Waymoが自動運転用センサーLiDARの他社への販売を停止

CEOの交代からわずか1カ月、Waymo(ウェイモ)は正式にカスタムセンサーのサードパーティへの販売を停止する。これにより、Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転企業Waymoは販売事業をわずか2年で終了することになる。Waymoはこの決定をロイターに認め、Waymo One配車サービスとWaymo Viaトラック配送部門でWaymo Driverテックを展開することに専念する、と付け加えた。

今回の動きは、長らくCEOを務めたJohn Krafcik(ジョン・クラフシック)氏の退社に続くものだ。クラフシック氏に代わって同社の役員、Tekedra Mawakana(テケドラ・マワカナ)氏とDmitri Dolgov(ディミトリ・ドルゴフ)氏が共同で舵取りを担うことになった。一部の人はクラフシック氏の意図的なアプローチは商業化を妨げていると考えていた。2021年8月初め、Waymo はシミュレーションで200億マイル(約322億キロメートル)、公道で2000万マイル(約3220万キロメートル)の走行というマイルストーンを達成した。数日前にはサンフランシスコで選ばれた客にロボタクシーの提供を開始した。

同社は2019年に、レーザー光のパルスで距離を測定する技術であるLiDARを自動運転車両ライバルを排除する企業への販売を開始した。当初は短距離センサー(Laser Bear Honeycombとして知られる)をロボティクス、セキュリティ、農業テクノロジー部門の企業に販売する計画だった。同社のウェブサイトにあるフォームにはドローンやマッピング、エンターテインメントといった産業も対象と記載されている。

Waymoの第5世代Driverテクノロジーは、車が日中問わず、そして雨や霧といった悪天候の中でも周囲360度を「見ることができる」よう、レーダー、ライダー、カメラなどのセンサーアレイを使っている。シミュレーションと実世界での運転テストは機械学習ベースのソフトウェアを使って分析される膨大なデータセットを集めるのに役立った。ロイターが引用した匿名の情報筋によると、Waymoは次世代LiDARで自社開発のテクノロジーと外部サプライヤーを使う意向だ。

編集部注:本記事の初出はEngadgetに。著者Saqib ShahはEngadgetの寄稿ライター。

関連記事
自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始
Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中
Waymoが自動運転テックハブのピッツバーグにオフィスを開設

画像クレジット:Waymo

原文へ

(文:Saqib Shah、翻訳:Nariko Mizoguchi

デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版

  1. デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版公開

デジタルツインプラットフォームの開発・提供を行うSymmetry Dimensions(シンメトリー・ディメンションズ)は8月19日、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」を発表した。

2014年10月設立のSymmetry Dimensionsは、空間・都市向けデジタルツイン構築およびプラットフォーム開発を行う企業。空間や都市における人流・交通・IoT・BIM/CIMなど様々な種類のデータをプラットフォーム上で統合・解析することで、誰もが簡単にデジタルツイン上での仮説・検証・計画を行うことを可能にするとしている。

デジタルツインとは、物理空間に存在する場所や事象について、IoTデバイスなどを用いてデータ化しデジタル空間上に再現することで、分析・予測などを可能にする技術。データを活用した業務の最適化を行う方法として、製造業や建設業、スマートシティなど様々な分野での活用に注目が集まっているという。

同社は、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」とともに、デジタルツインの市場動向およびテクノロジーのうち、特にトレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを解説している。

「オープンデータ」の加速

デジタルツインやスマートシティを構築する基盤として、世界中の国や自治体でオープンデータ化の取り組みが加速している。米国政府機関や州・都市などが保有する公共データを一元的に管理提供する「Data.gov」では、2009年の発足当初47件だったデータが、現在では6570倍の約31万件に増大。日本国内では2021年3月に公開された国土交通省の3D都市モデル「Project PLATEAU」(プロジェクト・プラトー)、静岡県の3D点群(Pointcloud)データベース「Virtual Shizuoka」など、3Dデータを中心としてオープンデータ化が進んでいる。

「製造」「建設」業界が先行するデジタルツイン

従来から3Dデータを利用していた製造・建設業界は、デジタルツイン化への対応も早く、これらのニーズに応じたデジタルツイン構築やサービス提供を行う企業が増加している。また、製造業界では自社開発でシステム化を進める企業が多く見られる一方、建設業界では外部テクノロジー企業との協業によるシステム化を進める傾向にある。建設業界においては、今後もスタートアップをはじめとした様々な企業からデジタルツイン開発への参入が活発になるとしている。

業界を横断した「汎用型」プラットフォーム(Cross-Industry)

スマートシティに代表される都市型デジタルツイン領域では、業界を横断した汎用型のデジタルツインプラットフォームが登場。これは、IoTセンサーの普及による現実空間のデータ収集が増大したこと、iPhoneをはじめ身近な製品がLiDARセンサーを採用するなど現実世界をデータ化する流れが加速していることで、従来は3Dデータを使用していなかった企業においてもデジタルツインの構築・利用が可能になってきたためという。

「マルチエクスペリエンス」

デジタルツインの活用では、企業や組織のあらゆる関係者が、場所を問わず、より迅速に現在の状況を把握・共有し、次の行動につながる意思決定を行う必要があるという。Symmetry Dimensionsは、そのためウェブブラウザー・スマートフォン・xR(拡張現実、複合現実)を組み合わせたマルチエクスぺリンス化が加速するとしている。ウェブブラウザーを基点としたクラウドベースのデジタルツインプロダクトは今後さらに増大するという。

デジタルとフィジカルの双方向での共有・連携

現実空間の位置情報に基づき、永続的に情報を保存し、ユーザー間での共有を可能にする技術である「AR Cloud」の進化と、コロナ禍により、あらゆる業務の「デジタルファースト」のプロセスが加速し、デジタルツインと物理空間の双方向でのデータ共有・連携が進むという。これによりデジタルツイン上で行われた意思決定の迅速な現場への反映と、最適化された従業員エクスペリエンスを提供をするようになるとしている。

インテルが3D深度カメラ「RealSense」事業を閉鎖へ、コア事業に注力の戦略

インテルが3D深度カメラ「RealSense」事業を閉鎖へ、コア事業に注力の戦略

Intel Corporation

インテルは現在、主力事業の半導体チップ部門に注力していますが、そのために重要度の低い部門を切り離しています。インテルはコンピューター情報メディアのCRNに対して3D顔認識や空間検知機能を持つAIカメラ「RealSense」の事業を閉鎖し、これまでRealSenseに関わってきた人材や技術はコアビジネスに応用していく予定とのことです。これまでRealSense事業を率いていたSagi Ben Moshe氏は2週間ほど前、自身のLinkedInページを更新してインテルを離れたことを明らかにしていました。

RealSenseはコンピュータービジョン搭載製品を素早く簡単に構築できるというコンセプトのため、ステレオビジョン、LiDAR、光学カメラなどのモジュールで構成されています。高い解像度や高フレームレートでの動作をサポートするために独自のプロセッサーを搭載しており、SDKやいくつかのユースケースを想定したサンプルコードなども用意されていました。

すでに倉庫での部品ピッキングロボットやジェスチャーを使用した学習ツールなどにRealSenseを利用している顧客企業があり、インテルのドローンにもその技術は採用されていましたが、いずれもRealSenseの購入量は少数であり、非常にニッチかつ特殊な製品との位置づけだったとされます。CRNは代理店や顧客企業にRealSense事業の閉鎖について問い合わせたものの、それほど驚きの声はなかったと伝えています。

RealSenseの代理店ASIのKent Tibbils氏は、自社の顧客が医療用やデジタルサイネージ用にRealSenseを採用しており、この特殊なカメラ製品が産業分野と相性が良いことを強調しつつも、インテルのCEOパット・ゲルシンガー氏が 垂直統合型の「IDM 2.0ビジョン」に基づいてPCやサーバー事業、半導体ファウンドリー事業に資源を集中する戦略を進めていることを考えると、周辺事業なうえ大きな需要が見込めないRealSense部門の閉鎖はビジネス的に理にかなった戦略だと述べています。

(Source:CRNEngadget日本版より転載)

関連記事
Intelが3.3兆円でチップメーカーGlobalFoundries買収を交渉中との噂
価格約1万1000円、Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表
深度・色情報を取得できるAIカメラ「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」を2万5179円でスイッチサイエンスが発売
インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か
フィックスターズ独自開発の視差計算ソフトがOpenCVに正式実装、自動運転などへの活用に期待
インテルの最新RealSenseライダーカメラは倉庫の在庫管理という巨大市場を目指す
IntelがロボティクスやAR/VRハードウェア用のインサイドアウトトラッキングカメラを発表

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Intel / インテル(企業)Intel RealSense(製品)コンピュータービジョン(用語)LiDAR(用語)

LiDAR業界の勢力争いとVelodyneの内部問題

1年前にSPAC(特別買収目的会社)企業Graf Industrial Corp(グラフ・インダストリアル・コープ)と合併して公開を果たしたVelodyne Lidar(ベロダイン・ライダー)が、米国時間8月5日に第2四半期業績報告を行った。それによれば、同社は徐々に費用がかさみ始めた内紛に苦しみながら、製品の新しい顧客を開拓するためにより多くの経費を投じたことがわかる。

関連記事:自動運転車向けLiDARセンサーのVelodyneが特別目的買収会社を利用して上場

同社の第2四半期レポートによれば、ほんの数週間前に、Velodyne(ベロダイン)のCEOであるAnand Gopalan(アナンド・ゴパラン)氏が辞任し、800万ドル(約8億8000万円)の株式報酬を受け取っている。ゴパラン氏の辞任の時点で、同社は2021年の収益に関する事業見通しを再び述べ、7700万ドル(約84億9000万円)から9400万ドル(約103億6000万円)の間という予想は変更しないとした。

2021年の初め、創業者のDavid Hall(デイビッド・ホール)氏は取締役会の議長を解任され、妻のMarta Thoma Hall(マルタ・トーマ・ホール)氏は、取締役会が「不適切な行動」を理由に夫婦を調査した後で最高マーケティング責任者の役割を失った。VelodyneのCFOであるDrew Hamer(ドリュー・ヘイマー)氏によると、この大問題のために、同社はこの四半期に140万ドル(約1億5000万円)、2021年上半期には合計370万ドル(約4億1000万ドル)の法的費用を費やしたという。

取締役会とホール夫妻との戦いはエスカレートした。5月の書簡の中で、デイビッド・ホール氏は、SPACならびに、合併会社の取締役会の中の、SPACが任命したメンバーの財務実績の低さを非難し、 ゴパラン氏と2人の取締役の辞任を求めた。

米国時間8月5日の投資家への業績報告会で、ヘイマー氏は公開にともなう費用と法的費用の増加により、2021年の一般管理費は約35%増加すると予想されていると述べた。つまり紛争は終わっていないことを意味している。第1四半期から第2四半期にかけて、それはすでに21%増加しており、1700万ドル(約18億7000万円)から2060万ドル(約22億7000万円)となっている。

この「一般管理費」のカテゴリーは、第2四半期は第1四半期の支出の約2倍である8480万ドル(約93億5000万円)となった、より大きな運営費用カテゴリーに含まれている。

法的費用の増加は、加速するコストプロファイルの一部にすぎない。同社はまた、成長、すなわち販売とマーケティングに多額の投資を行っている。

運営費用の大部分は販売およびマーケティングに費やされたのだ。販売およびマーケティングにVelodyneは第2四半期に4720万ドル(約52億円)を費やしたが、これは第1四半期の710万ドル(約7億8000万円)から大幅に増加している。

2020年に行われたCMOへのサーベイによれば、(目安に過ぎないものの)企業は平均して総収益の約11.3%をマーケティング予算に費やしている。資金が投下された同じ四半期中には、販売およびマーケティング支出の完全な効果が現れることは決してないことには注意することが大切だ。言い換えれば、Velodyneの第2四半期の拡大された販売およびマーケティング費用が、より多くのビジネスをもたらしたかどうかはまだわからないということだ。

