中国版UiPath、RPAスタートアップLaiyeが54億円のシリーズC+を完了

CEOのワン・グアンチュン氏(画像クレジット:Laiye

ここ数カ月、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が話題になっている。ニューヨークを拠点とするUiPath(ユーアイパス)は、2021年2月に350億ドル(約3兆8000億円)という驚異的な評価額を得た後、新規株式公開(IPO)に向けて動き出した。そして中国では、同国産のRPAスタートアップLaiye(ライヤ、来也)が話題になっている。

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キーボード操作やマウスクリックなどの、職場のありふれた作業を模倣するソフトウェアを開発しているLaiyeが、シリーズC+ラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達したことを発表した。今回の資金調達は、北京を拠点とする同社が、シリーズCラウンドの第1回目の資金調達を行ってから約1年後に行われた。

Baidu(バイドゥ、百度)の元従業員たちが率いる設立6年目のLaiyeは、公開情報によれば、これまでに1億3000万ドル(約140億4000万円)以上を調達している。

今回のシリーズC+ラウンドを主導したのは、中国の金融コングロマリットであるPing An(ピン・アン、平安)のアーリーステージ戦略投資ビークルであるPing An Global Voyager Fundと、政府支援のファンドであるShanghai Artificial Intelligence Industry Equity Investment Fundだ。その他、Lightspeed China Partners、Lightspeed Venture Partners、Sequoia China、Wu Capitalが投資に参加している。

RPAツールは、オフィスでの共同作業に支障を及ぼしてきた新型コロナウイルス(COVID-19)の中で、ワークフローを自動化する方法を探している企業を魅了していいる。とはいえ、この企業向け技術であるRPAは、パンデミックの前からすでに注目を集めていた。私の同僚であるRon Miller(ロン・ミラー)記者は、2021年4月、UiPathがS1(IPO目論見書)を申請した直後に次のように書いている

「このカテゴリーは、その時点ではレガシーな文脈での自動化を扱うことで人気を集めていた。それは、既存技術に深く絡みつかれている企業、すなわち実質的にはクラウド化されていないすべての企業が、古いプラットフォームを大手術したり置き換えたりしなくても自動化することができるというものだ(高価でリスクの高い大工事は普通のCEOならやりたがららないものだ)」。

たとえば一例として、かつて蘭州市の社会保障担当者は、年金受給者の情報を入力し、その内容が正しいかどうかを手作業で確認していたが、LaiyeのRPAソフトウェアを使用することで、口座照合作業時間を75%短縮することができた

また、中国南部のいくつかの都市では、国勢調査の自動化にLaiyeのチャットボットが活躍し、国勢調査員が一軒一軒家を訪問する必要がなくなった。

Laiyeによれば、2020年の第4四半期に、同社のRPAエンタープライズ事業がプラスのキャッシュフローを達成し、チャットボット事業が黒字化したという。その無料版は40万人以上の開発者が使っているが、同時にLaiyeはフリーランス開発者と自動化を必要とする小規模な企業をつなぐボットマーケットプレイスも運営している。

Laiyeはグローバルにサービスを展開しており、現在はアジア、米国、ヨーロッパに展開できているという。

Laiyeの会長でCEOであるWang Guanchun(ワン・グアンチュン)氏は「Laiyeは、今後3年間で、世界最大のソフトウェアロボットの開発者コミュニティを育成し、世界最大のボットマーケットプレイスを構築することを目指しています。そして2025年までには少なくとも100万人のソフトウェアロボット開発者を認定する予定です」と語る。

「より多くの人間の労働者がRPAやAIの知識でアップスキルできるようになれば、デジタル・ワークフォースとインテリジェント・オートメーションがすべての職業に浸透すると信じています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LaiyeRPA中国資金調達

画像クレジット: LaiyeCEOのワン・グアンチュン氏)

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

シェアリング旅行の仏スタートアップBlaBlaCarが126億円を調達してプラットフォーム構築へ

フランスのスタートアップBlaBlaCarは9700万ユーロ(約126億円)の大型ラウンドを実施したことを発表した。同社はこれまで長距離移動のためのカープールのスタートアップとして知られていたが、最近Ouibusを買収したことにともない、長距離バスのチケットのマーケットプレイス事業にも進出していた。BlaBlaCarはOuibusに加えてオンラインのバス切符販売サービスBusforも買収している。

既存の投資家であるVNV Globalが今回のラウンドをリードした。新たな投資家としてOtiva J/F ABとFMZ Venturesの2社が参加している。Otiva J/F ABはAvitoの創業者であるJonas Nordlander(ヨナス・ノルトランダー)氏とFilip Engelbert(フィリップ・エンゲルベルト)氏が設立したファンドだ。Avitoはロシア市場向けの求人・案内広告を専門としている。ロシアではクラシファイド広告の大手として知られているが、世界的ハイテク投資家であるNaspersがAvitoを買収した。FMZ Venturesは、Alibabaの投資担当でLyftやTripadvisorの取締役を務めた経験を持つMichael Zeisser(マイケル・ザイサー)氏が創立したしたグロースファンドだ。

資金調達はコンバーティブル・ボンド(転換社債型新株予約権付社債)によったため、会社評価額は確定評価額ベースの資金調達ラウンドや株式上場などを待たねばならない。BlaBlaCarの共同ファウンダーでCEOのNicolas Brusson(ニコラ・ブルソン)氏は、BlaBlaCarがまだ十分な額のキャッシュを銀行口座に保有しており「プレIPOラウンド」だとしている。

同氏は、取材に対して「BlaBlaCarは今回のラウンド以前から十分なキャッシュの用意がありましたが、ラウンド後は2億ユーロ(約260億円)以上となっています」と述べた。

今回のラウンドには同社がすぐに上場しなくても(あるいは資金調達をしなくても)、一定の期限によって作動する条項がある。上場、資金調達ラウンドなどがない場合、社債は20億ドル(約2160億円)の評価額でBlaBlaCarの株式に転換される。

BlaBlaCarが今回調達した資金はカープール事業、バス事業、統合プラットフォーム構築という3つの戦略的分野に集中されるものとみられる。

コアビジネスであるカープール事業についてみる、と同社は15年前に自動車の空席と同じ方向に向かいたい乗客をマッチングさせるというシンプルな相乗りサービスからスタートした。2020年来のパンデミックによるロックダウンが逆風となったのは確かだが、カープール事業に与えた影響は電車や飛行機と比べものにならないほど軽微だった。

ブルソン氏は「BlaBlaCarには多額の固定費がありません。我々は自動車を保有していないので空車を走らせる必要はありません。すべてはコミュニティの力で成り立っています。とはいえ我々はトランザクションにともなう手数料から収入を得ているので2020年のロックダウンで売上は減少ししました」と述べた。

2020年夏には経営は回復したが、以後はパンデミックに対する規制に応じて経営はジェットコースター的に上下を繰り返している。しかし「自動車は鉄道や路線バスのような固定的サービスではなく、柔軟かつ普遍的に人々を結びつける要素です。これは今後もそうでしょう」とブルソン氏はいう。

カープールは安定した強力な収入源だ。2020年だけでもBlaBlaCarには22の市場で5000万人の利用者があった。つまりカープールは負け知らずの賭けだ。

ここ数年、第2の柱はバス事業となっている。バスは特に新興国、東欧で大きな事業がチャンスがある。

現在、バスは大量に運行されているが、多くの場合オンラインでチケットを購入できない。BlaBlaCarはこのカテゴリーでの市場の全体は巨大だとみており同社は現在オフラインでしか入手できない大量のサプライをオンライン化するプラットフォームの構築を目指している。

これが、バス座席の在庫管理システムを開発しているウクライナのスタートアップであるOctobusを買収した理由だ。ブルソン氏は「これによってBlaBlaCarのエンジニアの能力は全方位となります」と述べた。

BlaBlaCarの3つ目の柱は、プラットフォームに囲い込める忠実なユーザーの数を増やすことだ。BlaBlaCarは、カーブール、バス、将来的には電車などすべての移動方法について横断的にシェアリングによる旅行を発見できる「マルチモーダル旅行アプリ」を構築したいと考えている。

BlaBlaCarは、2021年末から2022年初めまでにマーケットプレイスに鉄道事業者を追加する予定だ。私はBursson氏に対しヨーロッパのすべての移動手段を対象とするOmioのような存在になろうとしているのかどうか尋ねた。Omio(以前のGoEuro)では、列車のチケット、バスのチケット、フライトを1つのプラットフォームで予約することができる。

ブルソン氏の戦略はこれと異なるとして「BlaBlaCarはまず特定の国に焦点を当て地域のすべての移動手段をプラットフォームに載せ、人々が期待するものをすべて販売できるようにしたいと考えています」と述べた。

BlaBlaCarアプリで「A地点からB地点への最適な移動手段を見つけることができる」ようにするのが最終的だ。つまり列車のチケット バスのチケット購入、相乗りなどユーザーのニーズ応じてさまざまなオプションがすべてプラットフォーム上で提供される。BlaBlaCarは広範囲な地域をサポートするため「2つの小さな町を結ぶ」最適な旅行手段を見つけるという困難な課題を解決するために非常に有利な立場にあるといえる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:BlaBlaCar資金調達フランス旅行バスライドシェア

画像クレジット:BlaBlaCar

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(文:Romain Dillet、翻訳:滑川海彦@Facebook

スタートアップの株式管理をソフトウェアで助けるシンガポールのQapitaが5.4億円調達

Qapitaの共同創業者たち。左からヴァムゼー・モハン氏、ラヴィ・ラヴラパルティ氏、ラクシュマン・グプタ氏(画像クレジット:Qapita)

シンガポールのフィンテックQapitaはスタートアップに、資本政策表やESOP(Employee Stock Ownership Plan、従業員による株式所有計画)を管理するソフトウェアを提供している。同社はこのほどプレシリーズAで500万ドル(約5億4000万円)を調達した。ラウンドをリードしたのはMassMutual Venturesで、Endiya PartnersとAvaana Capitalの創業者Anjali Bansal(アンジャリ・バンサル)氏やUdaanの共同創業者Sujeet Kumar(スチット・クマール)氏などのエンジェル投資家が参加した。

2020年9月にQapitaのシードラウンドをリードしたVulcan CapitalとEast Ventures、およびKoh Boon Hwee(コー・ブーン・フィー)氏、Atin Kukreja(アティン・ククレジャ)氏、Alto Partners、Mission Holdings、Northstar Group Partners、K3 Venturesなど、多くのエンジェル投資家たちも、この投資に復帰した。East Venturesの共同創業者でマネージングパートナーのWillson Cuaca(ウィルソン・クアカ)氏が、Qapitaの取締役会に加わる。

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Qapitaは現在、インドネシアとシンガポールとインドのクライアントにサービスし、スタートアップに注力している。同社のソフトウェアで非公開企業は、キャップテーブル(資本政策表)をデジタル化して管理し、デューディリジェンスを行い、株を従業員に発行する。Qapitaは2019年にRavi Ravulaparthi(ラヴィ・ラヴラパルティ)氏とLakshman Gupta(ラクシュマン・グプタ)氏とVamsee Mohan(ヴァムゼー・モハン)氏が創業し、今では30名のチームに成長している。

