日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.25~10.31)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.25~10.31)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月25日~10月31日の情報をまとめた。

トヨタシステムズとディーカレット、デジタル通貨による福利厚生に関する実証実験をトヨタシステムズ社内で実施

トヨタグループのITソリューション企業「トヨタシステムズ」と、暗号資産取引所「DeCurret」運営のディーカレットは10月26日、デジタル通貨に関する実証実験を共同で開始したことを発表した

今回の取り組みは、トヨタシステムズ全社員2500名が参加する大規模なもの。ディーカレットが構築する「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を活用し、同実証実験用の独自デジタル通貨を発行。トヨタシステムズは、同社社員向けの福利厚生における決済処理や自動化にこのデジタル通貨を利用する。実験では、決済業務の効率化・迅速化におけるデジタル通貨、ブロックチェーンによる決済やそのデータの記録・管理、スマートコントラクトの基本機能による自動実行などの技術検証を行う。

トヨタシステムズは、トヨタ自動車とそのグループを支援するするITソリューションおよびシステム開発の中核企業として、企画・提案から開発・運用まで一貫したトータルサービスを提供。今回は、新たにブロックチェーンやデジタル通貨を活用したソリューション研究のために、技術的な実証実験をディーカレットと共同で実施することにしたという。トヨタシステムズとディーカレット、デジタル通貨による福利厚生に関する実証実験をトヨタシステムズ社内で実施具体的には、同社社員に対して、実証実験専用カタログギフトや福利厚生ポイントへの交換に利用できるデジタル通貨を福利厚生として付与。この交換には、全社員に用意した専用ウォレットから商品・ポイントのウォレットに対して、取引額に応じたデジタル通貨が即座に送付される仕組み・スマートコントラクトを採用しており、その検証とともに有効性を確認する。ブロックチェーンにおけるスケーラビリティの課題や、大規模な実験参加者による業務運用性課題などを検証していく。

実証実験に利用されるデジタル通貨の有効期間は6ヵ月以内。また、実証実験ではデジタル通貨と日本円との交換は行えない。

デジタル通貨発行プラットフォームを提供するディーカレットは、暗号資産取引所の開業を目標に、2018年1月設立。2019年3月に金融庁の認定を受け、4月に暗号資産交換業者として開業した。同社は暗号資産取引所の運営にとどまらず、新しい時代の金融プラットフォームサービスを目指している。

デジタル通貨発行プラットフォームについては、2020年2月よりKDDI、auフィナンシャルホールディングス、ウェブマネー、ディーカレットの4社で、ブロックチェーン上に発行したデジタル通貨の処理を自動化する共同検証の実施を開始している。デジタル通貨の発行から、流通、償却になど業務プロセスの一部と決済処理をスマートコントラクトにより自動化し、検証・実証実験を続けてきた。これらの共同検証は、ディーカレットの「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」に関する取り組みの一環となる。

カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

カンボジア国立銀行(NBC)ソラミツは、2019年7月よりカンボジア全土でパイロット運用を行ってきた中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」の正式運用を発表した。10月28日より、カンボジアのリテール決済および銀行間決済の基幹システムとして運用を開始済み。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始バコンは、カンボジアの法定通貨リエルをトークン化したデジタルリエル(KHR)または米ドル(USD)を使用し、即時および最終的な取引を可能にするCBDC決済システム。NBCが、ソラミツのブロックチェーン技術「Hyperledger Iroha」(ハイパーレジャーいろは)を採用し、ソラミツと共同開発したもの。

テスト運用では、カンボジア最大の商業銀行アクレダを含む9行と決済事業者を接続し、日間数千人程度のユーザー送金や決済を処理してきた。その後、従来の決済システムと連携し、シームレスかつ安全に機能している。2020年第3四半期の時点では、カンボジア全土の18の金融機関がすでにバコンを採用している。

カンボジア国民にとってバコンは、送金手数料不要かつ安全でより速く支払いを行えるデジタル通貨となる。カンボジア国内の電話番号を持ち、スマートフォンアプリを使用できれば、デジタルリエルまたは米ドルのウォレットを保有することで、電話番号の指定またはEMVCo互換QRコードをスキャンし、個人間や法人間での送金や店頭などでの支払いが行える。

ちなみにEMVCoとは、American Express、Discover、JCB、MasterCard、銀聯(UnionPay)、Visaによるカード決済の安全と普及促進を推進する団体で、新しいグローバルなQRコード決済仕様などを定めている。

NBCは、古代クメール帝国の州立寺院「バコン寺院」にちなみ命名したプロジェクトバコンを2016年に発足、CBDCの検討を進めてきた。その目的は、デジタル決済システムによる金融機関の効率改善、負担軽減、自国通貨リエルの使用促進という。

そして何よりも重要なのは、自国内の金融サービスの行き届いていない国民の金融包摂を強化する可能性を探るためだったという。日本のように、国民のほとんどが銀行口座を持つ国はまれであり、そうした国々では銀行口座を必要としない金融システムが必要とされている。

システムの概要

バコンは、NBC運営のバコン・コア、金融機関に割り当てた決済ゲートウェイ、金融機関が個人・企業などに割り当てたウォレットで構成される。金融機関はデスクトップアプリを経由してバコン・コアにアクセスし、個人・企業はiOSアプリまたはAndroidアプリを介してウォレットにアクセスする。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

バコン・コアは、許可型のコンソーシアム・ブロックチェーンであるソラミツのブロックチェーン技術Hyperledger Irohaを利用しており、複数のノードに格納されている改ざん不可能な時系列チェーンにすべてのトランザクションを記録する。バコン・コアはNBCが管理するノード上の分散台帳に記録されるとともに、同一の分散台帳が特定金融機関と共有され、冗長性と強靭性が保証される。

Hyperledger Irohaは、一部のノードに障害がある場合や信頼できないノードがある場合でも、元帳の安全性を保証する独自のコンセンサスアルゴリズム「YACコンセンサス」を備え、分散台帳全体のトランザクションを検証し、不正のリスク、二重支払いの問題、およびカウンターパーティのリスクを排除する。カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始

マクロ経済の観点から、現在のバコンは中立という。デジタルリエルは現金に取って代わるものではなく、利子もない。デジタルリエル・ウォレットは従来の銀行口座に裏打ちされているため、取り付け騒ぎと流動性リスクは抑えられるという。

また、金融機関は従来の金融システムと同様、デューデリジェンス(Due Diligence)を実施し、本人確認(KYC)規制を遵守する。バコンは多要素認証の本人確認システムをサポートしている。基本はスマホのSMS検証を使用して少額決済が可能なバコン口座を開設できるが、高額決済可能なバコン口座の開設には、政府IDを登録し厳格な本人確認を行う必要がある。

