Salesforce創業者やロバート・ダウニー・Jr氏が出資する竹のトイレットペーパー企業がペーパータオルを発売

昨年、竹でつくられたトイレットペーパー(と有名人による投資)で話題になったスタートアップCloud Paper(クラウドペーパー)が、今度はペーパータオルの販売に乗り出す。同社は俳優のRobert Downey, Jr(ロバート・ダウニー・Jr.)氏やGwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)氏、Salesforce創業者のMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Uber(ウーバー)のCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、NBAダラス・マーベリックスのオーナーMark Cuban(マーク・キューバン)氏などのセレブや億万長者が支援していることで知られる。

同社は米国時間3月16日から、持続可能な方法で調達された竹製ペーパータオルの12ロールパックの予約販売を開始した

シアトルを拠点とするこの会社は、元Uber(ウーバー)の社員であるRyan Fritsch(ライアン・フリッチ)氏とAustin Watkins(オースティン・ワトキンス)氏の2人によって設立された。両氏は物流スタートアップのConvoyに勤めたあと、Cloud Paperを立ち上げた。同社のトイレットペーパー(そして現在はペーパータオル)ビジネスは、消費者に竹ベースの生活用品への切り替えを促しているいくつかの企業の一つだ。

Cozy EarthEttitudeは竹素材のシーツや寝具を販売し、The Bamboo Clothing Co.ThoughtTascFree Fly Apparelなどは竹繊維の服を作っている。Biteはプラスチックを使わない歯磨き粉やフロスに合わせて、竹製の歯ブラシを提供している。

だが(筆者の言葉でいうと)、このような超富裕層や著名な投資家から札束とともに流してもらえるのは、Cloud Paperだけかもしれない。それでも、Grove、TushyReel、そしてふさわしい名前の「Who gives a crap, Inc(屁のかっぱだ、という慣用句とcrap〔うんち〕をかけている)」といった企業が、104億ドル(約1兆1300億円)規模のトイレットペーパー市場の一角を占めようとしている

共同設立者のフリッチ氏によると、Cloud Paperのミッションは1ロールずつ、製紙業界をより持続可能にしていくことだという。

他の企業が綿やプラスチックの代替品として竹に注目しているのに対し、Cloud Paperについて同氏は、トイレットペーパーとペーパータオルに焦点を当てていると語る。

同社はすでに100万ロールのトイレットペーパーの生産を発注し、数十万ロールのトイレットペーパーを出荷しているが、消費者が同社の製品に乗り換える根拠はシフトしてきたという。

「コロナ禍でシャットダウンが起こったとき、確かに後押しされた瞬間はありました」とフリッチ氏はいう。「しかし、(消費は)トイレットペーパー不足のパニックから、『簡単で便利な、持続可能な選択肢がある』という方向にシフトしました。以前ほどの熱狂的な買いあさりはありません」とも。

米環境NGOのNational Resources Defense Council(天然資源保護協議会、NRDC)も、便器のために犠牲になる廃棄物の量に強く反対の立場を表明している

NRDCによると、カナダの伐採産業は米国のトイレットペーパー需要を満たすために、気候変動の影響を受けやすい森林を100万エーカー(約4000平方キロ)以上も劣化させているという。米国のトイレットペーパー需要が大幅に増加したため、近年、カナダの原生林消失率は、ロシア、ブラジルに次いで世界第3位となっており、そのほとんどが伐採によるものだとNRDCは述べている。

そのうちの90%は、気候変動を悪化させる皆伐だ。NRDCは2020年の報告書で、最も保守的に見積もった場合でも、「北方林での伐採は、森林の炭素を多く含む土壌からの排出を促進し、森林の炭素吸収能力を損なうことで、2600万トンの炭素を放出します」と書いている。「トイレットペーパーは寿命が短いため、残った炭素をすぐに大気中に放出してしまうので、トイレットペーパーの影響はさらに深刻です。そのため、Environmental Paper Networkによると、木を原料につくられたトイレットペーパーは、リサイクル素材を使ってつくられたトイレットペーパーの3倍の気候変動への影響があるとのことです」。

だから森林からつくられたペーパーを拭い去ることは、気候変動対策のために真の恩恵をもたらすのだ。

「1位のトイレットペーパーと2位のペーパータオルが(紙の)使用の大部分を占めており、それ以降の市場規模は非常に小さくなります。当社はペーパー分野で継続していくつもりです」とフリッチ氏はいう。

Cloud Paperは今後、レストランやホテル、さらにはスタジアムやアリーナなどの企業と協力して、ビジネス向けペーパー製品への転換を進めていく予定だ。

「我々はもともとB2B企業として会社を立ち上げました。WeWorkやレストランと提携し、市場、つまり私たちのペーパー製品がどこで使われているかを見てきました」とフリッチ氏は語る。「そして、これからのもうひとつの大きな焦点は、より大きな収容能力を持つ商業施設のお客様のために製品を作ることです」。

画像クレジット:Cloud Paper

関連記事:ごみ拾いSNS「ピリカ」やマイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」運営元が1億円調達

カテゴリー:EnviroTech
タグ:環境問題

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

ごみ拾いSNS「ピリカ」やマイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」運営元が1億円調達

ごみ拾いSNS「ピリカ」やマイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」運営元が1億円調達

環境領域スタートアップ「ピリカ」(Pirika)は3月15日、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を発表した。引受先は、瀧口浩平氏など複数名の個人投資家。調達した資金により人材採用を強化し、サービスの開発、営業網の拡大などを通じて、ごみの自然界流出問題をはじめ環境問題の解決に向けた事業を加速する。

ピリカは、2011年の創業以来ごみの自然界流出問題をはじめ環境問題の解決に取り組み、ごみ拾い活動を共有・促進するSNS「ピリカ」(Android版iOS版)、画像解析技術で広範囲のポイ捨て状況を調査できる「タカノメ」、マイクロプラスチックの流出量調査や製品特定などを行う「アルバトロス」といった独自のサービスやソリューションを開発・提供している。

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タグ:環境問題(用語)資金調達(用語)ピリカ(企業・サービス)マイクロプラスチック(用語)日本(国・地域)

ジェフ・ベゾス氏が1.1兆円の気候変動対策基金「Bezos Earth Fund」のCEOに世界資源研究所の元所長を指名

100億ドル(約1兆1000億円)規模の気候変動対策基金「Bezos Earth Fund(ベゾス・アースファンド)」の新CEOにAndrew Steer(アンドリュー・スティア)氏が就任した。同氏は、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が「自然界を保護しながら貧困を緩和するために活動している」と評する組織World Resources Institute(世界資源研究所、WRI)の所長を務めていた。

スティア氏のツイートによると、同氏はファンドの責任者として2030年末までに資金を使い切る責任があるという。

「アースファンドは科学者、NGO、活動家、そして民間企業に投資し新しい技術、投資、政策変更、行動を促進します。また、気候変動が貧困層や周縁化された地域に不釣り合いな割合で打撃を与えることから、社会正義を重視していきます」とスティア氏は書いている。

世界資源研究所は、2020年11月に交付されたアースファンドの第1回補助金で1億ドル(約109億円)を獲得し、ベゾス氏からの恩恵を最も多く受けた団体の1つとなった。この他にも、Environmental Defence Fund(環境防衛基金、EDF)、The Natural Resources Defense Council、The Nature Conservancy、The World Wildlife Fund(世界自然保護基金、WWF)などが第1回補助金を受けている。

WRIの声明でスティア氏は次のように述べた。「ベゾス・アースファンドのCEOとして参画できることを大変幸運に感じています。気候と自然の危機に対処するために、人々に焦点を当てつつ体系的な変化を推進することに注力させていただきます。最も独創的な取り組みであっても、資金やリスク管理、適切なパートナーシップがないために苦境に立たされることが多々あります。アースファンドは、そのような場合に役立ちます」。

同氏はWRIでは、ワシントンD.C.を中心としたアドボカシー組織から、インドネシア、英国、コロンビアにオフィスを持ち、エチオピアとオランダをハブとするグローバル組織になるまでの国際的な拡大を指揮した。またブラジル、中国、インド、インドネシア、そしてメキシコにもオフィスを拡大している。

WRIの声明によると、スティア氏の在任期間中には、100カ国による気候変動対策計画の実施を支援するための年間1000万ドル(約11億円)のイニシアティブを立ち上げるなど、気候変動の経済性に関する理解を変えるような連合体やイニシアチブが構築されたという。

「100億ドル(約1兆1000億円)規模のベゾス・アースファンドは、この歴史上の重要な局面において、善のための変革の力となる可能性を秘めています。アンドリューの世界的な評価、深い技術的知識と経験、そして社会的正義へのコミットメントは、この基金のリーダーとして最適です」と Global Optimism の共同創設者であり、元UNFCCC(気候変動枠組条約)事務局長のChristiana Figueres(クリスティアナ・フィゲレス)氏は述べている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Bezos Earth Fundジェフ・ベゾス

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

機械学習でエネルギー需要を予測し分配を最適化するInBarance Research

マサチューセッツ州のケンブリッジと、英国のケンブリッジにまたがり拠点を構えるinBalance Research(インバランス・リサーチ)は、Y Combinator(ワイコンビネーター)に参加し、現在行っている独立系電力供給業者、電力会社、証券会社に「お告げ」を与える事業を加速させる狙いだ。

