任天堂、NFC内蔵のフィギュア、AmiiboをE3で発表―Wii U内でユーザーのキャラとして活躍

今日(米国時間6/10)、任天堂はE3カンファレンスのイベントで、 スカイランダーズディズニー・インフィニティに似た、ゲームと連携できるフィギュア、Amiiboを発表した。AmiiboにはNFCチップが内蔵されており、Wii Uコントローラーを経由してプレイヤーを代理するキャラクターとしてゲーム中に登場する。

ニンテンドー・アメリカの社長、Reggie Fils-Aimeはプレゼンで「Amiiboの投入でわれわれも『生きてプレイできるおもちゃ』のジャンルに’参入する』と語った。Amiibo以前にスカイランダーズとディズニー・インフィニティの開発チームはWii U向けのNFC機能を提供している。フィギュアに内蔵されたキャラクターのデータはユーザーがプレイするゲーム中にダウンロードされると同時に、ゲームの進行にともなってその履歴がフィギュアに戻されて記録される。

Amiiboを最初にサポートするのは今年のクリスマスに向けて発売されるWii Uゲーム、大乱闘スマッシュブラザーズになるという。それと同時にAmiiboのフィギュアも出荷されることになる。

それぞれのフィギュアには特有の能力があり、複数のゲーム内で使える。大乱闘スマッシュブラザーズとの連携は手始めで、多数のゲームがAmiiboのサポートを準備しているという。この中にはマリオカート8のような既存のゲームも含まれている。任天堂は「Amiiboの機能や利用できるゲームについては近く詳細を発表する」としている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LINEがセールスフォースと提携、海外の法人需要開拓の足がかりに

LINEと米Salesforce(セールスフォース)は10日、パートナーシップを締結したことを発表。LINEはSalesforceのCRMサービス「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と連携し、公式アカウントを持つ企業向けに提供する「LINEビジネスコネクト」の導入負担を軽減する。日本とアジアを中心に収益化を進めるLINEだが、アメリカやヨーロッパに強いセールスフォースと提携し、海外の法人需要開拓の足がかりにする狙いもある。

LINEビジネスコネクトは、公式アカウントを開設した企業が持つ顧客データベースと接続し、LINEを使ってユーザーごとに最適化したメッセージを送れるサービス。従来の公式アカウントは、すべてのユーザーに同じメッセージしか送信できない「一方通行」だったが、LINEビジネスコネクトは性別や年令などの属性に応じてメッセージを送り分けられるのが特徴。

2月の発表以降、注目を集めるLINEビジネスコネクトだが、企業側は顧客データベースを連携するためのシステム開発が負担だった。導入費用についてLINEは「一概に言えない」というが、一部の企業からは「億単位」といった声も上がっている。そこでLINEはセールスフォースのCRMサービスと連携することで、企業のシステム開発負担を軽減する狙いがあるようだ。(関連記事:LINEが企業向けにAPI公開、既存のマーケティングツールを置き換えようとしている

Salesforce ExactTarget Marketing Cloudは、顧客データベースやウェブ閲覧履歴などに応じて、メッセージやコンテンツを効率的に配信できるサービス。LINEの公式アカウントを持つ企業は今後、セールスフォースの顧客データベースと連携し、ユーザーごとに最適なメッセージをLINEで配信できるようになる。Salesforce ExactTarget Marketing Cloudの利用料金は明らかにされていないが、日経新聞によれば年間800万円程度だとしている。

両サービスの連携は10日に日本でスタート。両社は今後、既存顧客企業でお互いのサービスを検討している企業に対して、両社サービスの連携によるシナジー効果を訴求することで新たな顧客獲得も図っていく。


日本で流行の兆し? 数分で本の要約が読める3サービスを使ってみた

本を買っても読まずに積んだままにしてしまう「積ん読」なんていう言葉があるけれど、海外にもそうした人々はいるようで、ビジネス書を要約するサービス「getAbstract」が人気だ。1999年に米国でサービスを開始し、今ではドイツ語やフランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、中国語に対応。ユーザー数は1000万人を突破した。日本でも和製getAbstractとも言われる「flier」をはじめ、いくつかのサービスが出てきている。そこで、忙しい方向けに「本の要約を読めるサービス」を3つほど紹介したい。商談などで本の要約を押さえておきたい、とか、世の中のトレンドを掴んでおきたいという人はぜひチェックしておきたいところだ。

数分で1冊分の要約が読める「Quickreads」

「Quickreads」は、1冊の本を1200文字程度にまとめた要約を閲覧できるアプリ。1200字程度なので、数分で1冊を読み終えることが可能だ。これなら通勤時間内でも本の要約を掴むことができそう。お気に入りに入れておけば、オフライン状態で読むこともできる。気に入った本があれば、そのままオンライン書店のページに遷移できる。本の種類は毎週5冊ずつ追加され、毎月特集として10冊が掲示される。

試しに私が実際に読んだ本とこのアプリの要約文を読み比べてみた。例えば長谷部誠氏の「心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣」だが、本書で挙げられている56の習慣を大幅に端折ってしまっており、要約の内容に物足りなさを感じた。例えば心を鎮めるための習慣として、要約文では「1日30分間ベッドに横になる」というエピソードのみが語られているが、実際の本には「寝る前のマネジメント術」や「音楽の効用」といったエピソードが多数収録されている。箇条書き程度でも良いので、長谷部が心がけているリラックス習慣をまとめて欲しいところだ。

要約文を読んだ後は、「理解度クイズ」というものがあり、本の内容についての問題が3問出される。これに答えることで、要約の理解度を把握できる。例えば「伝え方が9割」では、「『ノー』を『イエス』に変えるための『伝え方』の3つのステップのうちの2番目にあたるものは次のうちどれでしょう」という問いが出され、3つの選択肢から答えを選ぶ具合だ。

iOS版Android版のアプリのダウンロードは無料で、6冊までは無料で閲覧できる。それ以上の本を読む場合は月額300円(税込)を支払う必要がある。

ボリュームはあるが抑えるべきところがまとまっている「flier」

「flier(フライヤー)」も、1冊の本を1分程度に要約してくれる。こちらは経営コンサルタントや各分野の専門家が一冊一冊を精読し、要約文を作るという点でほかのサービスと差別化されている。スマホやタブレットに対応しているので、通勤時間でも難なく読める。AmazonなどのECサイトへのリンクもあり、そのままオンラインで購入できる。要約コンテンツは無料公開と有料公開があり、無料公開は20冊まで閲覧可能(毎月1~2冊程度の入れ替えがある。有料プランは、月5冊まで有料コンテンツが読める「シルバープラン」(月額540円)と、無制限の「ゴールドプラン」(月額2160円)の2つがある。

このサービスでも、実際に私が読んだ本を読み比べてみる。堀江貴文氏の「ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく」の要約を読んでみたが、さすが10分程度の要約文というだけあって、内容が充実している印象。要約者レビューにはじまり、本書の要点、評点、著者情報、本文要約(章ごとにまとまっている)、と、要約という名称ながらボリュームのあるコンテンツになっている。しかも本の核となる部分(ゼロ~であれば「働くこととは何か?」)が「必読ポイント」という見出しとともに強調されているので、書籍で本当に伝えたいことを掴みやすい。文の構成まで考えられているという点で、さすがコンサル出身者による要約だと感じた。

アプリはiOS版のみのリリース。ウェブサイトからも要約を閲覧できる。

ビジネス書から漫画まで、要約コンテンツが豊富な「ブクペ」

「ブクペ」は、誰でも本の要約を書いて公開できるサービス。要約文も1000~2000字程度なので、空いた時間にサクッと読める。ポイントは要約されている本の多さ。ビジネス書から漫画まで幅広く公開されている。加えて複数のユーザーが1冊の本を要約しているので、何人かの要約を読み比べることもできる。

