最初のFacebook Home組み込みスマートフォン、HTC FirstにAT&Tが販売終了との噂

HTCのFacebook Homeを組み込みんだAndroidスマートフォン、FirstがAT&Tからデビューしたのは先月のことだが、早くも製品として大失敗という声が上がっている。BGRのZach Epsteinによれば、HTC Firstの売れ行きがあまりに不振なため、AT&Tは近く販売を中止し、売れ残りはHTCに返品することを決めたという。

この報道が事実なら(AT&T、HTC、Facebookに確認を求めたが、本稿執筆時点ではいずれも回答なし)、AT&Tは「契約上の義務を果たすために」今後一定期間はFirstの店頭展示を続けるが、その後は販売を中止するという。

しかしいったいFirstはどのくらい不振なのだろう? Epsteinは「HTC Status(ChaCha)の発売後1月時点と比較してもさらに売れ行きが悪い」とツイートしている。ちなみにStatusというのはHTCの最初のFacebook携帯の試みだ。ブラックベリー風のデザインで、QWERTYキーボードの下にFacebookサイトを呼び出す専用ボタンがついている。一方、Facebook HomeのAndroidアプリはFirstよりいっそう出来が悪く、その悪評がFirstの足を引っ張っている面もある。いずれにしても決して満足できる状況にないのは確かだ。

もしAT&TがFirstの販売を中止するようなことになると、他国での販売計画にも影響が出そうだ。HTCのCEO、Peter ChouはFacebook Homeの発表イベントで、フランスのOrangeとイギリスのEEからこの夏発売されると述べていた。

率直に言えば、Firstがスマートフォン・ユーザーから熱狂的支持を受けていないと聞いてもあまり驚きは感じない。先週、AT&TはFirstの価格を99ドルからわずか0.99ドルに大幅値下げした。発表後1月しか経っていない新製品にしては異例の動きに「売れ行きが相当悪いのだろう」という声が上がった。さてFirstの不振の原因はハードウェアとして凡庸だったところにあるのか、それともFacebook Homeにあるのか?  ユーザーも専門家もそろってFacebookの独自ランチャー、Homeへの興味を失いつつある現状を考えると、原因は後者だと考えざるをえない。

この情報の真偽については現在さらに確認の努力を続けている。ただAT&Tが「販売を中止する」という噂が流れたStatusの販売がまだ続いている例もあるのでFirstの運命も予断を許さない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook <A


最初のFacebook Home組み込みスマートフォン、HTC FirstにAT&Tが販売終了との噂

HTCのFacebook Homeを組み込みんだAndroidスマートフォン、FirstがAT&Tからデビューしたのは先月のことだが、早くも製品として大失敗という声が上がっている。BGRのZach Epsteinによれば、HTC Firstの売れ行きがあまりに不振なため、AT&Tは近く販売を中止し、売れ残りはHTCに返品することを決めたという。

この報道が事実なら(AT&T、HTC、Facebookに確認を求めたが、本稿執筆時点ではいずれも回答なし)、AT&Tは「契約上の義務を果たすために」今後一定期間はFirstの店頭展示を続けるが、その後は販売を中止するという。

しかしいったいFirstはどのくらい不振なのだろう? Epsteinは「HTC Status(ChaCha)の発売後1月時点と比較してもさらに売れ行きが悪い」とツイートしている。ちなみにStatusというのはHTCの最初のFacebook携帯の試みだ。ブラックベリー風のデザインで、QWERTYキーボードの下にFacebookサイトを呼び出す専用ボタンがついている。一方、Facebook HomeのAndroidアプリはFirstよりいっそう出来が悪く、その悪評がFirstの足を引っ張っている面もある。いずれにしても決して満足できる状況にないのは確かだ。

もしAT&TがFirstの販売を中止するようなことになると、他国での販売計画にも影響が出そうだ。HTCのCEO、Peter ChouはFacebook Homeの発表イベントで、フランスのOrangeとイギリスのEEからこの夏発売されると述べていた。

率直に言えば、Firstがスマートフォン・ユーザーから熱狂的支持を受けていないと聞いてもあまり驚きは感じない。先週、AT&TはFirstの価格を99ドルからわずか0.99ドルに大幅値下げした。発表後1月しか経っていない新製品にしては異例の動きに「売れ行きが相当悪いのだろう」という声が上がった。さてFirstの不振の原因はハードウェアとして凡庸だったところにあるのか、それともFacebook Homeにあるのか?  ユーザーも専門家もそろってFacebookの独自ランチャー、Homeへの興味を失いつつある現状を考えると、原因は後者だと考えざるをえない。

この情報の真偽については現在さらに確認の努力を続けている。ただAT&Tが「販売を中止する」という噂が流れたStatusの販売がまだ続いている例もあるのでFirstの運命も予断を許さない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook <A


FacebookのiPhoneカルチャーが、HomeのAndroidへの過激な侵入を生んだ

Facebookは、Androidユーザーにとってウィジェットやドックやアプリフォルダーがいかに重要かを認識せず、それらをHomeに入れないという大きな過ちを犯した。その理由は、HomeをテストしたFacebook社員の一部がふだんはiPhoneを持ち歩いていたからであることを確認した。”droidfooding”[Anroidを無償配布してテストさせること]の不足によってFacebookはこれらの機能を追加しそこない、その結果Homeは提供以来1ヵ月でわずかに100万ダウンロードだ。

11月にも書いたように、Facebookはより多くの社員に “droidfooding”を行おうとしている。問題は、Facebookが何年も前から社員にiPhoneを渡してきたことだ。Facebook社員はAndroid端末をリクエストすることもできるが、言わなければAppleの電話機が渡されるのが普通だ。それはFacebookユーザーの間でiPhoneのシェアの方が大きかった1年前には危険ではなかったが、その後Anrdoidが爆発的に増えてリードを奪った。もしFacebookが最大のオーディエンスにリーチしたいのであれば、社員をGoogleモバイルOSと共に生活させる必要がある。

“droidfooder”の不足は、Facebookの新しい “apperating system” であるHomeが登場するまで深刻な問題ではなかった。HomeはAndroidのロック画面とホーム画面とアプリランチャーを、facebook中心の体験で置き換える。Homeは、端末のスリープを解除した直後に、ニュースフィードを閲覧するための大きくて美しい「カバーフィード」を表示する。そこには、リアルタイム情報のウィジェットを作ったり、よく使うアプリを常に見えているドックに置いたり、アプリをフォルダーにまとめたりする機能はない。

初めてHomeを使ってみた時、私はカバーフィードとチャットヘッドに感動したが、Androidのパーソナル化が失われたことには動揺しなかった。それは、私がiPhoneユーザーだからだ。

iPhoneにはそもそもウィジェットがないので、何が足りないかも実はわからなかった。私は “Facebook Phone” ことHTC Firstの新品貸し出し機でHomeを使った。自分のiOSドックやフォルダーをAndroidに移行できるなどとは期待しなかった。自分の体験がいく分「非パーソナル化」されることを受け容れた。私はうぶであった。

本当の問題は、Facebookの開発者たちも同じようにうぶだったことだ。私が話をした社員たちは、iPhoneユーザーにHomeをテストさせたために、Facebookは人々のウィジェットやドックやフォルダーを置き換えることがいかに問題であるかを見落したことを認めた。一般的なアプリと異なり、新しいAndroid端末を社員に渡してテストするだけでは不十分だ。必要なのは長期間の熱心なAndroidユーザーだった。Facebookは望むほど多くの人数を社内に持っていない。

先週木曜日(5/9)にFacebook本社で、技術担当VPのCory Ondrejkaと、製品ディレクターのAdam Mosseriは、これがHomeの致命的欠陥であることを認めた。それは人々がダウンロードしてアクティブにHomeを利用するのをためらう理由であり、Google PlayストアでHomeの評価が星1つや2つになることに繋がっている。こうしたレビューに加え、自分のパーソナライズしたAndroidランチャーを手放したくないという人々の思いが、Facebook Homeをランキングのはるか彼方と追いやっている。Sarah Perezが昨日詳しく報じたように、Homeがトップ100アプリから外れたことを複数の分析会社が伝えている。

