TikTokのライバルTrillerがSeaChange Internationalと合併、上場へ

短編動画アプリのTriller(トリラー)が、ビデオデック企業のSeaChange International(シーチェンジ・インターナショナル)と逆さ合併して上場する予定だと、両社は米国時間12月22日に発表した。合併後の企業価値は約50億ドル(約5700億円)となる。両社の取締役会は合併案を承認している。規制当局と株主の承認を経て、2022年第1四半期に取引が成立する見通しだ。

TikTok(ティックトック)と同様、Trillerではユーザーが音楽に合わせて短編の動画を作成・共有する。ロサンゼルスを拠点とする同社は2015年にサービスを開始し、アプリのダウンロード数は2億5000万回を超えた。Trillerは、Justin Bieber、Marshmello、The Weeknd、Alicia Keys、Cardi B、Eminem、Post Malone、Kevin Hartなど多くの著名なユーザーを魅了した。Charli D’AmelioやNoah BeckといったTikTokの人気ユーザーとも契約を結んでいる。Donald Trump(ドナルド・トランプ)元米大統領も利用していたが、1月以降はプラットフォームに新たな動画を投稿していない。

合併完了後、SeaChangeはTrillerVerz Corpに社名を変更する。マサチューセッツ州アクトンを拠点とする同社は、クラウドおよびオンプレミスの動画配信プラットフォームを強化する動画配信ソフトウェアソリューションのサプライヤーを自称している。合併後の会社は、Trillerの親会社のCEO、Mahi de Silva(マヒ・デ・シルバ)氏が率いる。また、SeaChangeの社長兼CEO、Peter Aquino(ピーター・アキノ)氏がTrillerVerzのチームに加わる。

「TrillerVerzは、デジタル世界におけるコンテンツ、クリエイター、コマース、文化の接点に位置するブランドとして、若者文化の代弁者になりつつあると信じています」とデ・シルバ氏は声明で述べた。「私たちの戦略は、魅力的で広がりやすいコンテンツを配信し、クリエイターが収益化するための世界最大の舞台を、文化を高める体験とともに構築し続けることです。SeaChangeと合併することにより、ケーブル、衛星、OTTメディアへのリーチを広げ、当社の広告・マーケティング能力を強化できると考えています」。

TrillerVerzは、コンテンツ、クリエイター、コマースのためのAI搭載ソーシャルメディアプラットフォームとして先頭を走っていると両社は述べた。TrillerVerzは、世界中に進出し、クリエイターエコノミーと新しい技術に関わる新たな成長機会への投資により、収益源を拡げる計画だ。

「TrillerVerzとの経営統合は、クリエイティブの未来に投資する非常に大きな機会を意味します」とSeaChangeのアキノ氏は声明で述べた。「TrillerVerzの比類ないソーシャルメディアリーチ、Z世代のエンゲージメント、コンテンツ・コマース・クリエイターの分野にまたがるグローバルなマルチプラットフォームの存在を意味深く拡大する機会、そしてeコマース、アドテック、NFT、メタバースの最前線にいることが、大きな価値を生み出す可能性のある魅力的な投資だと考えています」。

Trillerと親会社が過去1年間、ソーシャルビデオプラットフォームを拡大するなかで、この合併のニュースがやってきた。Trillerは11月、企業間プレミアムインフルエンサーのイベントや体験に焦点を当てるThuzioを買収した

Trillerは2021年4月、消費財、金融サービス、自動車、通信、政治、デジタルメディアなどのブランドと連携する、AIベースの顧客エンゲージメントプラットフォームであるAmplify.AIを買収。同月、ライブイベントとペイパービューの格闘技ストリーミングプラットフォームであるFITE TVも買収している。3月には、Swizz BeatsとTimbalandが設立したライブ音楽ストリーミングプラットフォームのVerzuzを買収した。

画像クレジット:Sheldon Cooper /SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

リコーのアクセラレータープログラムTRIBUS採択企業ユニフィニティーが現場効率化アプリの自動作成サービスβ版を無償提供

ゼロワンブースターは12月17日、リコーとともに運営するアクセラレータープログラム「TRIBUS」(トライバス)において採択されたユニフィニティーが、現場効率化ノーコードアプリの自動作成サービスβ版の無償提供を発表した。

同サービスにより、現場効率化用途のカスタムアプリを無料で試作し、DXプロジェクトの検証や新規事業のPoCをスムーズに進められるという。申し込みは、「無料アプリを申し込む」より行える。

TRIBUSは、リコーが社内外からイノベーターを募り、リコーのソースを活用してイノベーションにつなげるプロジェクト。資金や先進技術にとどまらず、リコーグループ社員が社内外で得た知見を活かしサポートする。ユニフィニティーは、これまでに蓄積したアプリ開発のノウハウに加え、サービス企画、プロジェクトマネジメントや製品デザイン、販売・開発体制の構築に至るまでTRIBUSから多くの支援を受けて、現場効率化ノーコードアプリの自動作成サービスを実現した。

同サービスでは、カメラやバーコードリーダー、GPSなどを活用して現場を効率化するモバイルアプリが無料で作成できる。豊富な画面パターンとカスタム機能を組み合わせることで、様々なアプリを表現可能という。また、1カ月間無料で試用可能なUnifinity Platformの専用開発ツール「Unifinity Studio」を用いれば、さらに細かい部分のカスタマイズも行える。


ユニフィニティーは、「テクノロジーの力をもっと身近に」をキーワードに掲げてアプリのノーコード開発プラットフォーム「Unifinity」を提供するスタートアップ。AIやクラウドといった様々な先端テクノロジーを誰でも活用できるアプリを、誰でも作れるようにすることで、あらゆる人が自分だけのアプリで働くことができる社会を目指している。

ゼロワンブースターは、「日本を事業創造できる国にして世界を変える」という企業理念のもと、大手企業とスタートアップ企業が相互に補完し合い、イノベーションを共創して事業の成長を加速するオープンイノベーションプログラム「コーポレートアクセラレーター」や、社内起業家を発見・育成するプログラム「イントラプレナーアクセラレーター」を展開している。

セラピストマッチングアプリ運営のHOGUGUテクノロジーズが資金調達、累計調達額は約2.2億円

セラピストとマッチング可能なアプリHOGUGU(iOS版)を運営するHOGUGUテクノロジーズは12月20日、シリーズAラウンドにて資金調達を行ったことを発表した。引受先はスマイル。累計調達額は2億2000万円となった。

調達した資金は、全国展開に向けたサービスの認知促進とマーケティングの強化、事業の成長加速のため体制強化や人材採用にあてる予定。またAndroid版アプリを2022年1月リリース予定。

HOGUGUは、自宅やホテルにセラピストを呼ぶことができるマッチングアプリを使った、訪問型リラクゼーションサービス。サービス開始から現時点でセラピスト登録者数は約600名以上、ユーザーインストール数は4万を超えるという。

家事の合間やオフィス、宿泊先でも手軽に利用することが可能。また、直近のアップデートにより24時間のサービス利用に対応した。これにより登録セラピストは既存店舗の営業時間に縛られることなく、好きな時間、好きなタイミングでユーザーからの予約を受けられる。

長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

LinkedInの中国向け新アプリ「InCareer」のスクリーンショット

2019年、LinkedInが中国ユーザーの電話番号を求め始めたとき、プロフェッショナルなソーシャルネットワークが同国で異なるルールに従わなければならないことは明らかだった。しかし、中国当局が求める実名認証体制を整えるだけでは不十分で、検閲の要求と表現の自由を謳う「西側の価値」を守ることのバランスを取るという難題が山積していることに気づいた。

解決策は「撤退」だった。2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はLinkedInの中国版を終了させると発表した。中国版LinkedInは、携帯番号認証などの特別な要件を除けば、依然として「グローバル」版とほとんど同じように機能していたのだ。2021年12月13日、Microsoftは中国のApp StoreとサードパーティのAndroidストアで「InCareer」と呼ばれるLinkedInの代替アプリを紹介した。このアプリは求人に特化しており、LinkedInの外観を備えているが、中国のMicrosoftチームによるコンテンツ監視が必要になるため、ソーシャルフィードやコンテンツ投稿のオプションがない。ただ、InCareerは、メッセージング機能は維持している。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInはブログの投稿で、この動きについてこう説明している。

中国の会員が仕事や経済的な機会を見つける手助けをすることに成功しましたが、情報を共有したり、把握したりするような、よりソーシャルな側面では同じレベルの成功は見つけられていません。また、中国での事業環境は非常に厳しく、コンプライアンス要件も厳しくなっています。