このサービスでも実際に読んだ本、石井てる美氏の「私がマッキンゼーを辞めた理由 ―自分の人生を切り拓く決断力」と比べてみたが、ブクペの要約はややお粗末に感じた。この本自体はQuickreadsにもflierにも掲載されていない本なので、ブクペが網羅している冊数は申し分ないと言える。ただ、肝心の要約では「本文中の引用」と「感想」だけに留まっており、Amazonのカスタマーレビューのほうが役に立つのではないかと感じてしまった。もちろんほかの本の要約には書評ブロガーによる読み応えのあるレビューもあるので、ブクペには役立つ要約もあるのは間違いない。要約のクオリティのばらつきが、ブクペのデメリットといえる。

以上、3つのサービスを見てきた。Quickreadsとflierは要約文の質がある程度保証されているが扱っている冊数が少なく、ブクペは扱っている冊数は多いものの要約のクオリティにばらつきがある。このようにそれぞれ長所短所があるが、Quickreadsとflierは話題の本の要約を掴むため、ブクペはちょっと気になっている本の内容を調べるためという風に用途別に使い分けるのが良いのではないだろうか。


金融庁「ファンド販売規制」の衝撃、独立系VCが連名で反発の声

金融庁が5月14日に公表した「プロ向けファンド」の販売制限案が、一部のスタートアップ業界関係者に衝撃を与えている。改正案の骨子は、ファンドの個人への販売を1億円以上の金融資産を持つ人に限るというもの。政府は金融商品取引法の政令などを改正し、8月1日から施行する。

こうした動きに対しては6月9日、磯崎哲也氏ほか独立系ベンチャーキャピタリストらが販売制限に反対するパブリックコメントを政府に提出。「日本の成長戦略の成功に大きく関わる独立系ベンチャーキャピタルファンドの新たな組成・発展を著しく阻害しかねない」と懸念を表明している。

プロ向けファンドとは

いわゆるファンド業務(ファンドの運用や販売勧誘)を行う場合は本来、「金融商品取引業」を行う者として金融商品取引法上の「登録」が必要。これに対して、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドを含むプロ向けファンドは、「登録」でなく「届出」でよいこととされ、販売勧誘規制が緩和されている。

届出をした業者は、証券会社や銀行などの「プロ投資家」(お役所用語で「適格機関投資家」と言う)が1人でもファンドに出資していれば、49人までは一般投資家もファンドに勧誘できるようになっている。国民生活センターが公開しているグラフによれば、次のようなイメージだ。

規制の背景は消費者トラブル

改正案が公表された背景には、「誰でも勧誘できる」制度を悪用する一部のプロ向けファンド届出業者の存在がある。

国民生活センターによれば、いくつかの業者が不特定多数の一般投資家への勧誘を前提としたプロ向けファンドを組成し、投資経験の乏しい高齢者に「必ず儲かる」と勧誘したり、リスクを十分に説明せずに出資契約を結ぶケースが続出。2012年度に同センターに寄せられたプロ向けファンド業者に関する相談件数は1518件に上り、3年前に比べて約10倍に増えている。

また、プロ向けファンド届出業者の一覧を掲載している金融庁のサイトによれば、4月30日現在で業者の届出件数は3546件。このうち、連絡が取れなかったり、営業所が確認できない「問題届出業者」は614件と、全体の約17%を占めている。

消費者トラブルが相次いだことを受けて金融庁は5月14日、プロ向けファンドの販売先を「適格機関投資家と一定の投資判断能力を有すると見込まれる者」に限定する改正案を公表。ここで言う「一定の投資判断能力を有すると見込まれる者」とは以下を指している。

1)金融商品取引業者等(法人のみ)
2)プロ向けファンドの運用者
3)プロ向けファンドの運用者の役員、使用人及び親会社
4)上場会社
5)資本金が5000万円を超える株式会社
6)外国法人
7)投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人

個人投資家からの出資のハードルが高くなる

独立系のベンチャーキャピタリストらが改正案で問題視しているのは、ベンチャー企業の創業や経営、新規上場に精通した「エンジェル」をはじめとする個人投資家からの出資のハードルが高くなることだ。

磯崎氏らが提出したパブリックコメントでは、小規模独立系のVCはエンジェルからの出資に一定割合を依存しているが、今回の改正案はエンジェルの出資が要件を満たさないことになるおそれがあると指摘。その結果、独立系VCの投資活動が阻害される可能性があるとして、次のようにエンジェルの重要性を訴えている。

機関決定を要する会社やファンドからの出資と異なり、エンジェルは意思決定が迅速で、かつ多様な領域のベンチャーに対して関心がありますので、新しい可能性へのチャレンジには不可欠なものであります。このただでさえ少ない日本のエンジェルの活動が、形式的な要件でさらに制約されてしまうことは、日本の今後の成長戦略にも大きな足かせとなってしまいかねません。

端的に言えば「個人はVCに出資するべからず」ということ

パブリックコメントに磯崎氏とともに名を連ねる、East Venturesの松山太河氏はFacebookで、「端的にいえば『個人(エンジェルなど)はベンチャーキャピタルに出資するべからず』『大企業だけはベンチャーキャピタルファンドに出資してよし』という内容」と、改正案に危機感を示している。

ベンチャーユナイテッドの丸山聡氏は自らのブログで、独立系VCへの影響を危惧している。「若手にとっては最初のファンド組成をするということはとっても大変です。出資をする適格機関投資家を見つけられたとしても、金融機関などは出資することはまずないですし、上場企業からの出資というのもハードルが高い」。仮に、金融庁が「投資判断能力を有する者」と定義する「投資性金融資産を1億円以上保有し、かつ証券口座開設後1年経過した個人」が見つかったとしても、その資格を満たしていることを届出事業者が確認しなければならない点が最大のハードルだと指摘する。

「そもそもファンドに出資してくださいってお願いにいって、資格を満たしているかどうか確認のための書類を出してくださいって言われたら、なんか面倒だから出資はやっぱり難しいなっていうことになるのが世の常な気がするんですよね。。。」

個人投資家からの投資のハードルが高くなるという点については、金融庁も「投資判断能力を有する者以外の者が、プロ向けファンドを購入できなくなるという社会的費用が発生するおそれがある」と認識。しかし、現状では「適切な勧誘によりプロ向けファンドを購入している投資家の大部分は投資判断能力を有する者であると考えられることから、その影響は限定的」として、規制強化によって不適切な勧誘による投資家被害が減少するメリットのほうが大きいとの見解を示している。

パブリックコメントでは、ベンチャーキャピタルに投資をする場合について、リスクや資産の状況、判断能力などを考慮し、問題が発生する可能性が低いと考えられる投資家については、規制の対象外とするよう求めている。具体的には、過去にファンド運営の経験を持つ個人、上場企業の役員と大株主、公認会計士や弁護士などの士業資格者らを、販売規制適用から除外すべきだと訴えている。

「独立系ベンチャーキャピタリスト等有志」名義で提出されたパブリックコメントには磯崎氏と松山氏のほか、赤浦徹氏、加登住眞氏、木下慶彦氏、郷治友孝氏、榊原健太郎氏、佐俣アンリ氏、孫泰蔵氏、中垣徹二郎氏、村口和孝氏といった独立系ベンチャーキャピタリストや個人投資家が名を連ねている。このほかの賛同者に対しては、パブリックコメント窓口から提出期限である6月12日17時までに、意見を提出してほしいと呼びかけている。

アメリカほどではないとはいえ、広くは伝わらないが日本でも新規株式公開(IPO)や合併・吸収(M&A)を果たすなどして成功した個人が、エンジェルとなって次世代のスタートアップに投資するケースが増えつつある。今回の規制強化は、消費者トラブルが増えていることを受けての対策ということは承知のうえだが、ベンチャーを取り巻くエコシステムに悪影響を与えない落とし所を見つけてほしいものだ。

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TaxCredits.net


US注目記事まとめ:ダースベーダー型360°カメラ大人気、スター起業家CEOがバカッターで炎上、詰め腹

ガジェット:

Giropticの360°全天球HD動画カメラがKickstarterで人気沸騰(Giroptic 360-Degree Camera Smashes Past Half A Million Raised On Kickstarter)