「Homeにドックがないことは問題だというフィードバックを数多くもらっている」とOndrejkaは言った。そこでFacebookは、月例アップデートの最初の何回かは、Homeのステータスエディターを改善したり広告で収益化を始めるのではなく、考えを改めた。Homeを「ロック画面とホーム画面を置き換えるもの」であると売り込むのをやめ、代わりにFacebookはこれを、既存スマートフォンに被せた薄いレイヤーであると言ってトーンを下げた。

そのためにまず、ユーザーが他のアプリをアクセスする方法を正確に示した、もっと詳細な新規ユーザー体験を提供する。次に右の写真にあるような「ドック」を導入する。ユーザーは最近もっともよく使ったアプリ4本をここにインポートできる。Mosseriは私に、facebookはユーザーがAndroidをカスタマイズした作業をHomeのために犠牲にしてほしくないと考えていると言った。最終的にFacebookは、アプリをフォルダー化するシステムやHomeにフォルダーをインポートする機能や、ウィジェットを表示する方法などを追加するだろう。

「あなたの古いランチャーからあなたの新しいランチャーへの移行をスムーズにしたかった」と計画している変更についてMoserriは語った。Facebookは、Homeを公開する前にそれが最優先であることを知り得たはずだが、同社のiPhoneカルチャーは、そこで声を上げる者が誰もいないことを意味している。

Homeには大きな可能性がある。弱点を受け入れてHomeに落ち着いた人々は、Facebookで過ごす時間が25%増えている。しかし、ダウンロード数は100万以下で停滞しており、そのAndroidへの過激な浸入は人々を追いやり、アクティブユーザーはずっと少ないはずだ。

これ以上明白なことはない。もしFacebookが、1 Hacker Wayの本社ビルでもっと多くのポケットにAndroidを入れられなければ、これからもモバイルでつまづき続けることになる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


オンタイム学習プラットフォームのマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズなどから3,800万円の資金を調達

主に中高生を対象としたオンタイム学習プラットフォームmana.boを運営するマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズ(以下、CAV)などから3,800万円の資金調達を実施した。mana.boは昨年、KDDI∞Laboの第3期採択チームとしてインキュベーション・プログラムに参加、Infinity Ventures Summit 2012 FallのLaunch Padに出場したため、すでにご存知の方も多いかもしれない。

このサービスは生徒がわからない問題に直面した際に「いま聞けて、すぐに理解る」ことを目指している学習プラットフォームである。マナボのCEO三橋克二氏は予備校で7年間ほど講師を務めていたそうだが、その時に生徒から数式や図の写真がメールで送られてきて、答えを教えて欲しいと頼まれることが多かったそうだ。だが、英語などの科目は電話やメールで回答できるものの、数学や物理の問題は複雑な計算式、図を多く用いることがあり、解説が困難だったという。

mana.boでは講師がタブレット端末などを使い、画面に数式や図を書き込むと、生徒が保持している端末にもリアルタイムで反映され、上記のような問題を解決できるそうだ(記事下部にムービーを埋め込んでおいた)。

実際にデモを見せてもらったが、書き込んだ数字を認識する精度は高く、生徒・講師間でのタイムラグもあまり無くスムーズに講義が進められるように感じた。

生徒と講師がやり取りした共有画面はデジタルデータとして保存、エクスポートもできるため、復習も簡単だ。さらには、自分の復習用としてではなく、他のユーザーにも共有することで授業を使い回すことも可能となる。

収益化に関しては、mana.bo上で生徒と講師を集め、指導料の数十パーセントを手数料として取る他に、塾や予備校に導入してもらいアカウント数に応じて利用料金を徴収するそうだ。現在mana.boはクローズドβとして運用されているが、すでに「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」で有名なベネッセがトライアルを行っている。

一般公開に関してはプラットフォーム上に十分な講師を留保できた段階でするそうだ。

なお、今回マナボに出資したサイバーエージェント・ベンチャーズは子供向けアプリのキンダーパンを提供するファンタムスティックや、本誌でも取り上げたオンライン英会話のBest Teacherといった教育系スタートアップにも出資している。


Microsoft曰く: Google Docsは仕事の生産性が落ちる危険なギャンブル

Bing、Scroogledと来て、Microsoftによる次のGoogle毀損キャンペーンはGoogle Docsに対する攻撃だ。MicrosoftのOffice担当シニアプロダクトマネージャJake Zborowskiが今日(米国時間5/10)、Docsを貶めるブログ記事をなんと二つもポストした。ひとつはドキュメントの正確さを問題にし、もう一つはユーザたちの証言をもとに、Google Docsは完成度が低いと論じている。

今週の初めにOffice 365担当のマーケティング部長Michael Atallaとチャットしたときには、その中で実際に”Google”の名前が言及されることはほとんどなかった。しかしZborowskiの場合は、藪をつつかなくても蛇がぞろぞろ出てくる。“OfficeのファイルをGoogle Appsに変換することはギャンブルだ”、と彼は書いている。“Microsoft OfficeとMicrosoft Office Web Appsを使えばOfficeのファイルを安全に作成し共有し編集できるのに、なぜOfficeファイルをGoogle Docsに変換するというギャンブルを冒すのか”。

Microsoftは、Webだけでなくタブレット上でもそうだ。と主張する。GoogleのタブレットアプリQuickofficeは、文書の変換をけっこううまくやってくれるが、しかしもちろん、Microsoftが示す例では違う(下図)。

では、最新のChromeドキュメントビューワはどうだろう? Zborowskiに言わせると、これも危険なギャンブルだ: “Googleが提供する最新のギャンブルは、同社のファイルビューワでMicrosoft Officeの文書を見ることだ。しかしこれすらも、リスクの大きすぎるギャンブルだろう”。

ブログ記事に添付されているビデオの中では、登場人物が、Docsにスイッチしたために昇進の機会を失っている:

二つ目の記事”Office is a team player”(Officeはチームプレーヤー)でZborowskiは、Google Docsには多くの重要な機能がどれもない、と主張している。何人かのMicrosoft Officeユーザが、彼に代わって証言している:

Officeはバージョンアップのたびに便利な機能がいくつも加わる。その中には2010年のペーストオプションのようなささやかなものもあれば、ExcelのFlash FillQuick Analysis のような重要な省力省時間機能もある。Officeは機能がとても充実しているので、仕事の生産性が高い。対してGoogle Docsでは、いろんなことを自分で工夫して実現しなければならない。時間もかかるし、ときにはそのためにサードパーティ製のツールを見つけなければならないこともある。

“Google AppsからOffice 365に切り替えたことによって、社員たちの自発的な協働体制が実現した。会社のどの部門でも、良い結果が得られている”[続きを読む]

– Andy Springer, Director, Rookie Recruits

これらと並行してMicrosoftが立ち上げたwhymicrosoft.comには、もっと多くの証言やスクリーンショットなどがある。これらのブログ記事を読んでもまだGoogle Docsへの乗り換えを検討している人たちに、とどめを刺すためだ。

この第二のブログ記事には、こんなビデオがある:

これらのGoogle Docs/Driveやっつけ作戦は、もちろんGoogle I/Oというタイミングをねらっている。とくにQuickofficeは、Microsoft Web Appsの強力な代替製品のベースになる重要なプロダクトだ。今は確かに、Microsoftが言うように、機能はMWAの方がGoogleのツールよりも充実している。しかし来週の水曜日(Google I/O)には、ベースであるQuickofficeの上に乗るものが、いろいろ発表されるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS用風速計からスタートしたShakaが世界最小のウェザーステーションを目指す

昨日(米国時間5/8)本誌に載ったWeatherSignalは、ロンドンのOpenSignalのプロジェクトで、Samsung Galaxy S4など最新のスマートフォンのセンサーを利用してお天気情報をクラウドソースする。その記事を見て思い出したのが、エストニアのShakaが作ったiOS用の風速計だった。

来月発売されるShaka Wind Meter(Shaka風速計)は、電池不要でiPhoneやiPod touchやiPadのヘッドホン端子に挿入して使う。Appleのハードウェアにすでにあるセンサーと、同社のアプリおよびサービスを使って風関連のデータ…現在の風速、平均風速、最大風速、気温、風向など…を測定、記録、および表示し、GPSにより位置に結びつける。

最初の開発意図は、ウィンドサーフィンやカイトサーフィンなど風が重要なスポーツで風の状態を知ることだった。Shakaの協同ファウンダRaigo Raamatは、“天気予報はあてにならないし、またその対象地域が不適切だ。むしろ今いる場所で風の状態が良くなったら、そのことを簡単に仲間と共有できる方法が欲しかったんだ”。

でも、あと二人の協同ファウンダ…Jens KasemetsとMihkel Güsson…らとともに2011年にプロジェクトをスタートさせると、スマートフォンやタブレットを利用する、そしてインターネットにも接続できる“ミニ気象観測ステーション”には、もっと多方面の需要やニーズがあることがすぐに分かった。プライベートな用途もあれば、社会的な目的もある。リアルタイムでクラウドソースなお天気データであることが魅力だ。大学、農業、消防救急サービス、ゴルファー、モータースポーツなどなど、分野も幅広い。“抱えている問題はそれぞれ違うけど、共通しているのは現場の天候情報を知りたい、ということだ”、とRaamatは言う。

というわけでShakaのプロジェクトは、単なる風速計を超えて、でっかくなった。ハードウェア専門のアクセラレータでシード投資家でもあるHAXLR8R出身のShakaは、Raamatの言葉を借りると、世界最小のウェザーステーション(気象観測所)を目指すことになった。そのためには、気圧や湿度用のセンサーを加えないといけないし、Androidにも対応するつもりだ”、と彼は言う。携帯型のウェザーステーションは前からあるが、高価だしインターネットに接続できない…それらをディスラプトすることが、Shakaの究極の目標だ。

今はハードウェアだけが有料でアプリは無料だが、将来的には有料のサービスも提供していく。またいろんな専門分野のアプリからShakaを利用したいというパートナーも、大歓迎だ。

〔関連記事: もう一つのスマホ風速計。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Salesforce、ウェブクリッピング機能を提供するClipboardを1200万ドルで買収。サービスは6月末に停止予定

「買収に伴うサービス終了」の「当たり日」というのがあるのだろうか。Yahoo!からはMileWiseおよびGoPollGoを買収するという発表があった。いずれも、サービスは停止することになるのだそうだ。そして今度はClipboardも買収されてサービスを停止するとアナウンスした。Clipboardというのはブックマークレット経由でウェブページのクリッピングを行うサービスで、以前TechCrunchでも記事(英文)を掲載している。

(訳注:本記事訳者は当初Snip.itを使っていてこちらがYahooに買収されてサービス停止。そして乗り換えたclipboardもサービス停止で、少々困っています)。

Clipboardの利用者には、Salesforceに買収されることとなり、1ヵ月ほどでサービスを停止する旨のメールが届いているはずだ。

[情報開示:TechCrunchのファウンダーであるMichael Arringtonが率いるベンチャーキャピタルのCrunchFundはClipboardに出資していた。ArringtonおよびCrunchFundに関連する人物から、今回の買収についての情報が予めもたらされるということはなかった。念のため記しておく]

買収の条件などはまだ明らかにされていないが、千万ドル単位であるとの噂が聞こえてきている(UPDATE:かなり信頼性の高い情報筋から得た情報によると、買収価格は1200万ドルであるとのことだ)。ClipboardはこれまでにAndreessen Horowitz、Index Ventures、CrunchFund、SV Angel、Betaworks、DFJ、First Roundなどから250万ドルの資金を調達している。

Clipboardはなかなか便利なサービスだ。否、すでに過去形で語っておくべきなのかもしれない。Pinterest、Snip.it等、さまざまなウェブクリッピング系サービスと同様に2010年から2011年にかけての時期に登場してきた。閲覧しているウェブから気になった部分を切り抜いて(クリップ)、自分で指定したジャンル毎にしまっておいて後に見直すことができるようになっていた。またクリッピングした情報にはコメントをつけたり、あるいは共有することもできるようになっていた。PinterestやEvernoteなどの大人気サービスと類似のサービスを提供していたとも言えるわけだが、そこに埋没してしまうのではなく、多くの利用者を集めて成長していた。

買収前の発表によると、利用者は10万人に達しており、月間成長率は40%程度であったようだ。2011年10月にプライベートベータとしてサービスを開始して以来、2012年1月には登録クリップ数が170万を超えたとアナウンスしていた。

Clipboardは教育分野への展開も考えていたようで、年初には教育系テック企業であるScientiaから戦略投資の提供も受けていた。いろいろと展開の可能性もあったわけだが、今回の買収により、2013年6月30日をもってサービス本体を停止することになった。もちろん教育分野への進出という案もなくなってしまったことになる。

送られてきたメールにはClipboardチームの今後について触れられていない。しかしFAQページにはいろいろと詳細が記されている。すなわちCEOのGary FlakeはSalesforceのエンジニアリング部門VPとなり、デザインおよびエンジニアリングチームの多くはSalesforceのシアトルオフィスにて、Gary Flakeとともに作業を続けるのだそうだ。

サービス停止となる6月末までの間、エクスポートツールを使って、データを抽出することができるようになっている。6月30日を迎えれば収集したデータは昇天することとなる(削除される)。

利用者に送られたメールを掲載しておこう(英文):

Hi [user],

We have some bittersweet news. We are extremely happy to announce that salesforce.com has signed an agreement to acquire Clipboard, allowing us to pursue our mission of saving and sharing the Web on a much larger scale. But at the same time we’re also sad to see this stage of our adventure come to an end, especially since it means that our relationship with you, our users, will irreversibly change. The Clipboard service at clipboard.com will be discontinued on June 30, 2013.

But we have your backs. If you want it, all of your data will be preserved into a personal archive from which you can view your clips and boards offline. And if you want your clips destroyed, we can handle that as well. All of the details for what comes next are in the FAQ and some more personal reflections are on our blog.

In nearly two years, 140,000 of you created nearly 3 million clips while over a million of you interacted with them. Thank you for joining us on this journey. We will dearly miss seeing all of you on Clipboard, but we hope you’ll support us in the next leg of our journey.

Best,
The Clipboard Team

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


3Dプリント銃のブループリントの削除を国務省が要請

早い決断だね: 合衆国国務省は、3Dプリントで作る銃のブループリントを、その掲出から一週間後の今日(米国時間5/9)、オフラインにするよう要請した。同省のOffice of Defense Trade Controls Compliance〔仮訳: 防衛通商管理監視局〕は、憲法修正第2条のあからさまな擁護者であるCody Wilsonに、彼のDefcad.orgからダウンロードできる3Dプリンタファイルを、International Traffic in Arms Regulations(ITAR)〔仮訳: 武器交易規制法〕に基づいて削除するよう、命じた。

国務省の命令(下に埋め込み)は、次のように言っている: “省がDefense Distributedに対し最終的な物品裁定を提供するまでは、Defense Distributedは上記の技術データを武器交易規制法の規制下にあるものとして取り扱うべきである”。

しかし、意気軒昂だった銃デベロッパ(Cody Wilson)は、勝ち誇った口調で政府に抗議しようとはしなかった。彼はForbes誌に、“従うしかないね”、と語った。ただしそれは、全面降伏ではない。ブループリントはすでに10万回ダウンロードされ、彼と同類のデジタル異端児であるKim Dotcomは、オフショアであるニュージーランドのサーバにそれらを保存している。さらなる保険として、ファイルは人気のファイル共有ネットワークPirate Bayにアップロードされている(今ここを読んで鳥肌が立っている読者もおられるだろう)。

Wilsonは、武器交易規制法は情報には適用されないから自分は無罪だ、と例外扱いを主張している。すでにその“情報”は、テキサス州オースチンの某書店で売られているそうだ。

Forbes誌のAndy Greenbergによると、Wilsonは彼の政府との抗争を、軍用級の暗号ソフトウェアを政府が規制しようとして諦めたケースと同一視している。1990年代に発明者のPhil Zimmermannはそのソフトウェア、PGPをリリースしたが、それは解読がきわめて困難なため、テロリストなどが情報を隠すために利用する恐れもあった。政府は世論に負けてZimmermannを放免した、とWilsonは信じている。

3Dプリント銃の広がりを完全に防ぐことが、果たして政府にできるのだろうか。

State Dept Defense Distributed Letter (Redacted)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftがNook Mediaを10億ドルで買収検討との内部資料を入手―Nookは来年Androidから他のプラットフォームへ移行か?

