GoogleがCompute Engineにオートスケーリングを提供

Googleのクラウドコンピューティングプラットホームはいつも増築工事が行われているが、今日発表されたのは、同社のIaaS Compute Engineのオートスケーリングサービスだ。今それは、ベータで提供されている。

この新しい機能によりCompute Engineでは、処理量の需要に応じて新しいマシンが自動的に動きだす。たとえば、ユーザのCPU利用が一定の値を超えたり、HTTPのロードバランサが入信トラフィックにスパイクを検出したら、新しいマシンをスタートさせてその負荷を分散できる。このオートスケーラをGoogleのCloud Monitoring APIからトリガさせて、アプリケーション固有の何らかの値をスケールアップの契機としてもよい。ユーザにとってのメリットは、万一の用意のために当面使わないマシンを手当しておかなくてもよい、ということ。必要時には自動的に動きだすから、無駄な経費が生じない。

同社は今月初めに行われたCloud Liveイベントでこの機能を予告していた。ただし、いつから供用開始か、が不明だった。しかしそのイベントの席でGoogleは、システムが毎秒150万リクエストぐらいになっても十分対応できることを示した。

オートスケーリングはAmazonのAWSには2009年からある(Amazonは”auto scaling”、Googleは”autoscaling”)。Microsoft AzureのWebサイトやクラウドサービスや仮想マシンのオートスケーリング(auto-scaling)は昨年6月からある。しかしこれまでGoogleはユーザに、App Engineのサービスを利用してCompute Engineのアプリケーションのスケーリングとオーケストレイションを自動化することを、推奨していた。そのやり方は有効だったが、今後は単純にオートスケーラの2〜3の設定をするだけのことに比べると、面倒でエラーになりがちだった。

Googleにしては、この機能の提供に手間取りすぎた、と言えるだろう。

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AmazonがAWS上でDockerコンテナを管理するEC2 Container Serviceを発表

Amazonはラスベガスで行われているデベロッパカンファレンスre:inventで今日(米国時間11/13)、同社初のDocker関連プロダクトEC2 Container Service発表した。それは同社のクラウドコンピューティングプラットホームの上でDockerのコンテナを管理するサービスだ。このサービスは今はプレビューなので無料で利用できる。

AmazonのCTO Werner Vogelsによると、コンテナは確かに優れた技術だが、そのスケジューリングや管理は必ずしも容易ではない。“そういうオーバヘッドなしで、コンテナの美味(おい)しいところをすべていただきたい、と思いませんか?”、と彼は問う。この新しいサービスによりEC2の上では、管理が自動的に行われるインスタンスのクラスタとしてコンテナを動かせる。

Amazonによると、コンテナを利用するにあたって、何らかのクラスタ管理ソフトウェアないしハードウェアをインストールしたり、ソフトウェアのニーズにハードウェアを合わせるという努力がもはや要らない。それらに代わってEC2 Container Serviceが、すべての管理を行う。ユーザはインスタンスをクラスタの中へローンチし、タスクを定義して始動する。それ以降は、このサービス(略称: ECS)がすべての面倒を見る。ECSをMesosなどそのほかのDocker関連プロダクトで拡張することもできる。またユーザ(デベロッパ)がコンテナの管理をプログラム的に行うために、AmazonはAPI集合も提供する。

Amazonはこのサービスのアドバンテージを次のように列挙している:

  • 容易なクラスタ管理 – ECSはDockerのコンテナから成るクラスタをセットアップし管理する。ECSはコンテナの立ち上げと終了を行い、クラスタのステートに関する完全な情報を保持する。複数のAvailability Zones(可利用性ゾーン)にまたがる何十万ものコンテナを擁するクラスタ群へと、スケールすることもできる。
  • 高パフォーマンス – コンテナをアプリケーションのビルディングブロックとして使用できる。何千ものコンテナを数秒で始動、停止、および管理できる。
  • 柔軟性に富むスケジューリング – ECSはスケジューラを内蔵しており、可利用性と実利用の均衡を図るためにクラスタ全域にわたるコンテナの適正な分散化に努める。ECSは完全なステート情報を提供するので、それを利用してスケジューラを自作、または既存のオープンソースのスケジューラの最適利用により、サービスのAPIを利用できる。
  • 拡張性と可搬性 – ECSが動かすDockerデーモンはユーザがオンプレミスで動かす場合のものと同じである。したがってユーザはオンプレミスとAWSクラウドとのあいだで、ワークロードを容易に移動できる。
  • リソース効率 – コンテナ化したアプリケーションはリソースをきわめて効率的に利用できる。一つの同じEC2インスタンスの上で、複数の互いに無関係なコンテナを動かして、可利用なリソースのすべてを有効利用できる。たとえば、短期的な画像処理ジョブと、長期にわたって動かすWebサービスを、同じインスタンスの上で動かせる。
  • AWSの統合 – アプリケーションが、エラスティックIPアドレスやリソースタグ、仮想プライベートクラウド(Virtual Private Cloud, VPC)などAWSの機能を利用できる。実質的にコンテナは、EC2やS3などと同じ基盤的レベルのビルディングブロックの一つである。
  • セキュリティ – EC2のインスタンス上のタスクはAmazon仮想プライベートクラウド(Amazon Virtual Private Cloud)の中で動く。それらのタスクはIAM ロールやセキュリティグループなど、AWSのセキュリティ機能を利用できる。コンテナはマルチテナント環境で動いていても、あらかじめ定義されているインタフェイスを介してのみ互いにコミュニケーションできる。コンテナはユーザが保有しコントロールするEC2インスタンスの上でローンチされる。.

これによってAmazonは、そのほかの大手クラウドベンダのやり方に合わせようとしている。たとえばGoogleは、同社のCloud PlatformにDockerの能力を加えるべく多大な投資をしており、Kubernetesや、App Engineへの深い統合、そして最近ローンチしたContainer Engineなどにより、コンテナ環境の整備充実に努めている。Microsoftもまた同社のAzureプラットホームにDockerのサポートを加えつつあり、最近ではGoogle主導のKubernetesのサポートも開始した。

今日の発表の前日にAmazonの役員の一人が、Amazonは顧客が求めているサービスを提供したいのだ、と述べた。たしかに今日の発表を見るかぎり、同社が顧客の願いに耳を傾けていることは確実だ。

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Amazonが関係データベースサービスAuroraを立ち上げ、MySQL互換だが最初から高パフォーマンス

今日(米国時間11/12)ラスベガスで行われたデベロッパカンファレンスre:InventでAmazonは、同社が完全にオリジナルで作った関係データベースサービスAuroraを発表した。Amazonのクラウドサービス部門のトップAndy Jassyによれば、同社はこのプロジェクトに3年前から取り組んでいる。

