ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

ベイサンは3月4日、デスクトップパワーユニット「R-ARCA」を発表しました。価格は税別9万8000円です。3月5日(金)午前10時よりベイサンオンラインストアにて販売開始予定です。

「R-ARCA」は、国産電気自動車で使用していたリチウムイオンバッテリーを再利用して作成された製品です。オフィスや店舗での日常時の電源として活用しつつ、災害時は非常用電源としても利用できるよう設計されています。

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

フラットなボディなので重ね置きをして運用もできます

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

持ち運びが楽になるハンドルも付属します

ベイサンがEV用バッテリーを再利用した企業向けバッテリーを発売、災害時は非常用電源として利用可能

夜間停電時には照度センサーによりLEDランプが自動点灯

USB側は電圧5V、2ポートごとに最大4A出力が可能です。充電容量は63400mAh (317Wh) で、充電時間は12時間です。サイズは350mm×266mm×43mm(本体のみ)で、重さは5.7kgです。

(Source:ベイサンEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:電気自動車 / EV(用語)バッテリー(用語)ベイサン(企業)日本(国・地域)

GMとLG化学が米国で2番目となるバッテリーセル工場建設を検討

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、合弁パートナーである韓国ソウルのLG Chem(LG化学)と共同で米国で2番目のバッテリーセル製造工場の建設を検討している。

工場の建設が実現すれば、GMの電気自動車ポートフォリオの構築を目的とした一連の投資の最新の計画となる。LGとの合弁会社であるUltium Cells LLCは、すでにオハイオ州ロードスタウンに23億ドル(約2500億円)のバッテリーセル製造施設の建設を進めている

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GMの広報担当者であるDan Flores(ダン・フローレス)氏がTechCrunchに伝えたところによると、両社は2021年前半に工場建設を決定したいとしている。フローレス氏は立地先の可能性については明言しなかったが、Wall Street Journalの報道によるとテネシー州が候補の上位になっているという。

GMは事業の脱炭素化に向けて野心的な目標を設定しており、目標達成のために多額の投資を約束した。2025年までに同社はブランド全体で30車種のEVを世界市場に投入し、電動化と自動化技術に270億ドル(約2兆9000億円)を費やすと述べた。これは2020年の出費から35%の増加である。またGMは2030年代半ばまでに自社のすべての車種をEVにするとしている。

関連記事:GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

「将来のオール電化への取り組みにともない、多くのバッテリーセルが必要になることは明らかです」と、フローレス氏は述べている。

一方でフローレス氏は、EVメーカーのTesla(テスラ)やNikola(ニコラ)に影響を及ぼすバッテリーセルの不足が続いていることについてのコメントを避けた。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は2021年2月末に大統領令を発令し、連邦政府機関に対し蓄電池、半導体、その他の重要品目のサプライチェーンにおけるリスクを特定するよう指示した。

GMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOは先週実施された仮想投資家向けのプレゼンテーションで、バッテリー不足が自社によるバッテリーセル製造に投資している理由の1つであると述べた。バーラ氏は同社の電池製造事業を成長させる計画に言及したが、具体的な内容には触れなかった。

「すでに発表している以上のことが起こります」と、バーラ氏は語っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMバッテリーEVLG化学

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Volvoが2030年までにEVへ全面移行、販売もオンラインに

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は、販売のオンライン移行を含む同社の広範なトランスフォーメーションの一環として、2030年までに生産・販売する車両をすべて電気タイプとすると明らかにした。

「持続可能性への鍵は電動化です」と同社のCEOであるHåkan Samuelsson(ホーカン・サミュエルソン)氏は現地時間3月2日のプレゼンテーションで述べた。「充電施設への投資とともに、とるべき正しい道であり、Volvoが選んだ道です」。

この発表は、同社のCMA車両プラットフォームをベースとした低床のクロスオーバーC40 Rechargeの立ち上げに際し行われた。C40はVolvoのEV(電気自動車)にフォーカスしたRechargeブランドで2つ目となるモデルである一方で、バッテリー式電動のみの車両としてまったくゼロからデザインされた初のモデルだ。完全電動とプラグインハイブリットパワートレインがあるすべてのVolvo車両はRechargeブランド下にある。XC40 Rechargeと同様、C40はGoogleのアンドロイドOSで動くインフォテイメントシステムを搭載し、無線ソフトウェアアップデートに対応する。

画像クレジット:Screenshot/Volvo

「初めてのクルマであり、未来のクルマでもあります」とCTOのHenrik Green(ヘンリック・グリーン)氏は述べ、C40が2つのモーター、78kWhバッテリーを搭載し、推定航続距離420kmはソフトウェアアップデートを通じて今後改善する、と付け加えた。C40の生産は2021年秋始まり、ベルギー・ヘントにある同社の製造プラントでXC40 Rechargeとともに組み立てられる、と話した。

中国の浙江吉利控股集団有限公司が所有するVolvoは世界販売の50%をEVに、残りをハイブリッドにすることを目指している。2030年までに販売車両はすべてEVになる、と同社は述べた。

サミュエルソン氏によると、欧州で2020年販売された車の3台に1台は充電できるプラグインハイブリッドのRechargeモデルで、Volvoは電動化の目標に向け順調だ。

同社の革命はパワートレインだけではない。

「将来の顧客への提案は電動自動車だけでは成り立ちません」とサミュエルソン氏は話した。「顧客に耳を傾ける必要があります。顧客は車を入手する際に透明性とシームレスなエクスペリエンスを期待しています」。

VolvoはEVをオンラインで原価販売する。顧客は車両を定期利用あるいは購入でき、顧客ケアパッケージが付いてくる。車両はまた、注文と納車の期間を短くするためにあらかじめ選ばれたコンフィギュレーションとなる。

Volvoの全電気自動車ブランドになるという動きはGM(ゼネラルモーターズ)やJaguar(ジャガー)を含む多くの自動車メーカーのものと同調している。GMは2021年3月、2035年までにEVのみの販売とするとし、2040年までに世界の事業をカーボンニュートラルにすると約束した。そして2020年11月には、今後5年で電気自動車の開発、自動化テクノロジーに270億ドル(約2兆8820億円)を注入すると発表している。この額はガス・ディーゼルへの投資を上回る35%増で、プロダクトのすばやいマーケット投入を狙っている。

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タグ:Volvo CarsEV

画像クレジット:Screenshot/Volvo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

印eコマース大手Flipkartが2030年までに2.5万台以上のEVを同国で導入

Walmart(ウォルマート)が所有するインドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)はインド時間2月24日、今後10年間で電気自動車(EV)への100%移行を達成するために、2030年までにサプライチェーンに2万5000台以上の電気自動車を配備すると発表した。

バンガロールに本社を置く同社は、国中でファースト&ラストマイルデリバリーを担う配達車両を製造するため、Hero Electric(ヒーローエレクトリック)、Mahindra Electric(マヒンドラ・エレクトリック)、Piaggio(ピアッジオ)などの大手EVメーカーと提携したと述べた。

この発表は、ライバルのAmazon(アマゾン)がインドで「100台近くの」電動三輪車を開発・導入するためにMahindra Electricと提携したと述べた翌日のことだ。米国のeコマース最大手である同社は2020年、2025年までにインド国内で1万台の電気自動車を導入する目標を発表した。

Flipkartは、同社の電気自動車には二輪車、三輪車、四輪車が含まれる予定で、車両はすべてインドで設計され組み立てられると述べている。同社によると、すでにデリー、バンガロール、プネー、ハイデラバード、コルカタ、グワーハーティーなどインド国内の「複数の場所」で電動二輪車と電動三輪車の配備を開始しているという。

近年、インド政府は同国内のガソリン車やディーゼル車を環境に優しい電気自動車に置き換えることを推し進めている。2019年にロイターが報じたところによると、インド政府はOla(オラ)やUber(ウーバー)などの配車サービス企業に対し、2026年4月までに車両の40%を電動に転換するよう命じる計画を立てているという。

FlipkartのEkartとMarketplace担当SVPであるAmitesh Jha(アミテス・ジャ)氏は声明の中で「物流車両の電動化は、Flipkartのより大きな持続可能性の目標の重要な部分であり、Climate GroupのEV100イニシアチブに対する当社のコミットメントと一致しています」と述べている。

「2030年までに物流車両を完全に電動化するというこの道のりの中では、必要とされるインフラの成長を支援しながら、現地の大手企業と協力して電気自動車を調達し、展開していきます。当社は、ビジネスと持続可能性の両方の目標を達成する上での電動モビリティの重要性を理解しており、国内での電気自動車の普及拡大に向けて道を切り開くことに尽力する所存です」と同氏は付け加えた。

同社は過去1年間、充電事業者、スキル開発機関、アグリゲーター、オリジナル機器メーカーを横断したエコシステムパートナーのネットワーク構築に取り組んできたと述べている。