われわれはMicrosoftがNook Media LLCのデジタル部門を10億ドルで買収することを検討しているとの内部文書を入手した。Nook Mediaは一般電子書籍と大学向け電子教科書を販売するためにアメリカの大手書店、Barnes & NobleがMicrosoft及び他の投資家とともに設立したジョイント・ベンチャーだ。

Microsoftが買収を検討しているNook Mediaのデジタル事業部には大学向け電子教科書部門、一般電子書籍部門、Nook eリーダーとタブレット部門などが含まれる。

またこの文書には、2014年末までにNook MediaがAndroidタブレット事業を閉鎖し、Nookのデジタル・コンテンツをサードパーティーのデバイスで配信する計画が含まれている。

Nookがeリーダー事業から撤退するという情報はこの2月に浮上した。問題の文書はこのサードパーティーのタブレットがMicrosoftのWindows 8デバイスになるかどうかを明らかにしていない。ただしサードパーティーのタブレットは2014年内に発表されるとしている。

ただし現行のNook e-リーダーはある時点で完全に終了するというわけではないようだ。むしろ、ユーザーが電子書籍を一般のタブレットのような多目的デバイスで読むようになるにつれれて、自然に役割を終えて消えていくというシナリオが描かれている。

MicrosoftとB&Nはこの件に関してコメントを避けた。

Nook Mediaのデジタル事業部を買収するというのはMicrosoftに取って自然な成り行きだ。MicrosoftがNookのデバイスとコンテンツに関連してBarnes & Nobleと提携することを発表したのは2012年4月だった。このときMicrosoftは3億ドルをNook Mediaに投じている。またMicrosoftはNookのWindows 8デバイスの開発の費用の前払い金としてさらに1億8000万ドルを支払う(現在開発が進行している)。

現在Nookデバイスはeリーダーとタブレット合計で1000万台が販売されており、700万人以上のアクティブ・ユーザーがいる。MicrosoftはこれまでWindows 8ベースのデバイスにあまり大きな関心を示してこなかった(ただし1億以上のライセンスを販売したとしている)。現在NookアプリはAndroid、iOS、Windowsを含むすべての主要OS版が提供されている。

Nook Mediaは Barns & Nobleの書店チェーン部門から昨年10月に分離・独立した。この際、Microsoftは16.8%の株式持分と引き換えに3億ドルを出資した。この提携は、当時誕生したばかりのWindows 8タブレットにB&Nの電子書籍コンテンツを確保することが目的だった。当時、Nook Mediaのデジタル・プロダクト責任者だったJamie Iannoneは、「ハード、ソフト、コンテンツ、Nookに関するすべてをNook Mediaが担当する。もちろん、NookビジネスはBarnes & Nobleとの長期的な協力のもとに行われる」と述べた。

しかしNookビジネスの不振は戦略の見直しを強いることになったようだ。Barnes & Nobleのファウンダーで大株主でもある、Leonard Riggioは書店チェーンの株の買い戻しを提案したことがある。

TechCrunchが入手した文書はB&Nの会社評価額を16億6000万ドルと見積もっている。Nook Mediaの創立時点では、Nook Media単独で17億ドル近くの評価額だった。Pearsonが1月に8500万ドルで5%の株式を取得した際の評価額は18億ドルだった。Microsoftの10億ドルの評価額はこれよりだいぶ下がっていることになる。

われわれが入手した文書は、情報を公的な提出書類と経営陣との面談によっているが、Nook事業部は会計年度の2012年度(毎年5月1から4月30日まで)は12億1500万ドルの売上高に対して2億6200万ドルの損失(EBITDAベース)を計上している。2013年には売上が10億9100万ドルに減少、損失は3億6000万ドルに増加すると予測されている。その後、タブレット事業の閉鎖し、売上の回復によって2017年度には、19億7600万ドルの売上に対してEBITDAベースの利益が3億6200万ドルになると予測されている。

しかしNook事業は昨年のクリスマス商戦の不振により打撃を受けている。新製品は値崩れが数週間も続き、フラグシップの10インチ Nook HD+は当初の269ドルから179まで値下げされた。 KindleはFire HDを同価格で販売している。Nookのハードはいろいろな面でKindleをしのいでいるが、売上でも市場シェアでもAmazonの製品に及んでいない。MicrosoftがNook事業を傘下に収めることになれば専用eリーダーをめぐるB&Nとジェフ・ベゾス率いるAmazonとの対決はついに終了することになるだろう。

この記事の執筆にはJohn Biggsが協力した。.

アップデート:Publishers’ Lunchは今回の会社評価額には、大学教科書部門のMicrosoftの株式持分やMicrosoftによる追加投資があった場合の影響など、さらに考慮すべき要素があるかもしれないと論じている

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Lineが2013Q1の決算を発表–売上の半分はゲームのアプリ内購入から

NHN Japan Corpが作っている使用時無料のメッセージングアプリLineは最近、全世界のユーザ数が1億5000万を超えたが、このほど2013Q1の決算報告を発表した。それを見ると、今回初めて、売上の内訳が分かる。Lineは無料のソーシャルメッセージングとゲームサービスでユーザを集め、アプリ内で購入できるお楽しみアドオンで収益を得ている。

Q1の結果としては、まず、売上(総額5890万ドル, 58億2000万円)の大多数…80%…が日本からである。また売上総額は2012Q4に比べ92%増加した(ほぼ倍増):

コンテンツのタイプでは、ゲームのアプリ内購入が売上の約半分(50%)、ステッカーの売り上げが約1/3(30%)だった。Lineには、無料のステッカーもある。

いわゆる“シードゲーム”が今では24あることも公表された。それらは、メインのメッセージングアプリからダウンロードできるゲームのことだ。ステッカーの種類は192、セレブやブランド用のオフィシャルアカウントは日本、タイ、台湾の計で92だという。

決算報告は今後定期的に行う、と同社は述べている。それにまた、新しい種類のアプリ内エンタテイメントが加わるらしい。その主力はショッピングと音楽だそうだ。

さらに同社によると、今後はアジア、スペイン、および南米におけるマーケティングを強化する。しかし、1月にLineがローンチした合衆国の名は挙がっていない。

アジアは言うまでもなく今後もLineのメインの市場だが、この地域では多種多彩なメッセージングアプリがしのぎを削っている。たとえばWhatsAppの中国版ライバルWeChat(Tencent制作)は、月間アクティブユーザ数が今や1億9000万を超えている

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


話者の感情を判断する音声認識技術でBeyond Verbalが$2.8Mのシード資金を獲得

2011年にiPhone 4SがSiriを導入して以来、音声認識という前からある技術が、急に消費者たちの人気のマトになった。でもその前から、そしてとりわけそれ以後は、スマートフォンやタブレットやコンピュータや電話サービスなどなどの分野で、さまざまな改良型音声認識技術の開発が咲き乱れた。今回ご紹介するイスラエルのBeyond Verbalは、それらの中でもとくに、言葉を認識するだけでなく、声に込められている感情を認識する技術を開発したと主張している。何を言ってるかだけでなく、どんな気持で言っているのかを認識する、というのだ。その同社が今日(米国時間5/8)、新人VC Genesis Angelsのリードにより、280万ドルの資金調達ラウンドを、同社の初めての外部資金調達として完了した、と発表した。資金は、同社が特許をもつその技術の、商用化に充てられる。

この投資の一環として、Genesis Angelsの協同ファウンダで投資家のKenges Rakishevが、取締役会に加わる。

Beyond Verbalはその技術を、API利用のライセンスとして提供する。感情検出技術の応用分野はいろいろ考えられるが、すぐ思いつくところとしては、カスタマサービスやゲーム、デートサービスなどだ(彼/彼女が本当に自分に気があるのか分かる?!)。もちろん、Siriのようなパーソナルアシスタントにも利用できる。

音声認識は顧客向けのサービスと思いがちだが、顧客にサービスを提供する当事者、たとえばカスタマサービスのスタッフたちが、自分のサービスの質を向上させるためにも利用できる。“応対している自分が今にもキレそうになっていることを判断できる。また、プロフェッショナルな営業トークではなくなりつつあることも判定できる”、とCEOのYuval Morは言う。むしろBeyond Verbalのサービスは、既存の音声認識サービスの多くが片手落ちであることを、あらためて認識させてくれるのだ:

“重要なのは、何を言ったかだけでなく、それをどのように言ったかだ”、とMorは言う。

Beyond Verbalはまた、分析や診断を提供して、ユーザのアプリケーションが拾う感情の追跡や統計化などを助けている。ユーザ企業の名前はまだ発表していないが、CEOのYuval Morによると数週間後には最初の顧客が確定するそうだ。

