日本でも販売されているスマートグラスのNrealが1年間で約244.2億円を調達

中国のARスタートアップ「Nreal」(エンリアル)が好調だ。軽量で明るいスマートグラスを作ってARの普及を目指す同社はシリーズC拡張ラウンドで6000万ドル(約73億2600万円)を調達し、この1年間で2億ドル(約244億2000万円)の大型調達を果たした。

今回のラウンドを主導したのはAlibaba(アリババ)だ。Alibabaは投資に関しては最大のライバルであるTencent(テンセント)よりも、これまでずっと実用性を重視しつつTencentほど積極的ではなかった。Alibabaは、その巨大な小売エコシステムを補完するピースになり得るスタートアップの経営権に関わる持分を獲得すると言われている。

しかしNrealに対するAlibabaの投資は純粋に資金面でのことだ。理論的には、両者が戦略的なシナジーを生み出す可能性はある。Alibabaが自社のゲームやビデオのストリーミング部門とNrealの協業に乗り出したり、最近音声コントロール付きヘルメットを着用するようになった膨大な数のフードデリバリーのライダー向けにスマートグラスをNrealに開発してもらうことは容易に想像できる。しかし中国では独占禁止法の取り締まりが厳しくなり、中国のテック大手が不公正な競争を助長すると受け取られかねない投資に注意を払うようになっていることは間違いない。

それに、Magic Leap(マジックリープ)の従業員だったChi Xu(徐驰、カイ・シュイ)氏が創業したNrealには、すでに注目すべきパートナーたちがいる。Nrealの戦略的投資家には、中国の新興EV企業のNio(ニーオ)、TikTok(ティックトック)の中国での最大のライバルであるショートビデオアプリのKuaishou(快手)、Baidu(百度)が支援するビデオストリーミングプラットフォームのiQIYI(爱奇艺)などがある。Qualcomm(クアルコム)は投資はしていないが最先端のSnapdragonプロセッサを供給し、開発者エコシステムの構築に関して緊密に連携している。著名な機関投資家であるSequoia Capital China(セコイアキャピタルチャイナ)、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYunfeng Capital(雲鋒基金)、Xiaomi(シャオミ)の創業者Lei Jun(レイ・ジュン)氏のShunwei Capital(順為資本)の他、プライベートエクイティ大手のHillhouse(高瓴資本)、CPE(CPE源峰)、CICC Capital(中金資本)もNrealを支援している。

Nrealは中国を拠点としているが、中国市場をターゲットにするのではなく、消費者の購入意欲を日本や米国など海外の6カ国で最初にテストした。同社はデバイスの販売に関して各国の通信事業者の協力を得ている。例えば米国ではVerizon(ベライゾン)がNrealの複合現実グラスであるNrealLightの販売に協力している。NrealLightは600ドル(約7万3000円、日本ではauオンラインショップで6万9799円)と比較的手頃な価格で、5G対応のAndroidデバイスに接続できる。

Nrealは今回調達した資金で、ついに2022年に中国での事業に乗り出す。また今回の資金は研究開発や、ユーザー獲得に欠かせないコンテンツやアプリのエコシステムの成長にも使われる。

画像クレジット:Nreal

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

ドローン・AI・スマートグラスを融合させた捜索活動支援システム3rd-EYE、茨城西南広域消防本部と連携し実証実験

ドローン・ロボット・スマートグラスなどを開発するロックガレッジは1月31日、茨城西南広域消防本部と合同で、ドローンとAIとスマートグラスを融合させた捜索活動支援システム「3rd-EYE」(サードアイ)を使った、訓練形式の人命救助実証試験を実施したと発表した。複数回実施された一連の実証試験の結果、従来の指揮系統を崩すことなく、効率よく捜索活動が行えることが確認できた。

3rd-EYEは、一連の情報処理を自動化し、効率的な情報共有を可能にする捜索活動支援システムだ。今回の実証試験に使われたのは「実用化版」。ドローン映像をAIで自動解析し、捜索対象(人間)の位置を特定、スマートグラスにその位置情報を空間表示する。捜索結果は指揮本部の端末と共有され、指揮命令者が指示を出す際にも利用できる。スマートグラスを装着した隊員は、どこに捜索対象がいるかを直感的に理解できるうえ、隊員間、指揮本部との意思疎通を正確に行えるようになるという。ドローン・AI・スマートグラスを融合させた捜索活動支援システム3rd-EYE、茨城西南広域消防本部と連携し実証実験

指揮本部のタブレット端末では、ドローンのリアルタイム映像表示、ドローンとAIによる人影検出結果地図表示、ヒトによる検知結果のダブルチェック、隊員の現在位置・移動軌跡の表示を実装しており、現在の捜索状況を把握できる。また、地図上で「ピン」を配置すると、隊員のスマートグラスにもそれが表示されるため、隊員を目的地に誘導可能となる。すべての情報がタブレットに集約されるので、指揮命令者はそれらの情報を取捨選択し、各部隊に指示を出せる。ドローン・AI・スマートグラスを融合させた捜索活動支援システム3rd-EYE、茨城西南広域消防本部と連携し実証実験

実証試験では、「あと20m前方へ進め」といった具合に、「従来の部隊指揮ではできなかったより具体的な指示」を出すことができた。

これは、茨城県DXイノベーション推進プロジェクト事業の採択を受けた事業であり、今後も茨城県西南消防本部の協力による合同訓練や意見交換などを重ね、連携してゆくとのことだ。

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

OPPO初の自社開発チップは画像・映像処理に特化したNPU

中国の大手スマートフォン企業であるOppo(オッポ)は、現地時間12月14日に深圳で開催された年次イノベーションイベントで、初の自社製チップセットを発表した。マリアナ海溝にちなんで名付けられたというこの「MariSilicon X(マリシリコンX)」チップは、機械学習によって写真や動画の処理性能を高めることに特化したニューラルプロセッシングユニット(NPU)だ。

この動きによりOppoは、Apple(アップル)をはじめとする独自のチップを設計しているスマートフォンメーカーのリストに加わることになる。Qualcomm(クアルコム)での豊富な経験を持つJiang Bo(ジャン・ボウ)氏が率いるMariSiliconプロジェクトは、2019年に始まったばかりだった。

このシリコンは、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co(TSMC、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)の6ナノメートルプロセス技術によって製造され、2022年の第1四半期に発売されるOppoの次期フラッグシップ機種に搭載される予定だ。現在進行中の世界的なチップ不足は、MariSilicon Xの生産には影響しないと、ジャン氏はこのイベントで報道陣に語った。

Oppoは今回のイベントで、自社開発のスマートグラスの第3世代も発表した。同社ではこれを、Augmented Reality(拡張現実)ではなく「assisted reality(補助現実)」デバイスと呼んでいる。

この表現は適切だ。この重さわずか30gのヘッドピースは「Google Glass(グーグル・グラス)」を彷彿とさせる。スマートウォッチで使用されている「Snapdragon 4100(スナップドラゴン4100)」チップを搭載しており、確かに一般的にはスマートウォッチで見られるような、ナビゲーションや翻訳などの2D情報を、厚さ1.3mmのメガネに投影することに限定されている。周囲の環境を認識するARデバイスのようなものではなく、スマートフォンの延長線上、あるいは目の前にスクリーンがあるスマートウォッチのようなものだ。発売は2022年春に予定されている。

Oppoの新しい「補助現実」メガネ(画像クレジット:Oppo)

そして3つ目の製品は、Oppo初の折りたたみ式スマートフォンだ。同社が巻き取り式スマートフォンのコンセプトを発表してから1年後に登場するこの折りたたみ式スマートフォンの詳細は、15日に発表される予定なので、また後ほど記事を更新してお伝えすることにしたい。

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これまでにわかっているのは、この新型携帯電話の開発を指揮した人物が、OnePlus(ワンプラス)の共同設立者であり、2021年OnePlusがOppoのサブブランドになった後、Oppoのチーフプロダクトオフィサーに就任したPete Lau(ピート・ラウ)氏であるということ。

OnePlusとOppoは、ともにBKK Electronics(BBKエレクトロニクス、歩歩高)の傘下にあり、合併前はサプライチェーンを共有しながらも、独立して事業を行っていた。今回の合併により、2つの携帯電話メーカーは、それぞれのブランドは別のまま、運営とOSを含めた研究開発の力を統合することになった。

OnePlusのもう1人の共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ)氏は、新たに設立したイヤフォンのベンチャー企業Nothing(ナッシング)で話題を集めており、投資家や初期フォロワーの大群を獲得している。

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画像クレジット:Oppo

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snapがより高度なAR体験を可能にするクリエーター向け新機能やツールを発表、年次イベント「Lens Fest」で

Snap(スナップ)のクリエイターたちが、新しいAR(拡張現実)ハードウェア「Spectacles(スペクタクル)」を使って実験を始める中、同社はAR制作ソフトウェア「Lens Studio(レンズスタジオ)」の機能をより深く掘り下げ、より一体感があり、よりリアルで、より未来的なARフィルターを作成できるようにした。Snapは年次イベント「Lens Fest(レンズフェスト)」で、同社の「Lense(レンズ)」作成ソフトウェアに導入される多くの新機能を発表している。これらの変更点には、外部のメディアやデータを統合する取り組みから、未来的なメガネを念頭に置いて設計された、よりARに特化した機能まで、多岐にわたっている。

メディア面については、Snapは新しいサウンドライブラリを用意し、同社がライセンスを取得した数百万曲の楽曲やオーディオクリップを、クリエーターが自分で作成したレンズに直接追加することができるようにした。また、AccuWeather(アキュウェザー)の天気情報やFTXの暗号資産価格など、他の情報ソースから取得した常に変化する情報を、APIライブラリを通じてリアルタイムでレンズに取りこむことも可能になる。大規模な機能アップデートの1つとしては、ユーザーがレンズ内にリンクを埋め込み、閲覧者を特定のウェブページに誘導することもできるようになった。

画像クレジット:Snap

自分の顔をおかしな動物に変えたりするSnapの自撮り用フィルターは、以前から拡張現実を視野に入れていた同社にとって、依然として大きな成長機会となっている。Snapによれば、現在25万人以上のクリエーターが250万個以上のレンズを作成しており、これらのレンズは合計で3兆5000億回以上もユーザーに閲覧されているという。Snapは「Ghost」と呼ばれる社内の「ARイノベーションラボ」を設けており、可能性の限界を超えようとしているレンズデザイナーをサポートし、個々のプロジェクトに最大15万ドル(約1700万円)の助成金を提供している。

また、同社はレンズをより優れたものにしようとするのと同時に、技術的にもより能力が高いものにしようとしている。

新しいデータタイプを統合するだけでなく、Snapは基盤となるAR技術にも目を向け、低価格帯の携帯電話を使用するユーザーにも楽しめるレンズを提供できるようにした。同社のWorld Mesh(ワールドメッシュ)機能は、レンズにARを活用し、より現実的なジオメトリデータを統合することで、レンズ内でより現実感のあるデジタルオブジェクトを体験することができるというものだ。Snapは、これまでハイエンドなスマートフォンでしか実現できなかったこの機能を、よりベーシックなデバイスでも可能にした。

画像クレジット:Snap

同様にSnapは、デジタルオブジェクトをよりリアルに反応させるためのツールも展開しており、現実世界とより深く相互作用するだけでなく、重力や衝突といった物理的な力にも対応し、よりダイナミックなレンズを可能にするレンズ内物理エンジンを導入した。

Snapはモバイル向けにより高度なレンズ作成ツールの開発に取り組んでいるが、それと同時に、開発者が新しいSpectaclesで、ハンズフリーのメガネ体験をデザインする際に必要となるツールをサポートすることも、将来的には目指している。クリエイターたちは、何カ月もかけてこの新しいハードウェアを使った体験を作成しているが、Snapはこの懸念に対処し、新たな機会を生み出すために、新しいレンズ機能の開発に取り組んでいる。

画像クレジット:Snap

結局のところ、Snapのメガネはまだ明らかに開発者モードであり、同社は統合されたAR機能を備えた製品を消費者向けにいつ出荷するかというタイムラインを提示していないため、理論的にはバックグラウンドで開発する時間が十分にあるとも言える。

Snapが静かに構築してきたツールの中には、Connected Lenses(コネクテッドレンズ)というものもある。これはレンズ内で共有体験を可能にするもので、複数のユーザーがSpectaclesを着用して同じコンテンツに接することができる。

開発者向けの段階では、Spectaclesのバッテリー寿命は最長のものではない。つまり、Snapは、Spectaclesが必要なときに必要なだけ作動し、持続的に動作しないように工夫する必要があった。新たに導入されたEndurance(エンデュランス)モードでは、レンズが予め設定されたGPS位置に到達するなどの特定のトリガーを待っている間、ディスプレイをオフにしてバックグラウンドで実行し続けることができるようになった。

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クアルコムが新たなAR開発プラットフォームを発表、ハンドトラッキング技術のClay AIR買収も

Qualcomm(クアルコム)は米国時間11月9日、頭部装着型AR(拡張現実)体験を構築するための新しい開発者プラットフォーム「Snapdragon Spaces XR Developer Platform(スナップドラゴン・スペーシズXRディベロッパー・プラットフォーム)」の提供を開始した。このプラットフォームでサポートされているハードウェアは、現在のところ、Lenovo(レノボ)のスマートグラス「ThinkReality A3(シンクリアリティA3)」(Motorola[モトローラ]のスマートフォンと組み合わせて使用する)のみだが、2022年前半にはOppo(オッポ)やXiaomi(シャオミ)製のハードウェアにも拡大する予定だ。

Qualcommは、このソフトウェアエコシステムを構築するために、Epic Games(エピック・ゲームズ)の「Unreal Engine(アンリアル・エンジン)」、Niantic(ナイアンティック)の「Lightship(ライトシップ)」プラットフォーム、Unity(ユニティ)、Viacom CBS(バイアコムCBS)など、幅広いパートナーを揃えた。Deutsche Telekom(ドイツテレコム)とT-Mobile U.S.(TモバイルUS)もQualcommと提携し、hubraum(フブラウム)プログラムを通じて、Snapdragon Spacesを利用するスタートアップ企業を支援する。

画像クレジット:Qualcomm

現在のところ、このプログラムにアクセスできるのは、ごく一部の開発者に限られる。現在参加しているのは、Felix & Paul Studios(フェリックス&ポール・スタジオ)、holo|one(ホロ・ワン)、Overlay(オーバーレイ)、Scope AR(スコープAR)、TRIPP(トリップ)、Tiny Rebel Games(タイニー・レベル・ゲームズ)、NZXR、forwARdgame(ファワードゲーム)、Resolution Games(レゾリューション・ゲームズ)、TriggerGlobal(トリガーグローバル)など。一般提供は2022年の春に開始される予定だ。

また、Qualcommは同日、ハンドトラッキングとジェスチャー認識ソリューションのために「HINS SASおよびその完全子会社であるClay AIR, Inc.(クレイ・エア)のチームと一部の技術資産」を買収したと発表した。これは2019年のWikitude(ウィキチュード)買収に加え、同社のARへの取り組みを飛躍させるためのもう1つの動きだ。

「私たちが、スマートフォン向けのVIO(visual-inertial odometry、視覚・慣性を使った自己位置推定)のようなアルゴリズムで、拡張現実を検討する研究開発プログラムを始めたのは、2007年にまで遡ります」と、Qualcommのバイスプレジデント兼XR担当GMであるHugo Swart(ヒューゴ・スワート)氏は、今回の発表に先立つプレスブリーフィングで述べている。「2010年代にはODGのようなデバイスも可能にしてきました。2014年に仮想現実や拡張現実に特化した新しいチップを開発しましたが、私たちは長期的な視点で取り組んでいます。目指す場所にはまだ達していないことが、私たちにはわかっています。没入型と拡張型の両方の体験を可能にするARグラスという至高の目標を実現するには、まだまだ投資が必要です」。

画像クレジット:Qualcomm

今回発表されたプラットフォームは、ローカルアンカーとパーシステンス、ハンドトラッキング、オブジェクト認識およびトラッキング、平面検出、オクルージョン空間マッピング、メッシュ化などの機能をサポートすることができる。

Qualcommはこのプラットフォームで、開発者がARエクスペリエンスを構築する際の障壁を低くしたいと考えている。開発者は基本的なARアプリケーションを迅速に構築するためのドキュメント、サンプルコード、チュートリアル、追加ツールを利用できるようになる。このエコシステム構築を希望する企業をさらに支援するために、QualcommはPathfinder(パスファインダー)と呼ばれる追加プログラムも開設する。このプログラムでは、ソフトウェアツールやハードウェア開発キットへの早期アクセス、プロジェクトへの追加資金、Qualcommとの共同マーケティングやプロモーションなどが提供される。

