APIをプラットフォーム化せよ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

みなさんこんにちは!この記事が読まれるころは、私は晴天のニューオリンズを後にし、北東部のいつもの場所に戻っているだろう。そうそう、これから1週間の文章は天気の関係で憂鬱なものになりそうだ。それはともかく、今日は2つの話題があるので、早速始めよう!

APIがプラットフォームへ進化するとき

先のThe Exchangeでは、Shippo(シッポー)の創業者でCEOのLaura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏に、Shopifyとの提携発表ついて話を聞いた。

Shippoは、販売店に対してSaaSを使った出荷サービスを提供している。出荷を一括して行うことで出荷料金も安くなる。2021年には、5億ドル(約595億9000万円)弱の評価額で4500万ドル(約53億6000万円)を調達している(なお、2019年に3000万ドル[約35億8000万円]を調達した当時、ベーレンス・ウー氏は、自社の粗利率はSaaS並みだと述べていた)。

同社は急速に成長し、2020年に出荷量を倍増させ (収益の増加も緩やかにそれを追っていた)、規模も倍増させた。

前回Shippoをチェックしたのは2021年初頭だが、当時その成長を維持するためのきちんとしたプランが控えていた(強調は筆者による)。

資本金も増えて、Shippoは次にどうするのだろうか?CEOによると、スタートアップはプラットフォーム化(Shippoが組み込まれるマーケットプレイスなど)や海外展開(Shippoは国際配送を「少し」しかしていないという)への投資を強化し、自社のコア顧客基盤と考えているものへの投資を倍増させたいと考えている。

ベーレンス・ウー氏は、プラットフォームとマーケットプレイスの両方にとって、配送を提供することは今や常識であって、個々の売り手は、デジタルストアが提供されるなら、支払いサポートとともに配送のオプションも与えられることも期待するという。Shippoは、各プラットフォームに組み込まれる発送ツールになりたいと考えている。

CEOによると、約18カ月前にマーケットプレイス側から興味が示されたことで、彼女のチームはShippoのサービスを各社のマーケットプレイスに組み込めるようにするためのAPIを作ることに取り組んだ。

ベーレンス・ウー氏によれば、この取引にはレベニューシェアが含まれるが、Shopify(ショッピファイ)やその他の潜在的なパートナーから膨大な収益を得ることで、Shippoにとって良い結果に結びつく可能性があるという。なぜなら、そのサービスは量をこなすほど良くなるからだ。多くの荷物の輸送をてがけるほど、世界中の運送会社との間でより良い取引ができるようになる。そして今回、その取引総量を劇的に拡大する方法を手に入れて、おそらくeコマース出荷の世界からより多くの金銭的価値を引き出す能力を身につけることができた。

数カ月後に様子を見る必要があるが、すべてが強気であるように感じられる。

ベーレンス・ウー氏は、APIを利用するスタートアップの成長に関する私たちのレポートに注目し、連絡を取ってきたのだ。そして今、同社は全体の成長軌道のカギを握っているAPI を手に入れた。私たちの信じる命題は、SaaSはすばらしいが、将来性があるのはAPIビジネスモデルだというものだ。

インシュアテックはまだ死んでいない!

年老いた馬に鞭打つわけではないが、インシュアテックはここ数年、浮き沈みが激しかった。ネオインシュアランススタートアップの巨額の資金調達から、インシュアテックマーケットプレイスの巨額の資金調達に至るまでまで、デビュー後に価値を維持できないIPOが相次いでいる。これは大変なことだ。

だがしかし、The Exchangeは2022年に入って、この業界で最も有名な企業たちについての否定的なニュースが相次いだにもかかわらず、2021年は実際にはインシュアテック向けベンチャーキャピタルの活動は活発だったと書いた。そもそも2020年初頭には「なぜVCが保険マーケットプレイスに資金を投下するのか」を解明しようとしたほど、かつて事態は熱を帯びていたのだ。

まあ、VCは今でも続けているのだが。先週、Policygenius(ポリシージーニアス)は1億2500万ドル(約149億円円)のラウンドを終了したと発表した。同社のソフトウェアは、基本的に消費者がオンラインでさまざまな保険商品を探し、購入することを可能にする。保険市場の規模を考えれば、顧客に適切な商品を提供することは大きなビジネスだ。言ってみれば、Credit Karma(個人ファイナンス管理ソフト)がいかに役に立ったかに少し似ている。

参考までに、Policygeniusの競合であるThe Zebra(ザ・ゼブラ)は、2021年4月に1億5千万ドル(約178億8000万円)を調達しているので、Policygeniusのラウンドはまったくの驚きではない。このニュースは、公開市場のニュースがスタートアップを加速させることはあっても、消滅させることはできないという事実を浮き彫りにしている。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

ウクライナ出身のVC、故郷の難民のために支援金を募って送金

「今まであなたが会った中で最も幸運な人の1人だ」とニューヨークのオフィスで語るのはAlex Iskold(アレックス・イスコルド)氏だ。イスコルド氏はベンチャー企業2048 Venturesの共同創業者でマネージングパートナー。それ以前は、ニューヨーク市のプログラムのマネージングディレクターとしてTechstarsに5年間勤務し、100社以上のスタートアップに投資や支援を行った。

また、イスコルド氏は膨大な人脈を培ってきた。その人脈を2年ぶりに活用する。活用するのは今回が2回目で、1回目はパンデミック時に仲間のVCであるMinda Brusse(ミンダ・ブリュッス)氏とともに友人や知人に呼びかけて困っている家族に資金を提供した。ニューヨークタイムズ紙が表現したように、一種のヒューマンブロックチェーンを形成した。イスコルド氏によると、この活動は最終的におよそ1000世帯に300万ドル(約3億5000万円)を届けたという。

そして今、同氏は「1K Project」と名付けたこの活動を復活させ、国外に逃れたウクライナ難民、そしてウクライナ国内に取り残され、突然職を失い、もはや家と呼べる場所もない家族に必要な支援を提供しようとしている。

「1K Projectを再開することになるとは思ってもいませんでした。しかしロシアのウクライナ侵攻が何を意味するのかを理解するやいなや、電話をかけ始めました」と同氏はいう。

1カ月前には想像もつかなかったのに、すでに200万人超が避難し、1000億ドル(約11兆7000億円)超の被害が出ているこの戦争に、多くの人と同様、イスコルド氏も恐怖を感じている。しかし、それは個人的なことでもある。同氏はウクライナ人だ。人生の最初の19年間をウクライナで過ごし、今でも多くのいとこや友人、知人がウクライナにいる。実際、3番目のいとことその家族は、ロシア軍がウクライナに侵攻してすぐに出国した。その一方で、その他の人はウクライナ国内にとどまっている。というのも、家族の中に出国が禁じられている18〜60歳の息子や夫がいるためだ。

イスコルド氏のネットワークは、サポートの呼びかけにすばやく反応した。11日前、ウクライナの人々に支援金を届けるために1K Projectを復活させるとツイートして以来、開発者からデータアナリストまで30人のボランティアによるネットワークが活動を開始し、スポンサーと支援を受ける側が連絡を取り合うまでの道のりをスムーズにするために動き出した。

「私たちが構築した最も強力なものは、スポンサーと家族の迅速な申請を可能にする分散型ネットワークです。関心のある人は応募用紙を私たちのサイトで見つけることができます。スポンサーには軽い審査、支援を受ける家族の側にはより厳しい審査があります。しかし、スポンサーと家族が承認されると、両者はマッチングされ、スポンサーは(唯一の送金サービスである)Wise.comを通じて家族に資金を提供する方法をテキストまたは電子メールで指示されます」とイスコルド氏は説明する。

1000ドル(約11万7000円)単位の寄付は、税金の控除対象ではない。もっと多額の寄付をして税控除を受けたい人のために、財政スポンサーとして「OpenCollective.com」という団体を利用しているとイスコルド氏は説明した(例えば5世帯以上に寄付する場合、1K ProjectはOpenCollectiveへの寄付の方法を案内する。そしてOpenCollectiveを通じて1K Projectが各世帯に寄付を配分する)。

より多くのボランティア、そして寄付者が必要だ。1K Projectは「3人以上の子どもを持つ家庭を支援することに重点を置いている」とイスコルド氏は説明する。ここには紛争地域にいる女性、子どもを連れて避難している女性も含まれ、すでに対応しきれないほどの需要がある。「私たちにはランキングアルゴリズムがあり、間もなく1200世帯に資金を提供する予定です」と同氏はいう。「しかし、1万2000もの応募があり、全員に資金を提供することはできません。十分な資金がないのです」。

資金がどのように使われているかについては「実に多くの使用例があります」とイスコルド氏は話す。同氏はウクライナの銀行システムが完全な混乱の中でも機能し続けていることを評価している。

資金を使ってより安全な地域に移住した家族もいれば、すでにウクライナ国外にいて、子どものための食料を購入するのにこの資金を使う家族もいる、と同氏は説明する。

どのケースも家族は非常に困難な状況にあるという。「ある日はソファに座っていたのに、翌日には爆撃で家が完全に吹き飛ばされ、住むところもなく、Tシャツ1枚でそこから脱出する方法を考えなければならない、というような家族の話をたくさん聞いてきました」。

そうした話はイスコルド氏を苦しめる。「お礼のメッセージをもらって、いつも泣いているんです」。さらに悪いことに、同氏の広範にわたる熱心なネットワークにできることは限られていることを同氏は知っている。「軍用の弾薬や医療品など、私たちが支援できない問題が山積しているのです」。

そんな中、同氏は自身が知っている人のことを心配している。特に、彼らが追跡困難な状態に陥るときは心配だ。「(スマートフォンに)緑の点が表示されるときとされないときがありますよね?」。

その一方で、イスコルド氏は自分にできることを行い、少しずつ前進しているようだ。1K Projectを新たに立ち上げてから、人々は100万ドル(約1億1700万円)を800超の世帯に寄付した。すべてを一瞬で置き去りにした「難民にとって非常に役立つ」サポートだ。

しかし、そのニーズはさらに膨らみそうだ。「ウクライナ国内で避難生活を送る家族が運良く難民センターに入れた場合、多くのものが提供されます。難民センターに入れない家族は、食べ物や助けが必要なのです」とイスコルド氏は話した。

画像クレジット:Beata Zawrzel/Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

Ibex Inversterの最新のファンドはモビリティ革命に賭けている

Ibex Investors(アイベックス・インベスターズ)のファウンダー、CEOであるJustin Borus(ジャスティン・ボラス)氏が運輸業界とそこに迫りつつある技術変革に目を向けた時、彼は人生最大のチャンスを見つけた。そして今、アーリーステージモビリティ企業向けの1億1300万ドル(約130億円)のファンドでチャンスに賭けようとしている。

「次の5年から10年の間に、過去100年以上の変化が起きるでしょう」とボラス氏は、自動運転車へのシフトをはじめとする輸送業界における変化について語った。「私はこのファンドを1996年か1997年のインターネットファンドと同じように見ています」。

Ibex Investorsは、コロラド州デンバー拠点で、ニューヨークとテルアビブにオフィス構える会社で、2003年に「マルチステージ」と「マルチストラテジー」の投資戦略を掲げて設立された。これが意味するのは、シードステージからIPOまであらゆる段階で、企業に投資する会社だ。

この会社の構造は、伝統的ベンチャーキャピタルとは異なる。厳密には、Ibexは投資アドバイザーとして登記されているが、投資銀行ではない。Ibexはいくつかの特化したVCファンドを保有しており、イスラエル拠点のあらゆる分野のスタートアップを対象にした1億ドル(約115億円)のアーリーステージファンド、イスラエルに焦点を絞ったヘッジファンド、モビリティに特化した株取引を主とするヘッジファンドなどがある。他にもIbexは、Revel(レベル)のような後期ステージのモビリティスタートアップへの1回限りの投資も行っている。全体で同社は、約12億ドル(約1382億円)の資産を管理している。

今回の最新のファンドはアーリーステージのモビリティスタートアップに焦点を当てているが、イスラエルやその他の地域には限定していない。これによってIbexは、新たに膨大な数のモビリティスタートアップに門戸を開く。

Autotech Ventures(オートテック・ベンチャーズ)から最近Ibexに移ったJeff Peters(ジェフ・ピーターズ)氏は、ファンドはシェアリング、コネクティビティ、電動化、および自動運転のスタートアップを対象にしていると語った。

ずいぶん広いカバー範囲だ。Ibexはこのファンドの開始にあたって2件の投資を行った。その1つのAifleet(アイフリート)は、テキサス州オースチン拠点のスタートアップでトラック輸送の待ち時間をなくすためのソフトウェアを開発した。もう1つの投資先、Visionary AI(ビジョナリーAI)は、イスラエルのデジタル画像処理会社だ。ボラス氏は、トラック輸送は自動運転技術が最初に破壊的変化を起こす分野の1つだと信じているとTechCrunchに語った。

Aifleetの共同ファウンダー、CEOであるMarc El Khory(マーク・エル・コーリー)氏は、Ibexに惹かれた理由の1つは、この会社のリミテッドパートナーだと語った。

「彼らは、自動車業界のかつての幹部に私たちを紹介してくれました」と語り、その1人は大手トラック製造メーカーの元社長だったことを明かした。「私たちはテクノロジー企業ですが、トラック輸送事業も行っているので、あのようなつながりは会社にとって驚くほど価値があります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