ソラミツの「Hyperledger Iroha」

ソラミツは、オープンソースの許可型ブロックチェーンプラットフォームであるHyperledger Irohaのオリジナル開発者であり、中心的開発貢献者。企業や金融機関のデジタル資産管理の支援を目的としたHyperledger Irohaは現在、Linux Foundation運営のクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」の一部となっている。またこのHyperledgerプロジェクトにおいて、Hyperledger Fabricなどに続いてバージョン1.0リリースに到達した4番目のブロックチェーンプロジェクトとなっている。

Hyperledger IrohaはC++で記述されており、高いパフォーマンスと信頼性が必要なユースケースや組み込みシステムに最適とされる。

ソラミツは、Hyperledger Irohaを使用し、デジタル資産、ID、契約を管理するためのモバイルアプリケーションなど、ユーザー向けのサービスを作成している。Hyperledger Irohaを活用することで、より安全で効率的な社会の構築に貢献していくという。Hyperledger Irohaのオリジナル開発者・主要な貢献者として、今後もHyperledger Irohaの技術およびビジネスサポートについても提供していく。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表

中国・香港拠点のゲーム開発会社「Animoca Brands」(アニモカブランド)の子会社TSB Gamingは10月31日、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」でゲームを作成できるツール「Game Maker」の完成を同社ブログにおいて発表した

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表The Sandboxは、ブロックチェーンベースの仮想空間(メタバース)にあたる、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。現在開発中で、2020年後半にローンチ予定だ。TSB Gamingは、その一部として3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引できる分散型マーケットプレイスを公開しているほか、メタバース内で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックスGame Makerのアルファ版を公開していた。

また、The Sandboxは、ユーティリティトークンSANDを利用可能。SANDは、暗号資産Ethereum上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。暗号資産取引所BinanceのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

これらによりThe Sandboxユーザー(コンテンツ制作者)は、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる(ゲーム体験)。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)としてマーケットプレイスにて売買可能(収益化可能)となっている。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表Game Makerは、無料で3Dゲーム体験を作ることができるツールという位置付けだ。

Game Makerでは、初めてゲームを作る際にイチからすべて作ることも可能だが、テンプレートとして用意されているアセット組み込み済みLANDも利用できる。ゲーム体験の規模に合わせて、LANDのサイズや湖、砂漠、低地、草原、南極、ジャングルといったテーマの選択が可能だ。

また、ゲームとして重要な要素となるルールや出現するアセットとその希少性、勝利条件など、細かい設定も行える。ゲームには欠かせないNPC(ノンプレイヤーキャラクター)も設定できる。NPCは、味方や単なる住民・農家などゲームに応じたキャラクターを用意できるほか、NPCを利用したクエストの作成や、NPCに設定するセリフによる質問なども可能であり、作り込めば作り込むほど本格的なゲームを制作できるという。NPCは必ずしも友好的なキャラクターとは限らず、敵対するNPCの設置も行える。

ゲームの主人公となる自分のアバターについても、強いあるいは弱いアバター、動きが速いもの、ジャンプ力のあるものなど、様々なパラメターを設定可能。その他にも、ゲームに必要なアイテム集めなど、あらゆる要素が用意されているので、詳しくはブログをチェックしていただきたい。

The Sandboxは、Game Maker以外にも、The Sandbox内で使用できるアセットとして有名キャラクターとの提携についても発表を行っている。10月29日には、世界的に有名なキャラクターである「The Smurfs」(スマーフ)との契約の締結を発表したばかりだ。

ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」がゲームを作成できるツールの完成を発表ユーザーはThe Sandbox内のスマーフのLANDにてゲームをプレイできるほか、スマーフをテーマにしたアセットを購入し、独自にゲームが作れるようになるなど、新たなゲームの世界が登場する予定。

The Sandboxは、いずれもSANDトークンを中心にした新しいゲーム体の世界が構築できる、これまでにはないプラットフォームになることは間違いなさそうだ。

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Googleがモバイルコンテンツ高速化技術AMPをOpenJS Foundationに持ち込む

モバイルのウェブをスピードアップするGoogle(グーグル)のプロジェクトであるAMPは、やや批判もあったが、一貫してオープンソースであるにもかかわらずGoogleの影がつきまとっていた。しかし米国時間10月10日にGoogleは、AMPフレームワークがOpenJS Foundationに加わると発表した。このLinux Foundation傘下のグループは昨年、Node.jsとJSの両ファウンデーションの合併により誕生した。OpenJS Foundationは現在、jQuery、Node.js、webpackなどの本拠地で、AMPはこのファウンデーションのインキュベータ事業に加わる。

Googleのような大企業は、安定に達したオープンソースのプロジェクトをファウンデーションに寄贈する傾向がある。今年で4歳になるAMPプロジェクトもまさにそのケースに相当し、Googleによると今ではそれは、3000万以上のドメインで数十億のページの制作に使われている。昨年GoogleはAMPの開発を監督するTechnical Steering Committee(技術的方向性委員会)を立ち上げたが、その委員会はプロジェクトをOpenJS Foundationに持ち込むことで合意していた。

そのTechnical Steering CommitteeのメンバーMalte Ubl(マルテ・ウブル)氏が本日の発表声明で次のように述べている。「今年で4年になるAMTがその旅路の次のステップに進むことは極めて喜ばしい。このところ私たちは、AMPに最良の家を与えることを考えていた。OpenJS Foundationに決めたのは、当委員会の多様なメンバーのお世話をするために最適の場所だからだ。このステップは、オープンな統治に向かうこの前のステップの次の一歩であり、これにより透明性とオープン性に一層フォーカスできるようになる」。

Googleによると、JavaScriptとその関連技術の振興を目標とするOpenJS Foundationは、「ウェブのコンテンツにユーザーファーストのフォーマットを提供する」AMPのミッションと相性がいい。また同社によると「同ファウンデーションではプロジェクトのアイデンティティと技術的フォーカスを維持でき、またAMPの統治モデルはすでにJS FoundationとNode.js Foundationからの影響でできたことを強調したい」という。

Googleは今、OpenJS Foundationの最上位の会員種別であるプラチナ会員であり、AMPプロジェクトのサポートを継続するとともに、AMPにフルタイムで関わるエンジニアを数名起用する。

関連記事:Node.jsとJSが合併の意向を共同発表、JavaScriptコミュニティーの統合を図る

画像クレジット: Google

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Linux Foundationがブロックチェーン上に分散サプライチェーンを構築するためのフレームワークHyperledger Gridをローンチ

The Linux FoundationのHyperledger Projectはもっぱらブロックチェーンのプロジェクトだが、今朝(米国時間1/22)同団体はサプライチェーンのプロジェクトを作るためのフレームワークを発表した。ブロックチェーン単独の一人舞台はさせない、というわけだ。

まさしく同ファウンデーションはそのへんに気を使って、このプロジェクトが厳密にブロックチェーンのプロジェクトではない、と指摘している。むしろそれは、サプライチェーンのデジタル化という問題を解決する、というもっと広い視野のためのビルディングブロックを提供する。このプロジェクトを発表するブログ記事は、それがアプリケーションでもないし、ブロックチェーンのプロジェクトでもない、と言っている。では何なのか?