企業はクラウドへ移行するとき、データベースも移行したいと考えるが、その際、高価なライセンス料金を節約するためにMySQLやPostgresなどのオープンソース製品を選ぶことが多い。しかしそれらのツールから最高のパフォーマンスを得るのは、容易ではない。そこでAmazonによれば、MySQLと完全互換のデータベースサービスAuroraは、ユーザサイドにおける面倒で困難なチューニング作業を必要としない、簡単迅速なデータベースの移行を可能にする。

本家MySQLと違ってAuroraは極めて高速であり、可利用性が高く自己回復力のあるセットアップが最初から行われる。Amazonによると、たとえばINSERTは毎分約600万回実行できる。

Auroraの大型インスタンスは毎時$0.29の料金で利用でき、基本料金などの前払金はない。それは今のメジャーな商用データベースの1/10ぐらいだ、とAmazonは主張している。

なお、このサービスは現時点ではプレビューだ。

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GitHub EnterpriseをこれからはAWS上で利用できる、企業の”クラウド慣れ”に対応

GitHub Enterpriseの最新バージョンでは、大企業がこのサービスの仮想マシンにアクセスして、スケーラビリティのきわめた高いGitHubのサービスをAmazonのクラウドコンピューティングプラットホーム上に立ち上げることができる。

7年前にローンチしたGitHubは、今ではクラウド上で自分のソースコードを開示提供/管理しようとする多くのデベロッパにとって、デファクトスタンダードになっている。しかし大企業は自分たちのコードが会社のファイアウォールの外にあるという状態に不安を感じるため、数年前にGitHubはサービスのオンプレミスバージョンを大企業向けにローンチした。

今日では、約10万名の技術者が毎日、自社(等)にインストールしたGitHub Enterpriseを毎日利用している。しかし企業がクラウドの快適さに慣れてくるにつれて、今度は、その自社専用のGitHubをAWSのようなパブリッククラウドに置いて展開管理したい、という欲求が生まれた。

GitHubのストラテジ担当VP Brian Dollによると、AmazonはヘルスケアサービスのHIPAAや合衆国政府のFEDRAMPなどの規格に準拠しているので、GitHubのコードをクラウドに移すことに不安はなかった。GitHubをAWSに載せるにあたっては若干の技術的課題はあったが、結果的に、企業ユーザにとってスケールしやすく可利用性の高いGitHubインスタンスを提供できた。

“うちでは、いつも言っている。そのうち、すべての企業がソフトウェア企業になるのだ、と”、とDollは言う。大企業のIT部門は保守的、と思いがちだが、でもGitHub Enterpriseを使うようなところは違う。“いちばん意外なのは、企業の中でクラウドをフルスケールで採用しようとしているのは、大企業中の大企業であることだ”、とDollは言う。

今日からAWS上で提供されるのはGitHub Enterprise 2.0で、その新しい機能等はAWSからホストされる/されないに関わらず同じだ。たとえば既存のシングルサインオン方式をそのまま使いたい企業は、LDAPやSAML互換のソリューションをそのために利用できる。また新たに導入されるセキュリティオーディットログによって、アドミンは個々のアカウントやチーム、それにリポジトリへのアクセスを経時的に監査できる。

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Dropbox、ウェブ版UIをアップデート―ボタン追加で共有が簡単になった

今日(米国時間11/11)、Dropboxはこれまでより簡単に共有ができるように新たな機能を追加したことを発表した。Dropboxのウェブサイトにログインすると、新しく「共有」ボタンが追加されたことに気づくだろう。このボタンをクリックするとドロップダウンメニューが表示され、共同作業の相手を加えたり、共有(閲覧のみ)リンクを送信したりできる。

新しい共有ボタンは、ファイルまたはフォルダにマウスでフォーカスを当てたとき、右端に表示される。ドロップダウン・メニューの最初のオプション「共同作業をするユーザーを招待…」ではファイルまたはフォルダを編集できる他のDropboxユーザーを追加できる。相手は閲覧、編集、削除が可能だ。もし閲覧のみ許可したい場合は、2番目のオプション、「リンクを送信」を選択する。このオプションでは相手がDropboxのアカウントを持っていなくてもよい。閲覧者はファイルをプレビューし、ダウンロードすることができるがオンラインで編集、削除はできない。

Dropboxにはこれまでも共有機能が用意されていた。ページ上部、検索窓の左側の小さい虹のアイコンがそれだ。また右クリックからも共有を設定することができた。しかし新しい共有ボタンはフォルダまたはファイルの上にマウスを乗せると表示されるのでわかりやすいし、手数も省ける。この「マウスを乗せて表示」は直感的なだけでなく、UIをすっきりさせておく効果もある。

マイナーチェンジだが、Dropboxのユーザー体験を大いに改善するものとして歓迎したい。初心者やITに強くないユーザーには特にありがたい改良だろう。Dropboxが数多くのライバルを押しのけて一般ユーザーの数を増やしているのはシンプルなUIのわかりやすさが大きく貢献しているようだ。

〔日本版〕日本語版でもすでに「共有」ボタンは実装ずみ。「リンクを送信」を選択すると、共有用URL、送信先メールアドレス、メッセージ入力窓が表示される。また、それに加えて、「可視性/有効期限を設定」のオプションからリンクの有効期限や閲覧するためのパスワードを付加することができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


海外利用が8割超! 画像キャプチャ「Gyazo」に見る、トランスカルチャーなプロダクト作り

「Gyazo」はスクリーンショット画像にURLを付与し、クラウド上に保存できるサービスだ。2011年1月のリリースから約3年で月間ユニークユーザーは375万人、月間アップロード数は1540万件。日本発のサービスでありながら、国別ユーザー比率は日本の14%に対して、北米が33%、ヨーロッパが37%、ロシアが4%と、海外利用がダントツで多いのが特徴だ。有料会員は4500人(1ユーザー月額400円、法人1アカウント月額500円)に上る。そのGyazoを手がけるNOTA,inc.が11月11日、オプトとYJキャピタル、みやこキャピタルから総額200万ドル(約2億円)の資金調達を実施した。

NOTAのCEOである洛西一周さんは、12歳よりプログラミングを始め、2003年度にはIPA未踏ソフトウェア創造事業認定スーパークリエータにも認定されたエンジニア。大学時代の1999年に開発したメモ・スクラップソフト「紙copi」を100万ダウンロード以上のサービスに成長させ、事業売却も果たしている。ジャストシステムに「ネタの種」という製品名でOEM提供したり、一太郎シリーズに同梱されるなど、紙copiシリーズの売り上げは累計で約3億円に上ったという。

ところで、なぜGyazoは海外で強いのか? 洛西さんは、ジャストシステムとの協業での反省が背景にあると語る。「当時、一太郎は技術的にはWordと競っていたのですが、マーケティング的な面で失敗して、結果的には紙copiとの協業も終了してしまいました。これらの動きを見ていたことで、プラットフォームを作るには世界展開が必須ということを痛感し、大学院卒業後の2007年にシリコンバレーに渡り、NOTAを設立しました」。