社会的弱者の創業者やフィンテックに投資、決済インフラ企業Strongholdがベンチャーキャピタル部門を起ち上げ

決済インフラ企業のStronghold(ストロングホールド)がベンチャーキャピタル部門を起ち上げ、バランスシートの資産のうち1億ドル(約115億円)を、3つのコア戦略である「社会的弱者の創業者」「フィンテック(金融テクノロジー)」「Web3」に関連するスタートアップやファンドに投資すると、同社のTammy Camp(タミー・キャンプ)CEOは、TechCrunchによるインタビューで語った。

Strongholdは、同社のウェブサイトによると、組み込み型の決済や清算・返済など、フィンテックやブロックチェーンのAPIおよびサービスを提供している企業だ。2017年に設立されたこのスタートアップは、IBMと提携して、ブロックチェーンをベースにした即時決済処理用のステーブルコインを発行した。同社は、2017年のシードラウンドを通じて、これまでに330万ドル(約3億8000万円)の資金を調達している。この時のラウンドはFreestyle Capital(フリースタイル・キャピタル)のDave Samuel(デイヴ・サミュエル)氏が主導し、ベンチャーやフィンテックのエンジェル投資家が多数参加した。

Stronghold Capital(ストロングホールド・キャピタル)と呼ばれるこの新しいVC部門は、すでにSam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フリード)氏が設立したAlameda Research(アラメダ・リサーチ)などの企業や、Precursor Ventures(プリカーサー・ベンチャーズ)やBackstage Capital(バックステージ・キャピタル)などのファンドに投資しているが、これらはいずれも社会的弱者の創業者を支援してきた実績がある。Stronghold Capitalは、ブロックチェーンベースの機関投資家向け資金調達プラットフォームであるMaple Finance(メイプル・ファイナンス)のDeFi(分散型金融)シンジケートローンを通じて、Alameda Researchへの投資を行ったという。

このファンドは、Strongholdの事業ラインと「双方向の価値」を提供できる企業への投資を探している、とキャンプ氏はいう。また、ファンドマネージャーに直接投資することで、Strongholdは同社が支援したいと考える企業のソーシングパイプラインにアクセスできるようになるとも述べている。

キャンプ氏によれば、Stronghold Capitalが現在行っている投資の75%は、社会的弱者や見過ごされている創業者への投資であるという。このベンチャーファンドは、2022年中にチームの構築を計画しており、3つの重点分野のそれぞれに精通した投資家を採用するつもりであると、同氏は付け加えた。

Strongholdは、2018年にSHxと呼ばれる独自の暗号資産(暗号資産)を発行し、現在はKuCoin(クーコイン)などの暗号資産取引所で取り扱われている。同社によると、時価総額は15億ドル(約1720億円)を超えているとのこと。Strongholdの決済レールを使っている企業は、SHxで利益を得て、手数料の相殺に利用することができる。また、企業はこのトークンを使って、他の事業者にDeFiローンを提供したり、社内のガバナンス・プロセスを管理したりすることができると、キャンプ氏は述べている。

企業の間でこのトークンの人気が高まったことは、2021年におけるStrongholdの成長を牽引した。同社によると、2021年のビジネスは「ほとんどの指標で5倍」に成長したという。この牽引力が、Strongholdの幹部が長い間検討していたファンドの起ち上げを促したと、キャンプ氏は述べている。

「決済や金融サービスは大きな分野であり、多くのプレイヤーがそのミッションを遂行することができます。なぜなら、最近では非常に多くの決済レールがあるからです」と、キャンプ氏はいう。「他の企業やファンドマネージャーとパートナーシップを組んで、そのビジョンを実現できることは、私たちにとって非常にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Stronghold

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アルファベット社内の黒人投資家グループ「Black Angel Group」が台頭

Black Angel Groupの設立メンバー。左からジャクソン・ジョージズ Jr.氏、キャンディス・モーガン氏、ジェイソン・スコット氏(画像クレジット:The Black Angel Group)

1年前、巨大企業であるAlphabet(アルファベット)の社内で、黒人のGoogler(グーグル社員)やAlphabet社員が、黒人歴史月間中にエンジェル投資に関する非公式なプログラムに招待された。これはスタートアップ企業への投資がどのように構成されているか、可能性のあるエグジットまでの一般的なタイムラインなどについて、興味のある人が学べるように社員が企画したものだ。

このアイデアは、暫定的なエンジェル投資スクールのようなもので、組織を作り上げるためのものではなかった。それは単に、講演者として参加したGVのゼネラルパートナーであるJessica Verrilli(ジェシカ・ヴェリリ)氏をはじめとする、知識豊富な社員の話を聞きたいと思っているスタッフのための機会だった。

「こんなアイデアがあるけど、一緒に投資しない?という感じでした」と、GVのパートナーであり、エクイティ、ダイバーシティ、インクルージョンに力を入れているCandice Morgan(キャンディス・モーガン)氏は語っている。

このアイデアを実現するために、2週間のうちに5人の参加者が集まった。それから、さらに多くの人が手を挙げて、どうしたら参加できるのかと尋ねるようになった。そして現在、このBlack Angel Group(ブラック・エンジェル・グループ)という組織には、Google(グーグル)、GV、CapitalG(キャピタルG)、YouTube(ユーチューブ)、Gradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)など、Alphabet社内から35人の黒人リーダーやオペレーターが参加している。

また、元YouTubeのVPで、最近ではPinterest(ピンタレスト)のチーフコンテンツオフィサーに就任したMalik Ducard(マリク・デュカード)氏のような、会社の卒業生もこのグループに参加している。

彼らは強力な個人であり、さらに強力なグループでもある。そのメンバーたちは、プロダクトマネジメント、ソフトウェアマネジメント、ユーザーエクスペリエンス、ピープルオペレーションなど、全員のさまざまな専門知識を駆使して、興味深い案件に参入を始めたところだ。2021年は、Bowery Farming(バワリー・ファーミング)、Polar Signals(ポーラー・シグナルズ)、Matter(マター)、Career Karma(キャリア・カーマ)など、約10社に50万ドル(約5800万円)以上の投資を行った。

いずれの場合も、より小規模な委員会が案件を持ち込み、メンバーはそれぞれ自分自身で決定するように依頼される。これまでのところ、出資した企業の半数は黒人の創業者であり、中にはGoogleの元社員である黒人の創業者もいたが、彼らの目的は黒人の創業者を支援することではなく、元同僚が創業した企業を探すことでもない。そうではなく、シードからシリーズAまでの「エシカル(道徳的)」な企業に焦点を当てていると、CapitalGのグロースパートナーで、この集まりのメンバーであるJackson Georges Jr.(ジャクソン・ジョージズ・ジュニア)氏はいう。

「私たちはブラックエンジェル(黒人エンジェル投資家)です。そしてブラックエンジェルのネットワークは、多くのエンジェル投資家のネットワークよりも、概して多様性に富んでいます」と、ジョージズ Jr.氏は語る。しかし、その最も重要な目的は、メンバーに世代間資産をもたらすための最良の投資先を見つけ出すことである。

だからこそ、Black Angel Groupは、その注目度を高め、より多くの案件に力を注ぐ準備を整えているのだ。

この成長の一部は、ドルという形でもたらされる。2022年のBlack Angel Groupの投資額は、これまでの投資額の「倍」になると、モーガン氏は予想している。

また、その成長の一部は、新しいメンバーからももたらされる。Googleでスタートアップ開発者エコシステムの責任者を務めるJason Scott(ジェイソン・スコット)氏はこう説明する。「2021年のエンジェルプログラムへの参加が、多くのメンバーの基盤となりました。しかし今は、他にも興味を持った黒人のGooglerやAlphabetの社員が参加を申し込めるようなプロセスを立ち上げています」。

全員がミリオネアである必要はない。この集まりを可能な限り包括的なものにするために、メンバーたちは、まだ認定投資家ではないが認定投資家になるための道を歩んでいる人たちにも、取引の流れへの参加を勧めることを計画している。

それは純粋な利他主義ではない。ジョージズ Jr.氏によれば、案件の調達や投資についてもっと知りたいと思っている出世途中の社員やOBを積極的に教育することは、グループにとってもメリットがあるという。数と、そしてネットワークには力があるからだ。

確かに、黒人投資家の世界を広げることは必要だ。現在、黒人投資家はベンチャー企業のパートナーの4%以下、エンジェル投資家の1%に過ぎない。このような数字を見れば、地球上で最も強力な企業の1つで道を切り開こうとしている黒人エンジェル投資家のネットワークが拡大していることは、特に注目に値するだろう。

実際、このグループは、メンバーの経験の蓄積や、より多くの出資を望んでいること、また、スタートアップの創業者たちが、より多様な投資家を資本政策表に加えることに関心を示していることを考えると、今後より多くの案件に登場することが予想される。

モーガン氏はその一例として、パフォーマンス分析を行うスタートアップ企業のPolar Signalsを挙げ、同社のCEO兼創業者であるFrederic Branczyk(フレデリック・ブランズィック)氏は「よく考えて非常に多様性に富んだ資本政策表を用意していた」と述べている。

他の多くの創業者も「かなり明確になっている」という同氏は、これを「すばらしいことだ」と語っている。

「私たちの価値提案で重要な部分は、私たちと価値観が一致する創業者と一緒に仕事をすることです」と、モーガン氏は言及している。多様性を重視することは「そのような創業者について多くのシグナルを与えてくれる」という。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産をめぐるツイッターでのVCたちのビンタ合戦でおかしな状況に……

Twitter(ツイッター)でよくつぶやく一部のベンチャーキャピタリスト(VC)は最近やや敵意に満ちており、業界で最もパワフルな人々が前例のない方法で暴言を吐いている。  筆者が思い浮かべるのはChris Dixon(クリス・ディクソン) 氏とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏の2人で、彼らは最近、暗号資産、ブロックチェーンを使ったコレクティブル、あるいは分散化の有望性が誇張されているのではと疑う影響力のある人々に対して我慢できない様子を見せている。

最も有名な争いは、12月下旬に億万長者の起業家でTwitterの共同創設者であるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、フォロワー600万人に対して「『Web3』を所有しているのは君じゃない。VCやLPが所有している。彼らのインセンティブから逃れることはできないだろう。結局はラベルの違う中央集権的な存在なんだ」とつぶやいたことから始まった。

確かに、ドーシー氏はVCを嘲笑していたが、この見方には真実がある。Andreessen(アンドリーセン)や、Paradigm(パラダイム)やPantera(パンテラ)のような暗号資産に前向きな企業は、そこらにある最大のプラットフォームのいくつかと財政的な利害関係がある。それは構わない。そうした企業のサポートがなければ、これらのプラットフォームは存在しないかもしれないし、時間が経過するにつれ、プラットフォームはより分散化されていく可能性も大いにある。

とはいえ、ドーシー氏のツイートは戦争を勃発させた。ディクソン氏は、約80万人のフォロワーに向けて「あなたはまず無視され、次に笑われ、そして挑まれ、そうしてあなたが勝つ」とサブツイートし、最初の手榴弾を投げつけた。

ディクソン氏がほくそ笑むのには、それなりの理由があった。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は何年も前から、暗号資産プロジェクトに資金とリソースを注ぎ込んでいて、嘲られることになると思われていた。今となっては、同じような取り組みにもっと多くの時間とお金を捧げなかったすべての人に嘲が向けられている。ちなみに、Andreessen HorowitzのCoinbase(コインベース)への投資額は、2021年に暗号資産取引所が公開取引を開始した日に110億ドル(約1兆2675億円)と評価された。

しかし、戦争はそこで終わらなかった。ドーシー氏はディクソン氏に返信し、アンドリーセン氏自身も会話に割って入ってドーシー氏を何度も侮辱し、事態は悪化の一途をたどり続けた。

その毒々しい雰囲気は最近、さらに広まった。元Facebook社員でエンジェル投資家に転身し、さらにはベンチャーキャピタリストとなったBobby Goodlatte(ボビー・グッドラット)氏が米国時間2月4日「私は暗号資産の熱烈な支持者で、アートNFTは馬鹿らしいと思う」と特定の人に向けることなくツイートした。グッドラット氏のツイートは表面上は比較的無害に見えたが、突然、グッドラット氏の7万人の10倍のフォロワーを抱えるディクソン氏が、グッドラット氏のコメントをリツイートし、その上に「ボビー・グッドラットをショートカットできる?」と書き込んだ。

愕然とするグッドラット氏が反応する前に、ディクソン氏はグッドラット氏のアカウントをブロックした。

ディクソン氏はその後、そのコメントと、父親が元下院議員であるグッドラット氏に向けられた「私の両親は億万長者で、私は運良く暗号資産を手に入れたが、今度は自分の道を歩んだ勤勉な創業者たちをゴミ扱いしたい」という侮辱を削除したようだ。

この件に純粋に傷ついた様子のグッドラット氏は、その後ディクソン氏をピエロと呼んだ。

多くの業界関係者は、Andreessen Horowitzで何が起こっているのか、静かに問いかけている。あるベンチャーキャピタリストは2月5日に内々にこう言った。パートナーたちは、単に儲かりすぎて「問題ある投稿」をするようになってしまったのでは?