日本のリコーが天地前後左右の全天球が撮影できるカメラ、THETAをヒットさせたのがきっかけとなったらしく、全周パノラマ・カメラの開発が活発になっている。TechCrunch JapanではCENTR Camという360°パノラマカメラを紹介した。CENTR Camが水平の全周パノラマなのに対して、ダースベーダーのヘルメットみたいなこの360°Camはほぼ全天球がHDで動画撮影できる。Kickstarterプロジェクトで15万ドルの目標に対してすでに84万ドルが集まっている。

THETAが真上から真下まで写せるのに対してGiropticの360°Camは天地の画角が150°なので真上は写るが真下は写らない。しかし実際には真下は撮影者の手が大きく写り込むのでかえって写らない方がよい。こちらにギャラリーがある。

GiropticのセールスポイントはHD動画が撮影できる点だ。GPS内蔵で10mまでの防水機能があり、水中用レンズアダプターが付属する。カメラの底部の取り付けるスティックも付属しており、頭上に差し上げたり、吸盤で車の屋根に固定したりできるなど使い勝手がよく考えられている。

Lomo’InstantインスタントカメラがKickstarterで70万ドルを集める(The Lomo’Instant Blows Through Crowdfunding Goal To Bring Artistic Instant Photography To The Masses)

ポラロイドがいわゆる「ポラ」の製造を止めて以降、その場で紙にカラー写真が現像されるインスタントカメラは富士フィルムのチェキがほとんど唯一の製品となっていた。それがここに来て富士のInstaxインスタントフィルムを使ったカメラのプロジェクトが意外な人気だ。こちらもKickstarterプロジェクトだが、10万ドルの目標に対して70万ドル以上を集めている。

モバイル・キーボード・アプリ:

5-Tilesは非QWERTYキーボードという見果てぬ夢を追う新たな挑戦者(5-Tiles Keyboard Targets WearablesTo Hunt The Post-Qwerty Holy Grail

ウェアラブル・デバイスのユーザー体験の大きなハードルの一つは小さな画面でのテキスト入力だ。音声入力は周囲に人がいる状態では使いにくい。この5-Tilesはその名のとおり色違いのタイルが横に5個並べてあり、これを指でタップしたりなぞったりするパターンで文字や記号が選択される。一つのキーに複数の文字が割り当てられジェスチャーで選択するところはフリック入力の変種ともいえる。しかしフリック入力に比べてあまり直感的とはいえない。なるほど一つのアイディアではあるが、かなりの練習が必要だろう。

QWERTYキーボードの配列は機械式タイプライターの時代にキーが絡まないことを考慮して決定されたと言われており、合理性は低い。しかし一度確立した標準が法外に強い拘束力を持つことをQWERTY現象というぐらいで、キー入力の改良は一度も成功していない。

パーソナル・コンピューティングの初期に日本でも富士通の親指シフトやNECのM式(森田式)などいろいろな改良型キーボードが考案されたが、すべてメインストリームからは消えた。いかに優れた入力方式であっても世間の大部分のデバイスがQWERTYである以上、QWERTY方式も習得しなければならない。つまり2つのキー配列を覚えなければならないというハンディキャップを背負う。

どうせ練習が必要ならモールス符号の復活を考えた方がいいかもしれない。これならキーはわずか1個ですむ。

炎上:

Y Combinatorからデビューした問題児ファウンダー、自サイトで大炎上、詰め腹(Rap Genius Drops Co-FounderFollowing Elliot Rodger Manifesto Annotations)

コンビニやファーストフードのアルバイト店員が食品のケースの中に寝転がった写真をTwitterに投稿して大問題となる例が日本で相次ぎ、「バカッター」と命名されている。シリコンバレーでは最近、有名起業家が相次いでバカッター的に炎上している。TechCrunch JapanではSnapchatのEvan Spiegelはやはり本物のバカだったを紹介した。Spiegelの場合は暴露されたのがスタンフォードの学生時代の私的なメールということもあり、イメージを大きく落としただけで済みそうだ。しかしそれで済まなかったのがRap Geniusの共同ファウンダーのMahbod Moghadamの場合だった。

Rap Geniusはラップやロックその他あらゆるテキストの注釈を共有するソーシャル・サービスで、共同ファウンダーのMahbod Moghadamは『Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』(ランダル・ストロス)にも主役級で登場する有名起業家だ。ところがMahbodは、マーク・ザッカーバーグについてsuck my d*ckと下品きわまる罵倒をしたり、スパムで不正にトラフィックをかき集めたことでGoogleから表示ランクを下げる制裁を受けたりしてきた。また覚せい剤を使ったことを認めるような発言もあった。しかし大口投資家としてAndreessen Horowitzが支援していることなどもあり、これまでなんとか穏便に収まっていた。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校で学生6人を無差別殺害した後で自殺したエリオット・ロジャー(Elliot Rodger)がインターネットに公開した文書をRap Geniusが公開した。するとMahbodはこの文書を「すばらしくよく書けている」と賛美しただけでなく、「(ロジャーの)妹はすげー美人だろうな」などという不適切きわまる注釈を書きこんでいた。取締役会はただちに謝罪し、翌日MahbodはCEOを「辞任」した。TechCrunchのEtherington記者のつかんだ情報によると実質的な「解任」だったという。この決断は少々遅すぎたかもしれない。Rap Geniusのユーザー層はファウンダーが覚せい剤や無差別大量殺人犯を賛美しても気にしないだろうが、投資家は気にするだろう。

Beats Electronicsの共同ファウンダーのDr. Dreは買収が公式発表される前にクラブで酔っぱらい「オレはラッパーで初のビリオネアになったぞ」と自慢しているところがYouTubeに流れ、Appleを激怒させた。そのうちまた何か起こしそうな気がする。Appleもやっかいな時限爆弾を抱え込んだものだ。

位置情報サービス:

Foursquareから分離したチェックイン・サービスをニューヨークっ子が使ってみた(A New Yorker’s Take On Swarm)

収益化に悩むFoursquareは本体をレストランや店舗の評価、推薦を主とするソーシャルネットワーク化し、チェックイン機能をSwarmという新アプリに移すという思い切った改革を行った。Jordan Crook記者がこの記事でSwarmのユーザー体験を詳しくレポートして「有望だ」としている。

Foursquareはニューヨークを代表するテクノロジー系スタートアップなので生粋のニューヨーカーであるCrook記者にはだいぶ地元ひいきがあるのでそれを割り引く必要はあるが、なるほど思わせる点も多い。簡単にまとめると、「いちいちチェックインしなくても近所の店のクーポンやセールの情報がプッシュ配信されるのは便利」「ゲーム化はチェックインを稼ぐための手段だったのですでに膨大な位置情報を得た現在では廃止するのは順当」「友だちが近くにいることがわかるのは楽しい」など。

一方でCrook記者は位置情報ベースのソーシャル・ネットワークには「誰もが使い始めると意味がなくなる(まわり中友だちだらけ)」という「逆ネットワーク効果」がある点を指摘している。Facebookのニュースフィードの表示のように、友だち関係を解析して適切な友だちの情報だけを表示する「友だちランク」アルゴリズムが必要になってくるのかもしれない。

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コンバージョン率が倍増、クラウド予約システム「クービック」のグロースハック術

ヨガや英会話教室といったスモールビジネス向けのクラウド予約システム「Coubic(クービック)」は、ウェブサイトの知識がない人でも1分で予約ページが作れることをうたうサービスだ。今年4月にローンチしたばかりだが、ベータ期間中はコンバージョン率を上げるために試行錯誤していたそうで、あるグロースハックを実践したところ、その割合が倍増したのだという。その手法とは何だったのか?