音声認識というとNuanceやTrue Knowledgeの名が思い浮かぶが(後者のEviは本誌が先月取りあげたが、Amazonが秘かに買収したらしい)、これらの企業のプロダクトは、ハンドセット上で、自然言語からそれが言っているコマンドを取り出す。一方Beyond Verbalは、音声認識ソフトウェアが今後はますます人間くさくなる、という別のトレンドに属している。

同様のソフトウェアはAffectivaも開発している。このMITのMedia Lab出身の企業のソフトは、高度な顔認識により感情を検出する。

Beyond Verbalの場合、Morによると、声の音域の変化を検出するアルゴリズムにより、怒り、不安、幸福感、満足などを見分ける。それに伴い、気分や態度、意思決定の性質なども判定する。“この三つを理解することが感情を理解することだ”、とMorは言う。

音声認識システムは、Google GlassにしてもIVR方式のカスタマサービス(自動応答)にしても、それほど精度は高くない。Beyond Verbalを使っていちばん多く見つかる感情は、このことに対する不満かもしれない。

声から感情を検出するシステムはBeyond Verbalが初めてではないが、でも同社は、今市場にあるものとは違う、と主張する。たとえばNiceは、話者の言葉や単語の選択と、声の大きさから、感情を判定する。しかし、声の抑揚はチェックしない。Morは、“そのようなソリューションは性能に限界がありすぎる”、と言う。

Genesis AngelsはVCとして1億ドルのファンドでスタートしたが、主に人工知能やロボット工学方面のスタートアップへの初期段階の投資をねらっている。その第一号が、Beyond Verbalなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google翻訳、カメラ入力(写真に撮って翻訳)対応言語をさらに拡大(日本語縦書にも対応済)

Android版Google翻訳の面白いところは、翻訳したい単語の写真を撮って、それを翻訳させることができる点にあると思う。Googleのアナウンスによると、この機能で新たに16言語がサポートされたのだそうだ。16言語とはブルガリア語、カタロニア語、デンマーク語、エストニア語、フィンランド語、クロアチア語、ハンガリー語、インドネシア語、アイスランド語、リトアニア語、ラトビア語、ノルウェー語、ルーマニア語、スロバキア語、スロベニア語、そしてスウェーデン語だ(訳注:日本語には縦書きも含め対応済)。

写真に撮ることで翻訳してしまう機能では、最初のリリースからチェコ語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、そしてトルコ語など多様な言語をサポートしている。画像認識技術と機械翻訳技術を組み合わせて、このように膨大な言語群の翻訳機能を提供しているのだ。

尚、Google翻訳では最近フレーズブックが利用できるようになっている。よく使うフレーズを登録しておいて、後の必要なときに再利用するためのものだ。フレーズブックに記載した内容を何度も繰り返し利用すれば、記載した内容をGoogle翻訳が覚えこむことにも繋がる。

フレーズブックはGoogle翻訳アプリケーション内の星メニューをクリックすることで利用できる。星マークは通常「お気に入り」登録などのために利用されるが、Google翻訳アプリケーションではフレーズブックへの登録に利用されている。またGoogleにログインして利用している場合は、自動的にアカウント内での同期が行われ、Google翻訳のデスクトップ版にも、モバイルでの操作内容が反映されることとなる。

「よく使うフレーズをいろいろなデバイスで利用することで、何度か利用したはずの言葉の意味を見失ってしまうようなことがなくなります」とGoogleは言っている。

尚、今のところiOS版では写真から翻訳する機能は提供されていない。

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(翻訳:Maeda, H)


最新ドキュメンタリー映画曰く:Googleはデータ食らいの本ドロボー

“Google And The World Brain”[仮訳:Googleと世界の頭脳]は、Googleが世界中の本をスキャンするという、現在進行中の訴訟を引き起こした計画に関する最新ドキュメンタリーだ。この身震いするような映画は、無数の著作権作品を取り込み、訴訟され、敗訴し、しかしその過程で書籍に関する独占的地位を得ようとしている会社としてGoogleを描いている。これは恐怖かつ有益であり、Googleを邪悪とする偏った描写を認識できる人にとっては一見の価値がある作品だ。

同映画は、Googleが今日もAuthor’s Guild(作家組合)と法廷闘争を続ける中、広く公開され始めている。同組合はGoogleによる著作権書籍のスキャンと複製がもたらした損害として30億ドルを要求している。Googleは法廷に対して集団訴訟の棄却を求めている。

“Google And The World Brain” は今年のサンダンス映画祭で先行上映され、私もそこで見たが、さらに多くの人々が昨日バンクーバーのDOXA映画祭でこのドキュメンタリーを目にした。開始直後からBen Lewis監督の意見は明快だ。Google Booksはデータ支配に向けた隠湿な策略である。Googleは、誰もが利用できる図書館を作りたかっただけではない。あらゆる知識を使ってその検索と人工知能プロジェクトを改善したかったのだ。

映画は不吉な低音とハイピッチのドローンに始まり、未来学者でSF作家のH.G.ウェルズが『世界の頭脳』を「全人類のための完全な地球規模の記憶」と説明する歴史的な一幕へと導かれる。しかしウェルズは、様々な利点はあるもののの、世界の頭脳が政府に取って代り全員を監視するほど強力になることへの警告も発している。

Googleがハーバードを始めとする各大学図書館に接触し、その蔵書を無料でデジタル化させてくれるよう依頼することは一見無害に思える。彼らはこれを、アレキサンドリア図書館の焼失やハリケーン・カタリナで洪水にあったテュレーン大学図書館のような惨事を避ける手段として売り込む。世界有数の図書館の面々が彼らを無限大の価値と位置づける。図書館長らはインタビューに登場し知的興奮に目がくらんでGoogleの提案を慌てて受け入れてる。たちまち1000万冊の蔵書がGoogleの秘密のスキャニングマシンに吸い込まれていく。

Googleがこれらのスキャン結果の一部をネットで公開し始めるた時、反発が始まった。600万冊の書籍には著作権があり、Googleはスキャンや複製の許諾を得ていなかった。2005年、作家組合と米国出版協会は、Googleが事実上本を盗んでいると主張して訴訟した。図書館も検索巨人に反抗し始めた。

インターネット研究者のJaron Lanierは、「本は単なる特別長いツイートではない」と説明し、他の人々もGoogleは情報の民主化のためではなく、自身の利益のために本を貯め込んでいるのではという疑問を示し始めた。これほど伏線が露骨でない方が、主題の暴露はもっとショッキングになり、おそらく評価も高くなっていただろう。

3年後、原告団は1.25億ドルでGoogleと和解したが、350ページにわたる裁判所文書には、Googleは同社がデジタル化した絶版書籍の独占販売権を持つ ― たとえ著作権のある物であっても ― といういかがわしい条項が含まれていた。映画はこれに「知識利用の独占」というレッテルを貼った。そしてこう問いかける「万人のための図書館を自由に課金できる一企業の手に渡したいと思いますか?」

ドキュメンタリーのクライマックスでは、ニューヨーク州判事、Denny Chinによる和解を承認するか否かの決定に焦点が当てられる。あらゆる知識の運命に関する一人の人間の決断として位置づけることによって、この結果をエキサイティングに見せている監督の手法は見事だ。

[ネタバレ注意。2011年の新聞を読まなかった人へ]:勝利のマーチが鳴り響く中、Chin判事は和解案を却下する決定を下し、Googleの目録む「独占」は阻止され、インタビューに答えた評論家全員が歓喜した。

しかし、Google And The World Brainは悲惨な注記と共に幕を閉じる。Googleはスキャンした著作権物を複製あるいは販売できなくても、Google検索と同社の人工知能プロジェクトはすでに全知識を吸い込んでいる。Googleのある技術者が、著作家のNicholas Carrにこう言った。「われわれがあの厖大な本をスキャンしているのは人間が読むためではない。われわれのAIが読むためだ」。

映画は少々扇情的で、英語の本をスキャンすることは、古典が本来書かれていた古典的ヨーロッパ言語に対する冒涜ではないかを探るなど、いくつか寄り道している。しかし、情報を所有するのは誰か、という興味深い疑問とその答を巡る長い戦いを、極めて刺激的な作品の中に凝縮している。これを見た後は、Googleに対する恐怖が増しているかもしれない。中でも高圧的で恐怖を煽る話を眉につばをつけて聞かない人は特に。しかし少なくとも、Googleは将来今以上に大きく人類を変える運命にある、ということを再確認してあなたは席を立つだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Facebookスマホの出足は鈍い?―AT&TはHTC Firstの価格を99ドルから99セントに大幅値下げ