中国からサービスを撤退した外国の大手ハイテク企業はMicrosoftだけではない。近年、中国は、インターネット企業が収集できるデータ量から国境を越えたデータ移動の方法まで、すべてを規制する新たなサイバー規制を多数導入している。TechCrunchの親会社であるYahoo(ヤフー)は最近「ビジネスと法的環境がますます厳しくなっている」ことを理由に、中国から撤退している。

LinkedInのアプリを使用している中国ベースのユーザーは、InCareerをダウンロードするよう促されるが、ウェブブラウザとVPNを介してフルバージョンにアクセスすることは可能である。しかし、これらの追加フェンスは、すでに中国でのリーチが限られていたプラットフォームからユーザーを遠ざけることになりそうだ。

LinkedInは、主に外国人や多国籍企業や国境を越えたビジネスに従事する中国人ユーザーの間で人気があったが、一方で地元の競合であるMaimai(マイマイ)の方がより知られている。市場調査会社の iResearch(アイリサーチ)によれば、4月には、中国のユーザーが専門的な SNS アプリに費やした時間の 91% が Maimai によって占められているという。

Microsoftの中国におけるもう1つの生き残りサービスであるBingも、最近困難に直面している。ユーザーからの報告やGreatfire.orgによると、12月20日の時点ではオンラインに復帰したようだが、同検索エンジンが12月18日に中国でアクセス不能になっていたという。TechCrunchは、この状況についてMicrosoftに問い合わせている。

検索エンジンを提供する同社が掲示した告知によると、この出来事は、Bingが「中国の法律に基づいて」中国での検索自動入力機能を30日間停止したことにともなったものだという。同サイトがどの法律のことを指していたのかは不明だ。

Bingは2019年、地元のライバル企業であるBaidu(百度)の評判が落ちた際に、中国で一時的に停止していた。当時は、Bingに大量に移行したBaiduのユーザーが米国のサイトをクラッシュさせたのではないかという憶測が飛び交った。

長年放置されてきた海外のテック企業が、中国の法律にキャッチアップしていく姿は珍しいことではない。Apple(アップル)は、関連する規制が施行された数年後に、中国のApp Storeから無許可のモバイルゲームに対する取り締まりを開始した。Bingの停止は、中国では利用者が少ないために長い間注視されてこなかった同検索エンジンが、ついに抜け道である検閲官の神経を逆なでするような自動入力候補機能を閉じるよう命じられた同様のケースといえるかもしれない。

関連記事:Appleが中国で4年放置されていたApp Storeの抜け穴をやっと封鎖

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

TikTokは2022年、世界第3位のSNSになる

最新の予想によると、TikTokがFacebookとInstagramに次いで、世界で3番目に大きなソーシャルネットワークになる。Insider IntelligenceeMarketerから社名変更)によると、2022年のTikTokの月間ユーザー数が7億5500万になると予想している。TikTokの成長率は2020年が59.8%、2021年が40.8%だった。

Facebookは、同社の直近の決算報告によると月間アクティブユーザー(MAU)数は29億1000万で、前年比6%の増だった。Instagramの最近のリークによると、月間ユーザー数は20億を超え、2018年6月の10億という記録的数字をはるかに上回った。

しかし、Insider Intelligenceの予想は同社自身の2022年の予想に基づくものであり、独自の計算方法を使っている。MAUの同社独自の定義は、企業によって異なっていることもありうる。たとえば同社は、カレンダー上の各年で一貫して1カ月に1回以上ログインしているユーザーを数え、そこからできるかぎりフェイクアカウントを取り除く。この方法により、調査のクライアントには、各プラットフォームの有意な比較が提供されることになる。

このような推計方法によると、Facebookの月間ユーザー数は2022年に21億に達し、次がInstagramの12億8000万となる。それに続くTikTokは7億5500万になり、SnapとTwitterを上回る。

画像クレジット:Insider Intelligence

TikTokはここ2年間で、急速に成長している。

アプリに関する情報を提供するSensor Towerによると、2020年第1四半期、App StoreとGoogle Playを合わせてTikTokアプリのダウンロード数は20億回を超えた。App Annieのレポートでは、2020年のTikTokの成長率は325%で、月間の消費時間も他のどのアプリよりも急速に成長した。米国における65%も含め、Facebookを超えている。

またSensor Towerによると中国のDouyinも含めたTikTokのダウンロード数は、ゲームを除くモバイルアプリで、App StoreとGoogle Playを合わせて、Facebook以外では初めて全世界で30億に達している。その間、TikTokの消費者支出額は25億ドル(約2841億7000万円)を超えた。同社はTinderやNetflix、YouTube、Tencent Videoに次いで、この記録を達成したアプリの仲間入りをした。

多くの企業が2021年のTikTokのMAUを10億超と予想していたが、計算方法が異なるInsider Intelligenceはやや保守的だ。しかしその低い予想でも成長は続き、2022年の成長率は15.1%となる。

成長の結果として、TikTokのソーシャルネットワーク全体における市場占有率も上げ潮だ。Insider Intelligenceの予想では初めてTikTokの占有率が20%を超え、2024年には4分の1に近づくとしている。

Insider Intelligenceの主席アナリストであるDebra Aho Williamson(デブラ・アホ・ウィリアムソン)氏は、次のように論評している。「TikTokの急上昇は同じく若者市場を狙うSnapchatにとって特に脅威でしょう。TikTokにTwitterとの類似性はあまりないにもかかわらず、すでにあるプラットフォーム並みの大きさに成長したことには、TikTokのコンテンツが持つ中毒性があらわれています」。

TikTokは今もまだ大きな伸び代があり、Insider Intelligenceによると、2022年は全体で35億7000万人がソーシャルネットワークアプリを少なくとも月に1回は利用するという。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾン、Android 12端末でアプリが起動しない問題を認め同社アプリストアの不具合を修正

Amazon(アマゾン)は、同社のAmazon Appstoreにおいて、モバイル端末をAndroid 12にアップグレードした顧客のアプリ起動に問題を引き起こしていた不具合を修正したと発表した。2021年12月初め、秋にリリースされたAndroid 12において、Amazon Appstoreがまだ機能していないという報道が出始めた。ユーザーからは、AppStore自体が動作しないだけでなく、AppStoreからインストールしたアプリやゲームも動作しなくなったとの報告があった。

同社は、Amazonのデジタルデバイスフォーラムでユーザーからの苦情に対応していたが、技術チームがまだ調査中であるとだけ述べていた。しかし、この問題を詳しく紹介したLiliputing.comの記事が話題になり、より多くニュースサイトで取り上げられたことで、Amazonは不具合について公式にコメントすることを強いられた。同社はその後、「Android 12にアップグレードした少数のAmazon Appstoreユーザー」に影響を与えていた「アプリのパフォーマンスと起動」に関する問題の修正に取り組んでいると発表した。同社は当時、この問題はAmazon Fire TVデバイスやAmazon Fireタブレットには影響しないと述べていた。

米国時間12月17日にAmazonは、修正プログラムが稼動したと発表したが、何が問題だったのか、どのように問題に対処したのか、より具体的には説明しなかった。

同社の広報担当者は、メディアと共有した声明の中でこう述べた。「モバイル端末をAndroid 12にアップグレードしたAmazon Appstoreのお客様のアプリ起動に影響を与える問題の修正プログラムをリリースしました。現在、お客様にはAppStoreエクスペリエンスのアップデート手順をご案内しています。このような事態を招いたことをお詫び申し上げます」。

あるユーザーが発見した回避策は、AndroidアプリのAPKファイルを逆コンパイルし、DRMに関連する行をコメントアウトするなどの技術的な手順を踏んでいたことから、Appstoreの問題は内蔵されたDRMとAndroid 12に関連しているのではないかという憶測もあった(だが、これは明らかにメインストリームのユーザーが利用できる解決策ではなかった)。

Amazonがこの問題に何週間も取り組まなかったことは、同社のAppstoreがAndroid端末でいかに支持されていないかを浮き彫りにしている。Google Play以外でアプリを購入する必要性を感じているユーザーはほとんどおらず、それに加えてAndroidのアップグレードサイクルがいかに遅いかを示している。Amazonにとって、この問題に緊急性を持って取り組むことは単に優先事項ではなかったようだ。

最近では、AmazonのAppStoreに対する関心は、Windows 11ユーザーにアプリを配信するためにどう利用できるかということに移っている。Microsoft(マイクロソフト)とAmazonは2021年、Amazonが同社のサードパーティアプリストアをMicrosoft Storeで提供し、それを通してWindowsユーザーがAndroidアプリをPCにダウンロードできるようにするという新たな取り組みで提携することに合意した。

関連記事:AndroidアプリがAmazonアプリストア経由でWindows 11に登場、ウィンドウとして動作

画像クレジット:Dinendra Haria/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

電子トレカ事業ORICAL中心にスポーツ・エンタメ領域のファンビジネスを提供するventusが2.75億円調達

電子トレカを用いたファンシステム「ORICAL」(オリカル)などを展開するventusは12月20日、第三者割当増資による総額2億7500万円の資金調達を2021年9月に実施したと発表した。引受先は、既存株主のANOBAKA、サムライインキュベートと、新規投資家のユナイテッド、ソニー・ミュージックエンタテインメント、オー・エル・エム・ベンチャーズ、VOYAGE VENTURES、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、G-STARTUPファンド。

2017年11月設立のventusは、プロ野球チームなどの国内大型スポーツ・エンタメコンテンツと協業し電子トレカシステムORICALの運営を行っている。ORICALは、選手の魅力を最大限に引き出せるよう「動くデザイン」を実現したほか、ファンの熱量を逃がさない「リアルタイム発行」、来場限定トレカ、ファンクラブなどとの連動といった機能でファンエンゲージメントツールとして浸透しているという。今後は、トレカサービスにとどまることなく、スポーツ・エンタメ界に新しい「デジタルコンテンツ×ファンシステム」を構築していくため事業拡大を行う。

具体的には、2021年12月現在で3チーム・団体が導入しているORICALを、より多くの国内外のスポーツチームに提供していく。現在はスポーツチーム向けに最適化されているORICALシステムを、スポーツ以外のあらゆるコンテンツにも拡大する。加えて、電子トレカをきっかけに新たなデジタルコンテンツの作成、デジタルコンテンツを中心とした新たなファンシステムの仕組み作りを開発していく。

ファンに寄り添った企画・機能開発をベースに、デジタルコンテンツからファンシステムまで、ファンビジネスの上流から下流までをカバーする総合的なエンタメテック企業へ進化するとしている。

注文翌日に食料品配達サービスを提供する韓国Kurlyが約238億円のプレIPO達成

韓国のオンライン食料品スタートアップKurly(カーリー)は、前回のシリーズFラウンドの発表からわずか半年で、香港に拠点を置くプライベートエクイティ会社Anchor Equity Partners(アンカー・エクイティ・パートナーズ)の単独支援によるプレIPOラウンドで2億1000万ドル(約238億円)をクローズした。

今回の資金調達により、調達総額は7億6100万ドル(約862億円)、企業価値は33億ドル(約3740億円)となった。

ソウルに拠点を置き、全国で翌日の食料品配達サービスを提供するこのスタートアップは、この新たな資金をデータインフラと物流サービスの高度化、人材確保に充てる予定だ。

このニュースは、上場場所をニューヨーク証券取引所から移し、地元でのIPOを発表したことにともなうものだ。韓国取引所は、技術系スタートアップ企業を誘致するため、8億5400万ドル(1兆ウォン/約950億円)以上の価値をもつスタートアップ企業の上場要件を緩和している。

Kurlyは、上場後の推定企業評価額を最大約58億ドル(約6570億円)と見込んでいる。同社は来年初めにIPO申請を行う予定で、2022年上半期の上場を目指している。

Kurlyの広報担当者は「Kurlyのユーザー数は1000万人で、そのうち240万人以上が月間アクティブユーザーである」と述べている。

プレスリリースによると、Kurlyの売上は創業以来100%以上向上している。2020年の売上高は8億4500万ドル(約958億円)、営業損失は9700万ドル(約109億円)だったと報じられている。

Kurlyは2015年の創業当時、韓国で初めてプレミアムフードを翌日の早朝に配達する企業だった。地元の競合他社もその後、夜間配達サービスを採用することとなった。

これまでの支援者には、DST Global(DSTグローバル)、Sequoia Capital China(セコイア・キャピタル・チャイナ)、Hillhouse Capital(ヒルハウス・キャピタル)、Aspex Management(アスペックス・マネジメント)、MiraeAsset Venture Investment(ミラアセット・ベンチャー・インベストメント)、そして韓国に拠点を置く戦略的投資家のCJ Logistics(CJロジスティクス)とSK Networks(SNネットワークス)が含まれている。

画像クレジット:Kurly

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円調達

観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円を調達

AIを活用した観光分野向け顧客対応プラットフォーム「talkappi」(トーカッピ)を開発するアクティバリューズは12月20日、第三者割当増資による1億5620万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジャフコ グループ運営の投資事業有限責任組合。累計調達額は2億2000万円となった。調達した資金は、talkappiの機能強化とエンジニアをはじめ人材採用にあてる。

talkappiは、旅マエ〜旅ナカ〜旅アトのあらゆるシーンで、24時間、質の高い顧客対応が可能な顧客対応SaaS。新規・リピーター客の獲得にも貢献するものとして、ホテル・旅館・観光自治体・商業施設など国内350施設以上に導入済みという。2022年春までに導入先は500施設に到達する見込みとしている。ホテルモントレグループ、ホテル京阪チェーン、東急ホテルズ、チョイスホテルズジャパン、クラブメッドなどの宿泊施設、また沖縄県、高知市、大阪観光局、奈良市観光協会、横浜観光コンベンション・ビューローなどの観光自治体が導入しているそうだ。観光分野向け多言語AI顧客対応プラットフォームtalkappiを開発するアクティバリューズが1.5億円を調達

【TC Tokyo 2021レポート】酔っぱらいたくない新世代に届けたい、米国の酒販D2CブランドHausの「誰のまねもしなかった」起業ヒストリー

12月2日から3日にかけてオンラインで開催されたスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」。2日目午後0時30分から1時00分には、D2Cブランドについてのセッションが行われた。ゲストは米国でネットを介して食前酒を販売するスタートアップ「Haus」の共同創業者兼CEOであるHelena Price Hambrecht(ヘレナ・プライス・ハンブレヒト)氏が登壇。硬直した米国酒販業界でどのように後発組として成功してきたかについて語ってくれた。モデレーターはライター / 翻訳家の大熊希美氏だ。

IT屋とワイン屋の夫婦から生まれた新しいサービスHaus

ハンブレヒト氏は、シリコンバレーでFacebook(現Meta)、Fitbit、Google、インスタグラム、Microsoft、Pinterest、Square、Twitterなどさまざまなブランドの立ち上げにPRという立場で関わってきた、いわば「IT屋」だ。

そこで新世代の消費者が、製品の原料を強く意識していること、製品の信ぴょう性、販売者の透明性を重視していることを知った。

なかでも、アルコール類への不満が多いことに気づいたハンブレヒト氏は「高カロリーで、酩酊性が強く、眠りが浅くなるうえ、二日酔いもひどい。合成原料やさまざまな添加物など、摂取を控えたいようなものを含んだ飲料しかなく、その他の選択肢がないことへの不満の声だった」という。

共同創業者は元夫のWoody Hambrecht(ウッディ・ハンブレヒト)氏。ワイン醸造農園主の三代目だ。

関連記事:酔っ払いたくないミレニアル世代は仕事の飲み会で何を飲む?

そのこともあり、アルコールにまつわる業界の態度と消費者のニーズに強い興味を持ったハンブレヒト氏は、さらにミレニアル世代やZ世代のニーズを調べ、そこでアルコール業界の真実を知ることとなる。

「米国だけでも280億ドル(約3兆1790億円)という巨大産業が硬直したまま革新的なことをしてこなかった。新しい世代は、自分たちの飲むアルコールに関して変化を求めていた」(ハンブレヒト氏)

そこで、欧州で何世紀も愛されてきた実績があり、米国内でも人気が出てきたアルコール度数が低く、たくさん飲んでも酩酊することの少ないアルコール飲料である食前酒を開発し、販売するためにHausを立ち上げたのだった。

型破りな解決策

Hausが販売する食前酒は、従来のリキュールと異なり、甘みや苦味が薄く、新鮮な天然の原料から造られる。ブドウを主原料にさまざまなハーブをブレンドした蒸留酒で、飲み口が優しいのが特徴的だ。

フレーバーは8種類あり、カンパリやアペロールといった、従来のリキュール類と異なり「グレープフルーツハラペーニョ」「レモンラベンダー」など、名前だけでどのようなフレーバーなのかをイメージしやすくなっている。

「ロックでも、ソーダ割りでも、低度数カクテルとしても飲むことができる。さらにはそのままでも洗練されたカクテルのような味わいのある飲みやすいお酒だ」とハンブレヒト氏は説明する。

販売方法は、今のところオンラインのみで、基本はサブスクリプション制。会員は、月1本、2本、6本のコースを選べ、本数によって割引を受けられる。フレーバーも自分で選択でき、一時停止も可能だ。会費、送料ともに無料。限定フレーバーやセールの案内も受け取れる。

起業するに当たり、障害となったのは「禁酒法時代から変わりのない酒販への厳しい規制と、フィジカルなものづくりに必要な費用の準備」だった。

酒類販売には厳しい規制があるため、ネットで注文があると「受注したウェブサイトでは、宅配業者を手配し、その宅配業者が注文品を買って配送する」という複雑な手を使うのが一般的であるという。

「製造業者、卸売業者、消費者が購入するための酒類販売店がある。酒類販売には、こうした重層的な制度を使うしかなかった」(ハンブレヒト氏)

しかし、Hausはオンラインで直販している「酒販業として、米国で唯一の」D2Cブランドだ。それが実現した理由を「ブドウを主原料とする低度数のアルコール飲料はネット通販が法的に可能だったから」と説明する。

オンライン直販を全米で開始するためにかなりの資金をかけたというが「史上初のD2C酒販業となれたし、目立った競合もいない」と、その成果を語る。

Hausの製品は自社製造のため、インフラ整備に莫大な費用がかかった。米国の酒造業界では、小企業が製造委託を行う仕組みがないからだ。

製造設備、包装設備、倉庫などを用意せねばならなかったが、酒販スタートアップへの出資を禁止しているファンドが多く、VCは非協力的。「シリコンバレーとファンドに知人が多かったものの、投資家のほとんどが手を出さなかった」と振り返る。

そこで取った方法が、少額でも多数の出資家を募ることだ。

10社のファンドと100人の個人投資家から450万ドル(約5億1000万円)を調達することに成功した。「面談に面談を重ね、理念に共感してくれる出資者を探した」と、ハンブレヒト氏。「初期のスタートアップは、資金調達先を絞るのが定石といわれているが、何事も固定概念に縛られてはいけない。創造的に、これまでにない解決策を探していけば、驚くような答えに巡り会えるものだ」。

「出資者を絞らなかったおかげで、その人の人格に悩まされるというよくある話とも無縁だったし、何より全員が応援してくれるようになった。資金調達の方法が増えれば監視の目はゆるくなり、起業や成長、イノベーションの機会が広がる。

消費者向けブランドの場合、出資者、つまり利害関係のある人が多いことは、顧客になる可能性のある人が増えることを意味している。クラウドファンディングならなおさらだ。大勢から出資を受ける方法にはメリットしかない」(ハンブレヒト氏)

手を抜かないものづくりのために、かさんでしまう初期費用を無事に調達し、生産性の高いインフラを完成させた。しかも、理念に共感し、応援してくれるたくさんのファンを生み出すことにも成功したのだ。

2019年6月にローンチしてからの販売ペースについて大熊氏から尋ねられたハンブレヒト氏は「起業からの2年間で数十万本が売れた」と回答。「業界人から無謀だと思われていたし、反感を買いやすい製品だと自分では考えていたので、これほど早く全米に波及するとは予想外だった」と振り返る。

成功の秘訣は、ハンブレヒト氏が新興企業のPRを経験しており、ブランド創出に詳しかったこと、製品自体が注目を集めやすくメディアが取り上げたこと、また「なぜその製品が必要なのか」を宣伝したこと。

それまで、酩酊性と二日酔いの強いアルコール飲料しか選べず、不満をいだいていたZ世代からミレニアル世代、さらにはベビーブーマー(WWII後のベビーブーム時代に生まれた世代)までもが顧客になっているという。

パンデミックの影響を最小限に抑えられた理由とは

コロナ禍の影響については「強かった」とハンブレヒト氏。「Hausは、人とのつながりで広がっていく製品。共有したいと思うような飲み物だ。しかし、人の交流が途絶え、口コミも止まってしまった。仲間と飲んでいたのが、突如として1人きりで飲むようになり、消費も鈍った」。

しかし、追い風になったこともあるという。

「酒類のネット購入が増加傾向にあった。これはHaus創業時に意識していたこと。それを最大限に活かし、オンライン宣伝を開始。これにより、かなりの成功を収めることができた」(ハンブレヒト氏)

なお、酒類卸売業界全体では停滞が見られたが、Hausは卸との関係が薄かったため、その影響を受けることがなかったという。口コミという強力なマーケティングの有効性がなくなったときに、すぐさま変化に対応するスピーディーさも悪環境を事態を好転させられた理由の1つだろう。

顧客の課題解決を優先し誠実さを示す

現在は、配送先を米国内に限定し、かつオンラインでの直販という形をとっているHausだが、卸売や、将来的には国外への販売も視野に入れているという。

「大手の傘下に入らなければ、全国的な流通網に乗せられず、独立業者は地元のレストランにしか商品を売れない。そこで、D2Cを足がかりに、全国に顧客網を広げた。人気や需要の高さをデータで視覚化できれば、卸売進出へ有利になる。

今は、飲食店や小売店、販売店から前代未聞とも思える数の引き合いがききている。卸売のテスト販売は、まだカリフォルニアでのみ行っているが、2022年には多くの市場に本格参入する予定だ」(ハンブレヒト氏)

Hausが米国で最初で唯一の酒販のD2Cとなったことで、米国の酒販に関係した法律が変わる可能性も出てきた。というのも、重層的な流通体制や前述のような配送仲介を通したネット通販では収益性が低いからだ。D2Cの収益性を目にし、規制緩和への声が高まる可能性がある。

「ネット通販では売れない、と硬直していたのは消費者ではなく販売側」とハンブレヒト氏。「しかし現実はそうではなかった。飲食店で店外用の酒類販売も認められるようになった。厳格な規制が緩み始めた。規制緩和への明るい材料がそろってきたと考えている」。

このように、前例のない事業を展開してきたハンブレヒト氏は「顧客の価値観を最優先させる魅力的なD2Cブランドを尊敬し、さまざまな企業のロードマップを参考にしてきたが、誰の真似もしていない」と言い切る。「その企業が起業した当時の環境に合っていたから成功しただけかもしれず、再現性があるとは限らない。1つの企業だけを手本にしてもいいことがない」。

最後に、これから起業する人へ向けて次のようなメッセージで締めくくった。

「資金調達の方法は1つではない。大手ファンドやVCがだめだったからとあきらめず、個人投資家やクラウドファンディングなどさまざまな方法を探して欲しい。挑戦し続けて欲しい。

D2Cブランドの創業は、以前より難しくなっている。だからプロダクトには十分な配慮が必要だ。粗悪な原料を使わない、ズルをしない、手を抜かない、他社の真似をしない。顧客を優先させ、顧客の持つ課題を解決するように努めて欲しい。その誠実さは、消費者に伝わり、さまざまな障害を克服する助けとなるに違いない」(ハンブレヒト氏)

TechCrunch Tokyo 2021は、12月31日までアーカイブ視聴が可能だ。現在、15%オフになるプロモーションコードを配布中だが、数量限定なのでお早めに。プロモーションコード、およびチケット購入ページはこちらのイベント特設ページからアクセス可能だ。

アリババの東南アジアECモールLazada、年間アクティブコンシューマー数1億3000万人を達成

Alibaba(アリババ)は、中国以外の国の顧客にも同社のeコマースサービスを提供することを常に目指してきた。その戦略は多面的だ。ECの巨人が自社開発したAliExpress(アリエクスプレス)は近年、ロシアで成功を収めている。2016年には、Rocket Internet帝国から生まれたLazada(ラザダ)を買収し、東南アジアに特化したマーケットプレイスの競争力を高めている。

12月16日に行われたAlibabaの投資家デーでのプレゼンテーションによると、Lazadaは9月までの18カ月間で80%成長し、年間アクティブコンシューマー数(AAC)が1億3000万人に達した。9月時点の月間アクティブユーザー数(MAU)は1億5900万人で、AACよりも多いのは、Lazadaを利用するすべてのユーザーが最終的に商品を購入するわけではないからだろう。

中国の姉妹アプリであるTaobao(淘宝网、タオバオ)と同様に、Lazadaはライブストリーミングやゲームなどのエンターテイメント機能を導入しユーザーを引きつけて、純粋なショッピングアプリ以上のものにしようとしている。

Lazadaは、2021年に210億ドル(約2兆3880億円)の商品総額(GMV、経費を差し引く前の売上額)を記録した。また、9月の時点で、92万2000の出品事業者(その多くは中国からの出品者)が毎月活動しており、その規模は1年前の2倍以上になっている。

東南アジアのデジタル経済の発展の一翼を担おうとしている中国の大手企業は、Alibabaだけではない。Alibabaの宿敵であるTencent(テンセント)は、LazadaのライバルECプラットフォームであるShopee(ショッピー)を運営するSea Groupの主要投資家の1つだ。2020年、Seaは354億ドル(約4兆255億円)のGMVを記録した。

Alibabaのもう1つの中国の競合企業JD.comは、インドネシアのEC部門であるJD.IDが2020年初頭にユニコーンの評価額まで上昇したことがTechCrunchの取材でわかった。

画像クレジット:Lazada

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックやツイッターの元幹部が出資するTaggはZ世代向けの「ソーシャルブランディング」アプリ

Z世代は、自分たちが育ってきたソーシャルメディアに満足せず自分たちが使いたいアプリを作っている。クリエイティブな10代、20代の若者向け「ソーシャルブランディング」アプリである「Tagg(タッグ)」は、米国時間12月17日、シードラウンドで200万ドル(約2億3000万円)を調達したことを発表した。出資したのは、Twitter(ツイッター)共同創業者のBiz Stone(ビズ・ストーン)氏、Facebook(フェイスブック)の元インターナショナルグロース担当VPだったEd Baker(エド・ベーカー)氏、TripAdvisor(トリップアドバイザー)の創業者であるStephen Kaufer(スティーヴン・カウファー)氏、Pillar VC(ピラーVC)などだ。

Brown University(ブラウン大学)と近隣のRhode Island School of Design(ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン)の卒業生によって設立されたTaggは、まだプライベートベータ版だが、数千人のユーザーが利用しており、さらに数千人がウェイティングリストに申請している。Taggはいわゆるlink in bio(リンク・イン・バイオ)サービスのようなものだが、若いクリエイティブな人たちがつながり、協力し合い、友人関係を築くことを促進するソーシャルな要素が含まれている。

「デジタルの世界では、あなたのブランドが本物であればあるほど、あなたのつながりも本物になります。現在のソーシャルプラットフォームは、このブランドとつながりの進化する交点に対応できるように作られていません」と、同社は説明している。「Taggは、制限もスティグマ(偏見や差別)もない、自分自身の完全な創造的表現を可能にする環境を構築して、成長させています」。

Taggでは、自分のプロフィールを何に使いたいか(ソーシャルなプロフィールにしたいのか、自分のアートを宣伝してネットワークを広げたいのか)に応じて、アプリにログインしたときに5つのプロフィールスキンから選ぶことができる。そこから自分のページをカスタマイズし、他のSNSアプリでやるように、誰かをフォローしたり、コンテンツを投稿したりすることができる。しかし、Taggでは、投稿に「いいね!」の数が表示されない。これは意図的に選ばれた仕様だ。

「Taggに『いいね!』はありません。コメントやシェア、ビューだけです。なぜなら、クリエイティブな人たちには、自分の好きなものを、スティグマを気にすることなく、好きなように表現することに集中して欲しいからです」と、Taggの共同設立者であるVictor Loolo(ビクター・ルーロ)氏はTechCrunchに語っている。

特にTaggが対象としているZ世代では、ユーザーは「いいね!」の数を必ずしも求めていない。なぜなら「いいね!」の数は、表面的な形で仲間と自分を比較することを助長する可能性があるとわかっているからだ。米国の上院議員であるEd Markey(エド・マーキー)氏(民主党・コネティカット州選出)や、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンタール)氏(民主党・マサチューセッツ州選出)も、10代の若者の精神衛生に悪影響を及ぼす可能性があるとして、16歳未満のソーシャルメディアユーザーには「いいね!」のカウントを禁止する法案を提出している。

画像クレジット:Tagg

Taggの「ソーシャルブランディング」というマーケティングは、一見すると直感に反したものに思えるかもしれない。また、このブランディングという概念は、自分自身を箱の中に入れてしまうことのように聞こえるかもしれない。しかし、Taggは、ユーザーが自分の居心地の良い場所から抜け出すことを促すようにデザインされている。ユーザーはあらかじめ用意されたスキンを使ってプロフィールを作成するが、これはあくまでも提案であり、もしユーザーが、白紙の状態からプロフィールを作成したり、独自のカテゴリーを作成してコンテンツを整理したいなら、それも可能だ。

「プロフィールはいかようにも見せることができる、それが魅力です。私たちは、すべてのソーシャルアプリに備わる伝統的で制限の多い、型にはまったプロフィールから脱却したいと考えました。なぜならZ世代の私たちは、表現の自由と独自性に大きな価値を置くからです」と、ルーロ氏は説明する。「私たちは、伝統的なプロフィールと真っ白なページの間で、心地よくユーザーフレンドリーな場所を見つけたかったのですが、それは多くの人にとって難しいことでした。そこで私たちは、プロフィールスキンを採用することにしたのです」。

Taggは、ブラウン大学でフットボール選手だったルーロ氏自身の経験からインスピレーションを得たものだ。同氏は当時、学生アスリートとしてのアイデンティティ以外で、自分を定義することは難しいと感じていた。そのことが、共同設立者のBlessing Ubani(ブレッシング・ウバニ)氏とSophie Chen(ソフィー・チェン)氏とともに、Taggを起ち上げる切っ掛けとなった。

「人は1つの枠にはめられてしまうものです。例えば、私がTikTok(ティックトック)で料理動画を配信しているとしましょう。そうすると、人は私のことを『料理動画を配信している男』という枠にはめて見ますが、しかし、私は同時に、ビデオゲームやその他のことを楽しんでいるかもしれないのです」と、ルーロ氏はTechCrunchに語った。「私たちは、そのような状況を打破し、クリエイティブな人たちが自分自身をより全体論的に表現できるようにしたかったのです」。

画像クレジット:Tagg

Taggのユーザーは現在、このプラットフォームに参加することでポイントを獲得するようになっている。このポイントは今のところ、特に価値のない機能に過ぎないが、ルーロ氏はこれをアプリの将来的な可能性として捉えている。

「Taggは現在、分散化やトークン化されていませんが、私たちのプラットフォームの原則は、Web3.0の価値観を反映しています」と、ルーロ氏は語る。「私たちの目標の1つは、コンテンツ共有やコミュニティへの参加から直接報酬を得られることが、クリエイター経済の問題を解決する手段であると、クリエイティブな人々に理解してもらうことです。それは、現状のクリエイターに対する支払い不足や、一貫性のないブランドとの提携とは相対するものです」。

将来的にTaggは、ユーザーが価値のあるコインやトークンを獲得できるようになる可能性もある。しかし今のところ、Taggはウェイティングリストからより多くのユーザーを参加させること、より多くのユーザーを獲得することに注力している。

2020年に大学を卒業した後、チームはベイエリアに移り、そこでアプリの開発を続けてきた。今回調達した資金を使って、Taggはチームを拡大するために採用活動を行っている。最近では、15年のエンジニアリング経験を持つSteven Fang(スティーブン・ファン)氏が、CTO兼共同設立者としてTaggに参加した。

画像クレジット:Tagg

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド競争当局がアマゾンによるFuture Group企業への出資取引を取り消し、事実隠蔽で罰金約30億円

インドの独占禁止監視当局は、Amazon(アマゾン)が2019年にFuture Group(フューチャーグループ)傘下の企業に出資することについて認めていた承認を取り消し、事実を隠蔽したとしてAmazonに約2630万ドル(約30億円)の罰金を課した。

インド競争委員会(CCI)は、2019年にFuture Coupons(フューチャークーポンズ)に出資したAmazonが「結合の実際の範囲と目的を隠し」、商業上の取り決めのいくつかを届け出なかったと指摘した。

インド最大の小売チェーンReliance Retail(リライアンス・リテール)は1年前、Future Groupの小売・卸売事業と物流・倉庫事業を34億ドル(約3870億円)で買収することで同社と合意したと発表した(CCIはインド2大小売チェーン間の取引を承認している)。

事態がややこしくなったのは、その直後からだ。AmazonはFuture Groupを契約違反で訴え、Future Groupへの先行投資の権利があると主張して、Future GroupとReliance Retailの取引停止を求めてシンガポールの仲裁センターに申し立てた。この問題はインドの最高裁にまでおよび、最高裁は8月に取引停止というAmazonに有利な判決を下した

当初、AmazonとFuture Groupの取引を承認していたCCIは、Future Groupからの申し立てを受けて再度審査を開始した。

「フォームIの項目8.8に基づく開示要求に対して、Amazonが関連する重要な文書を隠蔽した行為は、法45条1項(c)に反する 」とCCIは現地時間12月17日に59ページにわたる命令を出した[H/T ロイターのジャーナリストAditya Kalra(アディティア・カラ)氏]。

60日以内の罰金支払いを求められたAmazonは、命令をレビューしている、と声明で述べた。

「我々はインド競争委員会が下した命令をレビューしており、次のステップについては今後決定します」と、広報担当者はTechCrunchに語った。

命令の数日前に、Amazonはインドの反トラスト機関に、Future Groupとの2019年の取引を取り消せば外国人投資家にネガティブなシグナルを送り、インド最大の小売チェーンを所有するRelianceが「さらに競争を制限する」ことを可能にすると警告していた

インドの数百万の小売業者を代表するロビー団体、全インド商業者連合(Confederation of All India Traders)は、CCIの命令は「画期的なものであり、Amazonはその不正行為と、法律や規則の継続的な違反とともに、あらゆるレベルでの多くの嘘を完全に露呈した」と述べた。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP Photo / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokがMeta傘下のGIPHYと連携、グリーンスクリーンやHDビデオ、猫の鳴き声エフェクトなどの新機能を発表

米国時間12月16日、TikTokはFor Youの変更に加えて、カメラや編集ツールのアップデートも発表した。具体的には、広く使われているグリーンスクリーン編集ツールの新機能や、ビデオ補正とサウンドエフェクトのアップデートがある。

今回のアップデートで注目されるのはグリーンスクリーンの新機能だ。TikTokによれば、グリーンスクリーンは2019年の公開以来、同プラットフォームで目立って多く使われているという。このツールを使うと自分の背景を別の写真やビデオにすることができるが、このツールが新たにGIFに対応した。

この機能を実現するために、TikTokはMeta傘下のGIPHYと協業した。この連携により、TikTokユーザーはライブラリからGIFを選んで自分の背景にし、さまざまなビデオを作れる。例えばGIFを背景にした「リアクション」ビデオを作ったり、ミームの紹介や言及をするツールとしても使えるだろう。

一方、TikTokはプロのクリエイターにも使われるようになっており、ライブストリーマー向けデスクトップソフトウェアのテストに見られるように特定の対象者に向けたツールの展開も始めている。同社は1080pのHDビデオをアップロードするオプションを今後公開すると発表した。この機能を利用できるようになるのは「一部の国」で、対象となる国では投稿ページのオプションに「HDをアップロード」の項目が表示されるようになる。

画像クレジット:TikTok

他の新機能としては、ビデオの露出や光量不足、色を自動で補正するボタンが追加される。ビデオの専門家でなくてもタップするだけで簡単に利用でき、コンテンツが良い仕上がりになる。このツールを使うには、ビデオを撮影またはアップロードした後で、右側のパネルに表示される補正ボタンをタップする。補正が気に入らない場合はもう一度ボタンをタップすればエフェクトが取り消される。

TikTokはさらに音楽とオーディオの新しいエフェクトも公開する。声や音を動物の鳴き声や楽器の音、例えば猫やフルート、日本では一般にチャルメラと呼ばれる中国の管楽器のチャルメラに変えるおかしなエフェクトもある。この新機能は、編集ページの右側にあるパネルでボイスエフェクトボタンをタップして使用する。

画像クレジット:TikTok

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyがラジオ放送をオンデマンドオーディオ化するポッドキャスト技術のWhooshkaa買収

Spotify(スポティファイ)は、ポッドキャストのホスティング、管理、配信、プロモーション、マネタイズ、測定のためのオールインワンプラットフォームであるオーストラリアの会社のWhooshkaa(ウーシャカア)買収し、ポッドキャストへの投資を引き続き継続している。この買収は、Spotifyがポッドキャストテクノロジー市場において、2020年行ったホスティングおよび広告会社のMegaphone(メガフォン)の買収、そして最近ではポッドキャスト発見プラットフォームであるPodz(ポッズ)の買収に続くものだ。

また、現在はSpotify Greenroom(スポティファイ・グリーンルーム)という名のBetty Labs(ベティ・ラボ)のAnchorやライブトークショープラットフォームといったクリエイター向けツールや、Gimlet(ギムレット)、Parcast(パーキャスト)、The Ringer(リンガー)といったポッドキャストスタジオも買収している。

WhooshkaaによってSpotifyは、ラジオ放送局が既存の音声コンテンツをオンデマンドのポッドキャスト番組に簡単に変換できる専門技術という新しいツールを手に入れたことになる。Megaphoneはすでに、ポッドキャスター向けにホスティング、配信、レポート、マネタイズなどの一連のツールを提供しているが、Spotifyが最も関心を持ったのはこの部分だった。Spotifyは、この「ブロードキャスト・トゥ・ポッドキャスト」技術をメガフォンに直接統合するという。

Spotifyは、Wooshkaaのポーティング機能によって、より多くのサードパーティーコンテンツがSpotify Audience Networkに参入でき、広告パートナーへのリーチとインパクトを高めることができると考えている。Spotifyのこの部分のビジネスは、スケールアップしている。同社は2021年に広告収入10億ユーロ(約1280億円)のマイルストーンを通過し、Spotifyは第3四半期に過去最高の広告収入を計上した。

現在、Spotifyの広告主の5人に1人がSpotify Audience Networkを利用しており、加入したMegaphone Podcastのパブリッシャーでは、フィルレートが2桁増になったとSpotifyは述べている。

2016年に立ち上げられたWhooshkaaは、テキスト読み上げ、音声合成、コネクテッドホーム統合、ダイナミック広告挿入技術、エンタープライズグレードのプライベートポッドキャスティングツールなどの分野でもイノベーションを起こしたと、CEOのRob Loewenthal(ロブ・ロウェンサル)氏は同社ブログでの独自の発表で述べている。しかし、Spotifyが月間3億8100万人のリスナーを抱えているため、Whooshkaaはその技術をより多くの人々に提供することができるようになるのだ。

「私たちは、デジタルオーディオの世界的な成長の可能性は、まだほとんど手つかずであると信じています。これらの新しく加えられたツールやそれを支える革新的なチームを通じて、クリエイター、パブリッシャー、広告主がこの機会の価値を実感できるよう支援するという当社のコミットメントを強化します。Whooshkaaとともに、我々はあらゆる種類のオーディオパブリッシャーのポッドキャストビジネスの成長を支援する取り組みを強化し、広告主が視聴者に到達するのを支援する我々の能力を拡大します」。と、Spotifyのコンテンツ&広告ビジネス最高責任者のDawn Ostroff(ドーン・オストロフ)氏は、この取引に関する声明で述べている。

Spotifyは、取引条件の共有を拒否し、Whooshkaaの既存の顧客のための移行計画についてはまだコメントできなかった。この取引の一環として、合計12名がSpotifyに入社する予定だが、彼らは引き続きオーストラリアに拠点を置く予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Spotify、ポッドキャストにアップルのような5つ星評価システムを導入

ポッドキャストを聴いたことがある人なら、エンドロールでホストが「Apple Podcastにレビューを残してください」というのを聞いたことがあるだろう。これからは「Apple PodcastsとSpotifyにレビューを残してください」という文言に変わるかもしれない。

Spotify(スポティファイ)は米国時間12月16日、ポッドキャストのディスカバリーを向上させようと、Apple(アップル)と同様の5つ星評価システムを導入することを発表した。同社によると、この機能はSpotifyでポッドキャストが配信されているほぼすべての市場で、今後数日のうちに展開される予定だという。

Appleと違い、この機能は現時点では星評価のみをサポートし、番組のレビューを書くことはまだできない、とSpotifyはTechCrunchに説明した。

Spotifyはブログ投稿で、その意図は「リスナーにお気に入りのポッドキャスト番組をサポートする機会を与え、クリエイターとリスナー間の双方向のフィードバックループを可能にすること」だと書いている。しかし、ポッドキャスティングというメディアが出現して以来、5つ星のAppleレビューを求めてきたポッドキャスターたちは、星の評価が実際にどれだけ番組の宣伝に役立つのか慎重だ。

ポッドキャスティングでは、立ち上げから数週間で多くの評価レビューを獲得すれば、Apple Podcastsの注目すべきチャート「New and Noteworthy」にリスト入りする可能性が高まり、番組の成長が加速するというのは、十分に裏付けがある神話だ。それに、プロのポッドキャスターたちは、Apple自身が評価やレビューはチャートに影響を与えないと言っていることを指摘している。

Spotifyの担当者はTechCrunchに「評価はリスナーとなる人が番組の質をすばやくチェックするためのすばらしい方法ですが、現時点では(この機能の初期段階なので)番組の評価はポッドキャストチャートやパーソナライズされたレコメンデーションに織り込まれません」と述べた。

つまり、これはファンがポッドキャストをどう思っているかを示すツールではあるが、今のところ番組がSpotifyのチャートやキュレーションリストに載るためのものではない。

Spotifyが2019年に買収したポッドキャスト作成プラットフォームのAnchor(アンカー)は、ポッドキャスターがリスナーに評価を残すよう促す方法について、ブログ記事で提案している。「この番組は好きですか。Spotifyの番組ページに評価を残して、私たちに教えてください」と、ある例には書かれている。

独立系のポッドキャスティング集団Multitude Productionsのクリエイティブ部門責任者であるEric Silver(エリック・シルバー)氏は「クリエイターとして、これはマーケティングの動きのように感じられます」と述べている。「私はApple Podcastsで評価やレビューをするよう、人々には一切言っていません。なぜなら私が気分良くなること以外に何も起こらないことを知っているからです」。

2021年12月初めにソーシャルメディア上でトレンドとなったSpotify Wrappedと同様のマーケティング戦術だ。自分の音楽やポッドキャストの視聴習慣を友人と共有するのは楽しいが、同時にSpotifyにとっては大きなPRの成功でもある。

関連記事:「Spotifyまとめ2021」にアーティストのビデオメッセージ、Blendそしてゲームまで登場

Spotifyの新しい評価システムが配信に影響を与えないとしても、シルバー氏は少なくとも数週間はリスナーがMultitudeの番組をSpotifyで評価するよう促すだろう、と話す。Spotifyは最近、米国のポッドキャストリスナー数でApple Podcastsを上回った。なので、潜在的な視聴者の大部分があなたの番組のページを訪れたときにその評価を見ることになるなら、ファンにあなたの番組を評価するよう求めることは理に適っている。

YouTube、TikTok、その他のクリエイティブなプラットフォームは、潜在的なオーディエンスに、あなたが何人のフォロワーを持っているかをすぐに表示する。しかし、ポッドキャストのダウンロード数や購読者数は、ポッドキャスターが言わない限りわからない。評価やレビューが人気の指標になるとはいえ、この点がポッドキャスティング業界と、ビデオのようなよりアルゴリズムが重視される他のメディアとの違いだ。

「理論的には、アルゴリズムはあなたを助けるはずです。しかし、これはこの時代の技術の話ではないでしょうか」とシルバー氏はいう。「とても複雑です。アルゴリズムがあればもっと発見があるのに……というような話ではなく、YouTubeやTikTokのような問題が発生すると、その逆になってしまいます」。

YouTubeやTikTokといったプラットフォームのクリエイターは、アルゴリズムが好むと思われるコンテンツを作るよう動機付けられていて、おそらく視聴者が好むと思われるものよりも作っている。しかし、メディアであっても、それはアルゴリズムに依存したものではなく、ポッドキャスティングや、Twitchストリーミングのように、固有のバイアスが存在する。2021年初め、Twitchの支払いデータが流出した際、最もギャラの高い女性ストリーマーであるPokimaneは、Twitch全体のギャラの順位で39番目に止まることが明らかになった。ポッドキャスティングも、その多様性という点ではまだまだだ

Spotifyはポッドキャストの評価をアルゴリズムによるレコメンドに使っていないとはいえ、ポッドキャストを見つけやすくするための大きな計画の一部である可能性はある。Spotifyはポッドキャストのディスカバリーを促進しようと、2021年6月にPodzを買収した

関連記事:Spotifyがポッドキャスト発見プラットフォーム「Podz」を買収

短期的には、Spotifyは評価を通じて番組を良く見せる必要があるため、ポッドキャスターが視聴者にSpotifyを利用するように仕向けるための巧妙な動きといえる。これは本質的に悪いことではないが、SpotifyとAppleがポッドキャスティングのエコシステムでより大きなシェアを獲得しようと競争しているため、クリエイターはより大きな技術競争の渦中に巻き込まれているように感じられるかもしれない。

画像クレジット:Spotify

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

銃撃や爆破予告、暴力行為を警告するTikTok上の噂で米国各地で学校閉鎖・警戒

TikTok(ティックトック)をはじめとするソーシャルプラットフォーム上で、米国時間12月17日に米国各地の学校が暴力の脅威に直面していることを示唆する、不吉で具体性のない噂が拡散した。多くの学校がこの動きに対応して学校を閉鎖したが、多くの地域の警察機関と少なくとも1つの連邦法執行機関が、この脅威には裏づけがないと発表している。

米国土安全保障省(DHS)は、学校に対する脅威の可能性について報告を受けたことを認識しているが、「具体的で確かな脅威」は見つからなかったと述べている。しかし、同省は「地域社会が警戒を怠らないように」と呼びかけている。

TikTokは16日にこの噂を初めて取り上げ、同社は法執行機関と連絡を取り合っているが「そのような脅迫がTikTokを介して発生したり拡散した証拠は見つかっていない」と述べた。脅迫自体はTikTokに見当たらないのは事実だが、12月17日に暴力行為が行われる可能性があるという恐怖心を煽る投稿が多く見られ、それらの噂が全国的に急速に広まったと思われる。

関連するTikTokのハッシュタグには「I luv you guys pls stay safe on Dec 17(みんな愛してる、どうか12月17日には安全でいてね)」と書かれていた。コメント欄には、この動画の制作者が「(状況を知らず)混乱している人へ、12月17日に米国各地の学校で銃撃や爆破の脅迫があって、私の学校は2回も脅迫されました」と説明している。フォロワーからは、自分の学校で最近起こった爆破予告の話が続々と寄せられた。

TikTokは17日の朝にこの状況を再確認し、FBIやDHSと連携しても、噂の発端となるような信頼性の高い脅迫を突きとめることはできなかったと述べた。

米国各地の学区や警察は、この噂を受けて注意を促す一方で、具体的な脅威が表面化していないことを強調した。フロリダ州リー郡の保安官は、自らもTikTokの動画で、米国の多くの学校が頻繁に受けている爆破予告のような「偽の脅し」をやめるよう呼びかけた。

イリノイ州グレンビュー市の警察は16日、このようにツイートした。「この脅威がイリノイ州の学校に関連しているという信憑性のある情報はありません。グレンビュー警察は、毎日、すべての学校の敷地をパトロールしており、今後もそれを続けていきます。みなさまには、引き続き警戒していただき、不審な行動を報告していただくようお願いいたします」

噂の真偽は定かではないが、カリフォルニア州テキサス州ミネソタ州コネチカット州など、多くの州で17日に学校が閉鎖された。開校した学区では、用心のためにリュックサックを家に置いておくように指示したところもあった。

全米の地方自治体および連邦政府の法執行機関は、引き続き事態を監視している。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

米Hulu、ユーザーのストリーミング習慣に関する統計情報を含むパーソナライズされた年末まとめ機能を提供

遅ればせながら、米HuluもSpotifyの「S⁠p⁠o⁠t⁠i⁠f⁠y⁠ま⁠と⁠め⁠2⁠0⁠2⁠1」のような年末まとめを提供している。Huluが提供しているのは、ユーザーそれぞれの視聴習慣を「Your TV DNA」ツールを使って知ることができるというオプションだ。ツールは新しいウェブサイトからアクセス可能で、ユーザーは、2021年の自分の個人的視聴習慣のプロフィールにアクセスできる。ツールはユーザーのストリーミング習慣を分析して、最もよく観たジャンルや映画、テレビ番組のエピソードをいくつ観たのかといっや情報をシェアする。

まとめを見るためには、まずウェブサイトでHuluアカウントにログインする。するとツールがユーザーのデータを分析して、それから、最もよく観たジャンルが表示される。カテゴリー名は「エッジの効いたコメディー」や「ハラハラドキドキのドラマ」「犯罪ドラマ」といった感じだ。まとめには「ストリーミングペルソナ(ストリーミングの性格)」という項目があり、2021年の視聴習慣がわかる。

ツールには、次回、ユーザーが訪れた際、観るべきものを推薦する機能もある。このレコメンデーション機能には、ユーザーがこれまで観たものに基づいてコンテンツを薦めてくれる。また、自分のまとめをソーシャルメディアで他の人たちとシェアするオプションもある。

「2021年、Huluは初めて加入者が自分の視聴DNAの閲覧をリクエストする機会と、希望すれば自分のストリーミングペルソナを堂々と共有できるツールを提供します。本日より、加入者はYourTVDNA.comにアクセスし、2021年を通じてパーソナライズされたHuluの視聴習慣を見るようリクエストすることができます」と同社はブログで述べている。

画像クレジット:Hulu

同社がこの新機能をローンチしたのは、毎年行われるSpotifyの「S⁠p⁠o⁠t⁠i⁠f⁠y⁠ま⁠と⁠め⁠2⁠0⁠2⁠1」のおかげで、年末のまとめをシェアするという行為がますます人気になり、ソーシャルメディアで広くシェアされているためだ。その成功を見て、他社がその人気機能をマネるのも当然だ。Huluも多くのデジタル巨人たちに合わせて、自ら「まとめ」風機能をリリースした。先にFacebookとInstagramは、ユーザーがそれぞれの「Year in Review」機能を導入して、ユーザーにその年に思いをはせる方法を提供した。Redditもユーザー個人のまとめを展開し、ユーザーの習慣に関する統計を提供している。一方Snapchatは今週「Year End Story」機能をローンチした。

Huluは、個人のまとめだけでなく同プラットフォーム全般のトレンド情報も発表している。それによると、最も多く観られたコメディーは「Only Murders in the Building(マーダーズ・イン・ビルディング)」で、最も多く観られた連続ドラマは「Nine Perfect Strangers」が記録を更新した。そして、アダルトアニメが、Huluで最も観られた時間が多かったジャンルだった。

同社によると、2021年にストリーミング量が最大だった日は1月31日日曜日で、おそらくJohn Krasinski(ジョン・クラシンスキー)氏がホストを務める「Saturday Night Live(サタデー・ナイト・ライブ)」のエピソードを前夜から見ていたことが大きい。オリジナル以外の連続ドラマでは、もっとも多く見られた医療ドラマが「The Good Doctor(ザ・グッド・ドクター)」で、それは2020年にもこのカテゴリーのトップだった。ノンオリジナルで人気が高かった連続ドラマは他に「Law & Order:SVU(LAW & ORDER:性犯罪特捜班)」と「Modern Family(モダン・ファミリー)」だった。

画像クレジット:Hulu

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TikTokが動画でバズった料理をユーザーに届ける宅配レストランを全米展開、3月に約300店舗オープン

TikTok(ティックトック)は、アプリで見たバイラルな食べ物動画を実際に食事としてオーダーし味わえるようにする新サービスの開始を準備している。同ソーシャルアプリはVirtual Dining Conceptsと提携し、「TikTok Kitchen(ティックトック・キッチン)」ブランドのデリバリー専用レストランを2022年、米国各地で立ち上げる予定だとBloombergが最初に報じた。レストランのメニューはTikTokで最も人気のあるバイラルフードを参考にしており、ユーザーはそれらを自宅に届くよう注文できる。両社は、3月に約300店舗をオープンしてデリバリーを開始し、2022年末までに1000店舗以上の出店を予定しているという。

当初のメニューには、ベイクドフェタパスタ、スマッシュバーガー、コーンリブ、パスタチップスなど、TikTokでバイラルレシピとなった料理が含まれる。特にベイクドフェタパスタはこの1年TikTokで絶大な人気を博し、Google(グーグル)が2021年に最も検索された料理として報告している。今後、各店舗のメニューは四半期ごとに、人気の出始めた新しい料理を取り入れて変更される予定だという。なお、TikTokがベイクドフェタパスタのような人気メニューを常設メニューにするかどうかはまだ不明だ。

TikTokはTechCrunchに、クリエイターがメニューの中の料理に対してクレジットを受け取り、パートナーシップの中で目立つように紹介されることを確認した。

「TikTok Kitchenの売上は、メニューのきっかけとなったクリエイターを支援するとともに、ユーザーの創造性を刺激し、喜びをもたらすというTikTokのミッションに沿って、他のクリエイターがプラットフォーム上で自己表現することを奨励・支援するために使用されます」とTikTokは述べている。

しかし同社は、これはTikTokの料理をファンに届けるためのキャンペーンであり、TikTokがレストラン事業に進出するわけではないと説明している。つまり、同社はこれを長期的なビジネスというよりも、マーケティング活動の一環として捉えているようだ。TikTokは、この「キャンペーン」がどのくらいの期間行われるのか、また注文方法やメニューアイテムの選択・更新方法などの詳細については言及していない。

2018年に設立されたVirtual Dining Conceptsは、複数のデリバリー専用ゴーストレストランを運営しており、YouTubeセレブのMrBeast(自身のバーチャルレストラン事業MrBeast Burger」を運営)、Guy Fieri(ガイ・フィエリ)氏、Steve Harvey(スティーブ・ハーベイ)氏、Mariah Carey(マライア・キャリー)氏、ラッパーのTyga(タイガ)氏など、多くの著名人と提携している。また、同社はデジタルメディア企業Barstool Sportsとも提携している。Virtual Dining Conceptsは、10月にシリーズAで2000万ドル(約22億7000万円)の資金を調達し、この投資を、新しい技術の導入、企業インフラの強化、マーケティングやカスタマーサポートの追加に充てる予定だと述べていた。

TikTokは、食のトレンドを作り出すことで広く知られており、同アプリに投稿された多くのバイラルレシピがTwitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)などの他のSNSプラットフォームで再共有されている。今回の提携は、この人気を利用して、TikTokブランドと、アプリ上で料理コンテンツを提供しているクリエイターたちの認知度をさらに高めようとする動きだ。

画像クレジット:Virtual Dining Concepts

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

国際貿易の見積査定業務を効率化するPortXを展開するJapanFuseが7500万円のシード調達

国際貿易の見積査定業務を効率化するPortXを展開するJapanFuseが7500万円のシード調達

国際貿易における見積もり査定業務をDXする「PortX」(ポートエックス)を開発・運営するJapanFuseは12月14日、シードラウンドにおいて7500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、新規引受先のALL STAR SAAS FUND、ANOBAKA、既存投資家のSamurai Incubate。調達した資金により、「国際貿易市場」のバリューチェーン全体の業務コストの削減および効率経営の実現を目指す。

PortXは、見積もりの規格を統一し、データ化・共有化・再利用することによる「原価低減」と「業務コスト削減」を実現するサービス。各運送事業者に対して見積依頼をワンクリックで送信でき、空き状況や価格を軸に、回答の自動集計・即時査定を行える。国際貿易の見積査定業務を効率化するPortXを展開するJapanFuseが7500万円のシード調達

JapanFuseは、「国際貿易の産業構造を再定義する」をミッションとして掲げ、3PL・フォワーディング事業者の見積査定業務をDXするPortXを提供している。3PL・フォワーディング事業者とは、荷物を運びたい実荷主に変わって国際貿易における輸送手配業務を代行し、船会社、トラック会社、倉庫会社などの複数の運送事業者を組み合わせて、実荷主に対し一貫輸送を提供する貨物利用運送事業者を指す。

国際貿易市場において、コンテナスペースなどアセットの仕入れは、営業利益率に直結する企業競争力の源泉となっているものの、多くの3PL事業者において、市況に左右されリアルタイムで価格が変わるスペースの仕入れにより以下の3つの大きな課題が生じているという。これら課題によって、原価低減への難易度が飛躍的に上昇しているそうだ。国際貿易の見積査定業務を効率化するPortXを展開するJapanFuseが7500万円のシード調達

・各サプライヤー(船会社、ドレージ、倉庫会社)から返ってくる見積形式が各社異なることで生じる、表計算ソフトへの転記などの労務負荷
・案件が属人化していることで生じる、引き継ぎの業務負荷
・過去見積や類似ルートの見積がデータ化されていないことで生じる、見積の妥当性検証への参照・検索コスト

PortXでは、スペース仕入れにおける見積査定の課題から取り組み、3PL・フォワーディング事業者の業務コストの削減および効率経営を実現するという。