同社の収益は第1四半期から第2四半期にかけて減少し、1770万ドル(約19億5000万円)から1360万ドル(約15億円)になった。販売に対してこれほど多額の投資をしている企業にとっては、仮に第2四半期の支出によってもたらされる結果の大部分が、企業の第3四半期の収益報告まで現れないとしても、収益の減少を目の当たりにすることは望ましくはない。

Velodyneは、その努力が今後の四半期の売上高の加速につながることに賭けているのだ。

同社は、LiDAR(ライダー)製品の需要の増加により、下半期にはさらに4600万ドル(約50億7000万円)から6200万ドル(約68億3000万円)の収益を見込んでいると語った。実際、第2四半期の総収益は第1四半期よりも少なかったものの、同社の製品ベースの収益は約30%増加した。このことをヘイマー氏は「新型コロナウイルスのパンデミックによる不確実性のために、購入が遅れた顧客からのLiDARセンサーの需要が新たなものとなった」ためだと説明する。

「私たちのパイプラインは成長を続けています」とヘイマー氏はいう。「8月1日時点では213のプロジェクトがありましたが、これは5月1日の198プロジェクトからは増加しています。【略】署名および合意されたパイプラインの中には、2026年から増加し始めると予想される、新しいADAS(先進運転支援システム)の複数年におよぶ契約たちが含まれています」。

ヘイマー氏は、2025年までに、Velodyneは、署名および合意されたプロジェクトから10億ドル(約1102億円)を超える収益が得られる機会を有しており、さらにまだ署名および合意がされていないプロジェクトのパイプラインからは、最大45億ドル(約4960億円)に及ぶ収益が得られると推定している。

4月末、VelodyneはEV(電気自動車)企業のFaraday Future(ファラデー・フューチャー)から、来年発売予定のフラッグシップ高級電気自動車FF91の独占LiDARサプライヤーに選定された。Faradayの車は、その自動運転システムのために、VelodyneのVelarray H800 LiDARセンサーを使用する。

Velodyneは他にもいくつかの既存のパートナーシップを有しているが、自動車分野では激しい競争に直面している。

例えばVolvo(ボルボ)やトヨタなどの大手OEMと取引を行っているLuminar(ルミナー)は、最近チップサプライヤーの1つを買収した、これはVelodyneを含む業界の他の企業のように半導体の不足に悩まされることがないようにするためだ。Hesai(ヘサイ)もまた、Lyft(リフト)、Nuro(ニューロ)、Bosch(ボッシュ)、Navya(ナビヤ)、中国のロボタクシー運営企業のBaidu(バイドゥ)、WeRide(ウィーライド)、AutoX(オートエックス)といった顧客などからの注目を集めている。

関連記事
ラッシュが続く中国LiDARメーカーへの投資、Hesaiがシャオミ、美団、政府系CITICなどの主導で328億円超調達
Argo AIの新型LiDARセンサーでフォードとVWによる自動運転車の大規模な実用化が加速する予感

長い間業界の主要サプライヤーであったVelodyneは、最近一部の顧客を失っている。

例えばもともとVelodyneを支援していたFord(フォード)は、同社の株式を売却し、自動運転車技術を自動車メーカーたちに供給しているArgo AI(アルゴエーアイ)に乗り換えた。Argoは、自社製のLiDARセンサーを大幅に改善することで競争力を強化した。つまりVelodyneに依存する必要がなくなったのだ。それは波及効果をもたらし、Ford向けのLiDARを製造するためにVelodyneと提携していたVeoneerに影響を与えたのだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Velodyne LidarLiDAR

画像クレジット:Bloomberg

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

ガイアックスが日本初の「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日開催

ガイアックスが日本初の「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日開催

ガイアックスと芝浦工業大学は8月5日、LiDARをテーマとした「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日に開催すると発表、参加者の募集を開始した。

LiDARとは、光を使って検知や測距を行うシステムのこと。電波を使うレーダーに対して「ライダー」と呼ばれる。このイベントでは、京都市内の10地点で数カ月間にわたりLiDARで取得した交差点、幹線道路、駐車場の3Dデータを使ってアイデアを競い合う。内容は、「新規事業のアイデアを創出することを目的としたアイデアソン」と、「ディープラーニングによる分析により新たなナレッジを創出することを目的としたハッカソン」に分かれている。その結果は、京都市の交通混雑、交通事故、路上犯罪の対策に役立てられることが期待されている。LiDARで実際に取得した画像「動的LiDARデータ」を使ったアイデアソンやハッカソンは、ガイアックスによれば日本初の取り組みとのこと。

共催者には、エクサウィザーズ、京都リサーチパーク、京都高度技術研究所(ASTEM)が参加。後援者には、エースコード、データサイエンティストの古屋俊和氏 (エクサウィザーズ創業者およびQuantum Analytics CEO)、京都大学桂図書館が参加している。

LiDARの開発の競争は100社以上に激化しており、応用についても2021年2月Google TensorFlow 3Dの発表、2021年6月の「3D-LiDAR活用ビジネスを創出するスマートセンシングアライアンス」の設立に代表されるとおり、今後急速な活発化が予想されるという。エンジニアや学生が同イベントに参加することで、今後のキャリアパスやキャリアアップにつながると考えているという。

概要

  • 開催日時:2021年9月30日9:00〜18:30
  • 対象者:学生、社会人で下記の参加要件を満たす方
  • 参加要件
    ・LinuxのCUI操作に関する基礎的知識とスキルを有すること
    ・プログラミング言語の基礎的知識とスキルを有すること
    ・機械学習プログラミングに関する基礎的知識とスキルを有すること
    ・Dockerに関する基礎的知識を有すること
    ※3DデータやAI未経験者歓迎
  • 参加費:無料
  • 募集人数:最大30チーム
  • 収容人数:京都会場10名、東京会場10名、オンライン会場50名
  • 開催形態:オンラインと会場のハイブリッド
  • 会場
    ・京都会場 京都リサーチパーク KRP1号館4階 G会議室(京都市下京区中堂寺南町134)
    ・東京会場 芝浦工業大学豊洲キャンパス研究棟14階 新熊研究室(東京都江東区豊洲3丁目7-5)
    (新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては完全オンラインになる可能性もある)
  • 参加形態:最大3名のチーム。1名で参加も可能だが、複数チームを兼ねての参加は不可
  • 入賞特典:入賞したチームには下記の特典を付与
    ・最優秀賞 / 賞金20万円 1件
    ・ガイアックス特別賞 / ガイアックスでのエンジニアインターンの権利 最大1件
    ・データサイエンティスト古屋俊和 特別賞 最大1件など

ガイアックスの技術開発部マネージャー、日本ブロックチェーン協会理事の峯荒夢氏は、こう話している。
「人間は道具を使うことより食料調達を効率化し、節約できた時間でさらなる進化をしてきました。スマートシティはデータを使った効率化による人間の進化を引き起こすものだと私は考えています。本アイデアソン・ハッカソンでは、LiDARを軸にその新たな効率化そして人間の進化の一歩となることを期待しています」。

関連記事

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するアプリ「Effectron」 (アフェクション)
Proxima Technologyが単眼・ステレオカメラ対応の深層学習を用いた高精度visual SLAM技術「DVF SLAM」開発
テスラのライバルNIOにLiDARを供給する中国Innovusionがシンガポール政府系ファンド主導で69.5億円調達
エアバスとLuminarが提携を発表、LiDARを使い航空機の自動操縦や安全向上を目指す
ガイアックスが完全オンラインの起業支援開始、地方在住スタートアップを募集
NASAやJAXAが5月末に新型コロナ対策ハッカソンを共同開催

カテゴリー:イベント情報
タグ:ガイアックス(企業)機械学習 / ML(用語)芝浦工業大学(組織)3D / 3Dモデル(用語)3D-LiDAR(用語)TensorFlowDocker(企業・サービス)ハッカソン(用語)プログラミング(用語)LiDAR(用語)Linux(製品・サービス)日本(国・地域)

ボルボが次世代自動車の方向性を示すEVコンセプトカー「Concept Recharge」を発表

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は、2030年までにラインナップを完全に電動化したいと考えている。それを実現するための計画と、次世代の自動車がどのようなものになるのかを、同社は中央欧州時間6月30日に明らかにした。

しかし、ボルボは単独でそれを開発するつもりはない。同社は将来のモデルラインナップを、Northvolt(ノースボルト)やGoogle(グーグル)、Luminar(ルミナー)などのパートナー企業と協力して構築する計画について詳しく説明した。そして同社の次世代電気自動車の「マニュフェスト」として、フラットなフロア、車内に備わる2つのスクリーン、観音開き式のドアを特徴とするコンセプトカー「Concept Recharge(コンセプト・リチャージ)」の画像を初公開した。

Volvo Concept Recharge(画像クレジット:Volvo Cars)

Concept Rechargeのルーフには、Luminar製のLiDARセンサーが搭載されている。これは、2021年6月初めに発表された、ボルボの次期フラッグシップ電動SUVにLuminarのテクノロジースタックが標準装備されるという発表に沿ったものだ。

バッテリーに関しては、ボルボはスウェーデンのバッテリー開発企業であるNorthvoltと共同で、航続距離1000キロメートルを可能にするパックを開発しており、Northvoltがそれを実現すれば、エネルギー密度の面で大きな功績となるだろう。両社は、2026年までに巨大バッテリー工場を欧州に建設することを目指し、新たに50%ずつの出資で合弁会社を設立する。この工場では最大で年間50ギガワット時のバッテリーパックを製造する能力を有するという。また、ボルボは2024年より、スウェーデンのスケレフトーにあるNorthvoltのバッテリー工場から、年間15ギガワット時のバッテリーを調達する予定だ。

将来のボルボの車両は双方向充電が可能になる。これは、EVを移動可能な発電機として使用したり、あるいは車載バッテリーパックに蓄えておいたエネルギーを電力網に放出し、ミニ発電所としての役割を果たせる機能だ。

ボルボは同社独自のOSである「VolvoCars.OS」が、Googleが主導するインフォテインメントシステムや、Linux(リナックス)、QNX、そして車載電子制御ユニット用のAUTOSAR(オートザー)などを含む、基礎的なオペレーティングシステムの「アンブレラシステム」として機能すると述べている。車両には最大100個の電気制御ユニットが搭載されるが、これらはNVIDIA(エヌビディア)と共同で開発した3基のメインコンピューターで構成されるコアコンピューティングシステム上で動作する。

また、ボルボは主力の電気自動車SUVに、Luminarのセンサー群と、ボルボのソフトウェア部門であるZenseact(ゼンセクト)の技術を搭載する計画についても、より詳細に説明した。ボルボの経営陣は、自動運転システムのレベル(米国自動車技術者協会が区分けした自動運転化のレベルを測る尺度)を尋ねる質問には答えず、今後導入する自動運転走行システムについては「要監視」または「監視不要」という言葉で説明したいと述べた。ボルボのシステムでは、ドライバーの監視が必要な「クルーズ」と、監視を必要としない「ライド」という2つのモードに分けられ、将来は監視不要な機能を徐々に導入していくとしている。

将来的にこのシステムは、顧客から大量の運転データを収集することになるが、ボルボはそれを無駄にするつもりはない。同社は、運転自動化機能を利用した顧客から(顧客の同意を得て)収集した情報を処理するデータファクトリーの構築を目指しているという。これらのデータを活用してシステムを改善していき、それを無線アップデートを介して顧客の車両に反映させる予定だ。

「私たちは、この会社を単なる従来型のプレミアムな会社から、急速に成長している新しいプレミアムな電気自動車セグメントのリーダー的な会社へと変えていく必要があります」と、ボルボ・カーズのHåkan Samuelsson(ホーカン・サムエルソン)CEOは語っている。「私たちは内燃機関を理解したように、電池を理解する必要があります」。