洛西さんいわく、「Gyazoには紙copiの成功で得たツール開発の技法と、シリコンバレーで学んだプロダクトのマーケティング手法が詰め込まれています」。ここで言うマーケティングとは、グローバルなプロダクトの作り方全体に関わるもので、製品設計(UI)やデザイン、トップページのキャッチコピーなどに影響する。Gyazoの場合、「日本の製品を米国向けにローカライズ(またはその逆)」という視点ではなく、最初から完全に「全世界で勝てるトランスカルチャーの製品をつくる」という発想で開発している。

その発想はプロダクトのコピーライティングにも現れている。例えば、英語では「動詞」を最初に持ってきて、人にアクションを促す、「Call to Action」と呼ばれるコピーを重視。英語のネイティブにしかわからない凝った表現はあえて排除し、どの国の人にも馴染みのある簡単な単語を使っている。NIKEの「Just do it」やYouTubeの「Broadcast yourself」などが典型例だが、Gyazoでは「Capture Everything」や「Share Faster than a Ninja」がそれに該当するのだろう。

「コピーライティングで重要なことは、利用者の口コミを促すことです。ユーザーが他の人に紹介しやすい価値を提示する必要があります。Gyazoの場合は、『Fast』や『Easy』などがこれに当たります。いったん、これらが受け入れられたなら、その価値を増やすために開発もその方針にそって行います。このように提供する価値もコピーもとてもシンプルな言葉になるのが、トランスカルチャー的なプロダクトの特徴です。」

海外利用比率が8割を超えるGyazoは、問い合わせも英語が大半を占めている。こうした問い合わせには、丁寧でもったいぶった表現ではなく、フランクな表現を意図的に使うと、洛西さんは語る。「例えば、ユーザー向けのメールで『Mr』や『would』のような表現は使いません。フランクな話し方はトランスカルチャー文化な人達が得意な方法で、これによって短期に信頼感が醸成されます。むしろ、丁寧な表現は、すぐには打ち解けられないという不信感を生みます」。

Gyazoは、当時AppleでiPhoneの日本語入力に携わっていた増井俊之さんとシリコンバレーで開発した製品。最初から英語版が存在していたが、試行錯誤をしながらグローバルに展開してきたと洛西さんは語る。コピーライティングやユーザーサポートは一例にすぎないが、グローバルに利用されるプロダクトの必要条件といえるかもしれない。

増井さんは、未踏ソフトウェア創造事業で洛西さんのプロジェクトマネージャーを務めた師匠筋にあたる人物。これまではアドバイザリーフェローとしてGyazoの開発と運営に関わってきたが、今回の資金調達のタイミングで、NOTAのCTOに就任。本格的に経営に関わることとなる。

NOTAは米国に登記されているが、実働の拠点は京都。今回、Gyazoに出資したみやこキャピタルの藤原健真さんがTechCrunchに寄稿してくれた「シリコンバレーや東京にできない『地方スタートアップ』の戦い方とは」でも紹介しているが、「地方発」として海外に挑戦するベンチャーは2017年までに1億ユーザーを目指す。


GoogleのDartプログラミング言語がやっとApp Engineでサポートへ

Googleの今年のI/Oデベロッパカンファレンスで、DartプログラミングをApp Engineでサポートする、という計画があまり目立たぬ形で発表された。そして、意外と長く待たされたあげく、今日(米国時間11/7)からやっと、Dartで書いたサーバアプリケーションをGoogle App EngineのManaged VMs(管理サービス付き仮想マシン)で動かせるようになった。

Dartは、Googleの“モアベターな”JavaScriptだとよく言われるように、基本的にはブラウザ上で実行されるクライアント言語だ。でもDartを発明したLars BakとKasper LundがI/Oのときに語ったところによると、Dartはあくまでも汎用言語として作ったのである、ということだ。

Dockerを利用してGoogle Compute EngineでDartを展開することは、すでに行われていた。でもデベロッパにとって機能が多いのはApp Engineの方だ。GoogleのData Store、キャッシングサービス、モニタリング、ロギングなどのツールが使える。デベロッパがやることは、アプリケーションを(たとえばDart言語で)書いてアップロードするだけ。あとはApp Engineがスケーリングやデータのストレージなどの面倒を見てくれる。トラフィックが急増すれば、自動的にスケーリングをやってくれるのだ。

Googleは、App EngineにおけるDartのサポートを、今後も続ける、改良していくと言っているから、たとえばApp EngineのもっといろいろなAPIがサポートされるのだろう。

この新たなサービスは今のところベータで、詳しい情報はここにある。

 

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ニーズに合った最適のクラウドサービスを見つけてくれるCloudScreenerが€600Kを調達

アプリケーションを、どのクラウドでホストすべきだろうか? クラウドは新規参入企業が日に日に多く、既存のサービスは次々と新しい機能を提供、しかも料金がころころ変わるから、この疑問に答えるのは難しい。そこでCloudScreenerは、あなたのニーズに関する二つの質問に答えるだけで、最適のクラウドプロバイダを見つけてくれる。そのために同社は、各クラウドサービスのパフォーマンスデータを集め、彼らの適性リストを作っている。

ユーザがホストしたいのはWebサイトか、ビジネスアプリケーションか、それともデータかに応じて、CloudScreenerは最適クラウドを見つけるための三つのウィザードを提供する。たとえば、ビジネスアプリケーションをホストする場所を探しているなら、利用者数やオペレーティングシステム、ユーザの所在、予算などをCloudScreenerに教える。すると、各サービスの適性やパフォーマンスや機能集合に100店満点で点をつけたリストが返ってくる。

このサービスは、料金に関しては毎日各サービスをスキャンしている。またパフォーマンスに関しては、各サービスのいろんなインスタンスに対して、6時間ごとに同社特性のベンチマークを動かす。そうすると、ライト/リードのスピードや、ネットワークのパフォーマンスとレイテンシ、CPUとメモリのパフォーマンスなどが分かる。ネットワークデータに関しては、CloudScreenerはCedexisとパートナーしている。

CloudScreenerはAnthony SollingerとNicolas Drouetの二人がパリで作った会社だが、Sollingerが今日のOpenStack Summitで語ったところによると、今現在同社は15のクラウドサービスをスキャンしている。今後はもっと増やしたいが、今のところはメジャーでグローバルな選手たちのみだ。

今後については、もっと細かい調査項目を加えた有料サービスを立ちあげたい、という。それはたとえば、コアの数やRAMの容量など、インフラの特性が詳細に分かる情報サービスだ。

資金はこれまで、60万ユーロをフランスのエンジェルたちから獲得している。その資金をもとに、マーケティングを含む陣容の拡大と、合衆国への進出を図りたい、と同社は構想している。

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Amazon Echoはベゾスの巻返し―そのうち音声認識のゼロクリック買い物端末に化ける?

今朝(米国時間11/6)、Amazonは突然、Echoという新しいデバイス.を発表した。Echoにはスピーカーに加えて「常時オン」のマイクが内蔵されており、周囲のユーザーの声を聞き取ってクラウドに転送する。天気予報を尋ねると教えてくれる。目覚ましをセットするよう命じることもできる。エイブラハム・リンカーンの業績について尋ねることもできる。

なんと! 円筒形のパーソナルアシスタントなのだ。だが、このデバイスの本質が何であるか―というより、やがて何になりそうかじっくり考えてみる必要がありそうだ。

Amazonのビジネスモデルは人々に明日の天気予報を教えることではない。

毎朝目覚ましを鳴らすことでもない。

歴代大統領の業績を教えることでもない。

Amazonのビジネスはものを売ることだ。したがってEchoの存在理由も究極的にはそこにあるに違いない。

冷蔵庫を開けたらピクルスが切れていた。オーケー。「アレクサ、ショッピングリストにピクルスを追加」と呼びかければよい(Echoに命令するときにはアレクサと呼びかけることになっている。このキーワードはユーザーがカスタマイズできるらしい)。 念のため断っておくが、まだEchoから直接ショッピングはできない。単にショッピングリストにアイテムを追加できるだけで、ユーザーはそのリストにもとづいて別途注文をしなければならない。

しかしEchoが少しでも普及のきざしを見せたらこの点はさっそく「改良」されるのではないか?

たとえば、「アレクサ、カンフーパンダ2を注文」と呼びかけるとさっそく注文がすんでしまう。

「アレクサ、極上のエジプト綿のシーツを注文」。ジャジャン! シーツが発送される。

ワンクリック購入がゼロクリック購入に進化するわけだ。家全体(すくなくともEchoのマイクが聞き取れる範囲)が衝動買いを狙ったスーパーマーケットのレジ横の買い足し台になるのだ。

アメリカのAmazon プライム会員はEchoを半額で購入できるが、それにはもっともな理由がある。プライム会員はたくさん注文する。Echoはプライム会員にさらにいっそうたくさん注文させる仕掛けなのだ。おそらくその目論見は成功するだろう。

邪悪な企みだろうか? そうとは言えない。AmazonはEchoを買えと強制しているわけではない。それに第一、私自身、Amazonプライムを文字通り毎日利用している始末だ。私の愚かな物欲がさらにたやすく満足されるようになり、一声かけるだけでアイテムが魔法のように戸口に現れるのは楽しいだろう。

しかしAmazonがなぜEchoを作ったか、その理由は覚えておくべきだ。Amazonは顧客がわざわざ訪問しなければならない「デスティーネション・サイト」であることにもはや満足していない。Amazonは世界に遍在することを狙っている。Amazonストアが現実空間のあらゆる隅々にまで行き渡り、じっと聞き耳をたてて人が口を開くのを待ち構えているという状態が目標なのだ。

多少のギミックがバンドルされているものの、その本質はショッピングチャンネルだという点でEchoはFire Phoneに似ている。

しかしジェフ・ベゾスはFire Phoneの失敗(今だに8300万ドル相当の在庫を抱え込んでいる)から一つ学んだようだ。人々はもっと買い物をさせるために作られた製品だと知ってしまうとそれに金を出したがらなくなる。だが、Echoの本質はFire Phoneと変わらないのだろうと思う。

今のところ、Echoのショッピング機能は欲しいものを音声でショッピングリストに追加できるだけだが…さて?

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


DockerアプリケーションをGoogleのクラウドプラットホーム上で展開運用するための管理サービスをアルファで立ち上げ

Googleが今日(米国時間11/5)、Google Container Engineというもののアルファテストを開始する、と発表した。それは、Googleのクラウドプラットホームの上でDockerによるコンテナを使用するアプリケーションを構築し運用するユーザに提供する、もろもろの管理サービスだ。

Dockerは今のデベロッパ界隈でいちばんホットな技術であり、デベロッパとの会話の中で必ず登場する名前だ。GoogleのCloud Platformのチームも、そのプラットホーム全体ををDockeベースで行くことに決め、顧客であるデベロッパが分散アプリケーションをより容易に構築運用できるようにしたい、と考えている。

基本的に今度の新サービスは、GoogleのオープンソースプロジェクトKubernetesをベースとする”Cluster-as-a-Service”のプラットホームだ。言い換えると、デベロッパは自分のクラスタを、Googleがその巨大なデータセンター向けに開発した独自のコンテナ技術を利用して管理できる。ユーザのアプリケーションは通常、複数のDockerコンテナで構成されるが、Kubernetesはそれらの動的(==ランタイムの)管理を助ける。

Googleによると、自社のクラウドプラットホームの“高速ブートと効率的なVMホストとシームレスな仮想化ネットワークの組み合わせ”は、“コンテナベースのアプリケーションを稼働させるための理想的な場所”だ、という。競合他社はこれに異議を唱えるだろうが、Dockerコンテナアプリケーションに対してこのレベルの管理サービスを提供しているところは、まだほかにない。

Googleは最初5月に、同社のManaged VM service(管理サービスを伴うVMサービス)の一環としてDockerイメージのサポートを開始した。これらの管理つきVMは今アルファを終えようとしており、自動化スケーリングのサポートが加わったことによりデベロッパは、Googleのプラットホーム上でDockerコンテナを、難しい作業を伴わずに利用できる。アルファやベータのGoogle的な定義では、ベータは、アクセス制御なし、課金なし、ただし技術的サポートに関するSLA(service level agreement)もなし、という意味だ。

そして今回のDockerクラスタ管理サービスはまだアルファだから、機能は不十分だし、不測のシステム事故はいつでもありえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftとDropboxが提携―Office 365とDropboxストレージが高度な相互連動へ

今日(米国時間11/4)、MicrosoftとDropboxは提携関係を結んだことを発表した。その内容はDropboxがOfficeをサポートし、MicrosoftがDropboxのストレージ・サービスをOfficeに連動させるというものだ。これに先だって、Dropboxのライバルでエンタープライズ向けクラウドストレージに力を入れているBoxもMicrosoftのOffice-as-a-serviceソリューションであるOffice 365を取り込んだサービスをスタートさせている。Microsoft自身も最近、OneDriveの無料ストレージ容量を無制限とした。

今回の提携で、両社は近くウェブとモバイル・アプリの双方で、DropboxのアプリからOfficeドキュメントを編集、OfficeアプリからDropbox内のファイルにアクセス、OfficeアプリでDropboxのファイルをリンクで共有という次の3つの機能を提供するという。またDropboxはWindows Phone版のOffice連携アプリを開発する。〔時期については日本版注参照〕

OneDriveを運営するMicrosoftがライバルとこれほど密接に提携するとは驚きだろうか? 必ずしもそうではない。MicrosoftはOneDriveなしでもOffice 365を売ることができる。逆に、Office 365というサービスを膨大なDropboxユーザーの企業や個人に売りやすくなる。電話で取材したところでは、両社ともにDrobpoxに数億のユーザーがおり、有料で利用している企業だけでも8万社に上ることを重視しているようだった。MicrosoftもOneDriveがそれくらい広く普及しているのだったらあえてDropboxと提携する必要はなかったかもしれないが、残念ながら現状はそうなっていない。

Microsoftはすでにエンタープライズ・クラウド・ストレージの事実上の標準となっているDropboxを無視することは不可能だった。MicrosoftがOffice 365をエンタープライズに本気で売り込もうとするならDropboxコミュニティーを抜きに考えるわけにいかないのは当然だ。OneDrive for BusinessはDropboxのために席を詰めねばならない。

BoxのOffice 365取り込みはBox側の一方的なイニシアチブだった。しかし今回の提携ははるかに高度な戦略的提携だ。両社とも今回の提携にともなって「どちらがどちらいくら払うのか?」についてはコメントを避けた。しかしMicrosoftがDropboxに支払うと考えてもよさそうだ。 Windows Phoneは世界でもっとも人気のあるモバイル・プラットフォームというわけではない。MicrosoftはDropboxを保護育成する必要がある。大企業ユーザーがOfficeをクラウドで使いたい場合、これまでは馴染みのあるクラウドストレージのオプションがなかった。今回の提携でそれが存在するようになったことは大きい。

Microsoftが本気でパッケージ版Officeの売上をOffice 365の売上で代替しようと考えているなら選択肢は限られている。MicrosoftはDropboxを買収することもできるが、aQuantiveの買収が結局62億ドルの損失に終わった苦い記憶がまだ新しい。それなら戦略的提携のほうが安上がりで危険も少ない。

上機嫌のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストはDropboxは収益化に成功しつつあると主張する。そうなるかもしれない。ともあれDropboxは、短期的関係かもしれないが、強力な友人を持つことに成功した。

〔日本版〕Microsoftのプレスリリースによると、OfficeとDropboxの連携機能は、まず数週間後に予定されているOfficeのモバイル・アプリのiOSとAndroid版のアップデートで実装される。ウェブ版のDropboxとOffice 365の連携は2015年の前半にリリースされる。Dropbxoが開発するWindows Phone版のスマートフォン、タブレット向けOffice連携アプリの公開は数ヶ月後を予定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


OpenStackは成熟期に特有の諸課題に直面

今急速に成長しているオープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今や200あまりの企業が支えていて、その、ほぼ各年行われるカンファレンスが今年はパリで開催された。今回の来場者は4500名を超えて、これまでで最大のイベントになった。それは、このプラットホームへの関心が大きいことを示しているが、しかし同時にこのプロジェクトは、人気の拡大とともに新しい課題も抱えるようになった。

今日のキーノートでは、何人かのスピーカーが、今の6か月のリリースサイクルは、大企業にとっては追随するのがたいへんすぎる、と述べた。たとえばBMWのデータセンターのStefan Lenzは、“しかも、どのリリースでも重要な変更が多すぎる”、という。彼曰く、“今後はもっと安定してほしいが、現状で使えないということではない”。BMWはOpenStackのクラスタを100ぐらいしか動かしていないが、Lenzによればそれは、半分ぐらいが業務向けで、多くはOpenStackまわりの開発専用に使われている。

今朝のキーノートでは、そのほか数名のスピーカーが同様の不満を述べた。またOpenStackのCOO Mark Collierと常務取締役のJonathan Bryceはキーノート後の記者会見で、その問題には自分たちも気づいている、と述べた。しかし、このプロジェクトを構成するモジュールの多くが成熟期に達している今では、毎回のアップグレードを律儀にインストールしなくてもよい、というユーザがほとんどだ。Collierは、あらゆるオプションをユーザにとってオープンにしておきたいが、次回のリリースは既存ユーザがアップデートをもっと容易にできるための仕組みを導入している、と述べた。

もうひとつの問題はOpenStackのセットアップと日常の運用が、当初の難しさを引きずっていることだ。だから企業ユーザの多くが、OpenStackクラウドの立ち上げを、専門知識技能のあるサードパーティのベンダにお願いしている。しかし、今後のユーザ増加策として重要なのは、それを誰でもできるようにすることだ。

メインイベントと並行して、OpenStackのコントリビュータたちは、”Design Summit”と名づけた会を開いて、今後のリリースの優先事項を検討した。それはOpenStackの各モジュールの担当者が自分たちのロードマップを設定するだけでなく、今年はとくに、モジュール間の調整にも力が注がれた。各モジュールに導入する新機能だけではなく、プロジェクトが成熟期に来ている今では、モジュール間の調整の重要性が増しているのだ。

成熟の兆候として挙げられるのが、OpenStackのエコシステムにおけるベンダ数の増加だ。UbuntuSUSERedHatなどのLinuxディストリビューションがあり、OpenStackクラウドのための仮想ネットワークインフラストラクチャ専門のPLUMgridもいる。だから、投資家たちの視線もベンダたちに集中する。たとえばSwiftStackは先月、シリーズBで1600万ドルのラウンドを発表しMirantisは1億ドルを獲得など、資金調達の発表が最近はとても多い。それに今では、OpenStack関連の買収もある…たとえばCiscoは9月に、Metacloudに飛びついた

以上のように、今ではいろんなことがOpenStackプロジェクトの成熟を示している。最初にRackSpaceとNASAがこのプロジェクトを産んでからその後長年、比較的目立たない存在だったが、最近の2年間で技術の改良と、外部への積極的な情報提供が行われた。参加企業が増えて成熟した今でもしかし、現段階で求められている安定性の実現のために、イノベーションの歩みを鈍らせることは許されないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Joyentがクラウドプラットホーム上のエンタプライズ級のDockerサポートのために$15Mを調達

今日まで、クラウドインフラ企業Joyentは、複数回の資金調達ラウンドにより合計1億2000万ドルを調達してきた。いちばん最近のシリーズD、2012年の8500万ドルが、額としては最大である。シリーズDまで行く企業はそんなに多くないが、しかしクラウドプラットホームプロバイダJoyentは今日、既存の投資家Intel Capital、Orascom TMT Investments、El Dorado Ventures、EPIC Ventures、LGI Venturesなどなどから、さらに1500万ドル(シリーズE)を調達したことを発表した。

Joyentの計画では、この資金は、Dockerとコンテナベースのインフラストラクチャという
最近のトレンドを、同社の機会として生かすために使われる。Joyentはプラットホームとしてのコンテナを10年あまり前から提供しているが、Dockerがクラウドインフラストラクチャの寵児としてもてはやされるようになるまでは、コンテナという技術の知名度はきわめて低かった。

JoyentのCEO Scott Hammondは今日の声明文の中で、次のように述べている: “弊社の顧客は今、我先にとDockerを採用してアプリケーションコンテナを作っている。そして彼らは、この新しい技術をJoyentの、すでに実証済みのインフラストラクチャコンテナの上で使いたいと願っている。アプリケーションコンテナとインフラストラクチャコンテナを組み合わせるという、この特別な技術により、データセンターが完全にディスラプトされ、ビジネスアプリケーションの作られ方と配布のされ方が変わる、とわれわれは信じている”。

Hammondは本誌のメールインタビューで、“市場もやっとコンテナの利点に注目するようになった”、と言っている。しかし彼はまた、今の企業はDockerと競合するようなコンテナ技術には関心がない、とも言う。“そこでうちは、これまでの経験を生かしてJoyentをDockerのコンテナを動かすための最良の場所にしたい”、と彼は語っている。

JoyentはSmartOSと呼ばれる独自のオペレーティングシステム仮想化層を使っている(OpenSolarisとLinuxの仮想化技術KVMを組み合わせたもの)。Hammondによると、この方式ではDockerのコンテナがベアメタルで動くため、“アプリケーションコンテナのためのランタイム環境として最良であり、弊社は、これらのコンテナを、エンタプライズ級のネットワーキングによりベアメタルのスピードでセキュアに動かすためにデータセンターの運用者が必要とする機能を提供する。また弊社のOS仮想化技術は高密度のワークロードを可能にする”。

Joyentは今後も、同社のコアビジネスであるパブリッククラウドプラットホームの提供を続けるが、それに加えて、ベアメタル上のコンテナを管理する必要のあるdevsやopsたち向けに新たなプロダクトやサービスを作っていく。それについてHammondは詳細を語らないが、要は、“Dockerをサポートし統合するためのプロダクトとサービスを開発していく”、ということだ。

ではなぜ、同社は、今というタイミングで増資を必要としたのか? “すべてはスピードのためだよ”、とHammondは言う。“これから技術のシフトが猛スピードで始まろうとしている”。VMWareがデベロッパのテスト環境からメジャーな普及に至るまで数年を要したが、今日の技術はもっと速いスピードで大量普及に到達するだろう。“今回のラウンドで開発をスピードアップし、ディスラプティブな技術の次の大きな波を、それに呑まれるのではなく、それを率先して動かしていく企業になりたい”。

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複雑な分散クラスタ群を一台のコンピュータのようにシンプルに管理できるMesosphereとパートナーしたDigitalOceanは未来への生き残りに懸命

人気上昇中のホスティングサービスDigitalOceanが今日(米国時間10/28)Mesosphereとのパートナーシップを発表し、ユーザはMesosphereのクラスタをDigitalOcean上で手早く実装し展開できることになった。Mesosphereの基本コンセプトは、DigitalOceanGoogle Compute EngineAWSなどの上にあるクラスタを、ユーザが自分のアプリケーションのための単一のリソースプールのように扱えることだ。そのサービスは、オープンソースのApache Mesosプロジェクトをベースにしている。

ユーザが独自にMesosのクラスタをセットアップしようとすると、細かい手順をすべて自分でやらなければならないが、これからはDOとMSがパートナーしたことによって、セットアップはほんの数分で終る。ユーザは二つの開始時構成から一つを選ぶ(小さな構成か高可用性実現のためのサーバ12台の大きな構成)か、または、独自のカスタムインストールを選ぶ。後者ではユーザは、自分が使用するDigialOceanのSSDベースのインスタンスの、数やタイプを指定する。どちらのやり方でも、構成作業に要する時間は数分だ。

DigitalOceanのCEOで協同ファウンダのBen Uretskyによると、同社とMesosphereはシームレスなワークフローとユーザ体験を確保するために密接に協働した。彼によると、と、DevやOpsがMesospherを利用することの意義を一言で言えば、“それが、アプリケーションを展開〜スケール〜管理するためのもっとも容易な方法”、だからだ。

“MesosphereがDigitalOceanにあれば、デベロッパはアプリケーションに集中できる。サーバのことは忘れてもよい”、とMesosphereのCEOで協同ファウンダのFlorian Leibertは今日の声明文の中で言っている。“既存のコンテナ化アプリケーションをMesospheのMarathonでオーケストレーションするなら、コードの変更はまったく要らない。新しいアプリケーションもApache MesosのAPIをダイレクトに利用できるから、すべてのクラウドインスタンスを一つの大きなコンピュータのように扱える。複数のサーバやホスト名を気にする必要はまったくない”。

DigitalOceanにとって今日の発表は、サーバのクラスタをサービスに中心に据えていく動きの第二弾だ。9月に同社はCoreOSのサポートを立ち上げ、コンテナを主役とするLinuxディストリビューションにより、アプリケーションの大規模な展開を可能にした。DigitalOcean元々、安価な(月額5ドルから)仮想プライベートサーバによるホスティングプラットホームとして人気者になったが、それだけでは企業としての今後の伸びしろがない。AWSなどの大手と四つに組むためには、簡単で使いやすいという持ち味を維持しながらサービスの多様化と高度化を果敢に進めていかなければならない。今日発表されたMesosphereとのパートナーシップも、同社が未来への浮力と推進力を失わないための懸命の努力だ。たとえばAWS上のMesosのクラスタのセットアップはかなり時間がかかるが、DigitalOceanならほんの数クリックで完了する。

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OpenStackのストレージプラットホームSwiftによるオブジェクトストレージサービスSwiftStackが$16Mを調達

オープンソースのOpenStackプラットホームの採用がこのところ増加するに伴って、このプラットホームを軸とするエコシステムも成長している。たとえばストレージの分野では、OpenStackのオブジェクトストレージプラットホームSwiftをベースとするオブジェクトストレージサービスを、SwiftStackが提供している。

今日(米国時間10/27)SwiftStackは、B2B専門のVC OpenView Venture Partnersが率いるラウンドにより、シリーズBで1600万ドルを調達した、と発表した。このラウンドには同社のこれまでの投資家Mayfield FundとStorm VenturesとUMC Capitalも参加した。昨年のシリーズAによる610万ドルおよびその前のシード資金を合わせると、同社の総資金額は2360万ドルになる。同社によると、マーケティングや営業のスタッフがほとんどいないにも関わらず、同社の売上は過去1年で4倍に増加した。

OpenStackのSwiftプロジェクトに最大の貢献をしているのが、SwiftStackだ。同社は今回の資金を“企業向けのストレージサービスのスケールアップを手頃なお値段で簡単に提供できるために”使いたい、と言っている。またマーケティングや顧客のエンゲージメント事業にも力を入れたい、と。

Swiftを使うと既存のストレージの再利用ができるし、それだけでなく、安価なコモディティハードウェアを使った社内ストレージシステムとクラウド(パブリックとプライベート)ストレージ併用してデータを保存できる。そのためにSwiftおよびSwiftStackのControllerは、巨大なストレージクラスタの運用を支えるプロビジョニングとレプリケーションとフェイルオーバーとモニタリングなどなどのタスクを、総合的に面倒見る。

SwiftStackもオープンソースなので、顧客に付加的サービスや、Swiftをより使いやすくするためのプロダクトを容易に提供できる。その例が、SwiftStack Management ServiceSwiftStack Controllerだ。SwiftStackは、HPやDisney、Time Warner Cableなども利用している。

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Microsoft、Office 365のユーザーにOneDriveストレージを容量無制限で提供

今日(米国時間10/27)、MicrosoftはすべてのOffice 365アカウントに対して容量無制限のOneDriveストレージを提供すると発表した。現在、Office 365に付随するOneDriveの容量は1TBに制限されているが、この制限が取り払われる。Office 365の契約者はストレージがすべて無料となるわけだ。

これは大いに歓迎すべき決定だが、特に驚きというほどでもない。Microsoftはクラウド生産性サービスのOffice 365の価値を高める努力を続けており、ストレージの無料化は非常に有効な策だ。無料のストレージ容量というのは魅力を作る重要な要素であり、多ければ多いほど良いことは言うまでもない。.

いずれにせよクラウドストレージの単位あたり料金はここ何年も限りなくゼロに向かって低下し続けている。有料サービスであるOffice 365に付随するストレージの無料化は本当の無料化の一歩手前といえるだろう。巨大プラットフォームがそのユーザーすべてに無料かつ無制限のストレージを提供することで無料化レースは終了する。今のところMicrosoftやBoxは有料で無制限のストレージを提供する段階に来ている。

Office 365はMicrosoftにとって成功だった。Microsoftはソフトウェア販売という古びたビジネスモデルからSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)への移転を加速するためにさらに努力を重ねているところだ。

Microsoftの発表の重要部分:

今後、Office 365のすべての顧客に対して一切の追加料金なしにOneDriveに無制限のストレージ容量を提供する。このサービスは今日からOffice 365 Home、 Personal、Universityの顧客に提供される。[...]OneDrive for Businessの顧客についてはここ数日のうちにOffice 365のロードマップでストレージ容量の無制限化が告知される。First Releaseの顧客については、他の数多くの改良とともに2015年に入ってから提供の予定。

つい最近までクラウド・ストレージがギガバイト単位で料金を徴収していたことを覚えているだろうか? なんと馬鹿げた時代だったことか!

画像:FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


GoogleのクラウドプラットホームもついにBaaSを提供へ…Firebase買収でリアルタイム機能を充実

Googleが今日(米国時間10/22)、アプリ/アプリケーションのためのバックエンドサービスFirebaseを買収したことを発表した。データの保存とシンクをリアルタイムで行う、などのタスクをiOSやAndroid、それにWebのアプリケーション向けに提供するので、デベロッパの開発努力を相当楽にしてくれる。今現在の登録ユーザはおよそ11万名のデベロッパで、サービスはそのまま継続し、多様なプラットホームへの対応も維持される。〔*: デベロッパはますます、BaaSの利便性を求める。参考記事: モバイル-クラウドエンタプライズ。〕

ほぼ3年前にローンチしたFirebaseは、Googleに加わったことでサービスの大幅なスケールアップが可能になった、としている。同社曰く: “Googleの技術力とリソースと技術的インフラがあれば、もっともっと多くのことをもっともっと早くできる”。Firebaseのチームはまた、自分たちが今のGoogleにない部分を補う、と見ている。この買収によって、Googleの顧客はアプリケーションを早く書けるようになり、FirebaseのユーザはGoogleのインフラにアクセスできる。

Googleにとってこの買収は技術と人材の獲得が目的のようだが、しかしそれと同時に、Firebaseの10万あまりのデベロッパがGoogleのクラウドプラットホームのユーザになるメリットもある。

GoogleがFirebaseから得た機能の紹介は、11月4日に行われるイベントGoogle Cloud Platform Liveで行われる。買収が完了したのはごく最近と思われるが、買収結果をGoogle Cloud Platformに導入するのは、前から相当早いのだ。

Googleが同社のクラウドプラットホームを充実させるために行う重要な買収は、今回が三度目だ。最初はモニタリングサービスのStackdriveを買収して、それをすぐに統合、そして次は、映画のデジタルプロダクションのための特殊効果をCGIするZyncだった。

これまで、Andrew LeeとJames Tamplinが創業したFirebaseは、2012年のシードラウンドで約700万ドル、2013年のシリーズAで560万ドルを調達している。

 

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Google、USBによる物理的セキュリティー・キーを提供開始

Googleは長い間アカウントのセキュリティー強化のために2段階認証を利用するようユーザーに勧めてきた。それに加えて今日(米国時間10/21)、Googleは第2のさらに強力なセキュリティー手段をローンチした。Googleはサードパーティーの販売チャンネルを通じてUSB Security Keyを提供する。これはChromeからすべてのGoogleアカウントにアクセスするのに利用できる物理的なセキュリティー・キーだ。

Security Keyを利用すれば2段階認証でいちいち認証コードを手で入力する必要がなくなる。ユーザーはポートにUSBキーを差し込み、ボタンを押すだけでよい。これだけで認証が完了する。

GoogleではこのUSBキーを利用すればフィッシング攻撃が不可能になるとしている。2段階認証では(可能性はごく低いものの)ハッカーがユーザーを騙して偽サイトに誘導し、そこで認証コードを入力させるという攻撃を受ける可能性があった。USBキーは高度な暗号化アルゴリズムを用いているのでこのような攻撃を著しく困難にし、セキュリティーのレベルを大きくアップするのだという。

ただしモバイルデバイスからはUSBキーは利用できない。またサポートされるブラウザはChromeだけだ。Chrome OS、Windows、Mac、Linuxのv38以降がサポートされている。

GoogleのUSBキーが個人ユーザーにどの程度普及するかは不明だが、Googleのクラウドサービスをビジネスに広く採用している企業には考慮すべきオプションになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


エンタプライズOpenStackのリーダーの座をねらうMirantisが$100Mの巨額を獲得

Mirantisは数年前に、当時まだ無名だったOpenStackに乗り、その後は、各年ごとに高くなるその人気の波に乗ってきた。そして今日(米国時間10/20)同社はシリーズBで1億ドルの資金を調達し、エンタプライズOpenStackのリーダーの地位を目指す旅を、これからも続けて行くことになった。それは、同社の今後の前進のための、十分な額と言えるだろう。

1億ドルはどんな企業にとっても大きいが、同社はしかもオープンソースの企業であり、それまでの二回のラウンドで計2000万ドルしか調達していない。今回のラウンドを仕切ったのはInsight Venture Partners、これにAugust Capitalおよび既存の投資家Intel Capital、WestSummit Capital、Ericsson、SAPが参加した。Insight Venture Partnersの専務Alex Crissesが、Mirantisの取締役会に加わる。

OpenStackは、IaaSを展開するためのオープンソースのプラットホームだ。4年前にRackspaceとNASAの合同プロジェクトとして始まり、IaaSのプロプライエタリな商用プロバイダAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどに対するチェック役のオープンソースプロジェクトとしてスタートした。その後順調に成長して、コミュニティとリッチなエコシステムと活気あるサプライヤーネットワークが形成された。後者にはエンタプライズソフトウェアにおける超大手たちも加わっている。

Mirantis自身は言わないが、同社はEnterprise LinuxにおけるRed Hatと同じようなリーダー的な位置を、OpenStackの世界でねらっているようだ。言い換えるとそれは、OpenStackの企業向けの顔だ。しかしエンタプライズOpenStackはHP、IBM、Cisco、それに、そう、Red Hatなどが大きなパイの分け前をねらっている市場だから、それらに伍していくためには大きな資金が必要だ。たとえば2週間前にRed Hatは、クライアント/サーバから、OpenStackをベースとするクラウドコンピューティングに軸足を移す、と発表した

しかしCEOのAdrian Ionelは競争にひるんでいない。むしろ彼は、OpenStackの世界における自社の優位性を固く信じているように見える。彼によると、OpenStackのルーツを継承して真のオープンソースを提供しているのはMirantisだけである、と。しかも彼によると同社は、OpenStackの実装と運用に関してHPやRed HatやCiscoのチームを指導している立場である。“彼らが好打者だとは思わないが、体がでかいことは確かだね”、と彼は皮肉っぽく言っている。

Ionelは、Mirantisが唯一の本物のOpenStackベンダだ、と自負している。同社よりもさらに本物があるとすれば、オープンソースのソースコード本体、それだけだ、と彼は言う。そして彼によると、多くの顧客は特定のベンダの特定のアーキテクチャに閉じ込められることよりも、ピュアな実装を望んでいる。大手ベンダを選べば、必ずプロプライエタリなものがくっついてくる、と彼は警告する。

Ionelによると、同社は大きな展開で実際にテストされた唯一のOpenStack実装系であり、136社の顧客の中にはWells FargoやOrange、DirectTV、Ericssonなどの有名企業もいる。EficssonはMirantisに投資もしている。彼によると、今回の大きな資金が得られたのは、投資家たちも同社の今後の長寿を信じているからだ。“うちもいずれ、VMwareぐらいのサイズの会社になるだろうね”、と彼は言っている。昨年の月商は100万ドルだったが、今では週の売上が100万だ。つまり、文字通りの急成長である。投資家たちが飛びつくのも、当然かもしれない。2016年にはIPOを検討したい、とも言っている。

そもそもMirantisは、やったことのすべてをオープンソースとしてOpenStackプロジェクトへ還元しているし、またOpenStack本体のアップデート等に100名あまりの技術者を提供している。今社員数が600名で、420名が技術者だから、その中の100名提供は、すごい。

そしてもちろん、今回得た1億ドルは人員増にも使われる。Ionelは、もし資金が得られなかったとしても、エンタプライズOpenStackのリーダーを目指す道を進むことは変わらない、と言っている。お金は、あるにこしたことはないが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenStackのJunoリリースはビッグデータとネットワーク仮想化が目玉

パブリックやプライベートのクラウドを構築するための基盤となるオープンソースのソフトウェアOpenStackは、業界の多様な大物たちが支えている。その同社が今日(米国時間10/16)、最新リリースJunoをローンチした。

いつもと同じくこのリリースにも、このプラットホームのサービスすべてにわたるアップデートが含まれている。それらはクラウドコンピューティングからストレージサービス、アイデンティティ管理、大量のデータを処理するためのツールなど、多岐にわたる。しかし今日のリリースのハイライトは、ビッグデータクラスタの配備を自動化する新たなデータ処理サービスが加わったこと、Object Storageのポリシーコントロールの粒度の柔軟化、そして、主に通信業界のOpenStackユーザから求められていたネットワーク機能の仮想化(network function virtualization, NFV)が初めてサポートされたことだ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、このリリースにはOpenStackのユーザとオペレータの意向が色濃く反映している。その最強の例が、たぶんNFVだろう。“これは、OpenStackにとってとても大きな機会になるだろう”、とCollierは言う。通信企業や自前のネットワークを持つ大企業などは、NFVによってネットワーキングサービスの多くを高価なプロプライエタリのハードウェアからコモディティの(==安価な日用品的)サーバに移せる。それは巨額なコスト節減をもたらすが、しかしそのためのソフトウェアには非常に高度な安定性と、リアルタイムの高パフォーマンスが要求される。

Collierはこう述べる: “もしもぼくが通信企業で音声通話用のハードウェアシステムをソフトウェアに移行させたいと思ったら、そういう仮想化を行うレイヤで通話が絶対に落ちないことを事前に確証する必要がある”。そこで今回の最初のリリースでは、高パフォーマンスの安定供給に力を入れ、さらに今後のリリースでは機能の多様化を図りたい、という。

OpenStackのJunoリリースには、新しいデータ処理サービスが加わる。これによって、ビッグデータ分析のためのHadoopやSparkクラスタの配備と管理が自動化される。このサービスは単純なApache Hadoopのサービスとしてスタートしたが、その後徐々に、HortonWorksやClouderaのHadoopサービス、それにSparkも加えていった。

また、上でも触れた、OpenStackのObject Storageのポリシーの粒度をより細かく管理できることも、多くのユーザにとって重要だ、とCollierは指摘する。これによってユーザは、複数のバックエンドやリージョンにまたがるデータの保存、複製、そしてアクセスを、より緻密にコントロールできるようになる。たとえばこれからは、一つあれば十分なバックアップを、三箇所に分割して作る必要がなくなる。

さらに今回のアップデートでは、OpenStackの複数のクラウド間で認証を統一できるようになる。たとえばCERNのようなOpenStackユーザは、自分のプライベートクラウドを持ちつつ、それの容量をパブリックなサービスで増強できる。しかもこれからは、研究者が自分の単一の認証データで、それら二つのクラウドにアクセスできるようになる。

このJunoリリースには、新しい機能が合計310、バグフィクスが3200箇所ある。詳しいリリースノートは、ここで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))