2021年に最優先すべきはパンデミックから精神的に立ち直るための技術

2020年、米国人は感染の恐怖、耐え難い愛する人たちの喪失、経済的ストレス、孤独、絶え間ない不安による疲労など、さまざまな問題と格闘してきた。ワクチンの接種が始まり、日常に戻れる時が近づいているとしても、新型コロナウイルス(COVID-19)を終わったものとするのはまだ早い。パンデミックの長期的な悪影響は、今ようやく現れ始めたところだ。具体的には、米国における精神的健康(メンタルヘルス)危機への衝撃は大きい。しかし残念ながら、精神疾患に効くワクチンはない。

米国の成人のうちほぼ45%が精神疾患を抱えて生活しているが、2020年の出来事で状況はさらに悪化し、米国に住む人の5人に2人以上(CDC報告)が新型コロナウイルスの影響による精神疾患に苦しんでいると伝えられている。

さらに深刻なことに、世界保健機構によれば新型コロナ前の段階で、世界の国々では国民の求めに応じようと奮闘しているにも関わらず、国の医療予算のうちメンタルヘルスに支出されたのは、わずか2%だったという。つまりこれは、メンタルヘルスが重視されていないことに加え、治療機会が欠如していることを意味している。

最近になって、遠隔医療サービスが導入されるようになった。根拠に基づく治療で有効性がある場合は、それが膨大な支援要請に幅広く対処できる唯一の方法となる。要するに、各地で医療スタッフが不足しているということだ。

私が英国の国民医療サービス(NHS)の精神科医として勤務していたとき、即座に学んだのは、患者が来るのが遅すぎるということだった。時には数年も遅くなる。もっと早い時期に質の高い治療を提供できていれば、事態はそこまで深刻化していなかったはずだ。当時私は、ここまで需要と供給の差が開いてしまった以上、大規模にテクノロジーを展開するしか解決の道はないと悟った。そして2020年の出来事で、その確信がさらに強まった。

投資家もそこを重視している。その証拠に数多くのメンタルヘルス関連のスタートアップが資金調達に成功している。ビジネスリーダーたちは、変貌した世界に適合する製品に改めて注目している。私たちを危機から救い上げる方法としてイノベーションを優先させ始めているのは明らかだ。デジタルメンタルヘルスソリューションはすでに大幅な上昇を見せている。遠隔治療だけで患者を診ている臨床医は、76%(米国精神医学会報告)にも上っている。大規模に精神疾患に対処できるもっとも明白な方法は、根拠に基づく倫理的でパーソナライズされたデジタルソリューションだ。

遠隔医療を導入すれば、柔軟な治療の選択肢を望む人たちの助けになるだけでなく、地元地域では選択肢が限定されてしまう人々に豊富な治療機会を与えることにもなる。

人気は高まっているものの、デジタルメンタルヘルスソリューションには、克服すべき重大な課題がいくつか残されている。ひとつは消費者の信頼を得て、個人情報を倫理的に責任を持って扱えることを証明しなければならないという問題だ。米国人の81%(ピュー研究所報告)が、その恩恵よりも、個人情報を提供するリスクを重視している。遠隔医療を提供する側は、重大な機密情報であるユーザーの個人的な医療データを、責任を持って扱えることを示す必要があり、そうして初めて信頼が得られる。

これは、米国のHIPPA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)よりも厳格なものでなければならず、提供者側のデジタルメンタルヘルスソリューションを支える倫理的枠組みの構築と実施を必要とする。だが、この取り組みは本物でなければならない。上面だけで倫理をうたう「倫理ウォッシング」の罠に落ちないようにしなければならない。そこで私は遠隔治療提供者に、外部の専門家の監修の元に倫理的枠組みを作り上げ、その結果の公開を約束するよう奨励したい。

さらにデジタルソリューションは、ユーザーのニーズに個人ベースで、パーソナライズしたかたちで応じる必要がある。精神的健康を管理できるとうたっているアプリは多くあるが、「1つのサイズで万人にフィット」させるアプローチであるため、患者固有の症状や個人の好みに適用できるこのテクノロジー本来の利点を活かしていない。ただ治療介入の種類を増やせば済むという問題ではない。たしかにそれも大切だが、要はテクノロジーとの関わり合い方は人それぞれだと知ることだ。

たとえばKoa Halth(コア・ヘルス)では、1つずつ手順を踏んで治療プログラムを進めたい患者もいるれば、必要なときにアクティビティに参加したい患者もいて、そのどちらの要望にも同等に対処することが重要だと認識している。1つの汎用手段ですべての人に対処するのは、単純に不可能だ。

デジタルソリューションは、単にデータに責任を持ち、ユーザーごとにあつらえればよいというものでもない。治療の有効性の証明により多くの力を入れるべきだ。最近の調査(HIMSS報告)では、メンタルヘルスアプリの64%が有効性をうたっているが、根拠を示しているものは14%しかないという。遠隔医療の導入が増えていることは頼もしいかぎりだが、プラスの影響は治療有効性を重視してデザインされ、質の高い臨床試験で効果が実証できる製品からのみもたらされる。根拠に基づく治療有効性と費用対効果が高ければ、それだけ医療提供者や保健会社はそのソリューションを広めてくれるようになる。

ワクチンが間もなくやって来る。しかし、パンデミックがメンタルヘルスに与えた影響は、すぐにでもその直接的な影響を覆い隠すほどの被害になるだろう。ヘルステックは将来有望な発展を遂げたが、精神疾患のデジタル治療ではとくに、これからのさらに大きなメンタルヘルス危機に対処すべく、有効で、倫理的で、パーソナライズされた治療に力を入れることが必要不可欠となる。

【Japan編集部】著者のOliver Harrison(オリバー・ハリソン)博士は、科学に裏付けされユーザーの幸福感を高めるようデザインされパーソナライズされた精神的健康のための広範なソリューションを提供し、治療を再構築するデジタル・メンタルヘルス・プロバイダーKoa Health(コア・ヘルス)のCEO。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルスメンタルヘルス遠隔医療

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(翻訳:金井哲夫)

東京で大学入試の受験生を応援、NearMeとUnitoが空港送迎付き3泊4日ホテル宿泊プランを販売

NearMeとUnitoが空港送迎付き3泊4日ホテル宿泊プランを販売、東京で大学入試を受ける受験生向け

Unito(ユニット)NearMe(ニアミー)は1月8日、東京で大学入学試験を受ける受験生に向けて、3泊4日間の宿泊と空港〜ホテル間の送迎を包括したプラン「受験生応援プラン」を販売開始したと発表した。

学生にとって一世一代のイベントである大学受験のシーズンが開始される。新型コロナウイルスが猛威をふるう中、受験のため東京への移動に不安を持つ方は多いと予想される。UnitoとNearMeは、今回協業したプランにより少しでも移動から宿泊までをスムーズかつ安全に行うことで、受験生の努力が最大限に発揮できる一助になれば幸いとしている。

NearMeとUnitoが空港送迎付き3泊4日ホテル宿泊プランを販売、東京で大学入試を受ける受験生向け

  • プラン名:空港送迎付き受験生応援プラン
  • 宿泊日数:3泊4日
  • 宿泊場所:都内各所(希望エリアに合わせホテルを提案)
  • 部屋タイプ:完全個室
  • 料金:税込4万9500円。1泊あたり1名税込7700円で追加泊が可能。追加料金税込2万7500円により、2名1室での利用も可能
  • 申し込み:「空港送迎付き受験生応援プラン」ページより申し込み

料金に含まれるもの

  • 1名1室あたり宿泊施設料金 3泊4日込
  • 成田/羽田 往路ハイヤー 1名利用分料金込
  • 成田/羽田 復路ハイヤー 1名利用分料金込

ニアミーの新型コロナウィルス対策

  • 乗車中の車内換気を徹底
  • 全乗務員は運行前に検温を行い、マスクを着用
  • アルコール消毒を設置し、乗車の際には乗客にも対応を依頼
  • 前日までに乗車する方を決定し、感染者が出た場合早急に対応
  • 降車後の清掃の際、乗客の触れる箇所にアルコール消毒を実施
  • 乗客同士が隣接しないよう、少人数/大型車で展開
  • 乗車する方にはマスクの着用を依頼

