メッセージングAPIツールのSendBirdが第2次シリーズBで累計約133億円調達

米国時間5月6日、数行のコードを追加するだけでアプリにメッセージング機能を組み込める技術を開発、販売しているスタートアップのSendBirdが、第2次シリーズBで5000万ドル(約55億3000万円)を調達したことを発表した。同社が2月に調達した5200万ドル(約57億5000万円)に、さらに追加されたことになる。

新たな調達を主導したのはTiger Global Managementで、第1次シリーズBを主導した投資会社のIconiqからも多額の資金を得ている。Crunchbaseのデータによれば、調達した資金は今回までの合計で1億2000万ドル(約133億円)を超える。

これはシリーズBレベルの企業としては巨額の資金調達だ。このように多額の資金が投資される背景には、アプリ内でのユーザー間メッセージングには巨大な需要があり、市場が急速に成長していることがあると考えられる。メッセージング機能をAPIサービスとして提供すれば、開発者はスクラッチからビルドすることなく自分のアプリにその機能を組み込むことができる。これはコミュニケーションにおけるTwilioや支払いにおけるStripeと同様の価値提案だ。

SendBirdのCEOであるJohn Kim氏は2月に実施した最初のシリーズBの際に、同社はアプリ内メッセージングの機能を開発者が簡単に組み込めるようにすることを目指すと語っていた。

とても柔軟で完全にカスタマイズ可能なホワイトラベルのメッセージング機能です。フルマネージドのインフラストラクチャを提供しています。つまり、モバイルアプリやWebサイトにログインすれば、弊社のメッセージング機能を利用できます。

Kim氏は、今回の追加資金調達は同社が市場に進出する戦略を加速するタイミングで実施したものだという。同氏はTechCrunchに対し「マーケティングとセールスからスタートした後、事業における重要な分野のリーダーを雇用し、そのリーダーたちを中心としたチームを構成することで、私たちは市場進出の推進力を得てグローバルなプレゼンスを拡大しています。このプロセスを加速させるために、シリーズBでは私たちがターゲットとする市場に対してこれまで多額の投資をして強い関係を持っている新たな投資家の協力を得ました」と語っている。

SendBirdは2013年に韓国で設立され、現在の従業員数は100人以上、本社はカリフォルニア州サンマテオにある。同社は2016年のY Combinator冬クラスに参加していた。

画像:Tim Robberts / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ドローン関連スタートアップ支援の「Drone Fund 2号」が52億円調達

ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンドであるDrone Fund 2号(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は5月7日、新たな投資家を迎えて総額52億円を調達したことを発表した。

Drone Fund 2号の出資者としては、同1号ファンドから継続のMistletoe Venture Partners、オークファン、DGインキュベーション、日本アジアグループ、キャナルベンチャーズ、FFGベンチャービジネスパートナーズ、リバネス、その他複数のエンジェル投資家。

2号ファンドからは、小橋工業、みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI、電通、セガサミーホールディングス、松竹、KSK Angel Fund、その他複数のエンジェル投資家が出資していた。

今回新たに、西部ガス、GMOインターネット、オリックス、日本郵政キャピタル、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、エン・ジャパン、エイベックスの8社が加わり。総額52億円となった。

Drone Fund2号は、すでに新規で7社に投資中だ。具体的には、農業用ドローンを開発するナイルワークス、空飛ぶ車を研究・開発するSkyDrive、個人用飛行装置(エア・モビリティ)を設計・開発するテトラ・アビエーション、京大初のベンチャーのメトロウェザーなどの国内スタートアップのほか、米国やマレーシア、ノルウェーなどの企業へ投資している。1号ファンドを加えると投資先は29社になるとのこと。また、2号ファンドから出資を始めた小橋工業は、TechCrunch Tokyo 2018のファイナリストであるエアロネクストが開発したドローンの商品化・量産化を支援している。

Toyota AI Venturesが110億円規模の2号ファンドを設立、「マイクロモビリティー」などにも着目か

Toyota AI Venturesマネージング・ディレクターJim Adler氏

トヨタグループのベンチャーキャピタルファンド、Toyota AI Venturesはアメリカ時間5月2日、1億ドル(約110億円)規模の2号ファンドを立ち上げると発表した。

2017年7月に設立されたToyota AI Venturesは、2016年1月にトヨタ自動車により設立され人工知能技術の研究や開発を行うToyota Research Instituteの子会社だ。

2号ファンドの投資領域は、2017年に設立した1億ドル規模の1号ファンドと同じく、自動運転やロボティクス、AI、データ、クラウドなど。

同ファンドのマネージング・ディレクターであるJim Adler氏は、TechCrunch記者のKirsten Korosecによる取材に対し、ファンドの「主な目的」は変わらないが、「バンドリングされていないモビリティーに興味がある」と説明。Adler氏はブログで以下のように綴っている。

「100年以上も前、車社会より昔、陸上交通はバンドリングされていなかった。徒歩や馬、電車などの移動手段が使われていた。車はこのような移動を『安全で自由、便利で楽しい』、個人が所有するパッケージへとバンドリングした」(Adler氏)

だが、「スローダウン」しているものの、交通渋滞低い稼働率などが起因となり、上で説明したようなバンドルがここ10年ほどで解消されてきた、と同氏は説明。

「我々の移動手段は、自動運転技術やセンサー、配車、マイクロモビリティー、ロボティクス領域のスタートアップが引き起す業界のディスラプションにより変化してきている。スタートアップはモビリティーのランドスケープを再構築する様々なプロダクトのバンドルを実験するシャーレのような存在だ」(Adler氏)

Adler氏はTechCrunchに、配車サービスやマイクロモビリティーなど「自動運転技術により加速が見込める」ような「バンドリングされていないモビリティー」の領域に投資機会がある、と話していた。

同ファンドはこれまで19社のスタートアップに投資を実行してきた。ポートフォリオには、LiDAR開発のBlackmore、自動運転ロボットによるラストワンマイル物流のBoxbot、自動車の運行データ分析のConnected Signals以前に紹介した高齢者のお友だちロボット「ElliQ(エリーキュー)」開発のIntuition Roboticsが含まれる。

獣医の自殺が増えている動物病院を抜本的に考え直すサービス

ミレニアル世代は結婚や子どもに背を向け、ペットを飼う方を選ぶから、多様なペット産業が栄えている。

Small Doorもそんな企業のひとつだ。同社は350万ドルのシード資金を獲得して、動物病院というものを根本から考え直そうとしている。この投資は、Hippeau VenturesとPrimary Venture Partnersがリードし、Brand Foundry Ventures、Flatiron Healthの共同ファウンダーのNat Turner氏とZach Weinberg氏、Warby Parkerの共同ファウンダーのDave Gilboa氏、そしてNeil Blumenthal氏らが参加した。

Small Doorは会員制で、人間のプライマリケアサービスのOneMedicalに似ている。同社は会員に、年に数回の健康診断や、専門家への優先アクセス、またプランによっては獣医への仮想アクセスを提供する。

会員制で収益を確保することによって、同社は獣医が各患者に十分な時間を取れるようにし、それと同時に、待合室での待ち時間を短縮する。

さらに、Small DoorはPublic Benefit Corporation(公共利益企業)として登記しているので、株主や投資家と並んで獣医とペットがメインのステークホルダー(利益分有権利者)だ。今、増加する獣医の自殺が問題になっている。借金が増えたり、同情疲労に陥ったり、難しい診療以上に飼い主が難しい相手だったりして、めげてしまうのだ。

そこでSmall Doorは、株主だけでなく獣医の成功と幸福にも投資するビジネスを構築しようとした。同社は今回の資金でチームとプロダクトの強化を目指している。また、初めての直営クリニックをニューヨークに開く計画だ(上図は、そのクリニックの3D画像だ)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WeWorkが非公開で上場申請書を提出、推計収入2030億円、赤字は2120億円

WeWorkを運営するThe We Companyは、米国証券取引委員会(SEC)に上場申請書を非公開で提出したという情報をプレスリリースで確認した。

ニューヨークタイムズの報道によれば、同社がSECに最初に書類を提出したのは昨年12月だという。

今年1月までに、WeWorkは株式と借り入れを併用して470億ドルの会社評価額で総額84億ドルの資金を調達している。ユニコーン(10億ドル企業)を多数生んでいるテクノロジー業界でもAdam Neumann氏とMiguel McKelvey氏が2010年に創立したWeWorkのような100億ドル級はさすがに数が少ない。同社への大口投資家はソフトバンク・ビジョン・ファンドで、昨年11月には30億ドルの出資を受けた。最近ソフトバンクは株式の過半数の取得を目指したが、最後の瞬間に見送っている。

WeWorkの収入は2017年の8億8600万ドルから 2018年には18億ドルへと倍増した。同時に純損失も19億ドルという天文学的数字になった。株式上場を目指す会社として魅力を増すような数字ではない。もっともUberも成長が鈍化している中で株式上場のためのロードショーを各地で開催中だ。WeWorkの財務に関する情報を Crunchbaseから拾ってみると次にようになる。

  • 2017年の収入は8億8600万ドル
  • 2017年の純損失は9億3300万ドル
  • 2018年の収入18億2000万ドル(105.4%アップ)
  • 2018年の純損失は19億ドル(103.6%アップ)

つまり収入に対する赤字の率は変わっていない。ただしAxiosによれば、2018年のWeWorkの入居率は90%であり、登録メンバー数も116%アップして40万1000社となっている。

WeWorkはシリコンバレーのスタートアップの価値がインフレ評価される典型としてよく取り上げられる。WeWorkの本質は不動産賃貸業だ。マーケットと出資者に永続可能なハイテク企業であると納得させるためには膨大な額の投資を続ける必要がある。