関連記事
ボルボの次世代電動フラッグシップSUVはLuminarのLiDARセンサーが標準装備に
グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化
ボルボとダイムラートラックが長距離トラック向け水素燃料電池生産で提携、合弁会社Cellcentric設立

カテゴリー:モビリティ
タグ:Volvo CarsEVコンセプトモデルLiDAR

画像クレジット:Volvo Cars

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボの次世代電動フラッグシップSUVはLuminarのLiDARセンサーが標準装備に

Volvo Cars(ボルボ・カー)とLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)が、パートナーシップをさらに強化する。両社は米国時間6月24日、Luminarの自動運転機能スタック(LiDARセンサーや独自の認識システムを含むハードウェアとソフトウェアの組み合わせ)が、2022年にボルボから登場する電動フラッグシップSUVに標準で搭載されることを発表した。

Luminarは2020年5月にボルボとの生産契約を発表したが、その時点ではLuminarのスタックは、ボルボの車両に追加費用が必要なオプションとして用意される予定だった。しかし、今回の発表によると、ボルボの「XC90」の後継モデルに全車標準で装備されることになったという。

ただし、Highway Pilot(ハイウェイ・パイロット)と呼ばれる機能を利用したい場合は、追加料金を支払う必要がある。この機能は、高速道路の認可された区間・条件下で自動運転走行が可能になるというもので、ドライバーは完全に運転から開放される。現在の路上で一般的に実用化されている多くのシステムのように、人間の運転者が監視を続ける必要さえなくなるという。市販の自動運転システムでは最も高性能なものになるが、顧客がこの機能を望むのであれば、そのための費用を払わなければならない。

この機能は、安全な状況でなおかつ合法的に使用が許可された区間であることが確認された場合のみ作動すると、両社はプレスリリースで述べている。顧客が追加料金を払わずに使える機能は、自動緊急ブレーキや車線逸脱防止支援など、自動車事故の最も一般的な原因を未然に防ぐための一連の安全機能だ。

画像クレジット:Volvo Cars

今回発表されたボルボとの契約は、Luminarにとって大きな恩恵となることは間違いない。ボルボの車両に標準で装備されるとなれば、生産量が増加することに加えて、全車両を合わせると何万キロメートルもの走行距離をシステムが経験することになるため、自動運転スタックにフィードバックできる貴重なデータを得ることができる。また、このシステムは無線でのアップデートが可能なので、時間の経過とともにシステムが「賢く」なっていくため、ドライバーにとっても恩恵がある。

ボルボはまだ、Highway Pilotの価格を明らかにしていない。また、新車購入時にオプション料金として払うことになるのか、それとも月額使用料を払う必要があるのかも、現時点では不明だ。しかしボルボによれば、完全自動運転が実現する際には、すべての車両が「ハードウェア的には準備が整った状態」になっているとのことだ。

関連記事
ボルボとダイムラートラックが長距離トラック向け水素燃料電池生産で提携、合弁会社Cellcentric設立
自動運転技術のオーロラがボルボと提携、高速道路を自律走行するトラックの製造を目指す
エアバスとLuminarが提携を発表、LiDARを使い航空機の自動操縦や安全向上を目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Volvo CarsLuminar TechnologiesLiDAR自動運転電気自動車

画像クレジット:Volvo Cars

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LiDAR開発のQuanergy Systemsが1550億円の評価額でSPAC上場へ

米国カリフォルニア州サニーベール拠点のLiDAR(ライダー)会社Quanergy Systems(クアナジー・システムズ)は6月22日、中国最大の国営投資コングロマリット傘下の特別買収目的ファンドであるCITIC Capital Acquisition Corp.と合併することに合意したと明らかにした。

Quanergyを14億ドル(約1550億円)と評価するこの取引は2021年下半期の完了が見込まれている。合併完了後はプロフォーマネットキャッシュで約2億7800万ドル(約310億円)が同社に注がれる。ここにはPIPE(上場企業の私募増資)による4000万ドル(約44億円)が含まれる。

LiDARは大半の自動運転システムの必要不可欠な構成要素だ。有名な例外はTeslaのスタックで、同社は自動運転の追求をサポートするために純粋にビジョンベースのシステムの開発を試みている(Tesla車両は現在は自動運転ではなく、レベル2の先進運転支援システムと考えられるものを有している)。QuanergyはソリッドステートシリコンLiDARユニットのデベロッパーだ。これは物体までの距離や物体の形を測定するために光フェーズドアレーを通じて低出力レーザーを出す。歴史的にLiDARセンサーは動き、一般的には周辺地域をスキャンできるようレーザーを回転させるためのメカニズムに関わってきた。同社はまた、センサーデータを解釈する知覚ソフトウェアも手がけている。

Quanergyがニューヨーク証券取引所上場に至るまでには紆余曲折があった。同社は2016年に250ドル(約2万8000円)以下のLiDARを開発したと発表し、かなり誇大した話をした(参考までに、同時期にVelodynはLiDARセンサーを7万5000ドル、約830万円で販売していた)。このニュースによりQuanergyはユニコーンステータスを獲得し、IPOの可能性が浮上したとBloombergは報じた。しかしQuanergyが技術的な問題に直面した後、興奮は和らいだ。

そして同社は2020年1月にCEOで共同創業者のLouay Eldada(ルアイ・エルダーダ)氏が社を去ると発表した。Kevin Kennedy(ケビン・ケネディ)氏が暫定CEOとなり、4月に正式にCEOに就任した。Quanergyは世界に自動車部門とIoT部門の350を超える顧客と40の提携を抱える、と話す。同社の投資家には自動車メーカーのDaimlerとGeely、そしてSamsungやEnterpriseなどがいる。

QuanergyはSPAC合併で得る資金をR&Dの促進、負債の支払い、運転資金に使う。取引が完了すれば、同社はティッカーシンボル「QNGY」でニューヨーク証券取引所に上場する。

SPACのCITIC Capital Acquisition Corp.は中国のコングロマリットCITIC Groupが支援する投資会社CITIC Capital Holdings Limitedから資金提供を受けている。Quanergyは対米外国投資委員会(CFIUS)の承認を得る必要がある。CITICの持ち分が10%以下で、Quanergyはいかなるドライバーのデータも記録していないことから、同社はCFIUSが合併を承認すると予想している、とロイターは報じた。

SPACとの合併で上場するLiDAR会社はQuanergyが初めてではない。AEyeは20億ドル(約2210億円)のバリュエーションでCF Finance Acquisition Corp. IIIと合併する予定で、VolvoのパートナーLuminarは34億ドル(約3760億円)のバリュエーションで合併した。

関連記事
AEyeがSPAC経由で公開する最新のLiDAR企業に
LiDARスタートアップのLuminarが約3600億円のSPAC合併で株式公開へ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Quanergy SystemsLiDARSPAC

画像クレジット:Quanergy

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

ラッシュが続く中国LiDARメーカーへの投資、Hesaiがシャオミ、美団、政府系CITICなどの主導で328億円超調達

より多くの自動車メーカーやロボタクシースタートアップがリモートセンシング技術を車両に搭載しているのと並行して、LiDAR(ライダー)メーカーへの投資ラッシュが続いている。

この投資ブームに一番最近乗ったのは、2014年に上海で設立されたLiDARメーカーで、パロアルトにもオフィスを構えるHesai(禾赛科技)だ。同社は中国時間6月8日、著名なプライベートエクイティ企業Hillhouse CapitalのVC部門であるGL Ventures、スマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ、小米科技)、オンデマンドサービス大手のMeituan(美団)、そして中国大手政府系コングロマリットCITIC(中国中信集団公司 / 中信公司)のプライベートエクイティプラットフォームであるCPEが主導するシリーズD資金調達ラウンドで、3億ドル(約328億円)以上を調達したと発表した。

Hesaiは、今回の新たな資金調達は、OEM顧客向けのハイブリッド固体LiDARの量産納入、スマートマニュファクチャリングセンターの建設、自動車用LiDARチップの研究開発などに充てられるとしている。同社は、これまでに「数億ドル(数百億円)」の資金を蓄積してきたという。

このラウンドには、Huatai Securities(華泰証券)、Lightspeed China Partners(LCP)、Lightspeed Venture Capitalの他、Qiming Venture Partners(啟明創投)も参加した。また、Bosch(ボッシュ)、中国最大手の検索エンジンBaidu(バイドゥ、百度)、米国の大手半導体メーカーON Semiconductor(オン・セミコンダクター)も同社に出資している。

この分野では、EVメーカーNIO(ニーオ、上海蔚来汽車)のサプライヤーである中国のLiDARメーカーInnovusionも、2021年5月にシンガポール政府系ファンドTemasek(テマセク)が主導して6400万ドル(約70億円)のシリーズBラウンドを実施した。中国のドローンの巨人DJIから独立したLivox(ライボックス)もまた、テスラのライバルXpeng(シャオペン、小鵬汽車)に採用され勢いを増している新興LiDARメーカーだ。

LiDARの用途は、ロボタクシーや乗用電気自動車だけではない。XiaomiやMeituanがHesaiに出資した理由もそこにある。Xiaomiは、製造サプライヤーを通じて数百種類のコネクテッドデバイスを製造しており、センシング技術が不可欠な産業オートメーションの恩恵を容易に受けることができる。さらにXiaomiは2021年、EVの製造に参入する計画を発表した。

中国で数億人の消費者に食品を配達しているMeituanも同様に、人間の配達ライダーをLiDAR搭載の無人バンやドローンに置き換えることで多くの利益を得られるだろう。

500人以上のスタッフを擁するHesaiの顧客は、23カ国70都市に及んでいるという。同社の顧客には、Nuro(ニューロ)、Bosch、Lyft(リフト)、Navyaの他、中国のロボタクシー事業者Baidu、WeRide、AutoXなどが名を連ねている。同社は2020年、データラベリングサービス企業のScale AIと提携し、カリフォルニア州でHesaiのLiDARを使って収集したデータをもとに、自律走行アルゴリズムのトレーニング用データセットをオープンソースで提供することを開始した。

2020年7月には、LiDAR技術のパイオニアであるVelodyneとHesaiは長期ライセンス契約を締結し、米国、ドイツ、中国での訴訟手続きを終結させた(訳註:2019年8月からVelodyneはHesaiとSuteng Innovation Technologyを相手取り特許侵害の申し立てを行っていた)。

関連記事
テスラのライバルNIOにLiDARを供給する中国Innovusionがシンガポール政府系ファンド主導で69.5億円調達
中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV
エアバスとLuminarが提携を発表、LiDARを使い航空機の自動操縦や安全向上を目指す

カテゴリー:ハードウェア
タグ:LiDAR中国Hesai資金調達

画像クレジット:Hesai

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するアプリ「Effectron」 (アフェクション)

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するEffectron (アフェクション)

AFFEXION

アップルの世界開発者会議 WWDC 2021 を前に、iOS開発者にアプリを巡るストーリーやWWDCへの期待について訊きました。

今回お話をうかがったのは、iPhone 12 Pro や iPad Pro のLiDARセンサを使い、カメラ映像にリアルタイムのARエフェクトをかけるアプリ Effectron の開発元、株式会社アフェクション(Affexion)。

Effectron はカメラを向けた方向の奥行きや三次元形状を取得できる LiDAR センサをエンタテインメントに活用した最初のアプリのひとつで、2020年8月に iPad Pro 版、10月に iPhone 12 Pro 対応をリリースしています。

リアルタイムARエフェクトのアプリは以前からありましたが、Effectron はLiDARで三次元認識した床や壁に光るグリッドを引いて古典的な「サイバースペース」風に変えるといったインパクトのある映像で、搭載されたばかりのLiDARセンサの機能を示すアプリとして話題になりました。

開発元の株式会社アフェクションは、群馬県高崎市に本社を構える社員10名の企業。WebからVR・ARまでデジタルコンテンツ制作を手掛けます。アフェクションの閑 代表と、同社 CG motion 開発室 室長の金井氏にお話をうかがいました。

──Effectron はアフェクションがリリースした最初のアプリだそうですが、そもそもどういった経緯でアプリをリリースすることになったのでしょうか

閑代表:「弊社は2007年にウェブ制作からスタートしました。デザインを基点に広告やウェブ制作を手掛けておりましたが、2年ほど前から社として第二、第三の柱をどうしようか、という話になりまして」

どういったアプリが良いか?を社内で50案ほど考えたなかで、金井氏からこのLiDAR技術を使ってみたいと提案があり、Effectronにつながったとのこと。

金井氏:「提案にはマーケティング的な面と、ビジュアル的なことをやりたかったという2点があります。マーケティングとしては、これまでアプリを出したことがない会社だったので、まず使ってもらう取っ掛かりが欲しかった。新しくLiDARを搭載したiPad Proが出たところで、新機能をアプリで使い新規性を出せればと考えました」

・もう一点は、前職で建築用の測定機器で取得した点群データを見て、これをビジュアル表現やエンタメに使えたら面白いなとは考えていたこと。ミュージックビデオなどでも使われていて、インスピレーションを受けた面もある。

・LiDARセンサは高価で、以前ならば手が出なかったが、WWDCでiPad Proに搭載されたことを知り、世界中のユーザーが身近な環境で使えれば面白いだろうと制作を決めた。

──WWDCで発表を見て一番乗りを狙ったとのことですが、結果的に一番になれましたか?