Delphi(デルファイ)と呼ばれるサービスを販売するこの極めてアーリーステージのスタートアップは、電力供給業者や電力会社に、エネルギー市場の需要予測に関する分析情報を提供したいと考えている。

この10年間で「100年に1度」の嵐に2度も襲われ電力網に壊滅的な被害を受けたテキサス州の事例もあり、電力会社にとっては、米国全域にわたる電力網の負荷の総合的な調整が差し迫った問題になっている。

関連記事:悪天候や停電が示す米国の電力網最大の問題は再生可能エネルギーではなくインフラそのものにある

「長期的なソリューションを求めるならば、それは2部構造のソリューションとなります」と、inBalanceの共同創設者にして最高責任者のThomas Marge(トーマス・マージ)氏はいう。「それはハードウェアとソフトウェアの組み合わせです。オンライン上の適切なアセットと適切なソフトウェアがあって初めて、極端なショックに襲われたときにも市場を確実に機能させることができます」。

電気の価格は15分ごとに変化し、ときには激しい変動を見せる。テキサスの電力網を破壊し、いくつもの企業を廃業に追い込んだような気象災害がなかったとしても、ほんの1時間で価格が倍になることもあると、inBalanceは話している。

だからこそ、予測ツールが重要になるのだと同社はいう。価格が高騰するにつれ、アセットの調達が柔軟に行えない水力発電や蓄電業者のアセット管理者は、市場に供給する価値をいつ増やすべきかの判断を迫られる。電力供給が早すぎたり遅すぎたりすれば、そのクリーンな発電による収益は下がり、消費者に高いピーク時価格を強いることになる。

同社によれば、蓄電によるものや断続的な再生可能電力が同時に供給されると、状況はさらに難しくなるという。それが、蓄電電力と再生可能電力の両方の価格を押し下げる圧力となり、それと引き換えに、いずれこれらのクリーンな電力の供給量が落ちたとき、化石燃料による発電量が増加する恐れが生じる。

そうした圧力の予測を行うソフトウェアの提供を行うのがinBalanceだと、同社は主張する。マージ氏とその共同創設者であるRajan Troll(ラジャン・トロル)氏とEdwin Fennell(エドウィン・フェンネル)氏は、以前からビッグデータとエネルギーに関連する問題に関心を寄せていた。

マージ氏の場合、 マサチューセッツ州レキシントンで風力発電の最適化プロジェクトに携わっていたころにその関心が芽生えた。

「基本的に、私たちはデータサイエンスソリューションなのです」とマージ氏。「北米における個々のあらゆる市場の、個々のあらゆるアセットに影響を及ぼす要素を認識し統合することです。それらのアセットがどのように働き出すか、その兆候を1日から1時間前に把握できます」。

現在のところ、北米で同社のソフトウェアを利用しているある電力会社は、二酸化炭素排出量を0.2%削減することに成功した。再生可能エネルギーを重視するinBalanceは、この市場で他のサービスに予測ツールを利用している3000の業者でも、大幅な排出量削減ができると期待している。inBalanceが進めている、同ソフトウェアのもう1つの応用先に、尖頭負荷発電所がある。再生可能電力の間欠性を補完するのが目的だ。

ニューイングランド地区では、2020年12月に同地域の電力会社との協力を開始したばかりであるにも関わらず、二酸化炭素排出量の削減に目覚ましい結果が出ている。予測ツールのお陰で、同社は、その時々で最も価値が高いアセットを示すことができる。そうしたアセットには、天然ガス尖頭負荷発電所、水力発電所、揚水型水力発電所(基本的にこれは蓄電技術)、バッテリーまたはフライホイール・バッテリー計画、さらに価格表示によって企業や消費者が電力消費を抑えるように促すデマンドレスポンス技術などが考えられると、マージ氏は話す。

すでに、6社の企業がDelphiソフトウェアを見に来て、初期ユーザーになっている。マージ氏によれば、そこには国際的な再生可能アセット管理会社や米国でトップ10に入る電力会社などが含まれているという。

「私たちは、数テラバイトに上る公共および独自のデータを用いて、機械学習により電力価格を正確に予測しています。日々の電力システムの安定のために求められるソリューションは、ハードウェア(蓄電や電気自動車の充電など)と、それを最適に利用するためのソフトウェアで成り立ちます。inBalanceの存在意義は、そのソフトウェアソリューションにあります」と同社は声明の中で述べている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:InBarance Research電力網Y Combinator

画像クレジット:Stuart Kinlough

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

Energy Impact Partnersが気候変動対策関連企業の指標を作成、NASDAQ総合を大幅に上回る

気候変動に焦点を当てた企業が公開市場に溢れている中、誰が何をしているのか、どこで取引されているのか、どのように業績を上げているのか、把握するのは難しくなっている。そこでEnergy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ)は、持続可能性やエネルギー効率、温室効果ガス排出量の削減に注力しているハイテク企業を追跡するインデックスを設定した。

世界最大級のエネルギー消費者や電力会社を投資家に持つ同社は、過去数カ月間、公開市場で取引されている代表的な気候変動対策技術を対象としたインデックスの設定に取り組んできた。その結果、これらの企業が市場全体と比較して大きなリターンを上げていることが判明した。

2020年に入ってから、EIP Climate Index(EPI環境指標)はNASDAQ(NASDAQ総合指数)を約2.8倍上回っており、NASDAQ総合の45%に対し、127%の上昇となっている。リストに掲載されている企業27社のうち約20社が公開後1年未満の新規上場で、その間にNASDAQ総合を上回った。中でも約16社は、その間に100%以上の上昇を見せている。それは、この指数全体が1月のピーク時から約20%下がった状況になっても変わらない。

このインデックスは、実際には株式投資のためではなく、何よりも教育的なツールとして考えられたものだが、気候関連のソリューションに取り組んでいる企業の幅広さと、これらの企業を支援したいという公開市場の投資家の圧倒的な意欲がそこには示されている。

「SPACに限らず、公開市場における気候変動関連技術の動向は、本当に信じられないほど好調です」と、Energy Impact PartnersのパートナーであるShayle Kann(シャイル・カン)氏は述べている。「この気候変動技術インデックスを作成した動機の1つは、どれだけ多様な企業を集められるかを、確認することでした」。

EIPのインデックスには、持続可能性の観点から注目を集めるBeyond Meat(ビヨンド・ミート)のような企業や、水素燃料電池のBallard Power(バラード・パワー)やBloom Energy(ブルーム・エナジー)のように、やや歴史が長い企業も含まれている。このインデックスに含まれる企業は、電力貯蔵、再生可能エネルギーの生産、電気自動車の充電とインフラ、代替タンパク質の提供など多岐にわたる。

「考え方としては、このような企業をすべて含めた場合、全体のパフォーマンスはどうかということでした。私たちはこのインデックスを作成し、包括的なものにしようとしました。その結果、市場全体を劇的に上回ることになったのです」。

EIPのリストは情報提供を目的としているが、誰かがこのインデックスを利用して、この業界のETF(上場投資信託)を作らない理由はない。現在市場にあるETFのほとんどは、エネルギー生産やインフラに焦点を絞ったものだが、EIPのインデックスは、気候変動の影響を緩和し、温室効果ガスの排出を削減することに焦点を当てた企業の幅広い多様性を追う初めての指標となる可能性が高い。

Desktop Metal(デスクトップ・メタル)のような3Dプリント(積層造形)の会社もあるが、カン氏によると、同社の技術には多大な気候変動要素が含まれているという。

「積層造形技術は、廃棄物の削減、輸送の削減、製造工程の電化など、かなり強力な気候変動対策になります」と、カン氏は語った。

また、この指標は、初期段階の個人投資家が注目するためのシグナルでもあるとカン氏はいう。

「公開市場への道筋が広がります。ここで株価が上昇する企業がわかります。これが我々やベンチャーキャピタルの世界にいるすべての人に示唆するのは、この指標が好調なときには、イグジットまでの道筋が好転するということです」と、同氏は述べている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Energy Impact Partners気候変動持続可能性二酸化炭素燃料電池3Dプリント

画像クレジット:Energy Impact Partners

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

持続可能な自動車製造を目指すBMWが二酸化炭素を排出しない製鉄技術を開発したBoston Metalに投資

Boston Metal(ボストン・メタル)が開発した二酸化炭素を排出しない鉄鋼生産技術を支援する投資家グループに、BMWが加わった。

ボストンを拠点とするこのスタートアップ企業は、TechCrunchでも報じたように、2021年初めに5000万ドル(約54億5000万円)の資金調達を目標としていたが、同社の関係筋によると、BMWが加わったことでこのラウンドは終了したとのこと。

関連記事:ビル・ゲイツ氏が支援するBoston Metalが金属産業の脱炭素化を目指し51.6億円調達

自動車メーカーの投資部門であるBMW iVentures(BMW iベンチャーズ)の支援を受けることで、Boston Metalはより持続可能な製造方法を大規模に求める企業と関係を築くことになる。例えば、欧州にあるBMWグループのプレス工場では、年間50万トンを超える鉄鋼を加工しているという。

「当社は、サプライヤーネットワークにおいて、生産時のCO2排出量が最も多い原材料や部品を体系的に特定しています」と、BMW AGの取締役会メンバーであり、購買およびサプライヤーネットワークを担当するAndreas Wendt(アンドレアス・ヴェント)博士は、声明の中で述べている。「鉄鋼もその1つですが、自動車の生産には欠かせません。そこで私たちは、鉄鋼のサプライチェーンにおけるCO2排出量を継続的に削減することを目指しています。2030年までに、CO2排出量を現在よりも約200万トン削減する必要があります」。