“Gridは、技術とフレームワークとライブラリが協働するエコシステムであり、それによりアプリケーションのデベロッパーが自分の業界や市場の形にもっとも適したコンポーネントを選べるようにする”、とある。

Hyperledgerは、そのプロジェクトがジャーゴンや先入観に支配された説明に閉じ込められることを望んでいない。それが望むのは、デベロッパーに一連のツールとライブラリを提供して、彼らが自由にアイデアを暖められるようにし、自分たちの業界の要求に合ったアプリケーションを作れるようにすることだ。

現時点までのこのプロジェクトの主なコントリビューターは、Cargill、Intel、そしてBitwise IOだった。

サプライチェーンは、エンタープライズにおける分散台帳アプリケーション(distributed ledger applications, DLT)の初期の主要なユースケースだった。それどころか今日の本誌TechCrunchには、ブロックチェーン上にサプライチェーンを構築するスタートアップCitizens Reserveを取り上げた記事すらある。IBMもかなり前から、ダイヤモンドの検査食品の安全性などに関してサプライチェーンを研究開発してきた。

しかし、分散台帳という考え方は、一般的にエンタープライズにとっても、そしてましてやサプライチェーンにとっても新しすぎるから、デベロッパーはまだ、自分たちの取り組み方を探っている状態だ。The Linux Foundationは、そこに対して柔軟性に富むオープンソースのフレームワークを提供することにより、デベロッパーにオープンなオプション(選択肢)を与え、これが実際に動き出すときにアプリケーションを作れるための、柔軟な基礎を提供しようとしている。

関連記事: エンタープライズ市場に臨むブロックチェーン–仮想通貨以外の可能性

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UberがLinux Foundationに加盟してオープンソースツールへのコミットを強化

Uberが今日の2018 Uber Open Summitで、同社がLinux Foundationにゴールド会員として加盟し、オープンソースのツールの利用と寄与貢献にコミットしていくことを発表した。

UberのCTO Thuan PhamにとってLinux Foundationは、同社がオープンソースのプロジェクトを育(はぐく)み開発していくための場所だ。“オープンソースの技術はUberの中核的サービスの多くを、そのバックボーンとして支えている。会社の成熟とともに、これらのソリューションはますます重要になっている”、と彼はLFへの加盟を発表するブログ記事で述べている。

意外なのは同社が参加したことでなく、それまでに要した年月の長さだ。Uberはかなり前から、その中核的ツールにオープンソースを多用していることで知られていたし、同社の資料によると、これまで320あまりのオープンソースプロジェクトとリポジトリに関わり、1500名のコントリビューターが70000あまりのコミットに関わっている。

Uberのスポークスパーソンは次のように語った: “Uberは何年も前から、オープンソースによる共有的ソフトウェア開発とコミュニティのコラボレーションに有意義な投資をしてきた。その中には人気の高いオープンソースプロジェクト、分散トレーシングシステムのJaegerへのコントリビューションもある。また2017年にはLinux Foundation傘下のCloud Native Computing Foundationに加盟している”。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinも、Uberの加盟を喜んでいる。声明文に曰く: “彼らの専門的な技能や知識は、これからクラウドネイティブ技術やディープラーニング、データ視覚化など今日のビジネスにとって重要な技術の、オープンなソリューションを進めて行かなければならないわれわれのプロジェクトにとって、きわめて有益である”。

Linux Foundationは数多くのオープンソースプロジェクトがその傘下にある支援組織で、Uberのような企業がオープンソースのプロジェクトをコミュニティに寄与貢献しメンテナンスしていくための、組織構造を提供している。そしてその傘の下には、Cloud Native Computing Foundation, Cloud Foundry Foundation, The Hyperledger Foundation, そしてLinuxオペレーティングシステムなどの専門的組織が並んでいる。

これらのオープンソースプロジェクトをベースとして、コントリビューターの企業やデベロッパーコミュニティが改良やフォークを重ね、自分たちのビジネスに活かしていく。Uberのような企業はこれらの技術を使って自分のバックエンドシステムを動かし、サービス本体は売らないけどオープンソースのオープン性を利用して自社の将来の要求も満たしていく。その際はコントリビューターとして貢献することになり、取るだけでなく与える側に回る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

分散ストレージCephが独自のオープンソースファウンデーションを設立しLinux Foundationに参加

まだあまり有名ではないオープンソースの分散ストレージCephは、実際にはすでに全世界的に、大規模なコンテナプロジェクトやOpenStackのプロジェクトで利用されている。ユーザーはたとえば、金融のBloombergやFidelity, クラウドサービスプロバイダーのRackspaceやLinode, 通信大手のDeutsche Telekom, 自動車のBMW, ソフトウェアのSAPやSalesforceなどだ。

今日のオープンソースプロジェクトは、その多様な関心を一手に引き受けて処理し管理する管理組織、ファウンデーションが背後にないと、成功を維持し今後の発展を築くことも難しい。そこで当然ながらCephも、自分専用のファウンデーションCeph Foundationを作った。そしてこれまでのオープンソースプロジェクトのファウンデーションの多くに倣い、それをLinux Foundationの下に置いた。

Cephの共作者で、プロジェクトリーダー、そしてRed Hat for CephのチーフアーキテクトでもあるSage Weilはこう述べる: “パブリッククラウドの初期のプロバイダーたちがセルフサービス型のストレージインフラストラクチャを流行(はや)らせ、そしてCephはそれを一般企業や個人、そしていろんなサービスブロバイダーたちに提供している。今では強力で堅固なデベロッパーコミュニティとユーザーコミュニティが育ち、ストレージの分野における未来のイノベーションを推進している。本日のCeph Foundationの立ち上げは、さまざまなオープンソースのコミュニティが協力し合えばデータストレージとデータサービスの爆発的な成長を強力に支えていけることの、証(あかし)になるだろう”。

Cephはすでに多方面で使われているから、ファウンデーションの創設メンバーもすごい顔ぶれだ: Amihan Global, Canonical, CERN, China Mobile, Digital Ocean, Intel, ProphetStor Data Service, OVH Hosting Red Hat, SoftIron, SUSE, Western Digital, XSKY Data Technology, そしてZTEなど。創設メンバーの多くがすでに、非公式団体Ceph Community Advisory Board(顧問団)のメンバーだ。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinはこう言う: “企業の高い成長率の維持管理を効果的に助け、彼らのデータストレージの需要を拡大してきたことに関して、Cephには長年の成功の実績がある。Linux Foundationの下でCeph Foundationは、より幅広いグループからの投資を活用して、Cephのエコシステムの成功と安定の継続に必要なインフラストラクチャをサポートできるだろう”。

cepha and linux foundation logo

Cephは、OpenStackとコンテナをベースとするプラットホームを構築するベンダーにとって重要なビルディングブロックだ。実はOpenStackのユーザーの2/3がCephをメインで使っており、またCephはRookの中核的な部分でもある。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)傘下のRookは、Kubernetesベースのアプリケーションのためのストレージサービスを、より容易に構築できるためのプロジェクトだ。このように、今や多様な世界に対応しているCephだから、ニュートラルな管理機関としてのファウンデーションを持つことは理にかなっている。でも、ぼくの山勘では、OpenStack Foundationもこのプロジェクトをホストしたかったのではないかな。