画像クレジット:Qualcomm

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

MetaがVRヘッドセットなどが並ぶ実店舗をカリフォルニアで計画との報道

ニューヨークタイムズ紙によると、かつてFacebookとして知られていた会社は、Metaへとブランド名を変更する前から小売店を開設する可能性について議論していた。どうやら、実店舗の開設についての議論は2020年から始まっていたらしいが、最終的には何も決まっておらず、このプロジェクトはまだ破棄される可能性がある。しかし、もしMetaが実店舗を開くとしたら、それは完全な小売店ではなく、Reality Labs部門が開発したデバイスを紹介する体験型店舗のようなものになるとされている。

それらのデバイスには、仮想現実ヘッドセットOculus Quest(近日中に「Meta Quest」になる予定)や、主にビデオ通話用に設計されたガジェットPortalなどがある。また、FacebookがRay-Ban(レイバン)と共同開発したStoriesと呼ばれる拡張現実のスマートグラスも展示される可能性がある。タイムズ紙が入手した文書によると、Metaの目標は、店舗で「好奇心」と「親近感」を喚起し、顧客がヘッドセットを試しながら「判断に迷わない旅」ができるような居心地の良い雰囲気を提供することだという。

同じ資料によると、Metaはモダンでミニマリスト的な美しさを持ち、ブランドをさりげなく配置した店舗を想定している。同社は、Facebook Hub、Facebook Commons、Facebook Innovations、Facebook Reality Store、From Facebookなど、さまざまな名称を検討した。最終的にはFacebook Storeに落ち着いたが、会社名が変更された今、それも変わる可能性が高い。

Metaがこの計画を進めた場合、最初の小売 / 体験型店舗はReality Labsのオフィスがあるカリフォルニア州バーリンゲームに設置される予定だ。ただ、タイムズ紙によると、このプロジェクトは最終的には世界中に広がり、さまざまな国や地域に拠点を置くことになるかもしれないとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Facebook

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】フェイスブックのスマートグラスはGoogleのミスを乗り越える可能性が高い

Facebook(フェイスブック)は先日、ユーザー視点の動画を撮影できる待望のウェアラブルサングラスを発表した。この新製品に対して、多くの人たちから嫌悪的反応が寄せられているのはもっともだが、それにもかかわらず今回のローンチでFacebookが下した決断の1つにより、Google Glass(グーグル・グラス)が失敗した点を乗り越える可能性が高い。

Facebookは、ビジネススクールのカリキュラムを参考にしてRay-Ban(レイバン)と提携することで、効果的なアプローチを行った。新人のプロダクトマネジャーは、この教訓を忘れてはならない。

関連記事:フェイスブックがレイバンと共同でスマートサングラス「Ray-Ban Stories」発売、約3.3万円から

このことをよく理解するためには、まず、Google Glassを見直す必要がある。それは2011年に、一部のユーザーのみを対象としたプロトタイプとして発売された。ベータ版を発表する際の当時のGoogleのアプローチと同様に、ユーザーは1500ドル(約16万6000円)を支払って、この未来のように見え、そして感じさせるデバイスで、遊んだり試したりした。

Google Glassは、Time Magazine(タイム・マガジン)のその年のベスト発明品に選ばれたにもかかわらず、問題が山積みで、まさに未完成の製品だった。これまでに多くの人が、Google Glassの主な失敗は、明確なユースケースを持たずに新しい技術を発表した典型例だとコメントしている。Google Glassで人は一体何をするのだろうか?

またデザインは自社で行い、マーケティングは共同創業者であるSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏が、シリコンバレーからファッションウィークまで、あらゆる場所で着用している姿を見せながら、意図せずして広報活動を行った点も、Google Glassのローンチのまた別の重要な側面だ。実際、Googleは成功の波に乗って、予想されていた新しいおもちゃを提供したものの、結局明確な用途は示せていなかった。

さて2021年9月初旬に時間を進めよう。Facebookは新しいウェアラブルサングラスを発表したが、すぐにそして繰り返しGoogle Glassと比較され続けている。誰もが気になっているのは(隣の人が勝手に私を録画していないかということ以外に)、Facebookの試みがGoogle Glassのように大失敗してしまうのではないかということだ。しかし、サングラスのトップメーカーであるRay-Banと提携し、最も認知度の高いブランドの1つであるWayfarer(ウェイファーラー)を実際のウェアラブルとして採用したことが、Facebook版の成功につながる可能性がある。

Facebookは起業から10年以上が経過しているが、多くの大規模テクノロジー企業と同様に、自社のプラットフォームを時代遅れにしないためには、必然的に製品やサービスにおけるイノベーションの先端を探らなければならない。つまり、Facebookが検討する製品の立ち上げの多くは、リスクがあったり未知の状況というだけではなく、そもそもあらかじめ知り得ない世界へ進む必要があるのだ。何が違うのか?

Facebookをはじめとする多くのテクノロジー予測者が直面している問題は「Knightian uncertainty」(ナイトの不確実性)と呼ばれるものだ。1921年、Frank Knight(フランク・ナイト)博士が、リスクと不確実性の重要な違いを強調する研究を発表した。たとえばリスクとは、Facebookが2022年の広告収入の市場シェアもGoogleより高く保ち続けるために収益をいかに管理できるかなどだ。

両社ともに収益の成長は記録しているので、過去のデータを活用して、将来をかなり正確に予測することができる。ここで重要なのは、そうした予測のツールには強みがあり、それが意思決定に活かされているということだ。

だがこの状況と、Facebookのグラスが成功するかどうかを比べようとしても、これらはまったく違う状況なのだ。どのような歴史的記録を探すことができるだろう。1年目のApple Watch(アップル・ウォッチ)のような需要があるのだろうか?それとも、MicrosoftがiPod(アイポッド)に対抗しようとしたZune(ズーン)のようになるのだろうか?要するに、この製品の需要は不可知なのだ。そして不可知の状況に対する予測にはほとんど価値がないということだ(これがナイトの不確実性と呼ばれているものでもある)。

では、なぜFacebookには成功する可能性が残されているのだろうか。なぜなら、Facebookはもはやスタートアップではないものの、そのチャンスを広げるために起業家としての重要な手法を活用したからだ。つまり、Facebookグラスのローンチに際して、Ray-Banと提携するという効果的なアプローチを行ったことだ。

Googleが人々が求めているものは何かに想像力を巡らせて、新しいメガネのデザインを発明しようとしたのに対し、Facebookはすでにある程度定着しているデザインを活用した。企業や起業家が新しい製品やサービスを立ち上げようとして、予測ツールが上手く働かないときに、結果をコントロールするためには共同作業が重要になる。起業家が自分でコントロールできる、あるいはコントロールできる側面を活用することを促すこうした起業家の手法は、エフェクチュエーション(Effectuation)と呼ばれる。

そのためには、自分が何者であるか、何を知っているか、誰を知っているかから始める必要がある。Facebookは、人々がどんなメガネを好むかを予測したり、そうしたメガネのマーケティングを自ら学ぶのではなく、市場最大手であるRay-Banのノウハウを活用することを選んだ。

Facebookは、新製品の重要な不確実性を回避する手助けのできるパートナーを見つけて、不可知の世界へと踏み出したのだ。それだけでも、成功の可能性は高くなる。

結局のところ、新しい消費者製品のイノベーションは、信じられないほど不確実(リスクではない)で、ほとんどのものが失敗するだろう。つまり、たとえRay-Banとパートナーシップがあったとしても、他の多くのパラメータによって簡単に失敗する可能性があるということだ。しかしFacebookは、優れた起業家のように、今回の製品のローンチに際して重要な起業家的アプローチを活用することで、成功の可能性を高めようとしているのだ。

編集部注:本稿の執筆者Ashish Bhatia(アシシュ・バティア)氏は、ニューヨーク大学スターン校の経営学と起業家学の特任准教授であり、ビジネス、テクノロジー、起業家学の学士課程のアカデミックディレクター

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フェイスブックのスマートサングラス、撮影を知らせるLEDライトが非常に「小さい」と欧州当局が懸念

画像クレジット:Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Ashish Bhatia、翻訳:sako)

フェイスブックのスマートサングラス、撮影を知らせるLEDライトが非常に「小さい」と欧州当局が懸念

Facebook(フェイスブック)を監督する欧州のプライバシー当局は、同社が現在販売している「スマート」Ray-Banサングラスについて懸念を示している。このサングラスには口頭での合図で写真やショートビデオを取ることができるカメラが搭載されている。

アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は現地時間9月17日、ユーザーがビデオを撮るときに光るサングラス搭載のLEDインディケーターライトが、サングラスをかけている人に撮影されていることを他の人に知らせる効果的な方法であることを証明するようFacebookに求めた。