同社の目標は、スタートアップによる株の発行をもっと容易にすることによって、インドと東南アジアのスタートアップのエコシステムにより大きな流動性と再投資を生み出すことだ。Qapitaは現在100あまりの企業にサービスを提供しており、新たな資金は機能をもっと増やすことと、法務、会計経理、秘書業務などのサービスプロバイダーたちとパートナーすることに投じられる。

プレス向けの声明でMassMutual VenturesのマネージングディレクターのAnvesh Ramineni(アンヴェシュ・ラミネニ)氏は次のように述べている。「今私たちがグローバルに目撃しているのは、上場市場と非上場市場との合体というトレンドだ。Qapitaは彼らのソリューションによって、当地域でそれを可能にしている。そのために同社は、キャップテーブルの作成やステークホルダーの管理、株式のデジタル化とその発行、そして流動性のソリューションといった一連のサービスを提供している。同社のチームは、経験と地域市場の理解とプロダクトの専門性という三点において、彼らのビジョンを提供するに十分な正しい組み合わせを有していると信じている」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Qapitaシンガポール資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

大麻関連企業に融資を行うBespoke Financialが約8.7億円調達

大麻関連の金融会社であるBespoke Financial(ビスポーク・フィナンシャル)は、米国時間4月19日、シリーズA投資ラウンドで800万ドル(約8億7000万円)の資金を調達したと発表した。大麻関連企業に資金調達ソリューションを提供するために奮闘している同社は、今回の資金調達により、重要な投資家を新たに迎え入れることになった。

Bespoke Financialはダイレクト・レンディング会社であり、大麻を扱う企業にいくつかの融資ソリューションを提供している。Bespokeからの短期融資を受けることで、企業は信用を築くことができ、その後の融資や商品でより良い条件を提供できるようになる。

同社によると、融資の実行件数は飛躍的に伸びており、過去1年間で予測を25%上回るペースで推移しているとのこと。同社は2000を超える大麻ライセンス保有者に、1億2000万ドル(約130億円)の融資を提供しているが、これまでに債務不履行はゼロだという。

今回調達した資金を使って、Bespokeは新たな資金調達の仕組みを導入し、さまざまな販売チャネルにおける資金調達の選択肢を拡大することを計画している。

同社共同創業者でCEOのGeorge Mancheil(ジョージ・マンケイル)氏は、今回のラウンドを、会社にとって極めて重要な瞬間であり、Bespoke Financialの方向性と商品を承認する印であると述べている。今回のラウンドでは成長中の同社にとって重要なパートナーを複数得ることができたと、同氏はTechCrunchに語った。

今回の資金調達ラウンドは、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)のCasa Verde Capital(カサ・ベルデ・キャピタル)とSweat Equity Ventures(スウェット・エクイティ・ベンチャーズ)が共同で主導し、Ceres Group Holdings(セレス・グループ・ホールディングス)、Greenhouse Capital Partners(グリーンハウス・キャピタル・パートナーズ)、DoubleLine Capital(ダブルライン・キャピタル)の共同創業者で元社長のPhilip Barach(フィリップ・バラック)氏、ニューヨーク在住の投資家Robert Stavis(ロバート・スタビス)氏が参加した。

Sweat Equity Ventures(SEV)にとって、これが大麻関連企業への初めての投資となる。SEVは、LinkedIn(リンクトイン)の創業者であるReid Hoffman(リード・ホフマン)氏が出資して設立し、Dan Portillo(ダン・ポーティロ)氏がリーダーを務めている。同社は従来のベンチャーファンドとは異なる仕組みを持っており、創業者と協力してエンジニアリングやビジネスの分野で優れた人材を投資先企業に送り込んでいる。単に小切手を切るのでなく、SEVはこれらのサービスを提供することで、企業の株を受け取る。

「今回は当社にとって初めての大麻産業への投資であり、ますます多くの州で大麻の使用が合法化され、連邦政府も全国的な合法化を検討している中、Bespokeと提携できることをうれしく思います。今回の提携により、Bespoke社の金融および大麻に関する知見と、当社チームの革新的なハイテク企業の規模拡張に関する専門知識が融合し、大麻企業が合理的な資金調達にアクセスできるようになると同時に、投資家にとっても透明性の向上とリスクの監視が可能になります」と、Sweat Equity Venturesのマネージングパートナーであるダン・ポーティロ氏は声明の中で述べている。

Casa Verde CapitalのマネージングパートナーであるKaran Wadhera(カラン・ワドヘラ)氏は、Bespoke Financialが成長を続ける業界の真のニーズに対応していると述べている。Casa Verde Capitalは以前、2019年の700万ドル(約7億6000万円)のラウンドを含め、Bespoke Capitalに投資したことがある。

BespokeのCEOであるマンケイル氏はTechCrunchに対し、同社は単なる貸し手ではなく、大麻業界の真のパートナーとして活動できるような、現代的な融資会社になりたいと考えていると語った。

今回の800万ドルの資金調達を含め、Bespoke Financialはこれまでに2800万ドル(約30億円)を調達した。2019年に設立された同社は、現時点で12名の社員を抱えている。

関連記事:ニューヨーク州が娯楽用大麻の合法化へ前進

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Bespoke Financialカンナビス資金調達

画像クレジット:Getty Images under a Getty Images license.

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(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カラフルなシェア電動スクーターDottが約92億円調達、スペイン・英国やバイクシェアへ拡大

Dott(ドット)は中央ヨーロッパ時間4月20日、新たに8500万ドル(約91億9000万円)のシリーズB資金調達を完了した。今回のラウンドは、エクイティと資産担保デットファイナンスを組み合わせたもので、ベルギーの投資会社Sofinaが主導した。Dottは、ヨーロッパの都市で見かけるカラフルな電動キックスクーターで知られるマイクロモビリティのスタートアップだ。

同社は、5カ国で3万台の電動スクーターを運用している。ユーザーはモバイルアプリをダウンロードすると、アプリを通じてスクーターのロックを解除できる。同社は、ロック解除料と1分ごとの料金を徴収している。

Dottは設立当初、自らを資本効率が高く、持続可能な電動スクーター企業と位置づけていた。Dottは、Bird(バード)やLime(ライム)に比べて資金調達額が少なく、運営面でも異なるアプローチをとっている。

例えばDottはこれまで、車両の充電や修理を行うための倉庫を自社で保有してきた。同社はサードパーティのロジスティクス業者とは提携していない。Dottは、ロジスティクス担当従業員の自社チームを独自に採用している。

また、Dottはスクーターの修理、再利用、リサイクルを可能な限り行っている。交換可能なバッテリーと電気トラックにより、同社は事業を展開する都市でのCO2排出量を可能な限り低く抑えようとしている。

その結果Dottは、パリとリヨンで入札を経て営業許可を獲得した。全体では、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、ポーランドの十数都市で事業を展開している。欧州の競合企業であるTier(ティア)はより積極的に事業を拡大しており、2020年11月に2億5000万ドル(約270億2000万円)を調達した

Sofinaに加え、EQT Ventures、Prosus Ventures、Aberdeen Standard Investments、Estari、Expon Capital、Felix Capital、FJ Labs、Invest-NL、McRock Capital、Quadiaなどの新規および既存投資家が今ラウンドに参加している。

このたびの資金調達により、同社は電子スクーターにとどまらず、新たにバイクシェアサービスを展開する予定だという。Dottはすでにそのeバイクの画像を公開している。このサービスは2021年夏に開始される予定だ。

またDottは、スペインや英国を皮切りに他の都市や国への展開も計画している。このように、Dottは一度に100の都市でサービスを立ち上げようとは思っていない。徐々に新しい都市でのサービスを展開している。現在同社は、すべての都市でEBIT(利払前・税引前利益)黒字となっており、Dottはおそらくその状態を維持したいと考えているのだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動キックスクーター 欧州

ハワイ料理「ポケボウル」を出前するPoke Houseが5カ国での事業拡大に向け26億円調達

フードテック業界は事実上、ファストフードに進出し始めている。例えば米国のSweetgreen(スイートグリーン)は、ヘルシーな「ボウルフード」を提供する「ファストカジュアル」なレストランチェーンだ。同社はこれまで4億7860万ドル(約517億5000万円)を調達している。似たような会社に「Sweetfin」がある。どちらもバックエンドに多くの技術を採用し、効率化を図っている。

ヨーロッパ発のスタートアップPoke House(ポケハウス)は出前プラットフォーム向けに、もとはハワイ料理である「ポケボウル」の調製を能率的に工業化してこの分野に切り込もうとしている。Poke Houseは、マリネした魚を一口大の角切りにして、ご飯、ピクルス(訳註:欧米のポケボウルには洋風ピクルスがのっていることも多い)、好みの野菜などと合わせたボウルフード(丼もの)を専門としている。

Poke Houseはこのたび、Eulero Capitalが主導したシリーズB資金調達ラウンドで、FG2 Capitalの支援とMilan Investment Partners SGRの再投資を受け、2000万ユーロ(2400万ドル、約26億円)を調達した。同社はUber Eats(ウーバーイーツ)などのメジャーなフードデリバリープラットフォームを介して、技術とデータを使い製品の生産と配送を最適化している。イタリア生まれの同フードテックスタートアップは、2年以内に「1億ユーロ(約130億円)以上の企業」を作り上げたと主張している。

Matteo Pichi(マッテオ・ピキ)氏とVittoria Zanetti(ヴィットリア・ザネッティ)氏によって設立されたPoke Houseは、イタリア、ポルトガル、スペインに30以上の店舗を展開しており、現在400人の従業員を擁する。2021年には4000万ユーロ(約52億円)以上の売上を見込んでいるという。

今回の資金調達により、同社は既存市場での新規出店、フランスへの進出、英国での展開を開始する予定だ。

Poke Houseは、バックエンドに多くの技術を活用することで、サプライチェーンのあらゆる要素を追跡してビジネスを最適化しているという。また、Deliveroo(デリバルー)、Glovo(グロボ)、Uber Eatsなどのようなサードパーティのデリバリープラットフォームのデータを分析し、料理の準備時間を10分以下に、そして配達時間は25分以下にすることを目指している。

共同創業者のピキ氏は次のように述べている。「パンデミックの影響で、食品業界はチャレンジに直面しています。当社は、従来のレストラン体験を革新し、デジタル化するためには、テクノロジーが有効であると考えています。人々のニーズが、ヘルシーなファストフードへとシフトしているのを我々は目の当たりにしています。ポケボウルはこの新しいニーズに合致しており、近くから配達される、手軽で健康的な食事オプションを提供することで、よりバランスのとれたアクティブで持続可能なライフスタイルを促進します」。