WeWorkの主要株主はソフトバンク、Benchmark、T. Rowe Price、Fidelity、ゴールドマン・サックスなどだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

toC領域スタートアップを支援するW ventures、50億円のファンドを組成

写真左から、W ventures代表パートナーの新和博氏と東明宏氏

ベンチャーキャピタルのW venturesは4月24日、コンシューマー向け事業を展開するシード、アーリー期スタートアップを対象に投資を行う、50億円のファンドを組成したと発表した。ファンドの名称は、W ventures投資事業有限責任組合(以下W venturesファンド)。ミクシィからのLP出資を受けているという。

W venturesは、NTTドコモやミクシィでベンチャー投資事業に従事していた新(しん)和博氏と、グリーやグロービス・キャピタル・パートナーズでベンチャー投資事業を行っていた東(ひがし)明宏氏を代表パートナーとして設立された。

W venturesファンドでは、ライフスタイル、エンターテインメント、スポーツといった分野を中心に、BtoC、 BtoBtoC、CtoC、DtoCなどコンシューマー向け領域と、それらサービスを支えるテクノロジーなどの関連領域も含めたスタートアップを支援していく。

「スタートアップチームの一員としてただの投資関係にとどまらない事業成長のサポートを通じて、スタートアップが安心して挑戦できる環境をつくっていく」というW ventures。今後3年で、30〜50社への投資を予定しており、人材採用・組織開発支援、PR支援、資金調達支援などでもスタートアップを支援する体制を整えていくとしている。

培養肉から発酵菌まで食品系CVCが夢中になるスタートアップ

食通が夢に描くのは、健康的で、職人気質の農家やパン屋やシェフが提供する、加工食品ではない料理をみんなが味わえる世界だ。しかし現実は、ひと握りの巨大食品複合企業体から供給される食品が摂取カロリーの大半を占めている。そのため、そうした企業の都合によって選ばれた素材や加工方法が、私たちの日々の食事に大きなインパクトを与えることになる。

このことを踏まえ、Crunchbase Newsでは、食品関連のコーポレートVCと、そこが投資するスタートアップを調査し、その取り引き関係から見えてくる私たちの食べ物の将来を探った。私たちは、一部の大手食品製造業者や清涼飲料水製造業者によるベンチャー投資のリストを作成した。その内容は文字通りフルコースだ(ランチョンミートと飲み物付き)。

巨大食品企業から投資を受けたスタートアップの内容は、その投資元と同じように多岐にわたる。最近、資金を獲得した企業は、代用タンパク質からバイオスペクトルの視覚化、発酵菌などさまざまだ。しかし、重要なトレンドをピンポイントで狙いたいならば、安さよりも、消費者に優しい方向へ転換する必要がある。

「フードテックやアグテック1.0を思い浮かべるかも知れませんが、それらは基本的に生産者に利益をもたらすものです」と農業食品投資家ネットワークAgFunderの創設パートナーRob LeClerc氏は言う。「新しい世代の企業は、消費者が欲しがっているものに重点を置いています」

では、消費者は何を求めているのだろう?消費者の私に限って言えば、カロリーゼロのホットファッジサンデーだ。しかし、LeClercはもっと広い視野で一般的なトレンドを見ている。より健康的で、よりおいしくて、より栄養価が高く、満足感があって、倫理的に問題のない材料を使い、環境への影響が少ないものだ。

ではここから、このトレンドについて、投資を受けたスタートアップ、活発に動いている投資家、そしてそこから生まれてくる食品について詳しく見ていこう。

新しいニュープロテイン

大量市場の食品も改善されてゆくだろうが、同時にますます謎になっている。その傾向は、フードテック投資の世界で変わらずホットな分野である代用プロテインで顕著に見られる。高タンパク食品の需要は動物を消費するという倫理的なやましさと相まって、長年にわたり投資家やスタートアップに植物由来で肉のような味のする製品を作らせてきた。

だが近年になって、食品大手は、大豆やエンドウ豆の遙か先を見るようになった。一時はひとつ1000ドルのミートボールという見出しで世間を驚かせるだけだった人工培養の肉の研究も、今では巨額の資金を集めるようになっている。昨年以来、その分野の少なくとも2つの企業が、米国の最大手食肉製造業のベンチャー投資部門Tyson Venturesからの投資ラウンドを決めている。その中には、高価なミートボールを作ったMemphis Meats(でも本社はカリフォルニア)もある。同社は2000万ドル(約22億3800万円)を調達した。動物由来でない肉を開発しているイスラエルのFuture Meat Technologiesというバイオテックスタートアップは、2万ドル(約2億2380万円)を調達した。

もし、研究所で培養された肉と聞いてドン引きしてしまった人にも、火山性温泉に棲息する微生物からタンパク質を得るというオプションがある。それを大きな目標としているSustainable Bioproductsは、ADMやDanone Manifesto Venturesを含む投資企業からシリーズA投資として3300万ドル(約36億9300万円)を調達した。このシカゴの企業は、イエローストーン国立公園の火山性温泉に棲息する極限環境微生物の研究から、食用タンパク質を作り出す技術を開発した。

また、本物の牛乳は欲しいが牛をいじめたくないという人には、その解決策を研究するスタートアップPerfect Dayがある。同社のウェブサイトにはこう書かれている。「牛に苦労をかけないために、私たちは微小植物と前世代の発酵技術を使い、牛から搾乳されるものとまったく同じ乳タンパクを製造しています」。その努力の甲斐あり、このバークレーの企業はADMより、2月にシリーズB投資3500万ドル(約39億1700万円)を獲得した。

発酵食品

発酵技術で大きな投資を受けたのはPerfect Dayだけではない。フードテック向けのコーポレートVCは、長い間あまり注目されていない微生物や人気のない穀物から需要の大きな食材を作り出す加工技術に興味を示してきた。LeClercによれば、最近は、発酵という一世代前の技術を新しい形で応用する方法を研究するスタートアップに投資家たちが夢中になっているという。

発酵と聞くと、大抵の人が思い浮かべるのは、穀物とイーストと水を混ぜたぐちゃぐちゃしたやつが、ビールという飲み物に変化するプロセスだろう。しかし、より広義には、発酵は酵素の働きによって有機基質に化学変化を起こさせる代謝過程ということになる。つまり、何かと何かを混ぜると反応して、新しい何かができるということだ。

食品分野で最も多くの資金を調達し大きな話題になった企業は、発酵技術を応用しているとLeClercは言う。Perfect Dayの他に、LeClercが指摘するスタートアップには、ユニコーン企業のGinkgo Bioworks、もうひとつの代替プロテイン企業Geltor、キノコに特化したMycoTechnologyがある。

とくに最近では、コロラドのMycoTechnologyが投資家の興味を惹いている。同社は複数の企業や古くからのベンチャー投資家から8300万ドル(約92億8900万円)を調達した。これには、1月のTysonとKelloggのベンチャー投資部門Eighteen94 CapitalからのシリーズC投資3000万ドル(約33億5700万円)が含まれている。6年前に創設されて以来、同社は発酵菌の利用方法を幅広く探ってきた。それには、味覚を高めるもの、タンパク質の補給、保存性を高めるものなどがある。

サプライチェーン

家の食料棚に新しい奇妙な食材を並べさせること以外にも、フードテック向けのコーポレートVCは、既存のサプライチェーンの安全性と効率性を高める技術やプラットフォームにも資金を投入している。

新しい食材もそうだが、食品安全技術というのも聞き慣れない。シリコンバレーのImpactVisionは、Campbell Soupのベンチャー投資部門Acre Venture Partnersからシード投資を受けたスタートアップだが、汚染、食品品質、熟成度といった情報を把握するためのハイパースペクトル画像の研究をしている。

同じくAcreのポートフォリオに入っているボストンの企業Spoiler Alertは、食品企業のための売れ残った在庫の管理を行うソフトウエアと分析技術を開発している。また、AIを使った自律飛行ドローンで店内の在庫を記録する技術を持つPensa Systemsは、今年、シリーズAのラウンド投資を、Anheuser-Busch InBevのベンチャー投資部門から受けている。

風変わりならいいのか?

食品向けのコーポレートVCが支援する企業をいくつか紹介したが、これ以外にも注目株はある。健康ドリンクのGoodBellyをはじめとする、プロバイオニクスを利用した企業にも投資家は関心を高めている。タンパク質以外の新しい食材にも資金が集まりつつある。消化が遅い新しいタイプの炭水化物で作られた健康スナックのスタートアップUCANなどがそうだ。こうした企業はまだまだある。

私たちが新しい食品に熱狂してすぐに飛びつきたくなる心理は、既存の食材を食べ過ぎて幻滅してしまったことが関係している。しかしLeClercは、新製品は、最初はいいかも知れないと思えたものでも、長い目で見ればそうではないものもあると指摘する。

「私たちの脳裏には、こんな疑問があります。ずっとマーガリン2.0を作っているのではないか?」と彼は言う。「植物由来だからって、体にいいとは限らないのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

多様性が利益を生む、マイノリティー企業を支援する投資家マーロン・ニコルス

マーロン・ニコルス氏、トロイ・カーター氏、トレバー・トーマス氏の3人がCross Culture Venturesを創設してから3年半、ロサンゼルスのスタートアップシーンは大きく前進してきた。当時、ロサンゼルスと隣接するオレンジカウンティの準郊外地区はベンチャー投資の波が巻き起こり始めていて、この地区に投下された資本は、2015年には36億3000万ドル(約4065億4000万円)だったものが、昨年には60億ドル(約6700億円)に増加している。

