ニューヨークでAiboお披露目(ビデオ)――ソニーのかわいいロボットドッグがアメリカにやってくる

ソニーは先週ニューヨークで復活した新しいAiboを紹介するプレスイベントを開催した。ソニーのアメリカ法人、Sony Electronicsの新事業担当副社長、Michiko Arakiはビデオで次のように述べた。

ソニーが初代のAiboを発表してから20年近くになる。この間、ソフトウェアはもちろんセンサー、アクチュエータなどテクノロジーはあらゆる面で大きく進歩した。さらに現在ではWiFiを通じてインターネットのクラウドにアクセスすることができるようになった。

これにより新しいAiboはオーナーと本当の絆を育てることができる。それぞれのオーナーとの交流を通じて学び続け、独自のパソナリティーを育てていく。交流を深めるほど独自の性格が生まれ、友情も深まる。Aiboは伴侶を求める人なら誰にでも勧められるすばらしいロボットだ。これはソニーがAIとロボティクスの分野で何ができるかを実証するショーケースといえる。

アメリカ向けAiboの価格は2899ドルでAibo本体の他にクラウドAIとの接続契約3年分、Aiboが好きなピンクのボールといったおもちゃ、特製のドッグタグなどが付属する。9月から販売が開始され、出荷はおそらくホリデーシーズンとなるだろう。

TechcrunchのAibo記事はこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

ソニーのAiboがアメリカで販売開始へ――高価だがソニーのAIとロボティクスのショーケースに

ペットはお金がかかる。手数料、予防注射、食べ物、医療費…それでも結局は惜しみなく愛情を注いでくれる無二の伴侶を得ることができる。

もしそういうコストを少しばかり節約しようと考えているならロボット・ドッグ、すくなくともソニーのAiboはお勧めできない。ソニーが復活させたAiboは賢くてかわいいが決して安くはない。今日(米国時間8/23)、ニューヨーク市で開催されたイベントでソニーはAiboについてさらに詳しい情報を発表したが、値札は2899ドルだった。

Aiboの魅力(実際多数ある)にもかかわらず、ニッチなプロダクトに留まるだろうと予測せざるを得ない。Sony North Americaのプレジデント、COOのMike Fasuloが私に語ったところによれば、ソニーはホームロボティクスの分野で主要なプレイヤーになることを目指しているという。しかし何年も前からソニーが約束していたものの、この価格ではAiboがメインストリームのプロダクトになることはないだろう。

むしろAiboはソニーがホームロボティクスに力を入れることを象徴する製品だ。現在のソニーの消費者向けロボティクスとAIのショーケースとして機能することは間違いない。ともあれ、かなりかわいい製品に仕上がっている。私はソニーのCESのプレス・カンファレンスに出席してAiboがアメリカに初めて登場したのを見た。すると部屋中に驚きの声が上がった。つわもの揃いのテクノロジー・ジャーナリストたちの心を一瞬で溶かすのは容易なことではない。その点Aiboは大成功だった。

Fasuloは私のインタビューに答えて次のように述べた。

この製品はソニーのイノベーションの能力を示すものだ。このロボットには4000のパーツが組み込まれている。目はOLEパネルを内蔵しており、かわいい表情を作り出す大きな要素となっている。同時に写真撮影の能力も優れている。Aiboは全体としてソニーのイメージ・センサー・テクノロジーをベースにしている。このロボットは22軸の自由度を持ち、きわめて柔軟、多様な動作が可能だ。これは私が見てきた他のロボットのどれよりも優れている。Aiboはソニーがイノベーションにコミットすることを証明し、おそらくはブランディングにも良い影響を与えるだろう。

第1世代のAiboはあらゆる意味で時代に先駆けていいた。しかしその後、コンシューマー向けAI、クラウド・テクノロジーなどすべては当時では考えられなかったほど進歩し、広く普及した。19年のブランクを経て再登場したAiboはどんな性格のペットロボットになったのだろうか?

ソニーはAiboである種のリスクヘッジを図っている。2899ドルという価格は熱心なアーリーアダプター以外にはアピールしそうにない。ではあるが、このロボットは日本では驚くほどの売れ行きを示している。2万台前後が売れたというが、これはソニーの当初の期待以上の数字だろう。Fasuloによれば、アメリカ市場での販売目標は「数千台」だという。

現在Aiboはメインストリーム向けプロダクトではないし、複雑なメカニズムを考えれば将来も大幅に価格が下がることもなさそうだ。しかしソニーは今度こそ(すくなくとも当分の間)ロボティクスに注力するだろう。ソニーの「最初の子犬たち」は3年間のAI Cloudサービスがサポートされる。つまりロボット犬は3年間は健在で跳ね回ることができるわけだ。

驚くほど高価なクリスマスプレゼントを探しているむきは9月から購入できる。またニューヨークのソニースクエアで10月下旬まで実物を見ることができる。

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SEERは人間のようにアイコンタクトできる――日本のアーティスト、ロボットで目の表情を精緻に再現

われわれはすでにロボットが蹴られたり邪魔されたりするのをみて見て気持ちをかき乱されてきた。たとえそのロボットがいかにロボット的な外観であってもやはりかわいそうだと思ってしまうのだから、ロボットの表情が人間そっくりでアイコンタクトを続ける能力があったらもっと厄介な事態になるだろう。ましてロボットをいじめるとそれに応じた表情をするのであればなおさらだ。そうは言ってもこれがわれわれが選んだ未来なのだから止むえない。

SEERは感情表現シミューレーション・ロボット(Simulative Emotional Expression Robot)の頭文字で、 今年初めにバンクーバーで開催されたSIGGRAPHで発表された。このヒューマノイド・タイプの小さな頭部の製作者は日本のアーティスト、藤堂高行(Takayuki Todo)氏で、 直近の人間とアイコンタクトをとり、その人物の表情を真似することができる。

それだけ聞くとさほど革命的には聞こえないかもしれないが、高いレベルで実行するための仕組みは非常に複雑だ。SEERにはまだ多少の不具合はあるものの、これに成功している。

現在SEERロボットには2つのモードがある。イミテーション・モードとアイコンタクト・モードだ。どちらも近くの(あるいは内蔵の)カメラの情報を利用し、人間をトラッキングし、表情をリアルタイムで認識する。

イミテーション・モードでは対象となる人間の頭部の位置、眼球とまぶたの動きを認識してSEER側で再現する。実装はまだ完全ではなく、ときおりフリーズしたりランダムに振動したりする。これは表情データからのノイズ除去がまだ完全でないためだという。しかし動作がうまく行ったときは人間に近い。もちろん本物の人間の表情はもっとバリエーションが豊富だが、SEERの比較的単純で小さい頭部には異常にリアルな眼球が装備されており、その動きはいわゆる「不気味の谷」に深く分け入り、谷を向こう側にほとんど抜け出すほどのインパクトがある。

アイコンタクト・モードではロボットは当初まず能動的に動く。そして付近にいる人間の目を認識するとアイコンタクトを継続する。これも不思議な感覚をもたらすが、ある種のロボットの場合のような不気味さは少ない。ロボットの顔の造形が貧弱だとできの悪いSFXを見せられているような気分になるが、SEERには突然深いエンパシーを抱かせるほどのリアルさがある。

こうした効果が生まれる原因としては、感情としてとしてはニュートラルで子供っぽい顔となるようデリケートに造形されていることが大きいだろう。また目がきわめてリアルに再現されている点も重要だ。もしAmazon Echoにこの目があったら、Echoが言ったことをすべて覚えていると容易に実感できるだろう。やがてEchoに悩みを打ち明けるようになるかもしれない。

今のところSEERは実験的なアート・プロジェクトだ。しかしこれを可能にしているテクノロジーは近い将来、各種のスマートアシスタントに組み込まれるに違いない。
その結果がどんな善悪をもたらすのかは今後われわれ自身が発見することになるのだろう。

〔日本版〕SEERロボットは東京大学生産技術研究所の山中俊治研究室で6月に開催された「Parametric Move 動きをうごかす展」でもデモされている。下のビデオは藤堂氏の以前のロボット作品、GAZEROID「ろぼりん」。



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あなたが想像しているよりもずっと早く、野菜はロボットによって収穫されるようになる