2021年中に上場を予定している同社は、電気自動車のフリートに投入される3つのモデルを特定した。1回の充電で最大150km(93.2マイル)の航続距離を実現するHero Electric社のNyxシリーズ、「550kg(1212.5ポンド)のクラス最高の積載量」を特徴とするMahindra Electric社のTreo Zor、そしてPiaggio社のApe’ E Xtra FXの3車種である。

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タグ:Flipkartインド電気自動車物流eコマース

画像クレジット:Amarjeet Kumar Singh / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

フォックスコンが次期EV製造で米Fiskerと提携に暫定合意、年25万台超を生産へ

Apple(アップル)の主要サプライヤーであるFoxconn Technology Group(フォックスコン、鴻海科技集団)は、電気自動車(EV)のスタートアップが転じSPACにより上場したFisker(フィスカー)と、北米、ヨーロッパ、中国、インドで販売されるEVを開発し、最終的には製造することで暫定的な合意に達した。

FiskerとFoxconnは中国時間2月24日、覚書(memorandum of understanding、MOU)に基づく合意が締結されたと発表した。両社間の協議は今後も継続され、2021年の第2四半期中に正式なパートナーシップ契約が締結される見込みだ。

合意によると、Foxconnは2023年の第4四半期に生産を開始し、25万台超を生産の生産台数を見込んでいる。この電気自動車はFiskerブランドの製品となる。

Foxconn Technology GroupのYoung-way Liu(劉揚偉、ヤンウェィ・リュー)会長は、同社の垂直統合されたグローバルサプライチェーンと蓄積されたエンジニアリング能力を強調し、それらはEVの主要要素である電動モーター、電気制御モジュール、バッテリーの開発・製造において、同社に2つの大きな優位性を与えていると指摘した。

Foxconnが生産目標を達成したいのであれば、このサプライチェーンとエンジニアリングの迅速なスケールアップ能力は非常に重要になる。

「両社の協力により、研究開発から生産まで、わずか24カ月でFiskerの次期モデルを生産することが可能になり、新しい車両を市場に投入するのに必要な時間を従来の半分に短縮できます」とリュー会長は声明で述べた。

Fiskerによると、同社の初のEVであり、受託製造メーカーのMagna(マグナ)が製造するとされるSUV「Ocean(オーシャン)」の生産は2022年の第4四半期に開始されるという。同社は、2021年後半にはOceanの生産段階のプロトタイプを発表する予定だと述べている。

Foxconnが電気自動車製造に参戦するのは、これが初めてではない。

Foxconnは2020年1月、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と合弁会社を設立し、中国で電気自動車を製造することを発表した。その契約の下で、各当事者はベンチャーの50%を所有し、電気自動車の開発と製造を行い、Foxconnの親会社であるHon Hai(鴻海)が「クルマのインターネット(Internet of vehicles、IOV)」と呼ぶ事業に従事する。

そして2021年1月、Foxconnと中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding Group(浙江吉利控股集団、チョーチアン・ギーリー・ホールディング・グループ)は、自動車メーカー向けの受託製造に特化した合弁会社を設立することで合意している。

関連記事:フォックスコンと中国Geelyが提携、次のテスラを目指し自動車メーカー向けに電気自動車、自動運転車、シェアリング車を開発

FoxconnとGeelyの合弁会社は、自動車メーカーやライドシェア企業に対して、車両全体、部品、インテリジェントドライブシステムなどの、自動車エコシステムプラットフォームに関するコンサルティングサービスを提供していく。Geelyは自動車分野での設計、エンジニアリング、研究開発、インテリジェント製造、サプライチェーンマネジメント、品質管理などの経験を提供し、一方Foxconnは製造とICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)のノウハウを提供するという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Foxconn Technology Group電気自動車Fisker

画像クレジット:Fisker Inc.

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

Lucid Motors(ルシード・モーターズ)が特別買収目的会社(SPAC)であるChurchill Capital IV Corp.との合併を通じて公開企業となることに同意した。これまでのSPACと電気自動車スタートアップ間の取引で最大のものとなる。

サウジアラビアの政府系ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の合併取引における株式価値(合併後新会社の株式価値)は117億5000万ドル(約1兆2370億円)となる。上場企業の私募増資は1株あたり15ドル(約1580円)で、形式上の企業価値は240億ドル(約2兆5270億円)になる。発表の1週間以上前にBloomberg(ブルームバーグ)が匿名情報筋の話として合併交渉が最終段階にきていると報じていた

Lucidのケースは、いくぶん企業価値は小さいArrivalCanoo、Fisker、Lordstown Motorsなど2021年発表された他の電気自動車スタートアップのSPAC合併に続くものだ。EVgoやChargePointなど、いくつかのEVインフラ企業もまたSPAC合併を通じて公開企業となった

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Lucidは最も合併が予想された企業だったかもしれない。何週間にもわたって自由奔放に繰り広げられていた誇大広告と憶測によって、上場時に1株10ドル(約1050円)だったChurchill Capital IV Corp.の株価は2021年1月以来470%超上昇した。うなぎのぼりの株価は合併の詳細発表後に30%超急落した。

私募増資とChurchillからの現金によって、Lucidの調達総額は約44億ドル(約4630億円)になる。この資金は同社の計画を加速させ、拡大するのに使われる。同社は2021年下期に北米でLucid Airの生産と納車を開始する計画だ。これは注目すべきタイムラインの後ろ倒しで、同社は以前、2021年春の納車開始を目指していた。Airは2022年に欧州で発売され、翌2023年に中国にも投入される。重力パフォーマンスに優れた高級SUVは2023年に北米マーケットで発売される見込みだ。車両はアリゾナ州カサグランデに新設した工場で生産される。

資金は2種の車両のマーケット投入とともにアリゾナ州の工場を拡張するのにも使われる、とCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は米国時間2月22日に述べた。同社は生産能力を年36万5000台にするために今後数年かけて3段階で工場を拡大する計画だ。7億ドル(約740億円)をかけた工場拡張工事の第1段階は2020年末に完了し、年生産能力は3万台となる。

画像クレジット:Lucid Motors

今回の合併は、EVテクノロジーを他の自動車メーカーのようなサードパーティーに提供したり、住宅・商業・ユーティリティセグメントのエネルギー貯蔵に生かすというビジョンにLucid Motorsが目を開くのに役立つ、とローリンソン氏は述べた。

EV企業の事業を拡張することは安くもなければ、簡単でもない。Lucidは数年前に、超高級セダンAirの生産に必要な資金を提供する投資家を探すのに苦労し、万事休すのぎりぎりのところまでいった。結局、2018年9月にサウジアラビアの政府系投資ファンドがLucid Motorsに10億ドル(約1050億円)投資することに同意した。

Lucidは2007年にAtievaとして始まり、Teslaの元副社長で役員だった Bernard Tse(バーナード・ツェ)氏と、EVバッテリーテクノロジーの開発に注力していた起業家のSam Weng(サム・ウェン)氏によって設立された。初期の研究、開発そして部品と全体的な電動アーキテクチャの最終的な進展はLucidの将来にとって重要な基礎となった。同社はEVを生産するという目標とともに2016年末に登場した(同社は数年間静かにこの取り組みを進めていた)。2013年にTeslaを辞めてLucidにCTOとして加わったローリンソン氏はこの新たなミッションの原動力となっている。同氏はのちにCEO職と責任を引き継いだ。

Lucidは往々にしてTeslaの競合相手と目される一方で、ローリンソン氏はAirがドイツの自動車メーカーのガソリン車のフラッグシップMercedes S ClassのライバルになるはずだとTechCrunchに語った。2月22日に公開された投資家向けのプレゼンテーションは「Teslaはイノベーティブだがラグジュアリーではない」という同氏の先のコメントを反映している。Lucidは自らを「ポスト・ラグジュアリー」と称し、「確立されたラグジュアリー」ブランドのAudi、BMW、Mercedes-Benzと競合する、とした。

LucidはTeslaを手本にしていて、大量生産が始まればより安価なEVを提供する計画の概略を示した。

ローリンソン氏が引き続きCEOとCTOを担う。合併は2021年第2四半期にクローズする見込みだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lucid Motors電気自動車SPAC

画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Shellの気候計画における柱はEV充電ステーション、バイオ燃料、水素転換、化学物質

世界最大の上場石油製造会社の1社であるRoyal Dutch Shell Group(ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ)が、温室効果ガス排出ゼロの気候に配慮した社会の中で同社がいかに生き残って行くかについての計画を発表した

この計画は、「電気自動車充電ステーションの大規模な展開」「潤滑油、化学品、バイオ燃料の重視」「大幅に拡大した再生可能エネルギー発電ポートフォリオとカーボンオフセット計画の策定」「水素・天然ガス資源の開発を継続し、石油生産を年間1〜2%削減」「二酸化炭素の回収と貯留への多額の投資」という5つの主要な柱に基づいている。

これらは同社の事業全体にわたるもので、大手石油会社による、最も包括的でハイレベルな計画となっている。低排出、そして究極的にはゼロエミッションのエネルギーと電源への移行によって石油業界が次の犠牲者となることを防ぐごうとする内容となっている(石炭産業を指している)。

