グーグルがアプリ開発プラットフォーム「Firebase」を改訂、パーソナライズ機能、セキュリティツールなどを強化

Google(グーグル)は米国時間5月18日のI/Oデベロッパーカンファレンスで、デベロッパープラットフォームのFirebase(ファイアベース)の数多くのアップデートを発表した。同社はFirebaseが300万以上のアプリに使われていることも明らかにした。

主要なアップデートがいくつかあり、その多くはFirebase Remote ConfigやFirebaseのモニタリング機能など既存ツールの改善に関わるものだが、まったく新しい機能もある。Android App Bundleを作成する機能や、App Checkと呼ばれる新しいセキュリティツールなどだ。

「デベロッパーの成功に役立つことがFirebaseの成功です」とFirebaseのプロダクトマネージャーであるKristen Richards(クリステン・リチャーズ)氏がこの日の発表に先立って私に話した。「そのために、有用性とデベロッパーに役立つことを私たちのすることすべての中心に据えています」。彼女は、パンデミックの中でGoogleは、初心者からプロフェッショナルまで多くの人達がアプリ開発に集中するようになったのを見てきたという。同時に彼らは、新しいアプリを早く公開にしようとする多くの企業が同社のプラットフォームに移行するところも見た。

おそらくI/Oで最も注目を集めたFirebaseの発表はRemote Configだろう。デベロッパーにとって、新しいバージョンをリリースすることなく、公開中のアプリに変更を加えられるという機能は、常に非常に強力だ。A/Bテストから、特定のユーザーグループ向けにカスタマイズされたアプリ内体験を提供することまで、さまざまな場面で利用できる。

Googleはこのアップデートで、Remote Configコンソールも改訂し、デベロッパーがツールの利用状況を把握しやすくするとともに、パブリッシングのフローを改め、A/Bテストの結果ページのデザイン変更も行った。

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しかし最も重要なのは、GoogleがRemote Configを一歩前進させて、デベロッパーが個々のユーザーのユーザー体験を自動的に最適化するPersonalization(パーソナライゼーション)機能を追加したことだ。「この新機能は、Googleの機械学習を使って、個人ごとに独自のアプリ体験を作り出します」とリチャーズ氏は説明した。「設定するだけで、ユーザーごとに仕立てられたパーソナライズド体験を自動的に作り出すので実に簡単です。人によって好きなものは違うでしょう。体験をカスタマイズすることで、最近のユーザーが本当に期待しているものを作ることができます。おそらく今は、誰もが以前よりもっとカスタマイズされた体験を期待していると思います」。

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GoogleはFirebaseの分析およびモニター機能にもいくつか改善を施していて、アプリがクラッシュした理由を解析するCrashlystics(クラッシュリスティスク)サービスがその1つだ。たとえばゲームデベロッパーにとって、それはUnityプラットフォームを使って書かれたゲームのサポートがよくなることを意味しているが、全デベロッパーにとって、Firebaseの性能モニタリングサービスがリアルタイムにデータを処理するようになったことは、性能データが(特に公開日に)半日近く遅れてやってくる現在と比べて大きな改善だ。

FirebaseはAndroid App Bundlesのサポートをようやく追加した。アプリのコードとリソースをパッケージにまとめるGoogleの比較的新しいフォーマットで、Google PlayがAPKを作る際にインストールされるデバイスの種類に応じて正しいリソースを使って最適化できる。これによってダウンロードサイズが小さくなりインストールも速くなる。

セキュリティ面では、App Checkのベータ版が公開される。App Checkはデベロッパーがアプリを外部の脅威から守るのを助けるツールだ。たとえばFirebaseのCloud StorageやRealtime Database、Cloud Functions(その他も近くサポートされる)などのオンライン・リソースに対する有効な認証情報をもたないトラフィックを自動的にブロックする。

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もう1つ紹介しておくべきアップデートは、Firebase Extensionsに関するもので、かなり以前に公開された機能だが今回拡張機能がいくつか追加された。Algolia(アルゴリア)、Mailchimp(メールチンプ)、およびMessageBird(メッセージバード)から新たな拡張機能が提供され、たとえばAlgoliaの検索機能やMessageBirdの通信機能をプラットフォーム上で直接利用できるようになる。Google自身も新しい拡張機能として「人々を会話から離れさせるような乱暴で無礼で理不尽な」コメントを検出する仕組みをデベロッパーに提供する。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google CloudのVertex AIは機械学習を果てしないパイロットから価値を生む実用技術にする

米国時間5月18日のGoogle I/Oにおいて、Google Cloudは開発者が自分のAIモデルをもっと容易にデプロイしメンテナンスできるための、新しいマネージド機械学習プラットフォームであるVertex AIを発表した。I/Oは以前からモバイルとウェブのデベロッパーが対象であり、Google Cloudのニュースはあまりなかったため、やや違和感のある発表にも思えたが、GoogleがVertexの発表を本日行なうと決めた事実は、この新しいサービスが多様な分野の開発者にとって重要と同社が考えている証拠だ。

Vertexのローンチは、Google Cloudのチームが反省をたくさんしたことの結果だ。Google CloudのAI Platformでプロダクト管理を担当しているディレクターのCraig Wiley(クレイグ・ワイリー)氏は、次のように語る。「私見では、エンタープライズの機械学習は今危機にあります。その分野で何年も仕事した者の1人として現状を見れば、Harvard Business Reviewなどに論評を書いているアナリストの誰もが、今や大半の企業が機械学習に投資をしたり、投資に関心を示しているが、どこもそこから価値を得ていないと言っている。こんな状況は、そろそろ変わるべきです」。

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2016年から2018年までAWSのAIサービスであるSageMakerのゼネラルマネージャーを経験して2019年にGoogleに来たワイリー氏によると、Googleのように自分たちのために機械学習を動かすことのできる企業は、どうやればそれが変革への力になるかを実際に見て知っている。しかし彼がいう問題とは、大きなクラウドがそんなサービスを提供するときは何十ものサービスに分割されてしまうことだ。「しかも(Google自身も含めて)そんなサービスの多くが袋小路にあります。そこでVertexの目標は、エンタープライズにとって機械学習への投資からのROIの時間を短縮し、モデルを作ったことが終わりではなく、彼らが作ったモデルから確実に、リアルな価値を得ることです」とワイリー氏はいう。

そこでVertexは、極めて柔軟性に富んだシステムとして、デベロッパーやデータサイエンティストのスキルのレベルがそんなに高くなくても、モデルを迅速に訓練できるようにする。Googleによると例えばモデルの訓練に要するコードの行数は他社の類似製品に比べて80%少なく、しかも彼らはモデルの全ライフサイクルを自分で管理できるようになる。

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このサービスにはGoogleのAIオプティマイザVizierが統合されていて、機械学習のモデルのハイパーパラメータを自動的にチューニングする。これによりモデルのチューニングに要する時間が大幅に減り、エンジニアはより多くの実験をより短時間でできるようになる。

また、Vertexが提供している「Feature Store」でユーザーは機械学習のいろいろな機能をサービスし、シェアし、再利用できるようになる。そしてVertex Experimentsという機能を利用するとモデルの選択が速くなり、モデルの本番へのデプロイが加速される。

デプロイは、継続的モニタリングサービスとVertex Pipelinesが支援する。後者はGoogle CloudのAI Platform Pipelinesからの改名で、モデル用のデータを準備および分析し、モデルを訓練し、それらを評価してプロダクション(本番展開)へとデプロイしていくワークフローの管理を助ける。

いろいろなタイプのデベロッパーにとってとっつきやすいシステムにするために、このサービスには3つのインタフェイスがある。「ドラッグ&ドロップのツール」と「高度なユーザーのためのノートブック」、そして意外かもしれないがBigQueryのデータウェアハウスの中で、SQLの標準的なクエリを使って機械学習のモデルを作り実行するGoogleのツールである「BigQuery ML」だ。

Google CloudのCloud AIとIndustry Solutionsの副社長兼ゼネラルマネージャーであるAndrew Moore(アンドリュー・ムーア)氏は、次のように述べる。「Vertex AIを作るときには、2つのことを指針とした。1つはデータサイエンティストとエンジニアを組織の藪から救い出すこと、もう1つは、AIを果てしないパイロット事業から正規のサイズのプロダクションへと移行させることに誰もが真剣になるために、業界全体としての気運を作り出すことだ。このプラットフォームとして実現したことを、私たちはとても誇りに感じている。それは、データサイエンティストとエンジニアがクリエイティブな仕事に充実感を持てるような、新世代のAIの本格的なデプロイを可能にするものだからだ」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルがRSSを復活させる

Chromeは、少なくともAndroidで実験的に提供されているCanaryバージョン(米国内のユーザーのみ)では、今後数週間のうちに興味深いアップデートが行われる予定だ。これは、Googleリーダーや同様のサービスで、お気に入りのサイトの更新情報を得るためのフォーマットとしてかつて人気を博したRSSを復活させるものだ。

もうすぐChromeでは、RSSをサポートしているサイトの「フォロー」機能が追加され、ブラウザの「新しいタブ」ページには、基本的に(非常に)ベーシックなRSSリーダーが表示されるようになる(ここまできたら「Googleリーダー」と呼んでもいい気もする)。

本格的なRSSリーダーの話をしているわけではない。「新しいタブ」ページでは、あなたがフォローしているサイトの更新情報が時系列で表示されるが、例えば、フィードを簡単に切り替えることなどはできないようだ。とはいえ、これは最初の一歩だ。