近い将来、アメリカ中の食料品店の棚に並ぶ野菜はロボットによって収穫されたものになるだろう。

工場で使われるようになったオートメーション革命は、さらに米国の農業産業への道を開拓し、その最初の展開場所は現在米国内に点在し始めている屋内農場になるだろう。

このロボット革命の先頭に立つのが、Root AIのような企業だ。Root AIは初のロボット収穫と農場最適化技術を市場に登場させるために、230万ドルを調達したばかりである。

Root AIは、現在世界に存在する230万平方フィート(約6万4600坪)の屋内農場に焦点を当てており、屋内農作物を栽培する農家の数の増加に合わせて拡大することを望んでいる。Agrilystのような分析会社の推定によれば、屋内農場は2200万平方フィート(約61万8200坪:主に米国内)程度まで広がる可能性もある。

これはおおよそ505エーカー(約204.4ヘクタール)の広さに過ぎない。現在米国内で耕作が行われている9億エーカー(3億6400万ヘクタール)の土地にくらべれば本当に些細なものである。しかしそれらの室内農場は、従来の農場に比べて、生産量がはるかに高く、リソース使用量ははるかに少なくて済むという大きな利点を持っている。屋内栽培されるトマトや葉物のような作物の単位面積あたりの収穫量は、屋外農場の10倍以上に達する。

Root AIのエグゼクティブチームは、その収穫量をさらに高めることができると考えている。

36歳のJosh Lessingと28歳のRyan Knopfという、ロボット業界の2つの新星によって創業されたRootは、元々は2人が以前働いていたSoft Roboticsで行っていた仕事の延長線上にある。Soft Roboticsはロボット操作に対する新しい技術を開拓していた。

ハーバード大学教授のGeorge Whitesideによって行われていた研究から、スピンオフしたSoft Roboticsのチームは、正式なロボット開発の訓練を受けないまま、数年に渡りロボット開発を続けてきた技術者たちによって、主に構成されていた。Knopfは、ペンシルバニア大学で学んだロボット工学者であり、伝統的なロボット工学の背景をもつ限られた従業員たちの1人だった。

「私たちはSoftでコア技術を開発する最初の2人でした」とLessingは言う。「この技術は現在食品産業で多用されています。柔らかいグリッパーを採用したことで…デリケートなフードグリッパーを展開しやすくなりました。とても扱いやすい機械デザインのおかげで食品の品質を保ち易くなるのです。例えば物を掴むことができる、膨張式の指などです」。

Root AIの共同創業者のJosh LessingとRyan Knopf

同社が取り組んでいた方法は、人間の手の器用さを再現するという非常に厄介な問題に、他のロボット会社がアプローチしていたやり方とは、根本的に異なったものだった。「従来のロボット技術の観点からは、私たちはあらゆる間違いを犯していたために、従来のロボットができることを実行することができませんでした。最終的には私たちは、新しい部品を使って、適応性のあるグリップを作成することができました」とLessingは語る。

Soft Roboticsは革新的な仕事を続けているが、KnopfとLessingの2人は、彼らの知識がとても必要とされている分野にチャンスを見出した ―― それが農業だ。「農業は沢山の複雑な課題に直面していていますし、同時に私たちはもっともっと多くの食料を必要としています」とLessingは語る。「そして農業における近年の多くの課題は、梱包や加工施設ではなく、現場に存在しています。そこでRyanと私は、どのようにAIを生産者の役に立てることができるかについての、新しい取り組みを始めることにしたのです」。

Root AIの最初のプロダクトは、屋内農業施設で稼働するモバイルロボットだ。それはトマトを摘み上げ、作物を見てその健康状態を評価し、ロボットが作物(当初はトマト)を連続的にかつ人間によるものよりも効率的に栽培できるようにするために、剪定や熟成状況の観察と管理を行う。

Root AIのロボットには、カラー画像と3D深度情報の両方を収集するために、複数のカメラが搭載されていいる(ロボット自身のアームに搭載された1つは「道具」の視野として使われ、ロボットの側面には固定画角のカメラが1つ装備されている)。また同社は、関心のあるオブジェクトを検出し、バウンディングボックスでそれらにラベルを付けるための、カスタマイズされた畳み込みニューラルネットワークを開発した。果物の場所以外にも、果物の性質(熟成度、サイズ、品質等級など)を測定するために、Root AIは他の独自視覚処理技術を使用している。こうした処理の全てが、データセンターへの遠隔アクセスに頼ることなく、ロボットの上で行われる。処理はリアルタイムだ。

Rootの創業者たちが指摘するように、このロボットたちのようなツールは徐々に有用さが増してくるだろう。なぜなら米国の屋内そして屋外農業の両者が、徐々に労働力不足に陥っているからだ

その一方で、産業としての農業にのしかかる圧力は、ロボットによって支援される屋内農業を、徐々に生産のためのより現実的な選択肢としている。絶えることのない人口増加と気候変動による耕作地の減少は、単位面積あたり最大20倍の果物と野菜を収穫することが可能で、使用する水の量が最大90%少なくて済む屋内農場を、極めて魅力的なものにしている。

Howling Farms、Mucci Farms、Del Fresco Produce、そしてNaturefreshなどのサプライヤーたちは、すでに消費者のために多くの果物と野菜を生産している、とLessingは語る。「彼らは、より広い社会にとって意味のある方法で、農業生産を調整してきました。それは持続可能な手法であり、農場を都市部に配置することを可能にします。そしてはるかに単純な物流ネットワークを有しています」。

サプライチェーンの複雑さとコストを削減する能力は、Walmart やWhole Foodsなどの小売業者たちにとって有益だ。彼らはより新鮮で、長持ちする農産物を消費者に届けるために競い合っている、とLessingは語った。投資家たちも納得しているようだ。Root AIは、First Round CapitalAccompliceSchematic VenturesLiquid2 Ventures、そしてHalf Court Venturesといったファームからラウンドを通して230万ドルを調達することができた。

「農場にはとても多くの役割があり、私たちはそれらすべての分野を補完しようとしています」とLessing氏は語る。「今、私たちは異なる生産者たちと、多くの技術実験を行っています。例えば成熟度の計測やトマトを掴むグリッパーの能力などについてです。来年にはパイロット生産を開始します」。

地球温暖化が食糧生産への厳しさを強めていく中で、Lessingは彼のテクノロジーに対する需要が高まっているのを感じている。

「個人的には、どれくらいの食料を私たちは必要とするのか、そしてどこでそれを作れば良いのか、という懸念を持っています」とLessingは言う。「屋内農業は、どこでも食料を生産できるようにすることに注力しています。もし環境を制御できるならば、食料を生産する能力を手に入れることができます…人びとの基本的なニーズを満たすことは、私の人生で成し遂げることのできる最も影響あることの1つなのです」。

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(翻訳:sako)

ロールスロイスがエンジン整備の未来像として虫型ロボットを披露

ロールスロイスが、今週開催されたFarnborough Airshowで、エンジン保守の新しい未来像を発表した。ひょっとすると皮膚がムズムズする感覚に襲われるかもしれない。

同社が、IntelligentEngine構想(今年の初めにSingapore Airshowで発表済)の一部として、ロボットスネークとゴキブリのようなミニチュアロボット群の計画を披露したのだ。理屈の上では、それらは協調して働き、エンジン全体を取り外すことなく、飛行機のエンジン内部を検査する。

どの技術も実用化という意味ではまだ成熟していないが、どのように動作すべきかは以下のように考えられている:

ハーバード大学ならびにノッティンガム大学との提携の下に、ロールスロイスは10ミリの大きさの協調型ロボットの開発に取り組んでいる。これらはSWARMと呼ばれるロボットで、小型カメラを介してエンジン内部のライブ映像を人間のオペレーターに提供することができる。

こうしたロボットたちを小型化することは、同社と協力者たちにとっての挑戦だが、実はこれは、ハーバード大学の研究者たちにとっては8年越しの挑戦なのだ。このことは展示会において、ハーバード大学の研究者Sebastien de Rivasの声明によって明かされた。

SWARMがエンジン内部にアクセスするためには、これらの小さなロボットたちはFLAREに乗り込むことになる。FLAREというのは一対の内視鏡に似たロボットで、機械の大きな部品の内部のあらゆる隙間にくねくねと入り込み、SWARMを検査したい場所へと送り込む。同社はまた、内部で応急的な補修を行うFLAREの計画も進めている。