FacebookがFacebook Homeの普及を助けるためにさらに努力が必要だと感じたのかもしれない。あるいはAT&TとHTCが売上をもう少し伸ばしたかったのかもしれない。いずれにしても、デビューからまだ1と月たっていないのに、最初のFacebookスマホ、HTC Firstの価格が99ドルから0.99セントへと引き下げられた(AT&Tとの契約が必要)。標準のAndroidと高速LTE接続機能が備わった携帯にしてはお買い得だ。

Facebookは私の取材に対して「“われわれはAT&Tの決定を歓迎している。Facebook Mobileのページでも新価格を告知している。AT&TはHTCとSamsung Galaxy S4についても特別割引キャンペーンを実施中だ。だからこの値下げはFirstの売れ行きとは直接関係ない。あくまでキャリヤ側の販売努力だ。どんな携帯も時間がやがて値下がりする」と答えた。

Facebookは「Facebook Homeを搭載した独自携帯の開発に関して他のメーカーとも引き続き協力している」としているのでHTC Firstが最後のFacebook携帯になるわけではないだろう。しかし、HTC Firstについての私の最大の不満はカメラがしょぼいことだったが、その欠点を帳消しにするほどの人気は得ていないようだ。5メガピクセルのカメラは暗いところに弱い上に起動に手間がかかりシャッターチャンスを逃しやすい。

独自のAndroidアプリのHomeの方もダウンロード数は100万に届いていない。とすればHomeがデフォールトで組み込まれたAndroid携帯を99ドル出して買うユーザーはそれよりだいぶ少なかっただろうと推定できる。しかしHomeは今後改善が進むはずだ。ユーザーはHomeのUIが「非直感的」であることに強い不満を抱いているが、昨日も書いたように、Fcebookは毎月のアップデートで早急に対処するはずだ。特にホームスクリーンからアプリのフォルダをすっかり隠してしまうのを止めるべきだと思う。

HomeのUIが改良されればHTCはカメラを改良した新しいFirstを出すだろう。そうなれば売れ行きも上向きになるだろう。それにFacebookは新しいCMを準備したほうがよい。最初のFirstとHomeのCMはストーリーにむやみに邪魔が入る奇妙なものだった。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook Home、既存システムの代替としてではなく、その上で動作する「レイヤー」として生まれ変わるべき

「Androidはどこへ行った?」。Facebook Homeのレビュー時によく出てくる文句だ。一所懸命にウィジェットの設定を行ったホーム画面が消えてしまい、呆然とする人が多いのだ。Facebookが自前のHome画面をヒットさせたいと思うのならば、利用者それぞれがそれまでに構築した画面にもすぐアクセスできるようにしておく必要があると思う。Facebookも利用者の声は気になるはずだ。現在のようにトレードオフ関係を提供するのではなく、両立的なFacebook Homeを提供するようにすべきだと考えるが如何だろうか。

Facebookの主張としては、Homeとは「世界をアプリケーション経由ではなく、人間を通して見つめる、全く新しいエクスペリエンスを提供する」ものだ。しかしこの「新しいエクスペリエンス」が、それまでの利用者の行為を無にしてしまうことに、多くの利用者が当惑している。アプリケーションの置き場所を考えて、フォルダ毎に整理して、最初の画面に表示するアプリケーションを注意深く選んだはずだった。常に表示して欲しい情報を提供してくれるウィジェットも、場所を探してきちんと配置したはずだった。Facebook Homeを利用するために、そうしたすべての努力をなかったことにしても良いと考える人は少ないはずなのだ。

幸いなことに、FacebookはHomeを毎月アップデートするとアナウンスしている。最初のアップデートは5月12日になる予定だ。いろいろと追加すると面白そうな機能は思いつく。しかし何かを追加する前に、まずはきっちりと地歩を固めるところから始めてもらいたいと思うのだ。

よりオープンな環境を目指すべき

利用者の感想を知るために、Facebook Homeに関する多くのレビューを読んでみた。ジャーナリストやテック系の人々は、私自身を含めて、カバーフィードとチャットヘッドに注目している。こうした人々はインストール時に複雑な設定をする必要があっても別に苦にしない人々だ。しかし、一般の人はFacebook Homeをインストールした瞬間から、慣れ親しんだAndroid環境を失ってしまって混乱してしまっているようなのだ。

もちろん、Facebook Homeを気に入っている人はいる。最初は驚いてもすぐに慣れたと言っている人も多い。しかしGoogle Playには1つ星のレビューも溢れているのだ。いくつかレビューを見てみよう(利用者の声をそのまま紹介している)。

  • 直感的な操作ができない。ごちゃごちゃしてとても使いにくくなってしまった。結局4、5時間でアンインストール。従来のホームスクリーンに簡単に戻れるようになるのでなければ、もう決して再インストールすることはない。Victoria Wiley
  • スマートフォンが乗っ取られてしまった感じ。とても使い勝手の悪い新しいOSに変わってしまったような気がする。joe smith
  • ウィジェットはどこに消えてしまったんだ? 全くもって使えない。David Marner
  • これまでの設定は何もかも全て消えてしまう。J Erickson

こうした感想や、ここでは取り上げなかった同種の意見を見る限り、Facebook Homeは、従来の環境との切り替えをもっとうまくやる必要があることがわかる。「Complete Action Using」(標準をFacebook Homeに切り替える)というようなメッセージが出ても、たいていの人は何のことかわからず、あるいは判断せずに処理をすすめてしまう。ホーム画面が切り替わってしまうことを、もう少し丁寧に説明すべきだと思う。また、Facebook Homeをインストールして、その環境を使うことに設定したにしても、使えるようになった機能の説明だけを提供するのではなく、さまざまな方向から変更点を説明して、元に戻すための情報も提供すべきだと思うのだ。

利用者の苦労を無にしてはいけない

Facebook Homeではウィジェットがなく、またアプリケーションフォルダには未対応となっている。もちろんこうした状態はすぐにも改善されることと思う。FacebookのProduct部門DirectorのAdam Mosseriは「フォルダーやウィジェットなど、当初から導入したいと考えていながらできなかった機能も多くあります。しかし次々にアップデートしていくことが既定路線です。すぐにみなさんの期待に応じた機能が実装されるはずです」と述べている。

ホーム画面に新しい仕組みを導入しているので、現状のまま進むならばウィジェットやフォルダについても独自の方式で実装していくことになるのだろう。しかしそのようなスタイルでは利用者の不満はおさまらないと思われる。利用者が行なってきたカスタマイズを台無しにするようなアプローチでは、世の中に認められることとはならないだろう。

すなわちFacebookはなんとかして新しいFacebook Homeと、従来型のウィジェット処理システムおよびフォルダ機能の両立を目指していくことが必要となる。このためには全く新しいホーム画面というスタンスから、既存のシステムの上に乗るある種のレイヤー型サービスとして完全に生まれ変わることが必要となる。必要に応じてFacebook Homeを消して、従来のホーム画面や、これまでに行なってきたカスタマイズ画面が利用できるようになるのが理想だ。従来のフォルダやウィジェットは、新しいHomeの「引き出し」に入れておいて、必要な際に取り出して利用するというスタイルを採用しても、利用者にとっては非常に使いやすいものとなるだろう。

現在のところ、カバーフィードの画面で左スワイプするとFacebookメッセンジャーが表示され、右スワイプで利用したアプリケーションの一覧画面になる。そして上スワイプでよく使うアプリケーションが表示されるようになっている。ここに下スワイプを加えるべきだと思うのだ。表示すべきはもちろんFacebook Home以前から使っていたホーム画面だ。あるいは上スワイプで従来のホームに戻っても良いかもしれない。

こうした修正が成されれば、Facebook Homeはより多くの人に受け入れられ、そしてFacebookの利用時間を大幅に伸ばす人も出てくるだろう。Facebook Home以前から使っていた環境を捨てなくて良いとなれば、導入にあたっての障壁も消え去ることとなる。現在の50万ないし100万ダウンロードという数字を大幅に塗り替え、新しい環境を楽しむ人も増えるに違いない。アプリケーションではなくて、人を通して世界と繋がるというコンセプトが気に入っている人は多い。但し、そういう人もアプリケーションを捨てようとまでは考えていないことを、Facebookは認識すべきだと思う。