Cross Cultureは、5000万ドル(約56億円)の資金をひっさげてロサンゼルスに登場して以来、ニコルス氏とそのパートナーたちは3件のイグジットを達成した。同社に詳しい情報筋によれば、ポートフォリオの額面価値は、総計で2089パーセント増えたという。

ニコルス氏と仲間たちは、あらゆる企業のポートフォリオの中から、もっとも多様性が高いスタートアップ創設者の集団を支援することでこれを実現した。

クロスカルチャーへの道

ニューヨーク市の街外れから、急成長中に沸くロサンゼルスのベンチャー投資産業のど真ん中へ、ニコルス氏は真っ直ぐに向かったわけではない(そこが多くのベンチャー投資家と違うところだ)。このCross Culture Venturesの創設者は、大学卒業後、技術畑を自力で歩かなければならなかった。ヨーロッパで仕事の実績を積んだ彼は、ビジネススクールに入り直し、ようやくIntel Capitalに職を得た。

父はジャマイカの鉄道技師だったが、家族でニューヨークに越してきた。母は家政婦として働いていたが、美容師免許を取得し、自分の店を開いた。両親がジャマイカからニューヨークに移って2年後に、ニコルス氏もニューヨークに渡った。それまでは、伯母と祖母と暮らしていた。

Cross Culture Venturesの共同創設者で業務執行社員のマーロン・ニコルス氏

両親と越してきた、ブロンクスの北側に接するニューヨーク州マウントバーノンで育ったニコルス氏は、テクノロジーに強い興味を持っていた。両親からコモドール64を買ってもらって以来、ずっとコンピューターで遊んでいた。

家族で初めての大学生となった彼は、ノースイースタン大学の建築学部で学んでいたが、後に新しく創設された管理情報システム学部に転部した。在学中、彼は生まれて初めてシリコンバレーを訪れている。ノースイースタン大学には、学生に現実のビジネスを体験させるために、ボストンの外の企業へインターンとして送り出すプログラムがあった。ニコルス氏は、カリフォルニア州クパチーノのHewlett Packard(ヒューレット・パッカード)に配属された。

卒業後はシリコンバレーに移り住むつもりだったが、結局、Frictionless Commerceのボストン営業所に就職した。そこでニコルス氏は、その街の多様性の低さによる制限に直面した。「ボストンでは、明らかに人種的な偏見がありました」とニコルス氏は言う。「プロとして生きるうえで、正当に扱ってもらえません」

ロンドン転勤のチャンスが示され、彼は数年間、そこで暮らすことにした。夜はバスケットボールのセミプロ選手としてプレイし、昼間はFrictionless Commerceの社員として働いた。

2006年、同社がSAPに買収されると、ニコルス氏はBlackstone GroupとWarner Mediaに相談を持ちかけた。「どっちも部屋に入ると、(マイノリティーは)私だけでした」と彼は話す。「そのことに嫌気がさし、さらに深く考えるようになりました。教育のこと、就職機会のこと、この職種にはチャンスが広がっていとわかっているのに」。

そこでニコルス氏は、都市部の貧困な若者を大学に入れるための非営利団体を立ち上げた。「私は大学進学適正試験のための予備校に通うことができませんでした」とニコルス氏。「勉強を教えてくれる人などいませんでした」

この活動により、ニューヨーク市立大学を考えていた子どもたちも、カーネル大学やバッサー大学やペンシルベニア大学への進学が視野に入るようになった。

この非営利団体が軌道に乗ると、ニコルス氏は学校に戻った。学費全額免除の奨学金でカーネル大学ビジネススクールに入学したのだ。「その道を進み始めると、自分のような人間はさらに少ないことを知りました」とニコルス氏は振り返る。

大学のベンチャー投資基金の運営に関わっていた彼は、カーネル大学を卒業すると、管理訓練プログラムの一環としてインテルに入社した。インテルでは3つの事業部門に順次転属される予定だったが、インテルキャピタルに配属されたとき、彼はそこに留まりたいと申し出た。そして彼はそこで、過小評価されているマイノリティーや女性に就職機会を与え、その力を必要としている業界に送り込む活動に情熱を傾けることができた。

それは、巨大ハイテク企業(業界の海に浮かぶエリートの島として、性差別、人種差別、縁故主義が長年はびこっていた)の多様性問題が批判にさらされていたころだ。2013年、エンジニアのトレーシー・チョウ氏が従業員の多様性の割合に関するレポートを発表したとき、ニコルス氏はそこに自分がIntel(インテル)で感じたのと同じものを見た。

そのとき新しいユーザーエクスペリエンスを開発する部門にいたニコラス氏は、Intel Capitalのソフトウエアおよびサービスグループの担当責任者リサ・ランバート氏と一緒に、Intelに多様性基金を創設することを提唱した。

「資本を提供する側の責任者が多様性に関われる手段が必要だと、私たちは考えたのです」とニコルス氏は基金創設のきっかけを話した。「多様性は矢面に立たされたかと思うと、どこかへ消えて、また矢面に立たされる。ベンチャー投資家の視点から貢献できるものがあるはずなんです」。

多様性基金の投資先企業は簡単に見つかったが、それらの企業は、次のラウンドでの追加資金調達に苦労したとニコルス氏は言う。「一部の企業は、資金を受け取った後、世界有数の最大手機関投資会社から資金を調達した一流企業だと見られることで、困ったことになっていました」とニコルス氏は話す。

こうした企業は、幅広い顧客基盤勢のために、グローバルな問題の解決に取り組んでいるにも関わらず、入手した資金が「多様性」のためと限定されてしまうと、将来の成功が妨げられる。そこが問題だとニコルス氏は感じた。

「そこで、わかったよ、じゃあその将来の資金調達を難しくしてるレッテルを貼るのはやめよう、ということにしました」とニコルス氏。「その代わり、私はグローバルな視点から文化をよく見て、新しい傾向を見極めようとしました。もしそれに成功したら、その傾向を把握できたなら、多様性の高い起業家を選ぶことができて、99パーセントまで問題を解決できます」。

資金調達の年間の傾向(ロサンゼルス/オレンジカウンティ) ロサンゼルスとオレンジカウンティでの通年の調達額は増加しているが、取り引き件数は減少している。 2000年以来最も活発だった2017年(432件)からロサンゼルスとオレンジカウンティの取り引き数は419件に減少。 2018年は2000年以来、ロサンゼルスとオレンジカウンティでの投資最高額(60億ドル)を記録。 グレーの棒は投資額(10億ドル単位)、赤い線は取り引き件数 (グラフ提供:PWC Moneytree/CB Insights

クロスカルチャーとロサンゼルスの好機

ニコルス氏がCross Culture Venturesの設立準備を整えたころ、Intelの基金には別の問題が持ち上がっていた。多様性の重点は、企業の性差別の対応に置かれ、ニコルス氏が対処すべきと考えていたその他の排他的問題、つまり人種と民族の差別は軽視されていたのだ。

さらに、起業家の多くは、Intelの要求には当てはまらない数十億ドル規模の大企業の問題解決に取り組んでいた。Intelは、同じ戦略的ビジョンを持つ企業を支援するはずだった。そのため、たとえばアフリカ系アメリカ人コミュニティの消費者をターゲットにした美容製品への投資を奨励するのは、とても難しかった。

そこでニコルス氏は、ベンチャー投資家を養成するカウフマン・フェローズ・プログラムに参加し、数人のアンカー投資家(フレアーダ・カパー・クレイン氏など)の協力を得て、独立しようと考えた。クレインはニコルス氏に、Intelの基金に出資してくれそうな投資家としてAtom Factoryのトロイ・カーター氏を紹介した。

「私はロサンゼルスに飛び、トロイに会いました。私たちは2時間ほど話し、意気投合しました。しかし、ミーティングの最後に彼はこう言いました。会えてよかった。でもあなたの基金に出資する気はないと」。

最初に断られてから2週間後、ニコルス氏はもう一度カーター氏に会いに行った。今度は出資の話ではなく、手を組もうという提案のためだ。そしてカーター氏を共同創設者として役員に迎え入れ、2人は、翌年中には最初の投資ができるよう、投資会社の基礎固めを開始した。

2015年9月23日、サンフランシスコのピア70で開かれたTechCrunch Disrupt SF 2015に登壇したAtom Factorのトロイ・カーター氏(写真:Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

Cross Cultureは、企業創設者の72パーセントを白人女性と有色人種の男女が占めるポートフォリオを作り上げた。そして、Blavity、PlayVS、Mayvenn、WonderSchoolといった複数のアフリカ系米国人の創設による企業を支援し、AラウンドまたはBラウンドの多額の投資を行う初めての投資会社となった。

Gimletは、クロスカルチャーが投資し、投資後の企業価値が3600万ドル(約40億3000万円)となったポッドキャスト企業だが、およそ2億3000万ドル(約257億円)でSpotifyに売却された。別のイグジットには、Nordstormに売却されたMessage Yes、昨年2月にFairに買収されたSkurtなどがある。

ニコルス氏は、オンデマンド輸送サービスのAirspace Technologies、全米の高校にEスポーツを広めるPlayVS、レンタカーの革命を目指す新しい形の交通企業Fairといった企業の急成長を先導してきた。これらの企業は、どれもここ数カ月で飛躍的に価値を高めている。

Cross Cultureのポートフォリオに詳しい人間によれば、レンタカーのFairは、Skurtの買収によってCross Cultureが投資機会を得た後、ソフトバンクから3億8500万ドル(約432億円)の追加資金を獲得し、その評価額は150パーセント上昇、Airspaceの評価額はScale Venture PartnersからのシリーズB投資2000万ドル(約22億4000万円)を獲得して8カ月以内に733パーセント上昇(1億ドルを超える)、PlayVSの評価額の上昇率はCross Cultureの投資から半年後に329パーセントに達したという。

