オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営するMFSは3月31日、第三者割当増資および社債発行により、総額6億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、あおぞら企業投資。

MFSは、2021年2月15日、ベンチャーキャピタルおよび事業会社の数社を引受先として、総額6.3億円の第三者割当増資および融資を実施している。これにより、今回のラウンドの資金調達額は総額12億8000万円、これまでの累計資金調達額は約23億6000万円となった。

今回調達した資金により、「住宅ローン審査に通る確率を上げるために個人の信用力をいかに向上させるか」に関連する提案機能や、人工知能の開発およびエンジニア採用を拡大する予定。

今後MFSでは、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの他の投資先企業との様々な連携などを通じ、日本社会における住宅ローンのさらなる最適化を目指すとともに、引き続きユーザー目線に立ったサービスを追求する。また、あおぞら銀行グループが培ってきた地銀とのネットワークを軸に、オンラインで住宅ローンが比較・申込ができる「モゲチェック」の地域金融機関への導入をさらに加速させ、住宅ローン業務のオンライン化を進めるとともに、日本における住宅ローンプラットフォームの定着を図る。

2015年8月提供開始のモゲチェックは、オンライン上でユーザー属性に応じた最適な住宅ローンを紹介する無料のオンライン住宅ローンサービス。12項目を入力するだけで、自分が住宅ローン審査に通る確率が高い金融機関がランキング化され、自分の条件に合う住宅ローンを簡単に選んで申し込んだり、住宅ローンのプロから提案を受けたりできる。過去5000件以上の審査結果データを分析して構築した独自のロジックで、住宅ローン選びを最適化しているという。2021年3月にサービス利用者が5万人を突破、また1年間では3万人以上増加した。

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」が6.5億円を追加調達、累計調達額は23.6億円

コロナ禍により、2020年2月からは家計の見直しを図るため住宅ローン借り換えの需要が高まり、12カ月連続で前年同月比の2倍以上の申し込みがあり、現在も前年を上回る水準で利用されているという。また、在宅勤務が普及したことによる住環境の見直しや、低金利がつづく住宅ローンが要因となり、2020年9月からは新規借り入れの申し込みが増加し、前年同月比2倍以上のお申し込みが現在まで続いているとした。

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カテゴリー:フィンテック
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「家を買う」という経験は、ほとんどの人にとって人生の一大イベントだ。それに付随する住宅ローンは、その後数十年の自分の人生に影響を与えかねない。この「重要な選択」をサポートするサービスが、今年さらに勢いを増しそうだ。

「住宅ローンマッチングサービス」を提供するMFSは、新生企業投資をはじめとする5社からの第三者割当増資と、三井住友銀行からの融資を合わせ、総額6億3000万円の資金調達を実施した。同社はこれまでにも、YJキャピタルなどから資金調達を実施しており、累計調達額は約17億円になったと発表した。

MFSが運営する「モゲチェック」は、ユーザーに最適な住宅ローンを案内するオンラインサービスだ。「最適な住宅ローン」とは、ただ表面金利が低いものではない。同社が「No.1金利」と称する、ローンに付帯する団体信用生命保険のメリットを加味した、実質金利が最も低いローンである。つまり、ユーザーにとって最も経済的にメリットがある住宅ローンをピックアップして、モゲチェックが提案してくれるというわけだ。

仲介サービスといえば「紹介手数料が高い商品が優先されるのでは」と思われがちだが、同社によるとローン推奨のベースとなるロジックは定量的にも明快で、恣意的な判断が入り込む余地はない。「中立性」が担保されているからこそ、ユーザーは安心してサービスを利用しているという。

注目すべきは、モゲチェックが「ユーザーが借りられる金融機関」を薦めてくれるという点だ。住宅ローン選びは、ただ条件が良いものに申し込めばいいという単純なものではない。自身の属性や条件を鑑み、「審査に通る」金融機関に申し込む必要がある。モゲチェックは、同社が過去に扱った約4000件の審査データと、12項目のユーザー情報をもとに、金融機関ごとの「融資承認確率」を推定。ユーザーにとって審査が通る可能性が高い金融機関を案内し、スムーズに借入ができるようにサポートを行うのだ。

同サービスは無料で利用できるため、心理的ハードルも低い。同社によると、住宅ローンの新規・借り換え申し込み数は毎月約1000名にのぼる。サービス開始から約6年で、これまで4万8000名を超えるユーザーが利用したという。

モゲチェックを運営するMFS設立のきっかけは、CEOの中山田明氏の「日本の住宅ローン選びに対する違和感」だった。米国では、不動産会社や銀行とは別に、住宅購入者に対してローンの紹介などをする「住宅ローンマッチング産業」が存在する。しかし、日本ではそのようなサービスがなく、住宅購入者は不慣れな金融知識の中、不動産会社の営業担当者の紹介に頼るか、自分で住宅ローンを見つけなくてはならないのが通常だ。

同氏は「現在、多くの人が自分にとってベストな住宅ローンが選べていない状況が起きています。 このような状況を打破し、住宅ローンを必要とするすべての人が、最も有利な証券で借り入れ・借り換えができる世界を実現するために、株式会社MFSを設立しました」と想いを語る。

設立当初、同社のビジネスモデルは顧客の住宅ローン借り換えにともなう成功報酬型だった。例えば、300万円分のローン削減に成功したら、その1割の30万円を手数料として貰い受ける。この時につちかったノウハウや審査データが、現在の大きな付加価値になっているものの、決して安くはない手数料ゆえ大規模な集客は難しかったという。

転機は2020年初頭だった。各銀行がネット経由での集客に力を入れるようになるなか、オンライン広告代理店を経由し間接的に広告料を得ることで、ユーザーへ無料でサービスを提供開始。モゲチェックは現在の強力なビジネスモデルへと変革を遂げた。

「今年はアクセルを踏む年になりそうだ」と中山田氏はいう。単純な住宅ローン金利の比較サイトは複数存在する一方で、モゲチェックのように、融資承認確率を試算して顧客に最適な住宅ローンを案内するサービスは、市場ではユニークな存在だ。今回調達した資金を元にマーケティングを推進し、潜在ユーザーへの認知度向上を目指す。明確な競合が存在しないなか、需要を一気に取り込める可能性もある。

また、人工知能に精通するエンジニアの採用にも力を入れる。サービスのキモとなる融資承認確率の試算ベースを人工知能へと置き換えることで、申し込みから住宅ローン提案までのプロセス自動化を目指すという。

「十人十色」といえども、住宅ローンを適当に選ぶ人はいないだろう。中立的な立場でユーザーに最適な選択肢を与えるモゲチェックは、日本の住宅ローン選びの常識を変える存在になるかもしれない。

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