欧州で急速に拡大、電動キックボード大手の独TierがWind Mobilityのイタリア子会社を買収

ドイツ・ベルリン拠点のeスクーター(電動キックボード)会社でヨーロッパ全域で急速に拡大しているTier(ティア)は、Wind Mobility(ウィンド・モビリティ)のイタリア子会社、Vento Mobility(ベント・モビリティ)を買収した。

Tierは2021年11月、ドイツの自転車シェアリングプラットフォームNextbikeを買収したばかりであり、サービスの多様化を図り、マイクロモビリティ帝国の足場をさらに固めようとしている。創業以来Tierは製品戦略、デザイン、経営、エンジニアリング、試験、品質管理、教育、サポート、スタッフ支援などのデジタルサービスを提供するMakery(メーカリー)や、バッテリー交換のスタートアップ、Pushme(プッシュミー)も買収している。

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一方、Windの側を見ると、最近イスラエルの事業をロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)に売却しており、避けられない業界統合にWindが徐々に屈服していると見ることもできる。同社はこれまでに計7200万ドル(約81億8000万円)を調達しており、最後の調達ラウンドは2019年のシリーズAだった。ちなみに、Tierは10月にシリーズDラウンドの一部として2億ドル(約227億4000万円)を調達し、調達総額を6億4700万ドル(約735億8000万円)とした。

Windは今後の戦略に関するTechCrunchの追加質問に答えなかった。

米国時間12月14日、Tierの最初の電動キックボードがバリとパレルモで利用できるようになり、今後数日数週間のうちにイタリアの他の都市も続く予定だ。Tierはすでに18カ国165都市で運用中で、同社の電動キックボードは組み込みヘルメット、ハンドルバーとリアウィングの方向指示器、大型前輪ホイールとトリプル・ブレーキなどを備えている。

Windはイタリアの11都市で4500台の電動キックボードを展開していた。Tierによると、同社はWindの車両を置き換えるのではなく、自社の電動キックボードを投入するつもりだと語ったが、既存の車両をどうするかについての質問には答えなかった。Tierは、Windの現地スタッフを引き継ぐことは明言した。

画像クレジット:Tier Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

食料品を15分で届けるクイックコマース「Grovy」、東欧進出と持続可能性で差別化を図る

Grovyのファウンダーたち(画像クレジット:Grovy)

また1つ、食料品を15分配達の「クイックコマース」スタートアップがこの分野に参入し、山ほどの企業があふれるこの市場に加わろうとしている。しかし、Grovy(グロービー)は、混み合っているヨーロッパ西部を避け、東部で日常デリバリーのリーダーになることを目指している。

300万ユーロ(約3億8000万円)の調達ラウンドをLighthouse Ventersのリードで完了した同社は、フランクフルトとマインツでドイツ市場への参入を果たした後、すでにプラハ、ブカレストにオフィスを構え、中央および東ヨーロッパへの拡大を図っている。

多くの企業が、最大20%にのぼる高い手数料と低賃金のギグワーカーに依存しているのに対し、Grovyはフルタイム労働者のみを雇い、配送手数料を5%に固定し、40ユーロ(約5120円)以上の注文では無料だと同社は語る。

同社のもう1つの特徴は持続可能性で、配達には自転車とEV(電気自動車)のみを使用し「見た目の悪い」野菜や賞味期限の迫った生鮮食品を割引販売している(食品廃棄物の軽減に役立つ)他、食品廃棄物のスタートアップであるToo Good To Goらと提携し、カーボン・オフセット・プログラムも導入している。

Grovyの共同ファウンダーでCEOのJustin Adams(ジャスティン・アダムス)氏は「フランクフルトとマインツというクイックコマース需要の高い地域は実験に理想的でした。しかし、このモデルをドイツの他の都市へ展開するのではなく、未だに10分配達が目新しくスケーリングの可能性が膨大な中央・東ヨーロッパ地域の大都市へこのモデルを持ち込むことにしました」。

筆頭出資者であるLighthouse VenturesのマネージングディレクターMichal Zalesak(マイケル・ザレサク)氏は次のように語った。「Grovyは、通常の食料品チェーンなら1年かかることをわずか数週間で成し遂げました。膨大な競争圧力にもかかわらず、クイックコマースにおける同社独自のアプローチは、ドイツで驚くべき成功を収めました。私たちは彼らのヨーロッパ中東部への進出を支援します」。

Grovyには、ドイツのGorillas(ゴリラズ)とFlink(フリンク)、ワルシャワのLisek(リセック)などの直接的な競合がいるが、同社が運用しているヨーロッパの他の都市の大部分では、Bolt(ボルト)やDeliver Hero(デリバリー・ヒーロー)などの1時間配達のライバルしかいない。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ハーレーダビッドソンの電動バイク部門「LiveWire」がSPACで上場へ

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は、同社の電動バイク部門であるLiveWire(ライブワイヤー)を、AEA InvestorsとBridge Fund Managementの幹部らが出資するブランク・チェック・カンパニー(白地小切手会社)との合併を通じて上場する。

特別買収目的会社(SPAC)であるAEA-Bridges Impact Corp(ABIC)との契約では、Harley-Davidsonが大部分の所有権を維持し、LiveWireは公開市場から得られる資金を利用できるようになるとともに、台湾のオートバイメーカーKymco(キムコ)を主要パートナーとして迎える。

合併資金はABICが委託されている4億ドル、Harley-Davidsonが出資する1億ドル(約113億6000万円)、およびKymcoからの1億ドルで賄われる。

Harley-Davidsonは新合併会社の約74%を保有する。SPACの株主が17%を保有し、残りの4%をSPACのファウンダーとKymcoが保有する。合併会社の企業評価額は約17億7000万ドル(約2010億8000万円)、契約完了時の資金調達後価値は約23億1000万ドル(約2624億3000万円)。

Harleyは大きい所有権を得ることでは、LiveWireに対する十分な権力と監視能力を持つ。Harley-Davidsonの取締役会長兼社長兼CEOであるJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏が新会社の会長に就任する。同氏は契約完了から最大2年間LiveWireのCEOを兼務する。Ryan Morrissey(ライアン・モリッシー)氏がLiveWireの社長に就任する。

新たな資金は、LiveWireの市場開拓戦略、新商品への投資、および世界の製造および流通機能の強化に使用される。新会社、LiveWireは子ども向け全電動バランスバイク(ペダルなし自転車)のSTACYCも取り扱う。その生産能力の一部はKymcoが提供するもので「低コスト生産を通じた主要世界市場と軽二輪およびスクーター分野への参入」を可能にすると、Harleyが投資家向けプレゼンテーションで話した。

契約完了によって、LiveWireは米国発の上場EVオートバイ会社となり、NYSE(ニューヨーク証券取引所)でティッカー・シンボルLVWで取引される。

画像クレジット:Harley-Davidson

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

南アフリカのスタートアップPhractylが、アフリカ全土に環境に悪影響を与えない持続可能なモビリティともたらすべく開発したeVTOL(電動垂直離着陸)機「Macrobat」を発表しました。

「自然からインスピレーションを得て」デザインされたその外観はまるで鳥のよう(Macrobatというだけにコウモリ?)。機体下部には2本の足があり、着陸時にはやはり鳥のように各関節が可動して、後傾姿勢になってパイロットの乗り降りをサポートします。後傾の姿勢では機体が45度、プロペラ部分がさらに20度上を向いた状態になり、離陸の際はこのまま飛翔し、足を折りたたんで格納するとしています。

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

外観だけを見るとなんだかバッサバッサと羽ばたくのかとも思ってしまいますが、さすがにそれはありません。ただしプロペラ部分が水平に対し約65度の角度で回転して浮上するため、PhractylはMacrobatを”ほぼ垂直離着陸機”と定義し、electric near-vertical takeoff and landing、略してeNVTOLと称しています。

南アフリカのスタートアップPhractylが奇抜な鳥形デザインのeVTOL「Macrobat」の開発発表

Phractyl

なぜこの機体に鳥のような足を持たせることを選択したのかについては、Phractylは他の地域に比べてアフリカ大陸は非常にユニークな状況にあるためだと説明します。アフリカはその多くの場所で滑走路もヘリポートも整備されておらず、将来eVTOLの時代が到来することを想定したときに、未舗装で凹凸がある場所でも離着陸が可能になるよう考慮した設計にしたからとのこと。