ピキ氏はTechCrunchの取材に対し、こう付け加えた。「当社の競合相手は、米国で急成長しているSweetgreenやSweetfinのようなヘルシーコンセプトです。しかし同時に、我々はラッキーだと思っています。なぜなら、当社はフードデリバリーのエキスパートや元従業員によって100%構築された最初のブランドの1つだからです。次の競合相手は、データ分析やデジタルブランド構築に非常に強い、ネイティブバーチャルブランドになるでしょう。当社はフードデリバリープラットフォームをメディアプラットフォームとして利用しており、競合他社よりもそのチャンネルへの投資を多額にしています」。

Eulero Capitalの創業パートナーであるGianfranco Burei(ジャンフランコ・ビュレイ)氏は、次のように述べている。「Poke Houseのビジネスモデルは、食品分野の主要なトレンド(フードテック、ヘルシーフード、デリバリー、カスタマイズ)に乗っており、同社を欧州のトッププレイヤーに位置づけるための特徴と人材をすべて備えています。今後数年間の経済、テクノロジー、社会の発展を特徴づけるマクロトレンドに含まれる企業を探すという当社の投資戦略に沿っており、革新的で将来性のあるプロジェクトであるPoke Houseのパートナーになれることを嬉しく思います」。

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カテゴリー:フードテック
タグ:フードデリバリー 資金調達

建設3DプリンターのPolyuseが資金調達、普及を阻む壁とそれを超えるための戦略とは

人材不足、高齢化など、建設業界では課題が山積している。この状況を打破すべく、3Dプリンターの活用が注目されている。そんな中、建設用3Dプリンターを開発するPolyuse(ポリウス)が、Coral Capital、STRIVE、池森ベンチャーサポート、吉村建設工業から約8000万円を調達した。代表取締役の岩本卓也氏は「建設用3Dプリンターの活用は始まったばかり。本格的普及には段階的なアプローチが不可欠です」と語る。建設用3Dプリンターは今後どう活用されていくのか。岩本氏と、同じく代表取締役の大岡航氏に聞いた。

3Dプリンターが建設業界を救うか

建設業界には、すぐに解決できない課題が多い。根強い3K(きつい、汚い、危険)のイメージ、慢性的な人材不足、高齢化、進まない施工期間の短縮、販売管理等コストの膨張など、枚挙にいとまがない。

「現在、建設業界を中心的に支えているのは50代、60代の人材です。この中で10年以内に働けなくなる人もいるでしょう。10年後の建設業界の人材は、今の3分の2になると言われています。建設業界全体のデジタル・トランスフォメーションを進めることで、効率化を進め、人材不足を補うことは喫緊の課題です」(岩本氏)

さらに、これまで建設業界が猶予されてきた長時間労働の上限規制が2024年に始まる。3Dプリンターのようなマシンを積極的に導入することで、職人の負担や労働時間を減らすことも必要になる。

しかし、建設用3Dプリンターの活用は実際にはそれほど簡単ではない。なぜなら、そのためには、建設、ハードウェア、ソフトウェア、マテリアル、事業開発を理解する人材が必要だからだ。

「建設において3Dプリンターを活用するということは、3Dプリンターというハードウェアを理解し、それを制御するソフトウェアを開発し、ソフトウェアを使って樹脂やセメントなどのマテリアルを立体的に作り上げ、作ったマテリアルを建設現場のオペレーションに載せ、一連のプロセスを事業として成り立たせるということです。現状、これらのいくつかを持ち合わせるプレイヤーはいますが、すべてを揃えているところは見かけません。そこで、その要素をすべて持つ当社の存在意義が出てきます」(岩本氏)

ポリウスの3Dプリンターは、マテリアルの調整により従来では難しかった曲線造形も可能になった(画像クレジット:ポリウス)

3Dプリンター活用が進まないワケ

3Dプリンターには建設業界の課題を解決する可能性がある。しかし、岩本氏は「3Dプリンターの活用と普及拡大には、主に3つの壁があります」と語る。

1つめが建築基準法の壁だ。これは、建築基準法が直接的に3Dプリンター活用を禁じているということではない。建築基準法を遵守した形で3Dプリンターを活用した建物を建てようとすると、実績を積みづらいのだ。

「建設業界は3Dプリンターを試し始めたばかりで、実績が多くありません。『3Dプリンターで建てた橋は理論上〇〇年保ちます』とは言えるものの、『3Dプリンターで建てた橋が実際に〇〇年保ちました』とは言えないのです。建築基準法を所管する国土交通省は実績重視です。理論的に安全だとしても、実際にどれだけ安全に使えるのか実績のない3Dプリンターで橋を作らせるわけにはいかないのです」(岩本氏)

2つめの壁は3Dプリンターそのものにかかるコストだ。建設用3Dプリンターには、アーム型とガントリー型がある。アーム型は本体の構成要素が少ないので、開発がしやすい。本体を移動させないで印刷できる範囲は狭いが、本体を移動させればでいくらでも印刷範囲を広げられ、汎用性が高い。だが、開発コストが2000万円ほどで高い。一方ガントリー型は印刷範囲であるフレームから開発する必要がある。印刷範囲がフレームにより限定的になるが、広く取ることができる。開発コストをアーム型より安く抑えやすい点が特徴だが、移動や設置が難しい。使い勝手で言えば高価なアーム型が有利だが、コストの面では現状、ガントリー型が現実的だ。ポリウスは主にコスト面での優位性や、協業先との話し合いからガントリー型の3Dプリンターを採用している。

3つめの壁は人件費と工数だ。実は、現段階でポリウス製ではない3Dプリンターを活用した施工を行うと、3Dプリンターなしの既存の施工よりも多くの作業者と工数がかかる。他社製品の場合「マテリアルの粉を入れる人」「ミキサーを管理する人」「ポンプを制御する人」「造形時の状態を見る人」「データを監視する人」など、最低4~5人は必要になる。一方、ポリウス製の3Dプリンターでは、一連の作業に必要なのは1人だ。

「従来では、『建設用3Dプリンター』という一般的な観点でいうと、既存工法より3Dプリンター活用工法の方が人件費と工数がかかる、という壁があります」(岩本氏)

建設業界全体を巻き込む

上記の3つの壁があることで普及が遅れる建設用3Dプリンターだが、それを打開するためには3Dプリンターの活用事例をとにかく増やすことが必要だと岩本氏は話す。建築基準法の壁を超えるため、同社は「法律に触れない範囲での3Dプリンター活用を進めている」(岩本氏)という。具体的には、側溝、土手、テトラポッドなどの土木構造物や、住宅の門扉や置物、公園の遊具といった外構(エクステリア)だ。建築物全体を3Dプリンターだけで仕上げるのではなく、建築物の一部を仕上げ、既存の施工方法と組み合わせることで、3Dプリンターの活用事例を全国規模で増やそうとしている。

大岡氏は「私たちは建築基準法を常に意識しないといけないので、行政とのコミュニケーションが重要です。建設業界の人材不足、効率改善は、行政も重要性を理解しているので、行政と戦うような構図にはなりません。むしろ、行政との関係性が強いゼネコンなどと協力して、業界ごと改善する方法を模索する必要があります。私たちは既存のプレイヤーと戦いたいのではなく、一緒に業界をよくしていきたいのです」と業界全体の協力の重要性も指摘する。

この「業界全体」というのは、ポリウスのキーワードでもある。

「3Dプリンターを活用するには、建設、ハードウェア、ソフトウェア、マテリアル、事業開発のノウハウが必要です。ただ、それらを全部まとめて一気通貫でやる企業や組織はこれまでありませんでした。私たちの活動の幅を広げるには、大学などの研究機関に当社の事業や、テクノロジー連携のあるべき姿をお伝えし、業界のあらゆるプレイヤーと研究機関のコラボレーションの可能性を掘り下げていかなければなりません。業界全体のステークホルダーのみなさんと一緒にコンソーシアム型開発を進めていくことが重要です」(岩本氏)

日本で建設用3Dプリンターを制すれば、世界を制す

ポリウスの調べでは、世界には建設用3Dプリンター企業が70社ほどあるという。しかし、日本ではまだまだ珍しい。大岡氏によると、日本は海外と比べて建築に関わる基準が厳しく、ポリウスのようなスタートアップが生まれにくいのだそうだ。

「逆にいうと、海外の建設用3Dプリンター企業は日本に参入しにくいのです。そこで、私たちはそこを逆手にとって建築基準の厳しい日本にまず対応し、その後比較的に基準の緩い海外に進出してこうと考えています」(岩本氏)

とはいえ、日本での3Dプリンター活用はまだまだ始まったばかり。まずはテクノロジーがあまり浸透していない建設業界とのコミュニケーションを重ね、3Dプリンターの信頼を醸成することが必要になる。ポリウスは今回の資金調達により、3Dプリンターを扱うハードウェアエンジニア、ソフトウェアエンジニア、マテリアルエンジニアなどの各種エンジニアを募集し、研究開発を進めていくという。

ポリウスのメンバー。写真中央が代表取締役の岩本氏、その左が同じく代表取締役の大岡氏。

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カテゴリー:その他
タグ:建設3Dプリンター資金調達Polyuse日本

社会保険労務士向け社内規程SaaSを運営するKiteRaが3億円を調達、機能拡充および人材を獲得

社会保険労務士向け社内規程SaaSを運営するKiteRaが3億円を調達、機能拡充および人材を獲得

社会保険労務士(社労士)向け社内規程SaaS「KiteRa(キテラ)-Pro-」を運営するKiteRaは4月19日、第三者割当増資および融資による総額3億円の資金調達を発表した。引受先は、新規引受先のXTech Ventures、DIMENSION、三井住友海上キャピタル、個人投資家を、また既存投資家のライフタイムベンチャーズ。借入先は日本政策金融公庫。

KiteRaは、これまでライフタイムベンチャーズ、インキュベイトファンド、他個人投資家から総額約4000万円の資金調達を実施しており、第2回目として総額3億円の資金調達を実施した。今回の資金調達により現行サービスの機能拡充および人材の獲得を行う。

社会保険労務士向け社内規程SaaSを運営するKiteRaが3億円を調達、機能拡充および人材を獲得

社労士とは、労働保険や社会保険など各種法令に基づいて、行政機関に提出する提出書類や申請書などを、依頼者に代わって作成する士業。KiteRaは、社労士資格を持つ代表取締役の植松隆史氏が2019年4月に設立し、当初は一般企業の社内規定業務向けSaaSとしてスタートした。「規程をラクに」が社名の由来という。社労士からの需要の多さからKiteRa -Pro-を展開したところ、2021年3月時点で300以上の社労士事務所に導入されることとなった。

KiteRa -Pro-は「社労士の規程業務を圧倒的に効率化」を実現する社労士向けSaaS。就業規則をはじめ社内規程に関する一連の業務をクラウド上で行えるようになっており、従来ワープロソフトなどを用いて実施してきた業務プロセスを変革し効率化を実現するという。

