Rivianの電動ピックアップトラックR1T搭載「キッチン」も生産体制整う

Rivian(リビアン)は2019年にアリゾナ州フラッグスタッフで開催されたOverland Expo Westに出展し、現在Camp Kitchen(キャンプキッチン)として知られるもののプロトタイプを披露した。2022 Rivian R1T電動ピックアップトラックが組み立てラインに乗って生産体制に入った現在、キッチンの最終バージョンも佳境を迎える準備が整っている。

Rivianは初披露して以来、キッチンに数多くの変更を加えてきた。ここには2つの脇役の追加が含まれる。その脇役とは、キッチンを取り付けるシャトルシステムとSnow Peakの食器セットだ。

下にある動画には生産準備が整ったCamp Kitchenの間近での様子が映っており、同社の料理プログラム担当シニアマネジャー(別名フード男)Josh Glaser(ジョッシュ・グレイザー)氏がRivianの工場でアクセサリーがどのように使われ、そしてテストされてきたかについて情報を提供している。

読者のために少しスペックを紹介しよう。Camp Kitchenはアップグレードを図る5000ドル(約56万円)のオプションだ。期間限定でトンネル型のシャトルとSnow Peakキッチンセットが含まれている。ゆくゆくは、キッチン設置を選択する購入者は1500ドル(約17万円)払ってキッチンをのせるRivian Gear Tunnel Shuttleを付けなければならなくなる。

このトンネル型のシャトルはキッチンを支え、給電する。キッチンを固定するプラットフォームは3つの選択肢がある。Rivianは将来、他のアクセサリーのためにもこのシャトルを使う計画だ。シャトルは120V ACと12V DCの電源プラグ2つを備え、トラック車体から引き出したとき重さ(約90キロ)まで支えることができる。

表面がRichlite(耐久性のある圧縮紙樹脂)のキッチンには、1440ワットの電磁調理バーナー2つ、加圧ポンプが付いている容量約4ガロン(15リットル)の水タンク、潰して取り外しができるシンク、Snow Peakのキッチンセット30点を収納できるコルクが敷かれた引き出しが備わっている。キッチンセットにはナイロン製スパチュラ、竹製スパチュラ、トング、お玉杓子、ナイフ2つ、コルク栓抜き、缶切り、ピーラー、チタン製カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)セット、食器、積み重ねできるマグカップ、まな板、大きな鍋2つ、コーヒーミル、ヤカン、コーヒー淹れ用スタンドが含まれる。

そして夜に雰囲気を出すのに使えるライトもついてくる。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Rivianの電動ピックアップトラックR1T搭載「キッチン」も生産体制整う

Rivian(リビアン)は2019年にアリゾナ州フラッグスタッフで開催されたOverland Expo Westに出展し、現在Camp Kitchen(キャンプキッチン)として知られるもののプロトタイプを披露した。2022 Rivian R1T電動ピックアップトラックが組み立てラインに乗って生産体制に入った現在、キッチンの最終バージョンも佳境を迎える準備が整っている。

Rivianは初披露して以来、キッチンに数多くの変更を加えてきた。ここには2つの脇役の追加が含まれる。その脇役とは、キッチンを取り付けるシャトルシステムとSnow Peakの食器セットだ。

下にある動画には生産準備が整ったCamp Kitchenの間近での様子が映っており、同社の料理プログラム担当シニアマネジャー(別名フード男)Josh Glaser(ジョッシュ・グレイザー)氏がRivianの工場でアクセサリーがどのように使われ、そしてテストされてきたかについて情報を提供している。

読者のために少しスペックを紹介しよう。Camp Kitchenはアップグレードを図る5000ドル(約56万円)のオプションだ。期間限定でトンネル型のシャトルとSnow Peakキッチンセットが含まれている。ゆくゆくは、キッチン設置を選択する購入者は1500ドル(約17万円)払ってキッチンをのせるRivian Gear Tunnel Shuttleを付けなければならなくなる。

このトンネル型のシャトルはキッチンを支え、給電する。キッチンを固定するプラットフォームは3つの選択肢がある。Rivianは将来、他のアクセサリーのためにもこのシャトルを使う計画だ。シャトルは120V ACと12V DCの電源プラグ2つを備え、トラック車体から引き出したとき重さ(約90キロ)まで支えることができる。

表面がRichlite(耐久性のある圧縮紙樹脂)のキッチンには、1440ワットの電磁調理バーナー2つ、加圧ポンプが付いている容量約4ガロン(15リットル)の水タンク、潰して取り外しができるシンク、Snow Peakのキッチンセット30点を収納できるコルクが敷かれた引き出しが備わっている。キッチンセットにはナイロン製スパチュラ、竹製スパチュラ、トング、お玉杓子、ナイフ2つ、コルク栓抜き、缶切り、ピーラー、チタン製カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)セット、食器、積み重ねできるマグカップ、まな板、大きな鍋2つ、コーヒーミル、ヤカン、コーヒー淹れ用スタンドが含まれる。

そして夜に雰囲気を出すのに使えるライトもついてくる。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMの電動配送トラック部門「BrightDrop」が中型バンを発表、最初の顧客はVerizon

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)の配送トラック事業部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)は、同社が商業・配送分野のラストマイルに焦点を当てる中、猛烈な勢いで売り込みを続けている。米国時間9月28日、BrightDropは2番目となる運搬車両をラインアップに加えることを発表した。予定されている最初の顧客は通信の巨人Verizon(ベライゾン)だ。

さらにGMは、主力車種のEV600バンの最初の量産準備が完了したことを発表した。FedEx(フェデラルエクスプレス)は年内に車両の受け取りを開始する(注文数は500台)。会社の歴史上最速の車両販売プログラムだとGMは声明で言った。

同社はEV600の2番目の顧客としてMerchants Fleet(マーチャンツ・フリート)を獲得しており、同社は2月に1万2600台購入すると発表している。

そしてVerizonは、新しい中型車EV410を現場保守とサービス部隊の一部で使用する。Verizon、GMともに発注の規模は明らかにしていない。

新しいバンは、積載容量400立方フィート(11.3立法メートル)で車体の全長は20フィート(6メートル)弱。GMはこの車両について、都市部などの混み合った場所で、特にオンライン食料品配達や通信保守業務などを行うのに適しているという。

同社は、EV600を使うことで車両管理部門は内燃機関車と比べて年間7000ドル(約78万円)節約できるという。

2車種とも、同社のUltium(アルティウム)バッテリープラットフォームを使用しており、航行距離は250マイル(402km)、重量は1万ポンド(4.5トン)以下。EV410はEV600に続いてカナダ、オンタリオ州インガーソルにあるGMのCAMI組立工場で製造される。GMは初期の少数生産についてはミシガン州の米国サプライヤーと提携するという。CAMI工場が2022年11月からのEV600増産への転換を行うためだ。

画像クレジット:General Motors

2021年初めのBrightDropの発表は、商業・デリバリー分野のラストマイル確保を進めるGeneral Motorsの市場機会の多様化に対する関心の強さを表わすものだった。そのために同社は、CAMI工場をカナダ初の電動デリバリー・バン製造施設に転換するために、約10億カナダドル(約879億円)を投資すると語った。

貨物・デリバリー向け電動車分野がGMをはじめとする自動車メーカーにとって膨大な機会であることは間違いない。Verizonは、FedExやUPSなどと同様、事業による炭素排出量の削減さらには完全除去を目指す多くの企業の1社だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードとSKが1.27兆円をかけEVとバッテリーに特化した2つの製造キャンパスを米国に建設

Ford Motor Company(フォード・モーター)とバッテリー製造メーカーのSK Innovation(SKイノベーション)は、114億ドル(約1兆2680億円)をかけてテネシー州とケンタッキー州に巨大工場キャンパスを建設し、バッテリーおよび次世代電動トラックのF-Seriesを製造する。このプロジェクトは1万1000人分の新たな雇用を生む、と両社は述べている。

2つのキャンパスに入る施設は、バッテリーセルの製造とサプライヤーパークへのリサイクルから組み立て工場まで、電気自動車を作るエコシステム全体を網羅するようにデザインされている。Fordは同プロジェクトに70億ドル(約7790億円)を投資しており、同社118年の歴史の中で、単独の製造プロジェクトにおける最大の金額だ。この投資は、Fordが以前発表した2025年までに電動自動車に300億ドル(約3340億円)を投入する計画の一環だ。