従来の鉄鋼生産では、二酸化炭素を排出する高炉が必要だが、Boston Metalによると、同社が開発した方法では、電気分解セルで鉄鋼に加工される銑鉄を生産することができるという。

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が率いるBreakthrough Energy Ventures(ブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ)をはじめとする既存の戦略的・財務的投資家とともに、BMWは業界に莫大な影響力を持つ企業パートナーとしてこの投資家グループに加わり、今回の資金調達プロセスを締めくくることになった。

「当社の投資家は、上流の鉱山・鉄鉱石会社から下流の最終的な顧客まで、鉄鋼のバリューチェーン全体に及んでおり、高品質の鉄鋼を競争力のあるコストで大規模に生産できるBoston Metalの革新的なプロセスを評価してくれています」と、最高経営責任者で創業者のTadeu Carneiro.(タデウ・カルネイロ)氏は述べている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:BMW二酸化炭素Boston Metal資金調達環境問題投資持続可能性

画像クレジット:aydinmutlu / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ShellのGamechanger Acceleratorがエネルギー移行のためのアクセラレーターとして3社を選定

米国時間3月11日、欧州の大手石油・ガス企業であるShell(シェル)は、化石燃料からの脱却を目指して技術開発を行う企業を支援するために同社が運営する、Shell GameChanger Accelerator(シェル・ゲームチェンジャー・アクセラレーター、GCxN)への新たな参加企業群を発表した。

この先この3社は、製品化の支援を行ってくれるShellの技術リソースを、利用することができるようになる。

ShellのGCxNプログラムマネージャーのHaibin Xu(ハイビン・シュー)氏は「GCxNの第4期生たちは、炭素を大量に排出していた従来のプロセスを、電気化学技術で代替できることを証明してくれるでしょう。再生可能エネルギーのコストが下がり続ける中で、業界を超えた取り組みやパートナーシップによって、これらの技術適用を、コスト効率よく拡大し、実用上の影響を与えることが可能であることが証明されるでしょう」と語る。

Shellのアクセレレーターは、このプログラムに選ばれたスタートアップ企業に対して、最大25万ドル(約2700万円)の非希釈的な資金を提供する。プログラム参加者は、インキュベーター、アクセラレーター、大学などのネットワークパートナーからの推薦を受け、ShellとNREL(米エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所)による審査を経て決定される。

声明によれば、過去3回のプログラムの卒業生たちは、5200万ドル(約56億7000万円)を調達し、グリーン経済に51種類の新しい仕事をもたらしたとのことだ。

また、このアクセラレーターに参加した新会社たちはどれも、炭素集約型で持続可能な手法への移行が難しい分野の中で、炭素排出量を削減する方法を生み出すことに注力している。

さて前置きはこれ位にして、今回Shellが支援するスタートアップ企業たちを紹介しよう。

  • Air Company(エアーカンパニー):ブルックリンを拠点に、二酸化炭素をアルコール、蒸留酒、香料、殺菌剤、そして消費者向け企業用の製品に変えるビジネスを行っている。最終的には合成燃料事業への参入も狙っている
  • Ionomr Innovations(アイオナモー・イノベーションズ):グリーン水素製造、水素燃料電池、炭素回収技術には、イオン交換膜やポリマーが必要だが、バンクーバーにあるこの会社は、そうした部品をより安く、より環境に優しいものにすることを狙っている
  • Versogen(バーソジェン):Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の出身地であるデラウェア州から参加した同社は、以前はW7 energy(W7エナジー)という名前だった。燃料電池のコストを下げるための高性能な水酸化物交換膜を製造している

NRELのGCxNプログラムマネージャーであるKatie Richardson(ケイティ・リチャードソン)は次のように語る。「私たちの現代生活のほとんどすべての側面が、特定の材料や燃料に依存していますが、それは多大な影響をもたらしています。例えば、米国の製造業は、今後10年以内に米国最大の温室効果ガス排出源になることが予想されています。今回選ばれたGCxNスタートアップ企業たちが再構築しているのは、基本的な商品やサービスの二酸化炭素排出量を削減するために必要な構成要素なのです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Shell再生可能エネルギー

画像クレジット:Tim Boyle / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:sako)

台湾の水不足でわかるテックへの気候変動の脅威

前代未聞の干ばつに直面している台湾のチップメーカーへの給水能力について台湾政府が週末に出した声明は、気候変動がテック産業の基盤にとって直接の脅威であることをはっきりと示している。

Bloombergが報じたように、台湾の蔡英文総統は現地時間3月7日、56年の歴史で最悪の干ばつに直面している市民や事業所への給水能力についてFacebookに投稿した

総統は台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)のような企業による半導体製造を停止させないだけの十分な貯水量は確保される、と述べた。

チップはテック産業の基礎であり、チップ製造の混乱は世界経済に悲惨な結果をもたらす可能性がある。チップ供給の逼迫はすでにGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)やVolkswagen(フォルクスワーゲン)といった自動車メーカーの生産停止を招き、チップ製造施設の稼働は限界に近づいている。

バイデン政権は、米国各地で製造プラント停止を引き起こしている現在も続くチップ不足を解決するために2021年2月に大統領令を出した際に、米国が半導体製造供給を強化する必要があると強調した。

「台湾の水不足、そして半導体への影響はあらゆるテクノロジー投資家、創業者、全ベンチャーエコシステムへの警鐘です。はっきりとした複雑性理論であり、産業マーケットで広く急速に展開されているスケーラブルでデータを活用しているソリューションはコース修正で唯一の望みであることを示しています」とエネルギー専門の投資会社Blue Bear Capitalのパートナー、Vaughn Blake(ヴォーン・ブレイク)氏は書いた。

台湾の水危機と半導体産業への大きな影響は目新しいものではない。そうした問題は2016年のハーバードビジネススクールのケーススタディ分析でも取り上げられた。そしてTSMCはすでに水の消費を解決するために取り組んでいる。

TSMCは2016年には水の浄化とリサイクルの改善に取り組んでいた。これは1日あたり200万〜900万ガロンの水を消費する産業にとっては必要不可欠だ(Intelだけで2015年に90億ガロンの水を使用した)。ハーバードのケーススタディによると、少なくともTSMCの製造施設の一部は90%という率で工業廃水リサイクルをなんとか達成した。

しかしムーアの法則によってそのサイズは小さくなり、製造工程におけるさらなる正確さとより少ない不純物に対する需要が増えるにつれ、製造施設での水使用は増えている。次世代チップはおそらく1.5倍の水を消費し、これは、増加分を埋め合わせるためにリサイクル改善が必要とされることを意味する。

スタートアップはコストを下げ、ますますエネルギー集約的になっている排水リサイクルと脱塩のパフォーマンスを改善する方策を探す必要がある。

一部の企業はそうした方策を実践している。量子ベースの水処理テクノロジーを開発したと主張している英国のBlue Bosonのような企業もある。同社の主張はサイエンスフィクションのように聞こえるが、同社ウェブサイトは世界で最も優れた研究だとうたっている。同じく英国企業である漏れ検知のFidoは水が浪費されている可能性がある箇所を追跡する。そしてPontic TechnologyとMicronicは水と液体の減菌システムを開発している米国企業だ。

浄水のスタートアップNumixは工業生産の要である重金属を排除することを目的としている。そしてロサンゼルスのDivining Labsは水使用のためにより多くのリソースを集めるため、雨水流出を予測・管理を向上させるのに人工知能を使っている。

「『その人の給料が理解していないことに基づくとき、その人に何かを理解させるのは難しい』とUpton Sinclair(アプトン・シンクレア)氏はいう」とブレイク氏は述べている。「さて、そこにいるすべての創業者と投資家のみなさん、当分の間、すべてのテクノロジーは気候対策のもののようだが、技術がまったくないということにならないように」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:TSMC台湾災害気候変動半導体

画像クレジット:Usis / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

バイデン政権下、米国防総省が気候変動対策で作業部会を設置

米国防総省が、気候変動に関する作業部会を立ち上げた

新しいグループはJoe Bryan(ジョー・ブライアン)氏が指揮する。彼は2021年初めに国防長官の気候問題担当特別補佐官に任命された。

これは、世界的な気候変動がもたらす危機への対策を求める議案を推進するためにバイデン政権が執った、いくつかの方策の1つだ。

声明によるとブライアン氏は、オバマ政権下で海軍長官のエネルギー問題担当副補佐官を務め、今回はバイデン氏の最近の大統領令とそれに次ぐ気候とエネルギーに関連した指示書に対する省としての対応をまとめるためにグループを指揮監督し、また気候とエネルギーに関する実際の対策措置とその進捗を点検する。

国防総省は数千億ドル(数十兆円)にも上る政府支出の財布のひもを握り、電力、石油・ガス、産業資材などを大量に消費している。サプライチェーンの効率を向上させ、車両の排出プロファイルを削減し、再生可能エネルギーを電力事業に利用するために同省がとるいかなる措置も、再生可能で持続可能な技術の商業化と温室効果ガス排出量の削減に大きく貢献する可能性がある。

声明によると、国防総省はすでにリスク分析、戦略開発、計画ガイダンスに気候変動の安全保障上の影響を含めており、設置計画、モデリング、シミュレーション、戦争ゲーム、国防戦略にもこれらのリスク分析を含めている

