グーグルがEUの圧力を受けAndroid検索エンジンの選択画面オークションを廃止、無料化へ

Google(グーグル)は、欧州連合(EU)で同社が提供する選択画面の基盤となっている、極めて不評なオークション形式を廃止することを明らかにした。これにより適格な検索プロバイダーが無料で参加できるようになる。

このオークションモデルはGoogleが選んだ「是正措置」だった。2018年にEUからAndroid運用に対する反トラスト法の施行で50億ドル(約5500億円)の制裁金を科されたことを受けたものだ。だがTechCrunchが以前報じたように、競合他社はこのモデルはフェアではないと一貫して主張してきた(記事はこちらこちらこちら)。

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Androidの選択画面は、デバイスのセットアップ時(またはファクトリーリセット時)に、デフォルトとする検索エンジンの選択候補を域内のユーザーに提示する。選択肢のうち3つの枠は、いずれかを獲得するためにGoogleへの支払額を競う検索エンジン各社の非公開入札内容に応じて決まる。

Google自身の検索エンジンは、EU市場かどうかに関わらず、選択画面で定番の「選択肢」として存在している。

Googleが考案したこの有料モデルは、小規模な検索エンジン企業(Ecosiaの植林検索エンジンのような代替ビジネスモデルを持つ企業を含む)からひどく嫌われているだけでなく、検索市場シェアにおける競争上のバランスを取り戻す上でまったく効果がなかったことから、Googleがそれを断念せざるを得なかったことは驚くにあたらない。

欧州委員会は変化の兆しを見せており、Bloombergは2021年5月に、EUの競争担当チーフであるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏が、GoogleによるAndroid上の検索とブラウザの競合他社向け選択画面を有効的に機能させるために「積極的に取り組んでいる」と発言したことを報じていた。つまり、明らかに「ファウル」や「機能していないんだ」という繰り返しの叫び声を聞いたのだろう。そして、ようやく行動に移したのだ。

しかしGoogleは、自らの物語を組み立てる枠組みの中で、EU議会との「建設的な議論」を何年も前から続けている、と記している。その内容としては、同社が表現するところでは「当社がAndroidプラットフォームへの投資と提供を無償で長期的に継続できることを確保しつつ、Androidデバイスの選択肢をさらに増やす方法」についてだという。

それはまた、EUに多少の疑念や非難を投げかけようとしているようにも見える。EUが「促進の機会」(滑稽に聞こえる)と呼ぶものを「委員会と協議して」導入しただけだと言っているのだ。(つまり「政府よ、私たちを責めないで、彼らを責めてくれ」ということだ)

Googleはブログの別の箇所で具体的に「欧州委員会からのさらなるフィードバック」を受けて「いくつかの最終的な変更」を加えていると述べており、その中で「適格な検索プロバイダー」の無料参加について言及している。

「画面に表示される検索プロバイダーの数も増やします。この変更は2021年の9月からAndroidデバイスに適用されます」と同社は付言している。

計画された変更は、適格性を判断するためにどのような基準を使用するかなど、新たな疑問を提起している。Googleの基準は透明になるのだろうか、それとも問題を抱えたオークションのように外部から見えないようにするのだろうか?また、ユーザーに提供される検索エンジンの数はどのくらいになるのだろうか。現在の4つよりも多いことは明らかではあるが。

Google自身の検索エンジンがリストのどこに表示されるのか、またすべてのオプションをランク付けする基準(市場シェアは?無作為割り付けか?)も興味深い。

Googleのブログではそのような詳細について部分的に伏されているが、TechCrunchが欧州委員会に問い合わせたところ、かなりの情報が得られた(後述のコメントを参照)。

完全な実装になった時点で、どこか邪悪でダークなパターン設計の詳細が現れるかどうかはまだわからない。

【更新】選択画面の仕組みの詳細はここで見ることができる。この中にはGoogleが垂直検索エンジンは参加できないとしている適格基準の詳細も含まれている。一般的な検索エンジンのみ選択画面への参加が可能のようだ。また、同一企業が所有する複数の検索ブランドを除外し、1つの検索ブランドだけを表示できるようにする。Googleの検索結果と広告をシンジケートしている企業も対象外となった。

これらの変更が「最終的」であると主張することは、Googleの特権ではないことは注目に値する。EUの規制当局は反トラスト法の順守状況を監視する責任があるため、新たな苦情が流れてきた場合には、監視して対応する義務がある。

GoogleのオークションUターンに対して、プライバシー重視の検索エンジンDuckDuckGoはすでに批判的だった。ただし具体的な内容よりは範囲の方が重要だった。

創設者のGabriel Weinberg(ガブリエル・ワインバーグ)氏は、切り替えが3年遅れたことだけでなく、Googleはすべてのプラットフォーム(デスクトップとChromeも)にこれを適用し、設定やファクトリーリセットのために選択画面を切り替えるのではなく、Androidユーザーがデフォルトをシームレスに簡単に切り替えられるようにするべきだということも指摘している(以前報じたとおりである)。

オークションモデルを長らく批判してきた小さな非営利団体Ecosiaは、検索の巨人との戦いがついに実を結んだことを喜んだ。

CEOのChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は声明文の中でこう述べている。「これはダビデ対ゴリアテの実話とも言えます。ダビデは勝利しました。重要な日であり、Ecosiaにとってまさに祝福の瞬間です。私たちは数年前から検索エンジン市場の公平性を求めてキャンペーンを展開してきましたが、その結果、市場の公平な競争条件に近いものを得ました。今や検索プロバイダーは、独占的な行動に閉め出されるのではなく、自社製品の魅力に基づいて、Android市場でより公正に競争するチャンスを手にしたのです」。

一方、欧州委員会はTechCrunchに対して、多くの競合他社がオークションモデルに懸念を示した後に行動したことを認めている。広報担当者は「そうした懸念に対処するために、選択画面を改善する手段についてGoogleと話し合いを持ちました」と語った。

「選択画面にGoogleが導入した変更を歓迎します。選択画面への追加は、競合他社の検索プロバイダーに対して無料で提供されます」と広報担当者は続けた。「さらに、選択画面には、より多くの検索プロバイダーが表示されることになります。そのため、ユーザーは選択肢の幅を広げることができます」。

欧州委員会はまた、選択画面のプルダウン表示の詳細を少し明らかにし「ほぼすべてのデバイスで、5つの検索プロバイダーが即座に視認できるようになる」と述べた。

「ユーザーの国における市場シェアに基づいて選択され、ランダムな順序で表示されるので、Googleが常に最初に表示されるわけではありません。ユーザーは下にスクロールすると、さらに7つまでの検索プロバイダーを見ることができ、選択画面に表示される検索プロバイダーの総数は12になります」。

「今回の措置は、我々のAndroidに関する裁定に沿った改善策の実施に向けた前向きな動きです」と広報担当者は付け加えた。

同委員会の働きかけによって、これまでよりもはるかに拡大され、よりオープンになった選択画面が、Googleの検索エンジン市場シェアにおける地域のニーズを動かすのに役立つかどうを見るのは、極めて興味深いことだ。

実に興味をかき立てる時期に来ている。

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画像クレジット:Natasha Lomas / TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

EUが大手テック企業の「新型コロナ偽情報対応は不十分」と指摘

欧州連合(EU)は、大手テック企業に対し、各社のプラットフォームにおける偽ワクチン情報の拡散に対する監視の取り組みについて、さらに6カ月間報告するよう要求した。

現地時間6月3日、欧州委員会は「EU全域でのワクチン接種キャンペーンが着実かつペースを上げながら進展する現在、できるだけ多くのワクチン接種を完了するためには今後数カ月が決定的な意味を持つ。この重要な時期に、有害な偽情報によってワクチン接種を忌避する気持ちが助長されないようにするために、監視プログラムの継続が必要である」とするレポートを公表した。

Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)の各社は、EUの(法的拘束力のない)「偽情報に関する行動規範」に参加し、毎月報告書を作成しているが、今後は隔月で報告することになる。

欧州委員会は、4月の各社の報告書(最新版)を公表し、大手テック企業が「危険な嘘」を自分たちだけで取り締まることはできないことが示されたと述べ、ネット上の偽情報に対する取り組みについて、各プラットフォームから(自発的に)提供されているデータの質と内容に引き続き不満を表明した。

EUの価値観・透明性バイスプレジデントであるVěra Jourová(ベラ・ヨウロバー)氏は、声明の中で次のように述べる。「これらの報告書は、偽情報を減らすために各プラットフォームが実施している施策を効果的に監視することの重要性を示しています」「このプログラムを延長することにしたのは、危険な嘘がネット上に氾濫し続けていること、そして偽情報に対抗する次世代の規範の作成に有益であることが理由です。私たちは、強固な監視プログラムと、各プラットフォームの取り組みの影響を測定するためのより明確な指標を必要としています。プラットフォーム単独では取り締まることはできません」。

欧州委員会は2021年5月、自主的な規範を強化する計画を発表し、有害な偽情報を排除するために、より多くの企業、特にアドテック企業が参加することを望むと述べた。

この行動規範の取り組みはパンデミックより前、2018年に開始された。大規模な政治関連の偽情報スキャンダルを受けて「フェイクニュース」が民主主義のプロセスや公共の議論に与える影響に対する懸念が高まっていた年だ。今般、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による公衆衛生上の危機によって、危険な偽情報がネットで増幅されるという問題への関心が加速し、議員の間でも重要視されるようになった。

