MITの学生たちがロボットやドローン製作の全行程を自動化したシステムを開発

付加製造法は、特定の作業に理想的なソリューションであることが証明されているが、この技術は多くのカテゴリーで従来の製造方法におよばない点がある。その最も大きなものの1つは、3Dプリントした後の組立て工程だ。3Dプリンターは非常に複雑な部品を作成することができるが、それを組み立てるには外部の人間または機械が必要になる。

MIT(マサチューセッツ工科大学)のCSAIL(MITコンピュータ科学・人工知能研究所)が米国時間2月8日に公開した「LaserFactory(レーザー・ファクトリー)」は、「ワンストップショップ」でロボットやドローンなどの機械を製作しようとする新しいプロジェクトだ。このシステムは、ソフトウェアキットとハードウェアプラットフォームで構成されており、機械の構造を作成し、回路やセンサーを組み立てることができるように設計されている。

このプロジェクトを現実化した完全なバージョンは5月のイベントで紹介される予定だが、チームはこのコンセプトが実際にどのようなものであるかを示すために、少しだけカーテンを開けて見せた。以下はCSAILのページからの抜粋だ。

あるユーザーが自分のドローンを作りたいと思っているとしましょう。それにはまず、パーツライブラリから部品を配置してデバイスを設計し、回路トレース(プリント回路基板上の銅線やアルミ線で、電子部品間を電気が流れるようにするためのもの)を描きます。次に、2Dエディタでドローンのジオメトリを完成させます。この場合は、プロペラとバッテリーをキャンバス上に配置し、それらを配線して電気的な接続を行い、クアッドコプターの形状を定義する輪郭を描きます。

基板のプリントは確かに新しいものではない。それだけに留まらないCSAILのマシンの特徴は、1台のマシンに詰め込まれた機能の幅広さだ。それは下の動画を見れば一目瞭然だろう。

もちろん、これはまだ初期の段階であり、正式発表は数カ月先だ。多くの疑問点があり、もっといえば、このような複雑な機械にとって多くの潜在的な不安要素もある。それは特に、これが専門家ではない人をターゲットにしているらしいことだ。

博士課程の学生であり、開発リーダーでもあるMartin Nisser(マーティン・ニッサー)氏は、リリースの中で次のように述べている。「安価で高速で誰でも扱える製造方法の実現は、未だに課題として残さています。LaserFactoryは、3Dプリンタやレーザーカッターのような広く利用可能な製造プラットフォームを活用し、これらの機能を統合して、機能的なデバイスを作るための全工程を1つのシステムで完全に自動化した初めてのシステムです。

そのソフトウェアは大きな鍵となりそうだ。ユーザーは実際に製作が始まる前に、製造工程を画面で視覚的に確認することができる。未然に不具合を発見できるかもしれない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:MIT3Dプリント

画像クレジット:MIT

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

まつげエクステは巨大市場になるか?ロボティクススタートアップLuumの展望

近年、特にアジアではまつげエクステが人気だが、顧客層はそれほど広くはない。エクステはまつげスタイリストのところへ行って自分のまつげに繊維を接着してもらうもので、数万円の費用と長い時間がかかることも多い。炎症などのリスクもある。自宅でつけられる低価格のまつげを考慮しても市場規模は20億ドル(約2100億円)程度で、ベンチャーキャピタリストの目を引くほど大きな市場ではない。

カリフォルニア州バークレーに拠点を置くLuumは創業から4年、従業員数15人のロボティクス企業だ。同社は、フランスのスターバックスで社長を務めるなど大規模チェーン事業を指揮してきたCEOのPhilippe Sanchez(フィリップ・サンチェス)氏の言葉を借りれば「飛躍的に」市場を拡大することで、この数字を変えて資金を集めることができると考えている。

そのためにロボティクス、AI、機械学習を活用して最終的にはエクステを20分でつけられるロボットを開発し、計画どおりにいけば美容院で広く利用されるようになるとサンチェス氏は説明する。しかもまつげが抜けるためエクステは2〜4週間でつけ替える必要があり、顧客は何度も繰り返し来店する。

現時点ではちょっと魔法のような話であるとサンチェス氏は認める。現在はエプソンの産業用ロボットにさまざまなアームやセンサーを取りつけているため、歯科医にある何かのようだ。勇気のある25人を対象に100回、エクステをつけるテストが実施された。今のところは手でつけるのと同じぐらい、つまり2〜3時間かかる。

LuumはこれまでにFoundation Capitalなどから1000万ドル(約10億5000万円)を調達し、これからシリーズAについて投資家と話をしようとしている。Luumは、美容の分野でまだサービスが提供されていない大きなチャンスを追い求め成長するための人材がそろっていると確信している。

米国時間2月1日午後、我々はサンチェス氏にLuumとその今後について話を聞いた。チャットは簡潔で明確にするため編集している。

TC:極めて細分化されているような業界で、この人気の施術をターゲットにしているわけですね。

サンチェス:とても人気があるわりにまだあまり知られていませんし、そうですね、細分化されていますね。現在、まつげエクステを提供している店舗は米国だけで3万4000店あります。店舗では技術者が1人つき、エクステを1本選んで接着剤を塗り、自まつ毛につけます。数秒経ってから次のエクステ、また次のエクステとつけていって、2時間後にはとても自然に見える魅力的なまつげになります。

しかしこれは人間の技術者です。我々はこのカテゴリを再発明してすでに人気のあるサービスを提供し、ハイレベルな施術と新しい世界的ブランドでさらに人気を高める大きなチャンスがあると見ています。

TC:ブランドを創出し、顧客が来店してロボットにまつ毛エクステをつけてもらう場所を国内外にチェーン展開するということですね?

サンチェス:そうです。我々の技術を生かしてブランドを構築しスタジオをチェーン展開すると同時に、この技術をすでに美容のサービスや製品を販売している人たちにライセンス提供したいと考えています。技術者がライセンスを受ければさらに良いサービスを提供でき、ヘアサロンや大規模な化粧品店を経営しているなら(まつげエクステをオプションのメニューとして)提供できます。お客様が毎月来店してくれるサービスのアイデアは好まれます。まつげエクステはお客様を店舗にまた連れてきてくれるのです。

TC:人間の指と同等の、あるいはそれ以上の精密さが必要であることは明らかです。目のすぐ近くで使われることを考えると、高い安全性も求められます。現時点で、ロボットの動作はいかがですか?

サンチェス:かなり大きく、かなり心地よく、とても高度なマシンです。飛行機のファーストクラスのようなベッドがあり、その側に人間ほどの大きさのマシンがあります。施術を受ける人はベッドに寝て、マシンが顔の上で動作します。技術者に施術してもらうときと同様に、受ける人はマスクを着けます。小型のロボットアームが人間の技術者と同じように、ただしそれよりもずっと早く正確にエクステをつけます。しかも極めて安全です。アームの先端には小さなプラスチックの突起があり、とても軽いアームはとても軽い磁石で支えられています。まつげを扱うのに必要な力はほんの数グラムだからです。

TC:もしも地震など不測の事態が起きたら……。

サンチェス:……アームが落下します。とても軽い小さな磁石で支えられているからです。マシンを揺すったり誰かがくしゃみをしたりすると、アームが落下します。これによって施術を受ける人を傷つけないようにしています。人を傷つけないことは、このサービスにとって必須です。

TC:他社の技術のライセンスを受けているのですか、それともすべて社内で構築するのですか?

サンチェス:すべて社内で構築します。精密な動作が得意でしかも高速なエプソンの先進的なロボットを利用しています。しかし美容業界の知的財産としては基本的に先行技術がなかったため、我々は米国、韓国、オーストラリアですでに特許を取得し、広範囲にわたって我々が保護されるよう世界中で25件の特許訴訟を抱えています。

TC:ロボットの価格はどの程度になる見込みですか?

サンチェス:12万5000ドル(約1300万円)程度になる見込みですが、この1回限りの初期投資で生産性を4〜6倍に高めることができるので、ベッド1台、技術者1人の処理能力は基本的には6倍になります。マシンの耐用年数は4〜5年です。

TC:その他の費用は?

サンチェス:維持費がかかりますが、これは基本的には純粋なマージンです。接客業ではたいてい、コストの大半は人件費です。このことを私はスターバックスで経験しました。

TC:構想を実現できるところまできていますか?

サンチェス:新型コロナウイルス(の影響による遅れ)はありましたが、(カリフォルニア州で若干制限が緩和されたため)消費者テストを再開しています。人間と同じスピードでシンプルなスタイルの施術がすでにできるようになっているマシンをテストしているところです。最初のスタジオのオープンに向けて開発を今後数カ月間続ける中でマシンのパフォーマンスは上がり、人間より2倍、3倍、4倍速くなるでしょう。

TC:その目標に向かってさらに資金を必要としているのですね。調達金額はいくらを目指していますか?

サンチェス:シリーズAで1500万ドル(約15億7500万円)です。この資金で最初のスタジオをオープンし、ユニットエコノミクスのモデルを検証します。また第3世代のマシンを開発します。世界規模の美容ブランドを構築する準備も始める予定です。

TC:投資家が知っておくべき、この会社のメンバーは?

