企業の物流における意思決定を最適化しテストするnextmvが8.4億円調達

物流企業の配車スケジュールなど、企業の意思決定モデルを最適化しテストするnextmvが米国時間2月9日朝、シリーズAの800万ドル(約8億4000万円)のラウンドの完了を発表した。

同社の既存投資家であるFirstMarkが、nextmvに肩入れしてシリーズAをリードした。その他GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏やSeamlessの創業者Jason Finger(ジェイソン・フィンガー)氏、StripeのCOOであるClaire Johnson(クレア・ジョンソン)氏、Greenhawk CapitalのAnkit Agarwal(アンキット・アガルワル)氏など、そして2048DynamoAtypicalなどの機関投資家が参加した。

画像クレジット:nextmv

Carolyn Mooney(キャロリン・ムーニー)氏とRyan O’Neil(ライアン・オニール)氏が創業したnextmvは、ロジスティクスにフォーカスした意思決定モデルを最適化しテストする工程を単純化する。たとえば2人が前に仕事したフードデリバリーのGrubhubの場合はどうか。Grubhubは、オーダーが届く度に、デリバリーのスピードや、ドライバーの車の走行距離、全体的な効率などさまざまなプライオリティを計りにかけなければならない。

そのために大量のリソースと人材を要し、そのプラットフォーム上で動いているアルゴリズムを会社の業績評価指標(KPI)に基づいて最適化する。KPIが変わればアルゴリズムを修正し、さらに多くのリソースを注ぎ込んでアルゴリズムの変更をテストしなければならない。

変更をテストするためにはシミュレーションの環境が必要だが、nextmvはそれをローンチ時から提供している。

最新ラウンドの直後から、nextmvはプロダクトの単純化に取り組んでいる。同社はnextmvのクラウドを立ち上げて、オペレーションズリサーチャーだけでなくデベロッパーもソフトウェアを使えるようにした。クラウドサービスにはルーティングとデリバリースペースの即席モデルがあって、デベロッパーが意思決定を自動化できる。また今後は、ロジスティクス以外の別の分野への応用も考えている。

nextmvが存在しないときには、オペレーションズリサーチャーの大きなチームが意思決定モデルの最適化とテスト環境のシミュレーションを行っていた。nextmvが登場してからは、プロダクトを操作するオペレーションズリサーチャーが1人いればいい。さらに現在では、デベロッパーがプラットフォームを実際に使用してみることもできる。

ムーニー氏は、デベロッパーの活用について次のように述べている。「共同創業者もそうだが、世の中には何十万人ものオペレーションズリサーチャーがいて、調査会社や企業内の専門グループでいろいろな問題解決をあたっている。デベロッパーは何百万人もいる。デベロッパーからでも、能力を引き出せるはずだ。すべての技術者がメッセージングの技術者になることができるTwilioと同じ考え方だ」。

画像クレジット:nextmv

今回の巨額な資金は、同社のクラウドプラットフォームをプロダクトとして完成させることに充てられる。これによりnextmvの技術を広めて、アクセスしやすくし、また一方ではコンテンツ部門を充実してユーザーがそのソフトウェアを探求できるようにしたいという。

nextmvは最終的に、このプラットフォームを軸とするデベロッパーたちが意思決定の自動化の方法を共有するデザインツールFigmaのコミュニティのようなコミュニティを育てたいと考えている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:nextmv資金調達ロジスティクス

画像クレジット:nextmv

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

企業のサイバー防衛強化を支援するイスラエルのCYEが約100億円を調達

サイバーセキュリティスタートアップのCYEは、投資会社EQTが主導し83Northが参加した新たな資金調達ラウンドで1億ドル(約104億6000億円)を調達した。

CYEは2012年にReuven Aronashvili(ルーベン・アロナシュヴィリ)によって設立され、企業のセキュリティ強化を支援している。これは主に悪意のあるハッカーが侵入する前にネットワーク防御の弱点を発見するため、顧客の明示的な同意を得て攻撃的な操作を行うことによって、企業のセキュリティ体制を強化することを目的としている。同社はまた、インシデント対応やセキュリティコンサルタントの他、企業のネットワーク全体および資産の評価を支援する同社の主力製品 「Hyver」 も提供している。

CYEはこれまでうまくいっており、創業以来収益を上げ、フォーチュン500の企業にも顧客を持っている。同社はロンドンにも進出しており、最近ではニューヨークにもオフィスを開設した。

CYEのチーフマーケティングオフィサーであるSharon Argov(シャロン・アルゴフ)氏は、同社が1億ドルの投資を業務拡大、研究開発、販売、マーケティングに投資し、80人の従業員を倍増させる計画だとTechCrunchに語った。

アロナシュヴィリ氏はCYEについて「企業がサイバーセキュリティへの取り組み方を根本的に変え、ビジネスに対する最も緊急性の高い脅威を正確に評価できる組織を構築することに焦点を当てています」と述べている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:CYE資金調達

画像クレジット:CYE / supplied

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(文:Zack Whittaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

代替肉に本物の風味を、動物なしで動物性脂肪を作るHoxton Farmsがシード資金3.9億円を調達

動物を使わずに動物性脂肪を生産することを目指している英国のスタートアップHoxton Farmsが、シード資金270万ポンド(約3億9000万円)を調達した。

このラウンドは、PayPalの創業者でもあるPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が設立したシリコンバレーのベンチャーキャピタルであるFounders Fundが主導している。またBacked、Presight Capital、CPT Capital、Sustainable Food Venturesも参加した。

まだ研究開発段階にあるHoxton Farmsは、ロンドンのオールドストリートにある新しい専用ラボで学際的なサイエンスチームを拡大させるために資金を使用すると述べている。共同創業者で数学者のEd Steele(エド・スティール)氏は、「今後1年から18カ月かけて、当社の培養脂肪のスケーラブルなプロトタイプに向けて取り組んでいく予定です」と語っている。

同氏は、バイオテクノロジーの2つの学位と合成生物学の博士号を持つ長年の友人であるMax Jamilly(マックス・ジャミリー)博士と一緒に会社を立ち上げた(2人は幼稚園の頃に出会った)。「私は、CRISPRと呼ばれるゲノム編集技術を用いて、子供の白血病の治療法を発見するために博士号を取得しました」とジャミリー博士は語る。「その過程で、複雑な細胞を大規模に培養する方法を学びましたが、これはHoxton Farmsが直面している科学的挑戦の基本的な部分です」。

食肉代替分野の他の企業と同様、このスタートアップは、従来の食肉産業は持続不可能であるという前提に基づいて設立された。そうした中で代替食肉の需要は急増しているが、スティール氏は、これらの製品はまだ十分ではないと主張している。「味が悪く、健康的ではありません。重要な成分である脂肪が不足しています」と彼はいう。そしてもちろん、肉の味の大部分を決めるのは脂肪だとも。

しかし、一般的な代替肉は脂肪の代替品として植物油を使用しており、これには多くの欠点がある。ココナッツオイルやパーム油のように環境に悪いものもあるし、ほとんどの油には風味がない。

「Hoxton Farmsでは、動物を使わずに本物の動物性脂肪を育てています」とスティール氏は語る。「わずか数個の細胞から、バイオリアクターで精製された動物性脂肪を生成し、動物実験を行わずに持続可能な原料となる培養脂肪を生産しています。それは最終的に、見た目も、料理するときも、味も本物のような培養肉への扉を開きます」。

関連記事:培養肉の最大の問題点に立ち向かうカナダ拠点のFuture Fields、培養を促す安価で人道的な材料を発見

さらに、現時点で存在する動物細胞の培養技術は高価すぎるという。Hoxton Farmsは数学的・計算論的モデルを利用して「細胞培養のコストを大幅に削減する」ことを目指しているが、その結果、「大規模にしたとき費用対効果が高い」生産プロセスが実現すると同社は考えている。

「我々は、計算生物学と組織工学の最新技術を組み合わせて、数年前には不可能だった科学を実現しようとしています」とスティール氏はいう。「当社が他と違うのは、大規模で費用効率よく細胞を成長させる唯一の方法は、数学的モデリングの力と合成生物学の力を組み合わせることであるという基本的な哲学です」。

彼の計算科学的アプローチは、同じ問題に取り組んでいる他社(競合他社には米国のMission Barns社やベルギー、イスラエルのPeace of Meat社などがある)との競争に役立つだけでなく、異なる製造業者向けに脂肪をカスタマイズすることも可能にすると想定されている。これには、味のプロファイル、物理的特性(融解温度、密度など)、栄養プロファイル(飽和 / 不飽和脂肪酸比率など)の微調整が含まれる可能性がある。

一方、Hoxton Farmsの初期の顧客は、植物油に代わるより持続可能で風味豊かな代替品を求める植物ベースの代替肉企業になる。将来的には、筋肉細胞を培養しているが脂肪源を必要とする培養食肉会社やベーカリー、製菓、化粧品などの他の業界もターゲットとしている。

カテゴリー:フードテック
タグ:培養肉Hoxton Farms資金調達

画像クレジット:Hoxton Farms

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

科学者が分子構造をVRで共有し研究におけるコラボを促進させるNanomeが3.1億円調達

新しい分子化合物の発見と研究は大変な費用がかかるビジネスだ。その開発コストは、1物質あたり100億ドル(約1兆460億円)を超える場合もある。その理由の一部は、化学組成や相互作用だけでなく、原子レベルでの物理構造を研究し、関連するすべての分子を綿密に調べる必要性にある。これらの化合物や分子をモデル化するためのソフトウェアの進歩にもかかわらず、2次元のコンピュータ画面を使ってその形状を完全に理解するにはまだ課題が多い。

サンディエゴを拠点とするスタートアップのNanomeは、この問題を解決するためにバーチャルリアリティ(VR)を使用している。Nanomeのアイデアは、同社の創業者兼CEOであるSteve McCloskey(スティーブ・マクロスキー)氏がカリフォルニア大学サンディエゴ校のナノエンジニアリングプログラムに在籍していた時に、3次元の分子構造をもっとよく理解する必要性を感じたことに端を発しているという。

TechCrunchの取材に対して「構造を理解することにより、ユーザーは自分たちのデザインがどのように機能するかを理解することができます」と同氏はメールで語った。「しかし、創薬のための研究開発プロセスは2Dモニター、キーボード、そしてマウスに依存しており、複雑な3D構造や相互作用の理解が制限されていることから、1つの薬剤あたり平均25億ドル(約2614億円)にもおよぶ巨額の研究開発コストの原因となっています」。

Nanomeは最近、新たなビジネスパートナーシップの確立、同社のブランド構築、サイエンスエンジニアリングチームの拡大のために、Bullpen Capitalが主導する300万ドル(約3億1000万円)の資金調達ラウンドを終了した。Bullpen CapitalのゼネラルパートナーであるAnn Lai(アン・ライ)氏は、プレスリリースでこう述べている。「Nanomeは、コラボレーションによるイノベーションがかつてないほど重要になっている現在、科学との関わり方を再考しています」。Oculus(オキュラス)の共同創業者であるMichael Antonov(マイケル・アントノフ)氏が率いるFormic Venturesもこのラウンドに参加した。

関連記事:新型コロナの流行で分子科学のクラウドソーシング演算パワーがエクサフロップ級に

マクロスキー氏は、Nanomeのプラットフォームは、新型コロナウイルスのパンデミックの間、さらに意味を増したと考えている。研究者たちはときに、研究室内の技術やソフトウェアへのアクセスを制限され、リモートでの作業を余儀なくされることがあると浮き彫りになったからだ。

「Nanomeは、科学者たちがより早く同じ認識にたどり着くのを助けてくれます」と同氏はメールで語っている。「従来、分子を扱う科学者たちはスクリーンショットや画面共有を使用し、マウスカーソルやZoomを使って自分の洞察を伝えたり、他のチームメンバーからフィードバックを求めたりしていました」。Nanomeは、研究者たちを同じバーチャルリアリティ空間に招き、彼らは一緒に分子開発に取り組むことで、このプロセスを合理化する。

これまでのところ、Nanomeは主に食品・飲料業界の企業とのプロジェクトや、より持続可能なバッテリーの開発に取り組んできた。しかし、今回の新たな資金提供を受けて製薬化学、合成生物学、さらには教育分野への展開を計画している。次の製品アップデートでは、マクロスキー氏が「スペーシャル・レコーディング(Spatial Recording)」と呼ぶ機能を搭載する予定だ。これにより、ユーザーは後でレビューするために自らの仕事を記録することができるようになる。基本的には画面の記録だが、さらにVR体験が可能なレコーディングだ。「これは、研究者間の非同期コラボレーションのためのすばらしい機能であるだけでなく、講義やレッスンの作成にも役立ちます」とマクロスキー氏は述べている。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Nanome資金調達学術研究

画像クレジット:Nanome

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(文:Sophie Burkholder、翻訳:Aya Nakazato)

ゲームで遊びながら算数や読解を学ぶEdTechプラットフォームSplashLearnが18.8億円調達

SplashLearnはゲームをベースにしたカリキュラムで子供たちにレッスンを教える、米国に本社を置く10年の歴史を持つEdTechのスタートアップだ。同社はより多くの市場への進出を目指し、新たな資金調達ラウンドで1800万ドル(約18億8000万円)を獲得した。

今回のSplashLearnのシリーズCラウンドはサンフランシスコを拠点とする教育専門のファンドOwl Venturesがリードし、以前に同社のシリーズBに700万ドル(約7億3000万円)を投資していたAccelも新ラウンドに参加した。

TechCrunchの取材に対し、SplashLearnの共同創業者兼CEOであるArpit Jain(アルピット・ジェイン)氏は、今日の教育システムが直面している最大のハードルの1つは、子供たちが学びたいと思わないことであり、それゆえに、彼らが魅力的だと思う方法で話題を提供する必要があると語った。

同氏が立ち上げたこのスタートアップは、未就園児から小学5年生までの生徒向けに数学と読解のコースを提供している。教師やその他の専門家の指導を元に、4000以上のゲームやその他のインタラクティブな活動を開発し、子供たちにさまざまな概念を説明しているという。

デモとしてジェイン氏は、ハードルの高いアドベンチャーゲームを披露した。子供がゲームを進めるためには、足し算の概念を視覚的に適用する必要がある。「子供たちが夢中になると、学習の成果が向上します」とジェイン氏はいう。

SplashLearnのプラットフォームでは、さらに、毎日15分から20分のパーソナライズされた学習体験を各生徒に提供していると同氏は語った。

同社は、そのサービスのために保護者に月12ドル(約1250円)を請求している。また、学校では無料で利用することができる。現在、米国では3校に1校がSplashLearnを利用しているとジェイン氏は述べた。

「当社の目標の1つは、質の高い教育を無料で生徒達に提供することでした。我々のビジネスモデルは、それに取り組むことを可能にしてくれました」と同氏はいう。SplashLearnは自ら学校にアクセスし、売り込むことはしないとも。教師たちがプラットフォームを使用して、同社が提供しているものを気に入った場合は、より広く採用するために彼らが学校に働きかける、とジェイン氏はいう。同氏は他の3人の共同創業者と同様に、インド工科大学カラグプール校の卒業生である。

画像クレジット:SplashLearn

チームが最初に開発したのは、過去10年間でCourseraが進化して到達したのと同じようなEdTechプラットフォームだった。しかし彼らの以前のベンチャー企業は、当時インターネットユーザーが5000万人に満たなかったインド市場では受け入れる準備ができていなかったために、市場けん引力を得ることができませんでした、とジェイン氏は語った。

SplashLearnは今日、そのプラットフォーム上で4000万人以上の登録生徒にサービスを提供しているが、そのうちの1000万人は2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で世界中の学校が閉鎖されたために新たに参加したという。また、75万人以上の教師も同プラットフォームに加入した。

同社は現在、主に米国の生徒たちにサービスを提供しており、その市場が収益の80%を占めている。しかし現在では英国、オーストラリア、カナダ、インドを含む150以上の市場の生徒達もプラットフォームを利用している。

Owl VenturesのマネージングディレクターであるAmit A. Patel(アミット・パテル)氏は声明でこう述べている。「SplashLearnは、科学的に設計されたカリキュラムと、世界に通用する教育学的手法を独自にブレンドしたもので、デジタル学習の世界に明確な変化をもたらす態勢にあります。SplashLearnは、EdTech分野における革新的な企業を支援するという当社の目的に合致しており、教育の提供方法のパラダイムシフトを促進し、規模を拡大しています」。パテル氏は、AccelのパートナーであるAbhinav Chaturvedi(アビナブ・チャトゥルヴェディ)とともにSplashLearnの取締役会に加わる。

カテゴリー:EdTech
タグ:SplashLearn資金調達eラーニング

画像クレジット:SplashLearn

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

流入データの健全性をチェックするMonte Carloが約26億円を調達

企業のデータ流入の監視をサポートしているスタートアップMonte Carlo(モンテカルロ)は米国時間2月9日、2500万ドル(約26億円)のシリーズBラウンドをクローズしたと発表した。