同社はさらに今後5年にわたりテキサス州を皮切りに全米でハイテクジョブトレーニングを行うために5億2500万ドル(約580億円)を費やす予定であることも話した。この投資はFordが今後次々と発売する電動およびつながる自動車をサポートする技術者の要請に特化している。

Fordの「メガキャンパス」計画(同社にとって世代で最初の施設)は、Mustang Mach-E(ムスタング・マッハE)、Ford E-Transit cargo van(Eトランシット・カーゴバン)やすでに15万台の予約注文が入っているF-150 Lightning pickup truck(F-150ライトニング・ピックアップ・トラック)など増え続けるEV製品群をサポートすることが目的だ。また、バッテリーのコストを1キロワット時当たり80ドル(約8900円)レベルまで下げる同社の戦略の一部でもある。

「これらの投資のタイミングは非常に重要です。なぜならバッテリー電気自動車への本格的転換はすごそこまで来ているからです」とFordの北米最高執行責任者、Lisa Drake(リサ・ドレイク)氏が米国時間9月27日のメディア会見で語った。「すでにその証拠は業界内に見られますし、今回当社自身の製品発表でも明らかになりました」。

そしてFordはEVの需要に関して強気だ。同社は2030年までにフルサイズピックアップ部門の3分の1が完全電動化すると予測している、とドレーク氏は言った。

画像クレジット:Ford

この日の発表は、Fordの来たるべきF-150 Lightningの生産能力を拡張して年間8万台の全電動トラックを製造するために2億5000万ドル(約280億円)を投入し、450人分の新たな雇用を創成する計画をはじめとする一連の投資計画に続くものだ。新たな資金と雇用はミシガン州、ディアボーンのRouge Electric Vehicle Center(ルージュ電気自動車センター)、Van Dyke Electric Powertrain Center(バンダイク電動パワートレインセンター)、およびRawsonville Components Plant(ローソンビル部品工場)の3カ所に振り分けられるとFordはいう。

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フォードがEV普及に向け、バッテリー原料リサイクル企業のRedwood Materialsと提携

今回の発表は、FordがRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)との提携によって、製造スクラップと終末を迎えたEVのリサイクル、およびバッテリーの原材料を供給するクローズドループシステムを作る計画を発表してから1週間も経っていない。バッテリーやそれを作るための部品の供給を確保することの重要性は、自動車業界にバッテリーセル製造メーカーとの提携を促し、Redwood Materialsのような会社への注目が益々高まっている。

ドレイク氏は提携の詳細として、Redwood Materialsがテネシー州メンフィス近くのいわゆるBlue Oval City(ブルー・オーバル・シティ)キャンパスにリサイクル施設を構える予定であることを付け加えた。

テネシーキャンパス

テネシー州スタントンの56億ドル(約6230億円)をかけるキャンパスは、完成すると面積、人口ともに小さな村に匹敵する。3600エーカー(1457万平方メートル)のキャンパスはクローズドループ製造センターとして作られる。つまり、製造に使用された材料が新しいEVを作るために再利用できるという意味だ。

キャンパスには、SKと提携して運用されるバッテリー製造施設、サプライヤーパーク、および電動Fシリーズトラックに特化した組立工場が作られる予定だ。バッテリー製造施設は43ギガワット時のセル容量を生産する能力をもつ。組立工場は2025年の製造開始時点からカーボンニュートラルになるように設計されている、とFordはいう。

ケンタッキーキャンパス

Fordは、ケンタッキー州中央部グレンデールに位置する同キャンパスに、双子のバッテリー工場を建設する。そこで製造されたバッテリーは、2020年代後半にFordおよびLincoln(リンカーン)の新しい電気自動車製品ラインで使用される。リチウムイオンバッテリーの製造は2025年に開始する予定だ。

この1500エーカー(607万平方メートル)のバッテリーキャンパスを、FordはBlueOvalSK Battery Park(ブルーオーバルSK・バッテリー・パーク)と呼び、約58億ドル(約6450億円)の費用をかけ、5000人を雇用する。双子のバッテリー工場はそれぞれ最大43ギガワット時、合わせて年間86ギガワット時の生産能力がある。テネシー州の第3のバッテリーセル工場を加えて、総容量は最大129ギガワット時になる、とSKの執行副社長兼マーケティング全世界責任者のYoosuk Kim(ユースク・キム)氏は説明した。

全体では100万台の電気自動車を駆動するのに十分な容量だとドレイク氏は言った。

以前Fordは、同社のバッテリー電気自動車の世界計画のためには2030年までに240ギガワット時のバッテリーセル容量が必要だという。これはおよそ工場10カ所分の容量だ。また同社は、北米には140ギガワット時が必要であり、残りをヨーロッパ、中国など他の地域に割り当てるとも語っていた。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボルボの高級EVブランドPolestarが約2兆2200億円の評価額でSPAC上場へ

スウェーデンのEVメーカーPolestar(ポールスター)は、特別買収目的会社(SPAC)のGores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)との間で合併によるIPO(新規株式公開)に向けて合意したと発表した。これにより、Polestarの評価額は200億ドル(約2兆2200億円)に達する見込みだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国時間9月26日、この取引に詳しい関係筋を引用して、SPAC合意が間近に迫っていると報じていた。TechCrunchは、公式発表の情報を反映してこの記事を更新した。合併が完了すると、統合後の会社は、Polestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有する。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

PolestarはVolvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)のEVパフォーマンスブランドに該当するが、PolestarとVolvoはともに、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が所有している。

今回の発表により、Polestarは、過去2年間にSPACを通じて上場した、Arrival(アライバル)、Nikola(ニコラ)、EVgo、Proterra(プロテラ)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、Bird(バード)などのEVおよびEV関連企業の仲間入りを果たす。

Polestarは、EV製造業界におけるライフサイクルアセスメントの枠組みを構築することを目指している。製造、販売、廃車のプロセス全体が透明でトレーサブルであり、カーボンニュートラルな自動車を作ることができるというものだ。同社は、6月に初のSUVであるPolestar 3(ポールスター3)を米国で製造する計画を発表し、2022年にはグローバルに生産を開始する予定だ。高品質の部品と米国での製造施設は、決して安い取り組みではない。今回の報道が事実となれば、IPOはPolestarが目標達成に必要な資金を得る手段になり得る。

また、この合併は、PolestarがTesla(テスラ)に対抗するために、米国での市場投入を早めることにもつながる。Polestarは、セダンタイプのPolestar 2をTeslaよりも優れたクルマと位置づけているが、EV業界で同じような知名度を持ち、信頼されるためには、資金が必要だ。2020年、Polestarは部品の不具合により、全世界の車両のリコールを余儀なくされた

SPAC(特別買収目的会社)であるGores Guggenheimは、3月のIPOで8億ドル(約888億円)を調達し、7月にはBloombergがPolestarと交渉していると報じていた。

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画像クレジット:Geely holdings/Polestar

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】MPG(1ガロンあたり走行マイル)が電気自動車でも重要な理由

もし環境保護が単なるライフスタイルの選択肢の1つなら、自動車メーカーと彼らが作る最新電動自動車は役目を果たしている。Tesla(テスラ)のPlaid(プレイド)は性能が自慢だ。Leaf(リーフ)やPrius(プリウス)、Volt(ボルト)は謙虚さを説き、勧める。そしてFord(フォード)は電動Mustang(マスタング)とF-150を発売して力を見せつける。

しかし、もし消費者の選択がもっとグリーンな未来に向かっているなら、見せびらかしよりもエネルギー効率を重視するのなら、彼らには賢明な購入判断をできる能力が必要になる。そのために、昔ながらのガソリン時代の測定基準が役に立つ。MPG(ガロン当たりのマイル数)のコンセプトだ。

電気自動車(EV)時代になり、クルマの購入はMPGの高いクルマと安いガソリンを探すだけの簡単なものではなくなった。電気のコストはややこしい。価格と効率情報は見つけづらく、理解するのはもっと困難だ。そして最終的には、自分で計算しなくてはならない。

そのためにまず電気エネルギー単位を知る必要がある。「kWh」すなわち「キロワット時」、どちらかというとエンジニアリングの教科書の方が似合う単語だ。コストと炭素排出量を知るために、ドライバーはkWhをドルとマイルに変換する難問を解く必要がある。