「競合する物流環境における行動の自由を改善するためにプラットフォームの効率性を向上させることであれ、施設における主要な能力の回復力を強化するために新たなエネルギーソリューションを導入することであれ、我々の任務目標は気候目標と十分に整合している」と、Lloyd Austin(ロイド・オースティン)国防長官は声明で述べた。「国防省はその連携を活用して、軍の近代化、サプライチェーンの強化、同盟国やパートナーと緊密に協力する機会の特定、将来の成功に欠かせないエネルギー技術で中国と競争していきます」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:米国防総省気候変動

画像クレジット:Glowimages/Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

炭素排出量・ESG管理のB2BプラットフォームのドイツPlan Aが約3.3億円調達

ベルリンを拠点とするB2BのSaaSスタートアップ企業のPlan A(プランA)が、300万ドル(約3億2600万円)の資金調達を行った。同社は企業が環境フットプリントを測定、監視、削減、報告してESG評価を向上させるプラットフォームを提供している。フランスのVCであるDemeter(デメーター)がドイツのVCであるCoparion(コパリオン)とともに主導したこのラウンドには、ソフトバンクが戦略的投資家として参加した。今回の資金は、Plan Aの欧州における企業顧客向け炭素排出量・ESG管理ソフトウェアの強化と、国際的な事業拡大のために使用される。

炭素排出量管理ソリューションの市場規模は、今後5年間で100億ドル(約1兆900億円)から260億ドル(約2兆800億円)になるとの試算もある。米国のグリーンディールと新たに制定された「EUタクソノミー(持続可能な経済活動に関するEU統一の分類)」は、企業に炭素排出量を管理するように圧力をかけ、Plan Aのようなプラットフォームに対する評価を引き上げることにつながった。英国の Emitwise(エミットワイズ)は340万ドル(約3億7000万円)を調達しており、Watershed(ウォーターシェド)のような企業もある。しかし、Plan Aによれば、同社のプラットフォームは、企業の炭素排出量を継続的に自動化して監視するため、競合他社よりも包括的だという。

2017年に設立されたPlan Aは、Société Générale(ソシエテ・ジェネラル)、GANNI(ガニー)、AlbionVC(アルビオンVC)、BMW Foundation(BMWファウンデーション)、BCG Digital Ventures(BCGデジタル・ベンチャーズ)、サッカークラブのWerder Bremen(ヴェルダー・ブレーメン)などの顧客を獲得することに成功した。

Plan Aの共同設立者でCEOを務めるLubomila Jordanova(ルボミラ・ジョーダノヴァ)氏は次のように述べている。「Plan Aのテクノロジーは企業を変革し、持続可能性を競争上の優位性に変えることを可能にしました。私たちは、クラス最高の技術の開発に何年も取り組んできましたが、今回の投資により、世界中の企業のニーズに合わせた炭素・ESG管理プラットフォームをさらに仕立てることが可能になります」。

DemeterのパートナーであるOlivier Bordelanne(オリビエ・ボルドランヌ)氏は次のように述べている。「企業の持続可能性指標や気候リスク度に関して、データを基にした洞察を提供するB2Bモニタリングサービスやプラットフォームに対する需要は高い。私たちが最近調査したカーボンフットプリント測定を提供する多くの企業の中で、Plan Aとそのチームは、企業がカーボンフットプリントを計算し、監視し、最小化やオフセット行動を通じて削減するのを支援するワンストップショップとして自らを位置づけることで、際立っていました」。

CoparionのパートナーであるAlexander Lüttge(アレクサンダー・リュットゲ)氏は次のように述べている。「Plan Aは、カーボンフットプリントの透明性を高め、最小化やオフセットするための、統合が容易で使いやすいSaaSソリューションを企業に提供しています。我々の見解では、彼らのソリューションは、排出量データ収集を自動化する最も汎用性の高い製品であるだけでなく、排出量とコスト構造の透明性を創出し、事業プロセスを自動的に最適化させ、企業にとって大きな付加価値をもたらします」。

ジョーダノヴァ氏によると、競合他社はカーボンフットプリントを単発で計算し、オフセットを支援した後、それ以上の作業を支援することなくオフセットのための証明書を発行する傾向があるという。「私たちはこれらのサービスをすべて提供していますが、企業が継続的にカーボンフットプリントを削減し、サステナビリティを実施する方法を学ぶこともできるようにしています」と、彼女は筆者に話してくれた。

Plan Aは、新たな環境規制から恩恵を受けられる立場にある。米国の新政権とEUは指針を大きく転換し、排出量の報告についてより多くの透明性を求めている。オランダでは90以上の銀行が、二酸化炭素排出量の透明性を高めるための協定に署名した。一方で、化石燃料から得られる資金は、ESG投資に転用されている。しかし、当然のことながら、その資金を得ようとする企業は、排出量を証明する必要がある。そこでPlan Aの出番となるわけだ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Plan A資金調達ESGカーボンフットプリント

画像クレジット:Plan A

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Carbon Engineeringが「サービスとしての二酸化炭素除去」でShopifyと提携

Carbon Engineering(カーボンエンジニアリング)は二酸化炭素除去サービス事業を進めている。この事業では、直接空気回収(DAC)技術を使用して大気からの二酸化炭素除去を顧客が購入できるようにする。

サービスの開始と、Shopify(ショッピファイ)が同社の最初の顧客になるという発表は、同社の最も直接的な競争相手であるClimeworks(クライムワークス)が、スウェーデンの隔離サービス会社であるNorthern Lights(ノーザンライツ)と契約を結び、独自の直接空気回収をサービスとして始める動きと時を同じくして行われた。

Carbon Engineering(CE)はShopifyとの契約により、大規模なDACプロジェクトによる1万トンの恒久的な炭素除去能力に対価を払う最初の顧客を獲得した。除去と隔離は、CEのプラント開発パートナーである1PointFiveが行う。同社はCEの最初の産業規模の施設を現在設計している米国の開発会社で、施設は2024年に完成する予定だ。

「DACの初期の顧客、特に気候に関する野心的な目標を持つ企業には大きな影響を与える可能性があります。DACサービスを購入することで、企業が『ネットゼロ』宣言をより早く達成できるだけでなく、DAC技術の学習曲線が進み、将来的にはコスト削減が推進され、DACサービスに手頃な価格で幅広い顧客がアクセスできるようになります」と気候分野の市民団体であるCarbon180の創設者で社長のNoah Deich(ノラ・デイヒ)氏は述べた。「動きの早いリーダー企業や、望むらくは早期にこの動きに追随する複数の企業が、気候変動への支出の多くをDACに向ける方法を、Carbon Engineeringが発表したのを見て非常に興奮しています」。

Carbon Engineeringが市場に打って出る時間軸はClimeworksとほぼ同じだ。両社にとって幸運なことに、何十億トンもの二酸化炭素排出量を回収・隔離する必要があることを考えると、両社にとって間違いなく十分な大きさの市場となる。

Shopifyはそのコミットメントにより、直接空気回収ベースの二酸化炭素除去に関して公に発表された最大の購入者になった。

「Carbon Engineeringの使命は、大気から二酸化炭素を除去する拡張性が高く手頃なソリューションを提供することでした」と同社CEOのSteve Oldham(スティーブ・オールダム)氏は声明で述べた。「私たちはCarbon Engineeringのテクノロジーを大規模に展開しようとしています。次の重要なステップは市場の関心を集め、顧客を確保することです。この新しいサービスでそれが可能になります。また、企業や政府がネットゼロ計画に恒久的な二酸化炭素除去を含めることも容易になります。Shopifyとの関係を拡大し、最初の二酸化炭素除去の顧客として迎えることに興奮しています。大規模な二酸化炭素除去をまとめて実現できるよう支援することを楽しみにしています」。

二酸化炭素除去ユニットの購入は、Occidentalの子会社であるOxy Low Carbon Ventures, LLCRusheen Capital Managementなど資金力のある投資家が投資し、CEの開発パートナーでもある1PointFiveが展開する分散型空気回収施設によって実現される。

CEはまた、英国のPale Blue Dot Energyと協力して、大西洋全体に直接空気回収技術を導入している。

「このニュースを歓迎し、Shopifyの気候リーダーとしての地位を称賛します」と1PointFiveのRichard Jackson(リチャード・ジャクソン)会長は述べた。「気候変動に関する政府間パネルのような気候の専門家と並び、持続可能な低炭素世界のビジョンを達成するためには、恒久的な二酸化炭素除去が必要になると認識しています。1PointFiveは、CEのテクノロジーに基づく大規模な炭素除去機能を市場に投入し、世界中の顧客の気候に関する目標達成を支援することを楽しみにしています」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Carbon Engineering二酸化炭素Shopify

画像クレジット:Luke Sharrett/Bloomberg / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

欧州企業2社が二酸化炭素隔離のための直接空気回収サービスへ道を開く

スイスを拠点とし、ベンチャーキャピタルに支援された直接空気回収技術を開発するClimeworks(クライムワークス)は、ノルウェー政府とヨーロッパの大手エネルギー企業数社とによる合弁事業と提携し、大気中の二酸化炭素の直接回収に加え、二酸化炭素の地下隔離と貯留を事業化する道筋を探ることになった。

Climeworksと、新しく創設された企業Northern Lights(ノーザン・ライツ)との合弁事業がうまくいけば、この契約により、世界中の営利企業に向けた二酸化炭素回収と隔離のサービスを提供する新規事業への道筋が開かれる可能性が生まれる。つまりこれは、地球の気候変動を逆転させるためには必要不可欠だとこの2社が主張する、完全な二酸化炭素除去サービスが実現することを意味している。