シードステージファンドのHustle FundのゼネラルパートナーEric Bahn(エリック・バーン)氏は別の説を唱えている。「これまで共有されてきたFacebookのコンテンツを見れば、そのアルゴリズムがネガティブなストーリーや攻撃的なストーリーを好んできたことがわかります。そうしたものは非常に共有しやすい材料です。Twitterでも同じことが言えます。意地悪な書き込みをすれば、それが注目されることに気づいている人もいます」。

明らかに、Andreessen Horowitzの投資家は何もいうつもりはない。同社は自社に関わるすべての人のために稼いできた。そうした投資家、そして資本市場にいる一部の創業者の中には、Andreessen Horowitzの強硬な戦術に説得力を感じる人もいるかもしれない。

一方、ライバル企業の中には、その強気な行動(最近、Andreessen Horowitzが持つ欠点の1つ)を利用しているところもあるようだ。

TNT Venturesのベンチャーキャピタリスト、Parker Thompson(パーカー・トンプソン)氏は、ディクソン氏とグッドラット氏の騒動の後、多くの人がささやく言葉を要約してツイートした。「あそこの水の中には、人々の正気を失わせる何かがあるようです。ポートフォリオにとって、強気な兆候ではありません」。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

ユニコーン以上の価値があるWorkplaceにスピンアウトして欲しいVCと、それを手放したくないフェイスブック

Workplace(ワークプレイス)とは、もともとFacebook(フェイスブック)が従業員同士のコミュニケーションの場として作ったアプリである。友人や家族と楽しむためのものとして定着したFacebookと実質的に同じこのツールは、現在700万人以上のユーザーに利用されており、企業の社内コミュニケーションを支援するアプリとして地位を確立している。そして今、この人気を背景にWorkplaceには別の意味での注目が集まっているようだ。

Meta(メタ)に社名を変更する前、Facebookが企業投資家から「Workplaceをスピンオフして、スタートアップとしてバックアップさせて欲しい」という提案を受けていたという事実が浮上した。関係者によれば、この取引によってWorkplaceが独立していたら、少なくとも10億ドル(約1138億ドル)の「ユニコーン」として評価されていたとのことである。

情報源によるとこの話は進まなかったようだが、それは主にFacebook(現在はMeta)がWorkplaceを「戦略的資産」と見なしたからだという。MetaがFacebookやInstagram(インスタグラム)などのプラットフォーム上の広告から得ている数十億ドル(数千億円)に近い売上を、Workplaceが上げているわけではない。しかし、Metaの多様な側面を市場に強調するためには、Workplaceが重要なのだという。規制当局にとって、Facebook / Metaはあまりにも強力すぎるソーシャルネットワークなのであるのに対し、企業組織にとってFacebookは広告を販売する以外にもまだ多くのポテンシャルを秘めている存在なのである。

情報源によると「WorkplaceはFacebook(およびMeta)を大人っぽくみせてくれる」のだという。

MetaとWorkplaceの広報担当者はこの記事へのコメントを控え、何も伝えることはないと述べている。

どの投資家が関係していたかは明らかにされていないが、ある関係者によるとその企業投資家とは、資本注入を目的とした後期の成長ラウンド投資に重点を置く、エンタープライズに特化した投資家だという。

スピンアウトしたWorkplaceに出資しようという彼らのアプローチは、2021年レイトステージの投資家やプライベートエクイティの投資家らが成熟した大規模なテック企業を買収するために活動を活発化させていた時期(今もそうだが)と重なっている。Thoma Bravo(トーマス・ブラボー)は2021年、350億ドル(約3兆9840億円)を調達してこの分野でより多くの買収機会を得ようとしていたと報じられている(そしてそのためにさまざまな投資や買収を行ってきた)。2021年のプライベートエクイティによる買収総額は約800億ドル(約9兆円)に達し、2020年に比べて140%以上増加しているとBloomberg(ブルームバーグ)は推定している。

このペースは2022年も衰えそうにない。その中には、あまり主要ではなく収益性の悪い、どちらかといえば低迷中の資産を合理化してより多くの資本を回収しようと、大手テクノロジー企業に対して事業のスピンアウトを持ちかけるPE企業もある。ちょうど今日、Francisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)はIBM(アイビーエム)のWatson Health(ワトソン・ヘルス)事業を約10億ドル(約1138億ドル)で買収することを発表した

SaaS展開の足がかりを構築

Metaの場合、Workplaceをスピンアウトさせるためには、2つの面での展開が必要となる。

企業面では同社の解体を求める声が上がっている。2022年1月初め、米連邦取引委員会(FTC)がWhatsApp(ワッツアップ)とInstagramの売却を求める訴訟の継続を裁判所が認めた他、報道によるとVR部門が反トラスト法違反ではないかという別の調査も行われているという。一部の投資家や株主にとってこの状況はチャンスだが、Metaにとってはあらゆる資産の保持を正当化するための検討が必要になってくるだろう。

Workplaceはこの数カ月間、重要な岐路に立たされていた。

多くの人材が離職したのである。その中には、1月BREX(ブレックス)のチーフプロダクトオフィサーに就任したKarandeep Anand(カランディープ・アナンド)氏や、ロンドンのベンチャー企業Felix Capital(フェリックス・キャピタル)のパートナーに就任したJulien Codorniou(ジュリアン・コドルニウ)氏というトップ2人の幹部も含まれている。その他多くの人たちも、新たな旅路をスタートさせるため同社のビルを去っていった。

これはMetaのPRの失敗が原因なのではなく、むしろごく自然な現象なのだと私は聞いている。これまでここにいたのはWorkplaceを一から作り上げるために集められた人々だ。同社の製品が成熟し、より明確な焦点を持った今こそ、新たな人員が入社して次のステージに取り組むのに適切な時期であるのだという(私の個人的な意見だが、Workplaceの新リーダーであるUjjwal Singh[ウジワル・シン]氏は、今のWorkplaceを率いるのにふさわしい人物だと感じている)。

しかしそれとはに、Metaが常に世論からバッシングを受けていることで従業員が疲弊しているのではないかという報道もある。Workplaceもこれは人ごとではない。以前Workplaceは最大手のレストランチェーンと大きな契約を結んだと私たちは理解しているのだが、その顧客は昨秋、穏やかでないニュースの数々と「評判の問題」を理由にその発表を控えるよう求めてきたという。

「他のSaaS企業ではありえないことだ」とある人物はいう。

これはWorkplaceを親会社から切り離すための良い理由となったはずだし、スピンアウトへの一歩ともなりえただろうが、Metaはそうは感じていないようだ。

Workplaceは製品として展開された当初から、実は大きな変化を遂げている。

もともとFacebookの「仕事版」として設立されたWorkplace。Facebookの従業員がすでにFacebookを使ってプライベートなグループでコミュニケーションをとっていたのを発展させたもので、Slack(スラック)やその他の職場向けチャットアプリの台頭に対抗する形で登場した。何十億もの人々がすでにFacebookを利用しているのだから、 当然Workplaceに優位性があるだろうというのが同社の当時の考えである。異なる種類のユーザーをターゲットにした新サービスを導入し、広告収益ではなく有料化という異なるビジネスモデルを採用することで、同社にとって新たなビジネスの可能性の扉を開いたのだ。

時とともにWorkplaceの焦点が変わろうとも、この戦略が変わることはほとんどない。もともとWorkplaceは、SlackやTeamsに対抗するためにナレッジワーカーを対象とした他の職場生産性向上ツールとの統合を数多く導入していたのだが、時が経つにつれ、Workplaceは主にモバイルで雇用主とコミュニケーションをとるデスクレスワーカーに支持されるようになったのである。つまり、ナレッジワーカーとデスクレスワーカーの両方に対応するコミュニケーションアプリになることがWorkplaceのスイートスポットとなったのだ。

「Teams、Slack 、Workplaceのどれかを選んでもらうのではなく、両方持っていてもいいのではないかと気づいたのです。他の会社はナレッジワーカーのためのリアルタイムのメッセージングコミュニケーションを扱って、Workplaceはそうではないサービスをすべての人のために提供すれば良いのです」と関係者は振り返る。

そして、これが現在の Workplace の戦略の指針となっている。最近では、Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)の機能をプラットフォームに統合して補完を行っている他、先に、同社はWhatsAppとの新たな統合を発表した。これはすでに最前線のチームに人気があるのだが、今後はWorkplaceでのコミュニケーションのため、より正式なインターフェースとなるようだ。また、MetaのVR事業とPortal(ポータル)との統合やサービス提供も予定されているという。

同社が最新のユーザー数を公表するのは2022年の後半になる予定だが、ある関係者によるとWorkplaceのユーザー数は現在1000万人近くに達しており、Walmart(ウォルマート)やAstra Zeneca(アストラゼネカ)など世界最大級の企業もその顧客リストに含まれているという。

Workplaceはこれまでに独立型製品として販売されていたこともあるが「今後独立型のアプリケーションとして販売されることはないと思います」と関係者は話している。

その代わりに、例えばビジネスメッセージングとWorkplaceを組み合わせて販売したり、Facebookのログイン機能と組み合わせて販売したりと、Metaにはさまざまな可能性が広がっている(CRMのスタートアップであるKustomer買収の背景には、このような企業への幅広い売り込みがあると思われるが、この買収はまだ完了していない)。

Workplaceを手放す準備などもっての他で、Metaはより大きなSaaSビジネスを構成する足がかりとしてWorkplaceを位置づけているようだ。果たしてMetaは独立会社のように、そのチャンスを逃さずに動けるだろうか。それができなければVCが舞台のそでで出番を待っているのである。

画像クレジット:Workplace

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

炭素排出をなくし、地球に少し休ませる技術に投資するEIPの新ファンド

「Deep Decarbonization Frontier Fund(ディープ・ディカーボナイゼーション・フロンティア・ファンド)」というキャッチーな別名をもつ、Energy Impact Partners(EIP、エネルギー・インパクト・パートナーズ)は、3億5千万ドル(約401億円)のファンドに対して2億ドル(約229億円)分の出資枠を獲得し、世界を持続可能な未来に移行させるというコミットメントを倍増させた。このファンドは、温室効果ガス排出量ゼロへの移行を加速させるアーリーステージの技術を対象としている。

このFrontier Fundは、脱炭素社会の実現に向けた投資家の新たな関心と、ゼロカーボンエネルギー、製品、商品に対する需要の高まりという2つの原則のもとに設立された。

Frontier FundのパートナーであるShayle Kann(シェイエル・カン)氏は「私たちは、気候変動に関する技術で大きな問題に挑戦する大胆な起業家を求めています」と述べている。「この6年間で、私たちは大規模で成熟した、技術的に複雑な産業においてイノベーションを推進するためのエコシステムとプロセスを構築してきました。脱炭素化の推進以外でこのようなスキルが最も求められる場所は他にありません」。と述べる。

Frontier Fundは、発電から肥料生産までの脱炭素化に取り組むスタートアップ企業への投資を始め、すでに資金展開を開始している。数日分のエネルギー貯蔵を安価にするForm Energy(フォーム・エナジー)、再生可能エネルギーによる工業規模の水素製造を推進するElectric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)、ゼロエミッションの窒素肥料を製造するNitricity(ニトリシティー)、ゼロカーボンセメントのSublime Systems(サブライム・システムズ)などがその例として挙げられている。

「EIPが2016年に設立されて以来、『クライメートテック』と呼ばれるようになる前から、クライメートテックに投資してきました。これは荒野の時代で、『ポスト・クリーン・テック』とか『プレ・クライメート・テック』とも言えました。私たちはそれをさまざまな呼び方で呼んでいたのです」とカン氏はいう。「今、市場に到来しているイノベーションの大波は、新しいテクノロジー、新しいサービス、新しいビジネスモデルに至るまで、脱炭素化が必要な経済のさまざまな分野を脱炭素化するための方法を軸にしたものばかりです。クライメートテクノロジーは、非常に圧倒的であると同時に、非常にエキサイティングなものです。セクターを超えた包括的な挑戦なのです。この命題における最初の核となる部分は、イノベーションの波が来ているということです。もう1つは、今世紀半ばあるいはそれ以前に温室効果ガスの排出を正味ゼロにする必要性が認識されつつあり、現在の状況からその最終目標まで長い道のりがあるという事実によって、これらのソリューションの市場への導入が加速されるということです。そのため、企業、消費者、投資家、支持者、その他すべての利害関係者から、あらゆる種類の新しいソリューションに対する需要が高まっています。この2つのことが、私たちを気候変動技術への道のりにおいて強気にさせてくれているのです」と語った。

画像クレジット:Shayle Kann

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

オタクのみなさんご乗車ください、メタバースへ向かいます

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

こんにちは、みなさん。元気で暖かく健康で幸せで良好な状態でいらっしゃるだろうか。全部でなくても、一部だけでもそうであればと願う。まあ、すべてが当てはまらないとしたら、アイスクリームが発明された理由を正当化できるだろう。

今回は、メタバースの話、創生期から見守ってきたベンチャーキャピタルの話、そして先週うっかり取り上げていなかった、とてもクールなスタートアップの資金調達の話をしよう。準備はOK?では楽しもう。

先週最も楽しかったのは、仮想環境Decentraland(ディセントラランド)への訪問だった。手短にいうと、編集の仕事をしていた私はその途中、編集チームの邪魔にならないように気を紛らわそうとしていたのだ。そこで、私はソーシャル暗号資産環境──つまりメタバースを始動してツアーに出かけたのだ。モヒカン姿でかっこいいパンツを履いて、道に迷ったり、NFTのギャラリーに行ったり、アリーナに入ることに失敗したりしていた。

現在のメタバースは、MMORPGの「Runescape」によく似ている。これは、オンラインRPGが築いてきた歴史的な足跡を考えれば、それほど馬鹿にした表現ではない。しかし、私がゲームで好む水準よりも半端に多くの経済的な側面を含んだ、あまり特徴のないMMORPGは、私にとって最も不要なものだ。