それをしないのであれば、あなたは自動車メーカーがあなたと環境のために正しいことをすると信じることになる。

政府はこの問題を先導することができる。実際やってきたし、現在もやっている。ガソリンスタンドはガロン当たりの価格と給油したガロン数と総金額を表示することをが長年義務付けられている。クルマのEPA燃費(ダッシュボードとすべての新車のMPGステッカーに表示されている)はすべてを結びつけてくれる。

つまり、たぶん我々には、EV時代の共通単位がすでにある。コスト、効率、大気汚染について同じ土俵で比較できる親しみやすくて具体的なエネルギー単位だ。

わが同胞なる米国民のみなさん、もう一度、ガロンに「こんにちは」と言おう。たとえガソリン動力車を置き去りにしたとしても、そのエネルギー単位は使い続けることができる。それは具体的であり、ガソリンに含まれているエネルギーで使えるなら、電気にも使えるようにできる。

環境保護庁によれば、1ガロンの無鉛ガソリンにはおよそ34kWhのエネルギーが含まれている。それがわかれば、エネルギーの購入価格がいくらで、それがどこまで遠くへ自分を運んでくれるのかを簡単に計算できる。ガロンは他の電気使用量を理解するためにも役立つので、家庭のエネルギーコストを自動車のエネルギーコストと同列に比較できるようになる。

8月の光熱費をガロン化した結果、次のことがわかった。

  • わが家は56ガロン(212L/1888kWh)分の電気を使用した。
  • わが家の平均電気料金は6.34ドル/ガロン(185円/L)である。
  • Teslaの充電ステーションで、私は8.43ドル/ガロン(25セント[28円]/kWh)払った。

政府はすでに、電気自動車とハイブリッド車のMPG相当値を公開している。MPGを使うことで電気自動車が効率的であの高いガロン当たりコストを埋め合わせていることがはっきりする。中には100 MPG(42.5 km/L)を超えるものもある。

すでにMPGは自動車購入以外にも役立っている。ニューヨーク市のMPG基準は、タクシー燃費を2009年の2倍にすることを義務付けている(さらに同市は、タクシーライセンスの一部をハイブリッド車のために確保している)。Uber(ウーバー)とLyft(リフト)はグリーン政策を打ち出したが、規制状態の緩い彼らはMPG標準を回避することが可能だ。

スマートなエネルギーショッピングだけでは気候変動を解決できない。エネルギー監視団体も、業界の炭素排出への影響を、発電とEV関連ハードウェア生産の両面で監視する必要がある。

しかし、他の条件が同じなら、使用エネルギーが少ないことは大気汚染が少ないことを意味する。そして、共通する単位は、車だけでなはく、はるかに多くを網羅するスマートな選択肢へと我々を誘ってくれる。安いときに電気を貯めるためにバッテリーを買うべきか?ソーラーパネルに意味はあるのか? 断熱や効率のよい暖房器具はどうなのか?

MPGの高い自動車と、1ガロンがとても役立つ住宅。合わせれば確かなライフスタイルの選択肢になるだろう。

編集部注:本稿の執筆者Tom Rutledge(トム・ルトレッジ)氏は、タクシーとライドシェア業界における都市主導のイノベーション実現に特化したスタートアップWapanda(ワパンダ)の共同ファウンダー。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(文:Tom Rutledge、翻訳:Nob Takahashi / facebook

カリフォルニア州は2030年までに自動運転車のゼロエミッション化達成を義務化

2030年から、カリフォルニア州で運用される小型車の自動運転車はゼロエミッションでなければならない。SB500はGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)カリフォルニア州知事は、米国時間9月23日に署名した法律で、温室効果ガスの排出削減を目的に、内燃機関の新車販売を制限するための最新の取り組みとなる。ニューサム知事は2020年に、2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する大統領令に署名した。同年、同州の大気資源局は、2045年までにカリフォルニア州で販売されるすべての新型トラックの排出量をゼロにすることを義務づけている。

Cruise(クルーズ)のグローバル・ガバメント・アフェアーズ部門の責任者であるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、Engadgetに寄せた声明の中で、「これが業界標準となることを確実にするためのカリフォルニア州のリーダーシップに感謝します。AV業界は、都市における温室効果ガスの排出量削減をリードする素地があり、そのために私たちは当初から電気自動車やゼロエミッションの車両を運行してきました」という。Cruiseは、自律走行型配送サービスのスタートアップであるNuroを含むEmission Zero Coalitionへの参加を通じて、SB500を支援した。

環境保護庁によると、2019年以降、米国の温室効果ガスの唯一最大の排出源は運輸部門であり、その半分以上を小型車が占めている。しかし、現在、カリフォルニア州の道路を走る約1500万台の自動車のうち、自律走行車はごく一部に過ぎない。さらに、カリフォルニア州で完全自律走行型タクシーサービスをテストしている代表的な企業であるCruiseWaymoは、電気自動車ハイブリッド車だけで車両を運用している。今回のカリフォルニア州の動きは、自律走行車が将来的に大きな汚染源となることを防ぐためのものであり、特に完全自動運転のタクシーサービスが通勤者の間で人気になれば、その危惧は現実のものとなる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Screenshot/GM

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

GMも中国初の自動運転ユニコーンMomentaに約330億円投資

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は、トヨタや中国国有企業SAIC Motor(SAICモーター)、Mercedes-Benz AG(メルセデスベンツAG)などを含む、中国の自動運転スタートアップMomenta(モメンタ)を支援する多くの大手自動車メーカーの輪に加わった。

車両販売という点で米国最大の自動車メーカーであるGMは米国時間9月21日、今後中国でのGM車両の自動運転テックの開発を加速させるためにMomentaに3億ドル(約330億円)を投資すると明らかにした。GMの上級副社長でGM China社長であるJulian Blissett(ジュリアン・ブリセット)氏は、今回の投資が「中国における(GMの)消費者のために作られたソリューション」をもたらすのに役立つ、と声明で述べた。

このニュースは、Momentaが約5億ドル(約554億円)の資金調達ラウンドをクローズしてから6カ月も経たない中でのものだ。そのラウンドにはSAIC、トヨタ、 Mercedes-Benz AG、Bosch(ボッシュ)が参加した。TechCrunchのRita Liaoが指摘しているように「巨大な投資ラウンドは資本集約的な自動運転車両の業界では当たり前になった」。しかしMomentaは、ソフトウェアを搭載した車両を2021年末までに大量生産することを目指していて、商業化に近づきつつあるようだ。

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GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

この出資はGMが次世代のテクノロジーに積極的に投資する最新例だ。同社は6月、2025年までに電動とAVのベンチャーに350億ドル(約3兆8760億円)をあてる、と述べた。米国では、自動運転テクノロジーへのGMの関心は自動運転の子会社Cruise(クルーズ)を介してよく知られている。CruiseはこのほどGMの金融会社から50億ドル(約5540億円)の与信限度額を獲得した。

しかしGMはまた、世界最大のEVマーケットでの足がかりを模索する中で、中国でかなりの提携も行ってきた。中国で最も売れている電気小型車であるWuling Mini EVはSAIC-GM-Wulingが生産していて、社名からわかるように、GM、SAIC、Wuling Motors(ウーリンモーターズ)の合弁会社だ。SAIC-GM-Wulingは人気のブランドBaojunも手がけている。

中国の自動運転スタートアップの幹部が6月にあったTC Mobilityで指摘したように、同国の地方自治体もまた、自動運転に対して積極的だ。

「中国では、各地方自治体の政府が我々起業家のように行動するよう動機づけられています」とMomenta欧州のゼネラルマネジャーであるHuan Sun(フアン・サン)氏はイベントで述べた。「地方自治体は地域経済の発展でかなり進歩しています。我々が感じているのは、自動運転テクノロジーが(地方自治体の)経済ストラクチャーを改善し、アップグレードできるということです」。

GMは、Momentaの技術がいつGM車両に搭載されるのかについては明らかにしなかったが、広報担当は2社の提携が米国でのGM車両生産と販売にはつながらないことを認めた。

画像クレジット:Momenta

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Rivianがいよいよ始まる車両販売に備え、約5億円のサービスサポートセンターを開設

新規株式公開に向けて準備中の電気自動車メーカーRivian(リビアン)の急成長が止まらない。同社は、ミシガン州プリマスに電気自動車オーナー向けのサービスサポート施設を開設する予定だ。ちょうど計画どおり、2021年9月末には、R1Tピックアップの発売記念モデルの納車が開始されることとなっている。