サンチェス:この会社を創業したのは、(外骨格ロボットのパイオニアである)Ekso Bionicsを創業したNathan Harding(ネイサン・ハーディングス)と、(Ekso Bionicsで10年間ハーディング氏とともに働いていた)Kurt Amundson(カート・アムンドソン)です。この2人には先進的なロボティクスの世界で、またコンピュータビジョンについても、とてつもない経験と専門性があります。

TC:市場があるということを証明できるとして、Dyson(ダイソン)のような企業がこの市場に参入するのを防ぐにはどうしますか?

サンチェス:魅力的な市場で注目する価値があるとこれから気づく人はいるでしょうが、我々はすでに数年間取り組んでいます。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Luum美容

画像クレジット:Luum

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(文:Connie Loizos、翻訳:Kaori Koyama)

Boston DynamicsがSpotを遠隔操作するインターフェース「Scout」発表、リモートでドアを開けられるように

Spot(スポット)が工場施設の階段を上っていくところを見るのは何かしっくりこない。何年もの間、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のロボットたちによる美的で印象的なパフォーマンスビデオを見続けてきた後では、この四足歩行ロボットが、ロボット研究者たちが好んで口にする退屈で、汚れがちで、危険な仕事をしているところは興味を引かないのだ。

しかし、同社がSpotの販売を開始してから6カ月半が過ぎ(Boston Dynamicsによれば400台以上が売れたという)、購入した企業はそれらの先進的な機械を、いくつかの極めて地味なシーンへと投入している。米国時間2月1日の朝、私はそうしたロボットの1台を、自分の机からくつろいだ態勢で操縦できる機会を得ることができた。

今週、Hyundai(現代、ヒュンダイ)が所有するロボットのパイオニアBoston Dynamicsが、ロボットを遠隔操作するためのブラウザベースのインターフェースScout(スカウト)を発表した。またこの発表には続いて、セルフ充電式の「エンタープライズ」版や、すでに発表されていたSpot Arm(スポットアーム)も加わる予定だ。すべての新しいハードウェアは、すでにBoston Dynamics社のサイトから入手可能で(価格は「見積依頼」形式だが)、Scoutはどのバージョンのロボットとも互換性がある。

画像クレジット:Boston Dynamics

とはいえ、同社はセルフドッキング型のエンタープライズ版とのペアリングを推奨している。結局のところ、ロボットの1回の充電あたりの動作時間は約90分なので、人間の介入なしに、状況監視でロボットを使うのであればおそらくそうする方がよいだろう。

実際に何度かSpotを直接操作してみたが、ご想像の通り多少は練習する必要がある。Boston Dynamicsの見積もりでは、完全にスピードを上げるのには約15分かかるとのことだったが、1~2分後には、私はロボットにBoston Dynamicso本社の階段を昇り降りさせることができていた。ありがたいことに、この7万5000ドル(約788万円)のロボットには、カメラや他のセンサーがたくさん内蔵されていて、本当にバカなことはできないようにしてくれている。

画像クレジット:Boston Dynamics

システムはBluetoothゲーミングコントローラーでも動作するが、私はキーボードを使うことにした。もしこれまでPCゲームやったことあるなら、きっとおなじみの基本的なWASD式の操作を行うことができる。一方、矢印キーを使えば、4つのカメラを切り替えて四方を見ることができる。ロボットを上方から見下ろしたような景色を見せてくれる、terrain(地形)モードなどのいくつかの追加ビューが用意されている。それはおそらく、目の前の障害物すべてを表示するための最良の方法だが、それでもさまざまなビューを一度に見るためにピクチャー・イン・ピクチャーを行うこともできる。

私自身は「クリックして進む」を多用していることに気がついた。その動作は基本的には言葉が示しているとおりだ。地面上の地点をクリックするとSpotがその場所に向かって歩いて行く。この機能は主に接続に問題がある場面を想定して設計されている。たとえばどこかの石油採掘基地に、かわいそうなSpotが投入されたところを想像してほしい。

画像クレジット:Boston Dynamics

「ある発電所で、設備故障が疑われた事例がありました。もし本当に故障していたとしたら、人間の検査担当者にとっては危険だった設備を、ロボットを使うことで、繰り返し検査することができました」と、SpotのチーフエンジニアであるZack Jackowski(ザック・ジャコウスキー)氏はTechCrunchに語った。「つまりシステムを使い、何回もパイプを検査することで、高くつくシステム停止を回避することができたのです」。階段を上り下りさせるためにロボットを配置する「階段モード」もある。この機能は手動でオンオフを切り替える必要があるのだが、ロボットは通常モードでも階段を上ることができるはずだ(私はデモの最中にこれを行ったが、スタッフは誰も心臓発作を起こすことはなかったようだ)。当面の間、この遠隔操作機能は視覚情報の収集に限定される。ジャコウスキー氏は「建物の規模へ拡張できる、いろいろとすごい計画を立てていますが、まず最初に提供したいのは視野を提供することです」と付け加えた。

エンタープライズ版では、ロボットの底部に新しいドッキングコネクタを装備したほか、CPUを強化しワイヤレス接続性を向上させている。ドックとの同梱か単体での出荷となる。

残念ながら、新しいアームを実際に回転させることはできなかったが、ジャコウスキー氏はその機能について、詳細をいくつか教えてくれた。「アームコマンドは、『アームをここへ動かせ』とか『この物体を持ち上げろ』とか『このバルブを回せ』といったかたちで出すことができます。するとロボットは『もしこのバルブを回すのなら、まずあそこに立つ必要があって、次に重心をどのように移動して、バルブを動かすためにどのような部品を腕に装着している必要があるのかを判断する必要がある』ということを自分で考えるのです」。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston DynamicsSpotレビュー

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

フォークリフトに取って代わるFetchの最新の倉庫ロボット

サンノゼを拠点とするロボット企業Fetchは、米国時間1月28日の朝、最新のロボットを発表した。PalletTransport 1500は、倉庫のフォークリフトを置き換えるために特別に設計された自立型ロボットだ。このロボットはパレットをピックアップして配送するように設計されており、最大2504ポンド(約1140kg)まで運ぶことができる。

このデバイスは、Toyota(トヨタ)を含むさまざまな企業が提供する多様なロボット式フォークリフトソリューションに参加している。Amazon(アマゾン)が所有するKiva Systems製のロボットは、業界で最もよく知られたパレット移動ロボットだが、このシステムはHoneywellと共同開発したものである。

このシステムは、Honeywellにより統合されたMomentumの倉庫ソフトウェアを使って開発された。もちろん、Fetchはすでにいくつかの倉庫ロボットソリューションを提供しており、一種の自律型エコシステムを構築している。同社のシステムは、他の本格的なソリューションに比較して柔軟性が高いことで注目されている。

プレスリリースによると、この新しいロボットはパレット移動システムから人間がいなくなるように設計されている。なお、アクションには次のものが含まれる。

  • クロスドッキング:AMR(自律走行型移動ロボット)はパレットを入庫エリアから出庫エリアへ直接輸送できる。トラックからパレットが降ろされた後、AMRは入庫トレイラー / コンテナから送られてきたパレットを、入庫エリアの場所までそれぞれ直接搬送する。
  • 返品:入荷した商品が製品タイプやベンダー別に分類された後、AMRはパレットを適切な返品ステーション(在庫、リサイクル、チャリティーなど)に搬送する。
  • 倉庫輸送:入荷した製品が荷降ろしされパレット化された後、AMRはビジネスニーズに基づいて在庫を保管場所に移動する。

フォークリフトによる事故が多発していることを考えると、この製品カテゴリーが最も需要の高い製品の1つであることは間違いない。OSHAのデータは「フォークリフトによる死亡事故は年間約85件で、3万4900件の重大災害を引き起こし、6万1800件の非重症事故が発生している」としている。これは労働災害の大きな原因だ。同調査機関は1台のフォークリフトにつき1件の事故を想定した場合、米国のフォークリフトの11%が事故に巻き込まれていることを意味すると付け加えている。

これらの懸念に加えて、新型コロナウイルス(COVID-19)関連のシャットダウンによって、自動化されたフルフィルメントシステムへの移行がこの1年間でますます魅力的になったことは間違いない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Fetchフルフィルメント

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ソフトバンクとアイリスオーヤマがロボット事業の合弁会社設立、AI除菌清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」発表

これまでSoftBank Robotics(ソフトバンクロボティクス)の製品に、強い印象を受けたことがなかったとしても無理もない。今のところ、同社の最も有名な製品は、2015年にフランスのロボット企業Aldebaran(アルデバラン)を買収したことから生まれた、挨拶や宣伝用に設計された人型ロボット「Pepper(ペッパー)」であることは間違いないだろう。

また、同じソフトバンクグループに属する投資会社がBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)を買収し、結局は売却したこともあった。この買収は確かに同社の市場進出を加速させるための手段となったが、2020年末には早くも手のひらを返し、現代自動車に売却された(ソフトバンクグループは20%を保持)。

だが、ソフトバンクのロボットに対する野望は衰えを知らない。その最新の動きは非常に興味深いものだ。日本時間1月27日、ソフトバンクロボティクスはアイリスオーヤマと提携を結び、合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を2021年2月1日に設立すると発表した。

このベンチャーの51%の株式を保有するアイリスオーヤマは(残りの49%をソフトバンクロボティクスが保有)、Reuters(ロイター)がいう「お米から炊飯器まで」を含め、幅広い製品を製造している日本のブランドである。

間もなくその中に、ロボティクスも加えることができそうだ。新たに設立されたアイリスロボティクスは、2025年までに1000億円の事業規模を目指すという非常に積極的な目標を設定している。