金井氏:「一番乗りくらい、ですね。LiDARを使ったアプリは他にもあるにはあったのですが、機能が限定的だったり。メッシュを取得して描画するエンタメ系アプリという意味では、確認する限り初めてだったと思います」

──他の開発者もLiDARアプリを一斉に作る中で、エンタメ系で一番乗りになれた理由はどのあたりだったんでしょう

金井氏:「意外とスキャンニングのアプリは出ていたので、アプリ開発者的には実用アプリのほうが安牌だったというか。LiDARに興味を持っていたのがもともと建築系などの層だったので、エンタメに使ったアプリは初期には意外とあんまりでなかったな、という感じです」

──狙いが良かった、ということですね。スケジュール的にはどうでしたか。

金井氏:「7月から開発をはじめて、たしか8月にはリリースしました。スケジュールを間に合わせるため心がけたのは、必要な機能に絞ること。機能を増やしすぎると覚えるのが大変といった面もありますので、できるかぎりシンプルに、背景のメッシュのエフェクト切り替えと、人物のエフェクト切り替えという二点だけに絞って。あとは録画とSNS共有くらいはつけておいて」

──LiDARセンサの利用は、一般の開発者にとって学習コストが高いものなんでしょうか。

金井氏:「作りたいものが決まっていれば、ある程度アップルはサンプルを用意してくれるので、そちらを見れば作りやすいのかなと思います。あとはある程度、映像や3Dに関する知見があればすぐに取りかかれるはずです」

──Effectron は3月時点で3万ダウンロード超だったそうですが、ビジネス的なインパクトはありましたか。

「直接にEffectron を使ったビジネスというよりは、アプリの新規性が話題になったことで、たとえばいま開発している教育向けARアプリなど、開発の案件をいくつもいただけるようになりました。そうした意味で会社のビジネスにつながっています」

──WWDCに向けて、次はこんな機能やデバイスがあったら、といった期待があれば教えてください

「あまり考えたことはなかったですが、ロケーションアンカーが日本中で使えたら良いな、というのはあります。まだ限られた地域でしか使えないので。あれが使えたら、活用はコロナ後になるでしょうが観光アプリだとか、面白いものが作れるかなと考えています」

──ありがとうございました!

iOSアプリ開発者に訊く:LiDARで空間を演出するEffectron (アフェクション)

Apple

WWDC 2021 は米国時間で6月7日から、日本時間では6月8日深夜2時からのキーノートで始まります。

「Effectron」をApp Storeで

株式会社アフェクション | AFFEXION Inc.

Engadget日本版より転載)

関連記事
アップルのWWDC 2021基調講演をライブ中継で観よう!
WWDC 2021で期待される発表は?iOS 15、iPadOSリニューアル、もしかしたら新Macも
Apple Watchで心疾患発見を目指す、慶應医学部 木村雄弘先生に訊く(WWDC 2021)

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:iPad(製品・サービス)iPhone(製品・サービス)Apple / アップル(企業)アフェクション(企業)拡張現実 / AR(用語)WWDC(イベント)WWDC2021(イベント)LiDAR(用語)日本(国・地域)

中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV

Elon Musk(イーロン・マスク)の、LiDAR(Light Detection and Ranging、光による検出と測距)に依存する企業は「破滅する」という発言は有名で、実際Tesla(テスラ)は、自動運転機能は視覚認識で成り立つという信念の元、レーダーを撤去しようともしている。しかし、中国のXpeng(シャオペン、小鵬汽車)は異なる考えのようだ。

関連記事:「LiDARに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張

2014年に設立されたXpengは、中国で最も有名な電気自動車のスタートアップ企業の1つで、設立からわずか6年で上場を果たしている。同社はTeslaと同様、自動化を自社戦略の重要な課題と考えているが、Teslaとは異なり、レーダー、カメラ、Alibaba(アリババ)が提供する高精度地図、自社開発のローカリゼーションシステムの他、さらに最近ではLiDARを組み合わせて道路状況を検知、予測している。

Xpengの自律走行研究開発センターを統括するXinzhou Wu(ウー・シンヂョウ、吳新宙)氏は、TechCrunchのインタビューに応じ「LiDARは、子どもやペットなどの小さな動く障害物や、運転中の誰もが恐れる他の歩行者やバイクに対しても正確に距離を測定し、走行可能な空間を3Dで提供してくれます」と話す。

「LiDARに加えて、位置や速度を示す通常のレーダー、基本的なセマンティック(意味的)な情報を大量に持つカメラがあります」とウー氏。

Xpengは、2021年下半期に納車を開始する量産型EVモデルP5にLiDARを搭載する。この車はファミリーセダンで、Alibabaのマップに掲載された中国の高速道路や一部の都市の道路を、ドライバーが設定したナビに基づいて走行することができるようになる。LiDARを搭載していない旧モデルでは、すでに高速道路での運転アシストが可能だ。

「Navigation Guided Pilot(NGP)」というこのシステムは、TeslaのNavigate On Autopilotをベンチマークとしているとウー氏は話す。例えば車線変更、ランプへの進入、退出、追い越しの他、中国の複雑な道路状況ではよく観られる突然の割り込みに対する操作などを、すべて自動的に行うことができる。

「都市部は高速道路に比べて非常に複雑ですが、LiDARと精密な知覚能力があれば、基本的に3層の冗長性を持ったセンシングが可能になります」。

ADAS(先進運転支援システム)であるNGPでは、ドライバーはハンドルから手を離さず、いつでも車両をコントロールできる状態である必要がある(中国の法律では、ドライバーが路上でハンドルから手を離すことは認められていない)。Xpengの野望は、2~4年後にドライバーを排除すること、すなわちレベル4の自律性に到達することだが、実際の導入は規制次第とのことだ。

「しかしそれについてはあまり心配していません。中国政府はテクノロジーの規制に関して、実は最も柔軟だと思っています」とウー氏は話す。

LiDAR陣営

マスク氏がLiDARを嫌うのは、レーザーを使ったリモートセンシング手法のコストが高いことにある。ウー氏によると、初期の段階ではロボタクシーの上で回転するLiDARユニットに10万ドル(約1090万円)ものコストがかかっていたという。

「今では、少なくとも2桁は低くなっています」と話すウー氏。ウー氏は米Qualcomm(クアルコム)に13年在籍した後、2018年末にXpengに入社し、同社の電気自動車の自動化に取り組んでいる。現在は、Xpengの中核である、500人のスタッフを擁する自律走行研究開発チームを率いており、このチームの人数は2021年末までに倍増するという。

LiDARを搭載した新型セダンについては「次は、エコノミークラスをターゲットにしています。価格的にはミッドレンジと言えるでしょう」とウー氏は話す。

Xpengの車両に搭載されるLiDARセンサーは、深圳に本社を置くドローン大手のDJI(ディー・ジェイ・アイ)の関連会社であるLivox(ライボックス)が提供する。Livoxはより手頃な価格のLiDARが売りで、Xpengの本社かクルマで約1.5時間の広州を拠点とする。

関連記事:テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

LiDARを採用しているのはXpengだけではない。Xpengのライバルで、より高価格帯の市場をターゲットにしている中国のNIO(ニーオ)は、2021年1月にLiDARを搭載したクルマを発表したが、このモデルの生産開始は2022年になる予定である。最近では、中国の国有自動車メーカーBAIC(北汽集団)の新しいEVブランドであるARCFOX(アークフォックス、極狐)が、Huawei(ファーウェイ)のLiDARを搭載した電気自動車を発売すると発表した。

マスク氏は最近、Teslaがカメラと機械学習による純粋なビジョンに近づくにつれ、製品からレーダーを完全に撤去するかもしれないと示唆している。マスク氏はTeslaの古いソースコードのコピーをXpengが持っていると主張しており、Xpengに好意的な感情を抱いていない。

2019年、Teslaは同社のエンジニアであったCao Guangzhi(ツァォ・グゥァンヂー、曹廣志)氏に対し、企業秘密を盗んでXpengに持ち込んだとする訴訟を起こした。Xpengは不正行為を繰り返し否定している。ツァォ氏は現在、Xpengに在籍していない。

供給の課題

Livoxは、ドローンメーカーであるDJIに「育てられた」独立した事業体であると主張しているが、ある関係者の話では、Livoxは別会社という位置づけの「DJI内のチーム」にすぎないという。DJIとの距離を主張する意図は、DJIが米国政府のエンティティリストに登録されているためだ。Huaweiを含む多数の中国ハイテク企業の主要サプライヤーがエンティティリストにより排除されている。

さらにXpengは、NVIDIA(エヌビディア)のXavierシステムオンチップ・コンピューティングプラットフォームや、Bosch(ボッシュ)のiBoosterブレーキシステムなどの重要部品を使用している。世界的に見ても、半導体の供給不足は続いており、自動車の幹部たちはチップにさらに依存するようになる自動運転車の将来のシナリオに悩み始めている。

関連記事:Google、Intel、Dell、GMなどテックと自動車業界のCEOたちが世界的なチップ供給不足問題で米政府と討議

Xpengはサプライチェーンのリスクを十分に認識しているようだ。「第一に、安全性は非常に重要です。安全性の課題は国家間の緊張よりも重要です。新型コロナウイルス感染症に影響を受けているサプライヤーもありますし、複数の供給路を検討しておくことは、私たちが非常に重要視している戦略の1つです」とウー氏は話す。

ロボタクシーの攻勢

Xpengは、Pony.ai(ポニーアイ)や広州のWeRide(ウィーライド)など、中国で急増している自律走行ソリューション企業と手を組むこともできた。しかし、Xpengは彼らの競争相手となり、自社で自動化に取り組み、人工知能のスタートアップ企業を打ち負かすことを誓ったのだ。

EVメーカーとロボタクシーのスタートアップ企業の関係について、ウー氏は「自動車用の大規模なコンピューティングが手頃な価格で利用できるようになり、LiDARの価格が急速に低下している現在、この2つの陣営に大差はありません」。

「(ロボットタクシー会社は)量産車の開発を急ぐ必要があります。2年後にはすでに量産可能な技術になり、ロボタクシー企業の価値は今よりもずっと低くなってしまうと思います」とウー氏は続ける。