関連記事:フェイスブックがレイバンと共同でスマートサングラス「Ray-Ban Stories」発売、約3.3万円から

イタリアのプライバシー当局GaranteはすでにFacebookのスマートグラスを疑問視しているが、Facebookが欧州本部を置いているアイルランドは同社を監督する当局として並外れた役割を担っている。

Facebookは1年前、AR(拡張現実)スマートメガネ製作に向けた道のりにおける「次のステップ」と表現したものを発表した。その際、初期製品にはARは搭載されないと述べたが、高級メガネ大手Luxottica(ルクソティカ)との複数年にわたる提携を発表した。「スマート」メガネに次第に機能を増やしていくことを意図していたようだ。

関連記事:FacebookがARが日常生活になるスマートグラスを2021年に発売、Ray-BanブランドのLuxotticaともコラボ

FacebookのRay-Banブランドの第1弾の商品は9月初旬に発売された。一見、ほぼ普通のサングラスのようだが、5MPのカメラ2つをフロント部分に備え、ユーザーはこれらを使って目にしているものののビデオを撮って、Viewという新しいFacebookアプリにアップロードできる(サングラスはフレーム内部にスピーカーも搭載し、ユーザーは音楽を聴いたりコールを取ったりもできる)。

このサングラスのフロント部分にはLEDライトもある。これはビデオを撮影しているときに光る。しかし、DPCが「とても小さい」インディケーターと呼ぶものは、人々に自分が撮影されているリスクを警告するのには不十分なメカニズムであることを欧州の当局は懸念している。

Facebookはこのサングラスが引き起こしうるプライバシーのリスクを評価するための包括的な実地テストを行ったことを示していない、とも付け加えた。

「スマートフォンを含む多くのデバイスが第三者を撮影できることは受け入れられている一方で、通常カメラやスマホは撮影しているときにデバイスそのものが目に見え、ゆえに撮影されている人にその事実を知らせています。メガネでは、撮影中にとても小さなインディケーターライトが光るだけです。インディケーターLEDライトが撮影を周囲に知らせる有効な方法であることを確認するために、包括的な実地テストがFacebookあるいはRay-Banによって行われたことをDPCとGaranteに証明していません」とDPCは述べている。

Facebookの主要EUデータ保護当局は続けて、同社に「LEDインディケーターライトが目的にかなうものであることを実証し、この新しい消費者向け製品があまり目立たない撮影を引き起こすかもしれないことを大衆に警告するための情報キャンペーンを展開する」ことを求めている、と話す。

質問するためにFacebookに連絡を取った。

同社の広報担当はTechCrunchに次のように語った。「新テクノロジーについて、そしてそれがどのように機能するか、人々が疑問を抱えていることを当社は承知しており、また当社がこの会話の一部に入っていることは重要です。この新テクノロジーがどのようなものなのか、そしてコントロールについて人々が理解できるよう、 当社の主要監視当局であるアイルランドのDPCを含め、当局パートナーと協業します」。

同社はまた、スマートサングラスの発売に先立ってDPCとやり取りしたと主張し、また今後もやり取りを続けると述べた。加えて、サングラスにはオフのスイッチもあると指摘した。

アイルランドの当局は、発売前にスマートサングラスのデータ保護コンプライアンスに関してFacebookから概要説明があったことを認めたが、副委員長のGraham Doyle(グラハム・ドイル)氏はプロダクトの機能についての相談はなかった、と述べた。

「夏にデータ保護要件コンプライアンスについての概要説明と詳細の提供がありましたが、製品の開発についての相談はありませんでした(Facebookが我々のところにきたときにはデザインと機能の開発はすでに終わっていました)、とドイル氏は述べた。

「メガネのオペレーションと実地テストに対処するために、他のDPA、我々自身、そしてGaranteと情報、特に懸念について共有しました」。

スマートサングラスは9月初旬に発売された。米国での価格は299ドル(約3万3000円)だ。現在アイルランドとイタリア、そして英国でも販売していることをFacebookは明らかにした。

ここ数年、同社は規制当局の懸念を受けて、欧州でのプロダクト立ち上げを一部を延期してきた(あるいは中止したりした)。ここには顔のタグ付け機能が含まれる(これは後に別の形で再導入された)。

同社の欧州でのデートサービス展開も9カ月以上ずれ込み、DPCによる介入後に一部を変更して導入された。

また、Facebook所有のメッセージプラットフォームWhatsApp(ワッツアップ)が欧州でFacebookとデータ共有することにも制限がかけられている。こちらも規制当局介入の結果だ。欧州では多量のデータがまだWhatsAppからFacebookへと流れているが縮小してはいて、Facebookに対する数多くのプライバシーに関する苦情は欧州で調査中だ。これらの調査の結果はまだ出ていない

2021年9月初めにアイルランドのDPCは(欧州のGDPR法のもとで)Facebookに対する初の制裁を発表し、利用者への十分な説明を怠ったとしてWhatsAppに2億6700万ドル(約290億円)の罰金を科した。しかしDPCはFacebookや同社の傘下企業に対する複数の苦情についてはまだ調査を続けている。

2021年1月にアイルランド当局は、Facebookの欧州から米国へのデータ移送に対する2013年の苦情を「速やかに」解決することに同意してもいる。こちらもまだ結論は出ていない

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

シャオミが独自開発のスマートグラスを発表、ナビや翻訳機能も搭載

Xiaomi(シャオミ)がウェアラブル分野でFacebook(フェイスブック)に挑み、独自開発のスマートグラスを発表した

まっぷとはいえ、51グラムという重量は、Facebookの「Ray-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)」よりも少し重い。さらに、このメガネには、500万画素のカメラが使用されているときに表示されるインジケータライトも装備されている。

このシャオミのスマートグラスは、クアッドコアのARMプロセッサーを搭載し、Android(アンドロイド)で動作する。ディスプレイには有機ELよりも高輝度・長寿命で知られるMicroLEDのイメージング技術を採用。この技術はよりシンプルな構造にできるため、1ピクセルあたりのサイズが4μmというコンパクトなディスプレイを実現したと、シャオミは述べている。ただし、撮影した写真をカラーで見ることはできない。同社によれば「複雑な光学構造に十分な光を透過させるために」モノクロのディスプレイを採用したという。

同社は次のように説明する。

レンズの内面に刻まれた格子構造により、光が独自の方法で屈折し、人間の目に安全に届くようになっています。この屈折プロセスは、光のビームを無数に何度も跳ね返すことで、人間の目に完全な映像を見せることができ、装着時の使いやすさも大幅に向上しています。他社製品のように複雑な多重レンズシステムやミラーまたはハーフミラーを使用せず、すべてを1枚のレンズで実現しています。

シャオミによれば、同社のスマートグラスは、単なるスマートフォンのセカンドスクリーンではないという。単独で多くの機能が使用でき、例えばスマートホームからの警報や、大事な連絡先からのメッセージなど、重要な通知のみを選択して表示できる。ナビゲーション機能では、目の前に地図や道順が映し出される。電話をかけてきた相手の番号を表示し、このスマートグラスに内蔵されたマイクとスピーカーを使って通話することも可能だ。

このマイクは音声も拾うこともでき、それをシャオミ独自の翻訳アルゴリズムがリアルタイムで翻訳する。この翻訳機能は、カメラで撮影した画像の文字や文章にも対応している。残念ながら、シャオミはまだ、このスマートグラスの価格や発売日を明らかにしていない。発表があればすぐにお知らせするつもりだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Mariella MoonはEngadgetの編集者。

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画像クレジット:Xiaomi

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】フェイスブックのスマートグラス「Ray-Ban Stories」は「おもちゃ」レベルを超えている

このFacebook(フェイスブック)初のスマートグラスは、Facebook製品のようには感じられない。

Facebookのロゴが刻印されていたり、小さな文字でその名前がシリアルコードの横に印字されていたりもしない。この製品は「Facebook Stories」でも「Ray-Ban(レイバン)のFacebook Stories」でも、あるいは「FacebookとのコラボレーションによるRay-Ban Stories」でもないのだQuest 2やPortalのような他のFacebookデザインハードウェアとは異なり、このRay-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)は、まるで同社がヒットのためのユースケースを正確に知っていたかのように、より自己認識し抑制されていて、余計なことをしようとするのをやめたもののように感じられる。