同社によると、社労士は、給与計算や社会保険手続代行、就業規則作成代行といった代行業務から、労務のプロとして企業の「働き方」について助言を行うアドバイザーなど幅広い役割を担う一方、労働集約型産業としての側面もあり、社労士自身の生産性向上をはじめとした「働き方」が課題となっていたという。

また、給与計算や社会保険手続については、数々のクラウドサービスが展開され、生産性が向上しつつあるものの、就業規則作成領域おいてはまだ実現されているとは言い難い状態となっているとした。

そこでKiteRaは、就業規則作成代行領域において業務効率化するためのクラウドサービスを開発・展開することで社労士のDX化を推し進めることで、生産性の向上した社労士が、労務のプロとして社会からのさらなる期待に応えられるよう環境づくりに貢献するとしている。

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カテゴリー:リーガルテック
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アルゴリズムを利用して賃貸住宅の特定や管理を支援し大家の頭痛を解消するKnox Financialが10.8億円調達

賃貸物件を所有して収入を得る方法を表す「受動的所得」という言葉は、誰もが知っているだろう。受動的に収入が得られたらいいなと思う米国人は多いが、大家になるための手続きは恐ろしいほどに厄介で複雑なものだ。

つまり、土地を売った途端に地価が上がって、売ったことを後悔する人がどれほど多いことか、という話だ。

すでに大家であっても、不動産管理の複雑さには押し潰されそうになる。

アルゴリズムを利用したプラットフォームで賃貸住宅の特定や管理を支援するボストンのスタートアップKnox Financial(ノックス・ファイナンシャル)は、1000万ドル(約10億8000万円)のシリーズA投資を調達し、目標をさらに拡大した。ボストンを拠点とするG20 Venturesがこのラウンドを主導し、Greycroft、Pillar VC、2LVC、Gaingelsなどが参加している。

この投資により、2018年創設以来のKnoxの合計調達額は1470万ドル(約16億円)となった。同社は2020年1月、Greycroft主導によるシード投資ラウンドで300万ドル(約3億2500万円)を調達している。

Knoxの共同創設者でCEOのDavid Friedman(デイビッド・フリードマン)氏は、スタートアップ初心者ではない。同氏は2004年、不動産会社や代理店のための総合マーケティングプラットフォームとオンラインマーケティングサービスBoston Logic(ボストン・ロジック)を創設している。2016年、フリードマン氏は、現在はPropertybase(プロパティーベース)と呼ばれるその会社を、非公開の価格でProvidence Equity(プロビデンス・エクイティー)に売却した。

Knoxは2019年5月にプラットフォームをローンチしている。その目標は、今住んでいる家から退去して投資不動産に変更しようと決意した住宅の所有者に「完全にお任せ」の移行を提供することだ。また、賃貸物件の管理をより簡単に効率的にする手助けもするという。

2020年初めのシード投資ラウンドでは、同社の事業はボストンに限られ、プラットフォーム上の物件は50件しかなかった。現在では7つの州に展開され「数百件」の投資不動産がプラットフォーム上にあり、1億ドル(約108億円)を超えるポートフォリオを監督している。

では、どんな仕組みなのだろうか?物件がKnoxのFrictionless Ownership Platform(フリクションレス・オーナーシップ・プラットフォーム)に登録されると、この物件の財務、税金、保険、賃貸と法務、賃借人と土地建物の管理、銀行口座管理と請求書の支払いといった処理を自動化し監督する。

Knoxではまた、その物件から長期的に得られる投資収益率を計算する、賃貸料と予測のモデルも開発した。

画像クレジット:Knox Financial

「投資家のための大幅な節約を行い、ほぼ確実にポートフォリオの収益性を高めます」とフリードマン氏はいう。「大きな家に引っ越す人がいれば、私たちはその物件を信じられないほどのROI発生器、つまり収入源に生まれ変わらせます」。

同社の収益モデルは単純だ。

「賃貸料が1ドル、このシステムを通過するごとに、私たちは10セントもらいます」とフリードマン氏はTechCrunchに話した。私たちは、顧客の状況に合わせて利益を調整します。賃貸料がまったく入らないときは、私たちも売上げはありません」。

Knoxでは、今回の新しい資金でサービス対象地域を広げ、もっと多くの人たちに知ってもらおう計画している。

G20 Venturesの共同創設者でパートナーのBob Hower(ボブ・ハワー)氏は、大学を卒業して数週間後に、母親の援助でボロ家を購入したことを話してくれた。改修を終えた1週間後に、彼はその家を売りに出した。それから5カ月の間、市場が軟調になるにつれて価格を次第に下げざるを得なくなり、とうとうわずかな儲けで売却してしまった。

「あの家は、今では私が出資した数倍の値がついています」とハワー氏は振り返る。「今思うと、敗因は、そもそも家を売ろうと決めてしまったことにあります」。

その経験からハワー氏は、Knoxのビジネスモデルにある、彼がいうところの「思考の明確さ」を大切にするようになった。

「Knoxが数十年前にあれば、大学卒業後に買ったあのボロ家を、今でも持っていたはずです」と彼はいう。「Betterment(ベターメント)などの投資プラットフォームは、いくつものアドバイスと最適化のための作業を、シングルサインオンの簡単なサービスに凝縮しています。Knoxは、この手のモデルを住宅不動産投資に持ち込んだ、最初の企業なのです」。

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画像クレジット:Nanette Hoogslag / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)

長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOMが資金調達、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプ開発

長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOMが資金調達、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプ開発

長距離量子暗号通信の事業化を目指すLQUOM(ルクオム)は4月19日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。調達額は非公開としているものの、8000万円規模とみられる。引受先は、インキュベイトファンド。

2020年1月設立のLQUOMは、長距離量子暗号通信の実現に必須となる量子中継機の開発および事業化を進めるスタートアップ企業。新関和哉氏(横浜国立大学 大学院工学府)が代表取締役で、堀切智之氏(横浜国立大学大学院工学研究院准教授)がテクニカルアドバイザーに就任している。

同社はこれまで、量子中継器の実現に必要な「量子光源」「量子メモリー」「インターフェース技術」の3つの要素技術の研究、またこれらの統合技術の開発を進めてきたという。今回調達した資金は、量子中継機の事業化に向けたプロトタイプの開発および人材採用に投資する。

実用化に向けて製品組み込みを目指す量子光源

実用化に向けて製品組み込みを目指す量子光源

量子インターネットを見据えた波長変換器

量子インターネットを見据えた波長変換器

現在の暗号通信は素因数分解問題を利用しており、最先端のコンピューターを活用しても、解読に膨大な計算時間を必要とし、その膨大な解読時間が暗号通信としての安全性を保証している。

一方、昨今開発が進む量子コンピューターの計算速度は、将来的に最新コンピューターと比較して桁違いに速くなるとされ、従来の暗号通信の安全性が危険に晒されることが想定されている。IoT、自動運転、遠隔医療、金融、軍事などは高度なセキュリティーが必要不可欠であり、新たな暗号通信が求められているという。

このような背景から、量子力学に基づく量子暗号通信が複数の研究機関で研究されているそうだ。

ただ、量子暗号通信を用いると、原理的にかつ絶対に盗聴が不可能であるものの、現時点では通信距離が数十km程度にとどまっているという状況にある。本格的な社会実装に必要な数百km以上の長距離通信が実現されるまでには至っていないという。

LQUOMは、この長距離通信を実現するために必要となる量子中継器の研究・開発について、国内外の研究機関と協力して行っており、近い将来の実用化を目指すとしている。

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カテゴリー:セキュリティ
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HRテックのEDGEが約1.5億円を調達してMBO完了、社員の価値観を可視化する新サービスも提供開始

左から3人目がEDGEの佐原資寛代表

HRテックのスタートアップEDGEは4月20日、第三者割当増資で9600万円とりそな銀行から融資6000万円を合わせ総額1億5600万円の資金調達を行い、人事課題解決に特化した「エアリーシリーズ」を提供する旧EDGEの株式65%超を取得したと発表した。同日付でEDGEは旧EDGEを合併し、経営陣が自らの会社を買収するMBO(マネジメント・バイアウト)の手続きをすべて完了した。

今後、EDGEは既存事業はもちろん、社員の価値観などを見える化する「エアリーマネジメントクラウド」と、1on1ミーテイングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」の新事業に力を入れていく。なお、引受先はエアトリ取締役会長の大石崇徳氏、PCIソリューションズ、インサイト、Legaseedとなる。

昨今のコロナ禍によって、企業における働き方は大きく変わり、マネジメントや組織開発の難しさが顕著になっている。旧EDGEは2017年4月にHRテクノロジー「エアリー」を主力事業として創業して以来、社内SNSを活用した組織内コミュニケーション支援事業を展開してきた。

コロナ禍の状況を踏まえ、これまでよりスピード感を持ち、課題解決策を提供していくため、MBOに踏み切ったという。旧EDGEの筆頭株主だったガイアックスは引き続き株主として一部の株式を保有する。

「エアリーマネジメントクラウド」でより適正なマネジメントを

社員1人ひとりに重点を置く診断

エアリーマネジメントクラウドは、発達心理学などをベースにした診断から、社員の価値観や幸福度を可視化して組織課題を改善するサービスとなる。今回の発表に合わせ、4月20日からサービス提供を始めた。

働き方改革などが進む中、社員のキャリアや働き方に対する価値観や考えを把握する重要性が増している。ただ、EDGEが取引先に行ったヒアリングによると、上司と部下間で信頼関係の構築が上手くいっていないケースが多かったという。コロナ禍により対面でコミュニケーションを取る機会が減ったことで、上司は以前にも増して社員の思いを汲むことが難しくなった。

エアリーマネジメントクラウドでは、これまでの組織診断ツールとは異なり、平均値ではなく社員1人ひとりの状態を把握することに重点を置いた。社員には自身の価値観に関する50個程度の質問をウェブ上で受けてもらい、意識構造のどの階層にいるかを診断する。

客観的な診断結果からマネジメントができる

同社は「価値観は意識構造に関連しているので、その意識構造では何に価値を感じ、どのような思考をするかを診断結果から提示できます。また幸福度については、目の前の仕事に没頭しているかなどの短期的な満足度と、未来の理想像に近づいている実感があるかという中長期的な満足度も計測し、総合的にスコア化しています」と説明した。

上司はこれらの情報を、社員の個別フォローや目標設定、適正配属などの決定に活用していく。客観的な診断結果から判断できることで、より適正なマネジメントを行えるようになるのだ。EDGEは2021年中に、100社へのサービス導入を目指す。

1on1ミーティングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」

音声分析により感情を可視化

エアリーフィードバッククラウドは音声分析から上司と部下の感情の推移を可視化して把握し、理想的な1on1の実施を支援するサービスだ。

近年、社員の生産性向上や人財育成の観点から、上司と社員が定期的に1対1でミーティングを行う1on1が注目されている。ただ「部下とどのように個別に話をすればいいのかわからない」「価値観や考えを引き出すことができない」といったノウハウ不足などの理由から、1on1導入に踏み切れない企業も多い。