画像クレジット: Google

Google ChromeのプロダクトマネージャーであるJanice Wong(ジャニス・ウォン)氏は、米国時間5月19日のアップデートで次のように述べている。「今日、人々はお気に入りのウェブサイトを追うために、メーリングリストの購読、通知、RSSなど、さまざまな方法を利用しています。それらを1人ですべて管理するのは大変なことです。そこで当社は、オープンなウェブ標準であるRSSを利用して、お気に入りのサイトの最新情報をChromeで直接受け取れるようにする方法を検討しています。我々のビジョンは、ユーザーがウェブ上でお気に入りのパブリッシャーやクリエイターとの直接的なつながりを築けるよう支援することです」。

Googleの広報担当者によると、GoogleがRSSフィードをクロールする方法は「Chromeが最新かつ最高のコンテンツを『新しいタブ』ページの『Following(フォロー中)』セクションでユーザーに配信できるようにするために、より頻繁に行う」ように実装したとのこと。

RSSは、Web 2.0時代の基盤技術の1つだった。今でも、お気に入りサイトの最新情報を(フィードを提供しなくなったサイトもあるが)推薦アルゴリズムに邪魔されることなく、タイムリーに入手できる最も簡単な方法だ。ユーザーエクスペリエンスは必ずしも理想的ではなかったが、Googleリーダー(R.I.P.)やFeedly(フィードリー)のようなサービスがフィードの購読や更新情報の取得を簡単にするために多くの努力をし、RSSは常に非常に有用なものだった。しかし2013年、グーグルがGoogleリーダーをGoogle+の祭壇に捧げる犠牲にしたことで、熱烈なニュースジャンキーがFeedlyアカウントやNetNewsWireの古いコピーを持ち続けていたにもかかわらず、その時代は終わりを告げた。

GoogleがRSSをブラウザの中核機能として復活させたことは、多くの人にとって喜ばしいことだと思う。オープンウェブを好むのであれば、たまに不便さを感じることはあっても、RSSが進むべき道だ。

だが今のところ、これはあくまで実験に過ぎない。Googleは「Chromeでのユーザーとウェブパブリッシャーとのより強固なエンゲージメント」を構築するために「パブリッシャー、ブロガー、クリエイター、オープンウェブの市民」からのフィードバックを集めたいと述べている。願わくば、実験のままで終わらないで欲しい。

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GoogleのFeedBurnerがインフラを移行、メール購読サービスを廃止

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleRSSChrome

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが実物大の相手がすぐ向こう側にいるかのような3Dビデオ通話ブースを開発中

Google(グーグル)は、3Dディスプレイ上の3D映像を利用して、双方のユーザーをリアルに映し出すビデオ通話ブースの開発に取り組んでいる。まだ実験的なものではあるが「Project Starline(プロジェクト・スターライン)」は長年の研究と買収を基にしており、近い将来、よりパーソナルに感じるビデオ会議の中核となる可能性がある。

このシステムは、事前に何も知らなかった参加者のビデオを通じてのみ公開された。参加者たちはまず、スクリーンとカメラのセットアップがほとんど隠された部屋に入るように指示された。その後、スクリーンが点灯し、家族など大切な人のビデオ映像が映し出されたが、それは誰も予想していなかった方法によるものだった。

「彼女を見て、感じることができ、まるで3Dの体験のようでした。まるで彼女がここにいるかのようだった」。

「彼に本当に触れられるような気がしたわ!」。

「本当に、本当に彼女と私が同じ部屋にいるように感じました」。

Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、この「エクスペリエンス」は高解像度のカメラと独自の深度センサーによって可能になったと説明している。これはほぼ間違いなく、人物や場所を撮影した動画をインタラクティブな3Dシーンに変換するという、グーグルの研究プロジェクトに関連していると思われる。

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ディスプレイの周囲に隠されたおそらく10数台のカメラとセンサーが、人物をさまざまな角度から撮影し、正確な形状を把握して、ライブで3Dモデルを作成する。このモデルと、すべての色やライティングの情報は、(多くの圧縮と処理を経て)相手のセットアップに送られ、迫真の3Dで表示される。さらに、頭や体をトラッキングし、その時々の視点に合わせて映像を調整する(この技術の初期バージョンについては、こちらでもう少し見られる)。

しかし、3Dテレビはどちらかというと廃れてしまった感がある。誰も特別なメガネを何時間もかけて見たいとは思わないし、メガネなしの3Dはこれまで一般的に画質がかなり悪かった。では、この特別な3D画像は何によって作られているのだろうか?

ピチャイ氏は「当社は画期的なライトフィールドディスプレイを開発しました」と述べているが、これはおそらく、独自の技術を軌道に乗せることができず2018年に解散した、ライトフィールドカメラのLytroを買収して獲得した人材とIPの助けを借りたものだろう。

ライトフィールドカメラやディスプレイは、さまざまな技術を使って2Dで説明したり見せたりするのが非常に難しい3D画像を作成し、表示する。スタートアップのLooking Glassは、3Dモデルや写真のシーンが小さなホログラムのように見える、実際に見ると非常に印象的なものを制作している。

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Googleのアプローチが似ていようと違っていようと、参加者たちが示すように、そのインパクトは同様に目覚ましいものであるようだ。現在、社内でテストを行っており、人の存在感が大きな違いを生むさまざまな業界(医療など)のパートナーにユニットを送り出す準備をしているという。

現時点では、Project Starlineはまだプロトタイプに過ぎず、おそらくとんでもなく高価なものになるだろうから、すぐに家に置くことはできない。しかし、このライトフィールド・セットアップのコンシューマー版が将来的に登場するかもしれないと考えることは、決して荒唐無稽ではない。Googleは、2021年後半にもっと情報を共有すると約束している。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleGoogle I/O 20213Dビデオチャット

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Aya Nakazato)

スマホが自動車のキーになるAndroid 12の新機能をグーグルが発表

Google(グーグル)は、BMWをはじめとする自動車メーカーと協力して、Androidスマートフォンから車両の施錠 / 解錠やエンジン始動ができるデジタルキーを開発中であることを、米国時間5月18日に行われた開発者向けイベント「Google I/O」で発表した。

このデジタルカーキーは、同社のモバイルOSの最新版であるAndroid 12で採用される数多くの新機能の1つ。Android & Google Playのプロダクト・マネジメント担当バイス・プレジデントであるSameer Samat(サミア・サマット)氏によると、デジタルカーキーは2021年後半に一部のPixel(ピクセル)およびSamsung Galaxy(サムスン・ギャラクシー)のスマートフォンで利用可能になるという。対応する車両は、BMWを含む2022年モデルの新型車と一部の2021年モデルとのことだが、具体的な車名やBMW以外のメーカー名はまだ明らかにされていない(発表で例として提示された画像は、BMWが2021年内に発売する新型電気自動車「i4」だった)。

このデジタルカーキーには、UWB(Ultra Wideband、超広帯域無線)と呼ばれる無線通信技術が使われている。これは、センサーが信号の方向を知ることができる、小さなレーダーのようなものだ。この技術によって携帯電話に内蔵されたアンテナは、UWB送信機を備えた物体の位置を特定し、識別することができる。UWB技術を利用するため、Androidユーザーは携帯電話を取り出さなくても、車両の施錠 / 解錠が可能になる。

画像クレジット:Google

NFC(近距離無線通信)技術を搭載した車種を所有するユーザーは、携帯電話をクルマのドアにかざすことでロックを解除できるようになる。通常はクルマのドアハンドル内に搭載されているNFCリーダーが、ユーザーの携帯電話と通信を行う仕組みだ。Googleによると、ユーザーはクルマの貸し借りをする場合にも、友人や家族とクルマのキーを安全かつ遠隔で共有することが可能になるとのこと。

Googleが今回の発表を行う前に、Apple(アップル)も2020年、iPhoneやApple Watchに同様のデジタルカーキー機能を追加すると発表している。iOS 14で導入されたこの機能は、NFCを介して動作する仕組みで、2021年モデルのBMW 5シリーズで初めて利用可能になった。

関連記事:アップルはiPhoneをクルマの鍵に変える、WWDC20で発表

最近では、独自にアプリを開発する自動車メーカーも増えており、それらを使えばユーザーはスマートフォンからリモートロック / アンロックなど、特定の機能を制御することもできるようになっている。GoogleやAppleの側から見た大きなメリットは、モバイルOSにデジタルキー機能を統合することで、ユーザーがアプリをダウンロードする必要がないということだ。

その意図は、面倒な体験を減らすことにある。そしてさらに、これをシームレスにしようという動きもある。Apple、Google、Samsung、そしてBMW、GM、Honda(ホンダ)、Hyundai(ヒュンダイ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)といった自動車メーカーが加盟するCar Connectivity Consortium(カー・コネクティビティ・コンソーシアム)は、メーカーの枠を超えて容易にスマートフォンを自動車のキーとして使用できるデジタルキーの標準規格を策定するために、数年を費やしてきた。

デジタルカーキーの開発は、スマートフォンが消費者の生活の中心になることを目指すGoogleの活動の一環だ。そしてその目標は、自動車抜きには達成できない。

「最近では、携帯電話を購入する際には、電話機のみならず、テレビ、ノートパソコン、自動車、スマートウォッチやフィットネストラッカーなどのウェアラブルなど、連携が求められる機器のエコシステム全体を購入することになります」と、Googleのエンジニアリング担当バイス・プレジデントを務めるErik Kay(エリック・ケイ)氏は、今回のイベントにおける発表にともなうブログ記事の中で書いている。「北米では現在、1人あたり平均約8台のコネクテッド・デバイスを所有しており、2022年にはこれが13台に増えると予測されています」。

