YouTubeが新型コロナポリシーに違反した英TalkRadioの追放処分を撤回

YouTubeは、ニュースと時事問題をカバーするNews Corp(ニューズコープ)が所有する英国の全国ラジオ局であるTalkRadio(トークラジオ)のアカウントに関して、物議を醸していた追放処分を撤回した。

TalkRadioは米国時間1月5日、YouTubeのチャンネルが削除されたことを明らかにしたが、説明は受けていないと述べた。

広く知られた全国放送局のアカウントを一時停止するという決定は、新型コロナウイルス(COVID-19)についての誤った情報に関するYouTubeのポリシーに関連しているようだ。ロイターによると、TalkRadioのプレゼンターの何人かが新型コロナの拡散を遅らせる政府の措置について過剰または間違った方向性だとして批判的だったとのことだ。

しかし、全国放送局を追放するというテック大手の決定は、閣僚であるMichael Gove(マイケル・ゴーヴ)氏によってすぐに批判された。同氏は1月5日、TalkRadioについて触れ、新型コロナに対する政府の政策について質問する権利を擁護した。

i newspaperによると、この追放措置はNews CorpのRupert Murdoch(ルパート・マードック)会長からの介入も招いた。マードック氏はGoogle(グーグル)が所有するYouTubeに対し「危険な前例」「言論の自由と合法的な全国的議論の検閲」と非難したという。

YouTubeの広報担当者は、TalkRadioのアカウントを復活させたことを認めた1月6日の声明で次のように語った。

TalkRadioのYouTubeチャンネルは一時的に停止されていましたが、さらに検討した結果、現在は復活しています。YouTubeは、コミュニティーガイドラインに違反するとしてフラグを立てたコンテンツを迅速に削除します。その中には各国の保健当局や世界保健機関の専門家のコンセンサスと明確に矛盾する新型コロナウイルスに関するコンテンツを含みます。教育、ドキュメンタリー、科学、芸術目的で投稿されたまたはそう見なされた資料は例外とします。

YouTubeが、TalkRadioの復活を正当化する際にどの例外を適用したのかははっきりしない。ラジオでの主張はコンテンツによってあらゆるカテゴリーに渡るためだ。

iによると、TalkRadioは以前、YouTubeのポリシー違反で2020年10月と12月に処分を受けていた。短い停止につながった3回目の違反は、ホストの1人であるJulia Hartley-Brewer(ジュリア・ハートリー・ブリューワー)氏と元国立教育連合会会長のAmanda Martin(アマンダ・マーティン)氏の間で行われた、新型コロナワクチンの最優先権を教師に与えるべきかどうかについてのインタビューに関連していると考えられる。

TalkRadioの追放の取り消しは、表現の自由への懸念と衝突してきたテック大手のモデレーション(コンテンツのモニタリング)に関する決定、という長い物語の最新例だ。プラットフォームが残すと選択するものは、多くの場合、物議を醸す可能性がある。新型コロナに関する誤った情報がオンラインで拡散・増幅されることによる公衆衛生のリスクへの懸念は、間違いなくいつものようにプラットフォームモデレーションビジネスにとって新たな落とし穴となった。

共通する懸念事項は、力を持つ民間団体だ。それらは(英国の)報道機関と同じような統制を受けておらず、「許容できる言論」のレバーの上に手を置いて引き続き自分たちでコントロールしている。

ただし、英国では変化が起こりつつある。政府は、ビッグテックをOfcomの規制下に置く法案を準備している。そしてTalkRadioが以前の声明で指摘したように、その放送はすでにOfcomによって規制されている。

2021年に議会へ提出される予定のオンライン安全法案は、違法で有害な幅広いコンテンツからユーザーを保護するため、テックプラットフォームの「注意義務」を提案している。

この計画では、Ofcomはプラットフォームのコンプライアンスを監視し、コンプライアンスに準拠していないデジタルサービスへのアクセスをブロックする権限と、違反に対して巨額の罰金を課す能力を付与される予定だ。

関連記事:2021年提出予定の英国オンライン危害法案の注意義務違反への罰金は年間売上高10%

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TalkRadioYouTubeイギリス新型コロナウイルス

画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。