ダイバーシティに特化したHarlem Capitalが約148億円調達

Harlem Capitalは2回目のファンドで目標の1億ドル(約110億円)と当初の上限となる1億2500万ドル(約140億円)をはるかに上回る、1億3400万ドル(約148億円)を調達したと発表した。

Harlem Capitalは2015年に、マネージングパートナーのHenri Pierre-Jacques(アンリ・ピエール-ジャック)氏とJarrid Tingle(ジャリッド・ティングル)氏によって設立された。多様なバックグラウンドを持つ創業者に投資することを目的としたエンジェルシンジケートとしてスタートし、2019年末に4000万ドル(約44億円)規模の最初のVCファンドを発表した。投資先にはeコマース企業のPangaea、CashDrop、Malomo、Repeat、ウェルネス・スタートアップのWellory、Expectful、Wagmo、Shineなどが含まれる。

Harlem Capitalは最初の4000万ドルのすべてをまだ投資していない。同社はFund Iからさらに5つの投資を行うことを目標にしていると伝えている。Harlem CapitalのFund Iに含まれるポートフォリオ企業の61%は黒人かラテン系の役員が率いており、43%は女性が独占的に率いている。同社はニューヨーク市のハーレム地区で設立されたが、全米のスタートアップに投資している。

一方、Fund IIではポストプロダクト企業へのシードステージ投資に焦点を移しており、75万ドル(約8300万円)から150万ドル(約1億7000万円)を投資し、10%以上の株式取得を目指している。同社は業界にとらわれず、消費者向けおよび企業向けの技術に焦点を当てるとしている。また、ファンドが出資する創業者たちがキャリーの1%を分け合う 「カルチャーキャリー」 というアイデアも導入し、基本的にはファンドの利益とお互いの成功に出資することになる。

多様性への焦点はFund IIに投資したリミテッドパートナー(LP)にまでおよび、LPの42%は女性または有色人種である。

「私たちは多様な創業者を何世代にもわたって支援するための制度と、プラットフォームを構築することに注力しています」と、マネージングパートナーのピエール-ジャック氏は声明で述べている。「Fund IIは我々のミッションに一歩近づきましたが、仕事と旅はまだ続いています。私たちはユニークな問題に取り組むさらに多くの多様な創業者に、より多くの資本とリソースを提供できることを楽しみにしています」と述べている。

またHarlem Capitalは先にBrandon Bryant(ブランドン・ブライアント)氏をパートナーに、Gabby Cazeau(ギャビー・カゾー)氏とKelly Goldstein(ケリー・ゴールドスタイン)氏をプリンシパルに昇格させたことも発表した。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Harlem Capital資金調達

画像クレジット:Harlem Capital

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Appleが独立系アーティストを支援する音楽配信プラットフォームUnitedMastersに出資

独立した音楽配信プラットフォームでツールファクトリーのUnitedMasters(ユナイテッドマスターズ)は、AppleがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約55億3600万円)を調達した。A16z(アンドリーセン・ホロイッツ)とAlphabet(アルファベット)もUnitedMastersのラウンドに再び参加した。UnitedMastersはまた、Appleと戦略的パートナーシップも結ぶ。

UnitedMastersについて説明すると、同社はInterscopeとSony Musicの元幹部Steve Stoute(スティーブ・スタウト)氏が2017年に立ち上げた配信会社だ。UnitedMastersは、ファンがコンテンツやコミュニティと関わっている方法に関するデータに直接つながるパイプラインをアーティストに提供することで、アーティストがチケット販売や宣伝、その他の販促活動を直接行えるようにしている。

こうした内容はいずれも音楽業界では一般的ではない。典型的なアーティストとの契約では、レコーディング会社がオーディエンスやターゲティングのすべてのデータ、そして所有権を持つ。これはコミュニティを育むために新しいテクノロジーを利用するなど、アーティストが機敏に動く能力を制限している。

Appleはさまざまな企業に投資しているが、通常は米国の製造を促進するため、あるいはシリコン鋳造ガラス製造など自社のハードウェア製品にとって重要な部品を作っているパートナー企業との戦略のために Advanced Manufacturing Fundを通じて行う。Appleは投資よりも買収を多く行っていて、自社の製品に関する取り組みを補うためにほぼ数週間おきに企業を買収している。そのためUnitedMastersへの出資は、特に音楽部門において比較的ユニークな提携となる。

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筆者はUnitedMastersのCEOであるスタウト氏に今回の資金調達について、そして現在と未来のアーティスト100万人のビジネスにとってそれが何を意味するのか話を聞いた。スタウト氏は、Appleの役員Eddy Cue(エディ・キュー)氏がUnitedMastersのビジョンと一致する哲学を持っていることが今回の取引につながったと考えている。

「我々は、すべてのアーティストに同じ機会を手にして欲しいと思っています」とスタウト氏は話す。「現在、独立しているアーティストが手にしている成功のための機会は少なく、そうした恥ずかしい点を取り除こうとしています」。

今回調達した資金は、UnitedMastersをグローバルな存在にするというミッションに燃える人材を雇用するのに使われる、とスタウト氏は説明する。UnitedMastersは世界中でプラットフォームを構築するためにローカルのテック人材とアーティスト人材を探している。

「どのアーティストもCTOにアクセスする必要があります。アーティストにとってのマネジャーの価値の一部は今日、CTOの役割に移行する必要があります」とスタウト氏は話す。

UnitedMastersは、アーティストがコミュニティレベルでファンベースを構築できるようにする先端技術を広範に提供したいと考えている。

画像クレジット:Steve Stoute

UnitedMastersは目下、通常はレーベルやマネジャーによって仲介される大きなブランドとの取引をアーティストが行えるようにする契約をNBA、ESPN、TikTok、Twitchなどと結んでいる。UnitedMastersはまた、すべての主要ストリーミングサービスに公開できるようにする直接配信アプリも展開している。さらに重要なことに、アーティストはストリームやファン、収益のデータをひと目でチェックできる。

「スティーブ・スタウト氏とUnitedMastersは、キャリアを積み、自身の音楽を世界に届けるための多くの機会をクリエイターに提供しています」とAppleのキュー氏はニュースリリースで述べた。「独立したアーティストの寄与は音楽産業のさらに発展させるという点で大きな役割を果たしています。Appleと同様、UnitedMastersはクリエイターに力を与えることに取り組んでいます」。

「UnitedMastersはアーティストがクリエイトし、作品の主有権を保持し、そしてファンとつながる方法を一新しました」とAndreessen Horowitzの共同創業者でゼネラルパートナーのBen Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はリリースで述べた。「より良い、そしてさらに大きな、そしてより収益性の高い世界を音楽アーティストのために構築すべく、スティーブやUnitedMastersのチームに協力できることをうれしく思います」。

アーティストとファンが互いにつながるという点で、我々は現在ターニングポイントにいる。アーティストがソーシャルメディアや他のプラットフォームを使ってメッセージを出したり、ファンに話しかけたりする方法は無数にあるが、作品をコミュニティに配信し、そこから利益を得るという実際の業務は、レコーディング産業が始まって以来、完全にアーティストの手を離れてしまっている。NFT、DAO、ソーシャルトークンなどの最近の開発は、DTCフレームワークの爆発的な増加と同様に、そうした取引に変化をもたらしつつある。しかし大手は、この「アーティスト中心」の新世界を手にするために必要な、真にアグレッシブな姿勢にまだ転じていない。

配信のメカニクスは何十年もの間、DRMとDMCAによって定義されたフレームワークに基づいてきた。このフレームワークは常にアーティストのために価値を守る方法と宣伝されてきたが、実際のところ、配信業者のために価値を守るように設計されていた。我々は配信の仕組み全体を再考する必要がある。

筆者がUnitedMastersとTikTok(ティクトック)の取引を報じたときに言及したように、それはアーティストのためのより公平な未来において役立つ

カルチャーのクリエイターがそのカルチャーの恩恵を受けることは時間以上の意味があります。だからこそこのUnitedMastersのディールはかなり興味深いと考えています。レコーディング業界のヴァルチャーイズム(ハゲタカのように獲物を狙って自分のものにする風潮)の付き添いなしにオーディエンスに直接つながるパイプラインの提供は、本当にTikTokのようなプラットフォームとよく調和します。TikTokは「バイラルサウンド」をコラボレイティブなパフォーマンスにしています。従来の取引の構造は、数週間で変動させられるヴァイラルな誇大宣伝をとらえるのに適していません。