Googleは、ユーザーがワンタップするだけでデバイスをBluetoothを介してペアリングできる「Fast Pair(ファストペア)」機能を、自動車を含む他の製品にも拡大すると言っている。

ケイ氏によると、現在までに消費者は3600万回を超える「Fast Pair」を利用して、Sony(ソニー)、Microsoft(マイクロソフト)、JBL、Philips(フィリップス)、Google、その他多くの人気ブランドを含むBluetooth機器とAndroidスマートフォンを接続しているという。

このFast Pair機能は、今後数カ月のうちに、Beats(ビーツ)のヘッドホンやBMW、Ford(フォード)の自動車など、さらに多くのデバイスに導入される予定だと、サマット氏はGoogle I/Oで語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GoogleGoogle I/O 2021AndroidBMW自動車電気自動車

画像クレジット:Google/screenshot

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがWear OSの大規模アップデートを発表、Fitbitの「健康」関連機能も導入

Wear OS(ウェアOS)はこれまで、Google(グーグル)のOSの中でもダークフォース的な存在だった。パートナーシップや投資がなかったわけではないが、何らかの理由で、Googleはそのウェアラブル用オペレーティングシステムを成功に導くことができなかった。

このカテゴリーでは、以前からApple(アップル)が圧倒的な強さを誇っている。Googleは家電業界のいくつかの大手企業から協力を得たにもかかわらず、この市場を切り崩すことにほとんど失敗してきた。Strategy Analytics(ストラテジー・アナリティクス)の表によれば、市場シェアでWear OSは「その他」に分類されている。

ここでもう一度確認しておくが、Googleの戦略とはパートナーシップによるものだ。より正確に言えば、パートナーシップと買収の組み合わせである。その「勝てなければ仲間にしてしまえ」というアプローチは、長年オープンソースのTizen(タイゼン)にこだわってきたSamsung(サムスン)にも向けられた。Samsungの戦略は奇策の1つのように見えたが、Tizenの独自バージョンを作り出すことは、このカテゴリーでアップルに次ぐ存在となったSamsungにとって、勝利の戦略であることが証明された。

過去最大のアップデートを@wearosbygoogleに施します。Googleマップのターンバイターンナビゲーションや、YouTube Musicから曲をダウンロードしてオフラインで聴くことが可能になるなど、各Googleアプリにも新機能が導入されます。もう携帯電話を置いてきても大丈夫。#GoogleIO

米国時間5月18日行われた「Google I/O」の基調講演で、GoogleはSamsungとの新たなパートナーシップを明らかにし「Wear OSとTizenの長所を組み合わせる」と発表した。これがどのように展開されるのか、我々にはまだわからないが、2つのビッグプレイヤーが力を合わせてアップルに対抗するというのはおもしろい見物になりそうだ。「You come at the king, you best not miss.(王者を目の前にしたら、見逃すべきではない)」とは、有名な人気テレビドラマの言葉である。両社にとって大きな問題となっていたのがサードパーティ製アプリの品揃えだが、このパートナーシップによって開発者は両プラットフォーム向けに共有のアプリを作成できるようになると思われる。

Wear OSのもう1つの大きな変更は、GoogleがFitbitに興味を持った理由を明らかにするものだった。確かにFitbitは、フィットネスバンドで市場を席巻したウェアラブル製品のリーダー的存在であり、最終的には(Pebble[ペブル]を買収するなどして)独自のスマートウォッチを開発しているが、ここで重要なのは「健康」である。

画像クレジット:Google

健康モニタリングは近年、ウェアラブル製品における話題の中心となっている。GoogleのFitbit買収は、何よりもその情報を統合することが目的だったようだ。「Fitbitが提供するワールドクラスのヘルス&フィットネスサービスが、このプラットフォームで利用できるようになります」と、Googleは述べている。人気が高いFitbitのフィットネストラッキング機能を追加するだけでなく、Wearの機能をGoogleのハードウェアに統合することで、両社の境界線を曖昧にしようとしている。

「健康とフィットネスのトラッキングは、ウェアラブルにとって不可欠です」と、Googleはブログに書いている。「最新のWearアップデートでは、Fitbitが長年培ってきた健康に関する専門知識を取り入れることになります。1日を通して健康状態をトラッキングしたり、達成した目標を手首の上で祝う機能などが、より健康になるための意欲を高めます」。

ユーザー体験も同様に改善される。Calm(カーム)、Sleep Cycle(スリープ・サイクル)、Flo(フロー)などのアプリには専用のタイルが用意され、どこからでもショートカットにアクセスできる。Google自身のアプリも、Google マップ、Google アシスタント、Google Payなどが刷新され、Google Payは現在の11カ国に加えて新たに26カ国で展開が始まる。2021年後半には、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)アプリのWear版もリリースされる。

以上のようなアップデートは、2021年後半から利用できるようになる予定だ。

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Android TV OSの月間アクティブデバイスが8000万台に到達、新機能も発表

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021Wear OSSamsungTizenウェアラブルデバイススマートウォッチFitbit健康

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Android TV OSの月間アクティブデバイスが8000万台に到達、新機能も発表

米国時間5月18日、Googleは開発者会議「I/O」でTVプラットフォームの最新情報を公表した。同社によると、2020年後半に登場したChromecastのGoogle TVやスマートテレビなどのプラットフォームを含めて、Android TV OSの月間アクティブデバイスは8000万台を超えた。また同社は、利用者向けのリモコン機能の他、キャスティングやエミュレータなどの開発者向けアップデートといったAndroid TV OSにこれから登場する新機能も紹介している。

Googleは2021年秋にGoogle TVエクスペリエンスを発表してAndroid TV OSの位置づけを変更した。新しいGoogle TVは裏側ではAndroid TVが動作するもので、Chromecast with Google TVやソニーのスマートテレビ、そして近々一部のTCLのテレビに搭載される。GoogleはI/Oイベントで月間アクティブデバイス数が8000万台に達したと発表した際に、Android TV OSの成長の80%以上は米国からのものだと述べた。

関連記事:新Google TVが登場、ストリーミング、ライブテレビ、検索などを単一のUIに統合してChromecastに搭載

Googleが発表した節目の数字では、Android TV OSがRokuやAmazon Fire TVといったライバルより先行しているように見えるかもしれない。月間アクティブアカウント数はRokuが5360万、Amazon Fire TVが5000万以上だ。しかしこれは数え方が違う。

Android TV OSの数字は、月内に利用されたデバイスの数をカウントして計算されている。つまり1人のユーザーが複数のデバイスを持っていれば別のデバイスとしてカウントされ、複数の家族が1台のデバイスで見ていれば1台とカウントされる。

RokuとAmazonは月間アクティブユーザーを、月内に利用された「アカウント」と定義している。つまり、あるアカウントが複数のデバイスにストリーミングしても、1つとカウントされる。もしRokuやAmazonがGoogleと同じ方法でアクティブなデバイスを計算すれば、数字はもっと増えるだろう。

さらに、RokuとAmazon Fire TVはそれぞれの企業が提供しているデバイスのラインナップとパートナーが提供する一部のテレビで利用でき、一方でGoogleのAndroid TV OSのデバイスやサービスはテレビやストリーミングデバイスのブランドパートナーとテレビサービスプロバイダでも利用できる。つまり全体の数字にAndroid TV OSが動作する事業者の分やセットトップボックスも含まれるということだ。これは市場の種類が異なる。

同日にGoogleはAndroidにリモコン機能を追加することも発表した。このためユーザーはリモコンが見当たらなくなってもテレビを操作できるようになる。この機能が登場するのは2021年後半の予定で、ユーザー名やパスワードを入力したり長いタイトルを検索したりするのが楽になるとGoogleは説明している。Google TVを含めAndroid TV OSの全ユーザーがこの機能を利用できるようになる。

画像クレジット:Google

一方、GoogleはAndroid TVエクスペリエンスの開発者向けにも今後登場する新機能をいくつか発表した。Cast Connectは、ユーザーがスマートフォンやタブレットのChromeブラウザからAndroid TVアプリにキャストできる機能だ。Stream Transferはユーザーがメディアを別のデバイスに転送する機能、Stream Expansionは複数のデバイスでオーディオを再生する機能だ。

画像クレジット:Google

GoogleはAndroid 11で動作する初のGoogle TVエミュレータと従来のAndroid TVエクスペリエンスを備えたAndroid 11のイメージも提供する。開発者はエミュレータ内で直接、テレビのリモコンにもっと近いリモコンを使うこともできる。

開発者からの要望に応えて、Firebase Test LabにAndroid TVのサポートも追加する。提供開始当初はFirebase Test Lab Virtual Devicesとしてクラウド内の開発者のアプリをAndroid TVエミュレータ上で実行し、数百台、あるいは数千台のバーチャルデバイスでテストをスケールすることができる。物理的なデバイスのサポートは近日中に開始される。

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最後に、米国時間5月18日からAndroid 12ベータ1がADT-3 Developer Kitでテレビ用として利用できるようになる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

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Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

アーリーアクセスプログラムに参加を希望する企業は、こちら書式に記入して申し込むこと。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