共同プレスリリースでは、新型コロナウイルス感染症がアイリスロボティクス設立の大きなきっかけになったと述べている。確かにそれは戦略として理に適っている。この1年で、ロボット工学と自動化への関心が本格的に高まったことは疑う余地もない。

しかし、このベンチャー企業が最初に手がける製品は、特に野心的なものではないようだ。まずは既存の2種類のロボットの「アイリスエディション」を提供・販売するという。ソフトバンクグループが出資しているBear Robotics(ベア・ロボティクス)社の配膳・運搬ロボット「Servi」と清掃ロボット「Whiz」だ。

ソフトバンクロボティクスの代表取締役社長兼CEOである冨澤文秀氏は、次のように述べている。

コロナ禍におけるニューノーマルの実現が急務となる中、ロボットにはさまざまな新しい期待が寄せられています。この度、強力なパートナーシップをアイリスオーヤマと結べたことはロボットソリューションの拡大、浸透にとって非常に大きな前進です。両社の強みを存分に活かし、社会が抱える課題にスピード感を持って応えていきます。

確かに、その技術的な野望は、Boston Dynamicsのような企業が現在取り組んでいるものと比べると地味に見えるが、家庭用ロボットの分野に向けてまず一歩を踏み出すとすれば、アイリスオーヤマは良い位置にいる企業といえるだろう。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SoftBankアイリスオーヤマアイリスロボティクス

画像クレジット:SoftBank Robotics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転ロボのStarship Technologiesが17.7億円調達、今夏までに100の大学で事業展開へ

1年前、Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は大学のキャンパスの学生やいくつかの住宅街の住人にブリトーやピザを届ける自動走行ロボットを数百台持っていた。

新たに1700万ドル(約17億7000万円)の資金を獲得した同社は、事業を展開する欧州や北米を新型コロナウイルス(COVID-19)が襲って以来、車両台数を5倍に増やした。新型コロナは同社にも苦痛とカオスをもたらした一方で、レストランがテイクアウトや配達のみのモデルに移行したため需要が増えた。同社は現在、自動走行ロボットを1000台所有している。

同社は2020年に、2021年夏までに100の大学に事業を拡大することを計画していると語った。この数字は現在の15という数字からはかなりの飛躍だ。それでも同社はロケーション、配達走行のボリューム、車両サイズ、従業員数などあらゆる点で成長している。同社の従業員は現在400人だ。事業を展開するキャンパスを毎月増やしていて、対面授業が再開したときに始動する。

米国時間1月26日に発表された同社の最新の資金調達には、TDK VenturesやGoodyear Venturesといった投資家が参加した。これにより累計の資金調達額は1億200万ドル(約106億円)になった。バリュエーションは非公開。また、同社はカリフォルニア大学ロサンゼルス校とマサチューセッツのブリッジウォーター州立大学に事業を拡大したことも発表した。

画像クレジット:Starship Technologies

Skype(スカイプ)の共同創業者Ahti Heinla(アーティ・ヘインラ)氏とJanus Friis(ヤヌス・フリス)氏によって2014年に創業されたStarship Technologiesは2017年に配達5000回を達成し、この数は2021年1月には100万回に成長した。また、同社は大学のキャンパスや英国ミルトン・キーンズのようなコミュニティ以外の町にも事業を拡大し、ここには5000世帯が暮らす英国ノースハンプトンエリアやカリフォルニアのマウンテンビュー、モデストなどが含まれる。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Starship Technologies資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Starship/Copyright Don Liebig/ASUCLA

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(翻訳:Mizoguchi

ロビットが「雪国まいたけ」のまいたけカット工程自動化開発に成功、次世代パッケージングライン開発に合意

ロビットが「雪国まいたけ」のまいたけカット工程自動化開発に成功、次世代パッケージングライン開発に合意

AI技術をロボティクスに実装し社会課題の解決を進めるロビット(ROBIT)は1月27日、「プレミアムきのこ総合メーカー」の雪国まいたけにおける、まいたけカット工程の自動化技術の開発に成功し、次世代型パッケージライン開発に合意したと発表した。熟練作業員のカット技法をAI自動カットロボットが実現し、新人・中堅作業員の2~3倍の作業効率になった。

雪国まいたけでは、独自技術によって天然同様の900gを超える大きなまいたけ株を生産し、作業員がカットすることで、50gから500gまでの複数の商品ラインアップを販売。カット工程では、単に重量を合わせるだけでなく、部位によって異なる味わいや食感などを、1パックにバランスよく、かつ見栄えよくパック詰めするための独自のカット技法にこだわっているという。またこのため、自動化を進める生産工程の中でも非常に多くの人員を要しているそうだ。

ロビットが「雪国まいたけ」のまいたけカット工程自動化開発に成功、次世代パッケージングライン開発に合意

まいたけ株は、形状や茎の付き方がひとつひとつ異なるため、重量精度を出すことが最難度の農作物。そのため、熟練した作業員と経験が浅い作業員では2~3倍程度の作業効率差があり、将来的な人員確保の難しさやコロナ禍において様々な配慮が必要になる中で、カット工程の自動化の早期実現は不可欠となっていた。

ロビットは2014年6月に設立し、ロボット、精密機器、関連するハードウェア・部品およびソフトウェアの設計・製造・販売を手がけている。同社は、2019年より、雪国まいたけの独自のカット技法と高レベルの重量精度を両立するAIアルゴリズムの開発、そのAIアルゴリズムを実装する自動カットロボットの開発を進行。今回、雪国まいたけ社内で最も優れた熟練作業員と同等レベルでカットすることが可能なAIアルゴリズム搭載の自動カットロボットの開発に成功した。

AI自動カットロボットは、切断したまいたけ片が重量分布が正規分布に従っており、熟練した作業員以上に、後工程に質の良いまいたけ片を提供可能なことに加え、不定形で衝撃に弱いまいたけ株を安定的に把持し、AIアルゴリズムの推論結果通りに装置を制御・補正し、狙い通りのカットを実現する機能を備えており、生産工程への早期実装を可能にする。

上記結果を踏まえ、両社は、AIアルゴリズム搭載の自動カットロボットを核に、カット工程の前後においてもAIやロボティクスの実装を目指す次世代型のパッケージングライン(カットから包装までの工程)の開発を進めることに合意した。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:雪国まいたけロビット日本(国・地域)

MITの研究者がカスタムチップを使ってロボットの「応答速度」を高速化

MITの研究者たちは現在、ロボットがどれだけ速く情報を処理できるか(まだまだ遅い)と、どれだけ速く動けるか(現代のハードウェアの進歩のおかげで非常に速い)の間の大きなギャップに対処しようとしており、そのために「robomorphic computing(ロボモーフィック・コンピューティング)」と呼ばれるものを用いている。

この方法は、MITコンピュータ科学・人工知能(CSAIL)の卒業生であるSabrina Neuman(サブリナ・ノイマン)博士によって考案されたもので、応答時間を高速化するための手段として、ハードウェアアクセラレーションを提供することができるカスタマイズしたコンピュータチップを使用するというものだ。

特定の目的に合わせて、カスタマイズされた特注のチップというのは新しいものではない。しかし、企業や技術者が、ネットワーク接続を介して大規模なデータセンターとデバイスの間でデータを往復させるよりも、より控えめな電力と処理能力の制約のあるデバイスで、より多くのローカルコンピューティングを行うことを求めるようになるにつれ、カスタムチップはより一般的になってきた。

このロボモーフィック・コンピューティングという方法では、ロボットの物理的なレイアウトや用途に応じて設計された超特化型のチップを製作することになる。ロボットが周囲の環境を認識し、その中で自分を位置づけて理解し、それに基づいて計画される動作を考慮した上で、ソフトウェアのアルゴリズムをハードウェアアクセラレーションで補完すれば、最終段階の効率を大幅に向上させる処理チップを、研究者たちは設計することができる。

多くの人が日常的に遭遇するハードウェアアクセラレーションの典型的な例は、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)だろう。GPUは基本的に、ディスプレイのレンダリングやビデオ再生などの画像処理を行うために特別に設計されたプロセッサだ。現代では、ほとんどすべてのコンピューターが画像処理を多用するアプリケーションを実行するため、GPUは広く使われている。しかし最近は、より高いカスタマイズが可能で効率的な小ロットのチップ製造技術が進化したおかげで、さまざまな機能を備えたカスタムチップの方が、より一般的になってきた。

MIT Newsでは、特にロボット制御用ハードウェアチップの設計を最適化する際に、ノイマン博士のシステムがどのように機能するかについて、以下のように説明している。

このシステムは、特定のロボットのコンピューティングニーズに最適なカスタマイズされたハードウェアの設計を作成します。ユーザーはロボットの手足のレイアウトや様々な関節の動き方など、ロボットのパラメータを入力します。ノイマン博士のシステムは、これらの物理的特性を数学的な配列に変換します。これらの配列は「疎」であり、ロボットの特定の解剖学的構造では不可能な動きにおおむね相当するゼロ値を多く含むということを意味します。(同様に、あなたの腕は特定の関節でしか曲げられないため、動きが制限されています。無限に柔軟なスパゲッティヌードルではありません)。

このシステムでは、配列の中の0以外の値だけを計算することに特化したハードウェアアーキテクチャを設計します。ゆえに結果として得られるチップの設計は、ロボットのコンピューティングニーズに合わせて効率を最大化するようにカスタマイズされたものになります。このカスタム化はテストで成果を発揮しました。