GGVRedpointが共同でリードした本ラウンドの数カ月前の2020年9月、同社はシリーズAで1500万ドル(約16億円)を調達したばかりだ。シリーズAとシードのディールはシリーズBにも参加したAccelがリードした。

今回のラウンドが注意を引いたのは、前ラウンドからそれほど時間が経っていなかったからだけでなく、筆者はMonte Carloの専門であるデータの可観測性が何を意味するのかまったく知らなかったからだ。

そこでTechCrunchはMonte Carloの共同創業者でCEOのBarr Moses(バー・モーゼ)氏に電話し、業界について、そして同社がいかにしてそれほど早く多くの資金を引きつけることができたのか尋ねた。

データ流入

ビッグデータは少し前は混み合っていたが、広い意味でのデータパズルの1ピースにすぎなくなった。我々はこの証拠をDatabricksの最近の売上高成長に見ることができる。同社は企業データ上でのアナリスティックとAIサービスを構築することで2020年にARR(年間経常収支)が4億2500万ドル(約444億円)に達した

Monte Carloはデータのライフサイクルの初期に関わることで、データ分野で別の賭けをしている。こんな風に考えてほしい。Snowflakeはあなたのデータすべてを保存でき、Databricksはあなたが分析するのを手伝うことができる。しかしあなたのリポジトリに流入してくるデータを確かめるのはどうか?

データ流入が無意味なものではなく。健全かどうかを確かめるというのがMonte Carloが行っていることだ。

モーゼ氏によると、企業は現在、無数のデータソースを持っている。理論的にはそれはすばらしく、通常であればデータが多いことは良いことだ。しかしそうしたソースの1つか2つがおかしくなれば、悪い情報を収集・保存・分析する前にその事実を把握することは極めて重要となる。

なのでMonte Carloはこのところホットなデータ企業よりも上流に構え、あなたのデータレイクに実際にたどり着くものが合法かを確かめるために数多くのパラメーターのインバウンドデータソースを管理する。

同社はデータの鮮度(どれくらい直近のものか、あるいは古いものか)、ボリューム(少なすぎ、あるいは多すぎ)、スキーマ(データの構造そのもの。問題となりそう、あるいは下流のサービスを破壊しうるものに変えていないかをみる)、ディストリビューション(データポイントがたとえば1桁から数百万に急増していないか)、系統をチェックすることでデータ流入のブレークポイントを発見するのを手伝うことができる。

Monte Carloは標準ではないデータ流入が何なのかを突き止めるのに企業の特定のデータパイプから学習していると聞き、筆者は同社のソフトウェアをセットアップして動かすのにどれくらいの時間がかかるのか興味を持った。モーゼ氏によるとそう長くはかからず、多くの場合セットアップに1時間、学習するのに1週間とのことだ。

成長分野

Monte Carloのプロダクトは、それだけで我々の注意を引くに足るほど見事なものだ。しかし、より広範なデータスペースの拡大にうまく適合していること、特にストレージに直接関係のないデータツールを使用していることは、検討する価値がある。

2500万ドルを手にし、Monte Carloは現在25人のスタッフを増やし、ミッドマーケットと法人顧客をターゲットにして積極展開できる。同社がどれくらいすばやくスケール展開できるか、そしていつ成長の数字を目にするか、楽しみだ。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Monte Carlo資金調達

画像クレジット:baranozdemir / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

「ヘッドレス」eコマースプラットフォームFabricが早くもシリーズAで約45億円調達

FabricはGNCやABC Carpet、Homeなどの企業にeコマース機能を提供している。同社はこのほど、シリーズAで4300万ドル(約45億円)を調達した。

Fabricはこの発表からわずか4カ月前に、950万ドル(約9億9000万円)のシードラウンドを発表している。CEOのFaisal Masud(ファイサル・マスウド)氏によると、ここまで早く資金を調達するつもりはなかったが、成長と投資家の関心を見るかぎり「成長を遅らせるよりは、今行けるところまで行く」という積極路線を選ばざるをえなかったという。

というわけで、本誌のこの記事もある。ラウンドをリードしたのはNorwest Venture Partnersで、NorwestのScott Beechuk(スコット・ビーチク)氏がFabricの取締役会に加わる。他にRedpoint VenturesとSierra Venturesも投資に参加した。

ビーチク氏の説明によると「Fabricはドラッグ&ドロップで簡単に構成できて、しかもリッチでモダンな顧客体験を大きな開発チームがなくても作れる唯一のヘッドレスコマースプラットフォームだ。しかし最も重要なのは、CEOのファイサル(・マスウド)氏と共同創業者のRyan Bartley(ライアン・バートリー)氏が、AmazonやeBay、Staples、Grouponなどで経験を積んだeコマースの優秀なベテランであることだ。彼らは顧客の気持ちがよくわかり、既存のプロダクトよりもはるかに優れたプロダクトで、eコマースの市場を変革することができる」。

eコマースはパンデミックの間に急成長し、ネットショップを持たない「ヘッドレス」なプラットフォームも増えた。マスウド氏のブログで説明されているが、ヘッドレスではショッピング体験のフロントエンド(ネット店舗)とバックエンド(ショップの経営)が別になる。

しかしマスウド氏によると「今日の市場ではギャップがまだ大きい」という。D2Cであっても、B2Bであっても、特に大きな成長ブランドをサポートするのが難しい、とマスウド氏は語る。

画像クレジット:Fabric

「よく言うことだが、私たちを高速道路だとすると、Shopify PlusはオンランプでSalesforce Commerce Cloudがオフランプとなる。つまりFabricのサービスが合う企業は『Shopify Plusという服は小さすぎてもう合わないが、Salesforce Commerce Cloudはまだ贅沢すぎる』というレベルの企業となる」とマスウド氏はいう。

そんな顧客にサービスを提供するためにFabricには、既存のeコマースツールと統合して使うアプリケーションが32ある。それらのアプリケーションは、顧客体験やプロダクトの情報、注文の管理など、さまざまなタスクを引き受ける。

マスウド氏の主張によると、ヘッドレスのeコマースプラットフォームを自称しているプロダクトの多くは、粗末な作りのサイトであるため、ヘッドレスと自称しているだけだという。

「それらが作られたのは2007年ごろで、柔軟性、自由度がなく、モジュール構造になってない」とマスウド氏はいう。そんな古いプラットフォームに大きな顧客を乗せようとすると工事には18カ月かかるが、Fabricなら数週間で済むという。

また同社によると、顧客はAmazonなど既存のマーケットプレースに出店していてもよいという。しかし以前、AmazonベーシックとAmazonウェアハウスのディレクターを務めていたマスウド氏によると、彼らだって独自に差別化されたショッピング体験を構築した方がいいし、顧客との直接的な関係を築くべきだという。

「私はAmazonベーシック作りましたが、Fabricはそれぞれの顧客のためのAmazonベーシックです。だからこそ、しっかりと差別化してほしいし、自分のマーケットプレイスとしての道を進み、顧客との直接的なビジネスを築いてほしい」とマスウド氏は語る。

Fabricは今回の資金で、営業とマーケティングのチームを拡大し、プロダクトの改良も継続したいという。現在、マスウド氏は大企業や小企業にはあまり関心がなく、むしろ「副操縦士のようなアプリケーションを提供して成長を一層支援できる」ような中規模の企業に関心があり、オーダーのロジスティクスやフルフィルメントの部分を補強するアプリケーションを提供などを考えているという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Fabric資金調達eコマース

画像クレジット:Christina Reichl Photography/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

軌道上の衛星間で放出されるビームにデータを保存するLyteLoopが42億円調達

間もなくあなたのクラウド写真バックアップは、巨大で多量のエネルギーを消費する地上のサーバーファーム施設ではなく、衛星間で放出される光のビームに存在するようになるかもしれない。スタートアップのLyteLoop(ライトループ)は、それを可能にする上での物理学の課題を解決すべく過去5年を費やしてきた。そして同社は現在、大胆なビジョンを現実のものにすべく、残るエンジニアリングの障壁を乗り越えるのに使う4000万ドル(約42億円)を調達した。

LyteLoopの新たな資金は次の主要なマイルストーンを達成するまでの十分なランウェイとなる。そのマイルストーンとは、3年以内に新しいデータストレージテクノロジーを搭載したプロトタイプの衛星3基を軌道に乗せることだ。同社はプロトタイプを6基開発して打ち上げる予定で、レーザーベースのストレージ手段がどのように軌道上で稼働するのかをデモンストレートする。