今日(米国時間11/12)のこの発表のわずか数日前にLinux Foundationは、FacebookのGraphQLのファウンデーションGraphQL Foundationをホストすることを発表した

[↓Facebookのクエリ言語GraphQLが独自のオープンソースファウンデーションを設立(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PrometheusモニタリングツールがCNCFの新たな‘卒業’プロジェクトとしてKubernetesに加わる

Cloud Native Computing Foundation(CNCF)はまだそれほどメジャーな名前ではないが、今急成長しているコンテナオーケストレーションツールKubernetesなど、いくつかの重要なオープンソースプロジェクトの本拠地だ。今日CNCFは、モニタリングツールPrometheusが、同団体の第二の“卒業”プロジェクトとしてKubernetesに加わったことを発表した。〔*: 卒業プロジェクト, graduated projecとは、育成涵養段階を脱して、単独・独立の“一人前の”プロジェクトとして扱われること。〕

その発表は、今週ミュンヘンで行われているPrometheusのカンファレンスPromConで行われた。CNCFのCTO兼COOのChris Aniszczykによると、卒業プロジェクトとはプロジェクトの全般的な成熟を表していて、コントリビューションやコミュニティや採用が多様になったことを意味している。

Prometheusの場合は、今すでに20名のアクティブメンテナーがおり、1000名以上のコントリビューターが13000あまりのコミットを行っている。コントリビューターの中には、DigitalOcean, Weaveworks, ShowMax, そしてUberなどがいる。

CNCFのプロジェクトはサンドボックスで始まり、インキュベーションの段階へ入り、そして最後に卒業する。卒業の条件は、CNCFのCode of Conduct(行動規範)の遵守、セキュリティ監査に合格、そしてコミュニティの統治構造が定義されていることだ。また、“コードの質とセキュリティのベストプラクティスに持続的にコミットしていること”も必要だ。

Aniszczykによると、Prometheusツールは時系列データベースにクエリー言語を結びつけたシステムで、ユーザー(主にデベロッパー)がターゲットシステムの問題を知るためにはそのクエリー言語で検索し、それに対する分析結果(アナリティクス)を得る。すでに感づいておられたと思うが、それはとくに、コンテナに適したツールだ。

Kubernetesと同様、のちにPrometheusになるプロジェクトも、ルーツはGoogleにある。Googleはコンテナを積極的に採用した初期の企業のひとつで、Kubernetesの前身であるBorgや、Prometheusの前駆システムBorgmonを開発した。Borgの仕事はコンテナのオーケストレーションを管理することで、Borgにmon(monitor)を付けたBorgmonの仕事はそのプロセスをモニタして技術者にフィードバックを提供し、コンテナの全ライフサイクルにおいて、その中で起きていることを察知させる。

ルーツはBorgmonでも、今ある姿のPrometheusは二人の元Googleエンジニアが2012年にSoundCloudで開発した。2016年5月には第二のCNCFプロジェクトとしてKubernetesに加わり、そして当然のように、第二の卒業プロジェクトになった。

その過程におけるCloud Native Computing Foundationの役割は、クラウドネイティブコンピューティングを推進することだ。どんなに違いのあるインフラストラクチャでも共通のやり方で管理できる、とするその概念は、オンプレミスとクラウドのリソース管理に伴う複雑性を大幅に軽減した。CNCFはLinux Foundationの一員であり、そのメンバーにはテクノロジー業界の大物たちが多い。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Linux Foundationのブロックチェーン支援事業Hyperledger Projectがコードベースを充実

【抄訳】
ブロックチェーン革命が近づいているが、でも、その姿は目に見えないかもしれない。Linux FoundationのHyperledger Projectの事務局長Brian Behlendorfは、そう見ている。

スイスのツークで行われた本誌TechCrunchのブロックチェーンイベントTC Sessions: BlockchainでBehlendorfは、ブロックチェーンの導入でもたらされるイノベーションの多くは、いわば舞台裏で、人に知られることなく起きるのだ、と説明した。

Behlendorfは曰く、“多くの消費者にとって、銀行や政府のWebサイトのWebフォームが背後でブロックチェーンを使ってることは、分からないしどうでもいいことだ。LinkedInのプロフィールで、学歴が詐称だったらそこにグリーンのチェックマークが表示されても、その機能がブロックチェーンを利用していることを一般消費者は知らない。すべてが、舞台裏でひそかに行われる”。

“でもこれは、ストレージとネットワーキングと消費者の革命なのだ”。

ブロックチェーンが大きなインパクトを与える分野は何か。Behlendorfの考えでは、真っ先に大きく変わるのはオンラインのアイデンティティの領域だ。今のFacebookやTwitterなどのように情報の保存を中央集権的なシステムに依存するのではなく、ブロックチェーンは情報をもっと安全に保存でき、またその自己証明型身分証明(self-sovereign identity, 自己主権型アイデンティティ)システムには、より多様な用途がありえる。〔参考記事

“ブロックチェーンにさまざまな用途がありえる中で、いちばん重要と思えるのが、アイデンティティ、自己証明、本人証明の分野だ”、とBehlendorfは語る。“しかしどんなに正しいソリューションも、エンドユーザーにおける自分のアイデンティティの管理や利用が、ちょうど財布から運転免許証を取り出すときのように簡単にならなければ、普及しない”。

Hyperledgerは、それらによってブロックチェーンの分野でイノベーションを可能にする、とLinux Foundationが期待する、フレームワークとツールを提供している。そしてBehlendorfによると、現在は10のコードベースがあり、うち2つはプロダクション(本番開発)ですでに利用され、8つはブロックチェーンを構築するためのフレームワークだ。Hyperledgerは“オーガニックな”開発過程を重視しているので、オプションは今後もっと増える、という。

【後略】

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Linux Foundationのシルバー会員だったGoogleが最高ランクのプラチナ会員に

Googleは長年、Linux Foundationの会員だったが、でもそのランクは比較的低いシルバー会員だった。同社は今日一挙に、このオープンソースNPOの最高ランク、プラチナ・スポンサーになった。シルバーの会費は年額10万ドルで、大企業にしてはささやかな額だが、プラチナの会費は50万ドルだ。これと並行して、Google Cloud Platformでオープンソース戦略を担当するSarah Novotnyが、Linux Foundationの理事会に加わった。