クービックは開発当初、ユーザーがヨガ教室やネイルサロンなどの店舗に予約を入れる際、Facebookログインもしくはメールアドレスによるアカウントの新規登録を必須としていた。店舗の予約時に必要な氏名とメールアドレスを入力してもらう前に、クービックのアカウントを登録させていたわけだ。ユーザーからすれば「クービック? 知らんがな!」となって予約ページから離脱し、ビジネスオーナーからすると最悪のケースになりかねない感じだ。

クービック代表取締役の倉岡寛氏によれば、当時は空き会議スペースの予約サービスを想定していて、空き家貸出サービス「Airbnb」をベンチマークしていたのだという。だからこそAirbnb同様、最初にFacebookログインもしくはメールアドレスによる新規登録を求めていた面もあるようだ。

当初のクービックの利用イメージ

しかしその後、現在の予約&顧客管理を実現するビジネス向けツールにピボット。その結果、「我々の存在を消したほうがユーザーとビジネスオーナーのメリットになる」と判断し、予約フローを見直すことに。そこで実施したのが、店舗の予約に必要な情報を入力した後に、クービックの会員登録を「任意」で促すようにしたことだった。会員登録をすると2回目以降の予約がスムーズになる利点も同時に明示しつつも、登録を任意にしたことで予約のコンバージョン率が倍増したのだという。

クービック代表取締役の倉岡寛氏

現在はヨガ教室やネイルサロン、エステ、マッサージ、英会話教室などのローカルビジネスを中心に広がっているクービックだが、6月4日には日本最大級のヨガ情報サイト「YOGA ROOM」を運営するアイオイクスとの業務提携を発表した。YOGA ROOMには全国5000以上のヨガ・ピラティス教室が登録していて、そのほとんどは電話やメールで予約を受け付けているそうで、YOGA ROOMを通じてクービックの導入を進めていく。

これまではネット上のクチコミで広がっているというクービックだが、「ローカルビジネスの経営者でネットに明るい人は肌感覚として10%程度」と倉岡氏。今後も今回のような提携を通じて、自社ではリーチしきれないスモールビジネスの顧客を獲得していきたいそうだ。


今週のまとめ:ミーカーの「お告げ」発表、Appleは30億ドルの買物、プログラミングはそう易しくない

ミーカーの「今年のお告げ」、発表

伝説的アナリスト、メアリー・ミーカーの2014年版「インターネット・トレンド」発表

リンク先記事には全スライドをエンベッドしてある。「消費者が印刷メディアを読む時間は減っているのに依然として広告費の大きな部分を占めている。逆にモバイル利用時間は非常に長くなっているのにそれに見合う広告費が支出されていない」などの重要な指摘あり。広告に頼る印刷メディアのさらなる苦境が予想される。

プログラミングは易しくない―しかし中1女子でも良いアプリを作れる

「プログラミングは簡単に学べる」なんてことはない―女性CTOが体験からのアドバイス

夏休みに独学でプログラミングを学んでスタートアップの技術担当共同ファウンダーとなり、WordPressへの会社売却に成功した女性プログラマーが「何か役に立つものを作りたかったら…絶えず自分の不慣れな分野に踏み込んでいかねばならない。自分がバカに思えるという状態に慣れておく必要がある」とアドバイス。

「iOSのXcodeに面食らった」という告白にはFacebookなどで「あれは苛立たしい開発環境だ」と賛同する声が上がった。一方、

女子生徒のグループが視覚障害者向けAndroidアプリを開発、Verizonのコンテンストで優秀賞に

Verizonの中高生対象のアプリコンテストで中1女子6人のグループが優秀賞に選ばれた。視覚障害のある同級生が教室から教室へ移動するのに苦労しているのを見て、助けになるアプリの開発を思い立ったのだという。実装にはMITメディア・ラボの専門家が協力したという。日本でもキャリアや大学がこういう中高生向けのコンテストやセミナーをどんどん開催すべきだ。

ApppleはBeatsを買収―今週はWWDCでiOS 8発表へ

Apple、Beatsを30億ドルで買収―音楽ストリーミング・サービスはiTunesと別個に運営へ

Beats ElectronicsはラッパーのDr. Dreと音楽ビジネスの大物、ジミー・アイオビンが設立したヘッドフォンと音楽ストリーミングの大手企業だ。先週から噂になっていたが、やはりAppleはBeatsを30億ドルで買収した。「b」のロゴをあしらったヘッドフォンはアメリカでは若い層に大人気で100ドル以上のマーケットでは7割近いシェアを占めているという。

しかしAppleの狙いはヘッドフォンよりむしろ音楽ストリーミング事業にあるというのが業界の観測だ。Beatsの定額制音楽ストリーミングはダウンロード販売モデルのiTunesとは別個に運営されるという。Dr.Dreやアイオビンのようなショービズ人種がAppleの厳格な企業文化の中に溶け込めるかという点も含めてこの30億ドルの買物がどういう成果を上げるか注目される。

バナーに示された「8」の文字。WWDCでのiOS 8リリースは間違いなし!

AppleはWWDC 2014カンファレンスを日本時間6月3日午前2時から開始する。準備中の会場には「8」の文字を描いたバナーが掲出されていたそうだ。iOS8が発表されるのは間違いないようだが、ヘルス、ホームオートメーション関連などの発表もあるかもしれない。Appleがこちらでライブストリーミングを予告している。

ナデラCEO、巨艦を未来へ向けて舵取り

MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ、「われわれはポストPCのさらに先の時代に入る」

MicrosoftとSalesforceが提携、広範囲な製品統合

サティア・ナデラ新CEOはMicrosoftをデバイスとサービスの会社に変えるべく精力的な舵取りを続けている。先週はSalesforceとの広汎な業務提携を発表した。まだ詳細は明らかでないが、判明次第報告したい。

ガジェット:カメラは360°化、ドローンの産業用応用が本番

CENTR Camは元iPhoneカメラチームが開発した360°パノラマ動画カメラ

低価格のコンパクトデジタルカメラ市場はスマートフォンのために壊滅状態だが、一方でGoProは売上高10億ドルに近づき、上場を申請中だ。日本ではリコーが昨年発売した全天球カメラ、THETAは4万円代という価格にもかかわらずかなりの人気を得た。Kickstarterで出資を募っている360°カメラがおもしろそうだ。こちらは360°といっても全天球ではなく、水平360°だが、以前AppleでiPhoneのカメラ開発に携わったチームだけに画質やユーザー体験には期待がもてる。

建設現場の空撮ドローンのSkycatchが1320万ドルを調達―クライアントにはベクテルも

一方、ドローンはすでに「ものめずらしさ」から実用段階に入っている。このSkycatchは土木や建築の現場を上空から撮影するサービスでベクテルなどの世界的エンジニアリング企業をクライアントにしている。僻地を通る高圧線のメンテナスなどドローンを利用すれば巨額のコストが節約できる領域は無数にある。日本でもドローンの産業利用に関するガイドラインや法規の整備が早急に必要だろう。

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動画制作「Viibar」に撮り下ろし映像を使わない低料金プラン、「PIXTA」の素材活用

今年は「動画元年」と言われているが、調査会社のシード・プランニングによれば、2013年の国内ネット動画広告市場は、前年比329%の132億円に成長しているそうだ。動画広告以外にも、最近は自社サイトでプロモーション動画を載せるのは珍しくないし、実はTechCrunch Japanも起業家を編集部に呼んで動画インタビューを行っていたりする。我々の話はさておき、動画ニーズをさらに掘り起こすべく、映像制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」が2日、エントリー層向けの低料金プランを発表した。

Viibarはシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターといった各分野のクリエイターを集め、発注者とマッチングするサービス。従来の動画制作の流れは、広告主が代理店に依頼し、そこから制作プロダクションに発注し、さらにクリエイターに仕事が振られるという、多重な下請け構造。Viibarはこれらの中間業者を抜くことで市場価格の半分程度のコストでの動画制作を実現するとともに、クリエイターの利益も最大化しようとしている。(価格は30万円〜、60万円〜、100万円〜の3プラン)。2月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円を調達した

そんなViibarが2日に発表した新プランは、写真・動画素材の販売サイト「PIXTA(ピクスタ)」が扱う770万点以上の素材を使って映像制作を依頼できるようにするもの。自前で撮影する「撮り下ろし」の映像を使うのに比べて、従来よりも低コストに抑えられるのが特徴だ。HD画質の料金は15秒で14万8000円、30秒で22万8000円、60秒で29万8000円。ナレーションを入れる場合はプラス4万円〜となっている。

気になる動画素材はCG作品や風景、人物など多岐にわたるが、PIXTAで最も売れているのは、日本から世界各国に向けて光線が発信されるCG(企業がグローバル展開していることをアピールするために使ったりする)なのだという。そのほかにも、渋谷のスクランブル交差点で行き交う人々をスローモーションで撮影した映像などが人気なのだとか。

撮り下ろし映像を使った作品と比べると表現力に制限はありそうだが、「動画は高くて手が出ない」と考えている企業にとっては打ってつけといえるかもしれない。Viibar代表取締役の上坂優太は「新プランを試してもらい、その後、撮り下ろしプランを始めていただけたら理想」と話していて、ユーザーの裾野を広げる狙いのようだ。一方、PIXTAとしては素材活用の幅を広げ、動画制作でストック素材を使う文化を広げていきたいのだという。

ところで、写真・動画素材の販売サイトはゲッティイメージズやアマナイメージズ、シャッターストックといった大手があるが、なぜスタートアップのPIXTAと新プランを共同開発したのか。この点について上坂は「何よりスピードが速いから」と話す。「やりっぱなしでなくPDCAを高速で回すためにはスピード感を持った会社とやりたかった。スピードが遅いと取り組み自体の鮮度が落ちてしまう。(PIXTA社長の)古俣さんと仲良くさせていただいていて、何かやりましょうと話していたのもありますが(笑)」。ちなみに今回の新プランは、交渉開始からわずか1カ月で実現にこぎつけたのだという。


ユーザーの声を疑え!イケてるスタートアップがプロダクト開発で重視する3つの法則

freee代表取締役の佐々木大輔氏

イケてるプロダクトを作るために「ユーザーの声」を金科玉条のごとく扱うことは、時として問題の本質を見失ってしまうかもしれない――。こう指摘するのは、クラウド会計ソフト「freee」を運営するfreee代表取締役の佐々木大輔氏。札幌で開催中の「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」で23日に行われた、「プロダクト・イノベーション」をテーマにしたセッションの一コマだ。

freeeは、簿記の知識がなくても会計処理を可能にするクラウド型会計ソフト。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、記帳を自動化することで、面倒な手入力の手間を省いてくれる。5月19日には給与計算機能をリリースし、7万事業者が導入するまでに成長したfreeeだが、創業前、ユーザーに要望をヒアリングした結果をそのまま反映していたら、今のプロダクトは生まれなかったかもしれない。

「ユーザーのフィードバックの多くは『会計ソフトの入力を早くしたい』という声だったが、問題の本質は『入力しなければならないこと』。入力をなくすことが問題解決につながるはずだと、プロダクトをローンチするまでに何度もメンバーと議論した」。こうした体験を経て佐々木氏は、優れたプロダクトを生み出すにあたっては、次の3つの法則を大事にするようになったのだという。

1)本質的な価値があるか
2)まず手を動かす
3)柱(ゴール)を建てて、やらないことを決める

1)は前述の通り、ユーザーの求めるものが本質的な価値を生み出すかどうかを精査しなければならないということだ。

2)に関しては、アウトプットする前に議論をしていると、「うまくいかない理由」ばかり出てきてネガティブになりやすいが、いっそのことローンチしてから出てきた課題を解決すべきだと、佐々木氏は語る。「ローンチは仮説検証プロセスの一部。そうすれば『これを削らないとね』ということが見えたり、場合によってはピボット(方向転換)もできる」。

3)については、会計ソフトのようにユーザーから求められる機能が多い場合は、優先順位付けが欠かせないという。例えば、確定申告の需要に応えるために、1月までに機能強化を図ることを「柱」とする。逆に言えば、確定申告に結びつかない機能は、どれほどユーザーから要求されても実装を遅らせるというわけだ。


ヤフーが大赤字でも「2時間配送」にこだわる理由


ネットショッピングで翌日配送や当日配送といった「短時間配送」は当たり前。もっと早く欲しいというニーズを満たすためにヤフーが5月8日に試験的に始めたのが、注文後2時間以内に商品を届けるYahoo!ショッピングの「すぐつく」だ(関連記事はこちら)。アメリカだけでなく日本でもにわかに注目が集まる「数時間配送」だが、なぜヤフーはこのジャンルに参入したのか。札幌で開催中のInfinity Ventures Summit2014 Sprint(IVS)でヤフー執行役員の小澤隆生氏がその狙いを語った。

すぐつくは、巨大な物流拠点から配送する従来型の物流ではなく、近隣にある実店舗から利用者に直接商品を届けることで「2時間配送」を実現する。実証実験では東京・豊洲のスーパーマーケットなど3店舗と提携している。この動きには、ブロガーのやまもといちろう氏が「戸別配送を手がけたチェーン店は死屍累々」などと指摘。この点について小澤氏は「はっきりイイましょう。大赤字です」と言い放った上で、すぐつくを始めた理由を次のように話した。

なぜやっているかというと、やっぱり商流の中に1枚入るのが重要なんですよ。どこの誰が何をいくらで買ったかがわかれば、広告配信に使える。地元のスーパーはチラシを打っているけれど、その間に僕らが入る。そうすると、チラシのビジネスが取れるかもしれない。プラットフォームになるには、いかに砂時計の真ん中を作り出して取るか。購入の直前、家までのラストワンマイルをいかに取るか。

これは喋りたくなかったなあ……と反省気味の小澤氏だったが、話は止まらずさらに続いた。

どんなに赤字でもこの情報が欲しい。どこの誰が何をいくらで買っているかがわかれば、ヤフーとしては広告配信に使えるデータになる。こうした情報は今までスーパーマーケットしか取れていなかったのですが、すぐつくはリアルの購入に完全に食い込んでいるんですよ。そういうことをやろうとしているのは、言うつもりがなかったんえすけどねえ。ECで考えると、ヤフーや楽天は販売店が自由に使えるプラットフォームになりがち。でも私としては、楽天と同じ戦いをしても難しいし、つまらないので、砂時計の真ん中をギュッと掴む。


ブレスト不要、1人で悶々と考えろ!LINE流「面白いプロダクト」の作り方


今日から札幌で開かれている「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」に来ている。初日には、LINE執行役員の舛田淳氏とヤフー執行役員の小澤隆生氏が登壇し、「次世代プラットフォーム革命」をテーマにしたセッションが開かれた。テーマとは若干離れるが、セッション内で両者が「面白いプロダクトの作り方」について語った内容が興味深かったので紹介しよう。

ブレストするな。1人で悶々と考えろ――。舛田氏によれば、LINEで新しいプロダクトを作る際には、社内で無駄に情報共有をしないように呼びかけているという。「プロジェクト間で連携しようとすると、『向こうではこれをやってるから』と身動きがとれなくなる。(木を見て)森を見ないと動くべきではないというが、全体の合意を取ろうとするとつまらなくなる」

1人で悶々と極限までプロダクトを考えたあとは、「早く、小さく始めて、ダメならばすぐに閉じることが大事」と舛田氏は語る。「すぐに閉じればダメージは小さい。ちょっと恥ずかしいけど。言ったことでも、ダメならすぐに撤退するのがイノベーションに必要なこと」

これに対して小澤氏は、面白いことや新しいことのほとんどは失敗するとの持論を展開。2012年4月に宮坂学氏が代表取締役CEOに就任し、社内で「10倍失敗しろ」というメッセージを発信してからは、「挑戦しないとダメだ」という空気が醸成されたのだという。

「9割は失敗するので、それを許す企業文化をいかに作るか」。小澤氏の言葉の通り、軽井沢の高級別荘を予約できる「Yahoo!トラベル 軽井沢の別荘特集」が4月16日のローンチから1カ月余りで閉鎖したことも明かした。「昨日閉じたんですよ。僕が華々しく始めたんですが、社内大騒然ですよ」。

さらに、ヤフーがイー・アクセスの株式取得を中止したことについて暗に触れ、「今週も大きな失敗があったんですが、よくないですよ、あれは!」と語り、会場をわかせる一幕も。ちなみに小澤氏はセッションで開口一番、「今週冒頭に大きなニュースがありましたが、広報からは『くれぐれもふざけるな』と言われている」と話していた。


【書籍】通貨の未来が変わる?『ビットコインのからくり』

編集部:この記事は、本の要約サイト「flier(フライヤー)」と共同で選書したIT・テクノロジー関連書籍の要約を紹介するものだ。コンテンツは後日、フライヤーで公開される内容の一部である。