筆者はLyteLoopの進捗状況、テクノロジー、そして計画についてCEOのOhad Harlev(オハド・ハーリウ)氏に話を聞いた。ハーリウ氏は今回の資金調達までに5年かかり、同社のデータストレージ手法の基礎となるサイエンスにかなり自信を持っており、現在使われている従来のデータ保管テクノロジーを超えて提供できる利点について胸躍らせていると話した。たとえばLyteLoopのストレージの枠組みではセキュリティはかなり高まる。

「どのデータセンターでも、データセキュリティに関するレベルの上限は同じです。当社はさらに4重のサイバーセキュリティを提供でき、それらはすべて物理ベースです、すべて地上でも応用でき、当社のデータセンターにも応用できます。しかし、たとえば光子にデータを保存しているということについては、当社では量子暗号に応用できます。他社はできません。加えて、データは宇宙で光の速度で動いているのでセキュリティ上大きなメリットがあります」。

セキュリティに加え、LyteLoopのモデルではプライバシーでも利点がある。というのも、保存しているデータは技術的に常に衛星間を移動しているからだ。つまり、ストレージ施設のドライブに保存されたデータについての規制とは完全に異なるものの対象となることを意味する。LyteLoopはまた、アクセスに関してもアドバンテージがあると主張する。ストレージとネットワークが1つの同じ衛星にあり、衛星は地球上のどこのステーションへも情報を提供できる。最後に、ハーリウ氏は信じられないほど電力効率がよい点を指摘した。電力とともに、冷却するのに何百万ガロンもの水を必要とするのは現在のデータセンターストレージの欠点だ。

それらにも増して、LyteLoopのストレージは現在のクラウドベースのストレージソリューションと価格面で競争力があるばかりか、より利用しやすい価格になるとハーリウ氏は話す。SpaceXが繰り返し打ち上げ、そしてVirgin OrbitやRocket Labといった小規模の衛星打ち上げプロバイダーがサービスを開始し、打ち上げ能力を拡大するにつれて打ち上げコストが下がるという要因を抜きにしてもだ。

「衛星を作って打ち上げるのはかなり費用がかかりますが、それでも宇宙にストレージを維持することでかなり費用を抑えられます」と同氏は述べた。「なので所有権のトータルコストを算出するとき、当社のものは所有ベースのコストではかなり安くなります。実際のユーザーができることを比較したとき、当社は完全に異なる価格モデルで提供できます」。

ハーリウ氏はストレージとデリバリーを組み合わせた包括価格の可能性についても言及した。たとえば他のプロバイダーはあなたが保存しているデータを動かすのにネットワークを供給することを求めるかもしれない。LyteLoopのテクノロジーはまた、生態的影響をかなり減らせるので、企業の二酸化炭素排出の抑制にかかっている支出を相殺するかもしれない。

同社は衛星をマーケットに持ってくることに真っ向から取り組んでおり、概念を実証しておおよそ5年以内に衛星のフル生産に乗り出す計画だ。サービスもその頃に提供を開始する。しかしLyteLoopの技術は地上でも刺激的な応用をもたらすかもしれない。フットボール競技場の大きさほどのLyteLoopデータセンターを作るとしたら、従来のデータストレージの500倍の効率になる、とハーリウ氏は話す。

物理的なメディアではなく光子にデータを保存するという同社のテクノロジーは、現在の方法ほどに問題をともなわず、環境への影響を軽減するだけでなく物理的なメディアよりも理に適っている。事業立ち上げはコスト削減のために軌道への質量の最適化がすべてで、光子は質量ゼロだとハーリウ氏は指摘している。

カテゴリー:宇宙
タグ:LyteLoop資金調達

画像クレジット:LyteLoop

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

「スカイローラー」などのハイパーカジュアルゲーム開発Homa Gamesが15.7億円調達

フランスのスタートアップHoma Gamesは、e.venturesIdinvest Partnersが主導するシードラウンドで1500万ドル(約15億7000万円)を調達した。同社はゲームをプロトタイプからApp Storeで成功させるためのいくつかの技術を、社内で開発してきた。またHoma Gamesはサードパーティーのゲームスタジオと提携しており、社内にもいくつかのゲームスタジオを有している。

米国時間2月9日の資金調達ラウンドにはOneRagtime、Jean-Marie Messier、Vladimir Lasocki、John Cheng、Alexis Bonilloも参加している。これはかなり大きな資金調達ラウンドだが、Homa Gamesはすでにいくつかの印象的な指標を持っている。

同スタートアップのゲームは2018年に会社を設立して以来、全体で2億5000万回ダウンロードされている。またHasbroとIPパートナーシップを結び、Nerf(銃型のおもちゃ)をテーマにしたゲームを発売しているが、これはかなりうまくいっている。他にも「Sky Roller(スカイローラー)」や「Idle World」「Tower Color(タワーカラー)」などのゲームがある。

Home Gamesはモバイルゲーム制作を最適化するために、3つのプロダクトを開発した。1つはHoma Labではマーケットインテリジェンスとテストツールを使用して、競合他社の状況についてより詳しく学習できる。2つ目のHoma Bellyはゲームの反復と管理を支援するSDKだ。そして3つ目のHoma Dataはアプリ内購入と広告の両方のデータを使って収益化を最適化する。

サードパーティの開発者は自分のゲームを提出し、Homa Gamesをパブリッシャーとして選ぶことができる。両社は収益分配モデルで合意することになる。

サードパーティのゲームに加えて、Homa GamesはトゥールーズのIRL Teamを買収し、スコピエ、リスボン、パリに社内のゲーム開発チームがある。全体で80人がHoma Gamesで働いている。

Home Gamesの取締役にはIdinvest PartnersのBenoist Grossmann(ブノイスト・グロスマン)氏とe.venturesのJonathan Userovici(ジョナサン・ユーザーヴィッチ)氏が参加する。

関連記事:テキストアドベンチャー「AI Dungeon」のLatitudeが「無限の物語」を生み出すゲーム制作のために3.5億円調達

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Homa Games資金調達フランス

画像クレジット:Erik Mclean / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ネットから自らを隔離するリトリートのための小さなキャビンを建てるGetawayが43.6億円調達

GetawayのCEOであるJon Staff(ジョン・スタッフ)氏は、同社の製品はパンデミックを念頭に置いて設計されたものではないが、人々がZoom(ズーム)から離れて家の外で過ごす安全な方法を見つけたがっている時代に適していることがわかった、と語った。

2015年創業のGetawayはアトランタ、オースティン、ロサンゼルス、ニューヨークなどの主要都市から車で2時間以内の素朴な場所に小さなキャビンの集まりである「アウトポスト(前哨基地)」を建設する。こうしたキャビンは社会的に距離をおいて実施するリトリートに最適のように思える。ゲストは自分でチェックインする。各キャビンはそれぞれに専用のたき火台が用意され、他のキャビンから50〜150フィート(15〜30メートル)離れており、共有エリアはない。

スタッフ氏は筆者に、Getawayは従来の観光活動を推進するのではなく、現代生活におけるあらゆるストレスや気を散らすものから離れることを強調しているのだと語った。そのためキャビンにはWi-Fiがない。滞在中にスマートフォンを入れておくことができるロックボックスもある。

「文字通り、ゲストが何もしないようにしています」とスタッフ氏はいう。「自由な時間が十分にあって、もう本当に何もやることがないと言える瞬間が人生にどれほどあるでしょうか。もし何もやることがないなら、パートナーと深い会話を持ち、時間をかけておいしい食事を作り、キャンプファイアーの隣に座っている人々との体験を本当に楽しんでください」。

スタッフ氏は、一部の投資家がキャビンとアウトポスト自体の建設に対するGetawayの主張に懐疑的であることを認めた。「なぜこれはプラットフォームではないのですか。今から1年後に10億ドル(約1050億円)の価値にならないのはなぜですか」とテクノロジー分野のベンチャーキャピタリストと話した時に言われたことを思い出した。一方、不動産業界の投資家候補であれば「どのくらいの超高層ビルを建てたいですか」と知りたがると思われる。

「しばらくの間、私たちはどの箱にも収まらないという不安を抱えていました」とスタッフ氏はいう。「しかし、どの箱にも収まらないことの利点を理解することを学びました。そこには確かにイノベーションがあります」。

画像クレジット:Getaway

Getawayのアプローチは2020年に共感を呼んだようで、予約が前年比で150%増加し、同社のアウトポストはほぼ100%の稼働率だ。同社は米国時間2月8日、シリーズCの資金調達で4170万ドル(約43億6000万円)を調達したと発表した。規制当局への提出書類で最初に明らかになった。旅行とホスピタリティ分野のファンドであるCertaresがリードした。