このため、EDGEは2020年からエアリーフィードバッククラウドのベータ版を提供して質の高い1on1の特徴を分析してきたが、2021年5月初旬を目途に製品版をリリースする。製品版ではベータ版の分析を元に、上司が1on1を振り返って改善し「互いに本音をぶつけあうことができる」といった心理的安全性の高い状態を実現できるようになるという。

製品版リリース時には、上司と部下間における発話割合の測定機能を実装する予定だ。これにより、上司が1on1中に一方的に話すことなどを防ぎ、部下の意見もしっかりと引き出せるようにしていく。

また、音声分析から感情の推移を把握した後、相手にどのような印象を与えているかを客観的に評価してフィードバックする機能も追加する予定だ。この他、1on1開始時と終了時で、部下の活気スコアが増えているかなどを分析し、ポジティブな方向に導けているかをフィードバックする機能なども加えていくという。なお、この2つの機能の実装時期は現時点で未定となっている。

カテゴリー:HRテック
タグ:EDGEMBO日本資金調達買収

画像クレジット:EDGE

消費者直販スタートアップを支援するBrandProjectが約46.5億円を調達して新ファンドを設立

Freshly(Nestléに買収された)、Persona(Nestléに買収された)、Chef’s Plate(Hello Freshに買収された)など、消費者直販型のスタートアップ企業を支援してきたBrandProject(ブランドプロジェクト)が、同社によれば初の伝統的なベンチャーファンドになるという4300万ドル(約46億5000万円)の調達を発表した。

BrandProjectは、Virgin Mobile Canada(ヴァージン・モバイル・カナダ)の共同設立者であり、LEGO Americas(レゴ・アメリカズ)の社長を務めたAndrew Black(アンドリュー・ブラック)氏によって設立され、BrandProject Studio(ブランドプロジェクト・スタジオ)と連携した1200万ドル(約13億円)のファンドから投資を行ってきた。だが、資金は同社が提供するもののほんの一部に過ぎない。BrandProjectの8人のチームメンバーのうち6人はスタートアップ企業のサポートに専念しており、事実上のCTO、CFO、CMOを務めることも少なくないからだ。ちなみに、前述のFreshlyとPersonaはNestlé(ネスレ)に、Chef’s PlateはHello Fresh(ハロー・フレッシュ)に買収されている。

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新たに設立されたBrandProject Capital(ブランドプロジェクト・キャピタル)ファンドによって、同社はより(ある程度)成熟した企業に、より大きな投資を行うことができるようになる。ブラック氏は、この新しいファンドが100万ドル(約1億800万円)から300万ドル(約3億2400万円)の小切手を発行することになると予想している。目標は案件の半分を新規投資に、残りの半分をBrandProject Studioのスタートアップ企業へのフォローオン投資にすることだ。

「BrandProject StudioでもCapitalでも、同じようなタイプのビジネスをサポートしていきますが、Studioでは、私たちにとって早すぎるということはありません。私たちは何よりチームを重視します」と、パートナーのHayden Williams(ハイデン・ウィリアムズ)氏は述べている。「しかし、Capitalの案件であれば、たとえ小規模であっても、何かがうまくいっているという証拠を探すことになるでしょう」。

その対象は引き続き、消費者直販ブランドが中心となる。新型コロナウイルスの影響で、eコマースは膨大に拡大しているが、BrandProjectの戦略は変わらないと、ブラック氏はいう。

画像クレジット:BrandProject

「新型コロナウイルスのために投資対象を調整したことはありません」と、同氏はいう。「私たちは常に、世界が必要としていると思われるカテゴリー、ブランド、セグメントに投資してきました」。

新しいファンドに投資したリミテッドパートナーの1人は、おそらくBrandProjectがこれまで支援した企業で最も成功を収めたFreshlyの共同設立者でCEOを務めるMichael Wystrach氏(マイケル・ウィストラック)氏だ。自身が起ち上げた健康的な食事を提供するスタートアップをネスレに15億ドル(約1620億円)で売却したウィストラック氏は、BrandProjectのことをTechCrunchで読み、同社を調べた後、ニューヨークにいるパートナーのJay Bhatti(ジェイ・バッティ)氏に、いきなり食事を送ったことを回想した。

その時点では、Freshlyは友人や家族からしか資金を調達しておらず「誰からでも小切手を受け取っていた」とウィストラック氏は認めている。しかし、バッティ氏が料理を気に入り、同社が投資を決めてくれたことは幸運だったと述懐する。ブラック氏はFreshlyの暫定的な共同CEOとなり、バッティ氏は暫定的なCTO、そしてパートナーのAndrew Bridge(アンドリュー・ブリッジ)氏は暫定的なCMOを務めた。

「私がBrandProjectで好感持ったところは、我々のところにやって来てビジネスにああしろこうしろと口出ししなかったことです」と、ウィストラック氏は続けた。「『これをやるべきだ』と言われることはありませんでした。それは私たちのビジネスであり、彼らは私たちがビジネスを構築するのを支援するチームメンバーだったのです」。

新しいファンドの背景にある考え方を説明するために、ウィストラック氏は投資のエコシステムを米国の学校に例えた。「アンドリューとチームが入って来るところは幼稚園から小学校で、とても手がかかります。新しいファンドでは、おそらく中学校になるでしょう」。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:BrandProjecteコマース資金調達ベンチャーファンドFreshly

画像クレジット:BrandProject

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMが高性能なリチウム金属バッテリー開発SESの約150億円資金調達をリード

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、リチウム金属電池デベロッパーSESの1億3900万ドル(約150億円)の資金調達をリードすることで、大手車メーカーが繰り広げているさらに高性能な電気自動車向けバッテリーの開発競争に加わる。

VolkswagenにはQuantumScapeがあり、FordはSolidPowerに投資し(Hyundai、BMWとともに)、そして今、米国と欧州で最も大きな自動車メーカーであるGMがSESに賭ける。

「当社はR&D開発を超えています」とSESのCEOであるHu Qichao(フー・チーチャオ)氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。「この資金調達の主な目的は1つには主要材料である陽極と陰極のリチウム金属電解液の改良を図ることです。2つめに、現在のセルの大きさをiPhoneのバッテリーサイズから車で使えるものへと改善することです」。

そして3つめの要素もあるとフー氏は話した。それは、同社のセルのパフォーマンスを監視・管理するアルゴリズムの能力を高めることだ。「これは当社、そしてOEMパートナーが気にかけていることです」とフー氏は説明した。

GMからの投資は、GMとの6年近くにわたる協業の集大成だと同氏は述べた。「当社は2015年にGMとの協業を始めました。今後3年間で我々は標準の自動化承認プロセスに取り組みます。『Dサンプル』を通じて『A』サンプルから『B』サンプルへと移行するものです」。SESの車載バッテリーの商業化前の最終テスト段階だ。

一方、米国のEV販売で首位を走るTeslaはバッテリーをよりパワフルで効率的なものにするためにバッテリーのフォームファクターに目を向けていて、使っている化学はさほど違わないとフー氏は話した。全固体電池は、バッテリーをよりパワフルでリサイクルしやすく、潜在的に一層安定したものにするバッテリーテクノロジーにおける段階的な変化を示している。

Mark Harris(マーク・ハリス)氏は2021年初めにTechCrunchで次のように述べている

多くの種のSSB(全固体電池)がありますが、 それらはすべてバッテリーの陽極と陰極の間で動く電子(電気)のための液体電解質を欠いています。リチウムイオンバッテリーの液体電解質は電極の構成物質、バッテリーの形やサイズを制限します。液体電解質は通常は可燃性であるため、リチウムイオンバッテリーは熱で暴走しやすく、爆発さえします。SSBはさほど可燃性ではなく、より多くのエネルギーをためて早く動かすために、金属電極や複雑な内部デザインを使うことができます。これにより高パワー、そして急速充電対応となります。

SESの取り組みは、GMからだけではなくバッテリーパック大手SK Innovation、シンガポール拠点の政府系投資会社Temasek、半導体メーカーApplied Materialsのベンチャーキャピタル部門Applied Ventures、中国大手自動車メーカーShanghai Auto、投資会社Vertexなど以前の投資家の注意も引きつけた。

「GMは急速にバッテリーセルのコストを下げ、エネルギー密度を改善しています。SESのテクノロジーとの取り組みは、低コストで走行距離を延ばしたい顧客により良いEVパフォーマンスを提供する、驚くほどの潜在的可能性を秘めています。GMや他企業による今回の投資によってSESは取り組みを加速させ、事業を拡大することができます」とGMエグゼクティブバイスプレジデントでGM Venturesのテクノロジー担当最高責任者兼プレジデントのMatt Tsien(マット・ツィン)氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:General MotorsSES資金調達バッテリー電気自動車

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

テック大手のクローンが続々登場しようとする中、Clubhouseが4326億円の評価額で調達額非公開のシリーズCラウンド実施

話題のソーシャルオーディオアプリClubhouse(クラブハウス)が、評価額40億ドル(約4326億円)と伝えられるシリーズCの資金調達を行った。Clubhouseによれば、今回の新ラウンドは、Andreessen HorowitzのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏が主導しDST Global、Tiger Global、Elad Gilが参加したという。今回のラウンドが意味するのは、Andreessen HorowitzがシリーズBの資金調達を主導した2021年1月の時点と比較して、Clubhouseの評価額が3倍になったということだ。

今回の資金調達はTwitter(ツイッター)、Spotify(スポティファイ)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、Discord(ディスコード)、そしてLinkedInなどがみなClubhouse同様のライブオーディオストリーミングルーム機能を準備している中で行われた。こうした機能は、Elon Musk(イーロン・マスク)氏やMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏などのライブチャットを開催して注目を集めてきた。実際、Vox(ボックス)は、Facebookが一連の「ソーシャルオーディオ」製品を発表する予定だと報じたばかりだ

しかし、今回のような後期資金調達としては珍しく、Clubhouseは調達額を明らかにしていない。業界関係者によると、このシリーズCの資金調達ラウンドは「マルチステージ」であるため、公式には終了していないからではないかといわれている。あるいは「ホット」なスタートアップ企業によく見られるように、売り込みに向けて会社を「誇大宣伝」しているのかもしれない。Bloombergによると、Twitter社、40億ドル(約4326億円)の評価額でClubhouseを買収する交渉を打ち切ったと報じられている。

今回の資金調達ラウンドは、今週発表されるFacebookのClubhouseクローンに合わせて行われたように見えるものの、ある有力な情報筋によれば「今回の資金調達ラウンドは、この1カ月月半にわたって行われていた」そうで、40億ドルの評価額の「2倍以上」のオファーもあったという。言い換えれば、クラブハウスに80億ドル(約8653億6000万円)以上の価値があると考える投資家が存在するということだ。

これまでのところ、Clubhouseはこのような話題について肯定しておらず、メディアへの直接のコメントも拒んでいる。同社は、米国時間4月18日日曜日の夜に行われた毎週恒例の「タウンホール」チャットの中で、今回の資金調達に関するニュースを公開し、ブログ記事の中では、今回の資金調達がアプリの新たな成長を支えるものであると述べている。