Googleと肩を並べるLFのそのほかのプラチナ会員は、AT&T, Cisco, Fujitsu, Hitachi, Huawei, IBM, Intel, Microsoft, NEC, Oracle, Qualcomm, Samsung, VMwareだが、Linux Foundationの総会員数は800以上になる。

Linux Foundationの理事長Jim Zemlinは、今日の発表声明でこう述べている: “Googleは世界最大のオープンソースのコントリビューターならびにサポーターのひとつであり、その同社がThe Linux Foundationへの関与を増強したことはまことに喜ばしい。またオープンソースコミュニティの指導的な立場におられるSarah Novotnyを当会の理事にお迎えできることは光栄であり、彼女が本会の大きな力になることは確実である”。

Googleによると同社はこれまで10000あまりのオープンソースプロジェクトをリリースおよび寄与貢献し、その中にはLFが管理するCloud Foundry, Node.js, Cloud Native Computing Foundation, Open API Initiativeなどがある。Cloud Native Computing Foundationは、Google由来のコンテナオーケストレーションサービスKubernetesの、母体的組織だ。

Googleはこれまで長年、非常に多くのオープンソースソフトウェアプロジェクトとそのエコシステムに関わってきたから、シルバー会員だったことの方がむしろ意外だ。

Novotnyはこう述べている: “オープンソースはGoogleの企業文化の最重要の本質であり、われわれは長年、オープンなエコシステムがよりはやく成長できる資質を持っていることと、変化に際して柔軟性と適応性が大きく、より良質なソフトウェアを作れることを認識してきた。The Linux Foundationはオープンソースのコミュニティに根付いており、当団体と密接に協働することによって私達は、コミュニティの総体と関係を持ち、誰もが利益を得る、誰に対しても開かれたエコシステムの構築に、これからも引き続き貢献していける”。

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TencentがLinux Foundationのプラチナ会員になる、Huawei、Alibabaに次ぎ中国勢活発

時価総額5000億ドルの、中国のインターネット巨人Tencentが、Linux Foundation(LF)のプラチナ会員になり、オープンソースへのフォーカスを一層強化しようとしている。

同社はかなり前からLFやLinuxそのものと縁が深く、今年の初めにローンチしたLFのディープラーニング事業の創設メンバーでもある。このたび最高ランクのプラチナ会員になったことにより、同社はLFの理事会にも加わり、同団体とより密接に協力していくことになる。すなわちTencentはLFのプロジェクトやコミュニティに“さらなるサポートとリソース”を提供していくとともに、LFが持つ専門的能力や経験を利用していく。

その一環として同社は、オープンソースのマイクロサービスプロジェクトTARSと、オープンソースのネームサービスプロジェクトTseerをLinux Foundationに寄贈する。同団体のディープラーニングファウンデーションには、オープンソースのAIプロジェクトAngelを提供する。

Tencent Mobile Internet GroupのゼネラルマネージャーLiu Xinが、声明で述べている: “The Linux Foundationのプラチナ会員になれたことは光栄である。オープンソースは、Tencentの技術戦略の中核である”。

そのほかのプラチナ会員は、Cisco, Huawei, Microsoft, AT&T, Samsung, IBMらだ。

今年初めにTencentは、ハードウェア方面のオープンソースを推進する取り組みの一環として、もうひとつのオープンソース団体Open Compute Project(OCP)に加盟した。

Tencentの主要なライバルであるAlibabaも、オープンソースのコミュニティに大きなプレゼンスを維持している。

Alibabaは昨年来、Linux Foundationのゴールド会員だが、その貢献度は大きくて、クラウドコンピューティングサービスAlicloudなどを提供している。また、初の中国の外のクラウド投資として、MariaDBに2700万ドルを投資した。中国国内ではクラウドストレージのQiniuやビッグデータのDt Dreamなどに投資している。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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Linux Foundationにディープラーニングのオープンソース団体が加わる

名前はLinuxでも、Linux Foundationかなり前から、Linuxのためだけの団体ではない。今ではCloud Foundry, Automotive Grade Linux Initiative, Cloud Native Computing Foundationなど、さまざまなオープンソースの財団やプロジェクトを支えている。そして今日(米国時間3/26)Linux Foundationにはさらにもうひとつの財団、LF Deep Learning Foundationのサポートが加わった

LF Deep Learning Foundationの目的は、“人工知能や機械学習、およびディープラーニングのオープンソースのイノベーションをサポートして支え、これらの重要な技術を世界中のデベロッパーとデータサイエンティストにとって可利用にすること”だ。

創設メンバーは、Amdocs, AT&T, B.Yond, Baidu, Huawei, Nokia, Tech Mahindra, Tencent, Univa, そしてZTEだ。今後、さらに増えていくであろう。

The Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinはこう述べている: “AIや機械学習およびディープラーニングのエコシステムにおける多くのプロジェクトに長期的な戦略と支援を提供し続けることを目的とする団体をご提供できることは、きわめて喜ばしい”。

同団体の最初の公式プロジェクトはAcumos AI Projectで、これはLinux Foundationがすでにホストしている、AT&TとTech Mahindraのコラボレーションだ。Acumos AIは、AIのモデルとワークフローを開発、発見、そして共有するためのプラットホームだ。

Linux Foundationが支えるそのほかの団体と同じく、LF Deep Learning Foundationもさまざまなレベルの会員資格を支援企業に提供し、また非営利団体も会員として受け入れる。LF Deep Learningの会員は、同時にLinux Foundationの会員にもなる。

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Cloud Native Computing Foundationに署名方式の強力なセキュリティプロジェクトNotaryとTUFが加わる

Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は、コンテナオーケストレーションツールKubernetesのホームとして知られているが、そのほかにもさまざまなオープンソースプロジェクトが身を寄せている。どれも、現代的なクラウドネイティブ関連のツールで、GoogleやMicrosoft、Facebookなどをはじめ、各社において、今ではそれらの利用が日常化している。

今日(米国時間10/23)はCNCFの厩(うまや)に、Docker生まれの2頭、NotaryThe Update Framework(TUF)が入った。その最初の開発者はニューヨーク州立大学のJustin Cappos教授と、そのTandonエンジニアリングスクールのチームだ。二つは互いに関連していて、どんなコンテンツにも保護と安心の層を加えるNotaryは、TUFの実装なのだ。

これらの背後にある基本的な考え方は、単純にTLSプロトコルを使ってWebサーバーとクライアント間のコミュニケーションを保護するのでは不十分、サーバー自身がハックされることもある、という認識だ。たとえば、Dockerのコンテナを配布して、それらが安全であると保証したいなら、Notary/TUFのクライアント/サーバアプリケーションがメタデータの署名を扱うことによって、さらなる安心の層を加えるのだ。