YouTubeにインターネットテレビの広告でもっと買い物しやすくなる新機能追加、Z世代をターゲットに

米国時間5月4日、YouTubeは広告主たちに、同社の動画プラットフォームで視聴者が買い物できる機能を予告的に紹介した。同社が近く導入するその新しい対話的機能は「ブランドエクステンション」と呼ばれ、広告主がそれを利用すると、動画の視聴者がボタンをクリックして画面に映っている商品の詳しい情報が得ることができる。

広告主はその新しい広告形式を使って、自分のウェブサイトのリンクや、インターネットテレビの広告中のその他のアクションを高輝度で表示できる。視聴者が「電話へ送る」をクリックすると、その宣伝やURLそのものがモバイルデバイスへ飛ぶが、その際、動画の視聴そのものは邪魔されない。

消費者はモバイルデバイスから、商品を閲覧したり、カートに品物を加えたり、決済を完了したりの買い物体験を通常どおりできる。しかもそのショッピング機能のある商品情報は、動画の視聴を中断されずにモバイルへ送れる。

広告主は、その動画の内容によって広告をターゲティングできる。たとえばフィットネスの動画なら、そこには新商品のランニングシューズのブランドエクステンションが出るだろう。

YouTubeによると、ブランドエクステンションのコンバージョンレートはGoogle Adsで直接見られるようになる。

eコマース関連のもう1つの取り組みとして、これからはブランドがそのダイレクトレスポンスビデオ広告に商品の閲覧用画像を加えられる。つまり、関心を持ったショッパーがその画像をクリックすると、その商品のウェブサイトやアプリへ飛ぶことができる。

YouTubeが自らをeコマース化しようと努力している機能はさらに多く、ここで取り上げているのはごくわずかな例にすぎない。

消費者、特に若いZ世代は、動画を見たりその他の関わり行為をしながらついでにショッピングする傾向があり、Popshop LiveNTWRKShopShopsTalkShopLiveBambuserといったたくさんの動画ショッピングサービスが登場している。Facebookも、FacebookとInstagramの両方でライブのショッピング(何かをしながら見ながらのショッピング)や動画からのショッピングに投資している。

一方、TikTokはWalmartとともに動画によるeコマースのホームになり、最近の数カ月でショッピングのライブストリームを複数ホスティングした。TikTokの中国資本からの切り離しと売却をトランプ元大統領が強制しようとしたときは、Walmartも買い手の名乗りを上げた。他にも、eコマースにおけるTikTokの成功例には、動画にウェブサイトのリンクを統合するツールや、Shopifyの統合などがある。

関連記事:パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Comscoreのデータによると、YouTubeは今でも、広告入りストリーミングサービスの全視聴時間の40%を占めているため、動画ショッピングの見込み客の数も大きい。YouTubeによると、米国のインターネットテレビの市場では上位5社のストリーミングサービスが80%のシェアを占めている中で、広告入りはわずか2社だ。

しかも広告は、YouTubeのeコマース振興努力の一部にすぎない。クリエイターの役割も大きい。

2020年秋のBloombergの記事によると、YouTubeはクリエイターたちに、彼らの動画クリップに商品が登場するとき、それにタグと追跡機能を持たせることを求めた。その後YouTubeは2021年の2月に対する説明を行い、視聴者が自分の好きなクリエイターから買い物できる機能をベータテスト中で、その本番展開は年内と発表した。

ただし、ブランドエクステンションはそれとは別であり、動画からショッピングできる機能を広告主に与える。YouTubeによると、ブランドエクステンションのある広告は、同社が他にもいろいろ用意している対話的機能の第1弾にすぎない。そしてそれは、2021年後半にグローバルで展開される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleYouTubeeコマース広告

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アルゴリズムに焦点を当てた第230条の改正に向け米議員が公聴会で討議

米国時間4月25日に行われたアルゴリズムに関するビッグテック公聴会では、CEOをこき下ろす攻撃的な自由参加の討論会というよりも、話を聞くことを目指し、そういった意味では、ほとんど成功を収めたと思う。

関連記事:次のテック公聴会の標的はSNSのアルゴリズム、YouTubeが初めて証言へ

珍しいことに、公聴会はFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)の最高経営責任者ではなく、ポリシー担当主任(ポリシーリード)からの証言を中心に行われた。数時間に及んだ討議では、大きな進展はなかったが、それでも世界で最も影響力を持つ者が一貫して「その件については後ほど説明する」に終始するよりは実りがあったと言えるだろう。

公聴会で議員たちはソーシャルメディアのエコーチャンバーと、アルゴリズムによる、完全に人の行動を再形成することができるプラットフォームを通じたコンテンツの拡散方法について嘆いた。

「この高度技術は、我々の時間と注意をソーシャルメディアに引き付けるよう設計されたアルゴリズムに用いられており、その結果として、子どもたちの注意範囲や、公開講演の質、公衆衛生、ひいては民主主義そのものに危害が及ぶ可能性がある」とChris Coons(クリス・クーンズ )上院議員(民主党・デラウェア州)は言及した。クーンズ上院議員はこの公聴会を開いた、プライバシーとテクノロジーに関する上院司法小委員会会長を務めている。

クーンズ上院議員は、アルゴリズムはイノベーションを推進するが、そのダークサイドには大きな代償があると述べた。

これはもちろん今に始まったことではないのだが、議会の解決に向けての動きは非常に遅く、同じような公聴会が毎回繰り返されている。火曜日の公聴会では、超党派合意のいくつかの領域が強調された。これにより民主党によって厳しく制御される上院を通過する技術改正法案の可能性が定まるかもしれない。クーンズ上院議員は「広範的に超党派の解決策」に到達できるかもしれないという楽観的な見方を示した。

それはどのようなものなのか?おそらくは 通信品位法第230条の改正だろう。これについては何年も前から大々的に記事にしてきている。この法律はユーザーが作成したコンテンツに関する責任からソーシャルメディア企業を保護するもので、バイデン政権の新しい民主党主導の上院と、以前のトランプ政権に影響された共和党主導の上院の両方に共通する、技術規制に関する話題である。

米国時間2021年4月27日、米国ワシントンDCで行われた上院司法小委員会の公聴会にリモート参加し、発言するTwitter Inc.の米国公共政策部長Lauren Culbertson(ローレン・カルバートソン)氏(画像提供: Al Drago/Bloomberg / Getty Images)

壊れたビジネスモデル

公聴会で、議員たちは問題の核心として大手ソーシャルメディア企業が利益を得る方法に固有の欠陥について指摘した。特定の欠陥について企業を批判するのではなく、ソーシャルメディアの多くの問題が噴き出るコアビジネスモデルに主に重点を絞ったのだ。

Ben Sasse(ベン・サッセ)上院議員(共和党・ネブラスカ州)は「本当に複雑で質的な問題には、簡単な量的解決策があるという考えを押しのけることが非常に重要だと思う」と語った。ソーシャルメディア企業は、ユーザーを自社製品に夢中にさせ続けることで利益を得ているため、本当の解決策ではそのビジネスモデルともどもなくす必要があると主張した。

Josh Hawley(ジョッシュ・ホーリー)上院議員(共和党・ミズーリ州)は「こうした企業のビジネスモデルは中毒である」と同意し、ソーシャルメディアを意図的な「注目のトレッドミル」と呼んだ。

Google(グーグル)元社員でテック評論家のTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏は、自身の証言において、テック企業がその中心的な設計の信条についてどのように納得させるのかについて歯に衣着せることなく語った。「それはまるで、人質の動画で人質の話を聞くようなものだ」として、エンゲージメントを探すビジネスモデルを舞台裏で突き付けている銃に例えた。

第230条に対する世間の注目

議員がこのような深く根付いたインセンティブを破壊するために提案する1つの大きな方法は何であろう?ソーシャルメディア企業が享受している第230条の保護にアルゴリズムに焦点を置いた例外を追加することだ。そのアプローチを取る法案がいくつか上がっている。

法案の1つは、2020年に John Kennedy(ジョン・ケネディ)上院議員(共和党・ルイジアナ州)、Paul Gosar(ポール・ゴーサー)下院議員(共和党・アリゾナ州)、Tulsi Gabbard(トゥルシー・ギャバード)下院議員(民主党・ハワイ州)が提案した、1000万人以上のユーザーを持つプラットフォームに対し、第230条の保護を継続させたい場合には、ユーザーの行動やデモグラフィックデータに基づくコンテンツを提供する前にユーザーの許可を得ることを求めるものだ。これはユーザーが特別にそのように選択しない限り「ユーザーの見解を分極する情報をユーザーに提供する」ことでエンゲージメントを向上させるプラットフォームから第230条の免責を取り消すのが狙いだ。

また別の法案「Protecting Americans from Dangerous Algorithms Act(危険なアルゴリズムから米国民を守る)法令」では、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州)とTom Malinowski(トム・マリノウスキー)下院議員(民主党、ニュージャージー州)が、第230条の保護の禁止と「企業のアルゴリズムがオフラインの暴力に繋がる誤報を増幅する場合」にその企業の責任が問われることを提案している。

第230条の擁護者たちは、不十分に対象を絞った法律の変更により、現在の近代的なインターネットは混乱に陥り、その結果意図した改正の努力範囲を超えて連鎖的に悪影響がおよぶと主張している。法律の完全な廃止はほぼ確実に提案されることはないが、わずかな調整でさえ、良くも悪くも、インターネットビジネスが完全に再編される可能性があるとしている。