議員たちは、欧州委員会が「共同規制」と呼ぶ自主的なアプローチを継続することを希望していて、オンラインの偽情報に対する地域的な法的規制を確立することは(今のところ)計画していない。共同規制は、(違法ではないものの)潜在的に有害なコンテンツに対するプラットフォームの行動と関与を促すもので、例えばユーザーが問題を報告したり、削除を訴えたりするためのツールの提供を求めるが、プラットフォームが規制を遵守できなかったとしても直接的な法的制裁を受けることはない。

とはいえ、EUデジタルサービス法(DSA)という、プラットフォームへの圧力を高める新たな手段も用意されている。2020年末に提案されたこの法案は、プラットフォームによる違法コンテンツの取り扱いを規定するもので、欧州委員会は「偽情報に関する行動規範」に積極的に関与するプラットフォームは、DSA遵守の監督当局から好意的に見てもらえるだろうと示唆している。

また、EU域内市場担当委員のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は、現地時間6月3日の声明で「行動規範を強化してDSAと組み合わせれば『EUにおける偽情報対策の新たな1ページ』を開くことになる」と述べ、次のように続けた。

「ワクチン接種キャンペーンの重要な時期に、各企業が取り組みに力を入れ、私たちのガイダンスに沿う強化された行動規範への遵守を、できるだけ早く実現することを期待しています」。

規制当局にとって偽情報は依然として厄介なテーマだ。なぜなら、ネット上のコンテンツの価値は非常に主観的なものであり、問題となっているコンテンツがどれほど馬鹿げたものであっても、中央集権的な情報削除の命令は、検閲と見做される危険性があるからだ。

公衆衛生に対する明らかなリスク(反ワクチン接種のメッセージや欠陥のある個人用防護具の販売など)を考えると、新型コロナ関連の偽情報の削除には、確かに議論の余地は少ない。しかし、ここでも欧州委員会は、ワクチンに肯定的なメッセージを発信させたり、権威ある情報源を明らかにさせたりすることで、プラットフォームが行っている言論保護措置を前面に押し出そうとしているように見える。欧州委員会のプレスリリースでは、Facebookはワクチンのプロフィール写真フレームを用意してユーザーにワクチン接種を奨励したとか、Twitterは16か国で開催された世界予防接種週間の期間中にユーザーのホームタイムラインに表示されるプロンプトを導入して、ワクチンに関する会話で500万回のインプレッションを得たことなどが紹介されている。

2021年4月の報告書には、各社が実際に行った削除についても詳しく記載されている。

Facebookは、新型コロナウイルスおよびワクチンの誤情報に関するポリシーに違反したとして、EU域内で4万7000件のコンテンツを削除したと報告したが、欧州委員会は、前月に比べてわずかに減少したと指摘している。

Twitterは、新型コロナの偽情報に関する話題について、4月中に全世界で2779のアカウントに異議申し立てを行い、260のアカウントを停止し、5091のコンテンツを削除したと報告した。

一方、Googleは、AdSenseで1万549のURLに対して措置を講じたと報告しており、欧州委員会はこれを2021年3月(1378件)に比べて「大幅な増加」としている。

この増加は良いニュースなのか?悪いニュースなのか?疑わしい新型コロナ広告の削除数の増加は、Googleによる取り締まりの強化を意味するかもしれないし、Googleの広告ネットワークにおける新型コロナ関連の偽情報問題の大幅な拡大を意味するのかもしれない。

ネット上の偽情報について曖昧な線引きをしようとしている規制当局が今まさに抱える問題は、報告要件が標準化されておらず、プラットフォームのデータへの完全なアクセス権がない状態で、これらの大手テック企業の行動をどのように定量化し、その効果や影響を正しく把握するか、ということにある。

そのためには、各社が内容を選択できる自己申告ではなく、規制が必要なのかもしれない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

大手テック企業に対する反トラスト調査の手を強めるドイツ競争規制当局がGoogle News Showcaseの徹底調査開始

ドイツ連邦カルテル庁(ドイツ語表記は「Bundeskartellamt」、英語表記は「Federal Cartel Office」、以下「FCO」)は非常に活発な競争規制当局だ。2021年に入って大手テック企業を規制する新たな力を得たFCOは、時を逸することなく行動しており、最近も3件目となるGoogle(グーグル)の調査を発表したばかりだ。

FCOが競争規制禁止に関して行っている最新の調査は非常に興味深い。なぜなら、調査対象となっているのがGoogle News Showcase(グーグル・ニュース・ショーケース、以下「News Showcase」)だからだ。News ShowcaseはGoogleの比較的新しい製品で、第三者パブリッシャーのコンテンツをキュレーションしたものをGoogle News(およびGoogleのその他のプロパティ)のストーリーパネルで表示するサービスだ。Googleはそのコンテンツに対してライセンス料を支払う。

Googleは2020年、News Showcaseのために世界各地のパブリッシャーとコンテンツのライセンス契約を締結し始めた。Googleはこの契約のために合計10億ドル(約1050億円)を出資すると発表しており、ドイツは同社がこの契約を締結した最初の国々のうちの1つだ。

関連記事:Googleがニュース新サービス立ち上げ、今後3年間で記事使用料約1050億円支払いへ

しかしながら、パブリッシャーのジャーナリズムに対してライセンス料を支払うという同社の動機はお世辞にも純粋とは言い難い。

Googleはこれまで何年にもわたり、コンテンツをタダで利用しているとしてメディア企業から厳しく告発されてきた。Googleはその度に「コンテンツの利用料は支払わない。なぜならオンラインの情報をまとめるサービスはそういう仕組みだからだ」と言って一歩も譲らなかった。同社はまた、そのようなメディア業界を無視しようとしてGoogle News Initiative(グーグル・ニュース・イニチアチブ)という名のデジタルイノベーション推進基金を作り、少額の助成金を配ったり、ワークショップや製品に関するアドバイスを無料で提供したりして「パブリッシャーのビジネスモデルが苦戦しているのはイノベーションに失敗したからだ」という印象を世間に与え、結果的にGoogleのアドテック事業はライセンス料の支払いを免れて、強圧的な姿勢を示し続けた。

一歩も譲らず、わずかな金しか出そうとしないGoogleのアプローチは長い間、規制当局の動きを食い止めてきたが、ついに「メディア企業のビジネスモデル対オンライン広告の複占」という問題に対する政治的な圧力が高まり、従来型のパブリッシャーと、コンテンツを仲介する大手テック企業との間のパワーバランスを是正しようと、各国の立法当局が動き始めた。

この件で最も有名な事例は、2021年初めにオーストラリア議会がニュースメディアへの支払いを義務づける法案を可決したことだ。

可決される前、同法案の対象とされていたFacebook(フェイスブック)とGoogleは、この法案が可決された場合は、オーストラリアでの全サービス停止や、サービス品質の低下、サービスの有料化などの深刻な結果を招くことになると警告していた。

実際はそのような結果にはならなかったが、同国の議員たちが審議の直前になって「2カ月間の調停期間を設ける」という条項を追加することに同意したことは確かだ。この調停期間内であれば、デジタルプラットフォームを提供するテック企業とパブリッシャーは仲裁人を介することなく自分たちで交渉を行うことができる。

批評家たちは、これではFacebookとGoogleは今後も自社に有利な条件を提示し、市場シェアの大きさを利用してオーストラリアの大手メディア企業が不利になるような契約を締結し続けることができてしまうではないか、という。しかも、外部から監督する者がおらず、そのようにして締結されたコンテンツ提供契約によってメディアの多様性や多数性が促進される保証はないし、ジャーナリズムの質の向上でさえも保証されていない。

EUではオーストラリアよりも早く議会が動き、2019年に著作権の対象範囲をニュースコンテンツのスニペットにも広げるという賛否両論あるEU指令が発効した(ちなみに加盟国による同指令の国内法化期限は6月7日月曜日だった)。

このEU指令をいち早く国内法化した加盟国がフランスだ。2020年にフランス国内でスニペットの表示を停止することによってこの法律からうまく逃れようとしたGoogleに対し、同国の競争規制当局はすばやく行動を起こして、ニュースの再利用料金を支払うように同社に命じた

関連記事:フランス競争当局がGoogleにニュース再利用の対価支払いを命じる

フランス規制当局の命令に対し、Googleはさらに曖昧な理由で反論したが、2021年初めに、コンテンツ再利用とNews Showcaseへの加入に対する料金をフランスのパブリッシャーに支払うことに同意した。つまり、法律で定められた支払い(ニュース再利用料)と、自社サービスへのコンテンツ提供ライセンス契約とをバンドリングしたのだ。これによって、法律によって義務づけられた支払いと営利契約とのバランスを把握することが難しくなった。

News Showcaseの問題点は、そのライセンス契約交渉が人知れず行われており、多くの場合は関連する法律が成立する前であるため、完全にGoogleの言いなりで交渉が進められるということだ。つまり、News Showcaseのライセンス契約により、Googleと、デジタル化によってビジネスモデルが壊滅的な影響を受けて収益源の確保に苦しむ従来型パブリッシャーとの間の不均衡なパワーバランスに対する懸念はさらに高まる危険がある。

Googleがいくらかコンテンツ料を支払うと突然申し出たら、その条件の内容に関わらず、交渉に応じるパブリッシャーは多いだろう。さらに、検索市場とコンテンツの発見可能性におけるGoogleの圧倒的な優位性を考えると、Googleの言い値でコンテンツをライセンス提供することに同意しないパブリッシャーは特に、コンテンツの露出を減らされるというリスクを負うことになるだろう(Googleは、例えばNews Showcaseのコンテンツが優先的に表示されるかどうか等の条件に基づいて、特定のメディアプロパティへトラフィックを流すよう調節する力を持っている)。