音楽業界では、Spotify(スポティファイ)のようないくつかの大手とともにAppleは激動の中心にいる。筆者の意見では、Apple Musicに近年欠けている最大のもの1つは、アーティストがファンと広くつながることができ、直接配信し、チケットを販売し、宣伝することができる、そして最も重要なことに自身のコミュニティを育てて保持することができる業界基準ポータルにApple Music Connectを変えなかったことだった。

UnitedMastersとのタイアップはその目標に直接つながらないが、材料を何かしら得ることができるはずだ。タイアップがどんなものを生み出すのか、楽しみにしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleUnitedMasters音楽音楽ストリーミング資金調達Apple Music

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Nariko Mizoguchi

仮想通貨ウォレットとブロックチェーン技術のimTokenがシリーズBで約33億円調達

ブロックチェーン技術のスタートアップで暗号ウォレットを開発しているimTokenは、Qiming Venture Partners社が主導するシリーズBで3000万ドル(約33億円)の資金を調達したと発表した。投資に参加したのは既存投資家であるIDG Capitalと、新規投資家であるBreyer Capital、HashKey、Signum Capital、Longling Capital、SNZそしてFosun Internationalの共同設立者であるLiang Xinjun(リャン・シンジュン)氏が含まれている。

2016年に設立されたスタートアップであるimTokenの前回の資金調達は、2018年5月にIDGが主導した1000万ドル(約11億円)のシリーズAだった。同社によると、Ethereum(イーサリアム)やBitcoin(ビットコイン)などの仮想通貨用ウォレットは現在1200万人のユーザーが利用しており、500億ドル(約5兆5000億円)以上の資産がプラットフォームに保管され、総取引額は5000億ドル(約55兆円)を超えているという。

imTokenは中国の杭州で設立され、その後に現在の本社をシンガポールに移転した。ユーザーの約70%は中国本土で、続いて韓国、米国、東南アジアなどの市場で利用されている。

imTokenは今回の資金調達を利用して「imToken 3.0」の機能を構築する予定だ。imToken 3.0にはキーレスアカウント、アカウントリカバリーおよび分散型金融サービスが含まれる。また「imToken Labs」と呼ばれるブロックチェーン技術の研究部門を拡大し、より多くの国にオフィスを開設する予定だ。現在は中国本土、米国、シンガポールの拠点で78名のチームを擁しているが、2021年中には100名まで増員する予定だという。

プレスリリースの中でQiming Venture Partnersの創業者でマネージングパートナーのDuane Kuang(デュアン・クアン)氏は「今後10年から20年の間に、ブロックチェーンは世界規模で金融業界に革命を起こすでしょう。imTokenはこのトレンドに乗り、市場で強力な地位を築いていると考えています」と述べている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:imToken資金調達仮想通貨

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:塚本直樹 / Twitter

IoT衛星ネットワークのスタートアップHiberが欧州イノベーション会議基金などから約33.8億円調達

欧州の衛星通信関連スタートアップであるHiber B.V.(ハイバーBV)は、IoT衛星ネットワークの拡大に向けて、EUおよび民間から2600万ユーロ(約33億8000万円)の資金を獲得した。この投資に参加したEuropean Innovation Council (EIC) Fund(欧州イノベーション会議基金)は、欧州委員会のイノベーション助成機関による投資ファンドで、2億7800万ユーロ(約361億円)の「イノベーション基金」を持つ。このEICに加え、オランダ政府が提供するイノベーション・クレジットと既存の株主が共同で資金を提供した。他にもFinch Capital(フィンチ・キャピタル)、Netherlands Enterprise Agency(オランダ企業局)、Hartenlust Groupなどの投資家が出資している。Hiberの衛星コンステレーションは、手が届きにくい場所にある機械やデバイスを追跡・監視する。

同時に、Hiberの共同創業者であるLaurens Groenendijk(ローレンス・グローネンダイク)氏は「他の投資活動」に注力するため、マネージング・ディレクターを退任することになり、Steven Kroonsberg(スティーブン・クルーンスベルク)氏がCFOとして参加、Roel Jansen(ロエル・ヤンセン)氏がCCOに就任したと、同社は声明で述べている。グルーネンダイク氏は、Treatwell(トリートウェル)の共同設立者で最高経営責任者であるとともに、連続投資家でもある。

Hiberの共同設立者であり、最高戦略責任者のCoen Janssen(コエン・ヤンセン)氏は、次のように述べている。「2600万ユーロの資金調達は、Hiberの成功を証明するすばらしいものであり、欧州の『 ニュースペース』分野にとって大きな後押しとなります。それは、世界中の僻地や発展途上地域のすべての人々がモノのインターネットを本当に簡単に利用できるようにするという、我々の目的を実現するための重要なステップです」。

特に、Hiberのネットワークは人里離れた地域にも届くため、食糧生産の損失や油田からの漏出を減らせる可能性がある。

欧州イノベーション会議基金の委員を務めるNicklas Bergman(ニクラス・バーグマン)氏は、次のようにコメントしている。「衛星IoTの分野で欧州チャンピオンになることを目指しているこの非常に革新的な企業を、EICファンドが支援すると発表できることをうれしく思います。このエクイティ・ファイナンスは、HiberがIoTソリューションのための安価でユビキタスなコネクティビティを実現するのに役立つでしょう」。

欧州宇宙機関の管理・制御部門で責任者を務めるElia Montanari(エリア・モンタナリ)氏は次のようにコメントしている。「今回の大きな成功は、宇宙バリューチェーンを推進するEUの主要機関(EIC、EIB、ESA)の提携により、欧州レベルで支えられています」。

カテゴリー:IoT
タグ:Hiber資金調達衛星コンステレーションオランダEU

画像クレジット:Hiber

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

爆発的な勢いのNFTアートのマーケットプレイス「SuperRare」が約10億円調達

NFT(非代替性トークン)のエコシステムは爆発的な勢いを見せており、その勢いに乗るべく準備をしていたスタートアップ企業が多くの資金を得ている。

ここ数週間で数千万ドル(数十億円)も売り上げているNFTアートプラットフォームのSuperRareは、投資家から数百万ドル(数億円)を調達した。900万ドル(約10億円)のシリーズAラウンドは、Velvet Sea Venturesと1confirmationがリードした。このラウンドに参加した他の投資家はCollaborative Fund、Shrug Capital、Third Kind、SamsungNext、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Guy Oseary’s Sound Ventures、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Naval Ravikant(ネイバル・ラヴィカント)氏、Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏などだ。

資金調達の発表では、チームは暗号アートシーンを 「世界的な現象」 と呼んだ。

SuperRareは2018年にアートプラットフォームを立ち上げて以来、販売するアートをより綿密にキュレーションするクローズドなアーリーアクセスプラットフォームを維持することで、差別化を図ってきた。プラットフォーム上のすべての作品は、すべてがシングルエディションかつ一点のみの販売となる。来年には、チームは同サイトを大々的に立ち上げる予定だとしている。同社はこのプラットフォームでのアート販売に対して3%の取引手数料を得る他、さらに一次販売に対しては15%のギャラリー手数料を得ている。プラットフォームの特徴は、クリエイターが作品の価値を高めることで、2次販売時に10%の手数料を得ることができることだ。

NFTによるアート作品の販売はここ数週間で急増しているが、SuperRareが運営するEthereum(イーサリアム)のメインネットにはスケーラビリティの問題があるため、主流になるにはまだ多くの構造的問題がある。多くの企業がスピードを向上させ、エネルギー使用量と取引手数料を削減するレイヤーツーのインフラを構築している。米国時間3月30日、ConsenSysはPalmというプラットフォームをローンチし、アーティストのDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏をプラットフォームの最初のアーティストとして起用した。

ブロックチェーンのスタートアップは長い仮想通貨の冬を経て、スタートアップへの投資を急増させNFTへの熱意を高め、ビットコイン価格の高騰の中で復讐するように戻ってきている。また30日にはNBAトップショットのメーカーであるDapper Labsが、3億500万ドル(約340億円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SuperRareNFTアート

画像クレジット:SuperRare

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

包括的メンズヘルスケア「Manual」が米国と欧州の投資家から33.1億円のシリーズAを調達

男性向けヘルスウェルビーイングのスタートアップManualは、米国のSonoma BrandsとWaldencast、および同社の欧州における既存投資家であるFelix CapitalとCherry Venturesから、3000万ドル(約33億1000万円)のシリーズAを調達した。このラウンドには、FJ LabsとGISEV Family Officeも参加した。今回の資金は、同社の製品開発および国際的な事業拡大に使用される。Manualは、診断、治療、継続的なケアを提供しており、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカでの展開を計画している。同社はすでにブラジルに進出している。

Manualは、同じく英国に拠点を置くNuman(1300万ドル / 約14億3000万円を調達)と競合している(ManualはNumanより1カ月早く立ち上げられた)。また米国では、Ro(8億7610万ドル / 約967億円を調達)やHims(上場)と競合している。これらのブランドはいずれも、ビタミンやED(勃起不全)などの問題に焦点を当てている傾向があり、男性がさまざまな面でよりよいセルフケアをすべきであるという考えを「ノーマライズ(一般化)」し、性的健康に関するスティグマを取り除くという、よくあるリフレインを掲げている。Manualは血液検査などを行い、心臓の健康、腸の健康、テストステロン、睡眠、エネルギー、免疫力を分析する。男性は歴史的に医者を敬遠する傾向があるため、Manualは大きな市場を狙っている。

Manualのアプリ

創業者兼CEOのGeorge Pallis(ジョージ・パリス)氏は、これまでWise(ワイズ)やDeliverooでマーケティングを担当していた人物だ。声明の中で同氏は次のように述べた。「幅広い年齢層の男性が、複数の健康問題を解決するためにManualを利用するようになってきたことは、我々にとって大きな励みとなっています。1つの健康問題には1つ以上の原因があることは明らかであり、当社はお客様に、より包括的な方法で健康を管理する能力を提供することができます。さまざまな治療法を用いて、お客様の健康状態を理解し、改善することができるのです」。

インタビューの中で、パリス氏はこう付け加えた。「当社は独自の遠隔診療製品を構築し、血液検査の提供にはさまざまなアプリケーションを用意しています。血液検査の結果が出たときには、臨床医がすべてのデータとその意味を説明します。また、進捗状況を確認したり、医療チームと定期的に連絡を取ることができるツールも用意しています」。

Felix Capitalの共同設立者兼パートナーであるAntoine Nussenbaum(アントワン・ヌッセンバウム)氏は次のように述べている。「男性が自分の健康に気を配り、健康上の懸念について率直に話すことに対するタブーを取り除くには、まだまだやるべきことがたくさんあります。しかし、消費者の間では変化が起き始めています」。

Sonoma Brandsのマネージングディレクター、Kevin Murphy(ケビン・マーフィー)氏はこうコメントしている。「Manualは、男性が自分自身をより大切にし、より充実した人生を送れるようにするために存在しています。ジョージ(・パリス)と彼のチームは、明確なビジョンとスキルを持っており、Manualをこのエキサイティングで重要な分野のリーダーにすることができるでしょう」。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Manual資金調達

画像クレジット:Manual

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

地元スーパーと連携するヨーロッパの買い物代行サービスEverliがシリーズCで約110億円調達

イタリアでスタートし、現在はポーランド、チェコ、フランスでも展開しているヨーロッパのオンライン食料雑貨マーケットプレイス「Everli」が、シリーズCで1億ドル(約110億3000万円)の資金を調達した。

今回のラウンドはVerlinvestがリードし、新たな投資家としてLuxor、DN Capital、C4 Ventures、Convivialité Venturesが参加している。それに加え、FITEC(Fondo Italiano d’Investimentoの一部)、360 Capital、Innogest、DIPもフォローオンを行った。

Everli(旧Supermercato24)は、今回の資本注入により成長を加速させ、国際的な事業展開をさらに拡大するとしている。

2014年に設立されたEverliは、顧客が地元のスーパーマーケットに注文して配達してもらうサービスだ。ギグエコノミースタイルのパーソナルショッパーが店舗に出向き、注文された商品を「ピッキング」した後、即日、または追加料金を支払えば1時間以内に配達する。同社は消費者に配達料金を請求する一方で、提携する加盟店に請求する手数料や、特に広告によって収益を得ている。

同社はヨーロッパの大手グローサリーブランドの配送パートナーとなっており、事業を展開する70都市で30万点以上の商品を提供している。他のネットスーパーと同様、Everliはパンデミックや各国のロックダウンによって引き起こされたeコマースの増加と宅配サービスへの依存から利益を得た。

EverliのCEOであるFederico Sargenti(フェデリコ・サルゲンティ)氏は次のように述べている。「Everliは、特にグローサリー分野に注力しています。小さな買い物かごに入るような、基本的な必需品だけをピックアップするのではなく、Everliはお客様が必要とするものをなんでも、1週間分のお買い物に至るまで、当日配達もしくは1時間の配達時間を選択していただきお届けすることに重点を置いています」。

Everliのさらなる差別化は、小売店との強力な関係と、既存のインフラの活用にあるという。「高価な自社の中央倉庫を中心とした半径内に縛られるのではなく、より広い範囲で事業を展開し、小・中規模の人口密度の高い地域に進出することで、多くのお客様に同日中に食料品を受け取る最初の機会を提供でき、しかも持続可能なユニットエコノミクスを維持することができます」。

サルゲンティ氏は、ダークストアやテイクアウトの二次的サービスとしてグローサリーを提供するヨーロッパの他の多くの宅配業者よりも、EverliはInstacart(インスタカート)に似ていると述べている。「当社がヨーロッパのグローサリー分野をリードし、Lidl(リドル)、Kaufland(カウフラント)、Carrefour(カルフール)などのブランドを確保している理由はここにあります」と同氏は付け加えた。

2020年、Everliの売上は約4倍の1億3000万ドル(約143億4000万円)に達した。その成長はイタリア以外の地域でますます顕著になっており、現在では海外での展開が注文の20%以上を占めている。

「この困難な時期に多くの人々を支援する役割を果たせたことを誇りに思いますが、この業界が再び同じになることはないので、当社の仕事はまだ始まったばかりです」とサルゲンティ氏は声明で述べた。「オンラインデリバリーへの移行は後戻りできず、あらゆる面で期待は高まるばかりです。私たちは、都市部でなくても好きな小売店や商品に広くアクセスできるサービスで、消費者に比類のない価値を提供するモデルを構築しました。また、小売店にとっては、オンラインショッピングでの競合が可能になり、まったく新しい消費者層にリーチできるようになりました」。

VerlinvestのエグゼクティブディレクターであるSimone Sallustio(シモーネ・サルスティオ)氏は次のように述べている。「Everliは、その卓越した技術とデータ、そしてパートナーのグローサリー小売店での経験を組み合わせ、消費者には最高の体験を、小売店のパートナーには価値を、そしてブランドにはデジタル・アクティベーションを提供することで、欧州のeグローサリー市場のリーダーとしての地位を確立する完璧なポジションにあります」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Everli資金調達

画像クレジット:Everli

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(文:Steve O’Hear、翻訳:TechCrunch Japan)

eコマースサイトが在庫切れの商品を共有在庫から販売できるようになるStockly

フランスのスタートアップStocklyは、さまざまなeコマースサイトの在庫を同期させている。eコマースサイトで在庫切れの商品を見つけた場合、そのサイトを離れて別のサイトで同じ商品を見つけられる可能性がある。

ECサイトを運営している場合、Stocklyを使えば在庫切れの商品でも販売できる。同スタートアップのサービスは、その商品を持っているサードパーティーのStocklyサプライヤーを自動的に見つける。

注文はそのサプライヤーから直接送られる。Stocklyはパートナーに対し、消費者が混乱しないようにニュートラルなパッケージを使うように指示している。

これは、サードパーティーの小売業者による健全な市場を持たない小規模なeコマース企業にとって、特に有用なものとなる。例えばAmazon(アマゾン)は、サプライヤーがアマゾンのマーケットプレイスにその商品を出品していれば、すでに在庫切れの商品を販売することができる。しかし、ほとんどのECサイトではそうはいかない。

Stocklyの主な課題は、さまざまなカタログフォーマットを分類し、異なる小売業者の異なる在庫をマッチさせることだ。同社はまず、衣料品に力を入れている。Stockly経由で注文が入ると、ロジスティクス、納期、履歴データなどの異なる基準に基づいて特定のサプライヤーが選択される。

これまでStocklyはGaleries Lafayette、Go Sport、Foot Shopなどと協力してきた。同スタートアップは最近、Idinvest PartnersDaphniTechstars、Checkout.com CEO Guillaume Pousazおよびさまざまなビジネスエンジェルから510万ユーロ(約66億円)の資金を調達した。

今回の資金調達によりStocklyはチームを20人に拡大し、新しいクライアントを追加して製品を改良する計画だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Stocklyeコマースフランス資金調達

画像クレジット:Brandable Box / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

家庭教師マーケットプレイスGoStudentがシリーズBで約91億円調達、米の新規投資家Cootueがリード

ウィーンを拠点とするGoStudentは、バーチャルな学習プラットフォーム上で学生と家庭教師を結ぶサービスを提供しているが、新たに米国の投資家CootueがリードするシリーズBのラウンドで7000万ユーロ(約91億円)を調達した。Coatueはここ1年ほど、ヨーロッパのスタートアップシーンを攻略してきた。このラウンドには既存の投資家であるLeft Lane CapitalとDN Capitalが参加している。これにより、GoStudentの調達額は8330万ユーロ(約110億円)となった。

GoStudentはドイツのSchülerhilfeやフランスのAcadomiaのような、学習センターでの少人数制授業に焦点を当てたオフラインプレイヤーと競合している。また授業をオンラインで行うことで、GoStudentはコスト削減をユーザーにもたらすことができる。なお、家庭教師がクラシファイド広告のような従来型の市場で広告を出す場合にも競合する。またこのサービスはZhangmen、VIPKid、TAL Educationなどの中国のプレイヤーに似ている。

今回の投資は、トルコやギリシャなどの国際市場への成長と拡大に充てられる。GoStudentはヨーロッパ15カ国を目標とし、従業員数を800人以上、家庭教師を1万人以上に増やすことを目標としている。同社のプラットフォームでは毎月25万以上の個別指導セッションが予約されているという。

GoStudentの共同創設者兼CEOのFelix Ohswald(フェリックス・オズワルド)氏は声明で「シリーズBの投資により、私たちはヨーロッパで最高の資金を得た消費者向けK12教育スタートアップとなりました。私たちは世界中の教育に革命を起こそうとしている既存および新規の投資家から、このような高い信頼を得られることに興奮しています。また、2021年の成長目標は非常に大きなものです。7000万ユーロ(約91億円)の投資により、GoStudentを高品質な教育を広く普及させるヨーロッパのトッププレイヤーとして位置づけることができます」と述べた。

Left Lane CapitalのHarley Miller(ハーレー・ミラー)マネージングパートナーは「GoStudentがヨーロッパでエレガントに展開し、手頃な価格で高品質な教育を多くの人に提供するのを見るのは、投資家としてエキサイティングな経験でした」と述べている。

DN Capitalのマネージングパートナー兼CEOのNenad Marovac(ネナド・マロバック)氏は「GoStudentはテクノロジーを活用することで質の高い教育を民主化し、ヨーロッパにおけるオンライン学習指導におけるの圧倒的な勝者になれると信じています」と述べている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:GoStudent資金調達ウィーン

画像クレジット:GoStudent

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

AI搭載フィンテックソフトウェアのHighRadiusが約340億円調達、評価額を3倍の約3400億円に

AI(人工知能)を搭載したフィンテックソフトウェアを開発しているHighRadiusは米国時間3月30日、D1 CapitalとTiger Globalが主導するシリーズCの資金調達ラウンドで3億ドル(約340億円)を調達したと発表した。

このラウンドにより、ヒューストンに拠点を置くHighRadiusの評価額は31億ドル(約3400億円)となり、2020年1月の1億2500万ドル(約140億円)のシリーズBの時点での評価額となる「10億ドル(約1110億円)以上」の3倍となった。また今回の資金調達により、HighRadiusは4億7500万ドル(約520億円)の資金を調達した。

今回のラウンドには既存投資家のICONIQ GrowthとSusquehanna Growth Equityが参加し、Snowflakeの会長兼CEOであるFrank Slootman(フランク・スロートマン)氏、SnowflakeのCFOであるMichael Scarpelli(マイケル・スカルペリ)氏、Procore TechnologiesのCEOであるTooey Courtemanche(テーリー・コーテマンチ)氏、Airtableの共同創業者兼CEOであるHowie Liu(ハウィー・リー)氏など、注目を集めるCEOたちも参加した。

HighRadiusは今回調達した資金を 「製品イノベーションの促進とグローバルな市場開拓の拡大」 に活用するとしている。

2020年初頭の時点で、HighRadiusは400社以上の顧客を抱えており、その中にはWalmart(ウォルマート)、Nike(ナイキ)、Procter & GambleなどのForbes Global 2000企業のうち200社以上が含まれており、年間1兆ドル(約110兆円)以上の取引を処理していると主張している。

現在、HighRadiusのOrder-to-CashおよびTreasury Managementのプラットフォームは、Forbes Global 2000の200社以上を含む600社以上のクライアントの運転資金の最適化を支援している。

2006年に設立されたHighRadiusは、厳密には文字どおりの意味での「スタートアップ」ではないかもしれない。しかし、同社が外部資本を導入したのはここ数年に限られている。

HighRadiusは自らを「クレジット、現金申請、EIPP、回収、控除、支払いなどの統合された債権のためのSaaSプロバイダー」と表現している。つまり、AIや機械学習によるさまざまな機能でルーティングされた債権や支払いのプロセス(例えば、請求書の支払日の予測など)を自動化することを目的としたプラットフォームだ。そのホワイトラベル(再販可能)なソフトウェアは、パートナーの提供するサービスに統合されています。

Tiger Global ManagementのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルティウス)氏は、HighRadiusは 「CFOのOfficeともいえる次の大きなソフトウェア市場を定義する最初の段階にある」 と述べている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:HighRadius資金調達

画像クレジット:Cattallina Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:塚本直樹 / Twitter

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営するMFSは3月31日、第三者割当増資および社債発行により、総額6億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、あおぞら企業投資。

MFSは、2021年2月15日、ベンチャーキャピタルおよび事業会社の数社を引受先として、総額6.3億円の第三者割当増資および融資を実施している。これにより、今回のラウンドの資金調達額は総額12億8000万円、これまでの累計資金調達額は約23億6000万円となった。

今回調達した資金により、「住宅ローン審査に通る確率を上げるために個人の信用力をいかに向上させるか」に関連する提案機能や、人工知能の開発およびエンジニア採用を拡大する予定。

今後MFSでは、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの他の投資先企業との様々な連携などを通じ、日本社会における住宅ローンのさらなる最適化を目指すとともに、引き続きユーザー目線に立ったサービスを追求する。また、あおぞら銀行グループが培ってきた地銀とのネットワークを軸に、オンラインで住宅ローンが比較・申込ができる「モゲチェック」の地域金融機関への導入をさらに加速させ、住宅ローン業務のオンライン化を進めるとともに、日本における住宅ローンプラットフォームの定着を図る。

2015年8月提供開始のモゲチェックは、オンライン上でユーザー属性に応じた最適な住宅ローンを紹介する無料のオンライン住宅ローンサービス。12項目を入力するだけで、自分が住宅ローン審査に通る確率が高い金融機関がランキング化され、自分の条件に合う住宅ローンを簡単に選んで申し込んだり、住宅ローンのプロから提案を受けたりできる。過去5000件以上の審査結果データを分析して構築した独自のロジックで、住宅ローン選びを最適化しているという。2021年3月にサービス利用者が5万人を突破、また1年間では3万人以上増加した。

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

コロナ禍により、2020年2月からは家計の見直しを図るため住宅ローン借り換えの需要が高まり、12カ月連続で前年同月比の2倍以上の申し込みがあり、現在も前年を上回る水準で利用されているという。また、在宅勤務が普及したことによる住環境の見直しや、低金利がつづく住宅ローンが要因となり、2020年9月からは新規借り入れの申し込みが増加し、前年同月比2倍以上のお申し込みが現在まで続いているとした。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:MFS(企業)資金調達(用語)住宅(用語)不動産 / 不動産テック(用語)モゲチェック(製品・サービス)
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Capitolisがa16zが主導する約100億円のシリーズCでフィンテックSaaSプラットフォームを実現

投資銀行や商業銀行などの資本市場関係者向けの技術を提供しているCapitolisは、Andreessen Horowitz(a16z)が主導するシリーズCのラウンドで9000万ドル(約100億円)を調達した。

今回の資金調達は既存の投資家であるIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)、S Capital、Spark Capital、SVB Capital、Citi(シティ)、J.P.Morgan(J.P.モルガン)、State Streetが参加しており、Capitolisのこれまでの資金調達総額は1億7000万ドル(約190億円)になる。2019年11月にはSVB CapitalとSpark Capitalが共同で、シリーズBラウンドにて4000万ドル(約44億円)を調達した。

CapitolisのCEOでファウンダーのGil Mandelzis(ギル・マンデルジス)氏によると、2017年の創業以来の同社のミッションは、前回の金融危機ととその後に規制当局が取った「大胆な措置」を受けて、 「資本市場の運営方法を根本的に再考する」 ことだという。

Capitolisは高度なワークフロー技術と独自のアルゴリズムにより、銀行、ヘッジファンド、アセットマネージャーは他の金融機関と連携することで、トレーディングポジションを解消、移動、創出できるという。その結果として資本やクレジットラインが開放され、より多くの資金源から資本にアクセスできるようになると同社は主張している。

Capitolisのネットワークソフトウェアは最終的に、金融機関がバランスシートを最適化し、リスクを低減するのを支援するように設計されている。

Capitolisのウェブサイトによると、現在75の金融機関がCapitolisのプラットフォームを利用している。同社によると収益実行率は2020年に 「6倍」に 増加し、2019年以来でCapitolisのプラットフォームのユーザー数は230%増加した。同社によると、これまでのところ名目総残高で9兆ドル(約1000兆円)を最適化したという。

a16zのパートナーであるAlex Rampell(アレックス・ランペル)氏は、Capitolisが他の金融サービス企業と一線を画しているのは「経営陣の野望の規模の大きさと、彼らが達成した才能、技術、資本のマイルストーンです」だと同社は考えていると述べた。

ニューヨークを拠点とするCapitolisは新たな資本を製品開発、カスタマーサポートおよび営業スタッフの増強に充てる予定だと述べている。また現在は90名の従業員を、年末までに150名以上に増やす予定だ。

Capitolisは現在、外国為替商品と株式スワップを対象としている。ただ顧客の需要があれば、他の分野にも拡大できるとしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Capitolis資金調達Andreessen Horowitz

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:塚本直樹 / Twitter

企業の標準作業手順の自動化を支援するシンガポールのNimblyが5.1億円調達

店舗やレストランを中心とした多くの職場は、業務を円滑に進めるためにスプレッドシートを使った手作業に頼っている。シンガポールに拠点を置くNimbly(ニンブリー)は、そのプロセスをより自動化するためのソフトウェアを開発している。提供する機能には、デジタルチェックリスト、在庫管理、現場監査などがあり、モバイルアプリからアクセスすることができる。今回、同スタートアップは、Insignia Ventures Partnersが主導し、Sovereign’s CapitalとSaison Capitalが参加したプレシリーズAで、460万ドル(約5億1000万円)を調達したことを発表した。

2018年に、Daniel Hazman(ダニエル・ハズマン)氏とJonathan Keith(ジョナサン・キース)氏によって創業されたNimblyは、現在、インドネシア、シンガポール、マレーシア、米国など7カ国100以上の組織で使用されている。Nimblyのユーザーの大部分は、小売業や飲食業で、たとえばKFC(ケンタッキーフライドチキン)、Kopi Kenangan(コピ・ケナンガン)、7-Eleven(セブン-イレブン)、Under Armour(アンダーアーマー)などが含まれている。また、Cargill(カーギル)やWilmar(ウィルマー)のように、日用消費財や農業分野の顧客もいる。

今回の資金調達により、調達額は570万ドル(約6億3000万円)となる。新しい資金は、レストラン運営会社であるExpress Food Group(エクスプレス・フード・グループ)との新たな提携を含む、Nimblyの東南アジアでの事業拡大や、さらなる分析、覆面調査、従業員トレーニングなどの製品の追加のために投入される。

Nimblyは、スプレッドシート、電子メール、メッセージングアプリの機能を1つのアプリにまとめることで、それらを置き換えるようにデザインされている。ここには、チェックリスト、監査、ライブビデオなどが含まれ、確実にすべての拠点で標準作業手順が守られるようにする。例えばレストランでは、食品の安全性や衛生基準が守られているかどうかをNimblyで確認することができる。日用消費財(FMCG)企業であれば、店舗での在庫状況の把握や、競合他社との比較などの情報共有に使うことができ、農業分野であれば、生産者が農場でサステナブルな対策をとっているかどうかを確認することに使うことができる。

Insignia Venture Partnersの創業マネジメントパートーナーであるYinglan Tan(インラン・タン)氏は次のように語った「SaaS企業は、東南アジアでは新たな分野として注目されています。あらゆる規模や業種の企業がソフトウェアツールへの移行、さらにはアップグレードを考えています。なので、ダニエルとジョナサンたちやNimblyのチームとパートナーシップを組むことができて、非常にうれしく思っています。彼らはこの分野の企業プロセス支援ソフトウェアの開発で、アジアで先行していますし、やがて世界展開も視野に入れていますから」。

関連記事:台湾拠点のAIエンゲージメントプラットフォーム「iKala」が約18億円調達、東南アジアへ進出

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Nimblyシンガポール資金調達業務効率化

画像クレジット:Nimbly

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

EV充電ステーションの稼働を支援するChargerHelp!が約3億円を調達

今後、電気自動車が普及すれば、何千台もの充電ステーションが必要になる。それらは単に設置されるだけではなく、機能していることが求められる。しかし、現在のところそれは実現されていない。

何か問題が起きて機能が果たせなくなった時、充電ステーションがエラーを発信したり、ドライバーが報告しないと、ステーションの運営会社は気がつかない可能性もある。電気自動車用充電ステーションのオンデマンド修理アプリ「ChargerHelp!(チャージヘルプ!)」を共同設立したKameale C. Terry(カミール・C・テリー)氏は、こうした問題を目の当たりにしてきた。

ある顧客の充電ステーション運営会社は、その充電ステーションの利用率が低いのは、そこの地域に電気自動車が少ないからだと思い込んでいたと、テリー氏は最近のインタビューで振り返っている。しかし、問題はそこではなかった。

Evette Ellis(エベット・エリス)氏と共同で設立した会社でCEOを務めるテリー氏は「そこには誰も乗っていないクルマが停まっていて、ステーションの周りは泥だらけでした」と語る。

ChargerHelp!のサービスに対する需要は、顧客や投資家を惹きつけている。同社はTracks VC(トラックスVC)、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)、JFF、Energy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ)、The Fund(ザ・ファンド)などの投資家から、275万ドル(約3億300万円)を調達したと発表した。今回のラウンドで、2020年1月に設立されたこのスタートアップは、ポストマネー(資金調達後)で1100万ドル(約12億1300万円)と評価されている。

この資金は、同社のプラットフォームの構築や、現在の27人を超える新たな従業員の雇用、サービスエリアの拡大に使用される予定だという。ChargerHelp!は、充電器メーカーや充電ネットワークプロバイダーと直接連携している。

「今のところ、ステーションが故障しても、トラブルシューティングのガイダンスは実際ありません」と、テリー氏はいう。具体的な問題を把握するためには、誰かが現場に出向いてステーションの診断を行う必要があると、同氏は指摘する。現場に着いたら、技術者はデータを事業者と共有し、適切な補修部品を注文する、という手順を踏むのが一般的だが、現状ではこれがしばしば行われていないという。

ChargerHelp!は、オンデマンドの修理アプリであると同時に、顧客のための予防保守サービスとしても機能する。

パワーアップ

ChargerHelp!のアイデアは、テリー氏がEV Connect(イーブイ・コネクト)でカスタマーエクスペリエンスの責任者やプログラムのディレクターなどを務めた経験から生まれた。この期間に彼女は12社の充電器メーカーと仕事をしたことで、充電器の内部構造やよくある問題点などの知識を得ることができた。

関連記事:電気自動車充電インフラの世界標準化を目指すEV Connectに三井物産などが戦略的投資

ここで彼女は、EV充電器市場のあるギャップに気づく。

「充電ステーションが故障しても、なかなか現場に人を向かわせることができないのです。というのも、問題のほとんどは通信の問題、破壊行為、ファームウェアの更新、部品交換など、電気的なものではないからです」とテリー氏は語る。

だが、充電ステーションの問題を解決するには、電気工事業者を使うのが一般的だった。テリー氏によると、これらの電気的でない問題を修理するため、電気工事業者を現場に呼ぶまでに30日もかかることがあったという。

テリー氏は、彼女が働くロサンゼルスにある充電ステーションで問題が発生した場合、自分の手で解決することもあった。

ソフトウェアや修理に関する知識はなかったが「交換しなければならない部品があれば、自分で交換していました」と、テリー氏はいう。そして次のように続けた。「私にできることなら、誰にでもできると思ったのです」。

2020年1月、テリー氏は会社を辞め、ChargerHelp!を起ち上げた。初めて起業家となった同氏は、Los Angeles Cleantech Incubator(LACI、ロサンゼルス・クリーンテック・インキュベーター)に参加し、EV充電器の修理方法を教えるカリキュラムを開発した。そこでLACIのキャリアコーチであり、ロングビーチのジョブコープセンターにも勤務していたエリス氏と出会う。エリス氏は現在、ChargerHelp!のチーフ・ワークフォース・オフィサーを務めている。

その後、テリー氏とエリス氏はElemental Excelerator(エレメンタル・エクセレレーター)のスタートアップインキュベーターに受け入れられ、約40万ドル(約4400万円)の助成金を調達。Tellus Power(テラス・パワー)と予防保守に重点を置いたパイロットプログラムを開始し、EV Connect、ABB、SparkCharge(シャークチャージ)などのEV充電ネットワークやメーカーと契約を結んだ。テリー氏によると、現在は7人の従業員からなるコアチームを雇用し、最初の技術者を育成しているという。

採用方針

画像クレジット:ChargerHelp

ChargerHelp!では、従業員を見つけるために人材育成のアプローチをとっている。同社では、コホート(グループ)単位での採用しか行っていない。

テリー氏によると、電気自動車サービス技術者の最初の募集では、1600人以上の応募があったという。そのうち20人がトレーニングを受け、18人が最終的にカリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ニューヨーク、テキサスなど6つの州でサービス契約を結ぶために採用された。トレーニングを受けた人には奨学金が支払われ、2つの安全ライセンスを取得できる。

このスタートアップ企業は、4月に第2回目の募集を開始する予定だ。すべての従業員はフルタイムで、時給30ドル(約3300円)が保証されており、会社の株式も与えられる。ChargerHelp!は、同社が技術者を必要とする地域の労働力開発センターと直接連携している。

関連記事:次世代のEV充電ネットワーク構築を目指すSparkCharge

カテゴリー:モビリティ
タグ:ChargerHelp!電気自動車充電ステーション資金調達

画像クレジット:ChargerHelp

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウェブメディアの収益化をサポートするAutoStream運営のFLUXが10億円を調達

マーケティング効率化SaaSを展開するFLUXは、2021年3月31日、シリーズAで総額10億円の資金調達を実施したことを発表した。主な引受先は既存投資家のDNX VenturesとArchetype Venturesらだ。

FLUXの主力プロダクトは、2019年1月にリリースしたウェブやアプリでメディアを運用するために必要な各種ツールをワンストップで提供する「AutoStream」。主要な機能に広告入札ソリューション、アナリティクス、サイトの視認性向上、ブランドセーフティー管理などがある。

メディアの運営元がAutoStreamを導入するメリットは、サイトの収益化周りの作業が自動化されることとFLUXの代表取締役CEOを務める永井元治氏は話す。

「今まで担当者が手でやっていたことが自動化されます。例えば、これまで担当者は広告表示のために複数の広告事業者と自社メディアとをつないだり、分析のために広告データをエクセルにダウンロードして集計したり、ブランドを守るためにどんな広告がサイトに出るのか1ずつチェックしたりしていました。AutoStreamではこれが全部まとめてできるので担当者の工数が減り、運用が楽になります」。

永井氏は同社のCPOを務める平田慎乃輔氏とFLUXを創業している。平田氏はカカクコムでマネタイズを担当していた経歴を持つ。彼らがFLUXを創業したきっかけは、メディア運営に関わる中でメディアの収益化の面で課題を感じたからと永井氏は話す。

「もともと平田がメディアにいたり、私も複数のメディアの手伝いをしたりする中で、収益化のツールは複雑なものが多いと感じていました。そこを簡単に、パッケージ化して提供できないかと考えたのが始まりです。平田がいたカカクコムのような大きなメディアであれば、専任の担当者を置いて対応できます。ですが、中小規模のメディアになると、人もないし、知見もありません。FLUXはそうした問題を解決するところからスタートしました」。

今では読売新聞やフジテレビといった報道機関をはじめ、400件以上の契約を受注しているそうだ。大手のメディアの場合はすでに類似ソリューションを使っているケースも多いものの、AutoStreamではこれまで社内でやってきた作業がまとめてでき、担当者の負担が減ることなどが評価され、継続利用につながっているという。

今後の展開として、FLUXはAutoStreamの開発を進めるのと並行して、新規事業として立ち上げたメディアや中小企業向けのウェブサイト作成サービス「siteflow」を本格展開する。siteflowの特徴はカスタマイズでき、デザイン性も優れたサイトがノーコードで作れること。今のところsiteflowは「siteflow for Publisher」β版として、メディア向けに提供しているのみだが、4月以降、一般企業向けにもサービスを拡大する予定だ。

FLUXは2018年5月に設立し、2019年11月に2億円を調達している。今回の調達した資金はプロダクトの開発とマーケティング、人材採用に充てるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FLUXAutoStreamメディア資金調達日本

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

クラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)を手がけるREADYFORは3月29日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円の資金調達を発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、セールスフォースベンチャーズ、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、南都キャピタルパートナーズ、ベンチャーラボインベストメント、あおぞら企業投資。

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

2011年3月29日、6名の実行者たちとともにクラウドファンディングサービス「READYFOR」はスタート。10周年を迎える2021年、同社は、これまでクラウドファンディングサービス・基金運営で培ったノウハウとテクノロジーを活用し「寄付市場のデジタル化」(補助金・助成金等を含む)を推進。今後進んでいく官民連携を牽引することで「社会を持続可能にする新たな資金流通の仕組み」を実現する。実施予定の取り組みとしては、以下を挙げている。

実行者向け:継続的に活動を続けるための資金獲得の基盤へ

  • クラウドファンディングでの資金調達をよりスムーズで負担なく実施できる機能の開発
  • 継続的に資金を集められる機能の開発
  • 様々な機関から多様なお金を受け取れる機会を提供

支援者向け:想いを適切に届ける支援体験の強化

  • 企業:企業の理念・SDGs方針に合う活動や、従業員・顧客が望む未来を作る活動とのマッチングの強化
  • 自治体、財団:資金を必要としている活動と適切にマッチングを行う

2014年7月設立のREADYFORは、国内初のクラウドファンディングサービスとして、既存の金融サービス・資本主義ではお金が流れにくい分野、主にNPOや医療機関、研究分野、地域活性化などに資金調達の手段を展開。約2万件のプロジェクトに対して約200億円のお金が流れるようにしてきた(2021年3月29日時点)。

特に直近では、「より多くの想いとお金をマッチング」すべく、30社を超える企業と連携、オンライン従業員寄付やポイント寄付で5億円以上の支援金を受け付け、社会全体で実行者を支える支援のネットワークを構築している。

新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には、東京コミュニティー財団と連携し「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」(コロナ基金)を運営。これまで得てきたファンドレイジング・審査・資金分配の知見を活かし、「資金が必要な現場」に対して最短14日とスピーディにお金を届けてきたという。

その結果、国内クラウドファンディング史上最高額となる約8億7000万円の寄付金を集め(同社調べ・国内で運営している購入型・寄付型クラウドファンディングサービスの実績より)、165件の医療機関・エッセンシャルワーカーの活動に助成を行った。

NPOや医療機関・研究分野に資金調達手段を展開するクラウドファンディング「READYFOR」が10億円調達

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サービス開始から7年、READYFORが初の外部調達で目指すのは“資金流通メカニズムのアップデート”

カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウドファンディング(用語)資金調達(用語)READYFOR日本(国・地域)

いくつもの植物性食品ブランドを抱えるLIVEKINDLYが約369億円調達

植物性食品のブランドを複数抱える、テレビコマーシャルが賑やかなLIVEKINDLY Collectiveがこのほど、1030億ドル(約11兆3545億円)のファンドを抱える投資企業TPGキャピタルのグローバルインパクト投資部門から、最新の投資ラウンドで3億3500万ドル(約369億円)を調達した。

この資金調達は、投資家たちが今でも植物性食品のブランドに相当期待していることの証であり、食品企業への投資といえば、メディア上ではBeyond MeatやImpossibleなどの新人、それにQuornやKelloggsのMorningstarといった古顔の再起が目立つが、多様なブランドへの投資家たちの旺盛な食欲は衰えていない。

LIVEKINDLYは、Unilever North Americaの元社長Kees Kruythoff(キース・クルイトフ)氏や、Blue Horizonの創業者Roger Lienhard(ロジャー・リエンハルト)氏、LIVEKINDLY MediaのCEOで創業者のJodi Monelleジョディ・モネル氏といった食品業界の大物たちが創業した。またチームには、Unileverの元社員であるMick Van Ettinger(ミック・ヴァン・エッティンガー)氏や元Nestléの社員Aldo Uva(アルド・ウバ)氏ら、食品産業のベテランたちが揃っている。

LIVEKINDLY Collectiveはさまざまなベジタリアンや代替たんぱく質食品のブランドを投資の傘下に集めた企業であり、今や最大の植物性食品の企業の1つとなっている。

同社によると、今回の資金は米国内と中国における市場拡大と、植物性食品企業の今後のさらなる買収やパートナーシップ、そして投資に充てられるという。

同社は以前、S2G Venturesとオランダの大きな金融サービス企業Rabobankの投資部門であるRabo Corporate Investmentsから資金を調達している。

LIVEKINDLYの創業を支えた投資家たちは基本的に、テクノロジーはその成熟までの道のりが長いと考えている。そして同社の最新のラウンドは、LIVEKINDLYの上場前の最後の非公開投資だとも考えている。

Blue Horizonの創業者で会長、そしてLIVEKINDLY Collectiveの創業者でもあるロジャー・リエンハルト氏は次にように語っている。「私たちは植物性代替食品のグローバルな専業企業を作りつつある。それが食品の未来だと信じているからだ。わずか1年で大きな資本を調達できたが、それは弊社のミッションの緊急性と、それが表している大きな投資機会を証明している。植物をベースとするライフスタイルの勢いは、非公開と公開、両方のマーケットで成長を続けるだろう」。

今回の投資の一環として、The Rise Fundの共同マネージングパートナーのSteve Ellis(スティーブ・エリス)氏がLIVEKINDLY Collectiveの取締役会に、2021年3月1日付で加わる。

「LIVEKINDLY Collectiveとその革新的な企業群のエコシステム、そして健康で植物性でクリーンラベル 食品に対するグローバルな需要に応える世界クラスのリーダーたちと一緒に仕事ができることにワクワクしている。同社のユニークなミッションにプッシュされたモデルは、種子から食卓までのバリューチェーンの全体に浸透し、植物性代替食品の世界的な採用を推進し、より健康な惑星作りに貢献している」とエリス氏は語る。

カテゴリー:フードテック
タグ:LIVEKINDLY Collective資金調達植物由来肉

画像クレジット:LIVEKINDLY Collective under a LIVEKINDLY Collective license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

約1億円を調達したテクニカルセールス向け生産性プラットフォームのHubが公開

テクニカルプレセールス向け生産性プラットフォームのHubがシードラウンドで100万ドル(約1億900万円)を調達し、正式に公開された。

CEOのFreddy Mangum(フレディ・マンガム)氏とCTOのKarl Gainey(カール・ゲイニー)氏は2020年にHubを創業した。2人ともテクニカルセールスの経験があり、スプレッドシートで仕事を管理する難しさを知っていた。

2人は大企業、そして中小企業のセールスエンジニアを調査し、その多くが「データと格闘して上司に報告したり、1人ひとりがデータをCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)システムに入力せざるをえなかったり」といったことに長い時間を費やしていると気づいた。

マンガム氏は「このような日常のタスクに時間をとられて、実際にセールスをする時間がなくなってしまいます。我々は、専門職のテクニカルセールスは企業を動かすシーンの裏側に隠れたヒーローであるとも結論づけました」と述べる。

そこで2人はプレセールス、ソリューションアーキテクト、セールスエンジニアが日々のテクニカルセールスの活動を管理しやすくする手段を構築することにした。

そこにコロナ禍が発生し、デジタルセールスは以前よりもずっと現実的になった。

「コロナ禍によって具体的な商用ツールの必要性がまさに明らかになりました」とマンガム氏はいう。

サンフランシスコを拠点とするHubはこうして生まれた。同社はサービスについて「広く使われているCRMシステムや生産性アプリケーションとセキュアに相互接続し補完する」SaaSアプリケーションと説明する。

Hubは個人が使う生産性プラットフォームとしてスタッフがセールスのプロセスを管理できるように設計されている。1つ1つのステップを可視化して、これまで以上に綿密に分析し正確に予測することを目指す。すると組織は「投資すべき分野を特定し、リアルタイムにアクションを修正」できるとマンガム氏は説明する。

さらに同氏は「我々のツールでスタッフは日常のタスクを自動化して価値の高いタスクに集中し、ビジネスをもっと成功させることができます」と補足した。

画像クレジット:Hub提供

マンガム氏によれば、テクニカルセールスを対象とする市場にはまだサービスが行き届いていないため巨大なチャンスがあるという。

Hubの投資家には、アトランタを拠点とするTechOperatorsのゼネラルパートナーであるTom Noonan(トム・ヌーナン)氏や、SalesLoftのCEOで共同創業者のKyle Porter(カイル・ポーター)氏がいる。ヌーナン氏は2007年にIBMに13億ドル(約1420億円)で買収されたInternet Security Systemsの会長兼CEOだった。

ヌーナン氏は、コロナ禍によって企業の営業がリモートで仕事をしつつ成果を上げ続けることの難しさが明らかになったと見ている。

同氏はTechCrunchに対し「最大の問題はセールスが顧客と接することができなくなった点ではありませんでした、セールスサイクルの技術的な部分をリモートでどう実行するかということが問題だったのです。コンセプトのデモや統合、調整など、いずれもはっきりと伝える必要があり、しかも顧客のニーズに合うものでなくてはなりません。現在の我々にはこのようなセールスのモデルが必要だと考えるようになりました」と述べた。

ヌーナン氏は、今後セールスチームは移動や現場での業務になぜあれほど多くの時間を費やしていたのか疑問に思うようになるだろうという。

「リモートでのやりとりに慣れた顧客が増え、しかも顧客の多くは現在仕事場で働いていません。そしてソリューションアーキテクトには大きな課題が残されています。ソリューションアーキテクトは、興味を持った買い手と、購入するシステムは技術や統合、機能の面でニーズを満たすと判断する組織との橋渡しをする役割を担っているからです」と同氏は説明した。

Hubはこの問題の解決に役立つとヌーナン氏は考えている。

マンガム氏がボリビア系移民、ゲイニー氏が黒人と、創業者の2人に多様性があり、Hubはその多様性をチームに反映させることを目指している。例えば同社の開発者はアルゼンチンを拠点としている。

マンガム氏は「私は米国に来てESL(English as a Second Language、第2言語としての英語)で学びましたが、言語の壁があるという理由だけで人々の機会が失われることはないようにするのが大切です」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Hub資金調達

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Kaori Koyama)

企業支出管理市場がいくつかのユニコーンを生み出す中、Rampもさらなる資金調達を目指す

2021年初めにユタ州に拠点を置く企業支出管理ソフトウェアを提供するDivvyは、16億ドル(約1800億円)の評価額で1億6500万ドル(約180億円)のラウンドを実施した。金融サービスソフトウェアと企業向け決済ソリューションの市場は2020年に始まったブームが2021年も続いたため、Divvyは競合のBrexに続いてユニコーンの地位を獲得した。

そして今回、DivvyとBrexの両方の競合企業であるRampは、StripeとD1 Capital Partnersから10億ドル(約1100億円)を超える可能性のある評価額で新たな資本を調達しようとしている。このニュースを最初に報じたのはThe Informationで、TechCrunchは取引に詳しい関係者に確認した。

Rampは、企業のキャッシュアウトフローの許可、管理、追跡するソフトウェアを提供するAirbaseTeampayなどのスタートアップとも競合している。この分野はスタートアップや他の中小企業にカンパニーカードを提供するというコンセプトでよく知られているが、その後に社内の経費管理のためのセントラルノードを提供する金融ソフトウェア市場に成熟した。

スタートアップへの投資は積極的なペースで行われている。Brexはパンデミック後に1億5000万ドル(約160億円)を調達し、Rampは2020年複数回の資金調達の後に2021年に入って負債枠を追加して財務基盤を強化した。Airbaseも2020年に資金調達を行い、2020年の終わりに向けて成長の指標を公表した。Teampayは2020年、2019年のシリーズAで500万ドル(約5億5000万円)を追加した。

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さらに企業の財務管理ソフトウェアを開発するフィンテック系スタートアップのモデルが他の市場へと普及する可能性を示す中、この分野でラテンアメリカを中心に活動するスタートアップのClaraは2021年3月初めに350万ドル(約3億8000万円)を調達した。

関連記事:活気づく企業支出管理サービス分野でDivvyが170億円を調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Ramp資金調達

画像クレジット:Damien Meyer / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アートのある暮らしをもっと身近に、NYでアートレンタルサブスク展開の「Curina」が総額8000万円を調達

2021年3月30日、ニューヨークでアートのレンタルサブスクリプションサービスを運営するCurinaは総額8000万円を調達したことを発表した。今回の調達には個人投資家が多く参加していて中には起業家でエンジェル投資家の有安伸宏氏、CAMPFIRE代表取締役社長の家入一真氏、マネーフォワード代表取締役社長の辻庸介氏、クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏らの名前もある。

Curinaの創業者で代表を務める朝谷実生氏

Curinaは好きなアート作品を3カ月から月額料金でレンタルできるサブスクリプションサービスだ。提供地域はニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州の3州で、月額のレンタル価格は作品の大きさや質に応じて38ドル(約4108円)、88ドル(約9670円)、148ドル(約1万6260円)の3つのプランを用意している。作品は気に入ったら、レンタル期間終了後、購入価格からこれまで支払ったレンタル価格分を差し引いた金額で作品を買い取ることもできる。

Curinaを立ち上げたのは日本人起業家の朝谷実生氏。彼女は大学を卒業後、経営コンサルティング会社に4年ほど勤め、その後、コロンビア大学でMBAを取得するために米国に留学した。Curinaはコロンビア大学在学中の2017年に立ち上げた会社だ。

アートを買うのはハードルが高い

幼少期をヨーロッパで過ごし、週末は美術館やギャラリーに行ったり、ヨーロッパ中の美術館を巡ったりしてアートに触れる機会が多く、もともとアートが好きだったと朝谷氏は創業までの経緯を話す。だが、実際に自分でアートを購入しようとなると購入までのハードルが高く、そこを解消したいと思ったのがCuinaを創業したきっかけになったそうだ。

「アート作品が欲しいなと思ったときに、正直どこから始めていいのかわかりませんでした。ギャラリーはすごく入りづらいし、高額だし、ちょっと怖いイメージがあります。アート作品を扱うECサイトもたくさんありますが、基本的に返却できなかったり、郵送料が高かったりとハードルがある。これでは初めてアートを買うのを躊躇しても仕方がないだろうなと思ったので、自分の体験をもとに、私のようなアート初心者でも気軽に、手軽に、簡単に買えるシステムを作ろうと思いました」。

作品の一例

現在、Curinaはニューヨークで活躍するアーティストの絵画作品を中心に約1500点を取り揃えている。作品の価格は日本円で10万円から500万円ほど。郵送料や返送料はかからないし、作品を毀損した場合の保険料も月額料金に含まれている。レンタル可能な作品はいずれも届いたらすぐに設置できるよう額装が施してあるか、あるいはキャンバスの場合は作品の背面に設置用のワイヤーが取り付けてあるそうだ。今は新型コロナウイルスの影響で希望した人にのみ提供しているが、無料で作品の設置サービスも行っている。取扱作品は絵画が多いが、彫刻作品も扱い始めていて、今後、さまざまな作品を増やしていく予定だという。

数十万円する作品を月額38ドル(約4200円)から借りられるのであれば少しの期間試してみようという気になるし、購入する場合も自分の目で見てから決められるので安心感があるだろう。Curinaのこうした仕組みは、特に若い世代のユーザーに評価されているという。ユーザーの約9割が20代、30代で、さらにユーザーの半数はCurinaを通じて初めてアート作品をレンタル、購入した人という。

「服や食べ物さえオンラインで買っているのに、なぜアートはオンラインで買えないのかというのが若い世代の考え方です。Curinaはそこに対してオンラインで売ります。また、アートは高価で、エモーショナルなプロダクトなので、共感できないと買えません。買う前に見るとか、家に飾ってみてから買いたいということになります。Curinaではオンラインで買えるけれど、レンタルなので家でも確認できます。若い世代の人たちの購買行動にあったサービスです」。

Curinaを通じて作品をレンタルしたユーザーのご自宅の様子

日本ではアート作品を買うことに馴染みがない人が多いかもしれない。世界有数のアートフェア「Art Basel(アート・バーゼル)」とスイスの金融グループ「UBS」が2019年3月に発表したレポート「The Art Market 2019」によると、アートの世界市場のおける国別の割合は上から米国44%、英国21%、中国19%で、日本は「その他7%」に分類されている。朝谷氏は最初から日本ではなく米国で起業した理由についてもこの市場規模の差を上げ「米国にはアートを買う文化が日本よりも根付いている」ためと話していた。

日本にアートを買う文化が浸透していない理由の1つは、賃貸住宅における原状回復義務が関係しているのかもしれない。日本の賃貸住宅の場合、釘やネジを使ってアート作品を壁に取り付けた場合、賃貸契約の原状回復義務により、退却時に壁に空いた穴の修復を自己負担しなければならないこと多い。だが、朝谷氏によると米国ではこうした修復の多くは管理会社が担うので、入居者は賃貸でも壁に穴を開けるのに抵抗があまりないのだという。

とはいえ、ゆくゆくは日本展開も進めたいと朝谷氏は話す。主にオフィス向けにはなるが、Curinaはすでにアートアンドリーズンが提供する、AIによるアート作品の選出サービス「AutScouter」にギャラリーとして登録している。現在、AutScouterを通じてならCurinaの作品を日本国内でレンタル、購入可能ということだ。

今回調達した資金は、米国全土でサービスを提供するための物流やオペレーションの整備に加え、作品数の拡充、マーケティングに充てる予定だという。その後、日本や中国などでの世界展開も目指していく考えだ。

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