また、PhractylはMacrobatについてCGイメージのとおりプロペラを2基にすることにはこだわらず、必要ならば小型プロペラを4基搭載し、冗長性を持たせた設計にすることも可能だとしました。想定されるMacrobatの最高飛行速度は180km/hで、航続距離は約150km。最大積載重量は約150kgとなっています。定員は1人とされるものの、医療品や物資の配送用途を想定して無人でも飛べるようにし、ほかには人がアクセスしにくいインフラや設備の点検、農業用薬剤の散布といった様々な条件の作業で人の代わりになることも想定しています。

Phractylは、現在開発中の試作機を公開できる時期を示していませんが、これを完成させるべく資金調達のための様々なキャンペーンを「積極的に」展開し「縮小版のプロトタイプを作るため努力している」とのことです。

(Source:PhractylEngadget日本版より転載)

【レビュー】2022 Polestar 2、Android OSと交換可能なバッテリー&パーツがEVに磨きをかける

2020年、Polestar(ポールスター)が発売した最初の電気自動車は、デュアルモーターの全輪駆動構成、インセンティブ前の価格が約5万ドル(約570万円)という単一の仕様だった。しかし同社は2022年、新たなバリエーションを増やすという。

新たにPolestarが発売するのは、シングルモーターの2輪駆動バージョンのセダンだ。デュアルモーターのPolestar 2の特徴を多く備えながらも、より手頃な価格でより環境に優しい、電気自動車への切り替えを検討している人にとっては魅力的なオプションとなっている。今回、試乗であれこれとチェックさせてもらってきた。

シングルモーターVSデュアルモーター

画像クレジット:Kirsten Korosec

シングルモーターの「2022 Polestar 2」の航続距離は270マイル(約435km)とされており、パワーはやや劣りオプションもやや少ないが、ドライブを快適にしてくれるあらゆるテクノロジーが搭載されている。

デュアルモーターのように2つのモーターで4輪を駆動するのではなく、231馬力のパワーと243ポンドフィートのトルクをすべて前輪に配分するのがシングルモーターバージョンだ。2022 Polestar 2シングルモーターには、前輪と後輪の間の床下に78kWhのバッテリーパックが搭載されており、同社によると使用可能容量は75kWh。Polestar 2デュアルモーターにも同じバッテリーパックが搭載されている。Polestarは充電の高速化やバッテリーの設定を微調整して効率を上げるための無線アップデートをすべての車両において取り組んでいる。

The 2022 Polestar 2シングルモーターセダンには、オプションで機械式ヒートポンプ(Plus Packで4000ドル、約45万円増)が追加でき、より厳しい気候でも充電量を維持できるようになっている。同社によると特定の気候条件の下では、ヒートポンプが外気から熱を集め、航続距離を最大10%延長することができるという。Polestarの試算によると、2022 Polestar 2シングルモーターは、ヒートポンプを活用すればさらに27マイル(約43km)の航続距離を得ることができるということになる。

今回のモデルではフル装備のLaunch Editionが廃止され、Polestar 2シングルモーターがその代替となっている。Launch Editionではガラス製だったルーフを金属製に変更し、環境に配慮した内装を採用して装備を簡素化しているが「パック」と呼ばれる複数のオプションも用意している。

ヒートポンプ、ガラス製パノラミックルーフ、Harman Kardon(ハーマン・カードン)製プレミアムオーディオ、ワイヤレス携帯電話充電器などがセットになった「Plus Pack」を選ぶことも可能だ。筆者が試乗したPolestar 2のプロトタイプにはこのパックが搭載されていた。また、アダプティブ・クルーズ・コントロールやLEDエクステリア・ライティングなどを含むPilot Pack(3200ドル、約36万円増)を選ぶこともできる。残念ながら、筆者が運転した車両にはアップグレードされたADASシステムが搭載されていなかったため、同社がいうレベル2の運転支援機能を試すことはできなかった。

ネイティブAndroid OSとOTAアップデート

画像クレジット:Kirsten Korosec

Polestar 2は、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSを初めて採用した車でもある。Volvo(ボルボ)も、Volvo XC40 Rechargeのような一部車両にAndroid Automotive OSを展開しているが、Polestarはブランド全体でこのプラットフォームを採用している。

Android Automotive OSはLinux上で動作するオープンソースのOSで、Polestarをはじめとする自動車のインフォテインメントシステムの基盤OSとして使用されている。その結果「Googleアシスタント」や「Googleマップ」「Google Playストア」などのGoogleのサービスが車にあらかじめ組み込まれているわけだ。Android OSは、スマートフォンの機能や操作感を車のセンターディスプレイに映し出すことができる、OSの上にある副次的なインターフェースであるAndroid Autoとは異なるものである。

関連記事:グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2022 Polestar 2では「Hey Google」というフレーズを使うことで、エアコンや道案内の操作など、車内のほぼすべての機能をボイスコントロールで利用することが可能だ。Googleのインフラはかなり一般に浸透しているため、誰でも非常に直感的に操作することができるだろう。

足もとが熱いことをシステムに伝えると、GoogleのOSがフットウェルの温度を下げてくれる。サンタバーバラで一番おいしいタコス屋を見つけたければ、筆者がやったようにGoogleに検索してもらい、そこまでナビゲートしてもらえば良い。運転中にタッチスクリーンに触れたことはほとんどなく、必要なことはGoogleにお願いするだけでほぼすべてのことができてしまった。

自然言語認識はGoogleが長年にわたって取り組んできたもので、その性能はますます向上している。このシステムを使っているとき、筆者は何度かリクエストを失敗したり、写真を撮るために地元のビーチに立ち寄ろうとしてぎこちないリクエストをしてしまったりしたことがあったのだが、システムは動揺することなく筆者の言葉を解きほぐし、要求した通りのことをやり遂げてくれた。

筆者が乗ったPolestar 2シングルモーターには、充電ステーションがAndroid OS上のGoogleマッププラットフォームに統合されていたのだが、ここには注意点がある。

Googleにルート上の充電スタンドを検索してもらうと、ブランドごとにフィルタリングをすることができる。しかし充電器が利用可能、または稼働中かどうかは教えてくれない。PolestarはChargePoint(チャージポイント)と提携して充電サービスを提供しているため、センタースクリーンにインストールされたChargePoint Appを使って選択した充電器の詳細を知ることができるが、画面をタップ操作する必要があるため最寄りの充電器に向かう前に一度車を止めることになるだろう。筆者の場合は、ハリウッドのパシフィックデザイン・センターからサンタバーバラまでの往復200マイル(約322km)の旅において、充電のために停車する必要はなかった。

同社によると、DC急速充電器であれば約30分で80%の充電が可能とのこと。Polestarのテクニカルオペレーション・スペシャリストであるGlenn Parker(グレン・パーカー)氏によると、これまでは80%充電するのに40分かかっていたためいくらか短縮されている。また、すべてのオーナーにアップデートを展開していく中で、今後も無線によるアップデートを継続することで、ポートフォリオ全体の効率と航続距離を向上させていくとパーカー氏は話している。

利用可能な充電器を探すのは面倒だが、Google MapsがPolestar 2の技術基盤に統合されたことで、新しい場所に移動したり、途中で寄りたい場所を追加したりするたびに推定航続距離が表示されるのは実に良い。筆者の日帰りドライブではロサンゼルスに戻るタイミングが悪く、ウェストサイドの渋滞に45分間も引っかかってしまったため、航続距離が20%ほど落ちてしまったのだが、最終的にはシステムが当初想定していた航続距離よりも数マイル多い状態で各目的地に到着したのはうれしい驚きだった。

路上にて

2022 Polestar 2デュアルモーターの試乗(ビデオクレジット:Kirsten Korosec)

Polestar 2シングルモーターは、静かかつ快適で、速い。同社によると0-60mphを7秒で達成できるとのことで、これは大したことではないように思えるが、特に低回転域のトルクがすぐに発揮されるため、加速車線から高速道路に合流するには十分な速度である。

筆者が試乗したプロトタイプでは、ステアリングフィールやワンペダルブレーキなど、いくつかの運転機能を調整することができ、車線逸脱警報などの運転支援システムのオン / オフを切り替えることもできた。残念ながら、前述のとおり筆者の試乗車には同社がPilot Packで提供している先進運転支援システムが搭載されていなかったため、それを試すことはできなかった。

電気自動車の楽しさの1つに、ブレーキモード(Bモード)、つまりワンペダルドライブがある。これはアクセルを離したときに、走っている車輪から得られる回生量を調整するものである。