そのことが競争に及ぼす影響は明白だ。

それでも、FCOがこれほどすばやく行動を起こしてNews Showcaseの調査に踏み切ったのは見事だったと思う。

FCOによると、今回の調査はCorint Media(コリント・メディア)が申し立てた苦情に基づいて行うものであり、Google News Showcaseのサービスを発表されている通りにGoogle検索機能と統合させることが「自己優遇に相当する、あるいは競合する第三者が提供するサービスを妨害する可能性があるかどうか」を調べる予定だという。

FCOはまた、契約に「News Showcaseに加入するパブリッシャーに不利益をもたらす」理不尽な条件が含まれていないかどうか、特に「2021年5月にドイツの連邦議会および連邦参議院により導入された報道機関の付随的著作権の行使を不当に困難にする」ものでないかどうかについても調査する予定だと述べている。この付随的著作権は、EUの改正著作権指令で定められた報道機関の付随的権利を国内法化したものだ。

したがってFCOは、EUの著作権改正によってパブリッシャーが手にした新たな権利の行使を、GoogleがNews Showcaseを使って抑え込もうとしているかどうか、という問題の核心を調査することになる。

FCOはまた「GoogleのNews Showcaseサービスの利用条件がどのように定義されているのか」という点についても調査したいと話している。

GoogleがドイツでNews Showcaseのサービスを開始したのは2020年10月1日だ。開始当初、加入パブリッシャーは20社、対象メディアは50種類だった。現在はその数がもっと増えている。

FCOによると、News Showcaseの「ストーリーパネル」はもともと、Google Newsアプリに統合されていたが、現在はデスクトップ版のGoogle Newsでも見ることができるという。FCOはまた、ストーリーパネルが間もなくGoogle検索結果にも表示されるようになるとGoogleが発表したことにも言及した。それが実現した場合、Googleが欧州の検索市場で圧倒的優位に立っていることを考えると、News Showcaseをめぐる競争の力関係はさらにGoogle有利に傾くだろう。

FCOのAndreas Mundt(アンドレアス・ムント)長官は今回の調査に関する発表について、ある声明の中で次のように述べた。「Googleと協力することはパブリッシャーやニュースプロバイダーにとって魅力的な選択肢になり得るし、消費者に新たな、もしくはより良い情報サービスを提供することにつながる。しかし、そのことが個々のパブリッシャー間において不均衡を生み出す結果にならないように注意する必要がある。加えて、エンドユーザーへのアクセス提供という点でGoogleが優位な立場にあるからといって、パブリッシャーやニュースプロバイダーが提供する競合サービスが市場から締め出される状況になることは防がなければならない。Googleのサービスに加入するコンテンツプロバイダーの権利と義務との間で適切なバランスを確保することが必要だ」。

FCOの行動についてGoogleにTechCrunchがコメントを求めたところ、同社の広報担当者Kay Oberbeck(ケイ・オーバーベック)氏の名で以下のような回答が返ってきた。

News Showcaseは、Googleがジャーナリズムをサポートする数多くの手段のうちの1つであり、すべてのパブリッシャーに利益をもたらす製品と出資に基づくものです。News Showcaseは、ニュースコンテンツのための国際的なライセンシングプログラムです。加入企業は客観的かつ公平な基準に基づいて選出され、加入企業のコンテンツがGoogleの検索結果順位について優遇されることはありません。Googleはドイツの競争規制当局に全面的に協力する姿勢であり、FCOからの問い合わせにいつでも喜んで応じるつもりです。

FCOは今回発表したNews Showcaseの徹底調査とは別に、つい2021年5月、Googleに関する2件の調査を開始したばかりだ。そのうちの1件は、ドイツが大手テック企業を対象として新たに成立させた競争制限に関する改正法のしきい値をGoogleが満たしているかどうかを判定するためのもの、もう1件はGoogleのデータ処理慣行について詳しく調べるものだ。どちらも現在進行中である。

FCOは最近、Amazon(アマゾン)の市場における優位性に関する調査も開始したばかりだ。さらに、Facebook傘下のOculus(オキュラス)の事業に関する最近の調査を拡大することを検討している。Googleと同じく、Facebookの事業についても前述の改正法のしきい値を満たしているかどうかを判断するためだ。

2021年1月に発効したドイツ競争法の改正法により、FCOは、市場の乱用リスクを予防的に制御するため「市場全体における競争に重大な影響を及ぼす」とみなされる大手デジタル企業に対して以前よりも積極的に規制条件を適用する権限を得た。

FCOが大手テック企業に対してこれほど多くの調査を同時進行で行っていることは、FCOが少しの時間も無駄にしたくないと考えていることの現れだ。FCOは、大手プラットフォーム企業が引き起こしている独禁問題に関して、法的な根拠があると判断できたらすぐに予防的介入に踏み切れるように準備しているのである。

FCOはさらに、Facebookの「スーパープロファイリング」に対して先駆的な訴訟を起こしている。この訴訟は、プライバシー侵害を競争制限に関する懸念と結びつけ、大手テック企業によるユーザーのプロファイリングを大幅に制限する可能性がある。この訴訟については、すでに何年も調査と審議が行われてきたが、最近、主要な法的争点の解釈をめぐって欧州司法裁判所に付託された。

関連記事:ドイツ裁判所がフェイスブックに対する「スーパープロファイリング」訴訟を欧州司法裁判所に付託

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画像クレジット:Shutterstock

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

オフィス再開に向けて大手テック企業はそれぞれ柔軟なワークモデルを検討中

先週、Apple(アップル)は、2021年9月以降社員を週3日のペースでクパチーノのキャンパスに出勤させる予定だと発表した。自宅で仕事をするという柔軟性に慣れてしまった社員の中には、それに反対する者もいた。

パンデミック以前には、一部の例外を除き、ほとんどの社員が毎日オフィスに出勤していた。しかし、2020年3月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生し、従業員が在宅勤務を余儀なくされると、企業はすぐに同じ建物の中に座っていなくても、スタッフの高生産性は維持できることに気がついた。今やこの流れを押し戻すことは難しいように思える。

個々の企業にとって完全なリモート勤務と、個別に定義するハイブリッド(たとえばAppleのように、オフィスにいる日もあれば自宅にいる日もある)勤務とのバランスを取るのは決して簡単ではなく、一律の答えは存在しない。実際、今後は流動的になっていくのかもしれない。

そこで、各社のアプローチの違いを知るために、Apple以外の大手テクノロジー企業5社に、オフィス再開についてどのように考えているか聞いてみたところ、各社とも何らかのハイブリッドワークを採用しようとしていることがわかった。

  • Google(グーグル)はAppleと同じように、オフィスで3日、家で2日というアプローチをとっている。「私たちは、ほとんどのGoogler(グーグラー、グーグル従業員)が約3日をオフィスで過ごし、2日を自分の好きな場所で過ごすハイブリッドなワークウィーク体制に移行します。オフィスに来ている時間はコラボレーションに集中するため、製品分野や機能によって、チームがオフィスに集まる日を決めることができます。もちろん仕事の性質上、週に3日以上現場にいなければならない役割もあるでしょう」と、GoogleとAlphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)は、最近のブログ記事の中で書いている。
  • Salesforce(セールスフォース)は、社員の役割に応じて幅広い選択肢を用意している。ほとんどの社員は、ほとんどの時間を自宅で仕事をし、週に1~3日、同僚との共同作業や顧客とのミーティング、プレゼンテーションのためにオフィスに出社することができる。また、オフィスの近くに住んでいない人はフルリモートで、自ら選択した人や仕事でオフィスにいる必要がある人は週に4~5日出社することもある。
  • Facebook(フェイスブック)はリモートワークを拡大しており「6月15日より、Facebookは会社全体のすべてのレベルにリモートワークを開放し、リモートでできる役割の人は誰でもリモートワークを申請できます」と従業員に書面で伝えている。
  • Microsoft(マイクロソフト)はこの件をマネージャーに任せているが、ほとんどの役割は少なくとも部分的にはリモートで行うことになるだろう。最近のアナウンスでは従業員に対して「私たちは、現場にいることが必要な従業員もいれば、職場から離れた場所で働くのに適した役割やビジネスもあることを認識しています。しかし、ほとんどの職種では、マネージャーとチームがうまく機能していることを前提に、一部(50%未満)の時間の在宅勤務を、現在の標準だと考えています」と伝えている。
  • Amazon(アマゾン)は当初、ほとんどオフィス内での勤務という方針を検討していたが、今週従業員にもっと柔軟なワークスケジュールを提供することに決定したことを発表した。「当社の新しい基準は、週3日のオフィス勤務(具体的な勤務日はリーダーチームが決定)とし、週2日まではリモートで勤務できる柔軟性を残します」と、同社は従業員へのメッセージで述べている。

大手のテック企業は、ほとんどの社員が出社時間をある程度自由に決められるようになっているが、ポストパンデミックに向けてスタートアップ企業はどのように仕事を捉えているのだろうか。私が話を聞いたスタートアップ企業の多くが、オフィス中心のアプローチを想定しておらず、リモートファーストのアプローチをとっている。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が最近、ポートフォリオのスタートアップ企業226社を調査したところ、ポートフォリオ内の企業の3分の2が、大企業と同様のハイブリッドなアプローチを検討していることがわかった。実際に、87社が週に1〜2日程度の出勤を考えており、また64社はオフィスをまったく持たず、集まりは社外で行うだけだった。一方「自宅での仕事は一切行わせない」と答えたのはわずか18社だった。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストで、長年にわたり分散型勤務を研究してきたDion Hinchcliffe(ディオン・ヒンチクリフ)氏は、テック企業はパンデミックの最中にその効果を確認できたことで、柔軟なワークモデルを採用する可能性が高まっていると述べている。

そして「多くのハイテク企業は、オフィスを再開するに当たりある程度の柔軟性を維持するでしょう。これは特に多くの従業員からの評判が良いからです。また、心配されていた生産性の低下も、ほとんど杞憂に終わったのです」と語る。しかし、彼はそれがすべての企業に当てはまるわけではないことも強調した。

「ある種の企業、特に保護すべき知的財産をたくさん持っていると考える企業や、その他の機密性の高い仕事をしている企業は、自宅で仕事を続けることには消極的になるでしょう」と続ける。しかし、そうした企業の多くは、この15カ月間、そのような活動を続けてきたのだ。Appleのようにハイブリッド化することは、その議論をさらに混乱させるだけだろう。

「その中にはもちろん、以前から在宅勤務を推奨していないことで有名なAppleも含まれています。週に3日はオフィスに出勤するという新しい方針は、彼らに少しは安心感を与えるでしょうが、実際には本当に安心することはできません」とヒンチクリフ氏はいう。

もちろん、企業はポリシーを設定することができるが、従業員からの反対がないとは限らない。Appleは今回それを確実に学んだ。労働者たちは、雇用主に指定された場所ではなく、自分で働く場所を選びたいと考えているようだ。特に、労働市場が逼迫しており、力が従業員側にシフトしているような状況では、在宅勤務のオプションを提供することが、競争上の優位性となる可能性がある。

これがどのように進んで行くのか、また従業員がどれだけ企業に対してより柔軟な働き方の実現を促す力を持っているのかを観察することは、興味深い。今のところ、ほとんどの企業はパンデミック以前に比べてはるかに大きな柔軟性を持っているものの、すべての企業がいつまでも従業員に完全に自宅で仕事をして欲しいとは思っているわけではないだろう。また企業は自社と従業員にとって何が最適かを判断していく必要がある。

関連記事:リモートワークは「自宅監禁」から柔軟性のある「どこでも勤務」に変わっていくべき

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タグ:AppleGoogleFacebookSalesforceAmazonリモートワーク

画像クレジット:Susumu Yoshioka / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

グーグルが米国とアルゼンチンを結ぶ新海底ケーブル「Firmina」発表、電力供給能力で前進

Google(グーグル)は米国時間6月9日、米国東海岸とアルゼンチンのラス・トニナスを結び、さらにブラジルとウルグアイにも陸揚げされる新しい海底ケーブルの建設計画を発表した。これは南米のユーザーに、Googleのコンシューマー向けサービスやクラウドサービスへの低遅延アクセスを提供することを狙いとしている。

この地域で最も近いGoogleのデータセンター(南米では唯一のデータセンター)はチリのサンティアゴ付近にあり、GoogleのCurie(キュリー)ケーブルで米国西海岸と結ばれている。

ブラジルの奴隷制度廃止運動家で作家のMaria Firmina dos Reis(マリア・フィルミナ・ドス・レイス)氏にちなんで名づけられた「Firmina(フィルミナ)」ケーブルは、この地域におけるGoogleの既存のケーブル投資を強化するものだ。例えば、ウルグアイ政府所有のテレコムAntel UruguayとGoogleのジョイントベンチャーであるTannatケーブルはすでに同じ場所を結んでおり、Monet(モネ)ケーブルは米国とブラジル、そして同社のJunior(ジュニア)ケーブルもすでにブラジル各地を結んでいる。

画像クレジット:Google

この新しいケーブルは、Googleの既存ネットワークに容量だけでなく耐障害性も加える。具体的には、12組の光ファイバーペアで構成されるこの新しいケーブルで特筆すべき技術面の偉業は、シングルエンドの電源からケーブルに電力を供給できるというシステムだ。

Googleは次のように説明している。「海底ケーブルでは、データは光ファイバの中で光のパルスとして伝わります。その光信号を、100kmごとに各国の陸揚げ局で供給される高圧電流で増幅します。短いケーブルシステムの場合、シングルエンドからの給電の可用性は高くなりますが、最近の光ファイバーペアの数が多い長いケーブルでは、これが難しくなっていました」。それを実現するために、Firminaケーブルには、これまでのケーブルよりも20%高い電圧のケーブルが供給されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:海底ケーブルGoogle電力アメリカアルゼンチンブラジル

画像クレジット:makasana / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが「Android 12」ベータ版第2弾リリース、シャープなどが対象端末リストに追加

Google(グーグル)は米国時間6月9日、Androidの次期メジャーバージョン「Android 12」のベータ版第2弾をリリースした。2021年5月に開催されたGoogle I/O開発者会議で公開された最初のベータ版では、Googleの新しいデザインシステム「Material You」を垣間見ることができたが、約束された新機能やデザイン微調整の多くは、第1弾ベータにはまだ含まれていなかった。今回の新しいベータ版では、Googleはこれらの機能をテスターに提供する(ベータ版への登録はこちらから)。その中には、携帯電話のマイク、カメラ、位置情報を最近使用したアプリをユーザーが簡単に確認できる、新しいプライバシーダッシュボードも含まれている。

その他の新機能として、アプリがマイクやカメラを使用しているかどうかを表示するマイク・カメラインジケーターや、アプリによるこれらのアクセスを無効にするクイック設定トグルも追加された。アクセスをオフにすると、アプリは空白のオーディオとカメラフィードを受け取ることになる。これに関連してGoogleは、アプリがクリップボードの内容を読み取っているときに読者に表示するクリップボード読み取り通知もAndroidに導入する。

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また、第2弾ベータでは新たにインターネットパネルが追加され、ISPやWi-Fiネットワークなどを簡単に切り替えることができるようになった。

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今回のリリースにより、Googleは8月のプラットフォーム安定化までにあと1回のベータリリースを残すところとなった。開発者にとっては今が、互換性テストを完了し、アプリ、SDK、ライブラリの互換性を確保したバージョンをリリースするのに適した時期であると同社は指摘している。現在の毎月のリリースサイクルを考えると、Android 12の最終リリースは9月になると思われる。

これまでと同様、ベータ版を導入するには互換性のあるデバイスが必要だ。以前のいくつかのプレビューリリースとは異なり、今回のリストには多くのGoogle以外のデバイスが含まれており、例えばシャープも6月9日よりベータプログラムに参加している。対応機器の全リストと、Google以外のデバイスでベータ版を導入する方法は、こちらからご覧いただける。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

ウェブ関連技術の標準化推進団体「W3C」がブラウザー拡張機能の共通化に向け「WECG」コミュニティ立ち上げ

ウェブ関連技術の標準化推進団体「W3C」がブラウザー拡張機能の共通化に向け「WECG」コミュニティ立ち上げ

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ウェブ関連技術の標準化推進団体W3C(World Wide Web Consortium)は6月4日(現地時間)、各社ウェブブラウザの拡張機能に関して「共通のビジョンを持ち、将来の標準化に向けて活動することを目的」としたコミュニティグループ WebExtensions Community Group (WECG) の立ち上げを発表しました。

立ち上げに関わったのはApple、Google、Microsoft、Mozillaの主要ブラウザメーカーで、他のメーカーや拡張機能の開発者らの参加を呼び掛けています。

まずは、Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safari でサポートされている既存の拡張機能モデルとAPIを基盤とし、仕様を作成することから始めます。

なお、コミュニティグループでは、ブラウザ拡張機能のすべてについて標準化を行うつもりはないともしています。つまり、1つの拡張機能を作れば、すべてのブラウザで利用可能になるようなものを目指しているわけではありません。拡張機能が利用するAPIやアクセス許可などの共通コアの標準化をすすめることで、開発者が各ブラウザ向けに簡単に拡張機能をリリースできるようにするほか、安全で悪用されにくいアーキテクチャの概要を示していくとのことです。

また、各ブラウザが拡張機能プラットフォームをさらに改善するために、APIを革新しリリースし続けることを望んでいるともしています。

WebExtensionsコミュニティグループの憲章は、Githubで確認が可能となっています。

(Source: W3CEngadget日本版より転載)

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【レビュー】グーグルの99ドルワイヤレスイヤフォン「Pixel Buds A-Series」はコスト削減努力の結晶

99ドル(約1万800円)という価格を実現するために機能を絞り込んだお値打ちイヤフォン

Google(グーグル)は多くのことをうまくやっている。しかし、これまでハードウェア戦略は真の意味ではその中に入っていなかった。だがここ数年同社は、少なくともPixel(ピクセル)やNest(ネスト)といったデバイスでは、ある程度の一貫性を保とうとしてきた、しかし特に前者は、すでに競争相手に溢れた市場の中で足場を固めるのに苦労し続けてきた。

Googleは2017年に、第1世代の「Pixel Buds」(ピクセルバッズ)でワイヤレスイヤフォンの分野に参入した。この製品は、デザイン的にも機能的にも、このカテゴリーの中では斬新なものだった。にもかかわらず、最終的には失敗に終わった。しかし、その努力に対しては「A査定」を与えても良いと思う。2020年4月に発売された第2世代の製品は、前作の多くの問題点を修正し、よりストレートなアプローチを追求した。

画像クレジット:Brian Heater

米国時間6月3日に発表された「Pixel Buds A-Series」(ピクセルバッズAシリーズ)は、Googleのスマートフォンラインで成功を収めたアプローチを利用したものだ。最初のPixel Aスマートフォンが登場したのは、同社が携帯電話の販売不振をなんとかすべく対処を行っているときだった。この廉価版ラインへのアプローチは成功を収めて(Googleスマートフォンの基準では)よく売れ、苦境に立ったラインに明るいニュースをもたらすのに役立った。