「私たちは、自動車産業に求められる安全性と検査の基準を満たす技術の量産方法を知っています。これは、生き残りを左右する非常に高いハードルです」。

Xpengにはカメラのみに頼る計画はない。LiDARのような自動車技術の選択肢がより安価で豊富になってきた今、なぜそれを利用せずにカメラのみにこだわる必要があるのか、とウー氏は問いかける。

「私たちは、マスク氏とTeslaに敬意を払い、彼らの成功を願っています。しかし、(Xpengの創業者である)Xiaopeng(何小鵬)の有名なスピーチにあるように、私たちは中国で、そして願わくば他の国でも、さまざまな技術で競争していきます」。

5Gは、クラウドコンピューティングやキャビンインテリジェンスと一体になって、Xpengの完全自動化の実現を加速させることになると思われるが、ウー氏は5Gの利用法についてはあまり詳しく語らなかった。無人運転が可能になり、ドライバーがハンドルから手が離すことができるようになれば、Xpengは車に搭載される「多くのエキサイティングな機能」を探求するだろう。すでにノルウェーで電気SUVを販売しているXpengは、さらなるグローバル展開を目指している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:XpengLiDAR中国自律運転電気自動車ロボタクシー

画像クレジット:Xpeng

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

エアバスとLuminarが提携を発表、LiDARを使い航空機の自動操縦や安全向上を目指す

Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)は、Airbus(エアバス)と提携を結ぶことで、そのLiDAR技術を、自動車のみならず航空分野にも拡大しようとしている。米国時間4月26日朝に発表されたフランス大手航空会社との提携は、LuminarにとってDaimler(ダイムラー)、Volvo(ボルボ)、Mobileye(モービルアイ)に続く企業との協業となる。これまでLuminarは、同社の光による検知および測距技術を、地上を走る自動運転車に適用することに専心してきた。

この提携によって直ちに民間航空機にLiDARが搭載されるわけではない。ダイムラーやボルボ、モービルアイと結んだ契約と異なり、今回は生産契約ではないからだ。とはいえ、最終的には生産化に結びつくことを目指している。今回の提携ではエアバスの子会社であるUpNext(アップネクスト)と協力して、新しい技術的なブレイクスルーを開発し、最終的には航空分野に応用することに注力する。

この取り組みは、民間航空機からヘリコプター、防衛、宇宙まで、エアバスのビジネスライン全体に試験飛行プラットフォームを提供するAirbus Flightlab(エアバス・フライトラボ)に組み込まれる。Luminarとエアバスは、最終的に安全な自律飛行を実現するために、LiDARを使って検知、認識、そしてシステムレベルの能力を向上させる方法を開発・テストする予定だという。

Luminarの創業者でCEOを務めるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、4月26日に発表した声明の中で「私たちは自動車産業で成し遂げたことを、約1兆ドル(約108兆円)の産業として確立されている航空産業に直接再適用することができます」と述べている。「自動化と安全性の向上により、当社の技術が道路から空へと広がることで、あらゆる交通における移動の仕方が一変すると、私たちは信じています。飛行の未来を定義するという共通のビジョンを加速させることを楽しみにしています」。

LiDARはレーザー光を用いて距離を測定し、精度の高い3次元マッピングを作成するもので、自動運転車業界では商用展開に不可欠なセンサーと考えられている。また、自動車メーカーも、消費者向け乗用車、ピックアップトラック、SUVの新型モデルに搭載する先進運転支援システムの機能と安全性を向上させるために、LiDARは重要なセンサーであると考え始めている。

エアバスは、都市部向けエアモビリティのような航空機の自律操縦運用において重要なステップである障害物の自動検出に、LuminarのLiDARと認識システムをどのように役立てることができるかに関心を持っている。両社は、このセンサーが「既存の航空機アプリケーションの安全性を大幅に向上させる」可能性もあると述べている。

ヘリコプターの安全性を高めることは、エアバスの使命の1つだ。同社は月曜日、コードネーム「Vertex(バーテックス)」と呼ばれるプロジェクトを通じて、ヘリコプターのFlightlabに数々の新機能を投入すると発表した。これらの技術は、LiDARなどのセンサーと障害物検知用ソフトウェア、自動操縦を強化するフライ・バイ・ワイヤ、機内の監視・制御を行うタッチスクリーンと頭部装着型ディスプレイなどで構成されており、ヘリコプターのパイロットの作業負荷を軽減し、安全性を高めることを目的としている。エアバスによると、これらのシステムを組み合わせることで、ナビゲーションやルートの準備、自動離着陸、事前に設定した飛行経路に沿った運行などが管理できるようになるという。2023年の完全なデモンストレーションに向けて、これらの技術をヘリコプターのFlightlabに段階的に組み込む作業が始まっている。エアバスは、同社のアーバン・エア・モビリティ・プロジェクトにおいても、自律飛行に向けたステップとして、この技術が活用されるだろうと述べている。

数年間の秘密裏な活動を経て、2017年4月に自動運転車の業界に突如出現したLuminarは、2020年末に上場企業となった。2021年3月には、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)と協力して高速道路用の自動運転システムを開発し、最終的には他の自動車メーカーに販売することを目指すと発表した。この協業は、ボルボとの間で結ばれた既存の提携のもと、同社の自動運転ソフトウェア子会社であるZenseact(ゼンセアクト)とともに行うことになる。Luminarの創業者でCEOを務めるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、両社の技術を組み合わせて、市販車向けの「ホリスティック(全体論的)な自動運転車スタック」を開発すると述べており、ボルボはその最初の顧客となる。発表当時、ラッセル氏とZenseactのCEOであるÖdgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏は、このシステムを他の自動車メーカーにも提供する予定だと語っていた。

また、Luminarは2020年、株式上場に先駆けて、インテルの子会社であるMobileyeの自動運転車にLiDARを供給するサプライヤー契約を締結。この契約によって、LuminarのLiDARはMobileyeの第1世代の無人運転車に搭載され、ドバイ、テルアビブ、パリ、中国、韓国の大邱市で試験運転が始まっている。

関連記事
高速道路用自動運転技術を自動車メーカーに販売するためLuminarとボルボ子会社が提携
センサー開発のLuminarがIntel子会社Mobileyeと契約、2022年の無人タクシー実現に向けLiDARを供給
LiDARスタートアップのLuminarが約3600億円のSPAC合併で株式公開へ

カテゴリー:モビリティ
タグ:AirbusLuminar TechnologiesLiDAR飛行機自動運転ヘリコプター

画像クレジット:Airbus

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAが自律型軌道離脱システムや金星でも使えるバッテリーの研究に補助金

NASA(米航空宇宙局)のSBIRプログラム(中小企業技術革新研究プログラム)は定期的に将来有望な中小企業や研究プログラムに補助金を出している。そしてその補助金が交付されたリストを調べるのは常に興味深い。今回のリストから、特に説得力のあるもの、あるいは宇宙業界のミッションと産業にとって新たな方向を示している1ダースほどの企業と提案を紹介しよう。

残念なことに、現在提供できるのは下記のような短い説明だけだ。補助金対象となった企業や提案は往々にしていくつかの方程式やナプキンの裏に描いた図の他に提示するものがないほど初期段階にある。しかしNASAは目にすると将来有望な取り組みがわかる(SBIR補助金の申し込み方法についてはこちらに案内がある)。

自律型軌道離脱システム

Martian Sky TechnologiesはDecluttering of Earth Orbit to Repurpose for Bespoke Innovative Technologies(DEORBIT)で補助金を獲得している。これは低軌道のための自律的クラッター除去システム構築する取り組みだ。ある決まった量をモニターしながら侵入してきたものを除去し、建設や他のクラフトの占有のためにエリアを開けておくためのものだ。

画像クレジット:Getty Images

超音波の積層造形

3Dプリント、溶接、そして「軌道上サービス、組み立て、製造(OSAM)の新興分野にとって重要なものについて、さまざまなかたちの提案が数多くある。筆者が興味深いと思ったものの1つは、超音波を使っていた。筆者にはそれが奇妙に思えた。というのも明らかに宇宙では超音波が作用するための大気がないからだ(彼らもそれを考えたと想像する)。しかしこの種の反直感的なアプローチは真に新たなアプローチにつながり得る。

ロボットが互いを見守る

OSAMにはおそらく複数のロボットプラットフォームの調整が含まれ、それは地上においても十分難しいものだ。TRAClabsは有用な他のロボットの視点を提供できるところでなくても自律的にロボットを動かすことで「知覚フィードバックを高め、オペレーターの認知負荷を減らす」ための方法に取り組んでいる。シンプルなアイデアで、人間が行う傾向にある方法に適する。もしあなたが実際のタスクを行う人でなければ、あなたは邪魔にならないよう何が起きているかを目にするのに最適の場所に自動的に移動する。

3Dプリントされたホール効果スラスター

ホール効果スラスターは、特定のタイプの宇宙での操作でかなり有用となり得る電気推進の高効率なフォームだ。しかしそれらは特にパワフルではなく、既存の製造テクニックで大きなものを作るのは難しいようだ。Elementum 3Dは新たな積層造形テクニックと、好きなだけ大きなものを作ることを可能にするコバルト鉄の原料を開発することでそれを達成しようとしている。

金星でも使えるバッテリー

金星は魅力的なところだ。しかしその表面は地球で作られた機械にとっては極めて敵対的だ。鍛えられたPerseveranceのような火星ローバーですら数分でダメになり、華氏800度(摂氏426度)では数秒しかもたない。ダメになる数多くの理由のうち1つは機械で使われるバッテリーがオーバーヒートを起こし、おそらく爆発するということだ。TalosTechとデラウェア大学は大気中二酸化炭素を反応材として使うことで高温でも作動する珍しいタイプのバッテリーを手がけている。

ニューロモーフィック低SWaP無線

あなたが宇宙に行くときは重量と体積が重要で、宇宙に行ってからは電力が重要となる。だからこそ、既存のシステムをコンパクトで軽量、電力(低SWaP)代替のものに切り替える動きが常にある。Intellisenseは着信信号を並べ替えて管理するという部分を簡素化・縮小するためにニューロモーフィック(たとえば空想科学的な方法ではなく頭脳のような)コンピューティングを使って無線に取り組んでいる。1グラムでも軽くすることは宇宙船の設計者がどこでも取り組めることであり、パフォーマンスの向上を図れるところでもある。

LiDARで宇宙を安全なものに

AstroboticはNASAの今後数年の惑星間ミッションにおいて頻繁に目にする社名となりつつある。同社の研究部門は、宇宙船とローバーのような車両をLiDARを使ってより賢く安全なものにすべく取り組んでいる。同社の提案の1つが、評価と修理の目的でスパースシーン(例えば広大な宇宙に対して1つの衛星を他の衛星からスキャンするなど)の1つの小さな物体の画像にピンポイントでフォーカスするLiDARシステムだ。もう1つの提案には、惑星の表面上の障害物を特定するのにLiDARと従来の画像手法の両方に適用する深層学習テクニックが含まれる。これに従事しているチームは現在、2023年の月面着陸を目指しているVIPERウォーターハンティングローバーにも取り組んでいる。

関連記事:NASAが月面の水源探査車VIPERの輸送に民間企業のAstroboticを指名

宇宙ファームのモニタリング

Bloomfieldは農業の自動モニタリングを行っているが、軌道上あるいは火星の表面での植物栽培は地上で行うものとやや異なる。同社は、微小重力といった特殊な状況で植物がどのように成長するのかを観察してきた小さな実験ファームのようなControlled Environment Agriculture(環境抑制農業)の拡大を願っている。植物の状態を絶えずモニターするのにマルチスペクトル画像と深層学習分析を使う計画で、宇宙飛行士は毎日ノートに「葉25が大きくなった」などと記録する必要はない。

レゴリスブロック

アルテミス計画(NASAの有人月探査)は月に「滞在する」ために行くというものだが、どうやって滞在するかはまだはっきりとわかっていない。研究者らは必要なものすべてを月に持ち込むことなしにロケットに燃料を補給して打ち上げる方法、そして月面ロケット打ち上げパッドを文字通りブロック1つ1つで建設するExploration Architectureを研究している。この研究は月の粉塵あるいはレゴリス(堆積物)を溶かし、必要なところに置けるよう焼いてブロックにする統合システムを提案している。これを実行するか、地球のブロックを持ち込むかになるが、後者の方はいい選択肢ではない。

その他いくつかの企業や研究機関もレゴリス関連の建設とハンドリングを提案した。これはいくつかあるテーマの1つで、テーマの一部は追求するにはあまりにも小さいものだ。

他にはエウロパ(木製の第2衛星)のような氷の世界を探検するためのテクノロジーというテーマもあった。金星のほぼ逆の氷の惑星は多くの点で「通常の」ローバーにとって致命的で、パワー、センシング、横断のためのアプローチで必要とされる条件が異なる。

NASAは新たなトレンドにオープンで、衛星や宇宙船においてもそうだ。こうした新たな技術の一群の管理は多くの作業を伴い、もしそうした新技術が1つの分散型マシンとして機能するとしたら(これは一般的な考えだ)、しっかりとしたコンピューティングアーキテクチャの支えが必要となる。多くの企業がこれを達成しようと取り組んでいる。

NASAの最新SBIR補助金リストの残り、そしてテクノロジートランスファープログラムのセレクションもこちらの専用サイトで閲覧できる。もし政府の補助金獲得に興味があるのなら、こちらの記事も読んで欲しい。

カテゴリー:宇宙
タグ:NASA補助金金星火星アルテミス計画バッテリーLiDAR

画像クレジット:Space Perspective

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

鉱山や港で利用されるLiDAR機器メーカーの豪Barajaが日立建機などから33.7億円調達

世界中のLiDAR企業がSPAC(特別買収目的会社)との合併に向かっているが、Baraja(バラジャ)は上場を急いではない。オーストラリアのLiDARメーカーは「ユニークで独創的」な画像システムの展開と開発を継続するためにシリーズBで3100万ドル(約33億7000万円)を調達した。本ラウンドには、お決まりのVC以外の参加もあった。

BarajaのLiDARは、同社が「SpectrumScan」と呼ぶものを活用している。これは光の方向づけは物理学に委ねられているというものだ。レーザーをプリズムに通すことで、異なる波長の光がさまざまな角度に向かい、そして跳ね返ってくるときは同じ道を通る。実際はそれ以上に複雑だが、もし興味があるなら筆者が2020年のCES時に書いた記事をチェックして欲しい。そこにより詳細に書いている。

LiDARの最もはっきりしている応用、つまり自動運転車両は正確には展開が始まったわけではないが、同社は2020年からじっとしていたわけではない。共同創業者でCEOのFederico Collarte(フェデリコ・コラルテ)氏は2020年に、LiDAR産業について「差異化を図らなければ、それまでです」と筆者に語った。そしてBarajaはテックだけでなくマーケットへのアプローチでもそのとおりに行った。

LiDARは、実際のところ多くの産業において有用であることがわかっている。しかし大半のLiDARユニットは、熱や寒さ、他の環境的要因に影響されるかなり複雑な機械要素を含む。しかしBarajaではそれほどではない。可動部は1カ所だけで(かなりゆっくりで安定していて、光学部のどこかにある)、厳しい条件に長期間耐えることができる。

過去2年における最大の顧客の1つは鉱業部門だったとカラルテ氏は説明した。なぜだかおわかりだろう。鉱山の正確な3D画像を作ることは、人間や通常のカメラにとって驚くほど難しいタスクだが、ほぼ特別な目的のために作られたLiDARにとってはそうではない。もしLiDARが熱、寒さ、採掘作業にともなう力に耐えることができればだ。

画像クレジット:Baraja

「鉱業では、鍵となるのは信頼性と耐久性です」とコラルテ氏は話した。「当社はオーストラリアの砂漠にある鉱山でユニットを2年間展開してきました。返品保証で1台戻ってきました。見てのとおり、当社のユニットは鋼青色ですが、そのペイントが完全にはげ落ちていました。金属が露出していましたが、まだ機能しました」。

センシティブなレーザーとレシーバーは機械のボディの奥深くに隠れていて、光ファイバー経由でヘッド部分にある「鈍い」レンズとプリズム要素につながっているため、デバイスは灼熱の砂の中で何年も生き延びることができた。市販されているLiDARでこうした性能を主張できるものは多くない。

日立建機との提携は、同社が投資を決めるほど成功的なものだった。

戦略的投資は財政的支援を多様化するコラルテ氏の計画の一環だった。「当社は長いタイムラインを持つような機関投資家を引き込もうとしています」と述べた。

ベンチャーキャピタルはまだ投資家に含まれているが、同氏は年金基金と思われる新規投資家のHESTAが、VCに加えて探しているタイプの投資家だと指摘した。とはいえ、以前の投資家のBlackbird VenturesやMain Sequence Venturesも今回のラウンドに戻ってきて、新たなVCとともに参加している。4000万豪ドルは換算すると3100万米ドル(約33億7500万円)になり、2018年の3200万米ドル(約34億7800万円)のシリーズAよりわずかに少ないが、規模が縮小したようには感じない。

コラルテ氏はR&Dプロセスの拡大としてだけではなく事業として展開することの重要性を強調した。

「もしテクノロジーだけに取り組んでいるのなら、それは構いませんが、今日顧客や売り上げを持つことはないでしょう」と同氏は述べた。「当社には売上や現実世界の応用があります。そうした筋肉を鍛えているのです。顧客サポート、設置、保証、故障モードを上手にこなせるようになっています。企業が繰り返し練習し、純粋なR&D以上になる必要があるすべてのエリアです」。

同氏は、オーストラリアの主要な港は自立性に向けた取り組みの一環としてBarajaのユニットを使っていたと話し、鉱業に加えて海運業もLiDARが過酷な状況に置かれる分野だと指摘した。

しかしR&Dはまだ同社の資金使途計画の大半を占める。短期的に大きな変更は、車両メーカーやサプライヤーが作業しやすいと感じるはずの統合された「ワンボックス」システムの提供だ。そして長期的にはシステムの基本的なアーキテクチャも同じく進化する。

「当社は通信分野の出身であり、巨大な光学(レンズ、プリズム、光ケーブル管束を意味する)から光工学と集積回路へと移行しました。我々は常にそれを心に留めていました」とCTOで共同創業者のCibby Pulikkaseril(キビー・プリカセリル)氏は述べた。「車両にある他のチップと違いはないようなので、これらをチップに搭載するというのが私のロードマップです」。

コラルテ氏は、誰にとっても小型化は難しい一方で、往々にして特定のサイズでなければならず、レーザーを正しく向けるために特定の円弧をカバーしなければならないLiDARのスキャニングメカニズムでは特に難しいと指摘した。Barajaはすでに「SpectrumScan」方式特有のソリューションに向けて順調に進んでいると、同氏は自慢げに述べた。

同社は、2022年がティア1サプライヤーや自動運転レベル4に向けて争っている他社にとって大きな年となると力説した。だからこそ多くのLiDAR企業がSPAC経由での上場を選んでいる。しかしそれは少なくとも現在Barajaが選ぶプランではない。

「当社もそれには目を向けています。しかし急いではいません」とコラルテ氏は話した。

前述のVCと日立建機に加え、Regal Funds Management、Perennial Value Management、InterValley Venturesもラウンドに参加している。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:BarajaLiDAR資金調達

画像クレジット:Baraja

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

高速道路用自動運転技術を自動車メーカーに販売するためLuminarとボルボ子会社が提携

高速道路用の自動運転システムを開発し、最終的には自動車メーカーに販売することを目指しているLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)は、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)との関係を深めることになった。米国時間3月11日に発表されたこのパートナーシップは、Luminarとボルボの自動運転ソフトウェア開発子会社であるZenseact(ゼンセアクト)の間で結ばれたものだ。

Luminarの創業者でCEOを務めるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、両社の技術を組み合わせて、市販車向けの「ホリスティック(全体論的)な自動運転車スタック」を開発すると述べている。ボルボはその最初の顧客となる。ラッセル氏とZenseactのCEOであるÖdgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏は11日、このシステムを他の自動車メーカーにも提供する予定だと述べた。

LuminarとZenseactが、高速道路における自動運転をどのように定義しているかは注目に値する。両社が開発しているシステムは、高速道路上でドライバーが手と目を運転から完全に離すことができるというレベルのもの。つまり、人間のドライバーは運転を代わる事態を想定することなく、運転から完全に開放されるということである。このレベルの自動運転と人間のドライバーによる手動運転の切り替えは、これまで自動車メーカーを悩ませてきた厄介な問題だ。

「これは今後2〜3年の間に解決されるでしょう。そしてボルボを皮切りに、実際にお客様が購入できる車両に搭載され、その後も拡大していく見込みです。それが我々の特色です」と、ラッセル氏は今回の発表に関するウェビナーの中で語った。

他の自動車メーカーに供給されるスタックは「Sentinel(センチネル)」と呼ばれ、Zenseactの自動運転ソフトウェアソリューション「OnePilot(ワンパイロット)」と、LuminarのLiDARユニット「Iris(アイリス)」、そして検知ソフトウェアやその他のコンポーネントが、基盤として統合されたものになる。

Zenseactによると、このシステムは高速道路上の自動運転走行に対応できるように設計されており、積極的に衝突を回避する多数の安全機能を装備し、事故率を最大で7分の1に低減することができるという。また、このSentinelの製品には、無線でアップデートできる(Over-the-Air)機能も備わっており、時間の経過とともに自動運転の動作領域を拡大し、自動車の安全性をさらに向上させることができると、両社は述べている。

Zenseactという社名は聞き慣れないかもしれないが、同社の550人のチームは長年にわたってADAS(先進運転支援システム)とソフトウェアに取り組んできた。ボルボはVeoneer(ヴィオニア)との合弁事業を終了した後、Zenseactを設立した。

自動運転産業の多くがロボットタクシーのような用途に焦点を当てているのに対し、LuminarとZenseactは、量産車にシステムを提供することに注力していると、両社は述べている。多くの自動車メーカーやハイテク企業が、LiDARセンサーは自動運転車を安全に展開するために不可欠な技術であると考えている。だが、ロボットタクシーの商業化実現までかかる時間が長くなるにつれて、自動車メーカーは、もっと近い将来に量産車に搭載する技術の開発に舵を切っている。

「自動運転技術の目的は、事故を減らし、命を救うことにあります。今回の提携により、私たちは自動運転技術をより広く普及させ、より大きなインパクトを与えることも可能になります」と、アンダーソン氏は声明で述べている。

今回の発表の約10カ月前に、ボルボはLuminar製のLiDARと検知技術を搭載した車両の生産を2022年に開始し、高速道路用の自動運転システムを展開すると発表した。ボルボは、この自動運転システムについて全責任を負うと述べている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Luminar TechnologiesVolvo Cars自動運転LiDAR

画像クレジット:Luminar

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けAI搭載自律移動システム開発、GNSS計測不可の屋内も対応

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けにAI搭載自律移動システムを開発

鹿島建設Preferred Networks(PFN)は3月4日、建築現場で使用するロボットが現場内を自律移動するためのシステム「iNoh」(アイノー)を共同開発したと発表した。

同システムを搭載することで、GNSS(全球測位衛星システム)や人による事前設定がない状態でも、各種ロボットがリアルタイムに自己位置や周辺環境を認識し、日々刻々と状況が変化する現場内を安全かつ確実に移動できるようになる。また、iNohを初搭載したAI清掃ロボット「raccoon」(ラクーン)を開発し、首都圏の現場に導入を開始した。

今後、raccoonを鹿島の建築現場に順次展開していく。あわせて、iNohを巡回ロボットや資材搬送ロボットなどに搭載し、建築現場へのロボットの普及・展開を促進するという。さらには、自律移動が求められる他産業ロボットへの展開も視野に入れて、iNohのさらなる機能向上に取り組む。

現在鹿島は、生産性向上や働き方改革の実現に向けて、建築現場でのロボット活用を進めているという。一方PFNは、自動運転やロボットの自律移動に必要な深層学習による高度な物体認識・制御等の技術を有しており、その実用化を目指し、建設業界向けには鹿島と共同研究に取り組んできたそうだ。

建築現場は、工事の進捗に応じて作業場所や周辺状況が刻々と変化すると同時に、屋内での作業が多くGNSSによる位置計測が行えない。このため、建築現場内におけるロボットの自律移動の実現には、そのような状況下でも開口部、資機材、高所作業車などの移動物や障害物、立入禁止エリア、さらには作業員を安全かつ確実に回避できる必要があり、実用化には多くの技術的課題があるという。

両社は、これらの課題解決に取り組む共同研究を2018年に開始。その後、現場の画像、3Dデータ、図面情報の収集および深層学習、コストを含めた実用的なセンサー構成の検討、現場での試行実験を積み重ね、iNohの開発に至った。今後、さらにデータを蓄積し、環境認識精度を継続的に向上させる予定としている。

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けにAI搭載自律移動システムを開発

自律移動システム「iNoh」のイメージ図

iNohの主な機能

  • マルチセンサーによる自己位置推定および3次元空間マッピング(SLAM技術):魚眼カメラ、LiDAR(レーザー照射による測距装置)、IMU(慣性計測装置)など複数センサーを統合することで、変化の激しい非GNSS環境においても自己位置の正確な推定が可能。また、得られたデータから3次元空間をマッピング
  • 深層学習による高度な周辺環境認識:深層学習技術を用いて現場の膨大な画像データを学習することにより、障害物や高所作業車などの移動物、立入禁止エリア、作業員などを正確に、かつ安定して認識可能
  • リアルタイムナビゲーション:ロボットが自己位置や周辺環境を認識し、障害物を回避した作業ルートをリアルタイムに自動生成するため、作業範囲を限定するマーカー類の設置など、人による事前設定が不要であり、現場納入後、即座に利用可能

また両社は、iNohを初実装した建築現場用のAI清掃ロボット「raccoon」を共同開発した。raccoonはふたつの清掃モードを搭載しており、本体の操作画面から最短3タッチの指示で、コンクリート床面にあるゴミや粉塵を自律移動しながら清掃する。raccoonを首都圏の複数現場に試験導入したところ、100分の連続稼働で約500㎡のエリアを清掃できるなど、iNohの実用性を確認できたそうだ。

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けにAI搭載自律移動システムを開発

raccoonに搭載された各種センサー

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けにAI搭載自律移動システムを開発

おまかせ清掃モード(raccoonの操作画面)。現場内の地図や作業員の指示がなくても、自ら清掃可能エリアを探索しながら自律清掃する

Preferred Networksと鹿島建設が建築現場用ロボ向けにAI搭載自律移動システムを開発

領域清掃モード(raccoonの操作画面)。清掃可能エリアの地図を自動作成後、連携する施工図面上から清掃領域の指定が可能

関連記事
Preferred NetworksがAI・高度IT人材育成に向け機械学習・深層学習コンテンツ4種を公開
Preferred Networksが教育事業に参入、独自のプログラミング教材「Playgram」を開発
トヨタがAIスタートアップのPreferred Networksと提携 支援サービスロボット開発へ
宇宙で活躍するロボット労働力の供給を目指す日本のGITAIが18億円の資金調達を完了
Preferred Networksが中外製薬と東京エレクトロンから9億円を調達、深層学習技術を用いた共同研究へ

カテゴリー:ロボティクス
タグ:AI / 人工知能(用語)鹿島建設(企業)Preferred Networks(企業)LiDAR(用語)日本(国・地域)

スタートアップがLiDARの先に見ている自動運転車両の知覚システム

2020年のCESはLiDAR企業の評価の場でもあった。その多くが(未だ)存在しない自動運転車産業からの需要がないために瀕死の状態である。専門性を高めて他社を引き離している企業はほんのわずかだ。さらに2021年はLiDARの先に目を向けなければならない状況だ。新たな方法のセンシングとイメージングを使ってレーザーベース技術に対抗するとともに補完することを目指さなければならない。

LiDARは、従来のカメラではできなかったことを可能にして進歩をもたらした。そして今、一部の企業がそれほど新しくない技術を用いて進歩を遂げようと試みている。

別の方法でこの問題、つまり知覚技術に対処している良い例に、Eye Net(アイネット)のV2Xトラッキングプラットフォームがある。これは5G(一般的にはまだいくらか新しい技術)関連で説明される技術の1つで、大げさな売り文句だとしても、短距離、低レイテンシのアプリケーションを可能にして救世主技術となる可能性がある。

Eye Netは同社の技術を装備した車両間で衝突警告をしてくれるが、車両にカメラや他のセンシング技術が装備されているかどうかは関係ない。例えば自動車で駐車場内を走行している際、ひどく危険な電動スクーターが前方に真横からきているのに気づかず、このままでは衝突しそうだが駐車されている車のせいでまったく見えない場合がある。Eye Netのセンサーは両車両のデバイスの位置を検出し、いずれか、または両方のブレーキが間に合うように警告を送る。

画像提供:Eye Net

こういったことには他社も取り組んでいるが、同社としてはホワイトラベルソリューションとして提供することにより大規模なネットワークを簡単に構築できるようにして、フォルクスワーゲン、そしてフォード、電動バイクという具合に広げていきたいと考えている。

ただし、自動車の運転や操作の未来像はまだはっきりせず、開発はあちこちで進められている。

例えばBrightway Vision(ブライトウェイ・ビジョン)は、実世界の多くの環境下で可視性が下がる通常のRGBカメラの問題にマルチスペクトル技術を採り入れて取り組んでいる。普通の可視光線画像に加えて、同社のカメラには近赤外線ビーマーが装備されており、決められた距離感覚で1秒間に何度も前方の道路をスキャンする。

画像提供:Brightway Vision

つまり、霧のためメインカメラで30メートル先が見えない場合でも、NIR画像では前方エリアを定期的にスイープして「スライス」をスキャンし、障害物や路面の状況がわかるという。従来のカメラのメリットとIRカメラのメリットを組み合わせているが、それぞれの欠点はうまく避けている。これ1つでより良い仕事をしてくれるのに、普通のカメラを使う理由はないというのが売り文句だ。同じことをもっとうまくやれて、センサーが1つ不要になることさえある。

Foresight Automotive(フォーサイトオートモーティブ)もまた、マルチスペクトル画像技術をカメラに採用している(数年もすれば、可視スペクトルのみの車載カメラはおそらくなくなる)。FLIRとのパートナーシップにより、サーマルイメージングにも手を出しているが、本当に売ろうとしているのは他のものだ。

周囲360度(またはそれに近い範囲)をカバーするには、通常、複数のカメラが必要である。しかし、そういったカメラは同じメーカーであってもコンパクトセダンとSUVでは取りつけ位置が異なり、ましてや自動運転の貨物車両はいうまでもない。それらカメラは連携して機能する必要があるため、完璧なキャリブレーションが求められ、他のカメラの位置を正確に把握している必要がある。各カメラがそれぞれが同じ木や自転車を見ているのであって、同じものが2つあるのではないということを認識している必要があるというわけだ。

画像提供:Foresight Automotive

Foresightの先進技術はキャリブレーション手順を簡素化するもので、製造業者、設計者、テストプラットフォームはカメラが同じ方向や別の方向に半インチ動く必要があるたびに面倒な再テストや認証を行う必要がない。運転前の数秒でカメラを車の屋根に取りつける様子がデモで紹介されている。

同様の企業に別のスタートアップ企業のNodar(ノダル)がある。こちらも3次元カメラを採用しているが、アプローチは異なる。2つの地点の三角測量から奥行きを導き出す方法は、同社が指摘するように、人の眼の仕組みと同じだと考えれば何十年、何万年前からあるものだ。このアプローチの利用がなかなか進まずにいるのは、光学カメラが自動運転車に必要な奥行情報を本来提供できないものであるからではなく、キャリブレーションが常に正しいという信頼がないことが理由である。

Nodarによると、同社の二対のステレオカメラは車両のボディに取りつける必要がないため、複数のカメラビュー間で見られるジッタやほんのわずかのずれが抑制される。同社の「ハンマーヘッド」カメラセットには幅があり(サメのように)、バックミラーに取りつけるとこのカメラの間隔の広さのおかげで高い精度が実現する。距離は2つの画像の差によって判断されるため、カメラが1台のソリューションの場合のように「これは何らかのかたちをしたもの、おそらく車で、たぶんこれくらいの大きさで、おそらくこれくらい離れていて」というような物体認識や複雑な機械学習は必要ない。

画像提供:Nodar

「ちょうど人の目と同じように、カメラを並べて使えば、ひどい悪天候もクリアできることがわかっています」とNodarのCOOで共同創設者のBrad Rosen(ブラッド・ローゼン)氏はいう。さらに「例えばDimler(ダイムラー)の技術者は、最新の3次元アプローチは、視点が1つの方法やLiDARで補完する方法よりも悪天候時の奥行きの推測が大幅に安定することを示す結果を公開しています。私たちのアプローチの利点は、使用するハードウェアがすでに入手できるもので、自動車産業で使える品質であり、製造業者やディストリビュータの選択肢も多いという点です」と続けている。

実際、LiDARの大きなハンディは本体のコストだった。「割安」とされるものでさえ通常のカメラの何倍もの値段で、何かしら追加すればすぐに高額になってしまう。しかし、LiDARのチームも何もせずじっとしているわけではない。

Sense Photonics(センス・フォトニクス)は、LiDARとカメラのいいとこ取りをしたような新しいアプローチでこの分野に参入した。比較的低価格でシンプルなLiDAR(複雑になりがちなスピンやスキャンとは対照的)を従来のカメラと組み合わせ、2つそれぞれで同じ画像を見ることでLiDARとカメラが連携して物体を識別し、距離を測ることができるというものだ。

関連記事:28億円調達でライダーシーンに登場した新しいアプローチ

2019年の登場以来、同社は製造やそれ以外でも技術を磨いている。最新の成果は、LiDARと従来のカメラで一般的に限界と考えられている最大200メートル先の物体を画像化できるカスタムハードウェアである。

「これまでは、弊社のレーザー源(Sense Illuminator)に既製品の検出器を組み合わせて使っていました。しかし、社内で検出器を開発したところ2年で完成し、大成功を収めました。これにより、弊社は短距離と長距離の自動車用製品を製造できるようになりました」とCEOのShauna McIntyre(シャウナ・マッキンタイア)氏は述べている。

「弊社では、LiDARをカメラと同じ「ビルディングブロック」形式で設計しています。つまり、さまざまな光学製品と組み合わせて多様なFOV、範囲、解像度などに対応できるようにしています。かなりシンプルな設計となっているため、実際に大量生産も可能です。ちょうどDSLRカメラのようなアーキテクチャだと考えていただければわかりやすいでしょう。ベースとなるカメラ本体にマクロレンズ、ズームレンズ、魚眼レンズなどを取りつければさまざまな撮影ができるのと同じです」と続けている。

おそらくすべての企業で意見が一致していると思われることの1つは、自動運転車産業全体で、1つのセンシング方式が優位になることはないということである。完全自動運転(レベル4~5)車両のニーズが、運転支援システムのニーズとかなり異なることはさておき、自動運転分野は変化が速すぎるため、1つのアプローチが長く優先されることはほとんどない。

「AV企業はプラットフォームの安全性を世間に納得してもらえない限り成功することはできません。安全マージンは、波長が異なるセンサー方式を重複して使うことでしか高められません」とマッキンタイア氏は述べている。

