衛星コンステレーションから地球上の山火事の端緒を見つけ警告するOroraTech

山火事がかつてないほどの壊滅的な、しかも毎年のような現象になっている。そのため、早期発見と対応が世界共通の関心になっている。山火事の絶好の火の見やぐらは宇宙だ。ドイツのOroraTechは、小さな衛星のコンステレーションで、グローバルな山火事警報システムを作ろうとしている。同社は最近調達したばかりのおよそ700万ドル(約7億7000万円)のシリーズA資金を、そのために投じる気だ。

山火事は毎年、数千万エーカーもの森林を破壊し、人間と地球に多様かつ甚大な被害をもたらしている。しかもそれは、一定の大きさを超えると手に負えなくなるため、早期発見と早期消火が何にも増して重要だ。

山火事の発見と消火は、時間が勝負だが、数百マイル四方の広大で乾燥した森林のどこでいつ出火するかわからず、これまで行われてきたヘリコプターの巡回といった方法では火が広がる速さに対応できないこともある。しかも航空機は高価であるだけでなく、乗員や作業員にとって危険な場合も多い。

OroraTechの計画では、約100基の衛星コンステレーションに特製の赤外線カメラを搭載して、地球全体もしくは出火の可能性の高い地域をすべて同時に観測する。そして、30秒以内に10メートル以上に広がった火を見つけたら報告する。

画像クレジット:OroraTech

このバイエルンの企業は当初、すでに宇宙にある10数基の衛星を利用して地上からサービスを提供し、その有効性を証明しようとした。しかし、今回新たな資金が得たことにより、自分の鳥を空に飛ばすことに決めた。それは靴箱サイズの衛星に特製の赤外線センサーを搭載したもので、2021年中に衛星コンステレーション企業のSpire Globalが打ち上げる予定だ。また、その画像処理システムは機械学習による処理を行うため、下流の処理が単純になる。

2023年にはさらに14基の衛星を打ち上げ、それらによって必要不可欠な改良をほどこそうとしている。

CEOで共同創業者のThomas Grübler(トーマス・グリューブラー)氏は、プレスリリースで「将来もっと範囲を広げて早めに警報を出すことができるように、私たちが独自に設計した特製の衛星コンステレーションを軌道に打ち上げたいと考えています。高名な投資家たちが、その資金と技術的ノウハウで私たちの計画の実現を支えてくれるのは、とてもうれしいことです」と述べている。

画像クレジット:OroraTech

その高名な投資家たちとは、この投資ラウンドをリードしたFindus VentureとAnanda Impact Ventures、そしてこれにAPEX VenturesとBayernKapital、Clemens Kaiser(クレメンス・カイザー)氏、SpaceTec Capital、およびIngo Baumann(インゴ・バウマン)氏らとなる。同社は、創業者たちのミュンヘン工科大学時代の研究がルーツであり、同大学も一部の株式を有している。

APEXのWolfgang Neubert(ウルフギャング・ノイベール)氏は、次のように述べている。「限られた財源で彼らがこれまで成し遂げたことは、本当にすばらしいものです。人の気持ちをワクワクさせるような意欲的で斬新な宇宙プロジェクトに参加できることは、とても誇らしいことです」。たしかに、最先端の宇宙データサービスが、お金もなく衛星もないという状態から起業したことは感動的だ。ただし1年前には、わずかな投資があったようだ。

地球の表面の赤外線撮影は、同社以外にも行っている。たとえばSatelliteVuは最近資金を調達して独自のとても小さなコンステレーションを打ち上げようとしているが、こちらは広大な森林ではなく、都市をはじめとした人間の関心が高い領域が対象だ。そしてConstellRは、収量の精密管理のために農地をモニターすることが目的だ。

資金を得たOroraは、拡張してその改良版の火災検出サービスを提供できるはずだ。しかし残念ながら、今年の北半球の山火事シーズンが始まるまでには、アップグレードできそうもない。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OroraTech衛星コンステレーション火災資金調達ドイツ

画像クレジット:OroraTech

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

食品ロス削減のフードシェアリング「TABETE」運営のコークッキングが1.5億円のプレシリーズA調達をクローズ

食品ロス削減のフードシェアリング「TABETE」運営のコークッキングが1.5億円のプレシリーズA調達クローズ

食品ロス削減のためのプラットフォーム「TABETE」(タべテ。iOS版Android版)を運営するコークッキングは6月3日、プレシリーズAにおいて、累計調達額1.5億円でクローズしたと発表した。引受先は、Social Entrepreneur3投資事業有限責任組合(既存)、taliki1号投資事業有限責任組合(新規)、永井恒男(新規/アイディール・リーダーズ株式会社代表取締役CEO)、福島保氏(新規)、﨑山謙治氏(新規/JBA関西株式会社ディレクター 公認会計士)、他3社。調達した資金はTABETEのサービス拡大に向けた資金にあて、利用エリアの拡大やアプリの改善を行う。

TABETEは、まだおいしく安全に食べられるのに、店頭では売り切るのが難しい食事をお得に「レスキュー」(購入)できる、フードシェアリングサービス。掲載店舗数は1500軒、登録ユーザー数40万人超(2021年5月時点)。飲食店・小売店で廃棄の危機にある食事と、テイクアウト購入をしたい消費者とを直接マッチングさせる仕組みによって、食品ロス発生を水際で防いでいるという。これまでに累計で11万食以上が「レスキュー」され、57トン相当以上の食品ロス削減を実現したそうだ。

食品ロス削減のフードシェアリング「TABETE」運営のコークッキングが1.5億円のプレシリーズA調達クローズ

またTABETEでは、飲食店や小売店は、廃棄の危機にある食事を1品から出品可能。出品したメニューは即時にTABETEアプリに掲載されて40万人以上のユーザーが閲覧できるようになる。

購入が確定すると通知が届き、その後引取時間になると購入者が店頭に来店。購入者が提示するアプリの画面を確認して商品を渡せば「レスキュー」完了となる。なおユーザーは、アプリ上でクレジットカード決済を済ませてから引き取りに行く仕組みのため、店頭での金銭のやり取りは発生しない。

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フェムテックブランド「Rinē」を展開するNeithが約5000万円のシード調達、吸水ショーツなど販売へ

フェムテックブランド「Rinē」(リネ)を展開するNeith(ネイト)は6月3日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資およびデットファイナンスによる総額約5000万円の資金調達を発表した。引受先は個人投資家など。

Rinēは女性が女性特有の悩みによって日々のパフォーマンスを左右されることなく、心身ともに健やかに過ごすためのプロダクトを展開することをミッションに掲げている。調達した資金は、Rinēのプロダクト開発を中心に、マーケティングや組織体制の強化にあてる。

Rinēは、第1弾商品として吸水ショーツの先行予約を公式オンラインストアで2021年6月3日に開始し、6月10日より販売予定。同ブランドの吸水ショーツは新構造の吸水素材を採用したことで、優れた吸水力を実現。吸水面の範囲によってレギュラーとフルタイプがあり、レギュラータイプは60ml、フルタイプは110mlの吸水力となる。サイズはSMLの3種類。価格は、レギュラーサイズが税込4580円、フルサイズが税込4950円。

また、吸水ショーツとセットアップで着用できるブラレットの予約・販売も同時に行う。生理中はバストが張ることも多いため、ゆったりと快適で肌触りの良いブラレットという。SMLのサイズがあり、価格は税込4900円。

さらに第2弾商品として、「母乳パッドが擦れて痛い、取り替えるのが面倒」という授乳中の母親の課題を解決するために、吸水ショーツの構造を活かして開発された「吸水ブラレット」の発売を近日中に予定している。

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散らばりがちな作業の指示や会社からのメッセージをまとめたコピー作成を支援、スムーズな共同作業を実現するDitto

パンデミックでリモートソフトウェアがブームになり、一部のワークフローは専用ツールの恩恵を享受したが、チームのその他のメンバーは自分の生産性をばらばらにされたまま放置されている。そんな状態で、会社のメッセージをカプセル化してまとめたり、ユーザーに指示をするためのコピーを作る社員たちのことは、忘れられてしまう。Dittoは、コピーに関する「たった1つの真実の源泉」を見つけるソフトウェアを作っている若きスタートアップだ。

同社はY Combinatorの2020年冬季に参加し、そのときTechCrunchも同社をそのジャンルのお気に入りに選んだが、創業者たちによると同社はその後GreycroftやY Combinator、Soma Capital、Decent Capital、Twenty Two VC、Holly Liu(ホリー・リウ)氏、Scott Tong(スコット・トン)氏などから150万ドル(約1億6000万円)のシード資金を調達した。