関連記事:フェイスブックがレイバンと共同でスマートサングラス「Ray-Ban Stories」発売、約3.3万円から

アイウェア大手の仏EssilorLuxottica(エシロール・ルクソティカ)と提携して作られたこのメガネは、Facebookがこれまで販売したものの中でも最も基本的なデバイスだ。できることも限られている。写真や動画を撮ることができ、電話をすることができ、そして音楽を聴くことができるだけだ。そう、それだけだ。しかし、フレームのアームに埋め込まれたニアイヤー(耳近傍)スピーカーを使ってオーディオを聞けるようにしたことで、これらは5年前に出荷されたSnap(スナップ)のSpectacles(スペクタクルス)よりもはるかに実用的なデバイスとなった。

左はレイバンの従来型のWayfarers(ウェイファーラー)と右はスマートグラスのRay-Ban Stories Wayfarers(画像クレジット:Lucas Matney)

ではこのデバイスの機能と、日常での使用感について少し掘り下げてみよう。

299ドル(約3万2900円)のRay-Ban Storiesの特徴の1つは、ほとんど目立たないように着用できることだ。周りの人たちはおそらく、わずかに大きめのサイズよりも、カメラに気づく可能性の方が高いだろう。それはすでに革命的な進歩で、Spectaclesが実際に乗り越えることができなかった「おもちゃ」のレベルを超えることが実現している。標準のWayfarer(ウェイファーラー)デザインのフレームが平均よりも厚いことを考えると、レイバンとのパートナーシップは特に好ましいものだ。

周囲の人が気づく可能性が高いのは、メガネのフレームをタップしてメガネを制御するときだ。右側のアーム上のボタンを押すと30秒の動画が撮影され、長押しすると写真を撮ることができる。また「Hey Facebook、take a video(ヘイ、フェイスブック。ビデオを撮影)」という音声コマンドを使うこともできるし、写真撮影時にも同じことができる(とはいえ、私は公共の場で近くの誰かがこの言葉をいうのを耳にするのが心地良いかどうかは疑問だ)。またかなり控えめな印ではあるが、カメラが映像をキャプチャしている最中は、小さなLEDライトが点灯する。

画像クレジット:Lucas Matney

メガネの写真と動画の品質は中程度だが、デバイスのサイズを考えると、十分に許せるレベルだ。2つの5MPカメラは、2592×1944ピクセルの写真と1184×1184ピクセルの正方形フォーマットの動画を撮影することができる。品質は10年ほど前のスマホカメラ並みのようで、まだまだ改善の余地があることは明らかだ。アップロード中に行われる携帯電話での後処理によって、写真の画質が改善される。露出が高くなって暗い場所がある程度明るくなり、ややポップなものとなる。

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カメラを2つ持つことで、写真に3D効果を追加することができるが、現時点ではフィルターは優れたものではなく、正直なところそれほどでもない。できれば、Facebookにはこの先ソフトウェアにもう少し投資して欲しいが、写真の品質がかなり低いことを思うと、最初に2台のカメラを搭載した理由を完全には理解できない。

また、メガネを使用するには、View(ビュー)という名の新しいFacebookのアプリにリンクする必要がある。これは基本的に、外部デバイスからメディアを携帯電話にアップロードするためのシンプルなメディアビューワーアプリだ。このアプリを使って、写真やビデオをカメラロールに保存したり、FacebookやInstagram(インスタグラム)に共有したりする前に、すばやく編集することもできる。

画像クレジット:Lucas Matney

オーディオはおそらくこのメガネの中で最も興味深い部分だ。このニアイヤー(耳近傍)スピーカーは、静かな空間ではその品質に驚かされるが、騒がしい環境にいると不満を感じるだろう。Facebookにとって残念なことは、ほとんどの屋外スペースは多少なりとも騒がしいし、サングラスはほとんど屋外で使用されるものだということだ。いざというときには屋外で音楽を聴くために使うこともできるだろうが、正直なところ自分のAirPodsをすぐに置き換えられるものとは思えない。このオーディオは、通話などのローファイなアクティビティに向いているが、屋外を歩いているときには3つのマイクアレイがバックグラウンドノイズを拾いすぎるという問題もあった。

バッテリーの寿命はかなり厳しいが、ケースでバッテリーを充電することもできる。これは、メガネを保管するのにも最適な場所だ。ケースは少しかさばるものの、Facebookはレンズを保護するためのマイクロファイバーポーチも別に提供している。Facebookによれば、6時間のオーディオ連続使用が可能で、それ以外の場合には「終日」の使用が可能だという。

奇妙なことだが防水性はもちろん防滴性も備わっていない。これは、サングラスとしては優れた品質とは思えない。これは、厚いフレームのサングラスがスマートグラスのデザインにとってより理に適っていることを示す一方で、この製品が実際には屋内向けであることを示している。

画像クレジット:Lucas Matney

本製品はFacebook初のハードウェアではないが、そこに会社の成熟の歴史を見ることができる。

本製品はAR / VRデバイスではないが、Ray-Ban Storiesのデザインの中に、Oculus Goから生まれたオンイヤーオーディオ、Gear VRを彷彿とさせるタッチパッドインターフェース、Questで最初に採用されたシンプルで抑制されたオーディオコントロールなど何世代にもわたるOculus製品を垣間見ることができる。今回のハードウェアは、長年に渡って徐々に認識は高まってきたものの、基本的にはVRに無関心な人々に販売することから学んだ機能と教訓を凝縮したものだ。

一方Facebookには、マスコミで敵の機嫌をとり、平均的なインターネットユーザーからは大いなる不信を獲得してきた歴史がある。同社はこれまでそのメッセージを台無しにし、その過程でブランド名を毀損してきたその歴史もわかっている。それらがおそらく、今回Facebookのブランドをほとんど目立たせないデザインにつながったのだろう。確かにRay-Ban Storiesには批判者が出てくるだろうが、Facebookが機能性を保守的にして、将来を見越したパッシブセンサーをあまり多く搭載しないよう選択したことは、彼らに有利に働くだろう。

Facebook Viewアプリはシンプルなものであり、またFacebookはStoriesを使用してキャプチャされた写真や動画は広告には使用されないと説明している。とはいえ、2013年のGoogle Glassのデビュー以来、私たちは確かに長い道のりを歩んできたものの、顔にあるカメラは、公共の場でのプライバシーに関しては依然として不快感を覚えさせる。このデバイスは間違いなくその話を大いに再燃させるだろう。

画像クレジット:Lucas Matney

そうした議論はさておき、私の最も強調したいポイントは、 Ray-Ban Storiesが非常に重要な製品のように感じられるということだ。これは、顔に装着するウェアラブルというアイデアを実際に販売する製品なのだ。

メガネはスマートにデザインされていて、目立たないように着用できる。だが、Facebookがそのような野心的なフォームファクターを実現するために多くの犠牲を払ったことは明らかだ。このメガネは正直なところ特に何かをうまくこなせるわけではない。写真と動画の品質はかなり劣っているし、インフレームスピーカーは屋外でのパフォーマンスが低く、通話体験も最も快適とはいえない。299ドル(約3万2900円)という価格は、この第一世代製品を一部の人に売り込むことを難しくするかもしれない。とはいえ、今回Facebookは、拡張現実の未来への道のりの足がかりとなることを繰り返し示してきた製品に対して、ほぼ正しい妥協をしたと思う。

FacebookのRay-Ban Storiesと、私が持っていた旧来のRay-Ban 2140 Wayfarersを並べてみた(画像クレジット:Lucas Matney)

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画像クレジット Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

Facebookがレイバンと共同でスマートサングラス「Ray-Ban Stories」発売、約3.3万円から

Facebook(フェイスブック)は米国時間9月9日朝、待望のスマートグラス分野への進出を発表し、アイウェア大手の仏EssilorLuxottica(エシロール・ルクソティカ)と提携したスマートグラス「Ray-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)」を発売した。

このスマートグラスは、一般消費者向けに販売されている製品の中では最も薄型のものの1つで、ユーザーは、搭載された2つの5MPカメラで写真やビデオを撮ったり、フレーム内のスピーカーで音楽を聴いたり、電話を受けたりできる。完全な機能を利用するにはiOSまたはAndroidデバイスに接続する必要があるが、ユーザーは数百枚の写真や数十本のビデオを撮影してスマートグラスに保存し、その後にメディアをFacebookの新しいアプリ「View」を使って携帯電話に転送できる。このツインカメラにより、ユーザーはアプリにアップロードした画像やビデオに3D効果を加えることができる。

この軽量なフレームには革製のハードシェル型充電ケースが付属しており、重さは50g以下だ。バッテリー駆動時間は「丸1日」とされているが、TechCrunchがこのフレームをレビューした結果、その通りだった。

ユーザーは、写真やビデオを撮影するための「キャプチャー」ボタンやオンオフスイッチなど、いくつかの物理的なボタンでフレームを操作することができる。また、右テンプルのタッチパッドでは、スワイプによる音量調整や電話への応答などの操作を行える。また、搭載されている白色LEDが光ることで、周囲の人に動画の撮影中であることを知らせる。

なお、このメガネは防水・防滴仕様ではない。

FacebookのスマートなRay-Ban Storiesと、私のクラシックなRay-Ban 2140 Wayfarersを並べてみた(画像クレジット:Lucas Matney)

Ray-Ban(レイバン)の3つの定番スタイルから選べるこのスマートサングラスは、多くのカラーとレンズの組み合わせがある。Ray-Ban Storiesは、処方箋レンズにも対応している。価格は299ドル(約3万3000円)からで、偏光レンズと調光レンズのオプションは、より高い価格帯となる。

ちなみにこのスマートグラスには、競合するSnap(スナップ)の最新のSpectaclesプロトタイプのような、デジタルARコンテンツを見ることができるレンズ内ディスプレイは搭載されていない。

関連記事:SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表

2020年9月に開催されたAR・VRに特化した開発者会議で、Ray-Banとのパートナーシップと製品に関する初期の詳細を発表したFacebookにとって、今回の発表は大きな意味を持つ。同社は、このデバイスが同社のARの野望のための足がかりであり、世のユーザーにハイテクメガネのアイデアを知ってもらうための取り組みであることを示唆していた。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは製品の発表ビデオでこう語った。「Ray-Ban Storiesは、電話が生活の中心ではなくなり、デバイスと対話するか、周りの世界と対話するかを選択する必要がなくなる未来に向けた重要なステップです」。

画像クレジット:Lucas Matney

編集部注:北米とオーストラリア、英国など欧州の3カ国で当初リリース。日本での発売時期は今のところ未定。

関連記事:フェイスブックの次期新製品は待望の「レイバン・スマートグラス」

画像クレジット:Lucas Matney / TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックの次期新製品は待望の「レイバン・スマートグラス」

好調なFacebookのビジネス、その中心はデジタル広告だが、同社はVR以外のハードウェアにも意欲を燃やしている。最新の決算発表の場で、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、次の製品はRay-Ban(レイバン)のスマートグラスになるだろうと述べた。

関連記事:フェイスブックが予想を上回る第2四半期決算を発表、今後は広告事業への「逆風」を警告

Facebookの共同創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏は「このメガネは象徴的な形状をしており、とてもすてきなことができます。だからこそ私は、多くの人にこのメガネを手にしてもらい、将来の完全なARグラスに向けて前進し続けることに興奮しています」と述べた。

Facebookのサングラスは、2019年から噂になっていた。当時、情報筋がCNBCに語ったところによると、FacebookはレイバンのオーナーであるEssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)と協力して「Orion」というニックネームのARアイウェアを開発しているという。このメガネは、電話を受けたり、情報を確認したり、さらにはライブストリームを配信したりすることができる、スマートフォンの本格的な代替品として宣伝されていた。必然的にこのメガネは、Snapのスマホと連動するSpectaclesではなく、Google Glass(Luxotticaとの共同開発)と比較された。2020年、Facebook Reality LabsのVR担当副社長であったHugo Barra(ウーゴ・バッラ)氏は、このメガネが2021年に登場することを認めていた。しかしそれ以降、ほとんど音沙汰がない。

Facebookにとって、このメガネは未来への鍵を握っています。ザッカーバーグ氏は、仮想現実(VR)と並んで、拡張現実(AR)は「メタバース」の構築に不可欠だと述べている。将来、Facebookは、VRやARを使ってさまざまなソーシャル体験間を「テレポート」できるような、共有された生き生きとしたプラットフォームに変化していくだろう、とザッカーバーグ氏は説明している。

関連記事:ザッカーバーグ氏は110兆円規模のフェイスブックを「メタバース」企業にすると投資家に語る

「メタバース」という言葉は、シリコンバレーや未来学者の間で流行している最新のバズワードだ。この概念は10年以上前から存在していましたが「Fortnite」や「Roblox」などのマルチプレイヤーゲーム制作プラットフォームが大ヒットしたことで、注目を集めるようになっている。今週初めには、Microsoft(マイクロソフト)のSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、同社の決算説明会で「エンタープライズ・メタバース」について言及している。

Facebookにとって、メタバースは単なる流行ではありません。ザッカーバーグ氏によると、同社は数十億ドル(数千億円)を投じて、Facebookのユーザーとデジタル広告で構成される「シェアードユニバース」を構築しようとしている。それを実現するためには、より多くの人々に同社のコンピューティングハードウェアを購入してもらう必要があるという。そのため、それらのデバイスをより手頃な価格で提供することを計画している。

ザッカーバーグ氏は「私たちの使命は、できるだけ多くの人々にサービスを提供することです。ですから、私たちが行うすべてのことをできるだけ手頃な価格で提供し、できるだけ多くの人々に利用してもらい、その中でデジタル経済の規模を拡大していきたいと考えています」。

Facebookが開発を進めているとされるハードウェアは、サングラスだけではない。複数の報道によると、Facebookは、携帯電話回線を内蔵し、取り外し可能なディスプレイを搭載したスマートウォッチを開発しているという。当初は、スマートウォッチが最初に発売されると考えられていたが、ザッカーバーグ氏には別の計画があったようだ。

編集部注:本記事はEngadgetに掲載されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Facebookマーク・ザッカーバーグメタバーススマートグラスレイバン仮想現実拡張現実

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Saqib Shah、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルがAR機能も搭載した高価格VRヘッドセット開発中と報道、発売は2022年か

Apple(アップル)が、高価格な仮想現実(VR)ヘッドセットの開発に取り組んでいると、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている。販売開始は2022年を目指しているという。このヘッドセットには独自のプロセッサと電源が内蔵され、Appleが現在、MacBook Airや13インチMacBook Proに搭載しているM1 Appleシリコンプロセッサよりもさらに強力なチップが搭載される可能性があるとのことだ。

目標とする発売日から遠く離れた時期の報道によくあるように、Bloombergはこれらの計画が変更されたり、完全にキャンセルされる可能性もあるという注意書きをしている。Appleが多くのプロジェクトを、それらが日の目を見る前に抹殺することがあるのは間違いなく、中には多大な時間と設備投資を費やしたものさえ含まれる。そしてこのAppleのヘッドセットは、現在市場で販売されている1000ドル(約10万4000円)ほどの比較的高価なVRヘッドセットよりも、さらに高価格になると報じられている。記事によると、Appleはまず専門的な顧客向けに少量販売のニッチな製品として発売することを意図しているようだ。つまり、現在Appleが販売しているMac ProやPro Display XDRのような種類の製品になるということだ。

このヘッドセットは、主にVRに焦点を当てていると報じられているが、外部カメラから送られてくる現実世界の景色に映像を重ね合わせる拡張現実(AR)機能も、限られたサイズの筐体に搭載される予定だという。これは、Appleが拡張現実カテゴリーにおける同社初のヘッドセット製品として、一般消費者向けのARグラスを開発していると示唆していた当初の報道とは異なる。Bloombergの報道によると、このVRヘッドセットは開発後期のプロトタイプが作られる段階にあるが、ARグラスは設計プロセスのごく初期段階にあり、少なくとも1年以上はVRヘッドセットより遅れて市場に投入される見込みだという。

Appleの戦略は、まずは少量しか販売が見込めないハイテクで高性能、高価格なデバイスを作り上げ、それをもとに効率化を図り、関連技術の生産コストを下げることで、後のマスマーケット向けデバイスへの道を切り開くということだろう。

記事によると、AppleのVRヘッドセット製品はOculus Quest(オキュラス クエスト)とほぼ同じサイズになる見込みで、軽量化のためにファブリック製の外装を採用する可能性があるとのことだ。外部カメラは周囲の環境を撮すほか、ハンドトラッキングにも使用でき、VRコンテンツに特化した専用のApp Storeがデビューする可能性もある。

仮想現実は、現在最も成功している製品であるOculus QuestやPlayStation VRで市場を測ったとしても、まだ萌芽期のカテゴリーといえる。しかし、少なくともFacebook(フェイスブック)は、VR製品への投資と改良を続けることに多くの長期的な価値を見出しているようであり、Appleの見解も同様である可能性が高い。同社はすでにiPhoneのARに多大な力を注ぎ、技術開発に取り組んでいる。そして CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は多くのインタビューで、ARの将来について非常に楽観的な考えを表明している。