これらの野心的な計画に加えて、Rolls-Royceはもう少しばかり成熟した技術も披露した。例えばエンジン内部に恒久的に設置されて、定常的な局所的整備を行う潜望鏡に似たINSPECTロボットのネットワークや、専門エンジニアの操作によって、複雑な保守タスクを助けることのできるボアスコープ型の遠隔作業ロボットなどだ。

エンジニアリングのこのような進化は、これまでは内部センサーデータと人手による作業に頼っていた大型機の整備作業を、よりコスト効率の高いものにしていくことができる。ロールスロイスのオンウィングメンテナンス(機体からエンジンを外さずに行う整備)技術の専門家James Kellが、The Engineerに語ったところによれば、従来の人手による作業には最大5時間ほどもかかっているそうだ。SWARMのようなロボットを使えば、こうしたプロセスは早ければ5分ほどに短縮できるだろう、とKellは語っている。

ただ、こうしたロボットアシスタントの効率は否定することはできないものの、その精度と信頼性についてはまだ実証されておらず、また自分の登場する飛行機がインテリジェントなロボット群によって検査されたということを知った乗客たちが感じる快適度に関しても、まだはっきりしていない。

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(翻訳:sako)

Amazonで1600ドルの戦闘ロボットZeusはユーザー同士の世界ファイティング大会を開催

1月のCESではPilot Labsの戦闘ロボットZeusがおもしろかった。その理由は、この動き(下図)を見れば分かる:

誰も期待しなかったみんなの予想に反して、このロボットは今やAmazonで買える。何もかも桁外れに非常識だが、そのお値段もそうだ。キットなら1600ドル、完成品は1700ドルだ。ワイヤレスのコントローラーや電池、充電器、ケース、そしてもちろんロボット本体が含まれている。今後ユーザーがカスタマイズできるために、大量の設計ファイルも提供される。

Zeusの身長は14インチ(36センチメートル)、重さは5ポンド弱(2.3キログラム)、22個のモーターを搭載している。CESのデモは感動的だったが、戦闘をまる一日続けると調子が落ちる。ビデオでお分かりのように、腕の動きなども不安定だ。発売までに、細部の仕上げをお願いしたい。

一回の充電で50分間戦える。Pilot社は今、AIとコンピュータービジョンを実装し、Alexaで音声制御できるバージョンを開発中だそうだ。同社はさらに、“国際戦闘ロボットコンテスト”を主催して巨額の賞金を出す、とも言っている。あなたも、Zeusの腕と脚(あし)の代金ぐらいは、取り返せるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

無限に拍手し続けるロボットBigClapperは店頭客寄せに最適だ

“未来の絵が欲しければ、ロボットが人間の顔に向かっていつまでも拍手しているところを想像しなさい”、とGeorge Orwellは書いたが、彼の不吉な予言がついに的中したようだ。この製品は、登場したのは1年前だが、ぼくが見たのは最近で、すぐに好きになったけど、BigClapperと呼ばれ、基本的にはおかしな顔の描かれた球体に大きな白い手をつけたものだ。それをどこかに設置すると、いつまでもわめき、拍手し続ける。一種の道化役ロボットだが、それはあなたの心を奪い、あなたの生きる意志を涸渇させる。

RobotStartが見つけたこのロボットは、ものすごく偏執狂的だ。BigClapperはオフィスでも使えるし、店頭でも、パーティーでも使える。人が通ると拍手をして、お店に誘いこもうとする。色は真っ赤! しかも手がある!

残念ながらAlexaからは使えないが、BigClapperは人間とコンピューターの対話の、未来の形を表しているかもしれない。通りであなたに声をかけて、激しく拍手をし、あなたに何かを買わせようとする、すごく純粋なロボットだ。現代の資本主義の、まさにシンボルと言ってよい。

ぼくとしては、地球と人類が拍手するロボットに支配されたら、歓迎するね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MITのCheeta 3ロボットは目隠しで階段を上れる――捜索・救難現場での実用化を目指す

昨年TechCrucnhがボストンで開催したロボティクスに関するTC SessionsのステージでデビューしたMIT(マサチューセッツ工科大学)のCheetah 3ロボットがさらに進化して戻ってきた。Sangbae Kim准教授はCheetah 3の新機能を10月にマドリッドで開催されるロボッティクスのカンファレンス、iROS 2018で公式に発表する予定だが、同准教授のラボで公開しているビデオを紹介しよう。

なかでも強い印象を受けるのは「視覚センサーを使わない階段上り」で1:48から見ることができる。優雅な動作というわけにはいかないが、われわれ普通の人間が目をつぶって(あるいは暗闇で)階段を上るのに比べてずっと上手いと思う。しかも階段には小さく切った材木の切れ端が散乱していてさらにハードルをアップしている。これはロボットが捜索・救難に用いられた場合に現場で遭遇する状況をシミュレーションしているのだという。

Cheetahロボットはカメラのような視覚センサーを使わず、blind locomotionと呼ばれる平衡感覚と触覚だけを頼りにした動作で階段を上っている。なぜこうした高度な能力があるロボットが視覚センサーを利用しないのだろうか?発表で次のように説明している

ロボットは視覚的情報に頼りすぎることなく、さまざまな予期せぬ状況に対処することができなければならない。視覚情報には多量のノイズが含まれ、不正確だったりそもそも状況によっては入手不可能だったりする。もし視覚情報に頼りすぎたり、すべての動作を正確なものにしようとすると結局ロボットは遅くなる。そこでわれわれは触覚的情報を多用する試みを行った。これによりロボットは高速で移動しているときに予期せぬ障害に遭遇しても対処することが可能となる。

Cheetahロボットには、触知とモデル予測コントロールという2つの重要なアルゴリズムが搭載されている。これらのアルゴリズムがロボットがスリップするなどしてバランスを崩しても即座に態勢を立て直すことを可能にしている。ロボットは足が地面に着いているべきか空中にあるべきかを瞬時に判断することができ、危なっかしいながら粘り強く階段を上っていく。

こうした新しい機能の開発も、障害物を飛び越えたり、時速22キロで走ったりするような既存の機能と並んで、Cheetahを災害時の捜索・救難現場で活用できるようしようとする大きなビジョンに基づくものだ。このロボットは人間が近づくには危険するぎるような区域で活動できることを目標としてデザインされている

〔日本版〕 Cheetah 2ロボットがAlexaを通じて質問に答えたり能力を披露したりしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Disney Imagineeringが自律型ロボットスタントマンを開発

アクロバットロボットは宙を舞い、ぴたりと着地する

50年以上にわたり、ディズニーランドとその姉妹パークたちは、徐々に洗練が続く「アニマトロニック」(生き物のように動く機械)キャラクターたちのショーケースとなっている。最初は空気圧で動き、やがて水圧になり、最近は完全に電子式となったこれらのフィギュアは、乗り物や、アトラクション、様々なショーなどに登場し、そしてパーク内の様々な場所でインタラクティブに、生命と感情を模したものを提供している。

彼らが作るマシンは、広がりつつあるディズニーの世界の中で、描き出すキャラクターたちの、激しい物理的性質をより良く表現するために、よりアクティブで移動するものになってきている。そして最近追加されたものは、キャラクターたちがパーク内を動き回る方法を変え、私たちが移動するロボットに対して抱く考え方を変えてしまう可能性がある。

私は最近、ディズニーによる新しい取り組みについて書いた。それはより柔軟で、インタラクティブで、そして「静的」というよりはもっと生き生きとしている、事前ブログラムされた独立型アニマトロニクスを扱っている。本質的には非常に限定されたロボットに、説得力のある性質を加えるために、多くのことが行われてきた。

従来ほとんどのアニマトロニクスは、設置された場所や立っている場所から動くことはできず、事前に決めたれた動作を厳密に行うだけだった。ヒーローキャラクターが十分に効率的で耐久性があり、一日何百回も、来る日も来る日も、何年の間も動作し続けられるように、ショーのデザインとプログラミングのフェーズは密接に関連している。

ウォルト・ディズニー・ワールドの”The World of Avatar”内に登場するナヴィ・シャーマンが、この手の造形の最先端を表している。

しかし年々より多くのダイナミックでヒロイックなフィギュアが登場してくる、ディズニーの拡大する世界で、彼らがディズニーの世界を表現するパーク内のロボットたちを、より本物らしくそして活動的にする方法を探究しようと考えることは理にかなっている。