Northern Lightsは、回収した二酸化炭素の処理、移動、地下隔離を目的に、Equinor(エクイノール)、Shell(シェル)、Total(トータル)の合弁事業として2021年3月に創設された。その事業は、ノルウェー政府が「Longship Project(ロングシップ・プロジェクト)」と名づけた回収した二酸化炭素を地下に貯留するための取り組みの1つの柱になっている。

「大気中から二酸化炭素を除去して2050年までに実質ゼロを実現するには、その能力を構築しなければならないという認識が広まっています。私たちはClimeworksとの共同事業に大変に期待を寄せています。安全性と恒久的な貯留を両立させる直接空気回収には、炭素循環のバランスを取り戻せる可能性があります」と、Northern Lightsの業務執行取締役Børre Jacobsen(ボーレ・ヤコブセン)氏は声明で述べている。

この2つの企業は、Northern Lightsの施設とClimeworkの直接空気回収技術との合体がネガティブエミッション技術の開発推進につながり、非工業分野の企業にも、カーボンニュートラルやカーボンネガティブになるチャンスを与えることになればと願っている。

だがこの事業には注意すべき点が数多くあり、直接空気回収の取り組みや、隔離および監視プロジェクトの可能性と落とし穴の両方が露呈されている。

第1の問題は、二酸化炭素排出量の国際価格を設定する必要があることだ。それによってこのプロジェクトは、経済的に実行可能となる。

「二酸化炭素の直接空気回収に料金を支払う法律が、世界に1つだけあります。それが、カリフォルニア州の低炭素燃料基準です」と、Climeworksの共同最高責任者であり共同創設者であるChristoph Gebald(クリストフ・ゲバルド)氏はいう。「1トンあたり最大200ドル(約2万1800円)が支払われます。【略】これは、まさに、大気、直接空気回収、地下貯留、監視をひとつなぎにした完全なシステムを成り立たせるために必要となる価格帯です。そのインフラを整備し資金面を支えるために必要な価格帯です」。

さまざまな二酸化炭素回収技術に関連するコストの内訳。上から植林、BECCS、二酸化炭素を吸着するケイ酸塩岩を土壌に撒く方法、直接空気回収(画像クレジット:Climeworks)

この価格は、世界の指導者たちが議論して算出した炭素排出産業の潜在的コストの中でも最上ランクのものだ(特筆すべきは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの中国の排出量を考慮すると、中国が設定した二酸化炭素排出に対する価格は低すぎる)。

直接空気回収と貯留のための技術を実用化する価格設定の心配の他にも、このプロジェクトをどれだけの規模で展開すれば地球全体の二酸化炭素を目に見えて減らせるのかという問題がある。

ここでもまたゲバルド氏は、同社の能力と規模の問題について明確な評価を与えている。

「科学的に示された排除すべき二酸化炭素の量は100〜200億トンです」とゲバルド氏。「直接空気回収の場合、ギガトンの規模に拡大させる必要があります。この予定地区では、メガトン規模に発展できる可能性があります。これはNorthern Lightsと協力すれば必ず実現できる範囲です。私たちは、メガトン規模を目指します」。

Climeworksでは、再生可能エネルギーを使用し、排熱はさまざまなサイズで機械に装着できるモジュラー式回収装置の動力源となる。同社の二酸化炭素回収能力で、唯一足かせになるのが電力だとゲバルド氏はいう。

同社はすでに、アイスランドの企業Carbfix(カーブフィックス)と協力関係にあり、Climeworksの技術で玄武岩が二酸化炭素を鉱化し貯留している。声明で同社が述べたところによると、二酸化炭素を永久貯留する候補地を世界中で探しているが、Northern Lightsが深地層隔離の場所として提案した、北海の海底にある塩水帯水槽が理想的な代替地とされているという。

Climeworksは、その技術開発のために、1億5000万ドル(約163億円)をスイスのチューリッヒ州立銀行などの投資家から調達した。

今回のプロジェクトの一環として、Northern Lightsは、二酸化炭素排出の点源であるオスロの工業地帯でその回収を行う計画を立てていたのだが、ノルウェーの海岸に拠点を移すことになった。そこに建設される施設で二酸化炭素を液化し、北海の沖合、海底から深さ約2.6キロメートルの地層の貯留地点へパイプラインで送り込む。

「Nortthern Lightsは、二酸化炭素回収と隔離をサービスとして提供しています。このプロジェクトを実行に移そうと考えたときから、また政府に協力してきた初期のころから、【略】最大の驚きは、ヨーロッパの二酸化炭素排出業者の回収と隔離に対する関心の高さでした」とヤコブセン氏。「この意識、この関心、そして解決策を探し出す必要性がますます高まっています。議論は、どんな可能性があり、どんな解決策があるかに移っています。Northern Lightsは、このバリューチェーンで大きな役割を担うことになります」。

すでに一部の企業が、同プロジェクトの最初の顧客になりたいと関心を示しているとヤコブセン氏は話す。「顧客企業からたくさんの覚書や秘密保持契約書、それに支援の書簡を受け取っています。私たちと話がしたいという、強い興味を感じます。大切なのは、この対話を契約に結びつけ、事業を前進させることです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:ClimeworksNorthern Lights二酸化炭素ノルウェー

画像クレジット:Northern Lights

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

エネルギー消費を抑制する電動モーター開発企業にロバート・ダウニー・Jr氏、ビル・ゲイツ氏が支援する企業が投資

とても小さなイノベーションが、グローバル気候変動を食い止めようとする世界の取り組みにかなり大きな影響を及ぼすことがある。間違いなく、これまでの気候変動対策における最大の貢献の1つがLEDライトへの転換だ。LEDライトはビル内のエネルギー消費を減らすことで数億トンもの二酸化炭素排出を減らした。

そしていま、Robert Downey Jr(ロバート・ダウニー・Jr)氏とBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が支援する企業が、Amazon(アマゾン)やiPod発明者のTony Fadell(トニー・ファデル)氏のような投資家の仲間入りをしようとしている。グローバル気候変動を減速させるという世界の取り組みにおいて次のすばらしいイノベーションを持っていると確信している、Turntide Technologies(ターンタイド・テクノロジーズ)という会社に資金を注ぐためだ。そのイノベーションとは改良された電動モーターだ。

アーク反応器ほどに派手なものではないが、電球同様にモーターはユビキタスで、19世紀以来、基本的に同じように作動してきた完全に地味なテクノロジーだ。そして電球同様、アップグレードしようとしている。

「我々の地球を元の状態に戻すためのTurntideのテクノロジーとアプローチは、エネルギー消費を直接減らします」とFootPrint Coalitionの共同創業者Steve Levin(スティーブ・レビン)氏は述べた。

ビルのオペレーションは世界の二酸化炭素排出量の40%を占めている、とTurntideは声明に記した。また米エネルギー省によると、商業ビルで使用されるエネルギーの3分の1は無駄遣いだ。スマートビルディングテクノロジーはライトやエアコン、暖房、換気、他の重要なシステムを自動で効率的にコントロールすることでこうした無駄を省くインテリジェントなレイヤーを加えていて、Turntideの電動モーターではさらに節約できる。

だからこそ、投資家らは過去わずか6カ月でTurntideに1億ドル(約107億円)超を投資した。

iPod発明者でNestの創業者かつ元CEOのTony Fadell氏、2017年6月16日、フランス・パリ(画像クレジット:Christophe Morin/IP3/Getty Images)

CEOそして会長としてRyan Morris(ライアン・モリス)氏が率いるTurntideはイリノイ工科大学で最初に開発されたテクノロジーを商業化しようとしている。

Turntideの基本的なイノベーションはソフトウェアでコントロールするモーター、あるいスイッチリラクタンスモーターだ。これはコンスタントな電気の流れの代わりにエネルギーの正確なパルスを使っている。「従来のモーターでは、あなたが望むスピードで絶え間なくモーターに電流を流します」とモリス氏は話した。「我々はあなたがトルクを必要とするときだけ正確な電流量を流します。ソフトウェアで特徴づけられているハードウェアなのです」。

このテクノロジーの開発には11年かかった。モリス氏によると、システムを動かすための処理能力が存在しなかったためだ。

モリス氏は当初、2013年にテクノロジーを買収したMeson Capitalという投資会社に属していた。そしてモーターが実際にパイロット試験で機能できるようになるまでにさらに4年開発にかかった、と同氏はいう。同社は最後の3年を商業化戦略の検討と最初の市場での価値の提供に費やした。その価値とは、世界の気候変動につながっている二酸化炭素の排出の28%を占めている、ビルの暖房換気とクーリングシステムの改良だ。

「我々のミッションは世界中のモーターを取り替えることです」とモリス氏は述べた。

電動モーターが今日使われているところの95%にこのテクノロジーを応用できると同氏は推定しているが、まずはスマートビルディングに注力する。というのも、簡単に始めることができ、エネルギー使用量に対してすぐさま大きな影響を与えるところだからだ。

「我々が行っているカーボンインパクトはかなり巨大なものです」とモリス氏は2020年筆者に語った。「エネルギー削減量は平均で64%になります。もし米国のビルのすべてのモーターを取り替えることができたら、毎年3億トンの二酸化炭素隔離に相当します」。