Polestar 2では、ゆっくりと停止することができ、インフォテインメント画面で「Creep」モードの設定を切り替えると、アクセルペダルを踏まなくても車両がゆっくりと動きだす。筆者はほとんどの電気自動車を最もアグレッシブなブレーキ設定で運転しているが、これはロサンゼルスの交通事情においては最も効率的で楽しいモードだからである。Polestar 2の最高設定に多くの人は驚くかもしれないが、数分で慣れ、誰でも直感的に使えるようになる。ただし、筆者は回生ブレーキモードと組み合わせたときに不自然さを感じたので「Creep」機能はオフにした。

また運転中9割は「Firm」と呼ばれる最もアグレッシブなステアリング設定を使用した。基本的には選択した設定に応じてステアリングの比率が変わるシステムで「Firm」は最もダイレクト感のあるレスポンスを提供し、よりソフトな設定だとゆったりとしたレスポンスとなる。

修理、再調整、リサイクルの権利

同社は環境に配慮した製品づくりと素材選びにこだわりを持っており、自動車に搭載するバッテリーのライフサイクル全体に対して積極的に取り組んでいる。パーカー氏によると、同社はバッテリーに使用するコバルトの採掘をブロックチェーンで追跡しており、自動車の製造に使用する他の要素の追跡にもこのシステムの使用を検討しているという。

これに加え、同社はバッテリーとオーナーのライフサイクルについても比較的包括的に考えている。

Polestar 2シングルモーターのスタックパックは、部品が故障しても個別に交換することができ、パーカー氏によると1つの部品が故障した場合、同社がその材料を再び回収して閉ループシステムを形成するという。「再製造や、戻ってきた部品の再利用の方法を検討しています」と同氏。また同社では、修理方法の説明や、オーナーが直接購入できる部品カタログへのアクセスも提供している。

Polestar 2シングルモーターの価格は4万5900ドル(約520万円)からで、2022年1月から販売が開始される予定である(デスティネーションフィーおよび税金は含まれていない)。7500ドル(約85万円)の連邦税優遇措置と一部の州での優遇措置により、3万5000ドル(約400万円)程度まで下げることが可能だ(これにも税金とデスティネーションフィーは含まれていない)。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

フォード、EV「マスタング・マッハE」の生産能力を2023年までに3倍に

Ford(フォード)は2022年、EV(電気自動車)「Mustang Mach E(マスタング・マッハE)」の生産を拡大する。「驚異的な需要」に対応するため、2023年までに現在の生産能力を3倍にする計画だと、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏が米国時間12月10日遅くにツイートした。

マスタング・マッハEの具体的な見通しが示されたのは、今回が初めてだ。

Fordは11月、2023年までにEVの生産能力を世界で60万台に引き上げると発表した。この目標の中には、Mustang Mach E、F-150 Lightning、Eトランジット商用バンの台数が含まれる。60万台という数字は、Fordが今後2年間で見込んでいた生産台数の2倍だ。

ファーリー氏はこうツイートした。「驚異的な需要に応えられるほどにMustang Mach Eを迅速に生産するのは難しいと思いますが、必ず挑戦します。2022年から生産量を増やし、2023年には北米と欧州で年間20万台以上の生産を見込んでいます。2021年の生産量の3倍にあたります」。

FordはTechCrunchに対し、一部車種をメキシコのクアウティトラン工場で製造すれば、Mustang Mach Eの生産台数を増やせると述べた。

ツイートと同じ日に、Automotive Newsの報道があった。同誌は、Fordがサプライヤーに送ったメモに基づき「Explorer(エクスプローラー)」と「Lincoln Aviator(リンカーン・アビエイター)」クロスオーバーのバッテリーEVバージョンの生産開始を約18カ月遅らせていると報じた。いずれのEVバージョンも、メキシコのクアウティトラン工場で組み立てられる予定だった。

フォードはこれまで、Mustang Mach Eの生産初年度(2021製造年度)の販売台数は、北米と欧州で5万台程度になると予想していた。同社の最新の販売データによると、欧州では第3四半期末までに1万5602台米国では11月末までに2万4791台のMach Eを販売した。合計4万393台の販売であり、目標としていた5万台の販売は達成するはずだ。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが米国のレアアース磁石生産を強化する2つの契約を締結

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)はこの1年間、2020年代末までに生産する数百万台の電気自動車のために、バッテリーセルの製造や正極活物質、リチウム、さらにはスクラップを原材料に変えるリサイクルなど、国内のサプライチェーンを確保してきた。

現在、GMC Hummer EC、Cadillac Lyriq、Chevrolet Silverado EVなど、今後発売される電気自動車のモーターに使用されるレアアースの鉱物、合金、完成品の磁石を、MP Materials(MPマテリアルズ)との提携と、ドイツのVACとの別の契約により、国内で調達しようとしている。その結果、米国内に2つの施設が新設され、レアアース磁石の国内生産が強化される。

GMは、自動車の車輪を動かすトルクを生み出す電気モーターの主要部品である磁石を大量に必要としている。GMは、2025年までに30台の新型EVを世界市場に投入し、2035年までにすべての生産車両をゼロエミッションにする計画だ。GMC Hummerだけでも、最大1万1500ポンドフィートのトルクを持つ3つのモーターが搭載される可能性がある。

提携により、GMとVACは、電気モーター用の永久磁石を製造する工場を米国内に建設する。VACとの合意は、現時点では拘束力がない。GMの幹部は、12月9日の手短な会見で、両社は2022年初めに最終的に合意する見込みだと述べた。工場の生産開始は2024年を予定している。施設の場所は後日発表されると両社は述べた。

MP Materialsとの契約は、鉱山から磁石への提携、という意味合いが強い。レアアースは、カリフォルニア州にあるMP Materialsの鉱山で採掘・加工された後、テキサス州フォートワースにある20万平方フィート(約1万8580平方メートル)の新施設で金属や磁石に加工される。MPによると、リサイクルは両拠点で統合されるとのことだ。

この施設では、年間約50万台のEV用モーターに使用可能なネオジム合金と磁石を生産する予定だ。2023年に段階的に生産を開始する。

画像クレジット: MP Materials

今回の契約は、米国で唯一のアクティブでスケールの大きなレアアース生産拠点を所有・運営しているMP Materialsにとって注目すべきものだ。 かつては世界最大のレアアース生産拠点であったマウンテン・パス・サイトは、過去数十年の間にいくつかの手を経てきた。2008年にChevron(シェブロン)がMolycorp(モリコープ)という会社に売却した。Molycorpは鉱山の再稼働、さらには拡張を意図していたが、最終的には破産に追い込まれた。

MP Materialsは2017年7月にマウンテン・パスを買収した。MPによると、現場は稼働しておらず、わずか8人の従業員が手入れやメンテナンスをするために残されていたという。その後、MPは操業を再開し、米地質調査所によると、下の写真のマウンテン・パス・サイトは2020年までに世界の生産量の15%超に相当する3万8500トン以上のレアアースが濃縮されて含まれていた。

画像クレジット:MP Materials

これはまた、米国でのレアアース生産を支持する人々にとっても、画期的な出来事だ。レアアースは世界中に存在し、かつては米国でも採掘されていた。しかし、企業は2003年までにレアアースの採掘をやめ、代わりに中国から購入するようになった。電気モーターに使用されるネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)永久磁石の開発は米国で始まったが、現在の主な生産国は中国、ブラジル、インドだ。中国はレアアース焼結磁石の生産量の約90%を占めている。

GMとMP Materialsは、フォートワース工場を他の磁石メーカーへのNdFeB合金フレークの供給拠点として活用し、多様で強靭な米国の磁石サプライチェーンの構築に貢献すると共同発表した。MP Materialsによると、フォートワースの施設は、マウンテン・パスで年間に生産されると予想される6075トンの酸化ネオジムの10%未満を消費するという。

GMは10月にも、General Electric(ゼネラル・エレクトリック)のクリーンエネルギー部門であるGEリニューアブルズとの間で、レアアース素材の供給について協力し、磁石、銅、電気用スチールの供給を改善する方法を検討するという非拘束的な合意を発表した。その際、両社は、銅や、自動車のトラクションモーターや再生可能エネルギーの発電に使用されるリサイクル素材を一部使用した「eSteel」の新たなサプライチェーンを検討する意向を表明していた。

この取引は現在も進行中のようだ。GMの広報担当は「北米を中心としたEVサプライチェーンを強固で弾力的、かつ拡張可能なものにするためには、コラボレーションが重要な要素となります。我々は正式契約を完了させている最中です」と電子メールで述べた。

画像クレジット: General Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GM、シルバラードEVの生産を2023年初頭に開始予定