Getawayは、この資金で2021年には少なくともアウトポストを17カ所にまで拡大する予定だ。2019年は9カ所、2020年は12カ所だった。Crunchbaseによると同社はこれまで合計8100万ドル(約84億7000万円)以上を調達した。

スタッフ氏は、最終的にはGetawayが他の製品やサービスを追加する可能性もあると語る。「このブランドは小さな家やキャビンが重要なのではありません。世界が騒がしく、長い間つながりすぎていたという事実が背景にあります。Getawayはその問題を解決するために他のことにも携わる可能性があります」。

同時に、Getawayが提供したい体験を明確にし、集中することが重要であると同氏は述べた。

「私たちは常に、Getawayで体験を生み出しているわけではないことを自覚しようとしています」とスタッフ氏はいう。「あなたが体験を創造します。私たちがうまく運営しているとすれば、それを促進し、あなたが必要とするすべてのものを提供し、あなたが必要としないものは何も提供しません。あなたがゲストとして望むものを創り出す多くの自由があります。しかし限界もあります」。

「たとえば職場のリトリートのためにGetawayのアウトポストを提供するよう要望されたことがあります」とスタッフ氏は述べたが、アウトポストはそういう風に設計されてはいない。「私たちはそれを取り締まるつもりはありませんが、Wi-Fiを入れるつもりはありません」。

カテゴリー:その他
タグ:Getaway資金調達

画像クレジット:Getaway

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

GameStop騒動でも話題となった掲示板サイトRedditがシリーズEで約261.5億円を調達

Redditが総額2億5000万ドル(約261億5000万円)の資金調達ラウンドを完了した。このラウンドは同社のシリーズEで、GameStopの株価の急上昇(とその後の急落)の際にr/WallStreetBetsサブレディットが関わったことで、自らを「インターネットのフロントページ」と称するこのサイトへの注目が新たに集まる中での資金調達となった。Redditは米国時間2月7日のスーパーボウルで、同社サイト上の標準的な投稿に似た静止画1枚だけの5秒間の広告を出した。

Redditは運営開始から2021年で16年目となり、2019年2月にTencentが主導したシリーズDの3億ドル(約313億8000万円)など、これまでの調達金額の合計は8億ドル(約836億8000万円)となった。Redditは資金調達を発表するブログ投稿の中で、今回のラウンドでは「既存の投資家と新たな投資家」から資金を調達したと述べた。この投稿の中で同社は「ビデオ、広告、コンシューマ製品、海外市場への進出など、Redditの戦略的投資に適したタイミング」だと考えたとしている。

Redditがスーパーボウルの際に出した5秒間の広告

このラウンドの詳細は不明だが、ここ数週間で注目を浴び、スーパーボウルで短くても印象に強く残る広告を出して注目が頂点に達したことを考えると、この注目を最大限に利用するために短期間で資金調達が完了したのではないかと思われる。Redditが新たに資金を得たことに関連する具体的な動きとして、ブログ投稿では2020年の年末にショートビデオ共有プラットフォームのDubsmashを買収したことを挙げ、2021年中に新たな人材を採用して従業員数を2倍にする計画を明らかにした。

関連記事:RedditがTikTokのライバル、ショート動画プラットフォームのDubsmashを買収

Redditの長い歴史の中では大変な騒動もあり、広告主や新たに参加するかもしれない人たちの心証を良くするために問題となる行動を一掃しようと取り組んできた。同社はさまざまなコミュニティのためのホームを発展させることを使命としているが、コミュニティの中にはヘイトスピーチや差別を根つかせる恐れのあるものも存在し、使命とのバランスに現在も悩まされている。2021年初めには米国内の暴徒が議会議事堂に対する暴動を企てたことをめぐって「ポリシー違反を繰り返した」として、物議をかもしていたr/donaldtrumpサブレディットをついに禁止したことも報じられた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Reddit資金調達

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Kaori Koyama)

プレゼントと温かい気持ちや想いも贈れるアプリGoodyが4.2億円調達

Amazon(アマゾン)で相手の「ほしい物リスト」が見られるなら別だが、今の世の中、誰かにプレゼントを贈るのはとても難しい。贈りたい友だちや家族の住所、相手のサイズや好みがわからないことも多々ある。そこを改善しようと考えた新スタータップGoody(グッディー)は、このたび400万ドル(約4億2000万円)の資金調達を成功させた。ローンチされたばかりのGoodyの贈り物アプリを使えば、友だちや家族や、その他の愛する人たちのお祝いにプレゼントを贈ることができる。また近々、相手のことを思っているという意思表示がでできる「IOU」の合図を送ることも可能になる。

利用するには、まずはiOS版またはAndroid版のGoodyモバイルアプリをダウンロードして、アプリが提示する数百ものブランドの商品を見て回る。誕生日や祝日などの状況や、お祝いやお見舞いといった特定の目的で絞り込むこともできる。

画像クレジット:Goody

贈りたいものが決まったら、相手の電話番号を入力する。するとGoodyは相手にテキストメッセージを送信し、あなたがプレゼントを贈ろうとしていることを知らせる。もらう側が贈り物の受け取りを認めるリンクをクリックすると、選択された商品のウェブサイトが開く。そこで、洋服なら自分のサイズや好きな色、カップケーキなら好きな味など、オプションがあればもらう側が設定できる。

受け取り人はそこで自分の住所を伝えると、品物が発送される。その後、お礼のメッセージを送信することもできる。

このエクスペリエンスが他の既存の贈り物スタートアップと異なる点は、受け取る側はアプリをダウンロードする必要がなく、贈る側も相手の電話番号だけ知っていれば発送できるというところだ。

画像クレジット:Goody

Goodyのアイデアは共同創設者で、手練の起業家であり、スタートアップ投資家でもあるEdward Lando(エドワード・ランドー)氏によるものだ。同氏が以前Y Combinator(ワイコンビネーター)の支援で立ち上げたGovPredict(ガブプレディクト)は先日売却を果たした。また、Misfits Market(ミスフィット・マーケット)の最初の投資家であり、Atom Finance(アトム・フランス)の役員であり、ランドー氏が現在居住しているマイアミのPareto Holdings(パレト・ホールディングス)の業務執行社員でもある。

Goodyで彼に合流したのが、Even.com(イーブン・コム)で技術責任者を務めていたMark Bao(マーク・バオ)氏と、Lee Linden(リー・リンデン)氏。彼は贈り物スタートアップKarma Gift(カーマ・ギフト)を2012年にFacebook(フェイスブック)に売却したことで知られている。

ランドー氏は、自身が贈り物が大好きなのだが、現状ではそのプロセスにスムーズに行かない部分が多くあるため、このアイデアを実現させたいと思ったという。ギフトカードなら簡単に送れるが、それでは心が伝わらない。

「Goodyで私たちが最も大切に考えているのは、非常に強い親密な感覚です」とランドー氏。「Goodyを使って何かを誰かに贈ると、『おお、私のことを本当よく考えてくれたんだ、私のことを思ってこれを選んでくれたんだ』という感覚が伝わります。単に適当なものが送られてきたと感じられる程度ではダメなのです」と彼は話す。

このモバイルアプリは2020年12月中旬にローンチされ、現在は200件ほどの業者が提携している。多くは直販市場の企業だが、それ以外にも、ノンアルコール食前酒のGhia(ギア)、オンラインフィットネスのThe Class(ザ・クラス)、ペットのFable(フェイブル)、健康食品のMoon Juice(ムーンジュース)、Raaka Chocolate(ラーカチョコレート)といった新興企業が含まれている。

画像クレジット:Goody

Goodyのビジネスモデルには、提携業者との収益分配が採用されている。提携企業に代わってGoodyが伸ばした売上げに応じて手数料が増える仕組みだ。

ブランドは、自らはあまり動くことなく新規顧客を獲得できることから、Goodyとの取り引きに興味を示すとランドー氏はいう。

「今や、コーヒーやチョコレートや、さまざまなすてきな商品をオンラインで販売する消費者直販ブランドの数は、数千件に上ります」とランドー氏。「しかも今は、見つけてもらうためにはFacebookの広告枠を買わなければなりません。私たちは、人々が品物を探し出せるもう1つの手段です。私たちは、そうした商品を発見できる巨大ショッピングモールのようなものです」。

またこのアプリは、友だちや家族とただ繋がっていたい人たちに便利なものになることも目指している。その目的のために、Goodyは今週、「IOU」という無料ギフトの展開を開始する。誰かにその人のことを思っていると伝えるためのものだ。いうなれば「今度、街に行ったら夕飯をおごるよ」というようなものだ。または、心の贈り物を交換するようなものだ。

