化粧品ECのスタートアップ「NOIN」が総額8億円調達、メーカーへCRM解放へ

化粧品のECプラットフォーム「NOIN」を運営するノインは7月8日、DGインキュベーション、STRIVE、500 Startups Japan、みずほキャピタル、DK Gate、AGキャピタルなどから約8億円の資金調達(払込予定分を含む)を発表した。

今回の調達ともない、リードインベスターであるDGインキュベーションの上原健嗣氏が社外取締役に就任する。なお、3月にはGunosyで執行役員を務めていた千葉久義氏が取締役に就任している。

写真に向かって左から、DGインキュベーションの上原健嗣氏、ノインで社長を務める渡部賢氏、同社取締役の千葉久義氏、STRIVEの堤達生氏

経済産業省の調査「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、化粧品のオンラインでの購入率は約6%とオンラインストアが普及している現在でも未成熟な市場。同社は、オンラインストアと化粧品のミスマッチを解消するために化粧品ECプラットフォーム「NOIN」を立ち上げた。メディアとしての側面もあり、化粧品の購入だけでなく、メイク術や悩み解決といった記事をテキストや動画で手に入れることもできる。

今回の資金調達では、人材採用や育成、NOINのブランディングおよび認知拡大を目的としたプロモーションを強化。同時に、連携する化粧品メーカー各社への購買データ展開、CRMツールの解放など実施する予定だ。

今回の資金調達についてTechCrunchは以下の質問について同社から回答を得た。

——化粧品はやはり試してみないとなかなか購入につながらないと思うのですが、オンライン購入率を向上させる施策があれば教えてください。

実際に試すという点においては、店舗でテスターを用いて試せるものは数としては限られています。また、試すにあたっても直接顔につけるというよりも手元での色みやテクスチャーの確認というものが多いかと思います。当社では商品詳細のコンテンツに力を入れており、商品イメージの写真やタッチアップした際のスウォッチ画像、記事コンテンツ、動画コンテンツと1つの商品に対してのコンテンツがかなり充実しています。実際、商品詳細コンテンツを充実させた商品の売れ行きはないものと比較すると購入率は大きく違います。コンテンツのカバー率も高まっており、店頭よりもカバーできている商品は多いです。

また、ユーザーの平均年齢は25.8歳とかなり若いですが、1回あたりの購入単価が4000円を超えるほど高くなっています。当初は2000〜2500円程度を予想していましたが、かなり購入単価が高めです。コンテンツを通じてよいものであるという理解が深まると購入意欲も引き上げられるのだと考えています。

——ほかのコスメ系ECと差別化できるポイントを教えてください。

取り組み先のメーカー、ブランドに対して販売データを提供している点は差別化ポイントと考えています。アプリに溜まってきている「ユーザーがどのような商品と比較検討の末、その商品を購入したのか」「一緒に購入される商品にはどのような傾向があるのか」など、ブランドのマーケティング活動に有益となるデータをメーカーやブランドと共有しています。

「ブランドの商品をお気に入り登録しているユーザー」「過去購入経験のあるユーザー」というようなセグメントを切り、そこに対して各ブランドのCRMのツールとして使ってもらえるような機能提供も考えており、こちらも差別化ポイントとなるのではないかと思います。

——今回の資金調達で採用を強化するとのことですが、具体的なポジションや職種などあれば教えてください。

エンジニア採用を強化します。ユーザーの手元に届いて使ってもらうまでが我々のプロダクトでの体験だと考えているので、CSやロジスティクスの体制に関しては最重要と捉えています。多量の受注を受けても迅速にお客様に商品をお届けできるよう、ピッキングや配送などの倉庫管理のアプリケーションを完全に内製で開発しているほか、CS部門をツールを含めて充実させることにより、トラブルの際には利用者の問い合わせに対し、社内の配送データなども使って迅速なトラブル解決ができるフローを整えています。加えてメーカーに渡すマーケティングデータの解析ツールの開発も行わなければなりません。

――今回の資金調達で強化する、プロモーションについて具体的に決まっていることがあれば教えてください。

CMなどの大型のプロモーションも次の施策として進めていきます。リアルの場でのユーザー接点も重要と考えており、夏フェスのようなリアルなイベントへの協賛も行っていく予定です。プロモーション以外の資金使途としては 、化粧品メーカー・ブランド向けのマーケティングデータの解析ツールやCRMツールの開発に当てていこうと思っています。

――今回の資金調達で強化する、ブランディングついて具体的に決まっていることがあれば教えてください。オリジナルブランドなども検討されていますか?

オリジナルの商品に関しては検討していますが、完全にオリジナルということではなく、メーカーやアーティストと一緒に新しい商品やブランドを立ち上げていくという方向性で考えています。現在進行中のものとしては、ヘアメイクアップアーティストと一緒にヘアオイルの開発を進めているところです。

——新たにCOOに就任された千葉氏は、どのような組織改革を進められる方針ですか。

ノインはこれまでCEOの渡部を中心として対ユーザーに全力で向かい合い、toC向けのプロダクトを磨き上げるという方向に関しては素晴らしいものがあると思っています。一方でパートナーであるコスメブランドやメーカーとの関係構築はこれからの課題です。toBでのパートナーの課題解決ができる組織にしていきたいです。組織全体としては、やはりプロダクトや各種施策に対しての数値感覚の強い人を一人でも多く育てていきたいです。

ドローン関連スタートアップ支援の「Drone Fund 2号」が52億円調達

ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンドであるDrone Fund 2号(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は5月7日、新たな投資家を迎えて総額52億円を調達したことを発表した。

Drone Fund 2号の出資者としては、同1号ファンドから継続のMistletoe Venture Partners、オークファン、DGインキュベーション、日本アジアグループ、キャナルベンチャーズ、FFGベンチャービジネスパートナーズ、リバネス、その他複数のエンジェル投資家。

2号ファンドからは、小橋工業、みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI、電通、セガサミーホールディングス、松竹、KSK Angel Fund、その他複数のエンジェル投資家が出資していた。

今回新たに、西部ガス、GMOインターネット、オリックス、日本郵政キャピタル、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、エン・ジャパン、エイベックスの8社が加わり。総額52億円となった。

Drone Fund2号は、すでに新規で7社に投資中だ。具体的には、農業用ドローンを開発するナイルワークス、空飛ぶ車を研究・開発するSkyDrive、個人用飛行装置(エア・モビリティ)を設計・開発するテトラ・アビエーション、京大初のベンチャーのメトロウェザーなどの国内スタートアップのほか、米国やマレーシア、ノルウェーなどの企業へ投資している。1号ファンドを加えると投資先は29社になるとのこと。また、2号ファンドから出資を始めた小橋工業は、TechCrunch Tokyo 2018のファイナリストであるエアロネクストが開発したドローンの商品化・量産化を支援している。