私は今のところ中立的な立場だし、メタバースが毎日ログインしたくなるほどクールになる日を待ちたいと思う。しかし現在、コミュニティの形成やソーシャルな交流を含むWeb 2.0の特性の中には、暗号チームがこれまで見てきたものよりも優れているものがあるようだ。

Amplifyの新しいジェネラルパートナー

数年前、私はMattermark(マターマーク)というスタートアップに雇われて、彼らの会社のために独立したニュース部門を作ることになった。率直に言って、それはすばらしい学習経験であり、さらに何人かの生涯の友人とも出会うことができた。例えばTechStars(テックスターズ)のKevin Liu(ケビン・リュウ)氏だ。

Sarah Catanzaro(サラ・カタンザロ)氏もまた、Mattermarkチームの中では傑出した存在だった。同社における彼女のデータチームでの仕事は、後に就職したVCのCanvas Ventures(キャンバス・ベンチャーズ)、そしてAmplify Partners(アンプリファイ・パートナーズ)で生かされた。参考までに、Amplifyが2020年後半に発表した最新のファンドは、2億7500万ドル(約312億6000万円)相当のものだった。前回からの時間を考えると、そろそろ同グループが新たなファンド組成を発表するのではないかと考えている。

そのAmplifyでカタンザロ氏は、プリンシパルからパートナー、そしてつい最近ゼネラルパートナー(GP)へと昇格した。彼女がVCの世界で最下層から最上層に至るまでの道のりは、眺めていて楽しいものだった。そして、先々週のTechCrunchとの電話では、Amplifyで彼女のレベルに達した女性は彼女が最初だと語っていた。私が強調したいのは、ベンチャーキャピタルというまだ家内産業規模の世界での昇進は、スタートアップのペースでの成長とは異なるということだ。

ともあれ、カタンザロ氏が話してくれたことは、後で振り返ることができるように、ここに書き留めておきたい。私たちは、彼女の会社の投資アプローチ、チェックサイズのターゲット、シードレベルやシリーズAレベルの企業への参入の頻度などについて話をした。新任GPのカタンザロ氏によれば、シリーズAのラウンドははるかに大きくなっているが、リクスはそれに釣り合って小さくなってはいないという。これは、私が以前から直感的に感じていたことだが、これまで誰かが口に出していうのを聞いたことはなかった。

つまり、VCから見たシリーズAのリスクは、スタートアップの段階でより多くの資本が投入されることで上昇しているということだ。今後数年間で十分なメガイグジットを行うことができるなら、最終的には計算が合うのかもしれない。しかし、市場が急落し「懸念」が「奔放な熱意」よりも多くの紙面を占めている今、私は多少疑問に思っている。

ロードアイランド州の誇り

私が住んでいるオーシャン・ステイト(ロードアイランド州の別称)は、米国で最も有名なテクノロジー・ハブからは少しだけ離れている。しかし、だからといって、魅力的なハイテク企業がこの小さな州に生まれないわけではない。TechCrunchは、大学生のためのフリーランス労働市場を構築しているプロビデンスで設立されたスタートアップ、Pangea(パンゲア)を例として紹介している

リトルローディ(これもロードアイランド州の愛称)のもう1つのスタートアップが、マリーナやボートに乗る人のためのソフトウェアプラットフォームDockwa(ドクワ)を開発する、The Wanderlust Group(ザ・ワンダーラスト・グループ)だ。要するに、ペンと紙の世界に留まっていたボートの船着場の予約管理の世界を、Wanderlustはソフトウェアを使って近代化することにしたのだ。

前回、同社について触れたのは、同社が2020年に1420万ドル(約16億1000万円)を調達したときだった。当時、CEOのMike Melillo(マイク・メリロ)氏はTechCrunchの取材に対し、同社は単に700万ドル(約8億円)を求めていたに過ぎなかったが、数字が倍になったと語った。

だから最近同社から「また調達しました」と聞いても驚かなかった。今回、Wanderlustは1億5000万ドル(約172億5000万円)のプレマネー評価額のもと、シリーズCで3000万ドル(約34億1000万円)を調達した。この資金調達は、Thursday Venturesが主導した。

幸いなことに、Wanderlustは2021年のARR(年間経常収益)成長率を喜んで開示してくれたが、それは71%だった。さらにおもしろいことに、週休3日制に移行した後、同社のARRは2020年6月から2021年6月にかけて100%拡大した。これは、私がスタートアップ界隈で追跡している、より興味深い労働実験の1つの実際のデータだ。

しかし、この会社の最も興味深い点は、自身でファンドを組成していることだ。ただし普通の企業向けベンチャーキャピタルファンドではなく、何か別のものだ。Wanderfund(ワンダーファンド)と名付けられたこのファンドに対して、同社は「国や地域レベルでの環境保護活動」のために2022年30万ドル(約3400万円)の資金を投じた。その一環として、まずは子どもたちが家から出て自然の中で過ごせるように、地元のBoys & Girls Club(ボーイズ&ガールズクラブ)に資金を提供することを始めている。

同社はキャンプ用に使えるDockwaのような製品を開発しているので「外に出よう」というテーマは、Wanderlust(放浪願望)Groupという名前にふさわしいコアとなる。

その他雑多なもの

ということで今日はここまで。また来週!

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」レポート

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」レポート

編集部注:この原稿はMIRAISEパートナーの布田氏による寄稿である。MIRAISEは、ソフトウェアエンジニアが起業した会社に対して投資する日本で唯一のベンチャーキャピタル。日本、米国、エストニアなどに拠点を置く企業に投資しており、ソフトウェアスタートアップ36社に出資を実施している(2021年12月時点)。普段より国内外のソフトウェアスタートアップを調査し、テック企業の方と交流し情報交換を行っているという。同社からスタートアップに関わる方に向け今年2022年のトレンドを発表しており、同社サイトでは「【MIRAISE TREND 2022】フルバージョン」を公開している。

背景

世界各地で加熱するスタートアップのビジネスや、急速に進歩していく技術のトレンドを把握することは決して簡単なことではありません。

「MIRAISE TREND 2022」はビジネストレンドとは違いテクノロジーを起点としたトレンドレポートとなっています。

MIRAISEはソフトウェアエンジニアが起業した会社へ投資する日本で唯一のベンチャーキャピタルです。そんな私たちが、年間200件以上のエンジニア起業家と情報交換を通じて見えてきた次世代のトレンドを「ソフトウェア技術×スタートアップ」という軸をもとに7つのキーワードでまとめました。本レポートが、スタートアップに関わる多くの方の目にとまり、エンジニア起業家やソフトウェアテクノロジーへ興味を持っていただけるとうれしいです。

MIRAISE TRENDにおける7つのキーワード

  1. クリエイティブ制作のクラウドへのシフトが加速
  2. ウェブの3D技術がついに日の目を浴びる
  3. オープンソースソフトウェアのマネタイズ手法が多様化
  4. ユニコーン企業のプラットフォーム化が進む
  5. パーソナルサーバー2.0
  6. VRアプリが急増
  7. クラウドサービスの多層化

1 クリエイティブ制作のクラウドへのシフトが加速 ― Creative production shift to Cloud

これまで、プログラミングやデザイン、動画編集などコンピューターのマシンパワーを必要とする作業は、WindowsやMacのデスクトップアプリケーションとして提供されてきました。

単独での作業では不都合はないですが、チームでのコラボレーションでは各人が作業したものをサーバーにアップロードし、他の人がダウンロードして編集して再度アップロードする手間が必要になります。

Google DriveのDocumentやPresentationなど軽量なデータのやり取りはブラウザー上で同時にアクセスして共同で編集することが可能になっていますが、クリエイターが使うツールはこれまでほとんどありませんでした。

しかしここへきて、ブラウザー周辺の技術進歩やリモートワークの普及により、クリエイターが使うツールをブラウザーで動くようにするソフトウェアを開発するスタートアップが増えてきています。

累計9000万ドル(約98億9000万円)以上を調達している動画制作のコラボレーションツールを開発しているFrame.ioは、Adobeに12億7500万ドル(約1400億円)で買収され、エンジニア向けのオンラインコラボレーションツールのRepl.itは2021年2月に2000万ドル(約22億8000万円)、同年12月に8000万ドル(約91億3600万円)を調達しています。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:Frame.io。Adobeが買収したFrame.ioは高度な動画編集をコラボレーションしながら作成することができる

背景の1つに「個の職人化」もあるでしょう。PC性能の向上や、インターネットの普及に伴いプロの技術やノウハウが広く共有されることで、それまで趣味程度だった個人のクリエイティビティがお互いに刺激を与え合い、爆発的にクオリティが高まっています。クリエイターの裾野が拡大する中、柔軟なコラボレーションを支えらえる方向へツールが向かっていくのは自然な流れです。

歴史的にみると、シンクライアント(Thin Client)とファットクライアント(Fat Client)の中間に位置するリッチクライアント(Rich Client)の隆盛といっていい状況です。ウェブ技術の進化と、クラウド側の計算力向上(計算のためのコスト低下)が大きく進化したことが大きな要因です。

2 ウェブの3D技術がついに日の目を浴びる ― Web 3D technology finally sees the light of day

2000年、Epic Gamesのゲーム「フォートナイト」内でのバーチャルライブにおいて、ラッパーのTravis Scott(トラビス・スコット)が2700万人を動員し20億円以上の売上げを記録。Epic Gamesは、2021年4月にはメタバースのために10億ドル(約1090億円)の資金調達を実施しています。またFacebookが社名をMetaに変更したことで一気にメタバースという単語が浸透しました。

注目すべきは、今までおもちゃのような扱いを受けてきたウェブ上の3D技術が、急速に意味のあるものへと価値を高めていることです。2Dのウェブサイトにおける3Dの技術は用途が限定されていましたが、メタバースの世界ではユーザーは2Dと3Dを行き来しやすくなり、ウェブの3D技術に取り組む企業が重要になると予想します。今ほとんどのウェブコンテンツは2Dのままであり、そのコンテンツと3Dの接点がウェブの3D技術になっています。

3D eコマースのVNTANAはECサイト上で製品を3Dに見せる技術を持っており、2021年11月にシリーズAで1250万ドル(約14億2200万円)を調達し、投資家の中にはOculus前CEOのBrendan Iribe氏も参加しています。「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」レポート

3 オープンソースソフトウェアのマネタイズ手法が多様化 ― Monetization of OSS diverse

オープンソースソフトウェア(OSS)のマネタイズ手法は、古くはサポートに始まり、現在はホスティングが主流になってきています。たとえばデータ解析ツールのRedashは、OSS版を自前でサーバーへホスティングする場合は無償で提供し、Redashのホスティングを行う場合は月額の料金がかかるというビジネスモデルです。

多くのOSSがサーバーへのホスティングをマネタイズ手法にしている中、新しい手法も増えてきました。ワークフローマネジメントツールのOSSを開発しているPrefectは、ホスティングではなく正常に動いているかのモニタリングサービスでマネタイズしています。また日本のフレームダブルオー(FRAME00)は、ブロックチェーン技術を応用したDi-Fiを使用し、OSSプロジェクトへユーザーが暗号資産Devトークンを預けること(ステーキング)で発生するリターンをOSS開発者と支援者双方に還元するような仕組みを提供。これまで1600件以上のOSSプロジェクトに3億円以上が預けられています。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:Dev Airdrop。DevプロトコルのStakes.socialのAPYは50%近い

OSS開発はコミュニティがベースとなっているので、同じくコミュニティによる運営がなされているトークンとの親和性は非常に高いです。このようにOSSプロジェクトや、OSSでプロダクトを提供している運営会社はトークンによる資金調達やマネタイズが進んでいくと、法定通貨の時価総額だけではその事業体の価値が測れなくなってきます。

特に事業投資を行うベンチャーキャピタルなどは、投資対象の事業体を目利き(評価)する際には、これまでの法定通貨による帳簿、財務諸表だけでなく、より実態を見極めることが大事になります。米VC、Andreessen Horowitz(a16z)がOSSへの投資を拡大していることからもわかる通り、今まで「ボランティア」「儲からない」と考えられていたOSSが投資の観点からも目が離せなくなってきました。

4 ユニコーン企業のプラットフォーム化が進む ― Opportunity by platforming unicorn companies

ユニコーン企業は今や800社以上あり(2021年9月時点)、2021年は1営業日に2~3社ユニコーンが誕生している計算になります。特筆すべきはユニコーン企業が提供するデータ(API。Application Programming Interface)を使ったプロダクトを開発する企業群が次のユニコーンになりつつあることです。

デザインデータを自動でコード化するツールを手がけるAnimaは、デザイン作成ツールを提供しているユニコーン企業FigmaのAPIを使用しサービスを提供しており、2021年9月に1000万ドル(約10億9900万円)を調達しています。

国内でも、ラクスル傘下のペライチが、ノート・ワークスペースサービスを提供するNotionのAPIを使って簡単にウェブページを作成できるWraptas(旧Anotion)を買収しています。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:Unicorn Board Leaps To Just Under 1,000 Companies, Reaches $3.4T In Value。2021年に入りユニコーン入りする企業が加速

古今東西、あらゆるプロダクトは普及が進むと、意図的にあるいは強制的にプラットフォーム化していく運命をたどります。ソフトウェアが席巻する今、その傾向はより顕著です。

これまでは歴史と権威のある企業のみが信頼できるインフラを提供しているイメージでしたが、ソフトウェア時代になり、テックを牽引しているスタートアップの持続性と信頼性が増てインフラ化し、その上にさらに新たなサービスが生まれています。ユニコーン企業が次のユニコーン企業量産のためのプラットフォームになっているのです。

APIとエコシステムの考え方

この文脈で最も重要なのは、上記でも触れているAPIとエコシステムの考え方です。囲い込みの時代にはとうの昔に幕が降ろされ、今や「API連携なくして成功なし」と言い切れる状況です。API自体は新しいものではなく、以前から存在していました。何が変わってきたのでしょうか。

過去APIを提供していたのは主にWindowsやMacなどのOSでした。サードパーティはOSのAPIを使って、そのOS上で動作するアプリケーション(画像編集ソフトやブラウザーなど)を開発していました。つまりエコシステムがOSごとに存在していたのです。

それがウェブアプリケーション全盛時代になると、多数のユーザーを持つウェブアプリケーションがAPIを公開するようになります。それによりアプリケーション同士が「横に」つながり合い、機能が拡張されたり用途が広がるのです。

つまり、他社とのAPI連携によって、自社だけでは実現できないレベルでユーザーの利便性が大きく向上するということです。自社サービスは、その循環の一部として存在することで、自社のサービスの利用頻度やユーザー数がさらに増えるというわけです。

5 パーソナルサーバー2.0 ― Personal Server 2.0

今現在、自宅にサーバーがあると聞いてどのような印象を持つでしょうか。きっとマニアックなハッカーやエンジニアなど一部の限られた人種の所業に違いないと思われるでしょう。しかし、10年後には自宅にサーバーがあることが当たり前になっている可能性があります。

プライバシーの観点から、ビッグテックなどプラットフォームへの信用度が落ちる中、データを自分でコントロールしたいユーザーは増えているものの、残念ながらそれに見合ったサービスは出てきていません。ただ、水面下でその問題に取り組むスタートアップは増えています。

Functionlandは、Google PhotosやApple Photosと同様の機能を自宅サーバーでホスティング可能なオープンソースのソフトウェアPhotosを提供。またUmbrelは、ビットコインのライトニングネットワークを自宅で運用できるハードウェアを販売しています。そのハードウェア内にはストアがあり、メールサーバーやチャットサーバーなどをコードを書かずにApp Storeのようにインストールできます。

近い将来、誰もがWi-FiルーターやAppleTVと同じように自宅にサーバーを置く時代が来ることが予想されます。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:Umbrel raises $3M in seed round to get a server in every home。2020年に発行されたライトニングネットワークのノードの90%をUmbrelが動かしている

これはクラウドのディスラプションでもあります。データのプライバシー強度に応じて、その保管場所がクラウドまたはパーソナルサーバーに自動的に振り分けられるようになるかもしれません。

一方、パーソナルサーバーにデータを保管した場合の懸念は、バックアップを自分で取る必要があることです。IPFSなどの分散ストレージを活用することでデータを冗長化する方法も考えられます。さらに自身もパーソナルサーバーのストレージ提供することで暗号資産Filecoinを対価として得るといったクラウドビジネスの個人化が起きるかもしれません。

もう1つの観点は、個人開発者が気軽にオンラインサービスの提供者になりえることです。自分で作ったサービスをホスティングなしで手軽に公開できるようになるし、何より面白いのは、それをApp Storeで販売することも可能になる点です。

クラウド提供事業者にとっては、ビジネスが競合するためにイノベーションのジレンマが生じます。どのタイミングでどのようにパーソナルサーバーとの差別化をクラウド側に盛り込んでいくのか、舵取りを迫られるかもしれません。

6 VRアプリが急増 ― VR apps surge

VR業界の主なマネタイズ手法は、開発したアプリをSteamやOculus Storeで売り切りで提供することでした。ただこの方法では、たとえば有名なゲームの開発などできれば一時的に収入は上がる一方で、安定して収入を得ることは難しいです。

Metaは2021年、Oculus Questプラットフォームの開発者向けにサブスクリプションでの課金の仕組みを公開しました。また、VR内への広告サービスを開始することも発表しています。

VRアプリのマネタイズ方法が増えることで開発者も増えることが予想されます。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:2020 AUGMENTED AND VIRTUAL REALITY SURVEY REPORT。2020年まではマネタイズ手法が確立されていない状況が伺える

VRアプリが増えることはとても楽しみですが、そうなった場合モバイルアプリにおけるApp StoreやGoogle PlayのようにVRプラットフォームが手数料を取るようになっていくのは間違いないでしょう。

各陣営でプラットフォーム競争が起こり、さらにはキラーアプリがすべてのプラットフォームで使えるようになることでEpic Gamesのようにアプリ側が強くなるという、モバイルアプリと同じ流れがVRアプリにも起きることが予想されます。

7 クラウドサービスの多層化 ― Overlay cloud service

クラウドサーバーが一般的になった現在、物理サーバーを触る人はほとんどいなくなってきました。今のクラウドサーバーはMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services(AWS)の3強体制が続いておりm大企業から個人開発者までこの3社のクラウドを直接契約しています。

しかし、それも少しずつ変化してきており、3強のクラウドよりも特化し、より使いやすいUIを備えたクラウドを提供するスタートアップも増えています。

フロントエンドのホスティングに強いVercelは、2021年6月にシリーズCラウンドで1億200万ドル(約113億円)、11月にシリーズDで1億5000万ドル(約171億円)の大型調達を立て続けに実施しており、静的サイトのホスティングに強いNetlifyもシリーズDで1億500万ドル(約119億8000万円)を調達しています。

開発者はこれらのサービスを使うことでMicrosoftやGoogle、Amazonと契約しない時代に差し掛かっています。

「ソフトウェア技術×スタートアップ」を軸に7つのキーワードでまとめた「MIRAISE TREND 2022」

出典:Global Cloud services Market Q1 2021。グローバルのシェアではAWS、Microsoft、Googleがトップ3の位置にいる

現在多くの開発者は、使いたいツールの制約によってクラウドを使い分けています。例えばベースはAWSだが、バックエンドにFirebaseを使いたいので部分的にGCPにしているようなケースです。

クラウドサービスの多層化とは、AWS、GCP、Azureといったベースクラウド層を隠蔽またはオーバレイする(自動振り分けする)レイヤーを意味します。そもそもツール(アプリ)の要請を受けて低レベルのクラウドを合わせるというのは技術的にはおかしな話です。

現在のプログラマーがメモリー管理を気にせずコーディングできるようになっているのと同様、レイヤーをまたぐような心配事が取り除かれていくことでアプリケーション開発に集中できるようになります。組み込み用途などを除きポインターを知るプログラマーが希少種になっているように、近い将来AWSを知らないウェブ開発者が増えていくかもしれません。

いずれにせよ、ウェブアプリケーション開発が複雑化するにつれて、クラウドオーバレイの要望は高まっていくでしょう。巨大なアプリケーションになると、自前でクラウドを持つ流れも起きています。DropboxもAWSから自前のクラウドへ移行したことで売上原価が大幅に改善しIPOに至った事例が代表的です。


画像クレジット:Vlad Deep ON Unsplash

なぜ女性ファウンダーは資金獲得に苦労しているのか?

2021年、女性のみの設立チームが獲得下ベンチャーキャピタル資金は全体の2%以下で、最近5年間の最低だったとPitchBook(ピッチブック)の最新データが示した。2021年に女性のみの設立チームが獲得した絶対的金額は前年より83%多かったが、これは米国のスタートアップ全体がこの年に記録的金額を集めたからである可能性は高い。

しかし、その高まった潮はすべての船を持ち上げたわけではない。女性のみの設立チームが獲得した資金のシェアは2年連続で減少したことをPitchBookは示している。

では、一体なぜ、近年のスタートアップへの出資ブームにも関わらず、ベンチャーキャピタル業界は、女性が資金調達するのが困難な場所になっているのだろうか。

先週、ベンチャー投資家のDel Johnson(デル・ジョンソン)氏は、近年、ベンチャーキャピタル業界には女性が増えているにも関わらず、女性のみの設立チームだけが、資金調達プロセスで不利な状況にあるのは事実なのか、そうであればなぜなのかを語り合う場をTwitterスペースでホストした。

ジョンソン氏が紹介したある説は「男性の影の実力者たちが、自分たちの家父長支配的偏見を共有する女性VCを選んで資金を提供する傾向が強いために、そうした偏見をもたない多くの女性が排除されている」というものだったと同氏がTechCrunchに書面で伝えた。簡単に言えば、女性VCは、男性の仲間たちと同様に男性ファウンダーを好む傾向にある、ということだ。

議論に参加し、その後TechCrunchと話した連続起業家のGentry Lane(ジェントリー・レーン)氏も、ベンチャー業界は本質的に女性に対する偏見が強いと信じている。Zoom(ズーム)などのオンライン対話のおかげで、トップクラスのVCがこれまでになく接触しやすくなっているのに、女性ファウンダーの調達資金シェアが増えるのではなく減っていることを、他に説明できるだろうか? これは「染み付いた女性蔑視」だとレーン氏はいう。彼女はベンチャーキャピタルの支援を受けている国家安全保障ソフトウェア会社、ANOVA Intelligence(アノーバ・インテリジェンス)のCEO・ファウンダーだ。

Twitter Spacesでの会話で浮上した説は他にもあった。VCは過小評価されているファウンダーを支援するためのイベントを主催するほうが、実際に資金提供するよりも気が楽なのだと、何人かの参加者が指摘した。投資家は小切手を書く代わりに、いわゆる美徳シグナリングに携わっている、と不満をつのらせた起業家たちは観察する。

さらにレーン氏は、プレゼンテーションと売り込み資料を「通常の人間的会話」よりも重視するVCたちの変わらない性分が、そうした経験が少ない傾向にある過小評価されたファウンダーに対してネガティブな影響を与え続けている、と指摘する。

投資ステージによる部分もあると、参加者たちは主張した。2021年のベンチャー投資全体の増加は、後期ステージラウンドが押し上げたものだが、そのステージは男性ファウンダーが支配する傾向が強い

さまざまな憶測が飛び交う中、PitchBookレポートには明るい兆しもあった。何かといえば、PitchBookのデータは、女性ファウンダーが少なくとも1名いるVCが支援する企業は、回数で2021年の全ベンチャー投資の25%以上を占め、総投資金額の17.6%を獲得したことを示している。このカテゴリーの大部分は設立チームに男性と女性両方を含んでいる。

アクセラレータープログラムOn Deck(オン・デック)のShriya Nevatia(シュリア・ネバシア)氏は、PitchBookのデータを楽観する理由に挙げ、女性ファウンダーを1人以上含む案件が最近増加していることをツイートで指摘した。「これは50%にかなり近い、2008年が11.8%だったことを思えば相当な早さです」とネバシア氏は書いた。

さらに彼女は「私たちは『今』前進しているところです、みなさんこの調子でがんばりましょう」とツイートした。

画像クレジット:Ponomariova_Maria / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Yazawa Ventures、女性起業家向けインキュベーションプログラム「アントレジェネレーター」採択企業発表

Yazawa Ventures、女性起業家向けインキュベーションプログラム「アントレジェネレーター」採択企業発表

独立系シードに特化したベンチャーキャピタル、Yazawa Venturesは1月17日、女性起業家を支援するインキュベーションプログラム「アントレジェネレーター」の3つの採択企業を発表した。このプログラムは、「世界に大きなインパクトを出せる事業創造に挑戦する女性」を対象に起業前後に出資を行い、専門家による起業講座やメンタリングを提供しつつ4カ月間でPMF(プロダクトマーケットフィット)を目指すというものだ。

採択起業は次の3社となる。

  • plusbase(代表:Wim.サクラ氏)
    医療業界には、もっとも就業者数が多い看護師の54%が抑うつ症状を訴えているという課題がある。これに対して、医療機関特化型メンタルサポートSaaS「+Nurse EAP」で解決を目指す
  • Josan she’s(代表:渡邊愛子氏)
    助産師、女性、家庭を結ぶマッチングサービスを展開。働き方に柔軟性がなく就業継続が困難な助産師に寄り添い、産前産後のお母さんの心身ケアを目指す。
  • Kaguya(代表:梶睦菜氏)
    メタバースで使えるバーチャル家具に特化したNFTマーケットプレイス「Kaguya」を展開。厳選されたアーティストやデザイナーの家具が購入できる。

Yazawa Venturesは、おもに働き方の改革を目指すスタートアップへの出資を行っている。投資領域は、「企業や組織の改革を目指すスタートアップ」と「個人の働き方の改革を目指すスタートアップ」とのこと。誰もが経済活動を楽しめるダイバーシティー性の高い社会を作る企業に積極的に投資、支援を行うとしている。

ディープテックに特化した欧州のファンド「Outsized Ventures」が約77.7億円のファーストクローズを完了

いわゆる「ディープテック」ベンチャーキャピタルは、ここ数年急速に関心を集めており新たなファンドがいくつも立ち上げられている。その多くがヨーロッパ市場に焦点を当てている。そこは多くの著名大学があるおかげもあり、才能とイノベーションの宝庫だからだ。

その1つで、ヨーロッパの新しいディープテックに特化したファンドであるOutsized Ventures(アウトサイズド・ベンチャーズ)は、6000万ユーロ(約77億7000万円)の初ファンドのファーストクローズを完了した。

