血液ゲノム解析でがん再発を早期発見するソフトウェア開発のC2i Genomicsが108億円調達

もしあなた自身、あるいはあなたの愛する人ががん治療の一環で腫瘍摘出の手術を受けたことがあるのなら、その後にくる不安定な時期と不安な気持ちを知っているだろう。がんは再発するだろうか、再発するとしたら医師は初期段階で気づくだろうか。C2i Genomicsは残存病変(がん治療後に残存するごくわずかながん細胞)の感知で100倍敏感なソフトウェアを開発し、投資家らはそのポテンシャルに飛びついている。C2iは米国時間4月15日、Casdin Capitalがリードした1億ドル(約108億円)のシリーズBラウンドを発表した。

「がん治療の最大の疑問は、『うまくいっているのか』ということです。効果のない治療を受けて副作用に苦しむ患者もいれば、必要な治療を受けていない患者もいます」とC2i Genomicsの共同創業者でCEOのAsaf Zviran(アサフ・ズヴィラン)氏はインタービューで語った。

これまで手術後のがん検知の主なアプローチはMRIやレントゲンだった。しかしどちらの手法もがんがある程度進行するまで精度は高くない。その結果、患者はがんを再発するかもしれないが、医師がとらえられるまで少し時間がかかるかもしれない。

C2iのテクノロジーを使うと、医師はDNAをチェックするための採血であるリキッドバイオプシーをオーダーできる。そこから全ゲノムを解析してC2iのプラットフォームにアップロードできる。そしてソフトウェアが配列を調べてがんの存在を示すかすかなパターンを特定し、がんが成長しているのか、あるいは縮小しているのかを示す。

「C2iは基本的にがんの発見とモニタリングができるソフトウェアをグローバルスケールで提供しています。解析機械を持つあらゆるラボがサンプルを処理してC2iのプラットフォームにアップロードし、患者にがんの発見とモニタリングを提供できます」とズヴィラン氏はTechCrunchに語った。

C2i Genomicsのソリューションは、ズヴィラン博士が、ニューヨークゲノムセンター(NYGC)の職員でワイルコーネル医科大学(WCM)の助教授であるDan Landau(ダン・ランドウ)博士とともにNYGCとWCMで行った研究に基づいている。ランドウ博士はC2iの共同創業者であり、同社の科学諮問委員会のメンバーでもある。研究と発見は医学雑誌Nature Medicineに掲載された。

C2iのプロダクトはまだ米食品医薬品局(FDA)の承認を受けていないが、ニューヨーク大学ランゴーン医療センター、シンガポール国立がん研究所、オーフス大学病院、ローザンヌ大学病院での臨床研究と医薬品開発研究ですでに使われている。

もしFDAに承認されれば、ニューヨーク拠点のC2iは臓器保存の分野も含めてがん治療を大きく変えるポテンシャルを持つ。例えばがん再発を防ぐために機能する膀胱や直腸などの臓器を切除し、不自由になった人もいる。しかし不必要な手術を避けることができるとしたらどうだろうか。それは、ズヴィラン氏と同氏のチームが達成したいと考えている目標だ。

ズヴィラン氏にとって個人的な事情もある。

「私はがんや生物学とはかけ離れたところでキャリアをスタートさせました。そして28歳のときにがんと診断され、手術と放射線治療を受けました。私の父、そして義理の両親もがんに罹り、亡くなりました」と同氏は話した。

分子生物学で博士号を持つ同氏は以前イスラエル国防軍といくつかの民間企業でエンジニアとして働いた。「エンジニアとして自身の経験をみると、患者と医師の両サイドの不確実さは私をかなり不安にさせるものでした」と述べた。

今回調達した資金は、C2-Intelligence Platformの臨床開発と商業化の加速に使う。本ラウンドに参加した他の投資家にはNFX、デュケーヌ家のファミリーオフィス、シンガポールのSection 32、iGlobe Partners、Driehaus Capitalが含まれる。

カテゴリー:バイオテック
タグ:C2i Genomicsがん医療資金調達

画像クレジット:C2i Genomics

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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