だからこそロバード・ダウニー・Jr氏のFootprint Coalition、ゲイツ氏のBreakthrough Energy Ventures、そして不動産と建設を専門とするベンチャーファームFifth Wall VenturesはTurntideを支援すべく、 Amazon Climate Fund、ファデル氏のFuture Shape、BMWのiVenturesファンド、他の投資家に加わった。

Turntideは2020年10月にクローズし、米国時間3月3日に明らかになった8000万ドル(約85億6000万円)を含め、これまでに約1億8000万ドル(約192億7000万円)を調達した。

明らかにビルはTurntideが最も注力するところだ。同社は3月2日、カリフォルニア州サンタバーバラ拠点のRiptide IOという小さなビル管理ソフトウェアデベロッパーの買収を発表した。しかし他の大きな産業への応用がある。電気自動車だ。

「2年後、我々のテクノロジーは必ず電気自動車に使われています」とモリス氏は話した。

「我々のテクノロジーは電気自動車産業で大きなアドバンテージがあります。どのEVも電動モーターのパフォーマンスを高めるためにレアアースを使っています。レアアースは高価で、鉱山を破壊し、中国が世界のサプライチェーンの95%を握っています。当社は外国産の材料、レアアース、マグネットは一切使っていません。我々はそれをかなり高度なソフトウェアと計算で取り替えます。ムーアの法則がモーターに適用されるのは初めてです」とモリス氏は語った。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Turntide気候変動投資電動モーターロバート・ダウニー・Jrビル・ゲイツ

画像クレジット:Chris Unger/Zuffa LLC / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

石油の巨人シェブロンが地熱プロジェクトのスタートアップを支援

米国を拠点とする石油大手のChevron(シェブロン)は、Baseload Capitalというスウェーデンの低温地熱および熱発電プロジェクト開発業者に投資した。地熱発電への投資を加速している。

石油会社は新しい事業分野を探し出すプレッシャーにさらされている。世界が再生可能エネルギーへ大規模にシフトしつつあるためだ。地球の気温を上昇させる温室効果ガスの排出が引き起こす気候関連の災害増加を前にして、再生可能エネルギーはあらゆる産業に電力を供給している。

Chevronの投資に加わったのは、億万長者が投資するクリーンエネルギー投資会社のBreakthrough Energy Venturesと、Gullspang Invest ABというスウェーデンの投資グループだ。

Baseloadへの投資は、Chevronが地熱技術開発業者Eavorに対して行った別のコミットメントと、Breakthrough Energy Venturesが最近行ったGoogleの関連会社であるDandelion Energy(Googleの親会社のムーンショット技術開発ビジネスユニットからのスピンアウトで「X」と呼ばれる)への投資に間を置かずして続くものだ。

DandelionとEavorは石油およびガス業界の知識を活用して、ベースロードエネルギーから家庭の冷暖房に至る地熱資源の利用に取り組むスタートアップのうねりのほんの2つの例にすぎない。

他には、Fervo EnergyGreenFire EnergySage Geosystemsなどの企業があり、いずれも熱を発電に利用している。

Chevronがプレスリリースで述べたように、熱の力は手頃な再生可能エネルギーの形態だ。地熱資源または廃熱のいずれかから利用できる。

BaseloadとEavorへはCTV(Chevron Technology Ventures)のCore Ventureファンドから投資した。このファンドは、Chevronのコアビジネスにおいてオペレーションの強化、デジタル化、低炭素オペレーションなどの分野で効率を高めるテクノロジーを備えた企業を見つけ出す。

2社は共同で技術テストのためのパイロットプロジェクトを計画している。プロジェクト開発にあたっては日本、台湾、アイスランド、米国での現在のBaseloadのオペレーションを念頭に置いている。

取引の金銭的条件は明らかにされていない。

「8月に、主要市場における展開を加速してくれる戦略的投資家を探していると発表しました」と、Baseloadの最高経営責任者であるAlexander Helling(アレクサンダー・ヘリング)氏は述べた。「これ以上良い投資家を求めることはできなかったでしょう。Chevronは株主グループを補完し、掘削、エンジニアリング、探査などの専門知識を与えてくれます。こうした資産が、熱の力を利用する能力を高め、私たちのやり方を強化してくれるものと思われます」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Chevron地熱発電再生可能エネルギー投資

画像クレジット:Universal Images Group / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

Allbirdsが2021年末にフェイクレザーの靴を発売、植物ベースの代替皮革企業に投資

持続可能性を重視する靴メーカーAllbirds(オールバーズ)は、Natural Fiber Welding(ナチュラル・ファイバー・ウェルディング)という新しい会社に200万ドル(約2億1200万円)の小規模投資を行い、そのサプライチェーンをさらにグリーンな方向へ前進させた。

米国時間2月25日発表されたNatural Fiber Weldingへの投資は、2021年12月までに、完全植物由来の代替皮革という選択肢となってAllbirdsの製品に反映される予定だ。こうしたオプションが追加されることは、アパレル製造の一側面での環境インパクトを重視すると常に言明している同社としては、自然な流れだろう。

この頃のAllbirdsは、もうただの靴メーカーではない。Natural Fiber Weldingの製品には、同社独自の処理技術で作られた頑丈な綿繊維と植物由来の代替皮革が意図的に使われている。

これらの素材がソックス、靴、Tシャツ、下着、セーター、ジャケット、マスクなどのAllbirds製品に使われることになった。Natural Fiber Weldingはそのウェブサイトで、Porsche(ポルシェ)との提携を宣伝している。つまり、イリノイを拠点とするこのスタートアップの新素材Peoria(ペオリア)に熱を入れているのは、Allbirdsだけではないということだ。

PitchBookのデータによれば、Allbirdsからの投資以外にもNatural Fiber Weldingは1500万ドル(約16億円)の資金を調達している。その他の投資者にはCentral Illinois Angels、Prairie Crest Capital、Ralph Lauren Corp.、そして完全植物由来の製品に特化した投資会社Capital Vがある。

2020年、植物由来の素材に飛びついたアパレル企業は、決してAllbirdsだけではない。何かと話題のPangaia(パンガイア)は同年12月、Kintra(キントラ)というバイオ由来の代替ポリエステルのメーカに200万ドルを投資した。

現在、持続可能ファッションの世界で最も大きなスタートアップは、Bolt Threads(ボルト・スレッズ)という会社だ。同社は、Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)、Adidas(アディダス)、Balenciaga(バレンシアガ) のオーナーであるファッションハウスなどと(もっと他にもあるが)契約を結んでいる

関連記事:Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

それ以外で、植物由来の繊維や素材で多額の資金を調達したスタートアップには、MycoWorks(マイクロワークス)などの企業がある。同社は2020年にJohn Legend(ジョン・レジェンド)氏、Natalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、さらにもっと伝統的な投資企業である台北のWTT Investment Ltd.、DCVC Bio、Valor Equity Partners、Humboldt Fund、Gruss & Co.、Novo Holdings、8VC、SOSV、AgFunder、Wireframe Ventures、Tony Fadell(トニー・ファデル)氏から4500万ドル(約47億8000万円)を調達した。

Allbirdsは、Natural Fiber Weldingの製品で人工皮革の環境への影響を大幅に減らせることを誇っている。Natural Fiber Weldingによれば、その素材では、石油から作られる合成皮革と比較して、関連する二酸化炭素排出量は40分の1、製造時の排出量な17分の1だという。

また同社では、植物由来皮革には天然ゴムが使われると話している。天然ゴム業界には人権を侵害してきた歴史があるが、是正の努力もなされているところだ

「ファッション業界は、あまりにも長い間、いかがわしい合成皮革や持続可能性のない皮革に依存してきました。環境よりもスピードとコストを優先させていたのです」とAllbirdsの共同創設者であり共同CEOのJoey Zwillinger(ジョーイ・ズウィリンガー)氏は声明の中で述べている。「Natural Fiber Welding(NFW)は、大規模に、持続可能な形で、皮革の解毒剤を作っています。しかもそれを、炭素排出量を98パーセント削減して業界の流れを変える可能性のある方法で行っています。NFWとの提携と、彼らの技術が生んだ植物由来皮革の導入で、私たちの旅は、ファッション業界から石油を一掃するというエキサイティングな段階に入ります」。

TechCrunchではAllbirdsに詳しいコメントを求めているが、現時点ではまだ返事がない。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Allbirdsファッション持続可能性投資

画像クレジット:Allbirds

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

再生エネに頼る送電網の安定化に取り組むMaltaが約53億円調達

エネルギー供給網が化石燃料から主に再生可能エネルギーによるゼロエミッションソースの使用へと移行するにつれ、太陽光や風力で断続的に生み出されるかなりの量のエネルギーを貯蔵して使用するという能力が必要とされている。

だからこそ、新たに5000万ドル(約53億円)を調達したばかりのエネルギー貯蔵テクノロジーデベロッパーMalta(マルタ)のような企業のテクノロジーがかなりの注目と投資を惹きつけている。

Maltaは、Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)の特別プロジェクトからスピンアウトし、需要ピーク時(先週のテキサス州の電力供給網に影響を及ぼしたような状態だ)にエネルギーを放出する長期エネルギー貯蔵を提供する新しい方法において、いくつかのかなり古いテクノロジーの組み合わせに頼っている。

Maltaの最新の資金調達ラウンドはスイスの天然ガス、メタノール、農業の複合企業Proman(プロマン)がリードし、既存投資家からは再生エネルギーや持続可能なスタートアップに次々と投資しているBreakthrough Energy Ventures、産業用フィルターと熱交換器メーカーのAlfa Lavalが参加した。Facebookの共同創業者でAsanaの共同創業者兼CEOのDustin Moskovitz(ダスティン・モスコヴィッツ)氏も本ラウンドに加わっている。