ブログ記事には「2021年、チームの規模を4倍にし、インフラを安定させ、クリエイターの収益化を支援するPayment(ペイメント)のベータ版を開始し、Androidのローンチに向けて準備を進めてきましたが、世界中のより多くの人々にClubhouseを届けるためには、まだまだやるべきことがたくさんあります。この数カ月間、私たちのサーバーが少々苦戦していたことや、当社の小さなチームが最初に構築した初期の発見アルゴリズムを当社の成長が上回っていたことは秘密ではありません」と書かれている。

また「コミュニティに投資し、多様な背景と声を代表する人々と一緒に、こうしたことすべてを構築することが重要なのです」とも述べているが、ここ数日の間に反ユダヤ主義的なオーディオルームがプラットフォーム上で急増した、という問題に悩まされている。これまでClubhouseは、そのアプリ上で過激行動を抑制することができないように見えることを批判されてきた。

週間のアクティブユーザー数が1000万人に達している、誕生1年を迎えたこのプラットフォームは、人々が隔離され、直接会って会話することが難しいパンデミックの中で成長してきた。

米国時間4月16日金曜日に、Clubhouseの調達の詳細を初めて報じたのはテック系ニュースサイトのThe Informationだった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Clubhouse資金調達Andreessen HorowitzTiger Global音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

データ活用支援のDATAFLUCTが3億円調達、スタートアップスタジオモデルで2年後の上場目指す

「多くの企業は、データを会社の中で腐らせてしまっています」。そう話すのは、データサイエンスビジネスを展開するDATAFLUCT(データフラクト)CEOの久米村隼人氏だ。同社は2021年4月20日、東京大学エッジキャピタルパートナーズよりシリーズAで3億円の資金調達を行ったと発表した。

埋もれているデータに「価値」を与える

DATAFLUCTは、企業がもつデータを最大限に活用するためのさまざまなサービスを提供している。企業に「埋もれているデータ」と、同社が保有する外部データや機械学習アルゴリズムを組み合わせることで、新しいインサイトを創造する。

同社が提供するサービスの1つは、大型スーパーの新規出店候補地を探すサポートだ。これは、クライアントであるスーパーの過去の出店履歴や売上データなどを取得し、立地条件を当てはめるという手法をとる。例えば、駅からの距離・フロアの面積・周辺エリアの人流・近隣にある学校や企業など、200から300ポイントにおよぶデータをAIに学習させる。これにより「○○の条件下では売上は○○」といった推測を行い、新規出店の場所を決定していく。

画像クレジット:DATAFLUCT

久米村氏は「もちろん、実際に出店してみないことには正確な売上げはわかりません。例えば、周辺に橋があると人の流れが大きく変わったり、ライバル店の商圏に影響されたりなど、科学できない部分はある。でも私達が大切にしているのは、『ダメな選択肢を削る』ということです。仮に毎月100件の物件を検討するときに、そもそも商機がないところをあらかじめ除外できるサービスは、企業にとって非常に大きいインパクトをもたらします」という。

同社の事業領域は、不動産にとどとどまらない。メディア企業向けに「さまざまな媒体での広告出稿の効果」をクリック1つでビジュアル化するツール。食品メーカー向けに「油を変える最適なタイミング」を示すツール。物流会社向けには「最も効率よく配送を完了できる道順」を示すツールなど、多岐にわたる業界にDXソリューションを提供している。

同時多発的にプロダクトをローンチ

しかし「データを活用したDXソリューション」は、DATAFLUCTが展開する事業のほんの一部にすぎない。同社は創業から約18カ月間でモビリティ、スマートシティ、EdTech、スマートグリッド関連など13プロダクト(SaaS)を矢継ぎ早にローンチ。これは、同社が各ユニットに独立採算制を採用するスタートアップスタジオだからこそ実現した。一方で「JAXA認定ベンチャー」としての顔も持ち、衛星データ解析を活用したSDGs事業を意欲的に行う。久米村氏自身も「うちは常識から逸脱していることが多すぎて、VCにも理解されにくい」と苦笑いだ。

それにしても「なぜさまざまな業界に同時に参入する必要があるのか?」と思われる読者がいるかもしれない。久米村氏はこう説明する。「私達のサービスは、そもそも社会課題を解決するという出発点から始まっています。例えば、食品廃棄ロス問題を解決したいとすると、生産者(農家)、製造業、卸売、スーパーなど、サプライチェーン上のすべての課題を解決する必要がある。私達は、これらをデータで統合することで解決に導きたいと考えています。例えば、衛星データを活用した野菜の収穫支援から、店舗での需要予測アルゴリズム、ダイナミックプライシングの導入まで、包括的にデータを活用することでサプライチェーンの効率化を実現したい。そのために、これまで同時多発的にプロダクトをローンチし、全領域を攻めてきました」。

データ活用を通じて社会の変革を目指す

DATAFLUCTのCEOである久米村氏は、これまでベネッセコーポレーション、リクルートマーケティングパートナーズ、日本経済新聞社などを渡り歩き、データ分析を活用した新規事業開発を主にてがけてきた。「私自身、DXコンサルで約70業界に携わり、立ち上げた新規事業は30を超えます。物流のことを聞かれてもおおよそわかるし、ヘルスケアのことを聞かれてもおおよそわかる。顧客が言ったことに対して、すぐに打ち返せるパワーが強みだと思っています」。

独立のきっかけは、同氏が会社員時代に持っていた不満だった。「ハッキリいうと、コンサル会社に金を払いすぎていると思ったのです。彼らの働きを見て『自分だったらもっとうまくできるのではないか』と」。それでも独立後は、新型コロナウイルスの影響により、リアル店舗を対象とした初期のプロダクトから一時撤退を余儀なくされた。しかし、データ活用のニーズを持つ多様な業種の企業から声がかかり、DXソリューションの提供へとピボットしていくうちに事業が軌道に乗った。

今回調達した3億円の主な使途は人材採用だ。久米村氏は「2年後の上場を目指しています。でも2年だとできることは少ない。お金稼ぎはできるかもしれないが、社会の変革はできない。5年先、10年先にはじめてDATAFLUCTの価値がでてくるのかな、と考えています」と話す。

「21世紀の石油」ともいわれるデータ。もし今後、多くの企業が社内に眠ったままだったデータの価値を掘り起こすことができるようになれば、DATAFLUCTが目指す社会課題の解決も夢物語ではなくなるだろう。

関連記事:DATAFLUCTがビッグデータを活用した青果物サプライチェーンの垂直統合・DXを支援するサービスを開始

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:DATAFLUCTデータサイエンス東京大学エッジキャピタルパートナーズ資金調達DX日本

画像クレジット:DATAFLUCT

約152兆円の購買力にも関わらず十分にサービスを享受できていない米国黒人対象のデジタルバンクFirst Boulevardが約5.4億円調達

2020年5月にGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が殺害された事件は、米国で多くのことに火を付けた。そのうちの1つは、黒人コミュニティを対象としたデジタルバンクの増加である。これは恐らく予想外の出来事だろう。

黒人コミュニティに属する一部の人たちが、大手銀行は自分たちのニーズを満たしていないという考えを持つようになり、それをスタートアップのコンセプトにした。

そうしたスタートアップの1つFirst Boulevard(ファースト・ブールバード)(旧Tenth)は、Barclays(バークレイズ)、Anthemis(アンテミス)や、女優のGabrielle Union(ガブリエル・ユニオン)氏、Union Square Ventures(ユニオンスクエアベンチャーズ)のJohn Buttrick(ジョン・バトリック)氏、AutoZone(オートゾーン)のCFOであるJamere Jackson(ジャミア・ジャクソン)氏といったエンジェル投資家のグループから500万ドル(約5億4000万円)のシード資金を調達したところだ。

共同創業者兼CEOのDonald Hawkins(ドナルド・ホーキンス)氏が、カンザス州オーバーランドパークに銀行を創設したきっかけは、フロイド氏が殺害された後、友人のAsya Bradley(アシア・ブラッドリー)氏と、真の解決策が見えないまま同じ問題が繰り返されるという「悪循環から米国黒人が抜け出すために本当に必要なこと」は何かについて話し合ったことだった。

「フロイド氏の悲劇が黒人コミュニティを飲み込み、根深い問題に対してこれまでと変わらない抗議活動が起こるのを目の当たりにしてから、米国黒人が必要とする解決策は、財政面を重視したものであり、黒人コミュニティの中で生み出される必要があることがはっきりとわかりました」とホーキンス氏は述べた。

両氏にはフィンテックの経験がある。ホーキンス氏は、地方銀行や信用組合にリアルタイムな情報を状況に応じて提供することに重点を置く企業Griffin Technologies(グリフィン・テクノロジー)を設立した。そしてブラッドリー氏は、直近では、Synapse(シナプス)の創立チームメンバーであり収益責任者も務めていた。シナプスは、フィンテックプラットフォームを銀行機関に接続することで米国の非銀行利用者層に銀行サービスを提供できるようにする、Banking-as-a-Service(BaaS)APIを構築したプラットフォームである。

両氏は、米国にある黒人向けの銀行は19行ほどしかなく、保有している資産は合わせて約50億ドル(約5400億円)であることを発見した。

「そうした銀行のテクノロジーは間違いなく時代遅れなものでした」とホーキンス氏はいう。「私たちは既存のデジタルバンクのいくつかを詳しく調べ、米国黒人が求めているような方法でデジタルバンクを運営している人物を見つけ出そうとしました。そしてその時点で、蓄財活動という形である程度の財政安定を築けるように米国黒人をサポートするという課題に本気で取り組もうとしている人は誰もいない、ということがはっきりわかったのです」。

ホーキンス氏とブラッドリー氏は2020年8月First Boulevardを設立した。両氏は、米国黒人について年間1兆4000億ドル(約152兆円)の購買力を持つにもかかわらず、金融商品や金融サービスを「十分に享受していない消費者」だと考えている。このスタートアップの使命は、デジタルネイティブのプラットフォームを通じて「自分たちの財政状態を管理し、資産を築き、黒人経済に再投資する」力を米国黒人に与えることだ。First Boulevardは現在、サービスの提供開始を待っている利用希望者10万人を抱えており、第3四半期中にローンチする予定である。

新しい資本金の使用目的には、黒人ビジネスのマーケットプレイスの構築が含まれている。このマーケットプレイスでは、会員がCash Back for Buying Blackを利用できる。またチームの拡大、顧客基盤の拡大、手数料無料のデビットカードを提供するためのプラットフォームの開発、金融教育、会員の貯蓄や資産形成を自動化するためのテクノロジーの開発にも、資本金が使われる予定だ。

「不公平な扱いを受けたコミュニティは、その資産を集約することにより困難を打破できることが、歴史によって証明されています。黒人コミュニティの金融サービスに関して言えば、そうした資産を集約する力が長い間待ち望まれていました」とホーキンス氏は述べた。