新ファンドは「シード+」、すなわちシードラウンド直後あるいはシリーズA直前のスタートアップに焦点を合わせている。約25社に投資するのが目標だ。

Outsizedは2021年3月、Rodrigo Mallo(ロドリゴ・マロ)氏、Isabel Fox(イザベル・フォックス)氏、Lomax Ward(ロマックス・ウォード)氏(元Luminous VenturesおよびSOSV)の3人が設立した。目標は「科学とテクノロジーの限界を広げて健康、地球、および社会の未来に関わる世界最大の課題を解決するファウンダーたちを支援する」ことだ。

「私たちは以前から、優れた企業の次の波は、複数の科学的専門分野が交わるところに生まれ、ヨーロッパはその先端にいると信じてきました」とOutsized Venturesのゼネラルパートナー、イザベル・フォックス氏はコメントした。

同ファンドのリミテッド・パートナー(LP)には、富裕家族、エンジェル投資家、ヨーロッパのファウンダー、国際投資家、および経験豊富のテック・スタートアップ支援者などがいる。

Outsized Venturesのゼネラルパートナー、ロドリゴ・マロ氏が次のように付け加えた。「当社は私たちと同じくらい熱意をもつLPと、私たちが支援するファウンダーからなるすばらしいコミュニティを作りました。そこでは突飛なアイデアを巨大な企業へと発展させて、私たち全員にとって安全で清潔で健康で公平な世界を作ることができます」。

LocalGlobe(ローカルグローブ)の共同ファウンダーでOutsizedの新ファンドのリミテッド・パートナーの1人、Saul Klein(ソール・クライン)氏は次のように語った。「もっと多くの女性が科学とイノベーションのファウンダーや出資者になるよう奨励するためには、まだやるべきことがたくさんあります。この旅でIzzy(フォックス氏)を手助けして、ディープテックと先端技術の多様化をすすめる重要な取り組みで一緒に働けることを大変喜んでいます。私たちが力を合わせることで、イノベーションと科学をもっと多様でインクルーシブにすることに役立ちながら、大きなリターンを生み出すことができます」。

クライン氏は、父のRobin(ロビン)クライン氏とともに、Basecamp(ベースキャンプ)と呼ばれるシードステージファンドとマイクロファンドを支援するLPファンドを通じて投資した。ちなみに同じ名前の有名なスタートアップとは無関係だ。

Lux Capital(ラックス・キャピタル)の共同ファウンダーベンチャーパートナー、ヘルスケア起業家でOutsizedのシニアアドバイザーでLPのRobert Paull(ロバート・ポール)氏は次のように語った。「Outsized Venturesには、ヨーロッパで次の偉大なベンチャーキャピタルになる素養があります。私は彼らが会社を立ち上げ、投資先企業を支援する手助けができることを大変喜んでいます、米国市場への拡大は特にそうです」。

ファウンダーは、アーリーステージでは特に、誰をキャップテーブルに載せるか(株主にするか)の選択を迫られることがよくある。VCは往々にして、この大切なキャップテーブルに入ろうとして無茶な約束をする。そこでOutsizedは、「Equity Back Guarantee」と呼ばれるものを導入した。これは、もしOutsized Ventersが約束していたのと違う何かになったとき、ファウンダーは3カ月以内に現金を返して株式を取り戻せるというものだ。

Outsized Venturesのゼネラルパートナー、ロマックス・ウォード氏はこう話す。「何かを売り間違えたら返金できます。これは商品でも食事でも休暇でもそうです。ベンチャー・キャピタリストもそうあるべきです。要するに、ファウンダーが持っている一番大切なものは株式であり、もし私たちができない約束をして株を買ったのなら、ファウンダーは買い戻すことができます。それがフェアというものです」。

興味深いイノベーションであることは間違いない。Outsizedがこのメッセージを十分大きな声で届けられれば、何人かのファウンダーを振り向かせられるかもしれない。

画像クレジット:outsized.vc

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ベンチャーキャピタルのデータ会社「Dealroom」が約7.8億円のシリーズAを調達

ヨーロッパのスタートアップで、ベンチャーキャピタルのデータ会社であるDealroom(ディールルーム)が、600万ユーロ(約7億7600万円)のシリーズAを調達したと、TechCrunchに語った。

同社は2020年初頭に275万ユーロ(約3億5500万円)を調達して以来、約2年での新たな資金調達となる。同社のデータベースは、PitchBook(ピッチブック)、CB Insights(CBインサイト)、そして私の元勤務先Crunchbase(クランチベース)など、北米の多くのライバルと競合している。

シリーズAはBeringea(ベリンジア)が主導し、以前同社に投資していたKnight Venture Capital(ナイト・ベンチャー・キャピタル)とShoe Investments(シュー・インベストメント)も参加した。このラウンドをよりよく理解するために、TechCrunchはDealroomの創業者でCEOのYoram Wijngaarde(ヨラム・ワインガールデ)氏にいくつかの質問を投げかけた。

Dealroomのビジネス

このスタートアップは、公開スクレイピングやパートナーシップを通じて、非公開の市場企業のデータを収集している。そして、そのデータをクリーニングし、同社のソフトウェアにかけることで、Dealroomの言葉を借りれば「実用的な予測を明らかにする」のである。

つまり、Dealroomはデータ収集、クリーニング、合成の3つのパートが連動している。

世界中に溢れかえる資金調達イベントに対応するために、より多くの資本が必要なのはわかるだろう。実際、Dealroomのような企業は、好景気のような波に乗りつつある。彼らの中核的な市場であるプライベート・コーポレートは急速に拡大しており、スタートアップゲームに参加している多くの企業が潤っている。そのため、Dealroomは多くの仕事を抱えており、また、それを売る相手もたくさんいる。

同社のビジネスには、企業や政府の顧客にAPIを提供したり、SaaSベースでプラットフォームへのアクセスを販売するなど、いくつかの方法で収益を上げている。また、同社は顧客調査も行っている。ワインガールデ氏によると、政府系APIの顧客は50社で「(同社の)収益の約3分の1を占めている」という。

より一般的には、同社の「収益ミックスは、投資家、B2B企業、政府の間でほぼ3等分されている」と、そのCEOは述べている。つまり、Dealroomの収益は一本足ではなく、3つの異なるグループが同社の提供するものを購入している。

Dealroomとそのライバルにとって好調な時期であるという話に戻ろう。Crunchbaseによると、Dealroomは2021年、およそ3800万ドル(約43億4100万円)のARRに達する見込みだ。Dealroomの収益の大部分を政府が占めているという事実は注目に値する。政府は、世界中に均等に広がっていくにつれ、スタートアップのゲームに注目し、地元の市場や周囲の市場をよりよく理解するために、喜んで支出をする。

資本面では、TechCrunchはワインガールデ氏に、同社がわずか600万ユーロ(約7億7600万円)しか調達できなかった理由を尋ねた。今日の市場において、これは控えめなラウンドだ!

ワインガールデ氏は、Dealroomが「ビジネスの必要性」と「資本の利用可能性に基づいて(自分たちを)あまり先取りしたくなかった」という事実の両方に基づいて、新しいラウンドの「サイズ」を決めたと述べた。また、Dealroomが「幸運にも、健全な資本効率と結びついた強力な成長収益を持っている」と付け加えた。このことは、短期的な資本増強の必要性、ひいては希薄化を抑制する。

次はどうなる?

Dealroom、Crunchbase、その他データゲームに関わる企業は、データを持つこと、データを収集すること、などデータに関して非常に優れている。Dealroomが、今後そのデータでやりたいことは、データをより賢く活用することだ。ワインガールデ氏は、今後の展望として「プラットフォームの予測能力を拡大し、顧客がより早い段階で有望企業を発見できるようにすることに重点を置いています」と答えた。

もし、それを実現できれば、同社は、少なくとも投資家向けに、価格設定ページにゼロを追加することができる。私が働いていた別の会社、Mattermark(マターマーク)は、同じようなものを作りたがっていた。これは、大きくて難しい問題で、正確で分刻みのデータを大量に必要とする。

長くなる前に、TechCrunchはデータ収集ビジネスにおけるある仕組みをもっと理解したいと思った。そこで、Dealroomに、データ収集とキュレーションを収益コストとしてカウントしているのか、それともマーケティング運用コストとしてカウントしているのかを尋ねた。ワインガールデ氏の返事は以下の通りだ。

データ収集は、一部は収益コストとして、一部は製品開発費として(営業費用に)計上しています。また人間主導の研究も多く、これは収益コストに計上されていますが、多くのコンテンツマーケティングを生み出していることから、マーケティング・コストと見ることもできます。

答えは、両方であることがわかった。このミックスをもっと理解したいし、プライベートマーケットデータビジネスの企業の1つが株式公開を申請すれば、もっと理解が深まるに違いない。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wihelm、翻訳:Yuta Kaminishi)

【TC Tokyo 2021レポート】ポッドキャストとVCの表裏一体で活躍するハリー・ステビングス氏は世界中の有望企業に目を向ける

先に開催された「TechCrunch Tokyo 2021」。「海外スタートアップトレンド解説」のセッションには、10万人以上のリスナーを持つ世界最大の独立系VCポッドキャスト「The Twenty Minute VC」の創設者でホストのHarry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏が登場した。モデレーターは米国を中心にスタートアップやテクノロジー、VCに関する最新トレンドなどを配信する「Off Topic」を運営している宮武徹郎氏が務めた。

冒頭でステビングス氏を「ポッドキャストのホスト」と紹介した。同氏のポッドキャストには多数のVCや起業家がゲストとして出演し、特に起業家に人気がある。しかし同氏にはポッドキャストのホスト以外にもう1つ、「20VC」というマイクロVCを立ち上げた投資家の顔もある。VCポッドキャストのホストとして人脈を広げ情報を集めて発信し、自身も投資をする同氏は「20VCをメディア性のある一流金融機関に育てたい」と言う。このセッションでは、メディアとVCの両面から同氏に話を聞いた。

VCを目指す道のりは50ドルを投じたポッドキャストから始まった

ステビングス氏は、Facebookの創業を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」でファンドのシーンを見て「VCに一目惚れした」という。18歳の時にロンドンでベンチャー投資家を目指してポッドキャストの「The Twenty Minute VC」を開始。つまりポッドキャスト配信者からVCになったのではなく、VCを目指してポッドキャストを始めたのだ。

ポッドキャストを始める際に投じた金額は50ドル(約5600円)。マイクに40ドル(約4500円)、ドメインに10ドル(約1100円)を支払って配信を始めた。その後7年間で、3000回の配信、ダウンロード数は1億8000万回を超え、月間では2500万回のポッドキャストへと成長した。そしてVCとしては、2021年6月にファンド2社で1億4000万ドル(約159億円)の資金を調達した。

ポッドキャストとVCという戦略について、同氏は次のように語った。「投資家が乱立しているため、優れた投資先の獲得にはブランド戦略が欠かせません。VCは上場株取引とは違います。いい株を選ぶだけではなく、取引に勝つ力が必要です。だからブランド力は欠かせないのです。そして取引では人間関係も重要です。ポッドキャストは親密で深い関係性を築けます。だからこそブランド構築と差別化を念頭に置き、番組を立ち上げて熾烈な競走を勝ち抜こうとしたのです」。

ガイ・カワサキ氏出演で弾みがついた

そうは言っても、いきなりブランド力のあるポッドキャストになるはずはない。宮武氏は「あなたは米国IT業界とのつながりは薄かったはずなのに、初回のGuy Kawasaki(ガイ・カワサキ)氏をはじめとする出演許可はどのように取り付けたのですか?」と尋ねた。

これに対しステビングス氏は「コネはありませんでしたね。VCにもIT起業家にも、知人は皆無でした。そこでガイ氏の本を3冊読んでから、依頼のメールを出しました。『287ページにはどんな意味が? 294ページの具体例は?』と。すると、いい着眼点だと返事が来てぜひ話したいと言われたので『では番組でお話を』と。世間に認められるにはそれで充分でした。それ以降の方々にはガイ氏との実績を上げて出演交渉をしました。うまく弾みがつきましたね。こんなふうに初回にガイ氏をお呼びできてとても嬉しかったです」と答えた。その後はガイ氏をはじめとする出演者に次のゲストを推薦してもらい、人脈を築いている。

人気ポッドキャストの秘訣は品質への意識と念入りな準備

宮武氏が番組の人気を高める苦労を質問すると、ステビングス氏は品質への意識を挙げた。出演の売り込み依頼に応じたことは一度しかなく、収録したものの出来が悪くお蔵入りにした回もあるという。「依頼に応じてもそれで質が上がるとは思えない。ポッドキャストは僕の製品です。出演者と僕自身のためにも最高の番組だけを目指しているのです」(ステビングス氏)。

番組の品質のためにはもちろん準備が必要で、「事前に膨大な調査をしています。関係者にも話を聞きますね。この準備が鋭い質問の礎となり、人脈も深まります。だから念入りに調査をするのが大切です。誰よりも入念にね」と同氏は説明する。

「僕は世界の一流起業家と働くためにメディアを使う」

セッションはこの後、ステビングス氏のベンチャー投資家としての意見に話が及んだ。

ラストワンマイルの食品配達市場について同氏は、欧米では顧客獲得費の高騰、運転手の高額な人件費、注文額の低さという重大な課題があるのに対し、新興国市場ではこうした課題はないとした上で、「この分野では現金が企業を守るため、資金力が潤沢なGopuffが米国を、Getirが英国を制するでしょう」と述べた。

新興国市場の話が出たことから「あなたの投資範囲は世界中に及びますが、強く関心を寄せる地域はありますか?」と宮武氏に問われ、同氏は次のように述べた。

「僕は世界中の優れた起業家に投資します。いま注目すべきは、世界中に人材が分散していることです。勢いはコロナ禍で増している。僕は世界の一流起業家と働くためにメディアを使います。メディアは僕の事業の看板なので極力大きくしたい。番組の力で20VCの存在感を高めるのです。だから地理的な好みはありません。Zoomの世界ではそれがいっそう重要です。これまでは地域による優位性がありましたが、今はZoomで誰にでも会える。ラテンアメリカが良い例です。ラテンアメリカでの出資先獲得競争は激しさを増すばかりです。状況は一変しますよ。業界を根底から革新する、世界の一流企業を支援できます。僕は事業の地域性を重視しませんが、他の方はそうではないようです。事業の成長に地域との関連性を見出して『やはり重要だ』と思うとしても、その関連性を証明する明白な証拠はなく、正解の可能性も、思い違いの可能性もあります。だから僕はただ、世界の一流企業を峻別する転換点に立っていたい。必ずパートナーに選ばれるようにね。頼もしい協力者でありたい。それだけが僕には重要です」。

起業家から雑談を持ちかけられると嬉しい

ステビングス氏のポッドキャストでは一問一答で番組を締める。それにならって宮武氏も、このセッションの最後に短い質問をいくつかした。「助言者から得たアドバイスは?」という質問に対し、ステビングス氏は以下の3つを挙げた。

「交渉において公平さに勝る武器はない。公平でいれば後ろめたさと無縁なので、交渉中も強い自分を保てます」

「限界を人に測らせないこと。限界がわかるのは自分だけです。しかも自分自身でさえ実力を侮りがちだ。粘り強く頑張ること」

「最後の大切な教えは、どんな時も状況はさほど悪くないこと。強く前を見て歩きましょう」

そして「投資家になって良かったと思うこと」については「僕はかなり顔の広い人間だと思います。知り合いが多く、人の話に耳を傾ける。だから夜中に起業家から電話があって雑談を頼まれると嬉しいですね。起業家が僕を頼ってくれる。僕は彼らの戦友だ。そうやって彼らを支えます」と、ポッドキャストとVCの両面で活躍する同氏ならではの答えが返ってきた。

TechCrunch Tokyo 2021は、12月31日までアーカイブ視聴が可能だ。現在、15%オフになるプロモーションコードを配布中だが、数量限定なのでお早めに。プロモーションコード、およびチケット購入ページはこちらのイベント特設ページからアクセス可能だ。

【TC Tokyo 2021レポート】投資の民主化はスタートアップの成功とイノベーティブな未来につながる

12月2日から3日にかけてオンラインで開催されたスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」。1日目午前10時50分にスタートしたセッション「多様化する資金調達」では、開かれた投資のチャンスを提供するRepublicのCEOであるKendrick Nguyen(ケンドリック・グエン)氏が登壇し、さまざまな階層の人が投資することの意義について解説した。モデレーターはOff Topicを運営する宮武徹郎氏が担当した。

米国で投資できるのは億万長者の特権だった

グエン氏は、証券訴訟担当の弁護士としてキャリアをスタートした。その後、スタンフォードのロースクールとビジネススクールで短期間学び、VCやエンジェル投資家向けウェブサイトを運営する米国のスタートアップAngelListに参加した。

「日本には、信用投資家という定義がなく、言ってみれば誰でも民間企業に投資できる。米国の事情についてに教えて欲しい」という宮武氏の問いに「認定投資家は億万長者でなければなれない」とグエン氏は答える。

「自宅を除いて、少なくとも100万ドル(約1億1300万円)の資産があるか、ここ数年の収入が25万~30万ドル(約2800万〜3400万円)あることが求められる。なぜなら、可処分所得が十分にある富裕層なら、投資についても十分な知識があるだろう、という前提のもとに法律が作られているからだ」とグエン氏。

しかし、グエン氏は「投資は誰にでも、しかも賢くできるものだ」という考えを示す。

そして、2016年の法改正を受けて同氏はRepublicをスタートした。これは、資産や収入の多少に関わらず、投資を行えるプラットフォームで、投資先は初期段階のスタートアップからSpaceXのような後期段階のものまで、またテクノロジー、暗号資産、不動産、音楽、映画などジャンルも多岐にわたる。

なぜこれだけさまざまな分野のスタートアップや投資先を揃えているのだろうか。グエン氏は「Republicの目標は、何かに興味を持っている人がそれにかなう投資先をRepublicで見つけられるようにすること。自分がワクワクするものに、いくらでも投資できるようにしたいのだ」と説明した。

同様のプラットフォームが台頭してきたことについては「脅威だと感じない」という。

「むしろ。少額でも投資できることを知らない人がほとんど。同じ目標を持つ、他のプラットフォームも、彼らに対してリーチし、彼らを教育するのに資する。自分たちでも投資に参加できる、と理解した人が、どのプラットフォームを使うかは彼ら次第だろう。地元スーパーで買い物をするのか、Amazonを使うのかはユーザーに任されている。それと同じで、自分たちのお金をどう使うかは、彼らが決定することなのだ。製品の特性や、バックにいるチームの違いを理解して、どこを使うかを決めるのは顧客なのだ」とグエン氏は語る。

宮武氏が、すべての人に投資の門戸を開いたという意味で、グエン氏を「投資の民主化運動のリーダーの1人だ」と紹介したのも納得だ。

個人のファンがコミュニティとなり熱意を持って投資する

投資にはリターンへの期待がつきものだが、グエン氏は「Ownership(所有権)に関する変化が見られる」という。それは「Ownership Economy(所有型経済)という造語で表現されており、情熱的に支持するもの、アートや、新しいテクノロジーなど何でも含まれるへ、自分たちのお金を投資することで、その成功を共有したいという考えだ」と説明する。

グエン氏は「もしかしたら5ドル(約570円)、10ドル(約1130円)といったリターンがあるかもしれないし、もっと多いかもしれない。しかし、それよりも、自分たちを取り巻く世界に関心を持ち、それを変えるものに自分が関わりたい、という情熱が所有型経済という形になって現れている」という。

このような投資という行為が民間に浸透することを「Retail penetration(小売浸透)」または「Retail Revolution(小売革命)」と呼ぶ。「民間市場やその周辺が民主化されている段階だ」とグエン氏。「また、これまで存在しなかったようなバリエーション豊かな投資商品が生まれてくると予想している」。

投資の民主化(一般の人が投資できるようになること)が生じると、事業が軌道に乗る前であっても、ファンとなる人は投資をしたいと考えるようになる。製品(有形無形問わず)のリターンがなかったとしてもだ。

そして、リターンがなかったとしても、それだけ受け入れられているということは「プロダクトマーケットフィットを意味しているため、ネガティブな要素になりえない」とも付け加えた。

グエン氏はそれらを「共有経済としての起業家精神の台頭のようなものだ」という。起業家本人や投資家だけでなく、従業員、顧問、顧客など、ステークホルダーとなる人たちの誰もが株主になれるようにすべきだと。「UberやAirbnbは、IPO(新規上場)する前に、ユーザーやドライバーが投資できるよう、SEC(証券取引委員会)掛け合ったが、現行法で対応するように言われてしまった。でも、今なら関係しているすべての人が早期に投資できる製品がある」。そして「今後数年のうちに、それが主流の認識となるだろう」とも語った。

これは、起業家にとって、何を意味するようになるのだろうか。

投資が民主化されることで起業家の成功も容易に

起業家が資金を調達するには、以前であれば借金、株式投資のいずれかの方法しか取れなかった。しかし現在では「ベンチャー債務、個人投資、収益分配(レベニューシェア)、あるいはそのビジネスの健全性いかんで、その他の資金調達法がある」とグエン氏。「10年前の世界に比べて、今は会社を成功させるのがずいぶん簡単になっている」という。

投資の民主化が起きることにより、ファンコミュニティから投資を受けられる他「名高いトップVCではなくても、莫大な価値をもたらす投資家が生まれてきている」とグエン氏は語る。

それは、トップインフルエンサーと呼ばれる人たちの集団だ。それは、人気歌手や映画スター、スポーツプレイヤーやエンターテイナーなど、大勢のフォロワーを持つ人たちだ。

「莫大な展開力を持つ彼らは、企業が人々にリーチするのを助けられる」とグエン氏。あくまでも、例えとしてビヨンセの名前を挙げつつ「もし、ビヨンセがある会社に投資するたびに、なぜ投資したいと考えたかをファンに共有したら、どうなるだろうか。彼女のファンのうち、わずか1%が100ドル程度を同じ会社に投資したら?その会社は、ベンチャーの一部の大手企業よりも強大な力を発揮するようになるのではないだろうか」と問いかけた。

「しかも、彼女は、莫大な展開力という能力を持つトップインフルエンサーの1人に過ぎない。これは、まだまださまざまなイノベーションが生じる可能性があることを意味している」とグエン氏はいう。

テクノロジーとアート、両端のニーズにもかなった個人投資

では、実際にRepublicを使って資金調達を成し遂げたどのような例があるのだろうか。それについて尋ねられたグエン氏は「Gumroadという企業と、Lil Pumpというミュージシャンの例が思い浮かぶ」と答えた。

Gumroadは、音楽や動画、イラストといったデジタルコンテンツを販売できるプラットフォームで、決済システムも提供している。創業者はSahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア)氏だ。

シリーズCとなる資金調達では、80%を個人投資家から、残りの20%をいくつかのVCやNaval Ravikantのような有名なベンチャーキャピタリストから調達した。

関連記事:富裕層以外の投資家にも道を開くエクイティクラウドファンディングをメインストリームに押し上げたいGumroad 

100ドルから投資できるとあって、7000人以上がエクイティクラウドファンディングに参加。100ドル、500ドル(約5万6800円)、1000ドル(約11万3500円)といった、投資家から見れば少額投資であったが、総額の80%である500万ドル(約5億7000万円)を、わずか1日で調達することに成功した。

Lil Pumpは、ラッパーだ。彼のYouTubeチャンネルの登録者数は1770万人。Soul ja Boyという、有名なラッパーとコラボした新曲のために資金調達を行い、2時間で50万ドル(約5700万円)の調達に成功した。「曲がヒットすれば、収益の一部がセキュリティNFTを通じて還元されるだろう」とグエン氏は付け加えた。

「一方はテクノロジー、他方は情熱的なファンド投資。この2つが融合し重なり合っているし、これからそれは顕著になるだろう。これは、投資の未来を象徴するものだと考えている」という。

未来を変えるお金に変える

Republicは、米国で生まれたサービスだが、世界のどの国からでも投資可能なプラットフォームだ。とはいえ、日本ではRepublicを通じて米国のスタートアップ企業に投資できることはあまり知られていない。

そこで、宮武氏は最後に投資の民主化の未来がどのようになるかといった展望や、東京の起業家たちやこの新しい方法での投資に少しの抵抗感を抱く投資家たちへのアドバイスを求めた。

起業家に対しては「コミュニティを制する者が、その業界を制することを知っておいて欲しい」とグエン氏。

「コミュニティを成長させ、構築するには彼らが投資できるようにするのが最良の方法。エクイティであれトークンモデルであれ、コミュニティにインセンティブを与え、ともに道を歩けるようにする必要がある。これにより、誰もが知るブランドを構築できる」とグエン氏。

また、投資家に対しては「あなたの投資するお金が未来を変える」ときっぱり。

「自分の信念に従って投資して欲しい。投資について本で学ぶだけでは不十分。実際に参加することで、大きな学びが得られる。ただし、大金は投じないように。失ったとしても問題ない額、5ドル、10ドル、20ドルで構わない。

投資のために使うのは、Republicでも他のプラットフォームでもいい。情熱をもって行った投資が、数世紀後の世界経済とイノベーションに貢献することを願っている」と締めくくった。

Walden Catalystがディープテック系スタートアップに投資する約628億円のファンドを設立

Walden Catalystの創業者(左)リップ・ブー・タン氏と(右)ヨン・ソーン氏。

過去20年間、ディープテック(世界を変えるようなビジネスを構築するための科学技術関連のブレークスルー)からの資本の逃避が続いていると、Walden Catalyst(ウォールデン・カタリスト)は述べている。このベンチャーキャピタル(VC)は、データを「燃料」、AIを「エンジン」として、それらが人々の生活、仕事、遊び方を変革する能力を信じている。

Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏とYoung Sohn(ヨン・ソーン)氏は、アーリーステージのディープテック企業、具体的にはビッグデータ、AI、半導体、クラウド、デジタルバイオロジーなどに投資するためにこのファンドを設立したと、Walden Catalystのマネージングパートナーであるソーン氏はTechCrunchに語っている。

サンフランシスコを拠点とするこのVCは、米国時間11月1日、申し込み過多となった5億5000万ドル(約628億円)のファンドのクロージングを発表した。同VCは、リミテッドパートナーの名前を公表していない。

半導体、クラウド、エレクトロニクス業界全体で実績のあるソーン氏とタン氏は、Zoom(ズーム)、Inphi(インフィ)、Berkeley Lights(バークレーライト)、Habana(ハバナ)、Nuvia(ヌビア)など、多くのテック企業に初期投資を行ってきた。

「Walden Catalystは、2021年初頭に設立された新しいファンドですが、Walden International(ウォールデン・インターナショナル)やSamsung Catalyst Fund(サムスン・カタリスト・ファンド)からの強力な遺伝子があります」。と語るのは、以前、Samsung Electronicsでコーポレート・プレジデント兼チーフ・ストラテジー・オフィサーの役職に就いていたソーン氏だ。タン氏は、Walden Internationalの創業者兼会長でもある。

Walden Catalystは、米国、欧州、イスラエルに焦点を当てている。これは、これらの3つの地域から、関心のあるディープテック分野で一貫したブレークスルーが見られるからだとヨン氏はいう。また、Walden Catalystのパートナーは、過去数十年にわたってディープテック産業に投資してきたことで、これらの国に深いネットワークを持っており、Waldenがトップの起業家を惹きつける画期的なアイデアを見つけるのに役立っているとヨン氏は付け加えた。

現在までに、Walden Catalystは、米国で3社、イスラエルで2社、EUで1社の計6社のディープテック関連のスタートアップ企業に投資している、とヨン氏は続けた。Walden Catalystのポートフォリオ企業には、Speedata(スピーダータ)、MindsDB(マインズDB)、AI21 Labs(AI21ラボ)の他、現在ステルスモードの他3社が含まれていると述べている。同社の最初のチケットサイズは、1ラウンドで数百万ドル(数億円)から2500万ドル(約28億5000万円)までとなっているとヨン氏は語った。

「データは絵を描きます。それは、情報を提供し、啓発するストーリーを語るものです。世界のデータ量は2年ごとに倍増し続けていますが、分析されているのは全データの約2%に過ぎず、意味のある洞察を集めるためにできることはたくさんあります。データの爆発的な増加を捉え、最終的に世界を変えるであろう、米国、欧州、イスラエルの次世代のディープテック起業家たちと協力できることに、私たちは興奮し、光栄に思います」。とソーン氏は述べている。

Shankar Chandran(シャンカール・チャンドラン)氏、Roni Hefetz(ロニ・ヘフェッツ)氏、Francis Ho(フランシス・ホー)氏、Andrew Kau(アンドリュー・カウ)氏の4人の追加パートナーによるチームは、ディープテック分野での投資やエグジットに関して数十年の経験を有している。

Walden Catalystは、事業運営と投資の経験を活かして、初期段階の起業家が次世代のビジネスを構築する際に、迅速なスケールアップとイノベーションを支援することを目指している。同社は、起業家こそが経済成長とイノベーションの中心であると考えている。

「私たちは、業界の次の波を担う夢想家たちと協力して、彼ら(起業家)がイノベーションを起こし、成長を加速するのを支援できることを楽しみにしています。起業家は我々の未来のエンジンであり、Walden Catalystはその旅を共有し、まだ到来していない多くの驚くべきブレイクスルーを支援するために設立されました」とタン氏は述べている。

Walden Catalyst は、国連の持続可能な開発目標に沿ったグローバルな課題に取り組む起業家を対象としたスタートアップコンテストであるエクストリーム・テック・チャレンジ(XTC)と密接な関係にある。Walden Catalystは、地球に意味のある影響を与えながら大規模なスケールに到達できる、次のすばらしい破壊的スタートアップ企業を見つけるというXTCのミッションを共有している。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

そのうち「国内VCトレンド解説」をテーマにしたセッションでは、エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパンのDavid Milstein氏、インキュベイトファンドの村田祐介氏、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏の3名が登壇する。

David Milstein氏(エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパン Managing Partner/Head of Japan)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

David Milstein氏(エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパン Managing Partner/Head of Japan)

エイトローズ・ベンチャーズ・ジャパンは、アジア、ヨーロッパ、イスラエル、米国などに投資するチームを抱えるエイトローズ・ベンチャーズの日本法人。同社では、テクノロジー、フィンテック、ヘルスケア、最先端技術の4つの投資領域で、日本の野心的な創業者への投資を実施している。

Managing Partner/Head of JapanのDavid Milstein氏は、1995年よりM&Aコンサルティング会社を起業し、テクノロジー、金融系企業の買収のアドバイザリを行う。2000年、フィデリティ・ベンチャーズ日本オフィス代表として主に国内IT企業のベンチャーキャピタル投資と海外投資先企業の日本市場へのエントリ支援を行う。

2003年から、ウォルト・ディズニー・ジャパンの日本・アジアパシフィックにおける事業開発のコンサルティングに従事。2005年ウォルト・ディズニー・ジャパン入社。ディズニー・モバイルの携帯電話サービスを開始の責任者として事業計画からオペレーションを統括。2010年、ディズニー・インタラクティブ・メディア・グループ ゼネラルマネージャーに就任。

2012年4月よりフィデリティ・キャピタル・マネジメント日本支店(現Eight Roads Ventures Japan)の代表を務める。米国ペンシルバニア大学卒業。ハーバードビジネススクールにてMBA取得。

村田祐介氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

村田祐介氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)

インキュベイトファンドは、創業来総額620億円以上の資金を運用し、関連ファンドを通じて400社以上のスタートアップへ投資活動を行うなど、プレシードおよびシードステージといった創業初期への投資に特化したベンチャーキャピタル。また、より創業期に近い起業家との接点として、2010年からシードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp」を運営している。

代表パートナーの村田祐介氏は、2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ(現:大和企業投資)へ入社。2008年より同社ネット系スタートアップの投資責任者を務めた後、2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。2015年より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)企画部長を兼務、その他ファンドエコシステム委員会委員長やLPリレーション部会部会長などを歴任している。

高宮慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

TC Tokyo2021「国内VCトレンド解説」セッションにエイトローズDavid Milstein氏、インキュベイト村田祐介氏、グロービス高宮慎一氏登壇

高宮慎一氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

グロービス・キャピタル・パートナーズは、創業段階および成長段階の起業家・スタートアップ企業に、事業資金の提供のみならず、企業成長のために必要となる「ヒト(人材)」「カネ(資金)」「チエ(経営ノウハウ)」 を総合的に支援する日本初の本格的ハンズオン型ベンチャーキャピタルとして1996年に設立。

代表パートナーの高宮慎一氏は、Forbesベンチャー投資家ランキングにおいて2018年1位、2015年7位、2020年10位を受賞。投資先に社外取締役として参画し、ハンズオンで事業成長を支援。アーサー・D・リトル、ハーバードMBAを経てGCPに参画。東京大学経済学部卒。

投資先実績は、IPOではアイスタイル、オークファン、カヤック、ピクスタ、メルカリ、ランサーズなど。M&Aについてはしまうまプリントシステム、ナナピ、クービックなどがある。アクティブな投資先は、ビーバー、タイマーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アル、MyDearestなど。

「TechCrunch Tokyo 2021」は、すでに参加者チケットを発売中だ。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。本講演は英語でのセッションとなるが、日本語の字幕が入る。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

Best Buyがマイノリティ創業者の支援を専門とするVCに最大約11億円を出資

Brown Venture Groupのマネージングパートナーであるクリス・ブルック氏、パートナーのJerome Hamilton(ジェローム・ハミルトン)氏、パートナーのChris Dykstra(クリス・ディクストラ)氏、マネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)氏。ミネアポリスにあるオフィスの外で

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏殺害を受けて、Best Buy(ベストバイ)は2020年夏に有色人種コミュニティのサポートを「さらに推進する」ことを約束した。過小評価とテクノロジーの不平等の問題にこれまで以上に取り組むというBest Buyが自らうたったミッションの一環として、同社は米国8月5日、Brown Venture Group(ブラウン・ベンチャー・グループ)に最大1000万ドル(約11億円)を投資すると発表した。

ミネソタ州を拠点とするBrown Venture Groupは「先端テクノロジー」を手がける黒人、ラテン系、先住民のテックスタートアップに特化して支援することを約束している創業3年のベンチャーキャピタル会社だ。Crunchbaseのデータによると、2020年の資金調達総額のうち黒人とラテン系のコミュニティが獲得した資金はわずか2.6%だった。

Brown Venture Groupは5000万ドル(約55億円)を目標とするの第1号ファンドの資金調達を行っていて、同社幹部によると目標額の75%は目処がついている。これは、ミネアポリスを拠点とするBest Buyの「最大1000万ドル」投資するという約束がBrown Venture Groupが調達する資金の最大20%を占め、これによりBest Buyがこのファンドのリーディングパートナー(LP)になるかもしれないことを意味する。

Brown Venture Groupの共同創業者でマネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)博士は、自身と共同創業者のChris Brooks(クリス・ブルック)博士が会社設立の初期に「複数の地元の人」から「資金はすべて海岸側にある」ためツインシティーズ(ミネアポリス・セントポール都市圏)を去るべきだと言われた、と話した。

「ごく初期段階に、我々はツインシティーズにとどまり、ツインシティーの物語にすると固く決心しました」とキャンベル氏はTechCrunchに語った。「ですので、ツインシティーズのエコシステムについて、そして誰に当社のリードLPになって欲しいかを考えたとき、Best Buyがリストの一番上にきました。Best Buyが当社のファンドのリードLPとなることに勝る喜びはありません」。

この件について2020年の売上高が470億ドル(約5兆1800億円)だったBest Buyは、今回の動きは「資金へのアクセスやテック産業における次世代サポートの欠如など、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)起業家が往々にして直面する組織的な障壁をなくす」ことをサポートするのが目的だと述べた。

また「Brown Venture Groupとの提携では、テクノロジースタートアプ分野をより包括的で多様なサプライヤーの強固なコミュニティを作り出すものにすることに向けて取り組む」と同社は付け加えた。

Best Buyのファンド出資の発表と併せて、Best BuyとBrown Venture Groupは教育、メンター制度、ネットワーキング、資金へのアクセスを通じて若い起業家の成長をサポートすべく、Best Buy Teen Tech Centersで起業家プログラムを共同展開することも明らかにした。

代表者らの「包括的な」皮膚の色を示すためにこの社名を選んだBrown Venture Groupは、これまでのところクリーンエネルギースタートアップEcolution kwhを含む5社に投資した。

1000万ドルという出資額は2020年の売上高が470億ドルという企業にとってはわずかなものにみえる。Best Buyはこのイニシアチブは同社がBIPOC企業をサポートしようとしているいくつかの取り組みの1つにすぎないと話す。その他の取り組みには、BIPOCの学生のための大学進学と就業の機会を増やすために4400万ドル(約48億円)を拠出する計画や、2025年までにBIPOCと多様性がある企業に少なくとも12億ドル(約1320億円)を注ぐという約束が含まれる。同社はまた、2025年までに時間給ではない3つの新たな業務の1つをBIPOC従業員に任せ、テクノロジーチームで1000人を新規雇用し、うち30%を黒人、ラテン系、先住民、女性など多様な人材とする、と述べた。

「BIPOCの起業家が直面してきた困難を解決するために意義ある行動を起こすことを約束します」とBest BuyのCEO、Corie Barry(コリー・バリー)氏は声明文で述べた。「今回のような提携を通じて、もしかすると将来Best Buyのパートナーになるかもしれないテック産業における多様な革新者たちの、これまでよりも強固で活気のあるコミュニティの構築をサポートすることで問題解決に着手できると確信しています」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Best BuyVC投資マイノリティ

画像クレジット:Brown Venture Group

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始

ANOBAKA(アノバカ)は8月2日、愛知県のインキュベーションプログラムの一環として、「AICHI STARTUP BRIDGE」のプログラム運営者に採択されたと発表した。ANOBAKAが持つ投資家のネットワークを活かし、同地域が課題とする、首都圏VCと愛知県の関係構築、スタートアップへの資金調達機会を提供する。

AICHI STARTUP BRIDGEプログラムの特徴は、首都圏のVCが愛知県とパートナーシップを結ぶ「Aichi Partner VC」の仕組み。今回はANOBAKAを中心に全13社がパートナーとなり、勉強会やピッチイベントを通じて、同地域のスタートアップ投資をサポートする。起業家はこれまで同地域で不足していた資金や経営ノウハウを共有できるほか、VC各社にとっては、新しい起業家の発掘・育成につながるとしている。

「AICHI STARTUP BRIDGE」概要

  • 実施内容:資金調達や起業に関する勉強会、シード期・シリーズAのスタートアップを対象としたピッチイベント、投資家・事業会社とのマッチング機会の提供、Slackコミュニティへの招待など
  • 開催日程:2021年8月~2022年3月
  • 特設サイトhttps://aichistartupbridge.com/

「Aichi Partner VC」一覧

  • iSGSインベストメントワークス
  • アプリコット・ベンチャーズ
  • Wedge
  • XTech Ventures
  • グロービス・キャピタル・パートナーズ
  • サイバーエージェント・キャピタル
  • サムライインキュベート
  • ジェネシア・ベンチャーズ
  • ゼロイチキャピタル
  • ディープコア
  • デライト・ベンチャーズ
  • 三菱UFJキャピタル
  • Lifetime Advisory

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始プログラム予定のうち、第1弾として、8月31日に「VCの投資判断基準」と「会社法と契約書について」をテーマにした勉強会を2部構成で開催する。ANOBAKAのキャピタリストが講師を務め、資金調達の基礎知識や、VCの仕組み・投資投資判断のポイント、契約書における注意事項などを扱うという。創業初期の起業家だけでなく、これから起業を予定している方も対象としている。

前半スケジュール

  • 2021年8月31日:勉強会「VCの投資判断基準」と「会社法と契約書について」
  • 9月29日:シードスタートアップのピッチイベントと個別面談

勉強会テーマ:「VCの投資判断基準」「会社法と契約書について」

  • 開催日時:8月31日
  • 開催場所:なごのキャンパス 〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1
  • 詳細および申し込み:「AICHI STARTUP BRIDGE」参照
  • 参加費:無料(参加可能な人数に限りがある)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ANOBAKA(企業)VC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)