それこそがStuntronicsプロジェクトが始まったきっかけである。これは、数ヶ月前に行われたStickmanという研究実験から生まれたものだ。Stuntronicsは自律的で、自己修正をおこなう空中パフォーマーで、高く飛ぶスタントを毎回上手くやるために、リアルタイムの調整を行うことができる。基本的にロボットのスタントマンだ、よって名前もそれに由来している。

私はImagineerの主席研究者であるTony Dohiと、ディズニーのアソシエイトリサーチサイエンティストであるMorgan Popeの2人に、このプロジェクトについて尋ねてみた。

「ということで、これはキャラクターがスクリーンの上に登場してから行われる実在化なのです」とDohi。「それがStar Warsのキャラクターだろうが、Pixarのキャラクターだろうが、あるいはMarvelのキャラクターであろうが、さもなければ独自のアニメーションキャラクターであっても、本当に活発に動作を行います。そのため、私たちのテーマパークのお客さんたちは、そうしたキャラクターたちがパーク内でもスクリーンと同じような振る舞いをすることを期待するようになります。しかしアトラクションのことを考えたとき、私たちのアニマトロニクスフィギュアは何をするのでしょうか?ここには一種の断絶があるのです」。

このため彼らは、「ヒーロー」アニマトロニクスフィギュアためのスタントというコンセプトを思いついた。これは価値が高く繊細な俳優を、危険なシーンではスタントが置き換えるのと同様に、ショーの中でより派手な振る舞いが必要な場面でスタントを務めるのだ。

Stuntronicsロボットは、レーザー距離計によってサポートされた、オンボード加速度計とジャイロスコープアレイを備えている。現在の形状は、ヒューマノイドであり、あるパフォーマーのサイズや形状を、例えばThe IncrediblesやMarvelの登場人物のコスチュームに合わせて簡単に変えることができる。ボットはワイヤーの端から空中に放り出されることが可能で、そのポーズ、回転そして重心を制御して、正しく着地するだけでなく、空中でヒーローっぽいポーズを決めながら目標に飛び降りることもできる。

この利用は、アトラクションの途中で行われるものになるだろう。比較的静的なシーンでは、シャーマンのような主人公のアニマトロニクスや、Imagineeringが常に開発している新しいフィギュアが、顔と形を使ったニュアンスたっぷりのパフォーマンスを提供することができる。そして、ダイナミックで拘束を受けない、アクションや盛り上がるシーンでは、Stuntronicsによるスタントが自身で空中を飛び、軌跡を計算しながらオンボードハードウェアでポーズをキメて、毎回正確にターゲットに着地するのだ。そして次の観客のために、元の場所に戻る。

こうしたアニマトロニクスがより「リアル」でダイナミックなものに感じられるシナリオを作ることへ焦点を当てることはImagineeringの他の部門でも行われている。自律的な回転移動ロボットや、あるいはいつか、すばらしい二足歩行ロボットも登場するだろう。とはいえStuntronics自身は、標準的なアニマトロニクスフィギュアが実行できるものとのギャップを埋めるためのものだ。すなわちそのアクションとダイナミズムが本物であると、見るものに信じさせる能力を持つのだ。

「しばしば、私たちのロボットは不気味の谷に落ち込みます。沢山の機能は実現できるのですが、それでもあまり本物っぽくは見えないのです。ですが、私はStuntronicsでは事情は反対だと思っています」とPope。「空中を飛行しているときに、非常にすっきりとした物理学を活かすことによって、少しばかりの機能で、とても格好良く見える様々なものを生み出すことができるのです。空中で横回転や縦回転をただ行うことで、見る人からは予測しにくいのに美しく映える、放物線や正弦波を描くことができるのです」。

初期のBRICK

Imagineeringが問題に取り組む際の多くのソリューションと同様に、Stuntronicsは特定の目的はなく、研究プロジェクトとしてスタートした。この場合、それは当初BRICK(Binary Robotic Inertially Controlled bricK)と呼ばれていた。基本的に、センサーを備えた金属製のレンガ状の構造を使い、その重心を変化させてスピンを制御して、正確な高さで正確な方向を向かせる ―― そのことで毎回「ぴたりと着地する」のだ。

最初のBRICKの段階から、次にDisneyはStickmanに移行した。これはデバイスが関節で繋がれたもので、より積極的にデバイスの回転や向きを調整することができた。いくつかのレーザー距離計と組み合わせることで、目を細めながらという条件付きながら、人間のアクロバットをエミュレートすることのできる骨格のようなものを得た。

「Morganと私は口を揃えて、何だかはわからないけれど、おそらくここには何かありそうだと話し合いました。なので、さまざまな方向を突き回して、そこから何が出てくるかを見てみようと話したのです」とDohi。

しかし、Stickmanにはそれほど長期間は固執しなかった。

「BRICKをやっていたときは、私はそれがとてもクールだと思っていました」とPope。「そして私がBRICKを会議で発表したときには、既にTony(Dohi)がStickmanを作るのを手伝ってくれていましたが、そのときの私の気持ちは、ああこいつ(BRICK)はもうクールじゃないなというものでした。なにしろ今や本当にクールなのはStickmanなのですから。そしてその後、私はオーストラリアに行き今度はStickmanを発表したのですが、私たちは既に研究所ではStuntronicを開発していたのです。なのでそのときの気持は、ああこいつ(Stickman)はもうクールじゃないなというものでした」と彼は冗談を飛ばした。

「しかし、それはずっと楽しいことでした。その道のりの一歩一歩を考えるたびに、恍惚とした気分になりました。しかし、課題はどんどん押し寄せてきます…そうした挑戦を受けることは楽しみでした」。

こうしたプロセスが、Imagineeringが全体として進む方法として、私を魅了して止まないものの1つなのだ。問題の糸を解きほぐすために、マネジメントと内部構造によって権限を与えられた人びとが居て、たとえ何が結果として得られるかがはっきりわからないときにでも仕事を進めることができるのだ。地球上で最も大きな企業たちは、皆似たようなR&D部門を持っているが、それを例えばAppleのように、貸借対照表から切り離して考えている会社は、私の知る範囲ではほとんど存在していない。通常、R&Dの多くは、損益計算書のスプレッドシートに強く結びついているため、何が出て来るのかを見届けるまで待ち続けることは、本当に本当に困難なのだ。

数学、物理学、芸術、デザインのようなとても異なる分野の専門家たちを抱えることができることで、アイデアをテーブルに乗せて吟味して、片方の手ではストーリーテリングの問題を解きながら、もう片方では研究プロジェクトを行うことを可能になる。例えばもしこれをもう少し掘り下げたなら、目的のために役立つだろうか?ストーリーテリングが常に北極星として輝く限り、山を越えて導くガイドの光を得たことになり、反対側の端にたどり着いたときには、問題を解決することに結びつく様々なものを手にしていることができる。

「私たちは成功するかどうかがわからない、リスクの高いことを行える体制を保っています。なにしろ自分がやっていることの直接的な応用があるかどうかは、わからないのですから」とDohi。「しかし、ただそこに何かがあるかもしれないという直感は感じています、そのことが私たちに大きな範囲での自由を与え、可能性と単なるアイデアの周りを探究させるのです。それは本当に特権的なことですね。それこそが、私がこの場所を気に入っている理由の1つなのです」。

この遊びのプロセスと、反復、そしてストーリーテリングのゴールの追求は、Imagineeringの中に何度も何度も浮かび上がって来ているものだ。それは実際に、幅広い分野に対応した非常に賢い人々の集まりが、リーダーたちの中枢神経システムによって束ねられたものである。そうしたリーダーの1人が、ウォルト・ディズニーImagineering R&Dの所長であるJon Snoddyだ。彼は研究サイドとImagineeringの他の部門(パークの管理や、インタラクティブプロジェクトや、デジタル部門など)の天の間を結びつける手助けをしている。

そこには、無駄のない探究と、ストーリーに奉仕しないものの追求を有機的に抑制することを可能にする、経済学と組織に対するエゴを主張しない文化がある。Imagineeringの仕事を調査していた私は、しばしばそのプロセスがどれほど素晴らしいかということと、そのソリューションの巧みさを組織がどれほど伝えられているかの間には、大きな隔たりがあることに気が付いた。