熱交換はMaltaのアプローチの中心にある。これはノーベル賞を受賞したスタンフォード大学の物理学教授Robert Laughlin(ロバート・ラフリン)氏の研究に基づいている。2017年の論文で、ラフリン氏はエネルギーを貯蔵するのに極低温記憶装置と過熱溶融塩を送る熱ヒートポンプを使ったシステムを提案した。

初期デザインを元に、AlphabetのムーンショットファクトリーであるXのエンジアたちはラフリン氏が提案したデザインの修正バージョンの開発を開始した。

その修正デザインが、2018年にXからスピンオフしたMaltaが現在取り組んでいるものだ。

再生可能エネルギープロジェクトデベロッパーRye Developmentで以前働いていたMaltaのCEOであるRamya Swaminathan(ラミャ・スワミナサン)氏は現在のMaltaのシステムが約60%の効率でエネルギーを貯蔵・放出できると述べた。それはあまりいい数字ではない。しかしスワミナサン氏は再生エネルギーのコストの減少は、価格がコスト曲線まで下がり続ける中で効率がさほど重要ではないことを意味する、と話した。「実際には、我々は電気代がゼロに近づくシステムに向かっています」とスワミナサン氏は述べた。事実、一部の送電網が風力や太陽光で発電された電気が過剰になったときにマイナスの価格モデルを展開しているように、Maltaのテックはより魅力的なものになっていると述べた。

再生可能エネルギーの構築によって引き起こされるさまざまな発電問題を解決すべく長期貯蔵の開発を行っている企業はMaltaはだけではない。エネルギー貯蔵のジレンマに取り組んでいる複数の企業のリストをFortuneが記事化している(実際、筆者が書きたかったものだ)。

そこには、Energy VaultとAdvanced Rail Energy Storage North Americaが含まれる。両社とも長期貯蔵に機械的エネルギーの使用を試みている。Energy Vaultの場合、重さ1トンの巨大なセメントブロックを持ち上げるのに再生可能エネルギーを使っている。貯蔵されたエネルギーを電力として放出するためにブロックを落とす。ARES North Americaは似たようなコンセプトを用いているが、巨大なブロックの代わりにエネルギーを貯蔵・放出するのに電車を使っている。

マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするMaltaの事業所の近くに、Maltaのエネルギー貯蔵システムと競合しそうなものに取り組んでいるForm Energyという会社がある。この会社はTesla、破綻した巨大バッテリーテックデベロッパーのAquion、A123 Systems(リチウムイオンバッテリー革命の祖)などの企業で働いていたエネルギー貯蔵のスーパースターによって設立された。

Maltaのシステムは10時間以上にわたって100メガワットを放電できる。スワミナサン氏によると、これはリチウムイオンバッテリーと競合するような価格での1ギガワットアワーの生産に相当する。

同社は現在、初の商業規模プラントに取り組んでいて、2024年から2025年の委託を想定している。

一方、競合他社はかなり巨大な貯蔵プロジェクトからすでに電気を供給している。Energy Vaultによると、同社は供給網に約35メガワットアワーを放電できるスイスの全国公共送電網にデモンストレーションユニットをつなげた。

Promanのような企業はMaltaを好んでいる。というのも、同社の化学・天然ガスの顧客に提供できるからだ。

「長期で低コストのエネルギー貯蔵ソリューションに対する急激なグローバル需要があります。Maltaの拡張性と技術的に堅牢なソリューションを発展させていくことを同社を楽しみにしています」とPromanのCEOであるDavid Cassidy(デビッド・キャシディ)氏は声明で述べた。「投資とともに、Promanは商業規模のプラントにMaltaと取り組み始める際に補完的なデザイン、エンジニアリング、建設の専門性をMaltaに提供します」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Malta再生可能エネルギー資金調達電力網

画像クレジット:Jose A. Bernat Bacete/Moment / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

Noya Labsは200万本の冷却塔をCO2回収装置に変え産業に二酸化炭素を販売する

企業創設者は、みんなが地元の爆弾処理班と名前で呼び合う親しい間柄というわけではない。しかもすべての企業がNoya Labs(ノヤ・ラブズ)であるわけでもない。この会社は、米国内の工業地帯や建物に備えられているおよそ200万本の冷却塔を、二酸化炭素吸着兵器に転換して、世界的な気候変動と戦おうとしている。

同社が最初に水冷器に接続するデバイスのプロトタイプを開発し始めた頃は、善良な企業創設者がみなそうであるように、自宅の庭で工作作業を行っていた。

55ガロンの石油用ドラム缶と低温調理用のコンテナに入った黄色い冷却水のタンクに赤と青のケーブルがつながっている。ご近所さんには異質な代物だ。そこでJosh Santos(ジョシュ・サントス)氏とDaniel Cavero(ダニエル・カヴェロ)氏は、何度も爆弾処理班のふりをしたと、同社の最高責任者であるサントス氏は話す。

「それでCO2が回収できることを、私たちは実証しました。スタートアップにあるまじき手法でしたが」とサントス氏はインチキ爆弾処理班の功績を称えた。

サントス氏とカベロ氏がこの直接空気回収法の実験を始めたのは、2019年、サントス氏が職場に向かうカリフォルニアの通勤列車カルトレインの中で読んだ、植物の二酸化炭素吸収能力が低下しているという研究報告がきっかけだった。この記事が、起業家を目指す彼とそのルームメイトを触発し、炭素の化学実験へと突き動かしたのだ。

最初の製品は、消費者向けの空気清浄器だった。家の中の二酸化炭素を捕らえて回収するというものだ。回収した二酸化炭素は、その家の人間がサントス氏とカベロ氏に売ることができ、彼らはそれを転売する。しかし、このビジネスモデルは経済的ではないと2人はすぐに気がついた。そして原点に戻ることにした。

やがて彼らは、その技術を1日に500キログラムから1トンまでの二酸化炭素を回収できるように発展させ、工場の冷却塔を応用することを考えた。

Noyaの技術では、CO2を吸収する化学物質を混ぜた冷却水が使われる。そして、冷却塔にアタッチメントを取りつける。これはサントス氏が再生プロセスと呼ぶ、取り込んだCO2を気体に戻す処理を行うものだ。回収したCO2は、産業用CO2として販売することにしている。

CO2は隔離されず、再利用に回されることから、今の段階ではまだ完全にグリーンとはいえない。だがサントス氏は、アンモニアとエタノールを使った現在の二酸化炭素製造方式よりはグリーンだと話す。

Noya Labsの共同創設者ジョシュ・サントス氏とダニエル・カベロ氏(画像クレジット:Noya Labs

「5年後には、二酸化炭素の回収と隔離の垂直統合を可能にしたいと強く願っています。第1のステップは、その場で低コストに空気からCO2を回収することです」とサントス氏。「二酸化炭素回収に全面的に向かうには、技術開発の時間がもっと必要です。この第1のモデルは、市場参入への長期戦略を練りながら、私たちの回収技術を洗練させることが目的です」。

サントス氏はそれを「テスラ・ロードスターのアプローチ」と呼ぶ。資本を積み上げて、利益を出し、その技術の1つをMVPとして成功させ、それを計画に沿った次のステップの成功に繋げるというものだ。

Noya Labsはすでに、家族経営のオーガニック農場Alexandre Family Farm(アレクサンダー・ファミリー・ファーム)と共同でパイロットプラントの建設を行っている。そこでは、500キログラムから1トンの二酸化炭素の生産が見込まれている。

この初のパイロットプラント建設と人材集めのために、同社は120万ドル(約1億2700万円)の資金調達に成功した。出資を行ったのは、Ela Madej(エラ・マデイ)氏とSeth Bannon(セス・バノン)氏が設立した先端技術を対象とする投資会社Fifty Years、Chris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon Capital(「地球をフ●ックしない」ための時間稼ぎができる企業に投資するというこの投資会社の企業理念は最高)。また同社はY Conbinatorにも参加している。

「この技術で大いに期待できることの1つに、米国だけでも冷却塔が200万基もあるという点があります。控えめに見ても、最初のパイロットプラントの処理量を1日1トンとすると、50万トン教のCO2が回収できることになります」。

しかも、Noyaが市場に向けて販売を予定しているCO2を買いたいという企業が、すでに何社も手を挙げている。CO2から製品を作るスタートアップも数多く成長している。これらの中には、Aether Diamonds(イーサー・ダイヤモンド)のようにCO2を原料に、なんとダイヤモンドを作るという冗談のような企業から、CO2から合成燃料を作るPrometheus Fuels(プロメシアス・フュエルズ)や、石油化学製品の代替品にCO2を使うOpus12(オーパス・トゥエルブ)などがある。

サントス氏によれば、産業用CO2の価格は、1トンあたり125ドル(約1万3000円)から5000ドル(約53万円)。Noyaは1トンあたり100ドル(約1万600円)以下で生産する予定だ。既存の直接空気回収各社は、1トンあたり600〜700ドル(約6万4000〜7万4000円)で販売している。

Noyaの導入初期費用は25万ドル(約2650万円)程度になるとサントス氏はいう。これなら、バノン氏が提唱する「ミスター・バーンズ・テスト」にパスできる。

持続可能性企業に「ミスター・バーンズ・テスト」を。ミスター・バーンズ(典型的な自己中で利己的で強欲な資本家)が買いたがる製品、つまり持続可能などではなく、良質で最安で最も便利なものを製造しているか。それが大規模なインパクトをもたらすカギになる

「私たちは直接空気回収(DAC)を模索してきましたが、これまで見てきたテクノ経済は好きになれませんでした。従来のアプローチでは、資本支出と運営コストがかかりすぎて、十分な収益が望めません」とバノン氏は電子メールで語ってくれた。「Noyaが解決したのはそこです。既存の工場設備を利用する彼らのモデルには収益性があります。しかも、二酸化炭素回収のパートナーにも収益をもたらすため、急速なスケールアップが可能です。これにより、年間100万トン以上の二酸化炭素を収益性のあるかたちで回収するという機会が創出されるでことしょう」。

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画像クレジット:plus49/Construction Photography/Avalon/Getty Images / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

カーボンオフセットAPIのPatchがa16zのリードで4.8億円調達したことを正式発表

カーボンオフセットAPIを開発するPatch(パッチ)が450万ドル(約4億8000万円)の資金を負債調達した。同社は企業が自社の炭素排出量を計算し、排出量に見合ったオフセットプロジェクトを見つけて資金提供するのを支援するサービスを販売している。

TechCrunchの既報どおり、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)がラウンドをリードし、既存出資者のVersionOne VenturesMapleVCおよびPale Blue Dot Venturesも参加した。

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PatchのAPIは、社内と消費者向けサービスの両方で使用できる。企業は同社のコードを社内向けサイトのユーザー体験に組み込むことで、社員の出張フライトなどを追跡し、出張による炭素排出を相殺するカーボンクレジットの購入を推奨、管理することができる。

このソフトウェアでは、大気中の二酸化炭素除去を支援するプロジェクトのうち、どこち出資するかを選ぶことができる。出資対象のプロジェクトは、実証済みの森林再生・保存プロジェクトから、直接空気補足・隔離プロジェクトのような早期段階の高度技術まで多岐にわたる。

Patchの共同ファウンダーであるBrennan Spellacy(ブレナン・スペラシー)氏とAaron Grunfeld(アーロン・グランフェルド)氏の2人は、アパート賃貸サービスSonderの元社員で、Patchのカーボンオフセット事業は同社のサービスを利用する企業の脱炭素化の代替手段ではないことをインタビューの中で強調した。むしろ彼らのサービスは、企業が事業運営における化石燃料依存からの脱皮に必要なその他の作業を補完するものだと考えている。

Patchの共同ファウンダー:ブレナン・スペラシー氏とアーロン・グランフェルド氏(画像クレジット:Patch)

Patchは現在11社の二酸化炭素除去プロバイダーと提携しており、第1四半期末までにさらに10社を加える計画だと同社は述べている。例えばプロバイダーの1つであるCarbonCureは、二酸化炭素をコンクリートに注入、固定することで、建造物が存続する限り二酸化炭素を建材の中に埋め込む。

「二酸化炭素除去クレジットは、CarbonCureのようなテクノロジーの普及を劇的に加速する可能性があり、気候変動対策の目標達成にとって極めて重要です。質の高い恒久的なクレジットの需要は急速に高まっており、Patchのリストに載ることで、幅広い顧客を呼ぶことができます」とCarbonCure TechnologiesのJennifer Wagner(ジェニファー・ワグナー)社長が声明で語った。

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Patchのサービスを利用している企業はすでに15社ほどある、とTechCrunchは報じている。利用者にはTripActionsの他、未公開株式投資会社のEQTのようにPatchのAPIの利用を自社だけでなく、投資先企業にも拡大する予定の会社もある、とスペラシー氏は語った。

グランフェルド氏は、調達した資金は社員増と新商品開発に使うつもりだと述べた。現在社員は6名で、年末までに24名追加する予定だ。

会社の拡大に合わせて、Patchは炭素排出監視・検証サービスを提供するスタートアップを、同社のAPIを統合して販売するチャンネルにすることを検討している。CarbonChainPersefoni、 あるいはY Combinator卒業生のSINAI Technologiesといった会社のことだ。

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「ますます多くの企業が、地球温暖化防ぐための排出量削減の取組みでリーダーシップをとっています」とAndreessen HorowitzのマネージングパートナーであるJeff Jordan(ジェフ・ジョーダン)氏はいう。「Patchは、企業が中核事業プロセスに炭素除去を組み込むことをより簡単なものにし、認証済みの炭素除去業社を集め、実装が容易なAPIを通じて企業に簡単に利用できるソリューションを提供しています」。

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タグ:PatchAndreessen Horowitzカーボンオフセット資金調達

画像クレジット:Christopher Furlong / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

250万個以上の使い捨てプラボトルをなくす洗剤タブレット「everdrop」が23.9億円調達

簡単な話だ。水に溶かせばキッチン、窓ガラス、浴室などのクリーニングスプレーになる住居用洗剤のタブレット。溶かすための水を輸送する必要はない、なぜなら蛇口をひねれば出てくるから。それは、ドイツ・ミュンヘン拠点のスタートアップeverdrop(エバードロップ)の掲げた約束だ。このタブレットは消費者だけでなく、すでに投資家の心も掴んでいる。

2019年12月に発売されたそのクリーニングタブレットは使い捨てのプラスチックボトルも不要にするため、環境にこだわる消費者にアピールしている(消費者製品会社としては異例ともいえる11万人のフォロワーがInstagramにいる)。

everdropは、同社のタブレットによって250万個以上の使い捨てプラスチック容器をなくすことができると推計している。

everdropの共同ファウンダーであるDavid Löwe(デビッド・ライオン)氏は、同社のやり方を真似することは可能だが、彼らの水硬度計算機を真似することは困難だろう、と私のインタビューに答えている。「さらに、洗濯洗剤の個別調合も極めてユニークです。現在、他の国でこれをやっているところはないと思います。もちろん他社もやる可能性はありますが」。

everdropはGrove CollaborativeBluelandと競合し、The Honest Companyもある意味でライバルだ。

「本当の気持ちを言うなら、他の会社が同じことをすれば、それはすばらしいことです、なぜならこれは私が心から信じてやっていることだからです。もし私たちの成功が刺激になれば、いつか大企業がさらに持続可能な製品へと変えてくれるでしょう」。

洗剤タブレットの他にも、everdropは持続可能な衣料用洗剤製品群を作っている。マイクロプラスチックフリーで、顧客の居住区域の水に合わせて洗剤を調合することにより、水の硬度問題に対処している。洗濯洗剤は一般家庭で最大の化学物質排出源だ。everdropは同社のアプローチによって、環境に流出する不要な界面活性剤を250トン減少させられると推計している。

同社の最新製品、「naked(裸の)」食洗機タブレットは、通常この種の商品が包まれているプラスチック包装がない。

HV Capitalの投資家であるDaivd Fischer(デビッド・フィッシャー)氏は、「everdropのような真に持続可能なブランドが、設立初年からD2C(Direct to Consumer、消費者直接取引き)のライバルであるHimsやDollarShaveClubと同様の成長曲線を見せているのは驚くべきことです」と語っている。

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タグ:everdrop資金調達

画像クレジット:everdrop

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

農業監視と管理のFlurostatが土壌炭素のエキスパートDaganと合併しRegrowに、炭素排出市場に貢献

FluroSatとDaganの2社は、持続可能な農業が温室効果ガス排出削減に果たす役割をより良く理解するために、農業投入物と生産物の監視と管理に取り組んでいるスタートアップだ、両社はこの度、合併して新しいブランドRegrowの下で一連のサービスをローンチしている。

合併は米国時間2月22日に発表された。共同声明では、FluroSatのデータドリブンな農業経営サービスと、Daganの土壌の生物地球化学的モデリング技術を結びつけた会社を設立すると述べている。

合併により生まれた企業は、異なる作物、畑、農場および地域のための特異的分析およびカスタム介入とともに、作物管理および保全慣行の採用を最適化するための衛星収集データを提供する能力を有している。

Daganの共同創設者であるWilliam Salas(ウィリアム・サラス)博士は、合併した会社は、Daganの土壌炭素に関する研究のおかげで、炭素排出の市場でより良い対応ができるようになるだろうと述べている。

サラス氏は声明で次のように語る。「土壌炭素固定は、最終的に過剰な大気中の二酸化炭素を除去するための世界的に関連する戦略として台頭しつつあります。安易な近道や誤謬、誇大宣伝は土壌炭素の途方もない可能性の邪魔をする可能性があります。しかしFluroSatとDaganの合併により、業界は確信と誠意をもって土壌の健康の最良のデータに取り組み、そこから得られるサイト固有の戦略により、企業が炭素市場で成功するための正確さと透明性を提供することができるでしょう」。

合併の条件は公表されていないが、FluroSatはこの前およそ860万ドル(約9億1000万円)の投資資金と助成金を、MicrosoftのM12ベンチャーファンドのリードにより調達したとCrunchbaseのデータにはある

MicrosoftのAzure GlobalのチーフサイエンティストであるRanveer Chandra(ランヴィール・チャンドラ)氏は「次の10年間で我々人類は100億人の世界人口を十分養える食料を世界中で生産する必要があり、しかもそれは、土地を保護し気候変動の進展を抑止する方法でなければなりません。Regrowの計算農業は機械学習と科学的モデリングを利用して、土壌炭素の収支計算の精度を上げることができます」と述べている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Regrow農業二酸化炭素

画像クレジット:Pgiam/Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)