再確認になるが、格安スマホと同じように、価格がものをいうのだ。ここで示された価格は99ドル(約1万800円、日本での価格は未定)だ。この価格は、新しいEcho Buds(119ドル、約1万3000円))やSamsung Galaxy Buds(110ドル、約1万2000円))よりも下で、さらにはAirPods 2(159ドル、約1万7000円)よりもはるかに安い。基本的に、中位クラスの完全ワイヤレスイヤフォンの価格設定の中では低価格帯を占めている。これよりも下位クラスではさらに競争が激しく、たとえばAnker(アンカー)のイヤフォンを40ドル(約4400円)前後で購入することができる。しかし、ブランド名から期待する相対的な基準で考えると、その価格設定はかなり大胆なものだ。

また、希望小売価格が170ドル(約1万9000円)の標準的なPixel Budsに比べても大幅に値下げされている(ただし、少し探せばずっと安く手に入れることができる)。今回のシリーズAは、標準的なPixel Budsに取って代わるものではなく、Pixel Budsを補完するものだ。このやり方は、価格帯では開きがあるもののApple(アップル)がAirPodsで行った戦略と同じだ。新しいイヤフォンが発売されたことで、多くのオンラインショップでの製品間の価格差がさらに縮まることを期待している。この記事を書いている時点では、Pixel Budsの2代目を99ドル(約1万800円)で販売しているところが少なくとも1カ所ある。

画像クレジット:Brian Heater

当然のことながら、コストを下げるためには、多少の簡易化、あるいは必要のないものを取り除くことが必要だ。最終的には、あるユーザーにとっての価値は、低価格化と引き換えに何を失っても良いかによって決まる。失われるもののうち特に大きなものは以下のようなものだ。

  • ワイヤレス充電なし
  • センサーの低価格化により、アテンションアラート(サイレン、赤ちゃんの泣き声、犬の鳴き声などが聞こえると一瞬音量が小さくなる機能)なし
  • 通話や風に対するノイズ低減機能なし
  • 限られたタップジェスチャー

それ以外の点では、シリーズAはPixel Buds 2とよく似ていて、同様の12mmダイナミックスピーカードライバーや、デザインもほぼ同じものを採用している。実際、個人的にはあまりにも似ていることに驚かされた。大きさや形なども……・ここですぐにわかる唯一の違いはカラーリングだ。そのあたりには特に問題がなかったので、Googleは修正しなかったのだ。これまでのような大胆なマットカラーはない。今回のヘッドフォンには、光沢のある2つのカラーが採用されている。クリアリーホワイトとダークオリーブだ。Googleが私に送ってきたのは前者で、AirPodsよりも少しオフホワイト(Echo Budsのカラーリングに少し近い)で、濃いグレー部と組み合わせられている。もしもっと大胆なカラーがお好みなら、オレンジ(日本未発売)またはミントグリーンを使用した従来のイヤフォンを選ぶこともできる。私はオリジナルのマットなカラーリングの方が好きなのだが、会社としては何らかの差別化を図らなければならなかったのだろう。

画像クレジット:Brian Heater

ケースは、従来のバージョンと同じ縦長の楕円デザインだ。AirPods Proと同程度の体積なので、ポケットに入れても違和感はない。USB-C充電ポートが底面にあり、前面のライトで充電状態を確認でき、同期ボタンは背面下部にある。上部の蓋を開けると、おなじみの2つのイヤフォンが現れる。

サイズと形状はPixel Budsとほぼ同じだが、うれしいことに長時間の使用でもかなり快適だ。そうした性質は、すべての競争相手に当てはまるものではない。シリコンチップはより良いフィット感を得るためにユーザーが交換可能することが可能だが、小さなシリコンイヤーチップはガッチリとはまりこんでしまう。私はそれでいいと思うが、人によって意見は異なるかもしれない。

今回のAシリーズ(まったくの余談だが、何度も資金調達ラウンドについて書いたせいでどうしても「シリーズA」と書きたくなってしまう)のサウンドは、これまでのものと同様にほどほどの仕上がりになっている。(なかなか休む時間が取れなかったような場合には)AirPods ProやSONY WF-1000XM3のような高級イヤフォンから、より高品質なサウンドを得ることができるが、日常的なリスニングや通話には、マイクの性能は多少落ちたとしても、今回のイヤフォンで十分対応できる。

画像クレジット:Brian Heater

ノイズキャンセリング機能は搭載されていない。まあ標準のPixel Budsにもこの機能は搭載されていないので、それは当然予想されることだ。ノイズキャンセリングの標準搭載がだんだん進んでいることを考えると、当然Pixel Buds 3にはこの機能が搭載され、格安モデルとの差別化が図られることだろう。

1回の充電で5時間(通話2時間30分)、ケースを使うと12時間利用できるが、これもPixel Budsと同じだ。同様にIPX4の防水性・防汗性を備えている。Bluetooth接続はかなり強力だ。通常のイヤフォンでは別の部屋に移動した際に接続が切れることがよくあるが、今回の製品ではそのようなことはなかった。

画像クレジット:Brian Heater

Android(6.0+)またはiOSデバイスにペアリングできる。当然ながら、Androidでは「Fast Pair」(ファーストプレイ)機能を使うことで便利に使うことができる。一方、Appleの携帯電話に対しては、ペアリングボタンを使用する必要がある。目玉機能の1つであるGoogleアシスタントも、Androidデバイスでしか使うことができない。これは、通知を有効にしたり、Google翻訳をリアルタイムに利用するためには、もっとも便利な手段だ。

Pixel Buds Aシリーズは、イヤフォンの世界に騒動を巻き起こすようなものではない。そのことはあまり重要ではないのだ。何よりもこの製品は、100ドル(約1万900円)以下でしっかりとした体験を提供するために、脂肪を削ぎ落としたものだ。その基準では、ほぼ成功している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Pixel Budsイヤフォンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

ドライバーレスタクシーサービスWaymoがGoogleマップで予約可能に

フェニックスの郊外で自動運転車を使って営業しているライドシェアサービスWaymo Oneを、Googleマップでアクセスしたり予約したりできるようになった。

米国時間6月3日に行われたWaymoの発表によると、最初はAndroidユーザーのみだが、完全な自動運転車のライドシェア機能をマップアプリから使えるのはこれが初めてだ。この共同事業は、2つのAlphabet傘下企業を一緒にするだけでなく、大衆的知名度や親しみやすさを上げたいという、Waymoの意欲の表れでもある。

Waymoは米国でおよそ600台を保有しているが、そのうち300から400はフェニックスにある。ただし、そのすべてがWaymo Oneの運転手不在の自動運転車として使われているわけではない。Waymo Oneのサービスは運転者のいない完全な自動運転車だけを使い、運転席に安全管理者はいない。またGoogleマップに出現したら、それが確実に完全自動運転車であることを意味している。フェニックス地域ではテストのために走っている車両もあるが、Waymo Oneのサービスで使われている自動運転車の正確な台数をWaymoは明らかにしていない。

Waymo Oneが@Googleマップにいるよ。フェニックス都市圏にいてライドシェアオプションをタップしたら#WaymoDriverが動かしている完全自動運転車を呼べるんだ。

ただしプロセスでは、少々アプリを使い分ける必要がある。Googleマップでは、Waymo Oneの車両に直接アクセスして、予約や支払いをする方法がないため、Waymoアプリに移動して予約を完了しなければならない。ユーザーはまず、Android端末からWaymoのフェニックス都市圏(チャンドラーやメサ、テンピの一部を含む)にある場所への行き方や帰り方の入力が必要だ。またユーザーは、ライドシェアまたはトランジットのタブをタップすると、Waymoでの料金と到着時刻の予想が出る。

既存のWaymo One利用者はWaymoアプリに誘導されて乗車予約ができるが、新規利用者はPlayStoreに誘導されアプリをダウンロードすることになる。

関連記事:運転手のいないWaymoの自動運転配車サービスを利用して感じたこと

カテゴリー:モビリティ
タグ:GoogleGoogleマップWaymo自動運転ロボタクシー

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版がIoT機器向けに公開、Linuxか独自カーネルを選択可能

  1. ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

中国初のオープンソース財団OpenAtom Foundationは6月1日、「OpenHarmony 2.0 Canary」(カナリア版)をリリースした。ライセンスはApache License 2.0(アパッチ・ライセンス 2.0)。Huawei(ファーウェイ)の独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソースソフトフェア(OSS)版最新バージョンにあたる。中国のソースコードホスティングサービス「Gitee」上で公開している

また6月2日、開発者向けドキュメントをまとめた「Develop devices – HUAWEI HarmonyOS Device」に関連ドキュメントも公開された。

Huaweiは、2020年9月開催の開発者向けイベント「HUAWEI DEVELOPER CONFERENCE 2020」においてOpenAtom Foundationに対してソースコードを寄贈することを発表しており、以来公開が続けられている。

新たにリリースされたOpenHarmony 2.0のライセンスは、Apache License 2.0。すべての機器がネットワーク接続された世界における、あらゆるスマートデバイスに適用可能なOSSのOSとして、IoE(Internet of Everything)を促進するとうたっている。

カーネルとしてはLinux、HarmonyOSマイクロカーネル、Huawei LiteOSを利用できるマルチカーネルデザインを採用。ターゲットとするハードウェア環境によって開発者がカーネルを選択できるようにしており、カーネル抽象化層(KAL。Kernel Abstraction Layer)を設けることで実装の違いを隠し、基本的なカーネル機能を上位層に提供するという。

Linuxについては、LTS版カーネルを基にCVEパッチやOpenHarmonyの上位層に適合させるための機能をマージさせたものを利用するという(記事執筆時点では、バージョン4.19を基にしている)。

HarmonyOSマイクロカーネルについては、記事執筆時点ではソースコードおよびドキュメントとも公開されていない。Huawei LiteOSは、記事執筆時点ではOpenHarmony LiteOS Cortex-AおよびLiteOS Cortex-Mとしてソースコードが公開済みで、ライセンスはBSDライセンス(2条項BSDライセンス)を採用。LiteOS Cortex-Aは、Arm Cortex-A7ベースSoCの中国HiSilicon Technology製Hi3518E V300またはHi3516D V300搭載ボードをサポートしている。LiteOS Cortex-MをCortex-M3(STM32F103)/M4(STM32F429IG)/M7(STM32F767ZI)、RISC-Vに対応しているという。

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

OpenHarmony LiteOS Cortex-Aのアーキテクチャ

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

LiteOS Cortex-Mのアーキテクチャ

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IoT(用語)Android(製品・サービス)OS / オペレーティングシステム(用語)OpenAtom Foundation(組織)オープンソース / Open Source(用語)OpenHarmony(製品・サービス)Gitee(企業・サービス)GitHub(企業)Google / グーグル(企業)HarmonyOS(製品・サービス)Fuchsia(製品・サービス)

グーグルがGoogleマップのトップに経験豊富なSiriusXMの元CPO / CTOを招く

ほぼ1年前、Googleは指導部の一新を図った。それにより2012年に同社に参加したPrabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏が、検索とGoogleアシスタント、Googleマップを統轄することになった。同社の雇用に詳しい筋によると、今度はこれまでインターネットラジオSiriusXMのプロダクトと技術の最高責任者だったChristopher Phillips(クリストファー・フィリップス)氏がGoogleのジオ(地理)関連のチームを率いることになり、GoogleマップとGoogle Earth、Google Maps Platform、およびこれらのプロダクトを中心とする同社のエンタープライズビジネスを統轄することになった。Googleは彼の雇用を認めたが、それ以上の情報はない。フィリップス氏は2021年6月中に正式に同社に加わる。

画像クレジット:Christopher Phillips/LinkedIn

フィリップス氏がSiriusXMに入ったのは、同社が2020年、音楽サービスPandoraを買収した後だ。それまで彼はPandoraのCPOとテクノロジーのトップを6年務め、その前の2012年から2014年まではAmazon Musicのプロダクトと設計部門を指揮し、さらにその前はWorkspeedとIntuitの役員職だった。

Googleにおける新しい役割としてフィリップス氏は、地理チームのプロダクトとエンジニアリングの両方を率い、直接の上司はプラバカール・ラガヴァン氏になるだろう。後者は検索とアシスタントとGeo、コマース、そして広告部門の指揮を続ける。2020年の指導部一新では、Jen Fitzpatrick(ジェン・フィッツパトリック)氏がGeoチームに関して同様の役を演じた。

Search Engine Landによると、フィッツパトリック氏がGeoチームを去った後はDane Glasgow(デーン・グラスゴー)氏とLiz Reid(リズ・リード)氏がチームのトップを務めた。グラスゴー氏はその後Googleを辞め、現在はFacebookにいる。またリード氏は最近、新たな役割としてGoogleの検索体験部門を率いることになった。これらにより、Geoのトップは空席となり、それを今回フィリップス氏が引き継ぐことになる。

フィリップス氏には地理方面のプロダクトを実際に作った経験はないと思われるが、プロダクト指向のエンジニアリングチームを率いた豊富な体験をGoogleに持ち込むだろう。Googleマップは最近、いくつかの重要なアップデート発表したばかりであり、フィリップス氏の雇用は、Googleマップが同社のプロダクト群における重要性をさらに増した時期に行われたことになる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogleマップ人事

画像クレジット:Sundry Photography/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google生まれの次世代通信プロトコル「QUIC」をインターネット技術の標準化団体IETFがRFC 9000として承認

Google生まれの次世代通信プロトコル「QUIC」をインターネット技術の標準化団体IETFがRFC 9000として承認

JOSH EDELSON/AFP via Getty Images

インターネット技術の標準化を推進する任意団体IETFは、Web向けプロトコル(コンピューター間でデータをやり取りする規格)であるQUICを標準として承認したと発表しました(RFC 9000)。ネット通信がより高速になることや、いっそうセキュリティが強化されることが期待されています。

QUICはTCPやTLSなどの機能を組み合わせたプロトコルであり、インターネット黎明期から使われているTCPに取って代わる可能性さえあるものです。生まれた経緯としては、やはりコネクションレス型プロトコルであるUDPのほうがTCPより高速ではあるものの、信頼性を確保できないため拡張機能を追加したというぐあいです。

もともとQUICはGoogleが開発し、2013年に発表したもの。同年6月に実験的なChromeアドオンとして初めて導入して以降、しだいに成熟していき、2020年時点ではGoogleのトラフィックの3分の1以上を占めるにいたっています

その一方でGoogleは標準化のためにIETFにドラフトを提出し、2016年にはIETF QUICワーキンググループが設置。そこからGoogle QUICとIETF QUICという似て非なる2つのプロトコルが存在することになりましたが、Google側はIETF側の変更も取り込んできました。とはいえ完全に同じものではないため、GoogleがIETF QUICへの移行を進める予定とされています。

QUICを採用するメリットは、Webサイトの表示が迅速かつセキュアになる、ビデオチャットがスムーズになる(すでにGoogle Duoに採用)といったところです。全般的にネット体験の改良が期待できるわけです。

しかし、QUICが広く採用されるかどうかは技術の優位性とは別の問題です。1974年から世界標準となっているTCPに対応した機器は全世界に無数にあり、QUICに移行させるのは困難であるとともに、そのコストを上回るだけのメリットを認める企業も限られているはず。QUICはGoogleのように速度アップの恩恵を受ける会社やサービスの間で徐々に広がる一方で、TCPは当分残り続けることになりそうです。

(Source: RFC Editor。Via CNETEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:IETF / Internet Engineering Task Force(組織)HTTP/3(用語)QUIC(用語)Google / グーグル(企業)

グーグルがAndroidユーザーの位置情報取得に関しアリゾナで訴訟、設定項目を見つけにくくしたと報じられる

グーグルがAndroidユーザーの位置情報取得に関しアリゾナで訴訟、設定項目を見つけにくくしたと報じられる

Alex Tai/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

GoogleがAndroidユーザーの位置情報を違法に追跡ししようとしたとして、アリゾナ州がGoogleに対して起こした訴訟では、ユーザーが位置情報の追跡を完全に無効にするための手順をGoogleが意図的に複雑にしたため、オプトアウトしたつもりでもGoogleが情報を得られるようにしていたことが非難されています。

そして、新たにInsiderが報じたこの訴訟に関する開示文書によると、Googleは位置情報などの設定項目をユーザーにわかりやすく配置したAndroidをテストしたものの、多くのユーザーが位置情報の共有をオフしてしまうことがわかり、Googleはこれを「問題」と考えたとのこと。そして意図的に設定項目を設定メニューの奥深くに配置し、操作に不慣れなユーザーが到達できないようにしたとされます。

また、Googleはユーザーの位置情報収集のために多様な手段を講じており、たとえばWi-Fiや位置情報を使用する第三者のアプリについても、それを使うならば情報をGoogleに共有しなければならないようにし、場合によってはスマートフォンをWi-Fiに接続することさえ求めたとのこと。

さらに、アリゾナ州の弁護士によると、GoogleはLGなどの携帯電話メーカーに対し位置情報の設定がわかりやすすぎるとして、かんたんに目に触れない場所へ埋め込むよう「周到に圧力をかけた」とされます。

Andorid 12ではユーザーのプライバシー設定に改善が加えられ、「プライバシーダッシュボード」の設置や「位置情報サービスの精度」設定をユーザーが行えるようになりました。とはいえ、訴訟の主張が認められるならば、GoogleにはAndroidユーザーの意向に関係なくデータを収集する意図があったと考えられ、Googleには厳しい法廷闘争になるかもしれません。

(Source: InsiderEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Android(製品・サービス)位置情報(用語)Google / グーグル(企業)訴訟 / 裁判(用語)プライバシー(用語)

フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、LinkedIn(リンクドイン)、そしてTiger Globalが出資しているインドのスタートアップShareChat(シェアチャット)やKoo(クー)はいずれも同国の新しいIT規則を全面的あるいは部分的に受け入れ、順守している。この件に詳しい情報筋、そしてTechCrunchが入手した政府のメモで明らかになった。

2021年2月に発表されたインドの新しいIT規則では、懸念を解決すべく企業に法令順守、判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命して連絡先を共有することを求めている。

関連記事:インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

上記の企業はこの要件を満たしたと政府のメモにはあり、情報筋もそのように述べた。企業は今週までに新ルールを順守するよう求められていた。

Twitter(ツイッター)はまだこのルールに従っていない。「Twitterは担当者ならびに苦情処理責任者としてインドの法律事務所で働いている弁護士の詳細を昨夜遅くに連絡してきた」とインド政府のメモにはあり、ルールではそうした担当者は直接雇用している従業員でなければならない、とも書かれている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっている。今週、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類したことについて調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員に関する懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

WhatsApp(ワッツアップ)は新規則に則っているが、トレーサビリティについての要件は満たしていないと情報筋はTechCrunchに語った。WhatsAppは今週初め、メッセージの発信者を追跡する方法の確保を求めている要件について、インド政府を相手取って訴訟を起こしている。このルールを満たすようにするにはあらゆるユーザーのプライバシーを危険にさらすことになるとWhatsAppは指摘した。

iMessageを展開しているApple(アップル)、そしてSignal(シグナル)がこのルールに従っているか、現時点では不明だ。

TechCrunchが真っ先に報じたように、インドの電子情報技術省は現地時間5月26日、ソーシャルメディア企業にコンプライアンス状況をアップデートするよう求めた

関連記事:インド政府がWhatsAppの新規制撤回を求める訴訟は「反抗行為」「無謀」と批判

FacebookやGoogleを含む一部のテック大企業にとってインドは鍵を握る海外マーケットだ。前述の2社はユーザー数においてインドを最大のマーケットだと認識している。隣国パキスタンは2020年、インドと同様のルールを提案したが、テック大手が結束してパキスタンから撤退すると脅したのち、パキスタンはルールを撤回することとなった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドSNSGoogleFacebookTelegramLinkedInWhatsAppTwitterShareChat

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

Twitter(ツイッター)は、同社インド支社への警察による訪問を、一種の威嚇であると指摘し、インド政府が制定した新ITルールの要求に懸念を表明した。

現地時間5月24日にインド警察の特別取締隊が同社オフィスに抜き打ち操作を行って以来初めての発言でTwitterは「インド国内の当社従業員に関する最近の出来事、および当社がサービスを提供している人たちの言論の自由に対する潜在的脅威を懸念していると語った。

関連記事:インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問

さらに同社は「当社の世界共通の利用規約の執行に対する警察による威嚇戦術の利用、およびインド政府の新ITルールの重要項目に関して懸念を示している」インド国内および世界中の数多くの組織に同調する、と述べた。

Twitterの広報担当者は次のように付け加えた。「私たちは、自由で開かれた公開の場の会話を禁止するこれらの規制項目の変更を要求します。今後もインド政府と建設的話し合いを続けるつもりであり、協力した取り組みが不可欠だと信じています。国民の利益を守ることは、公選された議員、業界、および市民社会の共同責任です」。

米国のテック巨人Twitter、Facebook(フェイスブック)とインド政府の間の緊張は、ここ数カ月高まり続けている。Twitterは、インド政府の改革とNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相を批判したアカウントのブロックを拒否した後、政治家たちから非難を浴びた。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

インドは米国テック企業にとって最大市場の1つであり、この10年間に何十億ドル(何千億円)という資金を注ぎ込んで、より多くの人たちをウェブとつないできた。インド政府の推計によると、Twitterはインドに1億7500万人のユーザーを有し、WhatsApp(ワッツアップ)には5億3000万人以上のユーザーがいる。

5月26日にWhatsAppが、デリー市の法廷で新しいITルールについてインド政府を訴えて以来、緊張はいっそう高まった。同社は、新ルールはユーザーのプライバシーを侵害し、インド政府に大量監視を実施する力を与えると指摘した。

インド政府は新ITルールを2月に発表し、企業が遵守するまでに3カ月間の猶予を与えた。今週その期限が切れ、TechCrunchが最初に報じたように、電子情報技術省は26日にソーシャルメディア企業に対して遵守状況を報告するよう依頼した

関連記事:インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

Twitterは27日、新ITルールが要求しているコンプライアンス責任者のプラットフォーム上のコンテンツに対する刑事責任、事前の監視、およびユーザー情報の要求に関する無制限の権利は、危険な過剰範囲拡大であり、オープンで民主的な原則と相容れない、と発言した。

さらに同社はインド政府に対し、新ITルール遵守期限の最低3カ月間の延長、および公開協議プロセスの標準運用手続きの公表を要求した。

Twitterは、最近インド政府から別の不遵守通知を受け、通知に特定されていたコンテンツの一部を公開停止したと語った。特定されたコンテンツは、2021年2月のブロック命令に書かれていたものだとTwitterは言った。

最近同社は、不遵守通知に従ってコンテンツを非公開にせざるを得ない状況であると語った。従わない場合、Twitter従業員に多大なリスクがかかる刑事罰が課される、と同社は言った。

5月27日、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社は新ITルールの遵守を誓約していると語った。「今は始まったばかりで、当社の現地チームは非常に忙しい。ご存知の通り私たちは現地法を守っており、同じ枠組みに沿ったアプローチをとっていきます」とピチャイ氏はいう。

「私たちは情報の重要性を全員に説明し、情報の自由な流通を推進していますが、民主主義国家の立法プロセスを尊重したいと考えています。ルールの遵守を誓約します」と彼は話し、同社が応じた要求はすべて、透明性レポートで報告することを付け加えた。

Twitterの声明に対するインド政府の反応。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が、第1世代のNest Hub向けに配信が開始されました。9to5GoogleがGoogleに確認したとして伝えており、まずはプレビュープログラムを対象にリリースされ、今後数か月で広く展開予定とのことです。

2016年にその存在が明らかになったFucshiaは、あまり公に語られることもなく、どういった立ち位置のOSなのかも不明なままでした。しかし、2020年には開発者サイトがオープンし、プロジェクトが一般公開されたほか、5月初めには、Bluetooth SIGでFucshia 1.0を搭載するGoogle Home Hub(第1世代のNest Hub)が見つかるなど、正式リリースも近いのではと考えられていました。

Fuchsiaの特徴は、LinuxベースのAndroidとは異なり、独自のマイクロカーネルZircon(以前はMagentaと呼ばれていました)を採用していること。Googleは公式ブログの中で、汎用のオープンソースOSを作成するための長期プロジェクトだと説明されていました。

肝心のNest Hubのアップデートですが、見た目や機能に変化はなく、アップデートに気づかない可能性も指摘されています。というのも、Nest Hub自身はCast OSで動作していますが、その上でオープンソースのアプリ開発プラットフォームFultterが動作しています。Fultterはクロスプラットフォームを特徴としており、Fuchsiaもサポート済み。このため、ベースとなるOSが変わっても、見た目や動作に影響はないというわけです。

今後、他の機種へのアップデートも行われると考えられますが、最終的にAndroidやChrome OSを置き換えるものになるのか、あくまでもスマート機器向けに留まるのか、注目しておきたいところです。

(Source:9to5GoogleEngadget日本版より転載)

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インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

インド政府はソーシャルメディア企業に対し、新しいITルールに従っているかどうかを「早急に」「できれば今日中に」報告するよう求めている。しかし、現在この新たな規則に対してWhatsApp(ワッツアップ)が異議を唱えている

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現地時間5月26日に「主要ソーシャルメディア仲介者」(インド政府が、インド国内に500万人以上の登録ユーザーをもつソーシャルメディアをこう定義している)宛に発信されたレターで電子情報技術省は、新ITルールの対象となるアプリ、ウェブサイト、あるいはサービスの名称および遵守状況を報告するよう企業に求めた。

TechCrunchが入手したレターによると、政府はさらに、規則に沿って各社が任命したインド国内の最高コンプライアンス責任者、ユーザー対応責任者、および常駐苦情処理責任者の氏名と現地オフィスの所在地も要求している。2021年2月に公表された新ルールは、問題に迅速に対応するためにインド国内に何人かの責任者を配置することを企業に義務付けている。

レターは、インド政府がソーシャルメディア企業に対して、5月26日の新ルール遵守期限の延長を認めるつもりがないことも示唆している。「SSMI(主要ソーシャルメディア提供者)に要求されている報告義務は、SSMIに与えられた3カ月の追加期間が終了する本日をもって発効する」と書かれている。インド政府はこの新ルールを公開した直後に、3カ月以内に遵守するよう対象企業に通知している。

「自社がSSMIに該当しないと考えられる場合は、その理由を貴社が提供する各サービスの登録ユーザー数とともに提出されたい」。「政府は、この規則およびIT法で許されている範囲で、追加情報を要求する権利を有している」とレターは続く。

5月26日、WhatsAppはインド政府を訴え、当局が人々のプライベートなメッセージを「追跡可能」にし大規模監視を実施することを許すこの世界第2のインターネット市場の新ルールに異議を申し立てた。

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Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

この3カ月間、米国テクノロジー巨人とインド政府との間で緊張が高まっている。2021年2月、Twitter(ツイッター)はインド政府とナレンドラ・モディ首相を批判したアカウントのブロックを拒否した。

2021年4月、インド政府はFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、およびTwitterに対し、モディ首相の新型コロナウイルスパンデミック対応を批判する投稿を削除するよう命令した。先週には、Twitterによる同国政治家のツイートに対する「操作メディア」判定に異議を唱えた。そして今週、インド警察は複数のTwitterインド支社を訪れ、政治家のツイートを誤解を招くと分類した根拠について情報を求めた。

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「Facebook、Twitter、Instagram、WhatsApp、およびGoogleのような大型テック企業は、しばしばひどいポリシーを作り数百万のインド国民に害を与える決断を下しています。我々インターネット自由財団(IFF)全員は、他の公共機関とともに、問題解決を助けるユーザーの権利を重視した規則を一貫して支持します、とニューデリー拠点のデジタル権利団体であるIFFが声明で語った

「この仲介者規則は、こうした未解決の問題を解決するものではなく、手続き的、実質的に重要な法的欠陥に悩まされ、最終的に私たちの権利やインターネットをこれほどすばらしく胸踊らせるものにしているイノベーションに害を及ぼすことになると私たちは確信しています。今こそ私たちは、先人の歩んだ道とインド憲法の価値をこれまで以上に追求しなければなりません」。

カテゴリー:ネットサービス
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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

半導体不足で新品入手が困難となる中アップルやマイクロソフトが「修理する権利」法案成立の阻止に尽力

半導体不足で新品入手が困難となる中アップルやマイクロソフトが「修理する権利」法案成立の阻止に尽力

Phone-Service-Centre via Getty Images

米国では「修理する権利」つまりユーザーが自ら選んだ方法で(主に製造メーカー非公認の修理業者に持ち込むことで)購入した製品を修理する権利に関する法案が次々と提出されています。具体的には製造メーカーに純正の修理部品や回路図を独立系の修理業者に提供することを義務づける内容です。

こと新型コロナ感染拡大によるリモートワークや自宅学習が広まったもと、タブレットやChromebookなどの需要が増えており、壊れたデバイスをメーカー修理に送ると時間や費用がかかることや、半導体不足が悪化の一途をたどり新品の入手が困難となっているため、いっそう機運が高まっている事情もあります。

しかしアップルやマイクロソフト、アマゾンやGoogleといったハイテク大手が、それらの法案成立を阻止するために数々の努力をしていることが報じられています。

米Bloombergによると、2021年だけで全米27の州にて「修理の権利」法案が検討されたものの、そのうちの半分以上はすでに否決されたり、却下されたとのことです。それはハイテク大手を代表するロビイストや業界団体が猛反発しており、特にアップルはこうした法律がデバイスの損傷や、修理しようとする消費者の自傷行為につながる可能性があると主張していると伝えられています。

例えばワシントン州の下院議員ミア・グレガーソン氏も「修理する権利」法案を提出したところ、MS、Google、アマゾン、そしてアップルを代表するロビイストに反対されたと述べています。なかでもアップルのロビイストは法案が取り下げられれば、地元の大学での修理プログラム(授業)を支持すると持ちかけたそうです。

ほかアップルはコロラド州やネバダ州でも法案に反対しており、独立系修理業者のひとりは学校で需要が高いiPad(その地域で1万3000台以上が流通し、うち10~15%が修理が必要のため)のスクリーンを調達するのに苦労しているとのこと。その人物はアップルが新しいデバイスを買ってもらうために修理プログラムに反対していると主張しています。

アップルは「修復する権利」法案と戦う一方で、日本を含む世界各地で独立系修理業者の認定プログラムを展開しています。これは非正規業者にも純正部品や工具、修理マニュアル、診断方法を提供し、アップル直営店や正規サービスプロバイダと同等の品質を受けられるようにすることが目的とされています。

このプログラムは無償で提供されていますが、やはり独立系業者はiPadのディスプレイなど一部の部品は入手できないため、アップルと正規サービスプロバイダが修理する上で唯一の選択肢となっているわけです。

ほかBloombergの記事はMSのブラッド・スミス社長がワシントン州の議員らを集めた会議を仕切って、「修理する権利」法案が自社の知的財産権を脅かすもので「存亡の危機」だと主張したこと。そうした会社そのものが関わるMSと違い、アップルは雇ったロビイストや業界団体に反対運動を任せているなど興味深い事実も伝えられています。

ある議員が発した「なぜ自分のXboxのファンが壊れたとき、ゲーム機をMSに返送し、修理のために何週間も待たなければならないのか」という疑問は、多くのゲーマーが頷けるところかもしれません。

(Source:BloombergEngadget日本版より転載)

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グーグルが今夏ニューヨークに店舗を開設、ハードウェア販売に本腰

Google(グーグル)はここしばらく店舗を模索してきた。マンハッタン・ソーホー地区のポップアップ店舗をTechCrunchが紹介したのは4年以上前のことだ。しかし同社のブランドを冠した小売店舗はかなり限られてきた。同社がまずソフトウェアの会社であることを考えると、驚くことではない。

しかし今夏、同社は増えつつある小売店舗を展開する他のテック企業の仲間に加わる。初のGoogle Storeがニューヨークのチェルシー地区にある元ポート・オーソリティの建物にオープンする。このビルには同社のNYオフィスも入っている。

店舗開設はAppleやSamsungに続くものだ。2社とも近くに店舗を持っている(Amazonは本屋を展開しているが、それは少しアップタウンの方のエンパイア・ステート・ビル近くにある)。

競合するかのように、店舗はGoogleのハードウェア製品を中心に据える。つまり、PixelスマホやさまざまなNestデバイスなどだ。Googleの製品の提供はAppleやSamsungなどに比べるとまだかなり限定されているが、直近のFitbit買収完了は明るく照らされた商品棚にバラエティに富んだ商品を陳列するのに役立つはずだ。

初の小売店舗をオープンするのに、2021年は特に奇妙な年だ。Googleがチェルシーにかなりの面積の小売スペースをもってしばらく経つが、新型コロナウイルスが2020年店舗をオープンさせるという計画をほぼ台無しにした。しかしニューヨーク市は巨大な人口にかなりのスピードでワクチン接種を進めていて、2021年5月初めの時点で成人の41%が接種を完了した。

それでもGoogleは安全を優先している。ブログには以下のようにある。

Google Storeではマスク、手指消毒、そしてソーシャルディスタンシングが求められ、1日に数回全スペースを清掃します。顧客がショッピングの間、安全だと感じられるよう、入店できるゲストの数は制限されます。手軽なピックアップオプションも利用可能です。必要に応じて健康と安全に関する手順を展開するため、引き続き市や州、国の当局のガイダンスを遵守します。

店舗設置は、同社にとってよりハードウェア推進という大きな取り組みの一部のように聞こえる。ハードウェアは同社が遅れを取っている分野であり、特にモバイル部門においてはそうだ。Googleは初の店舗について「当社のハードウェア・ジャーニーにおける重要な次なるステップ」と表現している。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle I/O 2021店舗PixelGoogle Nestニューヨーク

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleマップに間もなく新機能、急ブレーキを避ける経路案内や地域ごとの混雑度表示など

Google(グーグル)は、そのプラットフォームにAIを活用した100以上の改良を年末までに行うという大きな目標の一環として、Google マップに導入が予定されているいくつかのアップデートを明らかにした。米国時間5月18日に開催された開発者会議「Google I/O」で発表された新機能は、経路検索の改善、ライブビューの強化、高精細ストリートマップの拡大、混雑エリアの可視化、よりパーソナライズされたマップ体験などだ。

新たに改善された経路検索では、機械学習とナビゲーション情報を利用して、なるべく急ブレーキを踏まなければならない状況が少なくなりそうな経路を案内するようになる。急に交通の流れが遅くなる可能性のある場所は避けるように考慮されるというわけだ。

現在、Googleはマップで経路案内をする際に、道路の車線数や曲がる箇所の回数など、様々な要素に基づいて複数のルートを算出している。今回のアップデートでは、「急ブレーキを踏む」可能性が最も低いルートがそれらに加わる。Googleによると、他の経路と比べて到着予定時間が同じか、あまり差がない場合、急ブレーキを踏む可能性が最も少ないルートを推奨するようになるという。この変更により、Google マップを利用して走行する経路では、急ブレーキを踏む回数が年間1億回も減ると同社は見込んでいる。

2019年に導入されたGoogleマップの拡張現実機能「ライブビュー」は、間もなくマップのボタンから直接利用できるようになり、即座に近隣の情報を調べたり、近くのショップやレストランの混雑状況や最近のレビュー、写真などの詳細情報を確認できるようになる。また、複雑な交差点には道路標識が表示されるようにアップデートされ、旅先では滞在しているホテル等の場所と自分の位置関係を教えてくれるので、慣れない土地でも帰り道がわかりやすくなる。

関連記事:Googleマップが歩行者のためのナビ「Live View」を拡張現実で実装

画像クレジット:Google

Googleは2020年に、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンで初めて提供したより詳細な地図を、他の都市にも拡大していく。これらの地図はより精細で、自然の特徴が色分けで示され、歩道や横断歩道、歩行者用の安全地帯などの有無や位置まで表示される。これらの情報は、街を徒歩や自転車、あるいは車椅子などで移動する人にとって特に有用だ。

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2021年末までには、ベルリン、サンパウロ、シアトル、シンガポールなど、さらに50の都市でこの詳細な地図が利用できるようになる予定だ。

画像クレジット:Google

もう1つの新機能は、既にGoogleがマップの店舗情報で提供している、ユーザーから収集された匿名化された位置情報に基づく「混雑状況」の表示を拡張するものだ。新型コロナウイルス流行時には、この機能が、健康と安全のために店舗内での混雑を避ける有効な手段となった。今回のアップデートで、Google マップは街の一部や地域について、相対的な「混雑度」情報が表示されるようになる。これによって、ストリートフェスティバルやファーマーズマーケット、ナイトスポットなどの混雑している場所を避ける(あるいは見つける)のに役立つ。

さらにGoogle マップは、新たな方法で個人に合わせたインターフェイスのカスタマイズを開始する。

まず、ユーザーの現在の時間帯に応じて適切な情報が表示されるようになる。

例えば、平日の午前8時にマップを開くとコーヒーショップが目立つように表示されるが、夜になるとディナースポットが多く表示されるといった具合だ。郊外に出かけている時には、これらの店舗に代わってランドマークや観光地が表示されるようになる。同じ種類の場所をもっと探したいと思ったら、どれか1つをタップすれば、近くにあるそれと同じ種類の場所を見ることができる。

画像クレジット:Google

Googleによると、これらの新機能は今後数カ月のうちにiOSとAndroidでグローバルに展開する予定だというが、各機能の正確な導入時期については言及していない。ただし、より詳細な地図は年末までに提供されるとのことだから、他のアップデートよりも少々遅くなるのかもしれない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)