Unitoは「暮らしの最適化」を追求するProp Tech Company。メイン事業としては、「家をシェアして、家賃を節約しよう。」というコンセプトに「帰らない日の家賃がかからない」日本初の料金システム「リレント」(Re-rent)を採用した新しい住まい「unito」の開発・運営を行っている。また、月に3・5・10日間だけ都心に家を持てる「urban」(アーバン)などの販売を通して、新しい暮らしを提案・提供している。

2017年7月設立のNearMeは、リアルタイムの位置情報を活用して地域活性化に貢献する「瞬間マッチング」プラットフォーム作りを目指し、まずシェアリングエコノミーのMaaS(Mobility as a Service)領域からスタート。

2019年8月、空港版のオンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル」の「nearMe.Airport」(ニアミー エアポート)を開始。独自AIを発展させ、ルーティングの最適化をはかってきた。

このルーティングの技術を活用し、コロナ時代においても、不特定多数ではなく、少人数かつ誰が乗車したか追跡できる方法で活用可能な通勤シャトル「nearMe.Commute」(ニアミーコミュート)や、快適な移動を創造する「タクシーの相乗り(nearMe.)」アプリ(Android版iOS版)、またオンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル」を展開している。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:オンデマンド交通新型コロナウイルス(用語)NearMe(企業)Unito(企業)日本(国・地域)

YouTubeが新型コロナポリシーに違反した英TalkRadioの追放処分を撤回

YouTubeは、ニュースと時事問題をカバーするNews Corp(ニューズコープ)が所有する英国の全国ラジオ局であるTalkRadio(トークラジオ)のアカウントに関して、物議を醸していた追放処分を撤回した。

TalkRadioは米国時間1月5日、YouTubeのチャンネルが削除されたことを明らかにしたが、説明は受けていないと述べた。

広く知られた全国放送局のアカウントを一時停止するという決定は、新型コロナウイルス(COVID-19)についての誤った情報に関するYouTubeのポリシーに関連しているようだ。ロイターによると、TalkRadioのプレゼンターの何人かが新型コロナの拡散を遅らせる政府の措置について過剰または間違った方向性だとして批判的だったとのことだ。

しかし、全国放送局を追放するというテック大手の決定は、閣僚であるMichael Gove(マイケル・ゴーヴ)氏によってすぐに批判された。同氏は1月5日、TalkRadioについて触れ、新型コロナに対する政府の政策について質問する権利を擁護した。

i newspaperによると、この追放措置はNews CorpのRupert Murdoch(ルパート・マードック)会長からの介入も招いた。マードック氏はGoogle(グーグル)が所有するYouTubeに対し「危険な前例」「言論の自由と合法的な全国的議論の検閲」と非難したという。

YouTubeの広報担当者は、TalkRadioのアカウントを復活させたことを認めた1月6日の声明で次のように語った。

TalkRadioのYouTubeチャンネルは一時的に停止されていましたが、さらに検討した結果、現在は復活しています。YouTubeは、コミュニティーガイドラインに違反するとしてフラグを立てたコンテンツを迅速に削除します。その中には各国の保健当局や世界保健機関の専門家のコンセンサスと明確に矛盾する新型コロナウイルスに関するコンテンツを含みます。教育、ドキュメンタリー、科学、芸術目的で投稿されたまたはそう見なされた資料は例外とします。

YouTubeが、TalkRadioの復活を正当化する際にどの例外を適用したのかははっきりしない。ラジオでの主張はコンテンツによってあらゆるカテゴリーに渡るためだ。

iによると、TalkRadioは以前、YouTubeのポリシー違反で2020年10月と12月に処分を受けていた。短い停止につながった3回目の違反は、ホストの1人であるJulia Hartley-Brewer(ジュリア・ハートリー・ブリューワー)氏と元国立教育連合会会長のAmanda Martin(アマンダ・マーティン)氏の間で行われた、新型コロナワクチンの最優先権を教師に与えるべきかどうかについてのインタビューに関連していると考えられる。

TalkRadioの追放の取り消しは、表現の自由への懸念と衝突してきたテック大手のモデレーション(コンテンツのモニタリング)に関する決定、という長い物語の最新例だ。プラットフォームが残すと選択するものは、多くの場合、物議を醸す可能性がある。新型コロナに関する誤った情報がオンラインで拡散・増幅されることによる公衆衛生のリスクへの懸念は、間違いなくいつものようにプラットフォームモデレーションビジネスにとって新たな落とし穴となった。

共通する懸念事項は、力を持つ民間団体だ。それらは(英国の)報道機関と同じような統制を受けておらず、「許容できる言論」のレバーの上に手を置いて引き続き自分たちでコントロールしている。

ただし、英国では変化が起こりつつある。政府は、ビッグテックをOfcomの規制下に置く法案を準備している。そしてTalkRadioが以前の声明で指摘したように、その放送はすでにOfcomによって規制されている。

2021年に議会へ提出される予定のオンライン安全法案は、違法で有害な幅広いコンテンツからユーザーを保護するため、テックプラットフォームの「注意義務」を提案している。

この計画では、Ofcomはプラットフォームのコンプライアンスを監視し、コンプライアンスに準拠していないデジタルサービスへのアクセスをブロックする権限と、違反に対して巨額の罰金を課す能力を付与される予定だ。

関連記事:2021年提出予定の英国オンライン危害法案の注意義務違反への罰金は年間売上高10%

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TalkRadioYouTubeイギリス新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)サプライチェーン(用語)商流新型コロナウイルス(用語)Hyperledger Fabric日立製作所物流 / ロジスティクス(用語)ブロックチェーン(用語)Blue Labみずほ銀行みずほ情報総研みずほフィナンシャルグループLinux Foundation日本(国・地域)

米国ヘルスケアインフラの「ラストワンマイル」を拡大するColorが172.2億円調達

ヘルスケアのスタートアップColor(カラー)は、シリーズDラウンドで1億6700万ドル(約172億2000万円)という巨額を調達したことを米国時間1月4日に発表した。調達後の会社評価額は15億ドル(約1547億1000万円)となる。これで同社の調達総額は2億7800万ドル(約286億7000万円)となり、今回の大型ラウンドで得た資金は2020年の記録的な成長を足場に全米を横断するヘルスケア基盤を構築するために使われる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの「ラストワンマイル」配達もその1つだ。

Colorの最新調達ラウンドをリードしたのはGeneral CatalystおよびT. Rowe Priceが投資したファンドで、ほかにViking Global Investorsらが参加した。この資金調達に加えて、Colorは複数の上級幹部を招き、最高プロダクト責任者に元OptimizelyのClaire Vo(クレア・ヴォ)氏、戦略・事業担当VPに元Uberで同社のIPOプロセスの重要な役割を担ったEmily Reuter(エミリー・ロイター)氏、およびマーケティング担当VPに元StripeのAshley Chandler(アシュリー・チャンドラー)氏がそれぞれ就任した。

「この『新型コロナ』危機によってインフラストラクチャーの欠如が白日のもとにさらされました。PCR検査、抗体検査、そして今はワクチンと何度も起きています」とColorの共同ファウンダーでCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏は私のインタビューで語った。「私たちが開発しているモデルは非常にうまくいっていて、本格的にスケーリングするチャンスだと感じています。私が思うに今起きているのは、テクノロジーファーストモデルから始まった国の公衆衛生インフラストラクチャーの構築であり、これは多くの業界で行われているような既存の流通や資源にテクノロジーを付け足すアプローチとはまったく異なるものです」。

2020年はColorにとって記録的な年だった。これにはサンフランシスコ市との提携によって医療従事者と住民の検査体制を確立したことが大きく貢献している。ララキ氏は私に、同社は前年比約5倍の売上を達成し、顧客から得た売上を元に持続可能な成長の準備を整える一方で、2021年以降に向けての野心的計画のために、今が新たな資金を得て成長を加速する最適のタイミングだと語った。

ララキ氏はColorのアプローチについて、会社にとってコスト効率が良いだけでなく、提携するヘルスケア提供者にとって大きなコスト削減になると説明している。同氏はこのアプローチを、小売業のオンライン販売へのシフトになぞらえる。中でもあの業界の巨人に。

「いつかはAmazon(アマゾン)を作ることになります。アクセスとスケールに最適化したテクノロジーファーストの仕組みです」とララキ氏は話す。「それこそが現在、私たちがヘルスケアでやろうとしていることだと思っています。たった今、一種の触媒作用を受けていると感じるのは、私たちがこれを新型コロナウイルス危機に適用できることに気づき、実際にそれを予防に利用する準備を始めたことです。今後ヘルスケアの巨大な領域に適用されるものと私は考えています。基本的に、緊急性のない、病院にいかなくてもよいすべてのヘルスケアが対象です」。

究極的にColorのアプローチは、ヘルスケアの供給を見直し「町や村の外れでも人々の命に直接関われる体制」を「低コスト」の「スケーラブルで多くの診療リソースを使わない」方法で提供することだとララキ氏は語る。これは現在行われている方法に関する多くの既存の知識に依存せず、問題を再評価すれば十分可能だと彼は指摘する。従来の無駄を廃して、本当に必要な結果を提供することだ。

ララキ氏は、この問題を容易に解決できるとは思っていない。むしろ2021年はヘルスケア産業にとって多くの面で2020よりも困難な年になることを認めている。そして我々はすでに、始まったばかりのワクチンの配給・配達の問題に直面している。それでもララキ氏は、こうした課題への取り組みを支援するColorの能力については楽観的であり、重要な医療の「ラストワンマイル」配達システムを作って利便性を高めるとともに、すべてが間違いなく適切な方法で行われるための努力を怠らない。

「一歩離れて見てみると、そもそも新型コロナの検査やワクチン接種は、何ら複雑な手続きではありません。手順は驚くほど単純です」と彼はいう。「難しいのはそれを大規模に、かつ個人にとってもシステムにとっても非常に安いコストで行うことです。それにはまったく異なる段取りが必要なのです」。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Color新型コロナウイルス資金調達

画像クレジット:Color

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

コワーキングスペースの「いいオフィス」が2.4億円を調達、新プランに向けシステム開発強化

「働き方を自由にする」をテーマにコワーキングスペース事業を展開する「いいオフィス」は1月5日、第三者割当増資による合計2.4億円の資金調達を発表した。引受先は、江口勝義氏(エグチホールディングス 代表取締役)、高原直泰氏(沖縄SV CEO)、NKC ASIA、ほか個人投資家。累計資金調達額は4億円となった。

調達した資金により、店舗開拓とブランディング、さらに新プランに向けたシステム開発を強化する。

いいオフィスでは、コワーキングスペース「いいオフィス」を全国をはじめ海外にも展開。国内外問わず月額制でどこでもご利用できるサービスを提供している。国内外270店舗を運営しており、2020年度中には契約ベースで400店舗の展開を目指し、さらなる店舗開拓を進めている。

同社によると、リモートワーク・テレワークが急速に広がり、「働き方改革」が進んだ一方、労働環境が充実しているとはいえない「在宅ワーク」により、効率低下や社員の孤立化など、新たな問題も発生しているのが実情という。また、リモートワークやテレワークは「会社に行かなくていい」ではなく、「働く場所」=「快適でアクセスしやすい労働環境」を充実させることが不可欠と指摘。

電車・車を使って遠くにある快適な労働環境へ移動するのではなく、「今いる場所の近く」で、「快適で、人とのつながりを構築できる労働環境」がある「働き方の未来」を目指すという。「まるでコンビニのように働く場所」にアクセスできれば、「働き方」はより自由になるとしている。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:いいオフィス(企業)コワーキング資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

新型コロナに苦しむ人を救う開発者の卵が作ったDevelop for Goodが学生と非営利団体を繋ぐ

2020年は社会的組織の年だった。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界と米国を襲い、国や町、村町などさまざまなレベルの行政府のほかに、非営利組織とボランティア団体のパッチワークのような組織が活動を開始し、ウイルスに苦しんでいる人や家族に食べ物や医療品、子どもたちの本や衣類などを配った。

救援のための最大の格差が、おそらくデジタルの分野だろう。非営利団体は今日の小売企業がまさにそうであるように、受益者じゃインターネットに接続する必要がある。しかしテクノロジー方面の人材は高価であり、なかなか見つからない。そうでなくても非営利団体の多くが裕福でない。

このことを痛感したスタンフォード在学中のMary Zhu(メアリー・ズー)氏とAmay Aggarwal(アメイ・アッガルワール)氏は、コンピューターサイエンスやデザイン、経済学などの学部学生有志と、専門的能力を必要としている非営利団体のプロジェクトを結びつけるサービスであるDevelop for Goodを創業した。彼らはパンデミックの急速な拡散が始まった2020年3月にネットワークを立ち上げ、以後その組織は急速に大きくなった。

「学生たちはボランティアとしての意志があるだけでなく、自分たちのプロとしてのスキルを生かせて体験を積む機会を求めている。学生たちと非営利団体のニーズの両方が、このようにたまたま合ったため、Develop for Goodが提供する両者のマッチングが急速に増えた」とズー氏は説明する。

現在のところ、米国の法律で免税などの資格を認められている非営利団体501(c)(3)団体であるDevelop for Goodは、25000あまりのボランティア時間を各種の事業に配分している。有名な501(c)(3)団体としてメディアがよく取り上げるのは、「Ronald McDonald House」「UNICEF」「Native American Rights Fund(NARF)」「Easterseals」「The Nature Conservancy」「Save the Children」「AARP」などの団体だ。ズー、アッガルワール両氏のスタンフォードにおけるネットワークも、今では全米で12あまりの大学が参加している。2人はスタンフォードの同窓会ネットワークを介して各大学の非営利団体に接触したが、事業の評判が高まっていくにつれ相手先の関心や参加も増えてきた。

ボランティアたちが取り組む典型的なプロジェクトは、週5〜10時間で計10週程度のものだ。チームは少なくとも毎週、クライアントの非営利団体と会合を持ち、プロジェクトに求められる方向性を確認する。プロジェクトで多いのは、アプリケーション開発やデータの視覚化、ウェブデザインだ。期間内に完了するプロジェクトが多いが、中にはプロダクト開発のように今後、時間を必要とするものもある。事業の拡大とともにズー、アッガルワール両氏は本格的なメンター部門も設けて、学生たちの仕事を指導し助けている。

2021年1月に始まる次のバッチは、すでに学生たちの応募を受け付けている。締切は1月2日だ。ズー氏らによると、予想ではおよそ800の応募が集まり、最終的には200名のボランティアを32のプロジェクトに割り当てることになるという。応募者の選別は、彼ら学生たちの関心分野と、今後の事業との相性で決まる。試験による競争のようなものはない。現在までDevelop for Goodが手がけたプロジェクトは50件だ。

次のバッチではAmazon Web Servicesが、(米国人としての)第一世代と低所得の学生に奨学金を提供して、ボランティアワークに取り組んだことによる収入減などの経済的な問題への対処を支援する。「前回は、『家庭が貧しいので無給の仕事はできない』といって、途中でいなくなった人たちもいる」とアッガルワール氏はいう。奨学金はそのような学生を助けて、経済的負担を軽減しながらボランティアを続行できるようにする。

アッガルワール氏によると、この事業のボランティアのデベロッパーとデザイナーは、2 / 3が女性であり、1 / 3が第一世代または低所得層だ。

カテゴリー:その他
タグ:新型コロナウイルスボランティア

画像クレジット:Juhari Muhade/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナで露見したサプライチェーンの脆弱性

パンデミック初期、程度の差こそあれ、世界中でロックダウンが行われそうなことは明らかだった。当然のことながら、トイレットペーパー(および、そこまでではないがペーパータオルとティッシュ)が飛ぶように売れた。店側は突然、人間が消費する最も基本的で便利なモノの1つが売り切れていることに気づいた。

このレベルまで人々が備えるというのはかつて見られなかったし、サプライチェーンの準備も整っていなかった。サプライチェーンは依然としていつも通りのスピードで動いていたため、需要と供給の間にギャップが生じた。

パンデミックがさらに進行すると、基本的な商品の供給というこの問題は、個人用保護具(PPE)の安全の限界を引き伸ばしていた最前線の労働者に移った。これにより需要の急変によるサプライチェーンへの影響が明らかになった。企業は自社の設備を保護具と手指消毒剤の生産に再利用し始めた。手っ取り早く利益を上げる目的の企業もあれば、サプライチェーンのニーズを満たす目的の企業もあった。

