インドのフィンテック「Zeta」がソフトバンクのリードで約272億円調達、待望のユニコーンに

Zeta(ゼータ)は、銀行やフィンテックのサービス開発を手助けするスタートアップだ。このほど調達ラウンドを完了し、待望だったユニコーンの地位を獲得した。

このバンキングテック会社は、インドの連続起業家、Bhavin Turakhia(バーヴィン・トゥラキア)氏が共同設立した。現地時間5月24日に同社は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)がリードしたシリーズCラウンドで、2億5000万ドル(約272億円)調達したことを発表し、TechCrunchが4月中旬に報じた内容が確認された。既存出資者のSodexo(ソデグソ)もラウンドに参加した。

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この最新ラウンドによって、ベンガルールとドバイにオフィスを構える同スタートアップの企業価値は14億5000万ドル(約1576億円)となった。Zetaが2019年7月に報告した企業価値3億ドル(約326億円)を大きく上回る金額だ。(トゥラキア氏は前回のラウンドを誤ってシリーズCと呼んでいたことを話した)。

Zetaは、銀行やフィンテックスタートアップ、およびその他のオンライン消費者プラットフォームに提供するテクノロジースタック(ツールのセット)を開発した。背景には、現代の銀行の多くが旧態依然のテクノロジーで運用されており、膨大な数の顧客やフィンテック企業に最高の体験を与える時間も専門知識も持っていない、という現状がある。

「銀行は1980年代のままです。その多くがCOBOLプログラミング言語をまだ使っていて、貧弱なユーザー体験を提供しています」とトゥラキア氏がこの日の記者会見で語り、それを改善するために銀行は何十というベンダーや技術パートナーの協力を得なくてはならないことを付け加えた。「銀行向けスタックを1から作ることなど誰も考えませんでした。今までは」。

顧客に金融サービスを提供するライセンスを持つ銀行は、ZetaのクラウドネイティブなAPIとSDKを使って、クレジットカード、デビットカード、ローンなどのサービスを開発し、顧客のユーザー体験を改善する。フィンテックもこれらのサービスを利用できる。

「あなたが思いつくどんな金融サービスでも、Zetaなら今すぐ提供します」と彼は言った。

現在同社は10社の銀行と25社のフィンテック企業にサービスを提供しており、新たな資金を使ってさらに顧客を拡大するとともに人員も増やす計画だ。

Zetaの道のり(画像クレジット:Zeta)

ZetaはSoftBank Vision Fund 2にとってインドで最新の投資先だ。日本のコングロマリットは2021年4月にもソーシャルコマースのMeesho(ミーショウ)をユニコーンに育てあげた他、インドのフードデリバリー大手Swiggy(スウィッギー)と交渉中で、さらにはSaaSのスタートアップWhatFix(ワットフィクス)への出資も検討している。

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「バンキングソフトウェアは世界で3000億ドル(約32兆6151億円)の業界です。ほとんどの銀行は顧客よりはるかに遅れたテクノロジーを現在も使っているため、ユーザー体験や顧客維持に影響を与えています」とSoftBank Investment AdviserのマネージングパートナーであるMunish Varma(ムニシュ・ヴァーマ)氏が声明で語った。

Zetaは2021年ユニコーンになった14番目のインド発スタートアップだ。Tiger Global(タイガー・グローバル)、Falcon Edge(ファルコン・エッジ)、SoftBankなどのベンチャーキャピタルが、世界第2のインターネット市場であるインドで出資のペースを加速した結果だ。

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トゥラキア氏は、弟のDivyank(ディヴャンク)氏とともに初めてのベンチャー企業を1998年に立ち上げた。その後2人は4つのウェブ企業を1億6000万ドル(約174億円)でEndurance(エンデュランス)に売却した。Zetaはそれ以降バーヴィン氏が共同開発した3番目のスタートアップで、あとの2つはビジネス・メッセージング・プラットフォームのFlock(フロック)とRadix(ラディックス)だ。

「デジタル世界は銀行に対して、セキュリティ、プライバシー、データ保護に関してますます多くの課題を突きつけています。業界はシステムを再開発してセキュリティ、プライバシー、スケーラビリティー、そして信頼性を中心基盤に据える必要があります。ZetaのOmni Stack(オムニ・スタック)はそのニーズに答えます」とZetaの共同ファウンダーで最高技術責任者、Ramki Raddipati(ラムキ・ラディパティ)氏が声明で語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zetaインド資金調達SoftBank Vision FundユニコーンTiger Global

画像クレジット:Zeta

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サプライチェーンの温室効果ガス排出量計測・管理をAIで自動化するEmitwiseがシード約3.5億円を追加調達

AIプラットフォームで企業とそのサプライチェーンからの温室効果ガス排出量を測定できるとするスタートアップのEmitwiseは、シードラウンドに320万ドル(約3億5000万円)を追加し、これで同社が調達したシード資金の総額は660万ドル(約7億2000万円)となった。320万ドルの追加調達はArcTern Venturesが主導した。また、Schroders(シュローダー)のCEOであるPeter Harrison(ピーター・ハリソン)氏、テトラパックのファミリー後継者Magnus Rausing(マグナス・ラウシング)氏、そしてUber(ウーバー)の共同創業者Ryan Graves(ライアン・グレイブス)氏の投資会社であるSaltwaterなどのエンジェル投資家も参加した。その他の投資家には、True Ventures、Social Impact Capital、Lightbird Venturesなどが含まれている。

同社はこのプラットフォームにより、サプライチェーン全体のカーボンアカウンティング(炭素会計)の自動化、排出ホットスポットの特定、ERPシステムとの統合、CDP、GHG、TCFDなどの監査・開示システムへの準拠を実現するとしている。

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Emitwiseの共同創業者兼CEOであるMauro Cozzi(マウロ・コッツィ)氏は、次のように述べている。「きたるCOP26気候サミットで各国首脳が気候変動への取り組みを強化する中、企業や投資家の間では、『炭素イコール コストとリスク』という確信がかつてないほど高まっています。ネットゼロに合致したモデルは、利益・効率性・耐性を代弁するものであり、当社は企業が変革により大きな経済的利益を実現できるよう支援することを約束します」。

ArcTern VenturesのMarc Faucher(マーク・フォーシェ)氏は次のように述べた。「企業は顧客、投資家、そして規制当局から正確な環境データを開示するように迫られています。Emitwiseは、効果的な緩和策やインセンティブを導入する上で重要となる、サプライチェーンのカーボンを明確に把握できるようにします。ArcTern Venturesでは、Emitwiseのソフトウェアプラットフォームは、世界共通のカーボンフットプリント報告の新しい基準となるゲームチェンジャーだと信じています」。

EmitwiseはWatershedsやPlan Aなどを含むこの分野の他のスタートアップとある程度競合しており、これらの企業も最近資金調達を行った。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:温室効果ガス人工知能Emitwise資金調達カーボンアカウンティング二酸化炭素

画像クレジット:Emitwise team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

今日使われているIoTデバイスは数十億個に上る可能性があるが、それらを動かすソフトウェアを開発(および更新)するためのツールには、まだまだ多くの要望がある。開発者とエンジニアがAndroidベースのエッジデバイスのフリートを展開・管理できるツールを開発するEsper(エスパー)が、シリーズBラウンドで3000万ドル(約33億円)を調達したと発表した。Scale Venture Partnersがラウンドをリードし、Madrona Venture Group、Root Ventures、Ubiquity Ventures、Haystackも参加した。

同社は、Androidだけでこの種のデバイスを開発しているデバイスメーカーは数千社あるが、そのスケーリングと管理には多くの課題がともなうと主張している。ここでの中心的なアイデアは、ソフトウェアの開発者が期待するDevOpsエクスペリエンスをデバイス開発にもたらすということだ。同社は、自社のツールを使用することで、企業が自社内部にDevOpsチームを用意することから解放され、代わりにEsperのツールを利用して、デジタルサイネージから、キオスク、ヘルスケア、小売、物流などのカスタムソリューションに至る利用場面に合わせ、AndroidベースのIoTフリートを拡張できると主張している。

「パンデミックにより、コネクテッドフィットネス、デジタルヘルス、ホスピタリティ、フードデリバリーなどの業界を変革し、インテリジェントエッジデバイスの採用がさらに加速しました。しかし、新しい利用場面ごとに、より優れたソフトウェアの自動化が必要です」と、COOのShiv Sundar(シブ・スンダー)氏とともに会社を創業したCEOで共同創業者のYadhu Gopalan(ヤデュー・ゴパラン)氏は語る。「Esperの成熟したクラウドインフラには、クラウド開発者が期待する機能が組み込まれており、それはデバイス向けに再考されています」。

画像クレジット:Esper

モバイルデバイス管理(MDM)は決して新しいものではないが、Esperチームは、同社のツールはその種の利用を想定して開発されたものではないと主張する。「MDMは現在市場に出回っているソリューションですが、ある環境に持ち込まれるデバイス用に作られています」とゴパラン氏は述べる。「そうしたソリューションのDNAは、企業を保護し、ネットワーク内で企業にアプリケーションを展開することに根ざしています。私たちの顧客はデバイスを世の中に送り出しています。まったく異なる利用方法とモデルです」。

Esperはこれらの課題に対処するため、開発者向けの完全な開発スタック、デバイス管理用のクラウドベースのサービス、カスタムデバイスの開発を始めるためのハードウェアエミュレーターなど、さまざまなツールとサービスを提供している。