MayvennのCEOディシャン・イミラ氏は、先日、アフリカ系米国人向けのヘアーエクステや美容製品を販売する会社に2300万ドル(約25億7500万円)の投資を受けた。Cross CultureがシリーズAの一部として行った1000万ドル(約11億2000万円)の投資を上回っている。

MayvennはCross Cultureの最初の投資先だ。これはニコルス氏がベンチャーの世界に築き上げてきた、息の長い関係を示している。

「カーク・コリンズは、資金調達のために、私と一緒にピッチを行う4、5人の人材を集めました。マーロンはその中の一人です。私とマーロンとずっと議論していました」とイミラ氏はニコルス氏との最初のミーティングを振り返って言った。「私たちは30分間議論して、何も結論が得られなかったのですが、関係は続けました。彼はいつも助言をくれて、あちらこちらで支援してくれます。彼はずっと私たちのことを気に掛けていました。そして、私たちのシリーズAが完了する前に、彼はCross Cultureを立ち上げました。私は『ヨー、みんなも入れよ』と言いました」

顧客との新たな関係と新規資金2300万ドルでMayveenはヘアケア事業をエクステンド(本文は英語)


しかし、その間もベンチャー企業の不当な評価の問題は改善されず、残りのベンチャー投資業界は足並みを揃えることができずにいた。RateMyInvestorDiversity VCのデータによれば、ベンチャー投資が受けられたスタートアップのうち、アフリカ系米国人が代表を務める企業はわずか1パーセント。ラテン系が代表の企業はたったの1.8パーセントだ。

ニコルス氏は、それぞれの街に着目し、これまで大物ベンチャー投資企業や実力者から歴史的に無視されてきたエコシステムに投資することで、この傾向を逆転させられると考えた。

「私たちはパロアルトと、ここカルバーシティにオフィスを開いていました」とニコルス氏は振り返る。「最初の2年間は、私が隔週でここへ出社し、トロイも隔週でやって来ました。(しかし)ここへ来る途中に、初めて見る何かが起きていることを感じたのです。ベイエリアと異なり、人口比率の違いから生まれる何かを、私は認識しました」

Dollar Shave Club、Snap、Oculusのイグジットで勢いがついた投資資金がこのエコシステムに流れ込み、ベイエリア南部で成功できる実力を証明した多様な企業創設者の集団を支え始めたのだ。

「このところ、シリコンバレーで生まれるものは、シリコンバレーの人々が使うことが想定されていて、ブロンクスやクイーンズやバルチモアに暮らす人々のためのものではありません」とニコルス氏は言う。「今こそ、ここにいるべき時です。将来性のある企業に投資しようとするなら、世界が向かっている先に行くべきです。実際のところ、そこは黒人や有色人種の世界です」

マイノリティー創設者マイノリティーの企業創設者は過小評価されている私たちは名前の分析、写真の分析、サードパーティーの人口統計収集企業を取り混ぜて利用し、創設者の出身民族を割り出した。我々が収集したデータでは、ベンチャー投資を受けた創設者の3/4以上が白人だった。残りの1/3は、ほとんどがアジア出身の創設者が分け合っている。

国勢調査も、ニコルス氏の評価を裏付けしている。2044年までに、アメリカの人口の大半をマイノリティーが占めるようになり、次世代の消費者はすでにその傾向を見せている。マイケル・ファンが創設したIpsyは、マイノリティーの創設者によって10億ドル規模の美容関連企業だ。もうひとつ、メイクアップアーティスト、パット・マグラスが創設した10億ドル規模の化粧品ブランドPat McGrath Labsは、Eurazeo Brandsから600万ドル(約40億3000万円)を調達している。

Cross Cultureも、ロサンゼルスに腰を落ち着けて、そうした企業が現れるのを待っているわけではない。ニコラスは、機会があれば会社ぐるみで地方を旅している。マイアミでは1カ月かけて起業家たちに会い、デトロイトとアトランタではCulture and Codeというイベントを連続的に開催し、それぞれの街のスタートアップの露出度を高めている。ニコラスは、それは地方のコミュニティの起業家と投資家に出会うための期間限定の場とだと説明している。

Cross Cultureにとれば、伝統的なテクノロジーの都であるシリコンバレーから遠く離れた地方都市を巡るという決断は、単純に同社の幅広いビジョンの延長線上にあるものだ。

「ベンチャー投資家の中で、黒人とラテン系はわずか2パーセントです。黒人女性は0.002パーセントです。そんなこともあって、私のような姿をした若い連中は、ベンチャー投資というものを知らないのです」とニコルス氏は話す。「これは、この国の人口の大きな部分を占める人たちが、今の人口動態をどう思い、彼らに何ができるのか、そしてこれはとても悲しい現状であるということを気付かせるものでした」

現在、ほぼ展開を終えたCross Cultureは、将来のための決断を行う時期になっている。同社は、新たに5000万ドルから1億ドルを調達しに行くか、またはより大規模な投資手段を手に入れる可能性もある。

今のところ、Cross Cultureが支援している34社のの平均投資規模は、およそ25万ドル(約2800万円)となっている。

ニコルス氏にとって、これらの企業の成功は必須条件だ。利益や自らの理論の実証のためだけではない。その経歴にこだわらず、優れた創設者たちを支援する投資の本来の意義のために幅広い努力を重ねている他の投資会社にとって、失敗が何を意味するかを知っているからだ。ニコルス氏は、ベンチャー業界にとって、経済にとって、そしてより広い社会にとって、それが重要であると信じている。

「失敗は決して許されません」とニコルス氏。「勝利あるのみです」

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(翻訳:金井哲夫)

京急アクセラレータープログラム第2期にアイカサやecbo cloak、nearMeなどが選出

京浜急行は4月17日、ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと共同で開催中のスタートアップ支援の取り組みである「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第2期に採択されたスタートアップを発表した。

採択企業には、TechCrunchでも何度も取り上げたことがある傘シェアサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupや、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルのファイナリストである手荷物預かりサービス「ecbo cloak」を運営するecbo、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストであるタクシーの相乗りのマッチングサービスを運営するNearMeが選出された。そのほか、ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」を展開するAirX、AIチャットボットを活用したホテルのカスタマーサポート支援サービスを提供するtriplaも選ばれ、合計は5社。

アイカサ(Nature Innovation Group)

Nature Innovation Groupでは今回のプログラムの採択により、品川駅周辺のオフィスビル数棟や駅周辺商業施設にアイカサを設置。利用者にとっては突然の雨でも傘を低コスト借りられる場所が増え、アイカサ対応店舗では傘を借りに来る利用者に向けての販促が可能になる。中長期的には、京急グループ保有の商業施設やオフィスビル、マンション、ホテルなどにサービスを導入して、雨の日限定のキャンペーン施策などによる相互送客を実施したいとしている。利用客の移動データの取得・分析も進める。

ecbo cloak(ecbo)

ecbo cloakはコインロッカー難民を救済するサービスで、駅構内やカフェなどの空きスペースに荷物を預けられるのが特徴だ。ecbo cloakサービスを京急沿線店舗に導入し、「手ぶら観光」の訴求や大型荷物による電車内の混雑解消を目指す。

tripla(tripla)

AIチャットボットを活用した多言語対応の宿泊予約サービスを、京急系列のホテルに試験導入予定。ホテルのウェブサイトに予約機能を実装することで、オペレーションコストの削減を実現する。今後はバスやタクシーなどの移動手段とのワンストップサービスも検討していくとのこと。

nearMe(nearMe)

NearMeは、同じ方向にタクシーで移動する人々をマッチングして、1人で利用するよりも実質的に安価なタクシー料金を実現するサービス。京急との取り組みにより、沿線の新たな移動手段を創出。今後は観光などの需要に合わせたオンデマンドシャトルの試験運行などを予定している。なお同社は5月をメドに、東急リゾートサービスが運営する「季美の森ゴルフ倶楽部」でのゴルフ場の相乗り送迎サービスの試験運行も予定している。

CodeShare(AirX)

ヘリコプターのライドシェアを提供しているAirXは、京急とは三島半島におけるエアモビリティーを活用した観光プランの実現を目指す。同社によると、日本国内ではヘリコプターが空を飛ぶ乗り物の4割ほどの台数を占めているが稼働率は10%未満と低いとのこと。そこで稼働していないヘリコプターの管理や整備を所有者から請け負い、これらを複数人でシェアすることで低料金での飛行を実現するという。将来的にはハイヤーと変わらない料金での利用も可能になるそうだ。

京急は、今回の2期、前回の1期で採択された企業への出資についてはまったくの未定とのことだが、協業は順調に進んでいるとのこと。

同社はモビリティを軸としたライフスタイルの提案を目指しており、具体的には第1期採択企業のヤマップとは、「MIURA ALPS PROJECT」(三浦アルプスプロジェクト)として、ヤマップが提供する「YAMAP」アプリ上で、三浦アルプス登山マップを整備。観音崎京急ホテルや葉山マリーナを起点とした三浦の山をめぐるトレッキングイベントも昨年開催した。日本美食とは、アリペイなど15種類のQRコード決済に対応する「日本美食Wallet」を「京急ツーリストインフォメーションセンター羽田空港国際線ターミナル」、ラーメンフードコート「品達羽田」、ショッピングセンター「ウィング高輪」の一部店舗に試験導入している。