さらに、誕生日や人生の大きなイベントなどの重要な日を記録できるカレンダー機能も追加する予定だ。

Goodyは2020年3月に創設され、アプリは同年の12月中旬にローンチされた。現在までに、およそ1万点の贈り物がこのサービスを通じて贈られたとランドー氏は話している。

もちろん、年末休暇シーズンだけでなく、パンデミックも、Goodyの人気を早々と高める一助となった。

「パンデミックは、すべての人にとって過酷な問題だと思っています。なかでも、あまり気軽には口にできない問題として、パンデミックがすべての人に及ぼしている精神的な苦痛があると私は思います。私たちは、社会的なやりとりを楽しむ生き物なのです。人に会うと、特に大好きな人と会えると、とてもよい気分になれます。反対に会えなくなると、気力が大量に消耗されます」とランドー氏は訴える。

「直接人に会うことと同じだとは言いませんが、温かい気持ちや励ましを伝えるのに、Goodyはとてもよい方法だと考えます。利用された方はみな、使った後にいい気分になったと話しています。それは稀なことだと思います」とランドー氏はいう。

画像クレジット:ニューヨーク市街のGoodyの広告

またGoodyは、アーリーステージ投資として400万ドル(約4億2000万円)強を調達した。投資に参加したのは、Quiet Capital、Index Ventures、Pareto Holdings、Third Kind Venture Capital、Craft Ventures、そしてCoinbaseの創設者Fred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏とQuora (Charlie Cheever:チャーリー・シーバー氏)などだ。

Goodyの従業員は9名。マイアミに本拠を置くが、リモートで働いている人もいる。バレンタインデーを前に、同社はタイムズスクウェアの看板にアプリのスポット広告を出した。1年で最も多くの贈り物が行き交うイベントの1つであるこの時期に、新しい利用者を獲得しようという狙いだ。

歴史の中には、死んでしまったか数年前に退場してしまった贈り物スタートアップが散見される。Bond(ボンド)、Giftly(ギフティー)、Token(トークン)、Sesame(セサミ)など、持続性のあるオーディエンスを大量に獲得できずに失敗した企業たちだ。しかしD2Cブランドの台頭と、出会いを求めてFacebookを使う若者の減少によって、新たなプレゼントスタートアップが成長できる環境が醸成される可能性がある。

Goodyアプリは、App StoreまたはGoogle Playで無料ダウンロードできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Goody資金調達プレゼント

画像クレジット:Goody

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)

事業者がクライアントとパートナーを結びつけるB2B向けバーチャル会議プラットフォームのInEventが約2億円調達

バーチャルイベントとハイブリッドイベントをサポートするスタートアップInEvent(インイベント)がシードラウンドでStorm Venturesから200万ドル(約2億1000万円)を調達したと発表した。

オンラインイベントプラットフォームのHopin(ホピン)が2020年秋に調達した1億2500万ドル(約131億1000万円)に比べるとわずかなものだ。実際、TechCrunchの最近のEquityエピソードによると、Hopinは現スタートアップ時代において最も早い成長を遂げる企業となるかもしれない。

InEventのCEOであるPedro Góes(ペドロ・ゴーイス)氏は、確立され資金も豊富なプラットフォームの世界でも、自身のチームはB2Bイベントにフォーカスすることでチャンスを見出せると筆者に語った。

「B2Bでリーダーになることを狙っている当社にとってこの業界にはまだ参入する余地があります」とゴーイス氏は話した。「B2Cマーケットで他プラットフォームと競合するつもりはありません」。

別の言い方をすれば、InEventは大規模なコンシューマーイベントの真似にフォーカスしておらず、事業者がクライアントとパートナーを結びつけることができるバーチャルイベントを開催するのをサポートすることに注力している。これはゴーイス氏と共同創業者のMauricio Giordano(マウリシオ・ジョルダーノ)氏、Vinicius Neris(ビニシウス・ネリス)氏が以前デジタル広告代理店を経営していたときに直面した需要であり、イベントを手伝ってほしいとよく頼まれた、とゴーイス氏は話した。

「イベントに関して我々は豊富な経験を持っていたため、業界がどこで行き詰まり、どう修復すればいいのかわかっていました」。

画像クレジット:InEvent

B2Bイベントに対する2つの大きな需要はカスタマイゼーションとサポートであり、InEventはゴーイス氏がいうところの「本当に美しい」プロダクトを構築した。主催者のブランドでカスタマイズでき、24時間サポートも提供する。

プラットフォームは参加者がすべてのプログラミング、ビデオプレイヤー、登録システム、カンファレンスモバイルアプリ作成能力などをブラウズできるバーチャルロビーだ。目指すところは、主催者がZoomのようなビデオプラットフォームからSalesforce、Marketo、HubSpotといったCRMまで他のツールを使いながらもInEventからすべてを動かせるようにする「真にフレキシブル」なものだ。

InEventの創業者たちはブラジル出身だが、同社はアトランタに本社を置き、13カ国に従業員を抱える。DowDupont、Coca-Cola、Santanderなど500超の顧客のグローバルイベントに使用されたと話す。

調達した資金ではInEventはチームを増強できるとゴエス氏は筆者に語った(同氏はチームの多様性を誇りに思っている。管理職の50%が女性で、そして管理職の半分がラテンアメリカとつながりがある)。同社はまた、ビデオプレイヤーを改良したりマーケティングオートメーションを加えたりと、引き続きプロダクトを開発するつもりだ。

そしてパンデミックが収まって大型の会場での会議が再び可能になっても、InEventが提供できるものに対する需要はたっぷりとあるとゴーイス氏は推測する。

「当社はウェブサイト、モバイルアプリそれぞれで異なるクライアントを抱えています。しかしまた直接顔を合わせてつながるためのハードウェアも持っています」と同氏は述べた。結局、CESのような大規模なカンファレンスでは、他の出席者と顔を合わせるために2マイル(約3.2km)も移動するより、モバイルアプリを通じて話す方が便利かもしれない。「我々にとって、バーチャルのため、そして直接顔を合わせるために構築しているテクノロジーは同じものです」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:InEvent資金調達バーチャルイベント

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

ニオイを可視化する「小型ニオイセンサー」のアロマビットが3億円調達、高度化技術開発と量産化加速

ニオイを可視化する「小型ニオセンサー」のアロマビットが3億円調達、高度化技術開発と量産化加速

小型ニオイセンサーと同センサーを用いたサービスを企画・開発するアロマビットは2月9日、第三者割当増資による3億円の資金調達を発表した。引受先はエプソンクロスインベストメントの出資するEP-GB投資事業有限責任組合、京セラ、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(テックアクセルベンチャーズ)。

2014年2月設立のアロマビットが開発する小型ニオイセンサーは、従来からある特定物質を検知するガスセンサーと異なり、生物の嗅覚のように、様々なニオイを入力すると可視化パターンを出力する、ニオイの情報化を初めて実現する小型ニオイセンサー。

調達した資金は、今後の小型ニオイセンサーの高機能化・量産化、事業開発などにあてる。高度なもの作りで強みを持つ大手電子機器企業と協業を進め、小型ニオイセンサーの高度化技術の開発と量産化を加速していく。

また、ニオイセンサーによって初めて実現できるデジタルニオイデータベースを駆使した新製品・新サービスの開発、営業・マーケッティング体制のグローバル対応化、などについても強化・拡充していく予定。

アロマビットが掲げるビジョン「ニオイイメージング技術を通して、ニオイ・カオリが可視化された世界を実現し、より豊かな社会を実現する」を追求していくとしている。

またアロマビットは、6×3mmのシリコンチップ上に80素子(ニオイ感応膜5膜種類×1、膜種あたり16素子)を配したシリコンCMOS型センサーモジュール開発キット「5C-SSM-H1」を1月より販売済み(アロマビット子会社アロマビットシリコンセンサテクノロジーが販売担当)。

アロマビットは現在、QCM(水晶振動子)型とシリコンCMOS型の2種類のセンサー素子を用いたニオイセンサーを開発しており、シリコンCMOS型ニオイセンサーの販売開始によって、QCM型ニオイセンサーでは価格面や使用環境面の理由から搭載が困難であったモバイル、モビリティ、家電、などハイボリュームのコンシューマー用途向けに用途市場の拡大が期待されるとしている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:アロマビット資金調達(用語)ニオイセンサー日本(国・地域)

OktaユーザーのクラウドID実装を支援するBeyondIDが9.4億円調達

クラウド認証コンサルタントのBeyondID(ビヨンドアイディー)は、シリーズAラウンドで900万ドル(約9億4000万円)調達したことを米国時間2月8日に発表した。ラウンドをリードしたのは、クラウドコンサルタント企業に的を絞って最近開業したVCのTerceraだ。