関連記事:アップルがVR配信スタートアップのNextVRを買収した理由

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:スマートグラスAppleヘッドセット

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:TechCrunch Japan)

VuzixがマイクロLEDディスプレイを使った「普通のメガネ」のような新型スマートグラスを発表、2021年夏発売予定

米国時間1月11日に開幕したCES 2021では、スマートグラスが大きなトレンドになりそうだ。筆者は昨日、レノボから発表された企業向けARグラスについて書いたが、その間にも他のいくつかの会社が、様々なレベルの「スマートさ」を謳っている。

Vuzix(ビュージックス)の最新モデルは発売がまた数カ月先だが、これまで今回のショーで見てきた中では最も有望なモデルの1つになりそうだ。同社は企業に焦点を当てたソリューションで最もよく知られている。結局のところ、それはつまりすべてお金のあるところということになる。少なくとも、一般消費者向けカテゴリーで誰かが本当に重大なブレークスルーを提供するまで、スマートグラスは企業向け製品が主流になりそうだ。

Vuzixのこの製品はおそらく、そんなブレークスルーにはならないだろうが(私の推測では、もっと大手の家電メーカーの製品に期待するべきだろう)、拡張現実(AR)を見栄えの良いフォームファクターに落とし込んだ製品という点では、正しい方向へ歩んでいるように思われる。普通の眼鏡のように見えるARグラスというのが、ここでは鍵になるだろう。明らかに普通の眼鏡とは異なる要素があるものの、これまで我々が見てきたものに比べれば、この次世代グラスは一般的な眼鏡にかなり近づいている。

これは、マイクロLED技術の商業化を目指す中国企業のJade Bird Display(ジェイド・バード・ディスプレイ)社との提携によるところが大きい。Jade Birdの説明には次のように書かれている。

JBDは、アクティブマトリクス無機マイクロLEDディスプレイのチップとパネルを提供しています。波長帯は紫外線から可視光線そして赤外線まで。ピクセルピッチは400dpiから10,000dpiまで、様々な解像度をご用意しています。高い輝度、高い外部量子効率、高い信頼性を備えたこれらのパネルはAR、VR、HUD、プロジェクター、武器の照準器、3D印刷、顕微鏡などに最適です。

Vuzixの説明によると、モノクロの立体映像を投影するモジュールは、鉛筆の消しゴム程度の大きさだという。また、このスマートグラスはWi-FiやオプションのLTE搭載など、様々な仕様が用意されるとのこと。ステレオスピーカーとノイズキャンセリングマイクは全モデルに標準装備される。

価格は不明だが、Vuzixによると2021年夏には発売される予定だという。

関連記事:レノボが企業向けARグラス「ThinkReality A3」を発表、2021年半ば発売予定

カテゴリー:ハードウェア
タグ:VuzixスマートグラスARCES 2021

画像クレジット:Vuzix

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(翻訳:TechCrunch Japan)

レノボが企業向けARグラス「ThinkReality A3」を発表、2021年半ば発売予定

Lenovo(レノボ)は、企業向けのAR(拡張現実)分野への注力を続けている。米国時間1月11日のCESの開幕を前に。同社はEpson(エプソン)やMicrosoft(マイクロソフト)が先行する製品に続く、エンタープライズ向けのARグラスであるThinkReality A3のローンチが近いことを明かした。

ThinkReality A3は2021年半ばのいずれかの時期にリリースされる予定だ。なお、価格は発表されていない。ヘッドセットの解像度は1080pで、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon XR1チップを搭載している。一対の魚眼カメラはモーショントラッキングに対応し、800万画素のRGBカメラがリモート用途のための動画を撮影する。

画像クレジット:Lenovo

ThinkReality A3はUSB-C経由でPCまたは少数のMotorola(レノボが所有する)のスマートフォンに接続できるように設計されている。このARグラスは前モデルのThinkReality A6に続いて、より伝統的なフォームファクターを提供している。

「工場から研究室、そして忙しい小売店からホスピタリティの現場まで、Think Realityプラットフォームのアプリケーションは遠隔支援、ガイド付きワークフロー、3Dビジュアライゼーションを実現します」とレノボは述べている。「今日、産業労働者は軽量かつ柔軟性と拡張性に優れたスマートグラスを使用し、生産性と安全性を向上させながら日々の作業のミスを減らすことができるようになりました」。

レノボがARの当面の将来はエンタープライズ分野にあると考えていることは明らかだ。同社はヘッドセット「Star Wars Jedi Challenges」 などの消費者向け製品を市場に投入してきたが、少なくともこれは1回限りの試みのようだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Lenovoスマートグラス拡張現実CES 2021

画像クレジット:Lenovo

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Amazonのスマートグラスが12月から一般販売、スマートリングは廃盤に

変な話だが、Echo Frames(エコー・フレームズ)の存在を忘れていたとしても罪はない。このスマートグラスは、Alexa関連製品が雪崩にように発表された2019年のAmazon(アマゾン)のイベンドで紹介されている(同時に、奇妙なスマートリングも公開された)。

この実験的製品は「Day1エディション」、つまり招待されたユーザーのみが使えるデバイスで、非常に広範なハードウェアのベータテストみたいなものだ。「顧客が気に入れば、私たちは自信を持ってこれを進めます。」と同社は述べている(Amazonリリース)。「気に入られなければ、次のものに移ります」。ということは、Framesは十分な人気を得て、一般向け販売へ進級できることになったようだ。

第2世代となるこのスマートグラスは、米国時間12月10日(日本時間12月11日)からアマゾンで販売が開始される。価格は250ドル(約2万6000円)と安くはない(5回の分割払いもできる)。早い話が、これはAlexaをユーザーの顔に乗っけるための手段だ。メガネのテンプルにマイクとオープンイヤー型のスピーカーを内蔵し、ヘッドフォンを使わなくても話ができるようになっている。

新しくなったモデルでは、バッテリー寿命が40%延長され、周囲の騒音に応じたボリュームの自動調整機能と、バッテリーを長持ちさせるためのオートシャットオフ機能も付いた。カラーバリエーションも増えた。

アマゾンのEcho Loop(エコー・ループ)リング(指輪)は、TechCrunchライターのフレデリックのいい分では「本日のイベントでアマゾンが披露した最も奇妙な製品」だが、ベータテストから先に進む予定がない。これはスマートフォンとペアリングして、耳元に近づけて音を聞くというデバイスだ。指輪というフォームファクターを試したのはアマゾンが最初ではない。Oura(オーラ)とMotiv(モティブ)のスマートリングはよく知られている。だが、ヘッドマウント型のフォームファクターのほうが、バッテリー寿命的にずっと有利なのは明らかだ。

Loopの生産と販売は終了するが、すでに持っているユーザーへのセールスとアップデートの提供は続けると同社は話している。

関連記事:アマゾンは指輪とメガネにもマイクをつけようとしている

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Amazonスマートグラス

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:金井哲夫)

KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売

KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売KDDIは11月10日、中国Nreal(エンリアル)と共同開発したスマートグラス「NrealLight」 (エンリアルライト)」を12月1日から発売開始すると発表した。5Gスマートフォンと接続し利用する。価格は税込6万9799円。販売店舗はau Online Shop、KDDI直営店。

KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売NrealLightは、5Gスマートフォンに接続するだけで、手軽に5GとXR技術を組み合わせた映像体験が可能。対応スマートフォンは、「Xperia 5 II」「Galaxy Note20 Ultra 5G」(今後順次追加予定)。発売に先立ち、2020年11月11日午前10時から「NrealLight」の予約を開始する。KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売

  • 重量:約106g
  • 対応視野角:約52度
  • 搭載カメラ:3基
  • 接続:USB-C接続
  • 機能:SLAM(自己位置推定)対応、6DoF対応、平面検知、画像認識

KDDIとNrealは、2019年5月に戦略的パートナーシップを締結し、日本国内におけるXR技術を活用したスマートグラスの企画開発や受容性の検証など、さまざまな取り組みを行ってきた。

今回発売のNrealLightは、メガネのように折り畳むことが可能で、かけやすいコンパクトなデザインを採用。スマートフォン接続型とすることで、従来のコンピューティングユニットを別に用意するタイプや、一体型のスマートグラスと比較し、持ち運びが容易となる軽量・小型化を実現した。