ホーリー上院議員は、利益を追求するためにアルゴリズムを使用する企業に対してより広い提案をした。「行動広告やアルゴリズムによる増幅を行うプラットフォームから第230条の保護を単に廃止すべきでは」と問い、法律の完全廃止に反対ではないと付け加えた。

上院の反トラスト小委員会委員長を務めるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ州)は、アルゴリズムの問題をテック業界の反競争的行為に結び付け「ある企業がその傘下にある全員を買収しているのであれば、その企業が付加製品を開発して誤情報を提供できたかどうか知ることは決してありません。なぜなら競争がないのですから」と語った。

小委員会メンバーのクロブシャー上院議員とMazie Hirono(メイジー・ヒロノ)上院議員(民主党・ハワイ州)は独自の主要な第230条改正法案「Safe Tech Act(安全なテクノロジーに関する法令)」を出しているが、この規制ではアルゴリズムは広告や有料コンテンツよりも問題とされていない。

関連記事:通信品位法230条の改定法案に対し同法擁護者は重大な悪影響について警鐘を鳴らす

アルゴリズムのレンズを通じて第230条を鑑みる主要法案は少なくとももう1つある。ビックテック批判で有名なDavid Cicilline(デビッド・シシリン)下院議員(民主党、ロードアイランド州)が第230条の法案を提案する予定だ。これは、エンゲージメントを向上させ、私腹を肥やすためにアルゴリズムに依存する企業に対し、免責を廃止するものとなる。

「これは非常に複雑なアルゴリズムで、エンゲージメントを最大化して広告価格を吊り上げ、企業にさらなる利益をもたらすように設計されている」と シシリン下院議員は2021年3月Axios(アクシオス)に語った。「これは一連のビジネス上の決定であり、企業が責任を問われるべきだと主張するのは簡単なのかもしれない」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:FacebookTwitterYoutubeアメリカ通信品位法230条Google

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

クラウドインフラ市場の2021年第1四半期売上高は約4.3兆円、新型コロナ追い風に移行が加速

パンデミックによって企業は2020年、かつてない速さでクラウドへと移行した、というのが広く受け入れられている見解だろう。数年かかるトランスフォーメーションを数カ月で達成し、強制するような要因がなければなし得なかったスピードだった。直近の四半期のクラウドインフラ市場の売上高はこの見解が正しかったことを証明しているようだ。

Synergy Researchのデータによると、今週四半期決算を発表したAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグスリーを含め、クラウドインフラマーケットの売上高は400億ドル(約4兆3735億円)だった。前四半期より20億ドル(約2190円)増加し、前年同期比37%増だった。Canalysの数字はわずかに高い420億ドル(約4兆5900億円)だった。

この業界をフォローしている人なら予想していたかと思うが、AWSが前年同期比32%増の135億ドル(約1兆4760億円)で業界トップだった。ランレートは540億ドル(約5兆9030億円)だ。とんでもない数字である一方で、真に注目に値するのは年間売上高の伸びだ。特にAmazonのような規模と成熟度が高い企業においてはそうだ。大数の法則に従えばそうした数字は持続可能ではないが、全体のパイは成長し続けていて、Amazonは引き続きかなりの割合を占める。

全体をみると、AWSのマーケットシェアは32%だった。売上高は増え続けているが、マーケットシェアはここ数年横ばいだ。シェアを伸ばしてきたのは別の企業で、最も顕著なのがMicrosoftだ。同社の四半期売上高は78億ドル(約8525億円)で、シェアは20%だった。

GoogleはThomas Kurian氏(トーマス・クリアン)氏の下で引き続き有望なサインを示していて、35億ドル(約3825億円)の売上を達成した。マーケットシェアは9%で、2桁に向けて着実に成長している。IBMですら好成績の四半期となり、Red Hatが引っ張ってシェアは5%、売上高は20億ドル(約2190億円)だった。

画像クレジット: Synergy Research

SynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏はAWSとMicrosoftがマーケットをしっかりと掌握しているが、これは業界の他の企業が売上を伸ばせないということではない、と指摘する。

「AWSとMicrosoftはミラーで後ろを見るのにあまり時間をかける必要はなく、競争を意識しています。しかし、他のプレイヤーにとってすばらしい機会がないと言っているわけではありません。AmazonとMicrosoftを除いた残りのマーケットは四半期に180億ドル(約1兆9675億円)を売り上げ、前年比で30%成長しました。特定の地域やサービス、ユーザーグループにフォーカスしているクラウドプロバイダーは今後数年間、大きな成長を目指すことができます」とディンスデール氏は声明で述べた。

Synergy同様にこの業界をウォッチしているCanalysも、わずかに異なる部分はあるもののほぼ同じようなデータを示した。マーケットシェアはAWSが32%、Microsoftは19%、Googleは7%だった。

画像クレジット:Canalys

CanalysのアナリストBlake Murray(ブレイク・マリー)氏は、成長する余地がまだあり、数年にわたってこの分野の売上高は継続して増えるだろうと話す。「2020年は大規模なクラウドインフラ支出がありましたが、大半の企業のワークロードはまだクラウドに移行していません。顧客の自信が2021年に高まり、移行とクラウド支出は続きます。2020年延期された大型プロジェクトが再浮上し、その一方で新しいユースケースが獲得可能な最大市場規模を広げるでしょう」と同氏は述べた。

我々が目にしている数字はもはや驚きではない。企業がさらに多くのワークロードをクラウドに移行するにつれ、この数字は今後も拡大する。MicrosoftがマーケットシェアでAmazonに引き続き近づくことができるか、というのが現在の疑問だ。

関連記事:クラウドインフラ市場は2020年に13.6兆円に成長、リッチな企業はますますリッチに

カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウドストレージAmazonAWSMicrosoftGoogle

画像 クレジット:imaginima / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがアフリカで4万人の開発者に奨学金を提供

Google(グーグル)は米国時間4月29日、アフリカで新たに4万人の開発者に奨学金を提供すると発表した。同社は技術系人材企業であるPluralsight(プルラサイト)およびAndela(アンデラ)と提携し、モバイルおよびクラウド開発分野の開発者を対象とした奨学金を提供する。

Googleの発表によると、同社はトレーニング終了時に上位1000人の学生(初級および中級の開発者)に全額の奨学金(とAndroidおよびクラウド開発者資格)を与えるとのことだ。

バーチャルイベントで行われた今回の発表は、Googleアフリカのブログ記事でも詳しく紹介されている。同社はアフリカのテクノロジー分野のエコシステムにおける主要な関係者を招き「インターネット経済全体で展開されている機会を検討し、この地域の開発者やスタートアップの支援に特別な注目を向けることにしました」と述べている。

Googleは開発者にチャンスを与えるとともに、アフリカのスタートアップ企業を対象としたアクセラレータプログラムの継続も発表。このGoogle for Startups Accelerator(グーグル・フォー・スタートアップス・アクセラレータ)プログラムは、2021年で6回目のコホートを迎えることになる。3カ月間のプログラムは6月21日に開始される予定で、応募受付は5月14日まで。今回のコホートも前回と同じく、バーチャルな環境でプログラムに参加することになる。

「2020年、新型コロナウイルスの流行を受けて、Google for Startups Accelerator Africaで初のバーチャルクラスが始まりました。これは初めてすべてがオンラインで行われたGoogleのアフリカ向けアクセラレータプログラムで、7カ国から集まった20社のスタートアップ企業が、メンタリングやワークショップを受けながら、自社のサービスを再定義する12週間のバーチャルな参加期間を終えました」と、Google for Startups Accelerator Africaの責任者であるOnajite Emerhor(オナジャイト・エマーホール)氏は、声明の中で述べている。「2021年の第6期生では、アフリカのテクノロジー系エコシステムの中で開発者やスタートアップを支援し、彼らが成長し続けるために必要なあらゆるアクセスとサポートを提供することで、引き続き当社の役割を果たしていきたいと考えています」。

以前はGoogle Launchpad Accelerator(グーグル・ローンチパッド・アクセラレータ)として知られていたGoogle for Startups Accelerator Africaは、アフリカの17カ国で最大50社のスタートアップを支援してきた。2020年には、ナイジェリアから8社、ケニアから6社、南アフリカから2社、ガーナ、チュニジア、エチオピア、ジンバブエから各1社、合計20社のスタートアップ企業が選ばれてプログラムに参加。今回の第6期生には、エジプト、セネガル、タンザニア、ウガンダなど、さらに多くの国からスタートアップ企業を選出する予定だ。

「起業家精神の成長は、特にアフリカという環境において非常に重要です。アフリカの開発者やスタートアップ企業は、アフリカ経済の変革に重要な役割を果たし、新たな機会を作り出して、私たちが望むアフリカ大陸の経済的・社会的発展への道を切り開きます。私たちは、アフリカのデジタル分野における並外れた可能性を認識しており、だからこそ、Googleはアフリカのスタートアップ企業にこのような重要な支援を提供することに力を注いでいます」と、Googleサブサハラアフリカ・アフリカのマネージングディレクターを務めるNitin Gajria氏は語っている。

開発者コミュニティは、アフリカにおけるGoogleの事業展開で、依然として最も重要な要素の1つだ。同社は現在、サブサハラ・アフリカの25カ国で120以上のコミュニティを運営している。発表されたばかりの奨学金プログラムの他、Google Developer Groups(グーグル・ディベロッパー・グループス)、Developer Student Club(ディベロッパー・ステューデント・クラブ)などのコミュニティに加え、ナイジェリアにはGoogle Developers Space(グーグル・ディベロッパー・スペース)を開設し、開発者と起業家や投資家が交流する場を提供している。

カテゴリー:その他
タグ:Googleアフリカ

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Google Payがアップデート、食料品セール情報・交通カード・家計管理機能を追加

Google Pay(グーグル・ペイ)の2020年11月の大規模なリニューアルで個人向け会計サービスに進出したGoogleは、本日米国時間4月29日、Google Payをユーザーの日常生活の一部にするための新機能を公開した。このアップデートによって、食料品のセール情報や公共交通機関の支払い、支出の分類などに利用できるようになる。

大手スーパーのSafeway(セーフウェイ)とTarget(ターゲット)との提携を通じて、Google Payユーザーはこれらの店のセール内容が書かれたチラシを見ることができる。Safewayは500以上の店舗にGoogle Payプラットフォームを導入し、Targetも全米の店舗で同様の機能を提供する予定だ。Google Payユーザーは、おすすめのお得情報をお気に入りに登録して後で見ることができる。さらに、近々Google Payは、位置情報が有効になっていれば、ユーザーが参加店舗の近くに行くとその週のセールを通知する機能も導入する。

関連記事:Google Payがリニューアル、オプトインで支出履歴の把握など家計簿サービス的に進化

画像クレジット:Google

今回拡張されるGoogle Payの交通機関機能は、現在すでに米国内80以上の年で乗車券の購入と使用に対応している。近々新たに加わる中には、シカゴとサンフランシスコ・ベイエリアという主要市場がある。これは、Apple Pay(アップル・ペイ)が最近提供を開始して大いに歓迎されたベイエリアのClipper(クリッパー)カードへの対応を追うものだ。GoogleはToken Transitとも統合して、全米の小都市の交通機関へも対応範囲を広げる。

関連記事:iPhoneやApple Watchでベイエリアの公共交通機関支払いが可能に

近々、Googel Payアプリを利用しているAndroid(アンドロイドユーザー)は、アプリのホーム画面から「Ride Transit(交通機関を利用する)」ショートカットから乗車券を使えるようになる。ユーザーはそこで交通カードを購入したりチャージしたりできる。カード購入後は、スマホをリーダーにかざす(あるいはリーダーがなければチケット画面を見せる)だけで乗車できる。

画像クレジット:Google

最後に紹介するのは、Google Payを使って家計を管理する機能だ。2020年の大改訂で、Googleは11社の銀行と提携し、Plex(プレックス)という新しいタイプの銀行口座をスタートさせることを発表した。増え続けるモバイル専門デジタルバンクのライバルとなるGoogle Payアプリは、Citi(シティ)、Stanford Federal Credit Union(スタンフォード連邦信用組合)などの提携銀行が実際に運用している口座の窓口として機能する。

新機能の一環として、Google Payユーザーは、自身の消費行動や残高、請求書などを「Insights(インサイト)」タブを通じてこれまで以上に便利に確認できるようになる。これを使えば、残高はいくらか、期限が迫っている請求書は何かを見たり、大きい取引のアラートを受けたり、分類別や店舗別に消費状況を追跡することができる。Googleは取引を自動的にカテゴリー分けしているので、一般的な分類(「食料」など)でも特定の店名(「バーガーキング」など)でも検索できる、とGoogleは説明している。

画像クレジット:Google

これらの機能は、決済アプリを使ってユーザーのデータをさらに集めようとするGoogleの計画の一部でもある。そのユーザーはGoogle Payパートナーからの売り込みターゲットになる。

2020年改定されたアプリが公開された時、ユーザーはカスタマイズ機能へのオプトインを勧められた。ユーザーにとって意味のあるよりよいセール広告をアプリが表示するためだ。Googleはユーザーのデータを第三者のブランドや小売店に直接提供することはないと述べているが、追跡業界がAppleのプライバシー方針変更に振り回されている中、同アプリは企業が潜在顧客とつながるパイプを提供することになるだろう。

そうなるために、今後Google Payがもっと便利な、あるいは「必携の」機能を出してくることが予想される。

カテゴリー:フィンテック
タグ:GoogleGoogle Payアメリカ

画像クレジット:dowell / Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルが元受刑者のキャリアとデジタルトレーニングに関する取り組みを発表

Google(グーグル)は米国時間4月29日、Grow with Google Career Readiness for Reentryの開始を発表した。この取り組みは非営利団体のThe Last Mile、Center for Employment Opportunities(CEO)、Defy Ventures、Fortune Society、The Ladies of Hope Ministriesとの連携により、元受刑者に就職準備とデジタルスキルのトレーニングを提供することを目的としている。

グーグルが本日公開したブログ記事によると、出所後の失業率は全米平均の5倍にも上り、黒人の出所者は差別的な扱いを受けているためさらに高い失業率となっている。全体では、毎年約60万人の米国人が出所後に就職への移行を試みている。

このプロジェクトでは2021年から1万人を対象に、プロジェクトベースとビデオ学習を組み合わせたカリキュラムを実施する。グーグルによると、学習内容は5つのポイントで構成されている。

  1. 基礎から始める
  2. 仕事探し
  3. 仕事への準備
  4. オンラインの安全性
  5. 「次のステップ」の仕事への備え

YouTube(ユーチューブ)の人権担当グローバルヘッドであるMalika Saada Saar(マリカ・サーダ・サール)氏はこのニュースに関連した声明の中で「デジタルスキルトレーニングやジョブコーチングへのアクセスがないことは、受刑者が再就職して経済的可能性を高めようとする際に、非常に不利な状況をもたらします。私たちは出所の影響を受けた男性と女性、母親と父親にデジタルスキルトレーニングを提供し、再就職を成功させるために真の専門知識とリーダーシップを発揮しているプログラムパートナーと協力できることに興奮しています」と述べている。

グーグルによるとこのプログラムは、刑事司法改革の非営利団体に4000万ドル(約44億円)、コンピューターサイエンスの学習に6000万ドル(約65億円)を投資するという、より大きな取り組みの一環だ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Googleアメリカ

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テック業界に対するリナ・カーン氏の時宜を得た懐疑論はFTCの承認公聴会を新鮮かつ友好的な方向に導くものだ

近ごろの承認公聴会がどう進むかは誰にもわからない。現状と大企業に挑みながらも重要な地位に指名された若い部外者にとっては特にそうだ。FTC委員のポジションに就く予定のLina Khan(リナ・カーン)氏はまさにそのような人物だが、米国時間4月22日に行われた上院商業委員会の承認公聴会で、意外なほど快適な時間を過ごした。おそらく、反トラストに対する彼女の因習打破的なアプローチが昨今の政策を良い方向に導いているからであろう。

コロンビア大法科大学院の准教授であるカーン氏は「Amazon’s Antitrust Paradox(アマゾンの反トラスト・パラドックス)」という鋭敏な論文を通じてテクノロジー業界で一躍有名になった。(同氏は最近、テクノロジー政策に関する下院の報告書にも寄稿している。)

2018年に同論文が発表されたとき、Amazonが自社の立場を乱用し始めたという印象は、一部の業界では常識化していたが、連邦議会ではあまり認識されていなかった。しかし、自由放任主義や不十分な規制がAmazon、Google、Facebookに(手始めに)モンスターを生み出しているという意識の高まりは、これらの新進企業を元の場所に戻す何らかの方法を見つける必要があるという、超党派の稀有な合意につながった。

それが今度は、目的を共有しているという感覚と、承認公聴会での仲間意識をもたらした。この公聴会はトリプルヘッダーで行われ、カーン氏はNASAの責任者に指名されたBill Nelson(ビル・ネルソン)氏、商務省の法律顧問に就任予定のLeslie Kiernan(レスリー・キーナン)氏とともに、実に有意義な、3時間ほどの短い会話を交わした。

カーン氏はバイデン政権の中で、ビッグテックなど手に負えなくなったビジネスに立ち向かうための新たなアプローチを提示している人物の1人だ。両陣営の上院議員から誠実な印象の質問が寄せられ、自信に満ちたカーン氏から真摯な申し分のない回答が提示された。

セクション230や、不正な委員会、上院議員に関するものを含め巧妙にカーン氏を導くいくつかの動きを避けながら、その回答は主に、こうした秘密主義の強力な企業に対する規制のアプローチにおいて、FTCは十分な情報を得てより先制的な行動を取るべきだという同氏の専門家としての意見を再確認するものとなった。

以下に、いくつかの主要な問題に対する同氏の見解を示す質疑応答を抜粋して紹介する(回答はわかりやすくするために若干編集されている)。

FTCがGoogle、Facebook、ニュースプロバイダーの争いに介入したことについて。

「すべてが議論の対象になる必要があります。明らかにローカルジャーナリズムは危機に瀕しており、新型コロナウイルス感染症を巡る現下の情勢は、信頼できるローカルニュースの情報源がない場合に引き起こされる、民主主義の深刻な緊急事態を浮き彫りにしていると思います」。

同氏はまた、広告市場の集中化や、業界全体に広範な影響を及ぼす可能性があるアルゴリズム変更などの恣意的な性質についても言及した。

画像クレジット:Graeme Jennings/Washington Examiner/Bloomberg / Getty Images

ソーシャルメディア企業は「一般通信事業者」と見なされるべきだというClarence Thomas(クラレンス・トーマス)氏の困惑する提案について。

「それは多くの興味深い議論を引き起こしたと思います」と彼女は極めて慎重に語った。「Amazonの論文の中で、私はこれらの支配的なデジタルプラットフォームについて考える際の2つの潜在的な道筋を特定しました。その1つは、競合法を施行し、これらの市場が競争的であることを確実にすることです」(独占禁止法の使用など)。

「もう1つは、規模の経済やネットワークの外部性があるために、これらの市場が少数の企業によって支配され続ける可能性があることを認識した場合、別のルールを適用する必要があるということです。私たちには、集中度が高い場合にどのような種類の規制を適用できるかについて考えてきた長い法的伝統があり、一般通信事業として捉えることはそうしたツールの1つです」。

「これらの企業の一部は現在、非常に多くの市場に統合されているため、どの特定市場を対象としているかによって、異なるツールのセットに対応する可能性があることを明確にしておく必要があります」。

(これは、一般通信事業や既存の独占禁止規則がこの問題の対処にまったく適さないということを表す非常に丁寧な言い方だ)。

FTCが承認した過去の企業合併を再検討する可能性について。

「同委員会のリソースは、経済の規模の拡大や、同委員会が検討している案件の規模と複雑度の増大に追いついていませんでした」。

「デジタル市場は特に急速に動いているため、市場への潜在的な集中を気にする必要はないという前提がありました。なぜなら、どんな力の行使も参入や新たな競争によって規律づけられるからです。もちろん今では、市場には実際に大きなネットワーク外部性があり、それによって市場をより厄介なものにしていることが理解されています。後から振り返ってみると、これらの合併レビューは機会を逸したものだったという感覚が高まっているのです」。

(ここでは、Blackburn[ブラックバーン]上院議員[共和党・テネシー州選出]がスペクトラムプラン ― 不正な委員会、上院議員について尋ねる前にカーン氏の「ポジション就任における経験の欠如」を指摘するという、数少ないネガティブな瞬間の1つが見られた)。

Facebookに対する指令のようなものを強制することの難しさについて。

「課題の1つは、これらの企業と執行機関や規制機関との間に存在する情報の非対称性です。いくつかのケースでは、当局が根底にあるビジネスの現実や、これらの市場がどのように機能しているかという経験的な現実に追いつくのに少し時間がかかっていることは明らかです。ですから、少なくとも、当局がペースを保つためにできることを確実に行っていくことが重要になります」。

関連記事:FacebookはFTCの反トラスト法違反訴訟にビッグテックの荒削りな戦略で反論

「ソーシャルメディアにはブラックボックスアルゴリズムという独自のアルゴリズムがあり、実際に何が起こっているのか把握するのを困難にすることがあります。FTCは情報収集能力を活用して、こうしたギャップの一部を緩和する必要があります」。

子どもをはじめとする脆弱なグループに対する保護をオンラインで強化することについて。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、家族や子どもたちがこうした[教育に関わりのある]テクノロジーに特に依存するようになっていることを考えると、その危険性は高まっています。そのため、ここでは特に注意を払う必要があります。従来のルールは、離れたところではなく、近いところに置くべきです。

全般的に見て、党派を超えた議論はほとんど見られず、双方において、カーン氏はその職務での実務経験がないとしても(FTC委員のような要職では珍しいことではない)、誰もが求めるような能力を備えた候補者だとの認識が多勢を占めていた。さらに独占禁止法や競合の問題について彼女が高く評価され、かなり断定的な立場をとっていることは、すでに規制の独走状態にあるAmazonとGoogleを一旦は守勢に立たせるのに役立つかもしれない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:FTCアメリカ反トラスト法AmazonGoogleFacebookセクション230

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

グーグルのMVNO通信サービス「Google Fi」が6周年を迎え月額約6480円の新無制限プランを発表

Google(グーグル)が提供する携帯電話ネットワーク「Google Fi」は、米国時間4月22日で6周年を迎える。これを記念して同社は「Simply Unlimited」と名づけられた新しい料金プランを、1回線で月額60ドル(約6480円)から提供する(3回線以上の場合は1回線あたり30ドル、約3240円に割引)。この新プランの特徴は、米国内での通話とテキストが無制限であることに加え、米国、カナダそしてメキシコでのデータ・テキスト通信も無制限であることだ。

画像クレジット:Google

Google Fiの当初の約束は、手頃な価格の単一の従量制プランで、基本的な通話とテキストサービスに毎月一定の料金を支払い、さらに請求サイクルごとに使用したデータ1GBあたり10ドル(約1080円)を追加で支払い、上限は月80ドル(約8640円)というものだったことを覚えている読者の方も多いだろう。そして2019年、Googleはこれを実質的に無制限のプランとし「Fi Unlimited」と名づけ、1回線で月額70ドル(約7550円)からとし、追加回線には割引を適用した。

新しい「Simply Unlimited」プランはオリジナルの「Unlimited」プランのシンプルなバージョンで、元々の「Unlimited」プランは現在「Unlimited Plus」プランと呼ばれている(似たような名前がたくさん出てきてややこしいが)。この後者のプランには、パワーユーザーが
わずかに安い価格のために手放すことはないであろう追加機能が数多く含まれている。このプランでは、新しい「Simply Unlimited」プランのすべての機能に加えて、50カ国以上への無料国際電話と200カ所以上での国際データ通信、フルスピードのホットスポットテザリングと100GBのGoogle Oneクラウドストレージを引き続き利用できる。

「Flexible」プランも引き続き選択可能で、その場合基本料金はテキストと通話が1回線で月20ドル(約2160円、3回線の場合は月17ドル、約1840円に割引)、データは海外でも国内でも、あるいはホットスポットテザリングでも1GBあたり10ドル(約1080円)となっている。Googleによると、多くの人がそうであるようにほとんどの状況でWiFiを利用する場合は、このプランが適しているという。

基本的に携帯電話を北米以外で使用する予定がない場合、新しい「Simply Unlimited」プランは使用状況に応じて、他の通信サービスプロバイダの同価格帯のプランと比較しても遜色のないお得なプランに見える。特に、国際データ通信が重要な場合にはなおさらだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle FiMVNO

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Google Meetに複数ピン留めや明るさ自動調整、背景置き換えなどの新機能追加

Google(グーグル)は米国時間4月21日、ビデオ会議サービス「Google Meet(グーグル・ミート)」のメジャーアップデートを発表した。デスクトップユーザー向けにはいくつかユーザーインターフェース(UI)の調整が行われた他、1人ではなく複数の発言者をピン留めする機能や、AIを活用した明るさ自動調整、オートズーム、低速なモバイルネットワークでのデータ使用量を制限するデータセーバー機能など、多くの新機能が追加されている。

筆者のようにビデオ会議にうんざりしている人は多いに違いない(しばしばカメラをオフにしているくらいだ)。しかし現実には、好むと好まざるとにかかわらず、このようなスタイルの会議は今後も続いていくだろう。

画像クレジット:Google

Googleは、このアップデートがビデオ会議を「より没入的で、包括的で、生産的」にすると述べている。UIの変更は抜本的なものではないが、多くの操作や機能をメニューの中に隠すのではなく、指の届く場所に置くようになった。従来のシステムではメインメニューバーと上部の小さなメニューに分散されていた機能も、最下段に集約された。

自分の姿を映したくない会議参加者は、自分のビデオフィードを最小化したり、完全に隠したりすることもできる。あるいは自分の姿を常に横目でチェックしたければ、自分のフィードの位置をグリッドに固定することも可能だ。Googleは近日中にすべてのMeetの通話で自分の映像をオフにできるようにすることも計画しているという。

画像クレジット:Google

ピン留めに関しては、特に便利だと思われる機能は、複数の発言者(またはグループ)の映像を同時に強調表示する機能だ。この新しいマルチピン機能を使えば、例えば、最もアクティブな数名のチャット参加者に、常に注目し続けることが容易になる。この機能は数カ月以内に導入される予定だ。

さらに数カ月後には、大きなサイズで表示された映像の中に、よりおもしろく(見方によっては鬱陶しく)見えるものが現れるかもしれない。Googleは今後、ビデオの背景を置き換える機能の導入も予定している(まだすぐには採用されない)からだ。最初に用意される背景は「教室」「パーティー」「森」の3種類だけだが、後からさらに追加されるという。ただし、自分で用意した映像を背景に使うことは、当面はできないようだ。

画像クレジット:Google

その他の新機能としては、周囲が暗かったり、あるいは強い照明の前に座っている場合にも、自動的に画面の明るさを調整して自分の姿がよく見えるようにする機能が追加される。これは数週間以内に利用可能になる予定だ。また、AIを活用して自動的にズームし、自分の姿を画面の中央に配置する「Autozoom(オートズーム)」機能も導入されるが、こちらはGoogle Workspace(グーグル・ワークスペース)の有料会員向けに、今後数カ月以内に提供される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle Meetビデオ会議アプリ

画像クレジット:Google

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルとグーグルが上院の独禁法ヒアリングでサードパーティーアプリのデータ共有の詳細を問われる

米国時間4月21日、米上院で行われた反トラスト法に関するヒアリングでAppleとGoogleの代表がそれぞれのアプリストアで収集されたデータを不当に利用していないかどうか質問された。プラットフォームにアプリを登録しているサードパーティーの企業のデータを自社の製品開発に流用し、不当に競争力を得ることを防ぐために「厳しいファイアウォール」その他の内部ポリシーを設けているかどうかが焦点となった。Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(コネティカット州、民主党)はAppleに対して「sherlocking(シャーロッキング)」という慣行について質問した。同上院議員はAppleの開発者コミュニティでは他のアプリをコピーする行為が一般的になっており「シャーロッキング」というニックネームで呼ばれていると指摘した。

Sherlock(シャーロット)というソフトウェアはWikipediaに1項目を立てた記事が掲載されているが、2000年代初頭にAppleが開発した検索ツールだ。サードパーティーのデベロッパーであるKarelia SoftwareはSherlockのライバルとなるWatsonという検索ツールを開発した。この製品の成功に対し、AppleはWatsonと同一の機能を自社のSherlock検索ツールに追加したためWatsonは事実上ビジネスの継続が不可能となった。後に「Sherlock」ないし「sherlocking」という呼び名はAppleがサードパーティーのデベロッパーのアイデアをコピーし、ライバルを脅かしたり潰したりすることを意味するようになった。

以後、デベロッパーコミュニティはAppleは多年にわたって数多くのアプリを「Sherlock」してきたと主張してきた。例えばデスクトップ・ウィジェットのKonfabulator、ポッドキャストマネージャーのiPodderX、ウェブサイト作成アプリSandvox、Mac OS Xの通知システムGrowl、さらに近年では、画面のブルーライト軽減ツールF.lux、iPadをサブディスプレイにするアプリDuetとLunaに加えてさまざまなスクリーンタイム管理ツールなどがそうだという。今回、TileはAppleのAirTagは不当な方法で同社の市場を脅かすものだと主張している。

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ブルーメンソール上院議員がヒアリングで質問した相手はAppleのKyle Andeer(カイル・アンディア)最高コンプライアンス責任者とGoogleのWislon White(ウィルソン・ホワイト)公共政策および政府関係担当シニアディレクターだ。同上院議員はAppleのアプリストアとビジネス戦略立案の間に何らかの「ファイアウォール」を採用しているか尋ねた。

アンディア氏は「上院議員の質問を正しく理解しているなら、AppleではApp Storeを管理するチームと製品開発戦略に携わるチームは別個の存在しです」と述べ質問をかわそうとした。

これに対しブルメンソール議員は「ファイアウォール 」の意味を具体的に説明した。つまり、それぞれを担当するチームが存在するかどうかではなく、App StoreとAppleの他事業部の間でデータ共有を禁止する社内規定の有無を尋ねているのだと述べた。

アンディア氏は「私たちは適切な管理を行っています」と答えた。

これに続いて「過去12年間、Appleはごく少数のアプリとサービスを導入したのみです」と述べた。いずれの場合においてもApp Storeには「サードパーティーによる数十の選択肢があり、そうしたライバルのアプリがAppleの製品より人気があることも多々ありました」とした。

アンディア氏は「我々はコピーしませんし、敵を潰したりしません。私たちがしているのは新しい選択肢と新しいイノベーションを提供することだけです」と述べた。

この主張は、SpotifyとApple Music、NetflixとApple TV +、KindleとApple Booksなど強力なライバルとの競争の場合には当てはまるかもしれない。しかしAppleがiPadをサブディスプレイにすることができる機能であるSidecarを導入したときのようにAppleが限定された領域で改良を行う場合は別だ。DuetやLunaのようなアプリがサブディスプレイ接続のニーズがあることを証明したもののSidecarの導入でサードパーティーのアプリは行き場を失った。

もう1つの例は、AppleがiOSに視聴時間制限機能を組み込んだときだ。サードパーティーのスクリーンタイムアプリのデベロッパーにAPIを提供しなかったため消費者はサードパーティーのアプリからAppleのスクリーンタイム設定機能にアクセスすることが不可能となった。このためユーザーはサードパーティーの専用インターフェースや独自機能を利用できなかった。

関連記事:アップルがスクリーンタイム監視アプリ削除の正当性を主張

ブルーメンソール議員はファイアウォールの存在に関するアンディア氏の答えた「ノー」だと断定した。

同じ質問を受けたGoogleのホワイト氏は「Googleにはサードパーティーのサービスからのデータの使用方法に対するデータアクセスコントロールが実施されていると理解しています」と答えた。

上院議員はこれが前述の「ファイアウォール」であるかどうかを明確にするようさらに迫った。議員はサードパーティのデータへの別チームの「アクセスを禁止しているかどうか」に明確に答えるよう求めた。

「Google自身のサービスと直接競合するような仕方でサードパーティーのサービスを利用することは禁止されています。Googleにはそれを管理する内部規定があります」とホワイト氏は述べた。

この時点で時間切れとなったため、ブルーメンソール上院議員は「フォローアップ質問は書面で行う」と述べた。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:独占禁止法アメリカAppleGoogleアプリApp StoreGoogle Play

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

第2世代Google Nest Hubが5月5日国内発売、税込価格1万1000円で睡眠トラッキング対応

第2世代Google Nest Hubが5月5日国内発売、税込価格1万1000円で睡眠トラッキング対応Google Japanが第2世代Google Nest Hubの国内投入を発表しました。5月5日に発売予定、価格は税込1万1000円です。

グローバルでは3月22日に発表された本機の特長は、Google Pixel 4で初採用した「Soliレーダー」を搭載する点です。

Soliレーダーは、超低出力の電波を用いて、人の動きをトラッキングするもの。これを搭載することで、画面に触れず手の動きで再生・停止などを操作できるジェスチャー入力に対応します。

更にユニークなのが、Soliレーダーを睡眠トラッキングに応用した点です。本機をベッドサイドに置けばユーザーが眠っているかどうか、睡眠の状態を認識することができます。

第2世代Google Nest Hubが5月5日国内発売、税込価格1万1000円で睡眠トラッキング対応

また、内蔵マイクからの音をローカルで解析することで、睡眠中の咳やイビキも検出。体の動きや呼吸から推定した睡眠、咳の回数やイビキをかいていた長さなどから、トータルでの睡眠の品質を判定します。

オーディオ面では第1世代のGoogle Nest Hubと比較して低音を50%強化。カメラは非搭載のため、カメラ付きのGoogle Nest Hub Maxと比較すると、ビデオ通話などは利用できない反面、プライバシー面はより安心です。

第2世代Google Nest Hubの詳細は下記記事もご覧ください。

新Google Nest Hub発表

(Source:Google Japan BlogEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Google / グーグル(企業)Google Nest(製品・サービス)睡眠(用語)スマートディスプレイ(用語)日本(国・地域)

グーグルがAndroid 12の開発者プレビュー最新版を公開、触覚フィードバックなど拡張

Google(グーグル)は米国時間4月21日、同社のモバイルOSの最新版であるAndroid 12の開発者プレビュー第3弾を予定どおり公開した。Googleのロードマップによると、今回の開発者プレビューは、Android 12がベータ版に移行する前の最後のプレビューとなる。通常、開発者ではないユーザーがAndroid 12を試したい場合はベータ版が最初の無線(OTA)アップデートになる。今のところ開発者は、サポートされているPixelデバイスにシステムイメージをフラッシュする必要がある。

Googleは、ベータ版のリリースを間近に控えた今こそ、開発者は自分のアプリの準備が整っているかどうかを確認するために互換性テストを開始する必要があると指摘している。現在のところAndroid 12は、2021年8月までにプラットフォームの安定性を実現する計画だ。その時点で、アプリ向けのすべての機能がロックされ、確定される。

では、今回のプレビューでは何が新しくなったのだろうか?いつものように、数多くの小さな新機能、調整、変更があるが、今回の目玉は、開発者がアプリケーションで新しいハプティック(触覚)フィードバック体験を提供できるようになったことと、新しいアプリ起動アニメーションだ。

新しいアプリ起動エクスペリエンスは、開発者とユーザーの両方にとって、今回の最も顕著な変更点かもしれない。この新しいアニメーションは、アプリの起動から、アプリのアイコンを表示するスプラッシュ画面、そしてアプリ本体へと続く。「新しいエクスペリエンスは、すべてのアプリの起動に標準的なデザイン要素をもたらしますが、各アプリが独自のブランディングを維持できるように、カスタマイズも可能にしました」とGoogleは説明している。開発者は、このスプラッシュスクリーンを自分のブランドでどのようにカスタマイズするかについて、かなりの自由度を持っている。ただし、デフォルトでは最もベーシックな起動エクスペリエンスが有効になっている。

また、リッチなハプティックフィードバックも今回のリリースで加えられた。それを聞くと、今ではほとんど使われなくなったApple(アップル)のForce Touchを思い出さずにはいられないが、これは少し違う。ここでは「ゲームには没入感のある楽しい効果を、プロダクティビティには注意力を向上するハプティック」を提供するものだという。

本リリースのその他の新機能には、着信および進行中の通話をユーザーがより簡単に管理できるようにする新しい通話通知テンプレートが含まれている。Googleによるとこれらの新しい通知は、より視認性が高く、読み取りやすいものになるという。また、機械学習ワークロードのためのNeural Networks API(NNAPI)の改善や、より幅広い超高解像度カメラセンサーをサポートするための新しいAPIも含まれる。

またAndroid 12では、計算負荷の高いタスクを実行するためのRenderScript APIが廃止され、VulkanやOpenGLなどのGPUコンピューティングフレームワークが採用される。

今回のリリースに含まれるすべての変更点の詳細については、こちらから見られる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAndroidハプティクスOSスマートフォンPixel

画像クレジット:juniorbeep / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)