ディズニーリサーチのホワイトペーパーは、新興テクノロジーに興味を持つ人々にとっては果てしなく魅力的だが、研究とパーク内での実用的な応用との統合ポイントは、多くの場合探究されないままだ。それでも、飛び抜けた成果だと感じるものを本当に見出したときには、彼らもそのことをきちんと理解し始めており、それを世界に伝えて行くためのよりよい方法も考え始めている。

実際、私たちの会話が終わる頃、Dohiはよいキャッチフレーズを思いついたと話したので、私は彼にその最高のピッチを促した。

「Stuntronicsの目標の1つは、私たちが不気味の谷を飛び越えることができるかどうかを知ることです」。

悪くない。

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(翻訳:sako)

ロボット宇宙飛行士CIMON、国際宇宙ステーションへ

国際宇宙ステーションに向けて今朝、新たな宇宙飛行士が補給物資を載せたSpaceX社のロケットで出発した。その宇宙飛行士は、メディシン・ボールほどのサイズだ。CIMON (Crew Interactive Mobile Companion)は、欧州宇宙機関の宇宙飛行士が宇宙ステーションで行う毎日の業務をアシストするために、AirbusとIBMが共同で開発した人工知能アシスタントだ。重量はわずか11ポンド、メディシン・ボールほどのサイズ。この小さな宇宙飛行士はIBMが開発したワトソンのニュートラルネットワークという武器を持っている。

宇宙ステーションのクルーは、CIMONと音声コマンドで連携をとり、実験などの手順のデータベースにアクセスできる。AirbusでCIMONプロジェクトを主導したTill EisenbergがSPACE.comに語ったところによると、CIMONはクルーの気分やムードを感知することもできる。

今年2月に発表されたCIMONの投入についてのニュースリリースでは、CIMONのフレンドリーな顔や声に加え、感情知性でもってCIMONは本物の宇宙飛行士のように働く、とAirbusは述べている。手始めに、CIMONには友達がビルトインされている。

今日の打ち上げの前に、CIMONはドイツ人宇宙飛行士Alexander Gerstとトレーニングを行った。Gerstの声と顔を認識し、宇宙ステーションで行う3つの異なる実験を完了させられるようアシストするというものだ。CIMONは地球物理学者や火山学者が宇宙ステーションで結晶生成を研究するのを手伝い、ビデオデータを使ってルービックキューブを攻略したり、“高度なカメラ”として医学実験を記録したりする。

CIMONのGerstとのミッションは今年10月までとなっている。しかしAirbusは将来的にはCIMONがもっと長い期間、宇宙飛行士と行動を共にし、長期宇宙飛行における社会変動ーきたる火星植民の構想を考えるときに重要なテーマとなるーについての科学者の研究を手伝えるようになればと考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ソフトバンクのロボット、PepperがニューヨークのHSBC銀行に就職

今日(米国時間6/26)からHSBC銀行のマンハッタン支店を訪れる人々は愛想のいい人型ロボットの出迎えを受けることになる。フィフス・アベニューのHSBC銀行にはカスタマーサービス要員としてPepperが配置された。 このロボットは近年拡大を続けるSoftbankのロボティクス事業のニューヨークにおける顔となる。

Pepperはもちろん数年前からあちこちで実用に使われており、空港の出迎えからショッピングモールの案内まで便利な雑用係として能力を発揮している。このロボットが日本を出てアメリカで臨時の職に就くことができたのは2016年だった。

人間のスタッフではできないような仕事をこなせるPepperだが、やはり物珍しさが先に立つだろう。HSBCではニューヨーカーに「未来の銀行」を体験してもらう助けとしてPepperを採用したようだ。

HSBC銀行のPablo Sanchezは声明で 「われわれのフラグシップ支店から1キロ以内に200万人以上の人々が住んだり勤務したりしている。フィフス・アベニューを歩く人々の数は毎日何百万にもなる。Pepperはリテール・バンキングでいまだかつてなかった経験を提供するはずだ。『未来の銀行』を開発するわれわれの努力にPepperが役立つものと信ずる。このロボットは支店の業務を効率化するだけでなく、訪れた顧客を楽しませることができる。人間の行員はさらに専門的なレベルの高いカスタマーサービスに専念できる」と述べた。

Pepperはセルフサービス・バンキングに関する情報を提供すると同時にいくつかの分野でベーシックな質問に答えることができる。おっと、それから、いっしょにセルフィーを撮ろうとするとPepperはポーズを決めてくれうそうだ。Pepperがさらに別の支店にも現れるのかどうか現時点では不明だが、声明によれば、「Pepperはここ数ヶ月かけてHSBCの支店における銀行業務を未来化させる一連の努力の一部だ」という。

言うまでもないが、PepperはSoftbankの広汎なロボット戦略の一端を担うプロダクトだ。同社は1年前にAlphabetからBoston Dynamicsを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

[ビデオ]ふつうの円形の車輪が地形や地質に応じて三角形になる未来の軍用車両

DARPAは、そのGround X-Vehicle Technologies計画の一環として、未来的でしかも実用的な新しい軍用車両を披露した。イノベーションのひとつである構成を変えられるホイール・トラックは、カーネギーメロン大学のNational Robotics Engineering CenterとDARPAの共同開発だ。しかもそのホイール・トラックは、戦闘用車両を単なる武装を超えて生存性を強化するための設計要素の、ひとつだ。

ビデオでお分かりのように、構成を変えられる(reconfigurable, リコンフィギュラブル)ホイール・トラックは、円形の車輪から三角形のトラック(キャタピラー)への変形およびその逆をなめらかに約2秒で行い、しかも走行時にスピードを落とさずにそれができる。円形の車輪は硬い地面に合い、キャタピラー方式のトレッドはやわらかい地面で武装車両が自由に動ける。

Ground X-Vehicle計画のトップ、Amber Walkerによると、この技術は“車両の戦術的な動きと、多様な地形における行動性を大きく改良する”。…そのアドバンテージは、下図のGIF画像でお分かりいただけよう。

車輪の技術なんて、一見ぱっとしないが、結果は見た目にも印象が強いし、とってもスムーズだから、あらためて見なおしてしまう。

ビデオには、ほかにも見逃せない設計機能が映っている。そのひとつが、窓なし走行技術Virtual Perspectives Augmenting Natural Experiences(V-PANE)で、これは複数のLIDARとビデオカメラの像から、まわりの状況をリアルタイムで作りだす。そしてドライバーは3Dのゴーグルをつけて、VRによる窓からの光景を見る。そのVRは奥行きの把握と再現が強化され、ドライバーの頭の動きにリアルタイムで追従する。もちろん、さまざまな地形データ等も表示する。

画像クレジット: DARPA

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Zumeの全自動化ピザキッチンにロボットアームが登場

今年初め、Zumeはピザ以外の分野にも進出する意向を明らかにした。新たに設立されたZume株式会社が取り組むものとして、コーヒー、蒸しパン、フローズンヨーグルトなどの案が出ている。もちろん、子会社のZume Pizzaにとってはその名にあるピザが本業となる。

事実、設置したキッチンで使うロボットの数は増えていて、そこにロボットアームも加わった。“Vincenzo”というニックネームのついたABB社製のこのロボットアームは800度のロボットオーブンからピザを取り出し、近くの棚に置く。そして棚のラックを4分半でいっぱいにする。

Zumeは、労働中の火傷の3分の1はレストランで起こっているとするCintas社のレポートの一部を引用している。だからこそ、人間が行うより、ロボットアームを使った方がいいのだ。

Zumeは今回もう一つ、チームに加わった人間についても発表した。Del MonteのCMOそしてSVPだったRhonda Lesinski-WoolfがZume Pizzaの社長に就任する。Lesinski-Woolfの社長就任は、CTOにChris Satchellを迎え入れるなど最近行った主な人材採用の一つとなる。

「新たな食のタイプとマーケットでの規模拡大を継続するためには、適切な人材を確保し、リーダーシップを持って統率するドリームチームを編成することが極めて重要」とCEOのAlex Gardenは今回の発表文の中で述べている。「RhondaとVincenzoがチームに加わり、フードデリバリー産業を刷新しながら、皆にとって意義あるキャリアの形成につながるような職場にできれば」としている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ハンバーガーロボットのCreator、初のレストランオープンへ ー6ドルでアルゴリズム的美味しさを味わえる