[Image Credits: Marcio Jose Sanchez / AP, Dashburst]

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(翻訳:Maeda, H)


世界でもっともシンプルなWebサイト制作編集ツールBarley–ページ画面そのものを直接エディット

製品やサービスのデモは、できるかぎりシンプルな方が、見る人に強い印象を与えることもある。

WebエディタBarleyの場合がそうだった。協同ファウンダのColin Devroeは、ぼくが見てる前で、ごくふつうのWebページを開いた。それからそのページの上の語句を、わずかなキータイプで書き換えた。キーボードをタイプし始めると小さなエディティングメニュー(編集作業用メニュー)が出るが、Webページをエディットするためにアドミンのダッシュボードにアクセスする必要はないし、エディタを開く必要もなく、HTMLを書かなくてもいい。いきなり、目の前のWebページをエディットするだけだ。

デモの内容はそれだけではないが、中核的な機能といえばそれだけだ。習得のための勉強や経験がまったく不要な、Webページエディタだ。

Devroeは、反面教師としてWordPressの名を挙げた。たしかにWordPressは複雑で難しい。この記事も今WordPressの上で書いているけど、慣れてるはずのぼくでも、複雑だと感じる。Webサイトを作るツールなら、Weeblyのような簡単なのもある。でも、そんなツールを使うときでも、ページのレイアウトやコンテンツの編集をするためには、そのツールの中の“そのための場所”へ行かなければならない。

一方Barleyでは、何をするにも目の前のWebページに対して直接行う。文書を編集する場合と、まったく同じだ。また、Barleyが用意しているテンプレートのどれかを使えば、レイアウトで悩む必要もない。

“HTMLやCSSを勉強しなくてもWebサイトを編集できる”、とDevroeは言う。“そこらの小さなレストランや商店に今でもWebサイトがない理由、それをBarleyはなくしたいのだ”。

Devroeによると、ターゲットはあくまでも小企業だが、なにぶん自分自身が小企業だから(BarleyはPlainというスタートアップの最初のプロジェクトだ)、多くの小企業に直接売り込む力はない。

そこで彼は、小企業向けの統合ビジネスパッケージなどを作って売っている企業に働きかけて、彼らのプロダクトにBarleyを含めてもらおうと考えている。また商店や小企業を相手にWebサイトを作っているデベロッパにもBarleyを採用してもらって、彼らのクライアントが自分で自分のWebサイトを編集できるようにする。BarleyにはDropboxのシンク機能があり、ホスティングのお世話もするので、デベロッパやデザイナーにもBarleyを統合するメリットがあるはずだ…たとえばデザインのアップデートが簡単にできるだろう。

料金はトラフィックの量による従量制で、月額18ドルからだ。すでに今週は、500社/名のユーザが自分のWebサイトを作った。ユーザ登録はここで。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebookに買収されたParseがモバイルデベロッパ向けのWebホスティングを提供開始

モバイルデベロッパのためのバックエンドサービスParseは、最近Facebookに買収されて、Facebookのデベロッパ向けサービスを担うことになった。そのParseが、このほどホスティングサービスを立ち上げた。それは主に、モバイルデベロッパのWeb進出を助けるためである。買収によってParseの事業は拡大し、同社がホストしているアプリの数は買収の発表以降30%アップの8万となった。

“Parseはモバイルアプリの構築に利用されているが、でもユーザがWeb進出や“.com”URLのランディングページが欲しくなったときには、これまでは、ログインはParseからでもWebサイトはほかのサービス、たとえばHerokuやApp Engineなどからサーブされていた”、Parseの協同ファウンダIlya Sukharはこう説明する。“そこでうち自身が、完全な機能のあるWebホスティングプラットホームを立ち上げることにしたのだ”。

Sukharによると、そのプロジェクトの開発にはこれまでの4ないし6週間を要した。Facebookとの交渉が進んでいるときも、手を休めなかった。

ParseのホスティングでWebページをサーブすると、ページ上に表示されるユーザデータをParseのDataプロダクトから簡単に取り出せる。だからたとえば、モバイル上のゲームのハイスコア表をWebページに表示する、なんてことも容易にできる。

ParseのHostingは、これまでParseが提供していたData, Social, Push(プッシュ通知), Cloud Codeなどのプロダクト群の一環となる〔ParseのWebページ上ではHostingがいちばん最初に紹介される〕。

Sukharによると、Facebookによる買収はデベロッパたちの嫌気や退社を喚起しなかった(買収額は8500万ドル+社員引き留めボーナスと言われている)。Facebookによる買収の発表時には6万だったアプリも、今では8万に増えている。“ユーザや社員がParse離れをする、という説も一部にはあったが、それはなく、今ではすべての数字が上向きだ”、と彼は言う。

Pareseには、Apple、Yahoo、Dropboxなども関心を示していたが、最終的にはFacebookが競り合いに勝った。Facebookにとっては、初めてのB2Bの収益源ができたことになる。またInstagramの場合と同様に、買収企業のチームには最大限の自律性(Facebookからの無干渉)を与え、彼らのプロダクトの成長を期待している。Facebookは、ParseのSaaS方式の収益モデルにも干渉していない*。〔*余計な訳注: SaaSというよりも、むしろPaaS。Parseという社名は、その駄洒落だと思う。何らかのパーサを提供しているわけではないから。〕

Parseはまだ、お祝いパーティーなどをやっていない。“ほかにやるべきことが山のようにあるからね”、と彼は言う。

〔Parse過去記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Adobeのデジタルメディア責任者、定期課金、Behance、ハードウェア、違法コピーを語る

今日(米国時間5/7)私はAdobeの上級副社長・デジタルメディア本部長で、Creative Cloudの顔であるDavid Wadhwaniと、今週ロサンゼルスで行われている同社のMAXカンファレンスで話をする機会を得た。Adobeはいくつもの新製品を今週発表したが、中でも最重要かつ影響力の大きい発表は、間違いなく同社のCreative Cloudによる定期課金への移行とCreative Suitesの開発中止だ。この動きに対しては反発も見られるものの、コミュニティーの殆どはこれを受け入れており、それがAdobeの革新を加速しユーザーによりよい製品を届ける一助になるとWadhwaniは信じている。

Creative Cloud

Wadhwaniは会話の中で、同社がCreative Suite 6を「無期限に」販売する計画であることを強調した。彼にとって重要なのは、同社がクリエイティブな進化を続ける方法を見つけることだ。Adobeは「クリエイティブ世界の方向と、これから起きるとAdobeが考える進化」を見極わめる必要があると彼は言う。Adobeの戦略は、この変化のいくつかに影響を与えリードしていくことであり、Creative Cloudはそのための同社の手段だ。今日のクリエイティブのワークフローに欠けているのは、「〈つながり〉の要素だ。現在のクリエイティブ作業は単独で行われることが多すぎる。共同作業者やもっと大きなコミュニティーとつながることは、多くのクリエーターに非常に大きな力を与えるだろう」とWadhwaniは言った。

もしそれがクリエイティブの方向なら、「ツールからサービス、コミュニティーにいたるまで真の統合体験を作ることが、Adobeにとって最良の方法であることは極めて明白だ」と彼は言った。Adobeは最大の価値を付加できる分野にリソースを注ぎたい。その意味でCreative Cloudは同社の進化にとって自然な一歩だと彼は言う。

Creative Cloudに対する初期の反応が肯定的であり、「良好かつ強力な加速的成長」を得ているという事実によって、Adobeは「クリエイティブ・コミュニティー全体がオープンであり、この方向へ進むことに明らかな関心を寄せている」ことを確信した。しかし同時に彼は、誰もが準備万端というわけではなく、浸透するには少々時間のかかる変化であることも認識している。Adobeはこの変更についてユーザーとオープンな会話を持ちたく、今後数週間をかけてメッセージを伝えていく考えだ。今のところMAXでのクリエイティブ・コミュニティーからの反応に、彼は非常に満足している。

Creative Cloudに関してAdobeがあまり公に話していない一面は、この変更によって違法コピーが著く減ることだ。Photoshopや他のクリエイティブツールが手に入りやすくなることは、ユーザーにとって月額の定期利用料を払う方が違法コピーより簡単になることを意味している。さらに彼は、Behance、ストレージ、同期、および同社が販売する多くの新しいツールなどの付加サービスによって、ユーザーはCreative Cloudを定期利用することの価値が単なるツール以上のものであることを理解すると信じている。

彼にとってCreative Cloudへの移行は、ビジネスモデルだけでなく、カルチャーの変化だ。「Adobeのカルチャーは常に、われわれの顧客が創造した作品に感謝することだった」。今後Adobeはユーザーへのリーチ拡大を促進することが願いであり、Behanceがその中心的役割を演じることは明らかだ。このツールはMAXのどの基調講演でも詳しく紹介されなかったが、Wadhwaniは私との会話の中で長い時間をかけてその役割について話してくれた。彼はこれを、Adobeにできることの非常に楽しみな新しい一面だと考えている。

では、デベロッパーは?

しかし、今週のMAXの焦点は明らかにデザイナーとクリエイティブに当てられていて、以前と比べてデベロッパーの話題がずっと少なかった。Wadhwaniはこれについても会話の中で認めた。Adobeは今後もデベロッパーから目をそむけることはないが「焦点を精緻化していく」。Adobeは、UIデザイナー、UIデベロッパーのためのツールに力を入れ、ブラウザー開発者との共同作業も続けていく。大企業デベロッパーのバックエンドツールに関しては、他の選択肢が多いのでAdobeはあまり多くのリーソスを割くつもりがない。

Adobeのハードウェア

もう一つ、MAXで行われた大きな発表は、もちろんAdobeがハードウェア製品の実験を行っていることだ。しかし、いくら聞いてもWadhwaniはAdobeがこれらのプロトタイプを実際の製品にするつもりがあるかどうか言わなかった(私のフィーリングとしては、間違いなくその気だ)。Adobeがハードウェアやりたいのは、現在のツールセットの隙間を埋めることだという。もし他のハードウェアメーカーが同じようなツールを作ったり、共同開発したいというなら歓迎する彼は言った。これはある意味でGoogleがNexus製品で他社のためのリファレンスを作ったアプローチと似ている。今日同社が披露したツールは、iPadなどのタッチ端末をクリエイティブ専門家のための本格的ツールへと変えるものだと彼は信じている。

Adobeは他のハードウェアのアイディアも進めているようで、Wadhwaniは同社のスタイラス、MightyについてAdobeが取り組んでいる先進的イノベーションの先鋒だと説明した。今晩、MAXの閉会イベントで、Adobeは同社のラボで進められている他のプロジェクトをいくつか紹介する予定なので、さらにハードウェアの発表が見られるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Androidアプリの試験対象機が1年で400機種から約100に激減, Samsungの実質標準化で

アジア最大のモバイルアプリデベロッパAnimocaの説では、Androidデバイス用のソフトウェアの試験は1年前に比べてずっと楽になっている。

この香港の企業は2年前に創業され、これまで300あまりのアプリを作ってきたが、その合計ダウンロード数は今では1億5000万を超えている。作っているのは主に、Androidのアプリだ。

昨年Animocaのアプリ試験工程は、なんと、400種ものAndroidデバイスを対象にした。しかし今は、その1/4に減っている。その大きな理由は、Androidハンドセットの標準化が進んでいるからだ。

Animocaの親会社OutblazeのCEO Yat Siuによると、今では多くの携帯がSamsungのベースハードウェアに標準化されている。それは、この韓国企業が主な部品の市場を支配しているからだ。

つまりSamsungは、自己ブランドの完成品を作っているだけでなく、さまざまな他社製品のための部品も供給している。2012年にSamsungは、NAND Flash、DRAM、およびディスプレイ部品では世界最大のメーカーだった。この三品目の同社の市場占有率はそれぞれ、31%、38%、25%に達する。

また、ここ数年間におけるAndroidプラットホームの進化も、ソフトウェア開発に大きな柔軟性をもたらしている。Jelly Bean(Android 4.1+)はGingerbread(Android 2.3)に比べて変種も少ない。このことも、Animocaのテスト工程の簡易化に大きく貢献している。

“しかし日本だけは、この話が当てはまらない。今でも奇妙な機種が多く、またそれらがお互いに微妙に違っている。世界のそのほかの部分は、Samsungに右へ倣えしているから、どこでもほぼ同じだ”、とYatは言う。

製品の品質も向上している。2012年の試験対象だった400種は、ローエンドのハンドセットがとても多かった。“ローエンド機を無視したら最大の顧客を失うことになる。でも最近のハードウェアはどれも性能が良い。あれもできない、これもできない、という非互換性の問題は徐々になくなりつつある”。

Animocaの社員のうち約100名がアプリの開発に携わり、韓国、フィリピン、合衆国、中国などの事業所で仕事をしている。同社の戦略は、複数のニッチ市場に対する同時一斉攻撃だ。“Angry Birdの大ヒットに見られるようなスーパーセルスタイルは採らない”、とYatは言う。

同社のStar GirlPretty Pet Salonなどはかなりヒットしたが、同社の基本的なやり方はヒットねらいではなく、一貫して多種類のアプリを出し続けることだ。網を広げることによって、多くのファンを囲い込む。“そのやり方の方が有料ユーザの比率が高い”、というのだ。

数百万のダウンロードを達成したStar Girlでさえ、ニッチアプリだ。“女の子たちがターゲットで、服をシェアしたり、男の子と仮想的に遊んだりする。Candy Crushとは違う”。

同社は過去12か月で約4倍に成長した。ただし年商の額などは公表していない。“率直に言って、Androidが成長したからうちも成長したんだ”、と彼は言う。たしかにこのところ、Androidのシェアは伸びている。“うちにとって韓国と日本が重要なのは、どちらもAndroidの勢力が強いからだ”。

一部のゲームはiOSバージョンも作っているが、メインはあくまでもAndroidだ。同社から見ると、どちらのプラットホームも、ARPU(ユーザ一人あたり平均収益)に大差はないそうだ。アプリにいちばんお金を使ってくれるのが、日本と韓国のユーザだ、とYatは言う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


日本発の記事も海外に・コメントが成長の鍵–ハフィントン・ポスト日本版がローンチ

ハフィントン・ポスト 日本版 ローンチ

以前からアナウンスされていたハフィントン・ポストの日本版が本日ローンチした。これに伴い、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンが記者発表会を開き、今後の展望について語った。

本家ハフィントン・ポストの編集長Arianna Huffingtonと日本版編集長の松浦茂樹氏が強調したのは日本の未来を語る場を目標としていることだった。日本版では他国と同様に経済・政治などのニュースを取り上げることはもちろんだが、人間の生活面や健康面といったことも積極的に発信していきたいとう。

というのも、日本の伝統である健康的な食事や、人間の精神的な面においての工夫(Arianaは京都で座禅を組んで感銘を受けたそうだ)などは日本の強みであり、多くの人がこういった情報も求めているからだ。日本版で掲載された記事は海外のハフィントン・ポストにも翻訳されて掲載される。そのため、日本こそが貢献できる領域を発信することは重要だと考えている。

また、日本国内の人口減少、ワークライフバランス、自殺問題といった社会問題に関しても日本の豊かな伝統が解決策を見つけることができるのではないかとArianaは語った。

さて、このような記事を提供する上だけでは既存のメディアと比べて目新しい点はないが、どのように差別化を図るのだろうか。一番のポイントはユーザー同士の活発な対話だ。ハフィントン・ポストが米国で人気を博している大きな理由の1つがこれで、月に4,600万ユーザーがサイトに訪れ、800万件以上ものコメントを投稿しているという。

日本でもこのような状態になることが目標だ。とはいえ、日本ではコメントはあまり投稿されないのではないかと思われる方は多いだろう。松浦氏自身も編集長に就任してから最も多く聞かれた質問がこれだったという。

松浦氏は、ハフィントン・ポストのポジティブな意見を集約し、ネガティブなコメント(批判が絶対的にNGという意味ではなく、議論にならない批判コメント)は意図的に表示しないという編集方針に可能性を感じ、日本でも同じように取組むという。現状は活発にコメントが投稿されることは難しいかもしれない。しかし、継続的に続けていけば…と語った。

なお、ハフィントン・ポスト日本版はAOLと朝日新聞の合弁会社により運営されているが、編集権はハフィントン・ポストにあり、親会社が編集に口出しをすることは無いと語っていたことを付け加えておこう。