アップルとグーグルがロシアでの圧力に屈しクレムリン批判者の戦術的投票アプリを削除

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、それぞれのロシアのアプリストアから、現在収監されているクレムリン批判者の団体が作った戦術的な投票アプリを削除した。

先にロイターは、ロシアの州が連邦選挙に先駆けて外国のテクノロジー大手への圧力を強めていると報じた。それらは「選挙妨害」という言葉を使って、米国企業がプーチン大統領の高名な政敵を検閲するよう主張していた。

米国時間9月16日のTwitterでは、Navalny(ナワリヌイ)氏の中心的な側近であるIvan Zhdanov(イヴァン・ジダーノフ)氏が、彼の団体はアプリを削除したことでAppleとGoogleを訴訟することを検討している、とツイートした。その検閲行為を「重大な間違い」という。

ジダーノフ氏はまた、チーム・ナワリヌイへのAppleの返答だという文書を公開した。その中ではテクノロジー大手(Apple)がクレムリンによる分類を引用して、ナワリヌイ派の団体を「過激派」グループと呼び、ソフトウェアの削除を正当化している。

Appleの開発者への通知の詳細のスクリーンショット。ジダーノフ氏のツイートより

AppleやGoogleは、事業を展開する国の「すべての現地法」を遵守すると日常的に述べている。

しかしロシアにおいて、その姿勢は、政治的な検閲行為に加担していることを意味する。

Appleは、戦術的投票アプリの開発者に送った取り下げに関する通知の中で、「ロシア連邦検察庁およびモスクワ市検察庁も、このアプリが選挙への干渉を可能にすることでロシア連邦の法律に違反していると判断したことに留意します」と述べている。

「アプリはロシアのApp Storeから削除されましたが、あなたがApp Store Connectで選択した他の地域のApp Storeではまだ利用可能です」とAppleは付け加えている。

TechCrunchは、ナワリヌイ氏のアプリの削除について、AppleとGoogleにコメントを求めている。

アプリ削除の公式の理由はFBKが過激派組織と認められたこと。FBKが過激派組織と認められたやり方は裁判に依らず常識に対する虐待に依っている。@googleと@Appleは大きな間違いを犯している。 下図下部はAppleからの通知本文。

またジダーノフ氏はTwitterで支持者たちに、戦術的投票のミッションにフォーカスするよう促している。Googleが保有するYouTube上でホストされている動画のリンクをツイートして、本日から日曜日まで行われる議会選挙で反プーチンの投票を行なう方法を、ロシア人たちに勧めることがミッションだ。

ナワリヌイ氏の支持者たちはロシア中の有権者を動員して戦術的投票をしてもらい、与党の統一ロシア党に勝つ可能性のある候補者への投票によってプーチンを失脚させることを望んでいる。

その戦術的投票という戦略に対して批判もある。挙げられている対抗候補者の多くが、反プーチン勢力としては弱すぎる、というのだ。

しかしそれでもナワリヌイ氏の支持者たちは、システムそのものに欠陥があることは受け入れざるをえない、と言っている。

AppleとGoogleは当初、ナワリヌイ氏の「Smart Voting」アプリの削除を拒否したが、その後、2021年8月になってロシアの州は、彼の組織によるウェブサイトへのアクセスをブロックしようとしていた。

また、Googleドキュメントも狙われたという説もある。それは、ナワリヌイ氏の支持者たちが戦術的投票の取り組みを組織化するために使っていたツールだ。

英国のiOSアプリストアでのSmart Votingアプリ(画像クレジット:Natasha Lomas/TechCrunch)

2021年9月初めのロイターの報道によると、ロシアの通信規制当局Roskomnadzorは、Smart Votingアプリを削除しないと罰金を科すとAppleとGoogleを脅迫した。それは、従わなければ選挙妨害と見なす、という警告だ。

またロシアのニュース報道によると、選挙の前夜にAppleとGoogleは連邦議会の会議に召喚された。プーチン政権はそうやって、彼の反民主的な命令を強制しようとした。

Kommersantの報道によると、テクノロジー大手2社は、ロシア連邦が彼らの事業に対する規制強化を準備している、と警告された。そして、彼らが「レッドライン」上にいるという警告がまたしても為され「正気に戻れ」と言われた。

それにより、ナワリヌイ氏のアプリの削除をプラットフォームに対して強制する彼らの土壇場の努力が、成功した。

最近ではRoskomnadzorは、この国のVPNアプリも削除しようとしていた。それにより、ロシア人が外国のストアからソフトウェアにアクセスしてナワリヌイ氏のアプリの禁制をかいくぐることを、困難にしたいのだ。

ロシアの検索大手Yandexも、検索結果にSmart Votingアプリが出ないよう強制された、といわれている。

2021年初めには、プーチン政権はTwitterも狙った。禁止したいコンテンツの削除に失敗して、サーバーの能力を落とそうとした。ただしRoskomnadzorの主張では、それは政治的コンテンツとは無関係で、青少年の自殺や児童の性的虐待、ドラッグの使用などが対象だった。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が使い放題になる「Studyplusブック読み放題」発表

学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始スタディプラスは9月15日、勉強記録・学習管理サービス「Studyplus」(Android版iOS版)において、学習参考書など電子教材が使えるデジタル教材プラットフォーム「Studyplusブック」を発表した。同プラットフォームでは、月額980円(税込)で参考書200冊以上を利用できる「Studyplusブック読み放題」、紙版を購入すると電子版を提供する「Studyplusブックコード」の2サービスを提供する。提供開始時期は、2022年1月(一部サービスは2021年11月より先行リリース予定)。

「Studyplusブック」プラットフォーム

Studyplusブックでは、Studyplusの本棚に並ぶ書影から、そのまま電子教材ビューアを開くことが可能。ビューアは目次機能、ページめくり、見開き表示、拡大縮小など標準的な機能を搭載。ビューアの利用を終了すると、ビューアを開いていた時間をそのまま勉強時間として記録できる。

また通常のビューア以外に、一問一答形式の教材に対応する「暗記チェック機能」も提供予定(一部の教材のみ対応予定)。問題に対する回答が確認できるほか、問題ごとに正誤記録を残せるため、「間違えた問題だけをやり直す」「正答率から自分の理解度をチェックする」といった使い方も可能。音声再生機能、しおり機能も採用している。

対応環境(2021年9月時点)としては、iOS 13.0以上、Android 7.0以上としているが、ウェブブラウザー対応も予定しているという。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

またStudyplusブックは、個人はじめ学校や塾などでの法人利用にも対応し、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」と合わせて利用可能。これにより、学校や塾をはじめとする教室で「Studyplusブック」のスタディログに基づいた指導を実現できるとしている。

なお、スタディプラスが2019年9月から提供している電子参考書サービス「ポルト」は、Studyplusブックに統合する。単独サービスとしてのポルトは段階的にサービスを終了する予定(スケジュールはサービス内で告知予定)。

月額980円で参考書200冊以上が使い放題の「Studyplusブック読み放題」

Studyplusブック読み放題は、月額980円(税込)で電子版の学習参考書200冊以上が使い放題になるサービス。前身である「ポルト」から引き続いて18の出版社が参画する予定。

提携出版社(2021年9月時点)は、アルク、旺文社、学研プラス、KADOKAWA、河合出版、かんき出版、京都書房、研究社、講談社、新興出版社啓林館、水王舎、スタディカンパニー、世界思想社教学社、Z会ソリューションズ、第一学習社、東京書籍、ブックマン社、山川出版社。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

対象の紙版参考書を購入すると、電子版も利用可能となる「Studyplusブックコード」

Studyplusブックコードは、出版社と共同で電子版教材の普及に取り組むサービスで、対象の紙版参考書を購入すると、Studyplus上で利用できる電子版(Studyplusブック教材)を提供する。Studyplusブックコードを導入することで、これにより、デジタル参考書と紙版とを用途によって使い分けられるようになる。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

これまでの発行コード数は30万コード以上で、全国約550の学校がブックコードを利用しているそうだ(前身であるポルトコードからの実績。2021年9月時点)。Studyplusブックコード提携出版社(2021年9月時点)は、京都書房、Z会ソリューションズ、第一学習社、山川出版社。2022年度にさらに提携出版社を拡大予定。学習管理アプリ「Studyplus」が月額980円で電子参考書200冊以上が読み放題になる「Studyplusブック読み放題」開始

24歳CEOが率いるスキマバイトアプリ「タイミー」が約53億円を調達

空き時間に面接不要ですぐに働け、勤務終了後すぐお金を受け取れるスキマ時間バイトアプリ「タイミー」(iOSAndroid)提供のタイミーは2021年9月15日、第三者割当増資と金融機関からの借り入れにより総額約53億円の資金調達を行った。

調達先には、日本の未上場企業への投資が初となる海外機関投資家のKeyrock Capital Managementなどが含まれており、同社CFOの八木智昭氏は「コロナ禍における、タイミーの力強い成長ぶりが評価された」と話す。タイミーは2018年8月に同アプリをリリースして以来、金融機関からの借入を含む累計調達額が約90億円となった。また、今回の資金調達先でもある伊藤忠商事とは資本業務提携契約を、KDDIとは業務提携の検討を目的とした基本合意をそれぞれ締結している。

スキマ時間にすぐ働けるアプリ

タイミーは「この時間なら働ける」人と「この時間だけ働いて欲しい」企業をつなぐスキマバイトアプリだ。働き手は応募や面接がなく、条件をクリアしていれば好きな場所・好きな時間・好きな職種ですぐ働ける。また応募の際には、過去に働いた人のレビューを見ることができる。仕事が終わったらその場で報酬がアプリに反映され、24時間好きなときに引き出しが可能である(タイミーが給与を一時的に立て替える)。

一方、企業側は来て欲しい時間や求めるスキルを指定するだけで、条件にあった働き手と自動でマッチングできる。求人掲載手数料は無料で、管理画面から簡単な情報入力を済ませれば、最短1分で単発アルバイトの求人を掲載可能。また「勤務ドタキャン」を防止するペナルティ制度や、過去に働いた実績・レビューが見える機能で、働き手の質の担保も行われている。企業は働き手への賃金プラス30%を手数料としてタイミーに支払い、これが同社の主な収益源となっている。規模や時間を問わず、飲食・小売・物流などあらゆる業種の企業が利用する。

画像クレジット:タイミー

タイミーが従来の派遣会社や求人サイトと決定的に異なる点は、その「手軽さ」にある。20・30代が中心のタイミーの働き手は、例えば「今日の○時〜○時、渋谷で暇だな」と感じたら、ピンポイントの案件をタイミーで探してすぐに仕事をすることができる。登録会や面接もない。また企業にとっても、必要な時に必要な人材を迅速に集められる。あるスーパーの店長は「募集からたった数十秒後にマッチングした時は、衝撃を受けた」と話しているという。

面接がなく手軽であるため、「働き手の質が低いのでは」と想像してしまうが、「従来の派遣などと比較しても、むしろ無断欠勤などは少ない」と八木氏は話す。抑止力となっているのは、勤務終了後に働き手・企業が双方に残すことができるレビューだ。両者にとって、タイミーというプラットフォーム上で継続的に活動していくためには「良いレビューを残さなければならない」というインセンティブが働く。

コロナ禍で大胆にポートフォリオを変化

タイミーCEOの小川嶺氏は現在24歳。高校生の頃から起業を志しており、大学在籍中にファッション関連の会社を立ち上げたものの1年半で解散。生活費を稼がなければならなかった同氏は、日雇いバイトをすることもあったという。その時に、バイト前に毎回説明会に行かなければならなかったことが「不便だと思った」(同氏)。「これだけスマートフォンが普及している時代なら、アプリだけでもっとシンプルに完結する仕組みをつくれるはず」と感じたのが、タイミーをローンチするきっかけとなった。

同社が最も苦しかった時期は、日本で新型コロナウイルスが感染拡大した2020年4月頃。それまで企業ユーザーの半数以上を占めていた飲食店が軒並みダメージを受け、タイミーの成長にも陰りが見えた。しかし小川氏は、営業リソースを物流関連企業などに迅速に振り分け直し、大幅に方向転換。現在ではEC倉庫での軽作業といった物流関連がタイミー利用企業の60%以上を占めており、全体の成長率ではコロナ禍前をも凌ぐほどに息を吹き返した。2021年8月時点でタイミーの利用者数は約200万人、導入店舗数は約4万4000カ所に上る。

しかし、小川氏の目指すゴールはまだまだ先にありそうだ。「私達はUberやAirbnbのようなシェアリングエコノミーのサービスを目指しています。その意味でいうと、現時点でのタイミーはただ案件が掲載されているだけのサイトにすぎない。今後は、例えばユーザーの傾向を把握した上でAIがレコメンドする機能であったり、時給が変化するダイナミックプライシングであったりなど、ユーザーのスキマ時間をもっと有効活用できるよう工夫したい」。

自動車や部屋だけではなく、私達が持つ「時間」は紛れもなく貴重な資産である。誰もがスキマ時間をシェアすることで報酬を得られる世界を目指すタイニーは、今後日本の「働き方」の新しい方向性を示す存在になるかもしれない。

画像クレジット:タイミー

旅先のアクティビティ予約アプリ「Headout」が新型コロナによる壊滅的影響から再び急成長

旅行業界は新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けた業界の1つだが、スタートアップ企業のHeadout(ヘッドアウト)も例外ではない。このアプリは観光客がツアーやイベント、アクティビティを当日中に予約できるマーケットプレイスで、2015年にサービスを開始すると世界中に広がった。だが、その後、新型コロナウイルスが発生した。

しかし、現在は国内旅行の復調のおかげでビジネスは再び成長しており、Headoutは2021年1月以降、800%もの成長を遂げたと主張している。同社は米国時間9月8日、Glade Brook Capital(グレイド・ブルック・キャピタル)の主導によって1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したと発表した。同投資管理会社は、Airbnb(エアビーアンドビー)、Meituan(メイトゥアン、美団)、Uber(ウーバー)、Instacart(インスタカート)などのマーケットプレイスにも投資している。今回のラウンドでは、Version One Ventures(ビジョン・ワン・ベンチャーズ)、Nexus Venture Partners(ネクサス・ベンチャー・パートナーズ)、FJ Labs(FJラブズ)、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)、Haystack(ハイスタック)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)が再び投資し、そして新たな投資家としてEspresso Capital(エスプレッソ・キャピタル)とPractical VC(プラクティカルVC)が参加した。

Headoutは、7月にEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の黒字化を達成したという。今回の資金調達は、300都市への進出、製品開発およびその製品、ビジネス、マーケティング、オペレーションの各チームに使用される。同社は世界中で150人以上の雇用を計画しており、旅行やエンターテインメント関連のスタートアップ企業を買収して人材獲得する機会も模索している。

これは新型コロナウイルス感染流行が始まった当時からの大転換を意味する。共同創業者で最高経営責任者を務めるVarun Khona(ヴァルン・コーナ)氏は「ご想像通り、新型コロナウイルスには壊滅的な影響を受けました。2億5000万ドル(約275億円)を超える規模で行っていた私たちの事業は、ほんの数週間で、取るに足らない規模にまで落ち込んでしまいました」と、TechCrunchにメールで語った。

しかし、人々が徐々に旅行を再開する中、Headoutは「2つの大きな追い風」を確認した。1つ目は、かつてないほどの国内旅行の需要。2つ目は、初めてデジタル化する旅行体験プロバイダーの存在だ。同社は2020年の第4四半期から国内旅行に注目し始めたが、米国以外にも英国、EU、アラブ首長国連邦など、ワクチン接種率が比較的高い場所で最も高い需要があると見ている。

「当社では、国内旅行者を惹きつけるためにより多様で、ローカルで、ニッチな新しい体験を提供することを優先しました。これらの体験を提供する家族経営の会社を標準化し、サービスをアップグレードして、オンライン化しました」と、コーナ氏はいう。「それと併せて、私たちはHeadoutを現地の言語で利用できるようにすることに力を入れました。単に機械翻訳するだけではなく、実際に注目を引く刺激的なコンテンツを作成するようにしました」。例えば、スペインでは予約の85%がスペイン語で受注されている。

Headoutが、他のオンデマンド予約マーケットプレイスとどのように差別化されているかを尋ねると、同社は2018年に、それまでの伝統的な予約を主体とするBooking.com(ブッキング・ドットコム)のようなマーケットプレイスから、一貫した品質を確保するためにエクスペリエンスを標準化、アップグレード、ブランディングすることで「より管理されたマーケットプレイス」へと進化したと、コーナ氏は答えた。これによりコンバージョン率が向上し「パートナーにより多くの販売を提供することができるようになり、そのためにより高いテイクレートを要求することができるようになった」ため、収益性の高いユニットエコノミクスにつながったという。

画像クレジット:Headout

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

写真SNS「Dispo」が自分の写真をNFTとして販売することに対するユーザーの関心を調査中

使い捨てカメラを模した写真共有アプリ「Dispo(ディスポ)」は、写真をNFT(非代替性トークン)として販売することに対するユーザーの関心を記録するためのテストを、米国時間9月13日より展開している。一部のユーザーは、自分の写真に「Sell(販売)」ボタンが表示されるようになり、それをタップすると、Dispoの写真を販売する機能が導入された際に通知を受けるための登録をすることができる。

Dispoの共同創業者でCEOを務めるDaniel Liss(ダニエル・リス)氏が、TechCrunchに語ったところによると、DispoはNFT販売をどのようにアプリに組み込むか、まだ決めかねており、そのためにユーザーを対象としたテストを先行して実施しているところだという。現時点では、Dispoがどのブロックチェーンを使用するのか、どこかのNFTマーケットプレイスと提携するかどうか、Dispoが売上の一部をどれだけ取るのか、ということなどはまだ決まっていない。

「このテストの結果から、Dispoアプリのネイティブな体験になると言っていいと思います」と、リス氏はいう。「いくつかの方法は考えられますが、Dispoの中にネイティブな体験として導入し、それがAPIを通じて他のプラットフォームに接続されるという形になるでしょう。そのプラットフォームは我々のパートナーとなるわけですが、コミュニティにとってはDispoアプリのネイティブな体験となります」。

画像クレジット:Dispo

NFT販売は、このソーシャルメディア・アプリの新たな方向性を示すものだ。Dispoというアプリは、翌朝9時にならないとユーザーが撮影した写真を見られないようにすることで、写真共有の体験を再定義しようとした。Dispoの視点によれば、このギミックはユーザーがより本物に近い形で写真を共有することに役立つという。1枚の写真を撮ったらそれでおしまいだからだ。何十枚も自撮りして、それらの中から自分の「最高の1枚」を投稿するという行為には適さない。しかし、このアプリは2019年12月に登場したばかりだが、すでに爆発的な人気と破壊的な論争の両方に直面している。

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1年ほど前まで、このアプリは共同創業者でYouTuber(ユーチューバー)のDavid Dobrik(デヴィッド・ドブリック)氏にちなんで「David’s Disposables(デヴィッドの使い捨てカメラ)」と呼ばれていた。このアプリはリリース後1週間で100万回以上ダウンロードされ、App Store(アップストア)のチャートで1位を獲得。2021年3月には招待制を廃止し、ソーシャルネットワーク機能を搭載してリニューアルしたが、それからわずか数週間後、米国のメディア「Insider(インサイダー)」が、ドブリック氏のYouTubeでの悪ふざけ集団「Vlog Squad(ヴイログ・スクワッド)」のメンバーによる性的暴行疑惑を報じた。これを受けて投資会社のSpark Capital(スパーク・キャピタル)はDispoとの関係を絶ち、ドブリック氏はDispoを離れることになった。また、同社が2000万ドル(約22億円)を調達したシリーズAラウンドに出資したSeven Seven Six(セブン・セブン・シックス)や、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)などの他の投資家は、Dispoへの投資で得た利益を、性的暴行の被害者を支援する団体に寄付すると発表した。

DispoがシリーズAの資金調達を認めた6月に、リス氏がTechCrunchに語ったところによると、ドブリック氏の同社における役割はマーケティング・パートナーであり、CEOはリス氏が当初からを務めているとのことだった。この騒動を受けて、同社は製品自体の改善に注力し、プロモーションからは一歩引いたとリス氏は述べていた。

アプリ分析会社SensorTower(センサータワー)のデータによると、Dispoは配信開始以来、全世界で推定470万インストールに達しているという。アプリのダウンロード回数が最も多かったのは、100万回以上インストールされた2020年1月だったが、次に多かったのは招待性を廃止した2021年3月で、同月には約61万6000人がDispoをダウンロードした。3月から8月末までの間に、このアプリは約140万回ダウンロードされており、2020年の同時期と比較して118%増となっている。ただし、2020年はこのアプリのメンバーシップが招待制によって限定されていたため、2021年1年の数字はさらに伸びると予想される。

画像クレジット:Dispo

今回、NFTを取り入れると発表したことで、Dispoは単に人々の写真を投稿するやり方を変えるだけでなく、プラットフォームとユーザーが作成するコンテンツの関係を変えることができると、リス氏は期待している。

「なぜNFTなのか?私たちの人生で最も強力な思い出には価値があります。それは私たちが作ったものだからこそ、経済的価値がある。これまでのソーシャルメディアは、そのことを認識していませんでした」と、リス氏はTechCrunchに語った。「その結果、多くのフォロワーを持つクリエイターが報酬を得るためには、企業に直接売り込むしかありませんでした。それはコンテンツ自体から利益を得ることとは対照的です」。

NFT販売をアプリに追加することは、Dispoにユーザーの売上から利益を得る方法を提供することになる。だが、これまでコミュニティを中心としてきたDispoの雰囲気に、それがどのような影響を与えるのかという疑問が残る。

「非常に大きな好奇心と関心があると思います」と、リス氏はいう。「しかし、このような問題や疑問もあるため、私たちはより多くのデータを必要としているのです」。

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画像クレジット:Dispo

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TikTokとSnap元社員が作ったソーシャル音楽作成アプリmayk.itが約4.4億円調達

新型コロナパンデミックという世界的な大混乱を経験し、多くの労働者が自分のキャリアパスを再検討し始めている。TikTok(ティックトック)のグローバルマーケティング責任者を経て、Cameo(カメオ)のチーフ・マーケティング・オフィサーとなったStefan Heinrich Henriquez(ステファン・ハインリッヒ・ヘンリケス)氏もそのうちの1人だ。

「TikTok時代から音楽のことを考えていて、本当は自分で何かを作ってみたいと思っていたのですが、最終的に行動に移す勇気を出すまでにさらに1年かかりました。その後、パンデミックが始まったとき、多くの人が『自分は何のために生きているのだろう』というようなことを考えていたと思います」。とヘンリケス氏はいう。

ヘンリケス氏は、Snap(スナップ)のSpectacles(スペクタクルズ)のソフトウェアエンジニアだった共同設立者のAkiva Bamberger(アキバ・バンバーガー)氏とともに、2020年夏に「mayk.it(メイクイット)」の開発を開始した。米国時間9月7日、このソーシャルミュージックアプリがiOSに登場し、Greycroft(グレイクロフト)、Chicago Ventures(シカゴ・ベンチャーズ)、Slow Ventures(スロウ・ベンチャーズ)、firstminute(ファーストミニッツ)、Steven Galanis(スティーブン・ガラニス)氏、Randi Zuckerberg(ランディ・ザッカーバーグ)氏、YouTuberのMr.Beasts(ミスター・ビースト)のNight media(ナイトメディア)、Spotify(スポティファイ)初代CMOのSophia Bendz(ソフィア・ベンツ)氏、Cyan Banister(シアン・バニスター)氏、アーティストのT-Pain(ティペイン)氏、音楽業界のベテランZach Katz(ザック・カッツ)氏などの投資家から400万ドル(約4億3900万円)のシードラウンドを受けたことを発表した。

mayk.itは、人々がスマートフォンだけで音楽を簡単に制作、所有、そして共有できるようにしたいと考えている。ユーザーは、自分で作ったビートをアップロードするか、他のユーザーが作った既存のビートを選択して、ボーカルを加え(恥ずかしければ、ボイスエフェクトや少し古臭い歌詞制作ジェネレータも利用できる)、Giphy(ギフィ)からビジュアルを追加する。作ったものをアプリ上に投稿すると、他のユーザーがディスカバリーページで閲覧することができる。ディスカバリーページでは、ジャンルではなく、フィーリングやテーマによって音楽が分類されている。

mayk.itでは「ペットは今、何を考えていますか」「初恋の人についての歌を作ってください」など「アイデア」や創造性を刺激するものも用意されている。また、曲を左右にスワイプできるTinder(ティンダー)のようなタブもあり、気に入った曲があれば、コメント(応援の意味を込めて「エンカレッジメント(激励)」と呼ばれている)を残したり、リミックスしたりすることができる。

画像クレジット:mayk.it(スクリーンショット)

もちろん、自分の作品にもう少し真剣に取り組みたいと思っているクリエイターにとって、リミックスやコラボレーションは、所有権の問題を引き起こす。誰かが作ったビートに他のユーザーが歌を乗せた場合、それは誰のものになるのだろうか?mayk.itでは音楽を収益化することはできないが、それをエクスポートして他の場所で販売する権利はある。ヘンリケス氏によると、アプリ上のオーディオクリップや曲の制作に関わった人は誰でも等しく分け前を得ることができるそうで、ビートメーカーは利益の50%、シンガーは50%を得ることができる。mayk.itが利益を受け取ることはない。

現状、mayk.itにはアプリ内課金はないが、ヘンリケス氏は、将来的にはブランドと協力したり、アプリ内のマーケットプレイスを確立したりすることで、利益を得ることができるかもしれないと述べている。今のところ、mayk.itはシード資金を使って、新機能の追加、製品の改善、創造性を刺激するツールの構築に注力している。ヘンリケス氏は、LGBTQ+である創業者として、ユーザーがアプリのソーシャル機能を通じてコミュニティを見つけられることが重要だと考えていると付け加えた。

「YouTubeで働いていた頃は、Adobe Premiere(アドビ・プレミア)やAfter Effects(アフターエフェクツ)の知識が必要でした。そして、Musical.ly(ミュージカリー)やTikTokで学んだことは、これらのことを経験しなくてもビデオクリエイターや役者になれるということです。ゲームではRoblox(ロブロックス)が、デザインツールではCanva(キャンバ)がそれを実現していると思います」。

mayk.itは、音楽の作曲や共有ができるRobloxやCanvaのような存在になりたいと考えている。現在のところ、mayk.itでは、Ableton(エイブルトン)をマスターしたアーティストが作ったようなサウンドを作ることはできないが、mayk.itで作ったもので、簡単にTikTokで話題にすることはできる。

mayk.itはApp Storeで公開されているが、アクセス権を得るためのウェイティングリストがある。また「vibe check(バイブ・チェック)」で自分のスキルを試すこともできる。これは、曲を作って、既存のユーザーがあなたを受け入れてくれるかどうかを確認するためのものだ。自慢ではないが、私たちは合格した。

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画像クレジット:mayk.it

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Akihito Mizukoshi)

マーベルの定額コミック読み放題アプリ「Marvel Unlimited」がアップデート

Marvel(マーベル)が定額制コミックアプリ「Marvel Unlimited(マーベル・アンリミテッド)」の新バージョンをリリースした。今回のアップデートでは、スマートフォンやタブレット端末の画面に合わせてデザインされた高解像度の縦型コミック「Infinity Comics(インフィニティ・コミックス)」の配信が始まている。当初は27作品のInfinity Comicsが提供されているが、年内には100作品以上が読めるようになる予定だ。その中には「X-Men Unlimited(エックスメン・アンリミテッド)」「Captain America(キャプテン・アメリカ)」「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」「Deadpool(デッドプール)」「Shang-Chi(シャン・チー)」「Venom / Carnage(ヴェノム / カーネイジ)」などのシリーズが含まれる。

すべてが新しく、すべてが違うMarvelUnlimitedを体験せよ。

マーベルコミックを読むために必要なものがすべて揃ったアプリ! マーベル・ユニバースに飛び込むためのアップデートされた機能をご紹介します。

マーベル・エンターテインメント

Disney Media & Entertainment Distribution(ディズニー・メディア&エンターテインメント・ディストリビューション)の協力を得て一から作り直されたこのアプリでは、コミックをオフラインで読むための無制限のダウンロードが可能になり、コンテンツを別の場所で共有することができるようになった。他にもマーベルは、合理化されたデザイン、安定性の向上「クラス最高のスピードと検索ツール」、自分の好みに基づいてカスタマイズされる読書ガイドなどの改良を約束している。また、Marvel Insider(マーベル・インサイダー)のメンバーは、このアプリを利用することでポイントを貯めることもできる。

月額プランは10ドル(約1100円) / 月、標準年間プランは69ドル(約7600円) / 年。年間99ドル(約1万900円)の「アニュアル・プラス」プランは、月額プランや標準年間プランの特典に加え、メンバーシップキット、イベントへの招待、shopDisney(ショップディズニー)での割引などが含まれる。

Marvel Unlimitedには現在、2万9000冊以上のコミックが登録されており、毎週追加されていく。しかし、紙のコミックが店頭に並んでから作品がアプリに反映させるまでには、少なくとも3カ月のギャップがある。

今回のアップデートは、とっくに更新されるべき時期が過ぎたと思われていたアプリにとって、歓迎すべきものだ。Disney+(ディズニープラス)でマーベルの「What If…?(ホワット・イフ…?)」シリーズを観ていて、あるいはMarvel Cinematic Universe(マーベル・シネマティック・ユニバース)で他の作品を観ていて、コミックも読んでみたいと思っていた人は、この機会にMarvel Unlimitedを試してみてはいかがだろうか。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Kris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Marvel

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがApp Store外での決済方法への誘導ブロック禁止に、Epic Gamesとの裁判で

カリフォルニア州で行われているEpic Games対Appleの訴訟において、米国時間9月10日朝、判事がサードパーティによる支払いに関して「Fortnite」のメーカーに味方する判決を下した。事実上、判事はAppleが開発者に対して、AppleはApp Storeベースの収益化以外の代替決済のリンクを追加することを禁止することはできないという判決を下している。

Epic Gamesは、ゲーム購入が現金収入源であるiOSの料金をAppleが管理していることに長年悩まされてきた。

今回の判決では、以下のように述べられています。

Apple Inc.およびその役員、代理人、使用人、従業員ならびにこれらの者と積極的に協力または参加している者(以下「Apple」)は、開発者が(i)アプリ内での購入に加えて、購入メカニズムに顧客を誘導するボタン、外部リンク、その他の行動喚起をアプリとそのメタデータに含めること、および(ii)アプリ内でのアカウント登録を通じて顧客から自発的に取得した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることを禁止するよう、永久的に拘束および差し止められるものとする。

この判決は、Appleと大規模開発者、特にApp Storeにおいてその収益の70%を占めるゲームカテゴリーの開発者との間で何年にもわたって繰り広げられてきた争いの結果だ。

2020年8月、Epic Gamesの「Fortnite」アプリが、Appleのアプリ内課金の枠組みを回避できる新しい決済方法を導入したことを理由にAppleから禁止された。その後、Epic GamesはAppleは決済システムの使用を企業に強制することで市場で力を乱用していると主張してAppleを提訴している。また、Epic GamesはGoogleも提訴し、他のアプリ開発者と共同でCoalification for App Fairnessを結成し、米国の州レベルでの法案作成のための個別の取り組みに関与するなど、アプリストア改革のための積極的な働きかけを行ってきている。

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その中には、日本の規制当局との和解により「リーダーアプリ」(購入したコンテンツへのアクセスを提供するアプリ)のポリシーを変更し、ユーザーがサインアップしたりアカウントを管理したりできる自社のウェブサイトを紹介できるようにしたことも含まれている。また、別の和解案には、アプリ内で収集した顧客の連絡先情報を使い、他の支払い方法を顧客に伝えることを許可するというものもある。韓国では、新しい法律によりAppleとGoogleは開発者が独自のサードパーティ製決済システムを使用することを認めざるを得なくなった。法律成立後、Epic Gamesは同市場のApp Storeに「Fortnite」を復活させることを求めたが、Appleはその要求を拒んでいる。

Appleは、App Storeのルールを環境の変化に適応させることを拒否し続けているのは、消費者保護のためだと歴史的に主張してきた。以前の声明では、アプリ内課金の代替手段を認めることは、ユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシーを損なう可能性があるとしていた。

今回の判決により、Appleは開発者に対して、支払いができる他の場所へのボタンやリンクを含めるという選択肢を認めることで対応せざるを得なくなった。しかし「独占」とみなされなかったという意味では、Appleの勝利だ。Yvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャース)連邦地裁判事は、AppleとEpic Gamesの両社が関連市場をどのように定義しているかについて同意しておらず、モバイルゲームのデジタル取引において、Appleは独占していないと述べている。

「法廷は、Appleが55%以上というかなりの市場シェアと非常に高い利益率を享受していることを認めているが、これらの要素だけでは反トラスト行為であると示すことはできない。成功は違法ではない」とロジャース氏は述べている。

Appleの広報担当者は「本日、裁判所はApp Storeが独占禁止法に違反していないという、我々がずっと知っていたことを確認した」と述べている。「裁判所が認めたように『成功は違法ではない』のです。Appleは、事業を展開するすべての分野で厳しい競争に直面していますが、お客様や開発者がAppleを選ぶのは、Appleの製品とサービスが世界で最も優れているからだと信じています。私たちは引き続き、App Storeが安全で信頼できる市場であり、繁栄する開発者コミュニティと210万人以上の米国内の雇用を支え、ルールが誰にでも平等に適用されるよう尽力していきます」という。

この度の判決は、開発者コミュニティには長期的な影響を与える可能性がある。というのも、Appleは他の支払い方法を示すアプリに対応するために、規則を調整しなければならないためだ。例えば、アプリにApple独自のアプリ内決済オプションを選択肢として含めることを要求するようになるかもしれない。また「リーダーアプリ」を別のカテゴリーとして認定することは、今回の新しい要件を考慮すると、もはや意味がないと判断することもできる。これらに関する動きや決定は、今後数日のうちに展開されるだろう。

Epic Gamesが勝利できなかったのは、Appleを「独占企業」と呼んでしまったからだ。これは最終的には米国政府の規制につながる可能性のある、はるかに大きな問題だ。また、Appleはサードパーティのアプリストアやサイドロードを許可する必要はないが、App Storeビジネス全体の長期的な見通しに大きな影響を与える可能性がある。消費者にとっては、購入や価格設定のためにアプリを終了しなければならないためApp Storeがより複雑になる可能性がある。消費者が外部の決済システムを利用する場合、すべての購読契約を一括して管理することができなくなり、解約がより困難になる可能性もある。

訴訟の結果、ロジャース氏は、Epic Gamesが「Fortnite」に代替決済システムを導入した際に得た1200万ドル(約13億2000万円)のうち30%をAppleに支払わなければならないという判決を下したが、これは当時、Appleとの法的契約に違反していたためだ。

判決を受けて、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は「Fortnite」は「Appleのアプリ内課金との公正な競争」のもと、アプリ内課金を提供できる時と場所でApp Storeに復帰し、その節約分を消費者に還元するとツイートしている。

「また、非常に複雑な訴訟を迅速に対応してくれた裁判所にも感謝しています。私たちは、これからも戦い続けます」。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Brian Heater、Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Epicがアプリ決済の強制禁止法成立後の韓国で「フォートナイト」復活を要請、アップルは拒否

人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」の開発元Epic Games(エピックゲームズ)は、米国のゲームメーカーである同社が韓国でiOS版Fortniteを再リリースし、EpicとApple(アップル)両方の決済手段を選択肢として提供することを計画しているため、Appleに韓国でのFortnite開発者アカウントの復活を要請したとツイートで発表した。

今回の要請は韓国が8月下旬に、開発者がサードパーティ決済システムを利用できるようにすることをAppleや他のテック大手に義務付ける電気通信事業法改正案を可決したことを受けたものだ。

Fortniteの公式Twitter(ツイッター)アカウントでEpicは「Epicは韓国の新しい法律に準拠して、Epicの決済とAppleの決済の両方を並行して提供し、韓国でiOS版Fortniteを再リリースする予定です」と述べている。

「当社がこれまでも言ってきたように、Epicが他の会社と同じルールでプレイすることに同意するのであれば、EpicのApp Storeへの復帰を歓迎します。Epicは契約違反を認めており、現在のところ、開発者アカウントを復活させる正当な根拠はありません」とAppleは表明して申請を拒否した。

Epicはすべてのアプリに関して適用されるAppleのApp Storeレビューガイドライン順守に同意する必要があるが、一貫してガイドラインを遵守しておらず、今回のAppleへの申請はEpicの立場を変えるものではない、とAppleは声明で付け加えた。

まだ発効していない関連法が仮に韓国国内で法制化されたとしても、Appleに開発者プログラムのアカウント申請を承認する義務は課せられないと同社は指摘している。

2020年8月、EpicがFortniteにAppleのアプリ内課金要件に違反する直接決済システムを導入したため、AppleはFortniteをApp Storeから追放した。以来両社は、App Storeの決済システムを巡って法廷で争ってきた。

Appleは、開発者が外部のウェブサイトにリンクできるようにアプリポリシーを変更しており、今月、2021年9月2日には「リーダー」アプリの開発者が自社サイトへのリンクを設置できるようにしたことで、日本の公正取引委員会と和解している。

Epic Gamesの広報担当者にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

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画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

フィットネスを「賭けごと」にして負ける恐怖を続けるモチベーションにするアプリCadooが約1.7億円調達

米国を拠点とするスタートアップ企業、Cadoo(カドゥー)は、この度Sam Altman(サム・アルトマン)と Max Altman(マックス・アルトマン)兄弟が率いるApollo VC(アポロベンチャーキャピタル)と、学生を中心としたDorm Room Fund(ドームルームファンド)から150万ドル(約1億6500万円)のシード資金を調達した。Cadooはフィットネスを賭け金を賭けられるようにゲーミフィケーション化して、賭け金を獲得できるという期待、または賭け金を失うかもしれないという恐怖を運動の動機にしようとしている。

同社のアプリ自体は2018年から存在していたが、2020年3月には「チャレンジモデル」を開始。ユーザーはお金を賭けて、10日で16km走る、3日で5km歩くなどのフィットネス目標を設定したチャレンジに参加することができる。

目標を達成した参加者には賭け金が返還され、目標を達成できなかった参加者の賭け金も比例配分で分配される。

このチャレンジモデルには「毎日の歩数」から「マラソンのトレーニング」まで、さまざまなフィットネスレベルが用意されていて、毎週約50の公開チャレンジが開催されている。

2021年7月からは非公開チャレンジも追加され、ユーザーは自分自身や家族、友人、さらには会社やクラブ、学校などの大規模なグループのためのフィットネスチャレンジを開催することができるようになる。

チャレンジのアクティビティは、アクティビティトラッカーやフィットネスアプリから取得したAPIデータをアプリが検証して確認する。犬にFitbitを装着してもばれてしまうという訳だ。

Cadooアプリは、Strava、Fitbit、Apple Healthなど、数多くのサードパーティ製フィットネスサービスに対応している。

CEOかつ創業者のColm Hayden(コルム・ヘイデン)氏は、このスタートアップを「自分のフィットネス目標を実現するためのDraftKings(ドラフトキングス、スポーツ賭博やファンタジースポーツを手がける米国の企業)」と表現する。

TechCrunchの取材に対し、ヘイデン氏は「25~50歳のフィットネス愛好家が、毎月/毎週のフィットネス目標を達成するためにCadooを利用しています」と話し、次のように続ける。「真剣に目標を達成するには、自分の情熱を支えてくれる強烈なモチベーションが必要です」。

ヘイデン氏によると、Cadooアプリはこれまで約7000人の賭けごと好きのユーザーに支持されてきたという。

Cadooのビジネスモデルは、チャレンジの敗者の賭け金を没収して、その賭け金を勝者に分配するというものだ。そのため、下手をすると、ユーザーがクリアできないような難しいチャレンジを設定してしまう可能性もある。

しかし、どのチャレンジに参加して賭け金を賭けるかを決定するのはユーザーだ。

同社によれば、Cadooのチャレンジに参加したユーザーの90%がチャレンジを成功させている、という。

ヘイデン氏は、将来的には、勝者にフィットネス製品を提供し、その製品からマージンを取ることで、マネタイズの可能性を広げることも考えている。さらに、ランニングやウォーキングだけでなく、(アプリで検証できる)他の種類のフィットネス目標にも拡大していきたいとのことだ。

「私たちは、誰もが目標に到達できるモチベーションプラットフォームの構築に取り組んでいます」とヘイデン氏。「金銭的なインセンティブは強烈なモチベーションになり、Cadooのチャレンジに参加したユーザーの90%はフィットネス目標を達成しています。ランニングだけではなく、将来的にはオンラインで検証可能なほとんどのフィットネス目標に対するインセンティブとなるようにしていきます」。

米国ベースのCadooアプリはPayPalを通じた支払いで利用できる。ヘイデン氏によれば、少なくともPayPalが利用できる場所であれば、海外からの参加にも対応できる、とのことである。

今回のシード資金調達ラウンドについて、Apollo VCのアルトマン兄弟は声明の中で次のようにコメントしている。「金銭的なインセンティブを用いるCadooアプリは、ユーザーのフィットネスに対するモチベーションを簡単に向上させることができます。Cadooが開拓しているモチベーション産業はデジタルマネーの重要なユースケースになる、と私たちは考えています」。

Cadooによると、同社は以前、Tim Parsa(ティム・パーサ)氏率いるCloud Money Ventures Angel Syndicate(クラウドマネー・ベンチャーズエンジェル・シンジケート )、Wintech Ventures(ウィンテックベンチャーズ)、Daniel Gross(ダニエル・グロス)氏率いるPioneer(パイオニア)から、エンジェルラウンドで35万ドル(約3900万円)を調達していた。

健康関連のゲーミフィケーションは目新しいものではない。歩数や距離、消費カロリーなどを簡単に記録できるウェアラブルデバイスによって、フィットネスの分野ではデータに基づく定量化や目標を掲げた動機付けが何年も前から行われている。

ここに「賭け金」という要素が加わると、さらに競争心を煽られ、賭けごとの好きなユーザーが健康を維持するためのモチベーションを高めることができる。

このような取り組みを行うフィットネスに特化したスタートアップ企業はCadooだけではない。ダイエットに限らず、アクティブに活動したユーザーに報酬を支払うアプリは数多く存在する(直接的な支払いではなく「報酬」と交換できるデジタル通貨を支払うアプリもある)。この分野の他の企業としては、HealthyWage(ヘルシーウェージ、2009年のTechCrunch50でも取り上げている)、Runtopia(ラントピア)、StepBet(ステップベット)などがある。

関連記事:Apple Fitness+はジムの代わりにはならないが汗を流すには十分

画像クレジット:Henrik Sorensen

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

スマホを使った観光向け交通関連サービスHoraiのscheme vergeが2.2億円調達、事業者向けにHorai for Bizを開発

スマホを使った観光向け交通関連サービスHoraiのscheme vergeが2.2億円調達、事業者向けにHorai for Bizを開発

「都市の再発明」を目指すアーバンエンジニアリング企業scheme vergeは9月10日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約2億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家の環境エネルギー投資、また山口キャピタル、サムライインキュベート。累計調達額は約2.9億円となった。

また、今後のスマートシティ領域への展開を見据え、松尾豊氏(東京大学教授・人工知能学会理事)および大口敬氏(東京大学教授・次世代モビリティ研究センター長)をアドバイザーに招聘し、最新の知見を取り入れた事業開発・プロダクト開発を推進する体制を整えた。

2018年7月設立のscheme vergeは、多様化・個人化が進む観光客のニーズに応えることに特化した、スマートフォンを使った交通関連サービス「Horai」を開発。2019年には瀬戸内のアート巡りを海上モビリティの面から支援するHoraiアプリ(Android版iOS版)をリリースしており、ユーザーは、写真から好みのアートサイトをアプリ内で選び、島をめぐる旅程を手軽に作成できるようにしている。移動手段にはフェリー・旅客船が表示されるほか、乗り合い海上タクシーの予約も可能。国土交通省の「新モビリティサービス推進事業」「日本版MaaS推進・支援事業」に採択されるなど、MaaSやスマートシティ構築、あるいは観光DXのソリューションとして採用されているという。

また、Horaiの開発を通じて構築したシステムを展開することで、三重県伊勢市や神奈川県三浦半島、長崎県五島列島など様々な地域におけるMaaSの構築にも活用されており、「スーパーシティ」事業においても「連携事業者候補」に全国5つの自治体で採択されている。

調達した資金は、プロダクト開発体制の強化と、各地での事業開発を推進するための人材採用・体制強化を中心に投資する予定。具体的には、観光・飲食・小売などローカルビジネス向けに、複数業態・事業をまたいだワークフロー構築や顧客管理の電子化が行える事業者向けプラットフォーム「Horai for Biz」の開発を進めており、MaaSや観光DXを進めるうえでの課題解決に役立てるとしている。

Horaiアプリにおいても、「エンドユーザー(観光客)の使いやすさに寄り添ったUIUXの改善」「ローカルサービス(訪問先)のさらなる掲載数増」「旅程作成アルゴリズムの大幅な精度向上」によって、大幅な改良に取り組む(今冬リニューアル予定)。

また、主な資金使途であるプロダクト開発とは別に、scheme vergeの核である「アーバンエンジニアリング」の確立に向け、建築情報スペシャリストやデータサイエンティストを含めたプロフェッショナルサービス体制への投資を進めているという。東京大学杉山将研究室や建築情報学会、Agoopなど様々なバックグラウンドをもったメンバーを集めており、学生・社会人を問わず広く採用を行っている。

これら採用に加え、アドバイザーに就任した松尾豊氏と大口敬氏と連携して、データ利活用に戦略的に取り組み、AI・ディープラーニングの社会実装に関する知見と、交通・都市マネジメントに関わる知見を掛け合わせることで、「エリアマネジメント」や「不動産利活用」の最適化とノウハウ可視化に取り組む。

一部エリアにおいては、実際にビーコンやスマートロック、予約管理システムを前提とした施設の運営・プロデュースや、それらからのデータを用いた複数施設の開発・運営計画の立案などが進展している状況という。

さらに、瀬戸内や大阪など、ビジネスの現場にブランチを形成し、各地のエリア課題を調査しながら、解決のロードマップを設定する体制も構築。これにより、スマートシティ・スマート社会・スマート観光の領域において、「様々なシステムを導入するだけでなく、地域(エリア)全体として既存・新規のデータ利活用に戦略的に取り組みたい」といった問題意識をもった顧客と共同で、エリア課題の解決・新規価値創出に取り組むとしている。

ミュージシャンが自分たちのために作ったiPhone用音楽録音アプリ「Tape It」登場

2021年3月にAppleは、ミュージシャンがすぐに音を録り新曲のアイデアを育てることのできるiPhoneアプリ「Music Memos」の新規ダウンロードを正式に停止した。そして現在、「Tape It」という新しいスタートアップがオーディオの録音を便利にするアプリの空白地帯を埋めようと参入している。このアプリは優れた音質と楽器の自動検出、そしてマーカーやメモ、画像のサポートなどの機能を備えている。

Tape Itのアイデアはミュージシャンである友人同士の2人、Thomas Walther(トーマス・ワルサー)氏とJan Nash(ジャン・ナッシュ)氏から生まれた。

ワルサー氏は自身が共同で創業したオーディオ検出スタートアップのSonalyticが2017年にSpotifyに買収された後、3年半Spotifyに在籍した。もう1人のナッシュ氏はクラシックの教育を受けたオペラ歌手で、ベースを演奏しエンジニアでもある。

この2人に、デザイナーでミュージシャンのChristian Crusius(クリスチャン・クルシウス)氏が加わった。クルシウス氏はAccentureに買収されたデザインコンサルティング会社のFjordに在籍していた。

長年ともにバンド活動をしていた創業者チームが自分たちの欲しいものからTape Itの開発を思いついたとワルサー氏はいう。同氏はSpotifyの新しい部署であるSoundtrap(これも2017年にSpotifyが買収したオンラインミュージックスタートアップ)での勤務を終えた後、音楽制作に関わる仕事にもっと取り組みたいと考えるようになった。Soundtrapは一部の人には役に立ったが、同氏やバンド仲間が求めるようなものではなかった。同氏らが求めていたのは、スマートフォンで音楽を録音できるシンプルなツールだった。ミュージシャンが現在Appleのボイスメモアプリでよくやっているように、そしてダウンロード停止となるまでの短い間はMusic Memosアプリでやっていたように。

画像クレジット:Tape It

ワルター氏は「アマチュアであってもプロのツアーミュージシャンであっても、自分のスマートフォンでアイデアを録音するでしょう。スマートフォンはいつも持ち歩いているからです。カメラとまったく同じです。最高のカメラはいつも持っているカメラです。そして最高のオーディオ録音ツールはいつも持っているツールです」と説明する。

つまり録音をしたいときの最も簡単な方法は、ノートPCを開いて何本もケーブルを接続し、それからスタジオソフトウェアを起動することではない。iPhoneで録音ボタンをタップすることだ。

Tape Itアプリはまさにその通りに使えるが、iPhone標準のボイスメモアプリより優位な機能も備えている。

録音する際に、Tape ItはAIを活用して自動で楽器を検出し、カラフルなアイコンを付けて録音データを見つけやすくする。録音のファイルに自分でマーカーを付けたり、詳細を忘れないようにメモや写真を追加したりすることもできる。これは後で録音を確認する際に便利でしょう、とワルサー氏はいう。

画像クレジット:Tape It

同氏は「かっこいいギターのサウンドが録れたら、アンプのセッティングを写真に撮って追加できます。これはミュージシャンがよくやっていることです。サウンドを再現する最も簡単な方法です」と説明する。

シンプルでありながら斬新な機能としては、文章の段落を区切るかのように長い録音データを複数の行に分割できる。同社はこれを「タイム・パラグラフ」と呼んでいる。デフォルトでは水平方向にスクロールする1つの録音データになっているのが一般的だが、分割することで長いセッションを聴きやすくなると同社は考えている。

画像クレジット:Tape It

スマートな波形とオプションのマーカーや写真のおかげで、録音の目的の箇所に戻りやすい。録音をお気に入りに追加すれば、最高のアイデアやサウンドの一覧をすぐに表示できる。iOSのメディアセンターと統合されているので、いつでも時間があるときに音楽を再生できる。

Tape Itの際立った特徴は「Stereo HD」の音質をサポートしていることだ。iPhone XSやiPhone XRといった新しめのモデルに内蔵されている2つのマイクを利用し、社内で開発したAIテクノロジーやノイズ低減技術などを使って音質を向上している。この機能は年額2200円のサブスクで利用できる。

今後Tape ItはAIなどのテクノロジーを開発してさらに幅広く活用し、音質を向上させる予定だ。コラボレーション機能、録音データの読み込みやプロ用スタジオソフトウェアへの書き出しのサポートも計画している。こうなっていくと最終的にTape Itは、SoundCloudがコンシューマ向けサービスにシフトする前に目指していたのと同じ市場に参入していくことになるだろう。

しかし共有機能を追加する前に、まずはシングルユーザーのワークフローを確立したいとTape Itは考えている。

ワルサー氏は「自分専用の便利なものを作るのが重要であると判断しました。コラボレーション機能があったとしても、使うのが好きでないものは使われなくなるでしょう」という。

Tape Itの3人はストックホルムとベルリンに拠点を置いている。現在はブートストラップの段階だ。

iOS版アプリは無料でダウンロードできる。MacとWindowsで使えるデスクトップ版は後日リリースされる。Android版は計画されていない。

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画像クレジット:Tape It

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

設立10周年を前に黒字化を達成した元Nokiaスタッフが企業したJolla、モバイル以外の展開も視野に

約10年前、Nokia(ノキア)のスタッフ数人が、Google(グーグル)のAndroidに代わるLinuxベースのモバイルOSを開発するために設立したフィンランドのスタートアップ企業Jolla(ヨーラ)。現在Sailfish OSを手がける同社は、現地時間8月25日、黒字化を達成したことを発表した。

モバイルOSのライセンス事業を行っているJollaは、2020年を事業の「ターニングポイント」と位置づけていた。売上高は前年同期比53%増、EBITDAマージン(利払い前・税引き前・減価償却前利益を売上高で割った比率。経営効率を示す)は34%となった。

Jollaは、新しいライセンス製品(AppSupport for Linux Platforms)の提供を開始したばかりだ。この製品は、その名の通り、Linuxプラットフォームに一般的なAndroidアプリケーションとの互換性をスタンドアロンで提供するもので、顧客はSailfish OSのフルライセンスを取得する必要はない(もちろん、Sailfish OSは2013年からAndroidアプリケーションに対応している)。

Jollaによると、AppSupportは初期の段階から、自社のインフォテインメントシステム(情報と娯楽を提供するシステムの総称)を開発するためのソリューションを探している自動車会社の「強い」関心を集めているという。AppSupportがあれば、Googleの自動車向けサービスを使わずに、車載のLinux互換プラットフォームでAndroidアプリケーションを実行できる、というのがその理由だ。多くの自動車メーカーがAndroidを採用しているが、Jollaが提供する「Googleフリー」の選択肢には、さらに多くのメーカーが興味を持ちそうだ。

車載のLinuxシステムにもさまざまなユースケースが考えられる。例えばIoTデバイスで人気の高いアプリケーションを実行できるようにして顧客に付加価値を提供する、といった幅広い需要が期待できる。

CEOで共同創業者のSami Pienimäki(サミ・ピエニマキ)氏は次のように話す。「Jollaは順調に成長しています。2020年、正式に黒字化できたことをうれしく思っています」。

ピエニマキ氏は「資産や会社が全体的に成熟してきたことで、顧客が増え始めています。私たちは少し前から成長に注力し始めました」と述べ、同氏のトレードマークでもある控えめな表現で好調な数字の理由を説明する。「Jollaは10月に設立10周年を迎えますが、ここまで長い道のりでした。この過程で、私たちは着実に効率性を高め、収益を向上させることができました」。

「2019年から2020年にかけて、私たちの収益は50%以上伸び、540万ユーロ(約7億円)となりました。同時に運用コストベースもかなり安定してきたので、それらが相まって収益性を高めることができました」。

消費者向けのモバイルOS市場は、ここ数年、GoogleのAndroidとApple(アップル)のiOSにほぼ独占されているが、JollaはオープンソースのSailfish OSを政府や企業にライセンス供与し、Googleの関与を必要としない、ニーズに合った代替プラットフォームとして提供している。

意外かもしれないが、ロシアは同社が早くから参入した市場の1つである。

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ファーウェイがAndroidに代わるスマホ向けHarmonyOSを正式発表

近年では、地政学的な緊張が技術プラットフォームにもおよび、場合によっては外国企業による米国の技術へのアクセスが(破廉恥にも)禁止されるなど、デジタル主権の主張が強まり、特に(米国以外の)独立したモバイルOSプラットフォームプロバイダーの必要性が高まっている。

これに関連して、6月には中国のHuawei(ファーウェイ)が、Androidに代わる独自のスマートフォン「HarmonyOS」を発表している。

ピエニマキ氏はこの動きを歓迎し、Sailfish OSが活躍する市場の妥当性を示しているとしている。

HarmonyOSがSailfishのパイを奪ってしまうのではないかという質問に対し、同氏は次のように答える。「私は、HuaweiがHarmonyOSの価値提案や技術を出してきたことを、必ずしも競合するものとは考えていません。むしろ、市場にはAndroid以外の何かへの要求があることを証明しているのだと思います」。

「Huaweiは彼らの市場を開拓し、私たちも私たちの市場を開拓しています。両者の戦略とメッセージは、お互いにしっかりとサポートし合えていると思います」。

Jollaは、数年前からSailfishの中国進出に取り組んできたが、この事業は現段階ではまだ進行中である。しかし、ピエニマキ氏によれば、Huaweiの動きは、極東地域におけるAndroid代替製品のライセンス事業拡大という目標を妨げるものではないという。

「中国市場では一般的に健全な競争が行われ、常に競合するソリューション、激しく競合するソリューションが存在しています。Huaweiはその中の1つであり、私たちもこの非常に大きく難しい市場にSailfish OSを提供できることをうれしく思います」。

「私たちは中国で良い関係を築いており、中国市場に参入するために現地のパートナーと一緒に仕事をしています」とピエニマキ氏は続ける。「Huaweiのような大企業がこの機会を認識することは非常に良いことだと思っています。これにより、業界全体が形成され、Androidを選択せざるを得ない状況は解消されました。他に選択肢があるのですから」。

Jollaによると、AppSupportについては、自動車業界が「このようなソリューションを積極的に探している」という。同社は「デジタルコックピットは自動車メーカーにとって他社と差別化するための重要な要素」と指摘し、自動車メーカー自体がコントロールできる戦略的に重要な要素であると主張する。

「ここ数年、この分野はポジティブな状況にあります。Tesla(テスラ)のような新規参入企業が自動車業界を揺るがしたことで、従来のメーカーはコックピットでどうやってユーザーに楽しんでもらうか、という点について、これまでとは異なる考え方をする必要に迫られています」とピエニマキ氏。

「この数年間の多額の投資により、この業界は急速な発展を遂げてきました。しかし同時に、私たちは、私たちの限られたリソースの中で、この技術のチャンスがどこにあるのかを学んでいるところだということを強調しておきたいと思います。(Sailfish OSは)自動車分野での利用が多いのですが、他の分野、たとえばIoTや重工業などでも可能性があると考えています。私たちはオープンに機会を探っています。でも、ご存じの通り、自動車は今とてもホットな分野ですからね」。

「世界には一般的なLinuxベースのOSが数多く存在していますが、私たちはそれらのOSに優れた付加技術を提供することで、厳選されたアプリケーションを利用できるようにしています。例えばSpotifyやNetflix、あるいは特定の分野に特化した通信ソリューションなどが考えられます」。

「そのようなアプリケーションの多くは、当然ながらiOSとAndroidの両方のプラットフォームで利用できます。そして、それらのアプリケーションを単に存在させるだけでなく、Linuxプラットフォーム上で独立して実行することができれば、多くの関心を集めることができます」。

Jollaはもう1つの展開として、AppSupportの販売促進とSailfishライセンスビジネスのさらなる成長のために、2000万ユーロ(約26億円)を目標とした新たな成長ステージの資金調達の準備を進めている。

ヨーロッパは現在もモバイルOSライセンスビジネスの最大の市場であり、Sailfishの成長の可能性が見込まれている。また、ピエニマキ氏は、アフリカの一部の地域でも「良い展開」が見られると述べている。中国への進出をあきらめたわけでもない。

この資金調達ラウンドは2021年の夏に投資家に公開され、まだクローズされていないが、Jollaは資金調達を成功させる自信があるという。

「私たちはJollaストーリーの次の章を迎えようとしています。そのためには新しい機会を探る必要があり、そのための資本が必要で、私たちはそれを探しています。投資家サイドには現在資金が豊富にあります。一緒に仕事をしている投資銀行と私たちは、そこに勝機を見出しています」とピエニマキ氏。

「この状況であれば、投資家には必ず興味を持ってもらえると思います。Sailfish OSとAppSupportの技術への投資、さらには市場開拓のための投資を獲得して、市場の多くのユーザーに私たちの技術を利用してもらえるはずです」。

画像クレジット:Jolla

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

夜間・休日など病院の時間外に子どもの健康相談が行える「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始

時間外の小児健康相談アプリ「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始、夜間・休日往診の「コールドクター」と連携

夜間や休日などに子どもの健康相談ができるアプリ「キッズドクター」(Android版iOS版)を提供するノーススターは9月6日、夜間と休日の往診サービスを提供するコールドクターと連携し、福岡エリアでの往診サービスを開始したことを発表した。

キッズドクターは、子どもの健康に悩んでいる保護者に「医師や看護師に気軽に相談できる安心を届ける」サービス。平日夜間や休日の病院が開いていない時間など病院の時間外に、看護師による「チャット健康相談」、医師と会話ができるオンライン診療、医師が自宅に訪問する「夜間往診」などを受けられる。

キッズドクター概要

  • チャット健康相談:厚労省指針に基づき、看護師チームが、医学的判断の伴わない一般的な医学的情報の提供や受診勧奨を行う。子どもの健康に関する悩みや、病院が空いていない時間の子どもの急な体調不良時に「今の症状だと受診したほうがいいのか?」という悩みに、迅速に応える
  • オンライン診療・夜間往診予約:オンライン診療では、かかりつけのクリニックが開いていない時間に、スマホを通して医師と会話ができる。夜間往診予約では、患者の自宅に医師が訪問する往診サービスを予約できる。健康保険・こども助成金なども適用可

またコールドクターは、夜間と休日に健康保険が適用可能な往診を受けられるサービス。医療機関と連携して400人以上の医師が登録している。

これまで「キッズドクター」は、名古屋市内、東京市部、大阪、兵庫エリアで往診サービスを行っており、今回、福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)での往診サービスを始めた。

今後も、対象エリアと時間の拡大を進めてゆくとノーススターは話している。

夜間往診の新規対応地域(地域・時間は順次拡張予定)

  • 福岡県:福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)
  • 受付時間:福岡地域では月・火・木の19時~24時(祝日は除く)の時間で診察予約を受付

 

誰でも簡単にゲームを制作・共有できるPlaybyteの新アプリは「ゲームのTikTok」を目指す

Playbyte(プレイバイト)というスタートアップ企業は、ゲームのTikTok(ティックトック)になりたいと考えている。同社が新たに配信開始したiOSアプリは、ユーザーが携帯電話で簡単なゲームを作って公開できるツールを提供しており、縦にスクロールできるフルスクリーンのフィードでは、他の人が作ったゲームをプレイすることができる。TikTokのように、フィードは時間の経過とともにパーソナライズされ、自分の好きな種類のゲームがより多く提供されるようになる。

通常、ゲームの作成には何らかのコーディングが必要だ。だが、Playbyteのゲームは、シンプルなブロックや絵文字、さらにはiPhone内に保存されているカメラロールの画像も使って作成する。このアイデアは、ユーザーにコーディングの基礎を教えるようとする入門教育的なものではなく、ゲームを作ることを自己表現の1つの形にすることを目的としている。

Playbyteのゲーム制作は、ウェブフレームワークをベースにした軽量な2Dゲームエンジンを活用するものであり、低速回線や古いデバイスでもすばやく読み込んでプレイできるゲームを作ることができる。ゲームをプレイした後は、画面右側のボタンで「いいね」やコメントすることができるが、これもTikTokのルック&フィールによく似ている。しばらく使っていると、Playbyteのフィードには次々とおすすめゲームが表示される。これはゲーム内の画像、タグや説明文、その他のエンゲージメント分析を活用して、ユーザーが魅力を感じると思われるゲームを提供するためだ。

配信開始当初より、ユーザーはすでにPlaybyteのツールを使って、シミュレーター、タワーディフェンス(防衛)ゲーム、戦闘ゲーム、Obby(障害物レース)、殺人推理ゲームなど、さまざまなゲームを制作している。

私たちは「Playbyte」というアプリを作りました。携帯電話でゲームを作ったり、他のユーザーが作ったゲームを発見したり、友達と競い合ったりできるアプリです。https://playbyte.io

Playbyte

Playbyteの創業者でCEOであるKyle Russell(カイル・ラッセル)氏は、ドローンメーカーのSkydio(スカイディオ)、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、そして(実は)TechCrunchで勤務していた人物だ。同氏によると、Playbyteは単なるゲームアプリではなく、ソーシャルメディアアプリを目指しているという。

「私たちの頭の中には、新しいソーシャルメディアのプラットフォームを構築するために必要なもののモデルがあります」と、同氏はいう。

Twitter(ツイッター)がテキストで、Instagram(インスタグラム)が写真で、TikTokが動画でやったことは、制限とパーソナライズされたフィードを組み合わせることだったと、ラッセル氏は説明する。「典型的な例です。彼らはこれらの体験を非常に短く制限することから始めました。つまり、短くて制限のあるフォーマットと、その制限の中でうまくやるためのツールを組み合わせたのです」。

同様に、Playbyteのゲームにも制限がある。根本的にシンプルであることに加え、ゲームは5つのシーンに制限される。この制約のために「プレイ」ボタンを押したときのイントロ画面、ストーリーの導入部、難易度の高いゲーム部分、そしてストーリーのエンディング部分という形式のゲームが作られるようになった。

Playbyteは、簡単に使えるゲーム制作ツールが用意されているだけでなく、ゲームアセットを他のクリエイターが再利用することもできる。つまり、より専門的な知識を持った人が、独自のロジックや複数のコンポーネントを組み合わせてゲームアセットを作ったら、他のユーザーもそれを利用することができるというわけだ。

「基本的には、それほど野心的でない人でも、生産的で創造的なゲームメーカーの気分が味わえるようにしたいと思っています」とラッセル氏はいう。「そのための鍵は、頭の中にゲームのイメージなどのアイデアを持っている人が、すばやく新しいアセットを検索したり、以前に保存した別のアセットを組み合わせたりできるようにすること。そして、それらをレゴのように組み立てたり付け加えたりするだけで、それ以外の設定を自分でしなくても、イメージしたものの90%を構成することができます」と、ラッセル氏は述べている。

近いうちにiOSでは、フィードを広告で収益化することを計画している。例えば、クリエイターが自分のゲームにスポンサー付きのアセットを実装することができるようになるなどだ。さらに将来的には、ある種の支援モデルを確立したいとも考えている。これには定額制の導入やゲームのNFT(非代替性トークン)などが考えられるが、しかしこれはもっと先の話だ。

今まで見た中で一番かわいいスプライトブロブ

Playbyte

このスタートアップは、もともと2019年にウェブアプリとしてスタートしたが、チームは2020年末にその計画を破棄し、独自のゲームエンジンを搭載したネイティブiOSアプリとしてすべてを書き直した。TestFlight(テストフライト)でユーザー数が上限の1万人を超えたこのアプリは、先週よりApp Storeで配信が始まっている。

現在は、TikTokやRoblox(ロブロックス)、Minecraft(マインクラフト)、Fortnite(フォートナイト)などのコラボレーションゲームに参加している若いティーンエイジャーに支持されている。

「これらの若者は、自分でゲームを作ってみたいと思っていても、コードやその他の高度なツールを学ぶ必要があることに抵抗を感じていたり、それらのツールにアクセスできるコンピューターを自宅に持っていなかったりするのです」と、ラッセル氏は指摘する。

Playbyteは、FirstMark(ファーストマーク)のRick Heitzmann(リック・ハイツマン)氏)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)のJonathon Triest(ジョナサン・トリエスト)氏とBlake Robbins(ブレイク・ロビンス氏)、元TechCrunch編集長でDream Machine(ドリーム・マシン)のAlexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏などの投資家や、Coinbase(コインベース)の共同創業者であるFred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏、Oculus(オキュラス)の共同創業者であるNate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏、元TwitterるAshita Achuthan(アシタ・アクサン)氏などのエンジェルから、プレシードおよびシード資金として400万ドル(約4億4000万円)を調達している。

このアプリは、App Storeから無料でダウンロードできる。

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画像クレジット:Playbyte

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

純粋に「写真を楽しむ」だけの写真共有アプリGlassは有料だが公開前から人気、iOS版リリース

Instagram(インスタグラム)はそのフォーカスを買い物、ビデオへと変えてきており、同社の製品責任者Adam Mosseri(アダム・モセリ)氏は6月に「もはやInstagramは単なる写真共有アプリではない」と発言したときはニュースになった。しかしソーシャル写真共有エクスペリエンスを求めているフォトグラファーはどうすればいいのか。

Facebook(フェイスブック)とPinterest(ピンタレスト)でプロダクトデザイナーを務めたTom Watson(トム・ワトソン)氏によると、フォトグラファーはしばらくの間、ソーシャルネットワークに欠いていた。だからこそワトソン氏は、共同創業者のStefan Borsje(ステファン・ボルシュ)氏とともに、フォトグラファーのためのサブスクリプションベースiOSアプリ「Glass(グラス)」を開発した。

「私は常に写真を愛してきました。Flickr(フリッカー)がYahoo(ヤフー)に買収されたのは、私にとっては悲しい出来事でした。私はオタクのような写真コミュニティが大好きなのです」とワトソン氏はTechCrunchに語った。「そして写真コミュニティはモバイル分野に入り込むためにInstagramを手に入れました。しかしFacebookがInstagramを買収したときに私はFacebookにいたのですが、必然的に今日のような事態になるだろうということは目に見えていたはずです」。

広告が入る無料のソーシャルメディアに慣れている人にとって、アプリに月額料金を払うというのは馴染みがないかもしれない。Glassは月4.99ドル(約550円)あるいは年29.99ドル(約3300円)かかるが、14日間の無料トライアルができる。それでも、Glassはお試しする人のApp Store決済情報をすぐに確認するので、トライアル期間が終わる前にGlassを削除することを忘れるかもと懸念する人は利用をためらうかもしれない。しかしこのモデルは意図的だ。ワトソン氏とボルシュ氏は、メンバー5人だけのチームで、ベンチャー資金や広告収入なしにアプリを構築しようとしている。チームはフォトグラファーのコミュニティに応えたいだけなのだ。

「ソーシャルサブスクモデルで何か違うことを始め、ベンチャー資金なしに自力で展開したかったのです」とワトソン氏は話した。「ベンチャー資金を受け入れて、はるか遠くに行くと何が起きるかという例を過去に目にしてきました。大規模展開するためにフォトグラファーコミュニティからどんどん離れていきます」。

画像クレジット:Glass

アプリを開いた瞬間から、Glassが写真そのものに注力しているのがわかる。フォトグラファーをフォローすると、気を散らすものを最小限に抑えるよう投稿が画像のフィードに表示される。写真がスクリーンいっぱいに表示され、写真を右にドラッグすると誰が投稿したのかを確認できる。画像をクリックすると、キャプションやその写真がどのように撮影されたのかについての情報が表示される。コメントを通じてソーシャル活動ができるが、写真に対する「ライク(好き)」はない。これは意図的なデザインだが、一部のユーザーはたとえ後のブラウジングのために画像をブックマークするのに役立つだけだとしても「ライク」ボタンを求めている、とワトソン氏は話す。今後数週間以内に、Glassは写真のカテゴリーなどのディスカバリー機能を立ち上げる。また、ユーザーが機能をリクエストしたり、他のユーザーのアイデアに意思表示したりできるフィードバックフィードバックボードも設ける。もしGlassが提案を追求することを選択すれば「進行中」と表示される。

まだ開始段階にすぎないが、GlassはEXIFデータ提供によってすでに自らをInstagramやVSCOから切り離している。EXIFデータは、Glassが惹きつけたい「写真オタク」にとってキャンディのようなものだ。EXIFデータはフォトグラファーがどのカメラを使ったのか、写真のISO、絞り値、シャッタースピード、焦点距離を示す。こうしたデータとコミュニティ感覚は、Flickrが初期に人々を惹きつけた要素だったが、Yahooが最大1テラバイトのデータを無料ユーザーに提供したとき、コミュニティというより個人的なアーカイブになった。そしてSmugMugが2018年にYahooからFlickrを買収したとき、無料ユーザー向けの写真は最大1000枚のみとし、有料プランにアップグレードしなければ無料ユーザーの写真を削除するかもしれないと警告してサービスを限定的にしようとした。

Glassはまた、アプリでさまざまな画像サイズを扱えるようにすることでフォトグラファーにアピールしている。最大アスペクト比は16:9で、これは標準のカメラ写真のサイズに対応する。しかしInstagramでは、四角の画像モチーフから移行した後ですら、大半のカメラからトリミングなしに縦写真を投稿することはできない。VSCO同様、Glassも各ユーザーのフォロワー数を表示しないが、コメントを見ることはできる。何人のフォロワーを抱えているかを見ることはできなくても、自分のアカウントを誰がフォローしているかはわかる。

「これは安全のために重要だと考えました。もし誰かがあなたをフォローすると、あなたはそのフォロワーが誰なのかを知る必要があり、ブロックできなければなりません」とワトソン氏は話した。「我々は最初からブロックしたり報告したりする機能を構築したかったのです」。

同氏は、これまでのGlassアプリのダウンロード数を共有するのは却下したが「反応に極めて満足している」とのことだ。同アプリは8月にウェイトリストを設け、9月1日からすべてのiOSユーザーへ提供を開始した。ウェイトリストの目的は熱狂を生み出すためではなく、むしろユーザーエクスペリエンスをスムーズなものにし続け、負荷がかかりすぎないようにするためだった。8月にウェイトリストが始まったとき、ワトソン氏はGlassが毎日数百もの招待状を送っているとTechCrunchに語った。

「私は長い間インターネットを利用してきました。そしてかつては心地よくて安全な場所があるという風に感じていました。このサブスクモデルをとることで、写真サービスが再びそういう風に感じられる場所になることを願っています」と話した。

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画像クレジット:Glass

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのミレニアル世代に投資の機会を与える「Jar」に投資家が注目

インドでは何億人もの人たちが銀行口座を持っているが、金融商品に投資している人はごくわずかだ。

例えば投資信託や株式に投資しているの人は3000万人に満たない。近年いくつかのスタートアップが、ユーザー、特にミレニアル世代のユーザーが投資しやすくなる環境をつくっているが、それでも数字はあまり変わっていない。

そんな中、あるインドのスタートアップがこの課題に挑戦するソリューションを見つけたと信じてサービスを立ち上げ、すでに良い感触を掴んでいる。

モビリティのスタートアップであるBounceの元ディクター、Nishchay AG(ニシュチェイ・エージー)氏と、Marsplay(マーズプレイ、後にFoxyに売却)の共同ファウンダーであるMisbah Ashraf(ミスバー・アシュラフ)氏は、2021年初めにJar(ジャー)を設立した。

公開から3カ月の社名を冠したAndroidアプリを使って、ユーザーは最低1インドルピー(約1.5円)から貯蓄を始めることができる。

Jarのユーザーは複数の方法で投資が可能で、数秒で始められる。アプリは電子決済のPaytm(ペイティーエム)と組んで定期的支払いを設定できる(PhonePe[フォンペ]のサポートも開発中)。同社はUPI 2.0定期支払いをサポートした最初のスタートアップで、貯蓄額は1日あたり1~500インドルピー(約1.5〜753円)の間で設定できる。

Jarアプリは、ユーザーのテキストメッセージを見て、それぞれの取引に応じて微小な金額を貯蓄する。例えばユーザーがある取引で31ルピー(約46.7円)使うと、Jarアプリは金額を10の位に切り上げて(この場合40)差額の9ルピー(約13.6円)を貯める。ユーザーは自分でアプリを立ち上げて自由な金額を投資することもできる。

ユーザーが一定金額をJarに貯めると、アプリはそれをデジタルゴールド(金)に投資する。

同社が金投資を使うのは、南アジア市場の人々がこの資産クラスに絶大な信頼を置いているためだ。

インドの人々には金に魅せられる独特の気持ちがある。地方の農民から都市の労働階級まで、ほぼすべての人がこの黄色い金属を隠し持ち、結婚式で宝石を誇示する。

インドの世帯には推定2万5000トンの貴金属がしまい込まれており、その価値はこの国の名目GDPの約半分にあたる。インドのこうした金需要によって、この南アジアの国は金の世界最大級の輸入国になっている。

JarのAndroidアプリ(画像クレジット:Jar)

「もし、次の5億人に機関投資を勧めることを考えるなら、市場に存在するその他の手段の有効性について説明することが私たちの責務です」とニシュチェイ氏は言った。

「私たちはお客様が最も信頼している道具を提供します、それが金です」と彼はいう。スタートアップはいずれ他の投資方法もいくつか提供する計画だ。

ファウンダーの2人は数年前、MarsPlayとBounceが何かシナジーを起こせないか両者が探っていたときに出会った。彼らは連絡を取り続け、2020年数多くの会話の中で、どちらも投資についてよく知らなかったことに気づいた。

「点と点が繋がり始めたのはその時でした」とミスバー氏はいい、子ども時代の話を語った。「私はビハール州の小さな町、ビハール・シャリーフの出身です。子ども時代、家族は深刻な借金に苦しんでいて、それは誤った金銭判断と貯蓄のないことが原因でした」と彼は語った。

「2人とも、典型的中流家庭がどんな道をたどるのかを理解しました。この階級の人たちは過去に何の手段をもったこともありませんが、その願望には終わりがありません。このため、一度稼ぐようになった人は、すぐに全部使ってしまいます」とニシュチェイ氏は言った。

「市場には、この人たちがスタートを切るのを手助けする製品が必要です」と彼はいう。

米国市場でAcorn(エイコーン)とStash(スタッシュ)がやっていることに似たそのアイデアは、受け入れられ始めている。アプリはすでに約50万ダウンロードを数える、とファウンダーたちはいう。投資家も注目している。

9月1日水曜日、Jarは450万ドル(約5億円)の資金調達を終え、Arkam Ventures(アーカム・ベンチャーズ)、Trive Capital(トライブ・キャピタル)、WEH Ventures(WEHベンチャーズ)らの著名投資家の他、Kunal Shah(クナル・シャー)氏(CREDのファウンダー)、Shaan Puri(シャーン・プリ)氏(元Twitch)、Ali Moiz(アリ・モイズ)氏(Stonksのファンダー)、Howard Lindzon(ハワード・リンゾン)氏(Social Leverageのファウンダー)、Vivekananda Hallekere(ヴィヴェカナンダ・ハレケー)氏(Bounceのファンダー)、Alvin Tse(アルビン・ツェ)氏(Xiaomi)、およびKunal Khattar(クナル・カッター)氏(AdvantEdgeのマネージング・パートナー)らのエンジェル投資家が参加したことを発表した。

「Jarのビジョンは、健全な財政へのミレニアル世代のニーズを、卓越したプロダクトイノベーションでいかに満たすかという当社の命題と共鳴します。ファイナンシャルプランニングと投資の非常に魅力的な市場において、ユーザーの行動を強く駆り立てるJarの能力に感銘を受けています」とラウンドをリードしたArkam Venturesのマネージングディレクター、Rahul Chandra(ラフール・チャンドラ)氏が声明で語った。

Jarアプリの取引量とAUM(受託資産)は毎月350%のペースで増えている、とニシュチェイ氏はいう。近いうちに提供サービスを増やすつもりだと同氏は述べた。

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画像クレジット:Jar

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが日本の公正取引委員会と和解、アプリ内の外部リンクを承認

Apple(アップル)は、日本の規制当局と和解し、「リーダー」アプリの開発者がユーザーアカウントを管理するための独自のウェブサイトにリンクできるようにすることを決定した。この変更は2022年初頭に有効になる。

これまで、日本の公正取引委員会はAppleに対して、「リーダー」アプリに対する同社のポリシーを変えるよう迫っていた。リーダーアプリとは、NetflixやSpotify、Audible、Dropboxなどのように、ユーザーが購入したコンテンツやコンテンツのサブスクリプションを提供するアプリで、そのコンテンツはデジタル雑誌や新聞、本、オーディオ、音楽、ビデオなどさまざまだ。

AppleでApp Storeを統轄しているPhill Schiller(フィル・シラー)氏は、「私たちは日本の公正取引委員会をとても尊敬しており、これまでともに成し遂げたことも高く評価しています。今後、『リーダー』アプリの開発者は、ユーザーのために自分のアプリやサービスをセットアップし管理することが、より容易になり、また同時に、ユーザーのプライバシーの保護と信頼の維持が可能になるでしょう」と述べている。

声明によると、この変更が有効になる2022年まで、Appleは「リーダー」アプリのユーザーのためにガイドラインとレビュープロセスのアップデートを続け、ユーザーと開発者の両方にとってより良いマーケットプレイスでありたいという。

Apple Storesは先週、いくつかのアップデートを発表を行い、開発者が顧客にもっと柔軟に接することができるようにし、また地元のジャーナリストをサポートするためのNew Partner Programをローンチしている。

なお、「リーダー」アプリに関するこの変更はグローバルに適用される。

Appleやその他のテクノロジー巨大企業に対しては、世界中の政府や議会がその市場支配をますます厳しく監視しようとしている。オーストラリアの競走・消費者委員会も、AppleとGoogle、WeChatのデジタル決済システムに対する規制を検討しており、また韓国ではAppleとGoogleがアプリ内での購入に独自の決済システムを課すことを制限する最初の国となった

Appleの登録開発者は3000万人を超えている。

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画像クレジット:Kiichiro Sato/AP

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(文:Kate Park、翻訳:Hiroshi Iwatani)

2型糖尿病の治療など個人に合わせた健康的な食事・生活習慣アドバイスを提供するOvivaが約88.1億円調達

2型糖尿病の治療をはじめ、より多くの人がサポートを受けられるように、個人に合わせた食事や生活習慣のアドバイスをアプリで受けられるデジタルサポートサービスを提供している英国のスタートアップ企業Oviva(オビバ)は、シリーズC資金として8000万ドル(約88億1000万円)の調達を完了した。これにより、これまでの調達額は1億1500万ドル(約120億6700万円)となる。

ヘルステック事業が成長した「すばらしい1年」の後のさらなる拡大のために使用される、と同社が語る今回の資金調達は、Sofina(ソフィーナ)とTemasek(テマセク)が共同で主導し、既存の投資家であるAlbionVC(アルビオン・ヴェンチャー・キャピタル)、Earlybird(アーリーバード)、Eight Roads Ventures、(エイトローズ・ベンチャーズ)、F-Prime Capital(エフプライム・キャピタル)、MTIPに加え、数名のエンジェル投資家が参加している。

このような成長を支えているのは、富裕層では、肥満や2型糖尿病(食生活の乱れや運動不足が原因とされる)などの健康状態が増加し続けているという欧米の社会状況だ。一方で、一般的には、サービス提供にかかる費用の増加に対処するために、これまでの対応型ではなく予防型の医療の概念により注目が集まっている。

体重やそれにともなう健康状態(糖尿病など)をコントロールするための生活習慣管理の分野こそ、Ovivaの出番だ。Ovivaは、医療従事者が提供する個別のケアと、患者が食事内容を確認したり、サポートを受けたり、個々の健康目標に向けた進捗状況を把握したりするためのデジタルツールを組み合わせた複合サポートを構築している。

このアプローチを裏付けるように、23本もの査読付き論文が発表されており、肥満を抱える人々の6カ月後の体重が平均6.8%減少し、一方、専門家向けプログラムでは、12カ月後に53%の患者が2型糖尿病の緩和を達成しているという主要な結果が出ている。

Ovivaは通常、デジタルでのサポートプログラムを健康保険会社(または公的な医療サービス)に直接販売し、健康保険会社はその顧客や患者に同社のサービスを提供(または紹介)する。現在、同社のプログラムは英国、ドイツ、スイス、フランスで提供されているが、今回のシリーズCの目的の1つは、展開規模のさらなる拡大だ。

「当社が提供するダイエットや生活習慣の改善に対して、医療制度による償還が行われているヨーロッパの市場、特にデジタル償還のための具体的な経路が確立されている市場に規模を拡大していきます。励みになるのは、より多くの医療制度が、そのようなデジタル償還のための具体的な方針を作り始めているということです。例えば、ドイツではDiGAがあり、ベルギーでもここ数カ月の間に準備されました」とOvivaはTechCrunchの取材に語っている。

これまでに同社は20万人を治療してきたが、ヨーロッパの人口が高齢化していることもあり、対応可能な市場は明らかに巨大だ。Ovivaによると、現在3億人以上の人々が、食生活の乱れによって引き起こされているか、あるいは個人に合わせた食生活の改善によって最適化することができるような「健康上の問題」を抱えているそうだ。さらに、現在、デジタルケアを受けているのは「ごく一部」に過ぎないと指摘している。

Ovivaはこれまでに、医療機関、保険会社、医師など5000以上のパートナーと提携し、自社の技術をより多くの人に利用してもらうことで、さらなる規模の拡大を目指してきた。過去1年間で、治療を受けた人と収益の両方が「2倍以上」になったという。

今回のシリーズCでは、食生活や生活習慣に起因する健康障害でサポートを必要としているヨーロッパの「数百万人」の人々にサービスが届くようにすることを目標としている。

また、規模拡大戦略の一環として、2022年末までにチームを800人に拡大する予定だ。

デジタルケアと対面ケアの比較において、デジタルでサービスを提供することにともなう潜在的なコスト削減効果はさておき「最も顕著な利点」はその受診率と完遂率であるという研究結果が出ているとし「私たちは、労働年齢層やマイノリティなエスクニックグループなど、支援が難しいとされるグループにおいても、70%以上の受診率と80%前後の高い完遂率を一貫して保ってきました。一方、ほとんどの対面式サービスでの受診率および完遂率は50%未満なのです」と述べている。

競合他社について質問されたOvivaは、Liva Healthcare(リバ・ヘルスケア)とSecond Nature(セカンド・ネイチャー)をこの地域での最も近い競合他社として挙げている。

「WW(旧Weight Watchers)も、償還を受けることができる一部の市場では、デジタルソリューションの点で競合しています。他にも、新しい方法でこの市場に参入しようとする企業はたくさんありますが、それらは償還対応していなかったり、ウェルネスソリューションなのがほとんどです。ヨーロッパでは、他の多くのアプリと同様に、Noom(ヌーム)が自己負担の消費者向けのソリューション分野で競合しています。しかし、私たちの考えでは、彼らの市場は、医療費が支払われる私たちがいる市場とはまた別のものだととらえています」。と付け加えている。

シリーズCでの資金調達は、既存市場での存在力を高め、新たな市場にターゲットを絞って拡大していくことに加えて、M&Aの機会を通じて事業をさらに拡大していくことも視野に入れているとOvivaは語っている。

「新しい国に進出する際には、新しい組織を一から立ち上げることや、強力な医療ネットワークを持つ既存の企業を買収することのどちらも視野に入れていて、当社の技術が患者により優れた医療ケアと価値創造のために活用できると考えています」と語っている。

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画像クレジット:Danny O. / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フェイスブックがスポーツやリアリティ番組の結果を予想するファンタジーゲーム市場に参入

Facebook(フェイスブック)が、ファンタジースポーツなどのファンタジーゲーム市場に参入する。同社は米国時間9月1日朝、米国およびカナダにおいて、iOSおよびAndroid用のFacebookアプリで「Facebook Fantasy Games(フェイスブック・ファンタジーゲーム)」を開始したことを発表した。ゲームの中には、すでに市場に出回っている従来のファンタジースポーツゲームを「よりシンプルにした」と説明されているものや、「Survivor(サバイバー)」や「The Bachelorette(バチェロレッテ)」などの人気テレビシリーズに関連した予想をすることができるものもある。

最初にリリースされるゲームは、Whistle Sportsとの提携による「Pick & Play Sports」で、ファンは、大試合の勝敗やトップ選手の獲得ポイントなど、試合中に展開されるイベントを正しく予想するとポイントを獲得できる。また、プレイヤーは数日間にわたって連続して正しい予想をすることで、ボーナスポイントを獲得することもできる。このゲームは本日提供開始される。

画像クレジット:Facebook

今後数カ月の間に、CBSの人気テレビ番組に登場する参加者たち(サバイバー)を選んで自分のファンタジーチームに参加させる「Fantasy Survivor」や、独身女性のハートを争う求婚者たちの中から男性グループを選び、彼らの行動や番組中に起こった出来事に応じてポイントを獲得する「Fantasy “The Bachelorette”」など、スポーツやテレビ、ポップカルチャーに関連したゲームが続々リリースされていく予定だ。その他にも、最も多くのホームランを打つと思われる野球チームを選ぶ「MLB Home Run Picks」や、その日に勝利するサッカーチームをファンが予想する「LaLiga Winning Streak」など、スポーツに特化したゲームを予定している。

トッププレイヤーがリーダーボードに表示されるだけでなく、これらのゲームは、友達と一緒にプレイしたい人のためのソーシャル機能も備えている。

画像クレジット:Facebook

プレイヤーは、友人と一緒に自分たちのファンタジーリーグを作り、公開または非公開でファン同士の対戦を楽しむことができる。リーグのメンバーはお互いのスコアを比較でき、ピックやリアクション、コメントを共有できる場所が用意されている。このリーグエリアは、メンバーのみが投稿できる専用の投稿作成ボックスやフィードが用意されており、Facebookのプライベートグループに似ている。しかし、このページは「プレイ」や「リーダーボード」を見るための特別ボタンなど、リーググループをサポートする機能を含めて設計されている。

ファンタジーゲームの追加は、FacebookがソーシャルでTikTok(ティックトック)との厳しい競争にさらされている今、ユーザーが同社のアプリに費やす時間を増やすのに役立つかもしれない。App Annieによると、TikTokのユーザー1人当たりの月間平均利用時間は、2020年に他のトップソーシャルアプリよりも速く成長しており、米国では70%もの伸びを示し、Facebookを上回っている。

Facebookはこれまでにもライブイベントのセカンドスクリーン向けコンパニオンアプリというアイデアを検討してきたが、ファンタジースポーツやゲームとは異なる方法だった。Facebookの研究開発部門がテストしたVenueは、著名人がアプリ内でホストを務めるライブイベントにファンがコメントするというものだった。

同社は他にも、デスクトップウェブやAndroid上のクラウドゲーミングサービスストリーマー向けの「Games」タブ、VR企業であるOculus(オキュラス)などを通じ、ゲーム分野でいくつかの投資を行っている。

新しいリーグゲームは、モバイルアプリのブックマークメニューや、ニュースフィードの通知から利用できる。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)