ロイヤル・ダッチ・シェルのBen van Beurden(ベン・ヴァン・バーデン)最高経営責任者は声明で、「私たちの力強い戦略は、炭素排出量を削減し、株主、顧客、そして社会全体に価値を提供することになるでしょう」と述べた。

同社はまた、株主の離脱を防ぐため、コスト削減を実施し1株当たり年間約4%の配当の増加を約束した。これは高価な石油・ガス探査事業に投資した投資家に資金を還元することを意味する。さらに、同社は負債を返済し、営業キャッシュフローの20〜30%を株主に支払うことも約束した。とても……思いやりがある。

画像クレジット:Bryce Durbin

計画

同社の推計によると、シェルは100万社以上の商工業顧客と約3000万人の顧客を擁し、4万6000の小売サービスステーションに顧客が毎日訪れる巨大企業である。同社は成長の機会、エネルギー転換の機会、そしてアップストリームの’掘削作業と石油生成作業が徐々に衰退していく状況について考えを整理した。

成長が見込まれる分野について、シェルは約50億から60億ドル(約5300億から6400億円)の投資を計画している。2025年までに50万カ所の電気自動車充電施設を整備すること(現在の6万カ所からの拡大)およびそれにともなう充電促進の小売・サービス拠点の強化などが計画に盛り込まれている。

同社はまた、バイオ燃料や再生可能エネルギーの生産拡大とカーボンオフセットにも重点的に投資すると述べた。同社は年間560テラワット時を2030年までに発電したいと考えており、これは現在の発電量の倍に相当する。シェルが独立系発電事業者として事業を展開し、1500万の小売および商業顧客に自然エネルギー発電をサービスとして提供することを期待したい。

さらに同社は、水素関連事業も成長可能な分野だと捉えている。

低炭素経済に移行できる資産をすでに保有しているシェルは、そこにさらに力を入れる意向だ。つまりゼロエミッションの天然ガス生産と化学品製造の3倍の削減を目指す(ダウとBASFに着目)。同社は100万トンのプラスチック廃棄物を処理して循環型化学製品を製造する方針を固めており、これはリサイクル率の向上にもつながる。

アップストリームは長年にわたって石油・ガス事業の中心だったが、同社は声明で「量よりも価値に焦点を当てる」と述べている。これが実際に意味するのは、掘削が簡単で低コストの油井を探し求めることであろう(これは石油経済において、当分の間中東が重要であり続けることを示している)。同社は石油生産量を年間約1%から2%削減する予定である。また、カナダのQuest CCS開発、ノルウェーのNorthern Lightsプロジェクト、オランダのPorthosプロジェクトなどを通じて、年間2500万トン相当の二酸化炭素の回収と貯留に投資を行う考えだ。

「私たちは、顧客が求め、必要としている製品とサービス、すなわち環境への影響が最も少ない製品を提供する必要があります」とヴァン・バーデン氏は声明で語っている。「同時に、これまでの強みを活かして競争力のあるポートフォリオを構築し、社会と歩調を合わせたゼロエミッション事業への転換を図っていきます」。

米ドル紙幣による貨幣または財務のグリーンパターン。銀行、キャッシュバック、支払い、Eコマース。ベクトルバックグラウンド(画像クレジット:Svetlana Borovkova / Getty Images)

マネートーク

同社は、主要事業からの収益が削減される中で生き残っていくために、営業経費を抑え、もはや意味のない事業の大きな部分を売却しようとしている。

つまり、年間の支出を350億ドル(約3兆7200億円)未満に抑え、年間売上高は約40億ドル(約4250億円)で、投資家への配当と現金の流れを維持していることになる。

「長期的には、資本投資のバランスは成長の柱の事業にシフトし、新たな設備投資の約半分はこれらの分野に行われるようになる」と同社は説明している。「キャッシュフローも同じ傾向をたどり、長期的には石油やガスの価格との関連性が少なくなり、より広範な経済成長との結びつきが強まることが期待される」。

シェルは、全従業員に支払われる給与の一部として炭素集約度の削減目標を設定しており、その目標は目を見張るものがある。2016年を基準とする炭素集約度の削減率を6〜8%(2023年)、20%(2030年)、45%(2035年)、100%(2050年)と想定している。

同社によると、同社の炭素排出量は2018年に年間1.7ギガトンでピークに達し、石油生産量は2019年にピークに達している。

背景

シェルがこうした措置を取っているのは、同社が望んでいるからではなく、そうする必要があるからだ。化石燃料の汚染と気候変動を止めるために何か劇的なことをしない限り、世界は深刻な結果に直面することが予測される。

今週初めに発表された調査で、化石燃料による大気汚染で世界の人口の18%が亡くなっていることが示された。ハーバード大学が率いる研究者らの報告によると、化石燃料を燃やすことはガンと同じくらい致命的だということだ。

化石燃料に直接結びついた人的代償以外にも、気候変動には膨大な損失が見込まれている。米国では、これを逆転させるための措置を取らない限り、2090年までに損失は年間5000億ドル(約53兆円)のに上ると推定されている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Shell電気自動車二酸化炭素充電ステーション

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:TechCrunch Japan)

脱炭素で注目が集まるエネルギー貯蔵スタートアップをVolta Energy Technologiesが支援

エネルギーおよびエネルギー貯蔵素材の最大手数社の支援で、エネルギー系企業への投資とアドバイザリーサービスを提供するVolta Energy Technologies(ボルタ・エナジー・テクノロジーズ)は、1億5000万ドル(約158億5000万円)を目標とした投資ファンドをおよそ9000万ドル(約95億円)でクローズしたことが、同グループの計画に詳しい人たちの話でわかった。

このベンチャー投資ビークルは、これでEquinor(エクイノール)、Albermarle(アルベマール)、Epsilon(イプシロン)、Hanon Systems(ハンソン・システムズ)の4社からすでに約束されている1億8000万ドル(約190億1000万円)のコミットメントを補うこととなった。しかもそれは、これまでになくエネルギー貯蔵技術への関心が高まった時期とうまく重なった。

内燃機関と炭化水素燃料からの移行が本格的に始まると、各企業は、大量の電気自動車(EV)と、いまだ開発段階にある再生可能エネルギーの大量貯蔵に欠かせないコスト削減とバッテリー技術の性能向上を、こぞって追求するようになった。

「資本市場は、脱炭素に巨大な投資機会を見込んでいました」と話すのは、Voltaの創設者で最高責任者のJeff Chamberlain(ジェフ・チェンバレン)氏。

同社は、2012年、オバマ政権下の米エネルギー省トップとチェンバレン氏が話し合いを始めたときに出たアイデアから誕生した。それは、チェンバレン氏がアルゴンヌ国立研究所在籍中に米国政府のバッテリー研究コンソーシアムに参加し、米国屈指の研究所となるJCESR(エネルギー貯蔵研究共同センター)の開設を率いた際の経験が、Volta Energyへと進化した。そこでチェンバレン氏は、民間セクターの投資パートナーに向けて、国立研究所の最先端の研究を活用して民間企業が最高のテクノロジーを生み出すと売り込んだ。

チェンバレン氏によれば、官民双方の研究機関からのVoltaへの支援は強力なかたちで続いたという。トランプ政権下においてさえ、Voltaの主導力はますます力を増し、化学、電気、石油ガス、そして産業熱利用の各業界の大手企業から1億8000万ドルという長期投資につながるファンドへの出資を引き出すことができたと、同氏は話す。

同社の計画に詳しい人たちの話では、1億5000万ドルを目標とし、2億2500万ドル(約237億7000万円)を上限とするこの新規投資ファンドは、現在の投資ビークルを補い、バッテリー業界に大きな資金の流れを作ることで同社の火力をさらに高めるという。

チェンバレン氏は制限があることを理由に、この投資の具体的な内容や条件の説明は避けたが、同社にはバッテリーとエネルギー貯蔵に関連する技術に投資すること、そして「電気自動車の普及と太陽光発電や風力発電の普及を可能にする」と語った。

最初のクリーンテックブームの際に、Voltaの頭脳を支える人たちは、大量の善意の資金がお粗末なアイデアに注ぎ込まれ、商業的成功を見ることなく消えていった様子を目の当たりにしたとチェンバレン氏はいう。Voltaは、エネルギー貯蔵分野で研究者たちが取り組んでいる本物の投資機会に関する教育を投資家たちに施し、そうした企業に資金を投入することを目的に創設された。

「投資家たちがゴミ焼却炉に資金を投げ込んでいると、私たちは感じていました。それが脱炭素へ悪影響を及ぼしかねないとも気づいていました」とチェンバレン氏。「私たちの全体的な目的は、膨大な個人資産の投資先をを各人に指南し、燃え続けるゴミ焼却炉への資金投入を止めさせることにありました」。