“デベロッパーのワークフローの中で、セキュリティは後知恵になりがちだ。しかしそれでも、
デプロイされるコードはOSからアプリケーションに至るまですべての部分が署名されていなければならない。Notaryは強力な安心保証を確立して、ワークフローの過程中に悪質なコンテンツが注入されることを防ぐ”、とDockerのシニアソフトウェアエンジニアDavid Lawrenceは語る。“Notaryはコンテナの分野で広く使われている実装だ。それがCNCFに加わることによって、さらに広く採用され、さまざまな新しいユースケースが登場してきてほしい”。

たとえばDockerはこれを使って、そのDocker Content Trustシステムを実装しているし、LinuxKitはカーネルとシステムパッケージの配布に利用している。自動車業界も、TUFの別の実装であるUptane使って、車載コードの安全を図っている。

Notary/TUFについて詳しく知りたい方には、Dockerのドキュメンテーションが勉強の入り口として最適だろう。

“NotaryとTUFの仕様は、コンテンツのデリバリに関する、信頼性の高いクロスプラットホームなソリューションを提供することによって、コンテナを利用するエンタープライズの重要な課題に対応している”、とCNCFのCOO Chris Aniszczykが今日の発表声明に書いている。“これらのプロジェクトが一体的なコントリビューションとしてCNCFに加わることは、とても嬉しい。今後、これらを軸としてさまざまなコミュニティが育っていくことを、期待したい”。

Docker Platform(EnterpriseとCommunityの両エディション)や、Moby Project, Huawei, Motorola Solutions, VMWare, LinuxKit, Quay, KubernetesなどはすべてすでにNotary/TUFを統合しているから、CNCFのそのほかのツールとの相性の良いプロジェクトであることも確実だ。

NotaryとTUFが加わったことによって、CNCFを実家とするプロジェクトは計14になる。

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IBMがクラウド上のブロックチェーンサービス、SaaSとしてのブロックチェーンプラットホームを立ち上げ

IBMが今日(米国時間3/20)、クラウド上の汎用ブロックチェーンプラットホーム、いわば“Blockchain as a Service”を、The Linux FoundationのオープンソースプロジェクトHyperledger Fabricバージョン1.0をベースに構築し、公開した。

IBMのBlockchainは一般公開されるクラウドサービスで、ユーザーはこれを利用して安全なブロックチェーンネットワークを構築できる。同社がその計画を発表したのは昨年だったが、このほど最初の実用実装の供用にこぎつけた。

ブロックチェーンは2008年ごろに、デジタル通貨Bitcoinの取引記録方法としてその名が知られ始めた。ブロックチェーンは本質的に、透明で改ざん不能なデジタル台帳だ。Bitcoinの取引を安全かつ透明に記録できることが示しているように、そのほかのタイプのデータもプライベートなブロックチェーンに安全に保存したり取り出したりできる。

民間企業や政府機関は、ブロックチェーンを使って信頼性の高いネットワークを構成できる。それによりメンバーは自由に情報を共有でき、それはメンバーだけが見ることができ、いったん入力された情報は書き換えられない。

IBMでブロックチェーンを担当しているVP Jerry Cuomoによると、顧客は同社のこのクラウドサービスを利用して、ブロックチェーンのネットワークを作成、展開、そして管理できる。これは、いろんな種類のクラウドサービスを顧客に提供していきたいとするIBMの基本戦略の、一環だ。

ブロックチェーンそのものはオープンソースのHyperledger Fabricプロジェクトがベースで、IBMもこのプロジェクトに参加しているが、これに独自のセキュリティサービスを加えることによって、エンタープライズの顧客でも安心して利用できるようにしている。また複雑な技術をシンプルなクラウドサービスでくるんでいるので、企業が自前でブロックチェーンを実装するよりもずっと楽である。

Cuomoはこう語る: “かなり前から、わが社を中心とするテクノロジー企業のグループが、企業のためにブロックチェーンとその関連技術(管理など)の一式を、サービスとして提供することを検討していた”。

そして2015年の終わりにHyperledger Fabricプロジェクトが登場して、それが可能になった。このプロジェクトには、State Street Bank, Accenture, Fujitsu, Intel などもメンバーとして参加している。

Hyperledger Fabricを利用すると、顧客側には安全なネットワークを構築するという外見があるだけで、ネットワークのセットアップやメンバーの招待、認証情報の暗号化などはすべて楽屋裏で行われる。またIBMのクラウドでは、IBM独自のセキュリティも盛り込まれるから、なお一層安全になる、と同社は考えている。

IBMのブロックチェーンサービスが絶対不可侵とまではCuomoも言わないが、独自の安全対策は施している、という。たとえば、その台帳はそのほかの一般的なクラウドコンピューティング環境からは隔離され、特製のセキュリティコンテナに台帳を収めることによって、無資格アクセスを防止している。また、セキュリティ耐性の強い、専用のハードウェアを使用している。たとえばそのハードウェアは、ハックを検出すると直ちに自分で自分をシャットダウンする。

同じくIBM独自のセキュリティ対策として、ネットワーク内で起きるあらゆるアクティビティを仔細に監査できるようにしている。アドミニストレーターは、異変時に監査記録をすぐに見ることができる。

IBMはこのブロックチェーンサービス本体に加えて、顧客のアイデンティティと属性を安全にシェアするブロックチェーンの実装SecureKey Technologiesを発表した。同社はこれまで、ブロックチェーンの応用技術として消費者のアイデンティティネットワークを、カナダの銀行でテストしてきたが、これはその派生システムでもある。

それがIBMの主張どおりなら、デジタル世界におけるアイデンティティのメンテナンスと共有が、大幅に単純化されると同時に、安全にもなるだろう。そして、毎回不必要な情報を入力することはなくなり、また共有化を途中で拒否することも、容易にできるようになるはずだ。

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MicrosoftがLinux Foundationに参加

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もはや、オドロキではないかもしれない。Microsoftの今日(米国時間11/16)の発表によると、同社はLinux Foundationに、会費の高いプラチナ会員として参加する。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、同団体とMicrosoftとの関係の歴史について語り、こう言った: “みんなにとっては意外かもしれないが、彼らは決して、うちの大ファンじゃなかったんだよ”。

しかしSatya NadellaがCEOになってからのMicrosoftは、これまでとはまったく違う歌を歌っている。今のMicrosoftは、オープンソースの最大の寄与貢献企業のひとつだ。最近のわずか数年間で、同社はCanonicalのUbuntuディストリビューションを実質的にWindows 10に組み込み、SQL ServerのLinux版を出し、.NETプラットホームの中核的部分をオープンソース化し、Red HatやSUSEなどとパートナーした。そしてZemlinも指摘するように、Microsoftは、Linux Foundationが管理するプロジェクトの多くに寄与貢献してきた。それらは、Node.js, OpenDaylight, Open Container Initiative, R Consortium, Open API Initiativeなどなどだ。

それにも関わらず今日の発表は、多くの人びとにとってオドロキだろう。過去には、MicrosoftとLinuxは犬猿の仲だ、と言われていた。Zemlinもこう言う: “オープンソースには反体制という感じ方がある。それも当然だ”。だから彼によれば、これまでも大企業がオープンソースをやり始めると、今回のような反応があった。でもしかしMicrosoftには、“すでに(オープンソースの世界における)長年の実績があるからね”、と彼は指摘する。

年会費50万ドルを払うLinux Foundationのこれまでのプラチナ会員は、Cisco, Fujitsu, HPE, Huawei, IBM, Intel, NEC, Oracle, Qualcomm, そしてSamsungだ。GoogleやFacebookなど10数社の主要なオープンソース企業が、ゴールド会員だ。

AzureチームのアーキテクトJohn Gossmanが、Linux Foundationの取締役会に加わる。

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ファイルシステムのないオブジェクトストレージのためのKineticハードディスクをLinux Foundationのもとで共同開発へ

2年前にSeagateが、アプリケーションがハードディスクに直接、Ethernetで接続して、キー-ヴァリューペア(key-value pair)のデータでオブジェクトを保存する、という新しい技術発表した。これによりファイルシステムやファイルサーバのオーバヘッドがなくなるため、一台のハードディスクに大量のデータを詰め込めるし、I/Oの速度も上がる。その後SeagateはOpenStackのオブジェクトストレージSwiftとRiakのためにこの技術によるディスクを作り、最近ではToshibaが、同じ技術によるハードディスクを発表した。

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そしてこのたび、ハードディスクの大手三社(Seagate、Toshiba、Western Digital)とCisco、Cleversafe、Dell、DigitalSense、NetApp、Open vStorage、Red Hat、およびScalityらがLinux Foundationと合同で、SeagateがKinectと名づけたこのタイプのハードディスクを共同で開発していくことになった。

そのKinect Open Storage Projectが、Linux Foundation Collaborative ProjectによるKinectディスクの開発を支えていくことになる。その目標は、“次世代の、Ethernetを利用するストレージデバイスによる、オープンソースのオブジェクトストレージを提供すること”、となっている。

このプロジェクトは、Ethernetによる通信と、ディスク上のキー-ヴァリューストア(store, 保存〕技術を組み合わせたものだ。プロジェクトは、APIと、オープンソースのライブラリと、これらKinectベースのディスクとインタフェイスするためのシミュレータを管理する。

SeagateはこのKinectプロジェクトを立ち上げたときに、ファイルをベースとする古いシステムは、オブジェクトベースのシステムに急速に置き換えられていく。とくに、データセンターにおいて、と主張した。

同社はこう言う: “新しいパラダイムはオブジェクト指向である。画像も、ムービーも、eコマースもWebのデータも、検索もゲームも、そしてそれらすべてのアーカイブもオブジェクトであり、その多くが非定型データから成り、書き込まれたり読み出されたり削除されたりするが、決して変更はされない。したがってそれらは、キー-ヴァリューストアの理想的な候補だ”。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、Kinectプロジェクトはオープンソースプロジェクトの教科書的な例だ、と言う。パートナーたちは全員、互いにコンペティタだが、ソフトウェアではなくハードウェアで競合する。そしてソフトウェアベンダのメンバーたちが、ハードウェアを管理するための共通のツールをオープンソースで提供していく。

“もしもこのプロジェクトを単一の企業が運営していたら、ある時点でガラスの天井にぶつかっただろう”、と彼は言う。しかもZemlinによれば、必要なソフトウェアの量は、とうてい一社で書けるような量ではない。今回、グループでパートナーになっている各社は、プロジェクトを管理するための中立的なプレーヤーと、一堂に集まってプロジェクトに投資していくための場を必要とする。そしてこの二つをLinux FoundationのCollaborative Projectsが体現し、この形は、近々に、この種のオープンソースプロジェクトのスタンダードになっていくだろう、とZemlinは述べる。

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クラウドSDNのPLUMgridがLinux FoundationとパートナーしてI/Oレイヤ技術IO Visorをオープンソース化

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The Linux FoundationPLUMgridが今日(米国時間8/16)、現代的なデータセンターのLinuxによるネットワーキングと仮想化をより一層推進するための、ハードウェアメーカーとLinuxディストリビューションのベンダらによる集団パートナーシップを発表した。このパートナーシップには当面、Barefoot Networks、Broadcom、Canonical、Cavium、Cisco、Huawei、IntelおよびSUSEが加わる。

このプロジェクトはPLUMgridのIO Visorの技術をベースとし、PLUMgridはIO Visorをプロジェクトに寄贈する。Linux Foundationが、そのほかのサポートを提供する。

今のトレンドとして、コンピューティングとストレージとネットワーキングは仮想化ヘ向かっている。そしてPLUMgridの主張によれば、I/Oとネットワーキングのサブシステムも、このトレンドに追随すべきであり、とくに物のインターネット(IoT)のアプリケーションにおいて、このことが言える。

PLUMgridの見方によると、ネットワークの機能を仮想アプライアンスとして提供するこのトレンドは、ルータやスイッチなどの高価な専用ハードウェアを使うことに比べると、パフォーマンスとスケーリングでボトルネックを抱える。すなわち同社によると、これらの仮想アプライアンスは需要に応じて容易にスケールするように作られていない。

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PLUMgridのファウンダでCTOのPere Monclusは次のように語る: “わが社は数多くのオープンソースプロジェクトを積極的にサポートしているから、IO VisorをLinux Foundationと共にオープンソースとしてコミュニティに提供していくことは、弊社のベストインタレストに適うだけでなく、クラウド技術がアジャイルに、かつ高いパフォーマンスでスケールすることに依存しているユーザの利益にも適うものである”。

この技術の核は、IO Visorをデータセンターのすべてのサーバに組み込むことによって、仮想ネットワークを構築することにある。するとヴァイザーがPLUMgridのDirector サービスと協働してデータレイヤを作り、デベロッパのニーズに応じてそれらのすべてのネットワークに接続していく。〔参考資料(1)(2)。〕

“仮想化は柔軟性とセキュリティの要求が厳しいから、今回の共同パートナーシップにはきわめて重要な意義がある”、とLinux Foundationの事務局長Jim Zemlinは語る。“オープンソースソフトウェアとコラボレーションに基づく開発は、どの業界においても、大きな変化に対応していくための重要な要素だ。IO VisorはLinux上の仮想化とネットワーキングのための、不可欠のフレームワークを提供するだろう”。

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メインフレームのLinux化を目指してOpen Mainframe ProjectをLinux Foundationが立ち上げ

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2015年の今、誰もが、メインフレームはコンピューティングの初期の遺物だ、と思うだろう。しかしその巨大マシンは今でも、大企業や大きな組織で大規模な計算作業をこなしている。

そして、メインフレームの不死鳥ぶりを証明するかのように、Linux Foundationが今日(米国時間8/16)、メインフレームコンピュータを使っている企業を助けるオープンソースの取り組みとして、Open Mainframe Projectを立ち上げた。

この事業は、今でもメインフレームマシンの最大のメーカーであるIBMが音頭取りだ。今日の同じ日に同社が、Canonicalとのパートナーシップによるメインフレーム上のUbuntu Linuxを発表したことは、決して偶然ではない。

Linuxがすでに15年間、メインフレーム上で動き、メインフレーム上のLinuxの使われ方も多様化し、ユーザのコミュニティも育っていることを知ったあなたは、驚くかもしれない。Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinが今日の発表声明で述べているように、今回のプロジェクトは、今でも成長を続けている需要への対応でもあるのだ。

このOpen Mainframe Projectにより、参加企業は一連のオープンソースツールの開発を共同して行い、メインフレーム上のLinux技術についても交流を深めていく。また各社が抱える問題についても、そのほかのオープンソースプロジェクトと同じように、共同で解決に取り組む。

“Open Mainframe Projectは、顧客とベンダとサービスプロバイダが一堂に会する場所を与える”、とIBM SystemsのゼネラルマネージャRoss Mauriは語っている。

IBMはすでに、25万行ノードコードをLinuxコミュニティに寄贈している。

Pund-ITの主席アナリストCharles Kingによると、初期のメンバーは、すでにメインフレームコンピューティングに深く関わっている企業、すなわちIBM、BMC、CA Technologies、そしてMarist Collegeだ。

IBMを筆頭とするメインフレーム企業は、メインフレームの導入費用と運用費用の両方を下げることによって、メインフレームのユーザを増やしていきたい意向だ。“今後の共同活動によってどれだけ新規のメインフレームユーザが増えるか、そこが焦点だ”、とKingは語る。

メインフレーム勢力がとくに望んでいるのは、新しい世代のデベロッパたちが関心を持ってくれることだ。そのためIBMは、クラウドサービスLinuxOneへのアクセスを無料にし、同社が開発したメインフレームシミュレーションツールを提供して、メインフレーム上のアプリケーションの開発を支援していく。またデベロッパが作ったメインフレームアプリケーションの、モバイルアプリケーションやハイブリッドクラウドアプリケーションとの接続性〜相互運用性についても、試験や調整を支援する。

結果について今から云々することはできないが、Kingが思い描くベストケースのシナリオは、このオールドスタイルのコンピューティングプラットホームを、一部のLinuxデベロッパが、おもしろい、と思うようになることだ。

この努力が、メインフレームへの新しい、若い、関心を育てるか、それはまだ未知数だが、プロジェクトの創始メンバたちは、そうなることを心から祈っている。

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Open Container InitiativeにAT&T、Oracle、Twitterなどが加わり、より強力な標準化組織に

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1か月前にDockerとLinux Foundationが、Dockerのデベロッパカンファレンスで、 Open Container Project発表した日本語)。今それはOpen Container Initiative(OCI)と呼ばれ、Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinが今朝(米国時間7/22)のOSCONで、このプロジェクトが急速に成長している、と述べた。新たに14の企業が参加しただけでなく、今ではOCIという組織の定款も作ろうとしている。

このイニシアチブを支える新たなパートナーはAT&TとClusterHQ、Datera、Kismatic、Kyup、Midokura、Nutanix、Oracle、Polyverse、Resin.io、Sysdig、SUSE、Twitter、そして本誌TechCrunchの新しいオーナーであるVerizonらで、彼らと創立時のメンバーAmazon、Microsoft、CoreOS、Docker、Intel、Mesosphere、Red Hatらが協働して、Dockerコンテナの今後の仕様等をガイドし、コンテナの共通スタンダードの確立を目指していく。

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Dockerの企業マーケティング担当VP David Messinaによれば、今のOCIのメンバーは大と小がバランスよく入り混じっていて理想的な形だ。とくにOracleが参加したことにより、今後はSolarisの上のコンテナに関する活発なフィードバックが得られるようになるだろう。もちろん、Sun Microsystemなきあとは、OracleがSolarisの最大の経験者だ。またこれまでよりも多くのディストリビューションやモニタリング企業、そして大企業が加わったことによって、最終的に良質なプロダクトが作られるものと期待される。それは、各社それぞれの専門知識や技能の、寄与貢献が期待されるからだ。

“Open Container Initiativeには熱い関心が寄せられており、そのことは、コンテナがアプリケーション開発に提供する機会と、他方では規格や実装の多様化と分裂という危機の可能性、その両方を表している”、とLinux FoundationのJim Zemlinが今日の声明文の中で述べている。“強力なコミュニティサポートとコラボレーションにより、この取り組みが機会の方の比重を高めていくことを、確信している”。

DockerのエンジニアPatrick Chanezonによると、定款はなるべく軽量なものにしたい、という。今後問題が起きれば技術監視委員会で解決できるし、また今後の(規格準拠)証明交付事業では商標委員会が活躍するだろう、と。

今はコンテナのエコシステムがこれほどまでに急成長しているから、コンテナそのものと一部の関連ツールに関して標準化の声が高まるのも当然だ。またそれがなければ、コンテナの今後のポータビリティもおぼつかない。昨日(米国時間7/21)発表された日本語)Cloud Native Computing Foundation(CNCF)によりLinux Foundationには、もうひとつのメジャーなコンテナ関連のオープンソースプロジェクトが加わったことになる。こちらはGoogleのコンテナ管理とスケジューリングのツールKubernetesに関連する組織だ。

しかしなぜ、Open Container ProjectOpen Container Initiativeになったのか? ZemlinはOSCONのキーノートで、Open Compute Projectと紛らわしいから名前をすこし変えた、と述べた。

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仮想化の雄XenがLinux Foundationに開発拠点を移す

Xenプロジェクトが今週で10歳になる。これを機に同プロジェクトはLinux Foundationに参加し、そのCollaborative Projectの一員となって今後の開発を続ける。Linuxカーネルと同じくXenもさまざまな企業からの貢献を享受しているが、開発とコラボレーションのホストがLFという非商業的中立団体になったことは、同プロジェクトの大きな勝利だ。

最近はKVMが大きな関心を集めているが、今でも展開数〜ユーザ数がいちばん多いのはXenだ。そもそも、Amazon Web Services(AWS)のEC2の仮想化はXenがその基盤だ。そのほか、Cisco、Citrix、 Googleなど、多くの企業がXenを使っている。またその開発には、U.S. National Security Agency(国家安全保障局)、SUSE Linux、Oracle、Intelなども参加している。

Linux Foundationの専務理事Jim Zemlinが、ブログの記事で次のように述べている: “オープンソースモデルは選択の自由を前提としている。したがって、多様なオープンソース仮想化プラットホームをサポートして、オープンソースのコミュニティ全域にわたるコラボレーションの場を提供していくことは、The Linux Foundationのプライオリティである。市場は、Linuxによる仮想化には複数の方法があってよい、と言っている。KVMとXenはそれぞれ得意とするユースケースを異にすることによって、いずれも独自の価値を保持している”。

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