Creatorのシースルーなバーガーロボットは、肉を挽いておいしいパティを作る、ということは注文が入るまでしない。これがCreatorのやり方だ。以前はMomentum Machinesという会社だったこのスタートアップは世界で最もフレッシュなチーズバーガーを6ドルで提供しようとしている。Creatorは6月27日、8年もの歳月をかけて開発したロボットレストランを、9月のオープンに先駆けて公開した。そこで我々は店をのぞいてーいや、味わってきた。

店を1つ開こうとしているスタートアップがどうやったら時価総額100億ドルもの企業になれるのかを尋ねたところ、Creatorの創業者でCEOのAlex Vardakostasは私の目をじっと見つめ、こう答えた。「マーケットは実際のところそれよりもずいぶん大きい」。

サンフランシスコのFolsomストリート680番地にあるCreatorのバーガーを作るロボットの働きはこんな具合だ。客がコンシェルジュの案内に従ってタブレット端末で好みのバーガースタイルを決める。すると、圧縮空気チューブがその日に焼かれたバンズを右側のエレベーターへと押し出す。そして振動するナイフでバンズが真ん中で2つに切られたのち、ベルトコンベヤーで下に運ばれてトーストされ、それからバターが塗られる。ソース類はミリリットル単位で、スパイスはグラム単位で計測され、自動でバンズにかけられる。丸ごとのピクルス、トマト、タマネギ、そして塊のチーズはバンズに乗せられる直前にスライスされる。

そしてこのロボットは、ホルモン不使用の牧草で育てられた牛の胸肉やネック肉をオーダーが入ってから挽く。しかしそれは肉を潰すというより、肉を垂直に押し出して軽く形成するという感じだ。形成はゆるい感じだが、自動鉄板で焼けるパティだ。パティは約5分かけて全ての具材がそろってから最後にのせられる。このスタイルは、バーガーにかみつくとき、クチャクチャかまなくても垂直に並んだ具材を歯でかみ切れるように、との配慮からだ。

もしあなたがいち早くこのバーガーを試したいのなら、Creatorは太平洋時間の今日午前10時に前売り券を売り出す。もしくは正式オープンの前に、水曜日と木曜日にランチを提供する予定だ。最終的には、客がアプリで全ての材料の分量を調整して、無限にも近い組み合わせができるようになる見込みだ。

現在のところ、プリセットされたバーガーの種類は次の通りだ。クラシックスタイルCreator、The Worldサウザンドアイランドスペシャルソース添え、Top ChefのTuシェフによるオイスターアイオリソースのTsumamiバーガー、Bar TartineのNick Ballaシェフによる炭焼きタマネギジャム添えのThe Smokyとヒマワリのタネのタヒニ添えDadバーガー。

それぞれの味はかなりのものだ。事前にカットされて防腐剤が施されたものではなく、材料は全てその場でカットされたり挽かれたりしているのでフレーバーが前面に出ている。パティは柔らかすぎない程度のかみごたえだ。食べ終わった時は、チーズバーガーを食べた時によく感じる、脂っこさやお腹にどっしりくる感じ、満腹に伴う眠気のようなものはあまりない。

「このバーガーは[リッチな人が行くようなレストランで]12ドルから18ドル払って食べる種類のもの。ただし値段は6ドル」とVardakostasは話す。私がこれまで食べたバーガーで一番美味しいというものではないかもしれないが、この値段では確かにベストだ。この値段は、ロボットの活用で人件費や賃料を節約して実現している。「私たちは他のレストランより材料に時間をかけている」と語る。

CEOはCreatorがいくら資金調達したか明らかにしなかったが、GoogleのGVや、フードスタートアップによく投資しているKhoala Ventures、ハードウェア専門のRoot Venturesなどから出資を受けているとした。しかしながら、TechCrunchが入手した証券取引委員会の書類には、このスタートアップは2017年に少なくとも1830万ドル調達し、2013年に遡ると600万ドル調達している。

これはまったく不思議なことではない。「マクドナルドは時価総額1400億ドルの企業で、この数字はGMとTeslaの合計を上回る。マクドナルドは4万店も展開している。食産業は最も大きいマーケットの1つだ」。Vardakostasは続ける。「しかし我々にはいくつものアドバンテージがある。平均的なレストランというのは、面積が50%以上大きい」。そしてVardakostasは、彼のロボットがほとんどのファーストフード店の厨房よりかなり小さいことに言及した。そして笑いながら「それが我々のキッチン。運び込み、プラグを差し込むだけ」。

パティ焼きから物理の勉強へ

あなたがビジネス創業者に期待するストーリーというのは、スーパーヒーロー的なものかもしれない。何かの問題を必死に解決しようという、人生における決定的な瞬間だ。Vardakostasの場合も、なるほどというような話がある。「私の両親はバーガー店を経営していた」と彼は明かした。「私の仕事というのは数百個もの同じバーガーを毎日つくることだった。それに適したツールがなくて、考えないわけにはいかなかった。本当にハードワークなんだ」。

ロボットやエンジニアリングというのは、その南カリフォルニアの店にはまったく無縁のものだった。そして、「私が15歳のとき、父が初めて私を本屋に連れて行ってくれた。そして私は物理についての本を読み始め、これは可能性があるかもしれないと直感した」。彼は物理を学ぶためにUCサンタバーバラ校に進み、ガレージで工作するようになった。そして最終的には、有名なTechShopで初のロボットプロトタイプの部品を作るために車でシリコンバレーまで行った。

そんなとき、共同創業者でCOOのSteven Frehnに出会う。「Stevenはスタンフォード出身だと言い、私はかなり萎縮した」とVardakostasは回想する。しかしこの2人は良き仕事仲間としての関係を築き、カレッジのメカニカルエンジニアを仲間に誘った。Momentum Machinesは2009年に始まり、2010年まではガレージでのプロジェクトだった。そして2012年にLemnos Labsと合併し、このスタートアップは2014年には大きく成長し始めた。

一方で、他の起業家たちも食産業用のロボット分野でチャンスを見出そうとしていた。たとえば、現存しないがY CombinatorスタートアップのBistrobot。これは白いパンにピーナッツバターやNutellaを手当たり次第塗るというもの。最近ではMiso Roboticsの、Flippyという名のバーガーひっくり返しロボットアームがある。もっとも、Flippyがやることといえば、従来タイプの鉄板でパティをひっくり返すことだけだが。「我々のロボットには、バーガーを引き出すアームがある。しかしその仕事は全体作業からみるとわずか5%ほどの煩雑さだ」とVardakostasは語る。というのもCreatorは350のセンサー、50のアクチュエーター、20のコンピューターで稼働するからだ、とクールに話した。

バーガーの慣習を見直し

CEOのキッチンでの体験により、Creatorは人間的な要素を残している。Vardakostasは、コンピューターで注文するようなスタッフの少ないレストランは“暗黒郷”のようなものと考えていると教えてくれた。事実、彼はフードサービス従業員が新しいキャリアにアクセスできるようにしたいと考えている。Vardakostasは「人々はレストランでの仕事を施しが必要なものととらえがちだ。しかしチャンスが必要なだけだ」と意味ありげに述べた。従業員にサイドプロジェクトをさせるという、Googleの古いポリシーに触れながら、「テック企業では10%の時間が与えられる。しかし、誰もレストランの従業員に同じように時間を与えようとはしない」。

「2012年に非常に興奮したこと、そして今まさに実行しようとしていることは、こうした店のように新たな雇用を生み出すことだ。面倒で危険な仕事はロボットが面倒みてくれる」と共同創業者のFrehnは語る。「我々は従業員のための教育プログラムに力を入れている。勤務時間の5%は有給の読書時間となる。これはすでに取り入れている。本についての予算もあり、1時間あたり16ドル支給している。こうした時間を使ってマシーンを修理できるようになれば、修理やメンテナンスをする人により多く支払うという道が開ける」。

Creatorが逃れられないトラディションの一つがフレンチフライだ。Vardakostasは、「フレンチフライは基本的にヘルシーな食べ物ではない。ドーナツよりも健康によくない。というのもフレンチフライはドーナツより表面積が広く、フライヤーにさらされるからだ」。しかしシェフがVardakostasに「フレンチフライなしにはバーガーを食べない人もいる」と教えた。ということで、Creatorの妥協点としては、バーガーはハートの形をした小さなファロと季節の野菜がデフォルトで付いてくるが、サイドにフレンチフライを選ぶこともできる、というものだ。