「Esperのおかげで、3種類のハードウェアでFusionに接続するフィットネス製品を6カ月足らずで立ち上げることができました」とInspire Fitnessの創業者であるChris Merli(クリス・メルリ)氏は述べた。「フルスタック接続のフィットネスAndroidプラットフォームは、さまざまなハードウェアプラットフォームでアプリケーションをテストし、クラウド上ですべてのデバイスを構成し、仕様どおりにフリートを管理するのに役立ちました。彼らは、スピード、Androidの専門知識、それに私たちのアプリケーションが顧客に楽しい体験を提供するという信頼を私たちに与えてくれました」。

Esperはまた、このハードウェアの寿命を延ばすために、古いx86 WindowsデバイスでAndroidを実行するためのソリューションも提供している。

「私たちはインフラの構築に約1年半を費やしました」とゴパラン氏はいう。「『絶対に』。これが難しい部分ですが、それこそが信頼性が高く堅牢なメカニズムを築きます。そうしたメカニズムで、顧客はビットがデバイスに流れると信じることができます。また、必要に応じてロールバックすることもできます」。

Esperは、ハードウェアパートナーと協力して、同社のサポートを組み込んだデバイスを最初から用意している。

Esperによると、2020年は売上高が70倍、有料顧客が8倍、Esperを実行しているデバイスが15倍増加した。元々の水準がわからないため、そうした数字に意味はないが、投資家はEsperが何かに取り組んでいるとはっきり信じている。現在の顧客には、CloudKitchens、Spire Health、Intelity、Ordermark、Inspire Fitness、RomTech、Uberなどが含まれている。

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カテゴリー:IoT
タグ:IoTEsper資金調達DevOps

画像クレジット:Esper

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

誰でも簡単にAI分析が使えるSaaS「datagusto」が8500万円を調達、創業者「自動調理器のようなツール」

「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」という格言がある。顧客にとってドリルはあくまでも手段であって、求めるものは穴(結果)ということだ。私たちは、たとえテレビやPC、スマートフォンがどんな仕組みで動いているのかを知らずとも満足に使える。その結果、それらは世界中で数十億人が利用するツールになった。

AIの分野でこれを実現しようとするのが、データを入れるだけで高度なAI分析を行うことができるSaaS型ツール「datagusto(データグスト)」だ。同製品を開発するdatagustoは、2021年5月24日、DEEPCOREEast VenturesゼロワンブースターG-STARTUPからの合計8500万円の資金調達を発表した。

専門知識なしでAIが使える

「これまで企業がAIを活用しようとすると、専門のコンサルタントに依頼したり、データサイエンティストを雇用したりするのが必要で、多大なコストがかかっていました」。そう話すのは、datagustoのCEOであるパー・麻緒氏。「昨今、AIの開発工数を短縮するためのソフトウェアはいろいろ出てきてますが、それらはあくまでもデータサイエンティストのためのツール。専門知識のないビジネスサイドの人間が使いこなすことは難しい」。

この課題を解決するため、ユーザーが専門知識をまったく持たずとも、簡単にAIを使いこなすためのツールがdatagustoだ。パー氏はこれを「具材を入れるだけで料理ができあがる、自動調理器のようなツール」と表現する。同ツールでは、あらかじめパッケージ化された分析テンプレート(同社は「レシピ」と呼ぶ)をクリックすると、誰でも簡単に「何時に荷電すれば受注できるのだろうか?」といった現場の疑問への答えを、データから導出することが可能になる。ユーザーが行うことは、datagustoにより指定されたデータをアップロードすることだけ。

先の例では、荷電時間・受注の有無・荷電先の業種・設立年・荷電担当者など、社内で過去蓄積してきたデータをコピー&ペーストでdatagustoにアップする。あるいは、SalesforceなどのCRMと連携し、自動でのアップロードも今後可能に。AIは、アップロードされた過去のデータから傾向を見出して「○時に荷電するのが最も成功確率が高い」といった形でユーザーに提示する。

datagustoの分析テンプレートは「最適な荷電時間のレコメンド」にとどまらない。「販売個数の予測」「離脱予測」「コンバージョンにつながる見込み客の予測」など、これまで社内に眠ったままだったデータをdatagustoに注入することで、業界や規模を問わず手軽にAI分析を行うことができるようになる。

画像クレジット:datagusto

AIの大衆化を実現する

一方で、datagustoにもトレードオフは存在する。同製品は誰でも簡単に使える分析テンプレートが用意されている反面、他社のAIツールと比較するとカスタマイズできる部分が少ないのだ。しかしパー氏は、その違いこそがdatagustoの強みだと話す。「誰しもが高い自由度や、最高の性能を求めているわけではないと思うんです。例えば他社のAIツールは、車でいうとフェラーリ。馬力があって何でもできるんだけど、数千万円も費用がかかって、使いこなすのが大変。一方でdatagustoは、低燃費で使い勝手が良い『AIツール界のプリウス』みたいな存在を目指しています」。

パー氏のdatagusto創業のきっかけは、アパレルバイヤーとして働く友人からの相談だった。当時、大手外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストをしていたパー氏は、海外ラグジュアリーブランドのバイヤーを務める友人から、発注数を決める方法について尋ねられたという。「データ分析の専門知識を持たず、ツールもエクセルしか与えられていない友人にとって、その分析を自身の手で行うことは不可能でした」。一方で、毎月数百万円ものフィーが発生するコンサルサービスは、ビジネスの規模として採算が合わない。同氏は「それだったら、誰にとっても低価格で知識がなくても使えるAIツールを自分がつくろう」と考えた。

2020年4月創業のdatagustoは、同年11月にβ版をリリース。すでにリコー大和ライフネクストなどで試験導入されており、ある営業現場ではアポ率を従来の5%未満から、最大20%にまで上昇させることに成功したという。今回の調達資金をもとに製品開発をすすめ、2021年10月に正式版をリリースする予定で、提供価格は1ユーザーあたり年間10万円〜(予定)。従来のAI開発では、数百万から、大規模であれば数千万円規模の開発費用がかかっていたことを考えると、まさに「AIの大衆化」を実現するプロダクトといえるだろう。

「テレアポ1件をAIで効率化して得られる経済的利益は、微々たるものです。でもこれが数百、数千件と積み重なることで、ビジネスを抜本的に変革させる要因にもなり得ます」とパー氏は目を輝かせる。日本中のビジネスパーソンが、マニュアルを読まずともAIによるデータ分析を使いこなして意思決定を行う。彼女が目指すそんな未来の実現も、そう遠くはないかもしれない。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:datagusto資金調達日本ノーコードSaaSデータ分析

介護事業所向けリハビリ業務支援SaaS「リハプラン」を運営するRehabが7億円調達

デイサービス向けクラウド機能訓練ソフトやリハビリ業務支援SaaS「リハプラン」を運営するRehab for JAPAN(リハブフォージャパン)は5月24日、第三者割当増資による総額7億円を調達したと発表した。累計調達総額は約11億円となった。

引受先は、CYBERDYNE、CEJキャピタル(サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合)、MTG Ventures(MTGV投資事業有限責任組合)、SMBCベンチャーキャピタル(SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合)、豊島運営のCVCファンド、三菱UFJキャピタル(三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合)、小野薬品工業、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(KIRIN・GB投資事業有限責任組合)、キャピタルメディカベンチャーズ(ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任組合)。

調達した資金調達により、介護事業者が長年培ってきた知見や高度な技術との連携に向けて、既存事業の拡大、新規事業へのスピードをさらに加速する。

リハプランは、機能訓練業務を誰でも簡単かつ効果的に行える「デイサービス向けクラウド機能訓練ソフト」だ。2018年2月リリース以来、累計の導入事業所数は900事業所、すでに6万6000人の高齢者データを有しているという(2021年5月時点)。

リハプランでは、最新の高齢者データベースをもとに2200種類の目標・運動プログラムから最適な計画・訓練を自動で提案。従来専門職の脳内で行われていたリハビリ訓練計画の立案工程を自動化しており、要介護者の身体状況や自宅での生活課題、本人の意志などに関する項目をチェックするだけで、最適なリハビリメニューを提案するとしている。これにより、リハビリ指導経験のないスタッフでも、効果的な介護リハビリを提供できるようになった。

さらに、リハビリ業務に必要な機能を揃えていることから、職員の書類業務負担を軽減しつつ、介護事業所の差別化・売上アップを支援するとしている。

また同社は、介護事業所内には要介護者の身体状況や生活、家庭環境、本人の興味・関心などに関する深いデータが存在することに注目しているという。ただし、これらデータは複数の手書きの紙資料に点在する形で記録されており、分析可能な状態になっていないケースが多いそうだ。そこで業界知見とAIや動画解析などの先端技術を活用して、スタッフの業務を効率化しながらより質の高いデジタルデータに変え、個別性の高いリハビリテーションの有効性を実現するのがRehab for JAPANの目標だ。

2016年6月創立のRehab for JAPANは、「介護に関わるすべての人に夢と感動を」をビジョンとし、より多くの高齢者が健康的に長生きすることで幸せに長く暮らせる世界(健康寿命の延伸)に向けて、「エビデンスに基づいた科学的介護」の実現を目指すスタートアップ企業。介護現場のリアルデータを収集し、高齢者が元気になることを「科学」するとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:介護(用語)資金調達(用語)Rehab for JAPANリハプラン(サービス)日本(国・地域)

EVや蓄電システムに搭載したままバッテリーの状態や劣化度合をシミュレートできるTWAICEの分析ツール

すべてのバッテリーは時間とともに劣化していく。電気自動車メーカーや車両運行管理会社にとって、それがいつ、どのくらい劣化するのかを知ることは重要であり、収益に関わる鍵にもなる。

しかし、バッテリーの健康状態を把握することは、大がかりで高額な検査を行わなければ意外と難しく、車両に搭載された状態では不可能な場合も少なくない。ドイツのバッテリー分析ソフトウェア企業であるTWAICE(トワイス)は、2018年の創業以来、この問題に取り組んできた。同社は米国時間5月19日、シカゴに拠点を置くEnergize Ventures(エナジャイズ・ベンチャーズ)が主導したシリーズBラウンドで、2600万ドル(約28億3000万円)を調達したことを発表した。主にモビリティやエネルギー貯蔵の分野で活躍する同社は、これで資金調達総額が4500万ドル(約49億円)に達したことになる。

TWAICEの開発や運営面について共同設立者のStephan Rohr(ステファン・ロア)氏にインタビューした際「私たちは、バッテリーシステムのライフサイクル全体を本当にカバーできるバッテリー分析プラットフォームを構築することに焦点を当ててTWAICEを起ち上げました」と語った。この会社は、実際にバッテリーが車両やエネルギー貯蔵システムに搭載されている状態で、開発や設計を行うために適したツールを提供している。Audi(アウディ)やDaimler(ダイムラー)、インドのHero Motors(ヒーロー・モーターズ)などが同社の顧客だ。

今回の資金調達により、TWAICEは欧州での事業展開を拡大し、さらに米国進出の可能性も探っていくという。また、製造会社だけでなく、物流や旅客輸送業者との連携なども含め、同社の分析プラットフォームをもとに、さらに多くのユースケースを構築したいと考えている。

同社の革新的な技術の1つに「デジタルツイン」という概念がある。これはTWAICEのクラウドプラットフォーム上で動作するバッテリーシステムのシミュレーションモデルで、バッテリーの熱特性や電気的挙動、劣化などのパラメーターを連続的に更新していくことによって、実際のバッテリーの状態がこの「デジタルな双子」に反映されるというものだ。つまり、EVバスを運行している企業は、それぞれの車両のバッテリーパックの状態を、このデジタルツインを通してモニターすることができる。

「バッテリーシステムの現在の健康状態をモニターするだけでなく、将来のシミュレーションや予測も可能になります」と、ロア氏はいう。

TWAICEはまた、バッテリーが自動車やエネルギー貯蔵システムに搭載される前の段階にもソリューションを提供している。「バッテリーの設計エンジニアは、当社のシミュレー ションを利用することで、充電戦略,放電深度,異なる電池化学の評価などのテスト作業を軽減することができます」と、ロア氏は説明する。

TWAICEのソフトウェアの主な使用例の1つは、保証追跡や安全性リスクに関するものだ。同社のバッテリー分析を利用することで、製造メーカーはバッテリーがセルやモジュールなどのどこで故障したのかを正確に把握することができ、将来の保証請求に対して過去のデータに基づく貴重なデータを得ることができる。TWAICEの営業担当責任者を務めるLennart Hinrichs(レッナールト・ヒンリクス)氏は、製造メーカーにとって保証は大きなリスクであると説明する。その理由の1つは、バッテリーが非常に複雑で、車両に搭載されてしまうと、状態を理解することが非常に難しいからだという。

しかし、バッテリーの寿命を把握することは、消費者にとっても有益だ。ドイツの試験・認証機関であるTÜV Rheinlandは、民間市場におけるEVの中古車販売に関してTWAICEと提携し、中古車市場のEVが搭載するバッテリーの標準的な評価プロセスの確立を目指している。

EVの車載バッテリーが長期的な使用を経て本来の用途に適さない状態にまで劣化した後、自動車メーカーはTWAICEのソフトウェアを使って、バッテリーシステムの健康状態と残りの寿命を評価し、例えばエネルギー貯蔵などのセカンドライフに再利用するか、あるいはそのままリサイクルに回すべきかを判断することができる。

2020年3月に行われたTWAICEの前回の資金調達ラウンドでは、アーリーステージ専門ベンチャーキャピタルのCreandum(クリーンダム)が主導し、既存の投資家であるUVC Partners(UVCパートナーズ)、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)、Speedinvest(スピードインベスト)が追加投資を行った。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:EVバッテリーTWAICE資金調達エネルギー貯蔵

画像クレジット:TWAICE

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スタートアップが市場に広がっていくのを見るのは楽しい

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

ユタ州を拠点とするスタートアップ企業Divvy(ディビー)がBill.com(ビル・ドット・コム)に売却されたことが、私の頭の中をずっと駆け巡っている。その理由は、25億ドル(約2723億3000万円)という巨額のエグジットが、双方の企業にとってそして地元にとっても大きな意味を持つだけでなく、そのターゲットとなる市場が刺激的であることも大きい。

Divvyは、Ramp(ランプ)やBrex(ブレック)などの、いくつかの他のユニコーン企業たちを相手に、企業支出(corporate spend)市場と呼ばれる分野で競争している。だがDivvyが去った今、2つの競合他社は重要な点での差別化を図っている。

そして、Brexは実看板広告を再開しつつある。

先週Brexは、米国のいくつかの都市で実看板広告を展開することを発表した。サンフランシスコで暮らす人たちは、Brexがまだよちよち歩きだったころ、街中にブランド広告をベタベタ掲出していたことを思い出すだろう。基本的には、それは多くのインプレッションを得る安価な手段だったのだ。

今回スタートアップはこの戦略をヒューストン、マイアミ、ワシントンD.C.にも展開しようとしている。それはなぜだろう?先週The Exchangeは、BrexのCEOであるHenrique Dubugras(エンリケ・ドゥボグラス)氏にインタビューを行い、この件について話を聞いた。ドゥボグラス氏によれば、現実世界でのマーケティングを再開するにあたり、2つの目標を掲げたという。まず、Brexは、スタートアップ企業向けのコーポレートカードという当初のブランディングを超えて、そのソフトウェアをアピールしたいと考えている。そして2つ目は、同社がサンドヒル・ロード(世界のVCの1/2が集まるカリフォルニアの通り)のVCを短縮ダイヤルに登録しているような企業(スタートアップ)だけでなく、あらゆるタイプの企業と連携していることを、ビジネスオーナーたちに知ってもらいたいということだ。

Brexがスタートアップ以外の顧客も増やしたいと考えているのであれば、彼らのスタートアップとしての活動があまり知られていない市場で、Brexの名前を広めようとすることは理に適っている。しかし、私たちが注目したのは、もちろんそのソフトウェア面での取り組みだ。

というのも、Brexは最近、年間約600ドル(約6万5400円)のソフトウェアサービスパッケージであるBrex Premium(ブレックス・プレミアム)を展開しているからだ。BrexとRampやDivvyなどのライバル企業たちは、従来のコーポレートカード製品の周囲に、ますます洗練されたソフトウェアを構築するために、特に最近多くのエネルギーと資金を費やしてきた。その結果、そうしたコードベースが、経費精算ソフトなどの他のエンタープライズソフトウェアを置き換えることができるようになってきている。

しかし、Brexが有料であるBrex Premiumを広告でアピールする一方で(ドゥボグラス氏は当初の予想よりも数字が良いという)、競合他社のRampは、その無料ソフトウェアを前面に立ててアピールしている。

RampのCEOで共同創業者のEric Glyman(エリック・グリマン)氏は、The Exchangeに対して、同社のゼロコスト・ソフトウェアを強調した新しい価格紹介のページを示した。そして、彼はこの新しいページが「これまでで最速の成長を遂げた月の原動力となっています」と電子メールで述べている。

広い視点で眺めると、Ramp、Brex、Divvy、そしてAirbase(エアベース)などの競合企業たちを見ていると、古くなった企業の問題を、より軽快で低コストの製品で解決しようとしているスタートアップの集団がいることがわかる。そしてその動きの中で、これまでとは違い、より良いものが必要とされている、未開拓の大きな需要があることが証明された。もしそうでないなら、企業支出の世界でスタートアップの王座を争うさまざまなプレイヤーたちが、ここまで急速に成長することはないだろう。

もっと詳しく知りたい場合は、DivvyとBill.comの取引についての記事がある

さらにスタートアップランドから

今週のExchangeは先週SPAC大忙しだったため、本来であればより掘り下げたいような興味深いニュースの数々を見逃してしまった。ここでは、もっと深く掘り下げられたらきっと面白かったであろう、極めて優れたベンチャーのラウンドをご紹介する。

  • ProducePay(プロデュースペイ)は、シリーズCで4300万ドル(約46億8000万円)を調達した。LAを拠点とするProducePayは、食糧生産者が資本、ソフトウェア、市場データにアクセスすることを支援し、食品購買者(輸入業者など)と結びつける。ProducePayのウェブサイトによれば、ProducePayは、メキシコのバージョ州で、労働者の雇用と栽培事業への投資のために、アスパラガスを栽培している企業に50万ドル(約5447万円)の資金を提供した。同社によれば、返済は作物が出荷された時点から開始される。
  • 農業は大変で、不確実さが多く、お金がかかり、従来の銀行の要求とは必ずしも一致しない。さらに、食糧の生産と消費のネットワークがますますグローバル化していることを考慮すれば、G2VPとIFCが共同でこのラウンドを主導した理由がわかる。
  • そうそう、ProducePayが報告した2020年の収益は、GAAPベースの収益額で倍増したようだ。このスタートアップの粗利益率は「引受方針の改善と、取引量拡大にともなう魅力的な資金コストのおかげで、2019年から2020年にかけて75%以上成長しました」と同社のPRチームは述べている。とてもクールな話だ。

先週調達を行ったまた別のすばらしい企業がPanther(パンサー)だ。調達額は250万ドル(約2億7000万円)である。Pantherが支援するのは、160カ国にまたがる企業採用だ。この会社と今回のラウンドに対する私たちの見方は、この先リモートファーストを推進する企業が増えれば、このようなサービスは必須となるだろうというものだ。またGusto(ガスト)も同じ市場で競合している。ということで、VCM&Aの両方の観点から注目を続けたい。

Pantherはフロリダを拠点としており、リリースによると「Tribe Capital、Eric Ries、Naval Ravikant、Carta Ventures」から資金を調達したとのことだ。

ラウンドをもう1つ。フリーランスに特化したネオバンクであるLance(ランス)は、先週280万ドル(約3億1000万円)を調達した。同社によれば、今回のラウンドは、Barclays、BDMI、Great Oaks Capital、Imagination Capital、Techstars、DFJ Frontier、New York Venture Partnersが主導し、数名のエンジェルが参加している。

フィンテックの世界では、Chime(チャイム)をはじめとする幅広い扱いを行うネオバンクが誕生しており、よりターゲットを絞った取り組みが行われても不思議ではない。さらにLanceのCEOであるOona Rokyta(オーナ・ロキタ)氏は、フリーランスの世界がさらに拡大することを確信している。ここ数年の労働市場の変化を考えると、彼女は賢明な賭けをしているとあえて言っても良いだろう。

今回の締めくくりとして、Alpaca(アルパカ)について簡単にご紹介しよう。TechCrunchもこれまでに、こちらや、こちらで取り上げているスタートアップだ。取り上げた理由は、API配信サービスへの私たちの関心(オンデマンドの価格設定がホットな話題となっている)にマッチすることと、消費者向けフィンテックの世界(他社の株式取引サービスを支えている)に存在している、という両方の性質を備えているからだ。今回CEOのYoshi Yokokawa(ヨシ・ヨコカワ)氏にインタビューを行い、前回成長率について尋ねたとき以降の、同社の状況について話を聞いた。

結局のところ、2020年位から見られた世界的な貯蓄 / 投資ブームの中では、消費者投資の世界について学べることは何でも(そしてRobinhoodは先週かなり多くのことを教えてくれたが)有用なのだ。

ヨコカワ氏によれば、Alpacaは今後数カ月のうちにいくつかの大陸で新しいパートナーと一緒に展開を行うなどの、グローバルな計画を持っている。同社は米国以外の地域で、毎日1000件の新規アカウントを取り扱っており、ヨコカワ氏は今後数カ月でそれが急激に増加すると予想している。また最近では、パートナー企業がユーザーをより簡単に登録できるようにする、ブローカーAPIを構築した。

私たちには成長しているように思える。さらなるミルク、もとい情報がAlpacaから得られたらお知らせする。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

産直プラットフォームのSecai Marcheが楽天ベンチャーズなどから1.5億円のシード資金を獲得

農家やレストランなどのフードビジネスは、同じ問題、つまり分断化されたサプライチェーンという問題に取り組んでいる。Secai Marche(セカイマルシェ)は、農業の物流を合理化し、フルフィルメントのコスト効率を高め、フードビジネス事業者がさまざまな農家の製品を1つの注文にまとめられるようにしたいと考えている。本社は日本にあり、マレーシアで事業を展開し、シンガポール、タイ、インドネシアへの進出を計画している。今週、レストラン、ホテル、その他の飲食ビジネスに販売する農家向けのB2B物流プラットフォームを構築するため、Rakuten Ventures(楽天ベンチャーズ)とBeyond Next VenturesからプレシリーズAで1億5000万円(約140万ドル)の調達を発表した。

このラウンドで、Secai Marcheの調達合計は約300万ドル(約3億3000万円)になった。資金は、倉庫のネットワークやコールドチェーンロジスティクスなどのフルフィルメントインフラを拡張し、エンジニアリングチームと販売およびマーケティングのためにより多くの人材を雇用するために使う。

Secai Marcheは2018年に杉山亜美氏と早川周作氏が創業し、現在130の農家と300以上の飲食店にサービスを提供している。同社を立ち上げる前、杉山氏はマレーシアでレストランやカフェを経営するなど、東南アジアで4年間働いた。その間、同氏は日本から緑茶の輸入を始め、マレーシアの顧客に直接販売しようとした。しかし、同氏はサプライチェーンの非効率性が需要に応えるのを難しくするだけでなく、あらゆる種類の原材料の品質確保の妨げになることにも気づいた。

一方、早川氏は日本で農場を運営し、農家が一貫した品質を維持する一助とするため、天候と作物の成長を予測する農業管理システムに取り組んでいた。

杉山氏・早川氏のいずれもコンサルティング会社のデロイトに入り、より効率的なサプライチェーンを構築し、日本の農業をシンガポールの飲食ビジネスへ輸出する方法を調べた。菅義偉首相の政権が実施した政策は、日本の農業輸出を2020年の9223億円(約85億ドル)から2025年までに2兆円(約185億ドル)、2030年には5兆円(約461億ドル)に増やすことを目指している

Secai Marcheの目標は、農家が国内や海外の外食産業に作物を簡単に販売できるようにすることだ。

「日本の農家だけでなく、東南アジアのすべての農家が現在のサプライチェーンに関して同じ問題を抱えていることがわかった」と杉山氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちはデロイトを離れ、日本の農家だけでなく、すべてのアジア諸国の農家をつなぐために独自の事業を始めました」

Secai Marcheの物流管理技術が、他の卸売プラットフォームとの違いとなっている。早川氏によると、AIベースのアルゴリズムを使用して、消費動向、季節の商品、農家のお勧めに基づき需要を予測する。同社は独自の倉庫ネットワークを運営しているが、ほとんどの場合、フルフィルメントをサードパーティーの物流業者に依存している。プラットフォームが注文に対し最も効率的な輸送方法を割り当てる。

これにより、飲食ビジネスは農家からの注文を統合できるため、資金を使わずにさまざまな場所からより小さな単位で注文できる。Secai Marcheの商品の約30%は他の国に出荷され、残りは国内で販売されている。

Secai Marcheは顧客基盤を拡大したい農家に働きかけている。現在、製品の約30%は日本の農家から、50%はマレーシアから、残りは他のASEAN諸国からだ。杉山氏と早川氏によると、新型コロナウイルスのパンデミックが同社の拡張計画に影響を与えた。当初シンガポールへの入国を計画していたためだ。出張して、農家と会うことができなくなったため、減速しなければならなかったという。

一方、多くの農家は、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアを介して消費者に直接販売を開始し、フルフィルメント、物流、再梱包、品質管理の支援を求めてSecai Marcheにアプローチしている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

ストレスなく付き合えるリノベ業者を探せるネットワークのEanoが6.5億円を調達、コロナ需要が追い風に

住宅のリノベーションは楽しいが、緊張と努力をともなう。

そのリノベーションプロセスの管理をサポートすることで、プロセスをずっとシンプルでリーズナブル価格のものに、そしてストレスを少なくしようとしている、とあるスタートアップが成長を加速させようと600万ドル(約6億5000万円)を調達した。Builders VCがラウンドをリードし、Celtic、Newfund、そしてWishの共同創業者Danny Zhang(ダニー・チャン)氏が参加した。チャン氏はEanoの取締役会にも加わる。

Wishの元グロースプロダクトマネジャーStella Wu(ステラ・ウー)氏は2017年に自分の家を買ったとき、リノベのプロセスにある課題を直に体験した。

「リノベ分野、特に個人の業者に関して多くの細々とした問題があることに気づきました。個人業者は頼りなく、やり取りも満足にできませんでした」と振り返る。

そしてウー氏は2019年にEanoを創業した。リノベを通じて家の所有者とともに歩み、個人の業者と新たな顧客を結びつけるのをサポートするサンフランシスコ拠点のスタートアップだ。EanoはADU住宅(小さな住宅)のようなプロジェクトにも取り組む。

新型コロナウイルスパンデミックの影響で2020年は多くの人がそれまでよりも家で過ごすようになり、Eanoの契約売上高は5倍に増えた、とウー氏は話す。20201年第1四半期の売上高は前年同期比70%増となった。

EanoのCEOで創業者のステラ・ウー氏(画像クレジット:Eano)

Eanoは家の所有者が改造計画が進む過程で驚くことがないよう、競争力がありかつ透明性のある価格体系を提供している、とウー氏は話した。

同社の自動化されたプロセスが1カ所ですべてのやり取りと進捗状況を追跡していて、ライセンスを持ち、精査され、そしてプロジェクトを抱える家の所有者の紹介が保証された「経験豊富な地元のプロのネットワーク」と同社が表現するものを拡大してきた。

「こうした個人の業者はそこらじゅうにいて、料金もかなり良心的ですが、彼らはリソースをあまり持たず、家の所有者にアクセスするのはかなり困難です」と中国からの移民であるウー氏はTechCrunchに語った。「ですので業者は当社にやって来ます。そして基本的には彼らが抱える問題の面倒をみます」。目下、Eanoはベイエリアとロサンゼルスで事業を展開していて、2021年シアトルとヒューストンに進出する計画だ。

顧客となった家の所有者はEanoで特定の改造パッケージを選ぶことができ、その後はプロジェクトの進捗をチェックしたり、チームと連絡を取ったり、ビデオで進捗具合を確認したりすらできる。

「当社は、業者がはるかに簡単に連絡を取ったり支払いを受けたりするのもサポートしています」とウー氏は話した。「こうした個人業者がブランドを増やすのもサポートしていて、当社のソフトウェアで業者の管理や顧客サポートを手伝っています」。

Builders VCのJim Kim(ジム・キム)氏は、ウー氏とユング氏がWishにいたときに、彼らと知り合ったと話した。

「当社は人に投資します。興した企業を成功に導き、それでもさらに成功したいという意欲があるかなり才能のある起業家を探すことができたとき、小切手を持ってすぐさま飛び込みます」とキム氏は話した。「時代遅れの建設業界のすべての構成要素により良いエクスペリエンスをもたらすために、Wishと同じようなプロダクト供給戦略にテクノロジーを組み合わせるというEanoのミッションを気に入っています」。

キム氏はまた、ウー氏が「建設に意義ある影響をもたらすために安全靴を履いた55歳の男性である必要はない」ことを証明しようとしているという事実にも感銘を受けている。

「その精神を気に入っています。ステレオタイプに馴染まない起業家を支援するという当社の考えと合っています」とキム氏は述べた。

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タグ:Eano資金調達住宅リノベーション

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

スポーツ報道の現状に挑戦する女性によるスポーツメディアスタートアップGISTが1.1億円を調達

The GISTの共同創業者3人はみなスポーツファンだ。彼女らは2018年、一般にスポーツメディアには多くの満たされざる期待があることに気付いた。それは、男性で占められた伝統的・ステレオタイプのスポーツ観戦者以外の視聴者へ届けることに関することだ。そこで彼女らは新しい種類のスポーツメディア企業を立ち上げた。トロントでの金融サービスという彼女たちの経歴とはまったく異なるキャリアに賭けることにしたわけだ。

2020年の視聴者増加350%という鮮烈な数字をひっさげて、共同創業者であるJacie DeHoop(ジェシー・デュフープ)氏、Ellen Hyslop(エレン・ハイスロップ)氏、Roslyn McLarty(ロスリン・マクラティ)氏は、3GP Capital、JDS Sports、August Group、Even Odds Investments、Bettor Capitalなどの投資家から、初めてとなる100万ドル(約1億1000万ドル)のシード資金を調達した。カナダ事業開発銀行からも35万ドル(約3850万円)の融資が承認された。ベンチャーキャピタルおよび州によるクレジットインセンティブ全体の新規資金の合計は135万ドル(約1億4850万円)になった。

「スポーツ業界では、ご存知かもしれませんが、女性アスリートについて報道されるのは全体の4%未満であり、女性スポーツジャーナリストも全体の14%未満です」と、GISTの財務・オペレーション・成長の責任者でもあるマクラティ氏は説明jした。「これは不思議なことではありませんが、私たちは女性として、伝統的な男性優位のスポーツメディアやスポーツの表現方法とは必ずしも同じ方法を採りません。そのため、コミュニティースポーツが提供できるものに参加するのは難しいと感じていました。同時に、メディア企業が視聴者とより本物の関係を築き、コミュニティーを構築し直す動きが見られ、本当に効果を上げています」

マクラティ氏は、theSkimm、Morning Brew、The Hustleなどの他のメディアベンチャーを、彼女やその共同経営者が見た中でうまく機能した例として挙げる。そのアプローチを、潜在的に未開拓となっている大勢の聴衆と組み合わせ、GISTの創業につなげた。最初はニュースレターだったが、ニュースサイトやポッドキャストなどに発展していった。

「私たちは、カジュアルなファンや女性のファンにとって、スポーツをより身近で、包摂的で、親しみやすく、楽しいものにすることを目的として始めました」とマクラティ氏は言う。「本当に誰にとっても、それは伝統的なスポーツメディアとは異なるものになりました」

筆者はマクラティ氏に、同氏やその共同創業者らが特にメディアビジネスに参入したいと思った理由を尋ねた。彼女らの経歴はトロントのウォール街に相当するベイストリートで築き上げられたことを踏まえてのことだ。同氏は、3人が足場を固めるのに少し時間がかかったと認めた。だが今や同社のビジネスは、新しい、増えつつある視聴者を開拓した。これまでニーズを満たされてこなかった視聴者だ。そのおかげで、広告主とブランドパートナーシップを勝ち取ることもできた。

「私たちは本当に価値のある視聴者を発見したと考えています。ブランドパートナーがスポーツを通じて女性視聴者と交流する方法は全くありませんでした」と同氏は語る。「そこで私たちはニッチな場所を見つけ、さまざまなものを作り上げ、本当に小さく進めて現在の姿に至りました。難しかったのは、現在の状態にもって行くために必要だった視聴者への初期投資でしたが、視聴者数が今の規模に達すれば、新たに視聴者が増えるごとにニュースレターの利益率は明らかに素晴らしいものになります」

GISTのパートナーには、NBA、FanDuel、Red Bull、Adidasなどのブランドが含まれる。2021年の売上高は前年比1000%以上の増加となり、総売上高100万ドル(約1億1000万円)を達成する見込みだ。同社は、コンテンツに関わる新入社員や、営業チームとオペレーションチームの追加の人員を含め、新しい資金をチームの拡大に使うと述べている。

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画像クレジット:Katherine Holland

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

ガジェット用フレキシブル太陽電池のExegerが41.7億円を調達、搭載ヘルメットとワイヤレスヘッドフォンが発売予定

光だけでガジェットを動かすのに十分な効率を誇るフレキシブル太陽電池技術「Powerfoyle」を10年以上にわたり開発してきたスウェーデンのExegerが、製造能力を拡大するために新たな資金を投入し、同国に第2工場を開設する。

今回調達した3800万ドル(約41億7000万円)のうち、2000万ドル(約21億9000万円)はSwedbankおよびSwedish Export Credit Corporation (SEK) からのデットファイナンスで、その内訳はSwedbankが1200万ドル(約13億2000万円、一部はスウェーデンの公的輸出信用機関[Export Credit Agency、EKN]が革新的企業向け投資信用保証の下で引き受け)、SEKが800万ドル(約8億8000万円、一部は汎EUの欧州投資基金[European Investment Fund、EIF]が引き受け)。残りの1800万ドル(約19億7000万円)はIlija Batljan Invest ABへの新株発行によるものである。

93万7500株の発行価格は1株19.2ドル(約2100円)で、これは同社の事前評価額8億6000万ドル(約940億円)に相当する。

SoftBankも2019年、Exegerに1000万ドルを2回に分けて総額2000万ドルの投資を行なっている。これは同社の技術の世界展開を加速し、太陽エネルギーへのさまざまな投資をさらに拡大するための戦略的パートナーシップである。

このスウェーデンの会社はこれまでにも、太陽電池技術の開発を目的として2014年に同国のエネルギー機関から融資を受けている。しかし、今回の資金調達ラウンドは商業ベース(EKNとEIFが一部引き受けているが)では初めてのものだ。

Exegerによると、同社の太陽電池技術は多様な形状や色彩にプリントすることが可能な唯一の技術であり、同社のPRの言葉を借りれば「あらゆる製品を無限のパワーでシームレスに強化できる」という。

現時点では、2つのデバイスがPowerfoyleの技術を統合している。1つは安全テールライトが統合された自転車用ヘルメット(POC)と、もう1つはワイヤレスヘッドフォン(Urbanista)だ。いずれも現時点では商用化に至っていないが、2021年6月から発売を予定している。

Exegerは、ストックホルムに建設予定の第2工場で2023年までに生産能力を10倍に拡大できるとしている。より広範な市場を早期にターゲットとし、自社技術の大量採用を加速するのが狙いだ。

同社が現在ターゲットとしている新規太陽電池技術の主な市場は、家電製品、スマートホーム、スマート職場、IoTなどである。

さらに多くのデバイスとの提携が2021年中に予定されている。

ExegerのPowerfoyle太陽電池はUrbanistaのヘッドフォンに統合されている(画像クレジット:Exeger/Urbanista)

「私たちはラウンドにラベルを付けることなく、資金調達に関するより現実的な視点を有しています」と創業者でCEOのGiovanni Fili(ジョヴァンニ・フィリィ)氏は語っている。「新技術や新規エネルギー源の開発、新たな産業の基盤の構築には時間を要します。そのため、私たちのような会社にはビジョンと全体戦略に賛同する長期的な戦略投資家が必要です。当社はこのことに多くの時間とエネルギーを費やしてきましたが、それが実を結びました。発明を商業的に立ち上げるために必要なリソースが、時間と資金の両面で会社にもたらされたのです。それが現在の私たちの状況です」。

フィリィ氏はまた「実現性を確信した」今、デットファイナンスを行うことを選択したと言い添えた。

「海外ではなくスウェーデンのストックホルムに新工場を建設する理由を尋ねられたときの答えと同じものです。当社はかねてより、商業化されれば次の工場の資金を確保する際にバランスシートの有効活用を開始すると述べてきました。SwedbankおよびSEKとの長期的な関係、そして融資の一部をEKNが引き受けてくれたスウェーデン政府の多大な支援のおかげで、これを前進させることができました」と同氏は続けた。

6月に発売される2つのデビューデバイスであるPOCのOmne EternalヘルメットとUrbanistaのLos Angelesヘッドフォンについて話をする中で、フィリィ氏はこのセルフパワー製品への関心は「私たちの期待を超えた」と述べている。

「Powerfoyleを搭載した製品は、室内灯でも自然の屋外灯でも、あらゆる光の下で充電可能です。光の強度に応じて充電速度が速くなります。例えば、POCヘルメットには安全灯を充電するUSBポートはありません。周囲の光が充電を維持するからです。自転車に乗っているときもそうでないときもです」と同氏はTechCrunchに語った。

「UrbanistaのワイヤレスヘッドフォンLos Angelesはすでにオンライン上で大きな関心を集めてます。屋外で1時間を過ごせば、3時間のバッテリー駆動時間を確保できます。つまりほとんどのユーザーは、充電の心配をする必要はありません。製品が明るい場所にある限り、どのような光でも常に充電可能です。これが当社の技術の重要な側面の1つであり、人々が必要とする場所で機能するように太陽電池を設計、開発してきました」。

「2021年は当社の商業的躍進の年です」と同氏は声明で付言した。「POCとUrbanistaの製品リリースが示すすばらしい反応は、今がセルフパワー製品を世界に紹介する絶好のタイミングであることを明確に物語っています。

2030年までに10億人の人々の生活に貢献するという当社のビジョンを実現するには、大量生産が必要です。そしてそれが現在、当社が工場の建設を進めている理由です」。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Exeger太陽電池資金調達スウェーデンヘルメットヘッドフォン

画像クレジット:Exeger

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

複数デリバリー・テイクアウトサービスからの注文を一元管理できる飲食店向けSaaS「CAMEL」のtacomsが資金調達

複数のデリバリーおよびテイクアウトサービスからの注文を一元管理できる飲食店向けSaaS「CAMEL」(キャメル)を手がけるtacoms(タコムス)は5月20日、第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開だが、数千万円規模と見られる。引受先は、ANRI、EastVentures、複数の個人投資家。

調達した資金により、飲食店のデリバリーインフラとなれるべく、製品の開発と採用の強化に注力するとしている。

tacomsによると、コロナ禍の影響もあり、多くの飲食店が複数のデリバリーサービスの導入を進めているという。その結果、飲食店の厨房内が各サービス用の注文受注用端末であふれる、サービスごとに管理画面にログインしてメニューの更新作業を行わなくてはならないなどの課題が発生しているという。

その解決策としてCAMELでは、複数のデリバリー・テイクアウトサービスの注文受注やメニュー管理などを1つのタブレットで利用できるようにした。これにより、簡潔な店内オペレーションのもと新しいデリバリープラットフォームに出店可能となり、管理コストの削減・売り上げの最大化も実現できるとしている。

またCAMELでは、注文の受注だけでなく、商品の品切れ設定やレシートプリンターと連動した帳票の印字なども行えるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:飲食業界(用語)資金調達(用語)食材宅配 / フードデリバリー(用語)tacoms(企業)日本(国・地域)

登録建設業者数が5万社突破、建設業マッチングの「ツクリンク」が約3億円を調達

全国の元請会社と協力会社・職人をつなぐ建設業マッチングプラットフォーム「ツクリンク」を提供するツクリンクは5月20日、第三者割当増資による約3億円の資金調達を発表した。引受先は、DG Daiwa Ventures、CAC CAPITAL、ドーガン・ベータ、西武しんきんキャピタル。

調達した資金は、ユーザーニーズに応える新機能の開発などサービスの拡充や営業組織・マーケティングおよび採用強化に用いる。また首都圏以外の地域に対しても、営業組織やマーケティングの強化により事業成長の加速を図るとしている。

ツクリンクは、登録無料で利用できる、建設事業者をつなぐマッチングプラットフォームだ。リフォームや内装、 塗装などの建築工事や土木工事の情報をサイト上に登録すると、施工可能な会員から取引連絡が届き、交渉できる。また無料で自社のプロフィールページを作成でき、業者間ネットワークの拡大や営業の効率化およびコストの削減を促進する。

またツクリンクの登録建築業者数は、2021年3月末現在で5万社超という。今後も会員数や建設工事案件数の増加はもちろん、マッチングの質を高めるサービスの拡充に努めるとしている。

登録建設業者数5万社が突破、建設業マッチングの「ツクリンク」が約3億円を調達

ツクリンクは「産業構造を変え、豊かな未来をつくる」をミッションとし、人手不足といわれている建設業界の限られたリソースの効率的な活用を促進し、建設業界のDXに貢献するとしている。建築業界のマッチングサービスにより、よりどれだけ業界の効率化を図れるのかに注目したい。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)建設 / 建築(用語)ツクリンク(企業・サービス)マッチングサービス(用語)日本(国・地域)

企業の航空部門といった小規模の航空機運用を支えるPortsideがパンデミックが終息に向かう中好調

企業の航空部門やチャーター便、政府所有の航空機、分割所有機などの運用にともなうバックエンドを管理するPortsideは米国時間5月20日、Tiger Global Managementがリードするラウンドで1700万ドル(約18億5000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、これまでの投資家であるI2BF Global VenturesとSOMA Capitalも参加した。

2018年に創業したPortsideは、企業が利用する航空会社や企業の航空部門などが、フライトの運用とメンテナンスや、乗務員とスタッフのスケジューリング、彼らの経費管理、財務データの作成といったバックエンド的部分を代行してもらい運用を効率化できる。同社は航空部門を運用するために必要な日常事務のすべてを1社で代行するが、それはまた、航空部門や分割所有機の管理会社などが現在利用していると思われるスケジューリングや会計経理、経費管理などのツールをすべて統合している

画像クレジット:Portside

新型コロナウイルスのパンデミックで、ほとんどあらゆる形式の民間航空事業が早くから休業したが、市場は今急速に回復している。Portsideによると、2020年には売上が300%近く増加し、新たに各国の50ほどの航空機運用企業がその顧客ベースに加わった。

Portsideの共同創業者でCEOのAlek Vernitsky(アレク・ヴェルニツキー)氏によると、「今回導入された新たな資本は、プロダクトのイノベーションと、大企業の顧客との関係の強化、そして弊社のグローバルなエンジニアリングと顧客成功チームの成長に投じられます。新旧両様の投資家からの強力な支援を感謝したい。彼らは一丸となって、弊社の経営方針と、グローバルな企業向け航空事業の、クラウドベースのデジタル化に集中したアプローチに対する確信を示しました」。

Portsideは、この市場で1人ではない。たとえばFl3xxのような企業が企業の航空部門に同様のソリューションを提供しており、また市場のローエンドではFlight Circleのようなツールが、一般的な航空クラブや航空機の共同所有に向けて同様の機能のサブセットを提供している。

Tiger Global ManagementのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルティウス)氏は、声明で次のように述べている。「Portsideは創業以来急速に成長し、企業航空のためのクラウドベースのソリューションにおける議論の余地のないリーダーになるというビジョンの実現に向けて、その第2段階に入りつつあります。私たちが見るかぎり、Portsideはこの業界の未来を表しており、今後長年にわたって大きな価値を作り出し続けると思われる企業のパートナーであることは、大きな喜びです」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Portside飛行機資金調達

画像クレジット:Angelo DeSantis/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

街のレストランにピザをカットするロボットがやってくる

本当の話。週末に筆者はとある人とレストランのロボティクスについて話していた。人々が思い浮かべるのが難しいコンセプトだ。それは当然のことだろう。何といっても、ときに文字どおりロボットアームがハンバーガーをひっくり返すという分野における、真に一般的に受け入れられているフォームファクターはない。

筆者の即座の返事は「ピザを作る大型のキオスク」というものだった。正直、それは真実からそれほどかけ離れてはいない。そうした種の自己完結型の組み立てラインロボットはおそらく、我々がこの分野で持つべき総意にほぼ近づいている。それらのロボットは最小限の相互作用で動くようにデザインされていて、従業員の関与は注文の入力、材料の追加、清掃に限られている。

ピザの場合は2要素から成る。まず人々はピザが好きだ。ありふれていて、しかも人気とあって、自動化したい最初の食べ物の1つとなるのは理に適っている。2つ目に、自動化が比較的簡単なことだ。ピザ作りのプロセスは一貫していて制約はない。フォローするのが簡単なステップバイステップのインストラクションに分解することができる。

筆者は先週、2つのレストランロボットを取り上げた。レストランロボットはパンデミック中にかなりの関心を集めた分野だ。というのも、新型コロナウイルスがどのように拡散するのかを科学が明らかにするにつれ、レストランは人間が食べ物に接触するのを最小限に抑える方法を模索し、人手不足の必要不可欠なサービスだったからだ。

Picnic(ピクニック)は上の記述にかなり当てはまる。言葉どおり、大きなピザ作りボックスだ。今週、シアトル拠点の同社は、1630万ドル(約18億円)の資金調達を発表した。ここには2020年秋の300万ドル(約3億円)のブリッジが含まれる。同社はレストラン、そして学校やスタジアム、病院のような人々が集う場所(覚えているだろうか?)にターゲットを絞っている。この分野ではひと握りの企業が事業を展開していて、以前Zumeとして知られこの分野を切り開いたXRoboticsも含まれる。

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Chef Roboticsは今週、770万ドル(約8億4000万円)の資金調達を発表した。最終的なロボットがどんなものになるのかは企業秘密のためまだ伝えることはできない。同社は以下のように述べている。

Chefは、顧客が最小限のハードウェア変更で何千もの異なる種の食べ物を扱えるよう、人間のフレキシビリティを模倣するようデザインされています。Chefはより多くの材料の扱い方を学ぶことができ、改善も図れる人工知能を使っています。これにより顧客はメニューを頻繁に変える、といったことができます。加えて、Chefのモジュラーアーキテクチャによって、スタッフをさらに雇用してそうしていたように、すばやく業務を拡大することができます(しかし人間と違ってChefは時間通りに出勤し、休憩を必要としません)。

そこまでたどり着く企業はあまりないが、モジュール性は興味深い。こうした企業の多くが模索しているものだ。シンプルな反復作業を自動化するロボットを入手できれば、テクノロジーを異なる食べ物に適用できる交換可能なハードウェアを提供できるかもしれない。

今週あった他の目をひく資金調達にはMech-Mind robotsがある。北京拠点の同社はシリーズCを発表した。具体的な数字は公開していないが、新たな資金調達によって累計調達額が1億ドル(約109億円)を超えたと言っていて、またこの前に7900万ドル(約86億円)を調達した(2020年の1500万ドル[約16億円]のシリーズBを含む)ことからおおよそを推定できる。

Mech-Mindはさまざまな製造タスクを専門とする産業ロボットとAIの会社だ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:PicnicChef Robotics資金調達ピザレストラン

画像クレジット:Picnic

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

バーやレストラン向けシンプルなPOSプラットフォームのOrdrがコロナ禍で成長

バーやレストラン向けの「オーダー&ペイ」プラットフォーム「Ordr」がシリーズAでIdekapitalとOpenOceanから1000万ユーロ(約13億3000万円)を調達した。

ノルウェーで2020年に創業したOrdrは、IKEA、Nordic Choice、REKOM、Color Lineを顧客として獲得し、スウェーデンやフィンランド、デンマーク、英国にも進出している。Ordrの競合にはFlipDish、Onvi.com、WeOrderなどがある。

Ordrのプラットフォームはデジタルメニュー、注文、支払い機能を備える。同社は、バーやレストランの売上が増え、待ち時間が減るとしている。

同社のスマートフォン用ソリューションは、レストランやホテルが注文をとって支払いを受け取る、これまでのPOSに代わる「バーチャルPOS」となっている。ウェイターも使用できる。Ordrによれば、利用客は新たにアプリをダウンロードする必要はなく、ホテルやパブは地元のレストランのメニューを提供するのに使える。

創業者でCEOのEdwin Fjeldtvedt(エドウィン・フェルドベット)氏は「多額の費用がかかり顧客を縛りつけるキャッシュレジスターシステムに対して、我々は古いPOSシステムを不要としバーチャルにする次世代のキャッシュレジスターシステムを開発しました。同時に利用客が求めるエクスペリエンスに基づいて、利用客を中心に置いたまったく新しいカスタマージャーニーを作りました」と述べている。同氏はさらに、コロナ禍でホテルやレストラン、ケータリング業界に新しい感染症対策が求められたことから、同社のアプリが「離陸した」とも語った。

IdekapitalマネージングパートナーのKristian Øvsthus(クリスチャン・オブストゥス)氏は「我々はビジョン、ソリューション、マネジメント、雇用する人材、そして実行能力にたいへん魅力を感じてきました」と述べている。

OpenOceanゼネラルパートナーのPatrik Backman(パトリック・バックマン)氏は「Ordrは、同社のプラットフォームが効果的に機能し、さまざまな市場に通用するスケーラブルなソリューションであることを証明してきました。同社は国際的なベンチャーとして優れた位置にいます。ケータリング業界は今後の競争力のために新しいテクノロジーを切実に必要としていますが、これがまさに求められているものです」と述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OrdrレストランPOS資金調達ノルウェー

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

再び注目が集まる3Dプリント技術FormlabsがソフトバンクのVision Fund 2などから約160億円調達

3Dプリント業界で大規模な資金調達があった。マサチューセッツ州拠点のFormlabs(フォームラブズ)が5月19日、1億5000万ドル(約160億円)のシリーズEを発表した。同ラウンドはSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund 2がリードし、Formlabsの評価額はユニコーンの2倍、20億ドル(約2180億円)となった。

このニュースは、かつて窮地に陥っていた産業がかなりの関心と資金を引き寄せて復活を果たす中でのものだ。注目すべきDesktop Metal、Shapeways、Velo3D、MarkforgedなどはすべてSPAC(特別買収目的会社)経由で上場する計画を発表した。Formlabsは、業界が2026年までに510億ドル(約5兆5570億円)超の規模に達すると予測する最近の研究に言及している。テクノロジーの進化、素材の多様化、そして企業が付加製造を大量生産に取り入れる方法を模索していることを反映している。

MIT Media Labの学生によって2011年に創業されたFormlabsは3Dプリント業界においては変わり種的存在だった。同社はそれまでの付加製造(光造形法)の手法をデスクトップのフォームファクタに変えた。それは業界がバブル崩壊する中で同社が存続し続けるのに十分なものだった。

「現代においては、大半の3Dプリント技術は幅広く浸透するにはまだ高価で扱いにくいものです」とCEOのMax Lobovsky(マックス・ラボフスキー)氏は資金調達に関するプレスリリースで述べた。「当社はユーザーエクスペリエンスとこれらの機器の質の向上にピンポイントでフォーカスしており、その一方で価格抑制は当社の成功ならびに業界の成長にとって重要です。今回調達した資金で、SLAとSLSのテクノロジーの現在のポートフォリオを拡大し、引き続き3Dプリント産業に注がれている期待に応えるために製品開発を加速させる計画です」。

大型ラウンドで獲得した資金は、世界の従業員数の増加、そして大半の3Dプリント技術にとって長い間障害だった大量生産向けテクノロジーの展開にも使われる。

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タグ:3DプリントFormlabs資金調達SoftBank Vision Fundユニコーン企業

画像クレジット:Formlabs

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

オールインワンのID認証プラットフォームの認証済みID数が3億を突破したJumioが約166億円調達

デジタルアイデンティティサービスは、オンライン上の本人確認を行う組織と、そのサービスにログインする個人との間をつなぐ重要な役割を担っており、この1年間で急速に普及してきた。この度、デジタルアイデンティティサービスを提供する1つの企業が大規模な資金調達を発表し、市場規模の大きさを強調した上、この分野での中心的なプレイヤーとなることを目指していることが明らかになった。

生体認証、機械学習、コンピュータビジョン、ビッグデータなどを利用したID文書やログインのチェック、不審な金融活動や個人情報の盗難の防止など、さまざまなデジタルアイデンティティツールや技術を提供するプラットフォームを構築してきたJumioは、1億5000万ドル(約166億1000万円)のラウンド資金調達を完了した。パロアルトに本社を置く同社は、今回の資金調達により、同社のプラットフォーム上にさらに多くのツールを構築し、2021年の大きな成功を受けて、顧客の拡大にさらに力を注いでいきたいとしている。

現在、Jumioの主な事業はB2Bで、HSBCのような企業顧客にデジタルID認証を管理するためのツールを提供している。今後は、AI機能を拡張してマネーロンダリング対策を強化したり、保有するデータやツール、顧客のネットワークを活用して、個人がオンラインでより優れたID管理ができるようにするB2C製品の構築を検討したりするなど、さまざまな分野に投資していく予定だ。

インタビューに答えたCEOのRobert Prigge(ロバート・プリッジ)氏は「インターネットの基盤は、匿名性ではなくアイデンティティであるということが大きなポイントだと思います」と述べ、デジタルトランスフォーメーションの流れがその変化に拍車をかけているという。「ここ2、3年で大きな変化がありました。人々は元々、匿名性によって身を隠したかったのですが、今ではアイデンティティが重要な鍵となっています。オンラインバンキングにしても、ソーシャルネットワークにしても、リモートで信頼を確立できなくてはなりません」。

もちろん、匿名性は消えたのではなく、形を変えて存在する。データ保護規制は、現在主流となっているツールを利用する際に、必要に応じて個人情報を保護することを目的としている。英国などの国では、デジタルIDを使用または管理するサービスが共通のフレームワークで運用されていることを確実にし、ユーザー自身が適切な監視を行うことを目的とした規制をさらに強化している。これは、Jumioのような企業にとっての課題であり、チャンスでもある。つまりプライバシー保護を念頭に置きながら、アイデンティティの推進をどのように誘導していくかが課題となってくるということだ。

今回の資金調達は、Great Hill Partners(グレート・ヒル・パートナーズ)という単一の投資元によるもので、同社はCentana(センタナ)とMillennium(ミレニアム)に加えてJumioの株主となる。評価額は公表されていないが、プリッジ氏は、Jumioの現在のポジションを示すと思われるいくつかの詳細について言及している。

同氏は、Jumioが2020年1億ドル(約110億7000万円)の収益を上げたこと、2016年に1600万ドル(約17億7100万円)という控えめな額の資金を調達した後、今回は約5年ぶりの資金調達であること、そして今回の資金調達は、デジタルアイデンティティ企業にとって過去最大の単一ラウンドとなりそうであることを明らかにしている。

しかし、市場環境や技術の進歩に伴い、この分野にはかなりの勢いがあり、他にもデジタルアイデンティティやマネーロンダリング対策(AML)を目的としたベンチャー企業が続々と立ち上がり、成長し、資金を調達している。2020年だけでも、ForgeRock(9600万ドル[約106億2700万円]のラウンド)、Onfido(1億ドル[約110億7200万円])、Payfone(1億ドル(約110億7200万円])、ComplyAdvantage(5000万ドル[約55億3500万円))、Ripjar(3680万ドル[約40億7300万円))Truework(3000万ドル[約33億2100万円))、Zeotap(1800万ドル[約19億9200万円))、Persona(1750万ドル[約19億3700万円))などがあり、結局Jumioの資金調達が突出していないという事態になっても不思議ではない。

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一方、2021年初めのEquifaxによるKountの買収や、OktaによるAuth0の65億ドル(約7198億8800万円)での買収は、信用格付け機関や企業向けログインサービスを提供する企業など、市場の他の分野からの競争が激化していることを示しており、また、統合の傾向も大きくなってきている。

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新型コロナの流行の影響で、これまで対面で利用していたサービスの多くがウェブやアプリで利用できるようになったが、一方でその環境を悪用したサイバー犯罪も増加しており、これら双方の理由からID認証ツールの需要が高まっている。

Jumioは、こうしたサービスを提供している企業の中でも、大規模かつ歴史のある企業として注目されている。プリッジ氏によると、Jumioは現在、銀行グループのHSBCやユナイテッド航空、通信事業者のSingtelなどの超大手企業を含む約1000社の顧客を持ち、200カ国で事業を展開しているという。

また、さまざまな種類のツールを提供するプラットフォームアプローチを開発したことも特徴的だ。これは、他の多くの企業が、新規参入ということもあってより特殊な技術に焦点を当てたり、かなり複雑な問題の狭い側面に対処しているのとは対照的だ。とはいえ、同社の初期の仕事は、今でも主力となっているようだ。ユーザー認証プロセスを開始するために「読み取る」ことができる文書の数は、現在約3500に上る。そのおかげで、Jumioのプラットフォーム上で行われた認証は3億件を超えている。

「ほとんどのベンダーは、ユーザーが誰であるかを確認しますが、それが本当にユーザー自身であるかどうかは確認しません。だからこそ、生体認証が重要なのです。私たちは、これを総合的な開始プロセスだと捉えています。私たちは、AMLとKYC(Know Your Customer)を提供する数少ない企業の1つです」とプリッジ氏はいう。同社のAMLツールは、2020年のBeam Solutionsの買収によって得たものだ。

とはいえ、今回の資金調達は、浮き沈みの激しかった同社にとって大きなステップアップとなる。

誤解のないように付け加えておくと、プリッジ氏は、自分が経営しているJumioは同社の前身とは何の関係もないと、はっきりと述べている。

Jumioは10年ほど前に誕生し、携帯電話のカメラを使ってクレジットカードやIDをスキャンして決済を可能にする技術を駆使し、モバイル決済の初期プレイヤーとしてAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)氏やEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏などの投資家から4000万ドル(約44億3100万円)近くの資金を調達した。事業は決算結果の虚偽記載や、おそらくその他の関連事項でも苦境に陥り、最終的には2016年3月に破産申請した。サベリン氏は(他の買い手が出てくることを促すためだったが)の事業を買いたがった。そして最終的にセンタナが85万ドル(約9400万円)というバーゲン価格で買い取ったのだ。

その結果、一部の事業(主にブランド戦略、事業コンセプト、一部の従業員)は破産を免れたが、旧Jumioの破産手続きは、ほぼ5年経った今でも続いている。初代創業者が、この混乱を最終的に終結させるために必要な書類を破棄したとして告発されていることもその理由の1つとなっている。

ここで注目すべきは、Great Hill Partnersが投資を行っていることだ。Great Hill Partnersは、ハイテク企業への投資を増やしているPEファームであり、レイターステージのスタートアップのラウンドに参加するPEファームが増えているという大きなトレンドの一部でもある。同社の関心は、ライバルの多い分野でリーダーとして台頭してきた一方でデジタル・アイデンティティという大きな機会を狙っている会社を支援することにあり、その価値は2019年の60億ドル(約6640億3200万円)から2024年には128億ドル(約1兆4166億100万円)になると予測されている。

Great Hill PartnersのパートナーであるNick Cayer(ニック・カイヤー)氏は、メールによるインタビューで、以下のように語った。「Jumioは、専門知識の豊富な経営陣、しっかりした製品ロードマップ、グローバルな展開など、すばらしい基盤を持っており、オンラインでの取引ややり取りの量、それにともなう不正行為が記録的な量に達している中で、同社は大きな成長を遂げようとしています。特に私たちは、同社のAIを活用した本人確認ソリューションであるJumio GoとKYCオーケストレーションプラットフォームに大きな信頼を寄せています。Jumioは、オンラインでの本人確認サービスに対する驚異的な需要に対応すると同時に、当然ながら、この分野における新たな進化を遂げた競合他社を凌駕しなければなりません。私たちは、Jumioがこの分野でのリーダーシップを維持するための適切な経営陣、革新的な製品ロードマップ、支援する投資家グループを有していると確信しています」。

カテゴリー:ソフトウェア
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画像クレジット:DKosig / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

グローバル学生特化型プラットフォーム「JPort」のSPeakが8000万円調達、就活のボーダーレス化実現目指す

グローバル学生の就活オンラインメディア「JPort Journal」やグローバル人材とのマッチングサイト「JPort Match」など、グローバル学生特化型プラットフォームを運営するSPeakは5月20日、第三者割当増資による約8000万円の資金調達を発表した。

新規引受先として迎えたのは、ANRI、East Ventures、LAUNCHPAD FUND、河合聡⼀郎⽒などの個⼈投資家。また、既存投資家のライフタイムベンチャーズを追加引受先とした。累積調達額は1億円超となった。調達した資金は、コア人材の獲得、コミュニティの強化、HRTech事業の拡大に用いる。

SPeakは国内において人種・国籍のダイバーシティを推進し、グローバル新卒特化型プラットフォーム「JPort」を運営している。その背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少、日本の国際化に加え、国が「留学生30万人計画」「スーパーグローバル大学」といった施策を行い留学生が急増しているにもかかわらず、日本の「就活」が独特なため、グローバル学生やミレニアル世代にとってハードルが高いといった課題がある。

さらに近年のコロナ禍により、グローバル学生の就職活動・企業人事の新卒採用活動ともにオンラインに場を移していることから、サービス拡充が急務となった形だ。資金調達完了後、SPeakではコアメンバーとCxO候補の採用を開始する。

第三者割当増資に際し、代表取締役CEOの唐橋宗三氏は、「ボーダーレスな社会を実現するためにSPeakを創業した。今回の資金調達で、当社のビジョン・ミッションに共感いただいた素晴らしい投資家の方々とともに、人種・国籍のダイバーシティ&インクルージョンを推進していきたい」と抱負を述べた。

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カテゴリー:HRテック
タグ:HRテック(用語)資金調達(用語)SPeak(企業)ダイバーシティ / 多様性(用語)日本(国・地域)

8種のツールを小型本サイズに収めたLiquid Instrumentsの「Moku:Go」はエンジニアや学生の必需品になる

エンジニアになるためには、電圧計やスペクトラムアナライザーなどのツールを理解することが大切だ。しかし、1つで十分なのに2つ、いや8つも使う必要はない。Moku:Goは、一般的に使用される複数のツールを1つのコンパクトなパッケージにまとめ、作業台や教室のスペースを節約すると同時に、ソフトウェアで設定可能な最新のインターフェイスを提供してくれる。米国時間5月19日、その開発元であるLiquid Instrumentsは、このガジェットを世界中の学生やエンジニアたちに広めるために1370万ドル(約15億円)を調達した。

画像クレジット:Liquid Instruments

Moku:Goのコンセプトは、同社の前製品であるMoku:Labとほぼ同じだ。標準的な入力ポートを使用するこのFPGA製のツールセットは、さらに大型の計器やアナログデバイスと同じように、電気信号の分類や分析を行う。しかしデジタルであるため、これまでのアナログ製品のように大きなではない。

Moku:GoはLabよりもさらに小型で、同じ仕事を半分の重さでできるだけでなく、教育用や、技術者の狭い作業スペースで使うことを考慮した新機能も搭載されている。作業台がデスクだったり、ファイルキャビネットだったりするスペースでは、1台に8つのツールが収まっていると、とても便利だ。

8つのツールは以下のとおりとなる。

  • 波形ジェネレーター
  • 任意波形ジェネレーター
  • 周波数応答アナライザ-
  • ロジックアナライザー / パターンジェネレーター
  • オシロスコープ / 電圧計
  • PID制御器
  • スペクトラムアナライザー
  • データロガー

これらを8つと数えるか、もっと多くあるいは少なく数えるか、そのあたりは難しいが、ハードカバーの書籍1冊の大きさに収める量としては間違いなく多いだ。

これらのアクセスと構成は、大量のノブやダイヤルではなく、ソフトウェアとそのインターフェイスを用いる。どちらの方式にも良し悪しはあるが、デジタルの時代に生まれた若者に教えるのであれば、マウスでポイント&クリックするクリーンなインタフェイスがきっとベターだ。しかもUIはなかなか魅力的で、このページにあるツールをクリックすればそのサンプルを見ることができる。例えば、以下は波形ジェネレーターのサンプルとなる。

画像クレジット:Liquid Instruments

このパステル画のような淡いカラーがいい感じだ。

Moku:Goは現在、MacとWindowsで使えるが、モバイルアプリはまだない。PythonとMATLABとLabVIEWを統合している。データはWi-Fiで送信される。

Moku:Labと比べるとやや違いがある。USBはminiではなくUSB-Cのポートだ。磁石式の電源ポート、16チャネルのデジタルI/O、最大4チャネルまでのオプション電源、そしてもちろん、サイズと重量は半分だ。一方、犠牲にしたのはSDカードスロットと出力の帯域となる。また、もっと大きな測定範囲や高い精度をお望みなら、他にもいろいろなものが必要だ。

画像クレジット:Liquid Instruments

でも大型の本格的な多目的計器装置なら3500ドル(約38万2000円)はするところを、こちらは教科書並の500ドル(約5万5000円)だから、大きな節約になる。もちろん、個別に計器を買った場合よりもずっと安い。

Liquid Instrumentsのマーケティング担当副社長であるDoug Phillips(ダグ・フィリップス)氏は、次のように語っている。「Moku:Goはあくまでも大学での教育が対象です。教授は教室や個人を相手にこのデバイスを利用できます。学生や電気工作のホビイストたちは、自分の時間にこれで実験できます。発表が3月だったため、購入者で最も多かったのは、大学の指示で買う学生たちでした」。

秋の授業からこのデバイスを使うと予約している先生たちが約100名おり、同社は他にも世界中の大学と提携している。「4年間のすべてのカリキュラムに対応しているポータブルで柔軟性に富んだシステムには、相当な需要があって当然です」とフィリップス氏はいう。

生産は6月に始まるが、テスター向けの見本機はある。性能と価格が今回の投資家を惹きつけたのだろう。その1370万ドルは既存の投資家であるAnzu PartnersとANU Connect Ventures、そして新たな投資家のF1 Solutionsと、Moelis AustraliaのGrowth Capital Fundからのものだ。投資は転換社債で、フィリップス氏によると、2022年にはシリーズBの正規の投資になる予定だ。それは同社が最初に意図した額よりも大きく、社債という形も普通ではないが、でもハードウェア企業は2020年一貫して苦しかったから、変則的な部分があっても当然かもしれない。

間違いなくシリーズBの成否はMoku:Goの成功にかかっている。しかし、この将来性を感じさせるプロダクトは、これから2年後には、何千もの教室で当たり前の存在になってしまうかもしれない。

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画像クレジット:Liquid Instruments

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)