ノートルダム大聖堂の再建に元ギークの大富豪が130億円余を寄付

現地時間の4月15日夕方に火災が発生したパリのノートルダム大聖堂は、全焼を免れたが856歳の建物は大きな被害に見舞われ、屋根のほとんどは中央の尖塔とともに崩壊した。

火は8時間燃え続けたのちに消防夫たちがその大半を消火し、大聖堂を象徴する2つの矩形の塔や多くの貴重な遺物は救われた。その中には、イエス・キリストが磔刑のおりにかぶっていたとされるいばらの冠もある。それでも、フランスの大統領のエマニュエル・マクロンは、ほとんど鎮火したとき大聖堂の外でこう語った。「最悪の事態は避けられたが完全な勝利はまだだ」。続けてマクロンは、修復のための資金を得るために国際的な資金調達キャンペーンを開始する計画だ、と述べた。

そのキャンペーンは幸先のいいスタートを切ったのかもしれない。らAFPによると、ピノー氏は声明の中で、そのお金は彼の家族の投資企業Artemisから出す、と言っている。それだけあれば、教会当局の手で「ノートルダムを完全に再建できる」と彼が願っている金額だそうだ。

ピノー氏はフランスのラグジュアリーグループKeringのオーナーであり、ここはGucci(グッチ)やSaint Laurent(サン・ローラン)などラグジュアリーブランドの持株会社だ。あまり知られていないのは、彼が少々ギークである、いやあったことだ。

彼は数年前に本誌TechCrunchのインタビューに応じ、コンピューターサイエンスが好きなことや、ソフトウェアデベロッパーとしてヒューレットパッカード社(Hewlett Packard)でインターンしたことなどを語った。そのとき彼は、Soft Computingの創業を支援したことも語った。それは彼の学生仲間であるEric Fischmeister氏とGilles Venturi氏が1984年にパリで立ち上げた企業だ。その会社はのちに上場し、昨年の12月にはその過半数株を大手広告企業Publicisに売った

その後積極的な慈善活動家であるピノー氏は、そのほかの世界の大富豪たちと違って、スタートアップの世界をほとんど避けてきたようだ。彼の数少ないスタートアップ投資の中には、ネットショッピングFancyの初期などがある。もっと最近では、昨年5月、ロサンゼルスのいわゆるスマートヘッドフォンのメーカーMuzikへの投資がある。上記Forbes誌の記事によると、そのときの投資総額7000万ドルの半分近くを、ピノー氏が出資した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グロービスが過去最大規模の375億円ファンド設立へ、投資戦略「First to Last」で最大50億円を1社に投資

グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーを務める今野穣氏(写真左)と同じく代表パートナーの高宮慎一氏(写真右)。

ベンチャー・キャピタル事業を行うグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)は4月16日、同社にとって過去最大となる約360億円を調達して第6号ファンドを設立したと発表した。同ファンドの最終クローズは2019年6月末を予定しており、最終的なファンド総額は375億円へとなる予定だ。第6号ファンドへの主な出資者は以下の通り。

  • ジャパンビンテージファンド2019
  • 日本政策投資銀行
  • 中小企業基盤整備機構
  • 東京海上アセットマネジメント
  • 損害保険ジャパン日本興亜
  • 三井住友銀行
  • 横浜銀行

GCPは1996年に5億4000万円の1号ファンドを設立後、これまでにメルカリ、グリー、ユーザーベース、アカツキなど日本を代表するスタートアップを輩出してきた。ファンド規模だけでみると、1999年に設立した第2号ファンドの約200億円が最大だったが、今回それを大きく上回る規模で新ファンドを立ち上げた。

ファンド規模の拡大について、GCPは「本質的な新市場創造および既存業界の変革を実現するためには、ユニコーンと言われる規模のスタートアップを継続的に生み出す必要・使命がある。しかし、ユニコーンを輩出するには、当該企業の資本効率を考慮したとしても、累計100億円程度の外部資本調達が必要になる」とコメント。そのため、同社は第6号ファンドの投資戦略として「First to Last」を掲げ、スタートアップのシード後期からプレIPOまでの資金調達をリードインベスターとしてサポートする。そして、GCPから上記の「累計100億円程度」の約半分となる50億円を一社に投資できる余力を整えた。

GCPが第6号ファンドの投資先として注目するのは、ITにより変革が期待される次なる新しい領域「Next Internet」と、AI、IoT、ブロックチェーンなどインターネットの次を担う新しい技術領域「Beyond Internet」の2つ。前者のNext Internetの例として挙げられるのが、GCPが2018年3月に出資した建設業界向けのクラウド型施工管理アプリを提供するオクト。これが第6号ファンドにとって第1号案件となっている。

ピッチデックで自滅しないために、やっちゃいけない3つの間違い

資金調達は、いつだってブラックボックスだ。好調な企業からすれば、そよ風のようなものかも知れないが、大抵の起業家はそのために眠れない夜を過ごす。私が初めて立ち上げたPursuit.comというスタートアップは、シード投資を獲得できたものの、信じられないほどキツかった(結局、Facebookに買収された)。DocSendは私の2番目のスタートアップだが、そこで私は資金調達のプロセスに関する多くのことを学んだ。自社の資金を集める方法だけではない。製品そのものが、特有な方法でピッチの大きな傾向を明らかにしてくれたのだ。

2014年以来、文書のトラッキングと共有を行う私たちのプラットフォームでは、10万人以上のユーザーが220万を超えるリンクを共有していて、2億2000万回の閲覧数を記録している。毎日、何千という会社創設者が未来の出資者を求めて資金調達のための資料を公開している。さらに、私たちの製品の多くのユーザーに、営業や事業開発やカスタマーサクセスの情報も発信している。こうした活動全般をよく理解したいと思った私たちは、ハーバードビジネススクールと長期の協力関係を結び、シードやシリーズAラウンドの投資を獲得を目指すスタートアップの、匿名化された資金調達に関するデータの分析を行ってきた。

私たちは、初期の分析結果を、「完璧なピッチデックの研究からの教訓」という記事(本文は英語)にして2015年にTechCrunchに掲載したが、今回は、その後の4年間のデータ(とユーザー数の大幅な増加)から判明した新しい情報をお伝えしたいと思う。

シード投資を獲得できたピッチデックと、獲得できなかったピッチデックとの違いは何か? 成功したピッチも失敗したピッチも、長さは平均18ページで変わりがない。違うのは、内容の組み立て方だ。投資家がその資料を読む時間も平均3.7分と変わらないが、成功したピッチと失敗したピッチとには共通して、時間をかけて読まれた箇所に違いがあった。ここに、避けるべき3つの過ちを詳しく解説しよう。

ピッチデックで「やるべき」大切なことについては、Extra Crunchの補足記事「Data tells us that investors love a good story」(有料会員向け記事)を読んでいただきたい。

間違い1:製品紹介から始めてはいけない

とくに技術系企業の創設者には、その製品がいかに画期的であるかを最初に説明したがる傾向がある。開発までにどれほどの時間がかかったか、どれほどの独自技術が積み重ねてきたか、そしてMVP(実用最小限の製品)の作り方を知っていることを力説する。

「失敗したピッチデックは、すべてが製品の話から始まっている。投資家は、成功したピッチデックと比較して、製品のスライドを読むのに4倍の時間をかけている」

よいことだと思うかも知れない。製品のスライドをじっくり見てくれているのだとね。だが、それは違う。データによれば、投資家は、その製品の価値と現在の市場のニーズとを照らし合わせ、その2つの間の明確な接点がなかなか掴めないために、詳しく見ているのだ。

また、ターゲットにした投資家は、ターゲットとなる消費者とは違う。スクリーンショットや製品の詳細は、彼らを混乱させるだけだ。では彼らは何を見ているのか?なぜ問題なのか?ほとんどの製品は生産が可能だ。むしろ彼らが答を知りたがっている疑問は、なぜこの製品が大きなビジネスを生み出すかだ。

ピッチデックの成功例と失敗例との閲覧時間(青が成功例、赤が失敗例)グラフ横軸(左から)企業の目的、チーム、製品、問題、解決策、ビジネスモデル、市場規模、なぜ今か、競争、決算、期首残高、会計報告DocSendより

間違い2:「Why」から始めていない

今では、サイモン・シネック氏がTedで話した「Whyで始めよ」の考え方が私たちの頭に浸透しているのに対して、失敗したピッチデックでは「なぜ今なのか」や「なぜ私たちなのか」といった疑問が最後に残されている。成功したピッチデックでは、企業の目的から始まり、なぜこのチームなのか、なぜこの製品を今出すべきなのかと続く。

「成功したピッチデックはすべて、企業の目的とその存在意義からスタートしている」

成功したピッチデックでは、投資家は「なぜ今か」と「なぜ私たちなのか」のスライドを平均27秒で見ているが、失敗したピッチデックでは62秒かかっている。ここから、投資家がチームやその能力の判断に、成功したピッチデックの場合よりも多くの時間をかけていることがわかる。この部分に時間をかけているということは、起業家の期待とは裏腹に、投資家はこのベンチャーに確信が持てずにいる証拠だ。ピッチを行う側は、「なぜ」のスライドに重点を置き、その流れを崩さず、なぜ今まで大きなビジネスになっていなかったのだろうと投資家に思わせることが大切だ。

「なぜ今か」と「なぜ私たちなのか」がスライドに登場した回数赤は失敗例(38.4パーセント)、青は成功例(61.6パーセント)DosSendより

間違い3:ストーリーがない

誰でも良い物語が大好きだ。投資家もその例に漏れない。成功したピッチデックはみな、面白いストーリーを含んでいて、それに合わせた語り口で話が進む。まず企業の目的から入り、彼らが立ち向かっている大きな問題、なぜ今でなければいけないのか、なぜ自分たちがその問題解決に取り組む最適な人材なのかと続く。失敗したピッチデックは、まず製品の話から入り、ビジネスモデル、競合の状況へと続く。成功したピッチデックでもこの話はしているが、かならず、直感的な理解をもたらす物語の延長線上にある。一方、失敗組には面白い物語がない。

「失敗したピッチデックでは、投資家は、製品、チーム、会計の説明を、平均で6分かけて読んでいる。成功したピッチデックでは2分だ」

また成功したピッチデックは、繰り返し訪れる回数が多い。失敗したピッチデックの2.3倍の再閲覧数がある。さらに、失敗したピッチデックよりも転送される数も多い。

トータル閲覧数グラフの横軸(左から)成功例、失敗例DocSendより

目的のほうが製品よりも大切

企業の創設当初は、起業家は実用最小限の製品(MVP)の構想を練り製作することに多くの時間を費やす。当然、投資家にピッチをしたくてたまらない気持ちになる。しかし、意外なことに、ビジネスの可能性、つまり「なぜ今か」「なぜ自分たちなのか」を上手に物語る前に製品を見せないほうがよいという結果がデータには表れている。この重要なポイントが投資家に伝わったらな、製品の詳細やロードマップをどんどん見せることができるが、製品から先に入ってはいけない。

この記事は、資金調達シリーズの第1弾だ。この補足記事を、Extra Crunchに掲載した(有料会員向け記事)。データが示すピッチデックでぜひやるべきことの話だ。今後は、シード、シリーズA、シリーズBの各ラウンドの違いや、会社が成長するに従って資金調達の方法がどう変わるかについて解説していきたいと思っている。次の記事では、他よりも多くの資金を獲得したピッチデックの秘密を解説する。それまで、最良の資金調達の方法に関して質問があれば、私たちのブログ、Twitterアカウント@rheddlestonまたは@docsendを利用してほしい。

【編集部注】筆者のRuss Heddlestonは、DocSendの共同創設者およびCEO。以前はスタートアップPursuit.comの買収にともないFacebookに移籍し、プロダクトマネージャーを務めた。Dropbox、Greystripe、Truliaでも活躍した。@rheddlestonまたは@docsendでフォローできる。

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(翻訳:金井哲夫)

GoogleのAI専門VCが機械学習のモデル開発を助けるLabelboxに投資

機械学習アプリケーションのためのデータセットを作り、管理し、メンテナンスするLabelboxが、新たな投資ラウンドで1000万ドルを調達した。

そのリード投資家Gradient Venturesは、GoogleのAI専門のベンチャーファンドだ。これに、前からの投資家Kleiner Perkins、First Round Capital、エンジェル投資家のSumon Sadhuが参加した。

Labelboxは、データのラベリングをアウトソーシングする過程を管理し、企業や団体に彼らが集めるデータを管理し、データのクォリティーを確保するためのツールキットを提供する。同社CEO Manu Sharma氏はそう説明してくれた。

CEOのSharmaとCTOのDan Rasmuson、そしてCOOのBrian RiegerらLabelboxのファウンダーたちにとっては、彼らが開発したツールは前に社員として勤めていたDroneDeployやPlanet Labs、Boeingなどで必要性を痛感していたサービスの実現だ。

今回得た資金は、社員を現在の11名から22名に増やして営業とマーケティングのチームを作ることに充てたい、という。

Labelboxの現在の顧客はおよそ50社で、課金は彼らがアップロードするデータの量と利用するサービスの種類に基づいて行われる、名前を挙げてもよい顧客は、FLIR Systems、Lytx、Airbus、Genius Sports、KeepTruckinなどだ。

Labelboxが昨年ステルスを脱したとき本誌も報じたように、同社のツールキットは誰でも無料で使える。利用量が一定の閾値を超えたときのみ、課金される。たとえばLytxは、ドライブレコーダーDriveCamのためにLabelboxを利用している。すでに50万台のトラックにインストールされているそのカメラはAIを使って危険運転を検出するので、その能力は訓練によってアップする。またメディアと出版の大手企業Conde Nastは、ランウェイ上のファッションを同社のコンテンツアーカイブにあるファッションと関連付けるためにLabelboxを利用している。

Sharma氏が声明文の中で言っている。「Labelboxはモデルの開発時間を大幅に減らし、データサイエンティストたちが自力ですばらしい機械学習アプリケーションを作れるようになる。新たな資金でデータラベリングのインフラストラクチャをさらに強化して、機械学習のチームに強力なオートメーションとコラボレーションとエンタープライズ級の機能を提供していきたい」。

Gradient Venturesはこの技術に投資したいと思うほどの関心を持ち、機械学習のツールの開発をグローバルにサポートしていける同社の能力に将来性を見出している。

Gradient VenturesのファウンダーでマネージングパートナーのAnna Patterson氏はこう言っている。「Labelboxは機械学習を製造業、運輸交通業、ヘルスケアなどさまざまな分野にわたって産業化していける位置にいる。そうすることによって同社は、AIのポテンシャルを全世界の企業に向けて開放するだろう」。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

デジタル資産の安全性を監視するExpanseが78億円を新たに調達

創業6年目でサンフランシスコを拠点とするExpanseが初期の投資家たちや有名な個人投資家たちから新たに7000万ドル(約78億円)を調達した。同社は「グローバルインターネット攻撃界面」と同社自身が呼ぶ場所を、顧客のために特定し監視する支援を行う企業だ。

以前からの投資家であるTPG GrowthがこのシリーズCラウンドを主導し、NEA、IVP、そしてFounders Fundといった以前からの投資家たちも参加した。しかし同社はまた、Founders Fundの共同創業者ピーター・ティール氏、マイケル・デル氏、元IBMのCEOサム・パルミジャーノ氏、メディア起業家アリアナ・ハフィントン氏、そしてTurner EnterpriseのCEOであるテイラー・グローバー氏らからも直接小切手を引き出した。

彼らはExpanseのどういう点に興味を引かれているのだろうか?(同社は以前Qadiumという名で知られていた)。まず第一に、寄せられている支持である。グローバルインターネットプロトコルアドレス(すなわち、コンピュータネットワークに接続されている各デバイスに割り当てられている数値ラベル)のインデックス作成を、他者よりも先に開始してしまえば、競合他社が追いつくのは困難だということが明らかになったのだ。

実際に、CVSやPayPalをはじめとする多数の大企業が、パブリックなインターネットに接続され広範囲に分散されたデジタル資産の管理を支援するために、現在同社のサービスとしてのソフトウェア(SaaS)を使用している。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のティム・ジュニオ氏によれば、Expanseは売上高を前年比で3倍、契約数で4倍にしつつある。その目標に向かって、現在100万ドル以上の契約にサインアップした10以上の顧客が居ると彼は語っている。「VCたちは、(年間経常収益が)100万ドルから1000万ドルになるまでにかかる時間を検討したがりますが、私たちの場合には22ヵ月かかりました。これは(現在は公開企業になったクラウドストレージの) Boxと同じくらいの早さです」。

その収益の多くはまた、国務省、国防総省、エネルギー省などはもちろん、米陸軍、米海軍、米空軍などを含む米国の連邦機関からも来ている。同社によれば、そうした機関がExpanseと結んだ契約は、まとめると1億ドル以上になるという。

ティール氏がこうした政府機関への導入に一定の役割を果たしたのかと尋ねてみたところ(ティール氏がドナルド・トランプ氏の大統領選で助言したことは有名である。そしてティール氏の主任スタッフだったマイケル・クラツィオス氏は現在米国のCTOを務めている)、ジュニオ氏はExpanseの投資家たちは全員顧客の紹介に協力的であり、あらゆる助言を惜しむことはなかったと語り、その中でもティール氏は同社のために特別な働きをしてくれたと答えた。

一方同社は、パッチが適用されていないIoTデバイスのような、ネットワーク上のセキュリティリスクを、顧客が特定できるように支援していることで知られてきたが、現在同社は、より費用のかかる隣接した問題の追求も行っている。例えば顧客の重要サプライヤーが脆弱性を取り込んでいないこと(商用クラウドプロバイダーや共用ホスティング設備を通したものも含む)を確認するといったものだ。

最終的に、Expanseが現在監視しているデータを集約したものを、売り始める日を想像するのは容易だ。おそらくは関連セクターごとの単位で。とはいえジュニオ氏はExpanseは現在「その方向には進んでいません」と語っている。今のところ、現在のビジネスを牽引している最大の力は、多くの安全ではない状況を生み出している、あらゆる種類の企業のデジタルトランスフォーメーションである。より多くのビジネスがクラウドに移行するにつれて、従業員たち(自社のあるいは合併で新規に加わった従業員たち)が、必ずしもポリシーを熟知していたり従ったりすることを期待できないという危険が発生する。そして機密データを許されていない場所に動かしてしまう危険も生じるのだ。

終わりの見えないこの流れがExpanseの勢いを説明するのに大いに役立つ。すでに同社は、サンフランシスコ、ワシントンDC、ニューヨーク、そしてアトランタの各オフィスに150人の従業員を擁している。その最新の投資ラウンド(このことでExpanseの総調達額は1億3500万ドルに達した)を受けて、同社はその運用を、既に行われている範囲を超えて広げていく計画も立てている。それらの市場には、英国、カナダ、オーストラリア、そして日本が含まれている。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

福岡スタートアップを支援するF Ventures、10億円規模の第2号ファンド立ち上げへ

写真中央がF Ventures代表の両角将太氏

福岡を拠点にスタートアップ投資を行うF Venturesは4月9日、2号ファンドを設立したと発表した。同ファンドは2019年12月に最終クローズする予定で、約10億円のファンド立ち上げを目指す。

F Venturesは、もともとサムライインキュベートのキャピタリストだった両角将太氏が2016年に立ち上げたファンドだ。自身の出身地でもある福岡のスタートアップを中心に、シード期での投資を得意としている。同氏はFFGベンチャーパートナーズなどから2億円を集め、2017年6月に第1号ファンドを設立。これまでに26社へのスタートアップへ出資をしている。ポートフォリオの一部はF VenturesのWebページから確認可能だ。

2号ファンドのLPはまだ明らかにされていないものの、「本拠地である福岡の地元企業に加え、在京大手企業、個人投資家など多様な投資家の皆様に参画いただく予定です」としている。第2号ファンドでは、これまで通りプレシードとシード期のスタートアップへ1社あたり500〜1500万円の投資を行っていくようだ。

また、F Venturesは上場企業のgooddaysホールディングスの子会社であるハブテックと連携し、投資先に対して「コワーキングスペース特別提供プログラム」を開始するとも発表。これにより、福岡のスタートアップが東京への出張中に都内のコワーキングスペースを特別価格(月1万5000円)で利用できたり、逆に東京のスタートアップが福岡のコワーキングスペースを利用するなどが可能とのこと。本プログラムについて、F Venturesは「拠点に縛られないスタートアップの新しい働き方をサポートして参ります」とコメントしている。

米国の保険スタートアップの2018年の資金調達は過去最高の2780億円

保険は地獄のようなややこしさだが、基本のビジネス部分は至ってシンプルだ。契約者にとっては、何か悪いことが起こった時に支払いを受ける手段であり、保険会社は災いを免れた人への課金で儲けを得る。

多くの大手保険会社が1世紀以上もビジネスを続けていることを考えれば、契約書を作成する側にとっては明らかに成功してきたビジネス手法だ。他の産業は変革の波にのまれてきたが、大手保険会社は大手として生き残り、収益をあげてきた。

しかし過去数年間、資金力のある新興スタートアップが保険にフォーカスした商品を拡大している。Crunchbaseデータによると、保険やインシュアテックの企業の2018年のベンチャー資金調達は空前の額となり、グローバルそして米国のトータル額は過去最高水準となった。かつて数億ドル規模だったベンチャー投資はいまでは数十億ドル規模となっている。

インシュアテックでもまた巨額の投資がある。既存のベンチャー企業がこの業界では活発だが、驚くことに投資の大半は、まさにスタートアップがディスラプトしようとしている保険大企業のコーポレートベンチャー部門からきている。

「私が思うに、結局、保険はグランドスラムの機会と見られている」とInsureTech Connectの会長で、ベンチャー企業QED Partnersの前設立パートナーCaribou Honig氏は語った。「ベンチャーコミュニティは、値段は安いものではないと言う。しかしチャンスを見つけられれば、そこには大きな可能性がある」。

下に、最近の投資データを参考までに示す。投資額や、どの企業が積極的に資金調達を行っているかが示されていて、そしてなぜエグジットがさほど多くみられないのかも推測できる。まず初めに保険ディールのコスト上昇について話そう。

人々は、保険額が数ドル上がると文句を言う。それは、保険スタートアップ投資家が対処せざるを得ないものに比べると何ほどのことでもない。引っ張りだこのスタートアップの評価額は右肩上がりで、ラウンドの規模も膨張する一方だ。結局、米国の保険・インシュアテックのスタートアップは2018年に25億ドル超を調達し、これは2017年の倍以上だ。一方、グローバルの投資は40億ドルに満たない。

下のチャートでは、米国におけるラウンドの回数と投資額の急増ぶりがわかる。

そして次は米国を含むグローバルマーケットの5年間のデータだ。

3、4年前にシード期の保険スタートアップの大きな波が起こったとHonig氏は指摘する。それが、平均的なラウンドの規模がかなり大きくなっている理由だ。そうした分野でホットな企業は急速に成熟していて、これまでになく大規模のレイターステージラウンドを模索している。

米国では、50社近くの保険・インシュアテックの企業が、巨額のものも含め1000億ドル超の資金を調達していた。最も大きなグローバル調達を行った企業のいくつかを下に挙げる。

コーポレート資金

立ち上げや部門拡大を図ろうとする保険会社のトレンドは数年前に始まり、加速を続けてきた。Crunchbaseのデータでは、スタートアップへの投資を行っているのは13の保険会社で、それらのほとんどは企業ベンチャー部隊を通じたものだ。全体的に、リストにある投資家はよりアクティブになっている。2018年にはわかっているだけで42の投資ラウンドに参加し、額にして計4億ドル出資した。

そうした動きを促進する要素もある。例えば先月、ドイツ大手保険会社Allianzはコーポレート・ベンチャー・キャピタル部門AllianzXの規模を当初の倍の11億ドルに拡大した。だからといって、検討の対象となる保険スタートアップが十分にあるだろうか?「必ずしもそうではない」と言うのはNew York Life Venturesを率いるJoel Albarella氏だ。というのも、New York Life Venturesや他のコーポレートVCが支援するディールの多くが保険に特化したスタートアップではないからだ。

たとえば、New York Life Venturesが最近手がけたディールのいくつかには禁煙プラットフォームのデベロッパーのCarrot、データ解析ソフトウェアスタートアップのTrifactaが含まれる。このコーポレートベンチャーファンドではまた、2年前にモバイルセキュリティのSkycureをSymantecに売却するという益の多いエグジットがあった。「こうした例はすべて、他の部門と同様にインターネットテクノロジーを保険に応用している」とAlbarella氏は語った。

Albarella氏はまた、インシュアテックが特にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)投資家にとってホットな分野になっていて、それに伴う評価額の上昇を懸念している。それは明らかにCVCが関わっているディールでプレミアムな価格となっている、とAlbarella氏は話した。そして資金は潤沢にある。

エグジット

保険スタートアップにいく資金について、そうした金はすべて表に出てくると考える人もいるかもしれない。しかし、少なくとも米国スタートアップに限ってはそうではない。

保険業界でテクノロジーを活用している数社は手堅いエグジットを確保した。しかしこれまでのところ、かなりの資金を調達しているピュアプレイ(Oscar HealthMetromileなど)のいずれもM&AやIPOのルートを取っていない。

現実世界に勧善懲悪を適用するなら、保険スタートアップの投資家たちは本当に悪いことが起こった後に儲けを手にすることになる。それですら、膨大な書類を提出し、何時間も待たされてからだ。

少なくともHonig氏は、より現実的なシナリオとしていくつかの本当に巨大なエグジットがあるだろう、とみている。しかし、おそらくそれらはこれから数四半期のうちにはない。当面、急成長中の保険にフォーカスしたスタートアップはプライベートマーケットで簡単に資金を確保できる。多くのケースでは、企業は自社のブランド構築に時間をかけて売上を上げ、IPOをする前に態勢を整えることを好む。M&Aはどうかといえば、大手保険スタートアップの買収はこれまでさほどなかった。Honig氏は「保険会社はまだ静観モードだ」とみている。

従って、私たちは明らかに保険ディールとはみられないスタートアップが関わっている大きなディールを目にしてきた。そうしたものの一つとして、Honig氏は昨年Amazonに10億ドルで買収されたドアベルメーカーのRingを挙げた。RingのIoTテクノロジーは家所有者向けの保険に応用がきく、とHonig氏は語った。そしてRingは投資家に保険会社のAmerican Familyを抱えている。

控除額を超える

さしあたり、インシュアテックのベンチャーへの投資家はほとんどそのまま残っていて、価値がこのまま大きくなることを願っている。もちろん、そうなるかはわからない。しかし、往々にして的を射ている保険に関するマーフィーの法則を記しておく。それは、損失が控除額を超えることはめったにない、ということだ。保険会社のエグジットの自然な結果は、投資した資金をほとんど超えないリターンということになるのかもしれない。

もちろん悲観論者は通常、ベンチャーキャピタルのディールとは距離を置いている。

イメージクレジット: Brian A Jackson / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook共同創業者が設立したVCが新ファンドの一次募集で約448億円を確保

Facebookの共同創業者のーEduardo Saverin氏のベンチャーキャピタルであるB Capitalが、2件目のファンドの一次募集を完了した。

先月FCCに提出された文書によると、同社は4.06億ドル(約448億円)の初期資金調達を完了した。文書には目標金額や参加LP(リミテッド・パートナー)の詳細は書かれていない。Saverin氏はFacebookの共同創業者として注目されたが、投資家に転身を果たしアジアに特に力を入れている。

B Capitalは比較的新しく参入し、この新ファンドは最終募集をまだ実施していない段階ですでに前回の募集金額を上回った。B Capitalの最初のファンドは今年2月に3.6億ドルを集め、コンサルティング会社のBCGが主要出資者として当初から加わっている。B Capitalは自らを、実業界と有望スタートアップをつなぐ架け橋であると説明しているが、これはBCGとの提携が重要な意味を持つ分野だ。

同社はSavarin氏が2011年に米国市民権を放棄して以来居住している東南アジアを拠点としているが、投資先は全世界が対象で、サンフランシスコ支社もある。金融サービス、保険、健康医療、工業、輸送、および「カスタマー・イネーブルメント」に焦点を当てている。これまでB Capitalは19社のスタートアップに出資しており、スクーターのBird、保険に特化したCXA(先月2500万ドル調達)、インドのフィンテック系のMSwipe(先週3000万ドルのラウンドを発表)、およびロジスティック系のNinjaVanなどに投資してきた。

Saverin氏は自身のファミリーファンドであるVelosを通じても投資しているが、B Capitalを設立してからは関与が少なくなっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WeWorkがオフィス管理プラットフォームのManaged by Qを買収

米国時間4月3日、WeWorkから名前を変えたThe We Companyが、ニューヨークに拠点を置くオフィス管理プラットフォームのManaged by Qを買収した。

金銭面の条件は明らかにされていない。ウォール・ストリートジャーナルによると、現金と株式による買収だという。従業員数500人のManaged by Qはそのまま独立した事業体として残り、CEOのDan Teran氏はWeWorkの経営陣に加わることになる。

PitchBookによれば、Managed by Qが1月に実施した直近の資金調達は2億4,900万ドル(約277億円)だったという。

Teran氏は声明で次のように述べている。

現実世界のオペレーティングシステムを構築するという私たちの意欲的なビジョンを現実のものにする取り組みをさらに進めるための、この素晴らしい機会に興奮している。WeWorkはワークプレイスのテクノロジーとサービスに投資するという独自の地位を築いている。WeWorkのチームとともに、顧客のためにさらに強力なプロダクトを開発し、我々が一体となったことで生じる将来性のもとで企業が限界を超えるためのグローバルなプラットフォームをつくることを楽しみにしている。

Managed by Qは2014年にオフィスの運営を変えることを目指して設立された。オフィスの管理者や意思決定者は、備品のストック、清掃、ITサポートなど仕事と直接関係のないタスクをManaged by Qのダッシュボードを使って管理できる。Managed by Qは自社のオペレーターと他社のベンダーやサービスプロバイダーを組み合わせて需要に応える。

特徴的なこととして、Managed by Qはほかの大半のロジスティック企業とは異なる方針を採ってきた。フリーランスの請負業者と契約するのではなく、従業員としてオペレーターを採用したのだ。しかも同社はオペレーターに対して株式の5%を還元するストックオプションプランを提供した。

Managed by QはGV、RRE、Kapor Capitaといった投資家からの投資によってスタートして以来、総額1億2,825万ドル(約143億円)を調達した。ウォール・ストリートジャーナルによれば同社は現在、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、ボストン、シリコンバレーで事業を展開し、今回の買収の後も積極的に拡大していく計画だという。

Managed by QはニューヨークのテックシーンとFuture of Workの分野で急速にビッグプレーヤーとして成長しただけでなく、この分野で興味深い競争と統合を促進してきた。同社自体も、NVS(オフィス空間プランニングとプロジェクトマネジメントサービス)やHivy(社員がオフィス管理者に必要なことを伝える社内用コミュニケーションツール)など、数社を買収してきた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

WeWorkがニューヨークのテック系クラブハウスに資金提供

ニューヨークのシードステージベンチャーキャピタルファンドであるBetaworksが運営するBetaworks Studiosが、WeWork(または最近の彼らの自称に従うなら「The We Company」)の支援を受けることになった。

JLL Spark Venturesとコワーキングの巨人であるWeWorkが共同で、起業家や開発者のためのサポートコミュニティである、会員制コワーキングクラブのBetaworks Studiosへの440万ドルの投資を主導したのだ。またBetaworks VenturesとBBG Venturesも、今回のBetaworks Studiosへの投資に参加した。BBGはかつてBetaworks Studiosのプレシードラウンドを主導した実績がある。

2018年に設立されたBetaworks Studiosは、起業家、アーティスト、エンジニア、およびクリエイティブパーソンたちに、WeWorkと同様に交流を促しプロジェクトの作業を行うことのできる場所を提供している。

これとは別に本日Betaworks Venturesは、7500万ドル規模の2度目の資金調達ラウンドを開始した。

2008年にJohn Borthwick氏によって創業されたBetaworksは、投資ファンドやアクセラレータを運営し、内部でGiphy、Digg、Bit.lyなどの企業をスピンアウトしている。Betaworks Studiosのアイデアは、Betaworksのリソースとネットワークを、より広い起業家コミュニティに拡大しようというものだった。

Borthwick氏は、Goopの元CFOであるDaphne Kwon氏を招き、会員に年間2400ドルまたは月に225ドルを課金するスタジオ部門を運営してきた。

Betaworksによれば、同社のスタジオは会議や講演イベントのためにこれまでに約1万1000人を動員したという。現在はニューヨークのミートパッキング地区で1か所のクラブを運営しているだけだが、調達した現金を使って追加のスタジオをオープンする予定である。

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(翻訳:sako)

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day2日目のスタートアップ88社(8)

米国時間3月19日は、Y Combinatorが開催した、2019年冬クラスの2日間のDemo Day後半だった。1日目は85以上のスタートアップがステージに上がりピッチを行った。2日目も同様に多数のピッチが行われた。

以下に、2日目に発表した全社と、そのプレゼンテーションに対する私たちのメモを紹介する。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 2日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)
・Part 2:パイオニアステージ(2)
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)
・Part 5:ミッションステージ(1)
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)
・Part 8:ミッションステージ(4)※この記事

ミッションステージ

AllSome
東南アジアのオンライン販売者のための仮想倉庫とフルフィルメントサービス。その仕組は以下のようなものだ。顧客は自らの在庫をAllSomeの倉庫に対して出荷する。そしてAllSomeは品質保証、保管、ラベリング、梱包および出荷を処理する。AllSomeの創業者は、同社の収益性は高いと述べている。

BearBuzz
BearBuzzは、インフルエンサーのための広告マーケットプレイスを構築している。これにより現在の面倒な交渉よりも、はるかに迅速にものごとを進めることができる。彼らは広告フォーマットを標準化しており、画像と音声認識を介してビデオ広告を自動的に検証することができる。チームは、これらのより迅速なコネクションを推進し、広告費用の25%を受け取ることで、より大きな売上を立てることを計画している。

Point
お得な報奨システムと優れたユーザーエクスペリエンスを備えたデビットカードを提供するデジタル銀行。同社は来月、バーチャルなデビットカードと当座預金口座で稼働を始める予定だ。

MyScoot
インドの都会に住むミレニアル世代が同社のプラットフォームを使ってホームイベントを開くことで、友人と出会える支援をしたいと考えている。ユーザーはサービスを検索し、イベントに出席するための支払いを行う。MyScootは、バックグラウンドチェック、ピアレビュー、および彼らが「社会的信頼スコアリングアルゴリズム」と呼んでいるものを通じて、参加者にとって安全なものであり続けるように努力している。彼らのアプリを通して1000以上の予約が行われてきた。ユーザーの60%が最初のイベントのあとでも再び利用している。

Memfault
組み込みハードウェア企業のエンジニア向けツールの開発者は、そのツールはモバイルエンジニア向けのツールと同じくらい優れていると言う。Memfaultは、デプロイ、モニター、そして解析に使用される。これまでのところ、彼らは4社の顧客から、毎月定期的に5500ドルの収益を上げている。

Board
住宅購入者が買いたい家を押さえられるように、全額現金オファーを行う住宅ローン会社。現金購入者は入札で勝つ確率が4倍高く、住宅ローンによる購入者と比較して物件の購入価格をしばしば何十万ドルも安く抑えることができる。彼らは世の中の80%を占める住宅ローンが必要な人々のための現金購入者となることを狙っている。人びとにそうした巨額なローンの承認を与えることで、ローンの2%を請求する。

Portal Entryways
車椅子利用者のためにドアを自動的に開き、通過するまでそれを開いたままにする。既存のアクセシビリティボタンの多くは手の届かない場所にあるか、またはあまりにもドアから遠すぎて役に立たない。Portalは利用者の電話にインストールされたアプリを使って、こうした既存のボタンを制御して(Portalによって変更されたハードウェアである)、実質的にそのボタンを押した効果を得ることができる。大学やショッピングモールのように、ドアがたくさんある公共の場所に最初は焦点を合わせている。TechCrunchでもPortal Entrywaysについて記事を書いている

Blueberry Medical
家庭に即座に医療を提供する、小児遠隔医療会社。コンスタントな連絡、小児科医との24時間365日の対話、自宅での検査キットなどを合計月8ドルで提供する。彼らは有料の消費者向けパイロットプログラムを終了したばかりで、直接患者と会わなくても84%の問題は解決することができたと述べている。彼らはERへの訪問回数を減らすために、保険会社と提携した。

Maitian.ai
次世代の自動販売機を開発している。それを使うことでホテルのミニバー冷蔵庫の記録が自動的に行われ、平均的な自動販売機よりはより親しみやすいやり方で食品を販売することも可能にする。ユーザーは自分のクレジットカードをスワイプして、自動販売機の扉を開き欲しいものを選ぶ。チームは東南アジアに焦点を当てており、2カ所でローンチを行った。

Emi Labs
人事部の担当者のために、低スキル労働者の採用プロセスを自動化する仮想アシスタントを開発している。このスタートアップはBurger KingとPwCを顧客として抱えているが、その市場規模は24億ドルと見積もられている。AIを使用して採用プロセスをパーソナライズすることで候補者の体験も向上させる。

Latchel
施設管理者のための保守プラットフォームを開発している。保守要求を受け付け、問題を解決するために請負業者を派遣することで施設管理者の時間を解放する。施設管理者に対して1施設あたり1カ月で最大10ドルを課金する。また請負業者が仕事を引き受けた際には10%の紹介料を請求する。

Alpaca
従来のソフトウェアに代わる無料株取引のためのAPIを開発している。創業者たちによれば、Alpacaの手数料なしの株取引APIは、開発者を理解している最初で唯一のブローカーディーラーである。そして顧客はリアルタイムマーケットデータを無料で扱うシステムを開発し取引を行うことができる。

Y Combinatorの2019年冬のDemo Day初日の有望スタートアップ10社

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(翻訳:sako)

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