Creatorの今後は、バーガーロボットや、それとともに働く人によって決められるのではない。このスタートアップは、ファーストフードのダイナーが早くて、安くて、しかも美味しいものになること、客をPottery Barn調のような雰囲気の中に迎い入れることを証明しなければならない。と同時に、多くの客にカフェテリア式の注文カウンターや低価格が必ずしも低品質を意味するとは限らないことを確信させなければならない。そういえば、店の名称は、バーガーショップにしてはややリッチな感じだ。

ロボットを許認可制にしたり、レストランをフランチャイズ展開したりすれば儲かるだろうが、今のところ、Creatorはそうしようとは考えていない。「誰かに冷凍ビーフを食べさせてお金をもらう、というのはしたくない」とVardakostasは語る。その代わり、最終的に念入りに拡大するのが目標だ。小さいという強みを生かして空港のターミナルやバスステーションに店を構えるというのもありだろう。「サンフランシスコから外に向かって出たい」。そして、Frehnは大胆にもこう結論づけた。「我々のビジネスモデルはとてもシンプルだ。人々が好む本当にいいバーガーを、半額で売ることだ」。

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(翻訳:Mizoguchi)

[ビデオ]ロボットが調理するバーガーをロボットスタートアップのレストランCreatorで味わった

Creatorは、バーガーを作るロボットを作っているスタートアップだ。本誌は、サンフランシスコにできた同社の初めてのレストランを訪ねて、未来からやってきたCreatorのバーガーを味わった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スキャンで人間を判別、周囲を把握して動く自律移動型ロボット開発のSEQSENSEが10億円調達

自律移動型ロボットを開発するスタートアップのSEQSENSE(シークセンス)は6月15日、三菱地所TIS、およびJAFCOが運営するファンドを引受先とする総額約10億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

SEQSENSEの創業は2016年10月。宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではやぶさ、はやぶさ2のプロジェクトメンバーを務めた明治大学理工学部教授の黒田洋司氏らにより設立された。

今回の資金調達はSEQSENSEにとってシリーズAラウンドに当たる。同社は2017年4月、TISとジャフコから2億円の資金調達を実施している。また2017年度のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」にも採択されている。

SEQSENSEが開発する自律移動型ロボットは、レーザースキャナーを使った3次元マッピング技術でロボット周辺の環境をリアルタイムに把握し、スキャンの形状から人間も判別することができる。そのため、 あらかじめ地図情報を用意したり、GPSを使わなくてもスムーズに移動が可能。人が多く出入りするような商業施設やオフィスビルなどでの利用が想定されている。

SEQSENSEでは、2017年秋に警備ロボットのプロトタイプを開発済み。24時間の巡回警備が必要なオフィスビル、商業施設や空港などでの警備、管理、監視など、「高度なセキュリティレベルが求められるが人材の確保が難しい」という分野でニーズが高く、すでに警備会社やビルのオーナー、総合建設業者などから問い合わせが来ているという。

SEQSENSE代表取締役の中村壮一郎氏は「これまでは実証実験を進めてきた。その成果をもとに、調達資金で複数ロボットのクラウド連携への対応やAIによる人識別機能の精度向上など、プロダクトをビジネスとして成立させるための開発強化を行う。またフロントエンドやアプリケーション開発も進めていく」と資金調達の目的について説明。「今年度中にはセキュリティロボットシステムの商用化を目指す」としている。

また将来的には「ロボティクスで新マーケットを築き、高齢化や生産人口減などの課題に対応する」という企業理念に基づき、「新しい付加価値を提供し、生産性向上に寄与したい」と話す中村氏。「人間には人間しかできないことに集中できるよう、ロボットが人間に代わってできること、ロボットにしかできないことを提供していく」と述べる。

具体的には、人員不足のために直近で需要の高い、警備ロボット、警備システムの分野からサービス提供を始めて「ゆくゆくは物流や小売など、ほかの分野でも自律移動型ロボットの新しいマーケットを作っていきたい」と中村氏は話している。

ホース自身のの水力で動く消火ロボットを東北大/八戸高専が開発

ホースを持ち運びするドローンは幻想だったかもしれないが、ホースを動力源とするロボット・ドラゴンは本物だ。この、奇妙だが実用的かもしれない日本のロボットは、燃えているビルの窓から中へ入り込んで、その強力なジェット水流であたりのものすべてを吹き飛ばすだろう。もちろん、自分で自分を操作しながら。

そう、これはインチキ・クラウドファンディングではなくて本物だ。東北大学と八戸工業高等専門学校Yが作ったこのDragonFireFighterは、先月のInternational Conference on Robotics and Automationプレゼンされた

ホースを水栓につないで放水しようとすると、ホースは水の勢いで勝手にのたうち回るが、このロボットはその動きを利用している。すなわちホースが単純なジェットのように動き、水の推力でホースは前進する。だからホースに、方向の異なる複数のノズルを付け、それらを個々に開閉したら、ホースの進む方向を制御できるのではないか?

そう、それが、ホースの力で動くロボットドラゴンの原理だ。

このDragonFireFighterには、ノズルをかぶせた“頭部”と、その下の“首”がある。ホースからの水圧を両者の上のいくつかの噴出口へ向けることによって、安定を保ったり、位置や方向を制御したりできる。

前進するには人間の介入も必要だが、方向を維持したり変えたりするのはロボットからの水の噴射の力だけだ。現時点のこれぐらいの精度でも、実用性はある。このビデオよりももっと可動域が大きかったら、さらに遠くからでも仕事ができそうだ。

すべての水圧を窓へ向けられたら、さらに効果的と思われるが、でも現状で十分役に立つ状況はいくらでもある。

DragonFireFighterは、防火防災のエキスポInternational Fire and Disaster Prevention Exhibition(東京国際消防防災展2018)でも展示された

それともうひとつ、IEEE Spectrum誌上の記事、“Firefighting Robot Snake Flies on Jets of Water.”を忘れてはいけない。


[X Men: First Classより]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボット革命は始まったばかりだ

【編集部注】著者のSanjit DangはIntel Capitalの投資ディレクターである。

毎年Time誌は、何千もの企業からの、自分たちの製品こそがTime誌が選ぶ”25 Best Inventions”(25のベスト発明)に相応しいとの売り込みに圧倒されている。この前の12月には、同誌のカバー写真は、まるでピクサーのアニメに登場したような、11インチのアームレスロボットJiboで飾られた。

いわゆる「ソーシャルロボット」であるJiboは、この先多数のインテリジェントで有能な新世代のロボットたちが登場してくる現象を示す、最新の例に過ぎない。実際には、彼らは既に、私たちの視界のそこここに存在している。私たちの頭上に、車や手術室の中に、組立ラインの脇に、軍隊の中に、そしてラストマイル上に。

そして急増するロボットの数、扱うべき急増するデータの可能性は、さらに多くのコンピューティングパワーだけでなく、全く新しいプロダクトアーキテクチャを必要としている。

元ペンタゴンのロボット研究者によって2015年に書かれたある記事は、現在ますますその先見性を示している。

その夏、国防高等研究計画局(DARPA)のマネージャーとしてロボット技術を統括していたGill Prattは、ロボットの能力がある重要な境界を超えたと語った。電気エネルギーの蓄積技術の改善と、計算能力とデータストレージの飛躍的増加によって、ロボットが他のロボットたちの経験から知らされる情報を学習し、意思決定を行うことが可能になったと、彼は主張したのだ。

その当時彼が予想したことは?もはや単純ではなく、単一目的の機械ではなくなったロボットたちが、まるでウサギのように繁殖するという事態だ。そして、ロボットがますます学ぶにつれて、より多くの人びとがそれを使うようになるだろうとPrattは主張した。

それこそ、私たちが現在目にしているものだ。ロボットに対する需要はますます広範なものになっている。誰もがそれを望んでいるようだ。

この成長を実感するためには、以下のことを考えてみて欲しい:2014年にはボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が、世界のロボットマーケットはこの先10年で670億ドルに達するだろうと予測した。そのわずか3年後の昨年6月、BCGはこの金額に、さらに200億ドルの積み増しを行った。

