コンピュータの価格帯は下へ下へと伸びてきて、今では十分に安いコンピュータもある。でも、79ドルのEndless Miniはどうだろう。
EndlessのCEOでプロダクトチーフMatt Dalioは、“世界中の人がコンピュータを持てるべきだ”、という。
Endlessは主に途上国の、これまでコンピュータを持ったことのない人びとのために、Linuxベースのコンピュータを作っている。今は、途上国の人びとへのインターネットの普及といえばモバイル説が断然有力だが、EndlessのChief Growth Officer、Marcelo Sampaioによると、“コンピュータの死を予言した者の全員が今でもコンピュータを使っている”。
Sampaioの見方によると、ぼくが今この記事を書いている場合もそうだが、ある種のタスクのためのコンピュータのインタフェイスとしては、今後もずっと、キーボードとマウスの方が便利だ。途上国でコンピュータの採用を妨げているものは、値段とインターネット接続だ、と彼は言う。
ただしEndless Miniの79ドルにはディスプレイとキーボードとマウスが含まれない。Dalioによると、ディスプレイとしては家庭のテレビを使えるし、キーボード+マウスはわずか10ドルだ。ただしEndlessにはやや高級機の企画もあり、それは189ドルからだ。
Endless Miniは先週ラスベガスで行われたCESに登場した。立ち上げはふつうのグラフィカルなインタフェイスで(上図)だが、Endlessが低価格コンピュータとしてユニークなのは、インターネット接続がデフォルトではなくオプションであることだ。
同機を買うと、すでにWikiPediaの記事のオフラインバージョンがある。Khan Academyの教材ビデオもある。だからインターネットへの接続がなくても、いくつかのコンテンツにアクセスできる(内容は最新ではないけれども)。そして、あとでインターネットに接続すると、それらのオフラインコンテンツもアップデートされる。オフラインコンテンツを利用するためのアプリケーションはEndlessの作だが、Sampaioは、“Endlessはコンテンツキュレーターであって、コンテンツクリエイターではない”、と言う。
79ドルのコンピュータを作るだけでも偉業だが、DalioとSampaioは、Endlessはハードウェア企業というより、ソフトウェア企業だ、と言う。
Dalioは曰く、“安いコンピュータは今やコモディティ化している。だからこれから重要なのはマシンよりもオペレーティングシステムだ”。同社の、インターネットコンテンツのオフライン化を含む独特のLinuxオペレーティングシステムを、今後はほかのハードウェア企業にライセンスするつもりなのだ。
Endlessは、合衆国ではネットで買えるが、主要なターゲットである途上国ではすでに20か国にパートナーがいる。たとえばメキシコでは通信企業のAmérica Móvilだ。同社は、アドバイザーたちの顔ぶれもすごい: Tony Robbins(そう、あのTony Robbins)、そしてNicholas Negroponte(元MIT Media Labの所長でOne Laptop per Childの創始者)。