GM(ゼネラル・モーターズ)はCES 2022でシルバラードEVを公開する予定だが、実際に手に入るまでにはかなりの時間がかかりそうだ。Automotive Newsによれば、GMはその主力電気ピックアップの生産を2023年初頭に開始し、その年の後半に販売を始めることを明らかにしたという。それは、2021年12月に出荷されるハマーEVピックアップよりもずいぶん遅れるし、現在は2023年初頭に出荷が予定されているハマー電動SUVにも数カ月遅れることになる。

GMはすでに重要な詳細のいくつかを小出しにしているが、それでも全体的な詳細に関してはまだ伏せたままだ。シルバラードEVは、ハマーやキャデラック・リリックと同じ駆動機構とUltium(アルティウム)バッテリー技術を利用し、400マイル(約640km)以上の航続距離と4輪ステアリングの採用を約束している。通常バージョンには目立つインテリアとしてガラスルーフが採用されているし、商用ユーザーのためのバージョンも用意されている。

登場のタイミングは理想的ではない。シルバラードEVは、主要なライバルになることが予想されるフォードのF-150ライトニングから1年以上後に登場する。Tesla(テスラ)のサイバートラックも、より早く到着するかもしれない。価格はまだ不明だが、新興EVであるリビアンR1Tが今後2年間、シルバラードの顧客の一部を吸収する可能性はあるだろう。CES 2022での発表は、関心を呼び起こし、期待を高める重要な役割を果たせるかもしれない。購入を検討している層は、シルバラードがさらに待つ価値があるかどうかを知りたいと思うだろう。

編集部注:本記事の初出はEngadget。著者のJon Fingas氏はEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:GM

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(文: Jon Fingas、翻訳:sako)

フォードやBMWが支援するSolid Powerが上場、全固体電池開発の競争激化

Ford(フォード)やBMWが支援する全固体電池開発企業のSolid Power(ソリッドパワー)が、米国時間12月9日に上場した。取引開始直後に株価は急上昇している。

Solid Powerは、電気自動車関連分野では数少ない、特別買収目的会社(SPAC)との合併により上場した企業だ。同社は6月にSPACのDecarbonization Plus Acquisition Corp III(ディカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポ III)との合併を発表。合併後の市場評価額は12億ドル(約1360億円)とされていた

この合併では、株主投票前償還が著しく少なかったため、最終的にSolid Powerに約5億4290万ドル(約615億円)の現金がもたらされた。これは事前に推定されていた6億ドル(約680億円)に非常に近い金額だ。この現金には、1億9500万ドル(約221億円)のPIPE(上場企業の私募増資)と3億4790万ドル(約394億円)の信託現金が含まれる。

この資金は、世界初の電気自動車用全固体電池の実用化を目指す同社にとって必要なものになる。全固体電池とは、液体ではなく固体の電解質を用いることからその名がついたもので、次のブレークスルーとなる電池技術として注目を集めている。開発者によると、可燃性の電解液を使用しないために、従来の電池にともなう火災のリスクを最小限に抑えることができ、さらにエネルギー密度(すなわち電池の重量や体積あたりの航続距離)にも優れているという。

Solid Powerは現在、コロラド州にある工場を拡張し、2022年初頭に商用品質の100アンペア電池セルを試験的に生産する準備を進めているところだ。この電池セルは、同社に出資しているフォードやBMWの自動車でテストに使われることになっている。Solid Powerは今回の上場で得た資金を、2026年と予想される車両への搭載までの運営資金に充てる計画だ。

関連記事:固体バッテリー開発のSolid Powerが生産能力拡大、2022年にフォードとBMWに試験用バッテリーを納入

同社の長期的なビジネスプランは、業界大手のLG Chem(LG化学)やSK Innovation(SKイノベーション)のような大規模な電池メーカーになることではない。最終的な目標は、メーカーや製造業者にセルのライセンスを供与することである。「長期的に考えれば、当社は素材メーカーです」と、同社CEOのDoug Campbell(ダグ・キャンベル)氏は、先日のTechCrunchによる取材に語っていた。「私たちは、固体電解質材料の業界リーダーになりたいと考えています」。

Solid Powerは、SPACを通じて株式公開した唯一の全固体電池開発企業でもなければ、大手自動車メーカーから投資を受けている唯一の企業でもない。

実際、ライバルのQuantumScape(クァンタムスケープ)はVolkswagen(フォルクスワーゲン)の支援を受けており、Stellantis(ステランティス)とMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は新規参入のFactorial Energy(ファクトリアル・エナジー)に資金を提供するなど、大手自動車メーカーは全固体電池の開発競争に出馬する馬を選んでいるようだ。

QuantumScapeも、2020年11月にSPAC合併による上場を完了させた。他のモビリティ系SPACと同様、株価は変動が激しく、12月には114ドル(約1万3000円)まで上昇した後、20~25ドル(約2270〜2830円)程度で落ち着いている。Solid Powerの株価が同じような激しい変動にさらされるかどうかはまだわからない。同社の株は「SLDP」というティッカーシンボルで取引されている。

画像クレジット:Solid Power

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

軍用自動運転車両開発Robotic Researchが約258億円調達、商用分野に進出

過去20年間にわたり米国防総省向けにオンロードおよびオフロードの自律走行車を開発してきた自動運転技術企業のRobotic Research(ロボティック・リサーチ)が、シリーズAラウンドで2億2800万ドル(約258億円)を調達した。同社は、SoftBank Vision Fund 2とEnlightenment Capitalがリードした今回のラウンドで得た資金を商業分野での事業構築に使う。

Crescent Cove Advisors、Henry Crown and Company、LiDAR企業のLuminarもこのラウンドに参加した。

Robotic ResearchのCEOであるAlberto Lacaze(アルベルト・ラカゼ)氏によると、同社の商用部門ブランドのRR.AIは現在、AutoDriveと呼ばれるあらゆる車両で使える自動運転キットを米国、カナダ、オーストラリア、欧州、サウジアラビアの道路を走っている約150台の大型輸送バス、大型長距離トラック、ヤードトラックに搭載している。今後は規模の拡大が課題となる。

Robotic Researchはこれまで、米陸軍や海軍のトラックを自動化してきた。地図に載っていない、GPSも良い通信機能もない、そして道路も整備されていない地域で活動するトラックだ。また、同社の自律走行スタックには、ステレオやStructure from Motion(一連の2D画像から3D構造を推定するレンジイメージング技術)など、通常の商用自律走行車が使用しないセンサーも追加されている、とラカゼ氏は話す。その結果、悪天候の道路で自動運転トラックを走らせることをいまだに恐れている競合他社よりもRobotic Researchは優位に立っていると考えている。

「ほとんどの人は、ロボティクスを魔法のようなソフトウェアだと思っています」とラカゼ氏はTechCrunchに話した。「実際には、ロボティクスは切手収集のようなものです。滑りやすい道路や埃にまみれ線が見えない道路など、さまざまなエッジケース(特殊な問題をともなう可能性がある状況)を集めなければなりません。私たちはたくさんの切手を集めました。ある意味、軍事用アプリケーション向けの一般的な日が、商業用アプリケーションのエッジケースです」。

RR.AIはすでにその技術を広く展開していて、今回の資金提供は特に商用アプリケーションの拡大と産業化を目的としている、とラカゼ氏は話す。

Robotic Researchは2020年、コネチカット州交通局との契約を獲得した。この契約では、長さ40フィート(約12メートル)の電動バス3台を自動化し、CTfastrakの回廊を走行させる。計画は、自動化されたバス高速輸送ライン、バス隊列走行、精密なドッキングへとスケールアップしていく。バスはレベル4の性能を持っているが、安全のために人間のオペレーターが乗車するとラカゼ氏は説明する(SAE、自動車技術者協会の定義では、レベル4の自律性とは人間の介入を必要としないが、特定の条件下でのみ動作可能なシステムを指す)。

トラック輸送の分野では、RR.AIはカナダの製材所と協力して丸太の運搬を行っているが、米国関連の大きな発表を間もなく行うとしている。また、数カ月以内に農業分野でのパートナーシップも発表する予定だ。

RR.AIの市場戦略は「low hanging fruits」、つまり規制が少ない、あるいは規制を回避しやすい分野に焦点を当てることだ、とラカゼ氏はいう。

カメラ、LiDAR、レーダーなど、自動運転に必要なセンサーはまだ非常に高価なため、大型で耐久性の高い車両に搭載することで、センサーのコストを長期的に償却することができると指摘した上で「現コストでのセンサーを使って生産し、利益を生み出せるような分野に取り組みたいと思っています」と同氏は話す。

「オートノミー分野で創業以来、利益を出し続けている企業は、おそらく当社だけでしょう。それができたのは、小さな市場に専念してきたからですが、その間、そうした市場が現在の収益をもたらしてくれました。2025年までトラックの配備を待つ必要がないので、より早く成長し、より早く走行距離を伸ばせます」。