DARPAの馬

ユースケースが拡大するにつれて金額が積み上がる

製造業界が何十年もの間、ロボットの中心的な利用者だった。現在、世界のロボットの大半は、依然として工場で使用されている。

大きな違いは、これらのロボットは、以前のロボットに比べて、はるかに小さく、知覚的で、協力的であるということだ。そして、この分野へ注がれるベンチャーキャピタルの資金の洪水によって、近い将来には流通センターや倉庫で、さらに多くのロボットたちが見られるようになるだろう。

2016年から2017年の間を考えてみても、産業用ロボットへのベンチャーキャピタル投資額は、4億200万ドルから12億ドルへと3倍に増えている。5年前にこの分野でスタートアップたちが調達したのは、わずか1億9500万ドルだった。

また、現在のロボットの爆発的増加に関して興味深いのは、小売業者からホテルに至るまで幅広い業界の企業たちが、よりスマートなマシンのメリットを受けているということだ。例えば保険業界は、マシンビジョンや自然言語処理などの人工知能ツールを利用して、保険請求を処理し始めている。

これらの拡大するユースケースは、今やBCGが商用ロボットマーケットの成長を2025年までには230億ドルに達する(オリジナルの予想よりも34%多い)ものと予測した理由を説明してくれる。

だが、需要の最大の増加を占めるのは消費者たちだ。BCGの消費者市場規模に対する予測は156%増加したAndreessen HorowitzFenox Venture Capital、そしてSequoiaを含む多くの有名VCたちが、教育と「エンターテイメントロボット」に注目して投資を行っている。

一方こうしている間にも、自律運転自動車技術を開発する激しい競争が繰り広げられている。自律運転車のスタートアップは2017年に調達したのは30億ドルだが、これはその前年の3倍を上回る額である。ロボットの教師やコンパニオンも注目を集めている。

そして、ドローンを無視することはできない。多くの商用アプリケーション(特にセキュリティ)以外では、パーソナルドローンがますます人気のあるガジェットとなっている。中国のドローンメーカーのDJIだけでも、米国のベンチャーキャピタルから1億ドル以上を調達しているのだ。

(写真提供: Zhang Peng/LightRocket via Getty Images)

エッジインテリジェンス

ロボットの核となる場所では、多くのデータが作成されている。実際、それこそが彼らの働く方法である。そして、ロボットにおけるいくつかの傾向は、より多くのプロセッサーと、まったく新しい製品アーキテクチャーのの必要性を増していく。

これからのロボットたちは、より多くのことを聞き、より多くを見て、より多くを感じる必要がある。これらの機能のそれぞれは、それぞれのセンサーを必要とする。例えばマイクロフォン、カメラ、そしてそれらよりも必要度は低いが、タッチスクリーンディスプレイなどだ。そして、そうしたもののそれぞれが、自身のプロセッサを必要としている。

そして、ロボット機能の基礎となるソフトウェアが必要だ。私たちはAI、コンピュータビジョン、自然言語処理、そしてブロックチェーンが重要な力を発揮すると考えている。

ロボットは、クラウドを経由するにせよ、それへのアクセスは行わないにせよ、より多くのコミュニケーションを行う必要がある。
結局のところ、今日のロボットの(ほとんどではないにしても)多くは、インターネット接続によってその有用性が発揮できる。そして、ロボットの数が増え、洗練されていくにつれて、ネットワーク帯域幅に大きな負担がかかり、スマートロボットたちの動作が遅くなっていくことが予想される。

こうしたことを考慮すれば、ロボット革命はまだ始まったばかりであることは明らかなのだ。

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(翻訳:sako)

Kiwiのロボットが腹ペコのバークレーの学生たちに食事を届ける

SkyDeckの本部を訪れると、そこここにKiwiロボットが居るのを見ることができる。このカリフォリニア大学バークレー校のアクセラレータのフロアには、様々なものが並べられているが、スタートアップの小さなチームは、スペースの片隅でロボットを動作させようと奮闘している。

このロボットは、最近UCバークレー校を訪問した人には見慣れたものとなっている。何年もの間、製品のインキュベーションと試作を繰り返す無数のハードウェアスタートアップたちとは異なり、Kiwiのチームは実際の世界で彼らの製品をテストするために、バークレイキャンパスに製品を持ち込んだ。

共同創業者兼CEOのFelipe Chavez Cortesによれば、同社は既にデリバリーロボット群を使って、1万件以上の注文を処理したそうだ。ますます混み合ってきたデリバリーロボットの世界では、これは差別化できる要素である。なぜなら現在都市部の歩道でのテストには問題が指摘されているからだ。昨年の12月、サンフランシスコ市は、ロボットによる歩道占拠の恐れから、都市の路上でのロボット走行を禁止したのだ。

バークレーキャンパスの目と鼻の先に拠点を置くことで、アクセスの良さが担保され、常に空腹の学生たちというリソースが存在することとなり、同社のテストに役立つということがわかった。また同社の小さなロボットは、競合相手の製品のように、歩道を占拠することもない。

「歩道は大切な場所です、私たちは可能な限り最善の方法で、人びとと交流する技術を創造する必要があります」とCotesは言う。「それこそが、私たちが複数の種類のロボットを使っている理由なのです。このサイズのものは注文の80%に対応できます」。

もう一つの重要な差別化要素は、KIwiの、よりモジュール化されたデリバリー方法である。1台のロボットで配送のすべてをこなすのではなく、この小さな4輪のロボットは最後の300メートルをカバーすることを想定してデザインされている。

「当初レストランから顧客の家に直接向かう1台のロボットから始めたのですが、ごく初期のうちにそのやり方は非効率であることがわかりました」とCortes。「そこで私たちはマルチモーダル(複数形態)システムを作りました。私たちは3種類のロボットを持っています。1つはレストラン店内で働くもの、2つめは通りを走る半自律運転の三輪車、そして3番目はラストマイルロボットです。ラストマイルロボットを街に配備しておき、三輪車を使って一度に何十もの食事をピックアップしてきて、それをロボットに乗せます。ロボットが最後の300メートルを担当します。これはうまく行っています。現時点で、人間の配達員を使うよりも安く、企業は配達をコントロールできています」。

今のところ、Kiwiは大胆なスタートアップの1つであり、それを生み出したアクセラレーターと共に働いている。より大規模なスケールでソリューションを提供するためには、同社にはまだまだ取り組むべき課題がたくさん残っている。バークレイキャンパスを一歩踏み出したら、完全な自律走行の問題や、盗難の可能性などの問題に向き合う必要があるからだ。しかし、それでもこれは有望なスタートの1つだ。

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(翻訳:sako)

小さい家に住むブームがナノサイズにまで過激化–光ファイバーの先端に家を

今や世界中で、ヒップな若者たちは、だれがいちばん小さくて奇抜でかわいい家に住んでるかを競っている。でも今回のそれは、彼ら全員に勝つ。ナノサイズのロボットが大工道具の代わりにイオンビームを使い、折り紙の技法で作ったこの世界最小の家は、奥行きが20ミクロンだ。比較のための参考としては、それはほとんど、マンハッタンのロワーイーストサイド(Lower East Side)のスタジオみたいに小さい。

これを作ったFemto-ST Instituteが所在するフランスは、とくにちっちゃい家ブームが激しいが、でもここの研究者たちは遊んでるわけではない。ナノサイズの複雑な構造物は、いろんな産業で必要とされている。たとえば特殊な放射線センサーやバイオセンサーを光ファイバーの先端に取り付ければ、これまで見れなかったところを調べられるだろう。

この家は、同社が開発したツールの実用精度をデモするために作った。組み立てを行ったロボットはμRobotexと呼ばれ、それ自身はナノスケールではない。しかしその作業精度は2ナノメートルととても小さい。

μRobotexのオペレーターはまず、切断した光ファイバー(人間の毛髪より細い)の先端にシリカの薄層を置く。それからイオンビームを使って壁の形を切り抜き、窓やドアを加える。壁は、一部を切り取り、そのほかは切れ目をつけるだけなので、そのとき加える力により折りたたんで両端を合わせられる。

それらの部材が完成したら、μRobotexは道具をガス噴射システムに持ち替えて、各面を互いにくっつけていく。最後に、屋根の上にタイル状のパターンを“射出”することまでする。

概念実証としてこの家を作ったチームは、今度はカーボンナノチューブの先端という、もっと小さい構造物をねらっている。この家の窓を楽に通り抜けるぐらいの。

研究者たちのペーパーは、Journal of Vacuum Science and Technologyに載っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa