新型コロナワクチンのサプライチェーンを監視するアイスランド企業Controlantに脚光

遠く離れたアイスランド発のスタートアップが、新型コロナウイルスのワクチンの1つを世界中に届けるというレースで主要プレイヤーとして脚光を浴びている。Controlant(コントロラント)は、GSMネットワークに基づくリアルタイムのサプライチェーン監視テクノロジーを有し、医薬品やライフサイエンス分野を専門とする。同社はPfizer(ファイザー)がBioNTech(ビオンテック)と共同開発したmRNAベースの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを世界中に配布する際、監視サービスを提供していることを認めた。Controlantのプラットフォームには、GSMネットワークにリンクし、ウェブやモバイルアプリに情報を届けるスクリーンベースのIoTタグが含まれる。

12月7日の週に、米ニューヨーク州知事はワクチンが入った箱を披露した(上の写真と下の動画を参照)。この箱には、ControlantのGSM追跡デバイスと思われるタグが付いていた。TechCrunchはControlantに連絡を取り、そのタグが実際に同社のものであることを確認した。

サービスソリューションとしてのControlant Cold Chain

Controlantはリアルタイムの「サービスとしてのコールドチェーン」プラットフォームのマーケットを拡大すべく、9月にシリーズB資金調達ラウンドで1500万ドル(約15億6000万円)を確保した。同社はSjovaVISなど主にアイスランド拠点の投資家を抱える。アイスランドのVC会社Frumtakは2011年に初めてControlantに投資した。直近の資金調達により、Controlantの累計調達額は5000万ドル(約51億8000万円)になった。Frumtakはこのほど持分11%を1400万ドル(約14億5000万円)近くで売却したが、それでもFrumtak IIファンドを通じて同社はまだ13%の持分を維持している。

Pfizerに提供している見える化とモニタリングのソリューションに加え、Controlantは米政府、米疾病予防管理センター(CDC)、米保健福祉省、そして「ワープスピード作戦」関係者と直接協業している。Controlantのプラットフォームはワクチン配布のための米国中のサプライチェーンで使用されている。

ControlantのCEOで共同創業者のジスリ・ヘルユーフソン氏

Controlantの共同創業者でCEOのGisli Herjolfsson(ジスリ・ヘルユーフソン)氏は「当社はワクチンのサプライチェーンオペレーションについてのノウハウを持っています。Pfizerおよび政府関係者との直接作業を通じて当社のソリューションをmRNAベースのPfizer / BioNTech製新型コロナワクチンサプライチェーン全体に適用する機会をうれしく思っています」と声明で述べた。

ワクチンと一緒に梱包されるControlantのIoTデバイスは時間や温度、明るさといった環境情報をとらえてリアルタイムにControlantの独自仕様プラットフォームに送る。

以下のビデオでは、ニューヨーク州のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事がControlantのデバイスが取り付けられたパッケージを披露している。

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カテゴリー:IoT
タグ:ControlantワクチンCOVID-19新型コロナウイルス

画像クレジット:Controllant

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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