タイトル 暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり
著者 吉本 佳生、西田 宗千佳
ページ数 272
出版社 講談社(ブルーバックス)
価格 972円(税込)
要約者の評点 総合:4.0(5点満点、下記3点の平均値)
革新性:4.5、明瞭性:4.0、応用性:3.0

要約者によるレビュー

ビットコイン(Bitcoin)と聞くとどのような印象をお持ちだろうか。マウントゴックス(Mt.Gox)という当時最大規模の取引所の破綻や、投機対象として不安定なもの、将来有望な暗号通貨というような、さまざまな印象があるだろう。本書はその名の通り、ビットコインを客観的に評価しようという野心的な書籍であると言える。

マウントゴックスの破綻のニュースは多くの方に影響を及ぼしたため、それ自体はネガティブなインパクトを持つだろう。しかし、だからといってビットコインそのものの信頼性が揺らいだ訳ではない点に注意が必要だ。

今回の騒動はあくまでもビットコインの取引所側の瑕疵が起因となり発生した問題であって、ビットコインの暗号が破られて多大な損失を出したものではない。一般的に通貨を取り巻くシステムは、国家の軍事力、法的拘束力、中央銀行、金融機関、決済システムなど、多くの要素から成り立っており、日本国通貨である「円」に関しても盤石なものではないのである。

本書はビットコインを中心に展開されるが、その内容は通貨制度、暗号の仕組み、中央銀行の歴史、ウェブ上およびリアルでの決済手段など、多様な要素で構成されている。本書を読めば複数の視点から客観的にビットコインを評価できるとともに、ビットコインなどの暗号通貨に今後の可能性を見出すことができることだろう。金融機関に関わる方やウェブサービスの運営者はもちろん、ニュースに惑わされずその本質を理解しようという一流のビジネスパーソンこそ、本書を読む価値が十分にある。

 

本書の要点

・ビットコインは中本哲史と名乗る人物が提唱した論文を元に世界の技術者が構築した、画期的な暗号通貨である。

・マウントゴックスの破綻によりビットコインが持つ暗号の強固さが損なわれた訳ではない。資産を預かる取引所としてのマウントゴックスの情報システムに問題があったのである。

・ビットコインにはそれを支える中央銀行もなく、武力もない。暗号が破られないという「知力」が基礎になっている通貨だと言える。

 

【必読ポイント】ビットコインは通貨の未来をどう変えるか?

「知力のビットコイン」VS.「武力の国家通貨」

国家通貨を支える中央銀行は、通貨の信用の糧になるのだろうか。現在の中央銀行は、国内でもっとも安全なはずの金融資産である国債を大量に購入することで、その対価である現金を発行する。しかしその信頼は、将来の税収で財政を黒字化し、それまでの借金を返済するというストーリーがあってこそだ。

つまり中央銀行が現金を発行しているからといって、価値の裏づけがある訳でもないから、ビットコインにも中央銀行が必要だ、という議論も不毛なものだ。

中央銀行には「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」という3つの役割が存在している。歴史的にはイングランド銀行にせよフランスの王立銀行にせよ、役割の3番目の「政府の銀行」としての役割として、発足しているものである。当初の中央銀行の目的は戦争継続のための資金を国家に提供することだった。中央銀行はその後、「発券銀行」、「銀行の銀行」という順番で役割を拡大していくことになる。

国家通貨の信用は「法的強制力」と「中央銀行の信用」によって支えられる。特に「危機時」および「国際決済」での信用が不可欠となる。国が滅んでしまえば紙幣の価値がなくなるので、究極的には外国からの侵略を防ぐ「武力」が必要になるのである。

一方で、ビットコインには中央銀行もなく、武力もないので、暗号が破られないという「知力」が基礎になっていると言える。「ビットコインVS.国家通貨」という構図は「ペンVS.剣」に近いのだ。

通貨制度の未来

「ある程度以上の人たちに通貨として信用されていれば、通貨」となるので、すでにビットコインは通貨として機能していると解釈できる。ビットコインも含めて通貨制度の未来を予想すると次の4つのシナリオが考えられる。

① 様々な国家通貨が使われている中で、並行して暗号通貨も用いられる。
② 円の国際化によって国際決済はほとんど円によってなされる。(日本が過去に目指した姿だが、今では夢物語にも見える)
③ 世界全体での通貨統合を米ドル、金、その他通貨のいずれかで実現する。
④ 暗号通貨は生き残らず、様々な国家通貨が用いられる。

これ以外にも様々なシナリオが予想されるだろう。現実的には暗号通貨が市民権を得て①のシナリオになるか、暗号通貨が消滅し④のシナリオになるのかのどちらかかもしれない。

これからの通貨に関しては、可能性を示すことはできるが確実な予想は難しい。今後どうなっていくか、本書を題材に読者自身でも予想していただければと思う。


マネーフォワード、クラウド型でも郵送に対応する請求書管理サービス

基幹システムを導入する予算がない個人事業主や中小企業にとって、請求業務は一銭の利益も生み出さないにもかかわらず、毎月多くの時間を費やさなければならないルーチンワークだ。国内には、クラウドを使って請求業務を効率化するサービスとして「MakeLeaps」「Misoca」があるけれど、クラウド会計ソフトのマネーフォワードが20日、同分野に参入した。

請求書といえば手入力で作成してから、印刷・捺印した上で郵送するのが一般的。これに対してマネーフォワードが開始した「MFクラウド請求書」は、クラウド上でロゴや社印付きの請求書を作成・送付できる。取引先を一度登録すれば、それ以降は選択するだけで請求書の作成が可能だ。請求書をPDF化してメール送信する機能も備える。

既存のサービスとの違いは、クラウド会計ソフト「マネーフォワード For BUSINESS」の会計データと連携している点だ。例えば、請求書を送付すると自動的に会計ソフトで売掛金の仕訳を作成したり、入金時に会計ソフト側で消し込み処理を行うと請求書サービスのステータスも自動的に入金済みにな

クラウド型の請求書作成サービスは紙でやりとりするのに比べ、作業時間が短くなるだけでなく、紛失リスクもなくなる。とはいえ、いきなりクラウド化するのは「商習慣的に抵抗がある」という声もあるかもしれない。そんな企業に対しては、6月上旬をめどに請求書の印刷・封入・郵送を有償で代行するサービスを開始する。当面はベータ版として、代行サービスを除く全機能を無料で提供する。


DSP事業のフリークアウト、マザーズ上場へ


リアルタイムに広告枠を取引するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)「FreakOut」などを手がけるフリークアウトが19日、東京証券取引所マザーズ市場への上場が承認されたことを明らかにした。上場は6月24日を予定している。上場に伴い53万株を公募し、22万株を売り出す。オーバーアロットメントによる売り出しは11万2500株。

フリークアウト代表取締役社長の本田謙は、2005年にコンテンツマッチ広告に特化したブレイナーを創業。2008年にはヤフーへ売却し、同社の開発部長として勤務。ヤフー退職後の2010年10月、国内唯一の専業DSPとしてフリークアウトを創業した。2012年2月には3億5000万円2013年3月には5億円の資金調達を実施していた。

2013年9月期の売上高は21億6246万円、経常利益は2億5164万円、純利益は8675万円。


1クリックで給与計算、専門知識いらずのクラウド会計「freee」に新機能


5〜30人の従業員を抱える中小企業の85%は給与事務を社内で手作業で処理していて、そのうち半数は経営者自らが作業をしている――。クラウド会計ソフトのfreee(フリー)が中小企業の経営者300人を対象にしたアンケートで明らかになった。freeeによると、給与計算にかかる時間は従業員1人あたり平均月28分かかっていて、経営者の大きな負担になっていると指摘する。そんな給与関連事務が1クリックで完了するという「クラウド給与計算ソフトfreee」のベータ版が5月19日にリリースされた。毎月、それなりの時間と労力を費やして給与計算ソフトやExcelを使っている中小企業に向けたサービスだ。

従来の給与計算ソフトは、給与計算や税務などの知識が必要だったり、給与明細などの書類を紙で管理することが前提だった。そのため、必要な情報を探して給与関連事務が完了するまでには、多くの時間とコストがかかっていたと、freeeは指摘する。こうした給与計算ソフトを使っていない企業の中には、ガイドブックを片手に電卓を打ちながら給与を計算して、さらに給与明細を印刷して封入して従業員に手渡しをする――といった光景が毎月繰り広げられている。

これに対してクラウド給与計算ソフトfreeeは、給与の知識がほとんどなくても使えるのが特徴。従業員自身が勤怠情報を入力すれば、あとは自動で給与額の計算、給与明細の発行・配布、社会保険や年金などの支払いに関する書類が1クリックで作成できる。

例えば、税金や社会保険料の計算は複雑なことに加え、法改正があるためミスが起きやすいところだが、freeeでは、入力された給与情報をもとに自動的に計算する。法改正で税率・保険料率が変更する場合にも、クラウドサービスであることから自動的に対応することが可能で、ソフトの買い替えやアップデートも不要というわけだ。このほかにも、計算された給与や税金・保険料は「クラウド会計ソフトfreee」に取引として自動で反映されるため、給与計算の結果を会計データとして転記する手間を省くことができる。

現時点では無料のベータ版として一部機能のみが提供されていて、以下の機能は今後追加される予定だ。

 ・従業員が給与計算に必要な基礎情報や勤務時間を直接入力する
 ・給与明細をオンラインで確認する
 ・所得税計算高計算書や源泉徴収票を自動作成する

今年後半にリリースする正式版では、従業員3人分までの給与計算が可能な基本プランが月額1980円、従業員1人追加するごとに月額300円がかかる予定。クラウド会計ソフトfreeeと同じアカウントで給与計算ソフトfreeeも利用できる。すでに7万事業者が導入しているクラウド会計ソフトと同様に、従業員30人以下のスモールビジネスを対象にクラウド給与計算ソフトを普及させる考えだという。


自動家計簿「マネーフォワード」のユーザーはカード利用回数が増えるらしい

自動家計簿サービス「マネーフォワード」を使ってみると、クレジットカードや電子マネーの出金履歴を自動入力してくれる便利さのあまり、極力現金払いを避けたくなるほどだ。うちの編集部の西村賢にいたっては、外出先ではドコモの電子マネー「id」しか使いたくないと言い張っている。我々以外にもこうした人は多いようで、カードの利用回数が月間10回未満のユーザーの場合、マネーフォワードにクレジットカードを登録した後は、カードの利用回数が平均1.7倍に増えるなど、日頃の現金支払いをカードに切り替える傾向があるのだという。さて、そんなマネーフォワードが16日、クレディセゾンとの業務提携を発表した。

これに伴い、クレディセゾンが発行するセゾン・UCカードの利用明細データをマネーフォワード上に自動保存するサービスを開始する。セゾン・UCカードの確定済みのウェブ利用明細は過去3カ月分のみ閲覧可能だが、マネーフォワード上では1年間閲覧でき、月額500円のプレミアム会員であれば無期限で閲覧できる。明細の閲覧期間が短すぎて気づいたら消えていた、なんてこともなくなりそうだ。7月には、クレディセゾンのネット会員IDでマネーフォワードにログインできるようにする。クレディセゾンのサイトで最も閲覧数が多い「カード利用明細ページ」では、「過去1年分のカード利用がチェックできる家計簿サービス」というキャッチコピーを掲げてマネーフォワードに誘導している。

金融機関のサービスといえば、各社が独自開発したものをユーザーに届けているわけだけれど、マネーフォワードのような専業ベンチャーと提携することで、サービスレベルと開発スピードが上がるメリットがありそう。クレディセゾンとしては、こうしたサービスが充実することで、紙の明細書をウェブに切り替える会員が増え、紙や郵送コストを削減することも見込んでいるようだ。クレディセゾンから「お墨付き」をもらったかたちのマネーフォワードだが、今後は他のクレジットカード会社や銀行、電子マネーとの提携も視野に入れている。

マネーフォワードは銀行や証券、クレジットカード、電子マネーなどのサイトにログインするIDとパスワードを登録するだけで、自動的に入出金情報を入力してくれるサービス。入出金情報は「食費」「日用品」「交通費」といった項目に自動で分類される。現金払いのぶんは別途、手入力が必要になるけれども、対応している約1400社の金融機関の入出金履歴をマネーフォワード上で一括管理でき、家計簿を付けるのが楽になる。

5月12日にはiPhoneアプリをフルリニューアルしている。デザインを一新し、従来は10個以上に分かれていたメイン機能を4つのタブにまとめて見やすくしたり、面倒な手入力についてもタブからすぐに使えるようにした。通信面ではバックグラウンドで処理する割合を増やすことで、体感速度を大幅にアップさせたという。Android版のリニューアルは未定。現在のユーザー数は明らかにしていないが、夏までに100万ユーザーを目指す。


ヘアサロンの予約を変えるアプリが登場!髪型投稿SNSオープン

おしゃれ好きな女子にとって、ヘアサロンは飲食店のように地域や店舗で探すものではない。まずはスタイリストを見つけること――。こんな発想から本日リリースされたiPhoneアプリがヘアスナップSNS「HAIR」だ。雑誌やネット上にあるヘアスタイル写真の多くは、カットモデルを一眼レフで撮影し、Macでレタッチした「サロン発信の宣伝写真」ばかり。これに対してHAIRは、周りの友だちがスマホでヘアスナップを投稿するのが特徴。そのため「自分ごと」にとらえることができるのだという。ある意味、リリースから5カ月で200万ダウンロードを突破したファッションコーディネート共有アプリ「WEAR」のヘアスタイル版といえるかもしれない。

HAIRをざっくり言えば、「今日のヘアスタイルを考える」と「あの子をカットしているスタイリストが分かる」という2つを実現するサービスだ。ユーザーは「友達」「スタイリスト」「テーマ(Long、Medium、Bobなどのヘアスタイル)」「人気ユーザー」「キーワード」ごとにヘアスナップを閲覧したり、クリッピングができる。

Facebookアカウントで会員登録すると、気になるユーザーや友だちをフォローしたり、ヘアスナップを投稿することが可能だ。ヘアスナップには、カットを手がけたスタイリスト(美容師)をタグ付けでき、友だちやフォローしている人をカットしたスタイリストのページにアクセスしてカットの予約が行えるようになっている。

スタイリストにしてみれば、カットした人にタグ付けされることで、自分の宣伝にもなるというわけだ。スタイリストは毎月1500円を支払うことで、自らのプロフィールや連絡先を記載したプロフィールページを作成できる。HAIRを運営するリッチメディアの中村武士によれば、まずは青山や表参道、原宿の有名ヘアサロンに所属するスタイリストにアプローチし、徐々に全国のスタイリストを集めていくのだという。

ターゲットとしているコアユーザーは「ヘアスタイルについて遊んだり、悩んでいる18〜25歳の女性」。ベータ版の投稿状況はカットモデル(サロンモデル)やスタイリストが自らのアピールのためにヘアスナップを投稿している状況だが、正式版を公開した5月14日以降は自分撮りに抵抗のない若い女性の投稿を見込んでいるようで、半年後に週間アクティブユーザー9万人を目標に掲げる。「みんなのヘアスナップから、スタイリストとの偶然の出会いを生み出せれば」。


ターゲットは非IT系、Wantedlyが連絡帳アプリ「CONTACT」公開

iPhoneで連絡先を管理している人が感じる不満のひとつが、標準搭載のアプリ単体ではグループ分けができないことだろう。こうしたニーズもあってか、連絡帳をグループ化するiPhoneアプリは100以上存在する。ソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが14日に公開したiPhoneアプリ「CONTACT(コンタクト)」もその1つ。FacebookやWantedlyと連携することで、これらのサービスに登録している会社名から連絡先を探せるのが特徴だ。

アプリをインストールするとiPhoneの連絡先が表示され、仕事、友人、家族などとグループ分けが可能。グループのアイコンは120種類以上あり、連絡先をアイコンにドラッグ&ドロップするだけで直感的にグループ分けできる。