将来ロボットタクシーで運用することはRR.AIにとって問題外ではないとラカゼ氏はいう。同社の戦略は、規制環境が改善され、センサーのコストが下がるのを待ってから、新たな分野に進出するというものだ。しかし、RR.AIが快適な産業で規模を拡大しようとするとき、市場には十分な数の自動車が存在しないかもしれない。

「自社で自動車を生産していないため、自動車メーカーの生産に頼っています」とラカゼ氏は話す。「我々は、規制の観点から今すぐ配備することが理に適っている地域で利用可能な車両を見つけるために、あらゆる手段を用いて慎重に検討しています」。

画像クレジット:Robotic Research

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Polestar、約12.8万円のソフトウェアアップデートでEVの馬力をアップ

Polestarは、Polestar 2のトルクと馬力を向上させる無線アップデートを公開した。このアップデートにより、電気自動車のパワーは67hp増の469hp、トルクは15増の502lb.ftに向上する。

実用面では、0-60マイル時が4.4秒となり、コンマ1秒ほど短縮する。Polestarでは、最も加速が良くなるのはミッドレンジであるという。50-75マイル時の加速時間は2.2秒となり、これは一般的なPolestar 2の設定よりも約0.5秒速い。

ただし、このアップデートは無料ではない。英国、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド、デンマーク、ドイツ、オーストリアの対象車には、Polestar Extras storeで提供され、約1000ユーロ(約12万8000円)の費用がかかる。同社は、春には米国とカナダでもこのアップデートを提供する予定で、価格は後日発表される。

EVの性能を向上させるためのアップデートを行っているのは、Polestarだけではない。Tesla(テスラ)は、Model 3やModel Yなど、一部のモデルで加速性能を向上させる有料アップデート提供している

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kris Holt、翻訳:Hiroshi Iwatani)

JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、まずは無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高度化

JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化

JR東日本は、ワンマン運転およびドライバーレス運転(完全自動運転)への取り組みを発表しました。置き換え可能な仕事の機械化・システム化によって、社員は『人ならではの創造的な仕事』に注力できるといいます。JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化

発表によると、ドライバーレス運転の実現に向けて、まず列車制御システムを無線化します。現行のシステムは、150年前に発明された、レールに流した電流から列車の在線位置を検知する「軌道回路」技術をベースにしており、多くの地上設備が必要です。

これを、無線式列車制御システム「ATACS」に置き換えることで、地上設備をスリム化できるほか、地上設備・車上装置間で信頼性が高くリアルタイムな連携が可能になることから、ATO(自動列車運転装置)を高性能化し、ATOS(首都圏輸送管理システム)との連携による遅延回復や列車群制御による省エネ運転など、線区トータルでの効率的な運転を実現。さらに、将来のドライバーレス運転の実現に向けた開発に繋げます。JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化

このATACS導入・ATO高性能化は、山手線および京浜東北線(大宮〜東神奈川)でまず導入予定。2028年〜2031年頃の使用をめざします。JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化JR東日本が完全自動運転への取り組み発表、無線式列車制御システムATACS導入し自動列車運転装置ATOを高性能化

首都圏主要線区にワンマン運転導入

車掌が乗務せず、運転手だけで運行する「ワンマン運転」も首都圏の主要線区において導入します。ワンマン運転に必要な車両改造工事や駅設備工事を進めるほか、一部の線区にはATOを導入し、定時性の向上や省エネ運転の実現をめざします。

対象線区は山手線・京浜東北根岸線・南武線・横浜線・常磐線(各駅停車)など。ATO導入・ワンマン運転は2025年~2030年ごろの導入を予定します。

(Source:JR東日本Engadget日本版より転載)

フォルクスワーゲンがEV生産強化のために3社と新たな提携を締結

Volkswagen(フォルクスワーゲン)が、電気自動車のバッテリーに関わる3つの新しいパートナーシップを締結した。このドイツの自動車メーカーは、2040年までに乗用車、トラック、SUVの全車種をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車に移行させることを目指している。

現地時間12月8日に発表されたこの3つのパートナーシップの提携企業は、素材技術グループのUmicore(ユミコア)、バッテリースペシャリストの24M Technologies (24Mテクノロジーズ)、そしてドイツでリチウム採掘プロジェクトの開設を計画しているVulcan Energy Resources(バルカン・エナジー・リソーシズ)だ。

フォルクスワーゲンとユミコアは合弁会社を起ち上げ、フォルクスワーゲンがドイツのザルツギッターに設立するバッテリーセル工場に、リチウムイオン電池の重要な構成要素である正極材を供給する。この合弁会社の初期生産能力は20ギガワット時だが、2030年までに160ギガワット時にまで拡大することを目指している。

さらにフォルクスワーゲンは、半固体の電極を持つバッテリーを開発している24Mテクノロジーズに出資すると発表した。マサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンアウトしたこのバッテリー技術スタートアップ企業によれば、同社の半固体電池は、従来のリチウムイオン電池よりも製造工程を簡素化でき、コストも削減できるという。フォルクスワーゲンは出資額を明らかにしていない。

そしてバルカン・エナジー・リソーシズとのパートナーシップには、両社が「カーボンニュートラル」と表現するドイツ産リチウムの供給に関する拘束力のある契約が含まれている。

両社によると、このカーボンニュートラルなリチウムが得られるのは、バルカン社の塩水(塩湖かん水)からリチウムを採取する技術が、従来の塩湖かん水を蒸発させてリチウムを抽出する方法よりも環境に優しく、再生可能エネルギーを利用した工場で処理されるからだという。

バルカンは、2026年から5年間、フォルクスワーゲンに水酸化リチウムを供給する。

これら3つの提携は、フォルクスワーゲンが電気自動車に300億ユーロ(約3兆9000億円)を投資する計画の一環だ。欧州だけでも、同社は2030年までに6つの巨大バッテリー工場の建設を予定しており、それらすべてを合計した生産能力は、240ギガワット時になる見込みだという。

バッテリーのサプライチェーンを確保するために迅速に動いている大手自動車メーカーは、フォルクスワーゲンだけではない。General Motors(ゼネラルモーターズ)は2021年12月初め、韓国のPOSCO Chemical(ポスコケミカル)と同じように合弁会社を設立し、2024年までにバッテリーの正極材を製造する新工場を北米に建設すると発表した。一方、Stellantis(ステランティス)は11月、バルカンと独自のリチウム供給契約を締結している。

これらの提携は、自動車メーカーの電動化計画が加速していることを示すだけでなく、世界的なバッテリーサプライチェーンを中国から離れたところで再構築することに貢献するという点でも注目される。

Benchmark Mineral Intelligence(ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス)の調べによると、現在はバッテリーの正極材と負極材の大部分が中国で製造されているという。また、現在計画されている200の大規模バッテリー工場のうち、約75%にあたる148の工場が中国に建設される予定であることもわかっている。

画像クレジット:Jens Schlueter / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

深圳でロボタクシー実証を進めるDeepRoute、L4級自動運転ソリューションの価格を約114万円に設定

DeepRoute.aiの自動運転ソリューション「L4」を搭載した車両(画像クレジット:DeepRoute.ai)

中国・深圳とカリフォルニア州フレモントにオフィスを構える自動運転スタートアップ、DeepRoute.ai(元戎啓行)は、中国時間12月8日に野心的な自動運転ソリューションを発表した。

「DeepRoute-Driver 2.0」と名づけられたこのパッケージは、生産準備の完了したレベル4システムで、価格は約1万ドル(約114万円)。5つのソリッドステートLiDARセンサー、8台のカメラ、独自のコンピューティングシステム、そしてオプションのミリ波レーダーというハードウェアを使用していることを考えると、この価格設定は信じられない。

DeepRouteの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、LiDARが総コストの約半分を占めているという。「サプライチェーン全体の開発が進み、スケールアップすれば、コストはさらに下がると期待できます」。

2年前に設立されたこのスタートアップは、より成熟した競合相手に臆することはない。同社は8日のリリースでこう述べている。「DeepRoute-Driver 2.0は、洗練された効率的なL4アルゴリズムを誇るが高額な価格設定となっているWaymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)などの既存のL4パイオニアや、価格は手頃だが完全な自動運転という点では機能が限られているTesla(テスラ)などの先進運転支援システム(ADAS)との差別化を図っています」。

中国のセンサーメーカーは、かつては法外な価格だったLiDARの価格を下げ、大量生産に適したものにしようと努力している。DJIが設立したLivoxや、シンガポール政府系ファンドTemasek(テマセク)が支援するInnovusionもその1つだ。

カールーフに設置されたLiDAR(画像クレジット:DeepRoute.ai)

DeepRouteのL4ソリューションでは、深圳に本社を置くRoboSenseのLiDARを2個、車体のルーフにメインのLiDARとして使用している。また、北京に本社を置くZ Visionの3つのLiDARセンサーを後輪の周りの前部、左部、右部に配置し、車の死角をカバーしている。Z VisionとDeepRouteは、中国のコングロマリットであるFosun Group(復星国際)の関連ファンドであるFosun RZ Capitalの支援を受けている。

DeepRouteのレベル4技術の低価格は、同スタートアップの薄利多売を意味するか、あるいはサプライヤーのマージンを圧迫しているのではないかと、ある自律走行車スタートアップの創業者はTechCrunchに示唆した。

テスト走行では、DeepRouteのレベル4システムは、深圳の繁華街のラッシュアワーの渋滞をナビゲートし、柔軟な車線変更、歩行者の優先、自動オン / オフランプ合流などのタスクを実行することができた。

設立からまだ2年しか経っていないが、DeepRouteを支えるチームには、中国の自動運転業界のパイオニアたちがいる。2019年にMaxwell Zhou(マックスウェル・ゾウ、周光)氏がDeepRouteを設立したのは、最後に所属していたRoadStar.ai(星行科技)を内紛で追い出された後のことだった。当時、RoadStar.aiは投資家から少なくとも1億4000万ドル(約160億円)を調達しており、自律走行車の分野で有望なプレーヤーと広く考えられていた

投資家たちは、周氏の新しいベンチャー企業を応援している。同社は9月には、Alibaba(アリババ)、Jeneration Capital、ボルボを傘下に持つ中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などからシリーズBラウンドで3億ドル(約341億円)を調達したと発表した。

OEMや自動車メーカーが、将来の生産提携と引き換えに、AVスタートアップに資金を投入するのは珍しいことではない。例えば、同じく中国のMomentaは、ボッシュ、トヨタ、ダイムラーなどの大手企業から複数の戦略的投資を受けている。

DeepRouteはL4級ソリューションの顧客をまだ正式に確保していないが、同社の広報担当者によると「大手自動車メーカー」数社がレベル4技術を搭載した車に乗車し、「機能性と価格に感銘を受けた」とのこと。

「近々契約を締結できるという見通しに非常に前向きである」と広報担当者は述べている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

多様な交通データを統一的に扱えるMaaSデータ統合基盤TraISAREを手がけるMaaS Tech Japanが3.2億円調達

多様な交通データを統一的に扱えるMaaSデータ統合基盤TraISAREを手がけるMaaS Tech Japanが3.2億円調達

MaaS Tech Japanは12月8日、第三者割当増資による3億2000万円の資金調達を発表した。引受先はリード投資家のDBJキャピタル、またゼンリンフューチャーパートナーズ、東京海上日動火災保険、三菱商事、SMBCベンチャーキャピタル、個人投資家など。

調達した資金は、プロダクト開発体制の強化、社会実装に向けた営業展開の加速、データアライアンスの拡大の拡大にあてる。また、出資を受けた事業会社との連携の下、プロダクトの機能向上と新サービス開発を進める。ゼンリングループが保有する鉄道・歩道・道路関連地図データを活用した様々なモビリティデータ連携の加速、東京海上日動火災保険との提携による保険商品の共同研究やデータ活用、三菱商事との提携によるモビリティサービスやスマートシティなどの分野での事業開発を推進する。多様な交通データを統一的に扱えるMaaSデータ統合基盤TraISAREを手がけるMaaS Tech Japanが3.2億円調達

  • プロダクト開発体制の強化:これまでMaaS Tech Japanは、事業者や自治体との共同プロジェクトにより、事業者・エリア毎のニーズ確認、プロダクト導入を進めてきた。今後はそれらの取り組みを通じて得られた知見やマーケットニーズを踏まえ、より多くの自治体・エリアに利用されるようプロダクトの機能開発を加速させるため、開発体制を強化する
  • 社会実装に向けた営業展開の加速:より多くの事業者・自治体の課題解決に貢献できるよう、社内だけでなく、パートナーも含めた営業体制の構築を進め、プロダクト展開を加速
  • データアライアンスの拡大:MaaSのサービス開発やPDCAを実行するためには、様々なモビリティデータの連携が必要となる。今後、今回出資を行った事業会社とのデータ連携を通じて、モビリティデータの拡充を行ない、MaaSデータ統合基盤、MaaSコントローラの取り扱いメニューを拡大する

2018年11月設立のMaaS Tech Japanは、「100年先の理想的な移動社会の基盤を構築する」をビジョンとして掲げ、理想的な移動社会の実現に向けて、プラットフォーム開発事業、コンサルティング事業を展開。都市・交通分野におけるモビリティデータの利活用による、都市・交通DXの推進を目的に、以下3つのプロダクトを開発し、現在様々な自治体・エリアで、これらプロダクトの展開を通じた課題解決を進めている。

  • MaaSデータ統合基盤「TraISARE」(トレイザー):鉄道、バス、タクシー、飛行機など交通に関する多種多様なデータ(モビリティデータ)をシームレスに統合し、統一的な取り扱いを可能とするデータ統合基盤
  • MaaSコントローラ:公共交通やモビリティサービスなど、様々なモビリティデータを組み合わせて分析し、交通事業者や自治体の交通サービスのプランニング、モニタリングを支援する分析ソリューション
  • MaaSアプリ:モビリティや目的地の検索・予約、クーポン・インセンティブ発行機能など、事業者や自治体がMaaSサービスを提供するために必要となる各種アプリケーション

大林組と古河電気工業がLuup協力のもと電動キックボードのワイヤレス充電ポートを開発・実証実験、2025年の製品化目指す

古河電気工業は12月7日、大林組と共同で電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを開発し、実証実験を開始したことを発表した。このシステムは、電動キックボードのシェアリングサービスにおいて、機体コストの低減と人件費の削減につながるという。2025年の製品化を目指している。

電動キックボードのシェアリングサービスでは、充電の管理が重要になる。現在は、人が巡回してキックボードの電池を交換しているが、これには多くの電池を用意し、回収した電池を充電するといった労力と人件費がかかる。電池を大容量化して手間を省こうとすれば、機体が重くなり、価格も上がってしまう。ワイヤレス充電システムなら、送電装置の上にキックボードを置くだけで充電が始まるため、そうした問題が解決される。

このシステムは、古川電気工業の再生プラスチックを利用した樹脂製ケーブルトラフ(ケーブル敷設用のU字溝)「グリーントラフ」に収めた送電装置、受電機を搭載したキックボード、電源ボックスで構成されている。ワイヤレス給電には、2枚の電極を近づけて電力を伝える電界結合方式が使われている。磁界を発生させる方式と異なり、近くにある導電体が熱を持ったりしないため、安全性が高い。

実証実験は、2022年3月まで、大林組技術研究所で行われる。また、東京・大阪・横浜・京都で電動マイクロモビリティーのシェアリングサービスを展開しているLuup(ループ)が技術協力している。

ステランティスが車載ソフトウェアで年間約2.5兆円の収益を上げる計画を発表

Stellantis(ステランティス)はオランダ時間12月7日、同社の自動車に搭載するソフトウェアを使って乗員とドライバーにサービスや機能を販売または定額制で提供し、年間200億ユーロ(約2兆5600億円)の収益を上げるという野心的な計画を発表した。この狙いは競合他社の目標と一致するものだ。すべての自動車会社は、車両の販売、修理、融資以外の収益方法を模索している。

Fiat Chrsyler(フィアット・クライスラー)とフランスのPSA Group(PSAグループ)が合併した国際的自動車メーカーのステランティスは、2025年までに300億ユーロ(約3兆8400億円)以上をソフトウェアと電動化に投資すると発表した。その中には2024年までに4500人のソフトウェアエンジニアを雇用することも含まれる。

最終的な目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に車両を販売した後も、そこから数年間、収益を得られるようにすることだ。この目標を達成するために、ステランティスはBMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)とのパートナーシップを活用する。同社によれば、現在は世界中にステランティスが販売した1200万台の「収益化可能な」コネクテッドカーが走っているという。なお、ステランティスでは「収益化可能」なのは新車で販売してから最初の5年間と定義している。

では、ステランティスは実際にどうやって収益化するつもりなのだろうか?まず、そのための基盤となるのが、同社が「STLA Brain」と呼ぶ電気 / 電子制御とソフトウェアのアーキテクチャだ。この基本システムは、車両の各部に搭載された電子制御ユニットと、その中心となる高性能コンピューターを高速データバスで接続し、それがクラウドに統合される。これによって、車載ソフトウェアのアップグレードを「OTA(over the air)」つまり無線で行うことができる。

ステランティスは、この「Brain(頭脳)」の基盤上に、Foxconnとの合弁会社であるMobile Drive(モバイル・ドライブ)が開発した「STLA SmartCockpit(スマートコクピット)」というプラットフォームを付け加え、ナビゲーション、音声アシスタント、電子商取引マーケットプレイス、決済サービスなどのアプリケーションをドライバーに提供する。なお、これとは別に、ステランティスはFoxconnと、専用のマイクロコントローラー・ファミリーを設計するための拘束力のない覚書に署名したことも発表した。このパートナーシップは、ステランティスの車両に必要とされるマイクロコントローラーの80%以上をカバーする4つのチップファミリーを開発することを目的としている。

そしてステランティスのソフトウェア計画で3つめの鍵となるプラットフォームが、BMWと共同開発した最高レベル3の自動運転を実現する「STLA AutoDrive」だ。これら3つのプラットフォーム(STLA Brain、STLA SmartCockpit、STLA AutoDrive)は、2024年以降に発売されるすべてのステランティス製の新型車に採用される。

ソフトウェアを自動車の中心的な要素とした最初の企業はTesla(テスラ)だった。同社は無線アップデートで、性能の向上やテレビゲーム機能などを提供したり、先進運転支援システムのアップグレードを可能にしている。しかし、他の自動車メーカーも以前から、日々収集される膨大なデータを利用して、オーナーに車内サービスを提供することに可能性を見出していた。

現在では、GMをはじめとする多くの自動車メーカーが、ドライバーが車内で利用したいと思うサービスを実際にサブスクリプションで提供できる技術力を備えている。しかし、これには賛否両論があることも事実だ。今まで車両購入時に一度だけオプション料金を払うだけでよかったシートヒーターやアダプティブクルーズコントロールの機能を使うために、継続的に料金を支払わなければならないサブスクリプションという方式に対し、消費者から反発の声も上がっているからだ。

関連記事:GMは2030年までにサブスクをNetflix級のビジネスにしようとしている

ステランティスは、ソフトウェアを使用して、自動車の所有者にサービスやサブスクリプションを提供するだけでなく、ある機能を使いたいときだけ使えるようにオンデマンドで提供することも計画している。また、法人顧客に対しては、データ・アズ・ア・サービス(サービスとしてのデータ)やフリート・サービスを提供する予定だ。例えば、同社はデータ収集能力を利用して、使用量ベースの保険プログラムを2022年に開始し、欧州と北米の金融部門を通じて提供すると述べている。

ステランティスによれば、今回発表されたソフトウェア戦略は、同社の車両ラインナップの電動化計画と連動するものであるという。同社は2021年7月、欧州における車両販売台数の70%以上、米国では販売台数の40%以上を、2030年までに低排出ガス車にするという目標を発表している。

画像クレジット:DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インテルが先進運転支援・自動運転関連の子会社Mobileyeを2022年上場へ

Intel(インテル)は、4年以上前に150億ドル(約1兆7000億円)で買収した先進運転支援・自動運転関連の子会社であるMobileye(モービルアイ)を、2022年に上場させる計画をしている。

Mobileyeを独立した上場企業にすることで、Intelの株主の価値を高めることができると、この親会社は月曜日(米国時間12月6日)遅くに発表した。ある関係者がTechCrunchに語ったところによると、IPOには約6カ月かかる見込みで、このスケジュールは、一般的なIPOロードショーのプロセスをまだ開始していないことを示唆している。

IntelがMobileyeの株式を上場する計画に詳しい関係者は、Reuters(ロイター)に対し、このユニットの評価額は500億ドル(約5兆6800億円)以上になる可能性があると述べた。The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、IntelがMobileyeの株式を売却する意向であることを最初に報じた。

同社の声明によると「IntelはMobileyeの過半数の所有者であり続け、両社は戦略的パートナーとして、自動車分野におけるコンピューティングの成長を追求するプロジェクトで協力していきます」とのことだ。

Intelは、過半数の所有権を保持し、スピンオフや売却の意図はまったくないとしている。IPOに関する最終的な決定はまだ必要で、市場の状況に左右されるが、Intelは過半数の出資者として、今後もMobileyeを完全に統合していく方針のようだ。

MobileyeのCEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏は、引き続き同じエグゼクティブ・チームを率いることとなる。同社によると、LiDARやレーダーの開発に携わるIntelのチームは、最近Intelに買収されたイスラエルの旅行計画アプリ「Moovit(ムービット)」と同様に、Mobileyeの下で連携することになるという。

「IntelによるMobileyeの買収は大きな成功を収めています。Mobileyeは前年比で記録的な収益を達成しており、2021年の収益は2020年比で40%以上の増加が見込まれています。これは、両社の継続的なパートナーシップによる強力な利益を強調するものです。アムノン氏と私は、IPOがMobileyeのイノベーションの実績を構築し、株主に価値をもたらすための最良の機会を提供すると判断しました」。と、IntelのCEOであるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は声明で述べている。

シャシュア氏によると、2017年の買収以来、Mobileyeは年間のチップ出荷量、売上高、従業員数を3倍にすることができたという。

「Intelとの提携は、Mobileyeに貴重な技術リソースとサポートを提供し続けており、それが強力な収益をもたらすとともに、現在の収益からAV(自律走行車)開発作業に資金を供給できるフリーキャッシュフローをもたらしています」。とシャシュア氏は述べている。

このニュースは、Mobileyeがレンタカー大手のSixt(シクスト)と提携し、2022年にドイツでロボットタクシーのサービスを開始することに合意してからわずか数カ月後に発表された。2021年、Mobileyeは、自律走行車のテストプログラムをニューヨークを含む米国、欧州、アジアの複数の都市に拡大し、30社以上の自動車メーカーで41件の先進運転支援システムプログラムを新たに獲得したと述べている。また、2028年までにUdelv(ユーデルブ)とともに、目的別の無人配送車を3万5000台にする計画で、2023年にはサービスとしてのモビリティプログラムの複数の案件を獲得している。

画像クレジット:Mobileye, Intel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

テスラ、一部の故障したオートパイロットカメラを無償で交換との報道

CNBCによると、Tesla(テスラ)は一部の電気自動車のフロントフェンダーに搭載されているオートパイロットのカメラを無償で交換する。Teslaはまだリコールを発表していないが、CNBCは11月下旬に認定サービスプロバイダーに配布された内部文書を確認し、その中でTeslaは欠陥のある中継カメラを無償で交換するよう求めている。同社がカリフォルニア州フレモント工場で製造しているModel S、X、3の一部の車両に搭載されているカメラの回路基板に不具合があるようだ。

このカメラはクルマの死角を撮影するもので、これがないとオートパイロットは機能しない。カメラが意図したとおりに作動しなければ、ドライバーには、メインディスプレイのブロックボックスが見えるだけで、オートパイロットの機能に制限あることが警告される。CNBCによると、Teslaは使用したPCBの欠陥により、少なくとも数百台分のカメラを交換しなければならない可能性があるという。

TeslaのセールスマネージャーはCNBCに対し、内部サービス通知後に自主的なリコールが行われることもあるが、Teslaはまだ声明を出していないと述べている。Teslaは、過去にもさまざまな問題で何度かリコールを行った。10月には、フロントサスペンションのラテラルリンクのファスナーがゆるむ可能性があるとして、約3000台のModel 3とYをリコールした。また、2017年以降、そして11月にバグのあるフルセルフ ドライビングベータ版のアップデート後に誤作動でブレーキがかかりやすくなったため、同社は1万1704台をリコールした。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

独Sono Motorsが上場、ソーラー電気自動車Sionを2023年までに市場へ投入

Sono Motors(ソノ・モーターズ)は、すべての電気自動車に太陽光発電で電力を供給したいと考えている。そのアイデアは9年前にミュンヘンの地下室で、起業家精神に富んだ18歳の若者2人が、化石燃料への社会の依存に対するソリューションを思いつくまま打ち出し始めたことに端を発する。Sono Motorsの共同創業者であるJona Christians(ジョナ・クリスチャン)氏とLaurin Hahn(ローリン・ハーン)氏は、自動車にはあまり乗り気ではなかったものの、輸送機関がどれほど化石燃料の燃焼に貢献しているかを認識しており、そこから始めるのが良いと考えた。