First BoulevardのCash Back for Buying Blackプログラムでは、会員が黒人経営の企業でお金を使ったときに最大15%のキャッシュバックを得ることができる。

「最新の統計では、新型コロナウイルス感染症が流行してから、41%の黒人経営の企業が廃業していると考えられます」とホーキンス氏は述べた。「私たちは彼らをできる限りサポートしたいのです」。

First Boulevardは、受動的に資産を築ける方法を黒人コミュニティに提供することにも力を入れている。

「米国黒人は全般にお金の仕組みを学ぶことができませんでした。私たちは、マネーマーケットアカウントなどのマクロ投資、高金利の貯蓄、暗号資産といった資産を築くための手法、つまり米国黒人が今まで締め出されてきたことに会員を結び付けたいと思っています」とホーキンス氏は述べた。

First BoulevardのCOOを務めるブラッドリー氏は、現在の金融業界は黒人のニーズを満たすように作られていないと考えている。同社の目標は、黒人コミュニティ特有のニーズを理解し、賃金の早期獲得、切り上げ貯蓄機能、対象を絞った金融教育、予算管理ツールなどを提供することである。

ホーキンス氏とブラッドリー氏は、同社がサービスを提供しようとしているコミュニティを象徴する「真にインクルーシブな」チームを持つことを目指している。現在、20名のスタッフの60%が黒人、85%がBIPOC(白人以外の人たちを指す)である。そして首脳部の3分の2が女性で、その全員がBIPOCだ。同社は年末までにスタッフを50名に増やす予定である。

「フィンテックの世界においては、リーダーシップの観点から見ると、この数字は普通ではありません。それを考えると、非常に誇らしい気持ちです」とブラッドリー氏は述べた。

バークレイズとアンセミスが開始したFemale Innovators Lab(フィーメール・イノベーター・ラボ)の投資家であるKatie Palencsar(ケイティ・パレンツァー)氏は、同氏の会社が「デジタル革新が進んでいるにもかかわらず、人々の間では金融サービスへのアクセスが長い間課題になっている」ことを常に認識していると述べた。

「このことは特に、金融サービスが乏しい地域に住むことが多く、自分たちにサービスを提供してくれるプラットフォームを見つけるのに苦労している米国黒人に当てはまります」と同氏は言った。「First Boulevardはこの課題を深く理解しています」。

パレンツァー氏は、米国黒人が銀行を利用するだけでなく、実際に資産を築けるように支援するというFirst Boulevardの使命は、この市場では類まれなものだと信じている。

「First Boulevardは、米国内で拡大し続ける貧富の格差を認識しており、米国黒人やその仲間が自分たちのコミュニティに投資できるよう支援しながら、こうした人々が直面している制度上・構造上の課題に対処するデジタル・バンキング・プラットフォームを構築したいと考えています」と同氏は述べた。

同社は最近、Visaとの提携も発表し、Visaの新しい暗号資産APIスイートを他社に先駆けて試験運用することになった。またFirst BoulevardのVisaデビットカードもリリースする予定だ。

First Boulevardは、ここ数カ月間に登場した米国黒人向けのデジタルバンクの1つである。黒人や褐色人種のコミュニティ向けデジタルバンクPaybby(ペイビー)は最近、AIと生体認証技術を利用してユーザーにパーソナライズされたサービスを提供するネオバンクのWicket(ウィケット)を買収した。ペイビーのCEO兼創設者であるHassan Miah(ハッサン・マイア)氏は、同行の目標は「黒人および褐色人種コミュニティを対象とした、一流のスマートなデジタルバンク」になることだと語った。

ペイビーは、銀行口座と、PPP融資を迅速化する方法を提供することから始め、間もなく黒人および褐色人種コミュニティ向けの暗号資産口座を追加する予定だ。

「黒人の購買力は2024年までに1.8兆ドル(約195兆円)に成長すると予測されています」とマイア氏は述べている。「褐色人種の購買力は2兆ドル(約216兆円)を超えています。ペイビーはこの数兆ドル規模の市場のかなりの部分を獲得し、これらのコミュニティに収益を還元したいと考えています」。

2020年10月、Greenwood(グリーンウッド)は、同社がいうところの「黒人およびラテン系の人々や企業経営者のための初のデジタル・バンキング・プラットフォーム」を構築するために、個人投資家から300万ドル(約3億2000万円)のシード資金を調達した。

その時、Bounce TV(バウンスTV)ネットワークの創業者であり、グリーンウッドの共同創業者Ryan Glover(ライアン・グローバー)氏は「従来の銀行が黒人やラテン系のコミュニティの役に立っていないことは周知の事実だった」と述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:First Boulevardマイノリティ資金調達デジタルバンクアメリカ

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

運送業向けクラウドのhacobuが9.4億円調達、物流業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

運送業支援クラウドのhacobuが9.4億円調達、物流業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

「運ぶを最適化する」をミッションとして、企業間物流の最適化を目指すHacobu(ハコブ)は4月19日、第三者割当増資による総額約9億4000万円の資金調達を発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合、NREGイノベーション1号投資事業有限責任組合(野村不動産グループ)、豊田通商、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(セイノーホールディングスをアンカーLPとするSector-Focused Fund)、SMBC社会課題解決投資事業有限責任組合、ダイワロジテック(大和ハウスグループ。既存株主)、三井不動産(既存株主)。

これを機にHacobuは、社会課題解決に賛同するステークホルダーとのパートナーシップ強化とともに、アプリケーションの開発・販売にかかる人員の増強、物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員の増強、また物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制の立ち上げ・運用などの施策を推進し、物流ビッグデータ活用に向けた体制を強化する。

外部専門家で構成する物流ビッグデータ・ガバナンス委員会では、委員長として國領二郎氏(慶應義塾常任理事、慶應義塾大学総合政策学部教授政策・メディア研究科委員 経営学博士)、委員として岩田彰一郎氏(フォース・マーケティングアンドマネージメント代表取締役社長CEO)、水越尚子氏(レフトライト国際法律事務所 弁護士)が就任する。

また資金調達と同時に、野村不動産および豊田通商と、物流業界における公正なビッグデータ活用を通じた社会課題解決と相互の事業発展を目的として、業務提携契約を締結した。野村不動産とは物流施設とそれに関わるサービスを活用したオープンイノベーションの推進、豊田通商とは、物流業界が抱える課題解決やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、自動車業界を中心とした物流およびサプライチェーンにおけるビックデータの活用と最適化の実践を中心的な取り組む。

資金使途:物流ビッグデータ活用に向けた体制強化

  • アプリケーションの開発・販売にかかる人員の増強:企業間(発着荷主、物流企業、運送会社)のやり取りや物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション群「MOVO」(ムーボ)の機能増強、物流業界向け他社サービスとのAPI連携によるプラットフォームとしての成長の加速、新アプリケーション開発推進に向けたエンジニア・デザイナー・プロダクトオーナーの採用を加速。また、顧客の物流DX推進パートナーとなるセールス・カスタマーサクセス・マーケティング・企画系職種の採用を加速
  • 物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員の増強:Hacobuでは、MOVOに蓄積された物流ビッグデータを分析・活用し、業務効率化の提案を複数企業に対し展開。抜本的な物流コストの削減や現場の生産性向上につながる示唆を顧客に提供している。この取り組みをけん引するHacobu Strategies(コンサルティングサービス)の物流DXコンサルタント・データエンジニア・データアナリストの採用を加速する
  • 物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制の立ち上げ・運用:サプライチェーン全体の最適化の実現に向けて、個社の枠を越え、公正性・客観性を確保しつつ物流ビッグデータの活用を進めるために、外部専門家で構成する物流ビッグデータ・ガバナンス委員会を設置する。第三者の視点や意見を取り入れ、物流ビッグデータ活用に関するガイドラインを策定、運用する体制を構築する

現在物流業界は、トラックドライバーの人手不足に陥っている一方で、企業間のやり取りが電話やFAX、紙帳票などの非効率なツールが中心になっており、DXによる業務の効率化が急務となっている。

これに対してHacobuは、物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション群MOVOを提供することで、事業者・業界の垣根を超えた「モノと車両と場所」にかかわる物流情報をビッグデータとして蓄積し、物流全体が最適化された持続可能な社会を目指すという。

MOVOでは、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」(ムーボ・バース)、動態管理サービス「MOVO Fleet」(ムーボ・フリート)、流通資材モニタリングサービス「MOVO Seek」(ムーボ・シーク)、配送案件管理サービス「MOVO Vista」(ムーボ・ヴィスタ)の4アプリケーションを提供しており、メーカー、小売、物流企業など、すでに500社以上の企業に導入されているそうだ。

またHacobuによると、MOVOの導入企業の広がりとともに物流ビッグデータの蓄積が進んでおり、この個社の枠を越えた物流ビッグデータを分析・活用し、物流業界に還元することでサプライチェーン全体の最適化を図りたいと考えているという。

同社は、物流の最適化には、個社内に閉じた取り組みだけではなくサプライチェーン内のステークホルダー間での調整が必要で、複数のステークホルダーで議論する際にはデータが不可欠と指摘。Hacobuは、担当者間の属人的なつながりだけに頼るのではなく、データを基盤とした議論によって、業界や会社の枠を超えた物流の協調が進むとした。また、ひとつの会社内でも物流部と他部署が建設的な議論をするために、データがあると本質的な課題の抽出と部署間での連携が行われるとしている。

データがあることで、事実を共有しかつ見つ直し、建設的な解決策を考え、新しいロジスティクスの在り方を考えていく、そのようなロジスティクスの世界を「Data-Driven Logistics」と定義し、Hacobuはその実現に邁進するとしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達(用語)hacobu(企業)ビッグデータ(用語)MOVO(製品・サービス)日本(国・地域)

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZは4月19日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額18億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、味の素、丸紅、ENEOSホールディングスなど事業会社7社との資本業務提携と、三菱UFJキャピタル、農林中央金庫、三井住友海上キャピタルなどの金融投資家9社。累計資本調達額は30億5000万円となった。植物肉スタートアップとしては国内最大の資金調達となる。

シリーズBラウンドの引受先の概要

  • 資本業務提携先(7社):味の素、丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品、ENEOSイノベーションパートナーズ、きちりホールディングス
  • 金融投資家(9社):MSIVC2020V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル)、
    農林中央金庫、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(グローバル・ブレイン)、食の未来1号投資事業有限責任組合(kemuri ventures)、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル、追加投資)、Golden Asia Fund Ⅱ, L.P.(Golden Asia Fund Ventures)、QB第一号投資事業有限責任組合(QBキャピタル、追加投資)、投資事業有限責任組合しんきんの翼(信金キャピタル)、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(グローバル・ブレイン)

シリーズBラウンドにおいて調達した資金は、ミラクルミートの生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化、グローバルでの事業展開、成長を支える人材採用などにあて、さらなる事業基盤の拡充を図る。生産体制の拡大として、工場の増床により2021年6月からミラクルミートは年間4000トンの生産キャパシティとなる予定という。また、DAIZは今後も積極的に大手事業会社との提携を進める予定としている。