BeyondIDの目的は、顧客がクラウド上のセキュリティと認証を管理するのを手助けすることで、具体的にはOktaのユーザーを対象としている。なおBeyondIDはOktaのプレミアムパートナーである。同社によると認証、アクセス管理、アプリのモダン化、ゼロトラスト・セキュリティ、クラウド移行、統合サービスなどさまざまな分野で顧客を支援する。

CEOで共同創業者のArun Shcrestha(アルン・シュクレスタ)氏はIT技術の豊富な経験をもち、Oktaでも最初期から仕事をしてきた。シュクレスタ氏は2012年にカスタマーサクサスの責任者としてOktaに加わった。当時同社は創成期にあり、顧客はわずか50社だった。5年後、IPOの直前に彼がOktaを離れたとき、顧客は3500社を越えていた。

その後Sシュクレスタ氏は、Oktaツールセットの独特な使い方に習熟しOktaユーザー、特に複雑なシステムを持つ企業がOktaを最大限に活用するための支援を仕事にしようと考えた。そして2018年、システム統合と企業のクラウド認証管理に焦点を絞り、BeyondIDを設立した。

「私たちはマネージド認証サービスプロバイダーになるべく、認証やサイバーセキュリティに関するあらゆるものを管理します。認証サービスを導入、展開、管理するためのワンストップサービスとして、企業を手助けしていきます」とShrestha氏は説明した。

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狙いは成功しているようだ。ここ数年で会社の売上は300%成長し、時間とともに成長率は落ち着いてきたが、それでも2021年は70~100%の成長を見込んでいる。現在の顧客はFedEx、Major League Baseball、Bain Capital、Biogenなど250社に上る。

顧客を支える従業員は現在75名で、この日の資金を元に2022年には増員する計画だ。新規従業員の獲得に際して、会社の重要目標である労働力の多様化を進めるとシュクレスタ氏はつけ加えた。

「多様化は私たちの長期的持続可能な成功のために不可欠であり、これは正しい行動でもあります」と同氏は語った。女性や有色人種の人たちが上を目指せる組織を作ることは、会社のリーダーとしての重要な目標であり、全力を注いでいることでもあるとシュクレスタ氏はいう。

今回の筆頭出資者であるTerceraのマネージングパートナーであるChris Barbin(クリス・バルビン)氏は、同社初の出資先としてBeyondIDを選んだ理由を、個人認証はデジタル変革の中心的役割を担うと信じているからだと語った。多くの企業がクラウドに移行する現在、クラウド環境ではセキュリティと認証が異なる働きをすることを企業は認識する必要があり、BeyondIDはそうした顧客を支援する重要な役割を演じているとバルビン氏は考えている。

「BeyondIDは急成長している分野にあり、顧客リストにはほぼすべての業界を代表する魅力的な企業が並んでいます。アルン(・シュクレスタ)氏と経営チームには会社の将来への強いビジョンとOktaとの深い絆があり、自分たちの行動に関して驚くほど情熱をもっています」と彼は語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BeyondIDOkta資金調達

画像クレジット:AlexSecret / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

個人向けモバイルクレジットのCrezitがプレシリーズAで3500万円を追加資金調達

CrezitがプレシリーズAラウンドで3500万円を追加資金調達、累計資金調達額2.7億円に到達

Crezitは2月9日、第三者割当増資による3500万円の資金調達を発表した。引受先は有安伸宏氏(エンジェル投資家)、FINOLAB、杉山全功氏(エンジェル投資家)。創業からの累計調達額は2.7億円となった。今回の資金調達により、豊富な企業経営経験やFinTech領域の専門性を有する方が同社に参画することで、経営体制の一層の強化を図る。

2019年3月創業のCrezitは、「Optimize Credit, Unleash Potential. / 信用を最適化して、人の可能性を解き放つ。」をミッションに掲げ、個人向けのモバイルクレジットサービス「CREZIT」の運営と、Credit as a Service「X Crezit」構想の実現に向けたプロダクトの開発を進めている。

このX Crezit構想とは、消費者信用事業(貸金・割賦販売など)に参入したいあらゆる企業に対して、金融サービス構築に必要なシステム基盤やオペレーションをサービスとして提供するというもの。今春より展開していく予定だ。

通常、与信サービスの立ち上げには膨大なリソースを必要とし、金銭的にも時間的にも多大なコストがかかる。その結果として、一部の大資本を持つ事業者以外による参入は限定的な状況にあった。

テクノロジー企業が、自社の顧客基盤に対して、ユーザーデータを活用した金融サービスを展開する流れ起こりつつある中で、Crezitは与信サービスに必要な様々な要素をソフトウェアとして提供することで、利用企業の早期の消費者信用事業の立ち上げを可能とするという。

Crezitのサービスの利用企業とともに新たな金融サービスを共創していくことで、より多くの個人に対して適切な金融サービスが届く世界を実現していくとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Crezit資金調達(用語)FinTech日本(国・地域)

Isotropic Systemsが新しいコンステレーションを最大限に活用する衛星アンテナで42億円を調達

英国のIsotropic Systems(アイソトロピック・システムズ)は、同スタートアップが「定員超え」と主張する投資ラウンドで4000万ドル(約42億円)を調達し、2022年を目標とする次世代ブロードバンド端末の生産段階に入る。これにより、同社が調達した資金の総額は6000万ドル(約63億1000万円)となった。今回のシリーズB投資ラウンドはSESが主導し、べンチャー投資側ではBoeing HorizonX、Space Angels、Orbital Venturesが参加。さらに、英国政府の助成金も含まれている。

Isotropicの事業の中核は、新しいタイプのブロードバンド端末だ。複数の周波数にまたがった通信が可能で、同時に複数の衛星ネットワークに、個々の信号の品質や通信速度を一切落とすことなく接続できるというものだ。つまりその最終的な製品は、OneWeb(ワンウェブ)、SpaceX(スペースエックス)、Intelsat(インテルサット)、SES、Amazon(アマゾン)などの現在整備されつつあるいくつもの衛星ブロードバンドネットワークに、地上で同時に接続して利用できる利便性を利用者に提供する。

同スタートアップは、英国のレディングに2万平方フィート(約1860平方メートル)の試験と予測のための施設を開設し、最初の実用版地上端末の生産を2022年までに開始する予定だ。この完成版が宣伝どおり機能すれば、衛星ネットワークの接続プロバイダーにとっても、一般ユーザーにとっても大きな前進となる。なぜなら衛星ネットワークを使おうとするユーザーは、利用可能なサービスから1つを選ぶ必要はなく、たった1つのハードウェアソリューションで複数のネットワークに対応でき、その中で最善の通信速度を享受できる上に、ネットワーク冗長性も獲得できるからだ。

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経済的に合理性がある限り、その恩恵は明らかだ。たとえば国際線の飛行機でWi-Fiを利用する場面を想像してみてほしい。どう控えめにいっても、飛行機で使えるネットワークは安定性が低い。通信可能な範囲や品質の急激な低下は日常茶飯事だ。最高の条件が整ったときですら、速度が上がらないことが多い。Starlink(スターリンク)などのネットワークは、こうした数ある昔ながらの問題を改善したいと考えているが、さらに上をいくのが、複数の衛星ネットワークに同時に接続できるこのソリューションだ。必要に応じてネットワークを切り替えつつ常に最良のネットワーク品質を保ち、速度をさらに向上できると思われる場合には、利用可能な周波数帯域も組み入れる。

Isotorpicの潜在顧客は、軍事、政府、民間の各市場のブロードバンドから低データ速度のIoTの分野にまで広がっている。今回調達した資金により同社は、その画期的な製品の生産規模の実現性と、約束どおりの有効性の実証を可能にするだろう。

カテゴリー:宇宙
タグ:Isotropic System資金調達衛星コンステレーションブロードバンド

画像クレジット:Isotropic

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

地域のパン屋さんが抱えるあらゆる課題を独自の冷凍技術とDXで解決する、群馬県拠点のパンフォーユーは2月8日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約1億8000万円の資金調達を発表した。

引受先は、ソーシャルギフト事業を展開するギフティ、九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合(GxPartners有限責任事業組合、FFGベンチャービジネスパートナーズ)。また同社は、ギフティとの資本業務提携を明らかにした。今後サービス連携し、パン屋さんのDX推進を加速させる。

これまでパンフォーユーは、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略により、「その場で作り、その場で売る」ことができる、店舗内にパンを作るための厨房を持ち、製造・販売を行うリテールベーカリーの販売チャネル拡大をサポートしてきた。