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この施設では、100名の新規雇用を創出し、投資額は460万ドル(約5億円)にのぼる。うち、75万ドル(約8200万円)は州からのビジネス開発助成金からあてられる。ミシガン州のビジネス開発プログラムのような資金は、ビジネスを誘致し、州内での雇用創出と投資を促進するために使われるも。Rivianがミシガン州に投資するのは今回が初めてではない。同社の工場はイリノイ州のノーマルにあるが(第2工場も建設予定)、本社はプリマスにある。また、Rivianは2015年に2950万ドル(約32億5900万円)の設備投資でディアボーンに研究開発センターを開設している。

新しいセンターは、Rivianの現在の本社の拡張拠点的な位置づけだと、同社の広報担当者がTechCrunchに認めてくれた。ニュースリリースによると、この新センターを通じて「すべてのRivianオーナーをサポートすることを計画している」とのことで「北米のRivianオーナーに対して、Rivian Roadside and Service Support(リビアン・ロードサイド&サービスサポート)チームが、車両に関する質問、沿道からの依頼、サービス日程調整のニーズに対して、24時間体制でサポートする」とのことだ。

ミシガン州知事室は、この新規雇用を高賃金と謳い、授業料の払い戻しや育児支援などの福利厚生も付いていると話している。

Rivianは、ライバルであるTeslaと同様に、顧客がオンラインで直接同社に車両を注文できる直販モデルで運営されている。現在、自動車メーカーが顧客に直接販売できる州は22州に限られている。これらの州では、Rivianは展示室を設置して試乗することができるが、顧客がオンラインで直接注文することを禁止するものはない。

また、Rivianはサービスやサポートも自社で行う予定だ。同社のウェブサイトによると、Rivianは、トラブルシューティング、診断、予約のサポート、沿道でのアシスタンスなどを提供するサービスチームを通じて、24時間365日のサポートを提供する予定だ。

先週、RivianはTechCrunchに、3つの機関から必要な認証を受け、全米50州でのSUV「R1T」および「R1S」の販売・配送に許可が下りたことを認めてくれたところだ。

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画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フォードがEV普及に向け、バッテリー原料リサイクル企業のRedwood Materialsと提携

Ford Motor(フォード・モーター)は、バッテリー原料リサイクル企業のRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)と提携し、今後大量に投入される電気自動車のためのクローズドループ・システムを構築することにした。この提携では、生産過程で発生する廃棄物や寿命を終えた電気自動車のリサイクルに加え、フォードの電気自動車に使用されるバッテリーの原材料の供給も行うことになる。

2020年発売された「Mustang Mach E(マスタング マックE)」や、間もなく発売されるピックアップトラック「F-150 Lightning(F-150ライトニング)」をはじめ、フォードがそのラインナップに電気自動車を増やしていく中で、今回の提携は結ばれたものだ。電気自動車用のバッテリーやその原料を確保するために、自動車業界は電池メーカーとの提携を進めており、レッドウッド・マテリアルズのような企業に目を向けている。

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フォードだけでも膨大な量のバッテリー供給が必要になる。同社が2030年までに全世界で投入を計画している電気自動車は、合計で少なくとも240ギガワット時以上のバッテリー容量を必要とするという。これはおおよそ工場10カ所分の容量に相当する。フォードは以前、北米だけで140ギガワット時が必要になり、残りは欧州や中国を含む他の地域に割り当てられる分だと述べていた。

フォードの北米地域担当最高執行責任者を務めるLisa Drake(リサ・ドレイク)氏は「寿命を終えた我々の製品においてクローズドループを構築し、その資源をサプライチェーンに再投入することが可能になれば、コスト削減につながります」と、プレス説明会の中で語った。「当然ながら、バッテリーを製造する際に現在使用している多くの原料の輸入依存度を下げることにもつながります。そして、それによって原材料の採掘も減らすことができます。これは今後、私たちがこの分野の規模を拡大していく上で、非常に重要なことです」。

これらすべてが、EVをより安価に、より持続可能なものにすると、ドレイク氏はいう。

レッドウッド・マテリアルズは、バッテリーセルの製造過程で発生する廃棄物や、携帯電話のバッテリー、ノートパソコン、電動工具、モバイルバッテリー、スクーター、電動自転車などの家電製品をリサイクルしている企業だ。Tesla(テスラ)の元CTOであるJB Straubel,(JB・ストラウベル)氏が設立し、率いているこの会社は、ニッケル、コバルト、リチウム、銅などの元素を平均して95%以上回収できるという。

レッドウッドは、これらの廃棄物を処理して、通常は採掘で得られるコバルト、ニッケル、リチウムなどの素材を抽出し、それらを顧客に供給する。現在、その顧客の中には、テスラと共同でネバダ州のGigafactory(ギガファクトリー)を運営しているPanasonic(パナソニック)や、テネシー州にあるEnvision AESC(エンビジョンAESC)のバッテリー工場などが含まれる。レッドウッドはAmazon(アマゾン)とも提携しており、電気自動車などのリチウムイオン電池や事業所から出る電気電子機器廃棄物をリサイクルしている。レッドウッドが初めてパートナーシップを組んだ自動車業界の企業は、2021年3月に提携した電気商用車メーカーのProterra(プロテラ)だった

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「事前に計画を立て、生産能力や適切な地域で適切な時期に生産することを戦略的に考えないと、現在の世界的な半導体不足に少々似た状況に陥るリスクがあります」と、ストラウベル氏はプレス説明会で語った。

米国時間9月22日に発表されたこのパートナーシップでは、レッドウッド・マテリアルズはまず、フォードと協力して、同自動車会社のバッテリー生産ネットワーク内でリサイクルを設定し、回収された原材料をメーカーに戻してバッテリーに使用する。フォードは具体的な内容を明らかにしていないが、それはおそらく、バッテリーセルのサプライヤーであるSKとの協力を意味していると思われる。

フォードとSKは2021年5月、BlueOvalSK(ブルーオーバルSK)という合弁会社を設立し、2020年代中期から年間約60ギガワット時の駆動用バッテリーセルとアレイモジュールを生産することで合意した。

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レッドウッド・マテリアルズとフォードのパートナーシップの最終的な目標は、製造廃棄物のリサイクルとフォードへの原料供給から、寿命を終えた車両のリサイクルオプションの構築まで、バッテリーのライフサイクル全体に関わることだ。この最後の部分が複雑になるのは、これらのEVがフォードの所有ではなくなるからだ。多くのEVは、廃車になるまでに複数の所有者を経ることになる。

今回の提携が発表される数カ月前に、レッドウッド・マテリアルズは7億7500万ドル(約858億円)以上の資金を調達しているが、その中にはフォードからの5000万ドル(約55億円)が含まれていることが後に明らかになった(同社は当初「7億ドル以上の資金を調達した」と発表していた)。

また、9月に入ってから同社は、事業をバッテリーのリサイクルだけでなく、重要なバッテリー材料の生産にも拡大する計画を明らかにし、そのために米国に100万平方フィートの新工場を建設するとしている。同社はリチウムイオン電池の構成材料となる正極活物質と負極用銅箔を生産したいと考えている。

現在、同社が建設地を探しているこの工場は、おそらく正極材の生産に特化することになるだろう。レッドウッドは、この工場の正極材生産能力を、2025年までに電気自動車100万台分に相当する100ギガワット時まで引き上げるつもりであるという。

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画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メルセデス・ベンツが高級EVセダン「EQS」の米国価格を発表、ガソリン車の「Sクラス」より安い約1133万円から

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、電気自動車の最上級モデル「EQS」の米国における販売価格を、ガソリンエンジン搭載車の「Sクラス」よりも8700ドル(約95万円)以上低く設定した。これは北米で高級EVの展開を確実に成功させるためにドイツの自動車メーカーが取った戦略的な動きと言える。

2021年秋より米国のディーラーで発売になるEQSの価格は、1050ドル(約11万5000円)の配送料込みで10万3360ドル(約1133万円)からとなっている。連邦政府の税額控除により、実質価格はさらに7500ドル(約82万2000円)安くなる。

メルセデス・ベンツはまず「EQS 450+」と「EQS 580 4MATIC」という2つのモデルを米国市場に導入する。2基のモーターを搭載するハイパワーで4輪駆動の後者は、ベース価格が12万160ドル(約1317万円)と高めに設定されている。さらにこの2つのモデルには、いずれも3種類のトリムが用意されており、最上級の「Pinnacle(頂点)」と呼ばれる仕様は、配送料込みでEQS 450+が10万9560ドル(約1200万円)、EQS 580 4MATICは12万6360ドル(約1385万円)になる。

配送料込みで11万2150ドル(約1229万円)からというSクラスよりも、電気自動車のEQSを低い価格で販売するというメルセデスの決断は、EVに賭けた将来の投資と見ることができる。Sクラスは長い間、メルセデスの伝統的な高級フラッグシップセダンだった。しかし、2020年代の終りまでにすべての新車販売を電気自動車のみにすると宣言し、そのために400億ユーロ(約5兆1420億円)を投資する計画を2021年7月に発表したメルセデスは、従来のSクラスのオーナーをEQSに移行させるか、あるいは新たな購買層を見つけなければならない。

この2022年モデルのメルセデス・ベンツは、期待される通り、超高級な雰囲気に溢れている。しかしEQSはそれだけでなく、56インチのハイパースクリーン、超強力なHEPAエアフィルター、ドライバーの要望や必要を直感的に学習するソフトウェアなど、最新技術も満載だ。おまけに「No.6 MOOD Linen」と名付けられた新しいフレグランスも用意されており、これは「イチジクとリネンの青葉のような香り」と表現されている。

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メルセデスは、これらの技術に加えて、パフォーマンス、デザイン、そして価格が買い手を惹きつけることに賭けている。TechCrunchが以前指摘したように、これはメルセデスにとって大きな賭けだ。このドイツの自動車メーカーは、北米でEQSの導入を成功させることで、かつてクロスオーバーEV「EQC」の米国導入につまずいた(そして今はもうなかったことになっている)記憶を消し去ろうとしているのだ。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォックスコンがタイのEV工場で2023年までに5万台の生産を開始と発表

台湾のスマートフォンメーカー大手であるFoxconn(フォックスコン)と、タイの国営石油会社PTT PLCが、タイ国内での電気自動車(EV)製造施設の開業に向けた合意を進めていることが明らかになった。この施設では、2023年までに車両の出荷を開始する予定だ。これまでFoxconnは、2022年にはタイと米国の両方に工場を建設する計画を発表していた。

6月にFoxconnとPTTは、EV生産で協力する覚書交わし、PTTが60%、Foxconnが残りの40%を保有する合弁会社を設立することとなった。タイ工場の初期生産能力は約5万台だが、フォックスコンはそれを2030年までには3倍に増やすとしている。Foxconnは、このタイ工場によって正式に自動車メーカーとしての地位を確立することになるが、同時にEVメーカーであるFIsker(フィスカー)と共同で米国にも工場を建設していて、こちらも2023年の生産開始を目指している。両社は、5月に「Project PEAR」と呼ばれる共同契約を締結した

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データと分析のコンサルティング会社であるGlobalData(グローバルデータ)のシニアオートモーティブアナリストであるBakar Sadik Agwan(バカール・サディク・アグワン)氏は「タイはEVの需給面ではかなり新しい国であり、生産しているメーカーも限られています」と述べている。「タイは、他の市場と比較して、自動車製造に適した政策と伝統を持っていて、Foxconnにとって大きな価値があります。また、中国ではByton(バイトン)と製造提携していますが、現在は保留になっていると言われています。中国は最大のEV市場ではありますが、EV市場が細分化されているために生産能力過剰の問題を抱えており、多くの自動車メーカーが十分なマージンを得ることができない状況になっています」。

タイ政府がFoxconnを支持しているのは、将来的にそれを「EVハブ」として現地生産を奨励することで、2030年までに総生産量に占めるEVのシェアを30%にまで高めたいと考えているからだ。

画像クレジット:SAM YEH/AFP/Getty Images

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

GMがハマーEVなどの動力源となるモーターの詳細を発表

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、近日登場するUltium(アルティウム)バッテリーの能力については多くの時間を割いて語ってきたが、このバッテリーが動かすモーターについては多くを語ってこなかった。米国時間9月21日、それが変わった。同社は新しいUltium Driveモーターの詳細について語った。この日発表されたシリーズは3つのモデルからなる。180kW前輪駆動モデル、255kW後輪・前輪駆動モデル、および62kWの全輪アシストモーターだ。最初の2つは永久磁石モーターでGMは重希土類への依存度を減らすために設計した。

それぞれのモデルの具体的なトルクや出力密度について同社は言及しなかったが、それぞれに関して「完璧な」性能を提供するという。さらに同社は、2022 Hummer EV(2022年型ハマー EV)が255kWモデルを3基搭載することを明らかにした。GMは3基のモーターが合わせて1万1500ft/lb(1万5592 Nm)のトルクを生み出し、同車が時速0から60マイルまで約3秒で加速すると説明した。

GMは、同社のエンジニアが安定性を念頭においてモーターを設計したと語った。3種類とも同じようなツールと生産技術を用いてつくることができる。また、パワーインバーターなどの部品を直接モーターに統合することが可能で、それによってコストを削減し製造を単純化できるという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴー・ボニファシック)氏はEngadgetのコントリビューティング・ライター。

画像クレジット:GMC

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アウディが最新電動SUV「Q4 e-tron」の米国導入を発表、約493万円から

Audi(アウディ)は、2025年までに30台以上の電気自動車およびプラグインハイブリッド車を市場に投入する計画の一環として、拡大するポートフォリオの中で4番目および5番目の電気自動車となる「Q4 e-tron(Q4イートロン)」および「Q4 Sportback e-tron(Q4スポーツバック・イートロン)」の米国導入を発表した。

2019年のジュネーブ国際モーターショーでコンセプトモデルとして初公開されたQ4 e-tronは、アウディの電動SUVではエントリーモデルにあたり、価格もそれを反映したものとなっている。米国では1095ドル(約12万円)の運送費を含め、4万4995ドル(約493万円)からと設定されている。注目すべきは、電気自動車のQ4が、ガソリンエンジンを搭載する同社のSUV「Q5」よりも、約1000ドル(約11万円)安いことだ(現時点で日本仕様・価格は未発表)。

米国で販売されるQ4 e-tronファミリーには、全部で3車種が用意されている。「Q4 50 e-tron quattro(Q4 50 イートロン・クワトロ)」と「Q4 Sportback 50 quattro(Q4スポーツバック 50 イートロン・クワトロ)」は、2基の非同期モーターを搭載する四輪駆動で、EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離(一度の満充電で走行可能な距離)は、どちらも241マイル(約388キロメートル)となっている。

もう1台の「Q4 40 e-tron(Q4 40 イートロン)」は、非同期モーターを1基のみ搭載した後輪駆動車だ。そのEPA推定航続距離はまだ発表されていない。基本的にスペックは以下のようになっている。

画像クレジット:Audi/スクリーンショット

新型Q4は、2021年3月にTechCrunchでも紹介したように、その頑強そうな外観のパッケージにアウディの技術が詰め込まれたクルマになっている。特に、オプションとして用意されるAR対応フロントガラスは注目に値する。

大きめのコンパクトSUVに属するQ4は、オーバーハングが短く、ホイールベースは2764ミリメートル。そのため、外側からはコンパクトに見える。しかし内部には、全長1.83メートルの室内空間があり、大型SUVに匹敵する広さだ。Q4 40 e-tronとQ4 50 e-tronはオールシーズンタイヤを装着した19インチのホイールが標準装備となり、Q4 Sportback 50 quattroはより大径のオールシーズンタイヤ付き20インチホイールを標準で装備する。

重要な点は、Q4 e-tronがアウディの親会社であるVW(フォルクスワーゲン)のモジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)と呼ばれる車両アーキテクチャを共有していること。この柔軟性の高いモジュラーシステムは、VWが2016年に初めて公開したもので、さまざまなEVモデルを効率的かつ費用対効果の高い方法で作るために開発された。

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画像クレジット:Audi

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2人乗りコンパクトEVのEli ZEROが生産開始、欧州で販売へ

コンパクトEV車のアーリーステージスタートアップ、Eli Electric Vehicles(エリ・エレクトリック・ビークルズ)は、同社の主力製品で市街地通勤向けにつくられた「neighborhood electric vehicle(ご近所電気自動車)」の生産を開始したことを発表した。同社はこの2人乗りEVを小規模ロットで生産し、欧州13か国で今後数カ月かけて販売する計画で、価格は1万1999ドル(約131万円)から。

マイクロ電気自動車市場は上昇中で、他にもRenault Twizy(ルノー・ツイッジー)、Citroën Ami(シトロエン・アミ)、チルト式Triggo(トリゴ)EVソーラーアシスト車のSquad Mobility(スカッド・モビリティ)などさまざまなコンパクト四輪車が市場に参入している。価格面では、Eliは1万6000ドル(約175万円)からのTwizyとともにスペクトラムのハイエンド側に位置する。対してAmiは約6000ドル(約66万円)、Squadは6790ドル(約74万円)だ。

Eliの拠点はロサンゼルスだが、生産パートナーは中国にあり、現在進行中の地政学的緊張は同社がまずヨーロッパ戦略を追求している理由の1つだ。州ごとに異なる法律も、公道走行可能な車両を最初に米国で販売することを難しくしている理由だとEliのCEOでファウンダーであるMarcus Li(マーカス・リー)氏はいう。ヨーロッパでは、Zeroは公道走行可能で、スピードの出過ぎない小さなコンパクトカーの文化がすでに作られている。

「ヨーロッパの多くの都市では、たとえばパリのように時速30kmという非常に厳しい法定速度が施行されていて、ウィーンやアムステルダムなどでもそのトレンドが起きると予想しています」とリー氏はTechCrunchに語った。

Zeroは、リサイクル可能ポリプロピレンと高強度アルミニウムで作られており最高速度は時速25マイル(40 km)。長さ約7フィート(2.1 m)、幅4.5フィート(1.35 m)、高さ5フィート(1.5 m)で積載容量は160リットルだ。バッテリー容量は5.8 kWhで航行可能距離は50マイル(80 km)、0から100%まで220ボルト、2時間30分で充電できる。

このマイクロビークルは、電動アシスト付きブレーキ、リアカメラ、パーキングセンサーの他、車室内には充電用USBポート、カップホルダー、冷暖房、チルト可能サンルーフ、7インチダッシュボードディスプレイも備えている。基本カラーはパールホワイトとシルバーで、プレミアムカラーとしてグラファイトとベービーブルーが用意されている。

またEliは最近、StartEngineというプラットフォームで資金調達クラウドファンディングキャンペーンを行うことを発表した。本稿公開時点で、キャンペーンでは今後の生産を進めるための資金22万4705ドル(約2461万円)が集まっている。リー氏によると、現在同社は保有する車両台数以上の予約を受けており、うれしい悲鳴をあげている。

Eliは前回StartEngineのプラットフォームで約140万ドルを集め、これまでに650万ドル(約7億1190億円)以上を調達した。リー氏によると、会社は2020年VC資金調達を試みたが、ベンチャーキャピタルらはEliが車をカーシェアリングに使用するなら投資してもよいと言った。

「正直をいうと、カーシェアリングにピボットしようと考えたこともありました、なぜならそれがほとんどの機関投資家のフィードバックだったからです」とリー氏は言った。「VCたちのビジネスモデルは、投資利益率に関して一般のハードウェア会社とは少々異なり、当社がカーシェアリングと高価値モデルに力を入れて3年以内のリターンを見込めるよにすることを望んでいました」。

ある投資グループは、Eliがカーシェアリング・プラットフォームを自社運用するなら投資してもよいと言ったが、時期はパンデミック直前だったので、最終的にはその方向にピボットしなかったことを喜んでいる、とリー氏は語った。

「販売方法は非常に伝統的なアプローチをとっています」とリー氏はいう。「B2Cはやっていません。販売はKSR Groupという既存の販売網を経由していて、彼らはオーストリア、ドイツ、スイスから始めて、その後ヨーロッパ諸国に展開するという販売戦略をもっています。

販売店を利用することで、アーリーステージ・スタートアップのEliがサービス、配車、試乗などを外部委託することが可能になったとリー氏は語った。

「目標は都市内移動に革命を起こし、都市とコミュニティを新しい形でつなぐことによって渋滞と大気汚染を減らすことです」とリー氏は声明でいう。「急速に変化する気候とともに都市圏が成長を続ける中、Eli ZEROのようにエネルギー効率が高く環境的に持続可能なマイクロEVの可能性は広がります」。

画像クレジット:Eli Electric Vehicles

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

White Motorcycle Concepts

英国のWhite Motorcycle Concepts(WMC)が電動バイクの世界最高速を目指して開発する「風穴バイク」こと ” WMC250EV ” が、 英ブランティングソープのテストトラックで初のテスト走行を実施しました。この走行はあくまで各部が正常に機能することを確認するためで、走ればOKレベルのものでしたが、とくにトラブルもなく、順調にメニューを消化した模様です。

既報のとおりWMC250EVの最も目をひく特徴は、前から見たときにその中心に大きな空気の抜け穴が明けていること。WMCの創設者でチーフライダーのロブ・ホワイト氏いわく、通常のバイクなら燃料タンクやエンジンその他多くのものが詰め込まれている部分を、トンネルのように空っぽにすることで「世界をリードするバイク」と比較して69%もの空気抵抗を削減、Cd値はライダーが搭乗下状態で0.118を実現しているとのことです。

世界最速を目指す「風穴付き電動バイク」WMC250EVの初テスト走行が完了、動画公開

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また最終的に250mph(約402km/h)を目指すバイクとしてのデザインをこの風穴ありきで考えることにより、バッテリーや前後輪を駆動する2基のモーター、電子機器やサスペンション、油圧ハブステアリングをすべて低い位置に搭載する格好となり、さらに風穴の効果かか、WMCによれば「速度が上がるほどより安定していく」とのこと。ちなみに、前から見ると風穴のせいで、また膝を極端に折り曲げて乗るスタイルから、ライダーが非常に高い位置に跨がっているように見えるものの、実際の着座位置は通常のバイクと高さはほとんど変わりません。説明ではヤマハYZF-R6と同じシート高だとしています。

WMC250EVの初走行は暫定的に60Vの低電圧パワートレインを搭載し、約100kW(137PS)の出力で行われましたが、来夏にボリビア・ウユニ塩原で計画する電動バイク世界最高速挑戦の本番仕様では、これに対して800Vの高電圧システムを搭載し、約2.5倍の出力を発揮するパワートレインを積み込む予定です。

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(Source:White Motorcycle Concepts(YouTube)。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

EVは警察の任務に耐えうるか?ミシガン州がフォードの改造版マスタングMach-Eでテスト開始

今度ミシガン州でクルマを止められたら、それはSUVスタイルのEVに乗った警官かもしれない。Ford(フォード)の思惑通りに事が運べば、の話だが。米国の自動車メーカーである同社は、既存のモデルを法執行機関向けに改造する「Police Interceptor(ポリスインターセプター)」プログラムの加速を進めている。このプログラムでは、車両のサスペンションやブレーキ、馬力などが強化されている。

Fordはこのプログラムを英国の警察機関に提案しており、ミシガン州アナーバー市ではすでに2台の車両を発注している。また同社は米国時間9月17日、(通常版でも480hpのツインモーターを搭載する、Mach-E GTをベースにしていると思われる)Mustang Mach-E Interceptor(マスタング・マッハE・インターセプター)のプロトタイプのうち1台を、ミシガン州警察に近日中に提供すると発表した。この車は、Mach-EのようなEVが過酷な警察の仕事に耐えられるかどうかを確認するための実地テストになる。

Fordは、300億ドル(約3兆3000億円)規模の複数年にわたるEV技術への投資の一環として「今回のパイロットプログラムテストをベンチマークとしながら、将来的には専用の電気警察車両を検討していきたい」と述べている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Andrew Tarantola(アンドリュー・タラントーラ)氏は、Engadgetのシニアエディター。

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画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Aya Nakazato)

テスラが規制当局の監視下にある中国でイーロン・マスク氏は同国自動車メーカーを称賛

中国で開催されたWorld New Energy Vehicle Congress(WNEVC)に事前収録で参加したElon Musk(イーロン・マスク)氏は、珍しく原稿どおりのスピーチの中で、中国の自動車メーカーに対して融和的かつ賛辞的なコメントを述べ、米国での発言スタイルとは一線を画した態度を取った。

「中国の多くの自動車メーカーがこのような(EVやAV)技術を牽引していることに大きな敬意を表します」と、後ろの窓にリングライトが映り込んでいる部屋から同氏は語った。もしかしたらクライシスコミュニケーションの専門家がフレームの外にいて、彼に準備した発言を続けるように促しているのではないかと疑ってしまいそうな光景だった。

しかし、おそらくマスク氏に外からの働きかけは必要ないだろう。中国は電気自動車においては世界で最も収益性の高い市場の1つであり、2020年のTesla(テスラ)の売上高全体の約5分の1(66億6000万ドル、約7321億円)を占めている(規制当局への提出書類による)。

米国は引き続きTeslaの最大の市場のひとつだが、同社は2019年に上海ギガファクトリーを開設して「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」を製造するなど、中国での事業拡大を積極的に進めている。Teslaは、EVスタートアップ企業であるXpengXpeng(シャオペン、小鵬汽車)や、検索大手企業のBaidu(バイドゥ、百度)など、中国の自動車メーカーとの競争に直面している。

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「私の率直な見解は、中国の自動車メーカーは世界で最も競争力があるということです。ソフトウェアを得意とする企業が揃っており、設計から製造、そして特に自律走行まで、自動車産業の未来を最も形作るのはソフトウェアです」とマスク氏はメッセージの中で述べた。

世界で最も人口の多い国のEV市場への参入は最初は波乱含みだったが、Teslaはそれを好転させることに成功した。2020年、Tesla Model 3は中国で最も売れたEVとなった。また、Teslaは中国以外の自動車メーカーで唯一、現地法人の完全所有を認められており、同国では前例のない自治権を得ている。それは、マスク氏が過去に公の場で指摘した事実だ。

2020年のBattery Dayイベントで、マスク氏はこう述べていた。「中国に100%自社工場を持つ唯一の外資系メーカーであることは、非常に注目に値すると思います。このことはあまりよく理解されず、評価もされないことが多いのですが、中国に唯一の100%出資の外資系工場を持つことは本当に大きな意味があり、それが多大な利益をもたらしているのです」。

そうは言っても、すべてがバラ色というわけではない。2021年に入ってからは、消費者と規制当局の両方から否定的な報道が相次ぎ、2月には中国政府当局が車両の安全性に関する懸念から同社の幹部を召喚して会議を開いたこともあった(これに対してテスラは「政府部門の指導を真摯に受け止め、事業運営上の欠点を深く反省している」と述べた)。

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その後、4月に開催された上海モーターショーで、Tesla車のオーナーだという女性が同社に抗議する事件が起きた。Bloombergはその数ヵ月後、Teslaがさまざまな悪いPRと闘うために、中国のソーシャルメディアのインフルエンサーや自動車業界の出版物と関係を築こうとしていると報じた。

また、マスク氏はこの事前に録画された挨拶の中で、自動運転車とデータセキュリティに関する質問に答え、それは「一企業の責任だけでなく、業界全体の発展の礎となるもの」だと述べた。この問題は、中国軍がその施設にTesla車を駐車することをドライバーに禁止したというニュースが出た後、特にセンシティブな話題となっている。Tech Wire Asiaが報じたところによると、中国は8月、コネクテッドカーにおけるデータセキュリティの強化を目的とした新しい規制を発表した。Teslaをはじめ、Ford(フォード)やBMWなどの自動車メーカーは、中国国内に現地データストレージセンターを設立する動きを見せた。

「Teslaは、インテリジェントなコネクテッドカーのデータセキュリティを確保するために、すべての国の国家当局と協力していきます」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:JayInShanghai

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、オリオン組立工場の操業停止を少なくとも10月中旬まで延長する。先日発表したシボレー・ボルトEVおよびEUVの安全性のためのリコールに関連したバッテリーパックの不足によるものだ。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたところによると、同社は10月11日の週まで同工場を休止する意向だ。

同社は声明で「今回の直近のスケジュール調整は、新型コロナウイルスに関連した国際市場からの半導体供給の制約により、部品不足が続いていることが原因です」と述べた。「私たちのチームは、需要は高いものの生産能力に制約のある車両への影響を最小限に抑えるために、創造的な解決策を見つけられると確信しています。状況は依然として複雑で非常に流動的ですが、GMは引き続き、需要の高いフルサイズトラックの生産を優先します」。

GMは先週、8月23日に始まったミシガン州の組立工場(オリオン組立工場)の操業停止を9月20日まで延長すると発表したが、遅れの原因への解決策がまだ見つかっていないことは明らかだ。その一方で、バッテリーサプライヤーであるLG Chem(LG化学)と協力し、製造工程と生産スケジュールの更新を継続するとしている。

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同社は7月、火災の危険性があるとしてシボレー・ボルトのリコールを開始した。米高速道路交通安全局は同社の顧客に対し、予防措置として住宅や他の車両から離れた場所にクルマを駐車するよう勧告している

GMは先週、フルサイズトラックとフルサイズSUVの生産を今週までに開始すると発表したが、チップ不足のため、北米の他の5つの組立工場でも生産を減速すると発表した。同社によると、シボレー・シルバラード1500とGMCシエラ1500モデルを生産しているフォートウェイン組立工場およびシラオ組立工場のような一部の工場は、世界的な半導体不足の影響を一時的に受けた後、9月13日時点ですでにフル生産に戻っている。

シボレー・トラバースとビュイック・アンクレイブを製造しているミシガン州のランシング・デルタ・タウンシップ組立工場は、9月27日の週にさらに1週間の稼働停止を予定しており、10月4日の週に生産を再開する。同工場は7月19日から操業を停止している。シボレー・カマロとキャディラック・ブラックウイングの生産停止も27日の週まで延長され、以前に発表されたキャディラック CT4とCT5の生産停止も同様だ。カマロの生産停止は9月13日から、CT4とCT5の生産停止は5月10日からだ。

また、カナダのCAMI組立工場、メキシコのサン・ルイ・ポトシ組立工場、ラモス組立工場で生産しているエクイノックス、ブレイザー、GMCテレインの生産も10月11日の週に延期された。ブレイザーは8月23日、エクイノックスは8月16日から、それぞれ生産を停止している。

キャデラックXT4は、2月8日から生産を停止していたが、来週からカンザス州のフェアファックス組立工場で生産を再開する。GMによると、同じくフェアファックスで2月8日から生産を停止しているシボレー・マリブの生産は、10月25日の週まで停止する予定だ。

画像クレジット:Veanne Cao

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

高級感とテクノロジーが両立したデザインを追求する自動車メーカーたち、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」開催

2021年の夏はモントレー、デトロイト、そして夏の終わりには英国オックスフォードで恒例のカーイベントが開催され、自動車コレクターが集結して高級車やビンテージカーを鑑賞し、オークションを楽しんだ。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で多くのカーイベントが中止。2021年は屋外に高級車を集めたイベントが復活し、7月の「Goodwood Festival of Speed(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)」、8月の「Monterey Car Week(モントレー・カーウィーク)」「Woodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)」、そして9月上旬に開催された「Salon Privé(サロン・プリヴェ)」などのイベントでは、魅力的なクーペや派手なハイパーカーだけではなく、さまざまなクルマが展示された。

COVID-19の変異株「デルタ」の流行にもかかわらず集まった観客と、豪華な会場に並んだ自動車に対する彼らの反応は、ビンテージカー、そして未来の超高級車に対する抑えきれない興奮を反映したものだった。

Gooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークション・スペシャリスト、Angus Dykman(アンガス・ダイクマン)氏は「現地で参加できるオークションの需要が高まっていました」「私たちは現地でのセールスに強い関心があり、ビジネスは活発です。皆がさまざまな自動車を応援してくれました」と話す。

カリフォルニア州ペブルビーチの「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2021」に出品されたPorsche 917(2021年8月15日)(画像クレジット: Getty Images、撮影:David Paul Morris / Bloomberg)

この屋外の展示には、新興自動車メーカーも歴史あるブランドも、未来を反映させた最新の自動車を顧客に提示する必要がある、という緊迫感があった。高級車メーカーにとって、8月のモントレーは、次世代モデルのデザインをアピールできる重要なイベントだ。Bentley(ベントレー)、Bugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などの老舗の自動車メーカーに加え、新規参入のRimac Automobili(リマックアウトモビリ)やLucid Group(ルシードグループ)もモントレーでの存在感のアピールに資金を投じた。

ビンテージカーでもコンテンポラリーカーでも、その一貫したテーマは新しい顧客を惹きつける見事なデザインである。

マイクロチップが不足し、車両数も限られている中、カーコレクターは生産開始前から新型車の予約を行っていた。各ブランドのトップもコレクターたちと交流を図り、ペブルビーチでは、Ford Motor(フォード・モーター)のJim Farley(ジム・ファーレイ)CEO、メルセデス・ベンツ米国プレジデントのDimitris Psillakis(ディミトリス・プシラキス)氏、Aston Martin(アストンマーティン)のTobias Moers(トビアス・モアーズ)CEO、Lamborghini(ランボルギーニ)のMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)CTOなど、少なくとも十数名の経営幹部が目撃された。

現地時間2021年8月13日(金)、米国カリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering(ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング)」で、ブガッティ・オートモービルズのSAS Bolideを鑑賞する参加者たち(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg via Getty Images)

モアーズ氏は、アストンが建設した大きなスタンドからビンテージカーショーを見下ろし「私たちのラグジュアリーカービジネスに関していえば、この場所が最適です」と話す。「ここでは、これまで会ったことのない新しい顧客に出会うことができます。私たちのブランドは、F1(フォーミュラワン)でかつてないほどの注目を集めています」。

同社は未来のレース仕様のアストンを展示。F1マシンを中心に、ValkyrieやValhallaなど、アストンの今後の方向性を示す指標となっている。

「これは私たちのメッセージです」とモアーズ氏。「2020年は、誰もがアストンは終わったと思っていたでしょう。そこにLawrence Stroll(ローレンス・ストロール)氏が乗り込んできて、多額の投資をしてくれました。私たちは復活し、お客様との関係はかつてなく強化されています」。英国で多くの地域がロックダウンされている中、同社はベントレー、フォード、Porsche(ポルシェ)から新しい部門長を採用した。

モアーズ氏自身もパンデミックの最中に新しいCEOとして就任しているが、同氏は北米の従業員、ディーラー、顧客と初めて顔合わせをした。

Mercedes-AMG(メルセデスAMG)出身のモアーズ氏は自信に満ちた経営者で、電動化の経験が自分の強みになると考えている。同氏は「アストンは超高級車を開発しており、その美しさは昔から有名でした。新しい技術を使えば、もうどこにも妥協する必要はありません」と語る。

ペブルビーチの観客を魅了することも重要だが、同氏はアストンの中国でのビジネス、そしてメルセデスのエンジニアリングをアストンの事業拡大にどのように利用するかという点にも注目している。

「中国では北米とは異なり、18歳~30代の若い顧客層に対応する必要があります。それから60代以上。その間の購買層は今のところ存在しません。中国のペースは信じられません。世界の富豪層の増加という点では、中国とアジアがトップだと思います」。

アストンにとっての未来とは、電動化と車内のユーザーエクスペリエンスの再考であり、これはメルセデス・ベンツの前世代の技術を採用するという過去の計画を破棄することを意味する。

「私たちは、メルセデスのインフォテイメント(情報とエンターテインメントを組み合わせた造語)やHMI(ヒューマンマシンインターフェース)を使用しないと決めました。未来を見据えてHMIを構築するなら、もう少し魅力的なものが必要です」とモアーズ氏。同社はメルセデスのMBUXインフォテイメントを取り入れずに、ランボルギーニやApple(アップル)と仕事をしているイタリアのサプライヤー、ART(アート)と一緒に新しいインフォテイメントシステムを構築しているという。

アストンマーティンは、電動化という業界の要求に応えるため、メルセデスのV8エンジン技術を利用して効率化を図る計画だ。

パワー、情熱、テクノロジー

Audi skysphere concept(画像クレジット:Tamara Warren)

ペブルビーチでは、自動車メーカーの経営者たちの間で、コンプライアンス基準を満たすために新しい動力源を開発する一方で、顧客の自動車に対する情熱を維持し、最新の車内エクスペリエンスで新しい顧客を惹きつけるというテーマが浮上した。

1社でできることではない。オーダーメイドの小さな超高級車ブランドは、エンジンや電子プラットフォームの供給を大手自動車メーカーや親会社の投資に頼っている。また、開発には競争力のある人材が必要だ。その上で、これらの小さなブランドは、大企業とは異なる独自性を強く打ち出す必要がある。

ランボルギーニのレッジャーニCTOは次のように話す。「将来に向けて一年前から開発が続けられている最も重要で高価なものの1つが、電子プラットフォームと呼ばれるものです」「ユーザーが電子プラットフォームに触ることはできません。電子プラットフォームはまさしく自動車の神経系(nervous system)です。私たちはグループ内でこれを使おうとしています。そうすれば、従来の車両に使用されていたパーツの多くや、識別できなかったシステムやコンポーネントを使用することが可能になります」。

ランボルギーニはVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)の傘下にあり、ブガッティ、ベントレー、Audi(アウディ)、ポルシェなどの主要な競合車もフォルクスワーゲングループの企業である。

「グループで共有できるものは利用していますが、私たちは他とは違うことをしようとしています」とレッジャーニ氏。ランボルギーニはAmazon Alexaとのパートナーシップに着手した最初の自動車ブランドであり、顧客にAlexaが受け入れられたことで将来的な思考への扉が開かれたと話す。「『音』は、音声認識のフィルターを構成する手段です。未来を想像してみてください。トラブルが発生してランプが点灯しているときに、Alexaに『どうすればいいか教えて』と尋ねたとします。Alexaは、車を停め、サービスアシスタントを呼ぶようにと教えてくれます。そして人工知能が訓練されます」。同氏は、サウンドデザインと音声の新しい使い方を構築するためのデータ収集に取り組んでいるという。

しかし、目の肥えたランボルギーニの顧客には、高価なテクノロジーも時代遅れにならないような魅力的なデザインで魅せる必要がある。「デザインはランボルギーニを購入する1つ目の理由です」とレッジャーニ氏は話す。「しかし、従来のようにデザインが良ければそれでいい、というわけではありません。今や多くが、美学の中にエンジニアリングを統合したデザインになっています。車を構成する部品の1つ1つに機能性が求められます。そして空気力学と冷却の融合。PHEV(プラグインハイブリッドEV)の登場で、冷却系はますます複雑になりました。バッテリーマネジメントも今後ますます複雑になるでしょう。それらすべての要件を満足するクールなデザインが必要です」。

今という時代のテクノロジーとデザイン

モントレー・カーウィークに展示されたビンテージカーと比較すると、特にモータースポーツカーでは、空気力学と重量配分が常に車の設計原理を支配し、進歩を促してきたことがわかる。しかし、現代におけるテクノロジーとデザインとは、スピード、電動化、ADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティなどが、時代を超越する洗練されたシステムに収められていることを意味する。レッジャーニ氏は「最も重要なポイントの1つは、必ず感動を呼び起こすデザインであることで、これは譲れない条件です」と話す。

未来をデザインするということは、その方向性を伝えることだ。急速に変化する世界で、高級車メーカーはそのペースに必死で追いつこうとしているが、これは非常に難しい課題である。モントレー・カーウィークに参加しなかったTesla(テスラ)は、同社のAIの発表をこの週に合わせて行った。テスラでさえも電動化を進化させようとしている。

モントレーで、完璧に手入れされ、限られた数しか生産されず、それゆえに数億円もの価値があるビンテージカーを運転することは魅惑的な体験だ。筆者は1957年式Mercedes-Benz 300 SLというエレガントなマニュアルトランスミッション(MT)オープンカーを太平洋沿いの道路で試乗し、(パンデミックにより入場料が高額な)この神聖な世界を少しだけ垣間見ることができた。

グッドウッド、ウッドワード、そして今週末に終了したサロン・プリヴェも同様に魅力的だったが、豪華な屋外イベントが終了した今、自動車業界は、輸送機関の未来に焦点を当てたショーに視線を移したようだ。

現地時間9月7日にミュンヘンで開幕したIAAモビリティ(旧フランクフルト・モーターショー)では、旧態依然の自動車ショーのイメージを一新しようとする自動車メーカーの姿勢が感じられ、より臨場感のある体験を楽しむことができる。展示されているEVのモデルやコンセプトの数々は、進化のスピードは金銭では予測できないものの1つであることを思い出させてくれる。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)