このミッションは、バッテリー市場にさらに多くの資金が流入するようになって、さらに重要性を増してきたとチェンバレン氏はいう。

EV業界でのNikola(ニコラ)のPOに端を発したSPAC騒動は、QuantumScape(クアンタムスケープ)のバッテリー関連SPACへ繋がり、その他もろもろのEV関連のOPを招き、やがてはあらゆる方面で、EV充電およびバッテリー関連企業への投資額が吊り上げられた。

チェンバレン氏はVoltaのミッションを、バッテリーと電力管理のサプライチェーン全般にわたる市場への参入を待つ、もっとも優れた新生の技術に資金提供し、生産を確実に軌道にのせ、伸び続ける需要を満たす準備の手助けをすることだと考えている。

「エネルギー貯蔵エコシステムと、その底流にある技術的な課題を深く理解していない投資家は、明らかに不利な立場にあります」と、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元幹部であり、Voltaの初期の投資家でもあるRandy Rochman(ランディー・ロックマン)氏は声明の中で述べている。「Voltaの知識がなければエネルギー貯蔵の世界では何も起こり得ないと、私は非常に明確に理解しました。エネルギー貯蔵への投資機会を特定し落とし穴を避ける上で、彼らに勝るチームはありません」。

Voltaからの新しい資金は、すでにいくつもの新しいエネルギー貯蔵法と実現技術の支援に向けられている。そこには以下の企業が含まれる。急速充電が求められる場所に適応する、プルシアンブルーを応用した高出力で火災の危険性がないナトリウムイオンバッテリーを開発するNatron(ネイトロン)、使われていない電灯線を利用して電力を分配することで、再生可能電力の統合を最適化し、電力網でのエネルギー貯蔵を可能にするハードウェアを開発するSmart Wires(スマート・ワイヤーズ)、移動体と電力網の両方に使える全固体リチウムバッテリーを製造するIonic Materials(アイオニック・マテリアルズ)。同社のプラットフォーム技術も、5Gモバイルや充電可能なアルカリ電池といった他の成長市場にも革新をもたらす可能性がある。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Volta Energy Technologiesエネルギー貯蔵再生可能エネルギー資金調達電気自動車

画像クレジット:NeedPix under a Public domain license.

原文へ](文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

米運輸省が初めて気候変動と環境正義プロジェクトに予算を配分

米運輸省による助成事業Infrastructure for Rebuilding America(米国を再建するためのインフラストラクチャ、INFRA)の一環として同省は初めて、総予算8億8900万ドル(約939億8000万円)の一部を気候変動と環境正義を対象とするプロジェクトに対し切り分ける。

助成採否の基準は、そのプロジェクトが、気候変動に対する総合的な戦略の一環であったり、無公害車の普及のためのインフラストラクチャや、交通や旅程の方法の変更などにより温室効果ガスの排出を削減する戦略を支援していることだ。

運輸長官のPete Buttigieg(ピート・ブティジェグ)氏が声明でこう述べている。「このかつてなく壊滅的なパンデミックから回復するために今こそ、わが国のインフラストラクチャに永続的な投資を行わなければならない。我々が本気で取り組むべきは老朽インフラストラクチャの再建だけでなく、米国人のコミュニティを未来の成功に導く道を再構築することである。それにより高給の雇用を作り出し、経済を活性化し、公平を確保し、気候の危機と戦うべきである。INFRAの補助事業は、これらの目標を達成するためのすばらしい好機である」。

同省の発表によると、人種的公正にも配慮される。その要求には、公平をベースとする福祉サービスと、行政サービスが十分に行き届かないコミュニティの受益、および近隣社会の好機と活性化と将来性を目指すプロジェクトが含まれている。

この新しい気候変動対策事業は、自動車などの電動化を目指しているスタートアップに意外に早く国の金が下りることを示しているとともに、すでに電気自動車産業を前進させている追い風にも、さらなる力を与える。さらに付随して、充電ネットワークも前進させる。

運輸省によると、助成事業のうち、大規模なインフラプロジェクトには2500万ドル(約26億4000万円)以上、承認要件を満たした小規模事業には500万ドル(約5億3000万円)以上が下りる。

助成の対象となるプロジェクトは再建、復興、不動産の取得(プロジェクトに関連する土地や土地改良のための土地など)、環境修復、機器取得、システムの性能に直結した運用方式の改善などとなる。

助成の申請は3月19日が締め切りだ

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:米運輸省気候変動環境正義電気自動車

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フォードが2030年までに欧州向け全車両を電動化

Ford(フォード)は米国時間2月17日、2030年までに欧州市場において電気自動車のみの販売を目指す新戦略を発表した。そのために10億ドル(約1060億円)を投じてドイツのケルンにある工場を改修し、Volkswagen(フォルクスワーゲン)のプラットフォームを使用して電気自動車を生産する予定だ。更新された工場における最初の生産車は、2023年までに出荷される予定となっている。

ヨーロッパフォードのStuart Rowley(スチュアート・ローリー)社長は同日、オンライン記者会見で発表した。

この新しい戦略では、ガソリン車から電気自動車への段階的な移行を目指す。Fordは2024年までに欧州で生産するすべての商用車を電動化するとしている。その2年後には、全ラインナップを電気自動車またはプラグインハイブリッドカーに転換する計画だ。なお同社によれば、2030年以降も欧州ではガソリン車の商用車を販売するとしている。Fordは現在、欧州での販売台数の3分の2を電気自動車が占めると見ている。

Fordの発表は、2035年までに電気自動車を中心に生産するとしたGM(ゼネラルモーターズ)による同様の公約に続くもので、同社は2035年までにほぼEVのみを生産すると述べている。FordもGMも、GMがほとんど撤退した欧州市場では小さなプレイヤーであり、Fordの市場シェアはわずか5%に過ぎない。

関連記事:GMが2035年までの全新車ゼロエミッション化、2040年までのカーボンニュートラル達成を発表

カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford電気自動車ヨーロッパ

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(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

GMがシボレー・ボルトEVのマイナーチェンジと新たに加わった兄弟車の電動クロスオーバーを発表

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間2月14日、2022年モデルとしてマイナーチェンジを受けた電気自動車「Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)」を発表。また、それと合わせてやや大きい(けれど、まだコンパクトな)「Chevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルトEUV)」と呼ばれる電動クロスオーバーのニューモデルを発表した。これらはGMが掲げる次の4年間で30車種の電気自動車を発表するという目標の一環だ。

米国で2021年夏に発売が予定されている両車は、まるで兄弟のような存在だ。同じアーキテクチャを共有するものの、明らかに異なる独自の特徴を備えている。新型シボレー・ボルトEUVは、ハッチバックのシボレー・ボルトEVと比べると、ホイールベースが75mm延長され、全長は161mm長い。これによってボルトEUVは、コンパクトなクロスオーバーながら、後部座席の足元スペースがハッチバックの915mmから、993mmにまで拡がった。

GMによれば、車名のEUVとは「electric utility vehicle」の頭文字を取ったものであるという。この新型車はまた、GMの「Super Cruise(スーパー・クルーズ)」と呼ばれるハンズフリー運転支援システムを、シボレーブランドのクルマで初めて搭載したということも注目に値する。ただし、この完全に手放し運転が可能(認可されている道路区間のみ)な機能は標準装備ではない。ドライバーは、ベース価格の3万3995ドル(約357万円)に追加料金を支払ってアップグレードする必要がある。

また、この3万3995ドルという車両価格も注目を浴びるに違いない。なぜなら、実際に現在ディーラーで販売されている2021年モデルのシボレー・ボルトEVより、わずかとはいえ安い値づけだからだ。これに合わせて、リフレッシュされた2022年モデルのシボレー・ボルトEV(詳細は後述)も、価格が引き下げられている。

ポイント:GMはその規模を利用して価格を下げ、EVを選択する気持ちが日増しに膨らみつつある消費者を惹きつけようとしている。

2022年型シボレー・ボルト EUV(画像クレジット:GM)

メーカー推定航続距離(1度の満充電で走行可能な距離)は、ボルトEVが416kmであるのに対し、ボルトEUVは402kmとやや短い。新たに採用されたDual Level Charge Cord(デュアル・レベル充電コード)が標準で付属し、プラグを交換するだけで120Vと240Vのどちらのコンセントからも充電できる。

EUVにはナビゲーションも搭載される。これは2台のボルトにとって重要な追加機能といえるだろう。2016年にデビューしたボルトEVはカーナビゲーションを搭載しておらず、地図や道案内はAndroid Auto(アンドロイド・オート)かApple CarPlay(アップル・カープレイ)に頼らなければならない。

重要なことは、これらの2モデルがいずれも、2020年春に発表されたGMの新しい「Ultium(アルティウム)」バッテリー駆動プラットフォームを採用した車両ではないということだ。Ultiumプラットフォームは、コンパクトカーから作業用トラック、大型プレミアムSUV、パフォーマンスカーなど、GMの各ブランドにおける幅広い製品群をサポートするように設計されている。ボルトEUVとボルトEVは、GMがより野心的なEV戦略に取り組む間、競争に参加し続けるために投入された、重要なプレースホルダーと見るべきだろう。

2022年型シボレー・ボルトEV

2022年型シボレー・ボルト EV(画像クレジット:GM)

GMが2月14日に発表したモデルはボルトEUVだけではない。同自動車メーカーは、4年以上前に登場したハッチバック型電気自動車のシボレー・ボルトEVにもマイナーチェンジを施した。

ポイント:スペックは変わらず、インテリアがアップグレードされ、価格は5500ドル(約58万円)下がった。

2022年型シボレー・ボルトの車台を支える「BEV2」と呼ばれる電動プラットフォームはそのままだ。

65kWhのバッテリーパックを搭載し、1度の充電で推定416kmの距離を走行可能。1基のモーター(デビュー当時と変わらず)が最高出力150kW(200hp)と最大トルク360Nmを生み出す。全幅は1765mmと変わらないが、全高は少しだけ高い1611mmとなった。全長は20mmほど短縮され、4145mmとなっている。

2022年型シボレー・ボルト EUV(画像クレジット:GM)

2022年型シボレー・ボルトは3万1995ドル(約336万円)からと、新型車のボルトEUVより2000ドル(約21万円)安い。その価格でGMは現代的にアップデートされたインテリアと、「快適性が向上した」というフロントシートを詰め込んだ。同社によると、これらの改良は顧客からのフィードバックに基づいたものだという。

車内には10.2インチのタッチスクリーンに加え、8インチのデジタルゲージクラスター(計器盤)を装備。従来と同様、2022年モデルもAndroid AutoとApple CarPlayに標準で対応する。前述したように、2022年モデルのシボレー・ボルトにはまだカーナビゲーションが標準装備されていないため、代わりに自分のスマートフォンをつなぎ、CarPlayやAndroid Autoを利用することになる。

2022年モデルで採用された新機能の1つとして、センターコンソールに備わるボタンを押すと、ワンペダル走行が可能になる。ドライバーはアクセルペダルを踏み込んで加速し、その足をペダルから離すと、車両に搭載された回生ブレーキが作動して、車両を減速・停止させる。つまり、ブレーキペダルに踏み変える必要がないわけだ。

ボルトEVには、Super Cruiseという名称で知られるGMのハンズフリー運転支援システムが搭載されていない。GMは、数年前からキャデラックに搭載してきたこのシステムを初めて採用するシボレー車に、新型車のボルトEUVを選んだ。代わりにハッチバックのボルトEVは「Chevy Safety Assist(シボレー・セーフティ・アシスト)」を標準で装備し(ボルトEUVも標準装備はこちら)、その6つの運転支援機能には、車線維持アシストや車線逸脱警報などが含まれる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GM電気自動車

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Shellが2025年までにEV充電ステーションを50万カ所に設置

今後4年で50万カ所に電気自動車(EV)充電ステーションを設置するというShell(シェル)の計画は、EV充電インフラブームを示す最新の証拠だ。ブームで投資家はこの業界に資金を注ぎ、需要に対応するのに必要な資本を求めて数社に上場を促した。

年初来、この業界の3社が特別買収目的会社(SPAC)に買収され、公開への道を歩んでいる。その一方で3分の1の企業が商業化に向けた取り組みのために名だたるプライベートエクイティ投資家から数千万ドル(数十億円)を調達した。

SPAC攻撃はEV充電ネットワークChargePointが市場価値24億ドル(約2500億円)でSPACのSwitchback Energy Acquisition Corporationと合併する契約を結んだ時に始まった。同社は米国時間2月16日にニューヨーク証券取引所に上場する。

関連記事:EV充電ネットワークのChargePointがSPACとの合併を経て上場へ

2021年1月、EV充電インフラを展開するEVgoは26億ドル(約2720億円)のバリュエーションでSPACのClimate Change Crisis Real Impact I Acquisitionと合併することに同意した。これはEVgoの非公開株式の所有者、電源開発投資企業のLS Powerにとって大きな勝利だった。現在EVgoの全株式を所有するLS PowerとEVgoの経営陣は全資本を取引に組み込む。第2四半期にトランザクションがクローズすれば、LS PowerとEVgoは新合併会社の株式74%を保有することになる。

関連記事:EV充電施設のEVgoがSPACとの合併を通じて上場へ

その後にもう1つSPAC案件が続いた。Volta Industriesが2021年2月、Tortoise Acquisition IIとの合併に同意した。この合併では、バッテリーを発明したAlessandro Volta(アレッサンドロ・ボルタ)氏にちなんだ社名のVolta Industriesのバリュエーションは14億ドル(約1470億円)になる。本取引によりSPAC会社の株価は今週初め31.9%上昇し17.10ドル(約1790円)になった。現在は15ドル(約1570円)前後で取引されている。

プライベートエクイティファームも引けを取らずこのゲームに参戦している。プライベートエクイティのエネルギー投資で有名なRiverstone HoldingsはFreeWireに投資してEV充電に賭けた。FreeWireは初め新規ラウンドで5000万ドル(約52億円)を調達した。

「不吉な前兆があり、投資家たちは時宜をとらえなければなりません。マーケットにある従来の投資機会から飛び立つフライトがあります」とFreeWireのCEOであるArcady Sosinov(アーカディ・ソシノフ)氏はインタビューで述べた。「石油・ガス企業から、そして従来のユーティリティから去るフライトがあります。他の機会に目を向けなければなりません。これは今後10年で最も大きな成長機会となるでしょう」。

FreeWireは現在BPとインフラを展開しているが、同社の充電テクノロジーはファーストフード企業、郵便局、グローサリーストア、あるいは人々が足を運び20分間から1時間ほど過ごす場所であればどこにでも導入できる。米連邦政府が所有する車両をEVにするというバイデン政権の計画があり、郵便局は実際に充電ネットワークとなる大きな機会を手にしている、とソシノフ氏は話した。

「モビリティの電動化が魅力的だと我々が感じている理由の1つは、『もし』とか『どうやって』ではなく『いつ』だからです」とRiverstoneでESG(環境、社会、ガバナンス)責任者でパートナーのRobert Tichio(ロバート・ティキオ)氏は述べた。「ノルウェーや北欧に比べ、浸透率は驚くほど低い。そうした国々は浸透率2桁を達成しています」。

俳優のWill Ferrell(ウィル・フェレル)氏が登場した最近スーパーボウルで流れたGMのコマーシャルは、EV浸透においてノルウェーがいかに進んでいるかを示した。

交通の電動化における資本の需要は年間7500万ドル(約79億円)に近づき始めます」とティキオ氏は話した。「あなたの疑問への短い答えは、我々がともに政治的に、社会的に、そして経済的に抱えている資本の需要は、我々がどこに向かうかという観点でコンセンサスを得て転換点を迎えます」。

ShellはすでにEV充電インフラをいくつかのマーケットで展開している。2019年に同社はロサンゼルス拠点のEV充電デベロッパーのGreenlotsを買収した。また初めには英国のEV充電会社Ubitricityも買収している

「顧客の需要が進化するにつれ、我々はさまざなま種の代替エネルギーソースの提供を増やしていきます。これらはデジタルテクノロジーに支えられ、どこへ運転して移動する必要があろうが人々に選択肢とフレキシビリティを提供するものです」とShellのNew Energies代表取締役副社長Mark Gainsborough(マーク・ゲインボロー)氏はGreenlots買収に関する声明で述べた。「今日の米国ドライバーの低炭素エネルギー需要に応える最新の投資は、より良い明日をつくるという当社の広範な取り組みの一環です。EV充電をよりアクセスしやく、ユーティリティや事業者、コミュニティにとってより魅力的なものにするための一歩です」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Shell電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Shell

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタが米国市場に電気自動車3モデルを2022年に投入

米国時間2月10日、Toyota Motor North America(北米トヨタ、TMNA)は新しく電動自動車3車種を米国市場に投入すると発表した。多くの自動車メーカーが米国の排ガス規制やゼロエミッションをクリアする乗用車、SUVを提供して顧客を獲得しようとしているためだ。

関連記事:アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

トヨタによれば、2車種は全電気式、1車種はプラグインハイブリッドだという。実車の販売開始は2022年になると予想されている。

TMNAのセールス担当上級副社長であるBob Carter(ボブ・カーター)氏 によると、顧客ニーズに適するパワートレインの選択肢を提供することが目的だという。トヨタはプリウスなどのハイブリッド、RAV4などのプラグインハイブリッド、ミライなどの燃料電池車の開発と販売を行っている。

同社によれば、2025年までにトヨタブランドと高級ブランドのレクサスの各モデルでオプションとして電動パワートレインが選択できるようになる。またトヨタはさまざまなニーズに適合するよう組み合わせることができるe-TNGAと呼ばれる独自のバッテリー電気プラットフォームを開発している。

こうした努力はすべて温室効果ガスの排出量を削減して市場シェアを獲得することを目的としている。トヨタは、この目標を達成するには多様性を提供する必要があると考えている。同社は2025年までに新車販売台数の40%を電動モデルに置き換える計画だ。EVの割合は2030年までに70%弱まで増加すると見込んでいる。

TMNAのCEOでToyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のチーフサイエンティストであるGill Pratt(ギル・プラット)氏は声明で次のように述べている。

運輸部門で温室効果ガスを削減する最も速い方法は、ドライバーのニーズに適合した低炭素パワートレインのオプションを提供することだと信じています。あらゆる価格帯で複数のパワートレインを提供することにより、北米全体でより多くの人々がよりクリーンな自動車に乗るようになり、もっとも短時間で炭素排出総量に最大の削減効果をもたらすことができるでしょう。

トヨタは、温室効果ガス排出削減にともなう所有コストの上昇というトレードオフを検証するツールを利用した調査を行ってきた。その結果、バッテリーの充電に使用される電力を生み出す際に米国の発電所から排出される温室効果ガスを考慮した場合、現在の完全電気式バッテリーモデルとプラグインハイブリッドモデルの温室効果ガス排出総量はほぼ同等であることを発見した。

トヨタの電気自動車戦略はバッテリー型とプラグインハイブリッド型の環境に対する負荷がほぼ同様であるという同社の調査に基づいている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:トヨタ自動車EVアメリカ温室ガス効果

画像クレジット:Toyota

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(文:Kirsten Korosec 翻訳:滑川海彦@Facebook

アウディが同社初の電動スポーツセダン「e-tron GT」を発表、欧州では約1270万円から

Audi(アウディ)はドイツ時間2月9日、新型電気自動車「e-tron GT quattro(イートロンGTクワトロ)」と、その高性能バージョンである「RS e-tron GT quattro」を発表した。このドイツの自動車メーカーにとって、両車はその拡大を続けている電気自動車ラインアップにおけるフラッグシップであり、初のSUVやクロスオーバーではないモデルだ。

アウディ e-tron GTとRSは、2018年に発表されたSUV「e-tron」と翌年の「e-tron Sportback(イートロン・スポーツバック)」に続く、(米国市場では)3台目と4台目の電気自動車だ。さらに5番目のモデルとして、もう1つのSUV「Q4 e-tron」の導入が予定されている。これらのe-tronモデルはすべて、2025年までに30台以上の電気自動車とプラグインハイブリッド車を発売するというアウディの計画の一環である。

「このクルマは古典的なGTの、新しい、非常に進歩的な解釈です」と、アウディデザインの責任者であるMarc Lichte(マルク・リヒテ)氏は、9日のプレゼンテーションで語った。「それは、スーパースポーツカーのようなプロポーションと、実際に4人が乗れる使い勝手の良さを併せ持つということです。そして、それはまったく新しいものです」。

画像クレジット:Audi

2021年春に量産が始まり、今夏には米国市場に投入されるe-tron GTは、スポーティなパッケージにパフォーマンスとラグジュアリーが詰め込まれている。ベース車のe-tron GTは、前後に1基ずつ搭載された2つのモーターが合計で350kW(476ps)、オーバーブースト時は390kW(530ps)に相当する出力を発生し、93.4kWhのバッテリーで487km(欧州のWLTP基準)の距離を走行できる。

一方、RS e-tron GTはエントリーレベルのGTと同じフロントモーターを装備するが、後輪側にはより強力なモーターが搭載され、それらの組み合わせによって合計最高出力440kW(598ps)、オーバーブースト時は475kW(646ps)を発揮。その結果、RS e-tron GTはゼロから100km/hまで3.3秒で加速し、最高速度は250km/hに達すると同社は述べている。WLTP基準の航続距離は472kmとなる。

この両車は、Porsche Taycan(ポルシェ・タイカン)と同じ800Vの高電圧システムを採用しており、バッテリー残量5%から80%まで22分30秒で充電できるという。これは業界で最も速い充電速度の1つだ。

e-tron GTは、ポルシェと800Vの充電システムを共有しているだけではない。同じVWグループに属するアウディとポルシェは、e-tron GTとタイカンを共同開発した。この2モデルは、シャシーや「J1」と呼ばれるEV専用プラットフォームも共通だ。

画像クレジット:Audi

e-tron GTの車内には、12.3インチの「Audiバーチャルコックピット」と呼ばれるデジタルインストルメントクラスター(メーターパネル)と、10.1インチのタッチスクリーンが標準装備されており、音楽やナビゲーションのほか、充電ステーションの検索といった電気自動車に特化した機能を、これを使って操作できる。オーナーは追加料金を払ってヘッドアップディスプレイを装備することも可能だ。

レザーフリーのインテリアは多くのリサイクル素材が使われており、「Dinamica」と呼ばれる人工スウェードが標準だが、オプションでナッパレザーも選択できる。

すべてのパフォーマンスとラグジュアリーは価格に反映される。2月中に予約受付が始まる欧州での価格は、e-tron GTが9万9800ユーロ(約1270万円)から、RS e-tron GTは13万8200ユーロ(約1750万円)からとなっている。米国ではe-tron GTのベースグレードが9万9900ドル(約1050万円)で、その上級トリム仕様が10万7100ドル(約1120万円)、RS e-tron GTは13万9900ドル(約1460万円)から。オプションを追加していけばこの価格よりさらに高くなるわけだが、ハイビームの照射を自動で配光するマトリクスLEDヘッドライトは、米国仕様では選ぶことができない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AudiVW電気自動車

画像クレジット:Audi eventVW(スクリーンショット)

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電動原付スクーターのシェアサービスRevelがEV充電ステーション事業を起ち上げ

電動原付スクーターのシェアサービスを展開するスタートアップ企業Revel(レベル)が、ニューヨーク市に電気自動車用のDC急速充電ステーションを建設中だ。これは同社の新事業の1カ所目で、いずれは他の都市にも拡大が計画されている。

ブルックリンの旧Pfizer(ファイザー)ビルに新設されたこの「Superhub(スーパーハブ)」には、30台の充電器が設置される予定で、24時間いつでも一般利用が可能になると、同社は米国時間2月3日に発表した。これは、Revelがニューヨーク市全域で開設するスーパーハブのネットワークの最初のものになると、同社は述べている。

RevelはEV充電器を自社で開発しているわけではない。ブルックリンで最初に設置された10台の充電器には、Tritium(トリチウム)社製の新型モデル「RTM75」が使用されており、この春から稼働する予定だ。Revelによると、これらの充電器は約20分間で100マイル(約161km)を走れる電力をEVに供給できるという。

EV充電ビジネスは、都市を電動化するためのミッションであるとRevelは説明する。この動きは、GM、Ford(フォード)、VWグループといった伝統的な自動車メーカーに加え、新規参入を図るRivian(リヴィアン)やEV業界のリーダーであるTesla(テスラ)などの企業が、ますます多くの電気自動車を製品ラインアップに加えていることを受けてのものだ。

Revelの充電ステーションは、同社にとって2018年に発表した電動原付スクーターのシェアリングサービス以来の新事業となる。Frank Reig(フランク・ライグ)氏とPaul Suhey(ポール・スヘイ)氏が設立したRevelは、ブルックリンで試験プログラムを開始し、後にクイーンズ、ブロンクス、マンハッタンの一部にまで事業を拡大していった。2019年10月にIbex Investors(アイベックス・インベスターズ)が主導したシリーズAラウンドで2760万ドルの資本を調達したおかげで、急速な成長を続けている。このエクイティラウンドには、新たにToyota AI Ventures(トヨタAIベンチャーズ)が参加し、Blue Collective(ブルー・コレクティブ)、Launch Capital(ローンチ・キャピタル)、Maniv Mobility(マニブ・モビリティ)もさらなる投資を追加した。

現在、ニューヨークではRevelによる数千台の原付スクーターがレンタル可能になっている。同社は業務開始から18カ月で、オースティン、マイアミ、ワシントンD.C.など他の都市にも原付スクーターのシェアサービス事業を拡大した。2020年はオークランドでも事業を開始し、同年7月にはサンフランシスコで営業許可を取得した。

とはいえ、原付スクーターのシェアサービスはどこでも成功しているわけではない。Revelは2020年12月、オースティンから撤退した。ライグ氏は当時、新型コロナウイルス感染流行が、マイクロモビリティのシェアサービス全体で利用者数の減少を引き起こしていることに加え、同市の根深い自動車文化が、その浸透の妨げになると証明されたと語っていた。

関連記事:電動モペット配車サービスRevelがオースティン撤退、根強い自動車文化に敗北

カテゴリー:モビリティ
タグ:電気自動車充電ステーションRevelニューヨーク

画像クレジット:Revel

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Fraunhoferがリチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられる素材を開発

独Fraunhofer研究所が、リチウムイオン充電池の10倍のエネルギー密度で水素を蓄えられ、圧力容器も不要という歯磨き粉状の素材「Powerpaste」を開発したと発表しました。

水素燃料電池車が使う水素は、圧力容器に35MPa(約345気圧)という高圧で圧縮して貯蔵され、使用されます。しかしこのタンクは大柄で重く、電動バイクやスクーターの水素燃料電池に利用するには不都合となります。Fraunhoferの研究者らは、この問題を解決するため水素化マグネシウムを使って水素を化学的に保存し、必要なときにすぐに放出可能とする安全な方法を作り上げました。

マグネシウムの粉末は約350°C、大気圧の5〜6倍のプロセスで水素と結合し、水素化マグネシウムになります。そこにエステルと金属塩を加えれば、カートリッジ型の容器に入れられる、歯磨き粉のようなペーストになります。

Powerpasteは、温度環境が250℃までの状態で安定して使え、同じ重さのリチウムイオン電池の10倍のエネルギーを蓄えられるとしています。具体的にわかる比較の仕方で言えば、ガソリン車を超える航続距離を実現できるほどのエネルギーを蓄えられるということです。

ペーストからエネルギーを取り出すには、必要な量のペーストをチャンバーに押し出し、制御した状態で水と反応させ水素を放出させます。そこから先は通常の燃料電池車と同じ。なぜここまでのエネルギー密度を取り出せるのかと言えば、最終的にエネルギーに変換される水素のおよそ半分がペーストと反応させるための水からも供給されるから。

Fraunhoferは、このPowerpasteを燃料電池式の電動バイクやスクーターに採用する場合、Powerpaste充填済みのカートリッジをステーションで交換する仕組みを想定しています。そうすることでまるでカセットコンロのボンベを交換するように、安全かつ即座に走行を続けることが可能になります。電動スクーターのように充電するための場所を探したり、電気自動車のように充電器の順番を待つことはありません。

またカートリッジ式にすることで、カセットボンベ式草刈り機や発電機といった別の用途へのエネルギー供給にも利用の幅が拡大できる可能性があります。カートリッジの重量にもよるものの、たとえば大型のドローンなんかにも使えるかもしれません。

一方、バイクよりも搭載スペースが大きく取れる乗用車や大型トラックなどにPowerpasteを使うことを考えると、カートリッジ式にするよりもペーストそのものを車体が備えるタンクに充填する方が簡単になる可能性もあります。この場合も比較的安価な機材を揃えるだけで、ペーストの交換が可能になるとのこと。高圧水素ガスを直接扱うよりも安全なのは言うまでもありません。

Fraunhoferは業界内でのパイロットプログラムのために年間4トンの生産能力を持つ製造設備をすでに建設中とのことです。

さて、いいことばかりのように思えるこのペースト状の水素燃料ですが、本当にそれが効率的かどうかは、おそらく大きな熱エネルギーを必要とする、Powerpaste製造時のエネルギー効率がどれぐらいかにもよるかもしれません。

また水素を取り出した後のマグネシウムをどう処理するのかはリリースには記されておらず、そのまま水素化マグネシウムとしてリサイクルできるのか、はたまた極端な話使い捨てになるのかで、全体的な効率は大きく変わってくるはずです。またペーストやカートリッジのステーションまでの輸送にかかるコストなども、厳密には考慮しなければならないはずです。

もし、Powerpasteが太陽光などクリーンエネルギーのみで製造、リサイクルでき、そして既存のガソリンスタンドなどで豊富にかつ安価に販売できるのなら、われわれにとっても安全かつ理解しやすい便利な次世代燃料として普及していくのかもしれません。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ニュース
タグ:電気自動車 / EV(用語)燃料電池バッテリー(用語)Fraunhofer

EVが制度面で追い風を受ける中、バッテリー会社が最新のSPACターゲットに

バッテリーが投資家にとって最新の着地目標だ。

先週だけでも、2社が特別買収目的会社(SPAC)と合併して上場企業になる計画を発表した。欧州のバッテリーメーカーFREYRは米国時間1月29日、14億ドル(約1470億円)のバリュエーションで特別買収目的会社を通じて上場企業になると語った。ヒューストンのスタートアップMicrovastは米国時間2月1日、自身のSPACを30億ドル(約3150億円)のバリュエーションとともに発表した。

2社の売上高が1億ドル(約105億円)強(FREYRはまだバッテリーを製造していない)で、バリュエーションの合計が44億ドル(約4620億円)というのは、将来信じがたいほどのバッテリー需要がなければ、ばかげているように思われる。

GM(ゼネラルモーターズ)やFord(フォード)などのレガシーな自動車メーカーは、ポートフォリオを電気モデルにシフトするために数十億ドル(数千億円)を投じてきた。GMは2020年、電気自動車(EV)と自動化技術の開発に今後5年間で270億ドル(約2兆8350億円)を費やすと述べた。一方、多くの新規参入者は、電気自動車の生産を開始する準備をしているか、スケールアップしている。たとえばRivian(リビアン)は2021年夏に電動ピックアップトラックの販売を開始する。同社にはまた、数千台のEVバン製造でAmazon(アマゾン)が接近した。

米国政府がその需要の一部を後押しする可能性がある。バイデン大統領は先日、米国政府が連邦政府の自動車、トラック、SUVの全車両を米国で製造された64万5047台の電気自動車に置き換えると発表した。つまりGMとFordだけでなく、Fisker(フィスカー)、Canoo(カヌー)、Rivian、Proterra(プロテラ)、Lion Electric(ライオンエレクトリック)、Tesla(テスラ)などの米国を拠点とする企業にも多くの新しいバッテリーを供給する必要がある。

一方、世界最大の都市のいくつかは、独自の電化イニシアチブを計画している。Royal Bank of Canadaの調査によると、上海は2025年までに電気自動車がすべての新車購入の約半分を占めるようにしたいと考えており、すべての公共バス、タクシー、配送トラック、公用車を同じく2025年までにゼロエミッションにする予定だ。

中国の電気自動車市場は世界最大の市場の1つであり、政策が世界の他の地域よりも大幅に進んでいる

中国のEV市場での追い風がおそらくMicrovastへの多額の投資の理由の1つだ。100年の歴史を持つ産業用自動車メーカーであるOshkosh Corp、8兆6700億ドル(約910兆円)の資金管理会社であるBlackRock、Koch Strategic Platforms、プライベートエクイティファンドマネージャーのInterPrivateなどが投資した。これは、Microvastの既存の投資家に、中国で最もコネクションを持つプライベートエクイティおよび金融サービス会社であるCDH InvestmentsとCITICSecuritiesが含まれていたためだ。

Microvastは、商用車と産業用車両に力を入れている。同社は商用電気自動車の市場が短期間に300億ドル(約3兆1500億円)規模になると考えている。現在、商用EVの売上高は市場のわずか1.5%を占めるにすぎないが、同社によれば、2025年までに9%に上昇すると見込まれている。

「当社は2008年、電気自動車が内燃機関車と競争できるような革新的なバッテリー技術を開発することにより、モビリティ革命の推進に着手しました」とMicrovastの最高経営責任者であるYang Wu(ヤン・ウー)氏は声明で述べた。「それ以来、当社は3世代のバッテリー技術を発表しました。この技術により競合他社よりもはるかに優れたバッテリー性能を顧客に提供してきました。長年の事業運営を通じて商用車オペレーターの厳しい要件を満たすことに成功してきました」。

約3万台の車両でMicrovastのバッテリーが使われている。同社への投資には約8億2200万ドル(約860億円)の現金が含まれている。この現金で2022年までに9ギガワット時に達するよう製造能力を拡張する。同社によると、この資金のおかげで約15億ドル(約1580億円)の契約上の義務を果たすことができるはずだという。

中国の投資家が来たるMicrovastの株式公開で大きな勝利を収めるなら、米国の複数の投資家と巨大な日本企業が1社、FREYRの株式公開を心から待っている。Northbridge Venture Partners、CRV、伊藤忠商事はすべて、欧州の投資家ではないとしても、FREYRのエグジットから利益を得るとみられる。

この3社は、International Finance Corp.と並んで、ボストンを拠点とするスタートアップである24Mの投資家であり、その技術はバッテリーを製造するFREYRにライセンス供与されている。

FREYRの株式公開は、バッテリーおよび材料科学業界で革新を起こしてきた長い歴史を持つシリアルアントレプレナーで教授でもあるYet-Ming Chiang(イエット・ミン・チアン)氏にとっても勝利となると思われる。

MITの教授である同氏は過去20年間、最初に今はもうないバッテリースタートアップのA123 Systemsで、それから次のような多数のスタートアップで持続可能な技術に取り組んだ。3Dプリント会社のDesktop Metal、リチウムイオンバッテリー技術開発の24M、エネルギーストレージシステム設計のForm Energy、別のアーリーステージのエネルギーストレージスタートアップであるBaseload Renewablesだ。

Desktop Metalは特別買収目的会社に買収された後、2020年に公開した。24Mは現在、欧州の製造パートナーの1つであるFREYRへの多額の現金注入によって勢いを得ようとしている。

ノルウェー本社のFREYRは、母国のサイトの周りに5つのモジュール式バッテリー製造施設を建設する計画を立てており、今後4年間で最大43ギガワット時のクリーンバッテリーを開発する予定だ。

FREYRの最高経営責任者であるTom Jensen(トム・ジェンセン)氏にとって、24Mテクノロジーには2つの大きな魅力があった。「それは製造プロセスそのものです」とジェンセン氏は語った。「彼らが行っているのは基本的に電解質を活物質と混合することです。これにより電極を厚くし、バッテリー内の不活性物質を減らすことができます。さらに、実際にそれを行うと、多くの従来の製造ステップは不要になります。従来のリチウムバッテリーの製造と比較して、製造工程は15ステップから5ステップへと削減されます」。

こうしたプロセス効率は、セル内の大量のエネルギー含有材料と組み合わされ、バッテリー製造プロセスの根本的な革新につながる。

ジェンセン氏は、同社の計画を完全に実現するには25億ドル(約2630億円)が必要だが、それには流動性が必要だったと述べた。同社はSPACのAlussa Energy Acquisition Corpと合併した。このSPACにはKoch Strategic Platforms、Glencore、Fidelity Management & Research Company LLC、Franklin Templeton、Sylebra Capital、Van Eck Associatesなどの投資家が名を連ねる。

これらの投資はすべて、世界が決められた時間軸で車両電化の目標を達成するために必要だ。

Royal Bank of Canadaは2020年12月の電気自動車業界に関するレポートで「バッテリー式電気自動車(BEV)は2020年の世界需要の約3%を占めるのに対し、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)は約1.3%を占めると予測する」と指摘した。「しかしこうした低い数値から、力強い成長を見込んでいる。2025年までの成長が依然として規制により主導される場合、BEVの世界全体での普及率は新たな需要により約11%に、CAGR(年平均成長率)は2020年の水準比で約40%になり、PHEVの普及率は約5%に、CAGRは35%になると見込まれる。2025年までに、西ヨーロッパでのBEVの普及率は約20%、中国で約17.5%、米国で7%になる。これに比べ、内燃機関(ICE)車両は、2025年まで2%のCAGRで(周期的に)成長すると予想される。純粋な台数ベースでは、2024年にピークを迎えると見られる」。

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タグ:電気自動車バッテリーSPACMicrovastFREYR

画像クレジット:RONNY HARTMANN/AFP / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがRivian製電動バンを使った荷物配達テストをLAで開始

Amazon(アマゾン)はRivian(リビアン)が設計・製造した電動バンを使って顧客への配達をロサンゼルスで開始した。

Amazonの米国時間2月3日のアップデートによると、2040年までに二酸化炭素排出量をゼロにするという同社のClimate Pledge(気候公約)の一環である電動バンの量産は2021年末まで始まらないという。何台の電動バンでテストが行われているのか、同社は明らかにしなかった。

顧客への配達は、バンの性能やさまざまな気象や地域での安全耐久性を調べるためにAmazonとRivianが行っているテストの一環だ。路上テストは4カ月以上前に始まった。現在使用している車両はミシガン州プリマスにあるRivianの本部で製造され、1回のフル充電で150マイル(約240km)走行できる。Rivianのエンジニアはイリノイ州ノーマルにある工場での生産開始に向けて引き続き車両の改良を行う。

一方で、こうした電動車両は2021年にさらに15都市の配達ルートに登場する予定だ。最終的にAmazonは電動バン10万台を展開する。この数字は今後数年間でRivianに発注する台数だ。

AmazonとRivianは、顧客への荷物配達を開始する4カ月前にテスト・開発プロセスの一環として車両のテストを開始した。Amazonはまた新車両に対応できるよう建物の改修も始めており、何千ものEV充電ステーションを北米と欧州の配達ステーションに設置した、と述べた。

「オンライン上で目にする写真から、車両を直接見ようと当社のドライバーを止めるクルマファンまで、これまでのところ顧客から熱い反応が寄せられています」とAmazonのグローバル車両・プロダクト担当ディレクターRoss Rachey(ロス・レイチー)氏は声明文で述べた。「この取り組みは最速のモダン商業電動化プログラムの1つであり、当社は大変誇りに思っています」。

Rivian製の電動バンの外観は、今日ガソリンで走行しているバージョンと同じデザイン特徴を備えている。角が若干丸く、全体的に滑らかな見た目だ。

実際の違いはバンに搭載された電動アーキテクチャとカスタム機能にあり、ここには高速道路運転・交通アシスト機能、ドライバーがデジタルディスプレイで車の周り360度をチェックできる外部カメラ、ドライバーが乗降りしやすいよう従来よりも広いキャビン内部床面積、ブレーキ視認性向上のためのサラウンドテールランプ、3段棚とドアで仕切られた貨物スペースなどが含まれる。またAmazonのAlexa音声アシスタントも搭載されている。

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タグ:AmazonRivian電気自動車ロサンゼルス

画像クレジット:Amazon

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが2035年までの全新車ゼロエミッション化、2040年までのカーボンニュートラル達成を発表

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は2040年までのカーボンニュートラル実現を目指すと発表した。同社の全製品からの二酸化炭素排出をなくすか、今後20年でカーボンクレジットやカーボンキャプチャで二酸化炭素排出を相殺する。

同社はまた、2035年までに全製品を電動にすることも明らかにした。

温室効果ガス排出量のかなりの部分を占める製品を生産する企業にとって、これは大きなステップだ。温室効果ガス排出はグローバル気候変動の原因となっている。今回の発表に先立ち、同社は2020年に、かなりの数の新EV(電気自動車)の立ち上げと電動化への270億ドル(約2兆8200億円)の投資を約束していた

GMは全製品を電動化するというビジョン策定にあたって環境防衛基金と協業し、2035年までに軽量自動車のガス排出をなくす方向で取り組むと述べた。内燃エンジン搭載の車両が大多数を占めている現在のポートフォリオは移行すると同社の広報担当はTechCrunchに語り、最優先すべきはそのシフトに従業員を合わせることだとも述べている。

GMはまた、充電事業にも足を踏み入れる。「必要な充電インフラを構築するために政府、パートナーそして世界中のサプライヤーと協力し、再生可能エネルギーと電動車両充電の使用を促します」と話した。

オペレーションの電力について、同社は2030年までに米国内の全施設で、2035年までに世界中の施設で再生可能エネルギー電力を使うことも明らかにした。

こうした取り組みは今後サプライチェーンにも拡大する予定だ。同社はガス排出量を減らし、透明性を高めて持続可能な素材のソースを増やすのにサプライヤーと協業している。

「EVは排気ガスを出しませんが、製造にともなうインパクトと充電を計画に組み込むことは決定的に重要です。さらに多くの再生可能エネルギーのソースへのアクセスを提供するために電気会社と協業することで、当社は未来のEVの全製造サイクルの問題を解決でき、当社の車両やオペレーションを超えてさらに拡大できるというメリットもあります」と同社CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は声明で述べた。

この計画はGMだけでの取り組みを超え、広範なトランスフォーメーションを要することになる、とバーラ氏は述べている。「というのも、EVへ移行させることは現状では可能ではありません。これは適切な車両が存在していない、もしくは住まいや職場における充電へのアクセスが限定されているからです」。

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タグ:GM電気自動車二酸化炭素カーボンニュートラル

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi)

イーロン・マスク氏が電動トラックTesla Semiの生産準備は整ったがバッテリー不足がネックと発言

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2020年第4四半期の決算報告の場で、全電動パワートレーンを採用した貨物輸送セミトラックTesla Semi(セミ)の工学系の開発が完了したことを発表した。同社は2021年中にTesla Semiの出荷を開始したいと考えているが、第4四半期収支報告書とマスク氏の話によると、生産にブレーキをかけている問題としてバッテリーセルの供給不足があるという。

「現在、たとえばTesla Semiといった新型車の開発を加速できない最大の原因は、ひとえにセルの不足です」とマスク氏。「今すぐSemiの生産しようと思えば、すぐにでも簡単に始められますが、十分な数のセルが手に入りません」。

だがマスク氏は、同社の4680バッテリーパックの生産が始まれば、需要に見合う十分な数のセルが揃うはずだと主張する。このバッテリーパックは、いわゆる「タブレス」構造による高エネルギー密度のもので、走行距離が長い独自開発の新型セルだ。

「Tesla Semiには乗用車の5倍のセルが使われますが、販売台数は乗用車の5倍というわけにはいかないので、現在、生産するのは理に適いません」とマスク氏。「しかし、セルの生産制限が解消されたなら、ただちに生産を開始するのが最善策です」。

その制約は、同社バンの開発予定にも同じ影響を与えているとマスク氏はいう。そしてセルの制約が解消された場合には、同様にそのカテゴリーの車種も開発を進めることができるようになると彼は話す。

Teslaには、年間計200ギガワット時の生産能力を有するインフラを2022年までに整備することで、セルの製造を「飛躍的」に増大させる大計画があり、同年までには実際にそのおよそ40%の生産を可能にするという目標を掲げている(将来、製造工程の改善によりセルの電力量、つまりギガワット時は増加し、その後も次第に向上していくとのことだ)。

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タグ:Teslaイーロン・マスク電気自動車バッテリー

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(翻訳:金井哲夫)