可視光線、近赤外線、サーマルイメージング、レーダー、LiDARのいずれかを使うにしても、この記事で登場したように2~3の方法を組み合わせて使うにしても、市場で注目される方法が次々と変わっていくのは明らかである。ただしそれは、LiDAR産業で数年前に見られた活況と不況の波と同様、統一までの道のりがそう遠くはないということの警告でもあるだろう。

カテゴリー:モビリティ
タグ:LiDARコラム

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

Uber(ウーバー)の自動運転の子会社を最近買収した自動運転車両開発のAurora(オーロラ)は、別のスタートアップも獲得した。

Auroraは同社にとってこの2年弱で2つの目のLiDARスタートアップとなるOURS Technology(アワーズテクノロジー)を買収する。Auroraはモンタナ拠点のLiDARスタートアップBlackmore(ブラックモア)を2019年5月に買収している。Auroraは買収価格と他の買収条件の開示を拒否した。カリフォルニア大学バークレー校の研究者と博士号の学生たちのチームによって2017年に創設されたOURS Technologyは12人を雇用している。同社によると、チームは全員Auroraに移る。

「我々は、いかに可能な限り早く進歩させられるかに常に目を光らせていて、LiDARチップ開発におけるOURSの専門性が当社がすでに持つ専門性に加わることで、開発が一層加速します」とAuroraの広報担当は語った。

光によって検出と測距を行うLiDAR(Light Detection And Ranging Radar)について、自動運転システムを開発する会社は自動運転車両を安全に大規模展開するのに重要で必要不可欠なセンサーだと考えている。何百万台という自動運転車両が街を行き交う未来はまだ何年も、あるいは数十年も先だ。しかしそれは、数十ものLiDAR企業が最終的な需要を見越して出現するのを阻んだりはしない。

この業界に存在している70ほどの企業の大半はToFのLiDARセンサーを開発し、販売しようとしている。このセンサーは可視域外にパルスレーザー光を照射し、そのパルスが跳ね返ってくるのにどれくらいかかるかを測定する。跳ね返ってくるときに、方向や距離、パルスが当たったものをポイントとして記録し、最終的に3Dマップを作成する。

BlackmoreやOURS Technologyを含め、一部のLiDAR企業は低電力の光の連続波、つまり光の流れを発するFrequency Modulated Continuous Wave(FMCW、周波数変調連続波)LiDARを開発しているFMCW LiDARのデベロッパーはこのテクノロジーについて2つの主な利点を挙げる。1つはより高いダイナミックレンジ、瞬間速度で距離を測定できる点。これは、つまり近づいてくるものや離れていくもののスピードを測定できることを意味する。もう1つが太陽光や他のセンサーの干渉もないという点だ。

しかしFMCWは複雑でもある。FMCWはチップ上のレンジファインダーとして始まる。これを3D LiDARとするのに、多くのFMCWデベロッパーは視野を提供するのに大きな鏡や他の部品を使用するが、ンサーのサイズが大きくなる。OURS Technologyは自らを「LiDAR-on-a-chip」会社だと称しており、この創業4年の会社がソリッドステートスキャニングメカニズムにすべてを組み込む方法を開発したことをうかがわせる。これはセンサーの小型化につながり、FMCWの主な問題の1つを解決する。

Auroraは2020年夏に、自動運転車両、中でも長距離トラック向けに開発されたBlackmoreのテクノロジーに基づくセンサー、FirstLight LiDARを発表した。Auroraは声明文で、OURS Technologyがわずか3年で4世代のLiDARを生産することができ、同社のテクノロジーと互換性があるソリッドステートのスキャニングメカニズムを開発したと言及し、明らかにOURSの開発のスピードに関心を持っている。

AuroraはセンサーをスケーラブルなものにするためにOURSの専門性と開発のノウハウを活用する計画だ。簡単にいうと、Auroraは開発を加速させるためにOURSのチームと、ソリッドステートスキャニングメカニズムのような重要な部品の設計図を使うことを望んでいる。

「当社の車両を拡大し、ドライバーレスのトラックを商業化しようとしている現在、FirstLight LiDARはかなりスケーラブルでなければなりません。小型で、さほど高価でない必要があり、パワフルでなければなりません」とAuroraは述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora買収自動運転LiDAR

画像クレジット:Aurora

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

AEyeがSPAC経由で公開する最新のLiDAR企業に

乗用車の高度運転支援システムと自動運転車向けに技術を開発したLiDARスタートアップのAEye(エーアイ)が、20億ドル(約2100億円)で評価され、CF Finance Acquisition Corp. IIIとの合併により公開する。

この合併取引でLiDAR会社がまた1つ、従来のIPOプロセスに代わりいわゆるブランクチェック(白紙小切手)会社またはSPAC(特別買収目的会社)を選んだ。Velodyne Lidarが2020年夏に18億ドル(約1890億円)の市場価値で、特別目的買収会社のGraf Industrial Corp.との合併により公開する計画を発表し、このトレンドの口火を切った。Luminar、Aeva、Ouster、Innovizなど他社もすぐに続いた

関連記事
自動運転車向けLiDARセンサーのVelodyneが特別目的買収会社を利用して上場
LiDARのスタートアップAevaが特別目的買収会社との合併により株式公開、「4D LiDAR」の開発を進める

この取引でAEyeはGM Ventures、Subaru-SBI、Intel Capital、Hella Ventures、Taiwania Capitalを含む機関投資家および戦略的投資家から、PIPE(上場企業の私募増資)で2億2500万ドル(約240億円)を調達できたと述べた。他の非公開の投資家も参加した。この取引を通じて、AEyeの貸借対照表には約4億5500万ドル(約480億円)の現金が計上され、収入にはCantor Fitzgeraldがスポンサーとして入っているSPACのCF Finance Acquisition Corp.IIIからの2億3000万ドル(約240億円)の信託が含まれる。

LiDAR(光検出および測距レーダー)は、レーザー光を使用して距離を測定し、車の周りの世界の高精度な3Dマップを生成する。このセンサーは、新興の自動運転業界の多くから重要かつ必要なツールと考えられている。Velodyneは長い間LiDAR業界を支配し、ほとんどの自動運転車開発会社にその製品を提供してきた。Velodyneから市場シェアを奪うことを目指し、過去数年間に数十のスタートアップが出現し、それぞれがテクノロジーとビジネスアプローチに関して独自のバリエーションを売り込んできた。

過去3年間でLiDAR企業は、自動運転車を商品化するためのタイムラインが長引くにつれビジネスモデルを微調整してきた。スタートアップは自社の認識ソフトウェアについて力説し、センサーを乗用車に適用すれば冗長性が生まれ、運転支援システムの機能が強化できる、またはされるはずだと自動車メーカーに売り込み始めた。

AEyeは自動運転車を超えて重点を拡大しているLIDAR企業の1つだ。同社は公開で調達した資金を主要市場で会社を拡大するために使用すると述べた。AEyeの売りは、同社のLiDAR技術と、ContinentalなどのTier1およびTier2サプライヤーとの提携により規模を拡大し主要な自動車メーカーに採用されるのに適した位置にいるということだ。AEyeのLiDARセンサーは周囲をスキャンし、認識ソフトウェアの助けを借りて、関連する対象物を識別して焦点を合わせる。

自動車、特に乗用車および自動運転車の分野で長期的にADAS(高度運転支援システム)をサポートすることが、AEyeの基本的な市場だ。しかし同社は鉱業、トラック輸送、交通システム、航空、ドローンなど、より幅広い産業およびモビリティアプリケーションを見すえている。

「適切な価格と信頼性で、最終的にLiDARはカメラを備えたすべてのものに含まれると信じています」とCEOのBlair LaCorte(ブレア・ラコート)氏は投資家向けプレゼンテーションで述べた。「消費者および産業用アプリケーションにLiDARが広く採用されるという期待とともに、2030年までに獲得可能な最大市場規模が420億ドル(約4兆4000億円)になると予測しています」。

AEyeはその獲得可能な最大市場規模の初期段階にある。同社は2021年に400万ドル(約4億2000万円)の売上高と5900万ドル(約62億円)のマイナスのEBITDAを見込んでいると語った。同社はセンサーの商業生産を2021年第4四半期に予定しており、それが同社が予測する2022年の売上高1300万ドル(約14億円)に寄与する。同社は2024年までに売上高が1億7500万ドル(約180億円)になると見込んでおり、下半期にはEBITDAがプラスになると述べた。

合併後の会社はAEye Holdings Inc.という社名でNASDAQに上場する。合併取引は2021年第2四半期に完了する予定だ。CEOとしてブレア・ラコート氏、CTOとして創業者Luis Dussan(ルイス・デュッサン)氏、CFOとしてBob Brown(ボブ・ブラウン)氏らが経営陣に残る。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AEyeSPACLiDAR

画像クレジット:Aeye

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ドローンソリューションによる建設・電力・エネルギー業界DXを推進するテラドローンが15.1億円調達

ドローンソリューションによる建設・電力・エネルギー業界DXを推進するテラドローンが15.1億円調達

ドローンソリューションを通じた建設・電力・エネルギー業界などのDXを推進するテラドローンは2月15日、シリーズAにおいて、第三者割当増資および複数の金融機関などからの融資による総額15億1000万円の資金調達を発表した。引受先は、国際石油開発帝石、並ナントCVC2号投資事業有限責任組合(ベンチャーラボインベストメント、南都銀行100%子会社の南都キャピタルパートナーズ)。

調達した資金により、既存の点検・測量領域における顧客基盤の拡大、ドローン運航管理技術のさらなる開発に取り組み、業界全体の業務改善・コスト削減に貢献していく。

点検分野においては、オランダのグループ会社Terra Inspectioneeringが独自開発した、超音波検査機能搭載のUTドローンに関して、国内導入を本格化させていくという。UTドローンは、プラント内における貯蔵タンクや煙突、電力施設のボイラー、焼却炉の点検に活用可能としている。

また測量分野では、従来の約1/3の導入価格を実現した「Terra Lidar」を活用し、各顧客に適したソリューションを提供。また、計測したデータを一括解析し、解析時間を大幅短縮するSaaS事業「Terra Lidar Cloud」のさらなる充実を図る。

運航管理分野では、ドローンの社会実装が進展する中、空の産業革命を見据え、複数台ドローンの安心安全な自律運転を可能とするプラットフォーム技術、UTM(無人機運航管理システム。Unmanned Traffic Management)の開発をさらに拡充していく。2020年開催「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第14回)」における「空の産業革命に向けたロードマップ2020」において、2022年度までにレベル4(有人地帯での目視外飛行)の実現が掲げられており、これをにらんだものとなっている。

2016年創業のテラドローンは、東京本社含め、全国に拠点を構え、海外においても欧州・東南アジアを中心に事業展開する、世界最大の産業用ドローンソリューションプロバイダー。2020年度は増収増益を達成、海外法人含めた連結ベースでは約20億円の売上となる見込み。

日本では大手ゼネコン・建設コンサルなどからの案件を中心に、世界でもトップクラスとなる1500件以上のドローン測量/点検実績を持つという。現在、測量分野では独自技術による高精度かつ大幅な低価格化を可能とした「Terra Lidar」(特許取得済)を提供。

点検分野では、海外グループ子会社で欧州の大手オイル&ガス会社を中心に200件以上の実績を持つTerraInspectioneeringと連携し、特許取得済みのUT(超音波探傷検査)ドローンを用いた検査技術を導入。運航管理分野では、JAL、KDDIなどと共同でドローン社会の実現に向け運航管理プラットフォーム「Terra UTM」の開発を行っている。

関連記事
テラドローンの使命は「世界で勝つ」こと、徳重社長のグローバル戦略は?

カテゴリー:ドローン
タグ:資金調達(用語)ドローン(用語)テラドローン(企業)UTM / 無人機運行管理システム(用語)LiDAR(用語)日本(国・地域)