アフリカ最大のeコマースプラットフォームJumiaのブラックフライデー売上高は30%増

アフリカのeコマースは急速に成長しており、より多くの人々がインターネットに接続するようになった今でも、その潜在可能性は依然として非常に大きい。2021年のGSMAモバイルエコノミーレポートによると、サハラ以南のアフリカ全体では、人口の約28%にあたる3億300万人がモバイルインターネットに接続しており、この数字は3年後には最大40%増えると予想されている。

インターネットにつながる人の数が増え、買い物客がますますオンラインでの購入を選ぶようになると、最近Jumia(ジュミア)で起こったように、eコマースプラットフォームでは注文数と購入金額が急増することになる。

アフリカ諸国にまたがるeコマースプラットフォームであるJumiaが12月7日に発表した米証券取引委員会(SEC)への報告書によると、ブラックフライデーシーズンに同社のプラットフォームでの販売額は、2021年は30%ポイント増加して1億5000万ドル(約170億円)に達した。

Jumiaのブラックフライデーセールは2012年に始まり、11月の第1金曜日から月末まで行われる。この期間中の注文件数は2021年、前年比39%増の430万件に達し、販売者数も11%ポイント増の4万6000だった。また、Jumiaの同期間中のユニークビジター数は4000万人を記録し、27%ポイント増だった。

先にお伝えしたように、Jumiaで最も人気のある商品は消耗品で、次いで美容・ファッションアイテムだった。これより前に、Jumiaは食料品カテゴリーを拡大するために、ダークストアをさらに立ち上げた。第3四半期決算からするに、この取り組みは報われたようだが、ニューヨーク証券取引所に上場している同社の収益確保は依然としてうまくいっていない。

JumiaはSECに提出した報告書の中で「当社の消費者は、日常的なニーズを満たすためにますますJumiaを利用するようになっており、数量ベースで最も急速に成長している物販カテゴリーのトップ3は、短期間で消費される日用消費財(FMCG)、次いで美容、ファッションとなっています」と述べている。

Jumiaは、TechCrunchとの過去のインタビューで、ショッピング習慣の変化をもたらしたものについて、オンライショッピングの需要を増大させた外出禁止の規制に加えて、新しいトレンドをすばやく取り入れる若年層、アフリカ大陸全体でのスマートフォンとインターネットの普及率の向上などを挙げている。スマートフォンは、eコマースサイトへのトラフィックに最も多く(75%)貢献しており、これはより多くの人々がインターネットに接続するようになるとオンラインショッピング利用者が増加することを意味している。ナイジェリア、南アフリカ、ケニアがJumiaのオンライン販売の大半を占めている。

Jumiaの配送事業部門Jumia Logisticsがブラックフライデーシーズンに扱った荷物は530万個に達し、これは「2021年の10月までの月平均量の2倍超」とのことだ。

Jumiaは現在、アフリカ最大のeコマースプラットフォームであり、ナイジェリアのMarketplace Africaや南アフリカのSouq、bidorbuyなど数百にのぼる他社をリードしている。Jumiaのプラットフォームは、アルジェリア、セネガル、チュニジア、コートジボワール、ウガンダ、モロッコなどアフリカの11の市場で利用可能だ。

画像クレジット:Jumia

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tinder、Spotifyと提携して新機能「ミュージックモード」を開始

Tinder(ティンダー)はSpotify(スポティファイ)と提携し、ユーザーがプロフィールをチェックしているときに、相手が選んだ曲を30秒間ループで聞くことができる新機能「Music Mode(ミュージック・モード)」を開始した。Spotifyのアカウントをリンクし「Anthem(アンセム)」と呼ばれる選曲をTinderのプロフィールに追加したユーザーは、ミュージックモードに入ることができる。なお、TinderとSpotifyは、ユーザーがプロフィールに音楽を加えることができるAnthem機能を開始するために2016年に初めて提携していた。今回の最新の統合は、ユーザーが潜在的な相手のお気に入りの曲を発見するための新しい方法だ。

ミュージックモードは、今後数週間のうちに、Spotifyが利用可能なすべての市場で、Tinderユーザーにグローバルに展開される。この新機能は、Tinderのインタラクティブな「Explore」ページに表示される。Tinderは、この新機能が、音楽と人のつながりの自然な結びつきの上に構築されており、ユーザーが音楽の好みを通じてつながることを可能にすると述べている。

「ミュージックモードによって、ユーザーは、パーティーで自分と同じ曲を好きな人がいることを知ったときの感覚を体験することができます」とTinderのプロダクトイノベーション担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は、プレスリリースの中で述べている。「歌は深く個人的なものであり、ミュージックモードは、音楽を通じて何か新しいことを引き起こす場所です」。

同社によると、Z世代のTinderユーザーの約40%がすでにAnthemをプロフィールに追加しており、追加するとマッチ数が10%近く増加するとのことだ。

今回の発表は、ユーザーが新しい方法で相手と関わることができるよう、Tinderが新機能を展開していることを受けたものだ。例えば、前述の新しいExploreセクションでは、イベントの紹介や、興味でマッチする相手を発見する新しい方法を提供している。また、ユーザーは、マッチングが成立する前に、相手と簡単な会話をすることができる。また、同社は、「Plus One(プラス・ワン)」機能も新たに追加した。この機能により、ユーザーは、自分が結婚式に参加する相手を探している、または結婚式に参加したいと思っていることを伝えることができる。

Tinderは2021年11月、アプリ内のインタラクティブなイベント「Swipe Night(スワイプナイト)」を復活させた。このイベントでは、マッチングやチャット以外に、ユーザーが打ち解けるための別の方法が用意されており、今回は「whodunit(フゥダニット)」と呼ばれる殺人事件をテーマにしている。Swipe Nightは、Exploreセクションから利用できる。また、このセクションでは、スピードデートのように時間を区切ってリアルタイムでチャットできる「Hot Takes(ホット・テイク)」や、同じ趣味を持つ人と出会える「Passions(パッション)」なども利用できる。

画像クレジット:Tinder

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflixが作品の更新や独占インタビューなどを最新情報をまとめるウェブサイト「Tudum」を開設

Netflix(ネットフリックス)は、テレビ番組や映画の更新、リリース日、追加コンテンツに関するニュースを掲載する新しいウェブサイト「Tudum(トゥダム)」を開設した。Netflixは、このサイトを「Netflixのお気に入りの作品をより深く知ることができる場所」と位置づけている。ユーザーは、自身のNetflixアカウントでこのサイトにログインすることで、よりカスタマイズされた体験をすることができる。Netflixによると、同ウェブサイトはまだ初期段階にあり、今後も継続して構築し、新しい機能を追加していく予定だという。

Tudumでは、Netflixのテレビ番組や映画に関する追加コンテンツや情報を提供する予定だ。例えば、ユーザーはコンテンツをより深く掘り下げることができるようになり、「ウィッチャー」のキャストを他にどこで見たか、「メイドの手帖」は実話に基づいているのかなどの情報を調べることができるようになると述べている。同ウェブサイトには、独占インタビュー、キャストの内訳、プラットフォームで人気のあるコンテンツの情報、トレンドニュースセクション、今後のショーの詳細、探索セクションなどが含まれている。

「Tudum」という名称は、Netflixで再生ボタンを押したときに聞こえてくる音にちなんで名付けられたもので、9月に開催されたNetflixのグローバルなバーチャルファンイベントの名称でもある。このイベントでは、Netflixの最も人気のあるタイトルのスターたちによる独占的な初公開やパネル展示が行われた。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」「エミリー、パリへ行く」「ウィッチャー」「ザ・クラウン」「コブラ会」「ブリジャートン家」など、Netflixの最も人気のある番組のクリエイターやスターとの話があった。

このストリーミング大手の最高マーケティング責任者であるBozoma Saint John(ボゾマ・セイント・ジョン)氏は、ブログ記事で新サイトの立ち上げを発表し、Netflixは「ファンのみなさまが愛するストーリーをより深く掘り下げ、夢中にさせ、新しい会話を始めるために、Tudumを導入できることに興奮しています。まだまだこれからで、今日の公開は始まりに過ぎません」。 と述べている。

新しいウェブサイトは世界中でアクセスできるようになったが、現在は英語版のみの提供となっている。Netflixがこのウェブサイトを他の多くの言語でも展開する予定かどうかは不明だ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Wisdom、メンターシップのためのソーシャルオーディオマーケット構築を目指し約2.3億円調達

人生や生活のアドバイスを掘り起こし、また優れたメンターへのアクセスを提供するソーシャルオーディオアプリWisdomは2021年10月にiOSアプリをローンチしたが、このほど初期人気のおかげもあり200万ドル(約2億3000万円)のシード資金を調達した。

このシードをリードしたのはFirst Round Capitalで、多くのビジネスエンジェルたちが参加した。

この英国のスタートアップは、そのひねりを効かせたソーシャルオーディオが惹きつけているユーザー数を公表していない。しか同プラットフォーム上のメンターたちは、これまでおよそ60万回分の「見識と指導」を共有した。そしてアプリの公式ローンチから8週間で、230万分間、視聴、再生されてもいる。

Wisdomは1対1の会話形式を採用し、アドバイスとメンターによる指導がメインとなっている。オーディエンスの広がりはラジオ放送に近い。そのローンチの様子は、過去にTechCrunchも取り上げた

Wisdomによると、このプラットフォームのやり方はポッドキャスターたちの間で人気だという。

初期段階で人気のトピックには、気配りやソーシャルメディアなどもある。

インフルエンサーないしメンターとしては、初期に貢献したのがミュージシャンのKenny G(ケニー・G)や「Buffy the Vampire Slayer(バフィー 〜恋する十字架〜)」の俳優で「Spike」役のJames Marsters(ジェームズ・マースターズ)、野球で殿堂入りしたAndre Dawson(アンドレ・ドーソン)氏らとなる。

シードラウンドに関するコメントでFirst Round Capitalがこう声明している。「ソーシャルオーディオはまだ幼児期にありますが、CEOのDayo Akinrinade(ダヨ・アキンリナーデ)と一緒に彼女のWisdomのビジョンを間近に見ることは、すばらしい経験です。Wisdomは、とても重要なトレンドのひとつに乗っており、ソーシャルオーディオやアルゴリズムフレンドリーな設計は、さまざまな声を主役とするインパクトの強いコミュニティの強さを反映しています。これまで見過ごされていた多様な人たちが、すぐれたメンターたちにアクセスできる場をつくっているのです」。

First Roundはさらに続けて「今人気があるのはClubhouseの『カクテルパーティー的形式』だけですが、それは、もっと多様であるソーシャルオーディオの形式の1つにすぎないでしょう。Wisdomの、1対1の会話を多くのリスナーにブ配信して、タイマーが会話が滞らないように工夫するやり方は、ソーシャルオーディオというカテゴリーの中で傑出しています。私たちがSocial Audio Inc.とそのWisdomアプリへの投資を発表できることも、同じくすごいことです。このユニークな形式を持つアプリと立派なミッションがどこまで広まるか、それを見届けるのが待ち遠しい。

ダヨ・アキンリナーデ氏は初期成功の理由を、強力なコミュニティとメンターたちのおかげ、と述べている。そして「投資と、新しい投資家たちの専門的能力で私たちは、この稀有なコミュニティをさらに強く大きく育てることができる語る。

シード資金で機能のロードマップを作って行けるが、特に重要なのがコミュニティのエンゲージメントを盛り上げるための機能だと同社はいう。

Androidアプリは2022年初頭に出る予定だ。他には、DM(ダイレクトメッセージ)や検索と発見のAIアルゴリズムの強化、メンターのための収益化などが同社のToDoリストに載っている。

画像クレジット:Halfpoint Images / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【TC Tokyo 2021レポート】コロナ禍で成長したD2Cブランドが、今後も生き残る条件とは?

12月2日から3日にかけてオンラインで開催されたスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」。2日目午後3時25分から午後4時にかけて行われたセッション「D2C」では、コロナ禍で需要の伸びたeコマースの中でも、D2Cブランドにスポットが当てられた。セッションには、D2Cブランドとしてお菓子セットのサブスクリプションサービスを提供しているBokksu(ボックス)創業者兼CEOのDanny Taing(ダニー・タン)氏と、ツール提供側からオンラインストアの自動化ツールを提供しているAlloy Automation(アロイオートメーション)共同創業者兼CEOのSara Du(サラ・ドゥ)氏が登壇。モデレーターはライター / 翻訳家の大熊希美氏だ。

食を通じて日本文化を広めたい

タン氏はニューヨーク出身。スタンフォード大学で心理学と日本語を学んだ後、Googleで1年間デジタルマーケティング業務を行った後、東京に移り住んだ。早稲田大学で、さらに日本語を学んでから2010年に楽天に就職。2013年頃に楽天を辞め、故郷のニューヨークへと戻ることにした。

ニューヨークに戻ってからの悩みは「日本のおいしいお菓子が手に入らないこと」。「日本にいた4年間で日本語をだいぶ操れるようになったので、日本中を旅することができた。そして、各地で「地方限定」のお菓子と出会えた。しかし、米国ではそれを手に入れるのがとても難しかった」とタン氏は振り返った。

また、自分がアジア系というマイノリティであることに言及した後「米国の大多数は、日本にはピカチュウかゲイシャしかないと考えているのではないか、と思うことがあった」と所感を述べる。

「でも、日本にはもっと多様な文化がある。深いレベルで、食を通じて文化の橋渡しをしたい。家族経営で作っているお菓子は、みんなをワクワクさせる力がある。それで、2016年4月、日本のお菓子やお茶のセットを詰め合わせたボックスを、毎月届けるサブスクリプションサービス Bokksuを立ち上げることにした」とタン氏。

Bokksuのボックスで届くお菓子は、北海道から九州、沖縄まで日本各地のもの。数百年続いている老舗のメーカーや家族経営店など約100軒の菓子メーカーと契約しており「中には五代以上続くビジネスもある」という。「お花見、月見などを楽しむ文化が日本にはある。毎月、文化的なテーマに沿ってキュレーションを行い、約14~16種類の商品をボックスに入れている」とタン氏。発送先は世界中の約100カ国、発送個数は100万個近くに上るという。

創業当初の登録者数は40人ほど。菓子メーカーも2〜3軒だった。「外部からの資金提供もなかったので、できるだけコストに無駄のない手段を使いたかった」というタン氏が選んだツールは、ShopifyとReChargeだった。ShopifyはECプラットフォームを、ReChargeは、ECサイトにサブスクリプション決済を実装可能にするツールだ。

「おかげで、わずか数千ドル(数十万円)で起業。自分でウェブサイトを作り、ニューヨークの自宅の居間でお菓子を箱詰めして出荷するという一連のサイクルを回すことができた」とタン氏はいう。

垂直型成長に潜む落とし穴

立ち上げ当初は、口コミ、アフィリエイト、現物支給のインフルエンサーマーケティング紹介プログラムなど、コストのかからないマーケティング手法しか取れなかった。「ビジネスを始めてから2〜3年目までは、サービスの完成度を高めることに重点を置いた」とタン氏。「そのために、毎月顧客にアンケートを送り、改善点を尋ねながら、サービスを改善していった」。

タン氏は「顧客基盤があるサブスクリプションサービスだからこそ、継続的な改善が可能だった」と話す。

そして、2018年にそれは突然訪れた。バイラルキャンペーンが当たり、わずか1カ月で加入者が1000人から3000人に増加したのだ。

「私たちとしては、顧客が増えたと大喜びだった」とタン氏。「しかし急速に拡大したため、倉庫では出荷が、梱包時には人手が、カスタマーサポートは遅延によるクレーム対応がそれぞれ追いつかなくなり、すべてが壊れてしまった」と振り返った。

「急激な規模拡大には、ウェブサイトのソフトウェア面だけでなく、フルフィルメントなど物理的なインフラもしっかり用意しておく必要があった」(タン氏)

ツールによる自動化の必要性に迫られる

セッションは、ウェブサイトで利用できるツールに焦点を当てて続けられた。そして、この段階で必要性を増したのが、eコマースに関連したものすべてを包含可能な自動化ツールの利用だった。

「起業当初は、Shopifyに入ってくる注文1つ1つをチェックして興奮していた」とタン氏。「しかし、規模が大きくなり、1日に数千件もの注文を受けるようになると、手作業では対応できない。そこで、100%の確率で機能する強力な自動化ツールの導入を検討することにした」。

自動化ツールでは、トリガーに対して適切な対応を行える。注文のタグ付け、顧客プロフィールに応じた礼状の送付、さらにABテストなども実行できる。

「Alloyがなければ、顧客が受け取ったものをABテストし、それによりサービス向上につなげることはできなかっただろう」とタン氏はAlloyの有効性について述べた。

ここで、Alloyについて触れておこう。Alloyは、2019年に創業したスタートアップAlloy Automationが提供するeコマース向けのツールだ。eコマースを運営するためには、受注、決済、倉庫への連絡、顧客への連絡などさまざまな作業が必要で、場合によっては作業ごとにアプリを変える必要がある。それらをまとめて管理し、タスクを自動化するのがAlloyというわけだ。

ドゥ氏は、ハーバード大学の学部生だったが、休学し、米国のショッピングアプリ「Wish」でインターンを行う。そこでZapireのような自動化ツールに興味を持ったが、アプリ同士をつなげる程度のシンプルなことしかできなくても、年間2万ドルもするような高額のものであることに気づいた。

「既存のワークフローを視覚的にする自動化ツールの構築に興味を持った」とドゥ氏。エンジニアであり、デザインの勉強もしていた氏らしい発想だ。

そして、さまざまなアプリ同士を連携させ、循環させるツール開発に取り組み始め、2019年10月に公開するや、爆発的にヒットした。

公開からしばらくは、用途を念頭に置くことなく、データ操作や論理的操作を実行する機能、つまりコアの構築にしぼってツールに磨きをかけていった。それにより、さまざまなAPIをサポートし、ワークフローエンジンを持たせるという当初の目的を果たすツールに成長したのだ。

「パンデミックが本格化する直前の2020年3月には、eコマースで磨きをかけた」とドゥ氏。「わたしも小さなストリートウェアブランドを立ち上げたばかりだったし、友人にも店舗経営者が幾人かいた。そこで、最初の統合にShopifyを加えることにした」。

Shopify FlowやZapireといった、他の自動化ツールとの違いについて大熊氏から尋ねられたドゥ氏は「接続アプリ数の違い」を挙げた。

「Zapireなどでは2つまたは4つのアプリを接続してデータを同期するだけだ。しかし、わたしたちの顧客の多くは20、または30以上の非常に複雑なワークフローを構築している。それに対応し、さらに視覚化するのがAlloyだ。

また、eコマースに重点を置いたツールで、プラットフォームでは行えないような深いところでのアプリ同士の統合を、エンジニアチームを必要とせずに行うことができるという特徴もある」(ドゥ氏)

実に、130ものアプリをサポートしているというのだ。それにはSMS、Eメールロイヤリティ、UGC、返品アプリの3PLなどが含まれる。そのため、商品の追加や在庫の更新、自動応答といった作業をすべて自動で行える。

「データがさまざまなアプリ間でサイロ化(データを横断的に使えない状態)されている、大量のデータを手動でさばききれないときなどに、Alloyはマーケターをサポートする。Bokksuのように、サブスクリプション決済を行っているケースでも、対応できる。しかも、ノーコードで、マウス操作のみでそれらが可能だ」(ドゥ氏)

顧客自ら参加したくなるコミュニティの形成でD2Cブランドを確固たるものへ

急激な成長時には、まだAlloyが誕生していないこともあり、Bokksuの自動化ツールとして利用できなかったタン氏だが「今ではAlloyのおかげで、Shopifyに関連した90%ほどの作業を自動化できている」と喜ぶ。「在庫が少なくなったことを検知するトリガーを設定し、倉庫にメールを送る、再入荷があった場合に顧客にメールを送る。これらを手動ではなく、自動的に行えるようになった」。

そのおかげで、本家のbokksu.comだけでなく、日本のキッチン用品や包丁、ガラス製品などを都度販売するbokksugrocery.comという2つのストアを円滑に運営可能となった。「Alloyは、bokksu.comに登録されている顧客がbokksugrocery.comで購入した場合に、特別な方法で識別して、タグ付けできる。これは、Shopify Flowではできないことだ」とタン氏は説明した。

最後に大熊氏は、2人にD2Cブランドの構築と拡大に重要な要素についてどう思うかを尋ねた。

ドゥ氏は「コミュニティの重要さ」について語った。「フォロワーが5万人いるのに、投稿に対しての『いいね!』が20件のコミュニティより、フォロワーが3000人しかいないのに、『いいね!』が常に300件つくようなコミュニティを育てるブランドのほうがはるかにいい。そのためにも、リテンション(顧客との関係性維持)に取り組むのに役立つツールも重要になってくると思う」。

タン氏も、コミュニティの重要さを肯定しつつ「商品を販売していては、Amazonに勝てない。D2Cブランドが提供すべきなのは、ユニークな体験だ」と語る。「Bokksuも、単にお菓子の詰め合わせを送っているわけではなく、24ページ以上ある『カルチャーガイド』マガジンに、アレルゲン情報や、製品の最高の楽しみ方、メーカーへのインタビュー、日本の地図や製品の産地などを紹介している。おいしいお菓子だけでなく、日本のグルメ旅行も楽しんでもらえる、そういう体験を提供しているのだ」と説明した。

「顧客が、『これは特別だ』と感じてくれるものを提供する。学び、記憶に残る経験をしてもらう。それができるD2Cブランドは、人々をコミュニティに引き込み、コンテンツに参加させることができ、成功に至ると思う」とタン氏は語る。

作業そのものはツールで自動化を図り、顧客に最高の体験を提供することに専念する。それにより、顧客満足度が上がり、良質なコミュニティを形成できる。これこそが、D2Cブランドの成功の秘訣だ、と感じられるセッションであった。

TechCrunch Tokyo 2021は、12月31日までアーカイブ視聴が可能だ。現在、15%オフになるプロモーションコードを配布中だが、数量限定なのでお早めに。プロモーションコード、およびチケット購入ページはこちらのイベント特設ページからアクセス可能だ。

5万ユーザー超の日程調整自動化ツールTimeRexがSlackと連携開始、打ち合わせ相手の調整完了やキャンセルを通知

5万ユーザー超の日程調整自動化ツールTimeRexがSlackと連携開始、打ち合わせ相手の調整完了やキャンセルを通知

ミクステンドは12月9日、5万ユーザー超(2021年10月現在)の日程調整自動化ツール「TimeRex」(タイムレックス)と、コミュニケーションツール「Slack」(スラック)との連携開始を発表した。今回の連携により日程調整結果をSlackに通知できるようになり、予定についてのコミュニケーションをSlack上でシームレスに展開可能となった。同機能は、TimeRexの全プランで利用可能。またSlack側アカウントについても、無料プランからTimeRexと連携できる。

TimeRexは、GoogleカレンダーやOutlook予定表とリアルタイムに連携し、日程候補のリストアップから予定登録まで、面倒な日程調整タスクを自動化するサービス。ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetとも連携可能だ。

今回のSlack連携機能は、打ち合わせ相手がTimeRexで日程調整を完了した時やキャンセルした時の通知に関して、Slackの任意のチャンネルで受け取れるというもの。Slackメッセージ上には予定の日時やカレンダー名、参加者が表示されるほか、予定に関するすべての情報を確認できる予定詳細ページのURLも記載される。連携方法の詳細は、「TimeRexサポート」内の「Slack連携」で紹介されている。

TimeRexでは、日程調整後の業務効率化ニーズに応える機能として、日程調整結果をチームのメーリングリストなどに送信できる機能を提供している。ただSlack利用企業の場合、予定詳細を改めてSlackで共有する手間や、通知メールがメールボックスに埋もれてしまい共有が漏れてしまう課題があったという。

そこで、チームでの円滑な情報共有を実現するため日程調整結果をSlackに通知するSlack連携機能をリリースした。この連携によりSlackでの情報共有が自動化され、予定についてのコミュニケーションをSlack上でシームレスに展開可能になった。

フェイスブックとInstagramがパーソナライズされた「今年の思い出」機能を展開

Metaは、FacebookとInstagramの両方に「2021年を振り返る(Year in Review)」という機能を追加した。ユーザーは自分の個人的な「思い出を一緒に(Year Together)」カードで共有し、そこで2021年の思い出の多い友だちや感想、場所、人を共有する。新しいフィード内体験によって、プラットフォーム上の1年を回想し、それらを適宜編集して、共有カードにまとめる。この新しい機能は米国時間12月9日から全世界で利用可能で、12月30日までアクセスできる。

Instagramでは、ユーザーはカスタムの年末「Playback」タイムカプセルを自分のIG Storyで共有できる。この機能はStories Archiveを利用するため、ユーザーは10のストーリーをカスタマイズやセレクトしてフォロワーと共有できる。この機能を利用するためには、2021年に3つ以上のストーリーを投稿する、もしくはStories Archiveを有効にしておく必要がある。プラットフォームはPlaybackのポストを提案するが、自分がシェアしたいものを選んでもよい。Instagramのフィードにメッセージが出て、自分のPlaybackを作成するように勧める。この新機能は、今後数週間利用できる。

画像クレジット:Instagram

これまでInstagramのユーザーは、自分自身の年末機能を作って、写真のグリッド中の上位9つの画像を投稿した。2021年のInstagramでは、アプリ内機能を提供して、ユーザーが年末コンテンツを共有する。

FacebookもInstagramも、これらの新機能は完全にカスタマイズできるため、コンテンツを追加や削除も自由だ。Metaによると、これら2つの機能は今後数日間展開され、全世界のユーザーが利用できる。

今回の新機能のリリースは、Spotifyが毎年ソーシャルメディア上で広く共有している「Wrapped」体験のおかげで、共有可能な年末の振り返りがますます人気を博していることを受けたものだ。FacebookとInstagramは、この人気機能を真似しようとしている他の多くのデジタル大手とともに、独自のバージョンをリリースした。例えば、Redditは今週、ユーザーの習慣に関する統計情報を含むパーソナライズされたレビューを公開している。

画像クレジット:Facebook

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インターネットの再構築を目指す「WWWの父」ティム・バーナーズ=リー氏のInruptが約34億円調達

関係者によると、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)氏のスタートアップInruptが、シリーズAラウンドで約3000万ドル(約34億円)を調達したという。

Forte VenturesがInruptの新しいラウンドをリードしたというが、両者ともその額を公表していない。Akamai TechnologiesやGlasswing Venturesといった既存投資家はすべて参加し、新たな投資家としてAllstateとMinderoo FoundationのFrontier Technology Initiativeが参加した。

TechCrunchは2021年10月に、創業3年のInruptが3000万〜5000万ドル(約34億〜56億7000万円)の資金調達を交渉中だと報じている。

関連記事:WWWの父ティム・バーナーズ=リー氏のスタートアップ「Inrupt」が約34.2億円以上の資金調達に向け交渉中

InruptはWorld Wide Webの規格を作ったバーナーズ=リー氏と、科学者で技術者のJohn Bruce(ジョン・ブルース)氏が創業し、ユーザーデータのコントロールをユーザー自身に与えるプラットフォームで「インターネットの再構築」ことを目指している。Inruptのチームには、暗号のエキスパートであるBruce Schneier(ブルース・シュナイアー)氏がいる。

「ビジネスの変革は、人生のさまざまな部分が異なるサイロで管理され、それぞれが人生の縦割りの部分を管理することによって妨げられています。その一方で、データはそのサイロによって利用され、個人データがどのように悪用されているかについて、非常に合理的な懐疑心を持つ人々が増えています」とバーナーズ=リー氏はいう。

Inruptのプラットフォームでは、ユーザーが自分の個人データをPOD(Personal Online Datastores、 個人のオンラインデータストア)に保存できる。PODsは分散アプリケーションとの相互運用性があり、ユーザーが望めばいつでも切り離すことができる。TechCrunchが入手した投資家に対するプレゼンテーションで、InruptはそれはVisaのような企業のクレジットカード処理や、DNSの規格を商用化したVerisignのような企業の中核的インフラストラクチャのエミュレーションを目指すものだと述べている。

Forte Venturesを率いるHunter Hartwell(ハンター・ハートウェル)氏が、ブログで次のように述べている。「このアプローチでは消費者が自分のデータのコントロールを手中にし、政府や企業および彼らのアプリケーションの開発者は、新しいインターネットの時代とその規制の体制(GDPRなど)に、よりシームレスに移行できます」。

ハートウェル氏はさらに「私たちのInruptへの投資の趣旨はシンプルなものです。消費者も政府もそして多くの企業も、Web3という名で知られる真にオープンで協力的なウェブの移行を切望しています。Inruptのエンタープライズ向け堅牢サーバー、Enterprise Solid Server(ESS)は、そんな未来を実現するための技術的に最も高度で商業的実用性もある方法です。私たちの投資趣旨の中には、同社のトップレベルのチームが、政府と企業パートナーと広範な一般大衆の要求と期待を満たす、今のところ唯一の実行主体だという信念がある」と述べている。

現在のInruptの顧客は、一部の政府と企業だ。これまで同社が政府と契約を交わした国は、TechCrunchが先に報じたスウェーデンとアルゼンチンとバスクとなる。そのときの記事には、2020年の売上は22万5000ドル(約2500万円)、2021年は9月までで20万ドル(約2300万円)とある。

新たに得た資金は「ESSの政府および商用方面のグローバルな展開に向けられる」とハートウェル氏はいう。

画像クレジット:Pedro Fiúza/NurPhoto/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Meta、Facebook Liveのクリエイター向けに多数の新機能と発見ツールを提供

Meta(旧Facebook)は米国時間12月9日、Facebook Liveの数多くのアップデートを発表した。クリエイターがライブ放送中にファンと交流できるようにするもので「Poll」などの新機能「Live With」機能による4人での共同放送のサポート、新しいコメント機能、新しい投稿フォーマット、放送へのリンクの追加サポート、クリエイターがFacebook Storiesに直接ライブストリームを共有して見つけてもらう機会を増やすことができる「Live in Stories」などがある。

MetaのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間12月7日に発表されたオンラインの「スター」サイトの立ち上げ後、週明けにさらに多くのクリエイターのアップデートが行われることを12月8日にFacebookに投稿し、これらの新機能やその他の新機能の登場を予告した。この新しいオンラインストアは、ウェブ専用であるため、アプリストアの手数料を回避することができる。現在、より多くのスター(クリエイターにチップを渡すための仮想アイテム)を提供することで、Facebookモバイルアプリ内で支払うのと同じ金額をファンに還元している。

12月9日に発表された新機能の中で、最も要望の多かったものの1つが「Featured Links」だ。これは、クリエイターが自分のライブ放送にウェブサイトリンクを追加し、ファンに個人のブログや寄付の機会、ショッピングサイトなどを紹介することができるようになるものだ。クリエイターは、視聴者がライブビデオから離れずにアクセスできる複数のリンクを放送に追加できるようになる。

また「Live With」機能が拡張され、ホストとゲスト最大3人の合計4人をサポートする。

そして、モバイル版のライブビデオに投票を追加できるようにもなった。この機能はこれまでデスクトップで利用できたが、モバイル向けに刷新されたことで、クリエイターはライブビデオ中にファンからのフィードバックをリアルタイムに受け取ることができる。

ファンバッジのデザインも一新され、コメントを見たときに、どのファンが応援してくれているのか、ファンの名前の横にバッジが表示される。

Metaによれば、最も熱心なファンが誰であるかをクリエイターが簡単に知ることができる新しい体験もテストする。この機能は、丸みを帯びたプロフィール写真を持つクラブハウスに似ており、ライブストリーム中に自分の一番のファンを特定し、彼らに挨拶を送ることがより簡単になる。

また「Live in Stories」のサポートも開始する。これにより、クリエイターは自分のライブビデオをニュースフィードのトップに表示することができる。そうすることで、クリエイターは自分のライブ放送をFacebook Storiesに共有し、発見の機会を最大化することができる。

クリエイターが公開された投稿にコメントすると、自分の名前の横にフォローボタンが表示され、コメントした投稿がフォロワーのフィードにポップアップ表示される。クリエイターのコメントは、それぞれのディスカッションスレッドで上位に表示されるため、スパム的かつ反復的なコメントは目につきにくくなる。コメントランキングは、Reel、Facebook Liveビデオ、Live Audio Roomにも適用され、クリエイターのコメントが最初に表示されるようになる。

Metaは、クリエイターが通知からコメントにすばやく反応して対応する機能も追加する。

さらに、クリエイターがコミュニティとのつながりを深めることを目的とした「Spotlight Conversations」という新しい投稿フォーマットのテストを開始する。クリエイターは、テキストベースの会話へとゲストを招待する。この会話は、クリエイターとそのゲストのためのコメント欄、そして他の人がフォローして議論するためのコメント欄の2つの独立したタブで投稿として表示される。これにより、他のコメントに煩わされることなく、メーンの議論だけを追うことができる。

さらに、フォローしているクリエイターの見逃したコンテンツを、ニュースフィードに直接表示する「ディープダイブ」のテストも行う。

クリエイターは、FacebookからInstagramにクロスポストすることもでき、Facebook Watchのトップで新しいビデオをすぐに作成できるようになる。

これらの一連の新機能を合わせると、Facebookのクリエイター体験が大幅にアップグレードされる。これまでFacebookは、Reelのような新機能の多くが最初に導入されるInstagramに比べて、アップグレードをあまり重要視してこなかった。

Metaはこの1週間でクリエイター向けのアップデートを着実に行ってきた。Starストアに加えて、12月8日はクリエイターのFacebookプロフィールに新しいプロフェッショナルモードを追加し、より多くの収益化の機会と分析にアクセスできるようにしたことを発表した。また、ザッカーバーグ氏は、まだ詳細が明らかになっていない「新しいコントロールとサポート機能」をクリエイターに提供する予定だと述べている。

関連記事:フェイスブックがクリエイターのプロフィールで新しい「プロフェッショナル」モードを試験導入

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

中南米のeコマースアグリゲーターMeramaが創業わずか1年でユニコーンに

最近、中南米のeコマースアグリゲーターへの投資が絶好調だ。

中南米でデジタルブランドの買収、立ち上げを行っているMerama(メラマ)は、シリーズBをリードしたAdvent InternationalとSoftbankから6000万ドル(約68億円)の追加投資を受け、設立後わずか1年で評価額12億ドル(約1361億円)を達成した。そしてこのわずか1日前には、中南米eコマースアグリゲーターのQuinio(キノ)が30社を買収するために、初の資金調達で2000万ドル(約22億7000万円)を獲得した。

今回の追加投資は、9月に発表され、メキシコ・ブラジル拠点企業の評価額を8億5000万ドル(約964億円)へと押し上げた2億2500万ドル(約255億2000万円)のシリーズBラウンドに続くものだ。当時同社はこれを「中南米で実施された史上最大のシリーズBラウンド」と豪語した。

TechCrunchが初めてMeramaを紹介したのは2021年4月で、負債と株式合わせて1億6000万ドル(約181億4000万円)をシードおよびシリーズAラウンドで獲得して、eコマースアグリゲーターの世界に飛び込んだ。同社の調達総額は4億4500万ドル(約504億7000万円)で、うち3億4500万ドル(約391億2000万円)が株式、1億ドル(約113億4000万円)が負債による。

同社の共同ファウンダーは次の5人で、CEOのSujay Tyle(スジャイ・タイル)氏は、Frontier Car Groupの共同ファウンダーで元CEO。Felipe Delgado(フェリップ・デルガド)氏はBeetmann Energyの元CEO、Oliver Scialom(オリバー・シャロム)氏はPetsyの共同ファウンダーで元CEO、Renato Andrade(レナト・アンドレード)氏はMcKinseyの元アソシエートパートナー、Guilherme Nosralla(ギルハーム・ノスララ)氏はWildlife Studiosの元グロース責任者だった。

「中南米は世界最速で成長しているeコマース市場ですが、ブランドはほとんと生まれたばかりか存在しない状態です」とタイル氏はいう。「今後5年のうちに、中南米に数十億ドル(数千億円)規模のブランドが複数誕生するとMeramaは確信しています」。

現在。Meramaには180人以上の従業員がいて、メキシコ、ブラジル、チリ、コロンビア、およびペルーにわたり20のブランドを抱えている。2021年は2億5000万ドル(約283億6000万円)以上の商品を販売する見込みで「キャッシュフローは大幅な黒字」になる見込みだとタイル氏は語った。

同社の有力ブランドには、エレクトロニクス会社のRedlemon(レドルモン)、チリのベイビー用品販売会社、Bebesit(ベベシット)などがある。現在850億ドル(約9兆6417億円)の中南米eコマース市場は急成長中であり、2023年には1162億ドル(約13兆1818億円)に達すると予測されている。

デジタルブランドの買収以外に、同社は独自ブランドも立ち上げている他、ブランドが中南米全体で成長するのを手助けするオートメーションとスケーラビリティーのツールも開発している。また、ブランド管理とサプライチェーン自動化のために自社開発している基礎技術を収益化する計画もある。

最新の調達資金は、同社のアルゼンチン、米国への進出を可能にするものだ。Meramaは、Mandaeの元CTO、Danilo Ferrira(ダニロ・フェレイラ)氏をCTOに、MercadoLibreの元マーケットプレイス担当ディレクター、Ignacio Nart(イグナシオ・ナート)氏をブライベート・レーベル担当上級副社長に迎えて幹部チームを強化した。

全体的に見てeコマースアグリゲーターは、過去数年の間に世界中で勢いを増しており、最近では成功した企業が数十億ドルのベンチャーキャピタルマネーを獲得している。前述したQuinoに加えて、今週北京拠点のNebula Brands(ネビュラ・ブランズ)が5000万ドル(約56億7000万円)を調達した。

それ以前には、ヘルスケアブランドに特化した Gravitiq(グラビティック)の参入やHeyday(ヘイデー)の5億5500万ドル(約629億4000万円)のシリーズCがあった。アグリゲーターのビッグネームでは、Amazon(アマゾン)アグリゲーターのThrasio(スラシオ)が10月に10億ドル(約1143億1000万円)の資金調達を発表し、Perch(パーチ)は5月に7億750万ドルの巨額の資金を獲得した。

ThrasioとPerchとは異なり「中南米は成長ストーリーの舞台なので、Meramはごく少数のブランドに絞り、スケーリングと拡張に焦点を当てています」とタイル氏は説明した。ゴールは主要なeコマースカテゴリーそれぞれにカテゴリーリーダーを1つ持つことで、何百というブランドを集約することではありません」。

新たな資金は「中南米初の消費者直販ブランドのためのインキュベーター」と同社がいうMerama Labs(メラマ・ラボ)の設立にも充てられる。この社内インキュベーターは、新たなD2Cブランドをファッション、化粧品、サプリメント、飲料などの部門に創設する。これは複数のカテゴリーでデジタルD2Cブランドを育成し立ち上げるための新しいグロースチャンネルだ。

「当社はインフルエンサーと協力してブランドを作っていきます」とタイル氏は付け加えた。

画像クレジット:Merama

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(文:Christine Hall、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イタリア競争当局がアマゾンに約1450億円の罰金、市場での地位乱用を指摘

イタリアの競争当局は、Amazon(アマゾン)に11億2900万ユーロ(約1450億円)の罰金を科したと発表した。独禁監視当局によると、Amazonは市場での支配的地位を乱用し、サードパーティの販売者に同社の物流サービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」の利用を押し付けたという。

イタリア競争・市場保護委員会(AGCM)は、声明250ページに及ぶ報告書でその考え方を詳述している。それによると、サードパーティの販売者がFBAを活用している場合と、独自の物流スタックを使用している場合では、同じ扱いを受けることができないとのことだ。

FBAを活用している販売者は、同社の有料ロイヤリティプログラムAmazon Primeに参加することができる。このサービスの会員は、一部の商品を無料で配達してもらうことができる。Amazonの自社在庫に加えて、FBAによってAmazonの倉庫から送られてくるサードパーティ販売者の商品にもPrimeラベルが貼られる。

プライムデー、ブラックフライデー、サイバーマンデーなどのAmazonのイベントでPrime商品が扱われるため、広範囲に影響を与えることになる。つまり「Fulfillment by Amazon」を利用すれば、Amazonのイベントに取り上げられる可能性が高くなる。

しかし、それだけではない。Amazonの商品ページでは、同社が自動的に販売者を選択して、購入ボックスを表示している。パソコンの場合、購入ボックスとは画面の右側にある、商品をカートに入れたり「今すぐ購入」ボタンで直接購入したりするためのボックスのことだ。

購入ボックスの下にある小さなボックスには、他の販売者が表示されている。イタリアの競争当局によると、FBAを利用している販売者は、他のサードパーティの販売者に比べて、購入ボックスで紹介される確率が高いという。

筆者がAmazon.itで良い例を探してみたところ、この便座には次のようなことが書かれていた。「Amazonが直接販売していません。サードパーティの販売者からしか入手できません」。デフォルトでは、Amazonは購入ボックスにWOLTU GmbHを掲載している。WOLTU GmbHはFBAを利用しているため、この商品はAmazonが発送する。そして、Amazon Primeで無料の迅速配達を受けることができる。

その購入ボックスの下には、他の販売者から購入できるという小さなボックスがある。今回は、もう一度WOLTU GmbHを目にする(そして「Amazon倉庫」の中古商品も)。同じ販売者だが、直接発送してくれるので送料も無料になる。

なぜWOLTU GmbHは同じ便座を2回出品しているのか? FBAは無料の物流サービスではない。AmazonはFBAで販売された商品からより多い手数料を得ている。また、WOLTU GmbHは直接販売した方が収益が上がるように思える。しかし、便座がサブメニューに隠されているため、顧客が直接販売者から便座を手に入れることを選ぶことはおそらくない。

Institute for Local Self-Reliance(地域自立研究所)の最近の研究では、Amazonがサードパーティの販売者からますます多くの収益を得ていることが取り上げられ、FBAが悪循環に陥っていること、サードパーティの販売者が虜になっていることが強調されている。

同様に、Amazonは販売者に対して、同社の倉庫・配送サービスであるフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)の購入を強制しています。Amazonのアルゴリズムは、FBAを購入した販売者を非常に優遇しており、Amazonで売上を上げるためにはFBAが必須となっています。その結果、他の運送業者の使用を辞めてFBAを利用する販売者の割合が近年急増しています。Amazonは、自社の配送サービスの使用を虜となった販売者に強制することで、一夜にして大手物流業者に成長しました。Amazonの配達事業は、今や米郵政公社に匹敵する規模となっています。また、ここ数年、Amazonは保管料や配送料を着実に値上げし、FBAを利用して販売者の収益を圧迫しています。

イタリア当局はAmazonに対し、FBAを利用しているかどうかにかかわらず、サードパーティである販売者にとって公平な基準を新たに設けるよう求めている。また、同社は行動面での対策も実施しなければならない。監視する管財人が変更点を確認する。

Amazonは筆者に声明を送ってきた。「当社はイタリア競争当局の決定に強く反対し、控訴します。提案された罰金と救済措置は不当であり、不釣り合いなものです」と同社は述べている。

「イタリアにおけるAmazonの年間売上高の半分以上は中小企業によるものであり、中小企業の成功は当社のビジネスモデルの中核をなすものです。中小企業は、オンラインでもオフラインでも自社製品を販売するための複数のチャネルを持っています。Amazonはその選択肢の1つにすぎません。当社は、Amazonで販売する1万8000社のイタリアの中小企業の成長をサポートするために常に投資を行っており、自社で出荷を管理する販売者を含め、複数のツールを販売者に提供しています」としている。

画像クレジット:Philippe Lopez / AFP / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがCAMPFIREと連携、クラウドファンディングを支援するPR動画サービス開始

広告クリエイティブ運用型クラウドのリチカがCAMPFIREと連携、クラウドファンディングを支援するPR動画サービスを提供開始

広告クリエイティブ運用型クラウド「リチカ クラウドスタジオ」を運営するリチカは12月9日、クラウドファンディング事業の企画・開発・運営のCAMPFIREとの提携を発表した。クラウドファンディングのプロジェクト概要やプロジェクトオーナーの想いを動画で伝え、目標金額達成を支援する「プロジェクトPRムービー」の提供を開始する。

CAMPFIREは2011年のサービス開始以来、ジャンルや規模を問わず数多くのプロジェクトを支援。これまでのプロジェクト掲載数は5万9000件以上、支援者数は延べ630万人以上、流通金額は520億円に達している。

リチカが手がけるリチカ クラウドスタジオは、デジタル広告やSNS用途で動画や静止画を量産・運用できる「運用型クリエイティブクラウド」。配信面に最適化したクリエイティブを制作・検証・改善することが可能で、大手事業会社や広告代理店を中心に400社以上に導入されている。

今回のリチカとCAMPFIREの連携によって提供されるプロジェクトPRムービーは、クラウドファンディングのプロジェクトオーナー向けのサービス。プロジェクトオーナーからの依頼をもとに、リチカ クラウドスタジオでプロジェクトの概要やリターン紹介など、様々な用途の動画を最短3営業日で提供。プロジェクトオーナー自身が動画の告知コンテンツを作るハードルの高さを解消する。完成した動画はCAMPFIREのプロジェクトページだけでなく、SNSなどでも活用が可能。動画の掲載による支援額の伸長、目標金額達成率の向上を支援するサービスとなっている。

 

Instagramトップ、2022年初めに時系列順のフィードオプションを復活させ提供と発言

Instagram(インスタグラム)が時系列順のフィードを復活させる。これは、同アプリを使用している若者への害について開催される上院パネルの前に、InstagramトップのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏が行った証言の中で明らかになった。消費者が「アルゴリズムに操作される」ことなくInstagramアプリを使用できるべきだと考えるかと質問されたモセリ氏は、ユーザーに対して時系列順フィードのオプションを提供することを支持すると語った。そして実際、同社は現在そのオプションを開発している最中だと付け加えた。

「透明性を高めることや説明責任を増やせることが良いことだと信じていますし、より細かいコントロールができることも良いことだと信じています。それが、2022年に提供する予定の時系列順フィードのバージョンに取り組んでいる理由なのです」とモセリ氏はいう。

この面での同社の計画の詳細を求められたモセリ氏は、Instagramがこの数年間、ユーザーが自分の体験をより細かく制御できるようにするためのさまざまな方法を試してきたと答えた。同社が公にテストしたアイデアの1つは「Favorits(お気に入り)」というもので、これはユーザーが自分のフィードのトップに表示したいアカウントを選択できるようにするものだ。モセリ氏によると、同社が取り組んできたもう1つのアイデアが、Instagramの時系列順バージョンだ。

この時系列順のオプションがいつ一般に公開されるかについてモセリ氏は「今すぐ具体的な提供月をお伝えできれば良いのですが、現時点での目標は来年の第1四半期です」と述べた。

2016年にInstagramが、アルゴリズムによるフィードに切り替えた決定は、物議を醸すこととになった。フィルタリングされたフィードそのものは、エンゲージメントメトリックを改善することから、当時のソーシャルメディア全体で標準になりつつあったが、多くのユーザーはその変更に不満を持っていた。Instagramは、新しいフィードがリリースされてから数年にわたり続いたユーザーの反発によって、アルゴリズムフィードに最近の投稿も追加することに同意さえするようになった。

2020年には、同社が「Latest Posts(最新の投稿)」機能の内部プロトタイプを構築していることが発見された。これにより、ユーザーはアプリの特別なセクションを通して最近の投稿を見ることができたが、それはFacebookが現在ニュースフィードのオプションとして提供しているもののような、完全な時系列順フィードへの回帰ではなかった。またこの機能は、Instagramのグローバルユーザーベースに公開されることもなかった。

現在モセリ氏は、ユーザーが本当に時系列順フィードオプションをもう一度手に入れることができることを約束している。しかし、ユーザーをアプリに引き付け続けるという点でアルゴリズムフィードがもたらす利点を考えると、Instagramがこれをデフォルト設定またはわかりやすい選択肢とする可能性はほとんどないだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Kickstarter、クラウドファンディングプラットフォームをブロックチェーンに移行する計画

クラウドファンディングプラットフォームであるKickstarterが、今後の基本プロトコルとしてブロックチェーンを採用し、「基本的にKickstarterの中核的な機能性の分散バージョンを作ることになる」オープンソースのプロトコルを作る計画を発表した。同社によるとその目標は、Kickstarter.comを含め複数のプラットフォームがそのプロトコルを採用するようになることだ。

KickstarterはKickstarter PBCと呼ばれる新しい組織を立ち上げ、そこがプロトコル開発を行う。資金はKickstarterが提供し、組織の最初の取締役会を任命、そして自らがそのプロトコル上の最初のプラットフォームの1つになる。ただしその移行の日程は未発表だ。同社はまた「独立のガバナンス研究所」を設立し、そこがプロトコルのガバナンスに関わる研究調査を公開して、コミュニティと連携していく。

これは、Kickstarterにとって興味深い道筋だ。同社にはもともと、考え方としてブロックチェーンと共通するものがあり、同じく消費者がプロジェクトをサポートでき、それらを軸にコミュニティを築き、プロダクトの成功に対し株主のような所有権を持つ。もちろんKickstarterでは、それは株ではなく完成した物理的あるいはデジタルのプロダクトであり、今後のブロックチェーンによるクラウドファンディングプラットフォームは、プロダクトの成熟とともに価値を増すプロジェクトに結びついたトークンをユーザーに与えて、その権利分有モデルを強化する。そのやり方には法的に不透明な部分もあるが、ユーザーの売り買いの実体を隠す方法は他にもたくさんある。

現状ではKickstarterは、そのプロトコルがユーザー体験に与える影響に配慮して、ゆっくり進めるようだ。「1人のユーザーとしては、これまで使い慣れてきたKickstarter体験は今後も変わらないだろう。しかし、その改良からは利益を得るだろう」と同社ブログにはある。

Web3の技術は技術者やアマチュア、そしてプロの投資家に大きな興奮をもたらしたが、主流的なユーザーの大多数は、BitcoinやEthereumなど人気の高いネットワークのエネルギー利用をめぐる議論のせいで二の足を踏んでいる。Kickstarterはこれらの懸念を、新しい業態をCeloブロックチェーンの上に置くことによって、避けて通るつもりだ。Celoはあまりエネルギー集約的ではないコンセンサスメカニズムを使っており、チームはそれを「カーボンネガティブ」と称している。そのプロトコルがCeloを使うこと以外では、KickstarterがKickstarter PBCの開発に関して提供している具体的な詳細は乏しい。

オープンソースのプロトコルを開発して、それを自分のプラットフォームも使う、という方針を目指しているテクノロジー大手は、Kickstarterばかりではない。Twitterのblueskyは、ソーシャルメディアの分散プロトコルを開発する取り組みだ。

関連記事:Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックがクリエイターのプロフィールで新しい「プロフェッショナル」モードを試験導入

Meta(メタ、旧Facebook)は米国時間12月8日、ユーザープロフィールに新たに「プロフェッショナル」モードを導入する。これは、同ソーシャルネットワーク上でフォロワーを増やし収益化を図りたいと考えているクリエイターが利用するためのものだ。この新モードは、まず米国の一部クリエイターに提供され、これまでFacebook(フェイスブック)ページでのみ提供されていた収益化の機会やインサイトをクリエイターに提供する。

その中には、新しいボーナスプログラム「Reels Play」への参加も含まれており、短編動画コンテンツの再生回数に応じて、クリエイターによっては毎月最大3万5000ドル(約400万円)まで稼ぐことができるという。ただし、このプログラムへの参加は当面の間、招待制となっている。つまり、どのクリエイターがボーナスを得る資格があるかは、Metaが決定するというわけだ。

Metaは、今後利用できる他の収益化オプションについては明らかにしなかったが、ページオーナーが利用できるものと同様に、プロレベルのインサイトをこれらのクリエイターにも提供すると明らかにした。これには、投稿、オーディエンス、プロフィールに関するインサイトへのアクセスも含まれる。例えばクリエイターは、自分の投稿のシェア、リアクション、コメントの総数を確認したり、フォロワー数の推移を確認できるようになる。これにより、クリエイターは、自分が投稿するコンテンツや、そのコンテンツがオーディエンスにどのように響くかについて、より良い情報に基づいた判断を下すことができるようになる。

画像クレジット:Meta

多くのクリエイターは、ファンやフォロワーを獲得するために、すでにFacebookページではなくFacebookプロフィールを使用しているが、Metaは、この新しいエクスペリエンスにオプトインするクリエイターは、同SNS上でより世間に知られる有名人のような立場になると警告している。つまり、誰もがそのユーザーをフォローし、フィードに投稿された公開コンテンツを見られるということだが、非公開プロフィールの場合と同様に、投稿を公開または友達限定にすることはできる。

一方、現在Facebookページを利用しているクリエイターは、代わりに新しいFacebookページ体験にオプトインされる。このダッシュボードは、管理者がページのパフォーマンスを確認したり、専門的なツールやインサイトにアクセスするための中心的な場所となる。また同社は、Facebookページの2ステップコンポーザーをテストしている。これにより、クリエイターは投稿をスケジュールしたり、グループにクロスポストができる。

今回の変更は、Metaがクリエイターのユーザーベースに重点的に投資している時期に行われた。Metaは、クリエイターサブスクリプションや「スター」と呼ばれる投げ銭機能などから得られる新たな収益ストリームに期待している。同社は12月7日、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)に手数料を支払う必要のない新しいウェブサイトを通じて、Facebookスターをアプリストアを介さず利用できるようにしたばかりだ。TikTik(ティックトック)やYouTube、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)などのソーシャルアプリとの競争が激化する中、同社は以前、Reelsボーナスなど10億ドル(約1140億円)の報酬でクリエイターを誘致する計画であると述べていた。

Metaによると、新しいプロフェッショナルモードは、今のところ米国の一部クリエイターを対象にテスト中だが、今後EMEA地域(欧州、中東およびアフリカ)を含め、より広範囲に展開していく予定だという。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

他社に続きツイッターもTikTokを模倣、検索タブがビデオフィード化するテスト実施

Twitter(ツイッター)は米国時間12月8日、アプリ内の「話題を検索」タブ(検索タブ)をTikTok(ティックトック)のようなビデオフィードに変え、日本では「おすすめ」にあたる「For You」タブも追加する機能のテストを行っていると発表した。この機能は、英語でTwitterを利用している一部の国のユーザーを対象に、AndroidとiOSの両方でテストされている。

Twitterの広報担当者は、TechCrunchに対しこう述べている。「ユーザーがくつろいだり、新しい関心事を見つけたり、今起こっていることを見たりするのをより簡単にするために、刷新された、よりパーソナライズされたExploreページをテストしています」。Twitter上にすでに存在するコンテンツを視覚的に表面化したものだという。これは、Twitterが継続的に行っている、プラットフォーム全体でのパーソナライズされたレコメンデーションと発見の改善に向けた取り組みの一環だ。

Twitterは、TikTokの急成長の波に乗れるかどうか試している最新のソーシャルアプリだ。TikTokは2021年、月間アクティブユーザー数(MAU)が10億人を突破し、このマイルストーンを最も早く達成した企業のひとつとなった。「Instagram Reels」「Snapchat Spotlight」「YouTube Shorts」などのTikTokクローンは、クリエイターにそれぞれのプラットフォームを利用するインセンティブを与え、人気が高まった。Netflix(ネットフリックス)、Spotify(スポティファイ)、Reddit(レディット)などのアプリも、このフォーマットを試している。

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Twitterは2021年、Spaces、Twitter Blue、Tip Jarなどの新製品や新機能を次々と打ち出している。共同創業者のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が先週退任した後、Parag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏がCEOに就任したことで、この勢いは継続するものと思われる。すでにアグラワル氏は、就任時にツイートしたスタッフへのメールで「野心的な目標」と称したものをサポートするために、会社の再編に着手している。

Twitterのライブオーディオ製品であるSpacesは、現在、アプリの下部ナビゲーションバーのデフォルトのセンターアイコンになっている。これは、同社がこのClubhouse(クラブハウス)の競合製品の普及に力を入れていることを示している。しかし、Twitterの模倣機能は常に成功しているわけではない。Snapchat(スナップチャット)/ Instagram(インスタグラム)のストーリー機能に対抗したFleet(フリート)機能は、8カ月で打ち切られた。つまり、Twitterがショートフォームビデオフィードをテストしているからといって、これが将来コンテンツ発見の手段になるとは断定できないということだ。しかし、TikTokの成功が示すように、短い動画はユーザーを非常に効果的に引き付けている。

画像クレジット:Twitter

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックがアップルやグーグルに手数料を払わずファンが投げ銭「スター」を購入できるウェブを公開

Meta(Facebook)は、アプリストアのアプリ内購入手数料を回避する新たな方法を発見した。新しいウェブサイトではユーザーが 「Facebookスター」と呼ばれるバーチャルアイテムを購入し、Facebookの動画やライブストリームでお気に入りのクリエイターを応援する手段として使うことができる。スターは、通常モバイル端末でアプリ内購入のかたちで購入されるため、アプリストアプラットフォーム提供者(つまりAppleまたはGoogle)との収益分配の対象になる。しかし、ファンがFacebookの新しいウェブサイトでスターを購入する場合、Facebook Payを使用し、AppleやGoogleの決済手段を利用しない。

これによってファンは「より多くのスターを安く手に入れる」ことができます」とFacebookの発表にかかれている。これは少なくとも現在は真実のようだ。なぜならFacebookがすべての購入について「ボーナス」スターを提供しているからだ。例えば、530スターを9.99ドル(約1130円)で買う場合、新ウェブサイトを通じて購入するとボーナスとしてさらに420個のスターがもらえる。Facebookモバイルアプリのアプリ内購入を使う場合、スターは530個しかもらえない。(注記:これは公開されたウェブサイトのボーナス額に基づいている。Facebookのブログに載っているスクリーンショットは異なるボーナス額を示している。12月の「スターフェスト」期間中は価格が下げられていると編集部は理解している。いずれにせよ、これらのボーナスは、ウェブ経由なら同じお金で多くのスターが手に入ることを意味している)。

画像クレジット:Facebook

ボーナススターの数はさまざまで、購入金額が増えるほど追加スターの数は増える。最少で45スター(ボーナスは35スター)を0.99ドル(約110円)から最大6400スター(ボーナス3600スター)を99.99ドル(約1万1350円)で購入できる、と現時点のウェブサイト(上記参照)に書かれている。

しかし、ボーナスがなければ、アプリ内購入の代わりにウェブサイトを使うメリットはない。ボーナスを別にした料金はどちらも変わらないからだ。

ウェブサイトのStars Store(スター・ストア)で購入したスターは、ユーザーのバーチャルウォレットに格納され、Facebook Liveやオンデマンドビデオで対象のクリエイターに送ることができる。クリエイターはスターを使ったユーザーに対して好きな方法で報いる事ができる。ビデオの中で大声で呼ぶなど、自分のスタイルやコンテンツにあった報酬を与えられる。

画像クレジット:Facebook

Facebookがアプリストアの収益分配を回避する方法を見つけたのはこれが初めてではない。2021年11月にFacebookは、クリエイター向けのカスタムサブスクリプションリンクをiOSで提供し、賛否渦巻くAppleの30%手数料を避けて直接支払いを受けられるようにした。この仕組みが、少なくとも現段階で、可能なのはFacebookがこの取引で自分の取り分を得ていないからだ。そうすることでFacebookは、AppleのApp Store Guidline(アップストア・ガイドライン)に細かく書かれている現在許容されている方法で手数料を回避することができる(具体的にはガイドラインの3.2.1項「許容される行為」に、個人は他の個人に金銭を贈与できる、ただし受け手側が金銭の100%を受け取る場合に限る、と書かれている。Clubhouse(クラブハウス)はこの隙間と自身のアプリ内チップシステムを利用している)。

関連記事:フェイスブックがクリエイターにアップルの料金を回避できるリンクを提供

スターをウェブ経由で買う仕組みは、新たな興味深い動きであり、ファン多くのスターを安く手に入れる方法があることに一度気がつけば、さまざまな取引をFacebookのモバイルアプリとアプリ内購入からシフトする機会が生まれる。Appleは、Epic Games(エピック・ゲームズ)訴訟の結果、近いうちにアプリデベロッパーがアプリ以外で購入できる場所を指し示すことを可能にすることになっているが、現在Appleは、その強制命令を遅らせるよう法廷に要求している。最初の試みは却下された

画像クレジット:Facebook

FacebookのStar Storeウェブサイトの発表は、12月いっぱい行われている「Star Fest」期間中に数多く発表されたものの1つだ。同社は、スターを他の場面でも利用するテストを行うといっている。ニュースフィード、Facebook Watchフィード、ゲーミングタブ、さらに2022年に始まるFacebookリール内のビデオなどだ。

さらに同社は「Stars Party」なるものも開始する。ライブストリーム中にファンが一体となってスターを贈る新しい方法だ。カウントダウンタイマーがあらわれて、5分間のうちに集団が一緒にスターゴールを目指す。2021年12月22日から2022年1月3日まで、Star Partyを完了したクリエイターは、1回につき50ドル(約5680円)のボーナスをもらえる、とFacebookはいう。

Facebookは、10億ドル(約1135億円)のクリエイターファンドの一環として、3月31日まで、スターの「ダブルボーナス」にも投資している。期間中、Metaは一部のクリエイターのスター収益に最大月額750ドルまで同額を上乗せする。これでクリエイターは最大3750ドル(約42万6000円)のボーナス支払いを受け取ることが可能になる。ただし、同プログラムは招待制だ。Facebookはさらに、ユーザーがライブビデオを見ながら新機能を試せるように、300万ドル(約3億4000万円)分の無料スターを配布する予定だ。

Stars Festでは他にも、期間限定のバーチャルギフトやバッジ、さまざまなクリエイターによるスペシャルライブプログラミング、クリエイターがライブ中継を行うための金銭的インセンティブなど、さまざまなサービスを提供している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国のAmazonアグリゲーターNebula BrandsがLVMH系投資ファンド主導で約57億円調達

2021年は、エグジットを目指している中国のAmazon(アマゾン)ベンダーにとってバラ色の年となった。ロールアップ(ブランドアグリゲーター)は、中国の輸出向けEC市場に資本を投入し、販売者をすくい上げている。例えばシリコンバレーのMarkaiが、中国ブランドを買収するためにPear VCやSea Capitalなどの投資家からシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達したように、ロールアップ企業自体もベンチャー投資に支えられている。

そして中国をターゲットにした他のアグリゲーターも、より多額の資金を調達している。北京に拠点を置くAmazonアグリゲーターであるNebula Brandsは、シリーズBで5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達したと中国時間12月7日に発表した。このラウンドは、コンシューマーテクノロジーに特化したグローバルなプライベートエクイティ企業であるL Catterton(Lキャタルトン)のアジアファンドが主導した。

今回のラウンドには、NebulaのシリーズAの投資家であるMatrix Partnersと、エンジェル投資家のAlpha Startup Fundも参加した。同社はこれまでにおよそ6000万ドル(約68億円)を調達している。

Amazonが巨大企業に成長したことで、中国のサードパーティベンダーの多くも繁栄し、数百万ドル(数億円)規模のビジネスになった。これらの輸出業者は、成長を維持するために、より大きな資本と人材を必要としており、業績の良い業者には2つの選択肢が存在する。さらに規模を拡大するためにエクイティ資金を得るか、ビジネスを売却して次に移るかだ。後者の場合、ロールアップの出番となる。

Nebulaの共同設立者であるWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏は声明でこう述べている。「中国のサードパーティベンダー市場は急速な成長を遂げており、世界中のAmazonのお客様に高品質な製品を効率的に提供することができます」。

「フルフィルメントby Amazon(FBA)のベンダーを集約してオペレーションを強化するモデルは、欧米の一部の市場ではすでに非常に効果的であることが証明されており、Nebula Brandsが主導する中国でも広がっていくことでしょう」。

Nebulaは新たな資金を得て、Berlin Brands Group、Razor Group、Thrasioなど、中国の販売者を狙っている海外のアグリゲーター各社と競合することになる。5月に設立されたばかりのNebulaは、すでに1社を買収しており、年末までにさらに数社を買収する予定だとTechCrunchに述べている。

Nebulaは現在、中国で50人以上の従業員から構成されるチームを運営しており、そのスタッフは「有名なeコマース企業、テクノロジー企業、金融企業での勤務経験から、市場に関する深い知識と、現場でのソーシング、アンダーライティング、オペレーションに関する豊富な経験を有しています」と述べている。同社の共同設立者は「上場企業」でCEOを務めたRyan Ren(ライアン・レン)氏、Lenovo(レノボ)で統合マーケティング責任者を務めたWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏、Wayfair(ウェイフェア)でサプライチェーン部門長を務めたHardys Wu(ハーディーズ・ウー)氏の3名だ。

画像クレジット:VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンAWSが米国政府向けに「トップシークレット」リージョンをさらに開設

Amazon(アマゾン)のクラウド部門AWSが米国政府向けに特化して作られた新たな「トップシークレット」リージョンを発表した。Amazonにとって、この種のリージョンはこれで2つ目になる。これで同社は、米国の東海岸と西海岸それぞれに「トップシークレット」リージョンを置くことになった。

「AWS Top Secret-Westは、米国秘密区分レベルのトップシークレットで運用されることが認定されています。新しいリージョンは、AWS Top Secret-Eastと地理的に分離された複数のアベイラビリティゾーンを追加します」とAmazonのMax Peterson(マックス・ピーターソン)氏が新リージョンを発表する公式ブログ記事で述べた。

米国時間12月7日、東海岸リージョンで機能停止を起こしている同社は、政府クライアントのニーズが異なることを認識している。彼らを他の人類と同じ雑居サーバーに置くことはできない。隔離とセキュリティが必要であり、それこそがトップシークレット・リージョンが彼らにもたらすものだ。

「AWSは防衛、諜報、国家安全保障を司る当社の顧客とパートナーの役に立つために全力を尽くします」とピーターパン氏は書いた。

2020年同社がMicrosoft(マイクロソフト)と10年におよぶJEDI(ジェダイ)クラウドの契約を巡って争った時、さまざまな特殊要件を成し遂げる自社の能力として、このトップシークレット・リージョンを挙げることができた。その契約は訴訟の末、最終的に白紙となったが、おそらく今回の発表は、Amazonがいかに、将来国防総省で扱うような機密資料を取り扱う準備ができているかを誇示する手段の1つなのだろう。

新しい施設は、政府クライアントが作業負荷を地理的に分散し、その中から異なるアベイラビリティゾーンを選ぶ手段を与える。このゾーンは、ターゲット利用者であるNational Intelligence(DNI、国家情報長官)のIntelligence Community Directive(情報機関司令、ICD)503やNational Institute of Standards and Technology(米国標準技術局、NIST)のSpecial Publication(特別出版物、SP)800-53 Revision 4などが要求するセキュリティ水準を満たしていることが多数の政府機関によって認定されている。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

MetaのMessenger責任者が退社を表明

Facebook(フェイスブック)がコーポレートブランドを変更し「メタバース」の未来に向けて組織改編する中、著名な幹部が続けて会社を去っている。

先に、元Messenger(メッセンジャー)のボスで暗号化の現皇帝であるDavid Marcus(デビッド・マーカス)が年内に退社することを公表した。米国時間12月7日、Meta(メタ)の現Messenger責任者であるStan Chudnovsky(スタン・チュドゥノフスキー)氏が「2022年第2半期のどこかで」Metaを去るつもりであることを発表した。

チュドゥノフスキー氏は2015年初頭にMessengerのプロダクト責任者としてFacebookに入社、2018年に部門の責任者になった。Facebookに加わる前、チュドゥノフスキー氏はベンチャーキャピタルのNFXを共同設立し、2013年に自身のソフトウェアスタートアップ、IronPearl(アイアンパール)を買収したPayPalでは、グロース担当VPを務めた。

「16歳の時からノンストップで働き続けてきました。プロジェクトの合間に2週間ほど休みを取る他は常に、会社を始めるか、ベンチャーファンド(NFX)を始めるか、会社を経営するか、会社を合併させるか、会社に投資するか、会社で働くかしていました」とチュドゥノフスキー氏が自身の計画を発表するFacebook投稿で述べた。「引退するつもりはありませんが、すてきな数カ月間の休暇をとれることを楽しみにしています」。

チュドゥノフスキー氏が職を離れた後、同僚の Loredana Crisan(ロレダナ・クリサン)氏が引き継ぐ予定だ。クリサン氏は2016年にMessengerチームに加わり、それ以前はIndiegogoのデザインチームを率いていた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook