旅先のアクティビティ予約アプリ「Headout」が新型コロナによる壊滅的影響から再び急成長

旅行業界は新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けた業界の1つだが、スタートアップ企業のHeadout(ヘッドアウト)も例外ではない。このアプリは観光客がツアーやイベント、アクティビティを当日中に予約できるマーケットプレイスで、2015年にサービスを開始すると世界中に広がった。だが、その後、新型コロナウイルスが発生した。

しかし、現在は国内旅行の復調のおかげでビジネスは再び成長しており、Headoutは2021年1月以降、800%もの成長を遂げたと主張している。同社は米国時間9月8日、Glade Brook Capital(グレイド・ブルック・キャピタル)の主導によって1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したと発表した。同投資管理会社は、Airbnb(エアビーアンドビー)、Meituan(メイトゥアン、美団)、Uber(ウーバー)、Instacart(インスタカート)などのマーケットプレイスにも投資している。今回のラウンドでは、Version One Ventures(ビジョン・ワン・ベンチャーズ)、Nexus Venture Partners(ネクサス・ベンチャー・パートナーズ)、FJ Labs(FJラブズ)、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)、Haystack(ハイスタック)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)が再び投資し、そして新たな投資家としてEspresso Capital(エスプレッソ・キャピタル)とPractical VC(プラクティカルVC)が参加した。

Headoutは、7月にEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の黒字化を達成したという。今回の資金調達は、300都市への進出、製品開発およびその製品、ビジネス、マーケティング、オペレーションの各チームに使用される。同社は世界中で150人以上の雇用を計画しており、旅行やエンターテインメント関連のスタートアップ企業を買収して人材獲得する機会も模索している。

これは新型コロナウイルス感染流行が始まった当時からの大転換を意味する。共同創業者で最高経営責任者を務めるVarun Khona(ヴァルン・コーナ)氏は「ご想像通り、新型コロナウイルスには壊滅的な影響を受けました。2億5000万ドル(約275億円)を超える規模で行っていた私たちの事業は、ほんの数週間で、取るに足らない規模にまで落ち込んでしまいました」と、TechCrunchにメールで語った。

しかし、人々が徐々に旅行を再開する中、Headoutは「2つの大きな追い風」を確認した。1つ目は、かつてないほどの国内旅行の需要。2つ目は、初めてデジタル化する旅行体験プロバイダーの存在だ。同社は2020年の第4四半期から国内旅行に注目し始めたが、米国以外にも英国、EU、アラブ首長国連邦など、ワクチン接種率が比較的高い場所で最も高い需要があると見ている。

「当社では、国内旅行者を惹きつけるためにより多様で、ローカルで、ニッチな新しい体験を提供することを優先しました。これらの体験を提供する家族経営の会社を標準化し、サービスをアップグレードして、オンライン化しました」と、コーナ氏はいう。「それと併せて、私たちはHeadoutを現地の言語で利用できるようにすることに力を入れました。単に機械翻訳するだけではなく、実際に注目を引く刺激的なコンテンツを作成するようにしました」。例えば、スペインでは予約の85%がスペイン語で受注されている。

Headoutが、他のオンデマンド予約マーケットプレイスとどのように差別化されているかを尋ねると、同社は2018年に、それまでの伝統的な予約を主体とするBooking.com(ブッキング・ドットコム)のようなマーケットプレイスから、一貫した品質を確保するためにエクスペリエンスを標準化、アップグレード、ブランディングすることで「より管理されたマーケットプレイス」へと進化したと、コーナ氏は答えた。これによりコンバージョン率が向上し「パートナーにより多くの販売を提供することができるようになり、そのためにより高いテイクレートを要求することができるようになった」ため、収益性の高いユニットエコノミクスにつながったという。

画像クレジット:Headout

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。