジェスチャーを使って、試着しているアイテムを切り替えることもできるようになる。

「当社のカメラプラットフォームの力によって、Snapchatユーザーと彼らが好感を持っている企業を、有意義な方法で結びつけることができるものと期待しています」と、SnapのグローバルARプロダクト責任者であるCarolina Arguelles Navas(キャロライナ・アーグエレス・ナヴァス)氏は述べている。「これまで以上に、私たちのコミュニティは、自宅で新製品を体験したり、試着したり、触れたり、学んだりすることができるでしょう」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SnapSnapchatAReコマース アプリコンピュータービジョン

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

YouTubeにインターネットテレビの広告でもっと買い物しやすくなる新機能追加、Z世代をターゲットに

米国時間5月4日、YouTubeは広告主たちに、同社の動画プラットフォームで視聴者が買い物できる機能を予告的に紹介した。同社が近く導入するその新しい対話的機能は「ブランドエクステンション」と呼ばれ、広告主がそれを利用すると、動画の視聴者がボタンをクリックして画面に映っている商品の詳しい情報が得ることができる。

広告主はその新しい広告形式を使って、自分のウェブサイトのリンクや、インターネットテレビの広告中のその他のアクションを高輝度で表示できる。視聴者が「電話へ送る」をクリックすると、その宣伝やURLそのものがモバイルデバイスへ飛ぶが、その際、動画の視聴そのものは邪魔されない。

消費者はモバイルデバイスから、商品を閲覧したり、カートに品物を加えたり、決済を完了したりの買い物体験を通常どおりできる。しかもそのショッピング機能のある商品情報は、動画の視聴を中断されずにモバイルへ送れる。

広告主は、その動画の内容によって広告をターゲティングできる。たとえばフィットネスの動画なら、そこには新商品のランニングシューズのブランドエクステンションが出るだろう。

YouTubeによると、ブランドエクステンションのコンバージョンレートはGoogle Adsで直接見られるようになる。

eコマース関連のもう1つの取り組みとして、これからはブランドがそのダイレクトレスポンスビデオ広告に商品の閲覧用画像を加えられる。つまり、関心を持ったショッパーがその画像をクリックすると、その商品のウェブサイトやアプリへ飛ぶことができる。

YouTubeが自らをeコマース化しようと努力している機能はさらに多く、ここで取り上げているのはごくわずかな例にすぎない。

消費者、特に若いZ世代は、動画を見たりその他の関わり行為をしながらついでにショッピングする傾向があり、Popshop LiveNTWRKShopShopsTalkShopLiveBambuserといったたくさんの動画ショッピングサービスが登場している。Facebookも、FacebookとInstagramの両方でライブのショッピング(何かをしながら見ながらのショッピング)や動画からのショッピングに投資している。

一方、TikTokはWalmartとともに動画によるeコマースのホームになり、最近の数カ月でショッピングのライブストリームを複数ホスティングした。TikTokの中国資本からの切り離しと売却をトランプ元大統領が強制しようとしたときは、Walmartも買い手の名乗りを上げた。他にも、eコマースにおけるTikTokの成功例には、動画にウェブサイトのリンクを統合するツールや、Shopifyの統合などがある。

関連記事:パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Comscoreのデータによると、YouTubeは今でも、広告入りストリーミングサービスの全視聴時間の40%を占めているため、動画ショッピングの見込み客の数も大きい。YouTubeによると、米国のインターネットテレビの市場では上位5社のストリーミングサービスが80%のシェアを占めている中で、広告入りはわずか2社だ。

しかも広告は、YouTubeのeコマース振興努力の一部にすぎない。クリエイターの役割も大きい。

2020年秋のBloombergの記事によると、YouTubeはクリエイターたちに、彼らの動画クリップに商品が登場するとき、それにタグと追跡機能を持たせることを求めた。その後YouTubeは2021年の2月に対する説明を行い、視聴者が自分の好きなクリエイターから買い物できる機能をベータテスト中で、その本番展開は年内と発表した。

ただし、ブランドエクステンションはそれとは別であり、動画からショッピングできる機能を広告主に与える。YouTubeによると、ブランドエクステンションのある広告は、同社が他にもいろいろ用意している対話的機能の第1弾にすぎない。そしてそれは、2021年後半にグローバルで展開される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleYouTubeeコマース広告

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)