NrealLightは、従来のAndroidアプリをグラス内で起動し、プライベートなセカンドスクリーンとして利用できるミラーリングモードや、グラス内で空間上に映像を映し出すMR(Mixed Reality)モードも実装。さらにARコンテンツのような、現実空間とデジタル情報を融合するXR技術をより自然に体験可能としている。KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売

これにより、目の前に100インチ規模のプライベートな仮想スクリーンを広げることができる。人気のTV動画配信サービスがセットになったテレビパックのコンテンツやsmash.をはじめとした動画視聴、またさまざまなゲームにおいて、没入感のあるリッチな映像を体験できる。

KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売今後、ARを用いた作業マニュアルの表示といった遠隔作業支援など、ビジネスシーンでも利用可能なデバイスとして法人顧客にも提案していく。

KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売NrealLightは、KDDIコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI」にて2020年11月11日から先行展示。他の全国21ヵ所のKDDI直営店および沖縄セルラー直営店では、12月1日から展示を開始する。KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売KDDIが5Gスマホと接続し利用するスマートグラス「NrealLight」を12月1日発売

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カテゴリー: ハードウェア
タグ: ウェアラブル(用語)MR拡張現実 / AR(用語)スマートグラス(用語)スマートフォン(用語)ディスプレイ(用語)日本

FacebookがARが日常生活になるスマートグラスを2021年に発売、Ray-BanブランドのLuxotticaともコラボ

Facebook Connectイベントでは、コンシューマー向けウェアラブルARデバイスを開発中であることが発表された。Facebook(フェイスブック)はARとVRに本格的に努力を集中し始めている。昨年までOculus Connectと呼ばれていたイベント名をFacebook Connectに変更したのもその表れだが、OculusデバイスもFacebook Reality Labsという新たなブランドの下に再編していくようだ。

今回のFacebook Connectイベント自体がバーチャル開催されたのはグッドタイミングだった。バーチャル登場したMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、「拡張現実(AR)メガネへの第一歩」として来年、かなりのAR能力を備えたスマートグラスをリリースする計画だと述べた。.

ザッカーバーグ氏はまた、Facebookは高級アイウェアとしてRay-Ban(レイバン)ブランドのLuxottica(ルックスオティカ)を発売すると述べた。ザッカーバーグ氏によればRay-Banとの提携によってコンシューマーが望むようなファッション性や多様な機能を提供することができるようになるという。

「プロダクトはまだここでお見せできるような段階になっていないが、開発と販売においてパートナーと複数年の提携契約を結び、来年スマートグラスを発表できることを報告できるのはうれしい」という。どんな機能を備えるのかなど具体的な内容はほとんど発表されなかったが、TechCrunchの取材に対して「現在開発中のプロダクトにディスプレイ機能は付属しない」と確認した。Google GlassよりもSnapが2016年にリリースしたSpectaclesに近いのだろう。

Facebookは以前から本体ソフトウェアに統合できるウェアラブルARグラスの開発を続けてきた。2018年には独自のARグラスを開発していることを確認し、ARプロダクトの責任者であるFicus Kirkpatrick(ファイカス・カークパトリック)氏は当時、TechCrunchの取材に対して「こうしたプロダクトが現実のものになるよう努力している」と答えている。

今月に入ると、現実の環境下でARグラスがどのように機能するかをテストするため、少数の特別に訓練された社員や契約社員がFacebookのキャンパス内をウェアラブルグラスを着用して歩き回るのが目撃されるようになった。これはFacebook Reality Labsが実行しているプロジェクトAria呼ばれるAR研究イニシアティブの一環だという。

今回のデモの一部ではないが、関連するARプロダクト開発の状況を示すビデオも公開されている。まだ理論的には可能性ではあるが、ビデオではARグラスが現実の光景の上にオーバーレイすることでナビゲーションを容易にしたり、ミュージックストアの店先で好みの音楽を推薦したり、出掛けに何か忘れ物をしたことを注意したりするようすが描写されている。
 
 Reality Labsの研究室内では解決できない問題も多い。外を歩き回るテスターが、こうしたプロダクトが必要とするのはどのようなセンサーなのか、収集すべきデータとすべきでないデータの判別などの問題について解決のヒントを与えるかもしれない。

Facebook自身もこのところプライバシー問題でさまざまな批判にさらされているが、Google Glassが消費者向けプロダクトとして成功しなかった理由がまさにここにあったことを想起しているかもしれない。

Reality Labsの責任者であるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は「我々はどんなARデバイスにせよ一般に販売される前に広範囲かつ入念なテストをテストを繰り返す」と強調した。ボズワース氏はARグラスに現在プロジェクトAriaで開発中のデバイスはまだプロトタイプの段階まで達していない。あくまで将来の製品開発の準備のためのの先行的研究だ」と述べた。このデバイスはHUD(ヘッドアップディスプレイ)も備えていないという。

【編集部追記】2019年9月のアップロードだが、Reality Labsのビデオには記事内で紹介されているシナリオがイメージ動画化されている。

Facebook Connect 2020

画像クレジット:Facebook

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Vue Liteスマートグラスは約1万9000円で音楽や通話、音声アシスタント用スピーカーをテンプルに内蔵

それほど遠くない将来、私たちはみんなスマートグラスをかけるようになるだろう。もっと奇異なことが現実に起きている。ほら、スマートウォッチの出始めのころ、大抵の人は懐疑的に感じていたではないか。Apple Watch(アップリウォッチ)のように、スマートグラスの一般化を加速するにはApple(アップル)の力が必要だとはいわないが、その可能性を排除するのは、あまりにも短絡的だ。

Vue(ビュー)が179ドル(約1万9000円)のLiteを発表した今、この分野は奇妙な待機状態になっている。最初のGoogl Glass(グーグルグラス)は、時代遅れと感じさせるに十分なほどバックミラーのはるか彼方に行ってしまったが、本当に革新的なモデルの登場はまだまだ先に思える。Intel(インテル)は、Vaunt(バント)プロジェクトを断念し、North(ノース)はその第2世代のFocals(フォーカルズ)をGoogle(グーグル)にさらわれる前に潰してしまった。Bose(ボーズ)独自のプロジェクトは、2020年6月にAR部門が閉鎖された後は危機にさらされている。

関連記事:A passive take on smartglasses(未訳記事)

2016年10月に、Vueの最初のスマートグラスを初めて試す機会を得たとき(たしかに、ずいぶん昔だが)、私は大変に興味をそそられた。クラウドファンディングの世界では珍しいことではないのだが、同社は特に遅延に悩まされていた。「遅れについてはお詫びします。もっと予定通りに進められるよう願っています。遅れたことは心苦しく思っていますが、新製品開発においては仕方のないことなのです」と、先日同社はブログ記事に書いていた。

画像クレジット:Brian Heater

どんなに少なく見積もっても、ハードウェア系スタートアップにとって、最初のプロジェクトが最大の難関となるのは必定だ。私がVue Lite(ビュー・ライト)を入手してから1週間ほどになるが、しょっちゅう使っていることも、お伝えしておくべきだろう。少なくともその限りにおいて、この製品は本物だ。以前のモデルよりもシンプルで、そこがありがたい。

スマートグラスに何を求めるかという点においては、少々例外を認めることも必要だ。メインの機能は、直接音を鳴らす左右の低出力スピーカーだ。これは、Vue Pro(ビュー・プロ)に搭載されている高度な骨伝導システムに置き換わるものだ。音量はとても小さいので、ご注意を。しかし耳を覆わないデザインのため、常に周囲の環境に自分を馴染ませることができる。

両側のテンプルには簡単なタッチコントローラーがあり、音楽の再生、電話の応答、音声アシスタントの起動ができる。スピーカー同様にマイクも非力ではあるが、仕事はきちんとしてくれる。私は、メインの音楽デバイスとしてVue Liteを使いたいとは思わない。重要な電話が引っ切りなしにかかってくるような状況を、これで対処しようとも思わない。だが、移動中はこれで十分だ。

画像クレジット:Brian Heater

同社は、クールな充電ケースの代わりに、両方のテンプルに充電用の接点を設けた。バッテリーはそれぞれのテンプルに搭載されているので、個別に充電する必要があるのだ。1回の充電で音楽が聴ける時間は3時間半とされている。Proよりも1時間短い。また、My Glasses(マイ・グラセズ)にあるようなフィットネス用のモニター機能など、いくつかの重要な機能は搭載されなかった。

デザインに関していえば、私にはちょっと四角すぎる感じだが(スタイルは3種類から選べる)、その軽さには納得がいく。処方箋を送ってレンズを入れてもらうこともできる。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:スマートグラス レビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:金井哲夫)