「私たちはあらゆる車両に太陽光発電を統合するというビジョンを思いつき、それには何が必要かと考えました」とハーン氏はTechCrunchに語った。

彼らは、再生可能エネルギーが輸送時の排出ガス問題の解決に役立つことを証明するために、ソーラー電気自動車の試作品の製造に着手し、2015年までに実用モデルを完成させた。翌年、クリスチャン氏とハーン氏はクリエイティブディレクターのNavina Pernsteiner(ナヴィナ・ペルンシュタイナー)氏を招き、共同で事業を立ち上げ、Sono Motorsを会社とブランドとして確立した。

米国時間2021年11月17日、Sono Motorsの親会社であるSono Group(ソノ・グループ)が上場した。IPO価格が15ドル(約1730円)に設定された後、NASDAQで20.06ドル(約2314円)で取引を開始したが、取引終了前に38.74(約4469円)ドルの高値をつけた。

Sono Motorsの市場への道は2つある。同社は、同社初のソーラー電気自動車であるSion(サイオン)の1万6000台の先行予約を平均3000ドル(約34万6000円)の頭金で確保した。5ドアの小型でファミリー向けのハッチバックは2万8700ドル(約331万円)で、2023年前半までに消費者に届ける予定だ。Sonoはさらに、複数の企業と協力して同社のソーラー技術を他の車両に統合しようとしている。2021年の初めに、同社は自社のソーラーボディパネル技術を他社にライセンス供与することを発表し、電動自動運転シャトルバス会社EasyMile(イージーマイル)を最初の顧客に選んだ。

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Sion

Sionの航続距離は190マイル(約306km)で、中国のBYD(比亜迪)が供給する54kwHのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを使用する。この電池は環境と倫理に大きなインパクトを及ぼす金属であるマンガン、ニッケル、コバルトを使用していないため、よりサステナブルだと考えられている。Sionは壁のボックスを介して充電できるが、Sonoによると、太陽が輝いているときはいつでもバッテリーにエネルギーを供給するため、毎日の通勤のほとんどをまかなうことができるという。

「例えばドイツでは、通勤圏の平均は1日10マイル(約16km)です」とクリスチャン氏はTechCrunchに語ってくれた。「当社独自の技術により、太陽光発電だけで週平均112(約70マイル)走行できます。これは毎日の通勤の大半をカバーしているので、それほど頻繁に充電する必要がありません。同じサイズのバッテリーを搭載しながらも太陽光を統合していない他の電気自動車と比べて、航続距離は4倍になります。だからこそ、この技術はEVを大衆化する大きなポテンシャルを秘めていると考えています」。

同社によると、アルミニウム製フレームは248個以上のセルを統合したソーラーパネルで覆われており、車には双方向充電機能が搭載されている。これにより、消費者はバッテリーに蓄えられたエネルギーを使って、壁のボックスを介して自宅や他の電子機器に電力を供給できるようになる。この機能は、相乗りやカーシェアリングと併せて、デジタルキーとしても機能するSonoアプリによって実現される予定だ。

このクルマの予約注文のほとんどは、発売が予定されている欧州からのものだ。受注の90%はドイツまたは「ドイツ語圏」からで、残りの10%は製造拠点となるオランダ、スペイン、フランス、イタリア、スウェーデンなどからの受注だ。Sonoは旧Saabの工場で生産するため、National Electric Vehicle Sweden(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン、NEVS)と提携した。クリスチャン氏の話では、この工場は年間4万3000台の生産能力を有し、7年間で約26万台が生産される予定になっている。

「ワンベース」車両プラットフォーム

他の多くの自動車メーカー(GM、Arrival)と同様、Sonoも「ワンベース」の車両プラットフォームを開発中で、その上に将来のモデルを構築したいと考えている。Sionを皮切りに、同社はクロスオーバー乗用車やラストワンマイル配送用の貨物バンの製造も検討している。

「パワートレイン、シャーシ、サーマルユニット、一部の電子機器などのモジュラーシステムをSionで使用予定」とSonoは米証券取引委員会(SEC)への提出書類に記載している。「これらのモジュラーシステムは、改造なしに、または軽微な改造のみで他の車種にも使用することができる」。

太陽光技術の統合とライセンス

Sonoの太陽光技術は、他の車両への統合と、バス、トラック、ラストマイル車両などのさまざまな車両アーキテクチャのライセンス供与の両方を可能にするように設計されている。同社によると、すでに試作サンプルを顧客に発送しており、戦略的ユースケースの検証に向けて10件を上回る予備的合意書や商事契約書を締結済みだという。

「特に輸送および物流業界は、総所有コストに非常に重点を置いており、太陽光発電の統合でランニングコストを大幅に削減できる」とSECへの提出書類には書かれている。「当社の専有技術を保護するために、いくつかの特許を取得している。さらに、これらの特許、多数の異なるポリマー材料のテスト、そしてパワーエレクトロニクス、特にMCUなどの完全な太陽電池集積化用の複数の関連コンポーネントの使用により、関連する競合他社であると考えられる企業に先駆けて、最大4年間の高度な開発を進めている」。

このMCUとはSonoの「maximum power point tracker central unit(最大電力ポイント追跡中央ユニット」のことで、同社によると、太陽電池がエクステリアのさまざまな場所に設置されていることに起因する不均一な日光暴露の問題を解決する。

Sonoはまた、2030年に販売される車両の半数以上がソーラー改良に適しており、そのうちの3分の1がソーラー統合に適していると考えている。近年、太陽光発電の価格が低下し、太陽電池の効率が向上しており、EVの航続距離にインパクトを与える可能性がある。

「また、電気自動車の販売台数が急増していること、そして充電ステーションの伸びが比較的鈍化していることが、電気自動車の大規模導入のボトルネックになっている」と同社は提出書類に書いている。「今後数年のうちにも、個人が充電できないような場所に住んでいる人たちは、適切な充電オプションを見つけられるかどうかが不透明であることから、電気自動車を購入することに消極的になると私たちは考えている」。

Sono Motorsは納品できるだろうか?

生産をNEVSにアウトソーシングすることは、車を効率的かつスケーラブルに生産するためのSonoの戦略における、同社が称する「重要な差別化要因」の1つである。差別化には次のようなものが含まれている。他の企業はB2C販売のみであるが(同社は)従来型の店舗を排除している、アルミ製のスペースフレームを採用しているためスチールプレス加工が不要、ソーラーパネルであるため塗装作業が不要。しかし、NEVSは頼りにするには慎重を要する。この会社は中国企業のEvergrande(恒大集団)が所有しているが、同社は880億ドル(約10兆円)の負債を抱えており、世界的な金融危機の脅威にさらされている

「NEVSは2019年から当社の生産パートナーを務め、それ以来緊密な交流を続けており、現在もその状態が続いています」とクリスチャン氏。「Sionの生産は現在のところリストラの影響を受けていません。2022年のプレシリーズ生産と2023年前半に予定されているSionシリーズ生産の設備準備は計画通りに進んでいます」。

Sono Motorsは念のため、いくつかのバックアップ計画を立てている。プランAではNEVSでSionの製造を継続する予定だが、他の欧州の委託製造業者のキャパシティを利用するなど、代替シナリオと選択肢を模索しているとクリスチャン氏は話す。

それでも、NEVSは新しいオーナーを探しており、最終的にはSonoにとっては問題ないかもしれない。しかしこのスタートアップは生産を遅らせる余裕はないだろう。2018年、Sonoは2019年までに顧客に出荷する予定だった予約注文が7000件あったが、これらの注文は2021年まで延期された。Sonoがすぐに納品とスケーリングを開始しなければ、単なる評判の問題以上の問題に直面することになる。

予約注文1件当たり3000ドルで、Sonoは約4800万ドル(約55億円)を銀行に保有している。しかし、それだけではSionを生産することはできず、Sonoはすでに現金獲得を切望している。SECに提出された書類によると、同社の上半期の損失は約2900万ドル(約33億円)で、純損失は累積赤字1億2300万ドル(約142億円)となった。同社は「少なくとも当社がSionの資材輸送を開始し、当社のソーラー技術の収益化を含む事業規模を大幅に拡大するまでは、予測可能な将来においても引き続き損失を発生させ、外部からの資金調達に依存することになる」と述べている。

幸いなことに、今回のIPOは同社にとって、Sionを製品化するための良い緩衝材となった。同社は上場により1億5000万ドル(約173億円)を調達した。この資金は、一連のコンポーネントから作られる次のプロトタイプ世代に焦点を当てたSionの開発にも使われる予定だ。

画像クレジット:Sono Motors

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)