調達した資金により、パン屋さん向けに独自開発しているSaaSプロダクト「パンフォーユーモット」のさらなる開発を進め、パン屋さんを取り巻くすべての作業を効率化できるよう機能拡充を進める。

またギフティと連携することで、個々のリテールベーカリーでは難しかったソーシャルギフト市場への参入を進める。店舗・ブランドの顧客ロイヤリティを高めるサービス「giftee Loyalty Platform」(ギフティ ロイヤルティ プラットフォーム)を活用し、パンフォーユーと提携するパン屋さんへデジタルの回数券、定期券、サブスクリプションなどの各種ソリューションを提供。リテールベーカリーの顧客ロイヤリティの向上・収益の安定化を支援する新サービスを開発する。

2017年1月設立のパンフォーユーは、地域のパン屋さんが抱える運営や販路拡大などのあらゆる課題を、独自の冷凍技術とDXによって解決するスタートアップ企業。「新しいパン経済圏」を作り、地域経済に貢献することをミッションとし、独自のパン冷凍技術・パン屋さん向けSaaSプロダクト・販路拡大戦略で、全国の消費者とパン屋さんをつなぎ、パンを「作る人」「売る人」「買う人」三方良しのプラットフォームサービスを提供している。

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

また、パンフォーユーの冷凍パンは、「独自の冷凍技術」により、焼成の後に1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが日本食品分析センターの検査で実証されているという。パン屋さんは冷凍庫さえあれば、それ以外の設備投資を一切することなく、全国に自慢のパンを届けられるとしている。

全国のパン屋さんをD2C化するパンフォーユーが1.8億円調達、ベーカリー向けSaaS機能拡充

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カテゴリー:フードテック
タグ:ギフティ資金調達(用語)パンフォーユー日本(国・地域)

大企業が現場の労働者を見つけ維持するのを支援するWorkStepがシリーズAで約11.1億円の資金を調達

現場で働く作業員を見つけ、維持することは、この新型コロナウイルス流行の時代において、これまでになく重要な課題になっている。

そこでWorkStepの出番だ。このスタートアップは、大規模なサプライチェーンの雇用主を支援することを使命として4年前に設立された。この完全分散型企業は米国時間2月3日、1050万ドル(約11億1000万円)のシリーズAラウンドを完了したと発表した。これは株式と転換社債を含む未発表だった670万ドル(約7億700万円)のシードファンディングに次ぐものだ。

今回のシリーズAの資金調達は、FirstMark Capital(ファーストマーク・キャピタル)が主導し、前回の投資家で戦略的パートナーであるPrologis Ventures(プロロジス・ベンチャーズ)も参加した。

同社の従業員ライフサイクル管理(ELM)ソフトウェアプラットフォームは、大規模サプライチェーンの雇用主が新たな現場の労働者を獲得するのを支援するだけでなく、労働者がより長く働き続けられるように訓練し、より幸福でいられることを目的に設計された、とWorkStepの共同創業者兼CEOであるDan Johnston(ダン・ジョンストン)氏は述べている。ジョンストン氏は10年以上前にオレゴン州ポートランドで倉庫を管理していたときに、いくつかの課題を直に経験した。

新型コロナウイルスの感染拡大は、食品の提供から荷物の配達まで、現場の労働者が行う仕事の重要性を浮き彫りにした。しかし、サプライチェーンの労働力への依存度が高まるにともない、記録的な離職率となり、多くの企業が人員不足に陥り、残った労働力は手薄になっていると、ジョンストン氏は指摘している。

WorkStepは人事、採用、組織のリーダーに、従業員のライフサイクル全体にわたる「完全な透明性」を提供することで、企業が離職を最小限に抑られるように支援すると主張している。同社は以前、クラウドベースの「Hire」と呼ばれるサービスを構築し、2020年秋には「Retain」という製品を発表した。

「新型コロナウイルスの影響で、あらゆる規模の企業が、現場で働くチームの健康、安全、満足度を優先することを余儀なくされています」と、ジョンストン氏は述べている。

同社の顧客には、地域の3PL(サードパーティロジスティクス企業)や物流センターから、フォーチュン500に入る16社まで、北米全域にわたる数百社の産業、物流、輸送、倉庫業の企業が並んでおり、その中には食料品チェーンのKroger(クローガー)、Alpine Food Distributin(アルパイン・フード・ディストリビューション)、TransPak(トランスパック)などが含まれている。

これまでに同社は50万人のサプライチェーン労働者に「リーチした」という。

WorkStepの主張によると、事例研究を行ったフォーチュン100のある食品・飲料会社では、同社がRetainを提供したことにより、離職率が最大29%減少したという。これによって企業は、コストが膨らむ可能性のある人員の入れ替えや再教育にかかる費用を節約することができる。

ジョンストン氏によると、2020年秋にRetainを立ち上げたことで、WorkStepの事業は2020年下半期に2倍以上に増えたという。このことによって、同社はその年の最後の2カ月間に収益が経費を上回ったことを意味する「ボトムライン・プロフィット」として年末を迎えることになった。

WorkStepは必ずしも新たな資金を調達する必要はなかったものの、事業を倍増させる機会を得たことで、規模を拡大し続けることができると、ジョンストン氏は述べている。

「これは絶好の機会に乗じたラウンドでした」とジョンストン氏はTechCrunchに語った。「このセグメントの離職率は中核的な問題になっています」。

WorkStepは今回の新たな資金調達により、エンジニアリング、製品、販売、カスタマーサクセス部門にまたがる既存のチームで働く14人の従業員を、2021年中に2倍以上に増やし、さらに2022年度末までに3倍にする計画だ。

FirstMark CapitalのAdam Nelson(アダム・ネルソン)氏は、最初のホワイトボードセッションに同席し、WorkStepが「大規模な」好機に取り組んでいるところだと確信している。

「WorkStepと既存のソリューションとの間における真の差異は、WorkStepが派遣社員や一時雇用をソリューションとして捉えていないことだと我々は考えています」と、ネルソン氏はTechCrunchに語った。「彼らはそれを、雇用主が適切な人材を見つけ、訓練し、維持することができないために発生する、数千億ドル(数十兆円)規模の死重損失の症状として捉えています」。

WorkStepは、従業員のライフサイクル全体に対処し、データを活用して「現場の労働者に声を届けると同時に、雇用主をより賢く、より積極的にする」と、同氏は付け加えた。

カテゴリー:HRテック
タグ:WorkStep労働資金調達

画像クレジット:Kmatta / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シンガポール拠点のライドシェアSWAT Mobilityが資金調達、日本におけるサービス開発に投資

シンガポール拠点のライドシェアSWAT Mobilityが資金調達、日本におけるサービス開発に投資

シンガポール拠点のモビリティスタートアップ「SWAT Mobility」の日本法人SWAT Mobility Japanは2月8日、資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先はグローバル・ブレインが運営するグローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(GB7号ファンド)など。またグローバル・ブレインは事業開発や知財戦略など多面的に成長支援を行う。

調達した資金により、日本におけるサービス開発への投資や、モビリティに関する国内の様々な課題解決を主導していく。

日本では、地方の人口減少と付随する移動人員の減少、路線バスの撤退などによる地域公共交通の利便性低下といった課題を抱えており、それら解決のため、独自アルゴリズムの開発強化からサービス展開までさらに投資していくという。

また、都市部を中心とする営業員・保守員の「移動」効率化、営業車両の削減によるコスト最適化を実現する、都市型法人向けライドシェアサービスの展開も進める。

SWAT Mobilityは、テクノロジーの力で「移動」に関する様々な課題解決を進め、効率的で消費者にとって最適な移動を実現する社会に向けて取り組む。

SWAT Mobilityは、最小の車両台数で、複数の乗客を効率良く相乗りさせる高精度のルーティングアルゴリズムを保有し、オンデマンド相乗りサービスを世界7カ国(シンガポール、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、オーストラリア)で展開。

オーストラリアでは、オンデマンド公共バス(MetroConnect)を運行。トヨタ・モビリティ基金との協力の下、コロナ禍における医療従事者の通勤負担削減のためオンデマンド送迎サービスをタイ、フィリピン、インドネシアで運行した。

日本では、新潟市における市街地オンデマンドバス導入に向けた実証実験や、J:COMと共同で営業社員を対象とした都市型法人向けライドシェアサービスの活用を進めるなど、MaaS(Mobility as a Service)の観点から日本の市場環境に合わせた取り組みを実施済み。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:資金調達(用語)SWAT MobilityJ:COM MaaS配車サービス / ライドシェア(用語)MaaS(用語)モビリティ日本(国・地域)