ウェブ業界では「連絡はメッセンジャーで十分」という人もいるだろう。そんな人にはFacebookとの連携機能が刺さるかもしれないと、ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子は言う。Facebookは会社名で友人を検索できないが、CONTACTでは「社名は思い出せるのに名前が出てこない……」といった人も社名で探せるほか、連絡先をタップすればそこからFacebookメッセンジャーでやりとりできるようになっている。さらに、WantedlyのプロフィールにTwitter、Google+、GitHubの情報があれば、それらも情報も連絡先に反映される仕様となっている。

ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子

前述の通り、iPhoneの連絡先アプリは山ほどある。ではなぜ、ウォンテッドリーは今さら連絡帳アプリを投入したのか? こう尋ねると仲暁子は、その理由を次のように話した。「既存の連絡帳アプリのほとんどはデザインが洗練されていなくてダサいんですよ。UIも直感的じゃない。私も連絡帳アプリを使っていなかったんですけど、有料版アプリ並みの機能を洗練させればニーズはあるし、私もこれだったら使う」。

最近はウォンテッドリーの顔として講演や取材対応、自社採用に注力してきた仲暁子だが、CONTACTは久々に開発の陣頭指揮をとったプロダクトなのだという。主なターゲットは「ウェブ業界以外のユーザー」。従来はWantedlyと接点がなかったユーザーを確保しようとしているようで、今秋までに15万ダウンロードを目指す。本業のソーシャルリクルーティングサービスは約2800社、約9万人が利用していて、企業数は約230社、ユーザー数は6000〜8000人ペースで毎月伸びているそうだ。


500 Startupsの最新デモデーから日本にも関係のありそうな5社をご紹介

5月8日(米国カリフォルニア時間)、500 Startupsがデモデーをマウンテンビューで開催した。これまで500 Startupsはマウンテンビューでアクセラレータープログラムを実施してきたが、今回デモデーに参加したスタートアップは、500 Startupsとして初めてサンフランシスコで実施したアクセラレーター・プログラムに参加した面々だった。

1000社以上の応募の中から選ばれた29社がプレゼンテーションを行ったが、今回は、日本の皆さんにも関係がありそうな企業にしぼって何社か紹介をしよう。

Remark

Remarkは、動画生成のための共同作業のための環境を提供する。全米だけでも25万人の動画関連のプロフェッショナルがいると言われている中で、彼らとのコラボレーションは主にEmailや電話などを使って非常に骨の折れる作業だった。Remarkは、米国企業に限らず、日本企業にとっても、コンテンツマーケティングのための動画や、急拡大している動画広告市場に向けても、効果的な動画生成環境を提供してくれることは間違いない。こういったクリエイティブな労働力に関してもクラウドソーシングが重要になっていく中で、非常に強力なツール、協働環境を提供してくれる。既にTEDやGeorge Town大学が導入している。

SoundBetter

SoundBetterは、ミュージシャンのための音楽制作に関わる仕事のクラウドソーシングを提供する。音楽制作には、楽曲自体を作ってレコーディングをした後にも、ミックスやマスタリングといったポストプロダクションが必要になるが、SoundBetter上で、これらの専門家を探してクラウドソースすることが可能だ。創業者のShachar Giladはミュージシャン、プロデューサーとしての経験と、AppleやWaves Audioのソフトウェア開発にも携わった経験があり、楽曲制作者とその周辺の支援者の両方の立場から、現場の課題を解決するためにSoundBetterを創業した。日本からもSoundBetter経由で5000人のプロフェッショナルに仕事を依頼することができるし、逆に、日本にいながらも、世界中から投稿されている5万件以上の(例えば、ハリウッドの)楽曲制作に関するプロジェクトに携わることができる。

Shippo

Shippoは、1つのシンプルなAPIで、イーコマースの配送を簡単に低コスト化する。既に、150万パッケージの配送を受注していて、2014年のランレート(今年のこれまでの売り上げから通年の売り上げを予測したもの)は、100万ドルを想定している。また、eBayのグループ会社であるエンタープライズ向けイーコマースプラットフォームのMagentoとの統合を発表し、Magento上で製品を販売するセラーは、背後にあるShippoのAPIのおかげで、何も気にすることなくDHL、UPS、FedEx、US Postal Service等から最安値の配送オプションが選択されるようになっている。通常のUS Postal Serviceで依頼した場合26.65ドルかかる配送料が、5.82ドルとなり78%をセーブすることができる。日本製品のブランド価値は高いので、例えば、日本から海外向けに発送する販売業者やイーコマースサイト運営業者には、強力なツールとなることは間違いない。

EquipBoard

EquipBoardは、ミュージシャンなどのセレブリティが使用している楽器やツールなどを見つけて購入することができるサイトだ。僕も子供の頃にギターを弾いていたので、大好きなミュージシャンが使用するギターや、エフェクター、シールドなどを雑誌の写真を隅から隅まで凝視して、いくつもの楽器屋を回ったことを覚えている。僕は今でも、大好きなサッカー選手のはいているスパイクや、プロのサイクリストが使っているホイールやサイクルコンピュータをいつも一生懸命Googleで調べている。EquipBoardは、このようにセレブリティやアスリートのファンが集う場所でもある。これからスポーツやファッション等にも分野を拡大していくとのことで、大いに期待している。

WhalePath

WhalePathは、ビジネスのためのオンデマンドのリサーチをクラウドソーシングで提供している。毎年、ビジネスのリサーチには、240億ドルもの費用が投じられている。WhalePathでは、より一般的で、時間もかかり、高コストな既存の大手リサーチ会社よりも、3倍早く、半分のコストで、100%カスタマイズしたリサーチを提供する。このために、すでに200人以上のハーバード大学やスタンフォード大学、UCバークレー等の修士および博士取得者に直接仕事を依頼できるようにしているのみならず、AfterCollegeを通じて、300万人いると言われている同様の卒業生にもアクセスできるようにしている。2014年は、100万ドルのランレートを見込んでおり、パナソニックやオラクルのような大手企業も既に採用している。WhalePathは、日本に関する需要が拡大すれば、リサーチャーを日本からも募ることを検討しているとのことなので、今後、日本企業が米国や英語圏での調査を依頼するときに便利であるのみならず、米国企業が、日本のリサーチャーに日本語でしか見つけることができないリソースをもとにしたリサーチを依頼できるようにもなっていくかもしれない。

なお、全社のリストはここから参照できる。

(情報開示:筆者はAppSocially Inc.として、500 Startupsの6期生のプログラムに参加している。今回はTechCrunchの記者としてデモデーに招待された)


日本で3Dプリンターでピストルを製造した男が逮捕―何で作ろうと銃は銃

5月8日、日本の警察は川崎市に住む27歳の大学職員、居村佳知(いむら・よしとも)を銃刀法違反の容疑で逮捕した。これは居村容疑者が3Dプリンターで製造したZig Zagガンという一種のリボルバー・ピストルを組み立てて発射するビデオを自らアップロードしたことがきっかけだった。居村容疑者は自宅に500ドル相当の3Dプリンターを持っていたという。

問題のビデオがアップロードされたのは25週間前だった。 このビデオには銃の組み立てと空砲の発射が録画されている。居村容疑者はこう書いている(原文英語)。

It is the first 3D printer revolver in the world which can discharge the live cartridge made in Japan. In order to protect the law of Japan, the bullet for motion picture photography is used.
Please make in the United States. !! -
実弾を発射できる世界最初の3Dプリンターで出力されたリボルバーが日本で作られた。日本の法律を守るため、弾薬は映画用の空砲を使っている。
アメリカで製造してください!!

Zig Zagがテレビで放映されたことが大きな懸念をもたらしたようだ。警察の家宅捜索で5丁の3Dプリンターで制作されたピストルと安い3Dプリンターが見つかったという。

日本では銃刀法により、銃の所持は事実上禁止されている

明らかに日本の警察は3Dプリンターで出力された銃も銃刀法違反だという見解だ。もっと伝統的な工具を作って銃を製造した場合と何ら変わるところはないというわけだ。素材や製造工程がどうであれ、銃は銃だ。

via 3dprint

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+