政府や企業は緊急に対応した。サプライヤー候補からの申し出をまとめるスプレッドシートがあったようだ。

この間、市場全体を概観することは困難だった。品質、仕入先の検索、価格変動があらゆるところで混乱を引き起こしていたからだ。製造元を追跡し、製造施設の品質管理に関するデータを入手することはほぼ不可能だった。市場は粗悪な製品や偽物で溢れかえっていた。サプライチェーンの構造に関する解説記事が初心者向けガイドとともに出始めた。

消費者は、現状のシステムがこういった激変のために構築されたものではないことを理解し始めた。

再考を促される企業の調達戦略

我々がはっきりと目撃したのは、企業はサプライチェーンをほとんどコントロールできないということだ。大半の企業は通常、直接の調達先に関して穏やかに機能するリスク計画しか用意していない。我々のほとんどがXbox Series XやPlay Station 5なしでこのホリデーシーズンを過ごさなければならない理由はこれだと察しがつく。そうしたゲーム機は1つの調達先からの部品で作られる製品ではない。1つのゲーム機を作るために多数の部品と材料が使われる。

外装材の仕上げ工程から、染色のための材料、各種プラスチック、低コスト国に生産拠点を設ける必要性といった要素すべてが、物事が正常に動かない場合には生産を遅らせる可能性がある。ゲーム機を分解すると企業、プロセス、材料、国からなる非常に複雑なマトリックスを見てとることができる。

もし我々が、ゲーム機の各部品の旅をすべての材料、関係する人間、企業、場所をわかりやすく表現し、直接可視化できれば、サプライチェーンの非効率性がどこにあるのか特定できる。

すべての材料と部品はサプライチェーンのどこかを通るが、その過程でストーリーは失われる。個別具体的なデータは入手できないため、企業と国のいずれも、サプライチェーンを混乱に陥れる世界的な出来事に備える効果的なリスク計画の作成に苦慮している。

現在、ほとんどの人が気づかぬところで革命が起こっている。分散型台帳技術(ブロックチェーン)により透明性をサプライチェーンにもたらすことが可能になりつつあるのだ。

脆弱性を特定する

企業が自らを守るためリスクの所在を把握しようとするなら、いろいろ掘り下げて考える必要がある。そのためには、直接の調達先やそのまた調達先をはるかに超え、流通施設や輸送ハブを含む完全なサプライチェーンのマッピングが必要となる。これは時間と費用がかかるため、ほとんどの大手企業は支出の大部分を占める戦略的な直接の調達先にのみ注意を向けてきた。

だが、サプライチェーンを詳しく調べるよりも、ビジネスを停止させる突然の混乱の方がはるかにコストがかさむ可能性がある。

マッピングプロセスの目標は、サプライヤーを低・中・高リスクに分類し、適切なリスク緩和戦略を練ることだ。ただしこのアプローチは、サプライチェーンの任意のポイントで異なるサプライヤーが生成するデータにアクセスできる場合にのみ可能となる。その場合はデータを信頼することができ、分析が可能になる。

目的は遅延や混乱を早期に警告し、調達先の多様化または主要な材料や品目の備蓄を可能にすることだ。もちろんこれはすべて不確実だ。トイレットペーパーがなくなってからわずか数カ月後にはワクチンが普及している。

パンデミック、ワクチン、サプライチェーン

我々がグローバルで自由な市場だと思っていたものが2020年試された。医薬品会社は、インドで生産された頭痛薬の有効成分など、いくつかの主要成分を調達できない事態に直面した。すべては自国で必要とされる商品を確保するための国同士の戦いになった。この傾向は、貿易におけるナショナリズムと保護貿易主義の高まりによっても強化された。サプライチェーンの管理と可視化の必要性は明白であり、民間部門だけでなく政府にとっても優先事項になった。

ワクチンの展開によりリスク、調達、プロセス管理という点だけでなく、品質と責任という点からも上記の問題が発生する。偽物からサプライチェーンプロセスの極めて特定のポイント(Reuters記事)を標的とするすでにアクティブなサイバー攻撃(ワクチンは特定の温度で出荷・保管する必要がある)まで、製造におけるすべてのタッチポイントのストーリーを伝える分散型物流システムの必要があろう。だがすでに見られるように(The Washington Post記事)、政府が自身のサプライチェーンに対するニーズを管理できないなら、こうしたことはそもそも問題にすらならない。

新型コロナウイルスのパンデミックから教訓を得ることは可能だ。企業と業界全体が政府と緊密に協力して、グローバルなサプライチェーンモデルを再考し変革する時が来た。1つ確かなことは、パンデミックがすでに多くの組織、特に原材料または完成品を世界中からの調達に大きく依存している組織の脆弱性を露呈したということだ。

幸いなことに、サプライチェーン全体の可視性を高め、リスクを軽減し、次のパンデミックという変動性に対処できるインフラを構築する新しいサプライチェーンテクノロジーが登場している。サプライチェーンに沿って提供されるデータの説明責任と信頼を確保するためのソリューションとして、分散型台帳テクノロジーが有用であることはすでに証明されている。デジタルサプライネットワークは、線形サプライチェーンモデルに徐々に取って代わり、機能別のサイロを分解し、エンド・ツー・エンドの可視性、コラボレーション、機動性、最適化を実現する。

これは将来に向けた朗報だ。家から働き、トイレットペーパーを備蓄し、更新ボタンをクリックしてまったく数が足りないゲーム機がカートに追加されているのを期待するような1年を過ごしてきた我々は皆、今やサプライチェーンロジスティクスの専門家だからだ。

【Japan編集部注】Jens Munch Lund-Nielsen(イエンス・ムンク・ルント・ニールセン)氏は、IOTA Foundationのグローバルトレードおよびサプライチェーンの責任者。

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(翻訳:Mizoguchi

従業員コンディション分析のラフールが12.3億円調達、BtoE・BtoC事業展開を加速

従業員コンディション分析のラフールが12.3億円を調達、BtoE・BtoC事業への展開加速

「心理的安全性」と「エンゲージメント」を可視化する組織診断ツール「ラフールサーベイ」(Android版iOS版)を提供するラフールは12月28日、第三者割当増資による12.3億円の資金調達を発表した。引受先は、i-Lab3号投資事業有限責任組合、 Aslead Capital Pte. Ltd.、AGキャピタルをはじめとしたVC、ゼンリンデータコムなどの事業会社、個人投資家。累計資金調達額は約20億円となった。

調達した資金により、ラフールサーベイのプロダクト開発やセールスマーケティング活動、カスタマーサクセス体制、コーポレート機能をさらに充実させ、中期ビジョンである「BtoE」「BtoC」事業への展開を加速する。

ラフールサーベイは、企業の「健康経営」や従業員の心身の健康状態を可視化可能な、「個人が変われば、組織が変わる」組織診断ツール。約3000社の従業員18万⼈以上のメンタルヘルスデータから、⼤学や臨床⼼理⼠の知⾒を取り⼊れた独⾃の調査項⽬を従来のストレスチェックに加えることにより、多⾓的な分析が行える。組織エンゲージメント・ハラスメントリスク・離職リスクなども含めた包括的な診断が可能。

ラフールは、個人(働く従業員)、管理職、組織、あらゆる角度の意識を変え、寄り添うことではじめて、組織の健全化、良くしていくことができると考えているという。また、通常のストレスチェックだけでは見えづらい心の状態が可視化されることで、社員が安心して働ける職場環境をつくり、人材の定着と組織改善につなげられるとしている。

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ランナー向けSNSアプリを中心にメディア/ECサービスを運営するラントリップが6000万円を調達

ランナー向けSNSアプリを中心にメディア/ECサービスを運営するラントリップが6000万円を調達

ランナー向けSNS「Runtrip」(ラントリップ。Android版iOS版)を中心にメディア「Runtrip Magazine」/ECサービス「Runtrip Store」を展開するラントリップは12月25日、第三者割当増資による6000万円の資金調達を発表した。引受先はFFGベンチャービジネスパートナーズ、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏(HiRAKU)、および既存投資家。累計調達総額は約2億円となった。調達した資金は、サービスのさらなるユーザー体験向上のための機能開発や、事業規模の拡大に向けた人材採用に活用していく。

コロナ禍において、世界中で「健康維持」や「リフレッシュ」などを目的にランニングを始める人が増加。これまで以上に「ココロ」と「カラダ」の健康に対する世の中の意識が向上し、ランニングをはじめスポーツの価値が改めて見直された1年となった。

一方ラントリップによると、ランニングは手軽に始められる反面「継続することが難しい」といった課題を抱えているという。同社はこうした課題を解決し、ひとりでも多くのランナーが楽しく走り続けられるよう「もっと自由に、楽しく走れる世界へ。」というビジョンを掲げてサービスを展開してきた。

2020年は多くのマラソン大会やイベントの中止が相次ぎ、オンライン上でランニングのモチベーションを維持するニーズが増加したことから、同社ランナー専用SNSアプリ「ラントリップ」では、ユーザーがお互いの走行履歴を賞賛する「Nice Run!」が毎月160万回以上送り合われた。また、新規ユーザーの約4割がアプリダウンロード後に運動頻度が向上しているそうだ。

10月提供開始の「オンラインランニングイベント」では、累計約2万9000人が参加する国内最大規模のイベントへと成長。同社ブランドを中心に取り扱うECサイト「Runtrip Store」ではコロナ前の平均売上げの26倍以上の規模に急拡大し、アパレルの観点からもランナーのモチベーション向上に寄与しているとした。

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自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

Capexは12月24日、第三者割当増資および融資による合計1億円の資金調達を2020年7月までに発表した。引受先は東京大学エッジキャピタル(UTEC)。借入先は日本政策金融公庫。調達した資金をもとに人材採用、プロダクト開発、および自然言語処理を活用した対話エンジンの研究開発を行っていく。

また、ライフパートナーアプリ「PATONA」の提供開始を明らかにした。iOS版のみ公開しており、Android版もリリース予定。

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

PATONAは、自分だけのライフパートナーAI「パトナ」を提供するスマホアプリ。パトナは話せば話すほどユーザーについて学び、どんどんユーザーに合った存在になっていくという。どんな時でもそばにいて、いつでもどこでもユーザーを支えるとしている。

PATONAの主な機能は、AI対話機能、着せ替え機能、コース機能の3点。AI対話機能では、話せば話すほどユーザーについて学び、最適な対話を行う。着せ替え機能は、ユーザーの好みにパトナの見た目を変更できるというもの。コース機能では、メンタルヘルスや日常生活に役立つオリジナルコンテンツを提供する。

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

コロナ禍によりコミュニケーションが減少やメンタルヘルスの課題が浮き彫りになる中、Capexは、ユーザーの方々がより安心した日常生活を送れるよう、ユーザーの気持ちに寄り添い、支えることができる存在の実現を目指しPATONAの開発・提供を行っている。引き続き、対話体験の向上および、機能・コンテンツを拡充し、ユーザーの方々の生活に役立てるよう開発していくとしている。

UTECは、「Science/Technologyを軸に、資本・人材・英知を還流させ、世界・人類の課題を解決するためのフロンティアを開拓する」というミッションを掲げるベンチャーキャピタル。東京大学が承認する「技術移転関連事業者」として、スタートアップ企業を通じ大学の「知」を社会に還元すべく、優れた知的財産・人材を活用するスタートアップ企業に対して投資を行う。

2019年設立のCapexは、「人とシステムの共生を実現、普及し、人類の機能を拡張する。」というビジョンのもとパートナーAIアプリ「PATONA」の企画開発を行うスタートアップ。独自のAI対話エンジンおよびキャラクター構築基盤を有しており、引き続き人とシステムの共生を実現、普及するためのプロダクト開発を推進している。

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埼玉大学発の進化分子工学スタートアップEpsilon Molecular Engineeringが資金調達

埼玉大学発の進化分子工学スタートアップEpsilon Molecular Engineeringが資金調達

進化分子工学を基盤技術とする埼玉大学発バイオテック系スタートアップのEpsilon Molecular Engineering(EME)は12月23日、シリーズAラウンドのセカンドクローズとして資金調達を実施したと発表した。

セカンドクローズの引受先は、リード投資家の三菱UFJキャピタル、地域経済活性化支援機構(REVIC)と群馬銀行がその子会社を通して運営するぐんま医工連携活性化投資事業有限責任組合、花王。また商工組合中央金庫より劣後ローンを実行、埼玉りそな銀行より借入、首都圏リースよりリースを実行した。シリーズAラウンドにおいて、エクイティファイナンス、借入、リースにより合計5.7億円を調達したことになる。

調達した資金により同社は、Heavychain single domain抗体(VHH。シングルドメイン抗体)を中心に新世代中分子バイオ創薬の研究開発をさらに推進する。

EMEは、「未来のバイオ分子を創造する」をミッションに掲げ、埼玉大学発スタートアップとして2016年に設立。設立者および現代表取締役は、埼玉大学大学院 理工学研究科物質科学部門 根本直人教授。

進化分子工学の技術によって、VHHやcyclic peptidesなどの巨大な配列多様性を有するライブラリ「cDNA Display Libraries」を独自に構築し、次世代シークエンス NGS、FACS、AIを活用した独自のハイスループットスクリーニング法によるシステムを構築した。

進化分子工学とは、突然変異と淘汰による生物の進化サイクルを試験管内で再現し、タンパク質など分子の生物機能に改良を加えていく研究。分子に変異を導入・増幅することで多様性を創出し、「望む機能を備えるものだけが生存する」プロセスを繰り返すことで、新たな分子機能を開発する。

現在同社は創薬・医療領域にフォーカスしており、新しいモダリティによる新世代のバイオ医薬品や中分子医薬品の開発候補品の取得、細胞・遺伝子治療でのVHHの活用に取り組んでいる。

また、製薬企業などの提案に基づく共同研究開発を展開し、さらに自社研究開発パイプラインについて共同研究開発パートナーとの早期の提携を目指して研究開発に取り組んでいる。最近の成果として、新型コロナウイルスに対し感染抑制能をもつVHHを取得した旨を北里大学、花王と連名で発表した(「大村智記念研究所片山和彦教授ら研究グループが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH抗体の取得に成功」)。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Epsilon Molecular Engineering医療(用語)埼玉大学進化分子工学資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

社員健康管理システムのReturnSafeが3.4億円調達、新型コロナで需要急増

ReturnSafeは社員の症状調査と接触追跡を行う健康管理ツールキットを企業向けに提供している会社だ。このほど325万ドル(約3億4000万円)の資金をFifty Years、Active Capitalなどの投資家からの借り入れによって調達した。

事業を再開し、社員が職場に安全に戻れる方法を探る企業が増す中、社員の健康を追跡するさまざまな管理ツールキット製品が、安全な職場環境を維持するためのあらゆる戦略を提供して市場に殺到している。

その中には、WorkSafeの製品やMicrosoft(マイクロソフト)とUnitedHealthが提供するProtectWellのほかNSpaceは、同様の機能に加えてオフィスの予約を安全に行うためのスケジュール機能も提供している。

そんな中、ReturnSafeは6カ月前の開業以来、毎月6ケタ(数十万ドル)の収益を上げ、50以上の組織にサービスを提供している。

投資家や顧客に向けての謳い文句は、社員を管理し、職場の健康リスクを確実になくしたいというニーズは、新型コロナウイルスの流行以降高まるばかりだということだ。

もちろん、雇用者が社員の安全と安心を確実に守る最善の方法は、社員が病気のときに適切な休暇を与え、リモートワークが不可能な場合には全員が適切な頻度で検査を受けられるようにすることだ。

競合他社と同じく、ReturenSafeは症状検査システム、検査ダッシュボード、症例管理ダッシュボード、新たなワクチン管理サービスなどを提供している。こうしたソフトウェアツールに加えて、ソーシャルディスタンスアラームを内蔵したウェアラブルデバイスによって社員同士が安全な距離を保てるしくも提供していることをReturnSafeは強調している。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:ReturnSafe新型コロナウイルス資金調達

画像クレジット:Al Seib / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

医療従事者版LinkedInを運営するH1が約60億円調達

それはあまりにも単純なアイデアだと思われるかもしれない。ヘルスケア業界に特化したLinkedIn(リンクトイン)のようなサービスを作り上げ、どのような資格を持っている専門家がどこにいるか、すぐに探せるようにするだけでなく、その専門家が行っている研究や専門分野についても知ることができるようにするというのだ。

世界的な感染流行の真っ只中にあり、医療業界の誰もが、世界中に野火のように広がっている新型ウイルスに最も影響を受けている医療の特定の分野の専門家を見つけようとしている今、その単純なアイデアが必要されている。

今年はじめ、米国で新型コロナウイルスの感染蔓延した際に、H1は自らが置かれている状況を認識していた。このスタートアップが、新たな資金調達で5800万ドル(約60億円)を調達した。同社は1月にY Combinatorのプログラムを終了したばかりで、それから現在までの1年未満の間に7000万ドル(約72億円)以上の資金調達を完了している。

同社に対する投資額を倍増させたMenlo Venturesが、成長段階の投資会社IVPと共同で、H1への新たな資金調達を主導している。

彼らの投資の根拠は、H1の爆発的な成長に起因している。同社はわずか12カ月前にY Combinatorからスタートし、現在250人の従業員を擁するまでに成長した。H1は既に米国で事業を展開しているが、2021年にはヨーロッパとアジアへの進出を目指しており、トップ20の製薬会社のうち13社を顧客としている。直近の記録によれば、同社はすでに全世界で900万人以上の医療従事者のプロフィールを持っているという。

H1の資金調達の歴史に詳しいある人物によると、Menlo Venturesは同社の業績に非常に満足しており、数千万ドル(数十億円)の先行融資を申し出たという。

「LinkedInが2000年代初頭に専門的職業従事者を結びつけたのと同じ方法で、私たちはヘルスケアのエコシステムがつながるプラットフォームを作りました。H1のような医療業界と適切な医師を結びつけたグローバルなプラットフォームは、これまでありませんでした」と、H1の共同創業者でありCEOのAriel Katz(アリエル・カッツ)氏は言う。「当社にとって素晴らしいパートナーであるMenloを含む、優れた投資グループと行う今度のラウンドの資金調達は、当社が最大の医療従事者向けプラットフォームとなり、最終的にはより健康的な未来を創造する活動を続けるための助けとなるでしょう」。

Menlo Venturesは確かにそう考えている。

「H1と一緒に仕事を始めたときから、製薬会社や小規模なバイオテクノロジー企業を対象にした初期の 『取っ掛かり』ですでに製品と市場の適合性を示す初期の兆候が見えていました。顧客からのフィードバックは、製品の価値とH1チームのカスタマーサクセスに対するコミットメントの両方において最高のものでした」と、Menlo VenturesのパートナーであるGreg Yap(グレッグ・ヤップ)氏とJP Sanday(JP.サンデイ)氏はブログ記事で書いている。「私たちが紹介したデリジェンスの1つは、数百万ドルの顧客と投資家にまで成長しました。しかし、H1が要求の厳しい大規模な企業顧客をサポートするための成熟の初期段階にあることは明らかでした。現在、シリーズBでは、H1は実行力を高め、上位20社の製薬会社のうち13社を顧客として獲得し、利用継続率、売上継続率、販売効率においてトップティアのベンチャーメトリクスを達成しています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達、医療、新型コロナウイルス、

画像クレジット:elenabs / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

米食品医薬品局(FDA)はModerna(モデルナ)の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに対し緊急使用許可(EUA)を出した。今週初めに諮問委員会が許可を推奨していたことを受けてのものだ。EUAで米国での使用が認められたコロナワクチンは、Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)が共同開発し、先週承認されたものに続き2例目となる。

Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士がNBC番組Todayでのインタビューで語ったところによると、Modernaのワクチンの接種は12月21日か22日には始まりそうだ。この承認から接種までのタイムラインは、PfizerのEUAから実際に最初の接種が先週始まるまでのものと同じだ。

Pfizerのワクチンと同様、ModernaのワクチンもmRNAタイプだ。つまり、ウイルスそのものは含まず、人体に特定のタンパク質をつくるよう伝える遺伝子情報だけを含んでいる。そのタンパク質は新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスSARS-CoV-2が持つものとほぼ同じだ。Modernaのワクチンでは人体がそれ自体は無害なタンパク質を作るようにするだけで、免疫システムによる自然免疫能がタンパク質に反応してウイルス防御法を構築する。防御システムは体に記憶され、その一方でワクチンそのものはほどなくして自然に消失し、人に免疫だけを残す。

米国での使用はまだ承認されていないオックスフォード大学とAstraZeneca(アストラゼネカ)が共同開発したワクチンは、接種した人の体の中でタンパク質を急増させないよう弱毒化され、組み替えられた普通の風邪のウイルスを使っている。結果として人体は免疫反応をつくることができる。これはワクチン開発の過程でより確立されている方法だ。しかしModernaとPfizerのmRNAベースのワクチンは大規模なフェーズ3治験の予備データでかなりの有効性を示した。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Modena、新型コロナウイルス、ワクチン、米国

画像クレジット: Konstantinos Zilos/SOPA Images/LightRocket

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ検査の高速・高信頼化でポーランドのバイオテクノロジー企業GeneMeが6.6億円調達

ポーランドで新型コロナウイルス(COVID-19)検査を提供しているバイオテクノロジー企業のGeneMeが、Robin Tombs(ロビン・トムズ)氏がリードするシードラウンドで520万ユーロ(約6億6000万円)を調達した。トムズ氏はYotiの共同創業者で、以前はGamesysの共同創業者だった。この投資には、そのほかのエンジェル投資家たちも参加した。

同社はRT-LAMP検査のためのユニバーサルプロテイン(ポリメラーゼ)を開発して特許を取得している。これにより、極めて正確で迅速な分子遺伝学的新型コロナウイルス検査を可能にしている。これには3つの分子核酸増幅新型コロナウイルス検査であるFRANKD、SAVDおよびICEDがある。FRANKDはヨーロッパのCE IVD認可およびFDA(米食品医薬品局)のEUA(緊急時使用認可)を適用され、そのソリューションはすでに20か国以上で利用されている。FRANKDは、スコットランド政府による公的な研究で発見され、現在の市場では最も正確で迅速な新型コロナ検査とされている。FRANKDのソリューションはすでに、ヒースロー空港やVirgin Atlantic、テレビ番組「Britain’s Got Talent(ブリテンズ・ゴット・タレント)」などで使用された。

「私たちは健康の問題だけでなく、才能やスポーツの能力、学習障害、カフェインの代謝能力などなど、遺伝的資質にも関心がある。将来的には、誰もが自宅で遺伝子分析をできるようになるだろう」とGeneMeのCEOであるDawid Nidzworski(ダウィド・ニツヴォルスキー)氏と語る。

Yotiの共同創業者であるロビン・トムズ氏は「GeneMeの革新的なアプローチは今後何年にもわたり、高度にディスラプティブであり続け、ますます多くの検査が診療現場で行えるようになり、しかも低コストになるだろう」という投資家としての見解を出している

GeneMeは、独立のバイオメディカル研究機関であるBiotechnology and Molecular Medicineからのスピンアウトだ。

最近同社は、米国のBIOLYPHとのパートナーシップを発表した。後者は凍結乾燥サービスの世界的リーダーで、FRANKDとSAVDを大幅にスケールアップした。

GeneMeが特許を取った技術は、標準の検査機関ベースのRT-PCR検査に比べて、検査手続きの全体を単純化している。RT-LAMP検査はより効果的であり、結果の信頼性が高い。またGeneMeの検査技術は診療現場で実施でき、それにより高度に正確な検査を被検者の職場でできたり、国境などスループットの非常に高いところでも検査できる。

新型コロナウイルス診断のグローバルな市場は2020年で844億ドル(約8兆7200億円)と推計され、2021年から2027年までの年平均成長率は、Grand View Researchによると3.1%と予想されている。

関連記事:オフィスの新型コロナ対策を支援する空気品質監視プラットフォームのOpenSensorsが4.1億円調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:GeneMe新型コロナウイルスCOVID-19資金調達

画像クレジット:GeneMe FRANKD-Test

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナで悪化するテクノロジー依存:脱するために今できること

著者紹介:Stuart Wall(スチュアート・ウォール)氏は、スモールビジネスの拡張を手助けするクラウドベースのカスタマーコミュニケーション・プラットフォームSignpost(サインポスト)を創設したテクノロジーエグゼクティブであり起業家。

ーーー

新型コロナのパンデミック(世界的流行)により、アメリカにおけるテクノロジー依存が加速した。依存によって多くの人が悲しみや不安にかられたり、やる気を失っている

Facebook(フェイスブック)やTikTok(ティックトック)、 Snapchat(スナップチャット)などの企業では、我々が彼らの製品を頻繁に使用すればするほど、より多くの広告収益を得ている。こうした企業はプッシュ通知やパーソナライズされたフィードを使用して我々消費者を惹きつけ、感情を操り行動に影響を与えている。

こういった企業の商売は実に順調だ。今アメリカ人は、デバイスを毎日5時間以上使用している

だから何なのか?Netflix(ネットフリックス)の「The Social Dilemma(監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影)」で語られるように、テック企業は引き続き自社の利益の動機に従って、我々を惹きつけることだろう。政府が、砂糖や違法薬物の消費よりも不健康なテクノロジーの消費のコントロールに関与する可能性は低いだろう。我々自身がコントロールする必要があるのだ。

私の見解はテック企業の元CEO、そしてテクノロジー依存者としてのものだ。私が創業したマーケティングプラットフォームは1億ドル(約104億円)以上集め、350名の従業員を持つ会社に成長し、去年プライベートエクイティ会社に売却した。私はその中で、酷いテクノロジーの習慣をいくつか身に着けてしまった。メールは常にチェックし、対面でのやり取りもプッシュ通知があれば中断していた。

昨年家族を訪ねたときには、私のテクノロジー依存は落ちる所まで落ちていた。そこで私はスマホを置き、重度のパーキンソン病を患う母と一緒にガーデニングに励むことにし、意図的にゆっくりと行動した。

禁断症状に苦しむ中毒者のような気分だった。スマホはまるで磁石のように、未読の仕事メールやニュース速報を確認するように私を引き寄せていたのだ。テクノロジーの使い過ぎにより、脳の配線回路が変わり、生活意識の質は下がり、疎外されているような感覚に陥っていた。

私は今年の初めにCEOを辞め、空いた時間を利用してマインドフルネス、神経の可塑性、テクノロジー依存症について学んだ。また最も重要なことだが、テクノロジーの使用を管理する戦略を作った。これにより気分は優れ、より生産的になった。

私が学んだことをお伝えしたい。

テック企業は我々の脳につけ込んで、注意を引こうとしている

一部のテック企業は我々の注意を引くために、UCLAの精神医学者Daniel Siegel(ダニエル・シーゲル)氏が「一階脳」と呼ぶ、脳の最も古い部分をターゲットにしている。一階脳には、脳幹と辺縁域があり、本能と衝動(闘争・逃走)や強い感情(怒りや恐怖)をコントロールする。反対に二階脳には大脳皮質があり、思考、想像、計画といった複雑な精神機能をコントロールする

一階脳は反応性で、緊急事態から我々を守るように設計されている。素早い判断ができ、意識をハイジャックして、強い感情を通じて行動を促すことができる。この一階脳が、 注意を引きたい製品のターゲットとなる。怒りを覚えるようなヘッドラインや、素早く反応したくなるTikTokの通知は、我々の一階脳に訴えかけてくるのだ。

反応的な状態の時間が長いと、脳の回路が変わってしまう

脳は訓練によって変わるものだ。研究では、我々の脳は神経細胞の発火パターンで再プログラミングされることが分かっている。神経系は、神経可塑性と呼ばれるプロセスで反復的な集中や行動を通じて再配線したり、変換したりすることができるのだ。

繰り返しデバイスを使用することは、神経可塑性の最適な例だろう。プッシュ通知に反応したり、無限スクロールで動画を視聴したり、SNSで社会的評価を求めたりなどにより多くの時間を費やすことで、脳の回路は再配線され、同じことをさらにやりたくなってしまうのだ。

企業による注意を引きつける力が増すと我々の依存はどんどん進む

多くのテック企業は、自社製品の過剰使用がもたらす問題について把握しているが、このアテンションプロフィットプールの分け前を減らすために必要な抜本改革をする企業はない。もしそんな企業があれば、別の企業がその後釜に座るだけだ。

こうした企業は、甘いドリンクを販売しているのだ。その味は飛躍的に改善された、今までにない最高に甘いドリンクだ。飲めば飲むほど、やめられないのだ。我々は消費と習慣をコントロールしなければならない。テクノロジーダイエットをする必要があるのだ。さもなければ、病的肥満に相当する精神病に悩まされることになる。

習慣を変えることで、より生産的で幸せになるように脳を再配線できる

テクノロジーの消費を食品の消費のように考えると、テクノロジー製品は、情報の質と配信方法に基づき、4つの食品グループに分けられる。コンテンツの質は重要だ。コンテンツには価値があるもの(MITのオンラインコースウェアなど)や重要なもの(仕事用のメールなど)があるが、その一方でほとんどは、役に立たない(TikTokなど)。

また配信方法も重要だ。健全なプラットフォームでは、ユーザーに主体性が与えられ、必要なときに役立つコンテンツが引き出されるようになっている。一方で有害なプラットフォームはプッシュ通知に頼ることが多く、何か別のことをしているときに、あまり役に立たない情報を送ってくるのだ。私の経験から、テクノロジーダイエットを実施するためにできる3つのステップを紹介したいと思う。

1. 一階脳を強化する製品を排除する(プッシュ通知される品質の低いコンテンツ)

自制には限度がある。甘いドリンクが要らないなら、家の中には置かないことだ。我々は、今までに開発された中でも最も注意散漫になるアプリを、常に手に届くところに置いている。こうしたアプリが一階脳を食い物にし、より有意義な思考をハイジャックし、ほとんどの人にネガティブな価値を植え付ける。最も効果的な防衛策はこれらを生活から排除することだ。こうしたアプリはそもそも使用すべきではない。

助言:私はiPhoneとMacBookにApple(アップル)のコンテンツ制限を使用している。TikTok、Instagram、Facebook、Snapchatといった明らかな元凶と、個人的に害となっているZillow(ジロー)、StreetEasy(ストリートイージー)、NYPost(NYポスト)も追加した。上書きコードは妻が持っている。必要に応じて解除できるが、生活意識に入ることがない程度に、困難なプロセスとなっている。

2. 二階脳を強化する製品をより多く消費する(必要に応じて利用できる質の高いコンテンツ)

優良なコンテンツは知識やスキルを広げてくれ、思いやり、想像力、マインドフルネスに繋がる方法で二階脳の再配線に貢献する可能性がある。

優良コンテンツの消費は実りのあるものだが、努力が必要になる。途切れることのない集中力が求められる。無意識に消費してしまう甘いドリンクと違い、生野菜は意図的に消費する必要がある

助言:お気に入りの「生野菜」のリストを作ろう。私の生野菜リストは、Kindle(キンドル)、Feedly(フィードリー)、テック系の定期刊行物、お気に入りのキュレーションプラットフォームのHackerNews(ハッカーニュース)、Product Hunt(プロダクトハント)だ。人気急上昇中のマインドフルネスアプリの1つCalm(カーム)も入っている。ホームスクリーンに入れているアプリはこれだけだ。おかげでもっと頻繁に使うようになっている。食べ物のダイエットのように、「良い」消費を達成するための目標を設定し、進捗状況をモニターしている。

定期的にテクノロジー断ちをすることもお勧めする。私は息子と散歩するときや、友達とディナーに行くときはスマホを家に置くようにしている。また二階脳の再配線を促す、ハイキングや楽器を習うなどのテクノロジーを使用しないアクティビティもお勧めだ。

3. 生産性ツールの消費パターンを再設計する

Eメールはほとんどの人にとって必要なものだろう。生産的になれる可能性もある。だが平均的なメッセージの質は低く、常にオンで、頻度が高く、デフォルトでプッシュ通知になっているデザインにより、我々の生産性はベストな状態ではなくなっている

助言:私は緊急を要したり、タイムリーなメッセージではないものすべての通知をオフにしている。テキストメッセージやLyft(リフト)、Tovala(トバラ)オーブンなどがその例だ。Boomerang(ブーメラン)のChrome(クローム)拡張機能では、1時間ごとにすべてのEメールを配信するように設定できる。 Eメールを1時間ごとにバッチ処理することで、中断を大幅に減らすことができる。応答に影響することはない。

我々は、食品、製品、セキュリティなど、近代の祖先も嫉妬するような相対的に豊かな世界で生活しているが、豊かさは我々を幸せにはしていない。記録によると、我々世代は最も幸せではないらしい。大の大人が強い感情、情動、衝動ばかりに気をとられて、ひっきりなしにかんしゃくを起こしている、一階脳の感情を集めた中で生きているように思われる。

だがまだ希望はある。

個人的には、たった数ヶ月でもテクノロジーダイエットは効果があったと思う。衝動的になることが減ったし、より気を配れるようになった。従業員ならば、アテンションエコノミーから利益を得る企業で働くことを辞めることができる。マネージャーならば、夜はデバイスをオフにし、Slack(スラック)の通知をオフにして本当のバケーションを取るように、チームに強く主張できる。親ならば、子供が健康的な消費パターンを築けるように助けることができる。

集団行動と脳の回路の再配線によって、政治の方向性を変えたり、21世紀において最も重要な課題を協力して解決できるかもしれない。

アメリカのイノベーションにより、アテンションエコノミーは圧倒的な勢いをつけてきたが、今度はそのイノベーションでテクノロジーの使い方を正す時がきたのではないだろうか。

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カテゴリー:その他
タグ:新型コロナウイルス コラム 健康

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナワクチンのサプライチェーンを監視するアイスランド企業Controlantに脚光

遠く離れたアイスランド発のスタートアップが、新型コロナウイルスのワクチンの1つを世界中に届けるというレースで主要プレイヤーとして脚光を浴びている。Controlant(コントロラント)は、GSMネットワークに基づくリアルタイムのサプライチェーン監視テクノロジーを有し、医薬品やライフサイエンス分野を専門とする。同社はPfizer(ファイザー)がBioNTech(ビオンテック)と共同開発したmRNAベースの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを世界中に配布する際、監視サービスを提供していることを認めた。Controlantのプラットフォームには、GSMネットワークにリンクし、ウェブやモバイルアプリに情報を届けるスクリーンベースのIoTタグが含まれる。

12月7日の週に、米ニューヨーク州知事はワクチンが入った箱を披露した(上の写真と下の動画を参照)。この箱には、ControlantのGSM追跡デバイスと思われるタグが付いていた。TechCrunchはControlantに連絡を取り、そのタグが実際に同社のものであることを確認した。

サービスソリューションとしてのControlant Cold Chain

Controlantはリアルタイムの「サービスとしてのコールドチェーン」プラットフォームのマーケットを拡大すべく、9月にシリーズB資金調達ラウンドで1500万ドル(約15億6000万円)を確保した。同社はSjovaVISなど主にアイスランド拠点の投資家を抱える。アイスランドのVC会社Frumtakは2011年に初めてControlantに投資した。直近の資金調達により、Controlantの累計調達額は5000万ドル(約51億8000万円)になった。Frumtakはこのほど持分11%を1400万ドル(約14億5000万円)近くで売却したが、それでもFrumtak IIファンドを通じて同社はまだ13%の持分を維持している。

Pfizerに提供している見える化とモニタリングのソリューションに加え、Controlantは米政府、米疾病予防管理センター(CDC)、米保健福祉省、そして「ワープスピード作戦」関係者と直接協業している。Controlantのプラットフォームはワクチン配布のための米国中のサプライチェーンで使用されている。

ControlantのCEOで共同創業者のジスリ・ヘルユーフソン氏

Controlantの共同創業者でCEOのGisli Herjolfsson(ジスリ・ヘルユーフソン)氏は「当社はワクチンのサプライチェーンオペレーションについてのノウハウを持っています。Pfizerおよび政府関係者との直接作業を通じて当社のソリューションをmRNAベースのPfizer / BioNTech製新型コロナワクチンサプライチェーン全体に適用する機会をうれしく思っています」と声明で述べた。

ワクチンと一緒に梱包されるControlantのIoTデバイスは時間や温度、明るさといった環境情報をとらえてリアルタイムにControlantの独自仕様プラットフォームに送る。

以下のビデオでは、ニューヨーク州のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事がControlantのデバイスが取り付けられたパッケージを披露している。

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カテゴリー:IoT
タグ:ControlantワクチンCOVID-19新型コロナウイルス

画像クレジット:Controllant

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(翻訳:Mizoguchi

ファイザーの新型コロナワクチンが米FDAから緊急使用許可を取得、数日以内に配布開始

米国食品医薬品局(FDA)は、Pfizer(ファイザー)とそのパートナーであるBioNTechが開発した新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可(EUA)を付与したとThe New York Timesが最初に報じ、その後、The Wall Street Journalも続いた。今回の緊急使用許可は、FDAの委託を受けた独立専門家委員会がファイザーの申請を審査し勧告したことを受けたもので、同委員会は今週の初めに全会一致でこれを支持した。

今回の許可後、直ちにワクチンの出荷が始まり、初回分は290万回分となる見込みだ。医療従事者や長期療養施設の高齢者などの患者にはEUAの許可が出てから数日以内にワクチンが届くと予想されている。

この許可は、米国の治療薬規制当局による完全な承認ではない。4万4000人のボランティア参加者を対象にした第III相臨床試験に基づき、ファイザーが提供した情報を包括的に見直す必要がある緊急措置だ。

mRNAをベースとした治療薬であるファイザーのワクチンは、これまでの試験結果を最終的に解析した結果、95%の有効性を示したことがわかっており、ワクチンを接種した患者に重大な安全性の問題はないことも判明している。

最初の290万回分のワクチンに加えて、米国では2020年末までに約2500万回分の配布を行う予定だが、ファイザーのワクチンは最大の効果を得るために2回接種する必要があるため、実際に接種可能な人ははるかに少なくなる可能性がある。同社の生産ペースと米国での注文量を考えると、ほとんどの米国人は2021年第1四半期または第2四半期までワクチンを入手できないと考えるべきだ。

とはいえ、今回の許可は有望な第一歩だ。ファイザーはワクチン候補の研究を始めてから8カ月ほどしか経過しておらず、ワクチン開発期間の短縮という点においては記念碑的な成果だといえるだろう。またModernaはmRNA治療薬(人の細胞に指示を出してウイルスに効果的な対抗策を作り出す)でもあるワクチン候補のEUAも提出している。こちらもすぐに実現する可能性があり、2020年末までには米国内で2種類のワクチンがEUAで接種できるようになるかもしれない。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Pfizer新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:JUSTIN TALLIS/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Uberがドライバーと配達員への新型コロナワクチン優先接種を全米50州の知事に要望

パンデミックの中、多くの人たちがライドシェアリングやデリバリーのドライバーに依存していることを踏まえ、Uberはドライバーへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの優先接種を要望している。米国時間12月10日、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、全米50州の知事に書簡を送り、ドライバーと配達員がエッセンシャルワーカーとしてワクチンを優先的に接種できるよう依頼した。

「過去9カ月の間に、彼らは地域のライフラインになりました」とコスロシャヒ氏が書簡で述べている。「医療従事者を病院に運び、自宅に隔離されている人たちに食事を配達し、地元レストランの事業継続を助けています」。

また、コスロシャヒ氏は書簡の中で、ドライバーと配達員の仕事は必要不可欠になったと主張している。だからUberは彼らにワクチンを「早く簡単に無料で」届けたいのだと同氏は書いている。また、Uberはワクチンに関する情報共有にも協力しており、有資格者にワクチン接種を促している。

コスロシャヒ氏はまた「9カ月間最前線で社会を動かし続けてきた後、私たちは全50州の知事に対し、ドライバーと配達要員が早期にワクチン接種を受けられる優先措置をお願いしています」とTechCrunch宛の声明で語っている。「Uberは自らのテクノロジーとロジスティックの専門知識とリソースを活かし、私たちのプラットフォームで働く人たちを保護し、ワクチンをできるかぎり早く効果的に、人々へ届けるためには、できることは何でもする所存です」。

コスロシャヒ氏の州知事宛書簡に先立ち、UberはCenters for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)に書簡を送り、医療従事者以外のエッセンシャルワーカーをワクチンの優先接種対象に含めることを主張している。

Uberによる労働者のために主張は、ライドシェアリングのドライバーと配達員をどう分類するかに関する進行中の戦いの最中に起きている。Uberが長年、ドライバーは従業員ではないと主張しているのに対して、多くのギグワーカーは自分たちが個人事業主に分類されるのは誤りであり、従業員が受ける多くの労働者の権利を得る資格があると訴えている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Uber新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook