インドのフィンテック「Zeta」がソフトバンクのリードで約272億円調達、待望のユニコーンに

Zeta(ゼータ)は、銀行やフィンテックのサービス開発を手助けするスタートアップだ。このほど調達ラウンドを完了し、待望だったユニコーンの地位を獲得した。

このバンキングテック会社は、インドの連続起業家、Bhavin Turakhia(バーヴィン・トゥラキア)氏が共同設立した。現地時間5月24日に同社は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)がリードしたシリーズCラウンドで、2億5000万ドル(約272億円)調達したことを発表し、TechCrunchが4月中旬に報じた内容が確認された。既存出資者のSodexo(ソデグソ)もラウンドに参加した。

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この最新ラウンドによって、ベンガルールとドバイにオフィスを構える同スタートアップの企業価値は14億5000万ドル(約1576億円)となった。Zetaが2019年7月に報告した企業価値3億ドル(約326億円)を大きく上回る金額だ。(トゥラキア氏は前回のラウンドを誤ってシリーズCと呼んでいたことを話した)。

Zetaは、銀行やフィンテックスタートアップ、およびその他のオンライン消費者プラットフォームに提供するテクノロジースタック(ツールのセット)を開発した。背景には、現代の銀行の多くが旧態依然のテクノロジーで運用されており、膨大な数の顧客やフィンテック企業に最高の体験を与える時間も専門知識も持っていない、という現状がある。

「銀行は1980年代のままです。その多くがCOBOLプログラミング言語をまだ使っていて、貧弱なユーザー体験を提供しています」とトゥラキア氏がこの日の記者会見で語り、それを改善するために銀行は何十というベンダーや技術パートナーの協力を得なくてはならないことを付け加えた。「銀行向けスタックを1から作ることなど誰も考えませんでした。今までは」。

顧客に金融サービスを提供するライセンスを持つ銀行は、ZetaのクラウドネイティブなAPIとSDKを使って、クレジットカード、デビットカード、ローンなどのサービスを開発し、顧客のユーザー体験を改善する。フィンテックもこれらのサービスを利用できる。

「あなたが思いつくどんな金融サービスでも、Zetaなら今すぐ提供します」と彼は言った。

現在同社は10社の銀行と25社のフィンテック企業にサービスを提供しており、新たな資金を使ってさらに顧客を拡大するとともに人員も増やす計画だ。

Zetaの道のり(画像クレジット:Zeta)

ZetaはSoftBank Vision Fund 2にとってインドで最新の投資先だ。日本のコングロマリットは2021年4月にもソーシャルコマースのMeesho(ミーショウ)をユニコーンに育てあげた他、インドのフードデリバリー大手Swiggy(スウィッギー)と交渉中で、さらにはSaaSのスタートアップWhatFix(ワットフィクス)への出資も検討している。

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「バンキングソフトウェアは世界で3000億ドル(約32兆6151億円)の業界です。ほとんどの銀行は顧客よりはるかに遅れたテクノロジーを現在も使っているため、ユーザー体験や顧客維持に影響を与えています」とSoftBank Investment AdviserのマネージングパートナーであるMunish Varma(ムニシュ・ヴァーマ)氏が声明で語った。

Zetaは2021年ユニコーンになった14番目のインド発スタートアップだ。Tiger Global(タイガー・グローバル)、Falcon Edge(ファルコン・エッジ)、SoftBankなどのベンチャーキャピタルが、世界第2のインターネット市場であるインドで出資のペースを加速した結果だ。

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トゥラキア氏は、弟のDivyank(ディヴャンク)氏とともに初めてのベンチャー企業を1998年に立ち上げた。その後2人は4つのウェブ企業を1億6000万ドル(約174億円)でEndurance(エンデュランス)に売却した。Zetaはそれ以降バーヴィン氏が共同開発した3番目のスタートアップで、あとの2つはビジネス・メッセージング・プラットフォームのFlock(フロック)とRadix(ラディックス)だ。

「デジタル世界は銀行に対して、セキュリティ、プライバシー、データ保護に関してますます多くの課題を突きつけています。業界はシステムを再開発してセキュリティ、プライバシー、スケーラビリティー、そして信頼性を中心基盤に据える必要があります。ZetaのOmni Stack(オムニ・スタック)はそのニーズに答えます」とZetaの共同ファウンダーで最高技術責任者、Ramki Raddipati(ラムキ・ラディパティ)氏が声明で語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Zetaインド資金調達SoftBank Vision FundユニコーンTiger Global

画像クレジット:Zeta

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

印フィンテックZetaがシリーズDラウンドに向けソフトバンクと交渉中、ユニコーン目前か

デジタル銀行プラットフォームのフィンテックスタートアップZeta(ゼータ)は、新たなラウンドに向けて投資家らと最終的な交渉を行っており、ユニコーンの地位に少しずつ近づいていると、この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語った。

情報筋によれば、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)は、設立5年目のZetaに2億5000万ドル(約272億3000万円)規模のシリーズDラウンドを提案しているとのこと。この投資提案では、著名な起業家であるBhavin Turakhia(バヴィン・ターアクヒア)氏が共同設立したインドの同スタートアップを、2019年に行われた初の外部資金調達(シリーズC)の際の3億ドル(約327億円)から大きく引き上げた10億ドル(約1090億円)以上に評価している。

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このラウンドはまだ終了していないと、3人目の情報筋は指摘した。

ソフトバンクの広報担当者はコメントを差し控えた。

5年前に設立されたZetaは、銀行が最新のリテールおよびフィンテック商品を立ち上げることを支援している。そのテーゼは、銀行は主として時代遅れの技術で運営されており、今日、何億人もの顧客やフィンテック企業に最高の体験を提供するための時間や専門知識を持ち合わせていないというもの。

Zetaは、銀行が同社のクラウドネイティブでAPIファーストのバンキングスタックをコアフレームワークとして使用するか、またはその上にサービスを構築して、モバイルアプリやデビット・クレジット機能の改善など、すべての顧客に優れた体験を提供できるよう支援しようとしている。また、銀行がフィンテック企業とより効率的に連携できるよう、API、SDK(ソフトウェア開発キット)、決済ゲートウェイも提供している。

同社は、アジアやラテンアメリカのいくつかの市場で多くのクライアントを獲得している。

ターアクヒア氏は、弟のDivyank(ディビャンク・ターアクヒア)氏とともに、1998年に最初のベンチャー企業を立ち上げた。その過程で、ウェブ企業4社をEndurance(エンデュランス)に1億6000万ドル(約174億3000万円)で売却している。Zetaは、バヴィン・ターアクヒア氏が共同設立した3社目のスタートアップで、彼が立ち上げた他の企業にはビジネスメッセージプラットフォームのFlockとRadixがある。

最終的に確定すれば、Zetaは2021年4月だけで7社目のインド発ユニコーンになる可能性がある。先週は、同じくSoftBank Vision Fund 2の支援を受けたソーシャルコマースのMeesho、フィンテック企業のCRED、e薬局のPharmEasy、ミレニアル世代に特化した投資アプリのGroww(グロウ)ビジネスメッセージプラットフォームのGupshup、そしてソーシャルネットワークのShareChat(シェアチャット)がユニコーンの地位を獲得した。

【更新】本記事はラウンドがまだ終了していないことを明確化して更新された。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)