また味の素、ニチレイフーズとは、ミラクルミートを原料とした家庭用・業務用商品の共同開発を行う。丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品とは、商社のネットワークを通じてミラクルミートの国内外への販路拡大を推進する。

CO2排出削減に資する事業の創出を目指すENEOSホールディングスとは、従来の食肉や脱脂大豆由来の植物肉と比べて環境負荷が小さいミラクルミートの普及を通じ、低炭素社会の実現を目指す。

DAIZは、2019年12月より本格的に植物肉「ミラクルミート」の事業を展開。この1年余りでは、大手のハンバーガーチェーンやスーパーマーケット、食品メーカー、飲食店において「ミラクルミート」の採用が進んでいる。フレッシュネスバーガーなどのハンバーガーチェーンを通じて、おいしい植物肉メニューを気軽に食べられるようになり、イオンやライフなどのスーパーマーケットでの発売やニチレイフーズブランドの商品にも導入されている。

植物肉スタートアップのDAIZが18.5億円をシリーズB調達、国内生産体制強化と海外市場早期参入を目指す

DAIZの発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」

これまでの植物肉に使用されてきた主原料は大豆搾油後の残渣物(脱脂加工大豆)であったため、「味と食感に残る違和感」「大豆特有の青臭さや油臭さ」「肉に見劣りする機能性(栄養価)」といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていたという。

これに対してDAIZの植物肉は、原料に丸大豆を採用。オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みをなくし、異風味を低減した。また独自の発芽技術によって、これまでの課題を解決する植物肉の開発に成功している。

また、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」(特許第5722518号)で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大。発芽大豆は、水を加えながら高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌などを行うエクストルーダー(押出成形機)にかけ、膨化成形技術により肉のような弾力・食感を再現している。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉(ミラクルミート)を製造しているという。

発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があるとしている。

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カテゴリー:フードテック
タグ:SDGs(用語)資金調達(用語)食品(用語)DAIZ(企業)代替肉 / 植物由来肉(用語)日本(国・地域)

Amazon Alexaの頭脳構築に貢献したチームを擁する住宅関連サービスのHomeXが約98億円調達

家の所有者とサービスプロバイダー向けのホームサービスプラットフォームを提供するHomeXは、このたびNew Mountain Capital(ニューマウンテンキャピタル)が主導する資金調達ラウンドで9000万ドル(約98億円)を調達した。

ニューヨークを拠点とするNew Mountain Capitalは、300億ドル(約3兆2600億円)以上の資産を運用する投資会社で、今回のラウンドでは、同社の幹部と一緒に投資を行った唯一の機関投資家である。HomeXは、2019年の5000万ドル(約54億円)超の負債による資金調達まで、外部からの投資を受けずに運営されていた。

HomeXはシカゴを拠点として2017年に設立された。業者と住宅所有者をバーチャルおよび対面でマッチングして、住宅関連サービスを「根本的に改善」することを目指している。また、ソフトウェアを構築し、請負業者が需要を「より効率的に」掘り起こし、管理できるようにすることを目的としたサービスも提供している。

注目すべきは、HomeXの共同創業者の1人であるCTOのSimon Weaver(サイモン・ウィーバー)氏をはじめとする複数のチームメンバーが、Evi(イービー)の開発チームに在籍していたことだ。Eviは2012年にAmazonに買収されたスタートアップで、アプリを介して自然言語でコミュニケーションできるAIプログラムを開発。その技術は実質的に、アマゾンの仮想アシスタント「Alexa」の頭脳となっている。

HomeXは、人工知能を活用し、業者が家に出向く前に住宅の不具合をバーチャルで診断し、事前に必要な機材を準備するなど問題をより早く解決できるようにして、顧客のエクスペリエンス向上につなげることを目的としている。

同社の共同創業者で社長のVincent Payen(ヴィンセント・ペイヤン)氏は次のように話す。「私たちは、機械が生成したコンテンツを使用して、住宅所有者の問題に応じたソリューションを作成しています。機械を使って不具合や質問を理解し、実際に診断や提案、解決策を導き出すことは、AIが絶対的に優れているところであり、3年前、5年前には不可能だったことが可能になっています」。

5000億ドル(約54兆円)規模のサービス業界で長年勤務していた創業者でCEOのMichael Werner(マイケル・ワーナー)氏は、住宅関連サービスがいかに断片的であるかを認識していた。特に特定の市場では「需要が非常に高いのに、その仕事をする業者が足りないという不均衡、とんでもない労働力不足がある」と話す(彼の家族はWerner Ladders(ワーナー・ラダーズ)を設立している)。

HomeX Remote Assist(ホームエックスリモートアシスト)は、バーチャル(電話や動画、チャットなど)で住宅所有者とHomeXのライセンスを持つ技術者をマッチングし、住宅の一般的な不具合を診断・修理する。ワーナー氏によると、このビジネス部門は1年足らずで400%以上の成長を遂げ、2020年、同社はプラットフォーム上の請負業者の数を「約5倍」に増やした。収益の数字は明らかにしていない。

画像クレジット:HomeX

「私たちは住宅所有者が家のメンテナンスにかける手間を軽減しています」とワーナー氏。「それと同時に、私たちは請負業者の成功を支援したいと考えています。遠隔医療で医療の提供方法が変化したように、HomeX Remote Assistは住宅のメンテナンスサービスの在り方を変えようとしています」。

HomeXのビジネスではB2Bサービスの分野も急速に成長している。住宅保証会社や保険会社は、リモートサービスを「より効率的なビジネスのための付加価値」と考えているとペイヤン氏は指摘する。

「現在、資本金の一部を使って、パイロットプログラムやさまざまなビジネス開発に取り組んでいます」とペイヤン氏は話す。

ワーナー氏によると、今のところ会社全体では赤字だが、サービス面では利益が出ているとのこと。同社は過去12カ月間だけでも、バーチャルと対面でのやり取りで構成されたプラットフォームで「何十万」もの顧客にサービスを提供してきた。

New Mountain CapitalのマネージングディレクターであるHarris Kealey(ハリス・キーリー)氏は、書面による声明で、HomeXは住宅・商業サービス業界を再構築することができるだろうとしている。

同氏は「この市場は巨大で、変化と革新の必要性は相当なもの」という。

この分野では、最近Thumbtack(サムタック)が動画による住宅診断サービスを開始している。Thumbtackは、改修や修繕などのサービスを地元の業者に依頼できるマーケットプレイスで、2020年12月には、スタートアップのSetter(セッター)買収した。Setterは専門家による動画での住宅診断サービスを提供し、不具合の改善方法を個別に提案していた。

Thumbtackは、主要市場で取引が激減し、2020年3月末に250名の従業員を解雇した。しかしその後、CEOのMarco Zappacosta(マルコ・ザッパコスタ)氏はTechCrunchに対し「住宅に再び焦点を当て、デジタル導入を加速させる」と語っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:HomeX住宅不動産資金調達

画像クレジット:DrAfter123 / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

血液ゲノム解析でがん再発を早期発見するソフトウェア開発のC2i Genomicsが108億円調達

もしあなた自身、あるいはあなたの愛する人ががん治療の一環で腫瘍摘出の手術を受けたことがあるのなら、その後にくる不安定な時期と不安な気持ちを知っているだろう。がんは再発するだろうか、再発するとしたら医師は初期段階で気づくだろうか。C2i Genomicsは残存病変(がん治療後に残存するごくわずかながん細胞)の感知で100倍敏感なソフトウェアを開発し、投資家らはそのポテンシャルに飛びついている。C2iは米国時間4月15日、Casdin Capitalがリードした1億ドル(約108億円)のシリーズBラウンドを発表した。

「がん治療の最大の疑問は、『うまくいっているのか』ということです。効果のない治療を受けて副作用に苦しむ患者もいれば、必要な治療を受けていない患者もいます」とC2i Genomicsの共同創業者でCEOのAsaf Zviran(アサフ・ズヴィラン)氏はインタービューで語った。

これまで手術後のがん検知の主なアプローチはMRIやレントゲンだった。しかしどちらの手法もがんがある程度進行するまで精度は高くない。その結果、患者はがんを再発するかもしれないが、医師がとらえられるまで少し時間がかかるかもしれない。

C2iのテクノロジーを使うと、医師はDNAをチェックするための採血であるリキッドバイオプシーをオーダーできる。そこから全ゲノムを解析してC2iのプラットフォームにアップロードできる。そしてソフトウェアが配列を調べてがんの存在を示すかすかなパターンを特定し、がんが成長しているのか、あるいは縮小しているのかを示す。

「C2iは基本的にがんの発見とモニタリングができるソフトウェアをグローバルスケールで提供しています。解析機械を持つあらゆるラボがサンプルを処理してC2iのプラットフォームにアップロードし、患者にがんの発見とモニタリングを提供できます」とズヴィラン氏はTechCrunchに語った。

C2i Genomicsのソリューションは、ズヴィラン博士が、ニューヨークゲノムセンター(NYGC)の職員でワイルコーネル医科大学(WCM)の助教授であるDan Landau(ダン・ランドウ)博士とともにNYGCとWCMで行った研究に基づいている。ランドウ博士はC2iの共同創業者であり、同社の科学諮問委員会のメンバーでもある。研究と発見は医学雑誌Nature Medicineに掲載された。

C2iのプロダクトはまだ米食品医薬品局(FDA)の承認を受けていないが、ニューヨーク大学ランゴーン医療センター、シンガポール国立がん研究所、オーフス大学病院、ローザンヌ大学病院での臨床研究と医薬品開発研究ですでに使われている。

もしFDAに承認されれば、ニューヨーク拠点のC2iは臓器保存の分野も含めてがん治療を大きく変えるポテンシャルを持つ。例えばがん再発を防ぐために機能する膀胱や直腸などの臓器を切除し、不自由になった人もいる。しかし不必要な手術を避けることができるとしたらどうだろうか。それは、ズヴィラン氏と同氏のチームが達成したいと考えている目標だ。

ズヴィラン氏にとって個人的な事情もある。

「私はがんや生物学とはかけ離れたところでキャリアをスタートさせました。そして28歳のときにがんと診断され、手術と放射線治療を受けました。私の父、そして義理の両親もがんに罹り、亡くなりました」と同氏は話した。

分子生物学で博士号を持つ同氏は以前イスラエル国防軍といくつかの民間企業でエンジニアとして働いた。「エンジニアとして自身の経験をみると、患者と医師の両サイドの不確実さは私をかなり不安にさせるものでした」と述べた。

今回調達した資金は、C2-Intelligence Platformの臨床開発と商業化の加速に使う。本ラウンドに参加した他の投資家にはNFX、デュケーヌ家のファミリーオフィス、シンガポールのSection 32、iGlobe Partners、Driehaus Capitalが含まれる。

カテゴリー:バイオテック
タグ:C2i Genomicsがん医療資金調達

画像クレジット:C2i Genomics

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nariko Mizoguchi