コピーのワークフローは、デザインと実装において特に厄介で、よくまとまったチームでもメールの迷路のようなスレッドや、スクリーンショットのダンプ、互いに無関係なチームのSlackのDMなどをかき集めることになる。Dittoの創業者たちが望むのは、彼らのソフトウェアがコピーのチームに、あらゆるものをまとめて、複数のプロジェクトやアプリケーションにまたがって同期する、コピーという仕事のホームを与えることだ。そこには最終的で確定的な言葉があり、その時が来たら配布などもできる状態になっている。

同社の創業者であるJessica Ouyang(ジェシカ・オウヤン)氏とJolena Ma(ジョレナ・マ)氏はスタンフォードのルームメートで、正しい優先順のコピーを作るようなツールセットを作る機会を自分たちの専門にしたいという思いを、ずっと抱えていた。

「テキストとそれがどこにあるかを結びつけるのはとても簡単で、多くのライターがデザインのためのツールセットの中でそれを管理しなければならないとか、あるいはすでに開発の一部だと思っているかもしれないため、ライターはコードベースに入って、コンテンツデザイナーであってもJSONをコード化したり管理したりする方法を考えなければなりません」とオウヤン氏はTechCrunchの取材に対して語った。

最初からDittoはFigma向けに開発されたため、ユーザーはテキストブロックをアプリ内のデザインから簡単にエクスポートして、Dittoのウェブアプリの中で変更し、そのアップデートをデザインそのものを調べることなくプッシュできる。創業者たちによると、彼らは現在、SketchやAdobe XDの統合にも取り組んでいる。Dittoのウェブアプリ内でユーザーはチェンジログにアクセスして、プロジェクト内の特定のテキスト片のステータスを、常に確実に承認されるようにアップデートできる。

「コピーを作業されているすべての場所に統合することで、より多くの機会が得られることがわかりました。開発者との統合や、A/Bテスト、国際化、ローカリゼーション、その他のワークフローなど、コピーが使われるすべての場所との統合をさらに進めていきたいと考えています」とマ氏はいう。

コピー開発には多くの関係者がいるため、チームはその関係者に応じた価格設定を設けようとしている。現在のところ、Teamsプランでは、ユーザーをエディターとコメンテーターに分け、それぞれ月額15ドル(約1640円)と10ドル(約1100円、年間利用料)を支払っている。Dittoには、2人チーム向けの無料版と、大企業向けの料金プランがある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Ditto資金調達Y Combinator

画像クレジット:Ditto

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

現場と社内をつなぐビジネスチャット「direct」など手がけるL is Bが12.3億円資金調達

現場と社内をつなぐビジネスチャット「direct」など手がけるL is Bが12.3億円資金調達

L is B(エルイズビー)は6月2日、第三者割当増資および融資による総額12億3000万円の資金調達を発表した。引受先は、チェンジ、大和企業投資、イノベーション・エンジン、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル。借入先は日本政策金融公庫など。

調達した資金は、顧客の要望に応えるための新機能開発やサービス拡充、営業・マーケティングの強化にあてる。また日本国内での開発にこだわり、より多くの課題解決と安心感を実現するため、資金調達に合わせ開発、営業、マーケティングなどすべての職種で採用を強化する。

2010年9月設立のL is Bは、現場業務におけるコミュニケーションのDXを支援するビジネスチャット「direct」(ダイレクト)、独自AIエンジンを搭載したFAQソリューション「AI-FAQボット」など、業務における生産性向上を目的としたDX化支援ソリューションを提供。

directは、文字のやり取りだけでなく、現場で撮った写真や図面ファイルを使った情報共有、緊急時の連絡手段として、現場で働くフィールドワーカーと社内をつなぐDXソリューションとして広く活用されているという。2021年1月現在2500社以上の企業が導入しているそうだ。最大10名まで無料で使える「フリープラン」も提供しており、職場や現場における操作性を体験できるようにしている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:L is B(企業)建設 / 建築(用語)デスクレスワーク(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

欧州のインシュアテックWefoxが4倍程度の申し込みを受け約3300億円の評価で715億円獲得

ドイツのスタートアップWefox(ウィーフォックス)が、Target GlobalがリードするシリーズCの資金調達ラウンドで6億5000万ドル(約715億円)を調達した。この資金調達ラウンドで、同社のポストマネーのバリュエーションは30億ドル(約3300億ドル)に達した。Wefoxは、家財保険、自動車保険、個人賠償責任保険などの個人保険商品に注力するデジタル保険会社だ。

「当初調達希望額をはるかに超えました。非常に迅速なプロセスとなり、実質的に4倍程度の申し込み超過になりました」と、共同創業者兼CEOのJulian Teicke(ジュリアン・テイッケ氏、写真右)は筆者に語った。

2019年12月、同社のバリュエーションは16億5000 万ドル(約1815億円)だと報じられた。そして同社は、今回の資金調達ラウンドは、史上最大のシリーズCラウンドの1つであり、より具体的には、インシュアテック企業にとって最大のシリーズCラウンドである可能性が高いと述べた。

「既存の大口投資家のほぼ全員が参加しました」とテイッケ氏は語った。OMERS Ventures、G Squared、Mountain Partners、Merian、Horizo​​ns Ventures、Eurazeo、Mubadala Capital、Salesforce Ventures、Speedinvest、CE Innovation Capital、GR Capital、Seedcampはすべて、今回のラウンドに再び参加した。新しい投資家には、FinTLV、Ace & Co、LGT、および関連するインパクト投資プラットフォームの Lightrock、Partners Group、EDBI、Jupiter、Decisive が含まれる。

「私たちは超多額の資金を調達しただけでなく、非常に短期間で資金を調達しました。すべてのコミットメントを得るのに合計4週間かかりました」と、共同創業者でCFOのFabian Wesemann(ファビアン・ベスマン氏、写真左)は筆者に話した。

Wefoxは、規模が拡大するにつれ開発を反復し、より多くの収益を生み出すことができると信じている。次のレベルに到達するには資本が必要だ。「私たちは、インターネット以前の時代には立ち往生していた5兆2000億ドル(約572兆円)の産業に取り組んでいます。私たちにとってのコア市場で業界をディスラプトする方法を見つけました」とテイッケ氏はいう。

だがWefoxは従来の保険会社と何が違うのか。同社は、消費者に直接保険を販売する会社ではない。ほとんどの保険商品は依然として代理店が販売しており、同社はこれがすぐに変わることはないと考えている。

Wefoxが自社の商品を独占的に販売する700の代理店を抱えるのはそのためだ。また、アソシエイトブローカーとも提携しており、約5000社が同社の商品を販売できる。

「業界の人々は、人間の代理店は死んだと言っているようですが、私たちは、人間の代理店がこれまで以上に重要であると考えています」とテイッケ氏は語る。

2020年だけでも、同社は1億4000万ドル(約154億円)の収益を上げた。同社グループの保険キャリアであるWefox Insuranceを見ると、2020 年に黒字となった。グループ全体では「2023 年までに利益を計上する予定です」とベスマン氏は述べた。

この急速な成長率と黒字への明確な道筋の両方が、Wefoxに野心的なロードマップがあることを示している。リヒテンシュタインでライセンスを取得したフルスタック保険会社として、Wefoxはライセンスを他の欧州諸国に持ち込むことができる。同社は現在 5カ国の市場に進出しており、近々イタリアへの拡大に取り組んでいる。

Wefoxは、新しい市場に加え損害保険、ペット保険、健康保険、生命保険などの新しい保険商品の販売を計画している。もしあなたが保険商品について考えているのであれば、Wefox がすでに取り組んでいる可能性がある。「2021年は約20の新しい保険商品を発売します」とテイッケ氏は述べる。

流通は各国で顧客と向き合う現地代理店が分散管理しているが、保険商品は集中管理されている。同社は、収益性によって商品に優先順位を付け、商品リストを上から1つずつ見ていく。

最後に、Wefoxは管理コスト削減に関して野心的な計画を立てている。同社は、共通のプロセスをアルゴリズムによって処理するべく自動化に投資してきた。現在、同社のプロセスの80%は自動で処理される。新商品を立ち上げる際にはプロセスを適応させる必要があるため、これは終わりのないプロセスとなる。

Wefoxは予防にも取り組んでいる。同社は、まず悪いことが起こるのを防ぐために、パリにAI チームを編成した。保険会社ではいつものことだが、カスタマージャーニーのすべてのレイヤーとステップを最適化して、既存の商品とは一線を画すことがすべてだ。

カテゴリー:その他
タグ:Wefox保険資金調達ドイツ

画像クレジット:Wefox

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

欧州の物流業界に一石を投じる貨物フォワーディング企業Sennderが約88億円調達、評価額約1100億円超えに

2020年のeコマースの大ブームに加え、新型コロナウイルスの影響から物の移動をより効率的に行うことが求められていることもあり、貨物フォワーディング(貨物利用運送事業。貨物をどのように、どこへ運ぶかを手配するプロセスであり、その作業を支える技術のこと)は物流業界の中でも特に重要な分野となっている。この分野における大手企業の1つが、現地時間6月1日、この機会を生かすための資金を調達したことを発表した。

欧州地域の貨物輸送(特にトラック運送)に特化したデジタル貨物フォワーダーであるSennder(センダー)は、8000万ドル(約88億円)の資金を調達し、評価額が10億ドル(約1100億円)を超えたと発表した。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、2021年に入ってから資金調達を繰り返している。2021年1月には1億6000万ドル(約176億円)の資金調達を発表しており、今回の8000万ドルでシリーズDラウンドをクローズした。今回の延長シリーズDはBaillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、Hedosophia(ヘドソフィア)、Accel(アクセル)、Lakestar(レイクスター)、HV Capital(HVキャピタル)、Project A(プロジェクトA)、Scania(スカニア)が前回のシリーズDから参加している。

今回のラウンドによって、3億5000万ドル(約384億円)を超える資金を調達したSennderは、貨物輸送業者の中でも最も資金力のある企業の1つとなった。現在この分野は注目を浴びており、欧州のZencargo(ゼンカーゴ)も5月に4200万ドル(約46億円)を調達したばかりだ。競合企業には米国のFlexport(フレックスポート)などがある。

Sennderは有機的に成長を遂げているが、規模を拡大するためにいくつかの買収も行っている。これは、市場の活性化だけでなく、細分化が進んでいることの表れでもある。5月にはCars&Cargo(カーズ&カーゴ)を買収し、フランスとベネルクスでの存在感を強めた。2020年にはUber Freight Europe(ウーバー・フレイト・ヨーロッパ)とEveroad(エバーロード)を買収し、イタリアの郵政公社であるPoste Italiane(ポステ・イタリアーネ)との合弁会社も設立。欧州に同社は全部で8つのハブを持つことになった。

Sennderによれば、同社は今後もこの種の買収を行う計画で、現在のトラック1万2500台におよぶネットワークを拡大するために、DAX30(ドイツ株式指数)のうち10社、Euro Stoxx(ユーロ・ストックス)50のうち11社と提携し、2021年にはトラック100万台分以上の輸送量を見込んでいるという。

「2020年から2021年に向けて、すでに1件の買収と複数の戦略的パートナーシップの締結を行い、その勢いを維持できていることを喜ばしく思います」と、Sennderの共同設立者であるCEOのDavid Nothacker(デイビッド・ノーサッカー)氏は、声明の中で語っている。「私たちは欧州における事業を拡大し、より多くの運送者や荷主をSnnderのプラットフォームに取り込み、SaaSなどのデジタルサービスを拡大していきます。買収や戦略的提携もこの戦略の一環であり、今回の追加資金は適切な機会に資本投下する柔軟性を当社にもたらします。Baillie Giffordは、革新的な技術を持つ企業を次々と支援してきました。彼らの支援は、我々のチーム、技術、ビジネスモデルに対する信頼の証です」。

Baillie Gifford European Growth Trust PLCの共同マネージャーであるStephen Paice(ステファン・ペイス)氏は、次のように付け加えた。「欧州の物流業界に一石を投じるSennderチームの旅に参加できることをうれしく思います。Sennderの技術は、非効率性や不必要な二酸化炭素排出に悩まされている業界で、出資者や社会に多大な価値を生み出す可能性があると確信しています。これまでの実績に加えて、特に印象的だったのは、目的意識を持った起業家精神が同社内に浸透していることです。これが長期的な成功のための重要な要素となることは間違いありません」。

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カテゴリー:その他
タグ:Sennder物流ヨーロッパ資金調達ベルリン

画像クレジット:sennder

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

既存防犯カメラで来店客の店内行動を解析可能なエッジAI端末を提供する「AWL」が20億円調達

エッジAIカメラで来店客の店内行動を安価に解析する北海道大学発スタートアップ「AWL」が20億円調達

実店舗での客や従業員の動きを分析し、生産性の向上と業務の効率化に寄与するエッジAIソリューションを提供するAWL(アウル)は6月2日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額20億円の資金調達を発表した。引受先は、楽天キャピタル(楽天グループCVC)をリード投資家に、i-Lab4号投資事業有限責任組合、サツドラホールディングス、中国電力。累計調達額は26億6000万円となった。

AWLのエッジAIカメラソリューションは、画像処理端末「AWLBOX」を中心に構成されている。エッジAIとは、クラウドサーバーではなく端末の近くでAI処理を行うシステムのこと。AWLBOXの場合であれば、大容量になりがちな店舗内の撮影映像データをクライド側に送る必要がなく、クラウド側には個人を特定しない形で年齢・性別などの匿名化データのみが保存される。またこれにより、来店客のプライバシーを守ると同時に、個人情報を不用意に設置企業側社内に置くことがなくなる。AWLBOXは、来店客の属性分析、売り場や商品棚への立ち寄り、商品接触などの店内行動、さらに従業員の業務や働き方を可視化して分析することで、生産性と効率性の向上に役立てることができる。

AWLBOXは、店舗にすでに設置されている防犯カメラなどを利用して画像処理を行えるので、カメラを新設する必要がほとんどない。対応するカメラは2021年5月末時点で1万500種類。同社によれば「類似サービスと比較して1/10程度の費用感での導入が可能」だという。

現在、「数百店、数千店舗を展開するチェーンストア数社」も導入を検討しているとのこと。また、宿泊施設、交通機関、工場、建設現場といったさまざまな空間でのAI解析による可視化サービスも本格的に着手している。

AWLは、2016年に設立された(当時の社名はエーアイ・トウキョウ・ラボ)、北海道大学発のスタートアップ企業。世界17カ国から映像解析、機械学習、SaaSビジネスなどに優れた人材を集め、その多様性と技術力でAIの社会実装を目指している。今回調達した資金は、AWLBOXシステムと、小規模店舗向けのAWL Lite(ライト)の新機能開発、映像解析および機械学習技術に関する研究体制の拡充強化に使われる。また、事業拡大に向けた人材採用、大規模導入に対応するオペレーション・サポート体制の強化、映像解析技術を応用した新規事業開発も進めてゆくという。

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カテゴリー:IoT
タグ:IoT(用語)エッジAI(用語)エッジコンピューティング(用語)AI / 人工知能(用語)AWL(企業)画像解析(用語)ディープラーニング / 深層学習(用語)北海道大学(組織)資金調達(用語)日本(国・地域)

低糖質・高タンパクの冷凍弁当宅配「ゴーフード」が総額6000万円のプレシリーズA調達

低糖質・高タンパクの冷凍弁当宅配「ゴーフード」が総額6000万円のプレシリーズA調達

糖質で高タンパクのフードデリバリーサービス「GOFOOD」(ゴーフード)を運営するゴーフードは6月2日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額6000万円の資金調達を発表した。引受先は、ダイレクトマーケティングミックスと個人投資家の東信介氏。

2019年設立のゴーフードは、「糖質過剰症候群」という概念を提唱する清水泰行氏を顧問医師に迎え入れるなどして調理済み冷凍食品のデリバリーを展開してきた。Healty、Delicious、Easyの3つの特徴を掲げ、味の面でも「本格シェフによるこだわりの調理法」と「食品劣化を抑える冷凍方法」を採り入れている。

また、環境にも配慮している。冷凍食品技術は食品ロスの削減につながり、SDGsの17の目標のうち「1. 貧困をなくそう」、「2. 飢餓をゼロに」、「3. すべての人に健康と福祉を」に貢献できると同社は言う。さらに、弁当のパッケージには石灰由来の新素材LIMEX(ライメックス)を使用し、石油由来の樹脂の使用量を40%削減した。ちなみにLIMEXの第一プラントである白石工場は、再生可能エネルギー実質100%で運用されている。こうしたことから、「12. つくる責任つかう責任」、「13. 気候変動に具体的な対策を」、「14. 海の豊かさを守ろう」、「15. 陸の豊かさも守ろう」にも配慮していると同社は話す。事実、ゴーフードは、日本SDGs協会より、目標1、2、3、12に関して「SDGs事業認定証」を受けた。

新型コロナ禍のステイホームにより健康への配慮を支援するフードデリバリーの需要の拡大を実感したことから、ゴーフードは今回の資金調達を実施した。この資金で、新メニュー開発、人材確保、ネット注文の利便性向上、マーケティング施策の充実などを行い、スピーディーな事業拡大を目指すという。

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カテゴリー:フードテック
タグ:SDGs(用語)ゴーフード(企業・サービス)食材宅配 / フードデリバリー(用語)新型コロナウイルス(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

サブスクリプション管理や自動貯金に加え資産・負債の一元管理も目指す「Truebill」

パーソナルファイナンスのスタートアップ「Truebill」は、Accelが主導して4500万ドル(約49億3000万円)のシリーズD資金調達を実施した。同社がシリーズCで1700万ドル(約18億6000万円)を調達したのはわずか数カ月前のことだ。設立以来の調達合計額はこれで8500万ドル(約93億円)となった。

今回の資金調達ラウンドには、既存投資家であるBessemer Venture Partners、Cota Capital、Eldridge Industriesも参加している。

Truebillは、米国に住む人々の財務管理を支援するいくつかのツールを提供している。このアプリの主な特徴の1つは、すべてのサブスクリプションを1カ所で管理できることだ。ユーザーは、アプリで不要なサブスクリプションをキャンセルすることもできる。携帯電話やケーブルテレビの料金については、Truebillが値引き交渉まで行ってくれる。

最近になって、同社はこのアプリを経済的なパートナーにするための機能を追加している。支出に関するインサイト、健全な毎月の予算の作成とアプリによるその追跡、クレジットレポートの閲覧などが可能になった。

Truebillでは、自動的にお金を貯めることもできる。Truebillはユーザーの口座を分析し、お金が残っているときに貯金することができる。

現在、同社はすべての資産と負債を一元管理するウェルスマネジメントダッシュボードの開発に取り組んでいる。ウェルスマネジメントはお金のあるアカウント1つ1つに接続する必要があり、そうしないと全体像が見えないため少々煩雑だ。

共同創業者兼CEOのHaroon Mokhtarzada(ハルーン・モクタルザダ)氏は、声明でこう述べた。「自分の財務状況をより良く理解し改善するために、毎日1万人以上の会員がTruebillに登録しています。今回の資金調達により、Truebillをオールインワンの総合的なプラットフォームに変革し、会員のみなさまがサブスクリプションや支出を管理するだけでなく、貯蓄を最適化したり、財務状況を改善するために、情報に基づいた意思決定を行えるようにします。Truebillは、一般消費者にとって最も価値のあるメンバーシップに急速になりつつあります」。

ご覧のとおり、このスタートアップは急速なペースで成長している。2020年11月以降、ユーザー数は100万人から200万人へと倍増した。同社は月間400億ドル(約4兆3800億円)のトランザクション量を分析している。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Truebill資金調達サブスクリプションアプリ

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

新薬発見のために膨大な数の化学合成を機械学習でテストするMolecule.one

ポーランドの計算化学企業Molecule.oneは、理論的な薬剤分子を現実のものとするための活動を拡大するため460万ドル(約5億円)を調達した。同社の機械学習システムは、有益と思われる分子を合成する最良の方法を予測するもので、新薬や治療法を生み出す上で重要な役割を果たしている。

Molecule.oneはDisrupt SF 2019のStartup Battlefieldに登壇し、彼らは大量の理論的治療法を考え出すが、それらの分子すべてを実際に作ることはできないという創薬業界が直面している難題を説明した。

エキゾチックな化合物を発想しそれを実際に試験したいが、その作り方がわからないとき、同社のシステムの出番となる。それらの分子は科学にとってまったく新しいもので、過去に誰も作ったものがないため、その作り方もわからない。Molecule.oneが作ったワークフローは、まず普通のありふれた化学物質からスタートして、段階的に既知の方法を適用していく。AからBへ、そしてCへ、Dへ、というように。もちろん、実際にはこんな簡単な手順ではない。

同社は機械学習と、化学反応に関する大量の知識ベースを利用してこれらの工程を作っていくが、CEOのStanisław Jastrzębski(スタニスワフ・ヤストルツニェフスキ)氏の説明によると、同社はそれを逆方向で行っていく。

「合成計画はゲームに似ています。このゲームの1つ1つの動きにおいて、私たちはボード上のピースを移動するのではなく、1対の原子を結びつけている科学的なボンドを外します。そのゲームの目標は、ターゲットの分子を、市場で一般的に手に入れることができそれらからターゲットを合成できるような分子へと分解することだ。私たちが使っているアルゴリズムは、DeepMindが合成手筋を見つけて碁やチェスをマスターするために使ったものと似ています」とヤストルツニェフスキ氏はいう。

共同創業者のPiotr Byrski(ピオトル・ベルスキ)氏とPaweł Włodarczyk-Pruszyński(パヴェウ・ヴウォダルチク・プルシェンスキスキ)氏によると、有機反応を予測することは決して容易なことではなく、これまで彼らは、システムを効率的かつ検証可能なものにするために大量のリソースを投じてきた。Molecule.oneは良いアイデアだけではなく、実行可能なアイデアを提供していると企業から評価されるように、定期的に社内でテストを行っています。

ベルスキ氏によると、Disruptでデビューしてからは年契約の顧客も増え、同社プラットフォームの機能も多くなった。また、ヴウォダルチク・プルシェンスキスキ氏によると、仕事の効率も上がったという。

画像クレジット:Molecule.one

「システムは成熟し、プラットフォームの拡張により1時間に数千種の分子の合成を計画できるようになりました。大量の分子合成機能を、膨大な量の候補薬剤分子を生成する創薬用のAIシステムと組み合わせると、すごく便利になります。多くの改良によって業界の信頼度も上がり、有意義な企業などとのコラボレーションもできるようになりました」。

確かに、顧客がひと握りではなく何十万もの治療用分子の経路について尋ねるようになると、問題はスケーリングになる。彼らにとって、製造コストを負担するのであれば、検討している化合物の1つが、同様の効果を持つ他の化合物よりもかなり容易に製造できるかどうかを確認するために、最初に出費を行う価値がある。はっきりとは言えないプロセス全体をシミュレーションすることなく、Molecule.oneにリストを送って数日後にレポートを受け取ることができる。

画像クレジット:Molecule.one

成功事例もあると思われるが、企業秘密が関係するケースも多いため、同社は顧客の成功例を明らかにしていない。しかし同社によると、他のバイオテック企業と同じく、現在は新型コロナウイルス治療関連の研究開発が多いという。

「私たちは、新型コロナウイルス関連の創薬に取り組む対象となる研究者にプラットフォームの一部を無料で提供しました。これにより、Yoshua Bengio(ヨシュア・ベンジオ)教授が顧問を務めるMILAのLambdaZeroプロジェクトとの永続的な協力関係が生まれました」とベルスキ氏はいう。

そのようなプロジェクトでは候補分子を、効果だけでなく製造のしやすさでも評価しなければならないため、同社の新たなスケール拡大方法をテストする機会も生まれている。

ベルスキ氏によると「まだ合成されていない薬を探すという意味では、非常に有望な化学空間の新領域を横断することができるため、この分野には非常に期待しています」という。

今回の投資ラウンドをリードしたのはAtmos Venturesで、参加した投資家はAME Cloud Ventures、Cherubic Ventures、Firlej Kastory、Inventures、Luminous Ventures、Sunfish Partners、そしてBayerの役員であるSebastian Guth(セバスチャン・グス)氏などの個人だ。

同社は、資金をチームの拡大と今後の拡大の継続に充てる計画だという。また今後もポーランドの企業でありながら、米国や西ヨーロッパにもオフィスを開きたいとのことだ。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Molecule.one資金調達ポーランド機械学習創薬計算化学

画像クレジット:Molecule.one

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

オンラインキャリアカウンセリング「ミートキャリア」を運営するfruorが4500万円のシード調達

オンラインキャリアカウンセリング「ミートキャリア」を運営するfruorが4500万円のシード調達

オンラインでプロのキャリアカウンセラーに気軽に相談できる「ミートキャリア」(meetcareer)を運営するfruor(フルオル)は6月2日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資として4500万円の資金調達を実施した。引受先はW ventures、ベンチャーユナイテッドほか、複数の個人投資家。

近年、少子高齢化の影響もあり、労働人口の減少という課題を日本社会は抱えているため、どのようなライフステージにある人でも活躍することや生産性をアップさせることが求められている。その反面、ライフステージが変わると、キャリア形成を維持できない、活躍の場が限られるようになるといった課題も生じている。

fruorでは、ライフステージの遷移によって当人が感じる「モヤモヤ」を、気軽に相談する場としてミートキャリアをスタート。仕事上の意欲の低下や離職を、プロのキャリアカウンセラーという第三者視点のアドバイスにより食い止めることに成功してきた。

特に、働く意欲がありつつ、就業時間の点で制約のあるワーキングマザーは、もっと働きたいのに働けないというワークライフバランスが変わったことに対応しきれず自分で自分の評価を下げてしまいがちだが、ミートキャリアでは定年まで走り続けることや転職がキャリア形成のすべてではないこと、ジョブ型雇用への切り替え、副業、フリーランスへの移行といった幅広い選択肢を提示。サービス開始から1年半で相談件数は1000件を超え、利用者による評価は10点満点中9.3点、1年以内のリピート率は30%以上と高い。

ミートキャリアには、1回75分のオンラインキャリア相談と、メールで行うテキストプログラムがあり、オンラインキャリア相談では現状の課題整理と、課題解決のための選択肢や情報の受取、アクションプランの設定が行える。テキストプログラムは、キャリアサポーターとの1対1でメールのやり取りを行う中で、自己分析、転職準備、副業チャレンジ、復職準備といった、これからの目標設定や行動への準備をじっくりと行える。

調達した資金は、主にサービス開発、ユーザー拡大に向けたマーケティング活用に用いられる。

シードラウンドにあるfruorでは、「終身雇用制の崩壊、ジョブ型雇用への移行、副業の促進などを受けて人材の流動性が高まる中、企業と個人の関係変化は急加速している。個人のキャリア自律が求められることからパーソナライズされたキャリア支援も必要となる。ミートキャリアにより、社会課題を解決し、だめもが自分に合った働き方ができる社会の実現に向けて邁進したい」と、今後の展開を明らかにしている。

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カテゴリー:HRテック
タグ:HRテック(用語)カウンセリング(用語)キャリア(用語)fruor(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

サステナビリティに配慮しながら赤ちゃんにも優しいKudosのコットン製使い捨ておむつ

子育て経験のある人なら、使い捨ておむつの驚くほど狭い世界をよくご存知だろう。救いの手がやってくるかもしれない。

Kudos(クドース)は、使い捨ておむつをサステナビリティに配慮して再発明しようとするスタートアップだ。米国時間6月1日、240万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを完了した。出資者はFoundation Capital、XFund、PJC,Precursor Ventures、Liquid 2 Ventures、SV Angel、Underscore VC、Alpha Bridge Ventures、April Underwoodなどとなる。

共同ファウンダーでCEOのAmrita Saigal(アムリタ・サイガル)氏はKudosについて、Cotton Inc.の Cotton Naturalマークを取得した最初で唯一の赤ちゃん用使い捨ておむつだと説明した。赤ん坊の肌に触れるのがプラスチックではなく綿100%だからだ。また、現状の大手ブランド使い捨ておむつと比べて、植物由来材料を4倍多く使っている。

使い捨ておむつは多くの層で構成されている。Huggies(ハギーズ)、Pampers(パンパース)などの標準的紙おむつには、石油化学製品、ポリエステルなどの繊維をはじめ多くのプラスチックが使われている。事実、ある柔らかく感じている使い捨ておむつのトップシート(赤ちゃんの肌にふれる部分)も、ほとんどがプラスチックで作られている。

Kudosはその代わりにオーガニックコットンを使う。グリーンな材料を使うことに注力して、おむつの吸収部分には森林協議協会を通じて収穫された完全脱塩素の綿毛パルプを使っている。

それだけではない。性能はおむつの材料と同じく重要だとセイガル氏は説明し、多くの親たちは環境に優しい製品を使うことは性能を犠牲にすることだと思っている、と語った。親たちは自分の赤ん坊のための製品に関して、自分自身のためよりもずっと高い基準を持っている、と彼女は説明した。

「女性用ケア商品のことを考える時、私は環境に優しい製品を選ぶことがありますが、少々性能が落ちるのが苦痛であっても自分のことなので我慢できます」とセイガル氏はいう。「しかし親として、もし子どもに発疹ができれば自分の生活と睡眠に影響します。紙おむつに関して、親はサステナブルな製品に対して(自分のものと)同じ余裕を持てません」。

読者は気になっているかもしれない、私と同じく、この種の製品の防御力について。大手企業がもっとサステナブルなコットン製おむつを開発するのをどうやって止められるのか。

セイガル氏によると、大手ブランドはプラスチックからコットンに切り替えるために生産プロセス全体を見直す必要がある。実はセイガル氏はP&G(ピーアンドジー)で働いていたことがあり、KudosのおむつエンジニアリングアドバイザーであるJim Keighley(ジム・キーリー)氏(P&G時代の上司)ともそこで出会った。

キーリー氏は声明文で次のように語った。

大手ブランドは接着機械を完全に作り直す必要があります。どの会社でも使っている圧着技術はプラスチック由来の材料にしか使えないからです。それには多大な時間と予算の投資が必要で、市場のリーダーとして現行製品を製造している柔軟性を損なうことにもなります。

KudosはD2C(消費者に直接販売)サブスクリプションモデルを採用しており、赤ちゃんの身長、体重の変化に応じたサイズのボックスが月額78ドル(約8550円)で送られてくる。好みのボックス(3~5日分)を14ドル(約1530円)で単体購入することもできる。

カテゴリー:その他
タグ:Kudos育児子どもサステナビリティコットンサブスクリプション資金調達

画像クレジット:Kudos

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」を手がけるユニファが40億円のシリーズD調達

IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」を手がけるユニファが40億円のシリーズD調達

IoTやAIを活用した保育支援デバイスの開発およびサービスを提供するユニファは6月2日、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資による総額40億円の資金調達を発表した。引受先は、Minerva Growth Partners、海外資産運用会社(非公開)、MPower Partners、第一生命保険、Salesforce Ventures、DIMENSION、創発の莟ファンド、GLIN Impact Capital、博報堂DYベンチャーズ。今回の資金調達は、未上場株式・上場株式の双方を投資対象とするクロスオーバーの海外機関投資家やESG・インパクト投資家などを中心としたラウンドという。

また調達した資金は、IoTやAIを活用した保育支援サービス「ルクミー」シリーズや新規事業に関わるプロダクト開発費用、さらなる顧客施設拡大に向けた営業・マーケティング費用、優秀な人材の獲得費用、M&Aなどに使用する予定。事業基盤・経営基盤を強化することで、中長期的な成長を加速させる。

ユニファは、日本におけるジェンダーギャップや保育士不足といった社会課題に対して、AIやIoTといったテクノロジーを活用することでの業務負担の削減、保育者の時間と心のゆとりの確保し、子ども達との関わりに保育者が集中し、保育の質の向上を確保できる環境作りを支援しているという。

ルクミーの導入数は累計で2021年4月現在で1万件を超えており、またユニファの全サービスを導入した「スマート保育園」のモデル園では、月に60%以上の業務時間を削減した施設もあるそうだ。さらに、埼玉県や福岡市など自治体と連携し、保育業務におけるICT活用がもたらす効果についての実証実験も行っている。

ユニファのテクノロジーを活用したサービス提供により、安心・安全な保育施設の環境作りや質の高い乳幼児の発達支援、そして仕事と子育てを両立できる持続可能な社会の実現や、女性活躍のさらなる推進を支援するとしている。「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」というモットーの実現に向けた、同社の今後の動きが注目される。

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カテゴリー:EdTech
タグ:IoT(用語)AI / 人工知能(用語)ユニファ(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

衛星データで耕作放棄地の把握や土壌解析を行い農業課題解決に取り組むサグリが約1.55億円調達

衛星データで農業分野における課題解決に挑むサグリが、 リアルテックファンドをリード投資家として、みなとキャピタル池田泉州キャピタル広島ベンチャーキャピタルひょうご神戸スタートアップファンド、他エンジェル投資家等を引受先として総額約1億5500万円を調達した。今回の調達で、投資家である地域金融機関とも連携しながら、全国における市町村のユーザー獲得・導入を目指す。

耕作放棄地をデジタル地図で確認できる「ACTABA」

耕作放置地である可能性が赤色の濃淡で確認できるACTABA

同社は、自治体や農業委員会向けに「ACTABA(アクタバ)」という耕作放棄地把握アプリを提供。日本では農業従事者の高齢化等にともない耕作されなくなった農地が増えているが、その把握は、自治体職員が行わねばならない。ACTABAでは、Planetの衛星データを使用し、農地の荒れ具合を人工知能(AI)が判断、耕作放棄地とみられる土地を、可能性の強弱に応じて赤色の濃淡で表示し、職員の作業を軽減する。耕作放棄地の判定精度は現状でも9割を超える正答率であり、また全国の自治体で広く使われることでACTABA自身が学習し、アプリの精度が高まっていくという。

区画形成の自動化でデジタル地図の作成を容易にするAIポリゴン

区画形成データは、より高解像度なMaxer Technologiesの衛星データを用い、独自のAIポリゴン技術によって加工し、提供しているという。料金は農地面積に応じる。

東南アジアにプレシジョンファーミング(精密農業)を

同社は、衛星データによる土壌解析技術を使って、施肥量適正化による肥料コスト削減や植生解析による収量増加、土壌より生じる「温室効果ガスの把握と削減」など「地球環境改善」と「農家の収益改善」の二軸を求めていく考え。対象は東南アジアとしており、タイ、インドにはすでに進出している。

代表の坪井俊輔氏は横浜国立大学理工学部在学中に、子どもたちが未来に夢を感じられていない状況を危惧し、教育事業の「うちゅう」を創業。日本のみならず海外の子どもたちの様子も知るため、2016年にルワンダへ行くが、若年労働がほぼ義務化されている状況にあり、同じく子どもたちが夢を追いかけられない現状があることを知った。子ども達を労働から解放するため、まず途上地域の農業DXを進めようと、サグリを設立。坪井氏は「当初は営農アプリ開発をはじめ、途中でメディア事業へピボットするなど、試行錯誤して今があります。資金調達を経て、改めてパートナーのみなさまと事業を大きくしていきたいと感じています」と語った。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:サグリACTABA資金調達農業東南アジアタイインド人工衛星日本画像解析

Googleマイビジネスや複数SNSの店舗アカウントを一括管理できる「カンリー」が累計約5.3億万円調達

Googleマイビジネスや複数SNSの店舗アカウントを一括管理できる「カンリー」が累計約5.3億万円調達

複数SNSの店舗アカウントを一括管理するサービスを提供しているカンリー(Canly。旧Leretto)は6月1日、第三者割当増資およびび金融機関からの融資で約4.6億円を調達したと発表した。これにより、過去ラウンドを含め累計約5.3億円を調達したことになる。引受先は、ジャフコグループ、ディープコア、双日、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、UB Ventures(ユーザベースグループ)、ベクトル。

調達した資金により、プロダクト開発・運用・販売体制をより強化し、海外進出やAIを用いた新機能開発など成長促進に向けた体制の整備を図る。

カンリーは、これまで店舗ごとに運用していたGoogleマイビジネスページや自社ウェブサイト、様々なSNSの店舗情報を一括管理することで運用・管理コストを削減、また口コミなどのデータ分析を行うことで店舗運営上の課題を特定し、導入企業の成長をサポートする。

それ以外にも店舗情報の改ざんの自動ブロック、MEOサポート、自社公式サイトとの連携などが提供される。カンリーは2020年7月のサービス開始以降、有料契約での導入店舗数が1万店舗を突破した。MEOは「Map Engine Optimization」の略称で、マップエンジン最適化、ローカルSEOなどとも呼ばれる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Canly(企業・サービス)Googleマップ(製品・サービス)資金調達(用語)日本(国・地域)

ポケットの中の音楽スタジオ、700万ユーザーを獲得した作曲アプリ「Rapcha」

YouTube、Snapchat、Twitter、TikTok、FacebookのInstagramは、映画やテレビの業界を根底から覆した。撮影監督やディレクター、俳優はテクノロジーの革新を活かして新しい作品を作り、それを何十億もの消費者に直接見てもらうというニューウェーブを起こしている。2021年4月末、ある新興企業が230万ドル(約2億5000万円)の資金調達を発表し、音楽の世界にも同様のインパクトをもたらそうとしている。

Rapchat(ラップチャット)は、ユーザーが(その名の通り、ラップやその他のジャンルの)音楽を作ることができるアプリで、ユーザーはクラウド上のビートにボーカルを乗せて楽しむことができる。

ソニー・ミュージックエンタテインメントとニューヨークのベンチャーキャピタル企業Adjacent(アジェイセント)が共同で主導した今回の資金調達は、2018年にRapchatが行った170万ドル(約1億9000万円)のシード資金調達ラウンドの延長線上にあり、CEOかつ共同創業者のSeth Miller(セス・ミラー)氏は、同社がより大きなシリーズAの準備を進める一環としての調達であると話す。

ミラー氏とPat Gibson(パット・ギブソン)氏が、2015年に大学在学中に副業として会社を構想した際に、(Snapchatの)chatという言葉をひっかけた言葉遊びを除けば、少なくとも今はRapchatとSnapchatにつながりはない。Rapchatはすでにかなりの規模に拡大している。

現在、Rapchatには約700万人の登録ユーザーがいて、プラットフォームでは毎月50万人のアクティブユーザーが、約10万曲のビートカタログを使って、約25万曲を作成しているという。ユーザーは1日平均35分アプリを利用していて、これは、楽曲を作るユーザーだけでなく、その楽曲を聴いたり共有したりするためにアプリを利用する人たちのソーシャルグラフ(人と人とのつながり)が形成され始めたことを意味する。

Rapchatは、今回の資金調達を利用して、Rapchatのコンペティション「Challenges」の賞金額を増やすなど、プラットフォーム上でできることを拡大していく予定だ。より多くのアーティスト、プロデューサー、業界のエグゼクティブからプラットフォーム上で指導を受けられるようにしたり、プラットフォームのリーチを拡大して、TikTok、Snapchat、Spotify、Apple Musicなど、クリエイターがすでに多くのコンテンツを制作していて、音楽が重要な役割を果たしているプラットフォームとより緊密に統合したりすることも検討している。

Rapchatの成長は、音楽を簡単に作れるようにしたいという同社の夢を実現しただけでなく、クリエイターエコノミー(クリエイターのマネタイズをプラットフォームやテクノロジーが後押しする経済)における貪欲さと歯がゆさを物語っている。世の中には広大な音楽制作の世界があり、自分が評価されるかどうかを知りたいと思う人が増加しているのだ。

巨大なクリエイターエコノミーにおける音楽クリエイターの存在を考えたのはRapchatだけではない。

Voiseyというアプリも類似のサービスを提供しているが、メインは音楽トラックではなく、短いクリップを作って録音し、それを他のプラットフォームで共有することに重点を置いていた。あまり普及はしなかったが、新しいアーティストへの注目を少し集めることに成功し、2020年Snapにひっそりと買収された(現在のところ、SnapはVoiseyのアプリを維持している)。

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TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)も、別の音楽作成アプリJukedeckの買収を行っている。Snapの買収と同様、この買収がどこでどのように行われているのか、今のところ完全には明らかになっていないが、うわさによると、TikTokは新しい音楽サービスを開発中で、より多くのコンテンツをTikTokの音楽レイヤーに接続することができるようになるらしい。

そして、このトレンドを最も裏づけることといえば、Facebook(フェイスブック)がRapchatの真似をしたことだろう。Facebookの社内部門であるNPE(新製品実験)チームは、2021年2月に「BARS」を発表。ユーザーはこのアプリで自分のラップミュージックを作ることができる。

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このような状況下、ミラー氏は(少なくとも今のところは)、新しいプレミアム機能のテストを含め、Rapchatの実績に非常に満足し、自信を持っている。現在アプリは無料で使用できるが、プレミアム機能では、クリエイターに、もっと多くの制作ツールや、作品を共有してマネタイズするためのより良い方法を提供する予定だ。その鍵となるのは、音楽のライセンス料を要求しないということ。Rapchatの価値は、クリエイターが音楽を制作し、それらのトラックのメタデータを使って音楽がどのように使用されたかを追跡することにあり、クリエイターはロイヤリティを維持することができる。

この控えめなアプローチは、Rapchatとその創業者たちが、スタートアップ企業の中ではやや異質な存在であることに由来する。このアプリのアイデアは、ミラー氏とギブソン氏がオハイオ大学(コロンバス)の学生だった2013年に生まれたという。

「大学生の誰もがSnapchatやInstagramなどのアプリを使っている時代でした」とミラー氏は話す。「私たちは、ビデオを撮るためにこれらのアプリを愛用していましたが、音楽を作るためのアプリはありませんでした。そこで私たちは、Startup Weekend(スタートアップウィークエンド)のコンペティションで、『Snapchatのような、ラップのためのスナップ 』というアイデアを提案しました。その際に誰かがRapchatと言ったのです」。

2015年、彼らはこのアプリを携えて500 Startups(ファイブハンドレットスタートアップ)に参加し、本格的にこのアイデアに取り組み始めたが、それでもビジネスを構築し、投資家の注目を集め、資金を調達するまでには何年もかかっている。その理由の1つは、音楽は扱いが難しいもので、ざっくりというならここ数年の流行は制作サービスではなく、ストリーミングだったからだ。

しかし、ミラー氏とギブソン氏は諦めなかった。「この市場が巨大であることを知っていたのは私にとってはとても意味のあることでした」とミラー氏は話す。「モバイルデバイスが登場し、Instagram、VSCO、Snapchatなどのアプリは人々をフォトグラファーや映像作家に変えました。Substackも人々を執筆者に変えています」。そして今、Rapchatがラッパーのための世界を開拓しようとしている。

AdjacentのリードインベスターであるNico Wittenborn(ニコ・ウィッテンボーン)氏は、声明の中で次のように述べる。「Rapchatはポケットの中の音楽スタジオです」「Rapchatで世界中の誰もが、どこにいても、スマートフォンから直接音楽を録音して公開できるようになります。ユーザーは創造性を最大限に活かすことができます。モバイルを活用したテクノロジーを誰にでも利用できるようにすることがAdjacentの目指すところであり、この次世代の音楽プラットフォームを構築するRapchatのチームをサポートできることを非常にうれしく思っています」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Rapchat音楽資金調達クリエイターアプリ

画像クレジット:Rapchat

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

電動歯ブラシや3Dプリント製マウスピースを安価で提供するシンガポールの審美歯科D2C「Zenyum」

審美歯科をもっと手頃な料金で提供したいと考えるZenyumが、シリーズBで4000万ドル(約43億8000万円)を調達した。これには、非上場の消費者ブランドに投資をしているL Cattertonからの2500万ドル(約27億4000万円)が含まれている。この投資ラウンドに参加したその他の投資家は、Zenyum自身がそのアクセラレーター事業Surgeに参加したSequoia Capital India、RTP Global、Partech、TNB Aura、Seeds CapitalそしてFEBE Venturesなどとなる。L Catteron Asiaの成長投資部門のトップであるAnjana Sasidharan(アンジャナ・サシダラン)氏がZenyumの取締役会に加わる。

これでZenyumの調達総額は5600万ドル(約61億3000万円)になり、これには2019年の1360万ドル(約14億9000万円)のシリーズAが含まれる。発表声明でサシダラン氏は「Zenyumはビジネスモデルを差別化して、競争で優位に立つことができました。成長意欲の強い創業者たちの経営チームも、投資家にとって心強い」と述べている。L Catteronが投資している歯科関連の企業には、他にIdeal Image、ClearChoice、dentalcorp、OdontoCompany、Espaçolaser、そして98point6などがある。

2018に創業された同社の製品には、電動歯ブラシ「ZenyumSonic」や3Dプリントで作った透明なアライナー(マウスピース)「Zenyum Clear」、もっと複雑な矯正が可能な「ZenyumClear Plus」などがある。

創業者でCEOのJulian Artopé(ジュリアン・アルトペ)氏によると、アライナーであるZenyum Clearはその他の矯正器よりも最大で70%安いという。患者の歯の状態や彼らの希望により、これまでは金属製や舌側矯正器、Invisalignのような透明なアライナーなどが使われてきた。Zenyum Clearは約1800ドル(約19万7000万円)、ZenyumClear Plusは2500〜3000ドル(約27万4000〜32万8000万円)弱というお値段だ。

同社の透明アライナーが実質的に低価格なのは、技術力のある歯科医や歯科技工士のパートナーのネットワークがあり、患者があちこちのクリニックを訪ねなくても済むからだ。

患者はまず自分の歯の写真をZenyumに送り、ZenyumClearやZenyumClear Plusが有効かチェックしてもらう。OKなら次は歯科医の面接検査となり、X線検査や3Dスキャンが行われる。その費用90〜130ドル(約9400〜1万2400円)はクリニックへいく。透明アライナーが完成すると、患者は再び歯科医へ行き、装着してもらう。その後歯科医は、Zenyumのアプリを使って患者の歯の状態の改善をモニターする。そのとき歯科医が患者にいうのは、もし問題があったらまた来てくださいということだけだ。

現在、ZenyumClearを利用できる区域はシンガポールとマレーシア、インドネシア、香港、マカオ、ベトナム、タイ、そして台湾だ。

Sequoia IndiaのトップPieter Kemps(ピーター・ケンプス)氏は次のように述べている。「Zenyumの主力市場である東南アジアと香港、台湾には3億の顧客がいます。彼らが美容に費やす可処分所得は日に日に増えています。透明アライナーへの支出も、今よりずっと増えるだろうが、しかし複雑な製品が消費者に選ばれるためには強力な業務実行体制が必要です。その点で優れているのがZenyumです。実行体制は優れており、新製品も強力、NPSもこのクラス最高です。成長力はあるし、経済も好調、シリーズBがそれを証明しています。この先には、もっと大きな商機があることも確実です」。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Zenyumシンガポール資金調達D2C

画像クレジット:Zenyum

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中東・アフリカ地域のアラビア語話者向け動画学習プラットフォーム「Almentor」が7.1億円調達

世界には4億人以上のアラビア語話者がいて、その数が減ることはない。アラビア語は、ほとんどの人にとって難しい言語であり、話者にとってさえもそうだ。Duolingo(デュオリンゴ)によると、アラビア語エジプト方言が堪能な人でも、アラビア語イエメン方言話者のいうことを完全には理解できないという。方言の違いが著しいためだ。

個人が複数の方言を操ることは難しくないが、完全カスタマイズされたアラビア語による日常生活に不可欠なコンテンツを見つけるのは容易ではない。

Dr Ihab Fikry (イハブ・フィクリー博士)とIbrahim Kamel(イブラハム・カメル)氏は、アラビア語話者向けオンライン学習コンテンツの不足を補うためのオンラインビデオ学習プラットフォームAlmentor.net(アルメンター・ドット・ネット)を2016年に設立した。数百人の指導者、教育者、専門家らの協力を得て、同プラットフォームは、健康、人文科学、テクノロジー、起業家精神、ビジネスマネージメント、ライフスタイル、ドラマ、スポーツ、コーポレート・コミュニケーション、デジタルメディアなどさまざまな分野のコースと講演を提供している。

Almentorは2016年に350万ドル(約3億8000万円)のシードラウンドを完了し、3年前にはエジプトのSawari VenturesのリードによるシリーズAで450万ドル(約4億9000万円)調達した。このドバイ拠点のEdTech企業は、今回のシリーズBで総調達額を1450万ドル(約15億9000万円)とした。サンフランシスコとパリに拠点を持つベンチャーキャピタル、Partechがラウンドをリードし、他にSawari Ventures、シリーズAでも出資したEgypt Ventures、およびSango capitalが参加した。

Almentorはアラブ圏学習者に、職業経験と個人生活を高めるために不可欠なスキルを提供する。同プラットフォームは、地域で最大の持続学習ライブラリーを持っていて、世界でも最大規模だと言っている。ドバイ、カイロ、およびサウジアラビアで提供している同社の動画コンテンツは、社内で開発されアラビア語と英語が使われている。

「Almentorを立ち上げた構想と理由は、1億人以上がいるこの地域で、90%の人々はアラビア語以外の言語を満足に学習できないことを、私が理解していたからです」とフィクリー氏がTechCrunchに語った。「だから私たちは、人々の思想を変え、彼らが客観的になって集中して学ぶことのできるテーマに焦点を当てられるような最先端技術を駆使したプラットフォームを作りたいと思いました」。

Almentorのような新規製品では、投資家と顧客の両方を集めるのが大変だ。CEOのフィクリー氏によると、最初の課題はMENA(中東・北アフリカ)諸国に対して、Almentorがビデオ学習の新しい産業を作ろうとしていて「地域のサービスを強化する数多くの可能性がある」と説得することだった。

Almentorのビジネスは、教育とメディアとテクノロジーの交点にある。提供するサービスは3つに分けられる。主力のB2Cプロダクト、優良企業向けのホワイトレーベルB2Bモデル、そしてフィクリー氏が政府向け「スペシャルプロジェクト」と呼ぶものだ。

B2CプロダクトとしてAlmentorは、20~30ドル(約2190〜3280円)でコースを販売し、ユーザーは永久に使い続けることができる。フィクリー氏は2021年6月に、同社の1万2000種類の動画コンテンツを、100万人以上の登録ユーザーが定額で無制限に利用できるサブスクリプション型モデルの導入を計画しているという。

B2Bモデルでは、Almentorが同社のライブラリーを企業に開放し、利用する企業は社員向けにコンテンツをカスタマイズできる。動画の内容は主として、職場で成功するために必要なチュートリアルまたは教育で、2016年以来Almentorは提携企業と78件の契約を結んだ。

そして、スペシャルプロジェクトは、Almentorが政府と仕事をするためのモデルだ。かつて同社はエジプト政府と提携して、国の映画産業のスキル向上を実施した。同社は5年前の創業以来同じようなスペシャルプロジェクトをあと11件実行している。

3つのモデルを通じて、Almentorは200万人以上に学習体験を届けることに成功した。今回の投資は、コンテンツの制作と品質を強化し、MENA諸国の人々に何故このプロダクトが必要かを知ってもらうために使うと同社は言っている。

「現在当社はアラブ地域の持続学習業界をリードしていますが、私たちにはAlmentorの野心以上のことを行う責任があります。現在の責務はアラブ地域全体として業界を向上することであり、そのための唯一の方法は、プラットフォームが提供するコンテンツの価値と専門技術と公平性に対するアラブ学習者の信頼を勝ち取り、世界の学習トレンドに沿って事業を進めていくことです」。

PartechのゼネラルパートナーであるCyril Collon(シリル・コロン)氏は投資について次のように語った。「初めて出会った時から、イーハブとイブラハム氏に大いに魅せられています。使命感の強いすばらしい起業家である2人は2016年以来大胆な構想を実行し、中東・アフリカをリードするアラビア語自己学習コンテンツプロバイダーを作りました。私たちはこの会社が4億3000万のアラビア語人口に役立ち、最先端のオンデマンド個人学習・啓発の利用を拡大するための次期成長フェーズを支援できることを楽しみにしています」

カテゴリー:EdTech
タグ:Almentorオンライン学習アラビア語資金調達ドバイ

画像クレジット:Almentor

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

データ量の多い科学の再現をサポートし科学者たちのコラボを容易にするCode Ocean

科学のあらゆる分野で、ビッグデータとその分析への依存度が高まっている。そのため、フォーマットやプラットフォームがますます混乱に陥っている。これは不便なだけでなく、査読プロセスや研究の再現に支障をきたす。Code Ocean(コード・オーシャン)は、あらゆるデータセットや手法に対応した柔軟で共有可能なフォーマットとプラットフォームを提供することで、科学者同士のコラボレーションを容易にしたいと考えており、その構築のために総額2100万ドル(約22億8100万円)を調達した。

科学界には確かに「選択肢がどんどん増えていってしまう」といった雰囲気がある(これに関するXKCD漫画もある)。しかしCode Oceanは、Jupyter(ジュピター)やGitLab(ギットラブ)、Docker(ドッカー)のような成功したツールの競合製品を作っているわけではない。Code Oceanが作っているのは、データや分析に必要なすべてのコンポーネントを、どのようなプラットフォーム上であっても簡単に共有できる形式にまとめることができる小規模なコンテナプラットフォームだ。

問題となっているのは、自分がやっていることを他の研究者と共有する必要があるときだ(相手がすぐ側にいても、国内の大学にいても同じ)。再現する時は、他の科学技術と同じように、データ解析をまったく同じ方法で行うことが重要だ。しかし、他の研究者が同じ構造、フォーマット、表記、ラベルなどを使うという保証はない。

仕事を共有するのが不可能なわけではない。しかし、同じ方法を用いているか、同じバージョンのツールを同じ順番で使っているか、同じ設定で使っているかなど、複製や反復を行う人が何度も確認しなければならないため、多くの余計なステップが必要になる。小さな不整合は、将来的に大きな影響を及ぼす可能性がある。

この問題は、多くのクラウドサービスが生み出される過程に似ていることがわかった。ソフトウェアの展開は科学実験のように難しいが、その解決策の1つがコンテナだ。コンテナとは、小さな仮想マシンのようなもので、コンピューティングタスクを実行するために必要なものすべてを、さまざまなセットアップに対応するポータブルなフォーマットで管理する。この方法は、研究の世界にも当然当てはまる。データ、使用したソフトウェア、ある結果を得るために使用した特定の技術やプロセスを、1つのパッケージにまとめておくことができるからだ。Code Oceanは、このプラットフォームと「Compute Capsules(コンピュート・カプセル)」を提案している。

画像クレジット:Code Ocean

あなたは微生物学者で、ある筋肉細胞に対する有望な化合物の効果を調べているとしよう。あなたはUbuntuパソコンのRStudioでRを使用しており、データはin vitro観察で収集したものだ。発表する際にこれらのことをすべて公開しても、すべての人がRStudioが動作するUbuntuのパソコンを持っているとは限らないので、たとえあなたがすべてのコードを提供したとしても、それが無駄になるかもしれない。

しかし、このようにCode Oceanに載せれば、関連するすべてのコードが利用可能となり、クリックするだけで修正されずに検査・実行できたり、ユーザーが特定の部分が気になる場合には、その部分を微調整したりすることができる。Code Oceanは、単一のリンクとウェブアプリ、クロスプラットフォームで動作し、ドキュメントや動画のようにウェブページに埋め込むこともできる。(以下ではその方法を試してみるが、私たちのバックエンドは少し好き嫌いが激しい。カプセル自体はこちらを参照。)

さらに、コンピュート・カプセルは、新しいデータや修正を加えて他の人が再利用することができる。もしかしたら、自分が公開している技術は、適切にフォーマットされたデータを与えれば機能する汎用のRNA配列解析ツールであり、もし他の人が特定のプラットフォームで利用しようとしたら最初からコーディングしなければならなかったものかもしれないのだ。

他の人のカプセルを複製し、自分自身のデータで実行すれば、その人のカプセルを検証するだけでなく、自分の結果の検証もできる。これは、Code Oceanのウェブサイトを介して行うこともできる他、zipファイルをダウンロードして自分のコンピュータで実行することもできる(互換性のあるセットアップが必要)。その他のカプセルの例はこちらを参照。

画像クレジット:Code Ocean

このような研究手法の相互交換は、科学の世界では古くから行われているが、データを多用する現代の実験では、技術的にはコードを入手できても、共有や検証が容易ではないため、サイロ化してしまうことが多い。つまり、他の研究者が研究を先に進めて自分だけの研究を作り、サイロシステムをさらに強化してしまうのだ。

現在、Code Oceanには約2000のパブリックコンピュート・カプセルが存在し、そのほとんどが発表された論文と関連している。ほとんどのものは、他の人が複製したり、新しいことを試したりするために使用されており、中にはかなり特殊なオープンソースのコードライブラリのように、何千人もの人が使用しているものもある。

もちろん、個人情報や医療上の機密データを扱う場合にはセキュリティ上の懸念があるが、企業向け製品であるCode Oceanでは、システム全体をプライベートクラウドのプラットフォーム上で稼働させることができる。これによりCode Oceanを内輪でのツールとして活用でき、大手の研究機関ではそのこと自体が非常に役に立つかもしれない。

Code Oceanは、コードベース、プラットフォーム、コンピューティングサービスなどをできるだけ包括的に提供することで、最先端のコラボレーション環境を実現したいと考えている。

その野望は他の人の共感を呼んでいる。同社はこれまでに2100万ドル(約22億9400万円)を調達しており、そのうち600万ドル(約6億5500万円)は以前は未公開の投資で、1500万ドル(約16億3900万円)は現地時間5月17日に発表されたAラウンドで調達した。Aラウンドは、Battery Ventures(バッテリーベンチャーズ)が主導し、Digitalis Ventures(ジギタリスベンチャーズ)、EBSCO、Vaal Partners(バール・パートナーズ)をはじめとする多数の企業が参加した。

この資金により、同社はプラットフォームの開発、拡張、普及を進めることができるだろう。運が良ければ、必要性があり、深く統合されていて収益性の高い、事情に精通したSaaS業界にすぐに仲間入りできるはずだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Code Ocean科学者資金調達コラボレーションビッグデータ

画像クレジット:Code Ocean

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)