ノイマン博士のチームは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)をテストで使用した。これは完全なカスタムチップと既製品のCPUの中間のようなもので、後者よりも大幅に優れた性能を実現した。つまり、実際にゼロからチップをカスタム製造した場合には、はるかに大きな性能向上が期待できるということだ。

ロボットが環境に対してより速く反応するようになるということは、単に生産の速度や効率が上がるというだけではない(もちろんそれもあるが)。人がロボットのすぐ側で作業したり、一緒に作業したりという状況で、ロボットをより安全に働かせることもできるということだ。これは、我々の日常生活の中でロボット工学がより広く使われるようになるための大きな障壁となっている。つまり、ノイマン博士の研究は、人間とロボットが調和して暮らすSF的な未来の扉を開くのに役立つ可能性があるのだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:MITロボットプロセッサ

画像クレジット:Ivan Bajic / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

果菜類の植物工場および完全自動栽培の実現を目指すHarvestXが5000万円を調達

果菜類の植物工場および完全自動栽培の実現を目指すHarvestXが5000万円を調達

果菜類の植物工場、完全自動栽培の実現を目指すHarvestXは1月18日、総額5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、独立系ベンチャーキャピタル「ANRI 4号投資事業有限責任組合」(ANRI)、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド)、河合聡一郎氏、曾川景介氏、田中邦裕氏。

植物工場市場は、食料問題や農業人口の不足、また昨今のコロナウィルスによる食の衛生面・安全に対する関心の高まりとともに注目が高まっているという。しかし、レタスなどの葉物類の植物工場は展開を広げつつあるものの、果物類はミツバチを媒介とした虫媒受粉に多くを依存しており、受粉収穫の不安定さ、また飼育管理のコストが課題となっているそうだ。

HarvestXは、ミツバチに代わる手段としてロボットを活用した授粉・収穫技術の開発に取り組み、現在はイチゴを対象に受粉から収穫までの栽培の完全自動化を目指している。

同社は、農作物の完全自動栽培による食糧問題の解決をミッションとして掲げるスタートアップ。その実現の一歩としてイチゴの完全自動栽培の実現に取り組んでいる。東京大学主催「本郷テックガレージ」の支援プログラムにて立ち上げ、South by Southwest(SXSW)のTrade Show出展を目指す「Todai To Texas」や未踏IT人材発掘・育成事業を通じて、ロボットによる授粉・収穫技術の基礎となるプロトタイプの開発を推進してきた。

HarvestXが開発するいちごの自動栽培ロボットの自動授粉・収穫実証試験機「XV1」。デプスカメラとHarvestXが開発した画像処理アルゴリズムを用いて花と果実の認識を行い、特許出願中の専用アタッチメントで授粉と収穫を行う。さらに、初めて採用した自走台車により広い農園内における農作業を実証することを目指している

HarvestXが開発するいちごの自動栽培ロボットの自動授粉・収穫実証試験機「XV1」。デプスカメラとHarvestXが開発した画像処理アルゴリズムを用いて花と果実の認識を行い、特許出願中の専用アタッチメントで授粉と収穫を行う。さらに、初めて採用した自走台車により広い農園内における農作業を実証することを目指している

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:資金調達(用語)東京大学(用語)東京大学協創プラットフォーム開発 / 東大IPC(用語)農業(用語)HarvestX日本(国・地域)

UberがフードデリバリーPostmatesの自律型宅配ロボット部門のスピンアウトを計画中

Uber(ウーバー)の新たなスピンアウトが進行中だ。

Uberが2020年に26億5000万ドル(約2752億円)で買収した食品宅配スタートアップ企業のロボット部門Postmates X(ポストメイツ・エックス)は、計画に詳しい複数の関係者によると、別会社として分離するために入札で投資家を募集しているという。

新会社はServe Robotics(サーブ・ロボティクス)と称されるが、これはPostmates Xが開発した黄色と黒の自律的な歩道配達ロボット「Serve(サーブ)」の名称にちなんだものだ。最近、ウェストハリウッドで食品を配達するために同地域のデリバリー食料店であるPink Dot(ピンクドット)と提携したこのServeロボットは、新会社の目玉になる可能性が高い。

この件について、Uberはコメントを拒否している。

投資家に向けて提案されているこのスピンアウトが完了すれば、Postmates Xの責任者でServeプログラムを率いてきたAli Kashani(アリ・カシャニ)氏が新会社を運営することになるだろう。Anthony Armenta(アンソニー・アルメンタ)氏は新会社のソフトウェア部門を指揮し、Aaron Leiba(アーロン・リーバ)氏はハードウェア部門を担当する、つまりPostmates Xと同じポジションを維持することになる。

UberはServe Roboticsの筆頭株主として、この新会社との商業契約を維持する。引き換えに、Serve Roboticsは知的財産と資産を取得することになる。この取引に詳しいある関係者によると、Uberは新会社の約25%の株式を保持するために協議を行っているという。

Serve Roboticsという名称の法人はまだ存在しない。しかし、ウェブサイトのドメイン「serverobotics.com」は2021年1月6日に登録されている。

Uberの利益までの道のり

Uberは2019年5月に公開市場に上場した後、事業の合理化を進め、2020年は新型コロナウイルスによる圧迫を受けてそれを加速させた。今回のスピンオフも、この合理化に基づく事業戦略に沿ったものになるだろう。

2年前、Uberは配車サービスやマイクロモビリティから物流、公共交通機関、食品配達、そして自律走行車や空飛ぶタクシーのような未来的な乗物にいたるまで、交通に関する産業全体にわたり事業を展開していた。しかし、同社のDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOは、黒字化に向けて会社を押し進めていく中で、この「動くものなら何でも」というアプローチを解体してきた。

2020年には、UberはLime(ライム)と複雑な取引を交わして、電動スクーター / 自転車シェアリングサービスのJump(ジャンプ)を事業譲渡した。また、貨物運送事業であるUber Freight(ウーバー・フレイト)の5億ドル(約520億円)相当の株式を売却し、自動運転部門のUber ATG(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)と、空飛ぶタクシーとして計画されていたUber Elevate(ウーバー・エレベート)から身を引いた。

Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATGを買収したが、それはJumpとLimeの件と似たような構造の取引だった。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わなかった。代わりにUberはATGの株式をAuroraに譲渡し、Auroraに4億ドル(約415億4000万円)を出資して、統合された会社の26%の株式を取得した。

同様に細工された取引で、Uber Elevateは2020年12月にJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)に売却された。

Uberが投資を続ける分野の1つにデリバリーがある。同社は、デリバリーサービス「Uber Eats(ウーバー・イーツ)」の需要が急増していることに好機を見出し、この分野に置ける地位を強化するために買収する企業を探し始めた。Uberは料理宅配サービスのGrubhub(グラブハブ)を買収しようと試みたが失敗し、欧州の大手企業であるJust Eat Takeaway(ジャストイート・テイクアウェイ)に敗れた。

結局、UberはPostmatesの買収に落ち着き、2020年7月に26億5千万ドル(約2151億8000万円)相当の全額株式交換によってこのデリバリースタートアップを買収することで合意。取引は2020年12月に完了している。

Serveは親しみやすいロボット

Postmatesが歩道配送ロボットへの探求を本格的に始めたのは2017年、同社がカシャニ氏の起ち上げたLox Inc.をひっそりと買収した後のことだった。同社の研究開発部門であるPostmates Xで責任者を務めるカシャニ氏は、「なぜ2ポンド(約907グラム)のブリトーを2トンの車両で運ばなければならないのか」という疑問の答えに着手した。

Postmatesは2018年12月、最初の「Serve」と名付けられた自律型配達ロボットを公開した。その第2世代(デザインは変わらないが、LiDARセンサーが異なるほか、わずかなアップグレードが施された)は、ロサンゼルスで計画されていた商用化に先立ち、2019年夏に登場した。

Postmatesはパートナーと協力するのではなく、自社の配送データを使って、歩道ロボットを設計と展開する基礎を作ったと、10月に開催された「Mobility 2020」イベントのTCセッションで、カシャニ氏は語った。

「データを見てみると、配達の半分以上が近距離であることがわかります。それなら問題なく、これらのロボットが実際に配達を完了させることができます」と、カシャニ氏は当時、自律型配達ロボットの実用化について語っている。

Postmates Xは、同社の過去の配送データを利用してシミュレーションを開発し、それをServeロボットの設計に利用した。このシミュレーションによって、チームは必要とされるバッテリー容量や荷物室のサイズなどの機能を決定した。

このロボットは、Postmatesの配送事業のほんの一部に過ぎない。しかし、同社が商業的に事業を展開しているロサンゼルスとサンフランシスコの2都市では、新型コロナウイルスの感染流行が非接触配送の需要を煽り、ロボットへの関心が高まっているという。

カシャニ氏は2020年10月に、このロボットはロサンゼルスで何千もの配達を完了し、同市のウェストハリウッドにまで地域を拡げる準備をしていると語っていた。その拡大は昨年末、ちょっとした意外性とともに開始された。Serveロボットは、Pink Dotの店舗のシグネチャーカラーに合わせて、鮮やかなピンク色に変更されたのだ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:UberPostmatesフードデリバリー

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(翻訳:TechCrunch Japan)

サムスンの新型家庭用ロボット群のうち少なくとも1つは2021年中にデビュー予定

ここ数年のSamsung(サムスン)のCESプレスカンファレンスではいつも、未来的な家庭用ロボットのパレードが繰り広げられた。彼らはスマートで、器用で、印象的だ(そして、まあまあかわいらしい)。しかし、家庭用ロボットは難しい。本当に、本当に、本当に難しい。ルンバが登場してから20年近く経った今でも、ロボット掃除機が家庭用ロボットの中で唯一現実的な存在であり続けているのには理由がある。

それと同じ理由で、イベントに出展されたSamsungの家庭用ロボットの中で実用可能なものが1つあるとすれば、ロボット掃除機の「JetBot 90 AI+ Vacuum」だと思われる。同社はまた、2020年のショーで紹介したBot Handyのアップデートも披露した。これは新しいBot Careと合わせて、昔のSFでは今後数年で手に入ると信じられていたような人型ロボットのデザインに、さらに沿ったものとなっている。

そして、ここでもまだSFが有効な描写になっているようだ。2020年のショーでは、ロボットたちはChuck E. Cheese風のプレゼンテーション(訳注:子供が好むChuck E. Cheeseレストランでは、昔の遊園地のようなロボットバンドがステージで演奏する)を行い、ステージ上で限られた人間との対話の中で、振りつけられたタスクをこなしていた。この種のことには多くの要素が関わっているが、今のところ、この技術は何よりもコンセプトの証明のように感じる。

画像クレジット:Samsung

同社はこの技術について「あまり遠くない未来」と言及しているが、画面の隅にある小さな印刷には「このロボットは研究開発中であり、まだ販売には至っていません」と書かれている。それは控え目な表現に思える。この車輪つきBot Careは、オーナーにミーティングのリマインドをし、リモート会議のための画面をポップアップさせるものだ。

現在のパンデミックの間で、誰もこの技術を実際に目にするとは思っていないと思うが、これが同社が準備している「ニューノーマル」であるという議論もあるだろう。シンクから食器洗い機まで食器を移動させるBot Handyは、おおよそ現実的なもののようだ。

画像クレジット:Samsung

間違っていたらうれしいが、我々のうち誰も近いうちにこれらの技術の実用可能なバージョンが発売されるとは思っていない。しかし、ロボット掃除機のJetBot 90 AI+ Vacuumは評価できる。それに関しては、2021年前半に米国で発売されるという大まかな日程があるからだ。

このロボット掃除機は、自動運転車と同様のLiDARセンサーを備えており、オブジェクト検出アルゴリズムと相まって、ユーザーの家をナビゲートするのに理想的なパスを構築するのに役立つという。興味深いことに、カメラの映像はユーザーによってリモートで表示することができるため、セキュリティカム(ただし、Samsungはその単語を使用することを避けているようだ)やペットモニターのように使用することも可能だ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SamsungCES 2021

画像クレジット:Samsung

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(翻訳:Nakazato)

外骨格ロボットは歩行能力と重作業補助の未来を約束する

この数年で、ロボットエクソスケルトン(外骨格)技術の能力が格段に向上した。それも十分に納得できる。第一に、これが生活の向上に役立つと初めて実感できた希有なテクノロジーであることが挙げられる。私はこれまで、数社のデモンストレーションを見学してきたが、数年ぶりに部屋の端から端まで歩けた人を見て、横に立っていたその人の伴侶が涙するといった光景を目にするにつけ、正直、息を呑む。

第二に、このテクノロジーには2つの際立った使用事例があることだ。1つは前述の移動能力。完全麻痺の人や歩行障害者を介助して移動するときの助けになる。もう1つは、重い物を持ち上げたり、長時間立ったままでいるときの体の負荷をエクソスケルトンが大幅に軽減してくれることだ。そのため、Esko Bionic(エスコ・バイオニクス)など多くの企業は、それらに別々に対応するために部門を2つに分けている。

つまりこれは、成長するまでにまだ数年かかると思われるが、大きな潜在市場だ。そんな事情から、ここでは大まかな予測しかお話できないのだが、この分野には小さな企業が参入し、実のあるビジネスを開拓できる余地が十分にあると私は信じている。

だが大手企業が参入してきたとしても、私は驚かない。それは、ロボティクス分野にお墨つきをもらうには良い方法だからだ。今週開催されたCES 2021に登場したSamsung(サムスン)のGEMSは、それほど多くの発表時間は割かなかったものの、間違いなく最大級の製品だろう。これは2年前のCESでデビューし、私たちも実際に試すことができた。発表された内容は、主にバッテリーなどのハードウェアの進化と、間もなく始まる臨床試験に関するものだった。製品を送り込む先として、医療と医療関連の分野は欠かせない。

しかし今週のCESで発表されたSamsungのロボティクス技術は、どれを見ても同社の本気度を判断する決め手には、ほとんどなっていない。2020年のCESでは「没入型のトレーニング体験」の一環としてわずかに顔を出した程度だった。

画像クレジット:Archelis

もっと小規模な企業が、魅力的な製品を披露していた。一番に思い浮かぶのが、日本語で「歩けるイス」から命名したArchelisFXを展示した日本のArchelis(アルケリス)だ。この装置は、さまざまなシナリオを想定してデザインされている。腰痛のある人や外科手術を受けたばかりの人なども、その範疇に入る。レンタルもあるが、45万円で購入することもできると同社は話している。

全体として、2021年のバーチャルCESに登場したエクソスケルトンは、どちらかといえば移動に重点が置かれていた。その証拠に、2020年のCESでデルタ航空との提携を発表したSarcos Robotics(サーコス・ロボティクス)は欠席だった。2020年9月、同社はこの取り組みに4000万ドル(約42億円)のラウンドで資金調達を果たしている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:外骨格CES 2021

画像クレジット:Samsung

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(翻訳:金井哲夫)

中国のUBTechが紫外線消毒ロボットを発表、新型コロナ蔓延を受けて

UBTechはおそらく名の知れていない中国のロボット会社だが、大規模な資金調達を行っている。米国でこのブランドを知っている人は、STEMや数年前のスターウォーズのStorm Trooperロボット(未訳記事)などのロボット玩具のためだろう(私自身、その時にこの会社を知った)。しかし同社は約9億4000万ドル(約980億円)の資金を得ており、製品の拡大という点では問題はなさそうだ。

UBTechは米国時間1月11日、開催中のCESで、消毒ロボット「UV-C」を発表した。2020年の(そして今年も続く)新型コロナウイルス騒動を考慮すれば、その必要性は明らかである。なお同社はUV消毒ロボットを導入する最初の会社ではなく、2020年に独自のソリューションを展開するLGが先駆けている。

LGと同様に、UBTechもすでにこの技術の試験運用を開始している。デラウェア州の教育省では、いくつかの場所にロボットを配備している。UBTechはAdibotのローリングタイプと固定タイプを含む数種類のモデルを生産しており、購入は今週から可能で、リースプランは1日15ドル(約1560円)からとなっている。

UBTechが指摘しているように、新型コロナウイルスの大流行時ではこのような機能の必要性が最優先されてるが、これは特定のウイルスに限った話ではない。疫学者たちは、このウイルスの蔓延が、私たちが生きている間の最後のものにはならないだろうと警告している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:UBTech新型コロナウイルスCES 2021

画像クレジット:UBTech

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

仏Pollen Roboticsの人型ロボットReachyがVRを活用し遠隔操作可能に

Pollen Roboticsは2020年のCESで人型ロボット「Reachy」のショーを行い、注目を集めた。フランスのスタートアップである同社は、2021年のショーで披露したそのロボットでいくつかの重要なアップデートを行っている。

今回最大のニュースは、バーチャルリアリティ(VR)技術を使用して遠隔操作機能を追加したことだ。VRヘッドセットを使用すると、遠隔操作者はロボットの2つの顔カメラを通して動画を見ることができる。そしてVRコントローラを使ってロボットの腕を操作し、つまんだり移動させたりといった細かな作業を行う。この機能は、ロボットにタスクを実行させるためのトレーニングにも使用できる。

Pollen RoboticsのReachyはオープンソースのロボティクスプラットフォームとして注目されている。1万7000ドル(約177万円)のロボットは、独自技術のプロトタイプの作成など、ロボット工学の研究に適している可能性がある。2020年のイベントで証明されたように、これはソフトバンクのPepperと同様の、楽しいプレゼンテーションロボットとしても機能する。しかし、すぐに製造業で活躍できるわけではない。

画像クレジット:Brian Heater

ロボットのソフトウェアはオープンソースで人気の高いロボットOSのROS 2をベースに構築されており、搭載されているコンピュータやカメラは、2020年に初めて公開されたロボットからいずれもアップグレードされている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Pollen RoboticsReachyCES 2021

画像クレジット:Pollen Robotics

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ロボティクスの先駆者Boston DynamicsのCEO、ヒュンダイによる買収後の展望を語る

物事は1年で大きく変化するものだが、今年は特にそうだ。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)も、この規模で社歴30年の企業としては普通考えられないほどの大きな変化を、ここ12か月間に何度も経験した。具体的には、創業以来初めてのCEO交代、初めての商用製品の一般販売開始、そして3回目となる買収などだ。

もちろん、ボストン・ダイナミクスのことを保守的だと非難した人など、これまで1人もいない。

マサチューセッツ州ウォルサムに本社を置くロボティクス分野のパイオニアであるボストン・ダイナミクスは2020年12月、同社がHyundai(ヒュンダイ)に買収されるという噂が事実であることを認めた。同社の株式のうち80%は韓国のテクノロジー大手であるヒュンダイが保有し、残りの20%はそれまでの所有者であるソフトバンク・グループが引き続き保有することになる。この取引は来年6月に成立する見通しで、従業員300人を抱えるボストン・ダイナミクスの企業価値は11億ドル(約1100億円)と評価されている。

ボストン・ダイナミクスのCEOであるRobert Playter(ロバート・プレイター)氏は、TechCrunchの取材に対して次のように語っている。「ソフトバンクのもとで、当社は100人から300人規模の会社へと成長しました。それには資金が必要であり、ソフトバンクは私たちが思い描いていた製品をローンチできるよう後押ししてくれました。彼らのおかげで、運動性、操縦、視覚といった分野を含む複数のロボット製品をローンチするというミッションに向けて動き出すことができ、そのミッションの達成を目指して実際に動き出し、加速していく力を得ることができたのです」。

ボストン・ダイナミクスで長年働いてきたプレイター氏は、短期間に親会社の交代が続いたことに対する周囲の危惧は取り越し苦労だと考えている。どの親会社も、ボストン・ダイナミクスの収益アップに貢献してきたからだ。最初の親会社だったGoogle(グーグル)は調査のためのリソースを提供し、ソフトバンクは製品化を促した。今後はヒュンダイが、製品のスケールアップに必要となる工学面と製造面でのノウハウを提供するだろう。

画像クレジット:Boston Dynamics

「(ソフトバンクは)結局のところ投資会社なので、この状況はいずれ変わるだろう、という予想はいつも頭にありました」とプレイター氏は語る。「あとは、それがいつ起こるのか、そしてどのタイミングで起こるのが適切なのか、ということだけでした。ですから買収話が持ち上がってもまったく驚きませんでした。製品が無事にローンチされ、成長軌道に乗っていたので、おそらく彼らから見ても、私たちから見ても、適切なタイミングに思えました」。

プレイター氏はさらに、ソフトバンクによる買収に対して米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が課した規制のために、同社とソフトバンクとの間の交流は非常に限定されていた、と付け加える。また、「CFIUSの承認を得ることが、ヒュンダイとの契約を成立させる条件になるでしょう」とも説明している。

同社がソフトバンク傘下に入ったことは、控えめに言っても、研究所として何十年も機能してきた会社を商業化の方向へと強力に押し出すものだったが、プレイター氏がTechCrunchに語ったところでは、ヒュンダイも同社の既存ロードマップに概ね賛同しているようだ。ここ2年間の変化はかなり大きなものだったとはいえ、ボストン・ダイナミクスは依然として非常にリーンな組織であり、市場に対するアプローチも慎重だ。

300人ほどの従業員のうち、100~120人は最初の商用製品であるSpotに注力している。また、同社による最近の採用人員は、営業、カスタマーサービス、品質管理といった、最初の製品を出さないまま四半世紀以上の歴史を重ねた組織にとっては馴染みのない分野に集中している。一方、物流ロボットであるHandleに携わるチームはそれよりかなり小さいが、拡大を続けており、プレイター氏によれば「来年にはSpotチームと同じかそれ以上の規模になる」という。さらに、4月には箱を持ち上げるロボットの商用化バージョンもお披露目予定だ。それに続いて、Spotの時に実施されたのと同じようなパイロットプログラムが実施され、翌年どこかのタイミングで製品の販売が始まるだろう。

ボストン・ダイナミクスはすでに、実際の倉庫業界から選んだパートナーとともに「概念実証」モデルのテストを開始している。「これらのシステムは、顧客の所に行って概念実証テストを実施する必要があります。設計を向上させるためにいろいろと学んでいるところです。また、このロボットの製造業向けバージョンの設計も同時進行で進めています。新世代機の最初のバージョンは来年夏に稼働できるようになるでしょう」とプレイター氏は説明する。

物流配送はこれまで何年もの間ロボティクスが最も注目してきた分野だが、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、この方面への関心は高まるばかりだ。市場に対するHandleのアプローチは、この点でSpotとは明らかに異なっている。四足歩行ロボットであるSpotのパイロットプログラムの大部分は、顧客やパートナーとの協力によって、高度なロボティクステクノロジーが最も必要とされているのはどのような方面なのかを判断するために行われた。Spotの需要は決して巨大とは言えないが、安定したものであり、同社は最初の15か月で400ユニット以上を売り上げている。

需要に合わせた応用例としては、BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)の油井や英国ナショナルグリッドの発電所での危険な業務への導入がある。また、予想していなかったようなユースケースも出現している。昨年後半、米国自由人権協会(ACLU)は警察のトレーニングにSpotロボットが使用されている動画(その前の4月のロボティクスイベントで初公開された)に対して懸念を表明した。この10月には実際の犯罪現場でSpotが目撃された。実際、プレイター氏によれば同社の顧客にはニューヨーク市警察(NYPD)も含まれているという。

「NYPDはSpotを所有していて、おそらくバリケードを築いた相手(武装しているかもしれない容疑者)との間に安全な距離を保つために使っていたと思います。それで、カメラを組み込み、できればコミュニケーションを実現させ、危険な状況がさらに悪化するのを防げるこのエスカレートを防止させることを目指していました」とプレイター氏は説明する。

「Spotの開発で意図されていた目的の1つは、危険な環境から人間を遠ざけることを可能にして、顧客の安全度を高めることです」とプレイター氏は付け加える。「そして、それには警察などの公共安全分野の人々も含まれます。具体的な例として、マサチューセッツ州警察は、従来の可動ロボットと同じ方法でSpotを応用し、あやしい荷物や爆発物かもしれない物を調査するのに使うことに関心を持っています。これはロボティクスの優れた応用だと思いますし、サポートしていきたいと考えています」。

ボストン・ダイナミクスは来年も引き続きSpotの市場を広げていくことだろう。ヒュンダイの傘下に入っても、SpotとHandleのリリース予定は変わらないと思われる。

プレイター氏は次のように語る。「私は、2、3年ごとに1つのロボットをリリースするのが、同社にとってちょうどよいペースだと思います。白紙の状態から新しいロボットを作ること自体は1年未満で可能ですが、作った後に、そのコンセプトを練り直し、市場にどれほど適しているか把握するというプロセスを繰り返す必要があります。それで私としては、まずSpotをしっかり安定させたいと思っています。検討したい改善点がすでにいくつもあります。それで、次の世代のSpotを作るかどうか、それとも別のロボットを作って別の市場に進出するかどうかは未定です。それが可能なほど大きいチームには、まだなっていません」。

ボストン・ダイナミクスの研究部門は、人間型ロボットであるAtlasなどの最先端ロボットに集中しており、ヒュンダイの監督下でもそれが継続されるだろう。同社はGoogleによる買収からしばらくたった2014年に国防契約の新規受け入れを停止したとはいえ、研究部門がボストンダイナミクスの業務で重要な位置を占めていることに変わりはない。

「Atlasの研究開発は自社内で進めています」とプレイター氏は言う。「そして、高度なハードウェアとソフトウェア両方の構築に、プラットフォームとして引き続き利用されています。近い将来には、心躍るようなニュースをいくつかお知らせできるでしょう。おなじみのボストン・ダイナミクスお手製動画で、進行中のプロジェクトを紹介することになると思います。公開日がいつになるかはまだ決まっていませんが、楽しみにしていてください」。

ボストン・ダイナミクスの非常に高度な研究成果の一部は、例えば最近発表されたアルティメートモビリティビークル(UMV)など、ヒュンダイが持つ斬新なコンセプトとの相性がいいだろう。「脚に車輪を組み合わせるアイデアは実に興味深いものです。思い返せば、Handleの最初のバージョンを作った時にも、車輪と脚が付いていました。相乗効果があると思うのです。ヒュンダイは本当にそういう車を作れるようになると思いますよ」とプレイター氏は語った。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics

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(翻訳:Dragonfly)

日本から来たネコの尻尾つきロボット枕、Qooboを使ってみた

生きていくためにネコ型ロボットが「必要」な人などいないだろう。それにこのロボット枕は「ネコ型」というものの顔がない。ふわふわしているのと尻尾が動くのでネコとわかる。初めて見た人の反応は当惑から熱狂までいろいろだ。

Qooboをじかに人に見せたのは数回しかないが、反応はすべて似ていた。 まず最初は当惑する。次に「なぜこんなものが存在する必要があるのか」という疑問が来る。そして必ず、「これ欲しいけど、どこで買えるのかな?」という質問となる。

オリジナルの大型版をアメリカで入手するのは当初かなり困難だった。日本の小さい会社(ユカイ工学)がプロダクトを新しい市場に拡大するには各種のハードルがあったためだ。それにこういうニッチなプロダクトがアメリカで受け入れられるかという疑問もあっただろう。しかし最終的にはまったく問題ないと判明した。
 

製品のユーザーガイドにはこうある。

ふわふわした毛皮のようなパッケージにはかすかに鼓動する心臓が組み込まれており優しさを提供します。私たちはこれをもっと使うべきでしょう。Indiegogoキャンペーンの成功により、オリジナル版より小型で手頃なサイズの新しいPetit Qooboが実現できました。Petit Qooboは、尻尾のあるクッション型のロボットです。 撫でられると尻尾が優しく揺れます。

Qooboの機能はこれで言い尽くされている。つまりときどき動く尻尾付きの毛皮枕ロボットだ。 強く撫でると、強く尻尾が振られる。この枕にはマイクが内蔵されており、音を聞き取る(特定の単語を認識するわけではない)ので音で尻尾を振らせることができる。 ドアをノックしたり、大音量の音楽を鳴らしたりすることで反応を引き起こせることが分かった。「ヘロー」と呼びかけるだけでも尻尾が揺れる。

この記事を書いている現在、Petit Qooboは膝の上にいる。これはなかなか心を癒やす効果がある。もちろん本物のペットの代わりにはならない。しかし私のペット(上の写真のウサギ)は記事を書いている間、膝の上でじっとしていてくれない。それにQooboなら撫でるのを止めても抗議されない。単に尻尾の振れが止まるだけだ。

このロボットは長く撫でていると「スリープ状態」になる。たぶんバッテリーを節約するためだろうと思う。充電ポートは、印象を詳しくは述べないが、ともあれ尻尾の近くにある。 外周のジッパーを開いて毛皮部分を取り外せるのでクリーニングが可能だ。

 

尻尾を作動させるメカニズムはうるさくはないが、アクチュエータの作動音がはっきり聞きとれる。実はこの音はなかなかかわいらしい。ただし枕として使っているときは多少問題になる。Qooboのもう1つの巧妙なトリックは静かに押すと起動される心臓の鼓動だ。尻尾のアクチェーターの作動音にかき消されることもあるが、ともあれ落ち着きをもたらす効果がある。

日本には魅力的なセラピーロボットの伝統があり、Qooboもこの系統の一部だ。ベビーあざらし型のパロは90年代にさかのぼる。入院患者や幼児をリラックスさせ、快適にするようにデザインされている。これは本物の動物を使う場合のデメリットを避けながらアニマルセラピー利点を生かそうとする試みだった。パロ・プロジェクトは最終的に15億円以上の開発費を要する大掛かりなものとなった。ユカイ工学のQooboとは規模がまったく異なる。
 

しかしその効果には共通点もある。 われわれの脳にはふわふわしたものを撫で、鼓動を聞きたがるよう配線されている部分がある。一見奇妙なこの小さなロボットには確かに効果がある。記事を書く間、膝にこれを乗せているとすこし落ち着きがもたらされた。実際、「少しの落ち着き」こそわれわれが今もっとも必要としているものに違いない。

画像:Brian Heater, [Rabbit for scale]

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滑川海彦@Facebook

中国の適応制御ロボットメーカーFlexivが103億円調達、北米進出も視野

世界中の事業所が生産ラインとサプライチェーンの自動化に目を向けるにつれ、ロボットを製造する企業が投資家の関心を大いに集めている。資金調達した最新例がFlexiv(フレックヒブ)だ。TechCrunchが入手した情報によると、同社は中国のオンデマンドサービス大企業Meituanなどの投資家から1億ドル(約103億円)超を調達してシリーズBラウンドをクローズした。

他の主な投資家には中国のベンチャーキャピタルファームMeta Capital、中国の大手農業法人New Hope Group、プライベートエクイティファームLongwood、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYF Capital、名高いベンチャーキャピタルファームGaorong CapitalGSR Ventures、そしてPlug and Playの中国と米国のベンチャーなどが含まれる。今回のラウンドによりFlexivの累計調達額は1億2000万ドル(約124億円)超になった。

同社は中国のいくつかの主要都市とカリフォルニア州で事業を展開し、従業員の3分の2は中国に配置している。AIスタートアップに共通の戦略は、米国で働いたか教育を受けた中国人の創業者によって練られている。

スタンフォード大学のBiomimetics and Dexterous Manipulation Lab(生体模倣技術および高度活用に関するラボ)の卒業生であるWang Shiquan(ワン・シークアン)氏は2016年、製造業のための適応制御ロボットを専門とするFlexivを創業した。今回調達した資金で同社はAIで動く多目的のロボットをサービス業や農業、ロジスティック、医療ケアといった他の分野で応用する計画だ。

たとえばMeituanの戦略投資を通じて、FlexivはMeituanのフードデリバリー事業にソリューションを提供できるかもしれない。フードデリバリー業務には繰り返し作業や、かなりのボリュームの作業が含まれ、オトメーションが導入されつつある。

FlexivのロボットRizonによる曲面作業(画像クレジット:Flexiv)

その一方で従来の製造業においてはオートメーションを導入する余地はまだかなりある、とワン氏はTechCrunchとのインタビューの中で述べた。特に家電は高精度でデリケートな製造プロセスを要するため、往々にして製造ラインは新製品のために刷新される必要がある。力覚フィードバックとコンピュータービジョンシステムを備えているFlexivのロボットは新しい環境に適応でき、新装置のセットアップにかかる時間とお金を節約できるかもしれない、とワン氏は主張した。

同社のフレキシブルなロボットは競合他社のものとは異なる、とも同氏は述べた。

「従来のロボットアームは周辺に障壁がない時は安全にタスクをこなせます。しかし複雑な環境での作業になるとやや能力は落ちます。皿洗いなどシンプルに見えるタスクの多くは実際にはかなりのAIベース認識と判断力を必要とします」。

Flexivは2020年下半期に大量生産を開始し、これまでに約100のロボットを製造した。ロボット販売、ソフトウェアのライセンス貸し、アフターサービスの提供で収益を上げる計画だ。今後の課題は、同社の新しいテクノロジーを信じてくれるパートナーや顧客をさまざまな業界で探すこととなる。

同社にとってまだ中国が最大のマーケットだが、海外展開においては北米が主要マーケットだ。ワン氏は「それぞれの国にロボティクスの先端をいく競合企業があります」との考えを示した。「中国の強みは製造、サプライチェーン、人件費です」。

「従来のロボティクスと適応制御ロボティクスの分野における各国間のギャップは確実に狭まっています」とも述べている。

関連記事:室内用フードデリバリーロボットを開発する中国のPuduが約16.1億円調達

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Flexiv資金調達中国

画像クレジット:Flexiv

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(翻訳:Mizoguchi

フォルクスワーゲンがEV充電ロボットのプロトタイプを開発

Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)はモバイル型の電気自動車(EV)チャージャーを開発した。人間が介することなく、駐車場を自動走行してEVを充電し、基地に戻ることができる。

VW Group Componentsが製造したプロトタイプは、VWが電気自動車を生産・販売するのに伴って増大することが見込まれる需要に対応するのに今後数年間で充電インフラをどのように拡大するかを示すことを目的としている。VWグループは今後10年で数十のEVモデル立ち上げを約束している。同グループ傘下のフォルクスワーゲンブランドは2025年までにEV150万台を生産・販売する計画だ。

「将来のために効率的な充電インフラを整備することは業界全体の主な課題です」とVW Group ComponentsのCEO、Thomas Schmall(トーマス・シュマル)氏は声明文で述べた。「当社は費用のかかるスタンドアロンの方法を回避するのに役立つソリューションを開発しています。モバイル型の充電ロボットとフレキシブルな急速充電ステーションが現在取り組んでいるソリューション例です」

VWグループは一連の異なるDC充電プロダクトを開発している。ここには最大22キロワットで充電するDCウォールボックスも含まれる。VWは12月初め、ドイツにある生産工場でDCウォールボックスの試験を開始した。VWグループはまた、フレキシブルな(しかし設置型に近い)急速充電ステーションを2021年初めにマーケットに投入する計画だ。

モバイル型充電ロボットの発売時期はまだ決まっていない。プロトタイプが出来上がった段階であり、「全体的にさらに開発する」と同社は話した。モバイル型のチャージャーに関しては1つ注意点がある。モバイル型チャージャーがマーケットに浸透するには、車両がインフラに「話す」ことができるようになるカー・トゥー・エックスコミュニケーションが前提条件となる、とVWは述べた。

充電ロボットのプロトタイプは車両のオーナーあるいはカー・トゥー・エックスコミュニケーションが立ち上げるアプリでスタートできる。コミュニケーションが始まると、モバイル型チャージャーはオンになり(ディスプレイに2つのデジタルアイが現れる)、車両に向かって自動走行する。そして充電ソケットのフラップを開けてプラグを接続させたり抜いたりする。このチャージャーはまた、動き回って車両をエネルギーストレージユニットに接続させることもできる。充電が完了すると、ロボットはモバイルエネルギーストレージユニットを回収し、中央充電ステーションに戻す。

DC充電プロダクトは顧客のニーズとEVの技術的な前提条件にフォーカスするだけでなく、駐車場運営者などのパートナーとの経済的な可能性も開く、とシュマル氏は話した。

モバイル型充電ロボットが作動している様子は以下のビデオで閲覧できる。

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画像クレジット: VW Group

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(翻訳:Mizoguchi

力仕事をサポートする外骨格テクノロジーのGerman Bionicが2000万ドルを調達、サムスンが主導

外骨格テクノロジーは、人間に取って代わる機械を作るのではなく、身に着けた人間の能力を何倍にも高めるハードウェアを作る、ロボット工学の世界で最も興味深い開発の1つだ。産業および物理的な応用を目的とした外骨格ロボットを設計しているスタートアップ、German Bionic(ジャーマン・バイオニック)は今日、その将来性を明確にする資金調達ラウンドを発表した。同社のCray X ロボットは、重いものを持ち上げて作業する人間にパワー、精度、安全性を提供してサポートする「ネットワークに接続した世界初の産業用外骨格ロボット」だという。

ドイツのアウクスブルクに拠点を置く同社は、2000万ドル(約20億7000万円)の資金調達を達成した。この資金は、同社の事業を継続し、外骨格ロボットのハードウェア技術と、ハードウェアを最適化し、より優れた機能の「学習」を支援するクラウドベースのソフトウェアプラットフォームであるGerman Bionic IOの技術を構築し続けるために使われる。

Cray Xは現在、1度の持ち上げ動作で最大30kgまでサポートすることができるという。

ジャーマン・バイオニックのCEOであるArmin G. Schmidt(アルミン・G・シュミット)氏は声明の中で「当社は人間の動作とIIoT(産業IoT)を組み合わせた画期的なロボット技術により、すぐに利用できる持続可能な方法で、現場作業員を文字通り背後から増強します。このテクノロジーが生産性と作業効率を向上させることは、測定可能なデータによって実証されています。スマート・ヒューマン・マシン・システムの市場は巨大であり、当社は今、将来的に大きな市場シェアを獲得し、多くの人々の仕事と生活を大幅に改善するために最適な位置に立っています」と述べている。

シリーズAはハードウェア大手の戦略的投資部門であるSamsung Catalyst Fund(サムスン・カタリスト・ファンド)とMIG AGが共同でリードした。MIG AGは、初めてグローバルに展開した新型コロナウイルスワクチンを開発した画期的な企業BioNtech(バイオエヌテック)を当初支援した投資会社の1つであるドイツの投資会社だ。

Storm Ventures(ストーム・ベンチャーズ)、Benhamou Global Ventures(ベナムー・グローバル・ベンチャーズ)(Palm(パーム)の創業者兼CEOであり、それ以前は3com(スリーコム)のCEOを務めたEric Benhamou(エリック・ベナムー)氏が設立し率いている)の他、IT Farm(アイティーファーム)も参加している。過去にジャーマン・バイオニックが調達したのは、アイティーファーム、Atlantic Labs(アトランティック・ラブス)、個人投資家が参加したシードファンディングの350万ドルのみにとどまっていた。

自動化とクラウド技術が労働現場を席巻している最中という非常に興味深いタイミングで、ジャーマン・バイオニックが注目を集めている。次世代の産業労働について語るとき、一般には、自動化と生産の様々な段階で人間に取って代わるロボットに注目が向けられる。

しかし同時に、異なるアイデアに取り組んでいるロボット技術者もいる。人間そっくりでありながら、認知やすべての動作の面で人間より優れたロボットを作れるようになるまでは、まだかなりの時間がかかるだろう。そのため、実際の労働者に取って代わるロボットではなく、人間の信頼性が高く細やかな専門知識を維持しつつ人間を補強するハードウェアを作ろうというアイデアだ。

COVID-19の感染拡大により、産業界における自動化の議論はここ最近より緊急性を帯びたものとなっている。工場はアウトブレイクが多い場所であり、ウイルスの拡散を減らすために物理的な接触や近接を減らす傾向にあるからだ。

外骨格ロボットはCOVID-19のこの側面には対処していない。たとえ外骨格ロボットを使用した結果必要なマンパワーが減ったとしても、結局のところ人間がそれを身につけて作業する必要があることには変わりはない。しかし、一般的に自動化に注目が集まっていたことから外骨格ロボットを使用する機会への関心が高まっている。

パンデミックを度外視したとしても、あらゆる状況で人間に完全に取って代わる費用対効果の高いロボットが完成するのは、まだまだ遠い先の話だ。そのためワクチン接種が開始され、ウイルスへの理解が多少深まった今、外骨格ロボットのコンセプトには強力な市場が用意されている。ジャーマン・バイオニックによれば、2030年までに200億ドル(約2兆700億円)の価値を創出する可能性があるとアナリストは予測している。

そういった意味ではSamsung(サムスン)が投資家であるという事実は実に面白い。サムスン自体が消費者・産業用電子機器を提供する世界有数の大手製造業者だが、自社ブランドとして、またHarman(ハーマン)のような子会社を通じて、他社の製造業務に使用する機器も製造している。サムスンの興味が、独自の製造・物流業務でCray Xを使用することなのか、または他社のためにこれらを製造する上で戦略的パートナーになることなのか、どちらにあるのかは分からない。両方という可能性もあるだろう。

Samsung Electronics(サムスン電子)のコーポレートプレジデント兼最高戦略責任者であり、ハーマンの会長でもあるYoung Sohn(ヤン・ソン)氏は声明の中で「ジャーマン・バイオニックの世界をリードする外骨格テクノロジーの継続的な開発が支援できることを大変嬉しく思います。外骨格テクノロジーは、人間の健康、健全性、生産性の向上において大きな可能性を秘めています。マスマーケットに拡大できる可能性がある、変革的な技術になると考えています」と述べている。

ジャーマン・バイオニックはCray Xを、主に持ち上げる動きを強化し、着用者が怪我の原因となる誤った判断を下すことを予防するのを目的とした「自己学習型パワースーツ」であると説明している。工場労働者、倉庫労働者、あるいは地元のガレージで働く個人事業の整備士などに応用できる可能性がある。同社は顧客リストを公開していないが、広報担当者によると「大手物流企業、工業生産者、インフラのハブ」などが含まれているようだ。そのうちの1つとして、シュトゥットガルト空港が同社のサイトに掲載されている。

MIGのマネージングパートナーであるMichael Motschmann(ミヒャエル・モッチマン)氏は声明で、「これまで肉体労働における効率化と健康増進はしばしば相反するものでした。ジャーマン・バイオニックはこの問題を打破しただけでなく、肉体労働をデジタルトランスフォーメーションの一部として、エレガントにスマートファクトリーへと統合させることに成功しました。私たちはこの企業に計り知れない可能性を感じており、経験豊富な起業家やエンジニアからなる一流のチームと一緒に仕事ができることを特に嬉しく思っています」と述べている。

外骨格テクノロジーは、概念としてはすでに10年以上前から存在しており、MITが2007年に重い荷物を運ぶ兵士をサポートすることを目的とした初の外骨格ロボットを開発した例もある。しかしクラウドコンピューティング、ハードウェア自体のプロセッサの小型化、人工知能などの技術が進歩したことによって、外骨格ロボットがどこでどのように人間を強化できるのかというアイデアが広がってきた。産業界以外にも、膝を痛めた人(または膝の怪我を避けたい人)がうまくスキーで滑走できるようにしたり医療目的で利用したりと様々なアイデアもあるが、最近のパンデミックの影響でこういった利用例の一部に制限がかかり、いつ生産が開始できるかは未だ見通しが立っていない。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:資金調達 サムスン 外骨格

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(翻訳:Dragonfly)

価格9000円の小さなしっぽロボット「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)が12月19日発売

価格9000円の小さなしっぽロボット「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)が12月19日発売

「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、数多くのロボットやIoTプロダクトを企画・開発するユカイ工学は12月14日、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」(クーボ)の小型版として、「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)を発表した。発売は2020年12月19日予定。価格は税抜9000円。カラーバリエーションは、グリ(灰)、マロン(茶)、ノワール(黒)、ブラン(白)の4色。

価格9000円の小さなしっぽロボット「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)が12月19日発売

「Petit Qoobo」は、Qooboユーザーの「ちっちゃいQooboがいたら、いつでもどこでも一緒にいたい」という声をきっかけに、「連れて歩きやすいサイズ感」、そして、まるで小動物のような動きや存在感を目指して開発を開始。

Petit Qooboの特長は、「なでるとしっぽを振って応える」「外に連れ出せる小さなサイズ」「音や声にしっぽが反応」「さりげなく感じる鼓動」。サイズはW21×D28×H11cm。重量は約600g。充電時間は約4時間で、使用可能時間:約8時間(稼働頻度による)。

価格9000円の小さなしっぽロボット「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)が12月19日発売

「Qoobo」(クーボ)開発プロジェクトは、「疲れて家に帰った時、癒やしの存在が家にいてくれたら…」というユカイ工学のデザイナーの想いをきっかけに、犬や猫のように癒やしを与えてくれるロボットをつくろうと、動物の「しっぽ」に着目し2017年にスタート。

実際のしっぽを研究し、その動きを再現する機構やプログラムの開発を行い、膝に乗せたり抱き上げたりするときにちょうどいい重さやサイズ感、撫でた時の気持ちのいい手触りにこだわったという。2018年11月に誕生したQooboは、日本だけでなく、US・台湾・香港・シンガポールで約1年で累計販売数1.5万匹を突破。賃貸物件でペットが飼えない方、動物アレルギーの方、シニアのご家族がいる方など、癒しを求める多くの方の元に迎えられた。

ひとまわり小さいサイズのPetit Qooboも、Qooboと同じ様に撫でるとしっぽを振って応えてくれるほか、周囲の音や声に反応してしっぽを振ったり、驚いたりするという。

価格9000円の小さなしっぽロボット「Petit Qoobo」(プチ・クーボ)が12月19日発売

2007年12月設立のユカイ工学は、「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、様々な製品を開発・販売するロボティクスベンチャー。自社製品の製造、販売ノウハウを元に、顧客の要望に合わせてハードウェアの設計・製造、ソフトウェアやアプリ開発、センサーや部品の調達を迅速、柔軟に対応する体制を整えている。

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カテゴリー:ロボティクス
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